以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
まず、レーザ加工装置の基本的な構成、作用、効果及び変形例について説明する。
[レーザ加工装置の構成]
図1に示されるように、レーザ加工装置1は、複数の移動機構5,6と、支持部7と、1対のレーザ加工ヘッド(第1レーザ加工ヘッド、第2レーザ加工ヘッド)10A,10Bと、光源ユニット8と、制御部9と、を備えている。以下、第1方向をX方向、第1方向に垂直な第2方向をY方向、第1方向及び第2方向に垂直な第3方向をZ方向という。本実施形態では、X方向及びY方向は水平方向であり、Z方向は鉛直方向である。
移動機構5は、固定部51と、移動部53と、取付部55と、を有している。固定部51は、装置フレーム1aに取り付けられている。移動部53は、固定部51に設けられたレールに取り付けられており、Y方向に沿って移動することができる。取付部55は、移動部53に設けられたレールに取り付けられており、X方向に沿って移動することができる。
移動機構6は、固定部61と、1対の移動部(第1移動部、第2移動部)63,64と、1対の取付部(第1取付部、第2取付部)65,66と、を有している。固定部61は、装置フレーム1aに取り付けられている。1対の移動部63,64のそれぞれは、固定部61に設けられたレールに取り付けられており、それぞれが独立して、Y方向に沿って移動することができる。取付部65は、移動部63に設けられたレールに取り付けられており、Z方向に沿って移動することができる。取付部66は、移動部64に設けられたレールに取り付けられており、Z方向に沿って移動することができる。つまり、装置フレーム1aに対しては、1対の取付部65,66のそれぞれが、Y方向及びZ方向のそれぞれに沿って移動することができる。移動部63,64のそれぞれは、第1及び第2水平移動機構(水平移動機構)をそれぞれ構成する。取付部65,66のそれぞれは、第1及び第2鉛直移動機構(鉛直移動機構)をそれぞれ構成する。
支持部7は、移動機構5の取付部55に設けられた回転軸に取り付けられており、Z方向に平行な軸線を中心線として回転することができる。つまり、支持部7は、X方向及びY方向のそれぞれに沿って移動することができ、Z方向に平行な軸線を中心線として回転することができる。支持部7は、対象物100を支持する。対象物100は、例えば、ウェハである。
図1及び図2に示されるように、レーザ加工ヘッド10Aは、移動機構6の取付部65に取り付けられている。レーザ加工ヘッド10Aは、Z方向において支持部7と対向した状態で、支持部7に支持された対象物100にレーザ光L1(「第1レーザ光L1」とも称する)を照射する。レーザ加工ヘッド10Bは、移動機構6の取付部66に取り付けられている。レーザ加工ヘッド10Bは、Z方向において支持部7と対向した状態で、支持部7に支持された対象物100にレーザ光L2(「第2レーザ光L2」とも称する)を照射する。レーザ加工ヘッド10A,10Bは、照射部を構成する。
光源ユニット8は、1対の光源81,82を有している。光源81は、レーザ光L1を出力する。レーザ光L1は、光源81の出射部81aから出射され、光ファイバ2によってレーザ加工ヘッド10Aに導光される。光源82は、レーザ光L2を出力する。レーザ光L2は、光源82の出射部82aから出射され、別の光ファイバ2によってレーザ加工ヘッド10Bに導光される。
制御部9は、レーザ加工装置1の各部(支持部7、複数の移動機構5,6、1対のレーザ加工ヘッド10A,10B、及び光源ユニット8等)を制御する。制御部9は、プロセッサ、メモリ、ストレージ及び通信デバイス等を含むコンピュータ装置として構成されている。制御部9では、メモリ等に読み込まれたソフトウェア(プログラム)が、プロセッサによって実行され、メモリ及びストレージにおけるデータの読み出し及び書き込み、並びに、通信デバイスによる通信が、プロセッサによって制御される。これにより、制御部9は、各種機能を実現する。
以上のように構成されたレーザ加工装置1による加工の一例について説明する。当該加工の一例は、ウェハである対象物100を複数のチップに切断するために、格子状に設定された複数のラインに沿って対象物100の内部に改質領域を形成する例である。
まず、対象物100を支持している支持部7がZ方向において1対のレーザ加工ヘッド10A,10Bと対向するように、移動機構5が、X方向及びY方向のそれぞれに沿って支持部7を移動させる。続いて、対象物100において一方向に延在する複数のラインがX方向に沿うように、移動機構5が、Z方向に平行な軸線を中心線として支持部7を回転させる。
続いて、一方向に延在する一のライン上にレーザ光L1の集光点(集光領域の一部)が位置するように、移動機構6が、Y方向に沿ってレーザ加工ヘッド10Aを移動させる。その一方で、一方向に延在する他のライン上にレーザ光L2の集光点が位置するように、移動機構6が、Y方向に沿ってレーザ加工ヘッド10Bを移動させる。続いて、対象物100の内部にレーザ光L1の集光点が位置するように、移動機構6が、Z方向に沿ってレーザ加工ヘッド10Aを移動させる。その一方で、対象物100の内部にレーザ光L2の集光点が位置するように、移動機構6が、Z方向に沿ってレーザ加工ヘッド10Bを移動させる。
続いて、光源81がレーザ光L1を出力してレーザ加工ヘッド10Aが対象物100にレーザ光L1を照射すると共に、光源82がレーザ光L2を出力してレーザ加工ヘッド10Bが対象物100にレーザ光L2を照射する。それと同時に、一方向に延在する一のラインに沿ってレーザ光L1の集光点が相対的に移動し且つ一方向に延在する他のラインに沿ってレーザ光L2の集光点が相対的に移動するように、移動機構5が、X方向に沿って支持部7を移動させる。このようにして、レーザ加工装置1は、対象物100において一方向に延在する複数のラインのそれぞれに沿って、対象物100の内部に改質領域を形成する。
続いて、対象物100において一方向と直交する他方向に延在する複数のラインがX方向に沿うように、移動機構5が、Z方向に平行な軸線を中心線として支持部7を回転させる。
続いて、他方向に延在する一のライン上にレーザ光L1の集光点が位置するように、移動機構6が、Y方向に沿ってレーザ加工ヘッド10Aを移動させる。その一方で、他方向に延在する他のライン上にレーザ光L2の集光点が位置するように、移動機構6が、Y方向に沿ってレーザ加工ヘッド10Bを移動させる。続いて、対象物100の内部にレーザ光L1の集光点が位置するように、移動機構6が、Z方向に沿ってレーザ加工ヘッド10Aを移動させる。その一方で、対象物100の内部にレーザ光L2の集光点が位置するように、移動機構6が、Z方向に沿ってレーザ加工ヘッド10Bを移動させる。
続いて、光源81がレーザ光L1を出力してレーザ加工ヘッド10Aが対象物100にレーザ光L1を照射すると共に、光源82がレーザ光L2を出力してレーザ加工ヘッド10Bが対象物100にレーザ光L2を照射する。それと同時に、他方向に延在する一のラインに沿ってレーザ光L1の集光点が相対的に移動し且つ他方向に延在する他のラインに沿ってレーザ光L2の集光点が相対的に移動するように、移動機構5が、X方向に沿って支持部7を移動させる。このようにして、レーザ加工装置1は、対象物100において一方向と直交する他方向に延在する複数のラインのそれぞれに沿って、対象物100の内部に改質領域を形成する。
なお、上述した加工の一例では、光源81は、例えばパルス発振方式によって、対象物100に対して透過性を有するレーザ光L1を出力し、光源82は、例えばパルス発振方式によって、対象物100に対して透過性を有するレーザ光L2を出力する。そのようなレーザ光が対象物100の内部に集光されると、レーザ光の集光点に対応する部分においてレーザ光が特に吸収され、対象物100の内部に改質領域が形成される。改質領域は、密度、屈折率、機械的強度、その他の物理的特性が周囲の非改質領域とは異なる領域である。改質領域としては、例えば、溶融処理領域、クラック領域、絶縁破壊領域、屈折率変化領域等がある。
パルス発振方式によって出力されたレーザ光が対象物100に照射され、対象物100に設定されたラインに沿ってレーザ光の集光点が相対的に移動させられると、複数の改質スポットがラインに沿って1列に並ぶように形成される。1つの改質スポットは、1パルスのレーザ光の照射によって形成される。1列の改質領域は、1列に並んだ複数の改質スポットの集合である。隣り合う改質スポットは、対象物100に対するレーザ光の集光点の相対的な移動速度及びレーザ光の繰り返し周波数によって、互いに繋がる場合も、互いに離れる場合もある。設定されるラインの形状は、格子状に限定されず、環状、直線状、曲線状及びこれらの少なくとも何れかを組合せた形状であってもよい。
[レーザ加工ヘッドの構成]
図3及び図4に示されるように、レーザ加工ヘッド10Aは、筐体11と、入射部12と、調整部13と、集光部14と、を備えている。
筐体11は、第1壁部21及び第2壁部22、第3壁部23及び第4壁部24、並びに、第5壁部25及び第6壁部26を有している。第1壁部21及び第2壁部22は、X方向において互いに対向している。第3壁部23及び第4壁部24は、Y方向において互いに対向している。第5壁部25及び第6壁部26は、Z方向において互いに対向している。
第3壁部23と第4壁部24との距離は、第1壁部21と第2壁部22との距離よりも小さい。第1壁部21と第2壁部22との距離は、第5壁部25と第6壁部26との距離よりも小さい。なお、第1壁部21と第2壁部22との距離は、第5壁部25と第6壁部26との距離と等しくてもよいし、或いは、第5壁部25と第6壁部26との距離よりも大きくてもよい。
レーザ加工ヘッド10Aでは、第1壁部21は、移動機構6の固定部61側に位置しており、第2壁部22は、固定部61とは反対側に位置している。第3壁部23は、移動機構6の取付部65側に位置しており、第4壁部24は、取付部65とは反対側であってレーザ加工ヘッド10B側に位置している(図2参照)。第5壁部25は、支持部7とは反対側に位置しており、第6壁部26は、支持部7側に位置している。
筐体11は、第3壁部23が移動機構6の取付部65側に配置された状態で筐体11が取付部65に取り付けられるように、構成されている。具体的には、次のとおりである。取付部65は、ベースプレート65aと、取付プレート65bと、を有している。ベースプレート65aは、移動部63に設けられたレールに取り付けられている(図2参照)。取付プレート65bは、ベースプレート65aにおけるレーザ加工ヘッド10B側の端部に立設されている(図2参照)。筐体11は、第3壁部23が取付プレート65bに接触した状態で、台座27を介してボルト28が取付プレート65bに螺合されることで、取付部65に取り付けられている。台座27は、第1壁部21及び第2壁部22のそれぞれに設けられている。筐体11は、取付部65に対して着脱可能である。
入射部12は、第5壁部25に取り付けられている。入射部12は、筐体11内にレーザ光L1を入射させる。入射部12は、X方向においては第2壁部22側(一方の壁部側)に片寄っており、Y方向においては第4壁部24側に片寄っている。つまり、X方向における入射部12と第2壁部22との距離は、X方向における入射部12と第1壁部21との距離よりも小さく、Y方向における入射部12と第4壁部24との距離は、X方向における入射部12と第3壁部23との距離よりも小さい。
入射部12は、光ファイバ2の接続端部2aが接続可能となるように構成されている。光ファイバ2の接続端部2aには、ファイバの出射端から出射されたレーザ光L1をコリメートするコリメータレンズが設けられており、戻り光を抑制するアイソレータが設けられていない。当該アイソレータは、接続端部2aよりも光源81側であるファイバの途中に設けられている。これにより、接続端部2aの小型化、延いては、入射部12の小型化が図られている。なお、光ファイバ2の接続端部2aにアイソレータが設けられていてもよい。
調整部13は、筐体11内に配置されている。調整部13は、入射部12から入射したレーザ光L1を調整する。調整部13が有する各構成は、筐体11内に設けられた光学ベース29に取り付けられている。光学ベース29は、筐体11内の領域を第3壁部23側の領域と第4壁部24側の領域とに仕切るように、筐体11に取り付けられている。光学ベース29は、筐体11と一体となっている。調整部13が有する各構成は、第4壁部24側において光学ベース29に取り付けられている調整部13が有する各構成の詳細については後述する。
集光部14は、第6壁部26に配置されている。具体的には、集光部14は、第6壁部26に形成された孔26aに挿通された状態で、第6壁部26に配置されている。集光部14は、調整部13によって調整されたレーザ光L1を集光しつつ筐体11外に出射させる。集光部14は、X方向においては第2壁部22側(一方の壁部側)に片寄っており、Y方向においては第4壁部24側に片寄っている。つまり、X方向における集光部14と第2壁部22との距離は、X方向における集光部14と第1壁部21との距離よりも小さく、Y方向における集光部14と第4壁部24との距離は、X方向における集光部14と第3壁部23との距離よりも小さい。
図5に示されるように、調整部13は、アッテネータ31と、ビームエキスパンダ32と、ミラー33と、を有している。入射部12、並びに、調整部13のアッテネータ31、ビームエキスパンダ32及びミラー33は、Z方向に沿って延在する直線(第1直線)A1上に配置されている。アッテネータ31及びビームエキスパンダ32は、直線A1上において、入射部12とミラー33との間に配置されている。アッテネータ31は、入射部12から入射したレーザ光L1の出力を調整する。ビームエキスパンダ32は、アッテネータ31で出力が調整されたレーザ光L1の径を拡大する。ミラー33は、ビームエキスパンダ32で径が拡大されたレーザ光L1を反射する。
調整部13は、反射型空間光変調器34と、結像光学系35と、を更に有している。調整部13の反射型空間光変調器34及び結像光学系35、並びに、集光部14は、Z方向に沿って延在する直線(第2直線)A2上に配置されている。反射型空間光変調器34は、ミラー33で反射されたレーザ光L1を変調する。反射型空間光変調器34は、例えば、反射型液晶(LCOS:Liquid Crystal on Silicon)の空間光変調器(SLM:Spatial Light Modulator)である。結像光学系35は、反射型空間光変調器34の反射面34aと集光部14の入射瞳面14aとが結像関係にある両側テレセントリック光学系を構成している。結像光学系35は、3つ以上のレンズによって構成されている。
直線A1及び直線A2は、Y方向に垂直な平面上に位置している。直線A1は、直線A2に対して第2壁部22側(一方の壁部側)に位置している。レーザ加工ヘッド10Aでは、レーザ光L1は、入射部12から筐体11内に入射して直線A1上を進行し、ミラー33及び反射型空間光変調器34で順次に反射された後、直線A2上を進行して集光部14から筐体11外に出射する。なお、アッテネータ31及びビームエキスパンダ32の配列の順序は、逆であってもよい。また、アッテネータ31は、ミラー33と反射型空間光変調器34との間に配置されていてもよい。また、調整部13は、他の光学部品(例えば、ビームエキスパンダ32の前に配置されるステアリングミラー等)を有していてもよい。
レーザ加工ヘッド10Aは、ダイクロイックミラー15と、測定部16と、観察部17と、駆動部18と、回路部19と、を更に備えている。
ダイクロイックミラー15は、直線A2上において、結像光学系35と集光部14との間に配置されている。つまり、ダイクロイックミラー15は、筐体11内において、調整部13と集光部14との間に配置されている。ダイクロイックミラー15は、第4壁部24側において光学ベース29に取り付けられている。ダイクロイックミラー15は、レーザ光L1を透過させる。ダイクロイックミラー15は、非点収差を抑制する観点では、例えば、キューブ型、又は、ねじれの関係を有するように配置された2枚のプレート型が好ましい。
測定部16は、筐体11内において、調整部13に対して第1壁部21側(一方の壁部側とは反対側)に配置されている。測定部16は、第4壁部24側において光学ベース29に取り付けられている。測定部16は、対象物100の表面(例えば、レーザ光L1が入射する側の表面)と集光部14との距離を測定するための測定光L10を出力し、集光部14を介して、対象物100の表面で反射された測定光L10を検出する。つまり、測定部16から出力された測定光L10は、集光部14を介して対象物100の表面に照射され、対象物100の表面で反射された測定光L10は、集光部14を介して測定部16で検出される。
より具体的には、測定部16から出力された測定光L10は、第4壁部24側において光学ベース29に取り付けられたビームスプリッタ20及びダイクロイックミラー15で順次に反射され、集光部14から筐体11外に出射する。対象物100の表面で反射された測定光L10は、集光部14から筐体11内に入射してダイクロイックミラー15及びビームスプリッタ20で順次に反射され、測定部16に入射し、測定部16で検出される。
観察部17は、筐体11内において、調整部13に対して第1壁部21側(一方の壁部側とは反対側)に配置されている。観察部17は、第4壁部24側において光学ベース29に取り付けられている。観察部17は、対象物100の表面(例えば、レーザ光L1が入射する側の表面)を観察するための観察光L20を出力し、集光部14を介して、対象物100の表面で反射された観察光L20を検出する。つまり、観察部17から出力された観察光L20は、集光部14を介して対象物100の表面に照射され、対象物100の表面で反射された観察光L20は、集光部14を介して観察部17で検出される。
より具体的には、観察部17から出力された観察光L20は、ビームスプリッタ20を透過してダイクロイックミラー15で反射され、集光部14から筐体11外に出射する。対象物100の表面で反射された観察光L20は、集光部14から筐体11内に入射してダイクロイックミラー15で反射され、ビームスプリッタ20を透過して観察部17に入射し、観察部17で検出される。なお、レーザ光L1、測定光L10及び観察光L20のそれぞれの波長は、互いに異なっている(少なくともそれぞれの中心波長が互いにずれている)。
駆動部18は、第4壁部24側において光学ベース29に取り付けられている。筐体11の第6壁部26に取り付けられている。駆動部18は、例えば圧電素子の駆動力によって、第6壁部26に配置された集光部14をZ方向に沿って移動させる。
回路部19は、筐体11内において、光学ベース29に対して第3壁部23側に配置されている。つまり、回路部19は、筐体11内において、調整部13、測定部16及び観察部17に対して第3壁部23側に配置されている。回路部19は、例えば、複数の回路基板である。回路部19は、測定部16から出力された信号、及び反射型空間光変調器34に入力する信号を処理する。回路部19は、測定部16から出力された信号に基づいて駆動部18を制御する。一例として、回路部19は、測定部16から出力された信号に基づいて、対象物100の表面と集光部14との距離が一定に維持されるように(すなわち、対象物100の表面とレーザ光L1の集光点との距離が一定に維持されるように)、駆動部18を制御する。なお、筐体11には、回路部19を制御部9(図1参照)等に電気的に接続するための配線が接続されるコネクタ(図示省略)が設けられている。
レーザ加工ヘッド10Bは、レーザ加工ヘッド10Aと同様に、筐体11と、入射部12と、調整部13と、集光部14と、ダイクロイックミラー15と、測定部16と、観察部17と、駆動部18と、回路部19と、を備えている。ただし、レーザ加工ヘッド10Bの各構成は、図2に示されるように、1対の取付部65,66間の中点を通り且つY方向に垂直な仮想平面に関して、レーザ加工ヘッド10Aの各構成と面対称の関係を有するように、配置されている。
例えば、レーザ加工ヘッド10Aの筐体(第1筐体)11は、第4壁部24が第3壁部23に対してレーザ加工ヘッド10B側に位置し且つ第6壁部26が第5壁部25に対して支持部7側に位置するように、取付部65に取り付けられている。これに対し、レーザ加工ヘッド10Bの筐体(第2筐体)11は、第4壁部24が第3壁部23に対してレーザ加工ヘッド10A側に位置し且つ第6壁部26が第5壁部25に対して支持部7側に位置するように、取付部66に取り付けられている。
レーザ加工ヘッド10Bの筐体11は、第3壁部23が取付部66側に配置された状態で筐体11が取付部66に取り付けられるように、構成されている。具体的には、次のとおりである。取付部66は、ベースプレート66aと、取付プレート66bと、を有している。ベースプレート66aは、移動部63に設けられたレールに取り付けられている。取付プレート66bは、ベースプレート66aにおけるレーザ加工ヘッド10A側の端部に立設されている。レーザ加工ヘッド10Bの筐体11は、第3壁部23が取付プレート66bに接触した状態で、取付部66に取り付けられている。レーザ加工ヘッド10Bの筐体11は、取付部66に対して着脱可能である。
[作用及び効果]
レーザ加工ヘッド10Aでは、レーザ光L1を出力する光源が筐体11内に設けられていないため、筐体11の小型化を図ることができる。更に、筐体11において、第3壁部23と第4壁部24との距離が第1壁部21と第2壁部22との距離よりも小さく、第6壁部26に配置された集光部14がY方向において第4壁部24側に片寄っている。これにより、集光部14の光軸に垂直な方向に沿って筐体11を移動させる場合に、例えば、第4壁部24側に他の構成(例えば、レーザ加工ヘッド10B)が存在したとしても、当該他の構成に集光部14を近付けることができる。よって、レーザ加工ヘッド10Aは、集光部14をその光軸に垂直な方向に沿って移動させるのに好適である。
また、レーザ加工ヘッド10Aでは、入射部12が、第5壁部25に設けられており、Y方向において第4壁部24側に片寄っている。これにより、筐体11内の領域のうち調整部13に対して第3壁部23側の領域に他の構成(例えば、回路部19)を配置する等、当該領域を有効に利用することができる。
また、レーザ加工ヘッド10Aでは、集光部14が、X方向において第2壁部22側に片寄っている。これにより、集光部14の光軸に垂直な方向に沿って筐体11を移動させる場合に、例えば、第2壁部22側に他の構成が存在したとしても、当該他の構成に集光部14を近付けることができる。
また、レーザ加工ヘッド10Aでは、入射部12が、第5壁部25に設けられており、X方向において第2壁部22側に片寄っている。これにより、筐体11内の領域のうち調整部13に対して第1壁部21側の領域に他の構成(例えば、測定部16及び観察部17)を配置する等、当該領域を有効に利用することができる。
また、レーザ加工ヘッド10Aでは、測定部16及び観察部17が、筐体11内の領域のうち調整部13に対して第1壁部21側の領域に配置されており、回路部19が、筐体11内の領域のうち調整部13に対して第3壁部23側に配置されており、ダイクロイックミラー15が、筐体11内において調整部13と集光部14との間に配置されている。これにより、筐体11内の領域を有効に利用することができる。更に、レーザ加工装置1において、対象物100の表面と集光部14との距離の測定結果に基づいた加工が可能となる。また、レーザ加工装置1において、対象物100の表面の観察結果に基づいた加工が可能となる。
また、レーザ加工ヘッド10Aでは、回路部19が、測定部16から出力された信号に基づいて駆動部18を制御する。これにより、対象物100の表面と集光部14との距離の測定結果に基づいてレーザ光L1の集光点の位置を調整することができる。
また、レーザ加工ヘッド10Aでは、入射部12、並びに、調整部13のアッテネータ31、ビームエキスパンダ32及びミラー33が、Z方向に沿って延在する直線A1上に配置されており、調整部13の反射型空間光変調器34、結像光学系35及び集光部14、並びに、集光部14が、Z方向に沿って延在する直線A2上に配置されている。これにより、アッテネータ31、ビームエキスパンダ32、反射型空間光変調器34及び結像光学系35を有する調整部13をコンパクトに構成することができる。
また、レーザ加工ヘッド10Aでは、直線A1が、直線A2に対して第2壁部22側に位置している。これにより、筐体11内の領域のうち調整部13に対して第1壁部21側の領域において、集光部14を用いた他の光学系(例えば、測定部16及び観察部17)を構成する場合に、当該他の光学系の構成の自由度を向上させることができる。
以上の作用及び効果は、レーザ加工ヘッド10Bによっても同様に奏される。
また、レーザ加工装置1では、レーザ加工ヘッド10Aの集光部14が、レーザ加工ヘッド10Aの筐体11においてレーザ加工ヘッド10B側に片寄っており、レーザ加工ヘッド10Bの集光部14が、レーザ加工ヘッド10Bの筐体11においてレーザ加工ヘッド10A側に片寄っている。これにより、1対のレーザ加工ヘッド10A,10BのそれぞれをY方向に沿って移動させる場合に、レーザ加工ヘッド10Aの集光部14とレーザ加工ヘッド10Bの集光部14とを互いに近付けることができる。よって、レーザ加工装置1によれば、対象物100を効率良く加工することができる。
また、レーザ加工装置1では、1対の取付部65,66のそれぞれが、Y方向及びZ方向のそれぞれに沿って移動する。これにより、対象物100をより効率良く加工することができる。
また、レーザ加工装置1では、支持部7が、X方向及びY方向のそれぞれに沿って移動し、Z方向に平行な軸線を中心線として回転する。これにより、対象物100をより効率良く加工することができる。
[変形例]
例えば、図6に示されるように、入射部12、調整部13及び集光部14は、Z方向に沿って延在する直線A上に配置されていてもよい。これによれば、調整部13をコンパクトに構成することができる。その場合、調整部13は、反射型空間光変調器34及び結像光学系35を有していなくてもよい。また、調整部13は、アッテネータ31及びビームエキスパンダ32を有していてもよい。これによれば、アッテネータ31及びビームエキスパンダ32を有する調整部13をコンパクトに構成することができる。なお、アッテネータ31及びビームエキスパンダ32の配列の順序は、逆であってもよい。
また、筐体11は、第1壁部21、第2壁部22、第3壁部23及び第5壁部25の少なくとも1つがレーザ加工装置1の取付部65(又は取付部66)側に配置された状態で筐体11が取付部65(又は取付部66)に取り付けられるように、構成されていればよい。また、集光部14は、少なくともY方向において第4壁部24側に片寄っていればよい。これらによれば、Y方向に沿って筐体11を移動させる場合に、例えば、第4壁部24側に他の構成が存在したとしても、当該他の構成に集光部14を近付けることができる。また、Z方向に沿って筐体11を移動させる場合に、例えば、対象物100に集光部14を近付けることができる。
また、集光部14は、X方向において第1壁部21側に片寄っていてもよい。これによれば、集光部14の光軸に垂直な方向に沿って筐体11を移動させる場合に、例えば、第1壁部21側に他の構成が存在したとしても、当該他の構成に集光部14を近付けることができる。その場合、入射部12は、X方向において第1壁部21側に片寄っていてもよい。これによれば、筐体11内の領域のうち調整部13に対して第2壁部22側の領域に他の構成(例えば、測定部16及び観察部17)を配置する等、当該領域を有効に利用することができる。
また、光源ユニット8の出射部81aからレーザ加工ヘッド10Aの入射部12へのレーザ光L1の導光、及び光源ユニット8の出射部82aからレーザ加工ヘッド10Bの入射部12へのレーザ光L2の導光の少なくとも1つは、ミラーによって実施されてもよい。図7は、レーザ光L1がミラーによって導光されるレーザ加工装置1の一部分の正面図である。図7に示される構成では、レーザ光L1を反射するミラー3が、Y方向において光源ユニット8の出射部81aと対向し且つZ方向においてレーザ加工ヘッド10Aの入射部12と対向するように、移動機構6の移動部63に取り付けられている。
図7に示される構成では、移動機構6の移動部63をY方向に沿って移動させても、Y方向においてミラー3が光源ユニット8の出射部81aと対向する状態が維持される。また、移動機構6の取付部65をZ方向に沿って移動させても、Z方向においてミラー3がレーザ加工ヘッド10Aの入射部12と対向する状態が維持される。したがって、レーザ加工ヘッド10Aの位置によらず、光源ユニット8の出射部81aから出射されたレーザ光L1を、レーザ加工ヘッド10Aの入射部12に確実に入射させることができる。しかも、光ファイバ2による導光が困難な高出力長短パルスレーザ等の光源を利用することもできる。
また、図7に示される構成では、ミラー3は、角度調整及び位置調整の少なくとも1つが可能となるように、移動機構6の移動部63に取り付けられていてもよい。これによれば、光源ユニット8の出射部81aから出射されたレーザ光L1を、レーザ加工ヘッド10Aの入射部12に、より確実に入射させることができる。
また、光源ユニット8は、1つの光源を有するものであってもよい。その場合、光源ユニット8は、1つの光源から出力されたレーザ光の一部を出射部81aから出射させ且つ当該レーザ光の残部を出射部82bから出射させるように、構成されていればよい。
また、レーザ加工装置1は、1つのレーザ加工ヘッド10Aを備えていてもよい。1つのレーザ加工ヘッド10Aを備えるレーザ加工装置1でも、集光部14の光軸に垂直なY方向に沿って筐体11を移動させる場合に、例えば、第4壁部24側に他の構成が存在したとしても、当該他の構成に集光部14を近付けることができる。よって、1つのレーザ加工ヘッド10Aを備えるレーザ加工装置1によっても、対象物100を効率良く加工することができる。また、1つのレーザ加工ヘッド10Aを備えるレーザ加工装置1において、取付部65がZ方向に沿って移動すれば、対象物100をより効率良く加工することができる。また、1つのレーザ加工ヘッド10Aを備えるレーザ加工装置1において、支持部7が、X方向に沿って移動し、Z方向に平行な軸線を中心線として回転すれば、対象物100をより効率良く加工することができる。
また、レーザ加工装置1は、3つ以上のレーザ加工ヘッドを備えていてもよい。図8は、2対のレーザ加工ヘッドを備えるレーザ加工装置1の斜視図である。図8に示されるレーザ加工装置1は、複数の移動機構200,300,400と、支持部7と、1対のレーザ加工ヘッド10A,10Bと、1対のレーザ加工ヘッド10C,10Dと、光源ユニット(図示省略)と、を備えている。
移動機構200は、X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれの方向に沿って支持部7を移動させ、Z方向に平行な軸線を中心線として支持部7を回転させる。
移動機構300は、固定部301と、1対の取付部(第1取付部、第2取付部)305,306と、を有している。固定部301は、装置フレーム(図示省略)に取り付けられている。1対の取付部305,306のそれぞれは、固定部301に設けられたレールに取り付けられており、それぞれが独立して、Y方向に沿って移動することができる。
移動機構400は、固定部401と、1対の取付部(第1取付部、第2取付部)405,406と、を有している。固定部401は、装置フレーム(図示省略)に取り付けられている。1対の取付部405,406のそれぞれは、固定部401に設けられたレールに取り付けられており、それぞれが独立して、X方向に沿って移動することができる。なお、固定部401のレールは、固定部301のレールと立体的に交差するように配置されている。
レーザ加工ヘッド10Aは、移動機構300の取付部305に取り付けられている。レーザ加工ヘッド10Aは、Z方向において支持部7と対向した状態で、支持部7に支持された対象物100にレーザ光を照射する。レーザ加工ヘッド10Aから出射されるレーザ光は、光源ユニット(図示省略)から光ファイバ2によって導光される。レーザ加工ヘッド10Bは、移動機構300の取付部306に取り付けられている。レーザ加工ヘッド10Bは、Z方向において支持部7と対向した状態で、支持部7に支持された対象物100にレーザ光を照射する。レーザ加工ヘッド10Bから出射されるレーザ光は、光源ユニット(図示省略)から光ファイバ2によって導光される。
レーザ加工ヘッド10Cは、移動機構400の取付部405に取り付けられている。レーザ加工ヘッド10Cは、Z方向において支持部7と対向した状態で、支持部7に支持された対象物100にレーザ光を照射する。レーザ加工ヘッド10Cから出射されるレーザ光は、光源ユニット(図示省略)から光ファイバ2によって導光される。レーザ加工ヘッド10Dは、移動機構400の取付部406に取り付けられている。レーザ加工ヘッド10Dは、Z方向において支持部7と対向した状態で、支持部7に支持された対象物100にレーザ光を照射する。レーザ加工ヘッド10Dから出射されるレーザ光は、光源ユニット(図示省略)から光ファイバ2によって導光される。
図8に示されるレーザ加工装置1における1対のレーザ加工ヘッド10A,10Bの構成は、図1に示されるレーザ加工装置1における1対のレーザ加工ヘッド10A,10Bの構成と同様である。図8に示されるレーザ加工装置1における1対のレーザ加工ヘッド10C,10Dの構成は、図1に示されるレーザ加工装置1における1対のレーザ加工ヘッド10A,10BをZ方向に平行な軸線を中心線として90°回転した場合の1対のレーザ加工ヘッド10A,10Bの構成と同様である。
例えば、レーザ加工ヘッド10Cの筐体(第1筐体)11は、第4壁部24が第3壁部23に対してレーザ加工ヘッド10D側に位置し且つ第6壁部26が第5壁部25に対して支持部7側に位置するように、取付部65に取り付けられている。レーザ加工ヘッド10Cの集光部14は、Y方向において第4壁部24側(すなわち、レーザ加工ヘッド10D側)に片寄っている。
レーザ加工ヘッド10Dの筐体(第2筐体)11は、第4壁部24が第3壁部23に対してレーザ加工ヘッド10C側に位置し且つ第6壁部26が第5壁部25に対して支持部7側に位置するように、取付部66に取り付けられている。レーザ加工ヘッド10Dの集光部14は、Y方向において第4壁部24側(すなわち、レーザ加工ヘッド10C側)に片寄っている。
以上により、図8に示されるレーザ加工装置1では、1対のレーザ加工ヘッド10A,10BのそれぞれをY方向に沿って移動させる場合に、レーザ加工ヘッド10Aの集光部14とレーザ加工ヘッド10Bの集光部14とを互いに近付けることができる。また、1対のレーザ加工ヘッド10C,10DのそれぞれをX方向に沿って移動させる場合に、レーザ加工ヘッド10Cの集光部14とレーザ加工ヘッド10Dの集光部14とを互いに近付けることができる。
また、レーザ加工ヘッド及びレーザ加工装置は、対象物100の内部に改質領域を形成するためのものに限定されず、他のレーザ加工を実施するためのものであってもよい。
次に、一実施形態を説明する。以下、上述した実施形態と重複する説明は省略する。
図9に示される実施形態に係るレーザ加工装置101は、対象物100に集光点(少なくとも集光領域の一部)を合わせて第1レーザ光を照射することにより、対象物100に改質領域を形成する。レーザ加工装置101は、対象物100にトリミング加工を施し、半導体デバイスを取得(製造)する。レーザ加工装置101は、対象物100の外縁の内側において環状に延在するラインM3に沿って、改質領域を形成する。レーザ加工装置101は、ステージ107、第1レーザ加工ヘッド10A、第1Z軸レール106A、Y軸レール108、アライメントカメラ110、並びに、制御部9を備える。
トリミング加工は、対象物100において不要部分を除去する加工である。トリミング加工は、対象物100に集光点を合わせて第1レーザ光を照射することにより、対象物100に改質領域4を形成するレーザ加工方法を含む。対象物100は、例えば円板状に形成された半導体ウェハを含む。対象物としては特に限定されず、種々の材料で形成されていてもよいし、種々の形状を呈していてもよい。対象物100の表面100aには、機能素子(不図示)が形成されている。機能素子は、例えば、フォトダイオード等の受光素子、レーザダイオード等の発光素子、メモリ等の回路素子等である。
図10(a)及び図10(b)に示されるように、対象物100には、有効領域R及び除去領域Eが設定されている。有効領域Rは、取得する半導体デバイスに対応する部分である。ここでの有効領域Rは、対象物100を厚さ方向から見て中央部分を含む円板状の部分である。除去領域Eは、対象物100における有効領域Rよりも外側の領域である。除去領域Eは、対象物100において有効領域R以外の外縁部分である。ここでの除去領域Eは、有効領域Rを囲う円環状の部分である。除去領域Eは、対象物100を厚さ方向から見て周縁部分(外縁のベベル部)を含む。有効領域R及び除去領域Eの設定は、制御部9において行うことができる。有効領域R及び除去領域Eは、座標指定されたものであってもよい。
ステージ107は、対象物100が載置される支持部である。ステージ107は、上記支持部7(図1参照)と同様に構成されている。本実施形態のステージ107には、対象物100の裏面100bをレーザ光入射面側である上側にした状態(表面100aをステージ107側である下側にした状態)で、対象物100が載置されている。ステージ107は、その中心に設けられた回転軸Cを有する。回転軸Cは、Z方向に沿って延びる軸である。ステージ107は、回転軸Cを中心に回転可能である。ステージ107は、モータ等の公知の駆動装置の駆動力により回転駆動される。
第1レーザ加工ヘッド10Aは、ステージ107に載置された対象物100に第1レーザ光L1をZ方向に沿って照射し、当該対象物100の内部に改質領域を形成する。第1レーザ加工ヘッド10Aは、第1Z軸レール106A及びY軸レール108に取り付けられている。第1レーザ加工ヘッド10Aは、モータ等の公知の駆動装置の駆動力により、第1Z軸レール106Aに沿ってZ方向に直線的に移動可能である。第1レーザ加工ヘッド10Aは、モータ等の公知の駆動装置の駆動力により、Y軸レール108に沿ってY方向に直線的に移動可能である。第1レーザ加工ヘッド10Aは、照射部を構成する。
第1レーザ加工ヘッド10Aは、上述したように、反射型空間光変調器34を備えている。反射型空間光変調器34は、第1レーザ光L1の光軸に垂直な面内における集光点の形状(以下、「ビーム形状」ともいう)を成形する成形部を構成する。反射型空間光変調器34は、ビーム形状が長手方向を有するように第1レーザ光L1を成形する。例えば反射型空間光変調器34は、ビーム形状を楕円形状とする変調パターンを液晶層に表示させることで、ビーム形状を楕円形状へ成形する。
ビーム形状は、楕円形状に限定されず、長尺形状であればよい。ビーム形状は、扁平円形状、長円形状又はトラック形状であってもよい。ビーム形状は、長尺な三角形形状、矩形形状又は多角形形状であってもよい。このようなビーム形状を実現する反射型空間光変調器34の変調パターンは、スリットパターン及び非点パターンの少なくとも何れかを含んでいてもよい。なお、第1レーザ光L1が非点収差等によって複数の集光点を有する場合、複数の集光点のうち、第1レーザ光L1の光路における最も上流側の集光点の形状が、本実施形態のビーム形状である(その他のレーザ光において同じ)。長手方向は、ビーム形状に係る楕円形状の長軸方向であり、楕円長軸方向とも称される。ビーム形状は、集光点の形状に限定されず、集光点付近の形状であってもよく、要は、集光領域(集光する領域)の一部の形状であればよい。
例えば、非点収差を有する第1レーザ光L1の場合、集光点付近におけるレーザ光入射面側の領域では、ビーム形状が長手方向を有する。このビーム形状の平面内(集光点付近におけるレーザ光入射面側のZ方向位置での平面内)のビーム強度分布では、長手方向に強い強度を持つ分布になっており、ビーム強度の強い方向が長手方向と一致している。非点収差を有する第1レーザ光L1の場合、集光点付近におけるレーザ光入射面の反対面側の領域では、ビーム形状が、レーザ光入射面側の領域の長手方向に対して垂直な長手方向を有する。このビーム形状の平面内(集光点付近におけるレーザ光入射面の反対面側のZ方向位置での平面内)のビーム強度分布では、長手方向に強い強度を持つ分布になっており、ビーム強度の強い方向が長手方向と一致している。非点収差を有する第1レーザ光L1の場合、集光点付近におけるレーザ光入射面側とその反対面側との間の領域では、ビーム形状が長手方向を有さずに円形となる。このような非点収差を有する第1レーザ光L1の場合において、本実施形態が対象とする集光領域の一部は、集光点付近におけるレーザ光入射面側の領域を含んでいてもよく、本実施形態が対象とするビーム形状は、集光点付近におけるレーザ光入射面側の領域のビーム形状であってもよい。
なお、反射型空間光変調器34の変調パターンを調整することによって、長手方向を有するビーム形状の位置を所望に制御してもよい。長手方向を有するビーム形状の位置は、特に限定されず、対象物100のレーザ光入射面からその反対面までの間の何れかの位置であればよい。
また例えば、変調パターンの制御及び/又は機械式機構によるスリット又は楕円光学系を用いた場合、集光点付近におけるレーザ光入射面側の領域では、ビーム形状が長手方向を有する。スリット又は楕円光学系を用いた場合、集光点付近におけるレーザ光入射面の反対面側の領域では、ビーム形状が、レーザ光入射面側の領域の長手方向と同じ長手方向を有する。スリット又は楕円光学系を用いた場合、集光点では、ビーム形状71が、レーザ光入射面側の領域の長手方向に対して垂直な長手方向を有する。このようなスリット又は楕円光学系を用いた場合において、本実施形態が対象とする集光領域の一部は、集光点付近におけるレーザ光入射面側及びその反対側の領域を含んでいてもよく、本実施形態が対象とするビーム形状は、集光点付近におけるレーザ光入射面側及びその反対側の領域のビーム形状であってもよい。
第1レーザ加工ヘッド10Aは、測距センサ36を備えている。測距センサ36は、対象物100のレーザ光入射面に対して測距用レーザ光を出射し、当該レーザ光入射面によって反射された測距用の光を検出することで、対象物100のレーザ光入射面の変位データを取得する。測距センサ36としては、第1レーザ光L1と別軸のセンサである場合、三角測距方式、レーザ共焦点方式、白色共焦点方式、分光干渉方式、非点収差方式等のセンサを利用することができる。測距センサ36としては、第1レーザ光L1と同軸のセンサである場合、非点収差方式等のセンサを利用することができる。第1レーザ加工ヘッド10Aの回路部19(図3参照)は、測距センサ36で取得した変位データに基づいて、集光部14がレーザ光入射面に追従するように駆動部18(図5参照)を駆動させる。これにより、対象物100のレーザ光入射面と第1レーザ光L1の集光点との距離が一定に維持されるように、当該変位データに基づき集光部14がZ方向に沿って移動する。このような測距センサ36及びその制御(以下、「追従制御」ともいう)については、他のレーザ加工ヘッドにおいても同様である。
第1Z軸レール106Aは、Z方向に沿って延びるレールである。第1Z軸レール106Aは、取付部65を介して第1レーザ加工ヘッド10Aに取り付けられている。第1Z軸レール106Aは、第1レーザ光L1の集光点がZ方向に沿って移動するように、第1レーザ加工ヘッド10AをZ方向に沿って移動させる。第1Z軸レール106Aは、上記移動機構6(図1参照)又は上記移動機構300(図8参照)のレールに対応する。
Y軸レール108は、Y方向に沿って延びるレールである。Y軸レール108は、第1及び第2Z軸レール106A,106Bのそれぞれに取り付けられている。Y軸レール108は、第1レーザ光L1の集光点がY方向に沿って移動するように、第1レーザ加工ヘッド10AをY方向に沿って移動させる。Y軸レール108は、集光点が回転軸C又はその付近を通過するように、第1レーザ加工ヘッド10Aを移動させる。Y軸レール108は、上記移動機構6(図1参照)又は上記移動機構300(図8参照)のレールに対応する。
アライメントカメラ110は、各種の調整に用いられる画像を取得するカメラである。アライメントカメラ110は、対象物100を撮像する。アライメントカメラ110は、第1レーザ加工ヘッド10Aが取り付けられた取付部65に設置されており、第1レーザ加工ヘッド10Aと同期して可動する。
制御部9は、プロセッサ、メモリ、ストレージ及び通信デバイス等を含むコンピュータ装置として構成されている。制御部9では、メモリ等に読み込まれたソフトウェア(プログラム)が、プロセッサによって実行され、メモリ及びストレージにおけるデータの読み出し及び書き込み、並びに、通信デバイスによる通信が、プロセッサによって制御される。これにより、制御部9は、各種機能を実現する。
制御部9は、ステージ107及び第1レーザ加工ヘッド10Aを制御する。制御部9は、ステージ107の回転、第1レーザ加工ヘッド10Aからの第1レーザ光L1の照射、ビーム形状、及び、集光点の移動を制御する。制御部9は、ステージ107の回転量に関する回転情報(以下、「θ情報」ともいう)に基づいて、各種の制御を実行可能である。θ情報は、ステージ107を回転させる駆動装置の駆動量から取得されてもよいし、別途のセンサ等により取得されてもよい。θ情報は、公知の種々の手法により取得することができる。ここでのθ情報は、対象物100が0°方向の位置に位置するときの状態を基準にした回転角度を含む。
制御部9は、ステージ107を回転させながら、対象物100におけるラインM3(有効領域Rの周縁)に沿った位置に集光点を位置させた状態で、θ情報に基づいて第1レーザ加工ヘッド10Aにおける第1レーザ光L1の照射の開始及び停止を制御することにより、有効領域Rの周縁に沿って改質領域を形成させる周縁処理を実行する。制御部9は、ステージ107を回転させずに、除去領域Eに第1レーザ光L1を照射させると共に、当該第1レーザ光L1の集光点を移動させることにより、除去領域Eに改質領域を形成させる除去処理を実行する。
制御部9は、改質領域に含まれる複数の改質スポットのピッチ(加工進行方向に隣接する改質スポットの間隔)が一定になるように、ステージ107の回転、第1レーザ加工ヘッド10Aからの第1レーザ光L1の照射、並びに、第1レーザ光L1の集光点の移動の少なくとも何れかを制御する。制御部9は、アライメントカメラ110の撮像画像から、対象物100の回転方向の基準位置(0°方向の位置)及び対象物100の直径を取得する。制御部9は、第1レーザ加工ヘッド10Aがステージ107の回転軸C上までY軸レール108に沿って移動できるように、第1レーザ加工ヘッド10Aの移動を制御する。
次に、レーザ加工装置101を用いて、対象物100にトリミング加工を施し、半導体デバイスを取得(製造)する方法の一例について、以下に説明する。
まず、裏面100bをレーザ光入射面側にした状態でステージ107上に対象物100を載置する。対象物100において機能素子が搭載された表面100a側は、支持基板、保持材ないしテープ材が接着されている。
続いて、制御部9により周縁処理を実行する。具体的には、図11(a)に示されるように、ステージ107を一定の回転速度で回転しながら、対象物100における有効領域Rの周縁に沿った位置に集光点P1を位置させた状態で、θ情報に基づいて第1レーザ加工ヘッド10Aにおける第1レーザ光L1の照射の開始及び停止を制御する。これにより、図11(b)及び11(c)に示されるように、ラインM3(有効領域Rの周縁)に沿って改質領域4を形成する。形成した改質領域4は、改質スポット及び改質スポットから延びる亀裂を含む。
続いて、制御部9により除去処理を実行する。具体的には、図12(a)に示されるように、ステージ107を回転させずに、除去領域Eにおいて第1レーザ光L1を照射すると共に、第1レーザ加工ヘッド10AをY軸レール108に沿って移動し、当該第1レーザ光L1の集光点P1をY方向に移動する。ステージ107を90°回転させた後、除去領域Eにおいて第1レーザ光L1を照射すると共に、第1レーザ加工ヘッド10AをY軸レール108に沿って移動し、当該第1レーザ光L1の集光点P1をY方向に移動する。これにより、図12(b)に示されるように、Z方向から見て除去領域Eに4等分するように延びるラインに沿って、改質領域4を形成する。形成した改質領域4は、改質スポット及び改質スポットから延びる亀裂を含む。この亀裂は、表面100a及び裏面100bの少なくとも何れかに到達していてもよいし、表面100a及び裏面100bの少なくとも何れかに到達していなくてもよい。
その後、図13(a)及び図13(b)に示されるように、例えば冶具又はエアーにより、改質領域4を境界として除去領域Eを取り除く。図13(c)に示されるように、対象物100の剥離面100hに対して仕上げの研削、ないし砥石等の研磨材KMによる研磨を行う。エッチングにより対象物100を剥離している場合、当該研磨を簡略化してもよい。以上の結果、半導体デバイス100Kが取得される。
次に、本実施形態のトリミング加工に関して、より詳細に説明する。
対象物100は、III−V属化合物半導体を含む。対象物100は、第1レーザ光L1が透過可能なIII−V属化合物半導体を含む。例えば対象物100は、ガリウム砒素(GaAs)を含む。図14に示されるように、対象物100は、例えば厚さが300μmの板状を呈し、その主面として表面100a及び裏面100bを有する。対象物100は、(100)面を主面とするウェハである。対象物100は、一方の(110)面に垂直な第1結晶方位K1と、他方の(110)面に垂直な第2結晶方位K2と、を有する。(110)面は、へき開面である。第1結晶方位K1及び第2結晶方位K2は、へき開方向、すなわち、対象物100において最も亀裂が延びやすい方向である。第1結晶方位K1と第2結晶方位K2とは、互いに直交する。対象物100は、ガリウム砒素に代えてもしくは加えて、リン化インジウム(InP)を含んでいてもよい。
対象物100には、アライメント対象100nが設けられている。例えばアライメント対象100nは、対象物100の0°方向の位置に対してθ方向(ステージ107の回転軸C回りの回転方向)に一定の関係を有する。0°方向の位置とは、θ方向において基準となる対象物100の位置である。例えばアライメント対象100nは、外縁部に形成されたノッチである。なお、アライメント対象100nは、特に限定されず、対象物100のオリエンテーションフラットであってもよいし、機能素子のパターンであってもよい。
対象物100には、トリミング予定ラインとしてのラインM3が設定されている。ラインM3は、改質領域4の形成を予定するラインである。ラインM3は、対象物100の外縁の内側において環状に延在する。ここでのラインM3は、円環状に延在する。ラインM3は、対象物100の有効領域Rと除去領域Eとの境界に設定されている。ラインM3の設定は、制御部9において行うことができる。ラインM3は、仮想的なラインであるが、実際に引かれたラインであってもよい。ラインM3は、座標指定されたものであってもよい。
図9に示されるように、レーザ加工装置101の制御部9は、取得部9a、決定部9b、加工制御部9c、及び調整部9dを有している。取得部9aは、ラインM3に関するライン情報を取得する。ライン情報は、ラインM3の情報、及び、ラインM3に沿って集光点(集光領域の一部)P1を相対的に移動させる場合の当該移動の移動方向(「加工進行方向」ともいう)に関する情報を含む。例えば加工進行方向は、ラインM3上に位置する集光点P1を通るラインM3の接線方向である。取得部9aは、ユーザの操作又は外部からの通信等による入力に基づいて、ライン情報を取得することができる。ライン情報としては特に限定されず、その他の種々の情報を含んでいてもよい。
決定部9bは、取得部9aによって取得されたライン情報に基づいて、ラインM3に沿って集光点P1を相対的に移動させる場合のビーム形状の長手方向の向きを、加工進行方向との間の角度が45°よりも小さい角度となる所定方向として決定する。
例えば図15(a)に示されるように、決定部9bで決定するビーム形状71の長手方向の向きである所定方向NHは、レーザ光入射面から見て、加工進行方向BDから反時計回りに45°未満の角度だけ回転させた方向である。例えば図15(b)に示されるように、所定方向NHは、レーザ光入射面から見て、加工進行方向BDに沿う方向である。例えば図15(c)に示されるように、所定方向NHは、レーザ光入射面から見て、加工進行方向BDから時計回りに45°未満の角度だけ回転させた方向である。以下、加工進行方向BDを基準とした所定方向NHの角度を、「ビーム角度β」と称する。ビーム角度βは、レーザ光入射面から見て、加工進行方向BDから反時計回りに向かう角度を正(プラス)の角度とし、加工進行方向BDから時計回りに向かう角度を負(マイナス)の角度とする。なお、決定部9bは、取得部9aによって取得されたライン情報に基づかずに、例えばユーザの操作又は外部からの通信等による入力に基づいて、ビーム形状71の長手方向の向きを決定してもよい。
加工制御部9cは、対象物100に対するレーザ加工の開始及び停止を制御する。加工制御部9cは、第1レーザ光L1を照射しながらラインM3に沿って集光点P1を相対的に移動させ、対象物100の内部にラインM3に沿って改質領域4を形成させる。ここでは、加工制御部9cは、ラインM3に沿った集光点P1の相対的な移動をZ方向(対象物100の厚さ方向)における集光点P1の位置を変えて複数回繰り返し実行させ、Z方向に複数列の改質領域4をラインM3に沿って形成させる。
改質領域4の形成及びその停止の切り替えは、次のようにして実現することができる。例えば、第1レーザ加工ヘッド10Aにおいて、第1レーザ光L1の照射(出力)の開始及び停止(ON/OFF)を切替えることで、改質領域4の形成と当該形成の停止とを切り替えることが可能である。具体的には、レーザ発振器が固体レーザで構成されている場合、共振器内に設けられたQスイッチ(AOM(音響光学変調器)、EOM(電気光学変調器)等)のON/OFFが切り替えられることで、第1レーザ光L1の照射の開始及び停止が高速に切り替えられる。レーザ発振器がファイバレーザで構成されている場合、シードレーザ、アンプ(励起用)レーザを構成する半導体レーザの出力のON/OFFが切り替えられることで、第1レーザ光L1の照射の開始及び停止が高速に切り替えられる。レーザ発振器が外部変調素子を用いている場合、共振器外に設けられた外部変調素子(AOM、EOM等)のON/OFFが切り替えられることで、第1レーザ光L1の照射のON/OFFが高速に切り替えられる。
或いは、改質領域4の形成及びその停止の切り替えは、次のようにして実現してもよい。例えば、シャッタ等の機械式機構を制御するによって第1レーザ光L1の光路を開閉し、改質領域4の形成と当該形成の停止とを切り替えてもよい。第1レーザ光L1をCW光(連続波)へ切り替えることで、改質領域4の形成を停止させてもよい。反射型空間光変調器34の液晶層に、第1レーザ光L1の集光状態を改質できない状態とするパターン(例えば、レーザ散乱させる梨地模様のパターン)を表示することで、改質領域4の形成を停止させてもよい。アッテネータ等の出力調整部を制御し、改質領域が形成できないように第1レーザ光L1の出力に低下させることで、改質領域4の形成を停止させてもよい。偏光方向を切り替えることで、改質領域4の形成を停止させてもよい。第1レーザ光L1を光軸以外の方向に散乱させて(飛ばして)カットすることで、改質領域4の形成を停止させてもよい。
加工制御部9cは、対象物100におけるレーザ光入射面とは反対側の反対面に、ビーム形状71の長手方向と同じ長手方向を有する形状の照射痕を、ラインM3に沿って複数発生させる。照射痕の形状は、ビーム形状71に対応する。照射痕の向きは、ビーム形状71の向きと揃っている。照射痕の形状は、ビーム形状71と相似な形状であってもよい。このような照射痕を発生させる場合の加工条件としては、公知の知見等により適宜に設定することができる。例えば、このような照射痕を発生させる場合の加工条件として、ビーム形状71の第1レーザ光L1の出力を一定出力以上とし、その集光点P1を反対面(表面100a)から内側に一定距離以下の位置(反対面の近傍)に位置させる条件が挙げられる。
加工制御部9cは、ラインM3の一部に沿って、改質領域4から延びる亀裂が対象物100におけるレーザ光入射面とは反対側の反対面に至るように、当該改質領域4を形成させる。対象物100におけるレーザ光入射面とは反対側の反対面に至る亀裂を、以下、BHC(Bottom side half-cut)とも称する。ラインM3の一部に沿ってBHCを発生させることには、ラインM3に沿って断続的にBHCを発生させること、及び、ラインM3の一部分に沿ってBHCを発生させることの少なくとも何れかを含む。ラインM3の一部に沿ってBHCを発生させる場合のレーザ加工条件としては、公知の知見等により適宜に設定することができる。
加工制御部9cは、ラインM3に沿って、Z方向に複数列の改質領域4を、Z方向において対象物100の全域を改質領域4が占めるように形成させる。複数列の改質領域4をZ方向において対象物100の全域を改質領域4が占めるように形成することを、以下、単に「全面改質」とも称する。全面改質する場合には、Z方向に隣接する一対の改質領域4が重なる、Z方向に隣接する一対の改質領域4の間に隙間がない、もしくは、当該隙間があっても隙間量が僅か(一定距離以下)である。全面改質の場合には、最もレーザ光入射面側の改質領域4と当該レーザ光入射面との間の隙間量が僅か(一定距離以下)である。全面改質する場合には、最もレーザ光入射面とは反対側の反対面側の改質領域4と当該反対面との間の隙間量が僅か(一定距離以下)である。一定距離は、例えば50μm程度であり、一例として52μmである。全面改質する場合には、対象物100を切断(トリミング加工)した後の切断面に、改質領域4が全面的に形成される。
全面改質する場合、最もレーザ光入射面側に改質領域4を形成する際、Z方向において対象物100の当該レーザ光入射面から13μm以内の内部位置に集光点P1を位置させる。全面改質する場合、最もレーザ光入射面とは反対側の反対面側に改質領域4を形成する際、Z方向において対象物100の当該反対面から13μm以内の内部位置に集光点P1を位置させる。全面改質する場合、Z方向に隣接する一対の改質領域4のうち、一方の改質領域4を形成する際の集光点P1の位置と他方の改質領域4を形成する際の集光点P1の位置との間隔は、Z方向において13μm以内の間隔である。全面改質する場合における集光点P1の位置に関する当該条件は、第1レーザ光L1の波長、パルス幅及び出力によらない。
加工制御部9cは、改質領域4から延びる亀裂が対象物100におけるレーザ光入射面に至らないように、当該改質領域4を形成させる。亀裂がレーザ光入射面に至らないように改質領域4を形成する場合は、例えば、改質領域4を形成することのみによっては、レーザ光入射面に至る(露出する)亀裂が発生しない場合である。亀裂がレーザ光入射面に至らないように改質領域4を形成する場合では、例えば、その後に外部応力等を加えることにより、レーザ光入射面に至る亀裂が発生してもよい。亀裂がレーザ光入射面に至らないように改質領域4を形成する場合のレーザ加工条件としては、公知の知見等により適宜に設定することができる。
調整部9dは、反射型空間光変調器34を制御することにより、ビーム形状71の向きを調整する。調整部9dは、加工制御部9cによって改質領域4を形成させる場合に、決定部9bで決定した所定方向NHとなるように、ビーム形状71の長手方向の向きを調整する。換言すると、調整部9dは、加工制御部9cによって改質領域4を形成させる場合に、ビーム角度βが−45°よりも大きく45°よりも小さくなるように、ビーム形状71の長手方向の向きを調整する。
本実施形態のトリミング加工では、まず、取得部9aにより、ユーザの操作又は外部からの通信等による入力に基づいて、ライン情報を取得する。取得されたライン情報に基づいて、決定部9bにより、ラインM3に沿って集光点P1を相対的に移動させる場合のビーム形状71の長手方向の向きを、加工進行方向BDとの間の角度が45°よりも小さい角度となる所定方向NHとして決定する(決定工程)。
続いて、ステージ107を回転させ、対象物100を0°方向の位置に位置させる。集光点P1がトリミング所定位置に位置するように、第1レーザ加工ヘッド10AをY軸レール108及び第1Z軸レール106Aに沿って移動させる。例えばトリミング所定位置は、対象物100におけるラインM3上の所定位置である。続いて、ステージ107の回転を開始する。測距センサによる裏面100bの追従を開始する。なお、測距センサの追従開始の前に、集光点P1の位置が測距センサの測長可能範囲内であることを予め確認する。
ステージ107の回転速度が一定(等速)になった時点で、第1レーザ加工ヘッド10Aによる第1レーザ光L1の照射を開始する。このとき、ビーム形状71が長手方向を有するように第1レーザ光L1を反射型空間光変調器34により成形する(成形工程)。ステージ107を回転させながら第1レーザ光L1を照射し、ラインM3に沿って集光点P1を相対的に移動させて改質領域4を形成する(加工工程)。加工工程では、改質領域4の形成し、対象物100におけるレーザ光入射面とは反対側の反対面に、ビーム形状71の長手方向と同じ長手方向を有する形状の照射痕を、ラインM3に沿って複数発生させる。加工工程によって改質領域4を形成する場合に、調整部9dにより、決定工程で決定した所定方向NHとなるようにビーム形状71の長手方向の向きを調整する。つまり、加工工程におけるビーム角度βは、−45°よりも大きく45°よりも小さくなる角度で固定されている。
加工工程では、トリミング所定位置のZ方向位置を変えて、上述したラインM3に沿った改質領域4の形成を繰り返し行う。これにより、Z方向に複数列の改質領域4をラインM3に沿って形成する。加工工程では、ラインM3の一部に沿ってBHCが発生するように、複数列の改質領域4を形成する。加工工程では、全面改質するように複数列の改質領域4を形成する。加工工程では、改質領域4から延びる亀裂が対象物100におけるレーザ光入射面に至らないように、複数列の改質領域4を形成する。
加工工程におけるレーザ加工条件の例として、第1レーザ光L1の波長は1099nm、パルス幅は45nsec、加工速度は700mm/sec、周波数は60kHz、加工エネルギーは10μJ、集光補正は有り、パルスピッチは11.7μm、Z方向における改質領域4の列数は7列である。なお、レーザ波長は、1064nm以上であってもよい。パルス幅は、60nsec以下であってもよい。加工エネルギーは、5〜20μJであってもよい。集光補正は、反射型空間光変調器34による補正であってもよいし、補正環レンズによる補正であってもよい。パルスピッチは、5〜15μmであってもよい。
続いて、ステージ107を回転させずに、除去領域Eにおいて、第1レーザ光L1を照射すると共に、第1レーザ加工ヘッド10AをY軸レール108に沿って移動する。ステージ107を一定角度回転させた後に、ステージ107を回転させずに、除去領域Eにおいて、第1レーザ光L1を照射すると共に、第1レーザ加工ヘッド10AをY軸レール108に沿って移動する。この加工を繰り返し行い、Z方向から見て除去領域Eを分けるように延びるラインに沿って、除去領域Eに改質領域4を形成する。その後、図16に示されるように、対象物100を保持材HJ上に配置した状態で、ラインM3の一部に沿って発生しているBHCを境界として対象物100が開くように対象物100に応力を印加し、ラインM3に沿って対象物100を切断する(切断工程)。これにより、対象物100の除去領域Eが除去されて成るウェハW1が形成される。
ウェハW1は、III−V属化合物半導体を含む板状の物体である。ウェハW1は、レーザ光入射面に対応する裏面100b(第1面)と、その反対側の反対面に対応する表面100a(第2面)と、を有する。図24に示されるように、厚さ方向から見て、表面100aには、長手方向を有する形状の一部分であって表面100aの外縁GEと重なる形状の照射痕SK1が、外縁GEに沿って複数形成されている。例えば照射痕SK1の形状は、楕円形状(ビーム形状71及び照射痕SKに対応する形状)における長手方向の一方側の一部分の形状である。照射痕SK1の形状は、外縁GEにより画成された形状である。照射痕SK1の長手方向の向きは、外縁GEの接線方向との間の角度が45°よりも小さい角度となる所定方向NHである。
以上、本実施形態のレーザ加工装置101及びレーザ加工方法では、ビーム形状71が長手方向を有するように第1レーザ光L1を成形し、対象物100におけるレーザ光入射面とは反対側の反対面に発生する照射痕の形状も、ビーム形状71と同様な長手方向を有する形状にする。そして、加工進行方向BDとビーム形状71の長手方向との間の角度(ビーム角度βの絶対値)を45°よりも小さい角度としてビーム形状71の長手方向を加工進行方向BDに沿わせ、照射痕の長手方向も加工進行方向BDに沿わせる。
これにより、照射痕の長手方向が加工進行方向BDと直交する場合(又は加工進行方向BDとの間の角度が45°以上である場合)に比べて、照射痕が有効領域Rの内側に入り込む程度を少なくすることができる。照射痕について、加工進行方向と直交する方向の寸法を、加工進行方向に沿う方向の寸法よりも小さくすることができる。照射痕が有効領域Rに与えるダメージを少なくすることができる。したがって、III−V属化合物半導体を含む対象物100をトリミング加工する場合において、当該対象物100に生じる照射痕の悪影響を抑えることが可能となる。
本実施形態のレーザ加工装置101及びレーザ加工方法では、ラインM3の一部に沿ってBHCが発生するように改質領域4を形成する。これにより、III−V属化合物半導体を含む対象物100をトリミング加工する場合に、ラインM3に沿って当該対象物100を精度よく切断することが可能となる。
本実施形態のレーザ加工装置101及びレーザ加工方法では、ラインM3に沿って、複数列の改質領域4を全面改質するように形成する。これにより、III−V属化合物半導体を含む対象物100をトリミング加工する場合に、ラインM3に沿って当該対象物100を精度よく切断することが可能となる。
本実施形態のレーザ加工装置101及びレーザ加工方法では、改質領域4から延びる亀裂が対象物100におけるレーザ光入射面に至らないように、当該改質領域4を形成する。これにより、III−V属化合物半導体を含む対象物100をトリミング加工する場合に、ラインM3に沿って当該対象物100を精度よく切断することが可能となる。
本実施形態のレーザ加工装置101及びレーザ加工方法では、対象物100は、ガリウム砒素を含む。対象物100がガリウム砒素を含む場合、トリミング加工の結果、対象物100の反対面に照射痕が発生し得ることから、当該対象物100に生じる照射痕の悪影響を抑える上記効果は有効である。本実施形態のレーザ加工装置101及びレーザ加工方法は、照射痕が生じるガリウム砒素を含む対象物100のレーザ加工に、特に有効である。
本実施形態のレーザ加工装置101では、反射型空間光変調器34を制御することにより、ビーム形状71の長手方向の向きを調整する。これにより、ビーム形状71の長手方向の向きを確実に調整することができる。
本実施形態のレーザ加工方法では、加工工程後、BHCを境界として対象物100が開くように対象物100に応力を印加し、ラインM3に沿って対象物100を切断する。この場合、ラインM3に沿った対象物100の切断を具体的に実現できる。
本実施形態では、照射痕SK1の悪影響が抑えられたウェハW1を提供することが可能となる。
ちなみに、本実施形態では、長手方向を有する形状のビーム形状71に係る第1レーザ光L1を照射し、且つ、改質領域4を全面改質するように形成することで、レーザ光入射面の反対面に発生する照射痕の形状をビーム形状71と同様な長手方向を有する形状とすることが、効果的に実現できている。
図17は、照射痕SKの形状とダメージ抑制の効果と切断可否との関係の一例を示す図である。図中の照射痕SKを含む写真図は、加工工程後で且つ切断前の対象物100におけるレーザ光入射面の反対面を拡大率50倍で撮像してなる図である(以下の照射痕SKの写真図において同様)。図17に示されるように、ビーム形状71が長手方向を有する形状であり、ビーム角度βが0°の場合、照射痕SKの長手方向が加工進行方向BDに沿っており、照射痕SKが有効領域Rの内側に入り込む程度が少なく、ダメージ抑制の効果も高い(図中の「〇」)。また、ビーム形状70の長手方向が加工進行方向BDに沿うことから、加工進行方向BDに沿って亀裂が進展しやすくなると想定でき、ラインM3に沿った切断が可能となる(図中の「〇」)。
一方、ビーム形状71が長手方向を有する形状であり、ビーム角度βが60°及び−60°の場合、照射痕SKの長手方向が加工進行方向BDに沿っておらず、照射痕SKの長手方向が加工進行方向BDからずれている。この場合、照射痕SKが有効領域Rの内側に入り込む程度が少なくなく、ダメージ抑制の効果も十分に得られない結果となる(図中の「△」)。また、ビーム形状71の長手方向が加工進行方向BDに沿っていないことから、加工進行方向BDに沿った亀裂の伸展が不十分となると想定でき、ラインM3に沿った切断が不能となる(図中の「×」)。
また、ビーム形状71が真円形状の場合においても、照射痕SKが有効領域Rの内側に入り込む程度が少なくなく、ダメージ抑制の効果も十分に得られない結果となる(図中の「△」)。また、ビーム形状71の長手方向が加工進行方向BDに沿うこともないため、加工進行方向BDに沿った亀裂の伸展が不十分となると想定でき、ラインM3に沿った切断が不能となる(図中の「×」)。
図18、図19、図20及び図21は、ビーム角度β毎の照射痕SK及び断面状態の例を示す図である。図中において、断面状態は、切断後の対象物100を0°方向の位置で撮影した写真図である(以下の断面状態で同様)。図18に示されるように、ビーム角度βが−75、−60°及び−45°の場合、照射痕SKの長手方向が加工進行方向BDに沿っておらず、照射痕SKの長手方向が加工進行方向BDからずれており、照射痕SKが有効領域Rの内側に入り込む程度が少なくないことがわかる。またこの場合、ラインM3に沿った切断できないことがわかる(図中の「割れず」)。
図19及び図20に示されるように、ビーム角度βが−30、−15°、0°、15°及び30°の場合、照射痕SKの長手方向が加工進行方向BDに沿っており、照射痕SKが有効領域Rの内側に入り込む程度が少ないことがわかる。またこの場合、ラインM3に沿った切断が可能となっており、図中に示されるように、切断面において全面改質された複数列の改質領域4を確認することができる。
図20及び図21に示されるように、ビーム角度βが45°、60°、75°及び90°の場合、照射痕SKの長手方向が加工進行方向BDに沿っておらず、照射痕SKの長手方向が加工進行方向BDからずれており、照射痕SKが有効領域Rの内側に入り込む程度が少なくないことかがわかる。またこの場合、ラインM3に沿った切断できないことがわかる(図中の「割れず」)。
図22(a)、図22(b)及び図23は、ビーム形状71及び全面改質と切断可否との関係の一例を示す図である。図中のレーザ加工のレーザ加工条件として、第1レーザ光L1の波長は1099nm、パルス幅は45nsec、加工速度は720mm/sec、周波数は60kHz、パルスピッチは12μmである。図中の集光位置は、対象物100のレーザ光入射面を基準とした集光点P1のZ方向における位置である。楕円ビームが無しの場合には、ビーム形状71が真円であり、楕円ビームが有りの場合には、ビーム形状71が楕円である。Powerは、第1レーザ光L1の出力である。HC状態が未発生とは、改質領域4から延びる亀裂が対象物100におけるレーザ光入射面に至らないように、当該改質領域4が形成されていることを意味する。BHC状態が未発生とは、BHCが発生していないことを意味し、BHC状態が30%発生とは、ラインM3の30%の部分(一部)に沿ってBHCが発生するように改質領域4が形成されていることを意味する。
ビーム形状71が楕円ではない図22(a)のレーザ加工条件の場合、BHCが未発生であり、ラインM3に沿った切断が不能となることがわかる(図中の「×」)。図22(b)のレーザ加工条件の場合、BHCがラインM3の一部に沿って発生し、ラインM3に沿った切断が確実に可能となることがわかる(図中の「◎」)。レーザ光入射面側で改質領域4を形成しない図23のレーザ加工条件の場合、BHCがラインM3の一部に沿って発生するが、ラインM3に沿った切断が容易ではないことがわかる(図中の「△」)。
レーザ加工装置101において、反射型空間光変調器(成形部)34、決定部9b、加工制御部9c及び調整部9dは、加工部を構成する。なお、加工部は、特に限定されない。加工部は、ラインM3に沿って集光点P1を相対的に移動させて改質領域4を形成させ、長手方向を有する形状の照射痕SKを発生させると共に、ラインM3に沿って集光点P1を移動させる場合の長手方向の向きを所定方向NHとして決定し、決定した所定方向NHとなるように照射痕SKの長手方向の向きを調整するものであれば、種々の機器ないし装置等で構成されていてもよい。
以上、本発明の一態様は、上述した実施形態に限定されない。
上述した実施形態は、照射部として複数のレーザ加工ヘッドを備えていてもよい。上述した実施形態では、ラインM3の一部に沿ってBHCを発生させているが、BHCを発生させなくてもよいし、ラインM3の全部に沿ってBHCを発生させてもよい。
上述した実施形態では、成形部として反射型空間光変調器34を採用したが、成形部は空間光変調器に限定されず、種々の装置又は光学系を採用してもよい。例えば、成形部として、楕円ビーム光学系、スリット光学系又は非点収差光学系を採用してもよい。また、グレーティングパターン等を変調パターンに用い、集光点を分岐させて2点以上の集光点を組み合わせることにより、長手方向を有するビーム形状71を作成してもよい。また、偏光を利用することにより、長手方向を有するビーム形状71を作成してもよく、偏光方向を回転させる方法は、例えば1/2λ波長板を回転させることで実現できる。また、空間光変調器は反射型のものに限定されず、透過型の空間光変調器を採用してもよい。
上述した実施形態では、加工制御部9cにより第1レーザ光L1又はその光学系を制御することで、改質領域4の形成及びその停止を切り替えたが、これに限定されない。公知の種々の技術を利用して、改質領域4の形成及びその停止の切替えを実現してもよい。例えば、対象物100上に直接マスクを設けて第1レーザ光L1を遮光することで、改質領域4の形成及びその停止を切り替えてもよい。
上述した実施形態では、対象物100の種類、対象物100の形状、対象物100のサイズ、対象物100が有する結晶方位の数及び方向、並びに、対象物100の主面の面方位は特に限定されない。上述した実施形態では、ラインM3の形状は特に限定されない。上述した実施形態では、対象物100は、結晶構造を有する結晶材料を含んで形成されていてもよいし、これに代えてもしくは加えて、非結晶構造(非晶質構造)を有する非結晶材料を含んで形成されていてもよい。結晶材料は、異方性結晶及び等方性結晶の何れであってもよい。例えば対象物100は、窒化ガリウム(GaN)、シリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)、LiTaO3、ダイアモンド、GaOx、サファイア(Al2O3)、ガリウム砒素、リン化インジウム、ガラス、及び無アルカリガラスの少なくとも何れかで形成された基板を含んでいてもよい。
上述した実施形態では、対象物100の裏面100bをレーザ光入射面としたが、対象物100の表面100aをレーザ光入射面としてもよい。上述した実施形態では、改質領域4は、例えば対象物100の内部に形成された結晶領域、再結晶領域、又は、ゲッタリング領域であってもよい。結晶領域は、対象物100の加工前の構造を維持している領域である。再結晶領域は、一旦は蒸発、プラズマ化あるいは溶融した後、再凝固する際に単結晶あるいは多結晶として凝固した領域である。ゲッタリング領域は、重金属等の不純物を集めて捕獲するゲッタリング効果を発揮する領域であり、連続的に形成されていてもよいし、断続的に形成されていてもよい。また、例えば加工装置は、アブレーション等の加工へ適用されてもよい。
上述した実施形態に係るレーザ加工装置は、取得部9aは備えなくてもよい。上述した実施形態に係るレーザ加工方法は、ライン情報を取得する工程(情報取得工程)を含まなくてもよい。この場合、例えばレーザ加工を行う対象物100等が予め決まっており、ライン情報が予め記憶されていてもよい。上述した実施形態では、対象物100の厚さ方向に複数列の改質領域4を形成する場合、複数列の改質領域4の少なくとも何れか形成する際に、ビーム形状71を長手方向を有する形状とすると共に当該長手方向の向きを所定方向NHとする、及び/又は、レーザ光入射面の反対面に長手方向を有する形状の照射痕SKを形成すると共に当該長手方向の向きを所定方向NHとしてもよい。例えば、最も反対面側の改質領域4を形成する際に、ビーム形状71及び/照射痕SKを楕円形状とし且つその長手方向の向きを所定方向NHとしてもよい。
上述した実施形態及び変形例における各構成には、上述した材料及び形状に限定されず、様々な材料及び形状を適用することができる。また、上述した実施形態又は変形例における各構成は、他の実施形態又は変形例における各構成に任意に適用することができる。