JP2021137846A - 積層造形物の製造方法及び積層造形物 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶着ビードを積層させて造形物を製造する際に、造形箇所や造形条件に適した溶加材を選択して高品質な造形物を製造することが可能な積層造形物の製造方法及び積層造形物を提供する。【解決手段】溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを積層させて造形物を造形する積層造形物の製造方法であって、第一溶加材MAを用いて第一溶着ビードB1を形成して造形する第一造形工程と、第一溶加材MAと異なる合金成分の第二溶加材MBを用いて第二溶着ビードB2を形成して造形する第二造形工程と、を含み、第二溶着ビードB2の断面形状における高さhと幅wの比h/wが第一溶着ビードB1の断面形状における高さhと幅wの比h/wより小さくなるように、第一溶加材MA及び第二溶加材MBを選択する。【選択図】図2

Description

本発明は、積層造形物の製造方法及び積層造形物に関する。
近年、生産手段としての3Dプリンタのニーズが高まっており、特に金属材料への適用については航空機業界等で実用化に向けて研究開発が行われている。金属材料を用いた3Dプリンタは、レーザやアーク等の熱源を用いて、金属粉体や金属ワイヤを溶融させ、溶融金属を積層させて造形物を造形する。
このような造形物を溶接で造形する技術として、特許文献1には、輪郭線部分の造形と輪郭線部分で囲われた充填部分の造形とをそれぞれ異なる溶接条件で造形することが開示されている。また、特許文献2には、異なる組成のワイヤを用いて溶着材料を積層することが開示されている。
特開2018−187679号公報 特開2016−179499号公報
ところで、積層造形物を造形する場合、重力の影響や未溶着部の発生の抑制を考慮して溶着ビードを積層させることが要求される。
特許文献1に記載の技術では、溶接する箇所に応じて溶接条件を細かく調整するため、制御が複雑化してしまう。また、特許文献2に記載のように、単に組成が異なるワイヤを用いても、重力の影響や未溶着部の発生の抑制を考慮した積層造形は困難である。
そこで本発明は、溶着ビードを積層させて造形物を製造する際に、造形箇所や造形条件に適した溶加材を選択して高品質な造形物を製造することが可能な積層造形物の製造方法及び積層造形物を提供することを目的とする。
本発明は下記構成からなる。
(1) 溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを積層させて造形物を造形する積層造形物の製造方法であって、
第一溶加材を用いて第一溶着ビードを形成して造形する第一造形工程と、
前記第一溶加材と異なる合金成分の第二溶加材を用いて第二溶着ビードを形成して造形する第二造形工程と、
を含み、
前記第二溶着ビードの断面形状における高さと幅の比が前記第一溶着ビードの断面形状における高さと幅の比より小さくなるように、前記第一溶加材及び前記第二溶加材を選択する、
積層造形物の製造方法。
(2) 溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを積層させて造形された積層造形物であって、
第一溶加材から形成された第一溶着ビードによって造形された枠部と、
前記枠部の内部に造形され、第二溶加材から形成された第二溶着ビードによって造形された内部造形部と、を有し、
前記第二溶着ビードの断面形状における高さと幅の比が前記第一溶着ビードの断面形状における高さと幅の比より小さい、
積層造形物。
本発明によれば、溶着ビードを積層させて造形物を製造する際に、造形箇所や造形条件に適した溶加材を選択して高品質な造形物を製造することができる。
本発明の実施形態の製造方法で積層造形物を製造する製造システムの模式的な概略構成図である。 溶着ビードの断面画像であって、(a)は第一溶加材によって形成された溶着ビードの断面画像、(b)は第二溶加材によって形成された溶着ビードの断面画像である。 製造する積層造形物の一例を示す積層造形物の概略側面図である。 積層造形物の製造工程を示す製造途中の積層造形物の概略側面図である。 積層造形物の製造工程を示す製造途中の積層造形物の概略側面図である。 積層造形物の製造工程を示す製造途中の積層造形物の概略側面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の積層造形物の製造方法が適用される製造システムの模式的な概略構成図である。
本構成の製造システム100は、積層造形装置11と、積層造形装置11を統括制御するコントローラ13と、電源装置15と、を備える。
積層造形装置11は、先端軸に第一トーチ17A及び第二トーチ17Bを有する溶接ロボット19と、第一トーチ17Aに第一溶加材MAを供給する第一溶加材供給部21Aと、第二トーチ17Bに第二溶加材MBを供給する第二溶加材供給部21Bとを有する。第一トーチ17Aは、第一溶加材MAを先端から突出した状態に保持し、第二トーチ17Bは、第二溶加材MBを先端から突出した状態に保持する。
コントローラ13は、CAD/CAM部31と、軌道演算部33と、記憶部35と、これらが接続される制御部37と、を有する。
溶接ロボット19は、多関節ロボットであり、先端軸に設けた第一トーチ17A及び第二トーチ17Bは、第一溶加材MA及び第二溶加材MBが連続供給可能に支持される。第一トーチ17A及び第二トーチ17Bの位置や姿勢は、ロボットアームの自由度の範囲で3次元的に任意に設定可能となっている。
第一トーチ17A及び第二トーチ17Bは、不図示のシールドノズルを有し、シールドノズルからシールドガスが供給される。本構成で用いられるアーク溶接法としては、被覆アーク溶接や炭酸ガスアーク溶接等の消耗電極式、TIG溶接やプラズマアーク溶接等の非消耗電極式のいずれであってもよく、作製する積層造形物Wに応じて適宜選定される。
例えば、消耗電極式の場合、シールドノズルの内部にはコンタクトチップが配置され、溶融電流が給電される第一溶加材MA及び第二溶加材MBがコンタクトチップに保持される。第一トーチ17Aは、第一溶加材MAを保持しつつ、シールドガス雰囲気で第一溶加材MAの先端からアークを発生し、第二トーチ17Bは、第二溶加材MBを保持しつつ、シールドガス雰囲気で第二溶加材MBの先端からアークを発生する。第一溶加材MA及び第二溶加材MBは、ロボットアーム等に取り付けた不図示の繰り出し機構により、第一溶加材供給部21A及び第二溶加材供給部21Bから第一トーチ17A及び第二トーチ17Bに送給される。そして、第一トーチ17A及び第二トーチ17Bを移動しつつ、連続送給される第一溶加材MA及び第二溶加材MBを溶融及び凝固させると、第一溶加材MAの溶融凝固体である線状の第一溶着ビードB1及び第二溶加材MBの溶融凝固体である線状の第二溶着ビードB2が形成される。
第一溶加材MA,第2溶加材MBは、あらゆる市販の鉄系消耗溶接材料(主成分が鉄)からなる溶接ワイヤを用いることができる。例えば、軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用のマグ溶接及びミグ溶接ソリッドワイヤ(JIS Z 3312)、軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用アーク溶接フラックス入りワイヤ(JIS Z 3313)等で規定されるワイヤを用いることができる。また、溶加材中に適宜な添加物を含ませることで、溶着ビードを強化する等の機能性を持たせることができる。
なお、第一溶加材MA及び第二溶加材MBを溶融させる熱源としては、上記したアークに限らない。例えば、アークとレーザとを併用した加熱方式、プラズマを用いる加熱方式、電子ビームやレーザを用いる加熱方式等、他の方式による熱源を採用してもよい。電子ビームやレーザにより加熱する場合、加熱量を更に細かく制御でき、溶着ビードの状態をより適正に維持して、積層構造物の更なる品質向上に寄与できる。
CAD/CAM部31は、作製しようとする積層造形物Wの形状データを作成した後、複数の層に分割して各層の形状を表す層形状データを生成する。軌道演算部33は、生成された層形状データに基づいて第一トーチ17A及び第二トーチ17Bの移動軌跡を求める。記憶部35は、生成された層形状データや第一トーチ17A及び第二トーチ17Bの移動軌跡等のデータを記憶する。
制御部37は、記憶部35に記憶された層形状データや第一トーチ17A及び第二トーチ17Bの移動軌跡に基づく駆動プログラムを実行して、溶接ロボット19を駆動する。つまり、溶接ロボット19は、コントローラ13からの指令により、軌道演算部33で生成した第一トーチ17A及び第二トーチ17Bの移動軌跡に基づき、第一溶加材MA及び第二溶加材MBをアークで溶融させながら第一トーチ17A及び第二トーチ17Bを移動する。これにより、第一溶加材MAまたは第二溶加材MBをアークで溶融させて、ベースプレート51上に溶着ビードB(第一溶着ビードB1,第二溶着ビードB2)を形成し、積層造形物Wを造形する。
なお、ベースプレート51は、鋼板等の金属板からなり、基本的には積層造形物Wの底面(最下層の面)より大きいものが使用される。なお、ベースプレート51は、板状に限らず、ブロック体や棒状等、他の形状のベースであってもよい。
上記構成の製造システム100では、第一トーチ17Aへ供給する第一溶加材MAと、第二トーチ17Bへ供給する第二溶加材MBとは、異なる合金成分を有している。具体的には、第一溶加材MA及び第二溶加材MBは、それぞれの母材が鋼材である。また、第二溶加材MBは、第一溶加材MAよりも硫黄(S)の添加量が多くされている。
これにより、第二トーチ17Bによって形成される第二溶着ビードB2は、その断面形状における高さhと幅wの比h/wが、第一トーチ17Aによって形成される第一溶着ビードB1の断面形状における高さhと幅wの比h/wより小さくなる。
ところで、鉄系の溶加材では、硫黄(S)の添加量によって形成する溶着ビードの粘性及び表面張力が変化する。具体的には、硫黄(S)の添加量を多くすることにより、溶着ビードの粘性及び表面張力が低下することが知られる(文献名:薄鋼板用アーク溶接ワイヤ「SEA-50FS」 KOBE STEEL ENGINEERING REPORTS/Vol. 57 No. 2(Aug. 2007) pp.90-94)。これにより、形成される溶着ビードは、幅広で平坦な断面形状となり、下地に対するなじみ性が良好になる。一方、硫黄(S)の添加量を少なくすることにより、溶着ビードの粘性及び表面張力が高くなる。これにより、形成される溶着ビードは、幅狭で盛り上がった断面形状となる。
本実施形態では、第二溶加材MBの硫黄(S)の添加量が第一溶加材MAよりも多くされている。したがって、第二溶加材MBによって形成される第二溶着ビードB2は、第一溶加材MAによって形成される第一溶着ビードB1よりも高さhと幅wの比h/wが小さくなる。
ここで、同一の溶接条件(溶接速度及び溶接電流)によって第一溶加材MA及び第二溶加材MBによって第一溶着ビードB1及び第二溶着ビードB2を形成し、その断面形状を観察した。
図2は、溶着ビードの断面画像であって、(a)は第一溶加材MAによって形成された溶着ビードB1の断面画像、(b)は第二溶加材MBによって形成された溶着ビードB2の断面画像である。
ここで、第一溶加材MA及び第二溶加材MBとしては、次のものを用いた。
(第一溶加材MA)
(1)商品名
MG−S63B(神戸製鋼所製)
(2)成分組成(カタログ値)
C:0.08質量%、Si:0.50質量%、Mn:1.09質量%、P:0.007質量%、S:0.008質量%、Cr:0.42質量%、Mo:0.29質量%
(第二溶加材MB)
(1)商品名
MIX−50FS(神戸製鋼所製)
(2)成分組成(カタログ値)
C:0.04質量%、Si:0.70質量%、Mn:1.20質量%、P:0.010質量%、S: 0.060質量%
図2の(a)に示すように、第一溶加材MAによって形成した第一溶着ビードB1は、高さhと幅wの比h/wが大きく、幅狭で盛り上がった形状のビードとなった。これに対して、第一溶加材MAよりも硫黄(S)の添加量が多い第二溶加材MBによって形成した第二溶着ビードB2は、高さhと幅wの比h/wが小さく、幅広で平坦な形状のビードとなった。
また、第二溶加材MBは、第一溶加材MAよりも炭素(C)の添加量が少ない。第二溶加材MBは、硫黄(S)が比較的多く添加されているが、一般に硫黄の添加量が多いと耐高温割れ性が悪化する。また、耐高温割れ性には炭素量が支配的に影響することが知られている(文献名:薄鋼板用アーク溶接ワイヤ「SEA-50FS」 KOBE STEEL ENGINEERING REPORTS/Vol. 57 No. 2(Aug. 2007) pp.90-94)。したがって、第二溶加材MBによって形成される第二溶着ビードB2は、炭素添加量が少ないことによって耐割れ性が改善され、十分な耐割れ性を確保することができる。
ここで、本例で製造する積層造形物Wの一例を説明する。
図3は積層造形物の一例を示す積層造形物の概略側面図である。
図3に示すように、積層造形物Wは、ベースプレート51上に形成されており、枠部53と、この枠部53の内側に造形された内部造形部55とを有している。また、積層造形物Wは、二つの枠部53の上端に架け渡された張出部57を有している。
次に、上記の積層造形物Wを製造システム100によって製造する製造方法について説明する。
図4A〜図4Cは、積層造形物の製造工程を示す製造途中の積層造形物の概略側面図である。
(枠部造形工程)
図4Aに示すように、ベースプレート51上に、二つの枠部53を造形する。この枠部53は、主に第一溶加材MAを選択して用い、この第一溶加材MAから形成される第一溶着ビードB1を積層させて造形する(第一造形工程)。
具体的には、第一溶加材供給部21Aから第一トーチ17Aへ第一溶加材MAを供給し、第一トーチ17Aによってベースプレート51上に第一溶着ビードB1を形成する。そして、この第一溶着ビードB1を積層させて枠部53を造形する。このとき、第一溶加材MAによって形成される第一溶着ビードB1は、高さhと幅wの比h/wが大きく、幅狭で盛り上がった形状となる。したがって、高さhの高い第一溶着ビードB1を積み重ねることにより、枠部53を効率的に造形することができる。
なお、この枠部53を造形する際に、その途中で第二溶加材MBを用いて第二溶着ビードB2を積層させてもよい。この第二溶加材MBを用いて形成される第二溶着ビードB2は、高さhと幅wの比h/wが小さく、幅広で平坦な形状のビードとなる。したがって、枠部53を造形する際に、その一部に第二溶着ビードB2を積層させることにより、積層高さを容易に調整して目標高さの枠部53を造形することができる。
(張出部造形工程)
図4Bに示すように、造形した二つの枠部53の上端に架け渡す張出部57を造形する。この張出部57は、第一溶加材MAを選択して用い、この第一溶加材MAから形成される第一溶着ビードB1によって造形する(第一造形工程)。
具体的には、第一トーチ17Aによってそれぞれの枠部53の上端における側部を基部とし、この基部から第一溶着ビードB1を側方へ張り出すように順に形成して連結させる。これにより、枠部53の上端に複数の第一溶着ビードB1からなる張出部57を造形する。このとき、形成する第一溶着ビードB1には、重力が作用するが、第一溶加材MAによって形成される第一溶着ビードB1は、高さhと幅wの比h/wが大きく、幅狭で盛り上がった形状であるので、重力の影響による垂れを抑えることができる。なお、張出部57を造形する第一溶着ビードB1は、両方の枠部53から順に積層させて中間部で連結させるのが好ましいが、一方の枠部53から他方の枠部53に達するまで順に積層させてもよい。
(内部造形工程)
図4Cに示すように、枠部53の内側に内部造形部55を造形する。この内部造形部55は、第二溶加材MBを選択して用い、この第二溶加材MBから形成される第二溶着ビードB2を積層させて造形する(第二造形工程)。
具体的には、第二溶加材供給部21Bから第二トーチ17Bへ第二溶加材MBを供給し、第二トーチ17Bによって枠部53の内部に第二溶着ビードB2を形成する。そして、この第二溶着ビードB2を積層させて内部造形部55を造形し、この内部造形部55によって枠部53内を埋める。このとき、第二溶加材MBによって形成される第二溶着ビードB2は、高さhと幅wの比h/wが小さく、幅広で平坦な断面形状となる。したがって、この第二溶着ビードB2は、下地となるベースプレート51や下層の第二溶着ビードB2に対して良好になじむこととなり、しかも、枠部53に対しても隙間なく形成される。これにより、第二溶着ビードB2によって内部造形部55を造形することで、未溶着部の発生を抑えつつ枠部53の内部を迅速に埋めることができる。
上記の工程により、枠部53の内側に内部造形部55が造形されたによって埋められ、二つの枠部53の上端に張出部57が架け渡された積層造形物Wが製造される(図3参照)。
以上、説明したように、本発明の積層造形物の製造方法によれば、溶着ビードBの断面形状における高さhと幅wの比h/wを基準に溶加材を選択することで、造形箇所に応じて適切な溶着ビードBを形成して造形物を造形することができる。例えば、上下方向に延びる造形部分を造形する場合では、第一溶加材MAを選択して高さhと幅wの比h/wが大きい第一溶着ビードB1を形成して迅速かつ高精度に造形を行うことができる。また、重力等の影響を受ける箇所を造形する場合にも、第一溶加材MAを選択して第一溶着ビードB1を形成することにより、だれ等の発生を抑えることができる。これに対して、第二溶加材MBを選択して高さhと幅wの比h/wが小さい第二溶着ビードB2を形成することにより、ビード間等における狭隘部分の発生を抑えて未溶着部の発生を抑制することができる。
具体的には、高い形状精度を保つことが可能な第一溶着ビードB1によって枠部53を造形し、この枠部53の内部に未溶着部の発生が抑えられる第二溶着ビードB2によって内部造形部55を造形する。さらに、基部から側方へ張り出すように積層させて張出部57を造形する際に、高さhと幅wの比h/wが大きく幅狭で盛り上がった形状の第一溶着ビードB1が形成される第一溶加材MAを用い、重力の影響による垂れを抑えつつ張出部57を造形する。これにより、製造効率を高めつつ未溶着部の発生を抑制して高品質な積層造形物Wを製造することができる。
また、鋼材である母材に添加される硫黄(S)の添加量を調整することにより、形成する溶着ビードBの断面形状における高さhと幅wの比h/wを調整することができる。つまり、第一溶加材MAよりも硫黄(S)の添加量が多い第二溶加材MBを用いることで、第二溶着ビードB2の断面形状における高さhと幅wの比h/wを第一溶着ビードB1の断面形状における高さhと幅wの比h/wより小さくすることができる。また、硫黄(S)の添加量を指標とし、形成される溶着ビードBの断面形状における高さhと幅wの比h/wを容易に推定することができる。
しかも、第二溶加材MBにおける炭素(C)の添加量を少なくすることにより、硫黄(S)の添加量を多くすることによる耐割れ性の低下を改善させることができる。つまり、第一溶加材MAで形成される第一溶着ビードB1に対して、第二溶加材MBで形成される第二溶着ビードB2を幅広で平坦な形状としつつ、耐割れ性を十分に確保することができる。
そして、本発明の製造方法で造形された積層造形物Wによれば、高い形状精度を保つことが可能な第一溶着ビードB1によって造形された枠部53と、未溶着部の発生が抑えられる第二溶着ビードB2によって造形された内部造形部55とを有する高品質な積層造形物Wとすることができる。
また、基部から側方へ張り出すように積層された張出部57は、高さhと幅wの比h/wが大きく、幅狭で盛り上がった形状の第一溶着ビードB1から造形されているので、重力の影響が抑えられて高精度に造形された張出部57とすることができる。
なお、上記実施形態では、第一トーチ17A及び第二トーチ17Bへ第一溶加材MA及び第二溶加材MBを送給し、これらの第一トーチ17A及び第二トーチ17Bによって第一溶着ビードB1及び第二溶着ビードB2を形成したが、一つのトーチに対して第一溶加材MA及び第二溶加材MBを選択的に切り替えて第一溶着ビードB1及び第二溶着ビードB2を形成してもよい。
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを積層させて造形物を造形する積層造形物の製造方法であって、
第一溶加材を用いて第一溶着ビードを形成して造形する第一造形工程と、
前記第一溶加材と異なる合金成分の第二溶加材を用いて第二溶着ビードを形成して造形する第二造形工程と、
を含み、
前記第二溶着ビードの断面形状における高さと幅の比が前記第一溶着ビードの断面形状における高さと幅の比より小さくなるように、前記第一溶加材及び前記第二溶加材を選択する、積層造形物の製造方法。
上記(1)の構成の積層造形物の製造方法によれば、溶着ビードの断面形状における高さと幅の比を基準に溶加材を選択することで、造形箇所に応じて適切な溶着ビードを形成して造形物を造形することができる。例えば、上下方向に延びる造形部分を造形する場合では、第一溶加材を選択して高さと幅の比が大きい第一溶着ビードを形成して迅速かつ高精度に造形を行うことができる。また、重力等の影響を受ける箇所を造形する場合にも、第一溶加材を選択して第一溶着ビードを形成することにより、だれ等の発生を抑えることができる。これに対して、第二溶加材を選択して高さと幅の比が小さい第二溶着ビードを形成することにより、ビード間等における狭隘部分の発生を抑えて未溶着部の発生を抑制することができる。
(2) 前記第一造形工程によって前記第一溶着ビードからなる枠部を造形し、
前記第二造形工程によって前記枠部の内側に前記第二溶着ビードからなる内部造形部を造形する、(1)に記載の積層造形物の製造方法。
上記(2)の構成の積層造形物の製造方法によれば、高い形状精度を保つことが可能な第一溶着ビードによって枠部を造形し、この枠部の内部に未溶着部の発生が抑えられる第二溶着ビードによって内部造形部を造形する。これにより、製造効率を高めつつ未溶着部の発生を抑制して高品質な積層造形物を製造することができる。
(3) 前記第一造形工程によって前記第一溶着ビードを基部から側方へ張り出すように積層させて張出部を造形する、(1)または(2)に記載の積層造形物の製造方法。
上記(3)の構成の積層造形物の製造方法によれば、基部から側方へ張り出すように積層させて張出部を造形する際に、高さと幅の比が大きく幅狭で盛り上がった形状の第一溶着ビードが形成される第一溶加材を用いることにより、重力の影響による垂れを抑えつつ張出部を造形することができる。
(4) 前記第一溶加材及び前記第二溶加材は、鉄を主成分とし、
前記第二溶加材は、前記第一溶加材よりも硫黄の添加量が多い、(1)〜(3)のいずれか一つに記載の積層造形物の製造方法。
上記(4)の構成の積層造形物の製造方法によれば、鉄を主成分とする溶加材の硫黄の添加量を調整することにより、形成する溶着ビードの断面形状における高さと幅の比を調整することができる。つまり、第一溶加材よりも硫黄の添加量が多い第二溶加材を用いることで、第二溶着ビードの断面形状における高さと幅の比を第一溶着ビードの断面形状における高さと幅の比より小さくすることができる。また、硫黄の添加量を指標とし、形成される溶着ビードの断面形状における高さと幅の比を容易に推定することができる。
(5) 前記第二溶加材は、前記第一溶加材よりも炭素の添加量が少ない、(4)に記載の積層造形物の製造方法。
上記(5)の構成の積層造形物の製造方法によれば、第二溶加材における炭素の添加量を少なくすることにより、硫黄の添加量を多くすることによる耐割れ性の低下を改善させることができる。つまり、第一溶加材で形成される第一溶着ビードに対して、第二溶加材で形成される第二溶着ビードを、幅広で平坦な形状としつつ、耐割れ性を十分に確保することができる。
(6) 溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを積層させて造形された積層造形物であって、
第一溶加材から形成された第一溶着ビードによって造形された枠部と、
前記枠部の内部に造形され、第二溶加材から形成された第二溶着ビードによって造形された内部造形部と、を有し、
前記第二溶着ビードの断面形状における高さと幅の比が前記第一溶着ビードの断面形状における高さと幅の比より小さい、積層造形物。
上記(6)の構成の積層造形物によれば、高さと幅の比が大きい第一溶着ビードによって枠部が造形され、高さと幅の比が小さい第二溶着ビードによって内部造形部が造形されている。つまり、高い形状精度を保つことが可能な第一溶着ビードによって造形された枠部と、未溶着部の発生が抑えられる第二溶着ビードによって造形された内部造形部とを有する高品質な積層造形物とすることができる。
(7) 前記第一溶加材から形成された前記第一溶着ビードが基部から側方へ張り出すように積層された張出部を有する、(6)に記載の積層造形物。
上記(7)の構成の積層造形物によれば、基部から側方へ張り出すように積層された張出部が、高さと幅の比が大きく、幅狭で盛り上がった形状の第一溶着ビードから造形されているので、重力の影響が抑えられて高精度に造形された張出部とすることができる。
(8) 前記枠部を構成する前記第一溶着ビード及び前記内部造形部を構成する前記第二溶着ビードは、それぞれの母材が鋼材であり、
前記第二溶着ビードは、前記第一溶着ビードよりも硫黄の添加量が多い、(6)または(7)に記載の積層造形物。
上記(8)の構成の積層造形物によれば、鉄を主成分とする第一溶着ビード及び第二溶着ビードにおける硫黄の添加量を指標とし、枠部と内部造形部とからなる積層造形物の構造を容易に推定できる。
(9) 前記第二溶着ビードは、前記第一溶着ビードよりも炭素の添加量が少ない、(8)に記載の積層造形物。
上記(9)の構成の積層造形物によれば、第二溶着ビードにおける炭素の添加量が少なくされていることにより、硫黄の添加量が多くされていることによる耐割れ性の低下が改善される。つまり、第二溶着ビードで造形される内部造形部の十分な耐割れ性を確保することができる。
53 枠部
55 内部造形部
57 張出部
B1 第一溶着ビード
B2 第二溶着ビード
MA 第一溶加材
MB 第二溶加材
W 積層造形物
h 高さ
w 幅

Claims (9)

  1. 溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを積層させて造形物を造形する積層造形物の製造方法であって、
    第一溶加材を用いて第一溶着ビードを形成して造形する第一造形工程と、
    前記第一溶加材と異なる合金成分の第二溶加材を用いて第二溶着ビードを形成して造形する第二造形工程と、
    を含み、
    前記第二溶着ビードの断面形状における高さと幅の比が前記第一溶着ビードの断面形状における高さと幅の比より小さくなるように、前記第一溶加材及び前記第二溶加材を選択する、
    積層造形物の製造方法。
  2. 前記第一造形工程によって前記第一溶着ビードからなる枠部を造形し、
    前記第二造形工程によって前記枠部の内側に前記第二溶着ビードからなる内部造形部を造形する、
    請求項1に記載の積層造形物の製造方法。
  3. 前記第一造形工程によって前記第一溶着ビードを基部から側方へ張り出すように積層させて張出部を造形する、
    請求項1または請求項2に記載の積層造形物の製造方法。
  4. 前記第一溶加材及び前記第二溶加材は、鉄を主成分とし、
    前記第二溶加材は、前記第一溶加材よりも硫黄の添加量が多い、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層造形物の製造方法。
  5. 前記第二溶加材は、前記第一溶加材よりも炭素の添加量が少ない、
    請求項4に記載の積層造形物の製造方法。
  6. 溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを積層させて造形された積層造形物であって、
    第一溶加材から形成された第一溶着ビードによって造形された枠部と、
    前記枠部の内部に造形され、第二溶加材から形成された第二溶着ビードによって造形された内部造形部と、を有し、
    前記第二溶着ビードの断面形状における高さと幅の比が前記第一溶着ビードの断面形状における高さと幅の比より小さい、
    積層造形物。
  7. 前記第一溶加材から形成された前記第一溶着ビードが基部から側方へ張り出すように積層された張出部を有する、
    請求項6に記載の積層造形物。
  8. 前記枠部を構成する前記第一溶着ビード及び前記内部造形部を構成する前記第二溶着ビードは、それぞれの母材が鋼材であり、
    前記第二溶着ビードは、前記第一溶着ビードよりも硫黄の添加量が多い、
    請求項6または請求項7に記載の積層造形物。
  9. 前記第二溶着ビードは、前記第一溶着ビードよりも炭素の添加量が少ない、
    請求項8に記載の積層造形物。
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