JP2021171675A - 水処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】被処理水に対する除鉄性能及び除濁性能を向上させることが可能な水処理装置を提供する。【解決手段】水処理装置1は、鉄成分を含む被処理水30に重炭酸塩を添加する重炭酸塩添加部3と、重炭酸塩添加部3の下流側に設けられ、酸化鉄(III)[Fe2O3]、四酸化三鉄[Fe3O4]、水酸化鉄[Fe(OH)3]、オキシ水酸化鉄[FeOOH]、及び二酸化マンガン[MnO2]のうち少なくとも一種の化合物10を担持した粒子状担持体9を充填した通水層4と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、被処理水(特に井戸水)に含まれる鉄成分及び濁質成分を除去して、水浴び、食器洗い、洗濯などの生活用水として活用するための水処理装置に関するものである。
従来、通水することで被処理水に含まれる鉄成分及び濁質成分を除去するものとして、酸化剤を用いて被処理水の浄化を行う水処理装置が知られている(例えば、特許文献1)。
以下、従来の水処理装置101について図16を用いて説明する。
従来の水処理装置101は、被処理水130を水処理(浄化)して生活用水131として供給する装置である。具体的には、図16に示すように、従来の水処理装置101は、上流側から順に酸化剤添加手段103と、凝集層105及び濾過層106からなる通水層104と、を有して構成される。酸化剤添加手段103には、例えば固形状のトリクロロイソシアヌル酸ナトリウムからなる酸化剤タブレット107が充填されている。そして、上流側に設けられたポンプ102によって被処理水130は、水処理装置101に送られる。従来の水処理装置101では、被処理水130が酸化剤添加手段103を通過することにより被処理水130中に酸化剤が添加され、被処理水130中の2価の鉄イオン[Fe2+]が3価の鉄イオン[Fe3+]に酸化する。
その後、被処理水130は下流側に設けた通水層104を構成する凝集層105を通過する。凝集層105は、酸化鉄(III)[Fe]、四酸化三鉄[Fe]、水酸化鉄[Fe(OH)]、オキシ水酸化鉄[FeOOH]のうち少なくとも一つの鉄化合物粒子を担持した粒状の多孔質担持体を充填して作られた層であり、被処理水130中の3価の鉄イオンは、鉄化合物粒子に付着し、同化することで3価の酸化鉄もしくは水酸化鉄の鉄凝集体を形成する。そして、鉄凝集体は、ある程度の大きさになると吸着していた鉄化合物粒子から脱離する。
その後、脱離した鉄凝集体を含む被処理水130は、更に下流側の濾過層106を通過する。濾過層106は、ケイ砂またはセラミックなどの粒子状の濾過体を充填して作られた層であり、鉄凝集体は、濾過層106を通過する際に濾過体に付着する。その結果、被処理水130中の鉄成分は除去される。
ここで、濁質成分は、被処理水130を濁らせる不溶性の成分であり、含水ケイ酸アルミニウムを主成分とするカオリンなどがある。濁質成分の粒子径は、5μm〜10μmであり、例えば0.5mm〜1.3mmの多孔質担持体を用いた凝集層105及び有効径0.35mmの濾過体を用いた濾過層106では物理的にほとんど濾過できないほど小さい。しかしながら、通水層104では、被処理水130中に鉄成分が存在すると、鉄成分がバインダーの役割を果たし、濁質成分の多孔質担持体及び濾過体への付着を促す。通水層104は、この作用によって濁質成分を除去することができる。また、通水層104では、鉄成分の酸化凝集作用が加わると、その凝集作用にも濁質成分が巻き込まれるため高い濾過作用が得られる。
これらの結果、従来の水処理装置101では、高い除鉄性能及び除濁性能を有する。また、従来の水処理装置101では、容積あたりの除鉄性能及び除濁性能が高いため、装置をコンパクトにすることができる。
国際公開第2016/199385号
しかしながら、従来の水処理装置は、酸化剤を用いた被処理水の浄化によって高い除鉄性能及び除濁性能を有するものの、その性能には限界があり、近年では、更に高い除鉄性能及び除濁性能が求められている。
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、被処理水に対する除鉄性能及び除濁性能を向上させることが可能な水処理装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る水処理装置は、鉄成分を含む被処理水に重炭酸塩を添加する第一添加部と、第一添加部の下流側に設けられ、Fe、Fe、Fe(OH)、FeOOH、及びMnOのうち少なくとも一種の化合物を担持した担持体を充填した通水層と、を備えることを特徴としたものである。これにより、所期の目的を達成するものである。
本発明によれば、被処理水に対する除鉄性能及び除濁性能を向上させることが可能な水処理装置を提供することができる。
図1は、本発明の実施の形態1に係る水処理装置の構成を示す模式図である。 図2は、同水処理装置における重炭酸塩添加部の構成を示す模式図である。 図3は、同水処理装置における通水層の構成を示す模式図である。 図4は、本発明の実施の形態2に係る水処理装置の構成を示す模式図である。 図5は、同水処理装置における通水層の構成を示す模式図である。 図6は、本発明の実施の形態3に係る水処理装置の構成を示す模式図である。 図7は、実施例における各水処理装置の詳細条件及び評価結果をまとめた図である。 図8は、実施例における水処理装置Aの構成を示す模式図である。 図9は、実施例における水処理装置B及び水処理装置Cの構成を示す模式図である。 図10は、実施例における水処理装置Dの構成を示す模式図である。 図11は、各水処理装置への通水量ごとの除鉄率を示す図である。 図12は、水処理装置C及び水処理装置Dへの通水量ごとの圧力損失を示す図である。 図13は、水処理装置Cの重炭酸ナトリウム添加濃度ごとの除鉄率を示す図である。 図14は、通水量15L及び通水量30Lにおける水処理装置Cの重炭酸ナトリウム添加濃度ごとの除鉄率を示す図である。 図15は、水処理装置Dの水溶性シリカ濃度ごとの除鉄率を示す図である。 図16は、従来の水処理装置の構成を示す模式図である。
本発明に係る水処理装置は、鉄成分を含む被処理水に重炭酸塩を添加する第一添加部と、第一添加部の下流側に設けられ、Fe、Fe、Fe(OH)、FeOOH、及びMnOのうち少なくとも一種の化合物を担持した粒子状担持体を充填した通水層と、を備える。
こうした構成によれば、第一添加部を流通することで、被処理水中に含まれる2価の鉄イオン[Fe2+]が重炭酸塩と反応して水酸化第一鉄[Fe(OH)]になる。その後、通水層を流通することで、水酸化第一鉄は、粒子状担持体に担持された化合物に化学的に吸着し、被処理水中の酸素によって酸化されてオキシ水酸化鉄[FeOOH]の形で固定化される。さらに、固定化されたオキシ水酸化鉄の上で被処理水中の水酸化第一鉄の化学吸着反応が連続して起こるため、高い除鉄性能が得られる。一方、被処理水中に含まれる濁質粒子は、水酸化第一鉄が粒子状担持体に吸着する際に巻き込まれる形で吸着するため、高い除濁性能が得られる。つまり、被処理水に対する除鉄性能及び除濁性能を向上させることが可能な水処理装置とすることができる。
また、本発明に係る水処理装置では、通水層は、凝集層と、凝集層の下流側に配置された濾過層と、を有して構成される。そして、凝集層には、表面にFe、Fe、Fe(OH)、FeOOH、及びMnOのうち少なくとも一種の化合物を担持した粒子状の多孔質担持体が充填されている。また、濾過層には、表面にMnOを担持して構成され、多孔質担持体よりも小さな粒子径を有する無機粒子が充填されている。このようにすることで、化合物を担持した凝集層と濾過層とを機能分離して被処理水を通水させることができるので、被処理水に対して高い除鉄性能及び除濁性能を維持しながら、圧力損失を低減することができる。
また、本発明に係る水処理装置では、第一添加部は、被処理水が含有する鉄成分濃度1mg/Lに対して炭酸水素ナトリウム換算で3.45mg/L以上の濃度となるように、被処理水に重炭酸塩を添加することが好ましい。これにより、被処理水に含まれる鉄成分に対して化学反応を確実に生じさせることが可能な重炭酸塩が添加されるので、被処理水に対する除鉄性能をさらに向上させることができる。
また、本発明に係る水処理装置では、被処理水に酸化剤を添加する第二添加部と、第一添加部及び第二添加部の上流側に設けられ、被処理水に含まれる水溶性シリカの濃度を検出する濃度検出部と、第一添加部を流通した被処理水を通水層に通水させる第一状態と、第二添加部を流通した被処理水を通水層に通水させる第二状態とを切り替える切替部と、をさらに備える。そして、切替部は、濃度検出部で検出した水溶性シリカの濃度情報に基づいて第一状態と第二状態とを切り替える。これにより、被処理水に含まれる水溶性シリカの濃度情報に基づいて、第一添加部を流通した被処理水を通水層に通水させる第一状態と、第二添加部を流通した被処理水を通水層に通水させる第二状態とが切り替えられるので、条件の異なる水質の被処理水に対しても一定上の高い除鉄性能及び除濁性能を得ることが可能となる。
また、本発明に係る水処理装置では、切替部は、水溶性シリカの濃度が二酸化ケイ素換算で20mg/L以下である場合に第一状態に切り替え、水溶性シリカの濃度が二酸化ケイ素換算で20mg/Lを超える場合に第二状態に切り替えることが好ましい。
被処理水中に含まれる水溶性シリカの濃度が高い場合、被処理水が酸素に触れると鉄成分と水溶性シリカが結合して微粒子が形成され、通水層での化学吸着による鉄成分の捕集作用を阻害する。つまり、水溶性シリカ濃度が20mg/Lを超える場合には、高い除鉄性能が得られないばかりか、重炭酸塩を添加することでかえって除鉄性能を低下させることが懸念される。このため、水溶性シリカの濃度が二酸化ケイ素換算で20mg/L以下である場合には、切替部を第一状態に切り替えて、重炭酸塩の添加によって除鉄率及び除濁率を向上させる一方、水溶性シリカの濃度が二酸化ケイ素換算で20mg/Lを超える場合には、切替部を第二状態に切り替えて、酸化剤の添加によって従来と同じ水準の除鉄率及び除濁率を確保するようにする。これにより、条件の異なる水質の被処理水に対しても一定上の高い除鉄性能及び除濁性能を得ることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
まず、図1〜図3を参照して、本発明の実施の形態1に係る水処理装置1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る水処理装置1の構成を示す模式図である。図2は、水処理装置1における重炭酸塩添加部3の構成を示す模式図である。図3は、水処理装置1における通水層4の構成を示す模式図である。
本実施の形態1に係る水処理装置1は、ポンプ2によって井戸水などの被処理水30(鉄成分及び濁質成分を含む地下水)を汲み上げて水処理(浄化)して生活用水31として使用するための装置である。
具体的には、図1に示すように、水処理装置1は、流入口3aと、重炭酸塩添加部3と、接続管5と、通水層4と、出水管6と、取水口6aと、を有して構成される。また、水処理装置1の上流側には、井戸水などの被処理水30を汲み上げるポンプ2が設置され、水処理装置1には、ポンプ2によって汲み上げられた被処理水30が流入口3aから装置内部に導入される。そして、水処理装置1では、流入口3aから導入された被処理水30は、重炭酸塩添加部3、接続管5、通水層4、出水管6の順に流通して、取水口6aから生活用水31として排出される。なお、重炭酸塩添加部3は、請求項の「第1添加部」に相当する。
流入口3aは、重炭酸塩添加部3を構成する筐体の上部に設けられ、外部から被処理水30を導入するための導入口である。
重炭酸塩添加部3は、流入口3aから導入される被処理水30に対して重炭酸塩を添加するためのものである。具体的には、図2に示すように、重炭酸塩添加部3は、重炭酸塩タブレット7を筐体の内部に充填する構造となっており、通水層4へと被処理水30を送るための接続管5が底部に挿通されている。そして、重炭酸塩添加部3では、流入口3aから内部に被処理水30を通すことで重炭酸塩タブレット7から溶出した重炭酸塩が被処理水30に添加される。その後、接続管5の上面(上端部)を被処理水30の水位が超えることで、被処理水30は、接続管5を通過して下流側の通水層4へと流れていく。
ここで、重炭酸塩タブレット7は、重曹などの重炭酸塩と、ポリビニルアルコールまたはカルボメキシメチルセルローズなどのバインダーと、少量の水とを混合した後に、それらを押し固めて乾燥することで作られた水溶性の固形物である。そして、被処理水30が重炭酸塩添加部3を通過することで、被処理水30中の鉄成分濃度1mg/Lあたり炭酸水素ナトリウム(モル質量84g/mol)換算で、3.45mg/L以上の濃度となるように、被処理水30に重炭酸塩が添加される。仮に重炭酸塩が炭酸水素カリウム(モル重量100g/mol)である場合、3.45×100/84=4.11mg/L以上の炭酸水素カリウム濃度が必要である。
被処理水30中には、2価の鉄イオン[Fe2+]及び有効径約7μmの無機質の不溶性濁質粒子(例えば含水ケイ酸アルミニウムを主成分とするカオリンなど)が含まれており、重炭酸塩が添加されることで2価の鉄イオンは水酸化第一鉄[Fe(OH)]に変化する。
接続管5は、重炭酸塩添加部3と通水層4との間を鉛直方向上下に接続して構成され、重炭酸塩添加部3において重炭酸塩が添加された被処理水30を通水層4に送出するための配管である。被処理水30は、重炭酸塩添加部3を通過した後に、この接続管5を介して、その下流側にある通水層4に導入される。
通水層4は、接続管5から導入される被処理水30(重炭酸塩が添加された被処理水30)から鉄成分及び濁質成分を除去するためのものである。具体的には、図3に示すように、通水層4は、充填筒8と、化合物10を担持した粒子状担持体9と、砂利11と、通水メッシュ12と、を有して構成される。そして、通水層4では、接続管5から導入された被処理水30は、化合物10を担持した粒子状担持体9と、砂利11と、通水メッシュ12との順に流通して、出水管6から送出される。
充填筒8は、通水層4を構成する筐体であり、上端部に接続管5が接続され、下端部に出水管6が接続されている。
粒子状担持体9は、その表面に酸化鉄(III)[Fe]、四酸化三鉄[Fe]、水酸化鉄(III)[Fe(OH)]、オキシ水酸化鉄[FeOOH]、及び二酸化マンガン[MnO]のうち少なくとも1つの化合物10を担持して構成される。粒子状担持体9は、一般的に粒子径が0.2mm〜2mmの粒子状物質であり、材質としては、ケイ砂、セラミックス、ゼオライト、アンスラサイト、活性炭などを用いることができる。
ここで、粒子状担持体9に対して、鉄などの化合物10を担持させる方法としては、例えば、粒子状担持体9を第一塩化鉄溶液に浸した状態で次亜塩素酸ナトリウムを添加し、数時間後に水洗いして乾燥させる、もしくは粒子状担持体9を第二塩化鉄、ポリ硫酸鉄もしくはポリシリカ鉄の水溶液に浸して数時間後に水洗いして乾燥させるなどの方法がある。
また、粒子状担持体9に対して、マンガンなどの化合物10を担持させる方法としては、例えば、過マンガン酸カリウム[KMnO]の溶液に浸して風乾させた後に水洗いして乾燥させる方法がある。
粒子状担持体9に化合物10を一度担持させれば、被処理水30中の鉄成分を吸着除去することで半永久的に鉄化合物を担持した状態を維持することができるため、高い除鉄性能及び除濁性能を維持することができる。
砂利11及び通水メッシュ12は、粒子状担持体9が出水管6から流れ出てこないようにするためのものであり、粒子状担持体9の下流側に設けられる。砂利11及び通水メッシュ12は、例えば、線径が1mmで網目の大きさが2mm×2mmのプラスチック製の通水メッシュ12を敷いた上に、2mm〜8mmの径を有する砂利11を敷き詰めて構成される。
次に、被処理水30に含まれる鉄成分及び濁質成分の捕集除去作用について説明する。
被処理水30中に含まれる鉄成分と濁質成分の捕集除去作用について様々な検討を重ねた結果、重炭酸塩を添加することで従来の酸化物(例えば、塩素系酸化物)を添加する以上の効果が得られることを見出した。重炭酸塩を添加することによって除鉄性能及び除濁性能が向上する原理を完全に解明できていないが、以下の反応が促進されると推測する。
Fe2+ + 3HCO → Fe(OH) + 3CO
Z−FeOOH + Fe(OH) + 1/4・O → Z−((FeOOH)−(FeOOH)) + 1/2・H
ここで、Zは粒子状担持体9の表面を示す。
上記反応を促進させるために水酸化物イオン[OH]のみが必要だということであれば、水酸化ナトリウムなどの解離度「1」の強アルカリ性化合物を添加しても同様の効果が得られるはずだが、実際には除湿性能の向上(高い除鉄性能)が得られない。そのため添加するのは重炭酸塩であることが重要である。上記反応に示すように、重炭酸塩添加部3を流通することで、被処理水30中に含まれる2価の鉄イオン[Fe2+]が重炭酸塩と反応して水酸化第一鉄[Fe(OH)]になる。その後、通水層4を流通することで、水酸化第一鉄は、粒子状担持体9に担持された化合物10に化学的に吸着し、被処理水30中の酸素によって酸化されてオキシ水酸化鉄[FeOOH]の形で固定化される。さらに、固定化されたオキシ水酸化鉄の上で被処理水30中の水酸化第一鉄の化学吸着反応が連続して起こる。一方、被処理水30中に含まれる濁質成分(濁質粒子)は、水酸化第一鉄が粒子状担持体9に吸着する際に巻き込まれる形で吸着する。そして、水酸化第一鉄は、化学的に吸着しているため粒子状担持体9の表面に比較的強い力で付着しており、ある程度の大きさになるまで付着し続ける。そのため、水酸化第一鉄等の鉄化合物を凝集させて物理的に濾過する従来の水処理装置(酸化剤による鉄化合物の凝集作用を用いた水処理装置)よりも高い除鉄性能及び除濁性能を示す。
そして、通水層4によって鉄成分と濁質成分とが除去された被処理水30は、出水管6に送出される。
ところで、粒子状担持体9が保持できる量を超えて鉄成分と濁質成分を吸着すると、保持しきれなくなった鉄成分と濁質成分が出水管6から出てくることが懸念される。つまり、それまでの時間が、水処理装置1における処理可能時間となる。このため、水処理装置1では、処理可能時間において所定の時間が経過すると、通水層4の再生処理を行うように制御される。
再生処理では、図1及び図4には示していないが、通水層4に対して、通常の順方向(接続管5から出水管6へと流れる方向)の流れとは逆方向(出水管6から接続管5へと流れる方向)の流れとなるように、出水管6側から洗浄水(例えば、ポンプ2から直接供給される被処理水30)を通水して接続管5側から排出する。この際、砂利11の存在によって、通水層4の全領域に均一に洗浄水を流すことが可能となる。これにより、約1mmの球状でオレンジ色の塊が通水層4の上流側(接続管5)へと出てくるのが観察される。これは、粒子状担持体9に吸着した鉄成分と濁質成分とが凝集成長してできた塊である。つまり、再生処理によって、粒子状担持体9に付着した鉄成分と濁質成分とを粒子状担持体9から剥がして除去することができることが分かる。ここで、鉄成分と濁質成分とは、主に粒子状担持体9の接続管5側の表面に付着しているため、逆方向の流れとなるように被処理水30を通水することで、これらを効果的に剥がして除去することができる。なお、剥がされた鉄成分と濁質成分とは、接続管5から被処理水30とともに出てきてそのまま下水道に排水される。その後、通水層4に対して順方向に通水することで、被処理水30中の鉄成分と濁質成分とを再び除去できるようになる。
出水管6は、その一端が通水層4の下流側に接続するとともに、他端に取水口6aを有して構成される。そして、出水管6は、通水層4によって鉄成分と濁質成分とが除去された被処理水30を取水口6aに送出するための配管である。
取水口6aは、水処理装置1によって水処理(浄化)された被処理水30を生活用水31として供給するための供給口である。
以上のようにして、実施の形態1に係る水処理装置1では、被処理水30(鉄成分及び濁質成分を含む地下水)を水処理(浄化)して生活用水31として供給する。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る水処理装置1aは、通水層4aが凝集層13と濾過層14とを有して構成されている点で実施の形態1と異なる。これ以外の水処理装置1aの構成は、実施の形態1に係る水処理装置1と同様である。以下、実施の形態1で説明済みの内容は再度の説明を適宜省略し、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
本発明の実施の形態2に係る水処理装置1aについて、図4及び図5を参照しながら説明する。図4は、本発明の実施の形態2に係る水処理装置1aの構成を示す模式図である。図5は、水処理装置1aにおける通水層4aの構成を示す模式図である。
本実施の形態2に係る水処理装置1aもまた、ポンプ2によって井戸水などの被処理水30(鉄成分及び濁質成分を含む地下水)を汲み上げて水処理(浄化)して生活用水31として使用するための装置である。
水処理装置1aは、図4に示すように、上流側から順に重炭酸塩添加部3と、通水層4aとを有して構成される。また、水処理装置1aの上流側にポンプ2が設けられている。そして、水処理装置1aでは、実施の形態1と同様に、ポンプ2によって汲み上げられ、流入口3aから導入される被処理水30は、重炭酸塩添加部3を流通することで、被処理水30には、被処理水30中の鉄成分濃度1mg/Lあたり炭酸水素ナトリウム換算で3.45mg/L以上の濃度となるよう重炭酸塩が添加される。
通水層4aは、主に2種類の層で構成され、上流側(接続管5側)に位置する凝集層13と、下流側(出水管6側)に位置する濾過層14とを有している。
具体的には、通水層4aは、図5に示すように、充填筒8と、凝集層13と、濾過層14と、砂利11と、通水メッシュ12とを有して構成される。そして、通水層4aでは、接続管5から導入された被処理水30は、凝集層13と、濾過層14と、砂利11と、通水メッシュ12との順に流通して、出水管6から送出される。なお、酸化剤添加部19は、請求項の「第2添加部」に相当する。
凝集層13は、濾過層14の上流側に位置し、0.5mm〜1.3mmの粒子径を有する多孔質担持体15が充填されて構成される。多孔質担持体15は、活性炭またはゼオライトなどのように、1μm以下の無数の細孔を有し、分子及びイオンなどの微細な物質を吸着することができる。また、多孔質担持体15は、その表面に酸化鉄(III)[Fe]、四酸化三鉄[Fe]、水酸化鉄(III)[Fe(OH)]、オキシ水酸化鉄[FeOOH]、及び二酸化マンガン[MnO]のうち少なくとも1つの化合物10aを担持している。なお、多孔質担持体15の粒子径は、後述する濾過層14に充填される無機粒子16の粒子径よりも大きくなるように設計される。
濾過層14は、凝集層13の下流側に位置し、有効径0.35mmを有する無機粒子16が充填されて構成される。また、無機粒子16は、その表面に二酸化マンガン[MnO]からなる化合物10bを担持している。ここで、有効径とは、累積通過質量百分率が10%になる粒子の大きさ(寸法)のことであり、粒子径の小さい方から10%と、残る90%の水の流れやすさが同じであることから、水の流れやすさの指標となる。
そして、濾過層14の下流側には、無機粒子16が出水管6から流れ出てこないように砂利11及び通水メッシュ12がそれぞれ設けられている。
次に、水処理装置1aにおいて、被処理水30に含まれる鉄成分及び濁質成分の捕集除去作用について説明する。
被処理水30が重炭酸塩添加部3を流通することによって、被処理水30中の2価の鉄イオン[Fe2+]は水酸化第一鉄[Fe(OH)]に変化する。なお、水酸化第一鉄に変化しなかったとしても、2価の鉄イオンは、下流側の通水層4aを構成する凝集層13に存在する多孔質担持体15によって吸着捕捉され、添加された重炭酸塩によって水酸化第一鉄に変わる。
そして、重炭酸塩を添加された被処理水30が通水層4aを構成する凝集層13を流通することで、水酸化第一鉄は、多孔質担持体15に担持された化合物10aに吸着し、被処理水30中の酸素によって酸化されてオキシ水酸化鉄[FeOOH]の形で固定化される。この反応が吸着したオキシ水酸化鉄の上で連続的に起こることで、大きなオキシ水酸化鉄(鉄化合物)の塊となる。
凝集層13に充填される多孔質担持体15の粒子径は、濾過層14に充填される無機粒子16よりも粒子径が大きいため、多孔質担持体15は、鉄化合物の塊を保持できる力は小さいものの、無数の細孔に化合物10aが多く担持されているため、鉄化合物の塊を生成する能力が高い。そのため、凝集層13でより大きな鉄化合物の塊が形成される。
続いて、凝集層13を流通した被処理水30は、濾過層14を流通する。
濾過層14では、被処理水30の水流の力によって凝集層13から脱離した大きな鉄化合物の塊が、濾過層14に充填された無機粒子16によって保持される。無機粒子16は、細孔を有さないが、凝集層13を構成する多孔質担持体15よりも粒子径が小さいため、より多くの鉄化合物の塊を物理的な力で留めておくことができる。同時に無機粒子16の表面全体に二酸化マンガンからなる化合物10bを担持しているため、鉄化合物の塊を化学吸着による大きな力によって留めることができる。
このように、通水層4aでは、凝集層13によって大きく成長させた鉄化合物の塊を、多孔質担持体15よりも粒子径が小さい無機粒子16で物理的かつ化学的な力で留めることができるため、目詰まりすなわち圧力損失が上昇しにくいという特徴を有する。
そして、通水層4aによって鉄成分と濁質成分とが除去された被処理水30は、出水管6に送出され、必要に応じて取水口6aから生活用水31として供給される。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る水処理装置1bは、装置内に導入される被処理水30が重炭酸塩添加部3を流通する状態(第一状態)と、装置内に導入される被処理水30が酸化剤添加部19を充填する状態(第二状態)とを切り替え可能に構成されている点で実施の形態1と異なる。これ以外の水処理装置1bの構成は、実施の形態1に係る水処理装置1と同様である。以下、実施の形態1で説明済みの内容は再度の説明を適宜省略し、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
本発明の実施の形態3に係る水処理装置1bについて、図6を参照しながら説明する。図6は、本発明の実施の形態3に係る水処理装置1bの構成を示す模式図である。
本実施の形態3に係る水処理装置1aもまた、ポンプ2によって井戸水などの被処理水30(鉄成分及び濁質成分を含む地下水)を汲み上げて水処理(浄化)して生活用水31として使用するための装置である。
具体的には、水処理装置1bは、図6に示すように、流入口17aと、濃度検出部17、流路切替部18と、重炭酸塩添加部3と、重炭酸塩添加流路21と、酸化剤添加部19と、酸化剤添加流路22と、接続管5と、通水層4と、出水管6と、取水口6aと、を有して構成される。また、水処理装置1bの上流側には、井戸水などの被処理水30を汲み上げるポンプ2が設置され、水処理装置1には、ポンプ2によって汲み上げられた被処理水30が流入口17aから装置内部に導入される。そして、水処理装置1bでは、第一状態において、流入口17aから導入された被処理水30は、濃度検出部17、重炭酸塩添加部3、流路配管21aと、流路切替部18と、接続管5、通水層4、出水管6の順に流通して、取水口6aから生活用水31として排出される。一方、水処理装置1bでは、第二状態において、流入口17aから導入された被処理水30は、濃度検出部17、酸化剤添加部19、流路配管22aと、流路切替部18と、接続管5、通水層4、出水管6の順に流通して、取水口6aから生活用水31として排出される。
流入口17aは、濃度検出部17を構成する筐体に設けられ、外部から被処理水30を導入するための導入口である。
濃度検出部17は、水処理装置1bの最上流側に設置され、流入口17aから導入される被処理水30に含まれる水溶性シリカの濃度を測定して検出する機器である。濃度検出部17は、検出した水溶性シリカの濃度情報を制御部(図示せず)に出力する。そして、濃度検出部17を流通した被処理水30は、重炭酸塩添加部3の流入口3aまたは酸化剤添加部19の流入口19aに送出される。なお、濃度検出部17を流通した被処理水30は、重炭酸塩添加流路21または酸化剤添加流路22に送出されるとも言える。
ここで、水溶性シリカの濃度検出には、例えば、水溶性シリカ濃度の検出精度の高いモリブデンブルー法が用いられる。モリブデンブルー法では、検出対象となる水溶性シリカを含む水溶液に硫酸とモリブデン酸アンモニウムからなる発色剤を添加してケイモリブデン酸を生成させイエローに呈色させる。その後、シュウ酸からなる隠蔽剤を注入し混合して発色反応を妨害する成分であるリンモリブデン酸を分解する。続いて、アスコルビン酸からなる還元剤を添加して水溶性シリカがモリブデン酸アンモニウムと反応して生成するヘテロポリ化合物を還元することにより青色に発色させる。この青色に発色した溶液の波長815nm付近の吸光度を測定することにより、水溶性シリカ濃度を測定する。濃度検出部17では、この方法を適用し、一定量をサンプリングした被処理水30における水溶性シリカ濃度を測定して検出している。
流路切替部18は、濃度検出部17と接続管5との間に設置され、流入口17aから導入される被処理水30を、重炭酸塩添加流路21を流通させて接続管5に導出する第一状態と、酸化剤添加流路22を流通させて接続管5に導出する第二状態とを切り替えるための弁である。ここで、流路切替部18は、重炭酸塩添加部3及び酸化剤添加部19の上流側または下流側に設置可能であるが、通水層4への非切り替え側の添加剤の混入を避けるために、本実施の形態では流路切替部18を下流側に設けている。
重炭酸塩添加流路21は、濃度検出部17と流路切替部18とを連通する一つの流路であり、この流路内に重炭酸塩添加部3が設けられている。そして、重炭酸塩添加流路21を流通する被処理水30には、重炭酸塩添加部3を流通することによって重炭酸塩が添加される。
一方、酸化剤添加流路22は、濃度検出部17と流路切替部18とを連通する別の流路であり、流路内に酸化剤添加部19が設けられている。そして、酸化剤添加流路22を流通する被処理水30には、酸化剤添加部19を流通することによって酸化剤が添加される。
要するに、重炭酸塩添加流路21と酸化剤添加流路22とは、互いに並列して配置された流路であり、被処理水30がそれぞれに流通するように設けられている。
流路切替部18は、制御部(図示せず)と無線または有線にて接続されており、濃度検出部17からの水溶性シリカの濃度情報に基づいて第一状態と第二状態との間での切り替え制御がなされる。具体的には、流路切替部18は、被処理水30中の水溶性シリカ濃度が20mg/L以下の場合には、第一状態として、重炭酸塩添加流路21に被処理水30が流通するように切り替え、水溶性シリカ濃度が20mg/Lよりも高い場合には、第二状態として、酸化剤添加流路22に被処理水30が流通するように切り替える。
なお、第一状態では、重炭酸塩添加流路21に被処理水30が流通するが、酸化剤添加流路22には被処理水30が流通しないようになっている。一方、第二状態では、酸化剤添加流路22に被処理水30が流通するが、重炭酸塩添加流路21には被処理水30が流通しないようになっている。
通水層4は、重炭酸塩添加流路21及び酸化剤添加流路22のどちらにも共通して使用される。これにより、それぞれの流路に別の通水層4を設ける必要がなくなるため、装置を小型化することができる。そして、被処理水30が通水層4を流通することにより、被処理水30中に含まれる鉄成分と濁質成分とが除去される。
そして、通水層4によって鉄成分と濁質成分とが除去された被処理水30は、出水管6に送出され、必要に応じて取水口6aから生活用水31として供給される。
次に、水処理装置1bを構成する重炭酸塩添加部3について詳細に説明する。
重炭酸塩添加部3は、濃度検出部17を介して流入口3aから導入される被処理水30に対して重炭酸塩を添加し、重炭酸塩添加部3の底部に挿通された流路配管21aから送出するように構成される。つまり、重炭酸塩添加部3では、流入口3aから被処理水30を通すことで重炭酸塩タブレット7から溶出した重炭酸塩が被処理水30に添加される。その後、流路配管21aの上面(上端部)を被処理水30の水位が超えることで、重炭酸塩が添加された被処理水30は、流路配管21a、流路切替部18、接続管5の順に通過して下流側の通水層4へと流れていく。
その後、通水層4では、実施の形態1において説明したように、被処理水30に含まれる鉄成分及び濁質成分の捕集除去がなされる。そして、通水層4によって鉄成分と濁質成分とが除去された被処理水30は、出水管6に送出される。
次に、水処理装置1bを構成する酸化剤添加部19について詳細に説明する。
酸化剤添加部19は、従来の水処理装置を構成する酸化剤添加手段103と同様の役割を有するものである。酸化剤添加部19は、酸化剤タブレット20を筐体の内部に充填する構造を有し、濃度検出部17を介して流入口19aから導入される被処理水30に対して酸化剤を添加し、酸化剤添加部19の底部に挿通された流路配管22aから送出するように構成される。つまり、酸化剤添加部19では、流入口19aから被処理水30を通すことで酸化剤タブレット20から溶出した酸化剤が被処理水30に添加される。その後、流路配管22aの上面(上端部)を被処理水30の水位が超えることで、酸化剤が添加された被処理水30は、流路配管22a、流路切替部18、接続管5の順に通過して下流側の通水層4へと流れていく。
ここで、酸化剤タブレット20は、例えばトリクロロイソシアヌル酸ナトリウムからなる固形状のタブレットである。そして、被処理水30が酸化剤添加部19を通過することにより被処理水30中に酸化剤が添加され、被処理水30中の2価の鉄イオン[Fe2+]が3価の鉄イオン[Fe3+]に酸化する。
その後、酸化剤が添加された被処理水30は、通水層4に送出される。そして、通水層4では、酸化鉄(III)[Fe]、四酸化三鉄[Fe]、水酸化鉄(III)[Fe(OH)]、オキシ水酸化鉄[FeOOH]、及び二酸化マンガン[MnO]のうち少なくとも一つの化合物10(図3参照)を担持した粒子状担持体9が充填されているため、被処理水30中の3価の鉄イオンは、化合物10の粒子に付着し、酸化鉄(III)もしくは水酸化鉄(III)の鉄凝集体を形成し、粒子状担持体9によって物理的に捕集される。
また、濁質成分は、鉄成分の酸化凝集作用が加わると、その凝集作用に濁質成分が巻き込まれて除去される。
ここで、酸化剤による酸化法の場合には、水溶性シリカと鉄成分が共存していても、およそ11時間以内であれば除鉄性能及び除濁性能の低下は小さいことが判明している。
以上のようにして、通水層4によって鉄成分と濁質成分とが除去された被処理水30は、出水管6に送出される。
次に、流路切替部18の切り替え動作について説明する。
使用される地域の地質によるが、井戸水などの被処理水30は、予め水溶性シリカを含むことがある。そして、被処理水30中に含まれる水溶性シリカの濃度が高い場合、被処理水30が酸素に触れると鉄成分と水溶性シリカが結合して微粒子が形成され、通水層4での化学吸着による鉄成分の捕集作用を阻害する。これまでに行った実験評価によると、水溶性シリカ濃度が20mg/Lを超える場合には、高い除鉄性能が得られないばかりか、重炭酸塩を添加することでかえって除鉄性能を低下させることが分かっている。このため、水処理装置1bでは、水溶性シリカの濃度が二酸化ケイ素換算で20mg/L以下である場合には、流路切替部18を第一状態に切り替えて、被処理水30が重炭酸塩添加部3を流通するようにする。これにより、水処理装置1bは、被処理水30への重炭酸塩の添加によって、被処理水30に対する除鉄率及び除濁率を向上させる。一方、水処理装置1bでは、水溶性シリカの濃度が二酸化ケイ素換算で20mg/Lを超える場合には、流路切替部18を第二状態に切り替えて、被処理水30が酸化剤添加部19を流通するようにする。これにより、水処理装置1bは、酸化剤の添加によって、従来と同じ水準の除鉄率及び除濁率を確保するようにする。
以上のように、水処理装置1bでは、水溶性シリカの含有量などの条件の異なる水質の被処理水30に対しても一定上の高い除鉄性能及び除濁性能を得ることが可能となる。
本実施の形態に係る水処理装置の除鉄性能(除鉄率)及び除濁性能(除濁率)について説明する。実施例では、構成の異なる4種類の水処理装置A〜Dを作成し、被処理水30を通水して、それぞれの除鉄率及び除濁率を評価した。それぞれの水処理装置の詳細を図7にまとめる。図7は、実施例における各水処理装置の詳細条件及び評価結果をまとめた図である。
ここで、除鉄率を求めるための水中鉄濃度は、被処理水30中のイオン及び不溶性含む全部の成分と、1、10−フェナントロリン指示薬とを反応させ、その発色強度から鉄成分の濃度を定量測定した。この際、測定に使用した吸光光度計は、米HACH社製のDR900である。
また、除濁率を求めるための濁度は、透過散乱光方式を用いた同じく米HACH社製のポータブル濁度計2100Qを用いて測定した。
除鉄率及び除濁率を求める式は、以下の通りである。
除鉄率=(1−通水後の鉄濃度/通水前の鉄濃度)×100%
除濁率=(1−通水後の濁度/通水前の濁度)×100%
試験に用いた被処理水30には、水道水をイオン交換樹脂に通したイオン交換水に対して鉄濃度が5.8mg/Lとなるように、塩化第一鉄四水和物[FeCl・4HO]を溶かし、濁度が100NTU(Nephelometric Turbidity Unit)となるように、はくとう土(カオリン)を投入混合したものを用いた。ちなみに、試験に用いるイオン交換水の水質を測定したところ、全硬度は0mg/L、水溶性シリカ濃度は0mg/L、Mアルカリ度は炭酸カルシウム[CaCO]換算で5mg/Lであった。このことから、試験に用いるイオン交換水には、基本的にほとんど何の成分も含まれていない。なお、Mアルカリ度は、炭酸イオンの総量の指標であり、メチルレッド−ブロムクレゾールグリーン指示薬によってpH4.8になるまでの酸消費量から求められる値である。
次に、試験に用いた水処理装置A〜Dの詳細構成について図8〜図10を用いて説明する。図8は、実施例における水処理装置Aの構成を示す模式図である。図9は、実施例における水処理装置B及び水処理装置Cの構成を示す模式図である。図10は、実施例における水処理装置Dの構成を示す模式図である。
まず、図8を参照して水処理装置Aについて説明する。水処理装置Aは、上流側に位置する酸化剤添加部19(実施の形態3の酸化剤添加部19を参照)と、下流側に位置する凝集層13及び濾過層14からなる通水層4a(実施の形態2の通水層4aを参照)とを備えて構成される。水処理装置Aは、比較対象(比較例1)である。比較例1は、従来の水処理装置に相当する。水処理装置Aでは、酸化剤添加部19及び通水層4aが内径45mmの充填筒8の中に一体的に設けられており、酸化剤添加部19と通水層4aとの間に設けられる接続管5は省かれている。酸化剤添加部19には、ほぼ正方体で1辺が約7mmのトリクロロイソシアヌル酸ナトリウムからなる酸化剤タブレット20が、通水性を有する仕切板23の上に5個充填されている。
そして、上述した酸化剤添加部19に対して、実験用に準備されたイオン交換水からなる被処理水30を0.47L/minの速度で通水することで、被処理水30に対して、被処理水30中の鉄濃度1mg/Lあたり遊離塩素が1.72mg/Lの濃度となるように添加される。そして、遊離塩素の酸化作用によって被処理水30に含まれる2価の鉄イオン[Fe2+]は3価の鉄イオン[Fe3+]に酸化する。
通水層4aは、上流側の凝集層13と下流側の濾過層14とを有して構成されている。そして、凝集層13には、0.5mm〜1.3mmの径を有する粒子状の多孔質担持体15(図5参照)が、容積で0.16L、長さにして103mmの分量、充填されている。また、濾過層14には、有効径0.35mmを有する無機粒子16(図5参照)が、容積で0.20L、長さにして128mmの分量、充填されている。
ここで、多孔質担持体15には、粒子状活性炭をポリ硫酸第二鉄([Fe(OH)(SO3−n/2)の水溶液に一日漬け置きして洗浄した後、乾燥させたものを用いた。以下、これを「鉄担持活性炭粒子」と呼ぶこととする。また、無機粒子16には、ケイ砂の表面に二酸化マンガン[MnO]を担持したものを用いた。以下、これを「マンガン担持砂」と呼ぶこととする。
次に、図9を参照して水処理装置B及び水処理装置Cについて説明する。水処理装置Bは、上流側に位置する重炭酸塩添加部3(実施の形態1の重炭酸塩添加部3を参照)と、下流側に位置する通水層4(実施の形態1の通水層4を参照)を備えて構成される。水処理装置Bは、比較対象(比較例2)である。水処理装置Bは、重炭酸塩添加部3及び通水層4が内径45mmの充填筒8の中に一体的に設けられており、重炭酸塩添加部3と通水層4との間に設けられる接続管5は省かれている。重炭酸塩添加部3にはカルボメキシメチルセルローズを添加して重炭酸ナトリウムを押し固めて作られた、ほぼ正方体で1辺が約7mmの重炭酸塩タブレット7が、通水性を有する仕切板23の上に7個充填されている。
そして、上述した重炭酸塩添加部3に対して、実験用に準備されたイオン交換水からなる被処理水30を0.47L/minの速度で通水することで、被処理水30に対して、被処理水30中の鉄濃度1mg/Lあたり6.90mg/Lの濃度となるように重炭酸ナトリウムが添加される。
通水層4は、粒子状担持体として、表面に何も担持していない無担持砂を有して構成される。無担持砂は、有効径0.35mmのケイ砂からなり、容積が0.36L、長さにして231mmの分量、充填されている。
水処理装置Cは、水処理装置Bと同様の構造を有しているが、通水層4を構成する粒子状担持体として、無担持砂ではなく、マンガン担持砂が用いられる。マンガン担持砂は、有効径0.35mmを有し、容積が0.36L、長さにして231mmの分量、充填されている。水処理装置Cは、実施対象(実施例1)である。
また、実験用に準備されたイオン交換水からなる被処理水30に添加される重炭酸ナトリウムは、水処理装置Bと同様、0.47L/minの通水速度において、被処理水30中の鉄濃度1mg/Lあたり6.90mg/Lである。
最後に、図10を参照して水処理装置Dについて説明する。水処理装置Dは、水処理装置Aにおける酸化剤添加部19の代わりに、水処理装置B及び水処理装置Cと同様の重炭酸塩添加部3が設けられている。水処理装置Dは、実施対象(実施例2)である。
そして、被処理水30に添加される重炭酸ナトリウムは、水処理装置B及び水処理装置Cと同様、0.47L/minの通水速度において、被処理水30中の鉄濃度1mg/Lあたり6.90mg/Lである。
以上の4種類の水処理装置(水処理装置A〜D)を用いて、実験用に準備されたイオン交換水からなる被処理水30(通過前水30a)を0.47L/minの速度で通水して、被処理水30の水処理(浄化)を行い、水処理装置の通過後の被処理水30(通過後水30b)をそれぞれ得た。なお、各水処理装置への通水量は30L(以下、「30L通水」とも言う)とした。
そして、通過前水30a及び通過後水30bにおける鉄濃度及び濁度から、各水処理装置における除鉄率及び除濁率をそれぞれ算出した。各水処理装置に被処理水30(通過前水30a)を30L通水した結果(pH、除鉄率、除濁率、圧力損失)を図7に示す。また、各水処理装置への通水量ごとの除鉄率を図11に示す。
図7に示すように、30L通水時の除濁率は、水処理装置Aを除いて90%以上の除濁率が得られたが、水処理装置ごとの除鉄率では比較対象(比較例1、比較例2)と実施対象(実施例1、実施例2)とで大きな差が出た。比較対象である水処理装置Aでは、30L通水後に74.3%(イオン交換水でなく一般的な井戸水を汲み上げた直後に用いた場合は95%の高い除鉄率が得られるが)であり、同じく比較対象である水処理装置Bでは、68.2%の除鉄率であった。これに対して、実施対象である水処理装置C及び水処理装置Dでは、それぞれ98.4%及び98.1%といずれもより高い除鉄率をとなった。こうした傾向は、図11に示す通水量ごとの除鉄率においてもみられている。つまり、イオン交換水を被処理水30の溶媒として用いた場合には、従来の酸化剤(塩素系酸化剤)を用いて2価の鉄イオンを酸化して担持体上の鉄化合物もしくはマンガン化合物の上に凝集する方法よりも、重炭酸塩によって2価の鉄イオンを水酸化第一鉄に変化させ、通水層4を構成する鉄担持活性炭粒子及びマンガン担持砂によって化学吸着する方法がより高い除鉄率が得られることがわかる。一方、重炭酸塩の添加による方法では、水処理装置Bが示すように、粒子状担持体が表面に鉄化合物もしくはマンガン化合物を担持していない場合に、高い除鉄率が得られないことがわかる。
ちなみに、被処理水30(通過後水30b)のpHを同じpH6.63となるように重炭酸ナトリウムの代わりに水酸化ナトリウムNaOHを被処理水30に添加して測定したところ、30L通水後の除鉄率は70%であった。この結果から、重炭酸イオン以外の他の手段で水酸化物イオンを加えても高い除鉄率が得られないことが分かった。
次に、実施対象である水処理装置C及び水処理装置Dの通水量ごとの圧力損失の変化を図12に示す。被処理水30(通過前水30a)を0.47L/minの通水速度において、水処理装置Cの通水による圧力損失の上昇割合は、0.26kPa/Lとなり、水処理装置Dの通水による圧力損失の上昇割合は、0.14kPa/Lとなり、両者に差が生じている。水処理装置Dでは、鉄担持活性炭粒子を充填して凝集層13を設け、その下流側に粒子径のより小さいマンガン担持砂を充填して濾過層14を設けることで、被処理水30中の鉄成分を凝集層13で化学吸着して大きな塊を作り、剥がれて漏れた分を下流側の濾過層14で化学吸着的な力を与えながら物理濾過することができる。その結果、粒子状担持体としてマンガン担持砂のみを充填している水処理装置Cよりも圧力損失の上昇を低くすることが可能となったと推察される。
次に、実施対象である水処理装置Cを用いて、高い除鉄率を得るためにはどの程度の重炭酸塩濃度が必要かを評価した。評価では、重炭酸塩添加部3に充填する重炭酸塩タブレット7の数を調整して、被処理水30中の鉄濃度1mg/Lあたりの重炭酸ナトリウム濃度を1.72mg/L、3.45mg/L、6.90mg/L、10.3mg/Lの4種類に変化させた。その結果として、水処理装置Cの各重炭酸ナトリウム添加濃度において評価した通水量ごとの除鉄率を図13に示し、そのうちの通水量が15Lの場合(15L通水)及び30Lの場合(30L通水)における除鉄率を図14に示す。
図13及び図14に示すように、30L通水時の除鉄率において、添加する重炭酸ナトリウム濃度が3.45mg/L以上で90%以上の高い除鉄率が得られた。一般家庭で使用される水処理装置としては90%以上の除鉄率を得ることが求められているため、重炭酸ナトリウム濃度が3.45mg/L以上であることが好ましいことが分かる。さらに、それ以上の重炭酸ナトリウム濃度である6.90mg/L及び10.3mg/Lでは、被処理水30を15L通水する場合であっても、いずれも99.7%と非常に高い除鉄率が得られた。しがたって、99%以上の非常に高い除鉄率を得たい場合には、被処理水30中の重炭酸ナトリウム濃度を鉄濃度1mg/Lあたり6.90mg/L以上にすることが好ましい。
しかしながら、被処理水30を30L通水した場合には、6.90mg/Lの重炭酸ナトリウム濃度で98.4%の除鉄率であるのに対し、10.3mg/Lの重炭酸ナトリウム濃度では91.7%の除鉄率となった。10.3mg/Lの重炭酸ナトリウム濃度において、15L通水時よりも低下したのは、おそらく10.3mg/Lの重炭酸ナトリウム濃度では、マンガン担持砂の上で起こる化学吸着によって塊が大きく成長しすぎたため、30L通水した時に通水によって受ける力が大きくなり、通水層4aの下流側に漏れ出たと推測する。したがって、被処理水30中の鉄濃度1mg/Lあたり重炭酸ナトリウム濃度を6.90mg/L前後とすることが更に好ましい。
次に、実施対象である水処理装置Dを用いて、被処理水30中の水溶性シリカ濃度が除鉄率に与える影響を評価した。評価では、被処理水30として、イオン交換水に対して水ガラス[NaO・SiO]の水溶液を添加して、水溶性シリカ濃度を10mg/L、20mg/L、30mg/L、40mg/L、60mg/Lの5種類に調整して、塩酸で中和した後に、塩化第一鉄四水和物とカオリンを加えたものを用いた。こうした被処理水30を用いて通水量ごとの除鉄率を調査した結果を図15に示す。ここで、水ガラスは、水に加えると加水分解して水溶性シリカと水酸化ナトリウムを生成するため、塩酸を加えて中和し、被処理水30の最終的なpHが6.50前後となるように調整している。
図15に示すように、被処理水30を30L通水しても、水溶性シリカ濃度が20mg/Lまでは90%以上の除鉄率を維持しているが、水溶性シリカ濃度が30mg/Lになると81.9%となり、水溶性シリカ濃度が40mg/Lでは74.5%、60mg/Lでは62.1%となった。このことから、被処理水30に重炭酸塩を添加する方法では、水溶性シリカ濃度が20mg/Lよりも大きい場合には、90%を超える高い除鉄率を得ることが難しいことがわかる。つまり、水溶性シリカ濃度が20mg/Lを超える場合には、実施の形態3に係る水処理装置1bにおいて示したように、従来の水処理装置のように酸化剤を添加する方法によって水処理(浄化)する必要があると推察される。
以上、本実施の形態1〜3に係る水処理装置(水処理装置1、水処理装置1a、水処理装置1b)によれば、以下の効果を享受することができる。
(1)水処理装置1では、鉄成分を含む被処理水30に重炭酸塩を添加する重炭酸塩添加部3と、重炭酸塩添加部3の下流側に設けられ、Fe、Fe、Fe(OH)、FeOOH、及びMnOのうち少なくとも一種の化合物10を担持した粒子状担持体9を充填した通水層4とを備えて構成した。こうした構成によれば、重炭酸塩添加部3を流通することで、被処理水30中に含まれる2価の鉄イオン[Fe2+]が重炭酸塩と反応して水酸化第一鉄[Fe(OH)]になる。その後、通水層4を流通することで、水酸化第一鉄は、粒子状担持体9に担持された化合物10に化学的に吸着し、被処理水30中の酸素によって酸化されてオキシ水酸化鉄[FeOOH]の形で固定化される。さらに、固定化されたオキシ水酸化鉄の上で被処理水30中の水酸化第一鉄の化学吸着反応が連続して起こるため、高い除鉄性能が得られる。一方、被処理水30中に含まれる濁質粒子は、水酸化第一鉄が粒子状担持体9に吸着する際に巻き込まれる形で吸着するため、高い除濁性能が得られる。つまり、被処理水30に対する除鉄性能及び除濁性能を向上させることが可能な水処理装置1とすることができる。
(2)上述した水処理装置1に対して被処理水30を通水することで、30L通水時の除鉄率を、従来の水処理装置での除鉄率74.3%と比べ、90%以上(もしくは98%以上)にまで容易に向上させることができる。
(3)水処理装置1aでは、通水層4aは、凝集層13と、凝集層13の下流側に配置された濾過層14とを有して構成した。そして、凝集層13には、表面にFe、Fe、Fe(OH)、FeOOH、及びMnOのうち少なくとも一種の化合物10aを担持した粒子状の多孔質担持体15を充填した。また、濾過層14には、表面にMnOを担持して構成され、多孔質担持体15よりも小さな粒子径を有する無機粒子16を充填した。このようにすることで、化合物10aを担持した凝集層13と濾過層14とを機能分離して被処理水30を通水させることができるので、被処理水30に対して高い除鉄性能及び除濁性能を維持しながら、圧力損失を低減することができる。
(4)水処理装置1及び水処理装置1aでは、重炭酸塩添加部3は、被処理水30が含有する鉄成分濃度1mg/Lに対して炭酸水素ナトリウム換算で3.45mg/L以上の濃度となるように、被処理水30に重炭酸塩を添加するようにした。これにより、被処理水30に含まれる鉄成分に対して化学反応を確実に生じさせることが可能な重炭酸塩が添加されるので、被処理水30に対する除鉄性能をさらに向上させることができる。
(5)水処理装置1bは、被処理水30に酸化剤を添加する酸化剤添加部19と、重炭酸塩添加部3及び酸化剤添加部19の上流側に設けられ、被処理水30に含まれる水溶性シリカの濃度を検出する濃度検出部17と、重炭酸塩添加部3を流通した被処理水30を通水層4に通水させる第一状態と、酸化剤添加部19を流通した被処理水30を通水層4に通水させる第二状態とを切り替える流路切替部18とを備えるように構成した。そして、流路切替部18では、濃度検出部17で検出した水溶性シリカの濃度情報に基づいて、第一状態と第二状態とを切り替えるようにした。これにより、被処理水30に含まれる水溶性シリカの濃度情報に基づいて、重炭酸塩添加部3を流通した被処理水30を通水層4に通水させる第一状態と、酸化剤添加部19を流通した被処理水30を通水層4に通水させる第二状態とが切り替えられるので、条件の異なる水質の被処理水30に対しても一定上の高い除鉄性能及び除濁性能を得ることが可能となる。
(6)上述した水処理装置1bでは、流路切替部18は、水溶性シリカの濃度が二酸化ケイ素換算で20mg/L以下である場合に第一状態に切り替え、水溶性シリカの濃度が二酸化ケイ素換算で20mg/Lを超える場合に第二状態に切り替えるようにした。上述したように、被処理水30中に含まれる水溶性シリカの濃度が高い場合、被処理水30が酸素に触れると鉄成分と水溶性シリカが結合して微粒子が形成され、通水層4での化学吸着による鉄成分の捕集作用を阻害する。つまり、水溶性シリカ濃度が20mg/Lを超える場合には、高い除鉄性能が得られないばかりか、重炭酸塩を添加することでかえって除鉄性能を低下させることが懸念される。このため、水溶性シリカの濃度が二酸化ケイ素換算で20mg/L以下である場合には、流路切替部18を第一状態に切り替えて、重炭酸塩の添加によって除鉄率及び除濁率を向上させる一方、水溶性シリカの濃度が二酸化ケイ素換算で20mg/Lを超える場合には、流路切替部18を第二状態に切り替えて、酸化剤の添加によって従来と同じ水準の除鉄率及び除濁率を確保するようにした。これにより、条件の異なる水質の被処理水30に対しても一定上の高い除鉄性能及び除濁性能を得ることが可能となる。
以上、本発明に関して実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本実施の形態3に係る水処理装置1bでは、通水層として、実施の形態1に係る水処理装置1と同じ通水層4を用いたが、これに限られない。例えば、通水層として、実施の形態2に係る水処理装置1aと同じ通水層4aを用いてもよい。このようにすることで、上記した効果(3)を享受することができる。
また、本実施の形態3に係る水処理装置1bでは、制御部(図示せず)が、濃度検出部17からの水溶性シリカに関する濃度情報に基づいて、流路切替部18の切り替え動作を自動的に行うように制御したが、これに限られない。例えば、濃度検出部17からの水溶性シリカに関する濃度情報を表示部等に表示させ、表示された濃度情報に基づいてマニュアルで流路切替部18を切り替えるようにしてもよい。これにより、装置構成を簡略化することができる。
本開示に係る水処理装置は、従来の酸化剤添加方法よりも非常に高い除鉄率を得ることができる。そのため水浴び及び洗濯用水などの生活用水として活用する際に鉄成分及び濁質成分を含む井戸水を浄化する水処理装置として有用である。
1 水処理装置
1a 水処理装置
1b 水処理装置
2 ポンプ
3 重炭酸塩添加部
4 通水層
4a 通水層
5 接続管
6 出水管
7 重炭酸塩タブレット
8 充填筒
9 粒子状担持体
10 化合物
10a 化合物
10b 化合物
11 砂利
12 通水メッシュ
13 凝集層
14 濾過層
15 多孔質担持体
16 無機粒子
17 濃度検出部
18 流路切替部
19 酸化剤添加部
20 酸化剤タブレット
21 重炭酸塩添加流路
22 酸化剤添加流路
23 仕切板
30 被処理水
30a 通過前水
30b 通過後水
31 生活用水
101 水処理装置
102 ポンプ
103 酸化剤添加手段
104 通水層
105 凝集層
106 濾過層
107 酸化剤タブレット
130 被処理水
131 生活用水
A 水処理装置
B 水処理装置
C 水処理装置
D 水処理装置

Claims (5)

  1. 鉄成分を含む被処理水に重炭酸塩を添加する第一添加部と、
    前記第一添加部の下流側に設けられ、Fe、Fe、Fe(OH)、FeOOH、及びMnOのうち少なくとも一種の化合物を担持した担持体を充填した通水層と、
    を備えることを特徴とした水処理装置。
  2. 前記通水層は、凝集層と、前記凝集層の下流側に配置された濾過層と、を有して構成され、
    前記凝集層には、表面にFe、Fe、Fe(OH)、FeOOH、及びMnOのうち少なくとも一種の化合物を担持した粒子状の多孔質担持体が充填されており、
    前記濾過層には、表面にMnOを担持して構成され、前記多孔質担持体よりも小さな粒子径を有する無機粒子が充填されている、
    ことを特徴とした請求項1に記載の水処理装置。
  3. 前記第一添加部は、前記被処理水が含有する鉄成分濃度1mg/Lに対して炭酸水素ナトリウム換算で3.45mg/L以上の濃度となるように、前記被処理水に前記重炭酸塩を添加することを特徴とした請求項1または2に記載の水処理装置。
  4. 前記被処理水に酸化剤を添加する第二添加部と、
    前記第一添加部及び前記第二添加部の上流側に設けられ、前記被処理水に含まれる水溶性シリカの濃度を検出する濃度検出部と、
    前記第一添加部を流通した前記被処理水を前記通水層に通水させる第一状態と、前記第二添加部を流通した前記被処理水を前記通水層に通水させる第二状態とを切り替える切替部と、
    をさらに備え、
    前記切替部は、前記濃度検出部で検出した前記水溶性シリカの濃度情報に基づいて前記第一状態と前記第二状態とを切り替えることを特徴とした請求項1〜3のいずれか一項に記載の水処理装置。
  5. 前記切替部は、前記水溶性シリカの濃度が二酸化ケイ素換算で20mg/L以下である場合に前記第一状態に切り替え、前記水溶性シリカの濃度が二酸化ケイ素換算で20mg/Lを超える場合に前記第二状態に切り替えることを特徴とした請求項4に記載の水処理装置。
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