JP2021197629A - 水中音響マイクロフォン、水中音響マイクロフォンの製造方法 - Google Patents

水中音響マイクロフォン、水中音響マイクロフォンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】MEMSマイクロフォンを水中でも利用可能とする。【解決手段】この水中音響マイクロフォン10は、集音方向に開口を有するハウジング11と、音孔25bを有する基板25と、基板25に配置されてMEMSマイクロフォン20を構成するMEMSチップ21と、防水機能を有する防水樹脂31と、を備え、ハウジング11における開口11a側からハウジング11内部に向けて、防水樹脂31、基板25、MEMSチップ21の順に配置される。【選択図】図1

Description

本発明は、水中音響マイクロフォンと、水中音響マイクロフォンの製造方法に関するものである。
近年の音響マイクロフォンの技術分野では、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems:メムス)マイクロフォンを含む超小型のマイクロフォンモジュールの利用が促進されている。従来公知のMEMSマイクロフォンとして、例えば下記特許文献1には、シリコン基板上に、エアギャップを介してメンブレンとバックプレートとが対向配置された構成のMEMSマイクロフォンが開示されている。この種のMEMSマイクロフォンでは、メンブレンとバックプレートとでキャパシタ構造が形成されており、音圧を受けてメンブレンが振動するとキャパシタ構造における容量が変化し、その容量変化がASICチップにおいて電気信号に変換されるとともに増幅処理される。そして、このような従来公知のMEMSマイクロフォンは、携帯情報通信端末などでの活用例が増加している。
特開2011−055087号公報
しかしながら、上掲した特許文献1に代表される従来公知のMEMSマイクロフォンについては、水中の音響を集音する用途では利用例が見られず、水中での利用が可能なMEMSマイクロフォンの実現が求められていた。
一方、従来の水中音響機器は、発振・受信を行う素子に、主にPZT(lead zirconate titanate:チタン酸ジルコン酸鉛)セラミックを用いており、その素材的性質から小型化を行うことが困難であった。また、セラミックの特性にばらつきが多く、ひとつひとつのセラミックに合わせてキャリブレーション等を行うことが必要であった。また、信号の増幅を行うため、別途アンプを用意する必要があり、S/Nはキャリブレーションとアンプの性能の相互作用によってバラツキが大きく、省電力化・価格において利用者の負担が小さいとは言えないものであった。
さらに、従来の水中音響機器は、発振・受信を行う素子を油没状態にして防水処理を行うことが多いが、防水機能のために油を用いる構造は、油の漏れ等の発生から環境への悪影響が懸念されるとともに、メンテナンスの際に油の追加注入が必要となって維持コストが増大してしまうといった不都合が存在していた。
本発明は、上述した従来技術に存在する課題の解消や産業界からの要請を満足するためになされたものであって、その目的は、近年汎用されているMEMSマイクロフォンを高耐水圧・高絶縁性の樹脂で固めることで、素子そのもののバラツキを抑えながら、水中でも使用可能にし、その小型化を可能にすることにある。また、本発明は、従来大型で、性能にバラツキが大きく、比較的大電力を要求し、高価であった水中音響機器について、MEMSマイクロフォンを水中でも利用可能とすることで、小型化・均一化・省電力化・低価格化を実現した水中音響マイクロフォンを提供することに寄与するものである。
本発明に係る水中音響マイクロフォンは、集音方向に開口を有するハウジングと、音孔を有する基板と、前記基板に配置されてMEMSマイクロフォンを構成するMEMSチップと、防水機能を有する防水樹脂と、を備え、前記基板と前記MEMSチップとで構成される前記MEMSマイクロフォンが、前記ハウジング内に収納されるとともに、前記ハウジングにおける前記開口側を前記防水樹脂で防水されることを特徴とするものである。
本発明に係る他の水中音響マイクロフォンは、集音方向に開口を有するハウジングと、音孔を有する基板と、前記基板に配置されてMEMSマイクロフォンを構成するMEMSチップと、防水機能を有する防水樹脂と、を備え、前記ハウジングにおける前記開口側からハウジング内部に向けて、前記防水樹脂、前記基板、前記MEMSチップの順に配置されることを特徴とするものである。
また、本発明に係る水中音響マイクロフォンにおいて、前記防水樹脂がウレタン樹脂であることが好適である。
さらに、本発明に係る水中音響マイクロフォンにおいて、前記防水樹脂が水に近い音響インピーダンスを示す物質であることとすることができる。
またさらに、本発明に係る水中音響マイクロフォンにおいて、前記防水樹脂の音速が水中音速に近似した値を示すものであることとすることができる。
さらにまた、本発明に係る水中音響マイクロフォンにおいて、水中を伝播する音響が前記防水樹脂および前記音孔を通過して前記MEMSチップに到達し、電気信号に変換して、25Hz〜100kHzの帯域の音響を集音することができる。
また、本発明に係る水中音響マイクロフォンは、前記防水樹脂と前記基板との間であって、前記音孔の位置に当該音孔の径よりも小さい径の空隙を有することとすることができる。
さらに、本発明に係る水中音響マイクロフォンにおいて、前記防水樹脂が前記開口から集音方向に向けて突出した略半球形状を有して形成されることとすることができる。
本発明に係る水中音響マイクロフォンの製造方法は、集音方向に開口を有するハウジングと、音孔を有する基板と、前記基板に配置されてMEMSマイクロフォンを構成するMEMSチップと、防水機能を有する防水樹脂と、を備え、前記ハウジングにおける前記開口側からハウジング内部に向けて、前記防水樹脂、前記基板、前記MEMSチップの順に配置される水中音響マイクロフォンの製造方法であって、前記ハウジング内に配置された前記基板と前記MEMSチップとからなる前記MEMSマイクロフォンを前記防水樹脂でポッティングするときに、当該防水樹脂を真空脱泡した状態で前記ハウジング内に充填して前記音孔の位置に当該音孔の径よりも小さい径を有する空隙を作ることを特徴とするものである。
本発明によれば、従来大型で、性能にバラツキが大きく、比較的大電力を要求し、高価であった水中音響機器について、近年汎用されているMEMSマイクロフォンを水中でも利用可能とすることで、小型化・均一化・省電力化・低価格化を実現した水中音響マイクロフォンを提供することができる。また、本発明によれば、油を用いていた従来の防水機能を高耐水圧・高絶縁性の防水樹脂で実現することで、環境面やコスト面でも有利な水中音響マイクロフォンを提供することができる。
本実施形態に係る水中音響マイクロフォンの基本構成を説明するための縦断面図である。 本実施形態に係る水中音響マイクロフォンの要部構成を説明するための部分断面図である。 本実施形態に係る水中音響マイクロフォンの製造方法を説明するためのフローチャート図である。 本発明に係る水中音響マイクロフォンが取り得る1つの実施例について説明するための図であり、図中の分図(a)が本実施例に係る水中音響マイクロフォンの内部構成例を示す斜視図であり、分図(b)が本実施例に係る水中音響マイクロフォンの外観構成例を示す斜視図である。
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
まず、本発明に係る水中音響マイクロフォンが取り得る実施形態の一例について、図1および図2を用いて説明を行う。ここで、図1は、本実施形態に係る水中音響マイクロフォンの基本構成を説明するための縦断面図である。また、図2は、本実施形態に係る水中音響マイクロフォンの要部構成を説明するための部分断面図である。
本実施形態に係る水中音響マイクロフォン10は、図1に示すように、ハウジング11と、エポキシ樹脂12と、MEMSチップ21と、基板25と、本発明に係る防水樹脂としてのウレタン樹脂31とを有して構成されている。また、本実施形態に係る水中音響マイクロフォン10は、ハウジング11における開口11aの側(図1における紙面左側)からハウジング11の内部に向けて、ウレタン樹脂31、基板25、MEMSチップ21、エポキシ樹脂12の順に配置されている。ただし、エポキシ樹脂12については、本発明に必須の構成ではなく、MEMSチップ21や基板25をハウジング11内で安定して保持するために設けられたものである。以下、本実施形態に係る水中音響マイクロフォン10の構成部材についての説明を行う。
ハウジング11は、集音方向に開口11aを有した略有底円筒形状の部材である。本実施形態に係るハウジング11は、樹脂やFPR等の非金属材料で構成されており、例えば、海水中などの環境で使用されたとしても、腐食や亀裂等の不具合が発生しにくい素材で構成されている。また、ハウジング11の内部には、MEMSチップ21と基板25によって構成される本発明のMEMSマイクロフォン20を収納することができ、これらの部材を保護する機能を有している。
MEMSチップ21と基板25によって構成される本発明のMEMSマイクロフォン20の具体的な構成例が、図2に示されている。図2に示すように、本実施形態に係る基板25は、端子電極25aが形成されたプリント基板として構成されるものであり、図2の紙面下側である集音側に本発明に係る防水樹脂としてのウレタン樹脂31が配置され、図2の紙面上側である機器側にMEMSチップ21等の機器類が配置される。また、基板25には、音孔25bが形成されており、海水中を伝播してきた音を通過させてMEMSチップ21に伝える音圧通路としての機能を有している。
MEMSチップ21は、基板25に形成された音孔25bに重畳するように基板25に取り付けられている。本実施形態に係るMEMSチップ21は、メンブレンと呼ばれる振動膜21aを内蔵しており、海水中を伝播して音孔25bを通過した音の音圧を受けて振動し、MEMSチップ21が音響容量の変化を検出できるようになっている。さらに、基板25には、ICチップ22が設置されており、MEMSチップ21が検出した音響容量の変化をICチップ22によって電気信号に変換し、増幅処理することが可能となっている。このように、MEMSチップ21と基板25によって構成されるMEMSマイクロフォン20を用いることで、海水中の音を検出することができる。なお、MEMSマイクロフォン20によって、検出されて増幅された電気信号は、機器側に配置された不図示の処理基板やコネクタ、ケーブル等を介して外部検出機器に送信することで、音響データとして利用することができる。
本発明に係る防水樹脂としてのウレタン樹脂31は、ハウジング11内に配置されたMEMSマイクロフォン20(MEMSチップ21と基板25)の基板25に導入され、ハウジング11に形成された開口11aを埋めることで、防水機能を発揮する部材である。本実施形態に係るウレタン樹脂31は、水に近い音響インピーダンスを示す物質であることが好ましく、かかる性質を有することで、海水中を伝播してきた音に極力影響を及ぼすことなく、MEMSチップ21に音圧を伝達することが可能となっている。つまり、本実施形態に係るウレタン樹脂31は、水に近い音響インピーダンスを示す物質によって構成されることで音響特性を阻害しないので、広帯域にわたる音響の検出をすることができる。なお、水に近い音響インピーダンスを示す物質の一例としては、水の音響インピーダンスは1.48×10kg/m/sであり、本実施形態に係るウレタン樹脂31はイソシアネート(主材)とポリオール(硬化剤)の混合物であって、音響インピーダンスは2.05×10kg/m/s以下の値を示す物質である。したがって、本発明の音響インピーダンスは、(1.40〜2.05)×10kg/m/sとなるウレタン樹脂を用いることが好適である。
また、本実施形態に係るウレタン樹脂31は、樹脂の音速が水中音速に近似した値を示す物質によって構成されている。背景技術の欄でも説明したように、従来技術に係る水中音響機器では、発振・受信を行う素子を油没状態にして防水処理を行うことが行われていたため、環境面やコスト面での不具合が存在していた。しかし、真水や海水などの水中で用いられる水中音響機器の防水手段として樹脂を用いることは稀であり、音響機器としての性能を確保しながらも、科学的漏失が少なく環境に良い防水手段としての樹脂材料を選定することは、非常に困難を伴うものであった。例えば、発明者らの試験研究によれば、本発明に係る防水樹脂にエポキシ樹脂を用いた場合には、海水中での使用に伴って黄色く変色が起こり、ひび割れが生じてしまうなど、音圧をMEMSチップ21に伝える媒質としての機能と、MEMSマイクロフォン20(MEMSチップ21と基板25)を海水から守る防水機能を十分に発揮することができないことが確認されている。このような試行錯誤を繰り返しながら、発明者らの努力によって、音響機器としての性能を確保しながらも、科学的漏失が少なく環境に良い防水手段としての防水樹脂には、ウレタン樹脂31を採用することが好ましいことが明らかとなった。特に、音圧の伝播と防水機能という、一見して相反する機能を両立できる樹脂の性能条件として、水に近い音響インピーダンスを示す物質であって、樹脂の音速が水中音速に近似した値を示す物質であることが好ましいことが明らかとなった。なお、水中音速に近似した値を示す物質の一例としては、塩分濃度3.4%、深さ0(20℃)〜8,000(2℃)mの海中において、海中音速が1,480〜1,600m/sとなるウレタン樹脂を示すことができる。また、塩分0%の真水において、0℃の音速は凡そ1,400m/sである。したがって、本実施形態に係るウレタン樹脂31については、樹脂の音速が1,400〜1,600m/sとなるウレタン樹脂を用いることが好適である。
さらに、本実施形態に係るウレタン樹脂31の設置条件については、発明者らの鋭意研究によって、ハウジング11内に配置された基板25からハウジング11に形成された開口11aまでの全てを完全に埋めることは好ましくなく、ウレタン樹脂31と基板25との間であって、具体的には音孔25bの中央位置に、当該音孔25bの径よりも小さい径を有する空気溜り32を有するように構成することが好ましいことが明らかとなっている。これは、ハウジング11内に配置された基板25からハウジング11に形成された開口11aまでの全てを完全にウレタン樹脂31で埋めてしまうと、海水中を伝播してきた音響の音圧が好適にMEMSチップ21に伝わらず、振動膜21aの振動をウレタン樹脂31が阻害してしまうことが原因である。そこで、発明者らは、音響特性を阻害しないための構成として、ウレタン樹脂31を埋め込み形成する際に、音孔25bの位置に空気溜り32を設けることを着想した。ただし、この空気溜り32については、音孔25bの径に対して大きく形成されたり、偏った位置に形成されたりした場合には、音響特性を低下させてしまうことが発明者らによって確認されており、発明者らの鋭意研究によって、ハウジング11内に配置された基板25からハウジング11に形成された開口11aまでウレタン樹脂31を設置するに際して、音孔25bの中央位置に、当該音孔25bの径よりも小さい径を有する空気溜り32を有するように構成することが好ましいことが明らかとなった。
以上説明した構成を有する本実施形態に係る水中音響マイクロフォン10によれば、従来大型で、性能にバラツキが大きく、比較的大電力を要求し、高価であった水中音響機器について、近年汎用されているMEMSマイクロフォン20を水中でも利用可能とすることができる。また、本実施形態によれば、小型化・均一化・省電力化・低価格化を実現した水中音響マイクロフォン10を提供することができる。さらに、本実施形態に係る水中音響マイクロフォン10によれば、油を用いていた従来の防水機能を高耐水圧・高絶縁性のウレタン樹脂31で実現したので、環境面やコスト面でも有利な水中音響マイクロフォン10を提供することができる。
以上、本実施形態に係る水中音響マイクロフォン10の基本構成および要部構成を説明した。次に、図3を用いて、本実施形態に係る水中音響マイクロフォン10の製造方法についての説明を行う。ここで、図3は、本実施形態に係る水中音響マイクロフォンの製造方法を説明するためのフローチャート図である。
本実施形態に係る水中音響マイクロフォン10を製造するには、まず、ハウジング11の内部にMEMSチップ21と基板25によって構成されるMEMSマイクロフォン20を配置する(ステップS11)。
この状態で、ウレタン樹脂31に対してインジェクションと減圧措置を行うことで、真空脱泡を行う(ステップS12)。なお、この処理の際に、わずかに気泡を残すように真空脱泡を行うことで、後述する空気溜り32を形成しつつも最小限の樹脂量で水密を得ることができる。
続いて、ステップS12で示す処理で真空脱泡を行ったウレタン樹脂31を、ハウジング11の内部に充填する(ステップS13)。
ハウジング11の内部にウレタン樹脂31を充填していくと、ウレタン樹脂31にわずかに残った気泡が表面張力の作用によって音孔25bの位置に誘導され、当該音孔25bの位置に1つの泡が残ることになる。すなわち、防水樹脂であるウレタン樹脂31を真空脱泡した状態でハウジング11内に充填し、音孔25bの位置に当該音孔25bの径よりも小さい径を有する空隙を作るのである(ステップS14)。このとき、音孔25bの位置に残った1つの泡が、音孔25bの径よりも小さい径を有する空気溜り32を形成するようにステップS14の処理を行うことが好適である。
その後、ハウジング11の内部へのウレタン樹脂31の充填を継続し、ハウジング11の開口11aをウレタン樹脂31で埋めることで、本実施形態に係る水中音響マイクロフォン10の製造が完了する(ステップS15)。
なお、図1で例示する本実施形態に係る水中音響マイクロフォン10では、ウレタン樹脂31の充填を開始する処理(ステップS13)の前に、ハウジング11の内部に配置されるMEMSマイクロフォン20(MEMSチップ21および基板25)をエポキシ樹脂12によって固定している。このようなエポキシ樹脂12によるMEMSマイクロフォン20(MEMSチップ21および基板25)の固定処理を、ステップS11で示す処理の際に実行しても良い。
以上、本実施形態に係る水中音響マイクロフォン10の製造方法についての説明を行った。次に、本実施形態に係る水中音響マイクロフォン10のより具体的な実施例について、図4を用いて説明を行う。ここで、図4は、本発明に係る水中音響マイクロフォンが取り得る1つの実施例について説明するための図であり、図中の分図(a)が本実施例に係る水中音響マイクロフォンの内部構成例を示す斜視図であり、分図(b)が本実施例に係る水中音響マイクロフォンの外観構成例を示す斜視図である。なお、図4では、上述した実施形態で説明した部材と同一又は類似する部材については、同一符号を付して説明を省略することとする。
図4(a)で示すように、本実施例に係る水中音響マイクロフォン100は、音孔25bを有する基板25にMEMSチップ21が取り付けられてMEMSマイクロフォン20が構成されており、このMEMSマイクロフォン20の機器側には、処理基板41と、この処理基板41に接続するUSBコネクタ42、USBコネクタ42から延びる信号コード43が設置されている。MEMSマイクロフォン20に設置される処理基板41やUSBコネクタ42、信号コード43については、MEMSマイクロフォン20を構成するMEMSチップ21やICチップ22によって検出されて増幅された電気信号を、外部検出機器に送信するために用いられる電気機器である。
そして、図4(a)で示された部材類は、図4(b)で示すように、略円筒形状をしたハウジング11によって周囲を覆われて保護されるとともに、ハウジング11の開口11aを埋めるように充填されたウレタン樹脂31によって防水保護される。図4(b)で示す外観を有する本実施例に係る水中音響マイクロフォン100は、例えば、海水中に投入されたり、超音波ピンガーに固定して海水中に投入されたりすることで、海水中の音響データを採取することが可能となる。
なお、本実施例に係る水中音響マイクロフォン100では、ハウジング11の開口11aを埋めるように充填されるウレタン樹脂31に、株式会社エスイーシー社が製造する無色透明のポリマー樹脂であるジェラフィン(Jellafin:登録商標)を採用した。この株式会社エスイーシー社製のジェラフィン(Jellafin:登録商標)をウレタン樹脂31に採用した水中音響マイクロフォン100を用いて発明者らが音響実験を行ったところ、低帯域である25Hzから高帯域である100kHz程度の帯域の音響を集音可能であることを確認できた。つまり、本実施例に係る水中音響マイクロフォン100によれば、音響特性を阻害しないウレタン樹脂31が採用されているので、非常に広い帯域(25Hz〜100kHz程度)の音響測定が可能な水中音響マイクロフォン100を実現できることが明らかとなった。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
例えば、上述した実施形態および実施例では、ハウジング11の開口11aを埋めるように充填されたウレタン樹脂31は、開口11aの箇所を平面で埋めるように形成されるものであったが、ウレタン樹脂31の形状は、かかる平面形状に限定されるものではない。例えば、ウレタン樹脂31が開口11aから集音方向に向けて突出した略半球形状を有して形成されていても良い。
また、図1〜図4を用いて説明した上述の実施形態および実施例については、本発明の一形態例を示したに過ぎないものであり、本発明の基本的構成と当該構成が発揮する作用効果と同様の作用効果を発揮する範囲内において、種々の形態変更が可能である。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
なお、本発明に係る水中音響マイクロフォンは、聴音・水中通信・水中測位などといった、水中音響全般の装置に適用可能である。また、本発明によれば、小型化・省電力化・低価格化を実現した水中音響マイクロフォンを提供可能になるので、従来大型で可搬が容易ではなかった水中音響機器が取り付け不可能であった技術分野、例えば、漁船・遊覧船・ダイバー・ROV(Remotely Operated Vehicle:遠隔操作型無人潜水機)・AUV(autonomous underwater vehicle:自律型無人潜水機)などに取り付けが可能になり、さらに、水中における通信・測位についてデバイスが軽薄短小になるため、本発明を用いたデバイスの搭載が広がることとなる。またさらに、本発明によれば、広帯域の音が取得できるため、水族館などの飼育水中生物が発する声の録音など、科学教材への活用も可能である。
10,100 水中音響マイクロフォン、11 ハウジング、11a 開口、12 エポキシ樹脂、20 MEMSマイクロフォン、21 MEMSチップ、21a 振動膜、22 ICチップ、25 基板、25a 端子電極、25b 音孔、31 ウレタン樹脂(防水樹脂)、32 空気溜り、41 処理基板、42 USBコネクタ、43 信号コード。

Claims (9)

  1. 集音方向に開口を有するハウジングと、
    音孔を有する基板と、
    前記基板に配置されてMEMSマイクロフォンを構成するMEMSチップと、
    防水機能を有する防水樹脂と、
    を備え、
    前記基板と前記MEMSチップとで構成される前記MEMSマイクロフォンが、前記ハウジング内に収納されるとともに、前記ハウジングにおける前記開口側を前記防水樹脂で防水されることを特徴とする水中音響マイクロフォン。
  2. 集音方向に開口を有するハウジングと、
    音孔を有する基板と、
    前記基板に配置されてMEMSマイクロフォンを構成するMEMSチップと、
    防水機能を有する防水樹脂と、
    を備え、
    前記ハウジングにおける前記開口側からハウジング内部に向けて、前記防水樹脂、前記基板、前記MEMSチップの順に配置されることを特徴とする水中音響マイクロフォン。
  3. 請求項1又は2に記載の水中音響マイクロフォンにおいて、
    前記防水樹脂がウレタン樹脂であることを特徴とする水中音響マイクロフォン。
  4. 請求項1又は2に記載の水中音響マイクロフォンにおいて、
    前記防水樹脂が水に近い音響インピーダンスを示す物質であることを特徴とする水中音響マイクロフォン。
  5. 請求項1又は2に記載の水中音響マイクロフォンにおいて、
    前記防水樹脂の音速が水中音速に近似した値を示すものであることを特徴とする水中音響マイクロフォン。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の水中音響マイクロフォンにおいて、
    水中を伝播する音響が前記防水樹脂および前記音孔を通過して前記MEMSチップに到達し、電気信号に変換して、25Hz〜100kHzの帯域の音響を集音することを特徴とする水中音響マイクロフォン。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の水中音響マイクロフォンにおいて、
    前記防水樹脂と前記基板との間であって、前記音孔の位置に当該音孔の径よりも小さい径の空隙を有することを特徴とする水中音響マイクロフォン。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の水中音響マイクロフォンにおいて、
    前記防水樹脂が前記開口から集音方向に向けて突出した略半球形状を有して形成されることを特徴とする水中音響マイクロフォン。
  9. 集音方向に開口を有するハウジングと、
    音孔を有する基板と、
    前記基板に配置されてMEMSマイクロフォンを構成するMEMSチップと、
    防水機能を有する防水樹脂と、
    を備え、
    前記ハウジングにおける前記開口側からハウジング内部に向けて、前記防水樹脂、前記基板、前記MEMSチップの順に配置される水中音響マイクロフォンの製造方法であって、
    前記ハウジング内に配置された前記基板と前記MEMSチップとからなる前記MEMSマイクロフォンを前記防水樹脂でポッティングするときに、当該防水樹脂を真空脱泡した状態で前記ハウジング内に充填して前記音孔の位置に当該音孔の径よりも小さい径を有する空隙を作ることを特徴とする水中音響マイクロフォンの製造方法。
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