JP2021195364A - Rnaを含有する抗腫瘍剤、免疫細胞の活性化方法、腫瘍細胞の転移の抑制方法、免疫賦活剤、抗腫瘍剤の抗腫瘍効果の増強剤、及び医薬組成物 - Google Patents

Rnaを含有する抗腫瘍剤、免疫細胞の活性化方法、腫瘍細胞の転移の抑制方法、免疫賦活剤、抗腫瘍剤の抗腫瘍効果の増強剤、及び医薬組成物 Download PDF

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佐千枝 平塚
Sachie Hiratsuka
毅 富田
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【課題】免疫細胞を活性化させるRNAを有効成分として含む抗腫瘍剤を提供すること。【解決手段】以下の(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを含む抗腫瘍剤。(i)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列を有するRNA(ii)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA(iii)上記(i)又は(ii)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA【選択図】図7

Description

本発明は、RNAを含有する抗腫瘍剤、免疫細胞の活性化方法、腫瘍細胞の転移の抑制方法、免疫賦活剤、抗腫瘍剤の抗腫瘍効果の増強剤、及び医薬組成物に関する。
ホルモン、サイトカイン、オータコイド、及び神経伝達物質などのシグナル伝達分子により駆動される細胞間情報伝達が、組織の機能にとって重大であることがよく知られている。近年、微小胞及びエキソソームのような細胞外RNA(exRNA)を含む細胞外小胞(EV)や、非小胞リボ核タンパク複合体(RNP)が、細胞間情報伝達の重要な変換物質として広範囲に研究されている(非特許文献1)。中でも、腫瘍由来EVが二次細胞に非特異的に組み込まれて腫瘍の進行を支援することが報告された(非特許文献2)。しかしながら、標的細胞に対するexRNA媒介性の特異的応答が存在するのかどうか、仮に存在したとして、いかなる生体反応が誘発されるかは確立されていない。
腫瘍転移は細胞内情報伝達が関係する重要な問題の1つである。多くの価値のある研究によると、転移には宿主細胞と腫瘍細胞の間の複合的な体系的事象が関与することが明らかになっている。具体的には、宿主中の組織と免疫細胞とが腫瘍にやさしい(tumor-friendly)環境である転移前土壌を形成し、その後、遠位の組織に腫瘍細胞が物理的に現われるというものである(非特許文献2)。主な治療の標的は原発腫瘍であるが、循環している腫瘍細胞及び休止細胞が広く拡散するため、予防的化学療法及び免疫療法を含む他の戦略も転移のリスクの低減にとって重要である。これまで、宿主組織細胞による腫瘍細胞への能力の付与(empowerment) に干渉する抗転移治療はまだ確立されていない(非特許文献3)。
JCI Insight 3, doi:10.1172/jci.insight.98942 (2018) Nat Rev Cancer 17, 302-317, doi:10.1038/nrc.2017.6 (2017) Trends Cancer 3, 391-406, doi:10.1016/j.trecan.2017.04.008 (2017)
本発明者らは近年、転移前土壌中に潜在的な抗転移免疫細胞を発見した(EMBO Mol Med 10, doi:10.15252/emmm.201708643 (2018))。具体的には、本発明者らは、B220+CD11c+NK1.1+ナチュラルキラー(NK)細胞が、癌を有するマウスの肝臓から肺へと移動していることを見出した。かかる細胞はフィブリノーゲン+過剰浸透性部位に蓄積し、2つの抗転移活性を実証する。すなわち、かかる細胞は濃縮されたフィブリノーゲンを除去するとともに、インターフェロンガンマ(IFNγ)生産による腫瘍破壊能を有する(Nat Commun 4, 1853, doi:10.1038/ncomms2856 (2013))。肝臓から肺へのB220+CD11c+NK1.1+NK細胞の移動の基礎となる分子メカニズム及びそれらの抗転移能力はまだ解明されていない。肝臓のB220+CD11c+NK1.1+NK細胞と肺のB220+CD11c+NK1.1+細胞間の遺伝子発現解析の比較によると、RNA結合性亜鉛フィンガーファミリーに属するZC3H12Dが肺細胞で最も高倍率の変化を示すことが示された。さらにZC3H12Dは、リンパ腫及び肺癌患者における推定の腫瘍サプレッサーとして報告されている(Cancer Res 67, 93-99, doi:10.1158/0008-5472.CAN-06-2723 (2007); Br J Haematol 139, 161-163, doi:10.1111/j.1365-2141.2007.06752.x (2007))。したがって、本発明者らは、ZC3H12Dタンパク質が抗転移機能において細胞外RNAと特異的に相互作用すると仮定した。
本発明が解決すべき課題は、免疫細胞を活性化することができるRNAを含む抗腫瘍剤、免疫細胞の活性化方法、腫瘍細胞の転移の抑制方法、免疫賦活剤、抗腫瘍剤の抗腫瘍効果の増強剤、及び医薬組成物を提供することにある。
本願発明者らは、驚くべきことに、(1)IL-1βのRNA 3'末端領域側の非翻訳領域付近の配列である非小胞exILβ-mRNAが、NK細胞の細胞表面のRNA結合性ZC3H12Dタンパク質を介して核に取り込まれ、輸送されて細胞生存に到ること、(2)exILβ-mRNAを組み込んだマウスNK細胞は細胞の遊走とインターフェロンγ(IFNγ)の生産を誘導し、腫瘍破壊効果を奏すること、(3)ヒトNK細胞では合成IL1β-mRNAでの処理により、IFNγの持続的な生産能力が維持されたこと、(4)exIL1β-mRNAで刺激されたマウスNKはインビボで肺腫瘍転移を抑制すること、並びに(5)マウスマクロファージ培養細胞へのIL1β-mRNAのフラグメントの投与により活性化される細胞の数が増大すること、などを見出した。exILβ-mRNAは、抗腫瘍機能又は抗転移機能を有する固有の細胞間神経伝達物質としての役割を有する可能性がある。
本発明は、以下に記載の実施形態を包含する。
項1.以下の(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを有効成分として含む抗腫瘍剤。
(i)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列を有するRNA
(ii)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
(iii)上記(i)又は(ii)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
項2.前記(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAの長さが20〜200塩基長である項1に記載の抗腫瘍剤。
項3.前記RNAが以下の(iv)、(v)及び(vi)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを含む項1に記載の抗腫瘍剤。
(iv)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列を有するRNA
(v) 配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
(vi)上記(iv)又は(v)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
項4.前記RNAが、配列番号1又は配列番号4で表される塩基配列を有するRNAの変異型であって、配列番号1又は配列番号4で表される塩基配列の88番目から897番目までのコード配列が天然のコード配列に比べて1〜5個の追加の終止コドンを有するよう置換された塩基を有する、項1又は3に記載の抗腫瘍剤。
項5.以下の(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを細胞に投与することを含むインビトロ又は非ヒト動物における免疫細胞の活性化方法。
(i)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列を有するRNA
(ii)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ免疫細胞を活性化させることができるRNA
(iii)上記(i)又は(ii)の塩基配列の一部を有し、かつ免疫細胞を活性化させることができるRNA
項6.前記RNAが以下の(iv)、(v)及び(vi)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを含む項5に記載の方法。
(iv)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列を有するRNA
(v)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
(vi)上記(iv)又は(v)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
項7.以下の(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを細胞に投与することを含むインビトロ又は非ヒト動物における腫瘍細胞の転移の抑制方法。
(i)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列を有するRNA
(ii)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ免疫細胞を活性化させることができるRNA
(iii)上記(i)又は(ii)の塩基配列の一部を有し、かつ免疫細胞を活性化させることができるRNA
項8.前記RNAが以下の(iv)、(v)及び(vi)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを含む項7に記載の方法。
(iv)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列を有するRNA
(v)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
(vi)上記(iv)又は(v)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
項9.前記RNAが、配列番号1又は配列番号4で表される塩基配列を有するRNAの変異型であって、配列番号1又は配列番号4で表される塩基配列の88番目から897番目までのコード配列が天然のコード配列に比べて1〜5個の追加の終止コドンを有するよう置換された塩基を有する、項5又は7に記載の方法。
項10.以下の(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを有効成分として含む免疫賦活剤。
(i)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列を有するRNA
(ii)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
(iii)上記(i)又は(ii)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
項11.以下の(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを含む、免疫賦活剤の免疫賦活効果又は免疫賦活剤抗腫瘍剤の抗腫瘍効果の増強剤。
(i)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列を有するRNA
(ii)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
(iii)上記(i)又は(ii)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
項12.前記RNAが以下の(iv)、(v)及び(vi)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを含む項11に記載の増強剤。
(iv)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列を有するRNA
(v)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
(vi)上記(iv)又は(v)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
項13.以下の(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを含有する医薬組成物。
(i)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列を有するRNA
(ii)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
(iii)上記(i)又は(ii)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
項14.前記RNAが以下の(iv)、(v)及び(vi)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを含む項13に記載の医薬組成物。
(iv)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列を有するRNA
(v)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
(vi)上記(iv)又は(v)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
項15.腫瘍の予防及び/又は治療のための医薬組成物である項13又は14に記載の医薬組成物。
本発明の実施形態の抗腫瘍剤によれば、免疫細胞を活性化させて効果的に腫瘍を抑制することができる。本発明の別の実施形態の免疫細胞の活性化方法によれば、免疫細胞を効果的に活性化することができる。本発明の別の実施形態の腫瘍細胞の転移の抑制方法によれば、腫瘍細胞の転移を効果的に抑制することができる。本発明の別の実施形態の免疫賦活剤によれば、免疫細胞を効果的に活性化させることができる。本発明の別の実施形態の抗腫瘍剤の抗腫瘍効果の増強剤によれば、抗腫瘍剤の抗腫瘍効果を効果的に増強することができる。本発明の別の実施形態の医薬組成物は、腫瘍の予防及び/又は治療に有用である。
(A)原発腫瘍の増殖中のE07701細胞移植により作成した担癌マウスの肺において増加するZC3H12D+CD45+白血球。0mm(n=3)、4mm(n=3)、7mm(n=3)、及び9mm(n=3)のサイズの原発腫瘍(primary tumor size)を有するマウスから採取した肺組織に対して免疫組織染色検査を行った。平均値±標準誤差。(B)上部ウェルに肺組織、下部ウェルにCD45+白血球を配置して共培養したときのCD45+白血球におけるmRNAレベルを調べるためのアッセイシステム(左側パネル)。Zc3h12d発現を腫瘍を有する肺により刺激した。肺は、腫瘍を有するマウス(n=7)から得た肺(左図、2 Tu-Lu)と、肺は腫瘍を有しないマウス(n=7)から得た肺(左図、1 No-Lu)とした。それぞれの肺による刺激によるmRNAレベル(右側パネル)、平均値±標準誤差、Welchのt検定。(C)各マウスの種類における転移結節数(metastatic nodule number)。平均値±標準誤差、Welchのt検定。(D)各マウスの種類における腫瘍全体のサイズ。平均値±標準誤差、Welchのt検定。 細胞表面のZC3H12D及び細胞外の腫瘍関連IL1β-mRNAの検出。(A)腫瘍を有しないマウス又は腫瘍を有するマウスに由来する末梢血単核細胞(PBMC)における表面及び細胞内のZC3H12Dタンパク質のFACS分析。抗ZC3H12D抗体(太線のab100862抗体)及び対照アイソタイプ抗体(点線)を使用した。(B)腫瘍細胞培養上清(TCM)による刺激後の脾臓細胞におけるZC3H12D発現の動態。バーは5μmを表わす。(C)TCM刺激の3時間後のRAW 264.7細胞表面のZC3H12Dのフローサイトメトリー分析。TCMへのRNase Aの添加は、ZC3H12Dの細胞内への進入を引き起こさなかった(右側レーン)。NoCMは、腫瘍細胞を有しない対照培養上清(CM)である(1群当たりn=3)。(D)FACS分析によるTCMからの精製RNAの適用後の表面ZC3H12Dの減少 (n=3、No (RNAなし)、n=7 RNA-TCM)。図2のグラフでは、平均値±標準偏差、及びスチューデントのt検定又はone-way ANOVAの結果を示す。 (A)Cap-Poly(A)(CP)有り又は無しでFITC 標識IL1β-mRNA及びβアクチンmRNAを適用した後のZC+RAWの蛍光共焦顕微鏡。3D画像を示す。データは5つの独立した実験の代表である。(B)ヒト−マウス−キメラIL1β-mRNAを用い、その後、RT-qPCR分析で3'-マウス遺伝子特異的プライマーと5'-ヒトプローブを用いて逆転写を行う外部IL1β-mRNAの検出のためのシステム(上側パネル)。ZC+RAWへのキメラIL1β-mRNAの進入の検出。核内RNAと細胞質RNAはそれぞれHotairとβアクチンで正規化した(1群当たりn=7-8)。(C)TCM刺激したZc4h12d+/-及びZc4h12d-/-マウス由来のB220+CD11c+NK1.1+細胞の核におけるIL1β-mRNA-FITCの取り込みの時間経過を示す3D画像(左側パネル)。B220+CD11c+NK1.1+細胞の核におけるRNA-FITCの定量分析(右側パネル)。 (A)FITC標識した全長(full)、CDS(全長から3'UTRを除いた部分)又は100ng/mL 3'UTR IL1β-mRNA(3'UTR)の添加後のIL1β-mRNAドメイン依存性のZC+RAWの核への取り込みの定量分析。(B)ZC+RAWの核におけるIL1β-mRNA取り込みに関する競合アッセイ。IL1β全長の取り込みは3'UTR IL1βでの前処理により阻害された。平均値(1群当たりN=11-14 3D画像)。図4のグラフでは、平均値±標準偏差、及びスチューデントのt検定又はone-way ANOVAの結果を示す。 ZC3H12D はIL1β-mRNAの特異的配列を認識する。(A)マウスIL1β-mRNA(NM_008361)3'UTRにおけるZC3H12D結合部位を決定するための狭小化スキーム。各番号はヌクレオチドの位置を示す。(B)電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)。マウスIL1βプローブ(EMSAプローブ1-9)をZC3H12D有り又は無しでアッセイした。プローブ1-9は長さが50ヌクレオチドであり、3'末端がビオチンで標識されている。矢印はプローブ5に対するZC3H12Dの結合によるバンドシフトを示す。(C)EMSA競合アッセイ。ZC3H12Dとプローブ5の間の相互作用を試験した。ZC3H12Dタンパク質及びビオチン標識したプローブ5(50nm)を100倍の過剰量の非標識プローブ1-9(5μM)と混合した。(D)EMSA競合アッセイ。ZC36タンパク質とプローブ5の間の相互作用を試験した。ZC36タンパク質とビオチン標識したプローブ5(50nm)を100倍の過剰量の非標識プローブ5-1〜5-7(5μM)と混合した。これらの競合物は長さが20ヌクレオチドでプローブ5の一部である。グラフは上側のバンドの相対強度(Relative intensity)を示す(=上側のバンド/(上側のバンド+下側のバンド))。上側のバンドの位置を矢印で記す。(E)標識プローブ5-1〜5-7の配列(それぞれ配列番号8−14, 図面上の配列は配列番号7)。 IL1β-mRNAはZC3H12D+NK核に生物学を引き起こす。(A)IL1β-mRNA-Cap(+)PolyA(+)-FITC の取り込みの6時間後の、野生型マウスのB220+CD11c+NK1.1+細胞における不規則な核。Zc3h12d-/-マウスでは不規則な核は生じない。CP:5'Cap及び3'Poly(A)テイル。縦軸はコピー数(copy number)。(B)IL1β- mRNA-CPの取り込みの3時間後のB220+CD11c+NK1.1+細胞の核内のリンH2AXの免疫染色の例(左側の画像)、野生型マウス及びZc3h12d-/-マウスに由来するB220+CD11c+NK1.1+細胞におけるリンH2AXの定量分析(右側グラフ)。バー:5μm。(C)TCM刺激した野生型及びZc3h12d-/-マウス由来のB220+CD11c+NK1.1+細胞における二次壊死の時間経過。緑色(野生型、-RNA)、青色(野生型、+RNA)、橙色(Zc3h12d-/-、-RNA)、及びマゼンダ(Zc3h12d-/-、+RNA)を示す。(D)ZC+RAW細胞でPol IIに結合された、取り込まれたex-IL1β-mRNAの検出システム。核内でPol IIと連携するIL1β-キメラ-mRNAのリアルタイムPCR分析。(E)IL1β-キメラ-mRNAの適用後のZC+RAWの核RNAにおけるIL1rnのqPCRによる定量化(1群当たりn=5-6)。縦軸はmRNA相対レベルを示す。(F)IL1β-キメラ-mRNAの適用後のZC+RAWの核RNAにおけるDusp1のqPCRによる定量化(1群当たりn=12)。縦軸はmRNA相対レベルを示す。図6の画像において、バーは5μmを表す。図6のグラフでは、平均値±標準偏差、及びスチューデントのt検定又はone-way ANOVAの結果を示す。 (A)ヒトZC3H12DはhIL1β-mRNAの取り込みに寄与する。(A)hZC3H12Dの2つのスプライシングアイソフォームのスキーム。長い形式および短い形式は58 kDa及び36kDaのタンパク質をそれぞれコードする。いずれもジンクフィンガー領域(緑色)を含む共通のアミノ末端配列を有する。また、長い形式はプロリンに富んだ領域(橙色)を有する。(B)長い形式(hZC58)及び短い形式(hZC36)を過剰発現する786-O細胞のZC3H12DのIHC分析。(C)hZC58又はhZC36細胞核のhIL1β-mRNA-FITC取り込みの共焦顕微鏡画像の代表例(上側の画像)。hZC58又はhZC36細胞核におけるhIL1β-mRNA-FITCの定量シグナル(下側のパネル)(1群当たりの3D画像:hZC58の場合n=38;hZC36の場合n=50)。(D)50ng/mLのRNAと200U/mLのIL-2タンパク質の適用3時間後のCD56+CD3-NK 細胞核へのhIL1β-mRNA-FITCの取り込み。共焦顕微鏡イメージングは、1つの画像でのDAPI染色した核(上側の画像)及び上から下までで15の画像を組み合わせた3Dスタック(中央の画像)を示す。3DスタックイメージはIL1β-mRNAとhβアクチンmRNAとの間の核取り込みの比較を示す(下側のパネル)。(E)CD56+CD3-NK 細胞への200U/mLのIL-2とのRNA適用48時間後のIFNγ誘導のIHC分析。陽性対照を、IL2培地で20ng/mLのIL12タンパク質を加えてインキュベートした(1群当たりn=15-19 ZC3H12D+細胞からのIFNγシグナル)。縦軸はDAPI陽性細胞数に対するIFNγの強度比を示す。 核内にIL1β-mRNAを有するZC3H12D+NK細胞は抗転移において機能する(A)IL1β-mRNA又はβアクチンmRNAに対する野生型マウス及びZc3h12d-/-マウス由来のB220+CD11c+NK1.1+細胞の遊走。縦軸は野生型マウス及びZc3h12d-/-マウスの遊走したB220+CD11c+NK1.1+細胞の数(arbitrary unit)を示す。平均値(1群当たりn=3)を標準誤差と共に示し、one-way ANOVAの結果を示す。(B)TCMが欠乏したZC3H12D結合RNAに由来するRNAに対する遊走アッセイ。RNAサンプルはタンパク質を含まないカラム(1番)及びZC3H12Dタンパク質カラム(2番)を通過させたLTCMから得た。「no」はRNAがゼロであることを表す。野生型マウス及びZc3h12d-/-マウスの遊走したB220+CD11c+NK1.1+細胞の数を示す(1群当たりn=3)(C)IL1β-mRNAとのインキュベーション後にTCM刺激したZc3h12d+/-マウス及びZc3h12d-/-マウス由来のB220+CD11c+NK1.1+細胞におけるIFNγ誘導。IHC画像の代表例 (上側パネル)及びDAPI陽性細胞数に対するIFNγ陽性細胞の定量比(下側パネル)(1群当たりn=6培養皿)。(D)50ng/mLのIL1β-mRNAで刺激したB220+CD11c+NK1.1+細胞との腫瘍細胞の同時インキュベーション後のインビトロにおける腫瘍破壊性アッセイ。アッセイ中にZombie+死細胞となったローダミン標識されたE0771細胞の代表的画像(上側パネル)。死んだE0771およびLLC細胞は、TCMにより刺激されたZc3h12d+/-マウス由来のIL1β-mRNAにより刺激されたB220+CD11c+NK1.1+細胞との共培養後に増加し、Zc3h12d-/-マウス由来の同細胞では増加しなかった(下側パネル)。B220+CD11c+NK1.1+は、TriNKとして示される(1群当たりn=7-12培養皿、左下のパネル; 1群当たりn=20培養皿(右下のパネル))。画像では、図8では、バーは5μmを表わす。図8のグラフでは、平均値±標準偏差、及びスチューデントのt検定又はone-way ANOVAの結果を示す。 (A)3'UTRの4個のフラグメントでTCM刺激した野生型又はZc3h12d-/-マウスのB220+CD11c+NK1.1+細胞におけるIFNγのアップレギュレーション(1群当たり3培養皿)。縦軸はDAPI陽性細胞数に対するIFNγ陽性細胞の強度比を示す。(B)野生型マウスのB220+CD11c+NK1.1+細胞(10ng/ml)を用いたIL1β-mRNA及びβアクチンmRNAの遊走アッセイ(1群当たりn=3)。\図9のグラフでは、平均値±標準偏差、及びスチューデントのt検定又はone-way ANOVAの結果を示す。 (A)インビボにおける抗転移アッセイ。TCMに刺激されたマウス脾臓のB220+CD11c+NK1.1+細胞をIL1β-mRNAにより刺激し(IL1β-mRNA-primed)、別のTCM刺激されたマウスに適用した。ローダミン標識された腫瘍細胞を転移を評価するために注入した。(B)Zc3h12d+/-マウス及びZc3h12d-/-マウス由来の予め処理したIL1β-mRNA で刺激されたB220+CD11c+NK1.1+細胞が有る又は無い肺における転移LLC細胞数を示す(1群当たりn=6マウス、1匹のマウス当たり4枚の切片)。図10のグラフでは、平均値±標準偏差、及びスチューデントのt検定又はone-way ANOVAの結果を示す。 マウスマクロファージ培養細胞(RAW264.7細胞)のIL1βRNAによる細胞遊走能活性化作用。 (A)上から順に、Cap-Poly(A)有りの非標識IL1β-mRNA、Cap-Poly(A)有りのFITC標識βアクチンmRNA 、Cap-Poly(A)無しのFITC標識IL1β-mRNA、及びCap-Poly(A)有りのFITC標識IL1β-mRNAを適用した後のZC+RAW 細胞の蛍光共焦顕微鏡。3D画像を示す。データは5つの独立した実験の代表である。(B)ZC+RAW 細胞の核におけるCap-Poly(A)有り各種RNA-FITCの定量分析。non-labeled IL1β:非標識IL1β、βactin RNA:βアクチン RNA、IL1β-stop RNA:終止コドンを入れたIL1βRNA(C)TCM刺激した野生型(左)及びZc4h12d-/-(右)マウス由来のB220+CD11c+NK1.1+細胞の核における各種RNA -FITCの取り込みの時間経過を示す3D画像。(D)TCM刺激した野生型(左)及びZc4h12d-/-(右)マウス由来のB220+CD11c+NK1.1+細胞の核における各種RNA-FITCの定量分析。non-labeled IL1β:非標識IL1β、βactin RNA:βアクチン RNA、IL1β-stop RNA:終止コドンを入れたIL1βRNA。 TCM刺激した野生型及びZc3h12d-/-マウス由来のB220+CD11c+NK1.1+細胞における二次壊死の時間経過。WT-actb:野生型でβアクチンRNA適用、WT-IL1b:野生型でIL1β RNA適用、WT-IL1b-stop 野生型で終止コドンを導入したIL1β RNA適用、Homo-actb:Zc3h12d-/-マウス由来細胞でβアクチンRNA適用、Homo IL1b:Zc3h12d-/-マウス由来細胞でIL1β RNA適用、Homo IL1b-stop:Zc3h12d-/-マウス由来細胞で終止コドンを導入したIL1β RNA適用を示す。 (A)IL1β-mRNAとのインキュベーション後にTCM刺激したZc3h12d+/-マウス(左)及びZc3h12d-/-マウス(右)由来のB220+CD11c+NK1.1+細胞におけるIFNγ誘導。DAPI陽性細胞数に対するIFNγ陽性細胞の定量比 (1群当たりn=6培養皿)。(B)50ng/mLの各種mRNAで刺激したZc3h12d+/-マウス(左)及びZc3h12d-/-マウス(右)由来のB220+CD11c+NK1.1+細胞との腫瘍細胞の同時インキュベーション後のインビトロにおける腫瘍破壊性アッセイ。グラフでは、平均値±標準偏差、及びスチューデントのt検定又はone-way ANOVAの結果を示す。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明では、以下の(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAが使用される(これらのRNAを「本発明のRNAと称する」。)
(i)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列を有するRNA
(ii)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
(iii)上記(i)又は(ii)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
配列番号3で表される塩基配列からなるRNAは、ヒトインターロイキン1β(IL1β、NM_008361)のmRNAであるIL1β-mRNA(全長塩基配列を配列番号1で示す)の3'非翻訳領域 (3' UTR)に相当する。
配列番号6で表される塩基配列からなるRNAは、マウスインターロイキン1β(IL1β、NM_008361)のmRNAであるIL1β-mRNA(全長塩基配列を配列番号4で示す)の3'非翻訳領域 (3' UTR)に相当する。
上記(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAは、(i);(ii);(iii);(i)及び(ii);(ii)及び(iii);(i)及び(iii);(i)、(ii)及び(iii)のいずれであってもよい。
好ましい実施形態では、上記(i)のRNAは、配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列からなるRNAであって、追加の塩基を含まない。
好ましい実施形態では、上記RNAは、以下の(iv)、(v)及び(vi)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを含む。
(iv)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列を有するRNA
(v)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
(vi)上記(iv)又は(v)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
配列番号17で表される塩基配列からなるmRNAは、マウスIL1β-mRNA を、150ヌクレオチドを含む4個のフラグメントに分割した場合のフラグメントの1つである。配列番号49で表される塩基配列からなるmRNAは、ヒトIL1β-mRNA の、マウス配列IL1β-mRNAの番号17で表される塩基配列からなるmRNAに対応する部分のフラグメントである。
好ましい実施形態では、上記(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNA(以下、RNAが上記(iv)、(v)及び(vi)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAである場合を含む)は、長さが20〜200塩基長である。上記(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAの下限値は、好ましくは20塩基以上、より好ましくは25塩基以上、より好ましくは30塩基以上、より好ましくは40塩基以上である。上記(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAの上限値は、好ましくは150塩基以下、より好ましくは100塩基以下、より好ましくは50塩基以下である。
好ましい別の実施形態では、上記RNAが、配列番号1又は配列番号4で表される塩基配列を有するRNAの変異型であって、配列番号1又は配列番号4で表される塩基配列の88番目から897番目までのコード配列が天然のコード配列に比べて1〜5個の追加の終止コドンを有するよう置換された塩基を有するRNAである。
上記(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAは、好ましくはmRNAである。また、上記(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAの5'末端及び3'末端は非修飾であってもよいし、修飾させていてもよい。例えばRNAの5'末端が真核生物の5'キャップ構造を有し、及び/又は3'末端にポリAが付加されてもよい。或いは又は加えて、上記(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAの塩基の少なくとも一つに、蛍光物質、発色物質等の標識分子が取り付けられていてもよい。
本発明の第1の態様によれば、以下の(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを有効成分として含む抗腫瘍剤が提供される。
(i)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列を有するRNA
(ii)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
(iii)上記(i)又は(ii)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
上記(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAは本発明のRNAであり、本発明のRNAについては上述した通りである。
本発明の第2の態様によれば、以下の(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを細胞に投与することを含むインビトロ又は非ヒト動物における免疫細胞の活性化方法が提供される。
(i)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列を有するRNA
(ii)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ免疫細胞を活性化させることができるRNA
(iii)上記(i)又は(ii)の塩基配列の一部を有し、かつ免疫細胞を活性化させることができるRNA
上記(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAは本発明のRNAであり、本発明のRNAについては上述した通りである。
免疫細胞としては、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、マクロファージ、好酸球、好中球、好塩基球、樹状細胞、リンパ球等が挙げられる。好ましくは免疫細胞は、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、マクロファージ、又はその両方である。
免疫細胞の活性化は、免疫細胞におけるIFNγ産生や、免疫細胞の遊走能力の向上等により評価することができる。
本発明の第3の態様によれば、以下の(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを細胞に投与することを含むインビトロ又は非ヒト動物における腫瘍細胞の転移の抑制方法が提供される。
(i)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列を有するRNA
(ii)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ免疫細胞を活性化させることができるRNA
(iii)上記(i)又は(ii)の塩基配列の一部を有し、かつ免疫細胞を活性化させることができるRNA
上記(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAは本発明のRNAであり、本発明のRNAについては上述した通りである。
免疫細胞としては、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、マクロファージ、好酸球、好中球、好塩基球、樹状細胞、リンパ球等が挙げられる。好ましくは免疫細胞は、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、マクロファージ、又はその両方である。
腫瘍細胞の転移の抑制は、転移性腫瘍細胞数の計測等により評価することができる。
好ましい実施形態では、上記(i)のRNAは、配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列からなるRNAであって、追加の塩基を含まない。
本発明の第4の態様によれば、以下の(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを有効成分として含む免疫賦活剤が提供される。
(i)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列を有するRNA
(ii)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
(iii)上記(i)又は(ii)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
上記(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAは本発明のRNAであり、本発明のRNAについては上述した通りである。
本発明の第5の態様によれば、以下の(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを含む、免疫賦活剤抗腫瘍剤の抗腫瘍効果の増強剤が提供される。(i)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列を有するRNA
(ii)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
(iii)上記(i)又は(ii)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
上記(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAは本発明のRNAであり、本発明のRNAについては上述した通りである。
抗腫瘍剤としては、キナーゼ阻害剤、アポトーシス誘導剤、核内受容体調整剤、免疫調整剤、核外搬出シグナル阻害剤、プロテアソーム調整剤、DNA障害剤、代謝拮抗剤、プラチナ系抗腫瘍剤(白金錯体)、微小管阻害剤、アルキル化剤、及びアントラサイクリン系抗腫瘍剤から選ばれる1種又は複数種の抗腫瘍剤等が挙げられ、該化合物の塩も包含する。これらの抗腫瘍剤は良く知られており、市販のものを利用できる。
上記抗腫瘍剤と、上記(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAとは、本発明の増強作用を奏する範囲であれば、それらの投与方法は特に制限されず、同時に投与したり、逐次的に又は間隔をあけて投与したりできる。それら組成物の投与順序も特に制限されず、抗腫瘍剤は、RNAの前、同時、又は後に投与されてもよい。
本発明の第6の態様によれば、以下の(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを含有する医薬組成物が提供される。
(i)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列を有するRNA
(ii)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
(iii)上記(i)又は(ii)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
上記(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAは本発明のRNAであり、本発明のRNAについては上述した通りである。
好ましい実施形態では、医薬組成物は腫瘍の予防及び/又は治療のための医薬組成物である。
腫瘍としては、頭頚部癌、食道癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、胆嚢癌、胆管癌、胆道癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頚癌、子宮体癌、腎癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣腫瘍、骨肉腫、多発性骨髄腫、皮膚癌、脳腫瘍、中皮腫等が挙げられる。
本発明の第1の態様、及び第4〜6の態様において、本発明のRNAを医薬の有効成分として用いるにあたっては、必要に応じて薬学的担体を配合し、予防又は治療目的に応じて各種の投与形態を採用可能である。上記RNAを含む抗腫瘍剤の形態としては、例えば、注射剤、坐剤、経口剤、軟膏剤、点眼剤等のいずれでもよく、好ましくは、注射剤(静脈内注射等)が採用される。これらの投与形態は、各々当業者に公知慣用の製剤方法により製造できる。
薬学的担体としては、製剤素材として慣用の各種有機或いは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング剤等、液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、pH調節剤、pH緩衝剤、無痛化剤等として配合される。また、必要に応じて防腐剤、抗酸化剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤、安定化剤等の製剤添加物を用いることもできる。
本発明の実施形態の増強剤の投与対照は、哺乳動物、好ましくはヒトである。
また、上記RNAの1日あたりの投与量は、患者の症状、体重、年齢、性別等によって異なり一概には決定できないが、化合物として通常成人(体重50kg)1日あたり好ましくは10ng〜1mg、より好ましくは100ng〜100μg、さらに好ましくは1μg〜10μgとすればよい。
上記の各投与単位形態中に配合されるべきRNAの量は、用いられるRNAの性質、患者の症状、その剤形等に応じて、適宜設定される。
また、本発明は以下の構成を採用することもできる。
項1.以下の(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを有効成分として含む抗腫瘍剤。
(i)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列を有するRNA
(ii)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
(iii)上記(i)又は(ii)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
項2.前記(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAの長さが20〜200塩基長である項1に記載の抗腫瘍剤。
項3.前記RNAが以下の(iv)、(v)及び(vi)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを含む項1に記載の抗腫瘍剤。
(iv)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列を有するRNA
(v)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
(vi)上記(iv)又は(v)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
項4.前記RNAが、配列番号1又は配列番号4で表される塩基配列を有するRNAの変異型であって、配列番号1又は配列番号4で表される塩基配列の88番目から897番目までのコード配列が天然のコード配列に比べて1〜5個の追加の終止コドンを有するよう置換された塩基を有する、項1又は3に記載の抗腫瘍剤。
項5.以下の(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを細胞に投与することを含むインビトロ又は非ヒト動物における免疫細胞の活性化方法。
(i)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列を有するRNA
(ii)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ免疫細胞を活性化させることができるRNA
(iii)上記(i)又は(ii)の塩基配列の一部を有し、かつ免疫細胞を活性化させることができるRNA
項6.前記RNAが以下の(iv)、(v)及び(vi)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを含む項5に記載の方法。
(iv)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列を有するRNA
(v)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
(vi)上記(iv)又は(v)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
項7.前記RNAが、配列番号1又は配列番号4で表される塩基配列を有するRNAの変異型であって、配列番号1又は配列番号4で表される塩基配列の88番目から897番目までのコード配列が天然のコード配列に比べて1〜5個の追加の終止コドンを有するよう置換された塩基を有する、項5又は6に記載の方法。
項8.以下の(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを細胞に投与することを含むインビトロ又は非ヒト動物における腫瘍細胞の転移の抑制方法。
(i)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列を有するRNA
(ii)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ免疫細胞を活性化させることができるRNA
(iii)上記(i)又は(ii)の塩基配列の一部を有し、かつ免疫細胞を活性化させることができるRNA
項9.前記RNAが以下の(iv)、(v)及び(vi)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを含む項8に記載の方法。
(iv)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列を有するRNA
(v)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
(vi)上記(iv)又は(v)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
項10.前記RNAが、配列番号1又は配列番号4で表される塩基配列を有するRNAの変異型であって、配列番号1又は配列番号4で表される塩基配列の88番目から897番目までのコード配列が天然のコード配列に比べて1〜5個の追加の終止コドンを有するよう置換された塩基を有する、項8又は9に記載の方法。
項11.以下の(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを有効成分として含む免疫賦活剤。
(i)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列を有するRNA
(ii)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
(iii)上記(i)又は(ii)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
項12.前記RNAが以下の(iv)、(v)及び(vi)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを含む項11に記載の免疫賦活剤。
(iv)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列を有するRNA
(v)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
(vi)上記(iv)又は(v)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
項13.前記RNAが、配列番号1又は配列番号4で表される塩基配列を有するRNAの変異型であって、配列番号1又は配列番号4で表される塩基配列の88番目から897番目までのコード配列が天然のコード配列に比べて1〜5個の追加の終止コドンを有するよう置換された塩基を有する、項11又は12に記載の免疫賦活剤。
項14.以下の(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを含む、免疫賦活剤の免疫賦活効果又は免疫賦活剤抗腫瘍剤の抗腫瘍効果の増強剤。
(i)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列を有するRNA
(ii)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
(iii)上記(i)又は(ii)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
項15.前記RNAが以下の(iv)、(v)及び(vi)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを含む項14に記載の増強剤。
(iv)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列を有するRNA
(v)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
(vi)上記(iv)又は(v)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
項16.前記RNAが、配列番号1又は配列番号4で表される塩基配列を有するRNAの変異型であって、配列番号1又は配列番号4で表される塩基配列の88番目から897番目までのコード配列が天然のコード配列に比べて1〜5個の追加の終止コドンを有するよう置換された塩基を有する、請求項14又は15に記載の増強剤。
項17.以下の(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを含有する医薬組成物。
(i)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列を有するRNA
(ii)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
(iii)上記(i)又は(ii)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
項18.前記RNAが以下の(iv)、(v)及び(vi)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを含む項17に記載の医薬組成物。
(iv)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列を有するRNA
(v)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
(vi)上記(iv)又は(v)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
項19.前記RNAが、配列番号1又は配列番号4で表される塩基配列を有するRNAの変異型であって、配列番号1又は配列番号4で表される塩基配列の88番目から897番目までのコード配列が天然のコード配列に比べて1〜5個の追加の終止コドンを有するよう置換された塩基を有する、項17又は18に記載の医薬組成物。
項20.腫瘍の予防及び/又は治療のための医薬組成物である項17〜19のいずれかに記載の医薬組成物。
項21.前記少なくとも一つのRNAが、長さが20〜200塩基長である項1〜3のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
項22.前記少なくとも一つのRNAの下限値は、好ましくは20塩基以上、より好ましくは25塩基以上、より好ましくは30塩基以上、より好ましくは40塩基以上である項1〜3,21のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
項23.前記少なくとも一つのRNAの上限値は、好ましくは150塩基以下、より好ましくは100塩基以下、より好ましくは50塩基以下である項1〜3,21,22のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
項24.前記少なくとも一つのRNAはmRNAである項1〜4,21〜23のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
項25.前記少なくとも一つのRNAが、長さが20〜200塩基長である項5〜9のいずれか一項に記載の方法。
項26.前記少なくとも一つのRNAの下限値は、好ましくは20塩基以上、より好ましくは25塩基以上、より好ましくは30塩基以上、より好ましくは40塩基以上である項5〜9,25のいずれかに記載の方法。
項27.前記少なくとも一つのRNAの上限値は、好ましくは150塩基以下、より好ましくは100塩基以下、より好ましくは50塩基以下である項5〜9,25,26のいずれかに記載の方法。
項28.前記少なくとも一つのRNAはmRNAである項5〜10,25〜27のいずれかに記載の方法。
項29.前記RNAが以下の(iv)、(v)及び(vi)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを含む項11に記載の免疫賦活剤。
(iv)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列を有するRNA
(v)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
(vi)上記(iv)又は(v)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
項30.前記少なくとも一つのRNAが、長さが20〜200塩基長である項11又は29に記載の免疫賦活剤。
項31.前記少なくとも一つのRNAの下限値は、好ましくは20塩基以上、より好ましくは25塩基以上、より好ましくは30塩基以上、より好ましくは40塩基以上である項11,12,29,30のいずれかに記載の免疫賦活剤。
項32.前記少なくとも一つのRNAの上限値は、好ましくは150塩基以下、より好ましくは100塩基以下、より好ましくは50塩基以下である項11,29〜31のいずれかに記載の免疫賦活剤。
項33.前記少なくとも一つのRNAはmRNAである項11〜13,29〜32のいずれかに記載の免疫賦活剤。
項34.前記少なくとも一つのRNAが、長さが20〜200塩基長である項14又は15に記載の増強剤。
項35.前記少なくとも一つのRNAの下限値は、好ましくは20塩基以上、より好ましくは25塩基以上、より好ましくは30塩基以上、より好ましくは40塩基以上である項14,15,34のいずれかに記載の増強剤。
項36.前記少なくとも一つのRNAの上限値は、好ましくは150塩基以下、より好ましくは100塩基以下、より好ましくは50塩基以下である項14,15,34,35のいずれかに記載の増強剤。
項37.前記少なくとも一つのRNAはmRNAである項14〜16,34〜36のいずれかに記載の増強剤。
項38.前記少なくとも一つのRNAが、長さが20〜200塩基長である項17〜20のいずれかに記載の医薬組成物。
項39.前記少なくとも一つのRNAの下限値は、好ましくは20塩基以上、より好ましくは25塩基以上、より好ましくは30塩基以上、より好ましくは40塩基以上である項17〜19,38のいずれかに記載の医薬組成物。
項40.前記少なくとも一つのRNAの上限値は、好ましくは150塩基以下、より好ましくは100塩基以下、より好ましくは50塩基以下である項17〜19,38〜39のいずれかに記載の医薬組成物。
項41.前記少なくとも一つのRNAはmRNAである項17〜20,38〜40のいずれかに記載の医薬組成物。
本明細書中に引用されているすべての特許出願及び文献の開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
方法
試薬
以下の一次抗体及び因子を本研究に用いた: マウス抗ZC3H12D抗体(抗ZC3H12D抗体 ab1000862; Abcam), ヒト抗ZC3H12D抗体(ab1000862; Abcam), マウス細胞選別及びFACS分析には以下を使用した。マウスCD11cに関して: PE 抗マウスCD11c (BioLegend);アイソタイプコントロール, PE アルメニアンハムスターIgG (eBioscience); Alexa Fluor 647 抗マウスCD11c (BioLegend);及びアイソタイプコントロール, Alexa Fluor 647 アルメニアンハムスターIgG (BioLegend)。マウス NK1.1に関して:Brilliant Violet 421 抗マウス NK-1.1 (BioLegend);アイソタイプコントロール, Brilliant Violet 421 マウス IgG2a, κ (BioLegend); APC 抗マウス NK-1.1抗体(BioLegend);及びアイソタイプコントロール, APC マウス IgG2a, κ (BD Pharmingen)。B220に関して: PE/Cy7 抗マウス/ヒトCD45R/B220抗体(BioLegend);アイソタイプコントロール, PE/Cy7 Rat IgG2a, κ (BioLegend); APC 抗マウス/ヒト CD45R/B220抗体 (BioLegend);及びアイソタイプコントロール, APC Rat IgG2a, κ (BD Pharmingen)。CD45に関して: PE/Cy7 抗マウス CD45抗体(BioLegend) 及びアイソタイプコントロール, PE/Cy7 ラットIgG2b (BioLegend)。ヒトCD56に対する細胞選別: PE 抗ヒト CD56 (NCAM)抗体(BioLegend) 及びアイソタイプコントロール, マウス IgG1, κ (BioLegend)。ヒトCD3に対する細胞選別: Alexa Fluor 488 抗ヒト CD3抗体(BioLegend) 及びアイソタイプコントロール, マウス IgG1, κ (BioLegend)。マウス (D-17, sc-9344; Santa Cruz Biotechnology)及びヒト (B27; BioLegend) 抗IFNγ抗体を細胞染色に使用した。ヒト IL2 (BioLegend) 及びヒト IL12 (PeproTech) を細胞培養に使用した。
動物
C57BL6マウスを日本クレア(Tokyo, Japan) 又はSLC (Shizuoka, Japan)から購入した。Zc3h12d-/-マウス(J Immunol 192, 1512-1524, 2014)を実験に使用した。すべての動物実験の手順は信州大学及び東京女子医科大学の動物実験委員会のガイドラインに従って行った。
腫瘍細胞株及び腫瘍細胞培養上清
マウス腫瘍細胞株に関し、E0771乳がん細胞はDr Sirotnak (Memorial Sloan-Kettering Cancer Center, New York, NY) により樹立され、Dr Mihich (Roswell Park Memorial Institute, Buffalo, NY)により提供された(Anticancer Research 25, 3905-3915, 2015)。Lewis 肺がん由来細胞株RAW264.7は理研バイオリソース研究センターから購入した。LLC (3LL) 細胞(JCRB Cell Bank)及び3LL in vivo継代細胞は公益財団がん研究会(東京)により供与された。マウス細胞を増殖させ、保存サンプルとして調製し、2-3ヶ月未満の継代の間に用いた。それらを10%ウシ胎児血清 (FBS)、100 units/mL ペニシリンGナトリウム、及び100 μg/mL硫酸ストレプトマイシンを補給したDulbecco's Modified Eagle培地で培養した。ヒト乳がん細胞786-OはATCCから購入した。該ヒト細胞をDMEM/Han's F-12 培地で培養した。腫瘍細胞培養上清 (TCM) は、細胞死を起こさせずに無血清培地で細胞をインキュベーションすることにより得た。収集したTCMを1,500 rpmで5分間遠心分離し、上清をさらに15,000 rpmで10分間遠心分離した。TCMを実験前に−80℃で保存した。
組織培養培地及び生物組織を用いたCD45+細胞培養系
生物組織培養実験では、2-mm2の肺又は肝組織標本を、ゲンタマイシンを添加した高濃度グルコースDMEMで無血清培養した。培養培地を収集した後、サンプルをまず1,500 rpmで10分間遠心分離し、次に上清をさらに15,000 rpmで30分間 4℃で遠心分離した。組織とCD45の共培養系のため、上側ウェルの培養インサート(400-nmポア)中のFBS (1%) を添加したDMEMで肺をインキュベートし、肺から単離したCD45+細胞を下側ウェルで培養し、これを上側ウェルの生物組織により24-48時間刺激した。
ヒト細胞の初代培養
初代ヒト PBMCs (HPBMCs; Lonza)を200 IU/mLのIL2を添加したLGM-3培地 (Lonza) で培養した。
実験的転移モデル
TCM刺激されたマウス脾臓由来のB220+CD11c+NK1.1+ 細胞をIL1β-RNAにより16-18時間刺激し、マウス一匹当たり2 × 104個の該細胞を別のTCM刺激されたマウスに静脈(i.v.)注射した。その後、転移性腫瘍細胞のホーミングを調べるために、蛍光色素(PKH26; Sigma-Aldrich, St. Louis, MO, USA)標識した2 × 104 個の転移性細胞を予め処理したマウスに静脈投与した。腫瘍細胞注入から48時間後に、肺をリン酸緩衝液(PBS)で生理学的圧力下で灌流し、循環している腫瘍細胞を除外した。6個の肺組織片(直径3 mm)をランダムに切除し、一つの組織片当たり4個の10μm切片を共焦顕微鏡(LSM-710; Carl Zeiss MicroImaging GmbH, Germany)又は蛍光顕微鏡(BZ-9000; Keyence, Osaka, Japan)で調べた。標識された腫瘍細胞の数は全組織表面積に対して正規化した。実験に際し、年齢及び性別を合わせた同腹仔を用いた。
自発的転移アッセイに関し、原発腫瘍切除後の腫瘍を有するマウスの肺におけるE0771細胞を顕微鏡により検出した。7または8週齢のマウスへの5 × 106個の腫瘍細胞の皮下 (s.c.)又は哺乳動物脂肪パッド(m.f.p.)移植を介して同系の腫瘍グラフトを生成した。
フローサイトメトリー、細胞選別、及び細胞染色
TCM刺激した野生型、Zc3h12d+/-及びZc3h12d-/- マウス脾臓からB220+CD11c+NK1.1+細胞を集めるために、本発明者らはセルソーター(MoFlo AstriosEQ and FACSAriaTM III)で細胞を精製した。野生型由来のB220+CD11c+NK1.1+ 細胞はTCMにより予め刺激しなかった。ヒト CD56+CD3-NK細胞はFACSAriaTMIII (BD Bioscience)より得た。マウス肝臓及び肺を0.5 mg/mLコラゲナーゼ、1 mg/mLディスパーゼ、及びDnaseで37°Cにて45分間消化し、B220+CD11c+NK1.1+細胞を得た。細胞上清をマウス CD45-μビーズ(MACS, Miltenyi Biotec, Auburn, CA)と共にインキュベートし、捕捉された細胞を図1に示すようにin vitro培養に用いた。図1Bに示されるマウス末梢血単核球(PBMC)におけるZC3H12Dの検出に関し、本発明者らは以下の染色を行い、フローサイトメーター(Cytomics FC500 Beckman Coulter)を用いて細胞を分析した。細胞表面の染色に関し、Ficoll-Paque (HistopaqueR-1083, Sigma-Aldrich)及び/又は溶血を用いてPBMCを集め、それらを100 μLの体積に106 個の細胞当たり0.5 μgの抗体を用いて染色した。細胞内染色に関し、抗体の添加前に、細胞固定及び透過(Fixation/Permeabilization Kit, BD Pharmingen) 処理剤を投与した。
免疫沈降
タンパク質−RNA複合体の架橋のために、タンパク質抽出前に、10cm皿で培養した細胞をPBSで2回洗浄し、254 nmでUV照射した (1,500 J/m2)。細胞を10 mM HEPES, pH 7.6, 15 mM KCl, 2 mM MgCl2, 及び0.1 mM EDTA、プロテアーゼ阻害剤(Promega, G6521)を加えたものに分散し、次に最終濃度を0.2%となるようNP-40を加えた。最初の遠心分離(2,500 rpm、1分間)後、上清をさらに遠心分離 (15,000 rpm 、15分間)し、核画分を得た。核タンパク質をプロテアーゼ阻害剤(Promega, G6521)及びRNase OUT (Thermo)を添加したRIPA緩衝液(50 mM HEPES, pH 7.6, 150 mM NaCl, 0.5% Triton X-100, and 0.5% sodium cholate) で抽出した。プロテインG磁気ビーズ(Thermo)と予めインキュベートしておいた抗体を、RQ1 RNase-Free DNase (Promega)の存在下で抽出物に加え、4℃で1時間インキュベートした。磁気ビーズをTBSTで4回洗浄し、TBST + 1 M NaCl でさらに洗浄した。その後、ビーズをProtease K (1 hr at 37℃)と共にインキュベートし、その後、フェノール−クロロホルム抽出及びエタノール沈殿を行った。
RNAの取り込み
RNA適用前に、初代細胞を1% FBS培地で1時間インキュベートした。細胞株は1% FBS 有り又は無しで3時間予めインキュベートした。ヒトNK細胞は飢餓状態にしないようにした。RNA取り込みを早めるため、4%パラホルムアルデヒドを5分間で加え(最終濃度2%)、3回洗浄した。ZC3H12Dの細胞内染色に関し、0.1% Triton Xを染色前に使用した。共焦z-スタック画像 (Leica TCS SP8 confocal microscopy)を得るために、核の上と下をDAPIシグナルにより方向付け、核の上から下まで一連の15枚の画像 を捕捉し、細胞の三次元画像を構築した。すべての細胞を核の中心部分の一枚の画像でチェックし、核内RNA取り込みを確認した。
遊走アッセイ
細胞の遊走は、chemotaxis Boyden chamber (Neuro Probe)を用いて評価した。上側及び下側のウェルを5-μmポアサイズのポリビニルピロリドン無含有ポリカーボネートフィルター(Nucleopore, Costar)により分離した。種々のRNAを下側ウェルに適用した。細胞懸濁液(2 × 105 から 2 × 106cells/mL)のアリコート (50 μL)を上側ウェルの各々に接種し、3.5時間インキュベートした。
IFNγ誘導及び殺腫瘍アッセイ
B220+CD11c+NK1.1+細胞を20 ng/mLのmIL1β-RNAと16-24 時間インキュベートした後、細胞を抗マウス IFNγ抗体を用いて染色した。200 IU/mLのIL2を補給したLGM-3培地 (Lonza)にて50 ng/mL のhIL1β-RNAで48時間刺激した後、ヒトCD56+CD3-NK細胞を抗ヒトIFNγ抗体で染色した。IFNγ誘導の陽性対照については、細胞を40 ng/mLのhIL-12で48時間インキュベートした。Zombie Green Fixable Viability Kit (BioLegend) を使用して、20 ng/mL のmIL1β-RNAで16-18時間刺激したB220+CD11c+NK1.1+細胞との24時間のインキュベーション後に死んだPKH26染色腫瘍細胞を検出した。
リアルタイムアポトーシス及び壊死(necrosis)アッセイ
ZC+RAW細胞、B220+CD11c+NK1.1+NK細胞及びhZC58細胞をIL1β-mRNA又はβactin-mRNAの適用後にトレースした。細胞死を検出するために、RealTime-GloTMAnnexin V Apoptosis and Necrosis Assay (Promega)を使用した。
ベクター構築及びZC3H12Dを安定発現する細胞の樹立
ヒトZC3H12D発現ベクター(hZC58及びhZC36)は、ヒト ZC3H12Dコード領域pCMV6-entryベクター(C-terminal myc-FLAG tag)に入れてクローニングしたものであるが、これをOriGene Technologies Inc. (Rockville, MD USA)より購入した。マウス ZC3H12Dをプライマーセット5′-GGTACCATGGAGCATCGGAGCAAGATGG-3′(配列番号19)及び 5′-CTCGAGTTAAGGATCCCCCAACGGAGCACC-3′(配列番号20)を用いてPCR増幅し、次にpCR Blunt IIベクター(Thermo)でクローニングした。クローニングした断片をKpnI-XhoI により二本鎖消化し、C-terminal FLAG-tag を取り付けたpcDNA3でサブクローニングした。マウス又はヒト ZC3H12Dを安定発現する細胞株を樹立するために、上述の構築物のうちの一つを細胞株にトランスフェクトし、細胞を400 μg/mL G418の存在下で2週間よりも長く培養した。G418選択の後、細胞可溶化液をDDDDK抗体 (MBL Co., Ltd, Japan)のプローブを用いてウェスタンブロッティングにより試験し、ZC3H12D-FLAGタンパク質の発現を確認した。
RAN合成のためのベクター構築
マウス IL1βをPCR増幅し(全長に対するプライマーセット: 5′-AACAAACCCTGCAGTGGTTCGAG-3′(配列番号21)及び5′-GTTTGTTTGTTTTAATGAAATTTATTTCATACTCATCAAAGCAATG-3′(配列番号22); CDSに対するプライマーセット: 5′-AACAAACCCTGCAGTGGTTCGAG-3′(配列番号23)及び 5′-TTAGGAAGACACGGATTCCATGGTGAAG-3′(配列番号24); UTRに対するプライマーセット: 5′-AGTATGGGCTGGACTGTTTCTAATGC-3′(配列番号25) 及び5′-GTTTGTTTGTTTTAATGAAATTTATTTCATACTCATCAAAGCAATG-3′(配列番号26))、pCR Blunt IIベクターでクローニングした。ヒト IL1βをPCR増幅し(プライマーセット: 5′-ACCAAACCTCTTCGAGGCACAAGG-3′(配列番号27) and 5′-CTTCAGTGAAGTTTATTTCAGAACCATTGAACAGTATGATATTTGCTC-3′(配列番号28))、pCR Blunt IIベクターでクローニングした。ヒト-マウスキメラIL1β構築物を調製するために、マウス IL1β/pCR Blunt II 中のNotI-NdeIフラグメントをヒト IL1βプラスミドから切除した二本鎖消化フラグメントにより置き換えた。結果として、このキメラはヒト IL1β (5′UTRとCDS の最初の半分, 502 bp)をマウス IL1β (CDSの2番目の半分と3′UTR, 843 bp)をNdeI部位に有していた。マウス IL1β 3′UTRをさらに4つのフラグメントに分けた。以下のプライマーセットを、それぞれのフラグメントを増幅するために使用した(第1のフラグメント: 5′-AGTATGGGCTGGACTGTTTCTAATGC-3′(配列番号29) 及び5′-AACAGAATGTGCCATGGTTTCTTGTG-3′(配列番号30); 第2のフラグメント: 5′-CGGCCAAGACAGGTCGCTC-3′(配列番号31) 及び5′-CTTGAATCAACTTAAATAGATCAACCAATCAATAAATAC-3′(配列番号32); 3番目のフラグメント: 5′-TATTTATTTATGTATTTATTGATTGGTTGATCTATTTAAGTTGATTCAAG-3′(配列番号33)及び5′-TTCTCAGCTTCAATGAAAGACCTCAGTG-3′(配列番号34); 4番目のフラグメント: 5′-GGGATGAATTGGTCATAGCCCG-3′(配列番号35)及び5′-GTTTGTTTGTTTTAATGAAATTTATTTCATACTCATCAAAGCAATG-3′(配列番号36)). 次に増幅物をpCR Blunt IIベクターでクローニングした。これらのフラグメントは148-153 bpであり、各々がその隣接するフラグメントと少なくとも50-bpのオーバーラップを有していた。これらの構築物をSpeI消化により線状化し、in vitro翻訳系m (RiboMAX Large-Scale RNA Production System-T7, Promega, WI, USA)に使用した。蛍光標識されたRNAを調製するために、Fluorescein RNA Labeling Mix (Sigma-Aldrich, MO USA)をRNA合成反応において混合した。Cap修飾を導入するために、合成したRNAをVaccinia virus Capping enzyme (New England Biolabs (NEB), MA, USA, M2080) 及びCap 2'-O-Methyltransferase (NEB, M0366)と混合し、反応後、RNAをフェノール-クロロホルム及びエタノール沈殿で抽出した。その後、得られたRNAの一部をpoly(A)ポリメラーゼ(NEB, M0276) と混合し、ポリA 付加物を得た。使用に先立って、すべてのRNAはスピンカラムに基づく精製システム(PureLink RNA Mini Kit, Thermo)により精製した。
EMSA
一本鎖RNAオリゴヌクレオチドはEurofins genomicsから購入した。Biotin Labeling Kit (Thermo, 89818) を使用して、オリゴヌクレオチドの3′末端にビオチン標識を導入した。RNAオリゴヌクレオチドとZC3H12D タンパク質の間の相互作用を調べるために、LightShift Chemiluminescent RNA EMSA kit (Thermo, 20158)を使用した。精製されたZC3H12Dタンパク質をビオチン標識したオリゴヌクレオチドとグリセロール、反応緩衝液成分(最終濃度: 100 mM HEPES, pH 7.3, 200 mM KCl, 10 mM MgCl2, and 10 mM ジチオスレイトール)、及びキットと共に供給されたtRNAの存在下で混合し、混合物を5%-20% 勾配ゲル (Fujifilm Wako Pure Chemical, Japan) に流した。次に、RNAをナイロン膜に電気転写し、UV照射で膜に固定し(1,200 J/m2)、ストレプトアビジン-HRP共役体でプローブした。ビオチン標識されたRNAを可視化するために、化学発光試薬を膜に適用し、発光シグナルをCCD撮像装置により検出した。
ウェスタンブロット又はqPCR のための免疫沈降
タンパク質-RNA複合体を架橋するために、タンパク質抽出前に10-cm皿に培養した細胞をPBSで2回洗浄し、254 nm UV照射(1,500 J/m2)した。細胞内タンパク質をプロテアーゼ阻害剤(Promega, G6521)を添加したRIPA緩衝液(50 mM HEPES, pH 7.6, 150 mM NaCl, 0.5% Triton X-100, and 0.5% sodium cholate) で抽出した。抗DYKDDDDK tag抗体磁気ビーズ(Fujifilm Wako Pure Chemical) を可溶化液に添加し、1時間、4℃でインキュベートした。磁気ビーズをTBSTで4回洗浄し、さらにTBST + 1 M NaCl で洗浄した。ウェスタンブロッティング分析に関し、洗浄したビーズをSDS含有サンプル緩衝液と混合し、95℃に加熱した。RNAを回収するために、ビーズをRQ1 RNase-Free DNase (Promega)処理し、TBSTによる洗浄後、 Protease K (1時間、37℃)でインキュベートした。その後、フェノール-クロロホルム抽出及びエタノール沈殿を行った。
RNA preparation from cytoplasm and nuclear fractions 細胞を10 mM HEPES, pH 7.6, 15 mM KCl, 2 mM MgCl2, 及び0.1 mM EDTAにプロテアーゼ阻害剤(Promega, G6521)を添加したものに分散し、次に次に最終濃度を0.2%となるようNP-40を加えた。最初の遠心分離(2,500 rpm、1分間)後、上清をさらに遠心分離 (15,000 rpm 、15分間)し、フェノール−クロロホルム抽出及びエタノール沈殿によりRNAを含有するペレットを得た。2,500-rpmの遠心分離後、沈降した核の画分をTRIzol (Thermo)と混合し、RNAを単離した。
タンパク質精製とタンパク質カラム
ヒトZC36発現ベクター(hZC36/pCMV6-Entry) をHEK293T細胞にトランスフェクトした。トランスフェクトの48時間後、細胞を採集し−80℃で保存した。プロテアーゼ阻害剤を添加したRIPA緩衝液を凍結した細胞に加え、可溶化液を15,000 rpmで15分遠心分離した。上清を0.22-μmフィルタで濾過し、抗DYKDDDDK tag ビーズ (Fujifilm Wako Pure Chemical)を保持するカラム上に充填した。次に、カラムをPBS (10ベッド体積)、PBS + 1 M NaCl (10ベッド体積)及びPBS (10ベッド体積)で充填した。このカラムを、ZC3H12Dタンパク質と結合することができる物質を吸着するためのZC3H12Dタンパク質カラムとして使用した。カラム上のZC3H12Dタンパク質はPBS, 0.5 M NaCl及び100 ng/mL DYKDDDDKペプチド(Fujifilm Wako Pure Chemical)により溶出し、溶出液をAmicon Ultra centrifugal filter unit (Merck, NJ USA).により濃縮した。
免疫組織化学及び細胞数の計測
抗ZC3H12D (ab1000862, Abcam)抗体を使用して、脾臓細胞、B220+CD11c+NK1.1+細胞、ZC+RAW 細胞、hZC36細胞、及びhZC58細胞、CD56+CD3-NK細胞、及び凍結した組織切片を染色した。図1において、免疫染色された細胞領域の数値を、DAPI シグナルに対して正規化したピクセル数として示す。標識された腫瘍細胞を共焦顕微鏡又は蛍光顕微鏡により検出し、全表面積に対して正規化した。
siRNAを用いたノックダウン
ZC3H12Dのノックダウンのために、Amaxa Nucleofector system (Lonza)による電気穿孔を用いて、CD56+CD3-NK細胞を300〜1,000 nMのsiRNA (ON-TARGET plus ヒト ZC3H12D (340152) (SMARTpool)) で処理した。コントロールsiRNAをON-TARGET plus Non-targeting pool (Dharmacon Horizon Discovery)とした。タンパク質レベルでのノックダウン効率をIHI染色で調べた。RNA取り込みアッセイを300 nMのsiRNA の適用の27時間後に行った。
定量PCR
細胞外RNAサンプルを、5-10 mLのTCM, lung-TCM, liver-TCM及びヒト lung EC-CMから、Ethachinmate (Nippon GENE)を加えたRNAiso Blood (Takara)を用いて単離した。全RNAサンプルをTRIzol試薬(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA) を用いて細胞から単離し、逆転写酵素(SuperScript VILO, Invitrogen)を用いてcDNAを生成するのに使用した。遺伝子特異的プライマーによる逆転写に関しては、SuperScript III 逆方向 Transcriptase (Invitrogen) を使用した。定量的PCR分析の前に、TaqMan PreAmp Master Mix (Applied Biosystems, Foster City, CA, USA)を用いて細胞外RNAから相補的DNAを増幅した。定量的PCRは検出システム(StepOnePlus, Applied Biosystems)にSYBR Green Master Mix又はTaqMan Fast Advanced Master Mix (Applied Biosystems)を用いて行った。遺伝子発現レベルはCt値から計算し、Ct値と標的遺伝子のコピー数の対数との間の関係が線形となることを、標準として対応する単離DNAの連続希釈を用いて確認した。さらに、核サンプル及び細胞質サンプルの遺伝子発現レベルを、それぞれHotair及びβアクチンの遺伝子発現レベルに対して正規化した。プライマーの配列及びプローブを以下に示す。
TaqManプライマー及びプローブセット
ヒトインターロイキン1ベータ(IL1β): NM_000576
Hs01555410_m1
ヒト ACTB: NM_001101
Hs01060665_g1
マウス IL1β: NM_008361
Mm00434228_m1
マウス アクチン: NM_007393
Mm00607939_s1
マウス Zc3h12d: NM_172785
Mm01191870_m1
ヒト IL1β: NM_000576 (カスタム設計)
順方向: CCCTAAACAGATGAAGTGCTCC (配列番号37)
逆方向: ATCTTCCTCAGCTTGTCCATG (配列番号38)
プローブ: AATCTCCGACCACCACTACAGCAAG (配列番号39)
SYBR qPCR primers
Dusp 1: NM_013642
順方向: TGTGCCTGACAGTGCAGAAT (配列番号40)
逆方向: CCTTCCGAGAAGCGTGATAG (配列番号41)
Il1rn: NM_001039701
順方向: CAGCTCATTGCTGGGTACTT (配列番号42)
逆方向: CTCAGAGCGGATGAAGGTAAAG (配列番号43)
HOX トランスクリプトアンチセンス(Hotair): NR_047528
順方向: GCTAAGTCCTTCCAGAGAGAAAG (配列番号44)
逆方向: GCTCTTACTCTCTCTGCCTTTAC (配列番号45)
マウスIL1βのマウス遺伝子特異的プライマー
mIL1β-1195R: GTTGACAGCTAGGTTCTGTTCT (配列番号46)
実施例1 細胞表面に位置するRNA結合性タンパク質
ZC3H12D+白血球の移動が原発腫瘍によって引き起こされたかどうか判断するために、本発明者らは、腫瘍を有するマウスの肺の免疫組織化学検査を行なった。マウス腫瘍は、E0771乳癌細胞又はルイス肺癌(LLC)細胞に由来する。肺のZC3H12D+CD45+細胞の数は、原発腫瘍の増殖につれて増加した(図1A)。また、インビトロでの共培養システムにおいて、腫瘍を有するマウスに由来する白血球中のZc3h12d発現は、腫瘍を有する肺により増強された(図1B)。ZC3H12Dが濾胞性リンパ腫及び肺癌患者におけるがん抑制遺伝子と認められたため(Cancer Res January 1 2007 67 (1) 93-99; DOI:10.1158/0008-5472.CAN-06-2723; British Journal of Haematology, 139(1), 161-163. https://doi.org/10.1111/j.1365-2141.2007.06752.x.)、本発明者らはさらに転移におけるZC3H12Dの役割を調べたところ、肺転移はZc3h12d-/-野生型マウスにおけるよりもZc3h12d-/-マウスでより重度であった (図1C, 1D)。これはZC3H12Dが転移における腫瘍抑制分子として作用したことを示唆している。
腫瘍により刺激された免疫細胞中のZC3H12D局在性パターンを明確にするために、本発明者らは、フローサイトメーターを使用して、腫瘍を有しないマウス及び腫瘍を有するマウスに由来する末梢血単核球(PBMC)中のZC3H12Dタンパク質を観察した。ZC3H12Dは、腫瘍を有しないマウス由来のPBMC細胞表面で検出された (図2A、上図) 。ノックアウトサンプルの使用により本発明者らはこのZC3H12D抗体の特異性を確認したことに留意すべきである。対照的に、腫瘍を有するマウス由来のPBMCでは、ZC3H12Dは、細胞表面ではなく細胞内の球体内に検出された(図2A、下図)。本発明者らは、他の2つの抗ZC3H12D抗体を使用して、ZC3H12D局在性パターンのこの腫瘍媒介性の変化をさらに確認した。腫瘍調製培地 (TCM)は、腫瘍細胞から分泌される成分を含むことが予想されるため、腫瘍細胞培地として使用されているが、脾臓に由来する細胞の刺激の30分後にZC3H12Dをアップレギュレートし、3時間後に、ZC3H12Dタンパク質は、完全に細胞の内部へ移動した(図2B)。ZC3H12DはマウスRAW 264.7マクロファージ細胞株で発現しているため(J Immunol 192, 1512-1524, doi:10.4049/jimmunol.1301619 (2014); Cell Signal 24, 569-576, doi:10.1016/j.cellsig.2011.10.011 (2012))、本発明者らは、ZC3H12Dの局在性変化を引き起こす要因を探すためにこれらの細胞を使用した。本発明者らは再び、RAW細胞におけるTCMの適用の3時間後に細胞膜からのZC3H12Dの細胞内移動が起こることを見出した(図2C)。ZC3H12DはRNA結合性タンパク質(J Biol Chem 290, 20782-20792, doi:10.1074/jbc.M114.635870 (2015); J Cell Biochem 118, 487-498, doi:10.1002/jcb.25665 (2017))であると考えられているため、本発明者らは核酸がこの現象の説明因子であることを疑った。顕著にも、RnaseによるTCMの前処理は、ZC3H12D(図2Cの右側の棒グラフ(column))の局在性パターンに影響を及ぼした。デオキシリボヌクレアーゼによるTCMの前処理はZC3H12Dの局在性パターンに影響を及ぼさなかった(データ非図示)。TCMから分離されたRNAを添加した結果も、同じ現象が発生した(図2D)。
実施例2 ZC3H12DはIL1β-mRNAを核内へ輸送する
ZC3H12Dによって捕捉されたIL1β-mRNAの細胞内動態を決定するために、本発明者らは一連のz-スタック共焦顕微鏡検査画像を使用して3D細胞分析を行なった。5'キャップ及び3'-ポリ(A)は真核生物mRNA の顕著な特徴である。したがって、FITC標識したnaked IL1β-mRNA(配列番号4)及びその5'キャップ及び3'-ポリ(A)付加物(IL1β-mRNA-Cap(+)PolyA(+)-FITC)を、このアッセイで試験した。驚いたことに、いずれも、適用の30分後にZC+RAW細胞の核内で観察された。核内で、IL1β-mRNA-Cap(+)PolyA(+)-FITCは、naked IL1β-mRNA-FITCよりもより明瞭に観察されたが、対照のβ-アクチン-mRNA-Cap(+)PolyA(+)-FITCはほとんどシグナルを生じなかった (図3A)。核内へ輸送された外部RNAの量を定量化するために、本発明者らは5' -ヒトIL1β-mRNAと3'-マウスIL1β-mRNAを組み合わせることによりキメラIL1β- mRNAを合成した (図3B)。qPCRプローブは5'領域に位置するヒトIL1β-mRNAを増幅するが、内因性のマウス転写物は増幅しないように設計されていることに留意すべきである(上パネル、図3B)。本発明者らのデータは、キメラRNAはキャップかpolyA修飾にかかわらず核内へ輸送されたことを示し(左下のパネル、図3B)、細胞質に検出されたのはわずかであった(右下のパネル、図3B)。この現象へのZC3H12Dの関与を確認するために、本発明者らは、TCM刺激した野生型マウス及びZc3h12d-/-マウス由来のB220+CD11c+NK1.1+細胞を使用してこのアッセイを反復した。適用の30分から3時間後、野生型マウス細胞の核におけるIL1β- mRNA-FITCの局在性は顕著であった(図3C、左)。他方、Zc3h12d-/-マウス細胞の核でのシグナルは最小であった(図3C、右)。
実施例3 ZC3H12DはIL1β-mRNAの3′UTRを認識する
本発明者らはIL1β-mRNAを使用することにより、ZC3H12Dタンパク質を介した配列特異的取り込みについて調べた。マウスIL1β-mRNAの全長塩基配列を配列番号4で表す。この目的のため、本発明者らは最初に2つの部分的なIL1β-mRNAを調製した:コード配列(CDS)(配列番号5)及び3'非翻訳領域 (3' UTR)(配列番号6)。前者は短い5'UTRとCDSとからなり、全長で897個のヌクレオチド(nts)を与える。後者は全長で451ヌクレオチドである。これらのRNAを細胞取り込みアッセイで試験した(図4A)。アッセイは90ng/mlの種々の非標識RNAと10分間インキュベートし、次に10ng/mlのFITC標識したIL1β(full)-RNAと30分間インキュベートし、その後核のFITCシグナルを測定することにより行う。ZC+RAW におけるFITC標識IL1β-(3' UTR)-mRNAの取り込みは、IL1β-(CDS)-mRNAの取り込みよりもより大きかった。さらにIL1β-(3'UTR)-mRNAとのプレインキュベーションは核におけるFITC標識全長IL1β-mRNAの取り込みを阻害したが、IL1β-(CDS)-mRNAもβアクチン-mRNAもこの効果を奏しなかった(図4B)。まとめると、IL1β-mRNA中の3' UTR -mRNAが領域特異的な様式でZC+RAW細胞によって認識される。
いくつかのRNA結合タンパク質は、標的mRNAの安定性の制御のために、3' UTR中のAUに富んだ要素(ARE)及び/又はステムループ構造を認識することが報告されている(Int Immunol 29, 149-155, doi:10.1093/intimm/dxx015 (2017))。本発明者らの研究では、電気泳動移動度シフト分析(EMSA)により、ZC3H12Dは、IL1β-mRNAの3' UTR中の50 個のヌクレオチドで、一本鎖RNA(ssRNA)の特異的領域に結合することが明らかとなった (図5A、図5Bの5番プローブ、配列番号7)。この結合はコールドRNAオリゴヌクレオチドを使用した阻害アッセイにより確認された(図5A、5C)。このデータは、ZC3H12Dが、典型的なステムループ配列がないIL1β-mRNA中のARE周囲の比較的大きな要素と相互作用することを示している。後述の競合アッセイにより、ZC3H12Dの結合部位は通常のAUに富んだ配列 (UAUUUAU)を含むが、より短い断片 (20 個のヌクレオチド、図5Eの5−1〜5-7のペプチドは配列番号8〜14で表される)は上記50個のオリゴヌクレオチドよりもはるかに低い親和力を示すことが明らかとなった(図5A、図5D、図5E)。
実施例4 核における取り込まれたIL1β-mRNAの機能
本発明者らがCap(+)PolyA(+) 有り/無しでIL1β-mRNAをB220+CD11c+NK1.1+細胞へ適用した場合、野生型マウス由来のB220+CD11c+NK1.1+細胞の核において、IL1β-mRNA-Cap(+)PolyA(+)-FITCは、naked IL1β-mRNA-FITCよりもより明瞭に検出された。対照的にIL1β-mRNA-FITCはZc3h12d-/-マウスの核外にプールされた。興味深いことには、野生型細胞の一部は100ng/mLのCap (+)PolyA(+)の適用の6時間後に不規則な核を示した(図6A、右上のDAPIパネル)。この不規則な核の形状がFITC修飾物質の添加によるものであるという可能性を除外するために、本発明者らは標識をつけていないIL1β-mRNAを使用して同じ現象を観察した。この場合、本発明者らは、野生型マウス由来のB220+CD11c+NK1.1+細胞の核でヒストンH2AXリン酸化(DNAストレス/損傷のマーカー, Nucleic Acids Res 43, 2489-2498, doi:10.1093/nar/gkv061 (2015))の増加を観察したが、Zc3h12d-/-マウスの同じ細胞の核では観察されなかった (図6B)。H2AXが特異的DNA二本鎖切断(DSB)マーカーを超えて染色質の制御において構造的及び機能的な役割を果たしていることに留意すべきである。
次に、本発明者らは、核におけるIL1β- mRNAの取り込みが、細胞ストレスの増加による細胞死を引き起こすかどうか決定することを試みた(図6B)。本発明者らは、IL1β-mRNAによる処理後の細胞死の時間的経過を検査した。このアッセイでは、TCM刺激した野生型及びZc3h12d-/-マウス由来のB220+CD11c+NK1.1+細胞が、壊死シグナルのわずかな増加を示した(図6C)。10nm/mlのIL1β-mRNAを適用すると、野生型由来のB220+CD11c+NK1.1+ NK細胞のシグナル強度が、Zc3h12d-/-マウス由来の同細胞のシグナル強度よりも小さかったが(図6C)、これはIL1β-mRNAの核内への取り込みがNK細胞生存に寄与し得ることを示している。
その後、本発明者らは、IL1β-mRNAの核内への取り込みが、転写などの核内の活性に影響するかどうかを調べた。本発明者らはまず、IL1β-mRNAの核輸送が、mRNAの転写の開始及び伸長を制御するRNAポリメラーゼII(Pol II)( Science 357, 921-924, doi:10.1126/science.aan8552 (2017))に関係するかどうかを調べた。内因性IL1β-mRNA から適用したIL1β-mRNAを区別するために、本発明者らはヒト特異的配列のみをアニーリングするqPCRプローブを設計した。ZC+RAW へのキメラIL1β-mRNAの適用後、輸送されたキメラIL1β-mRNAをUV照射で固定し、抗Pol II抗体により共免疫沈殿させた(図6D)。その後、本発明者らはIL1β-mRNA取り込みにより影響を受けた遺伝子発現変化を探した。それらの挙動がIL1βのそれに類似することを示唆する以下の基準に基づいて、7つの遺伝子(Dusp1: NM_013642, Errfi1: NM_133753, S100a8: NM_013650, S100a9: NM_001281852, Il1rn: NM_001039701, Nlrp12: NM_001033431, Cebpd: NM_--7679)を選択した:これらは遺伝子オントロジー(GO)により核関連遺伝子として分類されているものであり、かつ本発明者らのマイクロアレイデータセットにおいて野生型マウスにおけるよりもZc3h12d-/-で比較的高い発現レベルを示したものである。これらの7つの遺伝子の遺伝子発現レベルを、IL1β-mRNAによる処理後にRAW及びZC+RAW細胞で比較した。定量PCRによると、対照RAWにおけるよりもZC+RAWで、抗アポトーシス遺伝子であるDusp1、及びIL1rnが高いレベルで発現されることを明らかとなった(非図示) 。また、核RNAにおけるこれらの転写物の量はIL1β-mRNAの取り込みと共に増加した (図6E、6F)。
実施例5 ヒトNK細胞におけるZC3H12D−IL1β-mRNA軸
本発明者らは、ヒト(h)ZC3H12DがmRNA取り込みシステムに重要な役割を果たすかどうか調べた。ヒトZC3H12Dには2つの代替のスプライシングされた遺伝子産物が存在する40:1つは、長い形態 (58 kDa: hZC58)(その一次構造はマウスタンパク質のそれに非常に類似している)であり、他方はC末端領域を欠いた短い形態(36 kDa: hZC36)である。これらの2つのアイソフォームはRNA結合領域と亜鉛フィンガー領域を共有しているが、プロリンに富んだ領域)は、hZC58に固有である(図7A)。mRNA取り込みアッセイについて、本発明者らはまず、hZC58又はhZC36を安定的に発現しているヒト腎臓癌細胞である786-O細胞を樹立した。本発明者らの免疫組織化学分析によると、hZC58細胞の細胞膜及び細胞質中にZC3H12Dが広く分布する一方、hZC36細胞ではZC3H12Dが比較的限られた領域で見出されることが明らかとなった(図7B)。これらの細胞をFITC標識したヒトIL1β(hIL1β-mRNA)とインキュベートしたところ、得られた画像は、hIL1β-mRNA-FITCが、hZC36細胞の核よりもhZC58細胞の核でより頻繁に検出されることを示した (図7C)が、これはhZC58のC末端領域(プロリンに富んだ領域を含む)が核内へのmRNAの輸送に重大な役割を果たすことを示している。本発明者らは次に、ヒトPBMCから分離されたヒトCD56+CD3-NK 細胞(Hum Immunol 62, 1092-1098, doi:10.1016/s0198-8859(01)00313-5 (2001), J Exp Med 209, 2351-2365, doi:10.1084/jem.20120944 (2012))におけるhIL1β-mRNAの取り込みを検査した。フローサイトメトリー分析では、CD56+CD3-NK細胞のうちの46%の細胞表面でZC3H12Dが検出された。FITC標識されたhIL1β-mRNA mRNAが、CD56+CD3-NK細胞の核に組み込まれたが、対照hβアクチンmRNAは組み込まれなかった(図7D)。
本発明者らはhIL1β-mRNAの取り込み後のNK活性化について検討した。NK細胞におけるINFγの産生はNK細胞の活性化状態を示すと一般に考えられているが、IFNγ免疫染色により、hIL1β-mRNA刺激後にCD56+CD3-NK細胞がIFNγ陽性を増加させることが明らかとなった (図7E)、また、このIFNγ発現レベルはNK細胞のためのIFNγインデューサーである組み換えIL12(J Exp Med 209, 2351-2365, doi:10.1084/jem.20120944 (2012)によって引き起こされるものと同程度に高かった。
実施例6 IL1β- mRNAのZC3H12Dによる捕捉は抗転移活性を誘導する
ZC3H12D+NK細胞が腫瘍を有するマウスの肝臓から肺まで遊走するため、本発明者らは、IL1β-mRNAがZC3H12D+NK細胞の遊走活性を引き起こすのかどうかを調べた。野生型マウスに由来するB220+CD11c+NK1.1+NK細胞は、IL1β-mRNAにより遊走活性を示したが、βアクチンmRNAでは遊走活性を示さなかった。また、この遊走活性はZc3h12d-/-マウス細胞では不在であった(図8A)。ZC3H12Dタンパク質が天然生産されたIL1β-mRNAを捕捉できることを実証するために、本発明者らは腫瘍調整培地(TCM)から分離されたexRNAを使用して遊走アッセイを行なった。ZC3H12Dタンパク質の影響を決定するために、TCMを2部に分割し、これらのサンプルをZC3H12D-FLAGタグタンパク質の有り又は無しで、抗FLAGビーズに通過させ、各サンプルからexRNAを個別に分離した。最初のexRNAは、ZC3H12D-FLAGビーズに捕捉されるため、2回目のexRNAより少ないIL1β-mRNAを有すると予想された。本発明者らの遊走アッセイによると、B220+CD11c+NK1.1+NK細胞において、ZC3H12D(+)カラムで処理したexRNAは、ZC3H12D(-)カラムで処理したexRNAと比較して、遊走活性が減少することが明らかとなった(図8B)が、これはIL1β-mRNA-ZC3H12D相互作用が細胞遊走活性に不可欠な役割を果たしていることを示唆している。
本発明者らは、B220+CD11c+NK1.1+NK細胞におけるIFNγ生産に対するIL1β- mRNAの影響の評価を試みた。Zc3h12d+/-マウス由来の細胞はIL1β-mRNAにより明瞭に刺激されたが、Zc3h12d-/-マウス由来の細胞では弱い誘導だけが観察された (図8C)。更に、B220+CD11c+NK1.1+NK細胞の腫瘍破壊性の影響を決定するために、本発明者らは、ローダミン標識したE0771細胞とIL1β-mRNAで刺激したNK細胞とを共培養し、緑色蛍光色素Zombieで染色し、死んだ腫瘍細胞の数を測定した(図8D、上側パネル)。本発明者らのデータにより、IL1β-mRNAによる刺激はZc3h12d+/-マウス由来のNK細胞の腫瘍破壊活性を増大させたがZc3h12d-/-マウス由来のNK細胞の腫瘍破壊活性を増大させなかった(図8D、下パネル)。
ZC3H12DがIL1β-mRNAの3'UTRを認識するため、本発明者らは、さらには3'UTRの中の機能領域についてさらに検討した。IL1β-mRNA 中の3' UTRの機能的要素を定義するために、IL1β-mRNA を150 ヌクレオチドを含む4個のフラグメント(Fr1〜Fr4)(それぞれ配列番号15〜18で表される)にさらに分割した。各フラグメントは、隣接するフラグメントと少なくとも1つの50ヌクレオチドのオーバーラップを有していた。3番目のフラグメント(配列番号17)が野生型マウス由来のB220+CD11c+NK1.1+NK細胞の遊走アッセイにおいて他のフラグメントよりも高い活性を呈したが、Zc3h12d-/-マウス由来の細胞では認識されない程度であった (図9A)。次に、遊走アッセイでは、全長IL1β-mRNA(配列番号4)及び3' UTR IL1β-mRNA(配列番号6)が野生型マウス由来のNK細胞の遊走活性を誘導したが、一方、CDS IL1β-mRNAは対照RNAとほぼ同じ活性レベルを生じた(図9B)。したがって、本発明者らのデータは、IL1β-mRNA中の3' UTRの中央の部分がZC3H12Dのタンパク質依存性の様式で認識されていることを示している。
癌では、炎症後の免疫細胞と関連して、IL1βタンパク質が腫瘍促進に広く見られる。本発明者らはIL1β-mRNAで刺激されたB220+CD11c+NK1.1+NK細胞がインビボで抗転移能を有するかどうかを調べた。このアッセイ系では、TCM刺激したマウス脾臓からNK細胞を取得し、合成IL1β-mRNAで刺激した。その後、このNK細胞を別のTCM刺激したマウスに適用し、その後、ローダミン標識した腫瘍細胞を後部静脈から注射した。肺への転移を評価するために、注射後に肺を分離し、肺中の細胞数を計測した(図10A、モデル)。IL1β-mRNAで刺激されたZc3h12d+/- B220+CD11c+NK1.1+細胞では、刺激していない細胞と比較して肺に存在する転移性腫瘍細胞の数が減少していた (図10B、中央の棒グラフ)。対照的に、Zc3h12d-/-マウス由来のIL1β-mRNA刺激されたNK細胞では、わずかな抗腫瘍効果しか示されない(図10B、右側の棒グラフ)。要約すると、NK細胞のZC3H12Dは選択的にIL1β-mRNAを捕捉し、IL1β-mRNAは腫瘍により刺激された肺の微環境で濃縮され、核内へ輸送される。細胞表面にZC3H12Dタンパク質を局在化させるためには、ZC3H12Dのプロリンに富んだC末端領域が必要であるが、この領域はRNA結合部位とは別に存在する。核内へのIL1β-mRNAの輸送は3つの機能を引き起こした:1)細胞遊走能及びIFNγ生産による腫瘍破壊活性の増強、2)RNA Pol IIとの連携によるいくつかの遺伝子発現の制御、3)腫瘍の微環境におけるNK細胞の生存とIFNγ生産延長の制御 (図10B)。
実施例7 IL1β- mRNAはマクロファージ培養細胞の細胞遊走能を活性化させる マウスIL1βRNAを、実施例6と同様に4個のフラグメント(Fr1〜Fr4)(それぞれ配列番号15〜18で表される)に分割し、作成したフラグメントRNAをマウスマクロファージ培養細胞(RAW264.7)に投与し、細胞遊走能を測定した。図11に示されるように、3番目のフラグメントが他のフラグメントよりも活性化能が高いことが判明した。このことから、IL1βの配列のうち、特定の領域が免疫細胞を活性化させることが示唆された。
実施例8 IL1β-mRNAの変異によるIL1β-mRNAの核内への輸送の促進
ZC3H12Dによって捕捉されたIL1β-mRNAの細胞内動態を決定するために、本発明者らは一連のz-スタック共焦顕微鏡検査画像を使用して3D細胞分析を行なった。RNAはいずれも5'キャップ及び3'-ポリ(A)付加し(Cap(+)PolyA(+))、FITC非標識IL1β-mRNA、βアクチンRNA、GAPDH RNA、FITC標識したIL1β-mRNA、及びFITC標識したIL1β mRNAのコード領域に3つの終止コドンを導入したnonsense mutant IL1β-mRNAを、このアッセイで試験した。5'キャップ及び3'-ポリ(A)付加しない(Cap(-)PolyA(-))FITC標識したIL1β-mRNAも試験した。このマウスnonsense mutant IL1β-mRNA の塩基配列(配列番号47)は、189番目の塩基をアデニン(天然配列ではシトシン)、399番目の配列をアデニン(天然配列ではチミン)、651番目の配列をアデニン(天然配列ではチミン)とするIL1βの対応するcDNAを作製し、これをT7RNAポリメラーゼを用いて転写することにより製造した。分析は実施例2と同様の条件で行った。なお、配列番号47で表されるに対応するマウスnonsense mutant IL1β-mRNAに対応するヒトnonsense mutant IL1β-mRNA の塩基配列は配列番号48である。
実施例2と同様に、IL1β-mRNA-Cap(+)PolyA(+)-FITC(図12A、一番下)は、非標識IL1β-mRNAよりもより明瞭に観察された(図12A、一番上)、対照のβ-アクチン-mRNA-Cap(+)PolyA(+)-FITC (図12A、上から2番目)及びIL1β-mRNA-Cap(-)PolyA(-)-FITC (図12A、上か3番目)は、ほとんどシグナルを生じなかった。ZC+RAW細胞の核内における各種Cap(+)PolyA(+)RNAを定量化したところ、nonsense mutant IL1β-mRNA-FITCの核内での局在性はIL1β- mRNA-FITCよりもさらに顕著であった(図12B)。
さらに、実施例2と同様に、B220+CD11c+NK1.1+細胞でもこのアッセイを反復したところ、適用の30分から3時間後、野生型マウス細胞の核におけるnonsense mutant IL1β-mRNA-FITC のシグナルはIL1β- mRNA-FITCよりも顕著に大きかった(図12C及び12D、左)。他方、Zc3h12d-/-マウス細胞の核でのシグナルはいずれのRNAを適用しても最小であった(図12C及び12D、右)。
実施例9 核における取り込まれたnonsense mutant IL1β-mRNAの機能
次に、野生型マウス及びZc3h12d-/-マウスのそれぞれB220+CD11c+NK1.1+細胞へβ-アクチン mRNA-Cap(+)PolyA(+)-FITC、IL1β-mRNA-Cap(+)PolyA(+)-FITC、nonsense mutant IL1β-mRNA- Cap(+)PolyA(+)-FITCを適用し、実施例4と同様にmRNAによる処理後の細胞死の時間的経過を検査した。この結果、TCM刺激した野生型マウス由来のB220+CD11c+NK1.1+細胞に10 ng/mlのIL1β-mRNAを適用すると、β-アクチン mRNAを適用した場合よりも細胞のシグナル強度が小さかった。また、10 ng/mlのnonsense mutant IL1β-mRNAを適用すると、IL1β-mRNAを適用した場合よりも細胞のシグナル強度が小さかった。これはIL1β-mRNA及びnonsense mutant IL1β-mRNAの核内への取り込みがNK細胞生存に寄与し、かつnonsense mutant IL1β-mRNAの方がIL1β-mRNAよりもNK細胞生存率を高めることを示している。Zc3h12d-/-マウス由来のB220+CD11c+NK1.1+細胞のシグナル強度はmRNAによる処理前後で低いが、β-アクチン mRNA、IL1β-mRNA及びnonsense mutant IL1β-mRNAの各々の適用による細胞のシグナル強度の違いは野生型マウス由来のB220+CD11c+NK1.1+細胞のシグナル強度と同様の傾向が見られた。
実施例10 IL1β- mRNAのZC3H12Dによる捕捉は抗転移活性を誘導する
ZC3H12D+NK細胞が腫瘍を有するマウスの肝臓から肺まで遊走するため、本発明者らは、実施例6と同様に、B220+CD11c+NK1.1+NK細胞におけるIFNγ生産に対する各種mRNAの影響の評価を試みた。野生型Zc3h12d+/-マウス由来の細胞はIL1β-mRNA及びnonsense mutant IL1β-mRNAにより明瞭に刺激されたが(図14A 左)、野生型Zc3h12d-/-マウス由来の細胞では弱い誘導が観察された (図14A 右)。
更に、B220+CD11c+NK1.1+NK細胞の腫瘍破壊性の影響を決定するために、本発明者らは、ローダミン標識したE0771細胞と各種mRNAで刺激したNK細胞とを共培養し、緑色蛍光色素Zombieで染色し、死んだ腫瘍細胞の数を測定した。IL1β-mRNAによる刺激はZc3h12d+/-マウス由来のNK細胞の腫瘍破壊活性を増大させ、これがnonsense mutant IL1β-mRNAではIL1β-mRNAよりもさらに増大したが(図14B 左)、IL1β-mRNA とnonsense mutant IL1β-mRNA のいずれもZc3h12d-/-マウス由来のNK細胞の腫瘍破壊活性を増大させなかった(図14B、右)。

Claims (15)

  1. 以下の(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを有効成分として含む抗腫瘍剤。
    (i)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列を有するRNA
    (ii)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
    (iii)上記(i)又は(ii)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
  2. 前記(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAの長さが20〜200塩基長である請求項1に記載の抗腫瘍剤。
  3. 前記RNAが以下の(iv)、(v)及び(vi)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを含む請求項1に記載の抗腫瘍剤。
    (iv)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列を有するRNA
    (v)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
    (vi)上記(iv)又は(v)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRN
  4. 前記RNAが、配列番号1又は配列番号4で表される塩基配列を有するRNAの変異型であって、配列番号1又は配列番号4で表される塩基配列の88番目から897番目までのコード配列が天然のコード配列に比べて1〜5個の追加の終止コドンを有するよう置換された塩基を有する、請求項1又は3に記載の抗腫瘍剤。
  5. 以下の(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを細胞に投与することを含むインビトロ又は非ヒト動物における免疫細胞の活性化方法。
    (i)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列を有するRNA
    (ii)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ免疫細胞を活性化させることができるRNA
    (iii)上記(i)又は(ii)の塩基配列の一部を有し、かつ免疫細胞を活性化させることができるRNA
  6. 前記RNAが以下の(iv)、(v)及び(vi)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを含む請求項5に記載の方法。
    (iv)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列を有するRNA
    (v)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
    (vi)上記(iv)又は(v)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
  7. 以下の(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを細胞に投与することを含むインビトロ又は非ヒト動物における腫瘍細胞の転移の抑制方法。
    (i)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列を有するRNA
    (ii)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ免疫細胞を活性化させることができるRNA
    (iii)上記(i)又は(ii)の塩基配列の一部を有し、かつ免疫細胞を活性化させることができるRNA
  8. 前記RNAが以下の(iv)、(v)及び(vi)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを含む請求項7に記載の方法。
    (iv)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列を有するRNA
    (v)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
    (vi)上記(iv)又は(v)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
  9. 前記RNAが、配列番号1又は配列番号4で表される塩基配列を有するRNAの変異型であって、配列番号1又は配列番号4で表される塩基配列の88番目から897番目までのコード配列が天然のコード配列に比べて1〜5個の追加の終止コドンを有するよう置換された塩基を有する、請求項5又は7に記載の方法。
  10. 以下の(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを有効成分として含む免疫賦活剤。
    (i)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列を有するRNA
    (ii)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
    (iii)上記(i)又は(ii)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
  11. 以下の(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを含む、免疫賦活剤の免疫賦活効果又は免疫賦活剤抗腫瘍剤の抗腫瘍効果の増強剤。
    (i)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列を有するRNA
    (ii)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
    (iii)上記(i)又は(ii)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
  12. 前記RNAが以下の(iv)、(v)及び(vi)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを含む請求項11に記載の増強剤。
    (iv)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列を有するRNA
    (v)配列番号17又は配列番号49で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
    (vi)上記(iv)又は(v)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
  13. 以下の(i)、(ii)及び(iii)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを含有する医薬組成物。
    (i)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列を有するRNA
    (ii)配列番号3又は配列番号6で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
    (iii)上記(i)又は(ii)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
  14. 前記RNAが以下の(iv)、(v)及び(vi)から成る群から選択される少なくとも一つのRNAを含む請求項13に記載の医薬組成物。
    (iv)配列番号17で表される塩基配列を有するRNA
    (v)配列番号17で表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
    (vi)上記(iv)又は(v)の塩基配列の一部を有し、かつ細胞の抗腫瘍活性を増大させることができるRNA
  15. 腫瘍の予防及び/又は治療のための医薬組成物である請求項13又は14に記載の医薬組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023224080A1 (ja) * 2022-05-17 2023-11-23 株式会社GF・Mille Rnaを含有する抗腫瘍剤及びその利用

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