JP2021190528A - 気化器 - Google Patents

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Abstract

【課題】小流量は勿論、大流量の場合でも伝熱効率の低下がなく、必要とする液体原料の気化すべき流量を満たすことができる気化器を提供する。【解決手段】気化器Aは液体原料Lを霧化して吹き出すアトマイザ7、アトマイザ7の、噴霧口73が形成されている基部7kに接続された中空のアウターチューブ1、アウターチューブ1内に収納され、石英ガラス又は耐熱性ガラスで形成されているインナーチューブ2及びインナーチューブ2の内側に設けられ、インナーヒータ9を内蔵するインナーヒータブロック8含む。アウターチューブ1、インナーチューブ2は石英ガラス又は耐熱性ガラスで形成されている。インナーチューブ2の内周面と前記インナーヒータブロック8の外周面との間にグラファイト粉末が充填されたインナー充填層10が形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は気化効率に優れた、特に半導体製造用並びに光導波路形成用に最適な気化器に関する。
SiやSiCなどの半導体材料の熱酸化手法の種類としてウェット酸化とドライ酸化がある。ウェット酸化では水を使う。HOをガス(水蒸気)として炉の中に流して水の中の酸素を酸化膜の成長に使う。ウェット酸化の特徴は酸化速度が速いことである。従って厚い膜厚が必要な場合にはこの方法を使う。一方、ドライ酸化は酸化膜成長に酸素ガスを使う。これはウェット酸化の反対で酸化膜の成長速度は遅い。近年、更に酸化膜の成長速度を上げるために、水(HO)の代わりに過酸化水素(H)が使用されるようになってきた。他方、半導体以外の用途として、光導波路の形成がある。(特許文献1を参照)。この場合、10〜25μmの厚さの二酸化ケイ素(SiO)の堆積には、HOによる酸化法では、長時間の堆積時間を必要とする。HOの代わりに過酸化水素(H)を利用すれば、大幅な時間短縮が可能となる。
そのためには大量の過酸化水素水を気化させて反応炉に送り込む必要がある。このような目的の装置として特許文献1に示すような装置が提案されている。
特許文献1に記載された、過酸化水素水を気化させて酸化性ガスを発生させる気化器は、過酸化水素水の入ったフラスコに似た中空球状容器の気化器の下半分を外からヒータで覆うもので、中空球状容器は100〜130℃に加熱され、気化した過酸化水素ガスの含有された水蒸気が、ガス供給管を経て反応炉に流れ込むようになっている。この装置は過酸化水素水を単に加熱して気化させているもので、気化器内での過酸化水素水の蒸発と共に、過酸化水素の濃度が変化するだけでなく、気化効率が悪いことが欠点である。
そこで特許文献1に記載した気化器に比べて気化効率が遥かに優れた気化器が提案された(特許文献2)。
特許文献2に記載された気化器は、液体原料を霧化して吹き出すアトマイザと、このアトマイザの噴霧口が接続された中空のアウターチューブと、アウターチューブ内に収納され、前記アトマイザの噴霧出口とその先端部分との間に霧化空間が形成されたインナーチューブと、アウターチューブの外側に設けられ、アウターヒータが内蔵されたアウターヒータブロックと、インナーチューブの内側に設けられ、インナーヒータが内蔵されたインナーヒータブロックとで構成されている。そして、アウターチューブの内周面とインナーチューブの外側面との間に前記霧化空間に連通し、この隙間を通過する間に加熱されてガス化された気化ガスを次工程に送出する気化用間隙が設けられている。
この気化器では、インナーヒータブロックがアルミニウム製でこれを収納したインナーチューブが石英ガラスで構成されている。インナーチューブの熱膨張率はほぼ零であり、アルミニウム製のインナーヒータブロックの熱膨張率に比べて非常に小さいため、気化時にインナーヒータブロックの熱膨張からインナーチューブの破損を防ぐため両者間の間隙寸法を大きく取るようにしている。しかしながら、この両者間の間隙寸法を大きく取ると、この両者間のこの間隙は断熱性の高い空気層となるため、インナーヒータブロックからの熱がインナーチューブに伝わりにくく、気化性能が著しく阻害される。そのためこの間隙には伝熱ペーストが充填されている。
特開2001−337240号公報 特許6203207号公報
処が最近、気化ガスの使用量の増加から液体原料の流量増加が要求されるようになってきた。要請に従ってアトマイザから噴射される気化すべき霧状流体の流量を増やしていくと、供給する熱量を増やす必要があり、そのためにより高温が必要となる。上記伝熱ペーストは、金属固形成分と溶剤とで構成されているため、それ自体の熱伝導率は後述のように低く、しかもインナーヒータの温度を高温度に設定すると伝熱ペーストの成分である溶剤が蒸発して固形成分だけが残るようになる。そうなると、伝熱効率が著しく低下する。その結果、気化性能が著しく低下して目標とする液体原料の気化すべき流量が得られなくなるという問題が発生した。
本発明は、このような問題点の解決のためになされたものであり、その目的は、小流量は勿論、大流量の場合でも伝熱効率の低下がなく、必要とする液体原料の気化すべき流量を満たすことができる気化器を提供することにある。
本発明は、
液体原料Lを霧化して吹き出すアトマイザ7と、
前記アトマイザ7の、噴霧口73が形成されている基部7kに接続され、石英ガラス又は耐熱性ガラスで形成されている中空のアウターチューブ1と、
前記アウターチューブ1内に収納され、石英ガラス又は耐熱性ガラスで形成されているインナーチューブ2と、
前記インナーチューブ2の内側に設けられ、インナーヒータ9を内蔵するインナーヒータブロック8とを含む気化器Aであって、
前記インナーチューブ2の挿入側の先端頭部2aは前記噴霧口73方向に向くように配置され、前記噴霧口73が形成されている前記基部7kと前記挿入側の先端頭部2aとの間に霧化空間Mが設けられ、
前記アウターチューブ1の内周面とインナーチューブ2の外周面との間に前記霧化空間Mに連通する気化用間隙3が設けられ、
前記インナーチューブ2の内周面と前記インナーヒータブロック8の外周面との間にグラファイト粉末が充填されたインナー充填層10が形成されていることを特徴とする。
前記本発明において、
前記アウターチューブ1の外側に設けられ、アウターヒータ4が装着されたアウターヒータブロック5が更に設けられ、
前記アウターチューブ1の外周面と前記アウターヒータブロック5の内周面との間にグラファイト粉末が充填されたアウター充填層6が形成されていることを特徴とする。
前記本発明において、インナーヒータブロック8がグラファイトブロックで形成されていることを特徴とする。
本発明にかかる気化器Aは、アウターチューブ1とインナーチューブ2とを石英ガラス又は耐熱性ガラスで形成されているので、例えば酸化性や浸食性の高い過酸化水素水、その他腐食性や浸食性の高い液体原料Lの気化が可能である。
そして、インナーチューブ2の内周面と前記インナーヒータブロック8の外周面との間にグラファイト粉末のインナー充填層10が形成されているので、加熱時にインナーヒータブロック8が熱膨張してもこの膨張分をインナー充填層10が吸収して石英ガラス又は耐熱性ガラスで形成されているインナーチューブ2の破損を防止できる。
また、アウターチューブ1の外周面と前記アウターヒータブロック5の内周面との間にグラファイト粉末のアウター充填層6が形成されているので、冷却時にアウターヒータブロック5が収縮してもこの収縮分をアウター充填層6が吸収して石英ガラス又は耐熱性ガラスで形成されているアウターチューブ1の破損を防止できる。
更に、このグラファイト粉末が充填されたインナー充填層10やアウター充填層6の熱伝導率は従来の伝熱ペーストより優れているので、ヒータ4,9からの熱量をより多く気化用間隙3に伝えることが出来、ヒータ4,9の発熱量を抑制することが出来る。
本発明の一実施例の縦断面図である。 図1のZ−Z断面矢視図である。 図1のY部分拡大図である。 図1のアトマイザ(X部分)の拡大断面図である。 本発明の気化器を使用したシステム全体の概略フロー図である。
以下、本発明を図面に従って説明する。気化器Aは、大略、アトマイザ7、アウターチューブ1、インナーチューブ2、アウターヒータ4、アウターヒータブロック5、インナーヒータブロック8、インナーヒータ9並びに温度センサ12とで構成される。
気化器Aに適用される液体原料Lは気化して使用されるもの(半導体製造に供される例えば各種の液体原料)であればどのようなものでもよいが、ここではその代表例として過酸化水素水とする。
気化器Aが、過酸化水素水の気化用で、且つ、半導体製造装置のように極めて高純度な過酸化水素含有水蒸気G2が必要な場合、高温環境において、過酸化水素含有水蒸気G2に侵されないような石英ガラスでアウターチューブ1及びインナーチューブ2が作られる。
アトマイザ7も過酸化水素水に接触するため、石英ガラスで形成することが好ましいが、複雑な形状のものは例えば四フッ化エチレン樹脂で形成される。
液体原料Lに対する条件が合えば、パイレックス(登録商標)ガラスのような耐熱性ガラスの使用も可能である。
アトマイザ7は、液体原料Lを霧化するもので、アウターチューブ1の一方の端部に気密状に当接した基部7kと、この基部7kから突設された噴霧ガス管7a及び前記噴霧ガス管7aに対して直角又はこれに近い角度で取り付けられた液体原料導入管7bとで構成されている(図1、図4)。図のアトマイザ7は簡略化して記載したもので、様々な構造のものが用いられる。
アトマイザ7は、上記のように基部7k、噴霧ガス管7a及び液体原料導入管7bとで構成されている。
基部7kは円板状で、アウターチューブ1の一方の端部が気密的に当接されるようになっている。
噴霧ガス管7aは、基部7kの中央に突設され、その中心には気化用のキャリアガスG1が通過する主供給孔7cが穿設されている。主供給孔7cの先端は円錐状に絞られ、噴霧口73が設けられている。
そして、噴霧ガス管7aの側面には液体原料導入管7bが設けられ、液体原料導入管7bには主供給孔7cに連通する副供給孔7dが穿設されている。
アウターチューブ1は石英ガラス又は耐熱性ガラス製の円筒状の中空管で、一端が上記のようにアトマイザ7の基部7kに当接し、気密的に閉塞されている。そしてこの閉塞端1aの中心にはアトマイザ7の噴霧口73が開口している。そしてアウターチューブ1の閉塞端1aと反対側の外周面には後述する気化用間隙3に連通する出口ノズル11が突設されている。
インナーチューブ2はアウターチューブ1より細い石英ガラス又は耐熱性ガラス製の円筒状の中空管である。そして、アウターチューブ1と同心でその内部に挿入配置されている。インナーチューブ2の挿入端側である先端頭部2aは閉塞されて半球状に形成されている。なお、図の実施例では先端頭部2aの形状は半球状であるが、勿論、これに限られず、回転楕円体面、回転放物面或いは円錐状であってもよい。
図の場合は、アウターチューブ1とインナーチューブ2とはアウターチューブ1のヒータ挿入側端部でその全周が一体的に接続されている。勿論、インナーチューブ2とアウターチューブ1とは別体でも良いが、その場合は、インナーチューブ2とアウターチューブ1の間に形成される気化用間隙3のアウターチューブ1のヒータ挿入側開口部分を全周に亘って閉塞部材(図示せず)閉塞する。閉塞部材は気化し、気化用間隙3を流れる通流流体Qに侵されない素材が選定される。
インナーチューブ2の外周面には同一円周上で少なくとも3点の微小な突起2tが図中上下2段に亘って設けられており、インナーチューブ2をアウターチューブ1に挿入した時にこの微小な突起2tがアウターチューブ1の内周面に接触してインナーチューブ2とアウターチューブ1との間に全周に亘って均一な且つ十分に狭い気化用間隙3を形成する。この気化用間隙3はヒータ挿入端側で前述のように出口ノズル11に繋がっている。この出口ノズル11は例えばシリコン基板酸化用の反応炉Hに気化ガスG2を質量流量だけ供給する質量流量制御器Sに接続されている。なお、出口ノズル11もアウターチューブ1の一部であるから石英ガラス又は耐熱性ガラスで形成されることになる。
気化用間隙3の幅Wは、特段限定されるものではないが、該幅Wは気化効率の面から高い熱伝達率を有する温度境界層が形成される範囲であることが好ましい。即ち、気化用間隙3を流れる通流流体Qの温度は、インナーチューブ2の外周面又はアウターチューブ1の内周面の温度を壁面温度とすると、これら壁面から離れるに従って流体温度が次第に下がり、或る温度で一定の温度(一様流温度)になる。壁面から一定の温度になる範囲が温度境界層であり、気化用間隙3の幅Wをこの範囲にすることが好ましい。
図1の実施例では、インナーチューブ2とアウターチューブ1のヒータ挿入側の開口端は上記のように全周に亘って融着され、前記気化用間隙3のヒータ挿入側の開口側端部は全周に亘って閉塞される。アウターチューブ1に収納されたインナーチューブ2の先端頭部2aは噴霧口73方向に向いており、噴霧口73が設けられている閉塞端1aと先端頭部2aとの間に霧化空間Mが設けられている。そしてこの霧化空間Mに気化用間隙3が全周に亘って連通している。
そしてインナーチューブ2は、そのヒータ挿入端側で開放しており、ここからインナーヒータブロック8に同心にて挿入されている。このインナーヒータブロック8にはその中心にヒータ9が挿入され、その近傍に例えば熱電対のような温度センサ12が挿入されている。
このインナーヒータブロック8はアルミニウム又は固形のグラファイト(黒鉛)製でその外面形状はインナーチューブ2の内面形状より一回り小さい相似形である。従って、このインナーヒータブロック8の外面とインナーチューブ2の内面の間に極く僅かな隙間が発生し、この隙間にグラファイト粉末が充填されてここにインナー充填層10が形成される。なお、インナー充填層10及び後述するアウター充填層6の充填グラファイト粉末は、充填具合や後述するように重力の関係で粗密が生じるので、熱伝導性に優れていることだけでなく潤滑性に優れていることも重要であり、形状的には鱗片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛、人造黒鉛、高純度黒鉛、薄片化黒鉛、球状黒鉛などから選定される。
インナー充填層10及びアウター充填層6を形成するグラファイト(黒鉛)粉末はその粒度範囲が5〜500μmの粉状又は粒状或いはこれらの混合物であり、よりこの好ましくは10〜100μmである。
ここで上記グラファイト(黒鉛)とアルミニウムの熱膨張係数を比較すると、グラファイト(黒鉛)の熱膨張係数(概略値)は、2.6×10−6/K、アルミニウムの熱膨張係数(概略値)は、23×10−6/Kでグラファイトの方がアルミニウムより約1/9程度で小さい。
また、アルミニウム、グラファイト(黒鉛)、ステンレス及び従来使用していた伝熱ペーストの熱伝導率を比較すると、アルミニウムは210W/m・K、グラファイトは50W/m・K、ステンレスは20W/m・K、伝熱ペーストは0.96W/m・Kであり、グラファイトはアルミニウムより劣るが従来例の伝熱ペーストよりは遥かに優れている。
アウターヒータブロック5は円筒状の部材で、アルミニウム又はグラファイトで形成され、内部に同心にてアウターチューブ1が収納されている。アウターヒータブロック5の収納孔5aの内径はアウターチューブ1の外径より一回り大きく、その間に隙間が設けられ、グラファイト(黒鉛)粉末が充填されたアウター充填層6が設けられる。そして、上記収納孔5aの周囲には同心円上にて複数本のアウターヒータ4が等角度で配置されている。
そして、アウターチューブ1の側面に設けられた出口ノズル11がアウターヒータブロック5の側面に設けられた通孔5hから外に引き出されている。なお、アウターヒータブロック5が固形グラファイトで形成されている場合は、図示しないケーシング内に収納される。
インナーヒータ9には温度センサ12が装備されており、インナーヒータ9の温度を制御している。アウターヒータ4はインナーヒータ9の温度センサ12に連動するように制御してもよいし、図示していないが、アウターヒータ4にも独自に温度センサを用意してもよい。
次に、本発明の気化器Aの作用について説明する。
図5は本発明の気化器Aを使用した半導体製造装置の装置構成の一例で、液体原料L(本実施例では過酸化水素水)が貯蔵され、加圧ガスG0により液体原料Lが送り出される原料タンクT、前記原料タンクTに接続され、供給された液体原料Lを一定流量だけ送り出す液体流量制御器E、窒素ガスや酸素ガスなどの霧化ガス供給源に接続され、これらキャリアとして働く霧化ガスG1を質量流量だけ送り出す質量流量制御器S、前記液体流量制御器Eから送り出された液体原料Lを受け取る液体原料導入管7bと質量流量制御器Sからの霧化ガスG1を受け取る噴霧ガス管7aとを含むアトマイザ7がその入口部分に装備され、例えばシリコン基板酸化用の反応炉Hに気化ガスG2(本実施例では過酸化水素含有水蒸気)を一定量安定的に供給する気化器Aとで構成されている。
この装置において、通電されてインナーヒータ9及びアウターヒータ4が昇温すると、これらを収納するインナーヒータブロック8及びアウターヒータブロック5が昇温して膨張を始める。一方、アウターチューブ1及びインナーチューブ2は熱膨張率がほぼ零であるため熱膨張しない。
加熱時にはインナーヒータブロック8は熱膨張でその直径が増加し、膨張しないインナーチューブ2の内周面とインナーヒータブロック8の外周面との間の隙間がインナーヒータブロック8の熱膨張分だけ狭くなる。この隙間にはグラファイト粉末が充填され、この部分がインナー充填層10となっているので、インナーヒータブロック8の熱膨張によって押圧力を受けたグラファイト粉末は、その優れた潤滑性により流動してその充填度合いを最適化し、前記熱膨張分を吸収し、ガラス製のインナーチューブ2に大きな押圧力の印加を防止する。これを図3に示す。その結果、加熱時におけるガラス製のインナーチューブ2の破損を防ぐことが出来る。そしてグラファイト粉末は上記のようにアルミニウムより1/9程度の小さい熱膨張係数であることもインナーチューブ2の破損防止に寄与する。
一方、アウターヒータブロック5とアウターチューブ1との関係では、アウターヒータブロック5が昇温すると、熱膨張しないアウターチューブ1に対して熱膨張するアウターヒータブロック5の収納孔5aの内径は増加し、収納孔5aの内周面とアウターチューブ1の外周面との間のアウター充填層6を形成する隙間は増加する。従って、アウターヒータブロック5側では加熱時のアウターチューブ1の破損は発生しない。しかしながらこの隙間(アウター充填層6)に充填されているグラファイト粉末は隙間の増加につれて僅かではあるが重力によって下方に移動し、上記隙間に構成されるアウター充填層6に粗密が生じることになる。この粗密とアウターチューブ1との関係については冷却時の現象を説明する時点で詳述する。
そして、アウターヒータ4及びインナーヒータ9の熱はアウターヒータブロック5及びインナーヒータブロック8、アウター充填層6及びインナー充填層10を通ってアウターチューブ1及びインナーチューブ2にそれぞれ伝達されるが、アウター充填層6及びインナー充填層10を構成するグラファイト粉末の熱伝導率が従来の伝熱ペーストに比べて50倍以上高いので、従来の伝熱ペーストに比べて急激にアウターチューブ1及びインナーチューブ2を所定温度まで短時間で昇温させることができる。このことは昇温において、熱伝導率の悪い従来の伝熱ペースト使用の場合では、アウターヒータ4及びインナーヒータ9を高温に維持する必要があったが、グラファイト粉末の使用の場合は、伝熱ペースト使用の場合に比べてより低い温度で達成できる。
アウターチューブ1及びインナーチューブ2が所定温度まで加熱されるとアトマイザ7に液体原料L(本実施例では過酸化水素水)が液体原料導入管7bの副供給孔7dに供給され、同時に噴霧ガス管7aの主供給孔7cに霧化ガスG1が圧入される。これによって噴霧口73から液体原料Lが霧状流体Kとなって霧化空間M内に吹き込まれる。
この霧状流体Kはインナーチューブ2の球状の先端頭部2aに衝突し、先端頭部2aに沿って流れる。先端頭部2aの外周縁ではインナーチューブ2の外周円の接線方向或いはこれに近い方向で流れ、インナーチューブ2の周囲を旋回しながら出口ノズル11に向かって気化用間隙3内を進む。即ち、気化用間隙3内で旋回流を発生させる。この旋回流となって気化用間隙3内を進む通流流体Qは気化用間隙3内では最初は微細液滴を大量に含み、進むにつれて熱の供給を受けて次第に蒸発し、最後には気化ガスG2となって出て行く。この間、通流流体Qはインナーチューブ2の周囲を旋回する旋回流となって気化用間隙3内を進むので、加熱時間を十分に確保することが出来る。この間、気化用間隙3全体が温度境界層となっている場合には、前記旋回流は壁面温度に近い温度に熱せられて急速に気化し、出口ノズル11から排出されて質量流量制御器Sに供給される。
この気化工程において、液体原料Lの気化量の増加が要求されると、アウターチューブ1及びインナーチューブ2に増加分の熱量を供給しなければならなくなる。
従来の伝熱ペーストでは熱伝導率が悪いので、アウターヒータ4及びインナーヒータ9の温度を高くせざるを得ないが、熱伝導率の優れたグラファイト粉末をアウター充填層6、インナー充填層10として用いることで必要とされる熱量をアウターヒータ4やインナーヒータ9から素早く供給でき、これによってアウターヒータ4やインナーヒータ9の温度を従来に比べて低く抑えることができる。
このようにして液体原料Lを所定量だけ気化供給すると、アウターヒータ4やインナーヒータ9の通電を止め気化作業を終了する。これによりアウターヒータブロック5及びインナーヒータブロック8は次第に冷却して収縮する。一方、上記のようにアウターチューブ1及びインナーチューブ2は収縮せず、上記のように両者間の隙間が変化する。
即ち、インナーヒータブロック8ではその直径が減少し、インナーチューブ2の内周面とインナーヒータブロック8の外周面との間のインナー充填層10を構成する隙間が収縮分だけ広くなる。従って、インナーヒータブロック8とインナーチューブ2の関係では冷却時において、インナーチューブ2に圧力が加わるようなことがなく、これによって破損するようなことはない。ただし、上記隙間が収縮分だけ広くなると、重力の関係でグラファイト粉末が下方に流れ、インナー充填層10に若干の粗密ができる。この粗密による次回の加熱時のインナーチューブ2の破損は上記のグラファイト粉末の潤滑性により回避される。
一方、アウターヒータブロック5とアウターチューブ1との関係では、アウターヒータブロック5が冷却されると、収縮しないアウターチューブ1に対してアウターヒータブロック5の収納孔5aの内径が減少し、収納孔5aの内周面とアウターチューブ1の外周面との間のアウター充填層6を形成する隙間が減少する。この時点では上記のように両者の間でアウター充填層6を形成しているグラファイト粉末に重力による粗密があるため、アウターヒータブロック5の収縮により密に充填されている部分にアウターヒータブロック5からの締め付け圧力が加わる(図3の右側の破線矢印)。
アウター充填層6を形成しているグラファイト粉末は潤滑性に優れるために、上記締め付け圧力が加わると当該部分のグラファイト粉末はその高潤滑性により流動して押し上げられ、アウターチューブ1への締め付け圧力の上昇を大幅に抑制する。その結果、冷却時におけるアウターチューブ1の破損が防止される。
なお、上記気化器Aのアトマイザ7、アウターチューブ1及びインナーチューブ2が石英ガラスで形成されている場合には、液体原料Lが過酸化水素水であったとしても、これに侵されないので、シリコン基板の表面酸化に適用することが出来る。
A:気化器、E:液体流量制御器、G0:加圧ガス、G1:霧化ガス(キャリアガス)、G2:気化ガス(水蒸気)、H:反応炉、K:霧状流体、L:液体原料、M:霧化空間、Q:通流流体、S:質量流量制御器、T:原料タンク、W:気化用間隙の幅、1:アウターチューブ、1a:閉塞端、2:インナーチューブ、2a:先端頭部、2t:突起、3:気化用間隙、4:アウターヒータ、5:アウターヒータブロック、5a:収納孔、5h:通孔、6:アウター充填層、7:アトマイザ、7a:噴霧ガス管、7b:液体原料導入管、7c:主供給孔、7d:副供給孔、7k:基部、8:インナーヒータブロック、9:インナーヒータ、10:インナー充填層、11:出口ノズル、12:温度センサ、73:噴霧口

Claims (3)

  1. 液体原料を霧化して吹き出すアトマイザと、
    前記アトマイザの、噴霧口が形成されている基部に接続され、石英ガラス又は耐熱性ガラスで形成されている中空のアウターチューブと、
    前記アウターチューブ内に収納され、石英ガラス又は耐熱性ガラスで形成されているインナーチューブと、
    前記インナーチューブの内側に設けられ、インナーヒータを内蔵するインナーヒータブロックとを含む気化器において、
    前記インナーチューブの挿入側の先端頭部は前記噴霧口方向に向くように配置され、前記噴霧口が形成されている前記基部と前記挿入側の先端頭部との間に霧化空間が設けられ、
    前記アウターチューブの内周面とインナーチューブの外周面との間に前記霧化空間に連通する気化用間隙が設けられ、
    前記インナーチューブの内周面と前記インナーヒータブロックの外周面との間にグラファイト粉末が充填されたインナー充填層が形成されていることを特徴とする気化器。
  2. 前記アウターチューブの外側に設けられ、アウターヒータが装着されたアウターヒータブロックが更に設けられ、
    前記アウターチューブの外周面と前記アウターヒータブロックの内周面との間にグラファイト粉末が充填されたアウター充填層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の気化器。
  3. インナーヒータブロック8がグラファイトブロックで形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の気化器。
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