JP2021193905A - 育毛を促進するための組成物 - Google Patents

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忠士 梅本
Tadashi Umemoto
賢一 伊藤
Kenichi Ito
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Abstract

【課題】ヒトなどの動物において、より効率よく育毛を促進するためのアンチセンスオリゴヌクレオチドなどを提供する。【解決手段】育毛のサイクルにおける成長期中にFGF−5の機能をノックダウンさせることが可能な新規なアンチセンスオリゴヌクレオチドを見出し、本発明を完成させた。【選択図】なし

Description

本発明は、主にヒトなどの動物の育毛を促進するためのアンチセンスオリゴヌクレオチド、このアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む組成物(剤など)に関する。
育毛のサイクルは、休止期と成長期と退行期からなる。正常のヒトの育毛のサイクルは、休止期が3〜4か月程度、成長期が2〜6年程度、退行期が2週間程度である。一方で、AGA(男性型脱毛症)などの異常なヒトの育毛のサイクルは、休止期が3〜4か月程度、成長期が数か月〜1年程度、退行期が2週間程度であり、正常のヒトの育毛のサイクルに比べ、成長期が短い。
育毛のメカニズムは複数知られているが、そのメカニズムの1つとして、FGF−5(線維芽細胞増殖因子5、fibroblast growth factor−5)の関わりが知られている。fgf−5遺伝子によってコードされているFGF−5タンパク質は、毛成長を阻害し、毛周期を成長期から退行期に移行させる役割を持つことが知られている。また、fgf−5遺伝子から、オルタナティブスプライシング(alternative splicing)によって、FGF−5Sという低分子量のタンパク質が作られる。このFGF−5Sは成長期の後半に毛包で作られ、FGF−5の働きをアンタゴナイズすることにより、成長期中にFGF−5が機能することを防ぐことも知られている(特許文献1、非特許文献1)。このFGF−5の働きをアンタゴナイズすることは、FGF−5Sによる拮抗阻害と考えられる。
Suzuki,S.; Ota,Y.; Ozawa,K.; Imamura,T. J Invest Dermatol. 2000, 114, 456−
特開2002−296267
本発明が解決しようとする課題は、主にヒトなどの動物の育毛を促進するためのアンチセンスオリゴヌクレオチド、このアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む組成物(剤など)を提供することである。
本発明の発明者は、育毛のサイクルにおける成長期中にFGF−5の機能をノックダウンさせることが可能な新規なアンチセンスオリゴヌクレオチドを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、以下の項を含む。
〔項1〕(i)配列番号1〜27で示される塩基配列のアンチセンスオリゴヌクレオチド、
(ii)(i)の塩基配列と90%以上の同一性を有するアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は
(iii)(i)の塩基配列において、1個又は2個の塩基の欠失、付加及び/又は置換を有する塩基配列のアンチセンスオリゴヌクレオチド、からなる群より選択される少なくとも1種のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
〔項2〕〔項1〕に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、
(i)配列番号2、4、5、6、7及び8で示される塩基配列のアンチセンスオリゴヌクレオチド、
(ii)(i)の塩基配列と90%以上の同一性を有するアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は
(iii)(i)の塩基配列において、1個又は2個の塩基の欠失、付加及び/又は置換を有する塩基配列の核酸分子、からなる群より選択される少なくとも1種のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
本発明により、より効率よく育毛を促進するための核酸分子などを提供することができ、例えば新たな育毛を促進するための素材を提供できると期待される。
以下、本発明の実施形態について説明する。
(アンチセンスオリゴヌクレオチド)
本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、天然に存在するDNAまたはRNAが化学的に修飾されたオリゴヌクレオチドを含む。このような修飾は、オリゴヌクレオチドの活性を変更する。例えば、標的核酸に対する親和性を高め、核酸分解酵素(ヌクレアーゼ)に対する耐性を高め、オリゴヌクレオチドの薬物動態または組織分布を変更する。その標的に対するオリゴヌクレオチドの親和性を高めることにより、より短いオリゴヌクレオチドの使用を可能にし得る。
本発明は、下述するようなアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびその薬理学上許容される塩を包含する。
本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、FGF−5遺伝子と結合し得る。本明細書において、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドの「FGF−5遺伝子との結合」は、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドのFGF−5遺伝子への直接結合、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドのFGF−5遺伝子のmRNAへの結合、および本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドのFGF−5遺伝子のmRNA前駆体への結合を包含する。
ここで、「結合し得る」とは、異なる複数の1本鎖のオリゴヌクレオチドまたは核酸が、核酸塩基の相補性により2本鎖以上の鎖の核酸を形成し得ることをいう。好適には、2本鎖の核酸を形成し得ることをいう。結合の熱安定性の指標である2本鎖以上の鎖の核酸の融解温度(Tm)は特に限定されない。2本鎖核酸の融解温度(Tm)は、例えば、下記のように決定され得る。
緩衝液(8.1mM NaHPO、2.68mM KCl、1.47mM KHPO、pH7.2)中で、オリゴヌクレオチドと標的RNAとを等モル混合し、95℃にて5分間加熱後、室温まで徐冷してアニーリングさせ、2本鎖核酸を形成させる。2本鎖核酸の温度を20℃から95℃まで0.5℃/分の速度で加温していき、260nmにおける吸光度(A)の温度(T)による変化を測定し、この測定結果よりdA/dT vs Tのグラフを描き、dA/dTの値が最も大きくなる温度、つまりAのTによる変化が最も大きくなる温度を、2本鎖核酸のTmとする。融解温度(Tm)は、例えば、40℃以上であり、好ましくは50℃以上である。
本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、FGF−5遺伝子と相補的であるが、完全な相補性を有する必要はなく、ミスマッチを有していてもよい。例えば、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、2本鎖を形成する領域の塩基配列が完全に相補性を有する必要はなく、2本鎖核酸を形成し得、発現抑制作用を有する限り、1もしくは数個のミスマッチを有し得る。1又は数個のミスマッチとは、オリゴヌクレオチドの長さに依存し得るが、1〜4個、好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1又は2個のミスマッチを意味している。本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、好ましくは、2本鎖を形成する領域の塩基配列に対して完全に(100%)相補性を有するものである。
本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドの標的遺伝子であるFGF−5としては、例えば、ヒトFGF−5(「hFGF−5」)、マウスFGF−5(「mFGF−5」)などが挙げられる。
hFGF−5のmRNA(GenBankアクセッション番号:M_37825.1)のDNA配列(塩基配列)を配列表の配列番号30に、そしてアミノ酸配列を配列番号31に記載する。本発明における「FGF−5」は、これらの配列に限定されるものではなく、タンパク質の機能が保持される限り(例えば配列番号31のタンパク質の機能が保持される限り)、アミノ酸やDNA変異数や変異部位に制限はないものとする。
アンチセンスオリゴヌクレオチドの配列は、当該アンチセンスオリゴヌクレオチドを構成する塩基数(オリゴヌクレオチドの塩基長に対応する)分、3’から5’の方向(3’→ 5’)に、例えば配列番号30に示される標的領域の塩基に対して相補的な塩基を並べるように設計され得る。
本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、FGF−5遺伝子の発現を抑制する活性を有する。FGF−5発現抑制活性(ノックダウン活性)は、公知の方法により測定することが可能である。例えば、後述の実施例で記載するヒト新生児の皮膚由来の正常二倍体線維芽細胞(Hs68、JCRB細胞バンクの細胞番号がIFO50350)に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドのトランスフェクションの方法などにより測定することができる。
本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えばオフターゲット作用が発生しないようにする観点で、例えば12〜25塩基長、好ましくは12〜20塩基長、より好ましくは14〜20塩基長、よりさらに好ましくは15〜19塩基長、特に好ましくは15〜18塩基長である。より具体的には、15塩基長、16塩基長、17塩基長などのアンチセンスオリゴヌクレオチドが挙げられる。アンチセンスオリゴヌクレオチドが上記のような長さであることにより、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、FGF−5標的遺伝子、FGF−5標的遺伝子のmRNA又はFGF−5標的遺伝子のmRNA前駆体へ結合され、より効果的にFGF−5発現抑制(ノックダウン)がおきる。
本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、以下のいずれかの核酸分子を意味する。
(i)配列番号1〜27で示される塩基配列のアンチセンスオリゴヌクレオチド、
(ii)(i)の塩基配列と90%以上の同一性を有するアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は
(iii)(i)の塩基配列において、1個又は2個の塩基の欠失、付加及び/又は置換を有する塩基配列のアンチセンスオリゴヌクレオチド、からなる群より選択される少なくとも1種のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列表にて示される配列番号1〜27の配列で示されるアンチセンスオリゴヌクレオチドである。配列表において、「a」はアデニン(アデニニル基)、「t」はチミン(チミニル基)、「c」はシトシン(シトシニル基)、「g」はグアニン(グアニニル基)、「n」はシトシン(シトシニル基)又は5−メチルシトシン(5−メチルシトシニル基)、である。下記実施例の表1で示す配列は、「n」が5−メチルシトシン(5−メチルシトシニル基)である。配列表において示す配列は、5’→ 3’配列で示す。例えば、酵素耐性能の向上を図るために、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、以下表1で示すように、ヌクレオシド間のホスホジエステル結合のリン酸基部の酸素原子が硫黄原子で置換されたPS骨格を有する、S−オリゴ(ホスホロチオエート)にすることが好ましい。例えば、標的mRNAとの親和性の向上を図るために、本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、以下表1で示すように、所定部位において糖修飾ヌクレオシド(例えば、下記式(a)で示されるLNA)を含むことが好ましい。
なお、配列表(配列番号29)と以下表1に記載の「NEG」の配列は、Negative Controlの配列であり、アンチセンスオリゴヌクレオチドとしての機能がない(FGF−5に結合しない)配列である。
Figure 2021193905
本発明のオリゴヌクレオチドは、常法によって合成することができ、例えば、市販の核酸自動合成装置(例えば、Applied Biosystems社製、株式会社ジーンデザイン製など)によって容易に合成することができる。合成法はホスホロアミダイトを用いた固相合成法、ハイドロジェンホスホネートを用いた固相合成法等がある。例えば、Tetrahedron Letters 22,1859−1862(1981)、国際公開第2011/052436号等に開示されている。
なお、表1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、Tetrahedron Letters 22,1859−1862(1981)、国際公開第2011/052436号等に記載される方法によって合成した。具体的には、式(a)で示されるLNAを含むアンチセンスオリゴヌクレオチドに関しては、株式会社ジーンデザインに合成委託した。
式(a)で示されるLNAを含有するアンチセンスオリゴヌクレオチドは、核酸自動合成機(nS−8 型、株式会社ジーンデザイン製) を用いて、0.2μmolスケールで合成した。鎖長の伸長は標準的なホスホロアミダイトプロトコール(固相担体:CPGレジン、硫化はDDT(3H−1,2−Benzodi thiole−3−one,1,1−dioxide)等を使用)にて実施し、末端の5’位の水酸基がDMTr(ジメトキシトリチル)基で保護され、かつ3’位が固相に担持されたオリゴヌクレオチドを得た。続いて、酸処理により、DMTr基を除去した後、塩基処理することにより、目的物を固相担体から切り出した。希酸にて中和後、溶媒を留去し、得られた粗生成物をゲルろ過カラムクロマト、逆相HPLCにて精製することにより目的物を得た。
本実施例で使用したLNAの架橋構造及び得られた各オリゴヌクレオチドの純度および構造をHPLCおよびMALDI−TOF−MS(BRUKER DALTONICS社製)により確認した。
「同一性」とは、当該技術分野において公知の数学的アルゴリズムを用いて2つのヌクレオチド配列をアラインさせた場合の、最適なアラインメント(好ましくは、該アルゴリズムは最適なアラインメントのために配列の一方もしくは両方へのギャップの導入を考慮し得るものである)における、オーバーラップする全ヌクレオチド残基に対する、同一ヌクレオチド残基の割合(%)を意味する。
例えば、ヌクレオチド配列における同一性は、相同性計算アルゴリズムNCBI(National Center for Biotechnology Information)のBLAST−2を用い、以下の条件(ギャップオープン=5ペナルティ;ギャップエクステンション=2ペナルティ;x_ドロップオフ=50;期待値=10;フィルタリング=ON)にて2つのヌクレオチド配列をアラインすることにより、計算することができる。
本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、これらの配列において、FGF−5発現抑制活性を有する限り、例えば、1又は2個の塩基が欠失、付加及び/又は置換を有するものであってもよい。
本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、FGF−5発現抑制活性を有する限り、所定の修飾を行うことも可能である。ヌクレオチドの修飾としては、例えばリン酸修飾、核酸塩基修飾が挙げられる。このような修飾(核酸修飾)は、所定の公知の方法に基づいて行うことができる。リン酸修飾としては、例えば、天然の核酸が有するリン酸ジエステル結合、S−オリゴ(ホスホロチオエート)、D−オリゴ(ホスホジエステル)、M−オリゴ(メチルフォスフォネイト)、ボラノホスフェート等が挙げられる。S−オリゴ(ホスホロチオエート)は、ヌクレオシド間のホスホジエステル結合のリン酸基部の酸素原子が硫黄原子で置換されたPS骨格を有する。この修飾は公知の方法に従って、オリゴヌクレオチドに取り込まれる。この修飾をオリゴヌクレオチド中に1又は複数もつアンチセンスオリゴヌクレオチドをS−オリゴ型(ホスホロチオエート型)という。核酸塩基修飾としては、例えば、5−メチルシトシン、5−ヒドロキシメチルシトシン、5−プロピニルシトシン等が挙げられる。
本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ギャップマーであることが好ましい。ギャップマーとは、中心領域となる「ギャップ」と該ギャップの両側の領域、2つのウイング、すなわち、5’側の「5’ウイング」及び3’側の「3’ウイング」を含むオリゴヌクレオチドを意味する。
本発明におけるギャップマーのギャップ領域は6〜10塩基長、好ましくは7〜10塩基長、より好ましくは8〜10塩基長、さらに好ましくは8〜9塩基長、特に好ましくは9塩基長であり得る。ギャップは、天然ヌクレオシドから構成されている。
本発明におけるギャップマーのウイング領域は3〜5塩基長、好ましくは3〜4塩基長、さらに好ましくは3 塩基長であり得る。本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、「5’ウイング」及び/又は「3’ウイング」に、糖修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含む。好ましくは、「5 ’ウイング」に、糖修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ、好ましくは1〜5、より好ましくは2〜4、さらに好ましくは2〜3、特に好ましくは3つ含む。好ましくは、「3’ウイング」に、糖修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ、好ましくは1〜5、より好ましくは2〜4、さらに好ましくは2〜3、特に好ましくは2つ含む。
1つの実施形態では、6〜10塩基のギャップ領域、3〜5塩基の5’ウイング及び3〜5塩基の3’ウイングからなり、ギャップ領域が5’ウイングと3’ウイングの間に位置づけられる。さらに、リン酸修飾、塩基修飾などを含んでいてもよい。一方のウイング内の修飾の種類、数、位置は、他方のウイングにおける修飾の種類、数、位置と同じであっても又は異なっていてもよい。
1つの好ましい実施形態では、8〜10塩基のギャップ領域、3塩基の5’ウイングおよび3塩基の3’ウイングからなり、5’ウイングおよび3’ウイングは、各々少なくとも2つの前記式(a)で表されるヌクレオシド構造を含むことがある。
より好ましい実施形態では、9塩基のギャップ領域、3塩基の5’ウイングおよび3塩基の3’ウイングからなり、5’ウイングの3塩基は前記式(a)で表されるヌクレオシドである。
このようなギャップマーとしては、例えば、3−9−2−1(表1にて例示)、3−8−2−1、3−10−2−1、3−10−3、5−10−5などが挙げられる。例えば、3−9−2−1の表記の場合、ギャップの9 塩基が天然ヌクレオシド(DNA)であり、5’ ウイング(5’末端から3’塩基)が糖修飾ヌクレオシド(例えば、式(a)で示すLNAを含むヌクレオチド)であり、そして3’ウイング(3’末端から3塩基)のうち中心側からの2塩基が糖修飾ヌクレオシド(例えば、式(a)で示すLNAを含むヌクレオチド)であり、最後の1塩基(3’末端塩基)が天然ヌクレオシド(DNA)である。配列に依存し得るが、3−9−2−1が好ましい。
(育毛促進)
本明細書等において、「育毛」は、「育毛」だけでなく、例えば「発毛」も含まれる。また、この「育毛」は、例えば、脱毛因子(DKK−1、IL−6など)の発現を抑制することより、毛幹の形成の促進、毛幹の伸長の促進などによる育毛も含む。
(投与形態など)
本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒト等の動物に対して、局所的あるいは全身的な治療、または治療すべき領域に応じて様々な方法により投与することができる。投与方法としては、例えば、局所的(点眼、膣内、直腸内、鼻腔内、経皮を含む)投与、経口的投与、または、非経口的投与であってもよい。非経口的投与としては、静脈内注射もしくは点滴、皮下、腹腔内もしくは筋肉内注入、吸引もしくは吸入による肺投与、髄腔内投与、脳室内投与等が挙げられる。
本発明に係るアンチセンスオリゴを局所投与する場合、本発明に係るアンチセンスオリゴを含有する組成物を作製して、例えば、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、滴下剤、坐剤、噴霧剤、液剤、散剤等の製剤として用いることができる。
経口的投与用の組成物(本発明に係るアンチセンスオリゴを含有)としては、例えば、散剤、顆粒剤、水もしくは非水性媒体に溶解させた懸濁液または溶液、カプセル、粉末剤、錠剤等が挙げられる。非経口、髄腔内、または脳室内投与用の組成物(本発明に係るアンチセンスオリゴを含有)としては、バッファー、希釈剤およびその他の適当な添加剤を含む無菌水溶液等が挙げられる。
本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する組成物は、本発明のオリゴヌクレオチドの有効量にその剤型に適した賦形剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤等の各種医薬用添加剤を必要に応じて混合して得ることができる。注射剤の場合には、例えば、適当な担体と共に滅菌処理を行なって製剤とすることもできる。
賦形剤としては、乳糖、白糖、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウムまたは結晶セルロース等が挙げられる。結合剤としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチンまたはポリビニルピロリドン等が挙げられる。崩壊剤としてはカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末またはラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。滑沢剤としてはタルク、ステアリン酸マグネシウムまたはマクロゴール等が挙げられる。坐剤の基剤としてはカカオ脂、マクロゴールまたはメチルセルロース等を用いることができる。また、液剤または乳濁性、懸濁性の注射剤として調製する場合には通常使用されている溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤、保存剤、等張剤等を適宜添加してもよい。経口投与の場合には嬌味剤、芳香剤等を加えてもよい。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、ヒト等の動物に対して投与する量(有効量)は、投与される個体に依存するが、個体の性別、年齢、体重、症状等、ならびに投与の方法、経路、頻度などに応じて任意に定めることができる。例えば、注射剤(静脈内注射など)の場合は、投与する量として、0.1〜10mg/kgが挙げられる。
以下、本発明の実施例について、説明する。なお、この実施例の実験で用いられるアンチセンスオリゴヌクレオチドの配列(配列番号1〜29)は、以下表1で示すアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
Figure 2021193905
表1中の塩基配列の「A又はa」、「T又はt」、「C又はc」、「G又はg」及び「5」は、次の塩基を表す。「A又はa」はアデニン(アデニニル基)、「T又はt」はチミン(チミニル基)、「C又はc」はシトシン(シトシニル基)、「G又はg」はグアニン(グアニニル基)、「5」は5−メチルシトシン(5−メチルシトシニル基)である。表1中の塩基配列は、5’→3’配列で示し、全てPS骨格を有する。表1で示す塩基配列において、小文字は天然型のデオキシリボヌクレオシド(DNA)であり、大文字(A、T、C、G)又は「5」は下記の式(a)で示されるLNAである。「A」は以下式(a)のBaseがアデニン(アデニニル基)であるもの、「T」は以下式(a)のBaseがチミン(チミニル基)であるもの、「C」は以下式(a)のBaseがシトシン(シトシニル基)であるもの、「G」は以下式(a)のBaseがグアニン(グアニニル基)であるもの、「5」は以下式(a)のBaseが5−メチルシトシン(5−メチルシトシニル基)であるもの、である。
Figure 2021193905
表1に記載の配列のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、Tetrahedron Letters 22,1859−1862(1981)、国際公開第2011/052436号等に記載される方法によって合成した。具体的には、式(a)で示されるLNAを含むアンチセンスオリゴヌクレオチドに関しては、株式会社ジーンデザインに合成委託した。
(実験1;Hs68細胞を用いてのアンチセンスオリゴヌクレオチドのスクリーニング)
FGF−5のノックダウン活性がより高いアンチセンスオリゴヌクレオチドを探索するために、ヒト新生児の皮膚由来の正常二倍体線維芽細胞(Hs68細胞、JCRB細胞バンクの細胞番号がIFO50350)を用いたスクリーニングを行った。スクリーニングの手順を以下記載する。
アンチセンスヌクレオチドの投与の前日に、96ウェルプレート(コーニング社製)にて、10%FBS(抗生物質なし)を添加したDMEM培地(high−glucose、ナカライテスク社製)100μL中(1ウェル)に、1.0×10個のHs68細胞(JCRB細胞バンク、細胞番号IFO50350)を播種し、37℃、5%CO下で24時間培養した。
細胞のトランスフェクションはCEM法で行った。具体的には、10%FBS含有DMEMに900 mMの塩化カルシウムを100倍希釈になるように添加した後、アンチセンスオリゴヌクレオチド(表1の配列番号1から29に示す配列のアンチセンスオリゴヌクレオチド)を、最終濃度6.25nM、25nM、又は100nMとなるように添加して37℃、5%CO下で更に24時間培養した。
トランスフェクションした細胞から、Cell Lysis & RT Kit(TOYOBO Super PrepTM Cell Lysis & RT Kit for qPCR)を用いてRNAを抽出し、cDNAに逆転写した。
得られたcDNAについて、ABI PowerUpTMSYBR(登録商標)Green Master Mix及び以下のプライマー(GAPDH用プライマー:50nM、FGF−5用プライマー:100nM)を用いてリアルタイムPCR(RT−PCR)を実施した。PCRは、サーマルサイクラー(ABI StepOne PlusTM Real−Time PCR System)を用い、95℃で20秒間の後、95℃で1秒間及び60℃で30秒間の45サイクルの条件で行った。
GAPDHフォワードプライマー:GAGTCAACGGATTTGGTCGT(配列番号32)
GAPDHリバースプライマー:GACAAGCTTCCCGTTCTCAG(配列番号33)
FGF−5フォワードプライマー:ACGAGGAGTTTTCAGCAACA(配列番号34)
FGF−5リバースプライマー:GCTCCCTGAACTTGCAGTCA(配列番号35)
FGF−5 mRNA及びGAPDH mRNA(比較対照)の発現量の測定値から、FGF−5 mRNAの相対発現量を算出した。結果を表2に示す。以下表2において、「100nM投与」は所定のアンチセンスオリゴヌクレオチドを最終濃度100nMとなるように添加した群、「25nM投与」は所定のアンチセンスオリゴヌクレオチドを最終濃度25nMとなるように添加した群、「6.25nM投与」は所定のアンチセンスオリゴヌクレオチドを最終濃度6.25nMとなるように添加した群、「コントロール」は滅菌水を添加した群、を示す。
Figure 2021193905
表2では、コントロール群のmRNA量を1(1.00)としたときの相対値を記載している。配列番号28の群は、コントロール群に比べRNA量が高いことから、表1の配列番号28に係る配列はFGF−5のノックダウン活性がない配列と考えられる。表1の配列番号28以外の群(表1の配列番号1から27の群)では、少なくともアンチセンスオリゴヌクレオチドを100nM投与した際には、コントロールに比べ、mRNA量が低いことから、表1の配列番号1から27に係る配列はFGF−5のノックダウン活性がある配列と考えられる。特に、表1の配列番号2、4、5、6、7及び8の群では、アンチセンスオリゴヌクレオチドを6.25nM投与した際でも、コントロールに比べ、mRNA量が低いことから、表1の配列番号2、4、5、6、7及び8に係る配列はFGF−5のノックダウン活性が高い配列と考えられる。
(実験2:表1の配列番号2、4、5、6、7及び8の群での、Hs68細胞を用いてのアンチセンスオリゴヌクレオチドのスクリーニング)
実験1において、アンチセンスオリゴヌクレオチドを6.25nM投与した際でも、コントロールに比べ、mRNA量が低いことが示された群(表1の配列番号2、4、5、6、7及び8の群)において、オリゴヌクレオチドの投与量を3種類(25nM、6.25nM、1.56nM)設定して、再度実験1と同様の実験を行った。オリゴヌクレオチドの投与量以外は、実験1と同様の手順でスクリーニングを行った。このスクリーニング結果を表3に示す。以下表3において、「25nM投与」は所定のアンチセンスオリゴヌクレオチドを最終濃度25nMとなるように添加した群、「6.25nM投与」は所定のアンチセンスオリゴヌクレオチドを最終濃度6.25nMとなるように添加した群、「1.56nM投与」は所定のアンチセンスオリゴヌクレオチドを最終濃度1.56nMとなるように添加した群、を示す。
Figure 2021193905
表3では、コントロール群のmRNA量を1としたときの相対値を記載している。表1配列番号2、4、5、6、7及び8の群では、アンチセンスオリゴヌクレオチドを1.56nM投与した際でも、コントロールに比べ、mRNA量が低いことから、配列番号2、4、5、6、7及び8に係る配列はFGF−5のノックダウン活性が高い配列と考えられる。
以上、本発明の実施の形態(実施例も含め)について、図面を参照して説明してきたが、本発明の具体的構成は、これに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、設計変更等があっても、本発明に含まれるものである。
本発明により、より効率よく育毛を促進するための組成物を提供することができ、例えば新たな育毛を促進するための素材を提供できると期待される。

Claims (2)

  1. (i)配列番号1〜27で示される塩基配列のアンチセンスオリゴヌクレオチド、
    (ii)(i)の塩基配列と90%以上の同一性を有するアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は
    (iii)(i)の塩基配列において、1個又は2個の塩基の欠失、付加及び/又は置換を有する塩基配列のアンチセンスオリゴヌクレオチド、からなる群より選択される少なくとも1種のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
  2. 請求項1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、
    (i)配列番号2、4、5、6、7及び8で示される塩基配列のアンチセンスオリゴヌクレオチド、
    (ii)(i)の塩基配列と90%以上の同一性を有するアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は
    (iii)(i)の塩基配列において、1個又は2個の塩基の欠失、付加及び/又は置換を有する塩基配列の核酸分子、からなる群より選択される少なくとも1種のアンチセンスオリゴヌクレオチド。

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