JP2021177722A - 根圏部材及び植物栽培方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ホウレンソウの発芽工程に適合する培地よりなる根圏部材と、この根圏部材を用いた植物栽培方法を提供する。【解決手段】植物の養液栽培に用いられる根圏部材10であって、水分保持能(W1)が90%以上の培地により構成される第1層11と、第1層11の下側に配置された、水分保持能(W2)が90%未満の培地により構成される第2層12とを有することを特徴とする根圏部材。ただし、水分保持能(W1、W2)は、培地を十分に含水させた後、水が通過する穴を有する硬材の上に5分間静置してから、赤外線水分計で測定した重量基準含水率W(%)である。【選択図】図1

Description

本発明は、植物の養液栽培に用いられる根圏部材に係り、特に発泡培地よりなる根圏部材に関する。また、本発明は、この根圏部材を用いた植物栽培方法に関する。
きめの荒いウレタンよりなる培地を用いた植物栽培方法として、特許文献1(特開平07−184416)には、水耕栽培のためのホウレンソウの発芽方法において、浸種後、発芽ステージとして幼根が果被から2mm出た時を境にして、前半は水を切った半乾燥状態に、後半は適湿という異なった湿度環境を与え、播種した後種子を動かさないでウレタンの保水を利用し、薄い板で圧縮して異なった湿度条件を与えることを特徴としたホウレンソウの発芽方法が記載されている。
また、特許文献2(特開2014−180237)には、水耕栽培に使用される植物を植えるための苗床であって、下面は、発泡倍率が低く保水性の高い第1の発泡プラスチックにより形成された第1の層であり、上面は、反射率が高く、且つ発泡倍率が高い第2の発泡プラスチックにより形成された第2の層で構成され、前記第1の層の一部が前記培養液に浸漬される苗床が記載されている。
特開平07−184416号公報 特開2014−180237号公報
特許文献1に記載されるように、葉菜類、なかでも、ホウレンソウの発芽工程を発泡培地を用いて行うことは難しく、その栽培技術は確立されていない。特許文献1に記載されているように、発芽工程を詳細に観察し、生長に合わせた細かな手作業を施す必要があるなど、事業化には課題が多かった。
また、特許文献2の苗床は、ホウレンソウ等の発芽に適さない。
ホウレンソウやコネギ等は、根の酸素要求度が高く、発泡培地での発芽や育苗が難しい。また、成育段階に応じて適切に酸素供給が行われないと枯死しやすい。
本発明は、ホウレンソウの発芽工程に適合する培地よりなる根圏部材と、この根圏部材を用いた植物栽培方法を提供することを目的とする。
[1] 植物の養液栽培に用いられる根圏部材であって、水分保持能(W1)が90%以上の培地により構成される第1層と、第1層の下側に配置された、水分保持能(W2)が90%未満の培地により構成される第2層とを有することを特徴とする根圏部材。ただし、水分保持能(W1、W2)は、培地を十分に含水させた後、水が通過する穴を有する硬材の上に5分間静置した後、上からジョウロ潅水を行い、さらに5分間静置してから、赤外線水分計で測定した重量基準含水率W(%)である。
[2] 前記第1層の培地は発泡培地であって、セル数が20〜40個/25mm以上である、[1]に記載の根圏部材。
[3] 前記第2層の培地は発泡培地であって、セル数が5/25mm以上20個/25mm未満である、[1]又は[2]に記載の根圏部材。
[4] 前記培地は、発泡ウレタンである[1]〜[3]のいずれかに記載の根圏部材。
[5] 葉菜類の発芽に用いられる根圏部材である[1]〜[4]のいずれかに記載の根圏部材。
[6] 前記第1層の上面に播種用の凹穴を有する[1]〜[5]のいずれかに記載の根圏部材。
[7] [1]〜[6]のいずれかの根圏部材を用いることを特徴とする植物の栽培方法。
[8] 前記根圏部材を栽培槽の底面に載置し、前記第2層の一部は液面より上に位置するよう養液に浸して栽培を行う、[7]に記載の植物の栽培方法。
[9] 前記第2層の厚さが2〜25mmであり、前記養液の水深が1〜24mmである、[8]に記載の植物の栽培方法。
[10] 前記第1層に種子を置いて発芽を行い、定植用の苗を育苗する、[7]〜[9]のいずれかに記載の植物の栽培方法。
本発明によると、これまで不可能とされてきた、ホウレンソウなどの発芽工程を発泡培地を用いて行うことが可能となり、成苗率及び苗ぞろいが格段に向上した。
実施の形態に係る根圏部材の断面図である。 実施の形態に係る根圏部材の断面図である。 根圏部材及びアンダートレイの断面図である。 発芽工程の一例を示す断面図である。 多段棚式育苗装置の正面図である。
[根圏部材]
本発明で用いる根圏部材は、植物の養液栽培に用いられる根圏部材であって、水分保持能(W1)が90%以上の発泡により構成される第1層と、第1層の下側に配置された、水分保持能(W2)が90%未満の培地により構成される第2層とを有する。
培地としては、特に限定されず、例えば、不織布、合成繊維培地、多孔質培地(セラミック、ゼオライトなど)、合成樹脂発泡体(フェノール樹脂発泡体、ポリウレタン、エチレン系発泡体など)、ロックウールなどが使用できる。なかでも、合成樹脂発泡体からなる発泡培地やロックウール培地が好適である。発泡培地としてポリウレタン(以下、単にウレタンという。)が特に好適である。
第1層を構成する発泡培地は、上記水分保持能W1が90%以上であり、好ましくは90〜99%、特に好ましくは95〜99%である。第1層の発泡培地は、セル数が20個/25mm以上、特に20〜40個/25mm、とりわけ25〜35個/25mmであることが好ましい。なお、本願において「セル数」は、JIS K6400−1:2004付属書1(参考)(軟質ウレタンフォーム試験法)に基づき、特定する。
第2層を構成する発泡培地は、上記水分保持能W2が90%未満であり、好ましくは0〜89%、特に好ましくは10〜80%である。第2層の発泡培地は、セル数が20個/25mm未満、特に5個/25mm以上20個/25mm未満、とりわけ8〜18個/25mmであることが好ましい。
第1層の発泡培地の上面には、種子が播種される凹穴が設けられることが好ましい。凹穴の大きさは、開口面積が1〜400mm、特に4〜100mmで、深さが1〜20mm、特に3〜15mmであることが好ましい。なお、凹穴の平面視形状は円形、楕円形、四角形、多角形などのいずれでもよい。凹穴の配置数は、50cm当り1〜10個、特に1〜5個程度が好ましいが、これに限定されない。
図1は、本発明の根圏部材の一例を示すものである。この根圏部材10は、第2層12と、該第2層12の上側の第1層11とを有する。第1層11の上面に凹穴13が設けられている。
第1層11及び第2層12は、いずれも1枚の平板よりなるものであってもよく、複数枚の平板を突き合わせて構成したものであってもよく、また、直方体又は立方体形状のブロックを突き合わせて構成したものであってもよく、これらが結合一体化していてもよい。
図2は、第1層11を立方体形状のブロック1で構成し、第2層12を直方体形状のブロック2で構成した根圏部材10’を示している。
第2層12は、ブロック2を敷き詰めるように配列することにより構成されている。この第2層12の上にブロック1(1a)をまず1段敷き詰めるように配列して下段配列体を構成し、次にこの下段配列体の上にブロック1(1b)を格子状(枡目状)に配列することにより、第1層11が構成されている。上段配列体を構成するブロック1(1b)同士の間の部分が凹穴13となっている。
この実施の形態では、平面視において、ブロック1,2の形状は正方形であり、平面視におけるブロック1の一辺の長さはブロック2の一辺の長さの約1/2となっている。
[定義(栽培施設、栽培装置)]
本発明において、栽培施設とは、露地栽培との比較において、栽培がおこなわれる施設を意味する。栽培施設は、例えば、ガラス温室やビニールハウス、暗室のような構造物内の空間であれば限定されず、いかなるタイプの施設であってもよい。また、栽培施設は、播種、発芽から、育苗、定植、収穫など、植物の栽培工程における何れの栽培ステージに使用される施設であってもよい。
本発明において、栽培装置とは、栽培施設内に設置される各種モジュールを意味する。栽培装置は、例えば、発芽モジュール(種子の発芽に用いられる栽培装置)、育苗モジュール(苗の栽培に用いられる育苗装置)、定植栽培圃場(定植後の苗の栽培に用いられる栽培装置)などがある。
[定義(実用生産施設)]
本発明の植物栽培施設は、実用生産施設であることが好ましい。本発明において、実用生産施設とは、植物を商業規模で生産しうる植物栽培施設を意味する。例えば、一度に多くの苗や園芸作物を出荷可能な栽培施設や、連続的に育苗または収穫を行うことが可能な栽培施設であれば、いかなるタイプの栽培施設であってもよい。すなわち、実用生産施設は、苗の生産施設であっても収穫物の生産施設でもよい。実用生産施設は、例えば、太陽光利用型植物栽培施設であっても人工光型植物栽培施設であってもよい。太陽光利用型植物栽培施設とは、例えば、ガラス温室やビニールハウスのように、太陽光を利用可能な施設内に、栽培装置を有するものである。また、人工光型植物栽培施設とは、例えば、太陽光を遮断可能な構造物内に、栽培装置を有するものであって、室内型の水耕栽培装置や育苗室が含まれる。本発明において、実用生産施設における植物栽培は、播種・発芽から収穫までを一貫して、同じ生産施設でおこなってもよく、栽培工程により植物を移植または移動して複数の生産施設でおこなってもよい。
また、実用生産施設の一態様としては、無菌環境ではない施設、すなわち、非無菌環境を有する植物栽培施設である。非無菌環境を有する植物栽培施設は、例えば、太陽光利用型植物栽培施設である。太陽光利用型植物栽培施設は、空調管理のための自動開閉装置が設置されるなど、外気との接触を無くすことは難しく、無菌状態の維持は不可能である。また、人工光型植物栽培施設であっても、クリーンルームに備えられるような、空気中の浮遊微生物を管理する給排気フィルターなどが備えられなければ、温度や湿度が調整可能な一般的な空調装置が備えられていても、無菌状態の維持は難しい。
本発明の植物栽培施設に設置される各栽培装置は、発芽モジュール、育苗モジュールのいずれにおいても、非無菌環境であることが好ましい。
[種子の種類]
本発明に用いられる種子は、特に限定されず、例えば、イネ科、ナス科、ウリ科、キク科、アブラナ科、セリ科、バラ科、アオイ科、マメ科、アカザ科、ユリ科、サトイモ科、ヒルガオ科、ショウガ科、シソ科、ヒユ科、ヤシ科、ナデシコ科、リンドウ科、アヤメ科、ムラサキ科、ラン科、ツリフネソウ科、ヒガンバナ科等の植物の種子が挙げられる。本発明の植物栽培方法は、植物工場での栽培に向いている、ナス科、ウリ科、キク科、アブラナ科、セリ科、バラ科、アオイ科、マメ科、アカザ科、ユリ科、ヒルガオ科、ショウガ科、シソ科、ヒユ科、ヤシ科、ナデシコ科、リンドウ科、アヤメ科、ムラサキ科、ラン科、ツリフネソウ科、ヒガンバナ科等が好ましい。なかでも、本発明は、栽培期間が短い、ヒユ科、アブラナ科、セリ科、シソ科、キク科、ヒガンバナ科などの発芽に有効である。これらの品種の植物としては、例えば、ホウレンソウ、レタス、コマツナ、サラダナ、ミズナ、ルッコラ、コリアンダー、ビート、シュンギク、ハクサイ、チンゲンサイ、コネギなどがある。
本発明に用いられる種子は、蔬菜類であることが好ましい。蔬菜類としては、例えば、根菜類、葉菜類、果菜類、花卉類などが好ましい。特に、栽培期間の短い葉菜類が、本発明の効果を享受しやすいため、好ましい。葉菜類の植物としては、例えば、ホウレンソウ、レタス、コマツナ、サラダナ、ミズナ、ルッコラ、コリアンダー、ビート、シュンギク、ハクサイ、チンゲンサイ、コネギなどがある。また、本発明による根の生育効果を享受する観点からは、ホウレンソウに適用することが好ましい。
本発明に用いられる種子は、好光性種子、嫌光性種子又は中間性の種子等のいずれでもよい。嫌光性種子は、覆土を行うか、光を遮断可能な栽培装置内に播種されることが好ましい。なお、本発明において、覆土とは培土をかけることのみならず、後述する人工培地をかけることや、遮光シートで覆うこと等を含め、培土に限らず、嫌光性種子としてはカボチャ、メロン、スイカなどのウリ科植物、トマト、ピーマン、ナス、タマネギ、ニラ、大豆などが挙げられる。
好光性種子は、例えば、太陽光または人工光が照射可能な施設内にて、培地に播種されることが好ましい。好光性種子の発芽においては光を遮断する必要がないため、覆土を少なめに行うか、覆土を行わないことが好ましい。また、本発明の一態様において、好光性種子は育苗工程と同じモジュールで発芽させることにより、作業効率を向上させることできる。好光性種子は、シソ、バジル、ミント、パクチーなどのハーブ類、イチゴ、レタス、ゴボウ、シュンギク、ニンジン、セロリ、ミツバ、コマツナ、ハクサイなどがあげられる。中間性の種子の播種は、いずれの方法にも限定されない。
[発芽工程]
本発明において、発芽工程は、種子を播種する工程から、種子が発芽し、育苗工程に移るまでを意味する。
[アンダートレイ]
本発明の一態様において、発芽工程は、図3のように根圏部材10をアンダートレイ20上に配置し、この根圏部材10の凹穴13に種子を播種する工程を有することが好ましい。アンダートレイ20の底面には水抜き孔21が設けられているが、水抜き孔が設けられていないアンダートレイでもよい。なお、この態様において、後述する育苗工程は、発芽した種子をアンダートレイ上の根圏部材で育苗する、プラグ苗の育苗工程となる。プラグ苗は、一度に多くの苗を栽培する方法であり、本発明における育苗期間の短縮や苗揃いの向上効果が見いだされやすく、好ましい。
[温度及び湿度]
本発明においては、発芽工程における好ましい温度は、4〜35℃であり、より好ましくは10〜30℃、さらに好ましくは15〜25℃である。この温度範囲であれば、低温障害や高温障害が起こりづらいため、好ましい。
また、発芽工程における、好ましい湿度(相対湿度)は、80%以上であって、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。湿度をこの範囲とすることで、種子の吸水量にムラが出づらくなり、発芽の均一性が向上するため、好ましい。
[育苗工程]
本発明の植物栽培方法は、育苗工程においては、植物の生長に必要な栄養分を含む養液を用いて栽培する。育苗工程は、発芽した種子を栽培する工程である。なお、本発明における育苗工程の開始時期は、次のように定義される。発芽工程と育苗工程とを異なる栽培装置で行う場合、栽培する植物の種類に応じた適切な時期に、発芽した種子が育苗装置に移動される時期である。なお、発芽工程と育苗工程とを同じ栽培装置内で行い、発芽した種子を移動しない場合、育苗工程とは、目視で子葉が確認できる時期以降である。
本発明において、発芽した種子を栽培する育苗工程では、養液を用いる。養液は、例えば、液肥を調整して養液タンクに貯留されたものを給液することが好ましい。また、種子が発芽した後は、遮光された閉鎖空間内で、人工照明装置を用いて育苗を行うことが好ましい。
前述のように、アンダートレイ上の根圏部材に播種して発芽させた場合、そのまま育苗工程に移行することが好ましい。
[養液]
本発明において、発芽した種子を栽培する育苗工程では、養液を用いる。
本発明の一態様において、育苗工程で用いる養液は、例えば、電気伝導率が50μS/cmより高いことが好ましく、電気伝導率100μS/cmより高いことがより好ましく、200μS/cmより高いことがさらに好ましく、電気伝導率1000μS/cmより高いことが特に好ましい。
[定植工程]
本発明の一態様においては、発芽・育苗して得た苗を、さらに、定植し栽培することが好ましい。本発明の一態様において、定植は、太陽光を利用する圃場への苗の移植であることが好ましい。太陽光を利用する圃場には、露地栽培が含まれる。すなわち、本発明の植物栽培方法は、発芽から育苗までの工程は、栽培施設内で行うことが好ましい。一方、定植後の栽培は、露地栽培を含め、太陽光のみを使用する圃場で行うことが好ましい。さらに、本発明の一態様において、定植される苗は、遮光された閉鎖空間内で、人工照明装置を用いて育苗を行った後、太陽光のみを使用する圃場に定植し、栽培することが特に好ましい。なお、育苗した苗を、定植せずに、穂木や台木などの接ぎ木用苗として使用してもよい。
[収穫工程]
本発明の一態様においては、種子を発芽させた後、育苗を行い、さらに、栽培した植物を得る収穫工程を有することが好ましい。本発明において、収穫工程で得られる植物体、すなわち、収穫物は、生鮮品目又は生鮮食品として市場で販売されうる形態の状態であることが好ましい。本発明においては、定植を行わず、育苗モジュールで栽培を継続し、収穫を行うことができる。また、定植を行い、育苗モジュールとは別の定植栽培圃場において、さらに栽培を行い、収穫を行うこともできる。
[植物栽培施設]
本発明の一態様では、植物栽培施設は、少なくとも、種が発芽するまでの工程が行われる発芽モジュールと、発芽後の苗が栽培される育苗モジュールを有する。発芽モジュールと育苗モジュールは同一装置であっても、別装置であってもよく、播種から育苗までを同じ栽培装置内で行う場合は同一装置である。発芽後に、苗を育苗モジュールへ移動する場合は、発芽モジュールと育苗モジュールは別装置となる。本発明の一態様において、植物栽培施設はさらに定植栽培を行う栽培モジュールを有してもよいし、露地を含む定植栽培圃場を有してもよい。
[発芽モジュール]
発芽モジュールは、栽培植物の種子を播種し、発芽するまでの工程が行われる装置である。発芽モジュールは、発芽室などの暗室や、育苗室、ガラス温室など、特に限定されず、いかなる栽培施設の中に設けられてもよい。本発明の植物栽培施設における発芽モジュールの設備や構成は、特に限定されず、いかなる発芽装置も使用可能である。発芽モジュールは、例えば、種の入ったばんじゅう(番重)、コンテナなどをシートで覆う簡易的なモジュールであってもよく、複数の発芽用トレイが段積みされ、湿度と温度が管理される発芽専用モジュールや、育苗施設内の育苗モジュールを兼ねたものであってもよい。
本発明では、発芽モジュールは、複数の発芽用トレイが図5のように育苗モジュールに設置される構成、あるいは複数の発芽用トレイが段積みされ、湿度と温度が管理される発芽専用モジュールであることが好ましく、発芽用トレイは、図4のように、上面に根圏部材が配置されたアンダートレイであることが好ましい。これによれば、実用生産施設として、一度に多くの苗を供給することができる。このような実用生産施設においては、苗揃いが重要であるため、育苗期間短縮や苗の品質向上といった本発明の効果が極めて有効である。
図4は、上面に根圏部材10を載置したアンダートレイ20を多段に段積みし、シート30で覆って発芽させる様子を示す断面図である。
[育苗モジュール]
育苗モジュールは、発芽した種子を栽培する装置であり、育苗工程を行う装置である。本発明の植物栽培施設における育苗モジュールの設備や構成は、特に限定されず、自動または手動で、養液を供給可能であれば、いかなる育苗装置も使用可能である。
本発明において、育苗モジュールとしては、図5に示されるように、育苗棚51を上下方向に多段に配置して育苗空間を形成した多段棚式育苗装置50を用いることが好ましい。各育苗棚51には、潅水装置が設けられていることが好ましい。下から2段目以上の各育苗棚51及びトップパネル52の下面には、照明装置が設置されることが好ましい。
多段棚式育苗装置50の高さは、作業者が作業できる程度の高さである2000mm程度であることが好ましい。育苗棚51の幅は、根圏部材10が載置されたアンダートレイ20を複数枚並べて載置できるとともに、各棚の上側スペースの温度・湿度を一定に調節できる幅、例えば1000mm〜2000mm程度が好ましい。育苗棚の奥行きは500mm〜1000mmが好ましい。各育苗棚51には複数枚のアンダートレイ20がほぼ水平に載置されていることが好ましい。なお、アンダートレイ1枚の寸法は、一般的には幅が300mm、奥行きが600mm程度である。
育苗を行う場合、第2層12の一部が液面より上に位置するように養液供給量を調整しながら栽培を行う。好ましくは、第2層12の厚さを2〜25mm特に5〜20mmとし、養液の水深を1〜24mm特に1〜19mmとし、第2層12の上部(第2層12の上面から1〜24mm特に1〜19mmの範囲)が液面より上に位置するようにする。
本発明において、種子が発芽した後は、遮光された閉鎖空間内で、人工照明装置を用いて育苗を行うことによって多数の苗を均質に安定的に栽培することが好ましく、育苗モジュールは、人工光を利用する遮光性構造物内に設置されることが好ましい。
なお、本発明では、発芽と育苗とを同一のモジュール(発芽・育苗モジュール)を用いてもよい。この発芽・育苗モジュールとしては、図5に示す多段棚式育苗装置50において上記の潅水装置及び照明装置が設けられたものなどを用いることができる。
本発明においては、育苗モジュールなどの栽培施設には、施設内の温度、湿度を調整するための空調や、各棚の気流を均一化するためのファンなどが設置されることが好ましい。例えば、空気中の浮遊微生物を管理して無菌状態を維持するための給排気フィルターや、清浄空気によるエアシャワー設備を置いた二重扉の出入口などが設置される無菌施設である必要はなく、温度や湿度が調整可能な一般的な空調装置が備えられる栽培施設であることが好ましい。
[定植栽培圃場]
定植栽培圃場は、育苗モジュールで栽培された植物の苗を定植し、栽培する工程が行われる圃場である。本発明の植物栽培施設で栽培された苗を定植する植栽培圃場の設備や構成は、特に限定されず、露地でもよい。また、本発明においては、定植栽培圃場は、収穫まで行われるものであることが好ましい。なお、定植栽培圃場は、太陽光を利用する圃場であることが好ましい。すなわち、定植栽培圃場は、施設栽培の圃場であっても、露地栽培の圃場であっても、太陽光利用型の圃場であることが好ましい。
本発明において、定植栽培圃場が施設である場合、例えば、水耕栽培モジュールであることが好ましい。この態様では、栽培ベッドは、長手方向の一端部から他端部に向けて流水勾配を有するように約1/100の勾配で設置されていることが好ましい。これにより、該栽培ベッド槽列の長手方向における上流から下流にかけて流水路を有する薄膜水耕機構を有するものとなる。
以下の実施例及び比較例では、下記発泡ウレタン(1)又は(2)を用いて発泡培地を構成し、ホウレンソウの発芽と育苗を行った。ホウレンソウの種子としては、三菱ケミカルアグリドリーム株式会社製NPL8号を用いた。
<使用材料>
発泡ウレタン(1):水分保持能(W1)98%である、ウレタン発泡培地(江松化成社製「製品名ECZ−1」、セル数30個/25mm、密度15kg/m
発泡ウレタン(2):水分保持能(W2)73%である、ウレタン発泡培地(江松化成社製「製品名CFH−13」、セル数13個/25mm、密度30kg/m
≪水分保持能の測定方法≫
株式会社ケット科学研究所製の赤外線水分計「FD−800」を用いて、加熱乾燥法にて120℃で測定した重量基準含水率W(%)を、各発泡培地の水分保持能とする。具体的には、ウレタンのブロックを水中で絞りながら十分に空気を抜いて含水させた後、水が通過する穴を有する硬材の上に5分間静置したのち、上から1000mLのジョウロ潅水を行い、さらに5分間静置してから第1層用発泡ウレタン(1)から縦23mm×横23mm×高さ6mm角の立方体ブロックを切り出し、第2層用発泡ウレタン(2)から縦23mm×横23mm×高さ12mm角の立方体ブロックを切り出し赤外線水分計で測定し、計算式(測定開始時の未乾燥質量−測定終了時の乾燥質量)/測定開始時の未乾燥質量×100(%)によって計算することにより水分保持能を算出する。
[実施例1]
第1層用発泡ウレタン(1)は、縦25列、横12列の300コマに打ち抜きカット、十字スリットが入った縦584mm×横283mm×厚み12mmのシートを使用し、第2層用発泡ウレタン(2)は、縦25列、横12列の300コマに打ち抜きカット、十字スリットが入った縦584mm×横283mm×厚み12mmのシートを使用した。
各発泡ウレタンシートをそれぞれ水中で絞りながら浸漬し、空気をすべて抜いて飽水させた後、水が通過する穴を有するアンダートレイ(30cm×60cm)上に図3の通り配置し、面積1652.72cm、凹穴13の数300個の根圏部材10を構成し、5分以上静置して、余分な水分を自然流下させて飽水状態とした。
各凹穴に、1凹穴当りホウレンソウ種子を5粒ずつ播種した。次いで、上方から1000mLの水をジョウロで散水し、初期灌水した。次いで、苗カバー(防湿シート)をかぶせて、図5のように、アンダートレイを苗の実用生産施設である閉鎖型育苗施設(三菱ケミカルアグリドリーム株式会社製「苗テラス」(登録商標))内の多段棚式育苗装置の棚に置き、第2層の底面から3mmの高さまで養液に浸して、室内を暗黒状態とし、3日間、湿度100%、12時間22℃、12時間19℃の状態に静置し、発芽工程を行った。
播種後5日間、12時間明期・12時間暗期にて苗カバーを被せたままで栽培した。播種後6日目に、苗カバーを外して、人工光を用いて育苗工程を行った。
この育苗工程では、1日のうち、明環境時では22℃、暗環境時では19℃に温度設定をした。また、遮光性構造物内のCO濃度は、明環境、暗環境いずれにおいても1000ppmとした。育苗工程では、第2層の底面から3mmの高さまで、養液に浸して育苗した。養液は、窒素・リン酸・カリウムなどを含むEC1.5dS/mに調製された養液を1日に1回、10分間潅水して蒸発などで減少した水位を維持した。
このように実施例1の根圏部材10を用いて育苗された苗について、後述の方法で評価し、結果を表1に示した。
[比較例1]
実施例1において、第2層12を省略し、第1層11のみからなる培地を用いて、培地層11の下面まで液面が位置するように養液に浸して育苗したこと以外は、実施例1と同様にして、発芽から育苗の工程を行った。育苗された苗について同様に評価し、結果を表1に示した。
[比較例2]
発泡ウレタン(1)よりなる縦23mm×横23mm×高さ28mmの直方体の頂面に直径14mm、深さ10mmの凹穴を設けたブロックを、アンダートレイ20上に1段に敷き詰めて根圏部材を構成した。各凹穴に5粒ずつホウレンソウの種子を播種し実施例1と同様にして発芽工程を行った。
育苗工程は、根圏部材の底面から9mmの高さまで、養液に浸したこと以外は実施例1と同様にして育苗した。育苗された苗について同様に評価し、結果を表1に示した。
<評価項目>
(1)成苗率:1凹穴に5粒播種し、本葉を含む苗に成長した個体でかつ胚軸部分が10mm以下である個体が1凹穴中に3個体以上存在する凹穴数を計測し、全体の凹穴数で除した値を%で表した。
(2)苗ぞろい:発泡培地の表面から上に出ている胚軸部分(胚軸+根)の長さが10mm以下である個体が多いものを苗ぞろいが良いと定義した。
Figure 2021177722
表1の通り、実施例1によると、比較例1,2に比べて、ホウレンソウの成苗率及び苗ぞろいが格段に向上した。
1 第1層用ブロック
2 第2層用ブロック
10,10’ 根圏部材
11 第1層
12 第2層
13 凹穴
20 アンダートレイ
30 シート
50 多段棚式育苗装置
51 育苗棚
52 トッププレート

Claims (10)

  1. 植物の養液栽培に用いられる根圏部材であって、
    水分保持能(W1)が90%以上の培地により構成される第1層と、
    第1層の下側に配置された、水分保持能(W2)が90%未満の培地により構成される第2層と
    を有することを特徴とする根圏部材。
    ただし、水分保持能(W1、W2)は、培地を十分に含水させた後、水が通過する穴を有する硬材の上に5分間静置してから、赤外線水分計で測定した重量基準含水率W(%)である。
  2. 前記第1層の培地は発泡培地であって、セル数が20〜40個/25mm以上である、請求項1に記載の根圏部材。
  3. 前記第2層の培地は発泡培地であって、セル数が5個/25mm以上20個/25mm未満である、請求項1又は2に記載の根圏部材。
  4. 前記培地は、発泡ウレタンである請求項1〜3のいずれか1項に記載の根圏部材。
  5. 葉菜類の発芽に用いられる根圏部材である請求項1〜4のいずれか1項に記載の根圏部材。
  6. 前記第1層の上面に播種用の凹穴を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の根圏部材。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項の根圏部材を用いることを特徴とする植物の栽培方法。
  8. 前記根圏部材を栽培槽の底面に載置し、前記第2層の一部は液面より上に位置するよう養液に浸して栽培を行う、請求項7に記載の植物の栽培方法。
  9. 前記第2層の厚さが2〜25mmであり、
    前記養液の水深が1〜24mmである、請求項8に記載の植物の栽培方法。
  10. 前記第1層に種子を置いて発芽を行い、定植用の苗を育苗する、請求項7〜9のいずれか1項に記載の植物の栽培方法。
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