JP2021169796A - ルーツポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】シール部材の耐久性の向上を図ること。【解決手段】ルーツポンプ10は、ギア室24の室内と吸入配管48の内部とを繋ぐ放出通路50を備えている。放出通路50には、ギア室24から吸入配管48の内部への一方向の流れのみを許容する弁体51が設けられている。ギア室24の室内の圧力が上昇して吸入配管48の内部の圧力よりも高くなって互いの差圧が所定の圧力に達すると、弁体51がギア室24から吸入配管48の内部への一方向の流れを許容し、ギア室24の室内の水素ガスが放出通路50を介して吸入配管48の内部に放出される。これにより、ギア室24の室内の圧力が、放出通路50を介して吸入配管48の内部に抜かれ、ギア室24の室内の圧力の上昇が抑えられる。その結果、ギア室24の室内の圧力によって第2シール部材33及び第3シール部材38が駆動軸16又は従動軸17に対して過剰に押し付けられてしまうことが回避され易くなる。【選択図】図1
Description
本発明は、ルーツポンプに関する。
例えば特許文献1に開示されているように、ルーツポンプは、駆動軸に固定された駆動ギア、及び駆動軸に平行に配置された従動軸に固定されて駆動ギアと噛合して回転する従動ギアを有するギアを備えている。また、ルーツポンプは、駆動ギアによって回転される駆動ロータ、及び従動ギアによって回転する従動ロータを有するロータを備えている。さらに、ルーツポンプは、ギアを収容するとともにギアに供給されるオイルが封入されたギア室、並びに、ロータを収容して吸入圧領域と吐出圧領域とを区画するロータ室を有するハウジングを備えている。また、ルーツポンプは、ギア室とロータ室とをシールするシール部材を備えている。
ところで、ルーツポンプの運転中、ロータ室内に吸入された流体が、例えば、シール部材に対する駆動軸とハウジングとの間の隙間や、シール部材に対する従動軸とハウジングとの間の隙間を通過してギア室に侵入する場合がある。すると、ギア室内の圧力が徐々に上昇していき、ギア室内の圧力が吸入圧領域の圧力を超える。その結果、ギア室内の過剰な圧力によって、シール部材が駆動軸又は従動軸に対して過剰に押し付けられ、駆動軸及び従動軸の回転によって、シール部材が摩耗するため、耐久性が悪化してしまう。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、シール部材の耐久性の向上を図ることができるルーツポンプを提供することにある。
上記課題を解決するルーツポンプは、駆動軸に固定された駆動ギア、及び前記駆動軸に平行に配置された従動軸に固定されて前記駆動ギアと噛合して回転する従動ギアを有するギアと、前記駆動ギアによって回転される駆動ロータ、及び前記従動ギアによって回転する従動ロータを有するロータと、前記ギアを収容するとともに前記ギアに供給されるオイルが封入されたギア室、並びに、前記ロータを収容して吸入圧領域と吐出圧領域とを区画するロータ室を有するハウジングと、前記ギア室と前記ロータ室とをシールするシール部材と、を備えるルーツポンプであって、前記ハウジングには、前記ギア室の室内と前記吸入圧領域とを繋ぐ放出通路が設けられており、前記放出通路には、前記ギア室から前記吸入圧領域への一方向の流れのみを許容する弁体が設けられている。
これによれば、ギア室の室内の圧力が上昇して吸入圧領域の空間の圧力よりも高くなって互いの差圧が所定の圧力に達すると、弁体がギア室から吸入圧領域への一方向の流れを許容し、ギア室内の流体が放出通路を介して吸入圧領域の空間に放出される。これにより、ギア室内の圧力を、放出通路を介して吸入圧領域の空間に抜くことができ、ギア室内の圧力の上昇を抑えることができる。その結果、ギア室内の圧力によってシール部材が駆動軸又は従動軸に対して過剰に押し付けられることが回避され易くなり、シール部材の耐久性の向上を図ることができる。
上記ルーツポンプにおいて、前記放出通路は、前記ギア室の室内に対して重力方向における上側の方向に連通しているとよい。
これによれば、例えば、放出通路がギア室の室内に対して重力方向における下側の方向に連通している場合に比べると、ギア室内に封入されているオイルが放出通路に流出され難く、ギア室内に封入されるオイルの量が少なくなってしまうことを抑制することができる。
これによれば、例えば、放出通路がギア室の室内に対して重力方向における下側の方向に連通している場合に比べると、ギア室内に封入されているオイルが放出通路に流出され難く、ギア室内に封入されるオイルの量が少なくなってしまうことを抑制することができる。
上記ルーツポンプにおいて、前記ハウジングは、前記ロータ室の室内に流体を吸入する吸入口及び前記ロータ室内の流体を吐出する吐出口を有し、前記吸入口は前記ロータ室に対して重力方向上側に配置されるとともに、前記吐出口は前記ロータ室に対して重力方向下側に配置されているとよい。
これによれば、例えば、吸入口がロータ室に対して重力方向下側に配置されるとともに、吐出口がロータ室に対して重力方向上側に配置されている場合に比べると、ギア室の室内に対して重力方向における上側の方向に連通している放出通路を、吸入圧領域に接続し易くすることができる。
上記ルーツポンプにおいて、前記弁体は、前記ギア室の圧力が上昇して前記吸入圧領域の圧力よりも高くなって互いの差圧が所定の圧力に達すると開弁する逆止弁であるとよい。
これによれば、ギア室の圧力が上昇して吸入圧領域の圧力よりも高くなって互いの差圧が所定の圧力に達するまでは、逆止弁が閉弁しているため、吸入圧領域の圧力がギア室の圧力よりも高いときに、吸入圧領域から放出通路を介してギア室に流体が流れ込むことが回避され、ギア室内の圧力が上昇してしまうことを抑制することができる。
上記ルーツポンプにおいて、前記放出通路には、気体の通過を許容し、液体の通過を遮断する換気膜が設けられているとよい。これによれば、ギア室内から放出通路を介して吸入圧領域に放出される流体と共に異物やオイルが吸入圧領域の空間に侵入してしまうことを換気膜によって抑制することができる。
上記ルーツポンプにおいて、前記放出通路は、前記吸入口に接続される吸入配管の途中に接続されているとよい。吸入口に接続される吸入配管は、放出通路が接続される吸入圧領域として好適である。
この発明によれば、シール部材の耐久性の向上を図ることができる。
以下、ルーツポンプを具体化した一実施形態を図1〜図3にしたがって説明する。本実施形態のルーツポンプは、燃料電池車に搭載されている。燃料電池車には、酸素及び水素を供給して発電させる燃料電池システムが搭載されている。そして、ルーツポンプは、燃料電池から排出される流体としての水素ガス(水素オフガス)を循環させて再び燃料電池に供給する燃料電池車用の水素ポンプとして用いられている。
図1に示すように、ルーツポンプ10のハウジング11は、モータハウジング12、ギアハウジング13、ロータハウジング14、及びカバー部材15を有する筒状である。モータハウジング12は、板状の底壁12aと、底壁12aの外周部から筒状に延びる周壁12bと、を有する有底筒状である。ギアハウジング13は、板状の底壁13aと、底壁13aの外周部から筒状に延びる周壁13bと、を有する有底筒状である。
ギアハウジング13は、ギアハウジング13の底壁13aの外面13cとモータハウジング12の周壁12bの開口端面12cとが突き合わされた状態で、モータハウジング12の周壁12bの開口側の端部に連結されている。ギアハウジング13の底壁13aは、モータハウジング12の周壁12bの開口を閉塞している。モータハウジング12の周壁12bの軸心方向とギアハウジング13の周壁13bの軸心方向とはそれぞれ一致している。
ロータハウジング14は、板状の底壁14aと、底壁14aの外周部から筒状に延びる周壁14bと、を有する有底筒状である。ロータハウジング14は、ロータハウジング14の底壁14aの外面14cとギアハウジング13の周壁13bの開口端面13dとが突き合わされた状態で、ギアハウジング13の周壁13bの開口側の端部に連結されている。ロータハウジング14の底壁14aは、ギアハウジング13の周壁13bの開口を閉塞している。ギアハウジング13の周壁13bの軸心方向とロータハウジング14の周壁14bの軸心方向とはそれぞれ一致している。
カバー部材15は、板状である。カバー部材15は、カバー部材15の一端面15aとロータハウジング14の周壁14bの開口端面14dとが突き合わされた状態で、ロータハウジング14の周壁14bの開口側の端部に連結されている。カバー部材15は、ロータハウジング14の周壁14bの開口を閉塞している。
ルーツポンプ10は、ハウジング11に互いに平行に配置された状態で回転可能に支持される駆動軸16及び従動軸17を備えている。よって、従動軸17は、駆動軸16に平行に配置されている。駆動軸16及び従動軸17の回転軸線方向は、各周壁12b,13b,14bの軸心方向に一致している。また、ルーツポンプ10は、駆動軸16に固定された円板状の駆動ギア18、及び従動軸17に固定された円板状の従動ギア19を有するギアG1を備えている。従動ギア19は、駆動ギア18と噛合して回転する。ルーツポンプ10は、駆動ギア18によって回転される駆動ロータ20、及び従動ギア19によって回転する従動ロータ21を有するロータRTを備えている。駆動ロータ20は、駆動軸16に設けられている。従動ロータ21は、従動軸17に設けられている。従動ロータ21は、駆動ロータ20とともに回転する。
ルーツポンプ10は、駆動軸16を回転させる電動モータ22を備えている。したがって、電動モータ22は、駆動軸16を回転させるために駆動する駆動源である。電動モータ22は、ハウジング11内に形成されたモータ室23に収容されている。モータ室23は、モータハウジング12の底壁12a、モータハウジング12の周壁12b、及びギアハウジング13の底壁13aによって区画されている。モータ室23はハウジング11に形成された図示しない圧抜き孔を介して大気と連通してもよい。電動モータ22は、駆動軸16に一体回転可能に止着された円筒状のモータロータ22aと、モータハウジング12の周壁12bの内周面に固定されるとともにモータロータ22aを取り囲む円筒状のステータ22bと、を有している。モータロータ22aは図示しないネオジムの磁石を有している。ステータ22bは、図示しないティースに巻回されたコイル22cを有している。そして、電動モータ22は、コイル22cに電力が供給されることにより駆動して、モータロータ22aが駆動軸16と一体的に回転する。
ハウジング11内には、駆動ギア18及び従動ギア19を収容するギア室24が形成されている。よって、ギア室24は、ギアG1を収容する。ギア室24は、ギアハウジング13の底壁13a、ギアハウジング13の周壁13b、及びロータハウジング14の底壁14aによって区画されている。駆動ギア18及び従動ギア19は、互いに噛合した状態でギア室24に収容されている。ギア室24には、ギアG1に供給されるオイルが封入されている。オイルは、駆動ギア18及び従動ギア19の潤滑及び温度上昇の抑制に寄与する。駆動ギア18及び従動ギア19は、オイルに浸されながら回転することにより、焼き付いたり磨耗したりすることなく高速回転が可能になっている。
ハウジング11内には、駆動ロータ20及び従動ロータ21を収容するロータ室25が形成されている。よって、ロータ室25は、ロータRTを収容する。ハウジング11は、ギア室24、並びにロータ室25を有している。ロータ室25は、ロータハウジング14の底壁14a、ロータハウジング14の周壁14b、及びカバー部材15によって区画されている。本実施形態において、モータ室23、ギア室24、及びロータ室25は、駆動軸16の回転軸線方向においてこの順に並んで配置されている。
ギアハウジング13の底壁13aの内底面13eは、駆動軸16の回転軸線方向でギア室24におけるモータ室23側に位置する壁面を形成している。ギアハウジング13の底壁13aは、駆動軸16の回転軸線方向でギア室24とモータ室23とを隔てている。
ロータハウジング14の底壁14aの外面14cは、駆動軸16の回転軸線方向でギア室24におけるロータ室25側に位置する壁面を形成している。ロータハウジング14の底壁14aは、駆動軸16の回転軸線方向でギア室24とロータ室25とを隔てている。カバー部材15は、駆動軸16の回転軸線方向でロータ室25と外部とを隔てている。
駆動軸16は、ギアハウジング13の底壁13a及びロータハウジング14の底壁14aを貫通している。したがって、ギアハウジング13の底壁13aには、ギア室24外に設けられる駆動源である電動モータ22に連結されるために駆動軸16が貫通している。従動軸17は、ロータハウジング14の底壁14aを貫通している。したがって、ロータハウジング14の底壁14aには、駆動軸16及び従動軸17が貫通している。
ギアハウジング13の底壁13aの内底面13eには、駆動軸16を回転可能に支持する第1軸受26を収容する円孔状の第1軸受収容凹部27が形成されている。駆動軸16は、第1軸受収容凹部27を貫通している。また、第1軸受収容凹部27の底面27aには、駆動軸16が貫通する円孔状の第1シール収容凹部29が形成されている。第1シール収容凹部29は、第1軸受収容凹部27に連通している。
第1シール収容凹部29内には、環状の第1シール部材28が収容されている。したがって、第1シール部材28は、ギアハウジング13の底壁13aに設けられている。第1シール部材28は、例えば、ゴムからなる。第1シール部材28は、駆動軸16が貫通するとともに駆動軸16とギアハウジング13の底壁13aとの間をシールする。第1シール部材28は、ギア室24とモータ室23との間をシールする。また、駆動軸16の回転軸線方向における第1軸受26と第1軸受収容凹部27の底面27aとの間には、環状の第1スペーサ30が配置されている。
ロータハウジング14の底壁14aの外面14cには、駆動軸16を回転可能に支持する第2軸受31を収容する円孔状の第2軸受収容凹部32が形成されている。駆動軸16は、第2軸受収容凹部32を貫通している。また、第2軸受収容凹部32の底面32aには、駆動軸16が貫通する円孔状の第2シール収容凹部34が形成されている。第2シール収容凹部34は、第2軸受収容凹部32に連通している。
第2シール収容凹部34内には、環状の第2シール部材33が収容されている。したがって、第2シール部材33は、ロータハウジング14の底壁14aに設けられている。第2シール部材33は、例えば、テフロン(登録商標)からなる。第2シール部材33は、駆動軸16が貫通するとともに駆動軸16とロータハウジング14の底壁14aとの間をシールする。第2シール部材33は、ギア室24とロータ室25とをシールするシール部材である。また、駆動軸16の回転軸線方向における第2軸受31と第2軸受収容凹部32の底面32aとの間には、環状の第2スペーサ35が配置されている。
ロータハウジング14の底壁14aの外面14cには、従動軸17を回転可能に支持する第3軸受36を収容する円孔状の第3軸受収容凹部37が形成されている。従動軸17は、第3軸受収容凹部37を貫通している。また、第3軸受収容凹部37の底面37aには、従動軸17が貫通する円孔状の第3シール収容凹部39が形成されている。第3シール収容凹部39は、第3軸受収容凹部37に連通している。
第3シール収容凹部39内には、環状の第3シール部材38が収容されている。したがって、第3シール部材38は、ロータハウジング14の底壁14aに設けられている。第3シール部材38は、例えば、テフロン(登録商標)からなる。第3シール部材38は、従動軸17が貫通するとともに従動軸17とロータハウジング14の底壁14aとの間をシールする。第3シール部材38は、ギア室24とロータ室25とをシールするシール部材である。また、従動軸17の回転軸線方向における第3軸受36と第3軸受収容凹部37の底面37aとの間には、環状の第3スペーサ40が配置されている。
ギアハウジング13の底壁13aの内底面13eには、従動軸17の一端部を回転可能に支持する第4軸受41を収容する円孔状の第4軸受収容凹部42が形成されている。従動軸17の一端部は、第4軸受収容凹部42内に配置され、第4軸受41に回転可能に支持されている。従動軸17の他端部は、第3軸受収容凹部37及び第3シール収容凹部39を貫通してロータ室25に突出している。従動軸17の他端部には従動ロータ21が取り付けられており、従動軸17の他端部は自由端になっている。よって、従動軸17は、ハウジング11に片持ち支持されている。
モータハウジング12の底壁12aの内底面12eには、駆動軸16の一端部を回転可能に支持する第5軸受43を収容する円筒状の軸受部44が形成されている。駆動軸16の一端部は、軸受部44の内側に配置され、第5軸受43に回転可能に支持されている。駆動軸16の他端部は、第1シール収容凹部29、第1軸受収容凹部27、ギア室24、第2軸受収容凹部32、及び第2シール収容凹部34を貫通してロータ室25に突出している。駆動軸16の他端部には駆動ロータ20が取り付けられており、駆動軸16の他端部は自由端になっている。よって、駆動軸16は、ハウジング11に片持ち支持されている。
図2に示すように、駆動ロータ20及び従動ロータ21は、駆動軸16及び従動軸17の回転軸線方向に直交する断面視が二葉状(瓢箪状)に形成されている。駆動ロータ20は、二条の山歯20aと、両山歯20aの間に形成された谷歯20bと、を有している。従動ロータ21は、二条の山歯21aと、両山歯21aの間に形成された谷歯21bと、を有している。
そして、駆動ロータ20及び従動ロータ21は、駆動ロータ20の山歯20aが従動ロータ21の谷歯21bに入り込んだ後に、駆動ロータ20の谷歯20bに従動ロータ21の山歯21aが入り込むことを繰り返しながらロータ室25内を回転可能になっている。駆動ロータ20は、図2に示す矢印R1の方向に回転し、従動ロータ21は、図2に示す矢印R2の方向へ回転する。
ロータハウジング14は、ロータ室25内に水素ガスを吸入する吸入口45と、ロータ室25内の水素ガスを吐出する吐出口46と、を有している。吸入口45及び吐出口46は、ロータハウジング14の周壁14bの外周面におけるロータ室25を挟んで対向する位置にそれぞれ形成されている。吸入口45及び吐出口46は、ロータ室25と外部とを連通する。
吸入口45と吐出口46とを結ぶ直線方向Z1は、駆動軸16及び従動軸17の回転軸線r1,r2のそれぞれに対して垂直に交差する。本実施形態のルーツポンプ10は、吸入口45が重力方向における上向きに開口し、吐出口46が重力方向における下向きに開口するように燃料電池自動車に搭載されている。したがって、吸入口45は、ロータ室25に対して重力方向上側に配置されるとともに、吐出口46は、ロータ室25に対して重力方向下側に配置されている。図2における直線方向Z1は重力方向に一致している。
吸入口45の周囲には、筒状の吸入用継手部45aが突設されている。吸入用継手部45aの内側は吸入口45に連通している。吸入用継手部45aには、吸入配管48が接続されている。そして、吸入配管48が吸入用継手部45aに接続されることにより、吸入配管48が吸入口45に接続され、吸入配管48から吸入される水素ガスが、吸入口45に吸入される。水素ガスは、吸入口45を介してロータ室25に吸入される。吸入配管48の内部、吸入用継手部45aの内部、及び吸入口45の内部は、吸入圧領域の空間である。したがって、ロータ室25には、吸入圧領域からの水素ガスが吸入される。
吐出口46の周囲には、筒状の吐出用継手部46aが突設されている。吐出用継手部46aの内側は吐出口46に連通している。吐出用継手部46aには、吐出配管49が接続されている。そして、吐出配管49が吐出用継手部46aに接続されることにより、吐出配管49が吐出口46に接続され、ロータ室25から吐出口46に吐出された水素ガスが吐出配管49に吐出される。吐出口46、吐出用継手部46aの内部、及び吐出配管49の内部は、吐出圧領域の空間である。したがって、ロータ室25は、吸入圧領域と吐出圧領域とを区画している。
図3に示すように、ルーツポンプ10は、放出通路50を備えている。放出通路50は、ギア室24の室内と吸入圧領域である吸入配管48の内部とを繋ぐ。放出通路50の一端は、ギア室24の室内に連通している。放出通路50の他端は、吸入配管48の途中に接続されており、吸入配管48の内部に連通している。放出通路50の一端は、ギア室24の室内に対して重力方向における上側の方向に連通している。具体的には、放出通路50の一端は、ギア室24の内周面を形成するギアハウジング13の周壁13bの内周面の重力方向における上側の方向に開口している。放出通路50は、その一部分がギアハウジング13の周壁13bを貫通する貫通通路50aであり、その他の部分が貫通通路50aと吸入配管48とを接続する配管50bにより構成されている。したがって、ギアハウジング13には、放出通路50の一部分が設けられている。
放出通路50には、弁体51が設けられている。弁体51は、ギア室24から吸入配管48の内部への一方向の流れのみを許容する。弁体51は、ギア室24の圧力が上昇して吸入配管48の内部の圧力よりも高くなって互いの差圧が所定の圧力に達すると開弁する逆止弁である。つまり、この場合の「所定の圧力」とは、ギア室24の圧力が上昇して吸入配管48の圧力よりも高くなって互いの差圧によって弁体51を開弁することが可能な圧力に達したときの圧力値である。
また、放出通路50には、換気膜52が設けられている。換気膜52は、気体の通過を許容し、液体の通過を遮断するように構成されている。換気膜52は、放出通路50における弁体51よりも吸入配管48側に配置されている。
次に、本実施形態の作用について説明する。
電動モータ22の駆動によって駆動軸16が回転すると、互いに噛合された駆動ギア18及び従動ギア19のギア連結を介して従動軸17が駆動軸16に対して逆回転する。これにより、駆動ロータ20及び従動ロータ21が互いに逆回転し、ルーツポンプ10は、駆動ロータ20及び従動ロータ21の回転によって、吸入口45を介したロータ室25への水素ガスの吸入、及び吐出口46を介したロータ室25からの水素ガスの吐出を行う。
電動モータ22の駆動によって駆動軸16が回転すると、互いに噛合された駆動ギア18及び従動ギア19のギア連結を介して従動軸17が駆動軸16に対して逆回転する。これにより、駆動ロータ20及び従動ロータ21が互いに逆回転し、ルーツポンプ10は、駆動ロータ20及び従動ロータ21の回転によって、吸入口45を介したロータ室25への水素ガスの吸入、及び吐出口46を介したロータ室25からの水素ガスの吐出を行う。
ところで、ロータ室25内に吸入された水素ガスが、第2シール部材33及び第3シール部材38を通過してギア室24に侵入する場合がある。例えば、ルーツポンプ10の運転初期段階において、吸入配管48の内部の圧力の方がギア室24の室内の圧力よりも大きいため、ロータ室25内に吸入された水素ガスが、第2シール部材33及び第3シール部材38を通過してギア室24に侵入する。すると、ギア室24の室内の圧力が徐々に上昇していく。ここで、弁体51は、ギア室24の室内の圧力が上昇して吸入配管48の内部の圧力よりも高くなって互いの差圧が所定の圧力に達するまでは閉弁している。これにより、吸入配管48の内部の圧力がギア室24の室内の圧力よりも高いときに、吸入配管48の内部から放出通路50を介してギア室24の室内に水素ガスが流れ込むことが回避されている。
そして、ギア室24の内部の圧力が上昇して吸入配管48の内部の圧力よりも高くなって互いの差圧が所定の圧力に達すると、弁体51が開弁して、弁体51がギア室24から吸入配管48の内部への一方向の流れを許容し、ギア室24の室内の水素ガスが放出通路50を介して吸入配管48の内部に放出される。このとき、ギア室24の室内から放出通路50を介して吸入配管48の内部に放出される水素ガスと共に異物や液体のオイルやオイルミストが吸入配管48の内部に侵入してしまうことが換気膜52によって抑制されている。そして、ギア室24の室内の圧力が、放出通路50を介して吸入配管48の内部に抜かれることにより、ギア室24の室内の圧力の上昇が抑えられる。
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)ルーツポンプ10は、ギア室24の室内と吸入配管48の内部とを繋ぐ放出通路50を備えている。放出通路50には、ギア室24から吸入配管48の内部への一方向の流れのみを許容する弁体51が設けられている。これによれば、ギア室24の室内の圧力が上昇して吸入配管48の内部の圧力よりも高くなって互いの差圧が所定の圧力に達すると、弁体51がギア室24から吸入配管48の内部への一方向の流れを許容し、ギア室24の室内の水素ガスが放出通路50を介して吸入配管48の内部に放出される。これにより、ギア室24の室内の圧力を、放出通路50を介して吸入配管48の内部に抜くことができ、ギア室24の室内の圧力の上昇を抑えることができる。その結果、ギア室24の室内の圧力によって第2シール部材33及び第3シール部材38が駆動軸16又は従動軸17に対して過剰に押し付けられてしまうことが回避され易くなり、第2シール部材33及び第3シール部材38の耐久性の向上を図ることができる。
(1)ルーツポンプ10は、ギア室24の室内と吸入配管48の内部とを繋ぐ放出通路50を備えている。放出通路50には、ギア室24から吸入配管48の内部への一方向の流れのみを許容する弁体51が設けられている。これによれば、ギア室24の室内の圧力が上昇して吸入配管48の内部の圧力よりも高くなって互いの差圧が所定の圧力に達すると、弁体51がギア室24から吸入配管48の内部への一方向の流れを許容し、ギア室24の室内の水素ガスが放出通路50を介して吸入配管48の内部に放出される。これにより、ギア室24の室内の圧力を、放出通路50を介して吸入配管48の内部に抜くことができ、ギア室24の室内の圧力の上昇を抑えることができる。その結果、ギア室24の室内の圧力によって第2シール部材33及び第3シール部材38が駆動軸16又は従動軸17に対して過剰に押し付けられてしまうことが回避され易くなり、第2シール部材33及び第3シール部材38の耐久性の向上を図ることができる。
(2)放出通路50は、ギア室24の室内に対して重力方向における上側の方向に連通している。これによれば、例えば、放出通路50がギア室24の室内に対して重力方向における下側の方向に連通している場合に比べると、ギア室24の室内に封入されているオイルが放出通路50に流出され難く、ギア室24の室内に封入されるオイルの量が少なくなってしまうことを抑制することができる。
(3)吸入口45は、ロータ室25に対して重力方向上側に配置されるとともに、吐出口46は、ロータ室25に対して重力方向下側に配置されている。これによれば、例えば、吸入口45が、ロータ室25に対して重力方向下側に配置されるとともに、吐出口46が、ロータ室25に対して重力方向上側に配置されている場合に比べると、ギア室24の室内に対して重力方向における上側の方向に連通している放出通路50を、吸入配管48に接続し易くすることができる。
(4)弁体51は、ギア室24の室内の圧力が上昇して吸入配管48の内部の圧力よりも高くなって互いの差圧が所定の圧力に達すると開弁する逆止弁である。これによれば、ギア室24の室内の圧力が上昇して吸入配管48の内部の圧力よりも高くなって互いの差圧が所定の圧力に達するまでは、弁体51が閉弁している。このため、吸入配管48の内部の圧力がギア室24の室内の圧力よりも高いときに、吸入配管48の内部から放出通路50を介してギア室24の室内に水素ガスが流れ込むことが回避され、ギア室24の室内の圧力が上昇してしまうことを抑制することができる。
(5)放出通路50には、気体の通過を許容し、液体の通過を遮断する換気膜52が設けられている。これによれば、ギア室24の室内から放出通路50を介して吸入配管48の内部に放出される水素ガスと共に異物や液体のオイルやオイルミストが吸入配管48の内部に侵入してしまうことを換気膜52によって抑制することができる。
(6)放出通路50は、吸入口45に接続される吸入配管48の途中に接続されている。吸入口45に接続される吸入配管48は、放出通路50が接続される吸入圧領域として好適である。また、例えば、放出通路50を吸入用継手部45aに接続する場合に比べると、放出通路50の通路長を長く確保し易くすることができる。その結果、例えば、放出通路50を流れる水素ガスにギア室24内に存在するオイルミストが含まれていたとしても、オイルミストが放出通路50を通過して換気膜52に達してしまうことを抑制することができる。その結果、オイルミストによって換気膜52が目詰まりしてしまうことを抑制することができる。
(7)例えば、ルーツポンプ10の駆動が停止しているような、吸入配管48の内部の圧力が低い条件であっても、ギア室24の室内の圧力が上昇して吸入配管48の内部の圧力よりも高くなって互いの差圧が所定の圧力に達すれば、ギア室24の室内の水素ガスが放出通路50を介して吸入配管48の内部に放出される。したがって、吸入配管48の内部の圧力が低い条件であっても、ギア室24の室内の圧力の上昇を抑えることができる。
(8)吸入口45がロータ室25に対して重力方向上側に配置されるとともに、吐出口46がロータ室25に対して重力方向下側に配置されているため、例えば、ロータ室25内に水が存在している場合であっても、ロータ室25内の水が自重によって吐出口46を介して外部へ排出され易い。したがって、例えば、ロータ室25内の水が凍結して氷となって、駆動ロータ20及び従動ロータ21が氷を介してロータハウジング14の周壁14bの内周面に固着してしまい、駆動ロータ20及び従動ロータ21がスムーズに回転しなくなってしまうことを抑制することができる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○ 実施形態において、換気膜52が、放出通路50における弁体51よりもギア室24側に配置されていてもよい。
○ 実施形態において、放出通路50に換気膜52が設けられていなくてもよい。
○ 実施形態において、放出通路50に換気膜52が設けられていなくてもよい。
○ 実施形態において、例えば、放出通路50がギア室24の室内に対して重力方向における下側の方向に連通していてもよい。
○ 実施形態において、吸入口45が、ロータ室25に対して重力方向下側に配置されるとともに、吐出口46が、ロータ室25に対して重力方向上側に配置されていてもよい。
○ 実施形態において、吸入口45が、ロータ室25に対して重力方向下側に配置されるとともに、吐出口46が、ロータ室25に対して重力方向上側に配置されていてもよい。
○ 実施形態において、放出通路50が、例えば、吸入用継手部45aの内部に接続されていてもよい。この場合、例えば、放出通路50が、ギアハウジング13及びロータハウジング14を貫通するようにハウジング11に設けられていてもよい。要は、放出通路50は、ギア室24の室内と吸入圧領域とを繋ぐものであればよく、放出通路50が繋がれる吸入圧領域は特に限定されるものではない。また、放出通路50は、ギア室24の室内と吸入圧領域とを繋ぐものであれば、その具体的な構成は特に限定されるものではない。
○ 実施形態において、放出通路50が、例えば、蛇行するように延びている構成であってもよい。これによれば、例えば、放出通路50を流れる水素ガスにギア室24内に存在するオイルミストが含まれていたとしても、オイルミストが放出通路50を通過して換気膜52に達してしまうことが抑制され易くなる。その結果、オイルミストによって換気膜52が目詰まりしてしまうことを抑制し易くすることができる。
○ 実施形態において、第1シール部材28の耐圧力を第2シール部材33の耐圧力及び第3シール部材38の耐圧力よりも高くしてもよい。この場合、ギア室24の室内の圧力が上昇してもギア室24内の水素ガスが放出通路50を介して吸入配管48に放出されるため、ギア室24からモータ室23に流体の水素が洩れて、モータロータ22aのネオジム磁石と水素とが化学反応することをより抑制できる。
○ 実施形態において、駆動ロータ20及び従動ロータ21は、駆動軸16及び従動軸17の回転軸線方向に直交する断面視が、例えば、三葉状であったり、四葉状であったりしてもよい。
○ 実施形態において、駆動ロータ20及び従動ロータ21が、例えば、ヘリカル形状であってもよい。
○ 実施形態において、例えば、エンジンを駆動源とするルーツポンプ10であってもよい。この場合、駆動軸16は、ギア室24外に設けられる駆動源であるエンジンに連結されるためにギアハウジング13の底壁13aを貫通している。
○ 実施形態において、例えば、エンジンを駆動源とするルーツポンプ10であってもよい。この場合、駆動軸16は、ギア室24外に設けられる駆動源であるエンジンに連結されるためにギアハウジング13の底壁13aを貫通している。
○ 実施形態において、ルーツポンプ10は、燃料電池に水素ガスを供給する燃料電池用水素ポンプでなくてもよく、その他の用途で用いられるものであってもよい。要は、ロータ室25に吸入される流体は水素ガスに限らない。
G1…ギア、RT…ロータ、10…ルーツポンプ、11…ハウジング、16…駆動軸、17…従動軸、18…駆動ギア、19…従動ギア、20…駆動ロータ、21…従動ロータ、24…ギア室、25…ロータ室、33…シール部材である第2シール部材,38…シール部材である第3シール部材、45…吸入口、46…吐出口、48…吸入圧領域である吸入配管、50…放出通路、51…弁体、52…換気膜。
Claims (6)
- 駆動軸に固定された駆動ギア、及び前記駆動軸に平行に配置された従動軸に固定されて前記駆動ギアと噛合して回転する従動ギアを有するギアと、
前記駆動ギアによって回転される駆動ロータ、及び前記従動ギアによって回転する従動ロータを有するロータと、
前記ギアを収容するとともに前記ギアに供給されるオイルが封入されたギア室、並びに、前記ロータを収容して吸入圧領域と吐出圧領域とを区画するロータ室を有するハウジングと、
前記ギア室と前記ロータ室とをシールするシール部材と、を備えるルーツポンプであって、
前記ハウジングには、前記ギア室の室内と前記吸入圧領域とを繋ぐ放出通路が設けられており、
前記放出通路には、前記ギア室から前記吸入圧領域への一方向の流れのみを許容する弁体が設けられていることを特徴とするルーツポンプ。 - 前記放出通路は、前記ギア室の室内に対して重力方向における上側の方向に連通していることを特徴とする請求項1に記載のルーツポンプ。
- 前記ハウジングは、前記ロータ室の室内に流体を吸入する吸入口及び前記ロータ室内の流体を吐出する吐出口を有し、
前記吸入口は前記ロータ室に対して重力方向上側に配置されるとともに、前記吐出口は前記ロータ室に対して重力方向下側に配置されていることを特徴とする請求項2に記載のルーツポンプ。 - 前記弁体は、前記ギア室の圧力が上昇して前記吸入圧領域の圧力よりも高くなって互いの差圧が所定の圧力に達すると開弁する逆止弁であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のルーツポンプ。
- 前記放出通路には、気体の通過を許容し、液体の通過を遮断する換気膜が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のルーツポンプ。
- 前記放出通路は、前記吸入口に接続される吸入配管の途中に接続されていることを特徴とする請求項3に記載のルーツポンプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020073484A JP2021169796A (ja) | 2020-04-16 | 2020-04-16 | ルーツポンプ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2020073484A JP2021169796A (ja) | 2020-04-16 | 2020-04-16 | ルーツポンプ |
Publications (1)
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JP2021169796A true JP2021169796A (ja) | 2021-10-28 |
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JP2020073484A Pending JP2021169796A (ja) | 2020-04-16 | 2020-04-16 | ルーツポンプ |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN115773243A (zh) * | 2022-12-08 | 2023-03-10 | 西安交通大学 | 一种应用于燃料电池汽车系统的罗茨氢泵 |
-
2020
- 2020-04-16 JP JP2020073484A patent/JP2021169796A/ja active Pending
Cited By (2)
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CN115773243A (zh) * | 2022-12-08 | 2023-03-10 | 西安交通大学 | 一种应用于燃料电池汽车系统的罗茨氢泵 |
CN115773243B (zh) * | 2022-12-08 | 2023-10-24 | 西安交通大学 | 一种应用于燃料电池汽车系统的罗茨氢泵 |
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