JP2021177094A - ロッキングリニアアクチュエータ - Google Patents

Abstract

【課題】ロッキングリニアアクチュエータ、ロッキングリニアアクチュエータを含む航空機用のスラストリバーサ、及びロッキングリニアアクチュエータを製造する方法を提供する。【解決手段】ロッキングリニアアクチュエータ２０は、アクチュエータピストン２８とロックスリーブ３４とを収容するボア３０を画定するアクチュエータハウジング２２を含む。アクチュエータピストンの一部分は、ロック開孔を画定し、ロック開孔は、径方向に移動可能なロッキングタブ４２を収容する。アクチュエータが後退したときに、ロッキングタブは、ボアの表面にあるステップと係合して、リニアアクチュエータをロックし、ロックスリーブの遠位部分は、アクチュエータピストンの一部分の中に延在して、ロッキングタブがボアの表面にあるステップから係合解除されることを防止する。【選択図】図４

Description

本開示は、液圧リニアアクチュエータに関する。特に、本開示は、航空機のスラストリバーサ（thrust reverser）を展開させるために使用され得るロッキングリニアアクチュエータに関する。

イントロダクション
民間ジェット航空機は、典型的には、タッチダウン（touch-down）後に航空機を減速させる助けとするために、着陸中にスラストリバーサル（推力の逆噴射：thrust reversal）又はリバーススラスト（逆推力：reverse thrust）を採用する。ジェット排気又はバイパス空気の何れかを前方に一時的に方向転換させることによって、スラストリバーサルは、素早い減速を提供することができ、短い着陸距離を可能にし、更にまた制動システムによって経験される摩耗を低減させる。

３つの主たる種類のスラストリバーサシステムが存在する。すなわち、ターゲットタイプスラストリバーサ、クラムシェル（又はカスケード）スラストリバーサ、及び冷却流スラストリバーサである。何れの種類のシステムも、エンジンスラストの少なくとも一部分を実質的に前方へ再方向付けすることによって動作する。ターゲットタイプスラストリバーサは、エンジンからの排気流を前方に再方向付けする一対の「バケット」タイプのドアを展開させるために、液圧アクチュエータを採用する。

現在のスラストリバーサは、不注意による作動を防止するためのロッキング機構と、アクチュエータロックのステータスが確実に特定され得るようなロックインジケータとが装着された、液圧アクチュエータを採用する。残念なことに、現在のアクチュエータは、比較的嵩張り、多数の協働する部品を含み、整備及び保守ならびに構成要素の重量の点で不利益をもたらす。更に、現在のアクチュエータのロックインジケータシステムは、幾つかの事例では、アクチュエータのロッキング機構に対して機械的な摩擦を加え（摩耗をもたらし）、より頻繁な保守及び交換を必要とする。

本開示は、ロッキングリニアアクチュエータ、ロッキングリニアリニアアクチュエータを採用するスラストリバーサ、及びロッキングリニアリニアアクチュエータを製造する方法を提供する。

幾つかの実施例では、本開示が、内部長手ボアを画定するアクチュエータハウジングと、内部長手ボア内に配置されたアクチュエータピストンであって、近位後退位置と遠位延伸位置との間で摺動移動可能なように構成されたアクチュエータピストンと、内部長手ボア内に配置されたロックスリーブであって、遠位ロッキング位置と近位アンロック（unlocked）位置との間で摺動移動可能なように構成されたロックスリーブとを含む、ロッキングリニアアクチュエータに関する。更に、アクチュエータピストンが後退位置にあり、ロックスリーブがロッキング位置にあるときに、ロックスリーブの遠位部分は、アクチュエータピストンの近位部分の中に延在し、アクチュエータピストンが後退位置を離れることを防止する。

幾つかの実施例では、本開示が、航空機エンジン用のスラストリバーサに関する。その場合、スラストリバーサは、少なくとも１つの展開可能なスラストリバーサを有する航空機エンジンナセル、及び展開可能なスラストリバーサに結合された航空機エンジンナセル内の少なくとも１つのリニアアクチュエータを含む。それによって、スラストリバーサを展開させることが、少なくとも１つのリニアアクチュエータを延伸させることを含む。リニアアクチュエータは、内部長手ボアを画定するアクチュエータハウジングと、内部長手ボア内に配置されたアクチュエータピストンであって、近位後退位置と遠位延伸位置との間で摺動移動可能なように構成されたアクチュエータピストンと、内部長手ボア内に配置されたロックスリーブであって、遠位ロッキング位置と近位アンロック位置との間で摺動移動可能なように構成されたロックスリーブとを含む。更に、アクチュエータピストンが後退位置にあり、ロックスリーブがロッキング位置にあるときに、ロックスリーブの遠位部分は、アクチュエータピストンの近位部分の中に延在して、アクチュエータピストンが後退位置を離れることを防止する。

幾つかの実施例では、本開示が、ロッキングリニアアクチュエータを製造する方法に関する。該方法は、内部長手ボアを画定する細長いアクチュエータハウジングを製造することと、内部長手ボア内にアクチュエータピストンを、該アクチュエータピストンが近位後退位置と遠位延伸位置との間で摺動移動可能なように、設置することと、ロックスリーブが遠位ロッキング位置と近位アンロック位置との間で摺動移動可能なように、アクチュエータピストンに対して近位の内部長手ボア内にロックスリーブを設置することとを含み、それによって、アクチュエータピストンが後退位置にあり、ロックスリーブがロッキング位置にあるときに、ロックスリーブの遠位部分がアクチュエータピストンの近位部分の中に延在して、アクチュエータピストンが後退位置を離れることを防止する。

特徴、機能、及び利点は、本開示の様々な実施例で個別に実現され得るか、又は、後述の説明及び図面を参照して更なる詳細が理解可能である、更に別の実施例において組み合わされ得る。

スラストリバーサドアが後退した（収納された）、典型的なジェットエンジンナセルを描く。 ジェットエンジン排気を前方成分を有する方向に方向転換させるように、スラストリバーサドアが展開された（作動された）、図１のジェットエンジンナセルを描く。 スラストリバーサシステムのスラストリバーサパネルに結合されたロッキングリニアアクチュエータを概略的に描く。 本開示による例示的なロッキングアクチュエータを描く。 図４で示されているようなロッキングリニアアクチュエータの断面図である。 図４のロッキングリニアアクチュエータのロッキングタブ、ロック開孔、及びロックスリーブの遠位部分の詳細図である。 図４のロッキングリニアアクチュエータ内に画定された液圧空間を示す。 図４のロッキングリニアアクチュエータの作動に際したロックスリーブの初期移動を示す。 図４のロッキングリニアアクチュエータのロッキングタブの内向き平行移動を示す、図５の断面図である。 ロックスリーブが近位位置にあるときの図４のロッキングリニアアクチュエータのアクチュエータピストンの移動を示す。 ロックスリーブの係合及びロッキングタブの外向き移動の前に、近位位置に戻った図４のロッキングリニアアクチュエータのアクチュエータピストンを示す。 リニアアクチュエータがロックされたときの、図４のロッキングリニアアクチュエータのセンサ及びセンサターゲットを描く。 リニアアクチュエータがアンロックされたときの、図４のロッキングリニアアクチュエータのセンサ及びセンサターゲットを描く。 リニアアクチュエータがアンロックされ収納されているときの、図４のロッキングリニアアクチュエータのセンサ及びセンサターゲットを描く。 本開示によるロッキングリニアアクチュエータを製造する例示的な方法を描くフローチャートである。

ロッキングリニアアクチュエータ、ロッキングリニアアクチュエータを組み込んだスラストリバーサシステム、及びロッキングリニアアクチュエータを製造する方法の様々な態様及び実施例が、以下で説明され、添付した図面で示される。別段の定めがない限り、ロッキングリニアアクチュエータ、スラストリバーサシステム、並びに製造の方法、それらの個別のステップ、及び変形例は、本明細書で説明され、例示され、且つ／又は組み込まれる構造物、構成要素、機能、及び／若しくは変形例のうちの少なくとも１つを包含し得るが、必ずしもそれらを包含することが必要なわけではない。更に、特に除外されない限り、本明細書で説明され、例示され、且つ／又は組み込まれる工程ステップ、構造物、構成要素、機能、及び／若しくは変形例は、開示された実施例の間で相互交換可能であることを含んで、他の類似のデバイス及び方法に含まれ得る。様々な実施例の下記の説明は、本質的に単なる例示であり、本実施例、その用途、又はその利用を、如何なるやり方においても限定することを意図しない。加えて、実施例及び実施形態によって提供される利点は、後述のように、本質的に例示的であり、全ての実施例が同じ利点又は同程度の利点を提供するわけではない。

本詳細な説明は、直後に続く以下のセクションを含む。すなわち、（１）定義、（２）概観、（３）実施例、構成要素、及び代替例、（４）製造の方法、（５）例示的な組み合わせ及び更なる実施例、（６）利点、特徴、及び便益、並びに（７）結論である。

（１）定義
それ以外のものが示されなければ、以下の定義が本明細書で適用される。

「実質的に」は、その意図される目的又は機能にとって適切である限り、特徴又は構成要素が正確に一致する必要がないように、その用語によって修飾される特定の寸法、範囲、形状、概念、又は他の態様が、概ね一致することを意味する。

「備える」、「含む」、並びに「有する」（及びそれらの結合）は、含むが必ずしもそれに限定されず、更なる列挙されていない要素又は方法ステップを排除することを意図しないオープンエンドな用語であるように、相互交換可能に使用される。

「第１の」、「第２の」、及び「第３の」などは、群のうちの様々なメンバーを区別又は特定するように使用され、それらは、特定の文脈で導入され、順序の又は数値的な限定を示すことを意図せず、又は群のメンバーの固定された識別子であることを意図していない。

「結合された」は、１つものの性能が他のものの性能に影響を与えるような関係にあることを意味し、恒久的又は解放可能に接続されていること、介在する部品を介して直接的又は間接的に接続されていることを含み、必ずしも物理的な（１以上の）接続に限定されない。

（２）概説
本開示のロッキングリニアアクチュエータは、リニア液圧アクチュエータが利用される任意の用途、特に、より小さい外形、より少ない部品、向上したロッキング機構、及び向上したロックセンサを有する液圧リニアアクチュエータを採用することが有利であり得るそれらの用途における、向上した実用性を提供し得る。選択される代表的な用途は、製造、建築、農業、及び民間輸送、特に、民間航空機内でのリニアアクチュエータの使用を含み得る。本開示のロッキングリニアアクチュエータは、主として民間航空機のスラストリバーサシステムの文脈において説明されることになるが、これは、本開示のロッキングリニアアクチュエータの実用性又は適用性を如何なるやり方においても限定するものと見なされるべきではない。

典型的なターボファンジェットエンジンナセル１０の後ろのノズル部分が、図１及び図２で示されている。典型的なジェットエンジンナセル１０は、２つのスラストリバーサドア又はパネル１４を有するターゲットタイプのスラストリバーサシステム１２を含む。それらは、図１では後退した又は収納された位置で示され、図２では作動された又は展開された位置で示されている。スラストリバーサパネル１４は、図３で半概略的に描かれているように、１以上のロッキングリニアアクチュエータ２０によって、ナセル１０のジェットエンジン１６に結合されている。スラストリバーサの全体的な性能は、本開示のロッキングリニアアクチュエータの構造と特徴とのうちの１以上の態様を組み込むことによって改善され得る。

（３）実施例、構成要素、及び代替例
典型的なロッキングリニアアクチュエータ２０が、図４で長手垂直断面図として描かれている。ロッキングリニアアクチュエータ２０は、リニアアクチュエータ機構を囲み且つ固定する細長いアクチュエータハウジング２２を含む。アクチュエータハウジング２２は、遠位端２４と近位端２６とを有する。その場合、近位端２６は、ジェットエンジン１６及び／又はジェットエンジンのナセル１０と直接的又は間接的に取り付けられている。アクチュエータピストン２８は、アクチュエータハウジング２２によって画定され且つ長手ボア軸３１を有する、内部長手ボア３０内に配置される。アクチュエータピストン２８の遠位端３２は、スラストリバーサシステム１２のパネル１４と直接的又は間接的に結合され得る。アクチュエータピストン２８は、アクチュエータピストンが、内部長手ボア３０内で摺動可能に配置され、したがって、スラストリバーサパネル１４が後退した又は収納されたことに対応する近位位置と、スラストリバーサパネル１４が延伸した又は展開されたことに対応する遠位位置と、の間で摺動移動可能なように構成され得る。

ロックスリーブ３４も、内部長手ボア３０内に配置され、アクチュエータピストン２８に対して近位の位置にある。アクチュエータピストン２８と同様に、ロックスリーブ３４は、内部長手ボア３０内で、遠位ロッキング位置と近位アンロック位置との間で摺動平行移動可能なように構成されている。

図４を参照すると、アクチュエータピストン２８とロックスリーブ３４とは、アクチュエータピストン２８が後退位置にあり、ロックスリーブ３４がロッキング位置にあるときに、ロックスリーブの遠位部分６４がアクチュエータピストンの近位部分３６の中に延在して、アクチュエータピストン２８が後退位置を離れることを防止するように構成される。

アクチュエータピストン２８の少なくとも近位部分３６は、実質的に円筒状のピストン側壁３８を画定する。円筒状のピストン側壁３８は、円筒状のピストン側壁を通って延在する少なくとも１つのロック開孔４０を画定する。ロッキングタブ４２が、ロック開孔４０内に移動可能に配置され、ロッキングタブ４２とロック開孔４０との両方は、ロッキングタブ４２がロック開孔４０内で確実に径方向に平行移動可能なようにサイズ決定され、形作られる。図５で円筒状のピストン側壁３８の断面図について示されているように、ロッキングタブ４２は、断面図によって規定された円の半径に沿って内向き及び／又は外向きに平行移動可能である。図５の例示的な実施例では、典型的な円筒状のピストン側壁３８が、１２０度だけ離れて配置された３つのロック開孔４０を画定する。図示されているように、３つの対応するロッキングタブ４２は、径方向の最も外側にある。

円筒状のピストン側壁３８は、アクチュエータハウジング２２内の内部長手ボア３０の内面４４によって囲まれている。図５及び図６で示されているように、内面４４はステップ４６を画定するように構成され得る。その場合、ステップ４６は、対応するロッキングタブ４２が径方向の最も外側の位置にある間に、確実に相互作用し得る任意の特徴として画定される。典型的且つ例示的なロッキングリニアアクチュエータ２０について示されているように、ステップ４６は、内面４４全体の周りの円周レッジ（ledge）の形態を有し得る。画定されたステップ４６は、長手ボア軸３１に垂直な表面を含み得るか、又は図示されているように長手ボア軸３１に対して角度を付けられ得る。ステップ４６は、連続的であり、又はステップがロッキングタブ４２と相互作用するために適切な１以上の位置に配置されるとすると間欠的であってもよい。アクチュエータピストン２８とアクチュエータハウジング２２との間の確実な相互作用を提供する、ステップ４６とロッキングタブ４２との任意の形状が、有用な形状であり得る。

アクチュエータピストン２８が近位及び後退位置にあり、ロッキングタブ４２が十分に径方向外向きに配置されているときに、ロッキングタブ４２が十分にロッキング開孔４０を越えて延在し、外側縁部４８が内面４４にあるステップ４６と係合するように、ステップ４６は配置され、形作られ得る。ロッキングタブ４２がステップ４６と係合し、アクチュエータピストン２８が、ロック開孔４０を介してロッキングタブ４２に係合すると、アクチュエータピストン２８は、近位及び後退位置から出て平行移動することが防止される。この構成では、アクチュエータピストン２８が適所でロックされ、リニアアクチュエータ２０が全体としてロックされていると説明されてよい。

ロッキングタブ４２及びその外側縁部４８はまた、任意の適切な形状及び構成を有してもよい。図５及び図９で描かれている実施例では、ロッキングタブ４２の外側縁部４８が、ステップ４６の湾曲と強く相互作用するように湾曲している。外側縁部は、ロッキングタブ４２がステップ４６と確実に係合するとすれば、多かれ少なかれ湾曲していてよく、又は湾曲を示さなくてさえよい。図６でより詳細に示されているように、ロッキングタブ４２は、外面５０、内面５２、遠位面５４、及び近位面５６も画定する。ロッキングタブ４２は、ステップ４６の角度に対して補完的に角度を付けられ得る外側面取り縁部５８を更に含み得る。更に、ロッキングタブ４２がロッキング中に外向きに促されるときに、外側面取り縁部５８のステップ４６との相互作用は、アクチュエータピストン２８を固定された構成に設置するのに役立つ。同様に、ロッキングタブ４２は、ロックスリーブ３４上の面取り縁部６２に対して補完的に角度を付けられ得る内側面取り縁部６０を含み得る。それによって、ロックスリーブの面取り縁部６２とロッキングタブの内側面取り縁部６０との間の相互作用は、ロックスリーブが遠位方向に促されているときに、ロッキングタブ４２をステップ４６に対して設置するのに役立ち得る。

図４及び図７で示されているように、リニアアクチュエータ２０のロックされた構成は、ロックスリーブ３４を適切に配置することによって固定及び維持され得る。ロックスリーブ３４の遠位部分６４は、円筒状のスリーブ側壁６６を画定し得る。円筒状のスリーブ側壁６６は、ロックスリーブ３４が遠位及びロック位置にあるときに、アクチュエータピストン２８の円筒状のピストン側壁３８内に挿入され又は入れ子にされ、同心となるようにサイズ決定され、形作られる。この構成では、円筒状のスリーブ側壁６６が、各ロッキングタブ４２がそのそれぞれのロック開孔４０内で径方向内向きに移動することを防止し、したがって、各ロッキングタブ４２が内部長手ボア３０の内面４４にあるステップ４６から係合解除されることを防止する。ロックスリーブ３４は、任意の適切なロックスリーブ付勢機構６８によって、遠位及びロッキング位置に維持され得る。ロックスリーブ付勢機構６８は、例えば、内部長手ボア３０内の近位面７０とロックスリーブ３４との間に配置され、したがって、ロックスリーブ３４を遠位方向、したがって、ロッキング位置に向けて継続的に促すことによって作用し、リニアアクチュエータ２０をロックされたままにし、アクチュエータが展開することを防止し得る、ロックスリーブ付勢バネなどである。

図６で示されているように、アクチュエータハウジング２２は、内部長手ボア３０に流体連通した内部液圧空間７２を画定する。液圧空間７２は、適切な液圧流体源から液圧空間７２の中への加圧された液圧流体の流れを調整し得る同期ネジ７４を囲む。適切な液圧流体源は、例えば、複数の航空機システム又はスラストリバーサシステム若しくは単一のリニアアクチュエータ専用のより小さい閉回路液圧システムに、動力を提供する大きい液圧システムなどである。

図６で示されているように、アクチュエータハウジング２２は、液圧空間７２と、１以上のステップ４６を含む内部長手ボア３０の領域７８と、の両方に流体連通する１以上のチャネル７６を更に画定し得る。リニアアクチュエータ２０がロックされたときに、領域７８は、１以上のロッキングタブ４２の外面５０を含むアクチュエータピストン２８の近位部分３６を囲む。１以上のロッキングタブ４２は、ロックスリーブ３４の円筒状のスリーブ側壁６６の存在によって、ステップ４６との係合に保持されている。ロックスリーブ３４が遠位ロッキング位置を維持する限り、ロッキングタブ４２は、内向きに移動することを防止され、アクチュエータピストン２８は、ロック構成のままにある。

リニアアクチュエータ２０をアンロック及び展開するために、液圧空間７２内の液圧が増加され得る。液圧空間７２内の液圧が増加すると、増加した圧力が、ロックスリーブ３４を、ロックスリーブ付勢機構６８によって印加される力に対抗して近位方向に平行移動するように促す。増加した液圧が、ロックスリーブ付勢機構６８によってロックスリーブ３４に対して印加される力よりも大きくなったときに、ロックスリーブ３４は近位方向に促される。ロックスリーブ３４の遠位の円筒状のスリーブ側壁６６は、したがって、円筒状のアクチュエータピストンの円筒状のピストン側壁３８内のその入れ子位置から後退する。図８は、ロックスリーブ３４が近位アンロック構成へと促されたリニアアクチュエータ２０を示している。

チャネル７６の圧力によって、液圧空間７２内の圧力はまた、内部長手ボア３０の領域７８内の圧力も増加させる。この増加した圧力は、アクチュエータピストン２８を、内部長手ボア３０内で遠位方向に促す。それによって、各ロッキングタブ４２の外面５０に対して直接的に圧力を加えるのみならず、ロッキングタブ４２を内向きに移動するように促す。一旦ロックスリーブ３４がアンロック構成に平行移動すると、ロックスリーブ３４は、もはやロッキングタブ４２の内向きの移動を妨げず、各ロッキングタブ４２は停止されるまで内向きに移動する。図９の例示的な装置では、例えば、各ロッキングタブ４２は、それがロック開孔４０によって画定された内部停止８０と当接するまで、内向きに移動し得る。図８及び図９で示されているように、ロッキングタブ４２は、一旦それが内部停止８０に接触すると、もはやロック開孔４０から突出することはなく、もはやステップ４６と係合しないように構成され、サイズ決定される。

図１０で示されているように、ロッキングタブ４２がステップ４６から完全に係合解除されるや否や、液圧空間７２内に存在する増加した液圧は、直ちにアクチュエータピストン２８を遠位方向に促し、アクチュエータピストン２８を遠位位置に平行移動させ、アクチュエータピストン２８に結合されたスラストリバーサ１４を展開させる。

図示されているように、ロックスリーブ３４は、アクチュエータピストン２８が近位位置から遠位位置へ平行移動するときに必要とされるよりも、小さい距離のロッキング位置とアンロック位置との間での移動が可能である。結果として、液圧の影響下では、ロックスリーブ３４が非常に素早くアンロック構成に平行移動し得る。アクチュエータピストン２８の移動は、そのより大きなサイズ及び質量並びにより長い移動の距離によって、典型的には、より遅い。

ロッキングリニアアクチュエータ２０、及びしたがってその結合されたスラストリバーサパネル１４は、液圧空間７２に提供されている液圧流体の圧力を低減させることによって収納構成に戻り得る。内部圧力が減少すると、アクチュエータピストン２８は、アクチュエータピストン付勢機構８２の作用によって元々の近位位置に戻るように促される。機構８２は、とりわけアクチュエータピストン付勢バネなどの任意の適切な付勢機構であってよい。アクチュエータピストン付勢機構８２は、ロックスリーブ３４が遠位のロック位置へと促される前に、アクチュエータピストン２８が近位位置へ戻ることを確実にする助けとなるために、ロックスリーブ３４用のロックスリーブ付勢機構６８よりも少なくとも幾らか強くてよい。図１１で示されているように、アクチュエータピストン２８は近位位置に戻ったが、ロッキングタブ４２はロック開孔４０内にあるままである。ロックスリーブ３４が、ロックスリーブ付勢機構６８によってロック位置に促されると、ロックスリーブ３４の面取り縁部６２が、ロッキングタブ４２の面取り縁部６０と相互作用し得る。次いで、面取り縁部６０は、各ロッキングタブ４２をステップ４６と係合するように外向きに促す。

ロッキングリニアアクチュエータ２０の動作は、同期カップリング８４を使用して１以上の更なるロッキングリニアアクチュエータと連係され得る。同期カップリング８４（図４、図７、及び図８）は、動作を連係させるために、同期ネジ７４（図７、図８、図１０、及び図１１）の動作を、それらの更なるロッキングリニアアクチュエータの同期ネジと合わせる、可撓性シャフトケーブル（flexible-shafted cable）８６（図７及び図８）を含み得る。同期カップリング８４は、複数のロッキングリニアアクチュエータが単一のスラストリバーサシステム内で動作している場合、スラストリバーサパネルが、実質的に同期したやり方で移動することを確実にするように構成され得る。すなわち、１つのスラストリバーサパネルが移動されたときに、同じスラストリバーサシステム内の任意の他のスラストリバーサが、実質的に同じ時間に等しい距離だけ移動される。リニアアクチュエータの動作を同期させるための他の機械システムは、結合されたリニアアクチュエータの動作を連係させるために、任意の他の適切なリンク機構を含んでよい。

ロッキングリニアアクチュエータ２０の動作は、アクチュエータハウジング２２の近位端２６に隣接して配置されたセンサ８８によってモニタされ得る。その場合、センサ８８は、ロックスリーブ３４の近位端９２と結合され得る、関連付けられたセンサターゲット９０を検出するように構成され得る。センサ及びセンサターゲットの様々な組み合わせが、本開示の文脈において有用であり得る。とりわけ、容量検知、誘導検知、光学検知、磁気検知などの任意の適切な検知技法が、ロッキングリニアアクチュエータ２０のセンサターゲット及びセンサ向けに使用され得る。

センサターゲット９０は、２つのセンサ起動領域９４及び９６並びにセンサ起動解除領域９８を含み得る。図１２及び図１３で示されているように、センサ８８は、一種の金属探知器であってよい。センサターゲット９０は、２つの金属ディスクを含み得る。それらは、センサ８８に近づけられると（すなわち、センサの中心の下方に置かれると）、センサを起動させ又はトリガし得る。次いで、起動解除領域９８は、金属ディスクの間の領域に相当する。それは、センサ８８に隣接して配置されたときに、センサをトリガしない。

図１２で示されているように、リニアアクチュエータ２０がロック構成にあるとき、センサ８８は、起動解除領域９８に位置合わせされ、隣接している。センサ８８は起動されず、その結果、ロッキングリニアアクチュエータがロック構成にあるとの信号が生成される。実際には、この構成が、飛行乗務員に、リニアアクチュエータに結合されたスラストリバーサシステムが収納され、ロックされているとの信号を送り得る。

図１３で示されているように、リニアアクチュエータ２０が、アンロック構成にあるとき、ロックスリーブ３４は近位アンロック位置にあり、センサ起動領域９４は、センサ８８と位置合わせされ、隣接している。センサ８８が起動され、その結果、ロッキングリニアアクチュエータがアンロック構成にあるとの信号が生成され、ロッキングリニアアクチュエータが展開される。この構成は、飛行乗務員に、リニアアクチュエータに結合されたスラストリバーサシステムが展開され、又は展開のプロセスにあるとの信号を送り得る。

ロックスリーブ３４は、アクチュエータピストン２８よりも、液圧の変化により敏感に反応し、より素早く平行移動することができるので、リニアアクチュエータ２０が収納されている又は後退しているプロセスにあるときに、ロックスリーブ３４は、アクチュエータピストン２８がロック構成に設置され、ロックスリーブ３４をロック構成に促すまでは、ロック構成を越えて遠位方向に促され得る。センサターゲット９０の構成が、図１４で示されている。センサ起動領域９６はセンサ８８に隣接し、センサ８８は、ロッキングリニアアクチュエータがアンロック構成にあるが、収納されている又は後退していることを示す信号を生成する。一旦ロッキングリニアアクチュエータが完全に後退しロックされると、センサ８８は、再び、センサ起動解除領域９８と位置合わせされ、リニアアクチュエータがロックされ収納されたとの信号を送る。

（４）製造の方法
例示的なロッキングリニアアクチュエータ２０の製造が、図１５のフローチャート１００に従って実現される。製造の方法は、フローチャート１００のステップ１０２で示されるように、細長いアクチュエータハウジングを製造することを含む。

細長いアクチュエータハウジングは、内部長手ボア、内部長手ボアに流体連通した内部液圧空間、及び内部長手ボアの内面上のステップを画定するように製造され得る。

製造の方法は、フローチャート１００のステップ１０４で示されているように、アクチュエータピストンを内部長手ボア内に設置することを更に含む。それによって、アクチュエータピストンは、近位後退位置と遠位延伸位置との間で摺動移動可能である。

設置されるアクチュエータピストンは、アクチュエータピストンの少なくとも近位部分が、少なくとも１つのロック開孔を画定する円筒状のピストン側壁を含むように構成され得る。

製造の方法は、フローチャート１００のステップ１０６で示されているように、ロックスリーブが遠位ロッキング位置と近位アンロック位置との間で摺動移動可能なように、アクチュエータピストンに対して近位の内部長手ボア内にロックスリーブを設置することとを更に含み、それによって、アクチュエータピストンが後退位置にあり、ロックスリーブがロッキング位置にあるときに、ロックスリーブの遠位部分がアクチュエータピストンの近位部分の中に延在して、アクチュエータピストンが後退位置を離れることを防止する。

製造の方法は、フローチャート１００のステップ１０８で示されているように、少なくとも１つのロック開孔内にロッキングタブを設置することを更に含み得る。それによって、ロッキングタブは、ロック開孔内で径方向に平行移動することができ、ロッキングタブがアクチュエータピストンの外面を越えて径方向に延在するときに、ロッキングタブは、内部長手ボアの内面にあるステップと係合し、アクチュエータピストンが後退位置を離れることを防止する。ロッキングタブは、液圧空間と流体連通し、それによって、液圧空間内の液圧の増加が、ロッキングタブをロック開孔内で内向きに促す。アクチュエータピストンが後退位置にあり、ロックスリーブがロッキング位置にあるときに、ロックスリーブの遠位部分は、アクチュエータピストンの近位部分の中に延在し、ロッキングタブが、内向きに移動し且つ内部長手ボアの内面にあるステップから係合解除されることを防止する。内部液圧空間内の液圧の増加は、ロックスリーブを近位方向に促し、アクチュエータピストンを遠位方向に促すことになる。

結果として製造されたロッキングリニアアクチュエータが使用されるときに、液圧空間内の液圧を増加させることによって、ロックスリーブは近位方向に平行移動することになり、増加された液圧に促されて、ロッキングタブがロック開孔内で内向きに移動し、ステップから係合解除されることを可能にし、アクチュエータピストンが、増加した液圧に促されて、後退位置から延伸位置に移動することを可能にする。

製造の方法は、任意選択的に、フローチャート１００のステップ１１０で示されているように、アクチュエータピストンを内部長手ボア内で近位方向に促すためのアクチュエータピストン付勢機構、及びロックスリーブを内部長手ボア内で遠位方向に促すように構成されたロックスリーブ付勢機構を設置することを更に含み得る。それによって、液圧空間内の液圧が減少した際に、アクチュエータピストンは後退位置に戻り、ロックスリーブはロッキング位置に戻り、ロッキングタブはステップと係合し、リニアアクチュエータをロックすることになる。

製造の方法は、代替的に及び任意選択的に、フローチャート１００のステップ１１２で示されているように、アクチュエータハウジングの近位端に隣接してセンサを取り付けること、及び関連付けられたセンサターゲットをロックスリーブの近位端に取り付けることを更に含み得る。それによって、ロックスリーブのロッキング位置とアンロック位置とのうちの一方から他方への移動は、センサによって検出可能なセンサターゲットの移動をもたらし、リニアアクチュエータがロックされているか又はアンロックされているかの表示を提供する。

製造の方法は、代替的に及び任意選択的に、フローチャート１００のステップ１１４で示されているように、液圧空間を加圧された液圧流体源に結合することを更に含み得る。

製造の方法は、代替的に及び任意選択的に、フローチャート１００のステップ１１６で示されているように、アクチュエータハウジングを航空機のエンジンに結合すること、及びアクチュエータピストンをスラストリバーサに結合することを更に含み得る。

製造の方法は、代替的に及び任意選択的に、フローチャート１００のステップ１１８で示されているように、スラストリバーサを１以上の更なるリニアアクチュエータに結合すること、及び、複数のリニアアクチュエータの動作が同期するように、複数のリニアアクチュエータを同期機構にリンクさせることを更に含み得る。

（５）例示的な組み合わせ及び更なる実施例
この節は、本開示のロッキングリニアアクチュエータ、ロッキングリニアアクチュエータを採用するスラストリバーサ、及びロッキングリニアアクチュエータを製造する方法の更なる態様及び特徴を説明する。それらは、非限定的に一連の段落として提示され、それらの一部又は全部は、明瞭さ及び効率のために英数字の順に指定されていてよい。これらの段落のそれぞれは、任意の適切なやり方で、１以上の他の段落と且つ／又は本出願の他の部分の開示と組み合わせることができる。以下の段落の幾つかは、明示的に他の段落に言及し、更に他の段落を限定することにより、非限定的に、好適な組み合わせの幾つかの例を提供するものである。

Ａ１．
内部長手ボアを画定するアクチュエータハウジングと、内部長手ボア内に配置されたアクチュエータピストンであって、近位後退位置と遠位延伸位置との間で摺動移動可能なように構成されたアクチュエータピストンと、内部長手ボア内に配置されたロックスリーブであって、遠位ロッキング位置と近位アンロック位置との間で摺動移動可能なように構成されたロックスリーブとを含み、アクチュエータピストンが後退位置にあり、ロックスリーブがロッキング位置にあるときに、ロックスリーブの遠位部分がアクチュエータピストンの近位部分の中に延在して、アクチュエータピストンが後退位置を離れることを防止する、ロッキングリニアアクチュエータ。
Ａ２．
円筒状のピストン側壁が円筒状のピストン側壁内のロック開孔を画定した状態で、アクチュエータピストンの少なくとも近位部分が円筒状のピストン側壁を画定し、ロッキングタブがロック開孔内で径方向に平行移動可能なように、ロッキングタブがロック開孔内に配置され、内部長手ボアの内面がステップを画定し、アクチュエータピストンが後退位置にあり、且つ、ロック開孔内のロッキングタブがアクチュエータピストンの円筒状のピストン側壁を越えて延在するときに、ロッキングタブが内面にあるステップと係合し、それによって、アクチュエータピストンが後退位置を離れることを防止されるように、ステップが配置される、段落Ａ１に記載のロッキングリニアアクチュエータ。
Ａ３．
アクチュエータピストンが後退位置にあり、ロックスリーブがロッキング位置にあるときに、ロックスリーブの遠位部分が、アクチュエータピストンの近位部分の中に延在し、ロッキングタブが、内向きに移動し且つ内部長手ボアの内面にあるステップから係合解除されることを防止する、段落Ａ２に記載のロッキングリニアアクチュエータ。
Ａ４．
液圧空間内の液圧の増加が、ロックスリーブを近位方向に促し、アクチュエータピストンを遠位方向に促すように、アクチュエータハウジングが、アクチュエータピストンとロックスリーブとの間に配置された液圧空間を更に画定する、段落Ａ３に記載のロッキングリニアアクチュエータ。
Ａ５．
液圧空間内の液圧の増加が、ロッキングタブをロック開孔内で内向きに促すように、液圧空間が、ステップを画定する内部長手ボアの一部分と流体連通し、それによって、液圧空間内の液圧を増加させることが、ロックスリーブをロッキング位置からアンロック位置へ近位方向に促し、その結果、増加した液圧に促されて、ロッキングタブがロック開孔内で内向きに移動し、ステップから係合解除されることを可能にし、増加した液圧に促されて、アクチュエータピストンが後退位置から延伸位置に移動することを可能にする、段落Ａ４に記載のロッキングリニアアクチュエータ。
Ａ６．
液圧空間内の液圧が減少すると、アクチュエータピストンが後退位置に戻るように、アクチュエータピストンを内部長手ボア内で近位方向に促すように構成されたアクチュエータピストン付勢機構を更に含む、段落Ａ５に記載のロッキングリニアアクチュエータ。
Ａ７．
液圧空間内の液圧が減少すると、ロックスリーブがロッキング位置に戻るように、ロックスリーブを内部長手ボア内で遠位方向に促すように構成されたロックスリーブ付勢機構を更に含む、段落Ａ５又はＡ６に記載のロッキングリニアアクチュエータ。
Ａ８．
リニアアクチュエータは、アクチュエータピストンが後退位置に戻り、ロックスリーブがロッキング位置に戻ることによって、ロッキングタブを径方向外向きに促してステップと係合させ、それによって、アクチュエータピストンを後退位置にロッキングするように更に構成される、段落Ａ５からＡ７のいずれか一つに記載のロッキングリニアアクチュエータ。
Ａ９．
アクチュエータピストンとロックスリーブとの間に配置された液圧空間は、１以上の更なるリニアアクチュエータに結合された同期機構に結合された制御可能な液圧流体源を更に備え、同期機構は、リニアアクチュエータの同時発生的な動作を連係させるように構成される、段落Ａ５からＡ８のいずれか一つに記載のロッキングリニアアクチュエータ。
Ａ１０．
制御可能な液圧流体源は同期ネジを含み、同期機構は、アクチュエータピストンの内装を通って延在し且つ同期ネジに結合する、可撓性シャフトケーブルを含む、段落Ａ９に記載のロッキングリニアアクチュエータ。
Ａ１１．
アクチュエータハウジングの近位端に隣接して配置されたセンサであって、ロッキング位置からアンロック位置へのロックスリーブの移動がセンサによって検出可能なように、ロックスリーブの近位端に結合された関連付けられたセンサターゲットを検出するように構成されたセンサを更に含む、段落Ａ１からＡ１０のいずれか一つに記載のロッキングリニアアクチュエータ。
Ａ１２．
センサターゲットは、ロックスリーブがロック位置にあるときにセンサによって検出可能な起動解除領域、及びロックスリーブがアンロック位置にあるときにセンサによって検出可能な第１の起動領域を含む、段落Ａ１１に記載のロッキングリニアアクチュエータ。
Ｂ１．
少なくとも１つの展開可能なスラストリバーサを含む航空機のエンジンのナセルを含む、航空機のエンジン用のスラストリバーサであって、スラストリバーサを展開させることが少なくとも１つのリニアアクチュエータを延伸させることを含むように、航空機のエンジンのナセル内の少なくとも１つのロッキングリニアアクチュエータが、展開可能なスラストリバーサに結合され、リニアアクチュエータは、内部長手ボアを画定するアクチュエータハウジングと、内部長手ボア内に設置されたアクチュエータピストンであって、近位後退位置と遠位延伸位置との間で摺動移動可能なように構成されたアクチュエータピストンと、内部長手ボア内に配置されたロックスリーブであって、遠位ロッキング位置と近位アンロック位置との間で摺動移動可能なように構成されたロックスリーブとを含み、アクチュエータピストンが後退位置にあり、ロックスリーブがロッキング位置にあるときに、ロックスリーブの遠位部分がアクチュエータピストンの近位部分の中に延在して、アクチュエータピストンが後退位置を離れることを防止する、スラストリバーサ。
Ｂ２．
円筒状のピストン側壁が円筒状のピストン側壁内のロック開孔を画定した状態で、アクチュエータピストンの少なくとも近位部分が円筒状のピストン側壁を画定し、ロッキングタブがロック開孔内で径方向に平行移動可能であるように、ロッキングタブがロック開孔内に配置され、内部長手ボアの内面がステップを画定し、アクチュエータピストンが後退位置にあり、ロック開孔内のロッキングタブがアクチュエータピストンの円筒状のピストン側壁を越えて延在するときに、ロッキングタブが内面にあるステップと係合し、それによって、アクチュエータピストンが後退位置から離れることを防止されるように、ステップが配置され、アクチュエータピストンが後退位置にあり、ロックスリーブがロッキング位置にあるときに、アクチュエータピストンの近位部分の中に延在するロックスリーブの遠位部分が、ロッキングタブが内向きに移動し且つ内部長手ボア内の内面にあるステップから係合解除されることを防止する、段落Ｂ１に記載のスラストリバーサ。
Ｂ３．
液圧空間内の液圧の増加が、ロックスリーブを近位方向に促し、アクチュエータピストンを遠位方向に促すように、アクチュエータハウジングは、アクチュエータピストンとロックスリーブとの間に配置された液圧空間を更に画定し、液圧空間内の液圧の増加が、ロッキングタブをロック開孔内で内向きに促すように、液圧空間は、ステップを画定する内部長手ボアの一部分と流体連通し、それによって、液圧空間内の液圧を増加させることが、ロックスリーブを近位方向に平行移動させ、したがって、ロックスリーブの遠位部分が、ロッキング位置からアンロック位置に移動し、増加した液圧に促されてロッキングタブがロック開孔内で内向きに移動することを可能にし、増加した液圧に促されてアクチュエータピストンが後退位置から延伸位置に移動することを可能にする、段落Ｂ２に記載のスラストリバーサ。
Ｂ４．
液圧空間内の液圧が減少すると、アクチュエータピストンが後退位置に戻るように、アクチュエータピストンを内部長手ボア内で近位方向に促すように構成されたアクチュエータピストン付勢バネ、及び、液圧空間内の液圧が減少すると、ロックスリーブがロッキング位置に戻るように、ロックスリーブを内部長手ボア内で遠位方向に促すように構成されたロックスリーブ付勢バネを更に含む、段落Ｂ３に記載のスラストリバーサ。
Ｂ５．
複数のリニアアクチュエータを更に含み、各リニアアクチュエータは、各他のリニアアクチュエータに結合された同期機構に結合された液圧流体源を含み、それによって、同期機構は、スラストリバーサを展開したときに複数のリニアアクチュエータの同時発生的な動作を連係させるように構成される、段落Ｂ３又はＢ４に記載のスラストリバーサ。
Ｂ６．
各リニアアクチュエータの同期機構は、各アクチュエータピストンの内装を通って延在し且つリニアアクチュエータ内の液圧を制御する同期ネジに結合する、可撓性シャフトケーブルを含む、段落Ｂ５に記載のスラストリバーサ。
Ｂ７．
アクチュエータハウジングの近位端に隣接して配置されたセンサであって、ロッキング位置からアンロック位置へのロックスリーブの移動がセンサによって検出可能なように、ロックスリーブの近位端に結合された関連付けられたセンサターゲットを検出するように構成されたセンサを更に含む、段落Ｂ１からＢ６のいずれか一つに記載のスラストリバーサ。
Ｃ１．
ロッキングリニアアクチュエータを製造する方法であって、内部長手ボアを画定する細長いアクチュエータハウジングを製造することと、内部長手ボア内にアクチュエータピストンを、該アクチュエータピストンが近位後退位置と遠位延伸位置との間で摺動移動可能なように、設置することと、ロックスリーブが遠位ロッキング位置と近位アンロック位置との間で摺動移動可能なように、アクチュエータピストンに対して近位の内部長手ボア内にロックスリーブを設置することとを含み、それによって、アクチュエータピストンが後退位置にあり、ロックスリーブがロッキング位置にあるときに、ロックスリーブの遠位部分がアクチュエータピストンの近位部分の中に延在して、アクチュエータピストンが後退位置を離れることを防止する、方法。
Ｃ２．
アクチュエータハウジングは、内部長手ボア及び内部長手ボアの内面上のステップに流体連通した内部液圧空間を更に画定し、アクチュエータピストンの少なくとも近位部分が、少なくとも１つのロック開孔を画定する円筒状のピストン側壁を含み、該方法は更に、ロッキングタブがロック開孔内で径方向に平行移動可能なように、少なくとも１つのロック開孔内にロッキングタブを設置することを含み、ロッキングタブがアクチュエータピストンの外面を越えて径方向に延在するときに、ロッキングタブは、内部長手ボアの内面にあるステップと係合し、アクチュエータピストンが後退位置を離れることを防止し、液圧空間内の液圧の増加が、ロッキングタブをロッキング開孔内で内向きに促すように、ロッキングタブは液圧空間と流体連通し、アクチュエータピストンが後退位置にあり、ロックスリーブがロッキング位置にあるときに、アクチュエータピストンの近位部分の中に延在したロックスリーブの遠位部分が、ロッキングタブが内向きに移動し且つ内部長手ボアの内面にあるステップから係合解除されることを防止し、内部液圧空間内の液圧の増加が、ロックスリーブを近位方向に促し、アクチュエータピストンを遠位方向に促し、それによって、液圧空間内の液圧を増加させることによって、ロックスリーブが近位方向に平行移動し、増加した液圧に促されてロッキングタブがロック開孔内で内向きに移動し、ステップから係合解除されることを可能にし、増加した液圧に促されてアクチュエータピストンが後退位置から延伸位置へ移動することを可能にする、段落Ｃ１に記載の方法。
Ｃ３．
アクチュエータピストンを内部長手ボア内で近位方向に促すためのアクチュエータピストン付勢機構、及びロックスリーブを内部長手ボア内で遠位方向に促すように構成されたロックスリーブ付勢機構を設置することを更に含み、それによって、液圧空間内の液圧が減少した際に、アクチュエータピストンは後退位置に戻り、ロックスリーブはロッキング位置に戻り、ロッキングタブはステップと係合し、リニアアクチュエータをロックする、段落Ｃ２に記載の方法。
Ｃ４．
アクチュエータハウジングの近位端に隣接してセンサを取り付けること、及び関連付けられたセンサターゲットをロックスリーブの近位端に取り付けることを更に含み、それによって、ロックスリーブのロッキング位置とアンロック位置とのうちの一方から他方への移動が、センサによって検出可能なセンサターゲットの移動をもたらし、リニアアクチュエータがロックされているか又はアンロックされているかの表示を提供する、段落Ｃ２又はＣ３に記載の方法。
Ｃ５．
液圧空間を加圧された液圧流体源に結合することを更に含む、段落Ｃ２からＣ４のいずれか一つに記載の方法。
Ｃ６．
アクチュエータハウジングを航空機のエンジンに結合すること、及びアクチュエータピストンをスラストリバーサに結合することを更に含む、段落Ｃ５に記載の方法。
Ｃ７．
スラストリバーサを１以上の更なるリニアアクチュエータに結合すること、及び、結合されたリニアアクチュエータの動作が同期するように、結合されたリニアアクチュエータのそれぞれを同期機構にリンクさせることを更に含む、Ｃ６に記載の方法。

（６）利点、特徴、及び便益
本明細書で開示されるロッキングリニアアクチュエータ、本開示のロッキングリニアアクチュエータのうちの１以上を含み得るスラストリバーサシステム、及び本開示のロッキングリニアアクチュエータを製造する方法は、特に、航空機のエンジンのスラストリバーサの作動に関して、先行のリニアアクチュエータの設計と比較して多大な便益を提供する。

本開示のロッキングリニアアクチュエータは、既存のリニアアクチュエータよりも少ない部品及び廉価な部品を必要とする。新しいアクチュエータは、低減された内部の摩耗を示し、改善された機構は、以前のアクチュエータの設計よりも製造が単純である。例えば、アクチュエータシリンダはより細く且つ単純であり、在庫の大きな初期片（initial piece of stock）から機械加工される必要がなく、費用を低減させる。アクチュエータシリンダのように、本開示のロッキングアクチュエータのロックスリーブは、以前のリニアアクチュエータのものよりも小さく且つ流線形であり、材料を節約し、アクチュエータ全体のサイズ及び重量を低減させ、結果として燃料の節約をもたらす。

本開示のリニアアクチュエータのより細い且つ小さい幾何学的形状寸法はまた、より大きい既存のリニアアクチュエータを収容できない航空機の中に、それらを装着することも可能にし、又はそれらが設置されるときにより小さいハウジングを必要とし得る。

本開示のリニアアクチュエータ内のロック係合用の機構は、より単純であるが、既存のロッキング機構よりも強く且つ信頼できる。新しいロッキング機構は更に、以前のリニアアクチュエータ内で生成される潜在的な摩耗の原因を排除する。改善されたロックセンサシステムは、アクチュエータ自体におけるロック係合の視認可能な確認、ならびに航空機の操縦室内での電子的な確認の両方を提供する。

更に、本開示のリニアアクチュエータは、リニアアクチュエータのアンロッキング（unlocking）の際に、ロックスリーブの係合解除が非常に素早く生じ、アクチュエータピストンが移動し始めることができる前にロックスリーブが完全に係合解除されるように構成される。

本明細書で説明されたロッキングリニアアクチュエータは、特にスラストリバーサシステムの用途で、以前に開示されたロッキングリニアアクチュエータよりも、小さく、動作及び製造が単純であり、ロバストなロック係合を提供する。

（７）結論
上述の開示は、個別の有用性を備えた複数の個々の実施例を包括し得る。これらの発明の各々は、その好ましい形態（複数可）で開示されているが、数多くの変形例が可能であることから、本書で開示され例示されているそれらの特定の実施例を限定的な意味で捉えるべきではない。本開示内で使用されている限り、節の見出しは構成上の目的のものに過ぎない。本開示の主題は、本明細書で開示されている様々な要素、特徴、機能、及び／又は特性の、新規的且つ進歩的な組み合わせ及び部分的組み合わせの全てを含む。下記の特許請求の範囲は、新規的かつ進歩的であると見なされる、ある組み合わせ及び部分的組み合わせを特に指し示すものである。特徴、機能、要素、及び／又は特性のその他の組み合わせ及び部分的な組み合わせは、この出願又は関連出願からの優先権を主張する出願において特許請求され得る。更に、そのような特許請求の範囲は、出願当初の特許請求の範囲より広いか、狭いか、等しいか、又はそれと異なるかにかかわらず、本開示の主題の範囲内に含まれるとみなされる。

Claims (12)

1. ロッキングリニアアクチュエータ（２０）であって、
   内部長手ボア（３０）を画定するアクチュエータハウジング（２２）と、
   前記内部長手ボア（３０）内に配置されたアクチュエータピストン（２８）であって、近位後退位置と遠位延伸位置との間で摺動移動可能なように構成されたアクチュエータピストンと、
   前記内部長手ボア（３０）内に配置されたロックスリーブ（３４）であって、遠位ロッキング位置と近位アンロック位置との間で摺動移動可能なように構成されたロックスリーブとを備え、
   前記アクチュエータピストン（２８）が前記後退位置にあり、前記ロックスリーブ（３４）が前記ロッキング位置にあるときに、前記ロックスリーブの遠位部分（６４）が前記アクチュエータピストン（２８）の近位部分（３６）の中に延在して、前記アクチュエータピストンが前記後退位置を離れることを防止する、ロッキングリニアアクチュエータ。
2. 円筒状のピストン側壁（３８）が前記円筒状のピストン側壁内のロック開孔（４０）を画定した状態で、前記アクチュエータピストン（２８）の少なくとも近位部分（３６）が前記円筒状のピストン側壁を画定し、
   ロッキングタブ（４２）が前記ロック開孔（４０）内で径方向に平行移動可能なように、ロッキングタブがロック開孔内に配置され、
   前記内部長手ボア（３０）の内面（４４）がステップ（４６）を画定し、前記アクチュエータピストン（２８）が前記後退位置にあり、且つ、前記ロック開孔（４０）内の前記ロッキングタブ（４２）が前記アクチュエータピストン（２８）の前記円筒状のピストン側壁（３８）を越えて延在するときに、前記ロッキングタブが前記内面にある前記ステップと係合し、それによって、前記アクチュエータピストン（２８）が前記後退位置を離れることを防止されるように、前記ステップが配置される、請求項１に記載のロッキングリニアアクチュエータ。
3. 前記アクチュエータピストン（２８）が前記後退位置にあり、前記ロックスリーブ（３４）が前記ロッキング位置にあるときに、前記ロックスリーブの遠位部分（６４）が、前記アクチュエータピストン（２８）の近位部分（３６）の中に延在し、前記ロッキングタブ（４２）が、内向きに移動し且つ前記内部長手ボア（３０）の前記内面（４４）にある前記ステップ（４６）から係合解除されることを防止する、請求項２に記載のロッキングリニアアクチュエータ。
4. 液圧空間（７２）内の液圧の増加が、前記ロックスリーブを近位方向に促し、前記アクチュエータピストン（２８）を遠位方向に促すように、前記アクチュエータハウジング（２２）が、前記アクチュエータピストン（２８）と前記ロックスリーブ（３４）との間に配置された液圧空間を更に画定する、請求項３に記載のロッキングリニアアクチュエータ。
5. 前記液圧空間（７２）内の液圧の増加が、前記ロッキングタブ（４２）を前記ロック開孔（４０）内で内向きに促すように、前記液圧空間が、前記ステップ（４６）を画定する前記内部長手ボア（３０）の一部分と流体連通し、
   それによって、前記液圧空間（７２）内の前記液圧を増加させることが、前記ロックスリーブを前記ロッキング位置から前記アンロック位置へ近位方向に促し、その結果、増加した前記液圧に促されて、前記ロッキングタブ（４２）が前記ロック開孔（４０）内で内向きに移動し、前記ステップ（４６）から係合解除されることを可能にし、増加した前記液圧に促されて、前記アクチュエータピストン（２８）が前記後退位置から前記延伸位置に移動することを可能にする、請求項４に記載のロッキングリニアアクチュエータ。
6. 前記液圧空間（７２）内の前記液圧が減少すると、前記アクチュエータピストン（２８）が前記後退位置に戻るように、前記アクチュエータピストン（２８）を前記内部長手ボア（３０）内で近位方向に促すように構成されたアクチュエータピストン付勢機構（８２）を更に備える、請求項５に記載のロッキングリニアアクチュエータ。
7. 前記液圧空間（７２）内の前記液圧が減少すると、前記ロックスリーブ（３４）が前記ロッキング位置に戻るように、前記ロックスリーブを前記内部長手ボア（３０）内で遠位方向に促すように構成されたロックスリーブ付勢機構（６８）を更に備える、請求項５又は６に記載のロッキングリニアアクチュエータ。
8. 前記リニアアクチュエータ（２０）は、前記アクチュエータピストン（２８）が前記後退位置に戻り、前記ロックスリーブ（３４）が前記ロッキング位置に戻ることによって、前記ロッキングタブ（４２）を径方向外向きに促して前記ステップ（４６）と係合させ、それによって、前記アクチュエータピストン（２８）を前記後退位置にロッキングするように更に構成される、請求項５から７のいずれか一項に記載のロッキングリニアアクチュエータ。
9. 前記アクチュエータピストン（２８）と前記ロックスリーブ（３４）との間に配置された前記液圧空間（７２）は、１以上の更なるリニアアクチュエータに結合された同期機構（８４）に結合された制御可能な液圧流体源を更に備え、前記同期機構は、前記リニアアクチュエータの同時発生的な動作を連係させるように構成される、請求項５から８のいずれか一項に記載のロッキングリニアアクチュエータ。
10. 前記アクチュエータハウジング（２２）の近位端に隣接して配置されたセンサ（８８）であって、前記ロッキング位置から前記アンロック位置への前記ロックスリーブ（３４）の移動が前記センサによって検出可能なように、前記ロックスリーブの近位端に結合された関連付けられたセンサターゲット（９０）を検出するように構成されたセンサを更に備える、請求項１から９のいずれか一項に記載のロッキングリニアアクチュエータ。
11. 前記センサターゲット（９０）は、前記ロックスリーブ（３４）が前記ロック位置にあるときに前記センサ（８８）によって検出可能な起動解除領域（９８）、及び前記ロックスリーブが前記アンロック位置にあるときに前記センサによって検出可能な第１の起動領域（９４）を含む、請求項１０に記載のロッキングリニアアクチュエータ。
12. ロッキングリニアアクチュエータ（２０）を製造する方法であって、
    内部長手ボア（３０）を画定する細長いアクチュエータハウジング（２２）を製造することと、
    前記内部長手ボア（３０）内にアクチュエータピストン（２８）を、該アクチュエータピストンが近位後退位置と遠位延伸位置との間で摺動移動可能なように、設置することと、
    ロックスリーブ（３４）が遠位ロッキング位置と近位アンロック位置との間で摺動移動可能なように、前記アクチュエータピストン（２８）に対して近位の前記内部長手ボア（３０）内に前記ロックスリーブを設置することとを含み、それによって、前記アクチュエータピストンが前記後退位置にあり、前記ロックスリーブが前記ロッキング位置にあるときに、前記ロックスリーブの遠位部分（６４）が前記アクチュエータピストンの近位部分（３６）の中に延在して、前記アクチュエータピストンが前記後退位置を離れることを防止する、方法。
    

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