JP2021178329A - 積層造形物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造時間を短縮させつつ、高精度に成形することができる積層造形物の製造方法を提供する。【解決手段】溶加材Mを溶融及び凝固させた溶着ビードBを積層させて積層造形物Wを造形する積層造形物の製造方法であって、積層造形物Wの表面を成形する成形面63を有する冷却部材61をベースプレート51上に配置させる配置工程と、冷却部材61の成形面63に接触させながら冷却部材61に沿って溶着ビードBをベースプレート51上に積層させて積層造形物Wを造形する造形工程と、を含み、冷却部材61は、銅または銅合金から形成され、冷却水が流される冷却流路65を有する。【選択図】図3C
Description
本発明は、積層造形物の製造方法に関する。
近年、生産手段として3Dプリンタを用いた造形のニーズが高まっており、金属材料を用いた造形の実用化に向けて研究開発が進められている。金属材料を造形する3Dプリンタは、レーザや電子ビーム、更にはアーク等の熱源を用いて、金属粉体や金属ワイヤを溶融させ、溶融金属を積層させることで造形物を作製する。
このような造形技術として、特許文献1には、モールド材に沿ってビードを形成することにより、造形物を造形するビードの形状を整えながら積層させて造形することが開示されている。
ところで、ビードを積層させて造形物を造形する積層造形では、精密な形状の造形が困難である。このため、造形物の造形後に、精度が必要な箇所を機械加工によって形成することとなり、手間を要する。
特許文献1に記載の造形技術によれば、モールド材に沿って形成した面の精度をある程度高めることができる。しかし、単に、モールド材に沿ってビードを形成するだけでは、モールド材にビードが貼り付いたり、モールド材が熱によって損傷したりするため、成形面を平滑に形成するには限度があった。
本発明の目的は、製造時間を短縮させつつ、高精度に成形することができる積層造形物の製造方法を提供することにある。
本発明は下記構成からなる。
溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを積層させて積層造形物を造形する積層造形物の製造方法であって、
前記積層造形物の表面を成形する成形面を有する冷却部材を母材上に配置させる配置工程と、
前記冷却部材の前記成形面に接触させながら前記冷却部材に沿って前記溶着ビードを前記母材上に積層させて積層造形物を造形する造形工程と、
を含み、
前記冷却部材は、銅または銅合金から形成され、冷却媒体が流される冷却流路を有する、
積層造形物の製造方法。
溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを積層させて積層造形物を造形する積層造形物の製造方法であって、
前記積層造形物の表面を成形する成形面を有する冷却部材を母材上に配置させる配置工程と、
前記冷却部材の前記成形面に接触させながら前記冷却部材に沿って前記溶着ビードを前記母材上に積層させて積層造形物を造形する造形工程と、
を含み、
前記冷却部材は、銅または銅合金から形成され、冷却媒体が流される冷却流路を有する、
積層造形物の製造方法。
そこで、本発明は、製造時間を短縮させつつ、高精度に成形することができる積層造形物の製造方法を提供することを目的とする。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の製造方法で積層造形物を製造する製造システムの模式的な概略構成図である。
図1に示すように、本構成の積層造形物の製造システム100は、積層造形装置11と、積層造形装置11を統括制御するコントローラ13と、電源装置15と、を備える。
図1は、本発明の実施形態の製造方法で積層造形物を製造する製造システムの模式的な概略構成図である。
図1に示すように、本構成の積層造形物の製造システム100は、積層造形装置11と、積層造形装置11を統括制御するコントローラ13と、電源装置15と、を備える。
積層造形装置11は、先端軸にトーチ17が設けられた溶接ロボット19と、トーチ17に溶加材(溶接ワイヤ)Mを供給する溶加材供給部21とを有する。トーチ17は、溶加材Mを先端から突出した状態に保持する。
溶接ロボット19は、多関節ロボットであり、ロボットアームの先端軸に取り付けたトーチ17には、溶加材Mが連続供給可能に支持される。トーチ17の位置や姿勢は、ロボットアームの自由度の範囲で3次元的に任意に設定可能となっている。
トーチ17は、不図示のシールドノズルを有し、シールドノズルからシールドガスが供給される。アーク溶接法としては、被覆アーク溶接や炭酸ガスアーク溶接等の消耗電極式、TIG溶接やプラズマアーク溶接等の非消耗電極式のいずれであってもよく、作製する積層造形物に応じて適宜選定される。
例えば、消耗電極式の場合、シールドノズルの内部にはコンタクトチップが配置され、溶融電流が給電される溶加材Mがコンタクトチップに保持される。トーチ17は、溶加材Mを保持しつつ、シールドガス雰囲気で溶加材Mの先端からアークを発生する。溶加材Mは、ロボットアーム等に取り付けた不図示の繰り出し機構により、溶加材供給部21からトーチ17に送給される。そして、トーチ17を移動しつつ、連続送給される溶加材Mを溶融及び凝固させると、ベースプレート51上に溶加材Mの溶融凝固体である線状の溶着ビードBが形成され、この溶着ビードBからなる積層造形物Wが造形される。
なお、溶加材Mを溶融させる熱源としては、上記したアークに限らない。例えば、アークとレーザとを併用した加熱方式、プラズマを用いる加熱方式、電子ビームやレーザを用いる加熱方式等、他の方式による熱源を採用してもよい。電子ビームやレーザにより加熱する場合、加熱量を更に細かく制御でき、溶着ビードの状態をより適正に維持して、積層造形物Wの更なる品質向上に寄与できる。
溶加材Mは、あらゆる市販の溶接ワイヤを用いることができる。例えば、軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用のマグ溶接及びミグ溶接ソリッドワイヤ(JIS Z 3312)、軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用アーク溶接フラックス入りワイヤ(JIS Z 3313)等で規定されるワイヤを用いることができる。
コントローラ13は、CAD/CAM部31と、軌道演算部33と、記憶部35と、これらが接続される制御部37と、を有する。
CAD/CAM部31は、作製しようとする積層造形物Wの形状データを作成した後、複数の層に分割して各層の形状を表す層形状データを生成する。軌道演算部33は、生成された層形状データに基づいてトーチ17の移動軌跡を求める。記憶部35は、積層造形物Wの形状データ、生成された層形状データ、トーチ17の移動軌跡等のデータを記憶する。
制御部37は、記憶部35に記憶された層形状データやトーチ17の移動軌跡に基づく駆動プログラムを実行して、溶接ロボット19を駆動する。つまり、溶接ロボット19は、コントローラ13からの指令により、軌道演算部33で生成したトーチ17の移動軌跡に基づき、溶加材Mをアークで溶融させながらトーチ17を移動させ、ベースプレート51上に溶着ビードBを形成する。
なお、ベースプレート51は、鋼板等の金属板からなり、基本的には積層造形物Wの底面(最下層の面)より大きいものが使用される。なお、ベースプレート51は、板状に限らず、ブロック体や棒状等、他の形状のベースであってもよい。
本実施形態に係る積層造形物の製造方法では、冷却部材61を用いて積層造形物Wを造形する。冷却部材61は、ベースプレート51上に配置される。本例では、ベースプレート51上に配置させた二つの冷却部材61の間に積層造形物Wを造形する。
図2は、積層造形物の製造工程において用いられる冷却部材の斜視図である。
図2に示すように、冷却部材61は、略直方体形状のブロック状に形成されている。冷却部材61は、銅または銅合金から形成されている。冷却部材61は、その一側面に、成形面63を有している。成形面63は、造形する積層造形物Wの側面形状に基づいた形状に形成されており、本例では湾曲部分を有する三次元形状に形成されている。また、この成形面63は、光沢研磨された平滑面とされている。
図2に示すように、冷却部材61は、略直方体形状のブロック状に形成されている。冷却部材61は、銅または銅合金から形成されている。冷却部材61は、その一側面に、成形面63を有している。成形面63は、造形する積層造形物Wの側面形状に基づいた形状に形成されており、本例では湾曲部分を有する三次元形状に形成されている。また、この成形面63は、光沢研磨された平滑面とされている。
この冷却部材61は、冷却流路65を有している。冷却流路65は、冷却部材61における成形面63の近傍位置に形成されており、成形面63に沿って配置されている。具体的には、この冷却流路65は、冷却部材61の長手方向に沿う直線路71と、これらの直線路71の端部同士を繋ぐ屈曲路73とを有している。また、冷却流路65は、冷却部材61の厚さ方向に延在する流入路75及び流出路77を有している。流入路75は、最上部に配置された直線路71の端部に繋げられ、流出路77は、最下部に配置された直線路71に繋げられている。
冷却流路65には、流入路75から冷却媒体として、例えば、冷却水が送り込まれる。この流入路75から送り込まれる冷却水は、直線路71及び屈曲路73を通り、流出路77から送り出される。これにより、冷却部材61は、成形面63の近傍部分が、冷却流路65を流れる冷却水によって冷却される。
次に、上記の製造システム100による積層造形物の製造方法について説明する。
図3A〜図3Eは、積層造形物の製造工程を示す製造途中の積層造形物の概略側面図である。
図3A〜図3Eは、積層造形物の製造工程を示す製造途中の積層造形物の概略側面図である。
(配置工程)
図3Aに示すように、二つの冷却部材61をベースプレート51上に配置させ、これらの冷却部材61の成形面63を互いに対向させる。本例では、それぞれの冷却部材61は、異なる形状の成形面63を有しており、造形する積層造形物Wの両側面を、冷却部材61の成形面63の形状に形成する。また、これらの冷却部材61は、造形する積層造形物Wの厚みに合わせて予め設定した間隔をあけて配置させる。
図3Aに示すように、二つの冷却部材61をベースプレート51上に配置させ、これらの冷却部材61の成形面63を互いに対向させる。本例では、それぞれの冷却部材61は、異なる形状の成形面63を有しており、造形する積層造形物Wの両側面を、冷却部材61の成形面63の形状に形成する。また、これらの冷却部材61は、造形する積層造形物Wの厚みに合わせて予め設定した間隔をあけて配置させる。
(造形工程)
図3Bに示すように、積層造形装置11のトーチ17を溶接ロボット19の駆動により移動させながら溶加材Mを溶融させる。そして、溶融した溶加材Mからなる溶着ビードBをベースプレート51上における冷却部材61同士の間に供給して溶着ビードBを形成する。そして、図3Cに示すように、冷却部材61の間に溶着ビードBを積層させる。このとき、冷却部材61の間の溶着ビードBは、冷却部材61の成形面63に接触する。ここで、冷却部材61は、熱伝導性に優れた銅または銅合金から形成されている。さらに、溶着ビードBが接触する成形面63に沿って冷却水が流される冷却流路65を有している。したがって、冷却部材61の間に形成される溶着ビードBは、冷却部材61によって迅速に冷却される。溶着ビードBを最上部まで積層させて積層造形物Wを造形したら、図3Dに示すように、積層造形物Wから冷却部材61を離間させる。
図3Bに示すように、積層造形装置11のトーチ17を溶接ロボット19の駆動により移動させながら溶加材Mを溶融させる。そして、溶融した溶加材Mからなる溶着ビードBをベースプレート51上における冷却部材61同士の間に供給して溶着ビードBを形成する。そして、図3Cに示すように、冷却部材61の間に溶着ビードBを積層させる。このとき、冷却部材61の間の溶着ビードBは、冷却部材61の成形面63に接触する。ここで、冷却部材61は、熱伝導性に優れた銅または銅合金から形成されている。さらに、溶着ビードBが接触する成形面63に沿って冷却水が流される冷却流路65を有している。したがって、冷却部材61の間に形成される溶着ビードBは、冷却部材61によって迅速に冷却される。溶着ビードBを最上部まで積層させて積層造形物Wを造形したら、図3Dに示すように、積層造形物Wから冷却部材61を離間させる。
上記の工程を行うことにより、図3Eに示すように、ベースプレート51上に、溶着ビードBを積層させた積層造形物Wが造形される。このようにして造形された積層造形物Wは、その両側面が、冷却部材61の成形面63の形状を転写した形状に形成される。
以上、説明したように、本実施形態に係る積層造形物の製造方法によれば、ベースプレート51上に溶着ビードBを積層させて積層造形物Wを造形する際に溶着ビードBを冷却部材61の成形面63に接触させながら冷却部材61に沿って積層させる。これにより、積層造形物Wは、冷却部材61の成形面63に接触させた面が成形面63に沿った形状に形成される。
ここで、冷却部材61は、熱伝導性に優れた銅または銅合金から形成され、冷却水等の冷却媒体が流される冷却流路65を有している。したがって、溶着ビードBの熱を良好に放熱させ、溶着ビードBの貼り付きや溶着ビードBの熱による損傷を抑えることができる。これにより、溶着ビードBを積層してなる積層造形物Wの表面の凹凸を抑えて高精度に成形することができる。また、形成した溶着ビードBが冷却部材61によって冷却されるので、溶着ビードBを積層させる際の各溶着ビードBのパス間の時間を短縮させて製造効率を高めることができる。
上記の積層造形物の製造方法において用いる冷却部材61は、複雑形状の成形面63及び冷却流路65を有している。このような冷却部材61は、例えば、金属粉末における所定位置をレーザや放電で溶かして焼結させることにより、立体形状の造形物を造形する粉末積層造形によって造形することが可能である。
図4は、成形部と本体部とから構成された冷却部材を示す図であって、(A)は成形部と本体部とが分離した状態の冷却部材の概略側面図、(B)は成形部と本体部とが接合された状態の冷却部材の概略側面図である。
図4の(A)及び(B)に示すように、この冷却部材61は、成形部81と、本体部83とから構成されている。成形部81は、成形面63及び冷却流路65を含む部分であり、本体部83は、冷却流路65に繋がる流入路75及び流出路77を含む部分である。成形部81及び本体部83は、互いの対向面が接合面81a,83aとされており、これらの接合面81a,83aが接合されて密着されている。これらの成形部81及び本体部83は、例えば、ネジ等によって互いに結合されている。
この冷却部材61は、成形部81が粉末積層造形によって造形されている。これに対して、本体部83は、例えば、バルク材から形成することができる。つまり、この冷却部材61では、複雑形状の造形が可能な粉末積層造形によって成形面63及び冷却流路65を有する成形部81を造形するので、成形面63及び冷却流路65の設計の自由度を高めることができる。また、成形部81以外の本体部83を安価なバルク材から形成することにより、冷却部材61のコストを抑えることができる。
また、成形部81と本体部83とが接合されているので、成形部81の熱を本体部83へ円滑に伝達させて放熱の効率を高めることができる。これにより、成形部81の成形面63によって複雑形状の積層造形物Wを効率的に造形することができる。
図5は、成形面に絶縁層が設けられた冷却部材の概略側面図である。
図5に示すように、この冷却部材61は、成形面63に絶縁層67が設けられている。この絶縁層67は、例えば、離型剤を塗布することにより設けられる。この絶縁層67としては、例えば、油及びシリコンなどを成分としたエマルジョンタイプの離型剤、ひる石及び雲母などを成分とした顔料タイプの離型剤が用いられる。
図5に示すように、この冷却部材61は、成形面63に絶縁層67が設けられている。この絶縁層67は、例えば、離型剤を塗布することにより設けられる。この絶縁層67としては、例えば、油及びシリコンなどを成分としたエマルジョンタイプの離型剤、ひる石及び雲母などを成分とした顔料タイプの離型剤が用いられる。
このように、成形面63に絶縁層67を設けることにより、溶着ビードBを形成する際に、冷却部材61との間でのアークの発生を抑えることができる。これにより、円滑に溶着ビードBを形成し、高品質な積層造形物Wを製造することができる。
また、冷却部材61の成形面63には、セラミックスからなる絶縁層67を設けるのが好ましい。このセラミックスからなる絶縁層67を設ければ、溶着ビードBを形成する際の冷却部材61との間でのアークの発生を抑えることができ、しかも、冷却部材61を熱から保護し、冷却部材61が変質したり変形するような劣化を抑えることができる。これにより、長期にわたって冷却部材61を繰り返し用いることができる。
次に、他の実施形態に係る積層造形物の製造方法について説明する。
図6は、他の実施形態に係る積層造形物の製造方法を説明する概略側面図である。
図6は、他の実施形態に係る積層造形物の製造方法を説明する概略側面図である。
図6に示すように、他の実施形態に係る積層造形物の製造方法では、第2の冷却部材91を用いる。第2の冷却部材91は、板状に形成されている。この第2の冷却部材91は、ベースプレート51の下部に配置される。
第2の冷却部材61は、銅または銅合金から形成されている。また、この第2の冷却部材91は、冷却水等の冷却媒体が流される冷却流路93を有している。冷却流路93は、ベースプレート51の上部に積層する溶着ビードBの下方に対応する位置に形成されている。冷却流路93は、前述の冷却流路65と同様に、溶着ビードBの形成方向(図6における紙面に垂直な方向)に複数延在された直線路と、直線路の端部同士を繋ぐ屈曲路とを有している。また、冷却流路93には、第2の冷却部材91の幅方向に延在する流入路95及び流出路97が繋げられており、流入路95から冷却水が送り込まれ、流出路97から冷却水が送り出される。
この他の実施形態では、溶着ビードBを積層させて積層造形物Wを造形する際に、第2の冷却部材91の上部にベースプレート51を載置させることにより、ベースプレート51の下部に第2の冷却部材91を配置させる。その後、ベースプレート51の上部に冷却部材61を配置させ(配置工程)、冷却部材61同士の間に溶着ビードBを形成して積層させる(造形工程)。これにより、ベースプレート51上に、溶着ビードBを積層させた積層造形物Wを造形する。
この他の実施形態に係る積層造形物の製造方法によれば、ベースプレート51上に溶着ビードBを積層させて積層造形物Wを造形する際に、ベースプレート51の下部に配置させた第2の冷却部材91によって溶着ビードBの熱をさらに良好に放熱させることができ、溶着ビードBを積層させる際の各溶着ビードBのパス間の時間をさらに短縮させて製造効率を高めることができる。また、この第2の冷却部材91は、熱伝導性に優れた銅または銅合金から形成され、冷却媒体が流される冷却流路93を有しているので、溶着ビードBからの熱を良好に放熱させることができ、しかも、熱による損傷を抑えることができる。
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを積層させて積層造形物を造形する積層造形物の製造方法であって、
前記積層造形物の表面を成形する成形面を有する冷却部材を母材上に配置させる配置工程と、
前記冷却部材の前記成形面に接触させながら前記冷却部材に沿って前記溶着ビードを前記母材上に積層させて積層造形物を造形する造形工程と、
を含み、
前記冷却部材は、銅または銅合金から形成され、冷却媒体が流される冷却流路を有する、
積層造形物の製造方法。
(1) 溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを積層させて積層造形物を造形する積層造形物の製造方法であって、
前記積層造形物の表面を成形する成形面を有する冷却部材を母材上に配置させる配置工程と、
前記冷却部材の前記成形面に接触させながら前記冷却部材に沿って前記溶着ビードを前記母材上に積層させて積層造形物を造形する造形工程と、
を含み、
前記冷却部材は、銅または銅合金から形成され、冷却媒体が流される冷却流路を有する、
積層造形物の製造方法。
この積層造形物の製造方法によれば、母材上に溶着ビードを積層させて積層造形物を造形する際に溶着ビードを冷却部材の成形面に接触させながら冷却部材に沿って積層させる。これにより、積層造形物は、冷却部材の成形面に接触させた面が成形面に沿った形状に形成される。
ここで、冷却部材は、熱伝導性に優れた銅または銅合金から形成され、冷却媒体が流される冷却流路を有している。したがって、溶着ビードの熱を良好に放熱させ、溶着ビードの貼り付きや溶着ビードの熱による損傷を抑えることができる。これにより、溶着ビードを積層してなる積層造形物の表面の凹凸を抑えて高精度に成形することができる。また、形成した溶着ビードが冷却部材によって冷却されるので、溶着ビードを積層させる際の各溶着ビードのパス間の時間を短縮させて製造効率を高めることができる。
ここで、冷却部材は、熱伝導性に優れた銅または銅合金から形成され、冷却媒体が流される冷却流路を有している。したがって、溶着ビードの熱を良好に放熱させ、溶着ビードの貼り付きや溶着ビードの熱による損傷を抑えることができる。これにより、溶着ビードを積層してなる積層造形物の表面の凹凸を抑えて高精度に成形することができる。また、形成した溶着ビードが冷却部材によって冷却されるので、溶着ビードを積層させる際の各溶着ビードのパス間の時間を短縮させて製造効率を高めることができる。
(2) 前記冷却部材における前記冷却流路は、前記成形面に沿って形成されている、(1)に記載の積層造形物の製造方法。
この積層造形物の製造方法によれば、冷却流路が成形面に沿って形成されているので、溶着ビードから造形される積層造形物の表面を効率的かつバランス良く冷却することができる。これにより、各溶着ビードのパス間の時間をさらに短縮させて製造効率を高めることができる。
(3) 前記冷却部材の前記成形面は、光沢研磨された平滑面である、(1)または(2)に記載の積層造形物の製造方法。
この積層造形物の製造方法によれば、成形面によって形成される積層造形物の表面の形状精度を高めることができる。
(4) 前記冷却部材は、前記成形面及び前記冷却流路を含む成形部と、前記成形部が接合された本体部とを備え、
前記成形部は、粉末積層造形によって造形されている、(1)〜(3)のいずれか一つに記載の積層造形物の製造方法。
前記成形部は、粉末積層造形によって造形されている、(1)〜(3)のいずれか一つに記載の積層造形物の製造方法。
この積層造形物の製造方法によれば、成形面及び冷却流路を含む成形部が粉末積層造形によって造形されている。つまり、複雑形状の造形が可能な粉末積層造形によって成形面及び冷却流路を造形するので、成形面及び冷却流路の設計の自由度を高めることができる。また、成形部以外の本体部を安価なバルク材から形成することにより、冷却部材のコストを抑えることができる。
(5) 前記成形部と前記本体部とが互いに結合されている、(4)に記載の積層造形物の製造方法。
この積層造形物の製造方法によれば、成形部と本体部とが結合されているので、成形部の熱を本体部へ円滑に伝達させて放熱の効率を高めることができる。これにより、成形部の成形面によって複雑形状の積層造形物を効率的に造形することができる。
(6) 前記冷却部材は、前記成形面に絶縁層が設けられている、(1)〜(5)のいずれか一つに記載の積層造形物の製造方法。
この積層造形物の製造方法によれば、溶着ビードを形成する際に冷却部材との間でのアークの発生を抑えて積層造形物を良好に造形することができる。
(7) 前記絶縁層は、セラミックスである、(6)に記載の積層造形物の製造方法。
この積層造形物の製造方法によれば、耐熱性に優れたセラミックスからなる絶縁層が成形面に設けられているので、積層造形物の造形時に冷却部材を熱から保護し、冷却部材が変質したり変形するような劣化を抑えることができる。これにより、長期にわたって冷却部材を繰り返し用いることができる。
(8) 銅または銅合金から形成され、冷却媒体が流される冷却流路を有する第2の冷却部材を前記母材の下部に配置させる、(1)〜(7)のいずれか一つに記載の積層造形物の製造方法。
この積層造形物の製造方法によれば、母材上に溶着ビードを積層させて積層造形物を造形する際に、母材の下部に配置させた第2の冷却部材によって溶着ビードの熱をさらに良好に放熱させることができる。これにより、溶着ビードを積層させる際の各溶着ビードのパス間の時間をさらに短縮させて製造効率を高めることができる。しかも、この第2の冷却部材は、熱伝導性に優れた銅または銅合金から形成され、冷却媒体が流される冷却流路を有しているので、熱による損傷を抑えることができる。
51 ベースプレート(母材)
61 冷却部材
63 成形面
65 冷却流路
67 絶縁層
81 成形部
83 本体部
91 第2の冷却部材
93 冷却流路
B 溶着ビード
M 溶加材
W 積層造形物
61 冷却部材
63 成形面
65 冷却流路
67 絶縁層
81 成形部
83 本体部
91 第2の冷却部材
93 冷却流路
B 溶着ビード
M 溶加材
W 積層造形物
Claims (8)
- 溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを積層させて積層造形物を造形する積層造形物の製造方法であって、
前記積層造形物の表面を成形する成形面を有する冷却部材を母材上に配置させる配置工程と、
前記冷却部材の前記成形面に接触させながら前記冷却部材に沿って前記溶着ビードを前記母材上に積層させて積層造形物を造形する造形工程と、
を含み、
前記冷却部材は、銅または銅合金から形成され、冷却媒体が流される冷却流路を有する、
積層造形物の製造方法。 - 前記冷却部材における前記冷却流路は、前記成形面に沿って形成されている、
請求項1に記載の積層造形物の製造方法。 - 前記冷却部材の前記成形面は、光沢研磨された平滑面である、
請求項1または請求項2に記載の積層造形物の製造方法。 - 前記冷却部材は、前記成形面及び前記冷却流路を含む成形部と、前記成形部が接合された本体部とを備え、
前記成形部は、粉末積層造形によって造形されている、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層造形物の製造方法。 - 前記成形部と前記本体部とが互いに結合されている、
請求項4に記載の積層造形物の製造方法。 - 前記冷却部材は、前記成形面に絶縁層が設けられている、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層造形物の製造方法。 - 前記絶縁層は、セラミックスである、
請求項6に記載の積層造形物の製造方法。 - 銅または銅合金から形成され、冷却媒体が流される冷却流路を有する第2の冷却部材を前記母材の下部に配置させる、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層造形物の製造方法。
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