JP2021194645A - 半田ゴテ - Google Patents

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Abstract

【課題】一般的な半田ゴテで、精密半田付け作業を容易に行なえる様にする。【解決手段】半田ゴテを、半田ゴテ本体とグリップ筒5で構成し、通常の半田付け作業は半田ゴテ本体のみで行なうので、コテ先先端31とグリップ部30Aとの相対距離はL1である。(図5(a))精密半田付け作業時には、コテ柄2にグリップ筒5を接続し、コテ先先端31とグリップ部40Aとの相対距離L2となり、グリップ筒5の長さ分L1より短くなるので、精密半田付け作業がし易くなる。(図5(b))【選択図】図5

Description

本発明は一般的な大きさの部品だけでなく、微小部品の半田付けも容易に行なえるようにした半田ゴテに関するものである。
半田ゴテについては、ヒーターやコテ先の仕組みや制御回路に関しては、昔から多数の提案がされており、その一部の例として特許文献2〜特許文献6や非特許文献1がある。
これらの中には現状では半田ゴテとして一般的になっている物もある。
これらは一般的な半田ゴテとして図1の様にコテ柄2とコテ先3から成り、電気式半田ゴテの場合は電源供給の為にコテ柄2から電源コード11が引き出されその先にプラグ(図示無し)が付くものとして総括できる。
コテ柄2には制御回路や、ガス式の場合にはガスカートリッジが内蔵される場合があり、コテ先3はコテ先(チップ)と電熱線やセラミックヒーター等による加熱部から成り、コテ先は容易に交換可能になっている物が多い。
コテ柄2とコテ先3を合体させた物が半田ゴテ本体1であり、本発明は一般的に市販されている半田ゴテとそれに付加するグリップに関するものであり、半田ゴテとしての仕組みや回路は問わないので、一般的な半田ゴテとして図1の半田ゴテ本体1の様な形態で示すものとする。
又、特許文献1で述べられている1608サイズや1005サイズのチップ部品やそれに類するサイズの部品を本発明では微小部品と呼ぶものとする。
従来の半田ゴテのコテ先で微小部品の半田付けを行なう事は初心者には難しく、それを解決する半田付け用コテ先が特許文献1で提案されており、これにより微小部品の半田付けはかなり容易になった。
しかし、それでもそれら微小部品を半田付けする場合は、概ね0.1〜0.5mm程の範囲でコテ先を正確に操作する必要があり、ある程度の熟練が必要である。
その主な原因を図2で説明する。同図では基板10に半田付け対象部品20を
半田ゴテ本体1で半田付けしようとするものである。
一般的な半田ゴテ1を用いる場合、作業者の手30Bは保持点30Aを保持するので、保持点30Aとコテ先先端31との距離L1は概ね9〜10Cm程度であり、保持点30Aの少しのブレがコテ先先端31では大きなブレになるので、その分半田付けは難しくなる。
作業者により個人差はあるが、もし図2の精密作業時の作業者の手40B(破線で示す)で精密作業時の保持点40Aを保持し、コテ先先端31迄の距離L2を概ね3〜6Cm程度にできればコテ先のコントロールはし易く、半田付けはかなり容易になる。
即ち、微小部品の半田付けを容易にするには、半田ゴテの保持点とコテ先先端間の距離を短くすれば良い。(要件1)
その事は、ボールペンのペン先から遠い部分を持つよりペン先近くを持つ方が細かな字や絵を書(描)き易い事からも容易に類推できる。
しかし、一般的な半田ゴテでは保持点40Aは数百度に加熱されたコテ先の一部であり、素手で保持する事はできないので、現実にはその様な精密作業に適した半田ゴテは存在しない。
そこで、精密作業に適した半田ゴテとして新たに開発するとしたら多くの時間と経費が必要であり、且つ、一般の半田ゴテとは別に精密作業専用の半田ゴテを製品にすれば需要数が少ないので高価な物になり、ユーザにとっても好ましいものではない。
その点を解決し、従来の半田ゴテを大きく変えずに、精密作業にも使用可能な半田ゴテを実現したのが本発明である。
精密作業に適した半田ゴテとしては、前記要件1以外に以下の要件が必要である。
作業者が半田ゴテを保持する部分の温度を低く保つ為に、保持部にコテ先の熱が伝わり難くする事が重要である。(要件2)
低温火傷は人間にとっての症状としてはかなり重いものであるが、比較的低い44〜50℃で発生するとされており、長時間の半田付け作業を行なう為には保持点を概ね40℃以下に保つべきであり、一定の工夫が必要な、比較的困難な要件である。
又、精密作業の為にはコテ先が容易にブレない様、半田ゴテ本体と保持部が確実に固定され、がたつかない様にしなければならない。(要件3)
さらに、作業者の安全にも充分配慮されたものでなければならない。(要件4)
半田ゴテの保持方法に関して特許文献7がある。これは「精密作業の精度が向上される為に発熱部先端に可及的に近い位置にグリップを設置する。」というものである。
しかし、特許文献7の図1に依ると、ジャンケンで言う処の所謂「グー」の形でグリップ1を握って使用する物であり、本発明で目的とする微小部品の半田付けができる程の精密作業には適さないと思われる。
何故なら、前記図1に於いて、半田ゴテを鉛筆に置き換えた場合に細かな字や絵は書(描)き難い事は容易に想像が付く。即ち、鉛筆や半田ゴテを精密に操作するには親指、人差し指、中指の3本で保持するべきで、握った状態の拳から肩迄を動かして精密な動作を行なうのは人間工学的に困難である。
従って、特許文献7の方法では本発明の問題解決はできないし、現実に特許文献7の方法で機能を実現した物として世の中に出回った形跡も無い。
特許文献8の半田ゴテに於いて第1図(b)に伸縮アーム部14が「半田付け作業時最適な長さに調整し、半田ゴテを収納する際等はフレーム部迄縮小することができる」とある。
これによると半田ゴテの保持点とコテ先先端間の距離を微小部品に適した長さ3〜6Cm程度にする事が出来そうであるが、実際には困難と考えられる。
即ち、同図中に熱発生部3の長さがかなり短い様に記載されているが、一般的に用いられる電熱線やセラミックヒーターでは、その長さは6Cm以上であり、伸縮アーム部14を最も短くしてもそれより短くはできない。従って同半田ゴテがチップ部品の様な精密半田付け作業に適した物とは考えられない。
また、伸縮可能とした場合に、コテ先のぐらつき対策も必要になって構造的に複雑になり、一般的な半田付け作業に於いて熱発生部3を長く伸ばして使用するケースも余り有るとは思われず、実現性に乏しい物と言わざるを得ない。
これは前記要件1、要件3を満たすものではなく、その目的や構造は本発明の半田ゴテとは全く異なるものである。
実際に特許文献8の方法による半田ゴテが世の中に出回った形跡も無く、その目的や構造は本発明の半田ゴテとは全く異なるものである。
特許文献9では二重にしたコテ先の一方を伸縮可能にし、半田付け対象物の所要熱量に応じて、コテ先のワッテージを変えるというものであるが、前記要件1、要件2を満たすものではなく、その目的や構造は本発明の半田ゴテとは全く異なるものである。
特許文献10はヒーターパイプの外周を覆うカバーを設けるものであるが、
その保温効果により、コテ先の温度が負荷への接触によって低下しにくくする為のものであり、前記要件1、要件2を満たすものではなく、その目的や構造は本発明の半田ゴテとは全く異なるものである。
特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15は火傷防止の為にコテ先にカバーを付けるというものであり、前記要件1、要件2を満たすものではなく、その目的や構造は本発明の半田ゴテとは全く異なるものである。
特許文献16はコテ先温度が高くなるとケースからコテ先が出る様にして、コテ先の温度が判り、火傷事故を防止するというものであり、前記要件1、要件2を満たすものではなく、その目的や構造は本発明の半田ゴテとは全く異なるものである。
結論的には、公表されている半田ゴテで本発明の目的とする要件1〜要件4を満たすものは見当たらない。
実用新案登録第3222511号 実全昭55-017700 実全昭56-055565 特許3754968 特許4704048 特許6117762 実登3129554 実全平02-104177 特開平04-066270 特開2000-288723 実全昭63-133874 実全昭56-147965 実全昭60-080059 特開昭51-086044 特開平07-314130 実全昭60-141959
白光株式会社、"はんだこて"、[online]、掲載年月日 不明、[2020年6月5日検索]、インターネット<URL:http://www.hakko.com/japan/products/soldering_iron/>
解決しようとする問題点は、従来の一般的半田ゴテでは微小部品に対する精密半田付け作業が難しい点である。
本発明は、従来の一般的半田ゴテで微小部品の半田付けをし易くする為に、グリップ部と、コテ先先端との相対距離を変更可能にする事を最も主要な特徴とする。
本発明の半田ゴテは、微小部品の半田付けを行なう場合はグリップ筒を半田ゴテに取り付けるか、グリップ筒の位置を調整する事により、グリップ部とコテ先先端との相対距離が短くなり、精密半田付け作業がし易くなるという利点がある。
一般的な半田ゴテの説明図である。 半田ゴテの保持点とコテ先先端の距離の説明図である。 実施例1の半田ゴテ本体の説明図である。 実施例1のグリップ筒の説明図である。 実施例1の半田ゴテ本体とグリップ筒を組み合わせた説明図である。 実施例2の半田ゴテ本体の説明図である。 実施例2のグリップ筒の説明図である。 実施例2の固定具の説明図である。 実施例2の半田ゴテ本体とグリップ筒を組み合わせた説明図である。 実施例2の別のグリップ筒の説明図である。 実施例3の半田ゴテ本体の説明図である。 実施例3のグリップ筒の説明図である。 実施例3の半田ゴテ本体とグリップ筒を組み合わせた説明図である。 実施例4の熱反射筒の説明図である。 実施例4の熱反射筒とグリップ筒を組み合わせた説明図である。 実施例4の別の熱反射筒の説明図である。 実施例4の別の熱反射筒とグリップ筒を組み合わせた説明図である。 断熱カバーの説明図である。 実施例5のグリップ筒用シートの説明図である。 実施例5の半田ゴテ本体とグリップ筒用シートを組み合わせた説明図である。 実施例5のグリップ筒用シートの補足説明図である。 実施例5の半田ゴテ本体とグリップ筒用シートを組み合わせた補足説明図である。
一般的な半田ゴテで微小部品の半田ゴテを容易にするという目的を、グリップ筒のグリップ部とコテ先先端との相対距離を可変にする事で実現した。
なお、以下で記述する各実施例はあくまでも「例」であり、当業者から見れば同等機能を実現する方法は、それらから組み合わせの変更や応用、派生、類推される種々のバリエーションが容易に考えられるが、発明が示す原理に基づく限りはそれらは全て本発明の範囲に含まれるものとする。
又、設計値等を具体的数値で示す場合があった場合には、あくまでも説明を判り易くする為のものであり、当業者であれば各目的仕様に応じた別の値での実施も容易であり、それらは全て本発明の範囲に含まれるものとする。
同様に、材料や素材を具体的な名前で示す場合は、あくまでも説明を判り易くする為のものであり、材料や素材についてはより高機能品が次々と発表されるので、その時々で目的に応じた物を選択すれば良く、本発明では特定の物に限定するものではない。
図5は本発明の請求項1に基づく請求項2の内の半田ゴテ本体のみで使用する場合と、半田ゴテ本体にグリップ筒を連結して使用する場合の2通りの使用形態を持つ半田ゴテであり、図3はその内の半田ゴテ本体、図4はグリップ筒であり、何れも第三角法で示したものである。
図3に於いてコテ柄2、コテ先3は公知の一般的な半田ゴテと同等であり、本発明に必要な機能を備えたものであれば、その構造や回路については規定しない。
グリップ部21は火傷事故を防止し、握り易くした形状を成した部分であり、本発明の基本構造としては必須ではないが、実際の半田ゴテ製作に当たっては前記要件4を満たす上で設置が望ましい。
固定機構22にはオネジを切ってあり、コテ柄2の一部として一体で製作しても、別に製作してからコテ柄2にネジ止めや接着等の確実な方法で固定しても良い。
固定機構22のオネジと、図4のグリップ筒5の内側に切ったメネジを嵌合させて、半田ゴテ本体とグリップ筒をがたつき無く固定できる様に製作する事により要件3を満足させる事ができる。
図4に於いてグリップ筒5は十分な強度と耐熱性、断熱性を持った材料、例えば高耐熱シリコンゴム、シリコンスポンジ、高耐熱プラスチック等で製作し、固定機構52として内面側にメネジを設け、半田ゴテ本体のオネジと嵌合させる。
グリップ部51は図3のグリップ部21と同様に火傷事故を防止し、握り易くした形状を成した部分であり、本発明の主目的としては必須ではないが、実現に当たっては前記要件4を満たす上で設置が望ましい。
図5(a)は通常の半田付け作業の場合に半田ゴテ本体を単体で使用した場合を示し、保持点30Aとコテ先先端31との距離はL1である。
図5(b)は精密半田付け作業の場合に半田ゴテ本体とグリップ筒5を互いのネジによる固定機構で嵌合させた場合を示し、保持点40Aとコテ先先端31との距離はL2であり、L1よりグリップ筒5の長さの分短くなり、これにより半田付け作業がし易くなり、要件1を満たす。
加熱されたコテ先の熱に因りグリップ筒5は温度上昇するが、その内部は中空になっており、図5(b)の様にコテ先を通した場合にコテ先とグリップ筒5の間に幅Gの間隙ができ、この空気層が断熱機能を果たす。
その間隙幅Gは断熱の観点からは大きい程望ましいが、グリップ筒が太過ぎるとグリップ部を保持しての作業がし難くなるので、個人差はあるが実験的には概ね3Cm以内にするのが望ましい。
作業環境に於けるグリップ筒5の温度が概ね40℃以下になる様にする為に、グリップ筒5の材料の熱特性と、強度から許容される厚さと半田ゴテ本体1のワッテージ、コテ先の断面形状等を鑑みて要件2を満たす様に空間距離Gを決定する。
以上から実施例1の構成で、本発明の半田ゴテを実現する上で必要な要件1〜要件4を全て満たす事が判る。
図9は本発明の請求項1に基づく請求項2の内の、半田ゴテ本体とグリップ筒を組み合わせて一体と成し、その相対位置を変えられる様にした半田ゴテであり、図6はその内の半田ゴテ本体、図7はグリップ筒、図8は固定具であり、何れも第三角法で示したものである。
図6(a)の半田ゴテ本体1に於いて、コテ柄2、コテ先3は公知の一般的な半田ゴテと同等であり、本発明に必要な機能を備えたものであれば、その構造や回路については規定しない。
ストッパ23は図7のグリップ筒5のストッパ53と相まって機能し、誤ってグリップ筒から半田ゴテ本体が抜けて起こる火傷事故を防止する為のものであり、本発明の主目的としては必須ではないが、実際の半田ゴテ製作に当たっては前記要件4を満たす上で設置が望ましい。
なお、図6(a)のストッパ23は円板状になっているが、図6(b)のストッパ23の様に突起状でも良く、その形状や数も4個に限らず任意で良い。
図7に於いて、グリップ筒5は十分な強度と耐熱性、断熱性を持った材料、例えば高耐熱シリコンゴム、シリコンスポンジ、高耐熱プラスチック等で製作し、固定機構52としてオネジを設け、図8の固定具6のメネジと嵌合させる。
グリップ部51は火傷事故を防止し、握り易くした形状を成した部分であり、本発明の主目的としては必須ではないが、実現に当たっては前記要件4を満たす上で設置が望ましい。
図8は固定具6であり、グリップ筒5の固定機構52としてのオネジに対応したメネジを内側に切ってある。
さらに固定具6の内側に、高弾性チューブ61を自由に動ける様に内接して設置している。
図9はグリップ筒5に半田ゴテ本体を貫通配置し、固定具6のオネジをグリップ筒5のメネジに嵌合させて締める事に因り、グリップ筒5と半田ゴテ本体の相対位置を固定するという使用方法を説明したものである。
図9(a)は通常の半田付け作業の為の位置で固定した場合を示し、保持点30Aとコテ先先端31との距離はL1である。
図9(b)は精密半田付け作業の為の位置で固定した場合を示し、保持点40Aとコテ先先端31との距離はL2であり、グリップ筒5が左に移動した距離分だけL1より短くなって半田付け作業がし易くなり、要件1を満たす。
グリップ筒5と半田ゴテ本体の相対位置が固定される仕組みは、固定具6の締め付けにより、固定具6内の高弾性チューブ61が固定具6とグリップ筒5とでその円筒軸方向に圧縮されるので、軸方向に垂直な断面の中心から外側に向かって断面が拡張し、その際の半田ゴテ本体との摩擦力で位置が固定されるというものであり、半田ゴテ本体とグリップ筒をがたつきの無い様に固定できるので要件3を満足する事ができる。
これは電気掃除機の吸引パイプ等に良く用いられる公知の技術である。
加熱されたコテ先の熱に因りグリップ筒5は温度上昇するが、その内部は中空になっており、図9(b)の様にコテ先を通した場合にコテ先とグリップ筒5の間に幅Gの間隙ができ、この空気層が断熱機能を果たす。
その間隙幅Gは断熱の観点からは大きい程望ましいが、グリップ筒が太過ぎるとグリップ部を保持しての作業がし難くなるので、個人差はあるが実験的には概ね3Cm以内にするのが望ましい。
作業環境に於けるグリップ筒5の温度が概ね40℃以下になる様にする為に、グリップ筒5の材料の熱特性と、強度から許容される厚さと半田ゴテ本体1のワッテージ、コテ先の断面形状等を鑑みて要件2を満たす様に空間距離Gを決定する。
以上から実施例2の構成で、本発明の半田ゴテを実現する上で必要な要件1〜要件4を全て満たす事が判る。
図13は本発明の請求項1に基づく請求項2の内の、半田ゴテ本体とグリップ筒を組み合わせて一体と成し、その相対位置を変えられる様にした半田ゴテ、のもう1つの実施例であり、図11はその内の半田ゴテ本体、図12はグリップ筒であり、何れも第三角法で示したものである。
図11の半田ゴテ本体1に於いて、コテ柄2、コテ先3は公知の一般的な半田ゴテと同等であり、本発明に必要な機能を備えたものであれば、その構造や回路については規定しない。
固定機構22にはオネジを切ってあり、コテ柄2の一部として一体で製作しても、コテ柄2とは別に製作してからコテ柄2にネジ止めや接着等の方法で固定しても良い。
固定機構22のオネジと図12のグリップ筒5の内側に切ったメネジ嵌合させて半田ゴテ本体とグリップ筒をがたつきの無い様に固定できる様に製作する事により要件3を満足させる事ができる。
図12に於いてグリップ筒5は十分な強度と耐熱性、断熱性を持った材料、例えば高耐熱シリコンゴム、シリコンスポンジ、高耐熱プラスチック等で製作し、内側に固定機構52としてメネジを設け、半田ゴテ本体1の固定機構22のオネジと嵌合させる。
グリップ部51は火傷事故を防止し、握り易くした形状を成した部分であり、本発明の主目的としては必須ではないが、実現に当たっては前記要件4を満たす上で設置が望ましい。
図13はグリップ筒5のメネジと半田ゴテ本体の固定機構22のオネジを嵌合させて、それらの相対位置を固定するという使用方法を説明したものである。
図13(a)は通常の半田付け作業の為の位置で固定した場合を示し、保持点30Aとコテ先先端31との距離はL1である。
図13(b)は精密半田付け作業の為の位置で固定した場合を示し、保持点40Aとコテ先先端31との距離はL2であり、グリップ筒5が左に移動した距離分だけL1より短くなって半田付け作業がし易くなり、要件1を満たす。
加熱されたコテ先の熱に因りグリップ筒5は温度上昇するが、その内部は中空になっており、図13(b)の様にコテ先とグリップ筒5の間に幅Gの間隙ができ、この空気層が断熱機能を果たす。
その間隙幅Gは断熱の観点からは大きい程望ましいが、グリップ筒が太過ぎるとグリップ部を保持しての作業がし難くなるので、個人差はあるが実験的には概ね3Cm以内にするのが望ましい。
作業環境に於けるグリップ筒5の温度が概ね40℃以下になる様にする為に、グリップ筒5の材料の熱特性と、強度から許容される厚さと半田ゴテ本体1のワッテージ、コテ先の断面形状等を鑑みて要件2を満たす様に空間距離Gを決定する。
以上から実施例3の構成で、本発明の半田ゴテを実現する上で必要な要件1〜要件4を全て満たす事が判る。
図14は本発明の請求項3に基づく熱反射筒7の実施例であり、第三角法で示したものである。
実施例1〜実施例3で、グリップ筒5の材料の熱特性と、強度から許容される厚さと半田ゴテ本体1のワッテージ、コテ先の断面形状等を鑑みて要件2を満たす様に空間距離Gを決定するものとしたが、それらの条件によっては要件2を満たせない場合も有り得る。
コテ先からの輻射熱がグリップ筒が温度上昇する主な原因であり、輻射熱は光と同様に鏡面で反射されるので、コテ先とグリップ筒の間に鏡面を持つ熱反射筒を設けて輻射熱をコテ先側に反射させ、グリップ筒に届き難くするというのが実施例4の主旨である。
一例としての図14の円筒型の熱反射筒7の円筒部は、グリップ筒とコテ先との間に配置した際に、何れからも浮かせて筒面の両側に空気層ができる様なサイズにする。
固定爪71、ビス穴付き固定爪72はその為のものである。
材料はステンレスやアルミの薄板で良く、できるだけ光を強く反射する光沢面を持つか、鏡面仕上げをした物が良い。あるいは相当する加工を施した他の耐熱性材料でも良い。
図15に熱反射筒7をグリップ筒5に設置した様子を示す。
固定爪71、ビス穴付き固定爪72の端がグリップ筒5の内面に支えられ、グリップ筒7から熱反射筒7の筒部を浮かせた状態に保つ。
ビス穴付き固定爪72に対応するビス穴をグリップ筒5に設けて置き、ビス穴付き固定爪72をビスでグリップ筒5に固定すれば完成する。(図示無し)
図16はコテ先に対して反射面を斜めにし、コテ先先端側に輻射熱が反射される様にした円錐台型の熱反射筒7であり、図17は熱反射筒7をグリップ筒5に設置した様子である。
固定方法は図14の円筒型の熱反射筒7と同様である。
円錐台型の熱反射筒7によると、グリップ筒5からその外部であるコテ先先端に向かって輻射熱を反射するので、円筒型の熱反射筒よりグリップ筒の温度上昇を抑える効果が大きくなるメリットがある。
なお、実施例4で用いた固定爪71、ビス穴付き固定爪72による固定方法は飽くまでも一例であり、熱反射筒7を設置するという主目的を実現できればどの様な方法でも構わない。
また、実施例4では図4のグリップ筒を用いたが、他の実施例のグリップ筒でも熱反射筒は有効である。
又、熱反射筒を設ける代わりに、グリップ筒の内壁にメッキや蒸着等で鏡面仕上げをしても同様の効果を得られる。
図19は本発明の請求項4に基づくグリップ筒用シート8であり、第三角法で示したものである。
グリップ筒用シート8は耐熱性と可撓性を有する原料素材を型で成形する。
なお、原料素材は高断熱性も有する事が望ましい。
あるいは、耐熱性と可撓性を有する板状素材や、不燃性の紙、又は不燃処理を施した紙等の板状素材を図19の形状に切断して製作しても良い。特に不燃性又は、不燃処理を施したダンボールは、最初から溝状凹凸とそれによる空気層を有するので便利である。
なお、前記板状素材を用いる場合は、図19に於けるグリップ部82や、ストッパ83等の突起状の箇所はコの字状に切り込みを入れて折り曲げるか、同一材料等で別に突起形状の部品を作成して貼り付ける(図示無し)等で図19に相当するグリップ筒用シート8を製作できる。
従って、成形、切断何れの方法、何れの材料でも図19の形状のシートは製作できるので、以降は材料や製作方法による区別はしないで説明する。
溝状凹凸81はグリップ筒用シート8を円筒状にした場合の円筒の軸方向(図19では左右方向)の凹凸を付けたもので、イメージとしては、巻き寿司等に用いる所謂「巻き簾」の様な構造になる。
即ち、溝状凹凸81の溝を軸方向にして丸めると容易に円筒状になり、その円筒の軸に直角方向の力には強く、円筒は曲げ難く、潰れ難いものになる。
図20はグリップ筒用シート8の使用方法を示したものであり、半田ゴテ本体に1周以上巻き付けて筒状にし、グリップ筒と成す事を示す。
この時、コテ柄2に対して固定代84が巻き付く様にし、その上から固定手段85で締め付けて半田ゴテ本体とグリップ筒を固定する。
固定手段85は、一般に市販されている配線を束ねる結束バンド、パイプクランプ等様々の物が使用できるが、取り付け、取り外しが容易な面ファスナ(マジックテープ(登録商標)、ベルクロ(登録商標)等)が特に便利である。
前記により、グリップ筒用シート8によるグリップ筒は、所要の強度を持ち半田ゴテ本体に確実に固定されるので要件3を満たす。
同時に図20に於いてグリップ部82の近くを保持すれば、保持点とコテ先先端との距離はグリップ筒が無い場合より短くなるのは明らかであり、半田付け作業がし易くなり、要件1を満たす。
火傷事故を防止し、握り易くする為に、グリップ筒の最も外側のコテ先先端に近い辺にはグリップ部82として突起を並べている。
又、誤ってグリップ筒から半田ゴテ本体が抜けて起こる火傷事故を防止する為にコテ柄2とコテ先3の境界に近い部分にストッパ83を設けている。
これらは、何れも本発明の主目的としては必須ではないが、実現に当たっては前記要件4を満たす上で設置が望ましい。
グリップ筒用シート8は半田ゴテ本体に1周以上巻いて筒状にすると溝状凹凸81の補強効果でグリップ筒と成す事ができ、コテ先との間に幅Gの間隙ができる。
前記の処置だけで断熱効果が得られれば良いが、充分でない場合はグリップ筒用シート8を2周以上巻いて、溝状凹凸1の効果で層間に空気層88を作れば断熱効果を得られる。
巻き回数が多い程効果が大きいが、グリップ筒の太さが大き過ぎるとグリップ部を保持しての作業がし難くなるので、個人差はあるが実験的には概ね3Cm以内にするのが望ましい。
以上から実施例5の構成で、本発明の半田ゴテを実現する上で必要な要件1〜要件4を全て満たす事が判る。
グリップ筒用シート8の殆どの素材はハサミ等で容易にカットできる物なので、実施例5の大きな特徴として、グリップ筒用シート8をユーザが容易に加工出来る点がある。
例えば図19のグリップ筒用シート8の円筒にした場合の外層、円筒にした場合の内層を各々長めに製作しておけば、ユーザが半田ゴテ本体の形状に合わせて任意にカットして、巻き回数を調整でき、固定代84が多過ぎる場合は過多部分を切り捨てる事もできる。
なお、目的を達成する為の形状や構造には種々のバリエーションが有り得るのであり、図21のグリップ筒用シート8の形状や構造は飽くまでも一例であって、これに限定されるものではない。
一例として、図19と異なる溝状凹凸81の形状を図21に示す。
溝状凹凸81を短くしてチドリに配置し、空気層を大きくして断熱効果を高めたものである。
又、図22では間隙手段86を設け、グリップ筒が潰れて変形するのを防ぐものである。
ここでは間隙手段86は金属線をコイル状にして(詳細の図示無し)、コテ先とグリップ筒間のギャップGを一定に保つ様にしているが、金属円盤等、他の方法でも良い。
なお、ストッパ87は間隙手段86をグリップ筒内に留める為に設けたものである。
グリップ筒を補強する為に、型による成形時に溝状凹凸81の部分に芯線として金属線等を埋め込んでも良い。
以下に本発明の請求項に掲げていない、関連する技術とその効果を付記する。
(a)各実施例でグリップ部の温度上昇を抑える方法として、高耐熱性、高断熱性材料であるシリコンスポンジ等による断熱カバーでグリップ部を覆うと効果的である。
その一例として、実施例1に於ける場合を図18に示す。24、54が断熱カバーである。
(b)精密半田付け作業はグリップ部とコテ先先端との距離を2〜3Cm短くするだけでも格段に行ない易くなる。
一方、グリップ筒のコテ先を覆う部分の長さが短いと、その温度上昇は大きく下がる。
従って、グリップ部の温度上昇が大きい場合は、グリップ筒のコテ先を覆う部分の長さを短めに設定すれば良い。
(c)各実施例ではコテ柄2、グリップ筒5の軸に対して垂直な断面形状を円形にしているが、保持し易い形状であればネジ部以外は楕円形、8角形、6角形等任意の形状で良い。(図示無し)
(d)図9や図10の様な固定機構の場合は、コテ柄2とグリップ筒5の一方に軸方向に溝を切り、他方に凸部を設けてガイドとし、互いが捻れない様にすると固定操作がし易くなる。(図示無し)
(e)一般的な半田ゴテに図3の様なオネジを切った固定機構22を設ける事は比較的容易であり、これを標準的に半田ゴテに設置し、グリップ筒はオプションとして別売とすれば、半田ゴテ本体の価格は余り変わらないので、精密半田付け作業が不要なユーザに対してグリップ筒が無駄なコストにもならない
(f)図19のグリップ筒用シート8の場合、半田ゴテ本体には精密半田付け作業用としての構造は全く不要で従来品がそのまま使用できる。
従って、グリップ筒用シート8は精密半田付け作業の為のオプション部品として単独で製品化でき、且つ、グリップ筒用シート8は殆どの半田ゴテに対応可能であるという、高い汎用性を持たせる事ができる。
(g)半田ゴテを直接作業台に置いても加熱されたコテ先が作業台に触れない様にグリップ筒の形状を作れば、その断熱効果でコテ先の熱は作業台に伝わらないので、半田ゴテ置き台が不要になる。
(h)グリップ筒を長めにするか、別途延長用アダプタを用意してグリップ筒につなげる様にすれば、半田付け作業後の加熱されたコテ先の保護カバーの機能を付加できる。
(i)低温火傷等の危険を知らせる為に、例えば40℃を越えたら色が変わる様な、温度による変色シールをグリップ筒に貼り付けるとさらに便利になる。
(j)各実施例に於ける固定機構、固定具は飽くまでも一例であり、他の方法でも良い。
即ち、嵌合させた2個の筒状構造体を任意の相対位置で固定する製品はカメラの三脚、歩行用杖、釣り竿、掃除用具、物干し竿、突っ張り棒、等々数多く有り、各々に種々の固定方法が適用され、公知の技術となっているので、知財の問題がクリアされた範囲で本発明に適した方法を用いれば良いものである
例えば実施例2のグリップ筒5に関しては、図10の固定機構52の様に可動状態にしたオネジを締める事により相対位置を固定する、比較的単純で低コストの方法も有る。
半田ゴテを半田ゴテ本体とグリップ筒で構成し、精密半田付け作業時には、コテ先先端とグリップ部との相対距離を短くする事により、一般的な半田ゴテで微小部品の半田付けも容易に行なう事が可能になる。
1 半田ゴテ本体
11 電源コード
2 コテ柄
21 グリップ部
22 固定機構
23 ストッパ
24 断熱カバー
3 コテ先
31 コテ先先端
5 グリップ筒
51 グリップ部
52 固定機構
53 ストッパ
54 断熱カバー
6 固定具
61 高弾性チューブ
62 メネジ
7 熱反射筒
71 固定爪
72 ビス穴付き固定爪
8 グリップ筒用シート
81 溝状凹凸
82 グリップ部
83 ストッパ
84 固定代
85 固定手段
86 間隙手段
87 ストッパ
88 空気層
10 基板
20 半田付け対象部品
30A 保持点
30B 作業者の手
40A 保持点
40B 精密作業時の作業者の手

Claims (4)

  1. 半田ゴテ本体とグリップ筒、及び前記相互の固定機構を設けた事を特徴とする半田ゴテ。
  2. 請求項1の半田ゴテに於いて、
    半田ゴテ本体のみで使用する場合と、半田ゴテ本体にグリップ筒を連結して使用する場合の2通りの使用形態を持つ半田ゴテとするか、
    半田ゴテ本体とグリップ筒を組み合わせて一体と成し、その相対位置を変えられる様にした半田ゴテとするか、
    の何れかの方法で、コテ先先端とグリップ部との相対距離を可変にした事を特徴とする半田ゴテ。
  3. 請求項1又は請求項2の半田ゴテに於いて、
    グリップ筒の内側に熱反射筒を設けるか、
    グリップ筒の内側に鏡面加工を施すか、
    の少なくとも何れかを行なったグリップ筒を用いる事を特徴とする半田ゴテ。
  4. 請求項1の半田ゴテのグリップ筒に於いて、
    耐熱性と可撓性を有する素材によるシートを用い、半田ゴテ本体に巻き付けてグリップ筒と成したものか、
    前記グリップ筒に於いて、シートが重なった部分の層間に空気層を持つ様にしたグリップ筒、
    の何れかを用いた事を特徴とする半田ゴテ。
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