JP2021178874A - 患者におけるishak線維症ステージに基づいた肝線維症の軽減方法及びライソゾーム酸性リパーゼ欠損症の治療方法 - Google Patents

患者におけるishak線維症ステージに基づいた肝線維症の軽減方法及びライソゾーム酸性リパーゼ欠損症の治療方法 Download PDF

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Abstract

【課題】患者の生活に質を改善することを目的に、投与頻度を最小限にした有効なLAL欠損症の治療法を提供する。【解決手段】本発明は、ライソゾーム酸性リパーゼ(LAL)欠損症を有するヒト患者において肝線維症を軽減する方法であって、セベリパーゼアルファを該患者に投与することを含み、該患者が、Ishak線維症ステージ(スコア)において、セベリパーゼアルファの投与前に該患者から得たベースラインIshak線維症ステージと比較して、セベリパーゼアルファの投与後に少なくとも1ポイントの減少(例えば、1ポイント以上の減少又は2ポイント以上の減少)を有すると判定された、方法を提供する。【選択図】なし

Description

関連出願
本出願は、2016年9月30日に出願された米国仮特許出願第62/402183号、2016年11月10日に出願された米国仮特許出願第62/420233号、及び2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456511号の利益を主張するものであり、これらの出願の内容は参照により本明細書に援用される。
配列表
本出願は配列表を含んでおり、該配列表はASCIIフォーマットで電子的に提出されたものであり、かつその全体が参照により本明細書に援用される。このASCIIコピーは2017年9月14日に作成され、AXJ−221PC_SL.txtという名称であり、サイズは3,958バイトである。
ライソゾーム酸性リパーゼ(LAL)欠損症(LAL−D)は、酵素の欠損のためにライソゾームでコレステリルエステル(CE)及びトリグリセリド(TAG)が分解されないことによって特徴づけられる、稀なライソゾーム病(LSD)である。LAL欠損症は、多くの組織及び細胞型で基質の蓄積を伴うその他のライソゾーム病に類似している。LAL欠損症では、肝臓のKupffer細胞、脾臓及び小腸粘膜固有層の組織球を含めた細網内皮系の細胞で、基質の蓄積が最も顕著である。細網内皮細胞は、マクロファージマンノース/N−アセチルグルコサミン受容体(マクロファージマンノース受容体、MMR、又はCD206としても知られている)を発現するが、この受容体は、GlcNAc又はマンノース末端N−グリカンを持つタンパク質の結合、細胞取り込み、及びライソゾーム内への移行を媒介し、この重要な細胞型における酵素欠損を是正し得る経路を提供するものである。
LAL欠損症は、胃腸、肝臓、及び心血管の合併症を伴って好発し、罹患率及び死亡率が高いとして知られる多系統疾患である。LAL欠損症の臨床的な影響は、多数の組織においてライソゾームに大量の脂質物質が蓄積すること、並びに肝コレステロール合成が大幅に増えることを含めてコレステロール及び脂質の恒常性維持機構が重度に攪乱されることに起因するものである。LAL欠損症には、ウォルマン病(WD)及びコレステリルエステル蓄積症(CESD)という少なくとも二つの表現型がある。
ウォルマン病は、最初にそれを説明した医師にちなんで名称が付けられたものであり、LAL欠損症の最も侵攻性の高い症状である。この表現型は、成長阻害、吸収不良、脂肪便、重度の体重減少、リンパ節腫大、脾腫大、肝腫大を含めた、胃腸及び肝臓での発現を特徴とする。ウォルマン病は急速進行性であり、通常は生後一年以内に例外なく死に至る。生後一年以内に重症のLAL欠損症に起因した成長阻害を示す患者が12カ月齢よりも長く生存することは極めて稀であることが、症例報告レビューに示されている。この最も侵攻型では、成長阻害が顕著な臨床上の特徴であり、早期死亡率の主な誘因となる。肝肥大及びトランスアミナーゼ上昇により明らかになる肝病変も乳児ではよく見られる。
ウォルマン病の診断は、身体所見及び臨床検査の両方により確定されるものである。乳児は、下痢、持続性嘔吐、摂食困難、発育不全、及び成長障害により生後2カ月以内に入院することになるのが典型的である。身体所見には肝腫大及び脾腫大による腹部膨張などがあり、またレントゲン検査により副腎の石灰沈着が明らかになることも多い。臨床評価では通例、血清トランスアミナーゼレベルが上昇したことや、内因性LAL酵素活性がないこと又は極端に低下したことが明らかになる。コレステロール及びトリグリセリドの血中レベルの上昇が一部の患者に見られる。
LAL欠損症の患者は、後年、顕著な肝臓及び心血管の病変を現す場合もあり、これをコレステリルエステル蓄積症(CESD)と称することが多い。CESDでは、著しい肝腫大、肝細胞壊死、トランスアミナーゼの上昇、肝硬変、及び肝線維症により肝臓が重症となる。CE及びTAGのレベルが増加するため、心血管病変は、高脂血症を特徴とし得る。CESDに罹患している一部の対象において、動脈壁への脂肪沈着物の蓄積(アテローム性動脈硬化症)が報告されている。沈着は、動脈管腔を狭め、血管の閉塞をもたらして、心筋梗塞及び心筋発作を含めた顕著な心血管事象のリスクを増加させる可能性がある。しかしながら、LAL欠損症に罹患している全ての対象がアテローム性動脈硬化症を発症するわけではない。例えば、ウォルマン病の患者は、肝臓及び脾臓の肥大、リンパ節腫大、及び小腸による吸収不良を含めた、この疾患に関連する他の症状で苦しめられるが、WDは通常、アテローム性動脈硬化症を特徴とするものではない(The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease (Scriver,C.R.,Beaudet,A.L.,Sly,W.S.and Valle D.,eds)7th ed.,Volume 2 p.2570 McGraw−Hill,1995)。同様に、全てのCESD患者がアテローム性動脈硬化症を示すわけではない。Di Bisceglie et al.,Hepatology 11:764−772(1990),Ameis et al.,J.Lipid Res.36:241−250(1995)を参照のこと。CESDの症状は、合併症が成人期後期に顕在化するまで診断されないまま経過した患者については極めて多様である一方で、それ以外の患者は、幼児期早期に現れる肝機能障害を発症し得る。CESDは、短寿命及び著しい健康障害を伴う。CESDを有する者の平均余命は、随伴する合併症の重症度によって異なる。
多くの場合、LAL欠損症の治療法には生涯にわたる治療が必要となる。したがって、患者の生活に質を改善することを目的に、投与頻度を最小限にした有効な治療法が大いに必要とされている。
The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease (Scriver,C.R.,Beaudet,A.L.,Sly,W.S.and Valle D.,eds)7th ed.,Volume 2 p.2570 McGraw−Hill,1995 Di Bisceglie et al.,Hepatology 11:764−772(1990),Ameis et al.,J.Lipid Res.36:241−250(1995)
本発明は、ライソゾーム酸性リパーゼ(LAL)欠損症を有するヒト患者において肝線維症を軽減する方法であって、セベリパーゼアルファを該患者に投与することを含み、該患者が、Ishak線維症ステージ(スコア)において、セベリパーゼアルファの投与前に該患者から得たベースラインIshak線維症ステージと比較して、セベリパーゼアルファの投与後に少なくとも1ポイントの減少(例えば、1ポイント以上の減少又は2ポイント以上の減少)を有すると判定された、方法を提供する。
一実施形態では、LAL欠損症を有するヒト患者において肝線維症を軽減する方法は、
(a)セベリパーゼアルファを該患者に投与することと、(b)該患者が、Ishak線維症ステージにおいて、セベリパーゼアルファの投与前に該患者から得たベースラインIshak線維症ステージと比較して、セベリパーゼアルファの投与後に少なくとも1ポイントの減少(例えば、1ポイント以上の減少又は2ポイント以上の減少)を有するか否かを判定することと、を含み、少なくとも1ポイントの減少が肝線維症の軽減を示す。
別の実施形態では、LALを有するヒト患者において肝線維症を軽減する方法は、
(a)患者由来の肝生検材料を採取し、該生検に基づいてベースラインIshak線維症ステージを割り当てることと、(b)該生検に続いてセベリパーゼアルファを該患者に投与することと、(c)該患者から第2の肝生検材料を採取し、セベリパーゼアルファ投与後のIshak線維症ステージを割り当てることと、(d)該患者が、Ishak線維症ステージにおいて、前述のベースラインIshak線維症ステージと比較して、セベリパーゼアルファの投与後に少なくとも1ポイントの減少を有するか否かを判定することと、を含み、少なくとも1ポイントの減少(例えば、1ポイント以上の減少又は2ポイント以上の減少)が肝線維症の軽減を示す。
別の実施形態では、本方法は、セベリパーゼアルファ投与前の1以上(例えば、1、2、3、4、5、又は6のIshak線維症ステージ)のベースラインIshak線維症ステージに基づいて、肝線維症を有するLAL患者を診断することによって、肝線維症を有する該患者を診断及び治療することを含み、ベースラインと比較して、セベリパーゼアルファの治療後のIshak線維症ステージにおける少なくとも1ポイントの減少(例えば、1ポイント以上の減少又は2ポイント以上の減少)が肝線維症の軽減を示す。
また、ライソゾーム酸性リパーゼ(LAL)欠損症を有するヒト患者を治療する方法であって、セベリパーゼアルファを該患者に投与することを含み、該患者が、Ishak線維症ステージにおいて、セベリパーゼアルファの投与前に該患者から得たベースラインIshak線維症ステージと比較して、セベリパーゼアルファの投与後に少なくとも1ポイントの減少(例えば、1ポイント以上の減少又は2ポイント以上の減少)を有すると判定された、方法を提供する。一実施形態では、本方法は、(a)セベリパーゼアルファを該患者に投与することと、(b)該患者が、Ishak線維症ステージにおいて、セベリパーゼアルファの投与前に該患者から得たベースラインIshak線維症ステージと比較して、セベリパーゼアルファの投与後に少なくとも1ポイントの減少(例えば、1ポイント以上の減少又は2ポイント以上の減少)を有するか否かを判定することと、を含み、少なくとも1ポイントの減少が治療を示す。
別の実施形態では、LAL欠損症を有するヒト患者を治療する方法は、
(a)患者由来の肝生検材料を採取し、該生検に基づいてベースラインIshak線維症ステージを割り当てることと、(b)該生検に続いてセベリパーゼアルファを該患者に投与することと、(c)該患者から第2の肝生検材料を採取し、セベリパーゼアルファ投与後の第2のIshak線維症ステージを割り当てることと、(d)該患者が、Ishak線維症ステージにおいて、前述のベースラインIshak線維症ステージと比較して、セベリパーゼアルファの投与後に少なくとも1ポイントの減少を有するか否かを判定することと、を含み、少なくとも1ポイントの減少(例えば、1ポイント以上の減少又は2ポイント以上の減少)が治療を示す。
別の実施形態では、本方法は、セベリパーゼアルファ投与前の1以上(例えば、1、2、3、4、5、又は6のIshak線維症ステージ)のベースラインIshak線維症ステージに基づいて、肝線維症を有するLAL患者を診断することによって、該患者を治療することを含み、ベースラインと比較して、セベリパーゼアルファの治療後のIshak線維症ステージにおける少なくとも1ポイントの減少(例えば、1ポイント以上の減少又は2ポイント以上の減少)が治療を示す。
本明細書に記載の方法は、1ポイントの減少をもたらす。例えば、一実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ6からIshak線維症ステージ5への減少をもたらす。別の実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ5からIshak線維症ステージ4への減少をもたらす。別の実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ4からIshak線維症ステージ3への減少をもたらす。別の実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ3からIshak線維症ステージ2への減少をもたらす。別の実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ2からIshak線維症ステージ1への減少をもたらす。別の実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ0からIshak線維症ステージ0への減少をもたらす。別の実施形態では、減少は1ポイント以上の減少である。
別の実施形態では、減少は2ポイントの減少である。例えば、一実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ6からIshak線維症ステージ4への減少をもたらす。別の実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ5からIshak線維症ステージ3への減少をもたらす。別の実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ4からIshak線維症ステージ2への減少をもたらす。別の実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ3からIshak線維症ステージ1への減少をもたらす。別の実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ2からIshak線維症ステージ0への減少をもたらす。別の実施形態では、減少は2ポイント以上の減少である。
別の実施形態では、減少は3ポイントの減少である。例えば、一実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ6からIshak線維症ステージ3への減少をもたらす。別の実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ5からIshak線維症ステージ2への減少をもたらす。別の実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ4からIshak線維症ステージ1への減少をもたらす。別の実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ3からIshak線維症ステージ0への減少をもたらす。別の実施形態では、減少は3ポイント以上の減少である。
一実施形態では、少なくとも1ポイントの減少が、20週目に又は20週目までに生じる。別の実施形態では、少なくとも1ポイントの減少が、30週目に又は30週目までに生じる。別の実施形態では、少なくとも1ポイントの減少が、52週目に又は52週目までに生じる。別の実施形態では、2ポイント以上の減少が、52週目に又は52週目までに生じる。
Ishak線維症ステージは、当該技術分野で公知の任意の適切な技術によって評価することができる。一実施形態では、Ishak線維症ステージは肝生検により評価される。一実施形態では、患者はベースラインで肝硬変を有している。
セベリパーゼアルファは、患者に当該技術分野で公知の任意の適切な手段により投与することができる。一実施形態では、セベリパーゼアルファは静脈内注入物として投与される。一実施形態では、セベリパーゼアルファは少なくとも2時間にわたって注入される。別の実施形態では、セベリパーゼアルファは患者に隔週1回、1mg/kgの用量で投与される。セベリパーゼアルファが患者に隔週1回、1mg/kgの用量で投与される特定の実施形態では、セベリパーゼアルファは、(a)1kg〜10.9kgの患者に対して10mL、(b)11kg〜24.9kgの患者に対して25mL、(c)25kg〜49.9kgの患者に対して50mL、(d)50kg〜99.9kgの患者に対して100mL、又は(e)100kg〜120.9kgの患者に対して250mLの総注入容量で投与される。別の実施形態では、セベリパーゼアルファは患者に毎週1回、3mg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、セベリパーゼアルファは患者に毎週1回又は隔週1回、0.35mg/kgの用量で投与される(例えば、小児患者に対して又は耐性の問題のある事象において)。セベリパーゼアルファが患者に毎週1回、3mg/kgの用量で投与される特定の実施形態では、セベリパーゼアルファは、(a)1kg〜10.9kgの患者に対して25mL、(b)11kg〜24.9kgの患者に対して50mL、(c)25kg〜49.9kgの患者に対して100mL、(d)50kg〜99.9kgの患者に対して250mL、又は(e)100kg〜120.9kgの患者に対して500mLの総注入容量で投与される。
別の実施形態では、患者は第2の治療薬を投与される。第2の治療薬としては、例えば、コレステロール降下薬(例えば、スタチン又はエゼチミブ)、抗ヒスタミン薬(例えば、ジフェンヒドラミン)、又は免疫抑制薬が挙げられ得る。
本明細書に記載の方法の有効性は、任意の適切な手段で評価することができる。
別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、低比重リポタンパクコレステロール(LDL−C)の正常レベルへの移行(例えば、ベースラインと比較した場合のLDL−Cレベルの減少)をもたらす。別の実施形態では、本明細書に記載の方法により、LDL−Cレベルがベースラインと比較して少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、又は35%減少することになる(例えば、SAでの治療の20週以上後)。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法により、LDL−Cレベルがベースラインと比較して少なくとも約26%、27%、28%、29%、又は30%減少することになる(例えば、SAでの治療の20週後、52週後、又は76週後)。
別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、高比重リポタンパクコレステロール(HDL−C)の正常レベルへの移行(例えば、ベースラインと比較した場合のHDL−Cレベルの増加)をもたらす。別の実施形態では、本明細書に記載の方法により、HDL−Cレベルがベースラインと比較して少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、又は35%増加することになる(例えば、SAでの治療20週以上の後)。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法により、HDL−Cレベルがベースラインと比較して少なくとも約18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、又は25%増加することになる(例えば、SAでの治療の20週後、52週後、又は76週後)。
別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、非高比重リポタンパクコレステロール(non−HDL−C)の正常レベルへの移行(例えば、ベースラインと比較した場合のnon−HDL−Cレベルの減少)をもたらす。別の実施形態では、本明細書に記載の方法により、non−HDL−Cレベルがベースラインと比較して少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、又は35%減少することになる(例えば、SAでの治療の20週以上後)。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法により、non−HDL−Cレベルがベースラインと比較して少なくとも約25%、26%、27%、28%、29%、又は30%減少することになる(例えば、SAでの治療の20週後、52週後、又は76週後)。
別の実施形態では、本方法により、ベースラインと比較して、(ALT)、LDL−C、コラーゲン、門脈炎症、小葉炎症、大滴性脂肪症、微小胞脂肪症、マクロファージ、及び/又は全肝脂肪含有量のレベルが減少することになる。
別の実施形態では、本明細書に記載の方法により、肝臓の機能が改善することになる。別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、肝臓検査を正常化するのに十分なものである。別の実施形態では、本明細書に記載の方法により、肝臓トランスアミナーゼ(例えば、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及び/又は血清アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)など)が正常血清レベルへ移行することになる。別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、AST及び/又はALTを減少させるのに十分なものである。別の実施形態では、本明細書に記載の方法により、ALTレベルがベースラインと比較して少なくとも約35%、40%、45%、50%、55%、又は60%減少することになる(例えば、SAでの治療の20週以上後)。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法により、ALTレベルがベースラインと比較して少なくとも約51%、52%、53%、54%、55%、56%、又は57%減少することになる(例えば、SAでの治療の20週後、52週後、又は76週後)。
別の実施形態では、本明細書に記載の方法により、ASTレベルがベースラインと比較して少なくとも約35%、40%、45%、50%、55%、又は60%減少することになる(例えば、SAでの治療の20週以上後)。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法により、ASTレベルがベースラインと比較して少なくとも約42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、又は51%減少することになる(例えば、SAでの治療の20週後、52週後、又は76週後)。
別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、肝腫大を最小化するのに十分なものである。 別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、患者の肝臓サイズを減少させるのに十分なものである。別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、正常の肝容積への移行(例えば、ベースラインと比較した場合の肝容積の減少)をもたらす。別の実施形態では、本明細書に記載の方法により、肝容積がベースラインと比較して少なくとも約5%、10%、15%、又は20%減少することになる(例えば、SAでの治療の20週以上後)。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法により、肝容積がベースラインと比較して少なくとも約11%、12%、又は13%減少することになる(例えば、SAでの治療の20週後、30週後、52週後、又は76週後)。
別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、肝脂肪含有量(肝脂肪画分)の正常レベルへの移行(例えば、ベースラインと比較した場合の肝脂肪含有量の減少)をもたらす。別の実施形態では、本明細書に記載の方法により、肝脂肪画分がベースラインと比較して少なくとも約10%、15%、20%、又は25%減少することになる(例えば、SAでの治療の20週以上後)。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法により、肝脂肪画分がベースラインと比較して少なくとも約21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、又は29%減少することになる(例えば、SAでの治療の20週後、30週後、52週後、又は76週後)。
一実施形態では、肝脂肪含有量のレベルは、磁気共鳴映像法(MRI)により評価される。
別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、血清フェリチンレベルを減少させるのに十分なものである。別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、血清脂質レベル(例えば、コレステリルエステル(CE)レベル及び/又はトリグリセリド(TG)レベルなど)を低減させるのに十分なものである。別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、TGの正常レベルへの移行(例えば、ベースラインと比較した場合のTGレベルの減少)をもたらす。別の実施形態では、本明細書に記載の方法により、TGレベルがベースラインと比較して少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、又は35%減少することになる(例えば、SAでの治療の20週以上後)。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法により、TGレベルがベースラインと比較して少なくとも約16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、又は25%減少することになる(例えば、SAでの治療の20週後、52週後、又は76週後)。
別の実施形態では、本方法により、ベースラインと比較して、ALTが約60%以上、LDL−Cが約40%以上、及び/又は肝脂肪含有量が約30%以上減少することになる。
別の実施形態では、患者は小児患者である。別の実施形態では、SAでの治療を開始する時に、患者は8カ月齢未満である。別の実施形態では、SAは小児患者に毎週又は隔週1回、1mg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、SAは小児患者に隔週1回、3mg/kg又は5mg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、SAは小児患者に毎週又は隔週1回、0.35mg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の方法により、小児患者が40カ月以上の(例えば、41カ月、42カ月、43カ月、44カ月、45カ月、46カ月、47カ月、48カ月、49カ月、50カ月、51カ月、52カ月、53カ月、54カ月、55カ月、56カ月、57カ月、58カ月、59カ月、60カ月、61カ月、62カ月、63カ月、64カ月、65カ月、66カ月、67カ月、68カ月、69カ月、70カ月、又はそれを超える)平均余命となる。別の実施形態では、本明細書に記載の方法により、小児患者の体重増加が改善することになる。例えば一実施形態では、小児患者は、SAでの治療後、年齢対体重の成長曲線で45%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、又は85%)以上のパーセンタイルにある。別の実施形態では、本明細書に記載の方法により、小児患者における胃腸症状が改善する(例えば、嘔吐及び下痢が軽減される)ことになる。別の実施形態では、本明細書に記載の方法により、小児患者におけるアルブミンが正常レベルとなる。別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、小児患者において正常な肝臓機能をもたらす。別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、小児患者においてALTの正常レベルへの移行(例えば、ベースラインと比較した場合のALTレベルの減少)をもたらす。別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、小児患者においてASTの正常レベルへの移行(例えば、ベースラインと比較した場合のASTレベルの減少)をもたらす。別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、小児患者においてヘモグロビンの正常レベルへの移行(例えば、ベースラインと比較した場合のヘモグロビンレベルの増加)をもたらす。別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、小児患者においてアルブミンの正常レベルへの移行(例えば、ベースラインと比較した場合のアルブミンレベルの増加)をもたらす。別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、小児患者において正常な発育をもたらす。
また、ライソゾーム酸性リパーゼ(LAL)欠損症を有するヒト患者における肝線維症を軽減するためのキットであって、(a)ある用量のセベリパーゼアルファと、(b)本明細書に記載の方法のうちのいずれか一つでセベリパーゼアルファを使用するための指示書と、を含むキットが提供される。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
ライソゾーム酸性リパーゼ(LAL)欠損症を有するヒト患者において肝線維症を軽減する方法であって、セベリパーゼアルファを前記患者に投与することを含み、前記患者が、Ishak線維症ステージにおいて、投与前に前記患者から得たベースラインIshak線維症ステージと比較して、投与後に少なくとも1ポイントの減少を有すると判定された、方法。
(項目2)
ライソゾーム酸性リパーゼ(LAL)欠損症を有するヒト患者を治療する方法であって、セベリパーゼアルファを前記患者に投与することを含み、前記患者が、Ishak線維症ステージにおいて、投与前に前記患者から得たベースラインIshak線維症ステージと比較して、投与後に少なくとも1ポイントの減少を有すると判定された、方法。
(項目3)
ライソゾーム酸性リパーゼ(LAL)欠損症を有するヒト患者において肝線維症を軽減する方法であって、
(a) セベリパーゼアルファを前記患者に投与することと、
(b) 前記患者が、Ishak線維症ステージにおいて、投与前に前記患者から得たベースラインIshak線維症ステージと比較して、投与後に少なくとも1ポイントの減少を有するか否かを判定することと、を含み、
少なくとも1ポイントの減少が肝線維症の軽減を示す、方法。
(項目4)
ライソゾーム酸性リパーゼ(LAL)欠損症を有するヒト患者を治療する方法であって、
(a) セベリパーゼアルファを前記患者に投与することと、
(b) 前記患者が、Ishak線維症ステージにおいて、投与前に前記患者から得たベースラインIshak線維症ステージと比較して、投与後に少なくとも1ポイントの減少を有するか否かを判定することと、を含み、
少なくとも1ポイントの減少が治療を示す、方法。
(項目5)
前記患者が2ポイント以上の減少を有すると判定された、項目1又は項目2に記載の方法。
(項目6)
前記患者が2ポイント以上の減少を有するか否かを判定することを含む、項目3又は項目4に記載の方法。
(項目7)
前記少なくとも1ポイントの減少が20週目か、又は20週目までに生じる、項目1から項目4のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記少なくとも1ポイントの減少が30週目か、又は30週目までに生じる、項目1から項目4のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記2ポイント以上の減少が52週目か、又は52週目までに生じる、項目5又は項目6に記載の方法。
(項目10)
前記Ishak線維症ステージが肝生検により評価される、項目1から項目9のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
セベリパーゼアルファが静脈内注入として投与される、項目1から項目10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
セベリパーゼアルファが少なくとも二時間にわたって注入される、項目11に記載の方法。
(項目13)
セベリパーゼアルファが前記患者に隔週1回、1mg/kgの用量で投与される、項目1から項目12のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
セベリパーゼアルファが、
a) 1kg〜10.9kgの患者に対して10mL;
b) 11kg〜24.9kgの患者に対して25mL;
c) 25kg〜49.9kgの患者に対して50mL;
d) 50kg〜99.9kgの患者に対して100mL;又は
e) 100kg〜120.9kgの患者に対して250mLの総注入容量で投与される、項目13に記載の方法。
(項目15)
セベリパーゼアルファが前記患者に毎週1回、3mg/kgの用量で投与される、項目1から項目12のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
セベリパーゼアルファが、
a) 1kg〜10.9kgの患者に対して25mL;
b) 11kg〜24.9kgの患者に対して50mL;
c) 25kg〜49.9kgの患者に対して100mL;
d) 50kg〜99.9kgの患者に対して250mL;又は
e) 100kg〜120.9kgの患者に対して500mLの総注入容量で投与される、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記患者がベースラインで肝硬変を有する、項目1から項目16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
前記方法が、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、コラーゲン、マクロファージ、低比重リポタンパクコレステロール(LDL−C)、及び/又は肝脂肪含有量の正常レベルへの移行をもたらす、項目1から項目17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記方法により、ベースラインと比較して、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、低比重リポタンパクコレステロール(LDL−C)、コラーゲン、門脈炎症、小葉炎症、大滴性脂肪症、微小胞脂肪症、マクロファージ、及び/又は全肝脂肪含有量のレベルが減少することになる、項目1から項目17のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記方法により、ベースラインと比較して、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)が約60%以上、低比重リポタンパクコレステロール(LDL−C)が約40%以上、及び/又は肝脂肪含有量が約30%以上減少することになる、項目19に記載の方法。
(項目21)
肝脂肪含有量のレベルが磁気共鳴映像法(MRI)により評価される、項目18から項目20のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
ライソゾーム酸性リパーゼ(LAL)欠損症を有するヒト患者における肝線維症を軽減するためのキットであって、
(a)ある用量のセベリパーゼアルファと、
(b)項目1から項目21のいずれか一項に記載の方法でセベリパーゼアルファを使用するための指示書と、を含む、キット。
図1は全体の試験計画を示す。 図2はARISEにおける肝生検の頻度を示す。 図3は対応のある肝生検データ(H&E染色)を有する対象のベースラインから20週目までの肝脂肪症の割合の変化を示す。 図4はベースラインと20週目での対応のある肝生検データを有する対象の脂肪症割合の中央値の変化を示す。 図5は二重盲検期(20週のSA曝露(n=16))の間のSA群におけるIshakステージの変化を示す。 図6は非盲検期(52週のSA曝露(n=12))の間のSA群におけるIshakステージの変化を示す。 図7は二重盲検期(0週のSA曝露(n=10))の間のPBO群におけるIshakステージの変化を示す。 図8は非盲検期(30週のSA曝露(n=8))においてPBO群でSAを開始した場合のIshakステージの変化を示す。 図9はSAで20週及び52週治療した後のALT、AST、LDL−C、HDL−C、Non−HDL−C、及びTGのデータ一覧を示す。 図10は治療群(すなわちSA/SA及びPBO/SA)におけるALTの平均値の経時的な変化を示す。 図11はSAで76週治療した場合の脂質パラメーターにおけるベースラインからの平均値の変化を示す。 図12は小児LAL−CL03臨床試験の生存統計を示す。 図13は誕生から死亡までの時間(LAL−CL03臨床試験)と成長阻害を有する未治療のLAL−D乳児(LAL−−NH01臨床試験)のカプラン・マイヤープロットを示す。 図14は患者Dの年齢対体重の成長曲線を示す。 図15A〜15Fは患者B(図15A)、患者C(図15B)、患者D(図15C)、患者E(図15D)、患者F(図15E)、患者G(図15F)の年齢対体重の成長曲線を示す。 同上。 同上。 図16A〜16Fは経時的な肝臓と血液のパラメーター(ALT(図16A)、AST(図16B)、ヘモグロビン(図16C)、フェリチン(図16D)、アルブミン(図16E)、血小板(図16F))を示す。 同上。 同上。
本発明は、ライソゾーム酸性リパーゼ(LAL)欠損症を有するヒト患者において肝線維症を軽減する方法であって、セベリパーゼアルファを該患者に投与することを含み、該患者が、Ishak線維症ステージにおいて、投与前に該患者から得たベースラインIshak線維症ステージと比較して、投与後に少なくとも1ポイントの減少(例えば、1ポイント以上の減少又は2ポイント以上の減少)を有すると判定された、方法を提供する。また、ライソゾーム酸性リパーゼ(LAL)欠損症を有するヒト患者を治療する方法であって、セベリパーゼアルファを該患者に投与することを含み、該患者が、Ishak線維症ステージにおいて、投与前に該患者から得たベースラインIshak線維症ステージと比較して、投与後に少なくとも1ポイントの減少(例えば、1ポイント以上の減少又は2ポイント以上の減少)を有すると判定された、方法を提供する。
定義
便宜上、本明細書、実施例、及び添付の特許請求の範囲で使用される特定の用語を本明細書で明記して、本発明を説明するために使用される種々の用語の意味及び範囲を説明かつ定義する。
本明細書で使用される「LAL」とは、「ライソゾーム酸性リパーゼ」を表し、この二つの用語は、本出願全体を通して互換的に使用される。LALは、ヒトタンパク質、すなわち、ヒトライソゾーム酸性リパーゼであり得る。「SBC−102」という用語は、本明細書で使用される場合、組換えヒトライソゾーム酸性リパーゼを表す。LALは、文献において、酸コレステリルエステル加水分解酵素、コレステリルエステラーゼ、リパーゼA、LIPA、及びステロールエステラーゼとも称されている。
LALは、コレステロールエステル及びトリグリセリドからの遊離コレステロール、グリセロール、及び遊離脂肪酸への加水分解に触媒作用を及ぼす。よって、「LAL活性」は、例えば、蛍光基質であるオレイン酸4−メチルウンベリフェリル(4MUO)の切断により測定することができる。4MUOの切断は、例えば、放出されたフルオロフォアである4−メチルウンベリフェロン(4MU)の約360nmでの励起、及び460nmでの発光により検出され得る。結果は、相対蛍光単位(RFU)で記録され得る。例えば、30分のエンドポイントアッセイで切断された基質の量は、4MU標準曲線に対して定量化することができ、活性の1単位(U)は、37℃で1分当たり1マイクロモルの4MUOを切断するために必要とされる酵素の量として定義され得る。したがって、LALの機能的断片又は機能的変異体は、LAL活性(例えばコレステロールエステル及び/又はトリグリセリドを加水分解する能力)を有する断片又は変異体を含む。
本明細書で使用される場合、「外因性LAL」とは、患者が自然に産生しないLALを表す。例えば、外因性LALには、患者に投与される組換えLALタンパク質と、ある人又は動物から単離され、患者に投与されるLALタンパク質と、LALコードRNA及び/若しくはDNAの投与の結果として又は内因性LALタンパク質の発現を増加させる別の治療の結果として患者に産生される(すなわち、発現する)LALタンパク質とが含まれる。一実施形態では、外因性LALはセベリパーゼアルファである。
本明細書で使用される場合、セベリパーゼアルファ(KANUMA(登録商標))は、組換えヒトライソゾーム酸性リパーゼ(rhLAL)である。ライソゾーム酸性リパーゼは、コレステリルエステルからの遊離コレステロール及び脂肪酸への加水分解、並びにトリグリセリドからのグリセロール及び遊離脂肪酸への加水分解に触媒作用を及ぼす、ライソゾーム糖タンパク質酵素である。セベリパーゼアルファは、遺伝子操作されたニワトリによって産卵された卵の卵白で、組換えDNA技術を用いて産生される。精製されたセベリパーゼアルファは、6N−結合型グリコシル化部位を含む単量体糖タンパク質であり、分子質量が約55,000ダルトンである。セベリパーゼアルファのアミノ酸配列は、ヒトLALのアミノ酸配列と同一である。セベリパーゼアルファの比活性は、195〜345ユニット/mgである。1ユニットは、37℃の所定のアッセイ条件下で、合成基質であるオレイン酸4−メチルウンベリフェリル1マイクロモルの1分当たりの加水分解を触媒する酵素活性の量である。KANUMA(登録商標)は、静脈内注入用の単回使用のバイアルに、無菌で防腐剤の含まれていない、非発熱性の水溶液として供給される。各バイアルは20mg/10mLのセベリパーゼアルファを含有している。溶液の各mLは、セベリパーゼアルファ(2mg)、クエン酸一水和物(1.57mg)、ヒト血清アルブミン(10mg)、及びクエン酸三ナトリウム二水和物(13.7mg)をpH5.9で含む。
LAL欠損症は、ライソゾーム酸性リパーゼ(LAL)酵素活性の顕著な減少又は損失をもたらす遺伝子欠陥を特徴とする、常染色体劣性のライソゾーム蓄積障害である。LAL酵素の主な作用部位はライソゾームであり、そこで酵素は通例、LDL−Cを含む脂質粒子を分解する。欠損したLAL酵素の活性により、コレステリルエステル及びトリグリセリドが、肝臓、脾臓、腸、及び血管壁などの複数の器官でライソゾーム内に蓄積し、進行性の合併症が生じることになる。肝臓で脂質が蓄積した結果、肝脂肪含有量が増加し、線維症及び肝硬変肝などの肝臓疾患が進行することになる恐れがある。腸壁での脂質の蓄積によって、吸収不良及び成長阻害が生じることになる。同時に、ライソゾーム脂質の分解が損なわれることに起因する脂質異常症が、LDL−C及びトリグリセリドの上昇と、HDL−コレステロール(HDL−C)の低下を伴って一般的に見られる。
セベリパーゼアルファは、細胞表面受容体に、そのタンパク質に発現したグリカンを介して結合した後に、ライソゾーム内に移行される。セベリパーゼアルファは、コレステリルエステル及びトリグリセリドからの遊離コレステロール、グリセロール、及び遊離脂肪酸へのライソゾーム加水分解に触媒作用を及ぼす。
「静脈内注射」は、IVプッシュ又はボーラス注射とも医学的に称されることが多く、シリンジがIVアクセスデバイスに接続され、薬物が直接的に、通例迅速に、また静脈の過敏症又は急激すぎる作用を引き起こす可能性がある場合には最大15分まで、注射される投与経路を表す。薬物をIV管の液体流内に注射したならば、薬物を管から患者に確実に到達させる何らかの手段がなければならない。通常これは、液体流を正常に流れるようにし、それによって、薬物を血流の中に送ることにより達成される。一方、第一の注射後、時折「フラッシュ」と呼ばれる第2の流体注射を使用して、薬物を血流の中に入り易くする場合もある。
「静脈内注入」は、薬物が長時間にわたり送達される投与経路を表す。例えば、薬物は、1〜8時間にわたり、患者に送達され得る。また、薬物は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、又は約8時間にわたり、患者に送達され得る。静脈内注入を行うために、IV重力滴下又はIVポンプを用いることができる。IV注入は、典型的には、患者が特定の時間にのみ薬物を必要とし、電解質、血中糖類、及び水分損失を回復する液体などの追加の静脈内輸液(例えば、ナトリウム、塩化物、グルコース、又はそのいずれかの組み合わせを含み得る水溶液)を必要としない場合に使用される。
本明細書に使用される「鳥類」という用語は、以下に限定されないが、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、キジ、オウム、フィンチ、タカ、カラス、並びにダチョウ、エミュー、及びヒクイドリを含む走鳥類などの、分類学的分類における鳥綱の生物の任意の種、亜種、又は種族を表す。本用語には、ガルスガルス(Gallus gallus)、又はニワトリ(例えば、ハクショクレグホン(White Leghorn)、ブラウンレグホン(Brown Leghorn)、バードロック(Barred−Rock)、サセックス(Sussex)、ニューハンプシャー(New Hampshire)、ロードアイランド(Rhode Island)、オーストラロープ(Australorp)、ミノルカ(Minorca)、アムロックス(Amrox)、カルフォルニアグレイ(California Gray))といった様々な公知の系統、並びにシチメンチョウ、キジ、ウズラ、アヒル、ダチョウ、及び商業的規模で一般的に飼育される他の家禽の系統が含まれる。また、本用語には、胚期及び胎仔期を含む、全ての発育段階の個々の鳥類の生体も含まれる。
「家禽由来」又は「鳥類由来」という用語は、家禽から産生された又は家禽から得られた組成物又は物質を表す。「家禽」とは、以下に限定されないが、ニワトリ、アヒル、シチメンチョウ、ウズラ、及び走鳥類を含む、家畜として飼育され得る鳥類を表す。例えば、「家禽由来」とは、ニワトリ由来、シチメンチョウ由来、及び/又はウズラ由来を表すことができる。
「患者」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、医療提供者による指示に従って診察若しくは治療を受けている、又は受けた、又は受ける予定の任意の個人を表す。
「治療有効用量」とは、本明細書で使用される場合、意図した治療応答を生じさせるのに必要とされる薬物の用量(例えば、量及び/又は間隔)を表す。治療有効用量とは、かかる用量を受けなかった対応する対象と比較して、疾患、障害、若しくは副作用の、治療、治癒、予防、若しくは回復を改善させるか、又は疾患若しくは障害の発生若しくは進行の速度を減少させる用量を表す。本用語にはまた、その範囲内に、生理学的機能を強化するために有効な用量も含まれる。
「治療する」「治療(treating)すること」及び「治療(treatment)」という用語は、予防的に、及び/又は症状が生じた後のいずれかに、疾患若しくは症状を緩和する、寛解する、若しくは軽減する、更なる症状を予防する、根本的な症状の原因を軽減若しくは防止する、疾患若しくは状態を阻害する、疾患若しくは状態の発症を阻止する、疾患若しくは状態を和らげる、疾患若しくは状態を退縮させる、疾患若しくは状態によってもたらされた症状を和らげる、又は疾患若しくは状態の症状を阻止する方法を表す。
特定の用量に関して本明細書で使用される場合、「kg−1」、「1kg当たり」「/kg」、及び「1キログラム当たり」とは、哺乳類の「体重1キログラム当たり」を表し、よって、本用語は互換的に使用することができる。
本明細書で使用される場合、「体表面積(BSA)に基づく用量」とは、個々の患者の体表面積(BSA)に適合した作用剤の用量を表すものである。BSAに基づく用量は、mg/kg(体重)として与えられ得る。直接測定しないでBSAを得る種々の計算方法が公開されており、最も広範に用いられているのはデュボア(Du Bois)の式(Du Bois D,Du Bois EF(Jun 1916)Archives of Internal Medicine 17(6):863−71;及びVerbraecken,J.et al.(Apr 2006).Metabolism−Clinical and Experimental 55(4):515−24を参照)である。他のBSAの式の例として、Mostellerの式(Mosteller RD.N Engl J Med.,1987;317:1098)、Haycockの式(Haycock GB,et al.,J Pediatr 1978,93:62−66)、Gehan及びGeorgeの式(Gehan EA,George SL,Cancer Chemother Rep 1970,54:225−235)、Boydの式(Current,JD(1998),The Internet Journal of Anesthesiology 2(2);及びBoyd,Edith(1935),University of Minnesota.The Institute of Child Welfare,Monograph Series,No.x.London:Oxford University Press)、Fujimotoの式(Fujimoto S,et al.,Nippon Eiseigaku Zasshi 1968;5:443−50)、Takahiraの式(Fujimoto S,et al.,Nippon Eiseigaku Zasshi 1968;5:443−50)、並びにSchlichの式(Schlich E,et al.,Ernahrungs Umschau 2010;57:178−183)が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「固定用量」、「一定用量」、及び「一定固定用量」という用語は互換的に用いられ、患者の体重又は体表面積(BSA)関係なく患者に投与される用量を表す。したがって、一定用量又は固定用量は、mg/kg単位の用量としてではなく、作用剤の絶対量として与えられる。
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」という用語は、単数の「ポリペプチド」と複数の「ポリペプチド」とを包含することが意図され、アミド結合(ペプチド結合としても知られる)により直鎖状に結合したモノマー(アミノ酸)で構成される分子を表す。「ポリペプチド」という用語は、二つ以上のアミノ酸の任意の鎖を表し、特定の長さの産物を表すものではない。よって、ペプチド、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」、又は二つ以上のアミノ酸鎖を表すのに使用される他の任意の用語は、「ポリペプチド」の定義内に含まれ、「ポリペプチド」という用語は、これらの用語のいずれかの代わりに、又はそれと互換的に使用することができる。「ポリペプチド」という用語は、限定されるものではないが、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/遮断基による誘導体化、タンパク質分解切断、又は天然には存在していないアミノ酸による修飾を含めた、ポリペプチドの発現後の修飾産物を表すことも意図される。ポリペプチドは、天然の生物学的供給源に由来し得るか、又は組換え技術によって産生され得るが、必ずしも指定された核酸配列から翻訳されたものではない。ポリペプチドは、化学合成を含む、任意の手段で生成され得る。
本明細書で使用される場合、二つのアミノ酸配列間又は二つのヌクレオチド配列間のパーセント相同性は、二つの配列間のパーセント同一性に等しい。二つの配列間のパーセント同一性は、配列により共有される同一位置の数の関数であり(すなわち、相同性%=同一位置の数/位置の総数×100)、二つの配列の至適アライメントのために導入されるべきギャップの数及び各ギャップの長さを考慮に入れている。配列の比較及び二つの配列間のパーセント同一性の算出は、以下の非限定的な例で説明するように、数学的アルゴリズムを用いて遂行され得る。
二つのアミノ酸配列間のパーセント同一性は、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれたE.Meyers及びW.Millerのアルゴリズム(Comput.Appl.Biosci.,4:11−17(1988))を用いて、PAM120重量残基表、ギャップ長ペナルティ12、及びギャップペナルティ4を使用して算出され得る。更に、二つのアミノ酸配列間のパーセント同一性は、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラム(http://www.gcg.comで利用可能)に組み込まれたNeedleman及びWunsch(J.Mol、Biol.48:444−453(1970))のアルゴリズムを用いて、Blossom 62マトリックス又はPAM250マトリックスのいずれかと、ギャップ加重16、14、12、10、8、6、又は4、及び長加重1、2、3、4、5、又は6とを使用して測定され得る。
「単離された」ポリペプチド、又はその断片、変異体、若しくは誘導体は、自然環境には存在しないポリペプチドを意図するものである。特定のレベルの精製は必要とされない。例えば、単離されたポリペプチドは、その自然環境又は天然環境から取り出され得る。宿主細胞で発現した組換え産生ポリペプチド及びタンパク質は、任意の適切な技術を用いて分離、分画、又は部分的若しくは実質的に精製された天然ポリペプチド又は組換えポリペプチドであるため、本明細書に開示されるように単離されているとみなされる。
本明細書で開示される他のポリペプチドは、前述のポリペプチドの断片、誘導体、類似体、又は変異体、及びそれらの任意の組み合わせである。本明細書に開示されるポリペプチドのいずれかに言及するとき、「断片」、「変異体」、「誘導体」、及び「類似体」という用語は、対応する天然のポリペプチド(例えば、コレステロールエステル及び/又はトリグリセリドを加水分解する能力を保持している、LALポリペプチド断片、変異体、誘導体、及び類似体)の活性の少なくとも一部を保持している任意のポリペプチドを含む。ポリペプチドの断片には、例えば、タンパク質分解断片と欠失断片とが含まれる。ポリペプチドの変異体は、上述の断片と、更にはアミノ酸置換、欠失、又は挿入により変更されたアミノ酸配列を有するポリペプチドとを含む。変異体は、天然に存在していても、天然に存在していなくてもよい。天然に存在していない変異体は、当該技術分野に公知の変異誘発法を使用して産生することができる。変異体ポリペプチドは、保存的若しくは非保存的なアミノ酸置換、欠失、又は付加を含んでいてもよい。誘導体は、天然のポリペプチドには見られない更なる特徴を示すように変更されたポリペプチドである。例としては融合タンパク質が挙げられる。変異体ポリペプチドは、本明細書において、「ポリペプチド類似体」とも称される場合がある。本明細書で使用される場合、対象ポリペプチドの「誘導体」は、官能側基の反応により化学的に誘導された一つ又は複数の残基を含有し得る。20個の標準アミノ酸のうちの一つ又は複数の天然に存在するアミノ酸誘導体を含有するペプチドも、「誘導体」として含まれている。例えば、4−ヒドロキシプロリンはプロリンに対して置換することができ、5−ヒドロキシリジンはリジンに対して置換するでき、3−メチルヒスチジンはヒスチジンに対して置換することができ、ホモセリンはセリンに対して置換することができ、及び/又はオルニチンはリジンに対して置換することができる。
「ポリヌクレオチド」という用語は、単一核酸と複数の核酸とを包含するように意図され、単離された核酸分子又は構築物、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)若しくはプラスミドDNA(pDNA)を表す。ポリヌクレオチドは、従来のリン酸ジエステル結合又は非従来型の結合(例えば、ペプチド核酸(PNA)に見られるようなアミド結合)を含んでいてもよい。「核酸」という用語は、ポリヌクレオチドに含まれる任意の一つ又は複数の核酸セグメント、例えば、DNA断片又はRNA断片を表す。「単離された」核酸又はポリヌクレオチドは、その天然環境から取り出された核酸分子、DNA、又はRNAを意図するものである。例えば、ベクターに含まれたLALをコードする組換えポリヌクレオチドは、本発明の目的において単離されたとみなされる。単離されたポリヌクレオチドの更なる例としては、異種宿主細胞に保持された組換えポリヌクレオチド、又は溶液中の(部分的又は実質的)精製ポリヌクレオチドが挙げられる。単離されたRNA分子には、本発明のポリヌクレオチドのインビボ又はインビトロのRNA転写物が含まれる。本発明の単離されたポリヌクレオチド又は核酸は、合成で産生された同様の分子を更に含む。更に、ポリヌクレオチド又は核酸は、プロモーター、リボソーム結合部位、又は転写ターミネーターなどの制御エレメントであり得るか、又はそれらを含み得る。
本明細書で使用される場合、「コード領域」とは、アミノ酸に翻訳されるコドンからなる核酸の一部分である。「停止コドン」(TAG、TGA、又はTAA)は、アミノ酸に翻訳されないが、コード領域の一部とみなされてもよい一方で、任意の隣接配列、例えばプロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロンなどは、コード領域の一部分ではない。本発明の二つ以上のコード領域は、例えば単一ベクター上などの単一ポリヌクレオチド構築物に、又は例えば別個の(異なる)ベクター上のなどの別個のポリヌクレオチド構築物に存在し得る。更に、いずれのベクターも、単一コード領域を含むか、又は二つ以上のコード領域を含んでいてもよい。加えて、本発明のベクター、ポリヌクレオチド、又は核酸は、LALポリペプチド又はその断片、変異体、若しくは誘導体をコードする核酸に融合して又は融合せずに、異種コード領域をコードすることができる。異種コード領域は、以下に限定されないが、分泌シグナルペプチド又は異種機能ドメインなどの、固有のエレメント又はモチーフを含む。
種々の転写調節領域は、当業者に公知である。これらは、以下に限定されないが、サイトメガロウイルスからのプロモーター及びエンハンサーセグメント(イントロンAと併せて即時初期プロモーター)、シミアンウイルス40(初期プロモーター)、及びレトロウイルス(ラウス肉腫ウイルスなど)といった、脊椎動物細胞で機能する転写調節領域を含む。他の転写調節領域は、アクチン、熱ショックタンパク質、ウシ成長ホルモン、及びウサギβ−グロビンなどの脊椎動物遺伝子に由来するもの、並びに真核生物細胞での遺伝子発現を調節することができる他の配列を含む。更なる適切な転写調節領域は、組織特異的プロモーター及びエンハンサー並びにリンホカイン誘発性プロモーター(例えば、インターフェロン又はインターロイキンにより誘発されるプロモーター)を含む。
同様に、種々の翻訳調節エレメントが当業者に公知である。これらは、以下に限定されないが、リボソーム結合部位、翻訳開始及び終止コドン、並びにピコルナウイルスに由来するエレメント(特に内部リボソーム侵入部位又はIRES、CITE配列とも称される)を含む。
他の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、例えばメッセンジャーRNA(mRNA)の形態のRNAである。
本発明のポリヌクレオチド及び核酸コード領域は、本発明のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの分泌を誘導する、分泌ペプチド又はシグナルペプチドをコードする更なるコード領域と関連していてもよい。シグナル仮説によると、哺乳類細胞によって分泌されたタンパク質は、粗面小胞体全体にわたって成長タンパク質鎖の排出が開始されると成熟タンパク質から切断される、シグナルペプチド又は分泌リーダー配列を有する。当業者が認識することには、脊椎動物細胞によって分泌されたポリペプチドは、ポリペプチドのN末端に融合したシグナルペプチドを有するのが一般的であり、これは完全又は「完全長」のポリペプチドから切断されて、分泌形態又は「成熟」形態のポリペプチドを産生する。特定の実施形態では、天然のシグナルペプチド、例えばヒトLALのMKMRFLGLVVCLVLWTLHSEG(配列番号2)シグナルペプチドが使用されるか、又はその配列の機能性誘導体であって、それと作用可能に会合したポリペプチドの分泌を誘導する能力を保持する誘導体が使用される。あるいは、異種のシグナルペプチド(例えば、異種哺乳類又は異種鳥類のシグナルペプチド)又はその機能性誘導体が使用され得る。例えば、野生型リーダー配列は、ヒト組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)又はマウスβグルクロニダーゼのリーダー配列で置換され得る。
「ベクター」とは、一本鎖、二本鎖、環状、又はスーパーコイルDNA若しくはRNAから構成されるポリヌクレオチドを意味する。典型的なベクターは、機能的遺伝子発現を可能にするために適切な距離で作用可能に結合された以下のエレメントから構成され得る:複製開始点、プロモーター、エンハンサー、5’mRNAリーダー配列、リボソーム結合部位、核酸カセット、終止部位及びポリアデニル化部位、並びに選択可能マーカー配列。これらのエレメントのうちの一つ又は複数は、特定の用途において省くことができる。核酸カセットは、発現されるべき核酸配列を挿入するための制限部位を含んでもよい。機能的ベクターにおいて、核酸カセットは、翻訳開始部位及び終止部位を含む、発現されるべき核酸配列を含有する。任意選択的に、イントロンが構築物に含まれ、例えばコード配列5’’に含まれ得る。ベクターは、適切な制御配列を有するベクターに特定のコード配列が含まれるように構築され、調節配列に対するコード配列の位置及び配向は、コード配列が調節配列又は制御配列の「調節」下で転写されるようにする。この目的を達成するために、特定の対象となるタンパク質をコードする配列を修飾することが望ましい場合がある。例えば、配列を適切な配向を有する調節配列に結合できるように修飾するか、又はリーディングフレームを維持することが必要であり得る場合もある。調節配列及び他の制御配列は、ベクターの中に挿入される前にコード配列に連結され得る。あるいは、コード配列は、発現ベクター内に直接クローン化され得るが、この発現ベクターは、調節配列の制御調節を有するリーディングフレーム内にありかつその制御調節下にある、調節配列及び適切な制御部位を既に含んでいるものである。
本明細書で使用される「発現」という用語は、遺伝子が生化学物質、例えばポリペプチドを産生するプロセスを表す。本プロセスには、以下に限定されないが、遺伝子ノックダウン並びに一時的発現及び安定発現の両方を含めた、細胞内における遺伝子の機能的存在物の任意の発現が含まれる。本プロセスには、以下に限定されないが、遺伝子のメッセンジャーRNA(mRNA)への転写、及びかかるmRNAのポリペプチドへの翻訳が含まれる。遺伝子の発現により、「遺伝子産物」が産生する。本明細書で使用される場合、遺伝子産物は、核酸、例えば遺伝子の転写により産生されるメッセンジャーRNAか、又は転写物から翻訳されるポリペプチドのいずれかであり得る。本明細書に記載される遺伝子産物は、転写後修飾、例えばポリアデニル化を受けた核酸、又は翻訳後修飾、例えばメチル化、グリコシル化、脂質の付加、他のタンパク質サブユニットとの会合、タンパク質分解切断などを受けたポリペプチドを更に含む。
本明細書で使用される場合、「宿主細胞」とは、組換えDNA技法を使用して構築されかつ少なくとも一つの異種遺伝子をコードするベクターを保有する、細胞を表す。
本明細書で使用される場合、「N−グリカン」、「オリゴ糖」、「オリゴ糖構造」、「グリコシル化パターン」、「グリコシル化プロファイル」、及び「グリコシル化構造」という用語は、実質的に同じ意味を有し、それぞれ、糖残基から形成され、グリコシル化タンパク質に結合される一つ又は複数の構造を表す。
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」という用語は、本明細書に記載される化合物と、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、及び/又は賦形剤などの他の化学成分との混合物を表す。
A.肝線維症及びIshak線維症ステージ
本発明は、ライソゾーム酸性リパーゼ(LAL)欠損症を有するヒト患者において肝線維症を軽減する方法であって、セベリパーゼアルファを該患者に投与することを含み、該患者が、Ishak線維症ステージにおいて、投与前に該患者から得たベースラインIshak線維症ステージと比較して、投与後に少なくとも1ポイントの減少(例えば、1ポイント以上の減少又は2ポイント以上の減少)を有すると判定された、方法を提供する。また、ライソゾーム酸性リパーゼ(LAL)欠損症を有するヒト患者を治療する方法であって、セベリパーゼアルファを該患者に投与することを含み、該患者が、Ishak線維症ステージにおいて、投与前に該患者から得たベースラインIshak線維症ステージと比較して、投与後に少なくとも1ポイントの減少(例えば、1ポイント以上の減少又は2ポイント以上の減少)を有すると判定された、方法を提供する。
一実施形態では、Ishak線維症ステージは肝生検により評価される。肝生検は、種々の肝臓疾患を持つ患者の評価における重要な要素である(例えば、Goodman,Journal of Hepatology 47(2007)598−607を参照)。肝生検は、診断を確立することに加えて、疾患の重症度をグレートとステージの両方に関して評価するのにも使用されることが多い。多くの慢性肝臓疾患のステージは、瘢痕の程度に関係し、最終ステージが臨床的合併症を伴う肝硬変となる。具体的には、疾患のステージは、疾患が自然経過でどの程度進行したかを表す尺度であり、最終ステージは患者の死亡又は器官の不全となる。グレードは、基礎疾患プロセス(発症機序により異なる特徴を持つ)の重症度に関係し、疾患が最終ステージまでどの程度速く進行するかを示している。慢性肝臓疾患の多くの形態において、最終ステージは臨床的代償不全を伴う肝硬変である一方、初期のステージは線維症又は肝硬変よりも程度が軽いものである。グレードは、損傷のタイプやパターンにより異なる特徴を有する、基礎肝臓疾患の重症度に関係するとみなされ得る。理想的には、グレードもステージも予後を予測し、治療的介入を誘導すべきものである。
肝線維症を評価するために一般的に使用されるシステムのうちの一つは、Ishakステージ分類(又はスコア分類)であり、これを以下の表1(例えば、Ishak et al.,Journal or Hepatology 22(1995)696−699を参照されたく、この文献は参照により本明細書に明示的に援用される)、及び実施例1の表7(例えば、R A Standish,et al.,Gut 2006;55:569−578を参照されたく、この文献は参照により本明細書に明示的に援用される)に記載している。ステージは、瘢痕形成の種々の程度に関連した構造変化を言い表し、理解し易いものである。ステージは、瘢痕形成の種々の程度に関連した構造変化を言い表し、理解し易いものである。このシステムの利点は、0〜6段階にステージ化するその簡便さであり、ステージは容易に他のタイプのアセスメントステージに変換可能であるが、このことは、Goodmanにより説明されており(Journal of Hepatology 47(2007)598−607)、この文献は参照により本明細書に明示的に援用される。
表1:Ishakステージ/スコア
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本明細書に記載の方法は、Ishak線維症ステージ(スコア)において少なくとも1ポイントの減少をもたらす。例えば、一実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ6からIshak線維症ステージ5への減少をもたらす。別の実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ5からIshak線維症ステージ4への減少をもたらす。別の実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ4からIshak線維症ステージ3への減少をもたらす。別の実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ3からIshak線維症ステージ2への減少をもたらす。別の実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ2からIshak線維症ステージ1への減少をもたらす。別の実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ0からIshak線維症ステージ0への減少をもたらす。別の実施形態では、減少は1ポイント以上の減少である。
別の実施形態では、減少は2ポイントの減少である。例えば、一実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ6からIshak線維症ステージ4への減少をもたらす。別の実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ5からIshak線維症ステージ3への減少をもたらす。別の実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ4からIshak線維症ステージ2への減少をもたらす。別の実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ3からIshak線維症ステージ1への減少をもたらす。別の実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ2からIshak線維症ステージ0への減少をもたらす。別の実施形態では、減少は2ポイント以上の減少である。
別の実施形態では、減少は3ポイントの減少である。例えば、一実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ6からIshak線維症ステージ3への減少をもたらす。別の実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ5からIshak線維症ステージ2への減少をもたらす。別の実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ4からIshak線維症ステージ1への減少をもたらす。別の実施形態では、本方法は、Ishak線維症ステージ3からIshak線維症ステージ0への減少をもたらす。別の実施形態では、減少は3ポイント以上の減少である。
一実施形態では、少なくとも1ポイントの減少が、20週目に又は20週目までに生じる。別の実施形態では、少なくとも1ポイントの減少が、30週目に又は30週目までに生じる。別の実施形態では、少なくとも1ポイントの減少が、52週目に又は52週目までに生じる。別の実施形態では、2ポイント以上の減少が、52週目に又は52週目までに生じる。
B.不十分なLAL活性を有する患者
本発明を用いて、対象又は患者における広範な状態を治療することができる。ゆえに、本発明に従って外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)により有益に治療をされ得る任意の状態が、本発明の範囲内に含まれる。
本発明を任意の特定の状態又は状態の群の治療に制限することを望まないが、本発明は、患者におけるライソゾーム酸性リパーゼ(LAL)欠損症の治療を含む。本明細書で使用される場合、LAL欠損症を有する患者は、不十分なLAL活性を持つ任意の患者である。患者における不十分なLAL活性の結果、例えば、低RNAレベル、低タンパク質レベル、又は低タンパク質活性となり得る。不十分なLAL活性は、LALコード配列、LAL制御配列、又は他の遺伝子(例えば、LALを制御する遺伝子)における変異に起因し得る。不十分なLAL活性はまた、環境要因の結果でもあり得る。
本発明の一実施形態は、ライソゾーム酸性リパーゼの欠損に起因するライソゾーム病(LSD)、具体的にはウォルマン病(WD)及びコレステリルエステル蓄積症(CESD)の治療に着目している。本発明を作用のいかなる特定の理論又は機序に束縛することも望まないが、WDとCESDの両方共、LAL遺伝子座での変異に起因し得るものであり、数多くの組織においてライソゾームに大量の脂質性物質が蓄積し、コレステロール及び脂質の恒常性維持機構が重度に攪乱され得るが、これは、本発明の方法に従って外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)を投与することにより治療することができる。したがって、一実施形態では、本発明に従って治療されるLAL欠損症はWDである。別の実施形態では、本発明に従って治療されるLAL欠損症はCESDである。一部の実施形態では、WD又はCESDの診断は、遺伝子解析(例えば、LALコード配列における機能的変異の同定)に基づく。他の実施形態では、WD又はCESDの診断は臨床所見(例えば、身体診察及び/又は臨床検査)に基づく。
一部の実施形態では、外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)を用いて、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)などの種々の状態の合併症を治療することができる。NAFLDは、アルコールの過剰摂取に起因した肝臓疾患と同様の病理組織を有する肝臓の疾患を表すものである。これは、肝臓の肥大を引き起こす大滴性脂肪症を特徴とする。NAFLDはNASHに進行する可能性があり、NASHは、NAFLDと同様であるが、その上に線維症及び肝硬変を招き得る肝臓への炎症及び損傷を加えた肝臓疾患を表す。
一部の実施形態では、外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)を使用して、膵炎、例えば、慢性膵炎及び/又は急性膵炎、並びにアルコール性膵炎などのアルコール性膵損傷状態を治療することができる。
任意の有用な方法により産生される外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)を使用して、アルコール性細胞損傷に起因する疾患を治療することができるが、アルコール性細胞損傷としては、以下に限定されないが、体組織(例えば、以下に限定されないが、肝臓、脾臓、消化管、及び心血管組織)に脂質エステルが蓄積するアルコール性細胞損傷が挙げられる。本発明によると、吸収不良も、外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)を投与することにより治療することができる。外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)はまた、タンジール病及び家族性低αリポ蛋白血症を有する患者の治療に有用である。タンジール病/家族性低αリポ蛋白血症は、マクロファージにおけるコレステロールエステルの蓄積に関連し、肝脾腫大及び/又はリンパ節腫大及び低HDLレベルを伴うものであるが、これは外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)の投与により治療することができる。例えば、本発明を作用のいかなる特定の理論又は機序に束縛することも望まないが、LAL活性の欠損によりABCA1発現が減少し得るが、それに反して、外因性LALをタンジール病/家族性低αリポ蛋白血症を有する患者に投与することによって得られるLAL活性の増加により、ABCA1発現が増加して、多型の結果として機能的活性が低下したABCA1遺伝子の影響が排されるであろう。
一部の実施形態では、治療前の患者のLAL活性レベルは、LAL活性の正常レベルの約1%、約2%、約3%、約5%、約10%、約15%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、又は約80%である。一実施形態では、治療前の患者のLAL活性レベルは、LAL活性の正常レベルの約50%以下である。一実施形態では、治療前の患者のLAL活性レベルは、LAL活性の正常レベルの約40%以下である。一部の実施形態では、治療前の患者のLAL活性レベルは、LAL活性の正常レベルの約30%以下である。一部の実施形態では、治療前の患者のLAL活性レベルは、LAL活性の正常レベルの約30%以下である。一部の実施形態では、治療前の患者のLAL活性レベルは、LAL活性の正常レベルの約20%以下である。一部の実施形態では、治療前の患者のLAL活性レベルは、LAL活性の正常レベルの約10%以下である。一部の実施形態では、治療前の患者のLAL活性レベルは、LAL活性の正常レベルの約5%以下である。一部の実施形態では、患者には治療前に測定可能なLAL活性が見られない。
一部の実施形態では、LAL活性のレベルは、LAL欠損症を患うヒト患者から得られた培養線維芽細胞で測定される。一部の実施形態では、LAL活性のレベルは、LAL欠損症を患うヒト患者のリンパ球(例えば、白血球)で測定される。リンパ球には、以下に限定されないが、末梢血単核細胞(PMBC)が含まれる。測定方法は、例えば、Burton et al.,(1980)Clinica Chimica Acta 101:25−32、及びAnderson et al.,(1999)Mol.Genet.&Metab.,66:333−345に記載されており、この両方の文献はその全体が本明細書に援用される。外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)で治療されるべきLAL欠損症患者は、線維芽細胞LAL酵素活性が、基質としてトリオレインを用いて測定した場合、約30pmol/mg/分未満、約20pmol/mg/分未満、約10pmol/mg/分未満、約5pmol/mg/分未満、約4pmol/mg/分未満、約3pmol/mg/分未満、約2pmol/mg/分未満、又は約1pmol/mg/分未満であり得る。外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)で治療されるべきLAL欠損症患者は、白血球LAL酵素活性が、基質としてトリオレインを用いて測定した場合、約30pmol/mg/分未満、約20pmol/mg/分未満、約10pmol/mg/分未満、約5pmol/mg/分未満、約4pmol/mg/分未満、約3pmol/mg/分未満、約2pmol/mg/分未満、又は約1pmol/mg/分未満であり得る。外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)で治療されるべきLAL欠損症患者は、線維芽細胞LAL酵素活性が、基質としてオレイン酸コレステリルを用いて測定した場合、約30pmol/mg/分未満、約20pmol/mg/分未満、約10pmol/mg/分未満、約5pmol/mg/分未満、約4pmol/mg/分未満、約3pmol/mg/分未満、約2pmol/mg/分未満、又は約1pmol/mg/分未満であり得る。外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)で治療されるべきLAL欠損症患者は、白血球LAL酵素活性が、基質としてオレイン酸コレステリルを用いて測定した場合、約30pmol/mg/分未満、約20pmol/mg/分未満、約10pmol/mg/分未満、約5pmol/mg/分未満、約4pmol/mg/分未満、約3pmol/mg/分未満、約2pmol/mg/分未満、又は約1pmol/mg/分未満であり得る。
C.外因性LALの投与
状態を治療するために、一般的には、投与される外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)の量は、受容者の年齢、健康状態、体重、併用療法の種類、治療頻度などの既知の因子によって変化し得る。通常、活性成分の投与量は、体重1キログラム当たり約0.01mg〜50mgであり得る。一実施形態では、本発明による外因性LALの投与量は、体重1キログラム当たり約0.1mg〜0.5mgである。一実施形態では、投与量は1キログラム当たり約0.1mg〜約5.0mgである。一実施形態では、投与量は1キログラム当たり約0.1mg〜約5.0mgである。一実施形態では、投与量は、1キログラム当たり約0.1mg、約0.2mg、約0.25mg、約0.30mg、約0.35mg、約0.40mg、約0.45mg、約0.50mgである。一実施形態では、投与量は1キログラム当たり約1mg〜約5mgである。一実施形態では、投与量は1キログラム当たり約1mgである。一実施形態では、投与量は1キログラム当たり約3mgである。例えば、体重1キログラム当たり0.1mg、体重1キログラム当たり0.2mg、体重1キログラム当たり0.3mg、体重1キログラム当たり0.4mg、体重1キログラム当たり0.5mg、体重1キログラム当たり1mg、体重1キログラム当たり2mg、体重1キログラム当たり3mg、体重1キログラム当たり4mg、又は体重1キログラム当たり5mgが投与され得る。一実施形態では、投与量は体重1キログラム当たり約1mg〜約20mgである。
本発明はまた、本発明の投与スケジュールを用いる場合に、他の投与量を含む。例えば、本発明の投与スケジュールによると、体重1キログラム当たり約0.1mg〜約50mgが患者に投与される。
一部の実施形態では、約0.5mg〜約50mgの外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)が、例えば、ウォルマン病を有する1カ月齢〜24カ月齢の患者に投与される。一実施形態では、患者は1歳未満である。別の実施形態では、患者は2歳未満である。一部の実施形態では、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、又は約45mgの外因性LALが、ウォルマン病を有する患者に投与される。一部の実施形態では、約0.5mg〜約30mg、約0.5mg〜約20mg、約0.5mg〜約10mg、又は約0.5mg〜約5mgが、ウォルマン病を有する患者に投与される。一部の実施形態では、約1mg〜約30mg、約1mg〜約20mg、約1mg〜約10mg、又は約1mg〜約5mgが投与される。
一部の実施形態では、約1mg〜約350mgの外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)が、例えば、CESDと診断された患者に投与される。したがって、一部の実施形態では、約1mg、5mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、又は350mgの外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)が、CESDを有する患者に投与される。一部の実施形態では、約5mg〜約350mg、約5mg〜約300mg、約5mg〜約250mg、又は約5mg〜約200mgが、CESDを有する患者に投与される。一部の実施形態では、約10mg〜約350mg、約10mg〜約300mg、約10mg〜約250mg、又は約10mg〜約200mgが、CESDを有する患者に投与される。
一実施形態では、セベリパーゼアルファは患者に隔週1回、1mg/kgの用量で投与される。セベリパーゼアルファが患者に隔週1回、1mg/kgの用量で投与される特定の実施形態では、セベリパーゼアルファは、(a)1kg〜10.9kgの患者に対して10mL、(b)11kg〜24.9kgの患者に対して25mL、(c)25kg〜49.9kgの患者に対して50mL、(d)50kg〜99.9kgの患者に対して100mL、又は(e)100kg〜120.9kgの患者に対して250mLの総注入容量で投与される。別の実施形態では、セベリパーゼアルファは患者に毎週1回、3mg/kgの用量で投与される。セベリパーゼアルファが患者に毎週1回、3mg/kgの用量で投与される特定の実施形態では、セベリパーゼアルファは、(a)1kg〜10.9kgの患者に対して25mL、(b)11kg〜24.9kgの患者に対して50mL、(c)25kg〜49.9kgの患者に対して100mL、(d)50kg〜99.9kgの患者に対して250mL、又は(e)100kg〜120.9kgの患者に対して500mLの総注入容量で投与される。別の実施形態では、セベリパーゼアルファは患者に毎週1回又は隔週1回、0.35mg/kgの用量で投与される(例えば、小児患者に対して及び/又は耐性の問題のある事象において)。
D.併用治療
本明細書に開示される治療用タンパク質を、他の治療剤と併用して使用することができる。本発明は、外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)の投与によって生じる可能性がある、任意の起こり得るアナフィラキシー反応を最小化又は予防するための前処置手順を提供する。一実施形態では、起こり得るアナフィラキシー反応の前処置のために、抗ヒスタミン薬(例えば、ジフェンヒドラミン)としても知られるH−1受容体アンタゴニストを、患者に投与する。一実施形態では、H−1受容体アンタゴニストは、体重1キログラム当たり約1mg〜約10mgの用量で投与される。例えば、抗ヒスタミン薬は、体重1キログラム当たり約5mgの用量で投与され得る。抗ヒスタミン薬の投与は、本発明の外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)の投与前であり得る。一実施形態では、H−1受容体アンタゴニストは、外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)の投与の約10分〜90分前、例えば、約30分〜60分前に投与される。H−1受容体アンタゴニストは、血管アクセスポートに接続した歩行システムを用いて投与され得る。一実施形態では、抗ヒスタミン薬は、外因性LALの投与の約90分前に投与される。一実施形態では、抗ヒスタミン薬は、外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)の投与の約10分〜約60分前に投与される。別の実施形態では、抗ヒスタミン薬は、外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)の投与の約20分〜約40分前に投与される。例えば、抗ヒスタミン薬は、外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)の投与の20分前、25分前、30分前、35分前、又は40分前に投与され得る。一実施形態では、投与される抗ヒスタミン薬はジフェンヒドラミンである。任意の有用な抗ヒスタミン薬を使用することができる。こうした抗ヒスタミン薬として、以下に限定されないが、クレマスチン、ドキシルアミン、ロラタジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、フェニラミン、セチリジン、エバスチン、プロメタジン、クロルフェニラミン、レボセチリジン、オロパタジン、クエチアピン、メクリジン、ジメンヒドリナート、エンブラミン、ジメチンデン、及びデキスクロルフェニルアミンが挙げられる。
一実施形態では、抗ヒスタミン薬は、体重1キログラム当たり約0.1mg〜約10mgの用量で投与される。一実施形態では、抗ヒスタミン薬は、体重1キログラム当たり約1mg〜約5mgの用量で投与される。例えば、用量は、体重1キログラム当たり1mg、2mg、3mg、4mg、又は5mgであり得る。抗ヒスタミン薬は、任意の有用な方法で投与され得る。一実施形態では、抗ヒスタミン薬は静脈内に投与される。別の実施形態では、抗ヒスタミン薬は、薬学的に許容可能なカプセル剤で投与される。
別の実施形態では、静脈内注入に関して、注入剤を漸増プロトコールを用いて投与することによって、アナフィラキシー反応の可能性を低減することができる。この文脈において、漸増プロトコールとは、薬物の注入に対して患者を脱感作させるために、注入している間に、注入する速度を徐々に増加させることを表す。
以下に限定されないが、抗ヒスタミン薬、コルチコステロイド、シロリムス、ボクロスポリン、シクロスポリン、メトトレキサート、IL−2受容体指向性抗体、T細胞受容体指向性抗体、TNF−α指向性抗体、又は融合タンパク質(例えば、インフリキシマブ、エタネルセプト、又はアダリムマブ)、CTLA−4−Ig(例えばアバタセプト)、抗OX−40抗体などの免疫抑制薬が、例えば、アナフィラキシー反応又は有害な免疫応答が予想されるか、又は患者に認められる場合に、外因性LALの投与前、投与中、又は投与後に更に投与され得る。
本発明は、一つ又は複数のコレステロール低下剤(例えば、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤)と組み合わせた外因性LAL含有組成物の投与に関わる療法も包含する。こうした薬剤の非限定的な例としては、アトルバスタチン(Lipitor(登録商標)及びTorvast(登録商標))、フルバスタチン(Lescol(登録商標))、ロバスタチン(Mevacor(登録商標)、Altocor(登録商標)、Altoprev(登録商標))、ピタバスタチン(Livalo(登録商標)、Pitava(登録商標))、プラバスタチン(Pravachol(登録商標)、Selektine(登録商標)、Lipostat(登録商標))、ロスバスタチン(Crestor(登録商標))、及びシンバスタチン(Zocor(登録商標)、Lipex(登録商標))が挙げられる。
E.外因性LALの作用
本発明は、治療後の疾患関連症状の是正又は正常化をもたらす。外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)に応答する臨床的進行(すなわち、状態の改善)は、任意の有用な方法又は手順によりモニタリングされ得る。
一部の実施形態では、外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)の投与は、約200ng/mL〜約1,500ng/mLのCmaxを達成するのに十分なものである。一部の実施形態では、外因性LALの投与は、約200ng/mL〜約1,000ng/mLのCmaxを達成するのに十分なものである。一部の実施形態では、外因性LALの投与は、約200ng/mL〜約800ng/mLのCmaxを達成するのに十分なものである。一部の実施形態では、外因性LALの投与は、約200ng/mL、約300ng/mL、約400ng/mL、約500ng/mL、約600ng/mL、約700ng/mL、約800ng/mL、約900ng/mL、約1,000ng/mL、約1,250ng/mL、又は約1,500ng/mLのCmaxを達成するのに十分なものである。一部の実施形態では、注入中にCmaxに達する。
一部の実施形態では、外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)の投与は、40分未満のLAL半減期(t1/2)を達成するのに十分なものである。一部の実施形態では、外因性LALの投与は、30分未満のLAL半減期(t1/2)を達成するのに十分なものである。一部の実施形態では、外因性LALの投与は、20分未満のLAL半減期(t1/2)を達成するのに十分なものである。一部の実施形態では、外因性LALの投与は、15分未満のLAL半減期(t1/2)を達成するのに十分なものである。一部の実施形態では、外因性LALの投与は、10分未満のLAL半減期(t1/2)を達成するのに十分なものである。一部の実施形態では、外因性LALの投与は、約6分、7分、8分、9分、10分、11分、12分、13分、14分、15分、16分、17分、18分、19分、20分、25分、30分、35分、又は40分のLAL半減期(t1/2)を達成するのに十分なものである。
一部の実施形態では、外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)は、患者におけるLAL活性を増加させる。LAL活性は、例えば、肝臓、脾臓、リンパ節、大動脈、末梢血白血球、及び/又は皮膚線維芽細胞で増加し得る。一部の実施形態では、LAL活性は、血液サンプルから単離されたリンパ球の抽出物で測定される。
外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)は、LAL活性を、LAL投与前の活性と比べて、少なくとも約1.5倍、約2倍、約2.5倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約15倍、又は約20倍増加することができる。外因性LALは、LAL活性を、LAL投与前の活性と比べて、少なくとも約10倍、約11倍、約12倍、約13倍、約14倍、約15倍、約16倍、約17倍、約18倍、約19倍、約20倍増加することができる。LAL活性は、例えば、コレステリル[1−14C]オレイン酸、トリオレイン(グリセロールトリ[1−14C]オレイン酸)、p−ニトロフェニルミリスチン酸、又は4−MUO(オレイン酸4−メチルウンベリフェリル)の基質を用いるアッセイを含めた、当該技術分野で公知の方法を用いて評価することができる。
一実施形態では、本発明の外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)の投与後、器官と組織の容積及び特性評価を利用して、状態の改善を判定する。
一実施形態では、外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)の投与後、肝臓機能/損傷における臨床的進行を、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、並びに/又はアラニントランスアミナーゼ(ALT)、並びに/又はアルブミン、アルカリホスファターゼ、及びビリルビン(直接型ビリルビンと総ビリルビン)といった他のバイオマーカーなどの血中トランスアミナーゼを経時的に定量することによってモニタリングする。
一実施形態では、臨床的進行を画像技術を用いてモニタリングする。例えば、以下に限定されないが、使用される画像技術は、超音波、CTスキャン、磁気共鳴映像法、及び核磁気共鳴分光法であり得る。
一部の実施形態では、本明細書に記載の用量での外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)の投与は、ヒト患者において成長を回復させ、及び/又は体重を増加させるのに十分なものである。外因性LALの投与はまた、若年性LAL欠損症を患う乳児又は小児患者において、成長率を増加(すなわち体重を増加)させることもできる。例えば、外因性LALの投与は、体重増加率を、投与前に見られる成長率/速度の少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約200%、約300%、約400%、又は約500%増加させることができる。一部の実施形態では、外因性LALの投与は、若年性LAL欠損症(例えば、ウォルマン病)を患う、約1カ月齢〜約24カ月齢の小児患者において正常な成長率を回復させる。この文脈において「正常」とは、医学分野における通常の技術を有する従事者によって判定される、治療されている患者にとっての正常の成長率を意味する。
一実施形態では、本明細書に記載の方法により、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、低比重リポタンパクコレステロール(LDL−C)、コラーゲン、及び/又は肝脂肪含有量が正常レベルへ移行することになる。別の実施形態では、本方法により、ベースラインと比較して、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、低比重リポタンパクコレステロール(LDL−C)、コラーゲン、門脈炎症、小葉炎症、大滴性脂肪症、微小胞脂肪症、マクロファージ、及び/又は全肝脂肪含有量のレベルが減少することになる。別の実施形態では、本方法により、ベースラインと比較して、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)が約60%以上、低比重リポタンパクコレステロール(LDL−C)が約40%以上、及び/又は肝脂肪含有量が約30%以上減少することになる。一実施形態では、レベルは、磁気共鳴映像法(MRI)により評価される。
別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、低比重リポタンパクコレステロール(LDL−C)の正常レベルへの移行(例えば、ベースラインと比較した場合のLDL−Cレベルの減少)をもたらす。別の実施形態では、本明細書に記載の方法により、LDL−Cレベルがベースラインと比較して少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、又は35%減少することになる(例えば、SAでの治療の20週以上後)。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法により、LDL−Cレベルがベースラインと比較して少なくとも約26%、27%、28%、29%、又は30%減少することになる(例えば、SAでの治療の20週後、52週後、又は76週後)。
別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、高比重リポタンパクコレステロール(HDL−C)の正常レベルへの移行(例えば、ベースラインと比較した場合のHDL−Cレベルの増加)をもたらす。別の実施形態では、本明細書に記載の方法により、HDL−Cレベルがベースラインと比較して少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、又は35%増加することになる(例えば、SAでの治療20週以上の後)。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法により、HDL−Cレベルがベースラインと比較して少なくとも約18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、又は25%増加することになる(例えば、SAでの治療の20週後、52週後、又は76週後)。
別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、非高比重リポタンパクコレステロール(non−HDL−C)の正常レベルへの移行(例えば、ベースラインと比較した場合のnon−HDL−Cレベルの減少)をもたらす。別の実施形態では、本明細書に記載の方法により、non−HDL−Cレベルがベースラインと比較して少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、又は35%減少することになる(例えば、SAでの治療の20週以上後)。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法により、non−HDL−Cレベルがベースラインと比較して少なくとも約25%、26%、27%、28%、29%、又は30%減少することになる(例えば、SAでの治療の20週後、52週後、又は76週後)。
別の実施形態では、本方法により、ベースラインと比較して、(ALT)、LDL−C、コラーゲン、門脈炎症、小葉炎症、大滴性脂肪症、微小胞脂肪症、マクロファージ、及び/又は全肝脂肪含有量のレベルが減少することになる。
一実施形態では、例えば、WD及びCESD、又は他のLAL欠損症に関して、肝腫大が顕著に好転し、肝臓のサイズが正常サイズより約1%〜約60%大きい範囲内のサイズに戻る。この文脈において「正常」とは、医学分野における通常の技術を有する従事者によって判定される、治療されている患者にとっての正常サイズの肝臓を意味する。一実施形態では、本明細書に記載の方法は、肝腫大を最小化するのに十分なものである。別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、患者の肝臓サイズを減少させるのに十分なものである。別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、正常の肝容積への移行(例えば、ベースラインと比較した場合の肝容積の減少)をもたらす。一実施形態では、肝臓サイズは正常よりも約1%〜約50%大きいサイズまで減少する。別の実施形態では、肝臓サイズは正常よりも約1%〜約40%大きいサイズまで減少する。一実施形態では、肝臓サイズは正常よりも約1%〜約30%大きいサイズまで減少する。別の実施形態では、肝臓サイズは正常よりも約1%〜約20%大きいサイズまで減少する。別の実施形態では、肝臓サイズは正常よりも約10%〜約20%大きいサイズまで減少する。例えば、肝臓は、正常サイズよりも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、又は20%大きくなり得る。更に別の実施形態では、肝臓サイズは正常よりも約0%〜約10%大きいサイズまで減少する。例えば、肝臓は、肝臓の正常サイズよりも0%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、又は10%大きくなり得る。別の実施形態では、本明細書に記載の方法により、肝容積がベースラインと比較して少なくとも約5%、10%、15%、又は20%減少することになる(例えば、SAでの治療の20週以上後)。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法により、肝容積がベースラインと比較して少なくとも約11%、12%、又は13%減少することになる(例えば、SAでの治療の20週後、30週後、52週後、又は76週後)。
別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、肝脂肪含有量(肝脂肪画分)の正常レベルへの移行(例えば、ベースラインと比較した場合の肝脂肪含有量の減少)をもたらす。別の実施形態では、本明細書に記載の方法により、肝脂肪画分がベースラインと比較して少なくとも約10%、15%、20%、又は25%減少することになる(例えば、SAでの治療の20週以上後)。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法により、肝脂肪画分がベースラインと比較して少なくとも約21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、又は29%減少することになる(例えば、SAでの治療の20週後、30週後、52週後、又は76週後)。
一実施形態では、肝脂肪含有量のレベルは、磁気共鳴映像法(MRI)により評価される。
別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、血清フェリチンレベルを減少させるのに十分なものである。別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、血清脂質レベル(例えば、コレステリルエステル(CE)レベル及び/又はトリグリセリド(TG)レベルなど)を低減させるのに十分なものである。別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、TGの正常レベルへの移行(例えば、ベースラインと比較した場合のTGレベルの減少)をもたらす。別の実施形態では、本明細書に記載の方法により、TGレベルがベースラインと比較して少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、又は35%減少することになる(例えば、SAでの治療の20週以上後)。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法により、TGレベルがベースラインと比較して少なくとも約16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、又は25%減少することになる(例えば、SAでの治療の20週後、52週後、又は76週後)。
外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)での治療は、肝臓機能を改善することもできる。したがって、一部の実施形態では、外因性LALでの治療は、正常の肝臓機能を回復するのに、及び/又は肝臓テスト結果を正常化させるのに十分なものである。別の実施形態では、本明細書に記載の方法により、肝臓トランスアミナーゼ(例えば、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及び/又は血清アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)など)が正常血清レベルへ移行することになる。別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、AST及び/又はALTを減少させるのに十分なものである。一部の実施形態では、外因性LALでの治療は、肝臓トランスアミナーゼの血清レベルを、例えば少なくとも約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%減少させる、及び/又は少なくとも90%まで減少させるのに十分なものである。一実施形態では、外因性LALでの治療は、肝臓トランスアミナーゼの血清レベルを少なくとも約40%減少させるのに十分なものである。一実施形態では、外因性LALでの治療は、肝臓トランスアミナーゼの血清レベルを少なくとも約50%減少させるのに十分なものである。一実施形態では、外因性LALでの治療は、肝臓トランスアミナーゼの血清レベルを少なくとも約60%減少させるのに十分なものである。一実施形態では、外因性LALでの治療は、肝臓トランスアミナーゼの血清レベルを少なくとも約70%減少させるのに十分なものである。一実施形態では、外因性LALでの治療は、肝臓トランスアミナーゼの血清レベルを少なくとも約80%減少させるのに十分なものである。一実施形態では、外因性LALでの治療は、肝臓トランスアミナーゼの血清レベルを少なくとも約90%減少させるのに十分なものである。
一部の実施形態では、肝臓トランスアミナーゼはアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)である。一実施形態では、外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)の投与は、血清ALTを低減させるのに十分なものである。例えば、外因性LALの投与は、血清ALTを、例えば少なくとも約50%、60%、70%、80%、又は90%低減させることができる。血清ALTレベルは、肝臓損傷の指標を示すことができる。したがって、本発明はまた、外因性LALの有効量を投与して血清ALTを低減させることによって、LAL欠損症を患うヒト患者における肝臓損傷を低減させる方法を意図するものである。別の実施形態では、本明細書に記載の方法により、ALTレベルがベースラインと比較して少なくとも約35%、40%、45%、50%、55%、又は60%減少することになる(例えば、SAでの治療の20週以上後)。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法により、ALTレベルがベースラインと比較して少なくとも約51%、52%、53%、54%、55%、56%、又は57%減少することになる(例えば、SAでの治療の20週後、52週後、又は76週後)。
一部の実施形態では、肝臓トランスアミナーゼは血清アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)である。一実施形態では、外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)の投与は、血清ASTを低減させるのに十分なものである。例えば、外因性LALの投与は、血清ASTを、例えば少なくとも約50%、60%、70%、80%、又は90%低減させることができる。血清ASTレベルは、肝臓損傷の指標を示すことができる。したがって、本発明はまた、外因性LALの有効量を投与して血清ASTを低減させることによって、LAL欠損症を患う患者における肝臓損傷を低減させる方法を意図するものである。別の実施形態では、本明細書に記載の方法により、ASTレベルがベースラインと比較して少なくとも約35%、40%、45%、50%、55%、又は60%減少することになる(例えば、SAでの治療の20週以上後)。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法により、ASTレベルがベースラインと比較して少なくとも約42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、又は51%減少することになる(例えば、SAでの治療の20週後、52週後、又は76週後)。
一部の実施形態では、外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)での治療は、血清フェリチンレベルを減少させることができる。よって、一部の実施形態では、外因性LALでの治療は、血清フェリチンを、前処置レベルと比較した場合に少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は95%減少させるのに十分なものである。一実施形態では、外因性LALでの治療は、フェリチンの血清レベルを少なくとも50%減少させるのに十分なものである。更に別の実施形態では、外因性LALでの治療は、フェリチンの血清レベルを少なくとも約60%減少させるのに十分なものである。一実施形態では、外因性LALでの治療は、フェリチンの血清レベルを少なくとも約70%減少させるのに十分なものである。一実施形態では、外因性LALでの治療は、フェリチンの血清レベルを少なくとも約80%減少させるのに十分なものである。一実施形態では、外因性LALでの治療は、フェリチンの血清レベルを少なくとも約90%減少させるのに十分なものである。一実施形態では、外因性LALでの治療は、フェリチンの血清レベルを少なくとも約95%減少させるのに十分なものである。
一実施形態では、例えば、ウォルマン病及びCESD、又は他のLAL欠損症に関して、脾腫大が顕著に好転し、脾臓のサイズが正常サイズより約1%〜約60%大きい範囲内のサイズに戻る。この文脈において「正常」とは、医学分野における通常の技術を有する従事者によって判定される、試験されている患者にとっての正常サイズの脾臓を意味する。一実施形態では、脾臓サイズは正常よりも約1%〜約50%大きいサイズまで減少する。別の実施形態では、脾臓サイズは正常よりも約1%〜約40%大きいサイズまで減少する。一実施形態では、脾臓サイズは正常よりも約1%〜約30%大きいサイズまで減少する。別の実施形態では、脾臓サイズは正常よりも約1%〜約20%大きいサイズまで減少する。別の実施形態では、脾臓サイズは正常よりも約10%〜約20%大きいサイズまで減少する。例えば、脾臓は、正常サイズよりも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、又は20%大きくなり得る。更に別の実施形態では、脾臓サイズは正常よりも約0%〜約10%大きいサイズまで減少する。例えば、脾臓は、脾臓の正常サイズよりも0%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、又は10%大きくなり得る。
一実施形態では、外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)の投与は、リンパ節腫大(すなわち腫大したリンパ節)を縮小させるのに十分なものである。したがって、一部の実施形態では、リンパ節は、正常のサイズよりも約1%〜約60%大きい範囲内の略サイズまで縮小する。この文脈において「正常」とは、医学分野における通常の技術を有する従事者によって判定される、試験されている患者にとっての正常サイズのリンパ節を意味する。一実施形態では、リンパ節サイズは正常よりも約1%〜約50%大きいサイズまで減少する。別の実施形態では、リンパ節サイズは正常よりも約1%〜約40%大きいサイズまで減少する。一実施形態では、リンパ節サイズは正常よりも約1%〜約30%大きいサイズまで減少する。別の実施形態では、リンパ節サイズは正常よりも約1%〜約20%大きいサイズまで減少する。別の実施形態では、リンパ節サイズは正常よりも約10%〜約20%大きいサイズまで減少する。例えば、リンパ節は、正常サイズよりも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、又は20%大きくなり得る。更に別の実施形態では、リンパ節サイズは正常よりも約0%〜約10%大きいサイズまで減少する。例えば、リンパ節は、リンパ節の正常サイズよりも0%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、又は10%大きくなり得る。
別の実施形態では、脂質分析を行い、状態の改善をモニタリングする。例えば、脂質分析を行い、外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)の治療効果を評価することができる。脂質分析は、患者の組織サンプル(例えば、血液サンプル、肝生検サンプル)で、以下に限定されないが、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、質量分析法、又は薄層クロマトグラフィー、又は当業者が好適と考えるこれらの任意の組み合わせといった、任意の有用な方法を用いて行うことができる。一実施形態では、本発明に従って行う脂質分析は、総コレステロール、トリグリセリド、低比重リポタンパク質、高比重リポタンパク質、及び/又はコレステリルエステルのレベルを明らかにするものである。
一実施形態では、例えば、ウォルマン病及びCESD、又は他のLAL欠損症に関して、本発明に従って治療された患者の脂質分析は、肝臓、脾臓、腸、リンパ節、及び/又は大動脈において脂質濃度の正常化を示しているが、これは医学分野における通常の技術を有する従事者によって判定され得るものである。
脂質レベルは、血漿脂質分析又は組織脂質分析を用いて評価され得る。血漿脂質分析においては、血漿が採取され得、総血漿遊離コレステロールレベルを、例えば、COD−PAPキット(Wako Chemicals社)を用いた総血漿比色アッセイで測定することができ、総血漿トリグリセリドを、例えばトリグリセリド/GBキット(Boehringer Mannheim社)で測定することができ、及び/又は総血漿コレステロールを、コレステロール/HPキット(Boehringer Mannheim社)で測定することができる。組織脂質分析においては、例えば、肝臓、脾臓、及び/又は小腸のサンプルから脂質を抽出することができる(例えば、Folch et al.J.Biol.Chem 226:497−505(1957)に記載のFolch方法を用いる)。総組織コレステロール濃度は、例えばO−フタルアルデヒドを用いて測定することができる。
一部の実施形態では、外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)の投与は、養分吸収を増加させるのに十分なものである。一実施形態では、外因性LALの投与により、養分吸収が増加するが、これは血清アルファトコフェロール、25OHビタミンD、血清レチノール、ジデヒドロレチノール、又はトランスサイレチンのレベルにより測定される。
一部の実施形態では、例えば、WD及びCESD、又は他のLAL欠損症に関して、外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)の投与は、血清ヘモグロビンレベル(Hb)を増加させるのに十分なものである。一実施形態では、ヘモグロビンレベルは、外因性LALの投与前に観察されたレベルと比較して、少なくとも約10%又は約20%増加する。
一部の実施形態では、外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)は、副作用を最小化する方法を用いて投与され得る。例えば、外因性LALの投与は、外因性LALへの免疫応答を最小化することができる。
別の実施形態では、患者は小児患者である。別の実施形態では、SAでの治療を開始する時に、患者は8カ月齢未満である。別の実施形態では、SAは小児患者に毎週又は隔週1回、1mg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、SAは小児患者に隔週1回、3mg/kg又は5mg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、セベリパーゼアルファは患者に毎週1回又は隔週1回、0.35mg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の方法により、小児患者が40カ月以上の(例えば、41カ月、42カ月、43カ月、44カ月、45カ月、46カ月、47カ月、48カ月、49カ月、50カ月、51カ月、52カ月、53カ月、54カ月、55カ月、56カ月、57カ月、58カ月、59カ月、60カ月、61カ月、62カ月、63カ月、64カ月、65カ月、66カ月、67カ月、68カ月、69カ月、70カ月、又はそれを超える)平均余命となる。別の実施形態では、本明細書に記載の方法により、小児患者の体重増加が改善することになる。例えば一実施形態では、小児患者は、SAでの治療後、年齢対体重の成長曲線で45%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、又は85%)以上のパーセンタイルにある。別の実施形態では、本明細書に記載の方法により、小児患者における胃腸症状が改善する(例えば、嘔吐及び下痢が軽減される)ことになる。別の実施形態では、本明細書に記載の方法により、小児患者におけるアルブミンが正常レベルとなる。別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、小児患者において正常な肝臓機能をもたらす。別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、小児患者においてALTの正常レベルへの移行(例えば、ベースラインと比較した場合のALTレベルの減少)をもたらす。別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、小児患者においてASTの正常レベルへの移行(例えば、ベースラインと比較した場合のASTレベルの減少)をもたらす。別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、小児患者においてヘモグロビンの正常レベルへの移行(例えば、ベースラインと比較した場合のヘモグロビンレベルの増加)をもたらす。別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、小児患者においてアルブミンの正常レベルへの移行(例えば、ベースラインと比較した場合のアルブミンレベルの増加)をもたらす。別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、小児患者において正常な発育をもたらす。
F.LAL及び外因性LALを含む医薬組成物
本発明は、本明細書に記載のLAL欠損症関連状態及び上述していないが治療効果を得られる他の状態のいずれかを治療することを包含する。本発明に従って使用される外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)として、任意の有用なタンパク質発現システム、例えば、以下に限定されないが、細胞培養(例えば、CHO細胞、COS細胞)、大腸菌(E.coli)などのバクテリア、哺乳類及び鳥類(例えば、ニワトリ、アヒル、及びシチメンチョウ)などのトランスジェニック動物、並びに植物システム(例えば、アオウキクサ及びタバコ)で産生され得る、組換えLALが挙げられる。本発明の一態様は、2006年10月3日に発行された米国特許第7,524,626号、2007年10月10日に出願された米国特許出願公開第11/973,853号、2007年10月29日に出願された米国特許出願公開第11/978,360号、及び2009年1月7日に出願された米国特許出願公開第12/319,396号に従って産生された組換えLALに関し、これらの特許文献の開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。本発明の一態様は、Du et al.,(2005)Am.J.Hum.Genet.77:1061−1074、及びDu et al.,(2008)J.Lipid Res.,49:1646−1657に記載の通りに産生された組換えLALに関し、これらの文献の開示はその全体が参照により本明細書に援用される。有用な一実施形態では、外因性LALはトランスジェニック鳥類(例えば、トランスジェニックニワトリ)の卵管で、例えば、2011年4月23日に出願された国際公開第2011/133960号(PCT/US2011/033699号)に記載の方法に従って産生されており、この特許文献は、その全体が参照により本明細書に明示的に援用される。一部の実施形態では、組換えLALは鳥類細胞株で産生される。一部の実施形態では、組換えLALは哺乳類(例えば、ヒト)細胞株で産生される。
一実施形態では、本発明に従って使用される外因性ライソゾーム酸性リパーゼは、実質的N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)構造及びマンノース末端N−結合型構造を有するグリカンを含む。外因性LALにおけるGlcNAc及びマンノース末端グリカンは、特異的に認識され、マクロファージ及び線維芽細胞により内部移行され得る。マンノース−6−リン酸(M6P)は、タンパク質をGlcNAc/マンノース受容体への標的とすることができ、この受容体は、外因性LAL投与によって治療可能である状態に関与した細胞で発現するものであり、マンノース−6−リン酸は本発明に従って使用される外因性LALにも通常含まれる。
本明細書で考察かつ開示される本発明の外因性LALは通例、ヒトLALである。一実施形態では、外因性LALは、Genbank RefSeq NM_000235.2に定められたアミノ酸配列を有する。一実施形態では、成熟外因性LALは、アミノ酸配列:
SGGKLTAVDPETNMNVSEIISYWGFPSEEYLVETEDGYILCLNRIPHGRKNHSDKGPKPVVFLQHGLLADSSNWVTNLANSSLGFILADAGFDVWMGNSRGNTWSRKHKTLSVSQDEFWAFSYDEMAKYDLPASINFILNKTGQEQVYYVGHSQGTTIGFIAFSQIPELAKRIKMFFALGPVASVAFCTSPMAKLGRLPDHLIKDLFGDKEFLPQSAFLKWLGTHVCTHVILKELCGNLCFLLCGFNERNLNMSRVDVYTTHSPAGTSVQNMLHWSQAVKFQKFQAFDWGSSAKNYFHYNQSYPPTYNVKDMLVPTAVWSGGHDWLADVYDVNILLTQITNLVFHESIPEWEHLDFIWGLDAPWRLYNKIINLMRKYQ (配列番号1)を有する。
一部の実施形態では、外因性LALは、配列番号1のアミノ酸1〜378、配列番号1のアミノ酸3〜378、配列番号1のアミノ酸6〜378、又は配列番号1のアミノ酸7〜378を含む。一部の実施形態では、外因性LALは、配列番号1のアミノ酸1〜378、配列番号1のアミノ酸3〜378、配列番号1のアミノ酸6〜378、及び配列番号1のアミノ酸7〜378からなる群から選択される少なくとも二つのポリペプチドの混合物を含む。一部の実施形態では、外因性LALは、配列番号1のアミノ酸1〜378を含むポリペプチド、配列番号1のアミノ酸3〜378を含むポリペプチド、及び配列番号1のアミノ酸6〜378を含むポリペプチドの混合物を含む。
一部の実施形態では、外因性LALは、配列番号1のアミノ酸1〜378、配列番号1のアミノ酸3〜378、配列番号1のアミノ酸6〜378、又は配列番号1のアミノ酸7〜378と同一のポリペプチドを含む。他の実施形態では、外因性LALは、配列番号1のアミノ酸1〜378、配列番号1のアミノ酸3〜378、配列番号1のアミノ酸6〜378、又は配列番号1のアミノ酸7〜378と、少なくとも約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%同一であるポリペプチドを含む。一部の実施形態では、外因性LALは、配列番号1の機能断片であるポリペプチドを含むか、又は配列番号1の機能断片と少なくとも約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%同一である。
一部の実施形態では、外因性LALは、2011年4月23日に出願された国際公開第2011/133960号(PCT/US2011/033699号)に記載の組換えLALタンパク質であり、この特許文献はその全体が、参照により本明細書に明示的に援用される。
同一ではないアミノ酸位は、保存的アミノ酸置換により異なっていることが多く、そこでは、アミノ酸残基が、同様の化学特性(例えば電荷又は疎水性)を有する他のアミノ酸残基に対して置換しており、したがって、分子の機能特性を変更していないことが認識される。配列が保存的置換の点で異なっている場合、パーセント配列同一性は、置換の保存的性質を補正するために上方に調節され得る。この調節を行うための手段は、当業者に周知である。保存的置換のスコアリングは、例えば、Meyers&Millers,Computer Applic.Biol.Sci.4:11−17(1988)のアルゴリズムに従って計算され得る。
「比較ウインドウ」とは、約25〜約400位、又は約50〜200位、又は約100〜150位などの隣接位のセグメントであって、そのセグメントにわたって、ある配列を、同一数の隣接位の参照配列と、二つの配列を至適にアライメントした後に比較することができる、セグメントを表す。比較のために配列をアライメントさせる方法は、当該技術分野において周知である。比較のための配列の至適なアライメントは、例えば、局所相同性アルゴリズム(Smith&Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981))、グローバルアライメントアルゴリズム(Needleman&Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970))、類似性検索方法(Pearson&Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:2444(1988);Altschul et al.,Nucl.Acids Res.25:3389−402(1997))、通例デフォルト設定を用いる、これらのアルゴリズムのコンピュータによる実行(例えば、Wisconsin Genetics Software PackageのGAP、BESTFIT、FASTA、及びBLAST、Genetics Computer Group、575 Science Dr.、ウィスコンシン州マディソン)、又は手動アライメント及び目視検査(例えば、Current Protocols in Molecular Biology,Ausubel et al.(eds.),1994を参照)によって行われ得る。例えば、BLASTタンパク質の検索を、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3を使用して実施し、配列番号1のアミノ酸配列又はその断片と80%超同一であるアミノ酸配列を得ることができる。
有用なアルゴリズム実行の一例は、PILEUPである。PILEUPは、プログレッシブペアワイズアライメント法を用いて、関連配列の一群から多重配列アラインメントを生成する。これは、アライメントを作成するのに使用されるクラスタリング関係を示す樹状図をプロットすることもできる。PILEUPは、Feng&Doolittle,J.Mol.Evol.35:351−360(1987)のプログレッシブアラインメント法の簡易化したものを用いている。使用方法は、Higgins&Sharp,CABIOS 5:151−3(1989)に記載されている方法と同様である。多重アライメント手順は、二つの最も類似した配列のペアワイズアライメントから始め、二つのアライメントされた配列のクラスターを作成する。続いて、このクラスターを、次に最も近い配列、又はアライメントされた配列のクラスターにアライメントすることができる。二つの配列クラスターを、二つの個々の配列のペアワイズアライメントを単純伸長することによってアライメントすることができる。繰り返す度に異なる配列及び配列のクラスターを次第に含むようになる一連のこうしたペアワイズアライメントが、最終アライメントを作成する。
一部の実施形態では、本発明の外因性LALポリペプチドには、野生型配列の変異体が含まれる。これらの変異体は、三つのクラスである置換、挿入、又は欠失の変異体のうちの一つ又は複数に分類される。これらの変異体は、天然に存在する対立遺伝子変異体若しくは種間変異体であり得るか、又はタンパク質をコードするDNAにおけるヌクレオチドの部位特異的変異誘発によって調製され得る。部位特異的変異誘発は、カセット若しくはPCR変異誘発又は当該技術分野で周知の他の技術を用いて行って、変異体をコードするDNAを作製し、その後、組換え細胞培養においてそのDNAを発現することができる。最大約100〜150アミノ酸残基を有する変異体標的タンパク質断片を、確立された技術を用いたインビトロ合成によって調製することができる。機能的に同様なアミノ酸を提供する保存的置換表は、当該技術分野で周知である(Henikoff&Henikoff,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:10915−10919(1992))。
アミノ酸置換は通例、単一残基の置換である。挿入は通常、約1〜約20のアミノ酸程度のものであるが、それよりもかなり長い挿入も許容され得る。欠失は、約1〜約20の残基の範囲であるが、はるかに長い場合もあり得る。置換、欠失、挿入、又はこれらの任意の組み合わせを用いて、最終的な誘導体に達することができる。
一部の実施形態では、外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)は、少なくとも約100U/mgの比活性を有する。一部の実施形態では、外因性LALは、少なくとも約200U/mgの比活性を有する。一部の実施形態では、外因性LALは、少なくとも約250U/mgの比活性を有する。一部の実施形態では、外因性LALは、約100U/mg〜約1,000U/mgの比活性を有する。一部の実施形態では、外因性LALは、約100U/mg〜約500U/mgの比活性を有する。一部の実施形態では、外因性LALは、約100U/mg〜約350U/mgの比活性を有する。一部の実施形態では、外因性LALは、約200U/mg〜約350U/mgの比活性を有する。一部の実施形態では、外因性LALは、約250U/mg〜約350U/mgの比活性を有する。一部の実施形態では、外因性LALは約250U/mgの比活性を有する。一部の実施形態では、外因性LALは約275U/mgの比活性を有する。一部の実施形態では、外因性LALは約300U/mgの比活性を有する。
ヒトLALには、そのアミノ酸配列において、N−結合型グリコシル化の六つの候補部位があり、それらは配列番号1に記載されているAsn36、Asn72、Asn101、Asn161、Asn273、及びAsn321である。一部の実施形態では、N−結合型グリコシル化部位のうちの少なくとも一つ、二つ、三つ、四つ、又は五つがグリコシル化されている。一部の実施形態では、六つのグリコシル化部位全てがグリコシル化されている。一部の実施形態では、Asn36、Asn101、Asn161、Asn273、及びAsn321がグリコシル化されている。一部の実施形態では、Asn36、Asn101、Asn161、Asn273、及びAsn321がグリコシル化され、Asn72はグリコシル化されていない。一部の実施形態では、N−グリカン構造は、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、マンノース、及び/又はマンノース−6−リン酸(M6P)を有する2分岐、3分岐、及び4分岐構造を含む。一部の実施形態では、外因性LALは、Asn101、Asn161、及びAsn273で、M6P−修飾N−グリカンを含む。一部の実施形態では、外因性LALはO−結合型グリカンを含まない。一部の実施形態では、外因性LALはシアル酸を含まない。一部の実施形態では、外因性LALは、2011年4月23日に出願された国際出願PCT/US2011/033699号に記載されているグリコシル化パターンを有しており、この特許文献は、その全体が参照により本明細書に援用される。
一部の実施形態では、外因性LALの分子量は約55kDである。
特定の実施形態では、対象は、外因性LALをコードする核酸分子で、例えばベクターで治療され得る。ポリペプチドをコードする核酸の用量は、1患者当たり約10ng〜1g、100ng〜100mg、1μg〜10mg、又は30〜300μgのDNAの範囲である。感染ウイルスベクターの用量は、1用量当たり10個〜100個又はそれを超えるビリオンと様々である。
本発明で提供される治療用タンパク質である組換えLALは、そのままの形態で投与することが可能であるが、治療用タンパク質を医薬製剤の一部として投与することが好ましい。
医薬製剤は、経口用、直腸用、経鼻用、局所用(頬側及び舌下を含む)、膣用、又は非経口用に適した製剤を含む。医薬製剤は、筋肉内投与、皮下投与、及び静脈内投与を含めた注射による投与に適した製剤を含む。医薬製剤はまた、吸入又は吹送による投与用の製剤も含む。製剤は、必要に応じて、個別の投与単位で提供されるのが便利である場合があり、また薬学分野において周知の方法のいずれかにより調製することができる。医薬製剤を生成する方法は通例、治療用タンパク質を液体担体、又は微粉化した固体担体、又はその両方の中に入れる工程と、必要な場合には、続いて産物を所望の製剤に成形する工程とを含む。
経口投与に適した医薬製剤は、例えば、各々が所定の量の活性成分を含んでいるカプセル剤、カシェ剤、若しくは錠剤などの個別の単位として、粉末若しくは顆粒として、溶液として、懸濁液として、又は乳濁液として提供されるのが便利である場合がある。活性成分は、大形丸剤、練り薬、又はペーストとして提供されることも可能である。経口投与用の錠剤及びカプセル剤は、結合剤、充填剤、潤滑剤、崩壊剤、又は湿潤剤などの従来の賦形剤を含有し得る。錠剤は、当該技術分野で周知の方法によりコーティングされ得る。経口液体調製物は、例えば、水性又は油性の懸濁液、溶液、乳濁液、シロップ剤、又はエリキシル剤の形態であってもよく、使用前に水又は他の適切なビヒクルで構成させるための乾燥産物として提供されてもよい。こうした液体調製物は、懸濁剤、乳化剤、非水系ビヒクル(食用油を含むことができる)又は防腐剤などの従来の添加剤を含有し得る。
本発明の治療用タンパク質はまた、非経口投与用(例えば、注射、例えばボーラス注入又は持続注入用)に製剤化することができ、アンプル、プレフィルドシリンジ、小容量注入の単位用量の形態で、又は防腐剤を添加した複数回用量の容器で提供され得る。治療用タンパク質は、例えば、皮下注射、筋肉内注射、及び静脈内(IV)注入又は注射により注入され得る。
一実施形態では、外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)は、任意の有用な方法を用いたIV注入により静脈内に投与される。一例では、外因性LALは、末梢ラインを介して静脈内注入により投与され得る。別の例では、外因性LALは、末梢挿入中心カテーテルを介して静脈内注入により投与され得る。別の例では、外因性LALは、静脈血管アクセスポートに接続された歩行注入器により促された静脈内注入により投与され得る。静脈内注入を用いる一実施形態では、薬物は、当該技術分野において熟練した医師によって算定された通り、注入される薬物の量及び患者の前回の注入に関連した応答履歴に応じて、1時間〜8時間の期間にわたって投与される。別の実施形態では、外因性LALは、IV注射により静脈内に投与される。別の実施形態では、外因性LALは、腹腔内注射により投与され得る。更に別の実施形態では、外因性LALは、治療用タンパク質の薬学的に許容可能なカプセル剤を介して投与される。例えば、カプセル剤は腸溶性のゼラチンカプセルであり得る。
一部の実施形態では、外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)は注入により投与され、その注入は、例えば30分〜10時間の長時間にわたって行われ得る。よって注入は、例えば、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、又は約5時間にわたって行われ得る。また注入は、様々な速度で行われ得る。よって、例えば、注入速度は1時間当たり約1mL〜1時間当たり約20mLであり得る。別の実施形態では、注入速度は1時間当たり125mLである。一部の実施形態では、注入速度は1時間当たり5mL〜10mLである。一実施形態では、注入速度は、1時間当たり1mL、2mL、3mL、4mL、5mL、6mL、7mL、8mL、9mL、10mL、11mL、12mL、13mL、14mL、15mL、16mL、17mL、18mL、19mL、又は20mLである。一実施形態では、注入速度は0.1mg/kg/時〜5mg/kg/時である。一実施形態では、注入速度は、約0.1mg/kg/時、約0.2mg/kg/時、約0.3mg/kg/時、約0.5mg/kg/時、約1.0mg/kg/時、約1.5mg/kg/時、約2.0mg/kg/時、又は約3mg/kg/時である。
外因性LAL(例えば、セベリパーゼアルファ)は、油性又は水性のビヒクル中で懸濁液、溶液、又は乳濁液といった形態をとることができ、懸濁剤、安定剤、及び/又は分散剤などの調合剤を含むことができる。外因性LALは、滅菌固体を無菌単離することによって又は溶液を凍結乾燥することによって得られる粉末形態であってもよく、使用前に、それを例えば無菌の発熱物質を含まない水などの適切なビヒクルを用いて構成する。
表皮への局所投与に関して、外因性LALは、軟膏、クリーム、若しくはローションとして、又は経皮パッチとして製剤化され得る。軟膏及びクリームは、例えば、適切な増粘剤及び/又はゲル化剤を添加することにより、水性基剤又は油性基剤を用いて製剤化され得る。ローションは水性基剤又は油性基剤を用いて製剤化することができ、一般に、一つ又は複数の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、又は着色剤も含有する。
口内の局所投与に適切な製剤は、風味基剤である、一般的にスクロース及びアカシア又はトラガントに活性成分を含むトローチ剤、ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシアなどの不活性基剤に活性成分を含む香錠、並びに適切な液体担体に活性成分を含む洗口剤を含む。
担体が固体である直腸投与に適した医薬製剤は、単位用量の坐剤となっているのが最も好ましい。適切な担体には、ココアバター及び当該技術分野で通常使用される他の材料が含まれ、坐剤は、便宜上、活性化合物を、軟化又は融解させた担体と混合して、その後冷却し、鋳型で成形することによって形成され得る。
膣投与に適した製剤は、活性成分に加え、適切であることが当該技術分野において公知である担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡状物、又はスプレーとして供され得る。
鼻腔内投与において、外因性LALは、液体スプレー若しくは分散性粉末として、又は滴剤の形態で使用され得る。
滴剤は、一つ又は複数の分散剤、可溶化剤、又は懸濁剤を更に含む水性若しくは非水性の基剤を用いて製剤化され得る。液体スプレーは、便宜上、加圧パックから送達される。
吸入による投与において、本発明による治療用タンパク質は、便宜上、吸入器、ネブライザ、若しくは加圧パック、又は他の簡便なエアロゾルスプレー送達手段から送達され得る。加圧パックは、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、又は他の適切なガスなどの適切な噴霧剤を含み得る。加圧エアロゾルの場合、投与量単位は、定量を送達するための弁を備えることによって定められ得る。
吸入又は吹送による投与において、外因性LALは、乾燥粉末組成物、例えば、その化合物とラクトース又はデンプンなどの適切な粉末基剤との粉末混合物の形態をとることができる。粉末組成物は、例えば、カプセル若しくはカートリッジの単位剤形で、又は、例えば、粉末を吸入器若しくは吹送器を用いて投与することができるゼラチン若しくはブリスターパックで供され得る。所望する場合、活性成分を持続放出するように適合させた上記の製剤が利用され得る。
本明細書に記載の医薬組成物はまた、抗菌剤又は防腐剤などの他の活性成分を含有していてもよい。
一部の実施形態では、外因性LALを含む医薬組成物は、緩衝液を更に含む。緩衝液の例として、酢酸、リン酸、クエン酸、及びグルタミン酸の緩衝液が挙げられる。また、緩衝液の例として、クエン酸リチウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、乳酸リチウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸カルシウム、リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、マレイン酸リチウム、マレイン酸ナトリウム、マレイン酸カリウム、マレイン酸カルシウム、酒石酸リチウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸カルシウム、コハク酸リチウム、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウム、コハク酸カルシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、及びそれらの混合物が挙げられる。一部の実施形態では、緩衝液はクエン酸三ナトリウム二水和物である。一部の実施形態では、緩衝液はクエン酸一水和物である。一部の実施形態では、医薬組成物は、クエン酸三ナトリウム二水和物及びクエン酸一水和物を含む。
一部の実施形態では、外因性LALを含む医薬組成物は、安定剤を更に含む。安定剤の例として、アルブミン、トレハロース、糖類、アミノ酸、ポリオール、シクロデキストリン、塩類(塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、及び塩化カルシウムなど)、凍結乾燥保護剤、及びそれらの混合物が挙げられる。一部の実施形態では、医薬組成物はヒト血清アルブミンを含む。
本発明は、該当する器官及び組織のライソゾームへの外因性LALの取り込みを促す、任意の投与経路を包含する。
F.キット及び単位剤形
前述の方法おける使用に適した治療有効量でセベリパーゼアルファを含むキットが更に、本明細書で提供される。キットには、任意で、例えば投与スケジュールを含めた、従事者(例えば、医師、看護師、又は患者)がセベリパーゼアルファを患者に投与できるようにする指示書が含まれる場合もある。キットはまた、シリンジを含む。
一実施形態では、本発明は、ライソゾーム酸性リパーゼ(LAL)欠損症を有するヒト患者において肝線維症を軽減するキットであって、(a)ある用量のセベリパーゼアルファと、(b)本明細書に記載の方法でセベリパーゼアルファを使用するための指示書と、を含むキットが提供される。
以下の実施例は、単に例示的なものであり、何ら本開示の範囲を制限するものとして解釈されるべきではないが、これは、数多くの変化形及び等価物が、本開示を読むことにより当業者に明らかになるからである。
実施例1
ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症を有する小児及び成人における肝線維症のセベリパーゼアルファ52週後の変化(ARISE試験)
A.プロトコール
ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(LAL−D)は稀な遺伝性進行性疾患であり、線維症、小結節性肝硬変、及び最終的に肝不全を招くことが多い。LAL−Dの動物モデルにおいて、セベリパーゼアルファ(SA)は肝臓病変を改善し、肝腫大、肝線維症の消散、及び正常構造の回復をもたらした。
試験LAL−CL02(「ARISE」(NCT01757184)としても知られる)は、ライソゾーム酸性リパーゼ(LAL)欠損症を有する小児及び成人におけるセベリパーゼアルファ(SA)の安全性及び有効性を評価するように設計された、第III相の多施設共同、無作為化、プラセボ対照試験である。この試験は、最大6週間のスクリーニング期、20週間の二重盲検治療期、最大130週間の非盲検期(SAが登録されていないか、又は使用可能でない領域で薬物を投与されている対象には更に104週まで延長)、及び治験薬の最終投与から少なくとも4週間後の追跡調査から構成されている。全体の試験計画を図1に示す。プラセボ(PBO)群の対象は、非盲検期に割り付けられてSAを投与された。
対象は、インフォームドコンセントの時点で4歳以上であり、乾燥血液スポット(DBS)で確認されたLAL酵素活性の欠損を有し、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)が、少なくとも1週間空けて得られた2回連続のスクリーニング測定値において、基準値上限(ULN)の1.5倍以上であることが必要とされた。
被験者はSA又はPBOを用いる二重盲検治療に無作為化された。実薬治療に無作為化された対象は、SAを1mg/kgの用量で、隔週(QOW)で静脈内(IV)注入され、20週間の二重盲検治療期にわたって合計で11回注入された。二重盲検期中には、いかなる用量変更も認めなかった。盲検化された治験薬で有意な臨床的進行のエビデンスを示した対象は、二重盲検治療期を中止し、SAを1mg/kg QOWの用量で用いる非盲検治療に移行することが認められた。
非盲検期(22週目に開始)の間、全対象はSAのQOWでのIV注入を受けた。非盲検期中には、用量変更を認めた。対象が用量漸増基準で規定されたプロトコールに適合した場合には、3mg/kg QOWまでの用量増加を認め、忍容性が低い事象の場合には、0.35mg/kg QOWまでの用量減少を認めた。肝生検は、サンプリングの変動性、侵襲的技術のための合併症の可能性、及び主観的なスコアリングなどの制限があるものの、肝臓疾患活性及び線維症の病理組織評価の一般的に認められた標準法となっている。1試験プロトコールにつき、肝生検を、ベースライン、20週目(二重盲検治療期の完了時)、及び52週目(非盲検期)で得られるようにした。対象は、104週目〜152週目の間にいつでも任意の肝生検をすることも可能であった。肝生検は、医学的に禁忌とならない限り、成人対象で得ることが可能であった。肝生検は、適正な同意が得られ、地方条例及びそれぞれの医療機関のIRB/IECにより許可されている場合、小児対象では任意となった。肝生検を、19人の成人対象(18歳以上)のうちの18対象、及び47人の小児対象のうちの15対象で得た。少なくともの1回肝生検した33対象のうちの30対象は、有効なベースラインデータと、少なくとも1回の有効な投与後肝生検とを有した。
二重盲検治療期の間に評価時点及び治療割り付けに盲目であった中央検査機関の第三者的病理学者が、全ての生検を、Ishakステージ、門脈炎症、小葉炎症、大滴性脂肪症、及び微小胞脂肪症などの組織学的特徴に関して、半定量的に評価した。コンピュータ支援形態計測を用いて、脂肪症、コラーゲン、線維症、及びマクロファージの割合を定量した。
B.肝生検データを有する対象の割り付け及び人口統計
肝生検を、ベースライン、20週目(二重盲検治療期の完了時)、及び52週目(非盲検期)で得た。また、任意の肝生検を104週目〜152週目から得た。図2はSA群及びPBO群の患者における肝生検の頻度を示す。肝生検は、医学的に禁忌とならない限り18歳以上の対象で得られ、また任意の基準で、親又は後見人からの同意(及び該当する場合には対象からの承諾)がある場合には18歳未満の対象で得られた。
総勢66対象をLAL−CL02 ARISE試験で無作為化した。36対象をセベリパーゼアルファ(SA)に無作為化し、30対象をPBOに無作為化した。
19人の成人対象のうち、1対象において生検が医学的に禁忌とされた。47人の小児対象のうち、1対象において生検が医学的に禁忌とされた。15人の小児対象について、生検への同意を得た。したがって、33対象(18人の成人対象と15人の小児対象)が少なくとも1回の肝生検を行った。
肝生検をした33対象のうちの30対象が対応のあるデータ(有効なベースライン生検と少なくとも1回の有効な投与後の生検)を有した。残りの3対象が、対応のある分析には含まれなかった。
治療群の無作為化による割り付けは以下の通りにした:
・ 33対象が少なくとも1回の肝生検を行った
・ 32対象がベースラインでの肝生検生検を有した
・ 31対象はベースラインでの有効な生検データを有した(20週目の肝生検が治験薬の22週目の投与1日後に取られたため、1対象からの肝生検データを分析から除いた):
o SAに無作為化された18対象
o PBOに無作為化された13対象
・ 30対象が、ベースラインでの有効な生検データと、少なくとも1回の有効な投与後肝生検とを有した(表2を参照):
o SAに無作為化された18対象
o PBOに無作為化された12対象
・ SA/SA群に無作為化された対象のうち:
o 10対象は、ベースライン、20週目、及び52週目で生検データを有した
o 6対象は、ベースライン、及び20週目でのみ生検データを有した
o 2対象は、ベースライン、及び52週目でのみ生検データを有した
・ PBO/SA群に無作為化された対象のうち:
o 6対象は、ベースライン、20週目、及び52週目で生検データを有した
o 4対象は、ベースライン、及び20週目でのみ生検データを有した
o 2対象は、ベースライン、及び52週目でのみ生検データを有した

期間による割り付けは以下の通りにした:
・ 26対象は二重盲検期に関して対応のある肝生検データ(ベースライン及び20週目)を有した:
o SA群の16対象
o PBO群の10対象
・ 20対象は、ベースライン及び52週目で対応のある肝生検データを有した:
o SA/SA群の12対象
o PBO/SA群の8対象
表2:ベースライン及び投与後で有効な肝生検データを有する対象
Figure 2021178874
年齢は、インフォームドコンセントに署名した時のベースラインでの対象の年齢である。プロトコールに規定された1基準当たりの用量漸増(1mg/kg QOW〜3mg/kg QOW)をしたのは9対象であった。肝生検データを有する対象のいずれも、52週目の前には用量を漸増しなかった。言い換えると、52週目までの肝生検データを有する全ての対象は、PBO及び/又は1mg/kgのSAにのみ曝露されていた。
肝生検を15人〜47人の小児対象で得た。これらの15人の小児対象のうちの2人は、それぞれ1回の肝生検のみ行い、したがって対応のある肝生検データを有する13人の小児対象のコホートには含まれていない。
C.肝生検評価
以下の評価を肝臓病理組織サンプルを用いて行った:
1. 形態計測による脂肪症の割合(H&E染色)
2. Ishakステージ(0〜6にスコア化)(H&E染色)
3. コラーゲンの割合(シリウスレッド染色)
4. 線維症の割合(SMA染色)
5. マクロファージ(CD68染色)
6. 門脈炎症(0〜4にスコア化)(H&E染色)
7. 小葉炎症(0〜4にスコア化)(H&E染色)
8. 大滴性脂肪症(0〜4にスコア化)(H&E染色)
9. 微小胞脂肪症(0〜4にスコア化)(H&E染色)
肝臓組織の評価は、ヘマトキシリン・エオジン(H&E)で染色した部分の詳細な評価に主として基づくものである。H&E染色は、組織学的検査において最もよく使用される染色技術である。これは、形態評価に最も重要な技術である。以下に記載する染色法などの更なる染色法を用いて、H&E染色では容易に観察できない特徴を同定した。
平滑筋アクチン(SMA):肝星細胞により発現されるアクチンのアルファアイソタイプは、その筋線維芽細胞様細胞への活性化を表すものであり、実験的な肝線維形成には直接的に関与し、慢性肝臓疾患におけるヒト線維症には間接的に関与していた。インビボで、アルファ平滑筋アクチンの発現は、線維組織の沈着に先立つ肝星細胞の活性化の信頼できるマーカーであり、これは、肝線維症の最初期ステージを特定し、治療法の有効性をモニタリングするのに有用になり得る。
CD68:CD68(分化抗原群68)は、マクロファージで発現される、肝臓で見られるKupffer細胞などのライソゾーム糖タンパク質である。CD68の免疫組織化学的検査を用いて、Kupffer細胞及び他のマクロファージを特定する。
シリウスレッドは、形態計測による線維症の定量測定が必要となる際に、コラーゲンの選択的染色に用いられるポリアゾ染料である。シリウスレッドは、フィブリル形成型(I型及びIII型)を含むほとんどの肝臓コラーゲンに対して親和性を持ち、その結果、線維症の定量評価を信頼性及び再現性が高い方法で行うことができる。
1.脂肪症の割合(H&E染色)
肝臓病理組織の定量的形態計測に基づく評価を肝脂肪症に対して行った(H&E染色部分で測定)。ベースラインでの肝生検パラメーターを表3にまとめている。
表3:ベースラインでの肝生検パラメーター
Figure 2021178874
肝脂肪症におけるベースラインから20週目までの変化を表4及び図3に示す。事後分析によると、応答者が、ベースラインから改善したか又はベースラインから変化しなかった対象として定義された(脂肪症においては、改善したか又は変化しない状態は5%未満の増加として定義された)場合、20週目で、SA群に無作為化された応答した対象(1
5/16対象、94%)は、PBO群に無作為化された対象(5/10対象、50%、p=0.0184)に比べて、有意に多いことがわかった。SAを投与された患者は、PBOを投与された患者よりも、脂肪症の割合の中央値に改善が見られた(−42.9%対12.3%、p=0.061)(図4)。SAを52週投与されたコホート(n=12)において、脂肪症の割合の中央値は、ベースラインから37%低下した。
表4:対応のある肝生検データ(H&E染色)を有する対象のベースラインから20週目までの肝脂肪症の変化
Figure 2021178874
脂肪症における、ベースラインから20週目までの個々の対象の形態計測的に算出された値それぞれの割合中央値の変化を分析すると、差分が統計的有意性(p=0.0613)に到達しなかったものの、SAで治療された対象は、PBOを投与された対象と比較して脂肪症の割合に全体として改善を示す(表5及び図4)という傾向にあった。
表5:時点毎と治療群(ベースライン及び20週目)毎の肝脂肪症割合の要約統計量
Figure 2021178874
脂肪症の割合の要約統計量は、SAに無作為化された対象(表6)及びPBOに無作為化された対象(表7)のベースライン、20週目、52週目について示している。ベースラインでは、H&Eにより評価された脂肪症の割合の形態計測スコアが、二つの治療群の間で同等であった(SA群では29.7%であるのに対して、PBOでは28.4%)。
20週目では、SA/SA対象は、脂肪症の平均割合が14.8%減少(改善)し、中央値が13.05%減少(改善)した。SA/PBO対象は、6.1%減少(改善)し、中央値が3.6%増加(悪化)した。
52週目では、SA/SA対象は、脂肪症の平均割合が11.2%減少(改善)し、中央値が15.4%減少(改善)し、ベースラインからの平均変化割合が1.1%であった。SA/PBO対象は、脂肪症の平均割合が3.1%減少(改善)し、中央値が10.4%減少(改善)し、ベースラインからの平均変化割合が15.4%であった。SAで治療した対象における脂肪症の割合がベースラインから改善する傾向は、52週目まで継続した。これは、SAで52週間治療した対象(SAに無作為化された対象)と、30週間治療した対象(PBOに無作為化された対象)の両方で明らかである。
表6:時点毎の脂肪症の割合:SAに無作為化された対象のベースライン、20週目、及び52週目(H&E染色)
Figure 2021178874
表7:時点毎の脂肪症の割合:PBOに無作為化された対象のベースライン、20週目、及び52週目(H&E染色)
Figure 2021178874
2.Ishakステージ(H&E染色)
Ishakステージのスコアは0〜6の範囲であり、肝生検の病理組織評価に基づいて算出された(表8)。
文献に記載の他の分類システム(Knodell組織学的活動指数、Batts−Ludwigステージ、Scheuter、及びMETAVIR)は0〜4の範囲のスケールでスコア化される。Ishakスケールはよりきめ細かくなっており(0〜6の範囲のステージ)、各Ishak線維症のステージは前のステージよりも瘢痕が多いことを示している。近年、Ishak分類システムが、特に米国で、臨床試験に広く用いられるようになっている。
Ishakステージと線維症との間には線形的な関係がないことに留意されたい。例えば、ステージ1からステージ2への線維症の変化(3.0%から3.6%)は、ステージ4からステージ5への変化(13.7%から24.3%)よりもはるかに小さくなっている。
表8:Ishakステージの説明
Figure 2021178874
Ishakスコアにおけるベースラインから20週目までの変化と、ベースラインから52週目までの変化を表9(SAに無作為化された対象)と表10(PBOに無作為化された対象)に示す。
ベースラインでは、生検をした32人の患者が線維症(ステージ1以上)を有していた。47%が架橋線維症(ステージ3〜4)であったのに対して、31%が肝硬変(ステージ5〜6)を有している。ベースライン及び試験52週目の対応のある生検データを有する20人の患者のうち、8人の患者はベースラインでIshakステージ5又は6であったが、これは初期又は慢性の肝硬変であることを示している。
図5は二重盲検期(20週のSA曝露(n=16))の間のSA群におけるIshakステージの変化を示す。図6は非盲検期(52週のSA曝露(n=12))の間のSA群におけるIshakステージの変化を示す。SAを52週投与された12人の患者のコホートにおいて、8人の線維症ステージが減少し(6人で2ポイント減少し、2人で1ポイント減少した)、3人で変化が見られなかった。一人の患者で増加が見られた。
図7は二重盲検期(0週のSA曝露(n=10))の間のPBO群におけるIshakステージの変化を示す。図8は非盲検期(30週のSA曝露(n=8))においてPBO群でSAを開始した場合のIshakステージの変化を示す。SAを30週投与された8人の患者のコホートにおいて、4人の線維症ステージが1ポイント減少し、3人で変化せず、1人で増加した。
20週目には、SA群及びPBO群の両方における対象の大多数(26対象のうち17対象)で、Ishakスコアがベースラインから変化しなかった。
上述したように、52週目では、6対象でIshakスコアがベースラインから2ポイント以上の減少した(図6を参照)。6対象全てが52週SA曝露されていたが、これは長いSA曝露には更に大きな効果があることを明らかにしている。Ishakステージスコアがベースラインから52週目まで2ポイント以上減少した6対象のうち5対象が、ベースラインでIshakステージが3であったが、これは線維症が十分に確立する前に治療を開始した場合には、より大きな治療効果があることを示唆している。全体的に、52週目では、対応のある肝生検データを有する20対象のうちの18対象(90%)のIshakスコアが、改善していたか又は進行していなかった。
Ishakステージが1ポイント減少した患者の半数以上が、ベースラインで肝硬変を有していた。ステージが2ポイント減少した6人の患者のうち、1人がベースラインで肝硬変を有していた。6人のうち5人がベースラインでステージ3であり、52週での平均割合の変化が、ALTでは−60.5%であり、LDL−Cでは−40.3%であり、MRIで評価した肝脂肪含有量では−31.6%であった。試験の52週の間、62人の患者が1つ以上の有害事象(AE)を有し、その多くが無関係なものであった。10人の患者に注入に伴う反応(IAR)が見られた。5人の患者に重篤な有害事象(AE)が見られ、そのうちの一つは治療に関連がある(IAR)とみなされた。SAを中止し、患者に短期の脱感作プロトコールを行った後にSAを再投与して、薬剤の試験を続けている。いずれの患者もAEのために試験を中止しなかった。
52週間SAで治療した12人の患者のうち、8人で線維症ステージが減少し、3人で変化せず、1人で増加した。治療の期間を長くすると、線維症のより大きな軽減を示す傾向にあった。これらの軽減は肝脂肪、ALT、及びLDL−Cの低減に付随して起こった。ALT、AST、LDL−C、HDL−C、Non−HDL−C及びTGのデータを図9に記載している。これらのデータは、LAL−Dを有する小児及び成人における短期及び長期のSA治療の価値を裏付けるものである。
表9:SAに無作為化された対象のベースラインから20週目及び52週目までのIshakスコアの変化(H&E染色)
Figure 2021178874
表10:PBOに無作為化された対象のベースラインから20週目及び52週目までのIshakスコアの変化(H&E染色)
Figure 2021178874
ベースライン生検をした31対象全員がベースラインで何らかの線維症を有した(表11及び表12)。10対象のIshakスコアはベースラインで5又は6であったが、これは初期又は慢性の肝硬変であることを示している。SAに無作為化された対象(表9)について、Ishakスコアは20週目までに改善し、52週目まで改善し続けたが(対象の21%が線維症を有さなかった)、これは治療が長くなると改善がより明らかになることを示唆している。
表11:SAに無作為化された対象の時点毎のIshakステージスコア
Figure 2021178874
表12:PBOに無作為化された対象の時点毎のIshakステージスコア
Figure 2021178874
3.コラーゲン(シリウスレッド染色)
コラーゲンの割合の要約統計量は、SAに無作為化された対象(表13)及びPBOに無作為化された対象(表14)のベースライン及び52週目について示している。ベースラインでは、シリウスレッドにより評価されたコラーゲンの割合の形態計測スコアは、SA群では平均値が9.2%(中央値が8.1%)であり、PBO群では平均値が16.4%(中央値が10.8%)であった。
20週目では、両方の治療群で、中央値が微増した(SA対象については3.85%、PBOについては3.35%)。
52週目までに、SA/SA治療群の対象で、コラーゲンの割合が改善した:SA/SA対象に対して平均値がベースラインから3.2%減少(改善)(中央値は2.5%減少)した。PBO/SA治療群の対象は、平均値がベースラインから0.6%増加(悪化)し、中央値が2.7%増加(悪化)した。
表13:コラーゲンの割合:SAに無作為化された対象の時点毎の肝生検データ(シリウスレッド染色)
Figure 2021178874
表14:コラーゲンの割合:PBOに無作為化された対象の時点毎の肝生検データ(シリウスレッド染色)
Figure 2021178874
4.線維症(SMA染色)
線維症の割合の要約統計量は、SAに無作為化された対象(表15)及びPBOに無作為化された対象(表16)のベースライン及び52週目について示している。ベースラインでは、SMA染色により評価された線維症の割合の形態計測スコアは、SA群では平均値が6.1%(中央値が4.05%)であり、PBO群では平均値が7.9%(中央値が4.00%)であった。
20週目では、線維症の割合の評価結果は、SA群で5.9%(中央値6.05%)、PBO群で7.7%(中央値6.6%)であった。
52週目までに、両方の治療群の対象で、線維症の割合が改善した:SA/SA対象に対して平均値がベースラインから4.4%減少(改善)(中央値は3.1%減少)し、PBO/SA対象に対して平均値が2.4%減少(中央値は2.9%減少)した。
表15:線維症の割合:SAに無作為化された対象の時点毎の肝生検データ(SMA染色)
Figure 2021178874
表16:線維症の割合:PBOに無作為化された対象の時点毎の肝生検データ(SMA染色)
Figure 2021178874
5.マクロファージ(CD68免疫染色)
マクロファージの割合の要約統計量は、SAに無作為化された対象(表17)及びPBOに無作為化された対象(表18)のベースライン及び52週目について示している。ベースラインでは、CD68+免疫染色により評価されたCD68+細胞の割合の形態計測スコアは、SA群では平均値が9.1%(中央値が7.4%)であり、PBO群では平均値が4.6%(中央値が6.0%)であった。
20週目で、SA群の平均値が6.4%(中央値は4.6%)まで改善した。PBO群の平均値は7.1%(中央値は6.2%)であった。
52週目で、SA/SA群の対象は、マクロファージの割合が継続して改善していた:平均値はベースラインから4.4%減少(改善)(中央値は1.6%減少)した。PBO/SA群の対象は、平均値がベースラインから1.75%増加(悪化)(中央値は1.8%増加)した。
表17:マクロファージの割合:SAに無作為化された対象の時点毎の肝生検データ(CD68+免疫染色)
Figure 2021178874
表18:マクロファージの割合:PBOに無作為化された対象の時点毎の肝生検データ(CD68+免疫染色)
Figure 2021178874
6.門脈炎症
門脈炎症は0〜4までスコア化され、スコアは、SAに無作為化された対象については表19に、PBOに無作為化された対象については表20に、時点毎(ベースライン、20週目、及び52週目)に提示されている。門脈炎症は、ベースラインにおいてほとんど全ての対象に存在していた(30対象又は31対象に対してスコアは1又は2、軽度又は中程度)。20週目までに、2対象(両人共PBO群)でスコアが3(中程度/顕著な門脈炎症)に進行し、SA対象ではいずれもスコア3に進行しなかった。52週目までに、対象の大多数が門脈炎症の軽度又は中程度の分類に残った。
表19:門脈炎症:SAに無作為化された対象の時点毎の肝生検データ(H&E染色)
Figure 2021178874
表20:門脈炎症:PBOに無作為化された対象の時点毎の肝生検データ(H&E染色)
Figure 2021178874
7.小葉炎症
小葉炎症を0〜4にスコア化する。スコアは、SAに無作為化された対象については表21に、PBOに無作為化された対象については表22に、時点毎(ベースライン、20週目、及び52週目)に提示されている。小葉炎症はベースラインで全ての対象に存在した。SAで治療した後に、小葉炎症が経時的に減少する傾向にあった。52週目までに、2対象(両人共SA/SA群)では小葉炎症がなくなるまで改善した(0スコア)。
表21:小葉炎症:SAに無作為化された対象の時点毎の肝生検データ(H&E染色)
Figure 2021178874
表22:小葉炎症:PBOに無作為化された対象の時点毎の肝生検データ(H&E染色)
Figure 2021178874
8.大滴性脂肪症
大滴性脂肪症を0〜4にスコア化する。スコアは、SAに無作為化された対象については表23に、PBOに無作為化された対象については表24に、時点毎(ベースライン、20週目、及び52週目)に提示されている。対象の大多数(31対象のうち27対象)はベースラインで大滴性脂肪症を有しておらず、これは基礎疾患の報告された病理に基づけば予想された結果であった。52週目で、対象の大多数(21対象のうち15対象)が大滴性脂肪症を有さなかった。
表23:大滴性脂肪症:SAに無作為化された対象の時点毎の肝生検データ(H&E染色)
Figure 2021178874
表24:大滴性脂肪症:PBOに無作為化された対象の時点毎の肝生検データ(H&E染色)
Figure 2021178874
9.微小胞脂肪症
微小胞脂肪症を0〜4にスコア化する。スコアは、SAに無作為化された対象については表25に、PBOに無作為化された対象については表26に、時点毎(ベースライン、20週目、及び52週目)に提示されている。対象の大多数がベースラインで微小胞脂肪症を有していたが(31対象中30対象)、これは基礎疾患を伴うことが予想された通りである。更に、大半(31対象のうちの27対象)が66%を超える肝細胞の病変/置換を有していたが、これは疾患の重症度を示し、その根拠をなすものである。52週までに、21対象のうちの12対象のみが66%を超える肝細胞の病変/置換を有していたが、これは肝細胞における脂肪低減へのSAの効果を示している。
表25:微小胞脂肪症:SAに無作為化された対象の時点毎の肝生検データ(H&E染色)
Figure 2021178874
表26:微小胞脂肪症:PBOに無作為化された対象の時点毎の肝生検データ(H&E染色)
Figure 2021178874
C.考察及び結論
肝生検は、サンプリングの変動性、侵襲的技術のための合併症の可能性、及び主観的なスコアリングなどの制限があるものの、肝臓疾患活性及び線維症の病理組織評価の一般的に認められた標準法となっている。
肝生検を、19人の成人対象(18歳以上)のうちの18対象、及び47人の小児対象のうちの15対象において得た。少なくともの1回肝生検した33対象のうちの30対象は、有効なベースラインデータと、少なくとも1回の有効な投与後肝生検(20週目及び/又は52週目)とを有した。対応のある肝生検データを有する対象が少数であるため、サンプリングの変動性が本試験の制限となる。
二重盲検治療期の間に評価時点及び治療割り付けに盲目であった中央検査機関の第三者的病理学者が、全ての生検を、Ishakステージ、門脈炎症、小葉炎症、大滴性脂肪症、及び微小胞脂肪症などの組織学的特徴に関して、半定量的に評価した。コンピュータ支援形態計測を用いて、脂肪症、コラーゲン、線維症、及びマクロファージの割合を定量した。
肝臓病理組織の定量的形態計測に基づく評価を脂肪症の割合に対して行った。ベースラインでは、脂肪症の割合の形態計測スコアが、2つの治療群の間で同等であった(SA群では29.7%であるのに対して、PBOでは28.4%)。応答者が、ベースラインから改善したか又はベースラインから変化しなかった対象として定義された場合、20週目で、SA群に無作為化された応答した対象(15/16対象、94%)は、PBO群に無作為化された対象(5/10対象、50%、p=0.0184)に比べて、有意に多くなった。脂肪症におけるベースラインから20週目までの割合中央値の変化を分析すると、差分が統計的有意性(p=0.061)に到達しなかったものの、SAで治療された対象は、PBOを投与された対象と比較して脂肪症の割合に改善を示すという傾向にあった。ベースライン及び52週目の対応のある肝生検データを有する対象を考慮すると、SAで治療した対象における脂肪症の割合がベースラインから改善する傾向は、52週目まで継続した。これは、SAで52週間治療した対象(ベースラインからの平均値の変化は11.2%であった)と、30週間治療した対象(ベースラインからの平均値の変化は3.1%であった)の両方から明らかで、52週間治療した対象における平均値の改善が明らかに大きくなっており、これは治療の効果と治療期間の関係を示すものである。
ベースライン生検と少なくとも1つの有効な投与後生検を持つ31対象全員が、ベースラインで何らかの線維症を有した。ベースラインと52週目で対応のあるデータを持つ20対象のうち、10対象のIshakスコアはベースラインで5又は6であったが、これは初期又は慢性の肝硬変であることを示している。52週目では、対応のある肝生検データを有する20対象のうちの18対象(90%)のIshakステージスコアが、改善していたか又は進行していなかった。52週のSAでの長期の治療は、肝臓マーカー及び脂質パラメーターの改善に加えて、患者の92%(12対象のうちの11対象)が改善したか又は変わらないIshak線維症ステージを有し、ベースラインからのIshakステージスコアが、67%(12対象のうちの8対象)で少なくとも1ステージ改善し、50%(12対象のうちの6対象)で2ポイント減少した。6対象全てが52週SA曝露されていたが、これは長いSA曝露には更に大きな効果があることを明らかにしている。Ishakステージスコアがベースラインから52週目まで2ポイント以上減少した6対象のうち5対象が、ベースラインでIshakステージが3であったが、これは線維症が十分に確立する前に治療を開始した場合には、より大きな治療効果があることを示唆している。
コラーゲン、線維症、マクロファージ、門脈炎症、及び小葉炎症の組織学的特徴に関して、全ての対象はベースラインに対して52週目で改善を示し、52週間SAで治療した対象(SAに無作為化された対象)はPBOで無作為化された対象(30週間SAで治療した対象)よりも大きな改善を示した。
基礎疾患の病理に基づいて予想されるように、対応のある肝生検データを有する少数の対象(5/20)しかベースラインで何らかの大滴性脂肪症を患っていなかったが、ほとんどの対象(19/20)が微小胞脂肪症を患っていた。他の組織学的パラメーターに関しては、微小胞脂肪症はSAでの治療で改善し、30週間よりも52週間治療した対象でより大きな改善が見られた。
全体の傾向として、SAで治療した対象における肝臓損傷が、ベースラインと比べて改善したか、又は進行しないことを示している。SAに無作為化された、3つの時点(ベースライン、20週、52週)での生検データを有する対象から得た結果は、SAに曝露される時間が増えるとより改善されることを示している。同様に、対象を52週目で比較すると、52週間SAで治療された対象(SAに無作為化された対象)が、30週間治療された対象(PBOに無作為化された対象)よりも改善されていた。
実施例2:ARISE試験からの更なる中間結果
以下は、進行中のARISE試験からの中間データのまとめであり、上述したプロトコールに実質的に従って行われたものであり、実施例1のデータを補足する。この分析の目的は、進行中のARISE試験の非盲検相を、76週のセベリパーゼアルファ(SA)での治療の間の主要な臨床研究パラメーターに関して評価することであった。
初めにSA群に無作為化された患者にSAを76週間投与した(試験0週〜76週)。初めにプラセボ群に無作為化された患者は、続けて非盲検期に入り、SAを78週間投与された(試験22週〜100週)。集計データを76週のSA治療として示している。
非盲検延長期において報告されている、最も一般的な治療下で発現した有害事象(発現率10%以上)を以下表27に記載している。1mg/kgで3951回の注入及び3mg/kgで248回の注入を行った。大半の有害事象(AE)の程度は軽度又は中程度であった。いかなる患者も非盲検期にAEのために中止することがなかった。非盲検延長期の間に注入に伴う反応(IAR)が13人の患者(20%)で発生したが、1人を除く全員の程度が軽度又は中程度であった。7人の患者が重篤なAEを有した。これらのうち、1人が治療に関連すると思われるIARであった。その患者はSA治療を86週間中止し、脱感作プロトコールを行った後に、治療を再開した。抗薬物抗体(ADA)を7人の患者(11%)で検出した。これらの7人のうち、2人の患者が中和抗体を有した。ADA陽性を示した患者の安全性プロファイルは、全体の試験集団のプロファイルと一致していた。
表27:最も一般的な治療下で発現した有害事象
Figure 2021178874
図10に示すように、ALTレベルの平均値が、ベースラインの99.6U/Lから、76週のSA治療により39.6U/Lに減少した。これは、平均値の変化割合が−56.1%であることを示している。具体的には、患者の87%のALTが、1.5×ULN以下となった。76週では、51%(31/61)がALTを正常化した。
更に、血清ASTレベルの平均値が、ベースラインの79.8U/Lから、76週のSA治療により36.3U/Lに減少し、これは平均値の変化割合が−50.7%であることを示している。具体的には、患者の95%のASTが、1.5×ULN以下となった。76週では、患者の65%(37/57)が、SA治療によりASTを正常化した。
図11は、SAで76週治療した場合の脂質パラメーターにおけるベースラインからの平均値の変化を示す。図11に示すように、LDL−Cレベルの平均値は、199mg/dLから142mg/dLに改善した。non−HDL−Cレベルの平均値は、230mg/dLから166mg/dLに改善した。TGレベルの平均値は、155mg/dLから123mg/dLに改善した。HDL−Cレベルの平均値は、33mg/dLから40mg/dLに改善した。
マルチエコーグラディエントエコー型磁気共鳴映像法を、ベースライン、試験20週目、試験52週目(SA/SA群では52週のSA治療に相当し、PBO/SA群では30週の治療に相当する)で行い、肝脂肪画分及び肝容積を評価した。52週のSA治療では、88%の患者(28/32)で肝脂肪画分が減少した(減少率の平均値−21%、n=32)。90%の患者(28/31)で、肝容積が減少した(減少率の平均値−13%、n=31)。30週のSA治療では、88%の患者(21/24)で肝脂肪画分が減少した(減少率の平均値−28%、n=24)。96%の患者(25/26)で、肝容積が減少した(減少率の平均値−11%、n=26)。
まとめると、76週のSAでの治療により、肝臓損傷、脂質異常、肝容積、及び肝臓脂肪含有量のマーカーで持続的な改善が見られたが、これは長期療法の効果を浮き彫りにしている。更に、76週にわたる進行中のSAでの治療は、LAL−Dを有する患者に概ね良好な忍容性を示した。具体的には、長期安全性プロファイルが、二重盲検期の間のプロファイルと同様であり、ほとんどの有害事象の程度が軽度から中程度であった。
実施例3:小児患者における試験からの中間結果
以下は、小児試験をまとめたもので(LAL−CL03試験、clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01358370?term=LAL−1&rank=1)、上述のプロトコールに実質的に従って行われたものであり、実施例1及び実施例2のデータを補足する。この分析の目的は、SAが、3歳までの生存と、急速進行性ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(LAL−D)を有する乳児の肝臓機能とに及ぼす影響を評価することであった。
この試験では、LAL−Dを有する小児患者(すなわち3歳までの乳児)に、毎週0.35mg/kgの開始用量でSAを投与し、1mg/kgまで漸増させた。更に3.0又は5まで漸増させた。0mg/kgはプロトコールに規定された基準に従って許容された。主要な選択基準は以下である:(1)予定の第一注入時の年齢が8カ月齢未満、(2)LAL−Dの臨床確定診断、及び(3)6カ月齢前に発症する成長阻害又は急速進行性疾患の他のエビデンスを示したこと。生存は有効性の最も重要な尺度であるが、体重及び機能発達における改善、血液学的影響、並びに3年にわたる安全性/忍容性も評価した。
9人の患者を31カ月にわたり登録した。患者の人口統計を表28に記載している。9人のうち8人が成長阻害を有した。9人全員に下痢若しくは嘔吐、副腎石灰化、肝腫大、及び/又は脾腫大が見られた。9人全員が特別な規定食(例えば、Monogen(登録商標))を必要とし、9人のうち3人は脂肪を減らした食事をとり、9人のうち2人は非経口栄養を必要とした。
表28:小児患者の人口統計
Figure 2021178874
いかなる患者も現在までに試験を中止していない。1013回の注入を投与した。一人の患者(患者D)は2016年5月に本試験を完了してから、隔週でSAを3mg/kg投与され続けている。
43件の重篤な有害事象(SAE)が9人全ての患者に生じた。この評価の前1年にわたり、無関係な二件のSAE(二人の別々の患者にクループ及び吸収不良(低アルブミン血症))と、一件の軽度であり治療法のいかなる変更も招いていない注入に伴う反応(IAR)とがあった。有害事象(AE)の大部分(95%)は軽度/中程度であった。
5人の患者に、SAEとして報告された4件の事象も含めた総計54件のIARがあった。
IARのうちの48件を関連している又は関連している可能性があるとした。IARのうちの51件は軽度又は中程度であった(例えば、発熱又は嘔吐)。3件の重症のIARが同一患者に生じた。全ての応答を正しく管理し、常套的な医療行為で消散させた
抗薬物抗体(ADA)陽性結果を、評価した7人の患者のうちの4人から得た。この陽性患者のうちの二人は、ADA及び中和抗体に対して、評価した最も最近の時点を含めて一貫して陽性であった。他の二人の患者はADA陽性になる頻度が低く、一人のみが中和抗体を有した。全てのADA陽性患者は、治療に影響を与えることなく、抗体の有無とばらついた一時的な関連性を有して、IARを経験した。
生存統計を図12に記載している。5人の患者が、2016年8月28日の時点で3歳を超えて生存した。年齢中央値(範囲):3年11カ月(3年6カ月〜5年9カ月)。試験における時間の中央値は3年5カ月である。最も年齢の高い患者には、SAを5年5カ月投与した。四人の死亡はSAとは関係がないか、又は関係がない可能性があった。三人の患者は、SAを4回以下投与された後に死亡した(一人は心停止、一人は大量腹腔内出血により死亡)。もう一人の患者は、LAL−Dにより肝不全で死亡した。一人の患者は本試験を完了したが、未だ治療中である。図13は、誕生から死亡までの時間(LAL−CL03試験)と成長阻害を有する未治療のLAL−D乳児(LAL−−NH01臨床試験、clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01371825?term=LAL−CL03&rank=1)のカプラン・マイヤープロットを示すものである。
図14には、患者Dの年齢対体重の成長曲線を示す。12カ月齢まで生存している六人の患者(患者B、患者C、患者D、患者E、患者F、及び患者G)の年齢対体重成長曲線を図15に示す。
投与状況及び用量漸増スキームを表29に示す。
表29:投与状況及び用量漸増
Figure 2021178874
重量、肝臓、及び血液の結果を表30に示す。経時的な肝臓及び血液のパラメーター(ALT、AST、ヘモグロビン、フェリチン、アルブミン、及び血小板)を図16に示す。重量中央値のパーセンタイルはベースラインで3.1%であり、最新の来院で37.0%まで増加した。身長中央値のパーセンタイルは1.8%パーセンタイルであり、最新の来院で30.6%まで増加した。
表30:投与状況及び用量漸増
Figure 2021178874
最終的に、5人の患者が3歳を超えて生存した。自然歴研究における乳児の生存の中央値は3.7カ月であった。全ての生存患者は毎週3.0mg/kg以上までの用量漸増を必要とした。体重増加、胃腸症状、肝脾腫大、ALT、AST、及びヘモグロビンにおける改善が経時的に持続していた。患者の大多数が正常発達を示した。SAは良好な忍容性を示した。
* * *
上記の明細書の各実施例は本発明を説明するために提供されるものであり、本発明を限定するものではない。実際、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、本発明に種々の修正、統合、追加、削除、及び変更がなされ得ることは、当業者に明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示又は記載された特徴は、別の実施形態で使用されて、更なる実施形態を与えることができる。本発明は、こうした修正、統合、追加、削除、及び変更を網羅することが意図される。
本明細書に引用される全ての刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト、及び受託番号/データベース配列(ポリヌクレオチド配列とポリペプチド配列の両方を含む)は、個々の刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト、又は受託番号/データベース配列のそれぞれが、参照により援用されることを具体的かつ個々に示されるのと同じ程度に、あらゆる目的に対し、その全体が参照により本明細書に援用される。

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  1. 明細書に記載の発明。
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