JP2021160281A - 樹脂の溶解方法及び樹脂溶解液の製造方法 - Google Patents

樹脂の溶解方法及び樹脂溶解液の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021160281A
JP2021160281A JP2020065196A JP2020065196A JP2021160281A JP 2021160281 A JP2021160281 A JP 2021160281A JP 2020065196 A JP2020065196 A JP 2020065196A JP 2020065196 A JP2020065196 A JP 2020065196A JP 2021160281 A JP2021160281 A JP 2021160281A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
solvent
red
dissolving
solubility parameter
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020065196A
Other languages
English (en)
Inventor
範人 千代田
Norihito Chiyoda
照代 難波
Teruyo Namba
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Cosmo Oil Co Ltd
Original Assignee
Cosmo Oil Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Cosmo Oil Co Ltd filed Critical Cosmo Oil Co Ltd
Priority to JP2020065196A priority Critical patent/JP2021160281A/ja
Priority to PCT/JP2021/013562 priority patent/WO2021200959A1/ja
Publication of JP2021160281A publication Critical patent/JP2021160281A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/62Plastics recycling; Rubber recycling

Landscapes

  • Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)

Abstract

【課題】複数の樹脂を含む混合物である廃プラスチックから、特定の樹脂を溶解せず、前記特定の樹脂以外の樹脂を溶解可能な樹脂の溶解方法及び樹脂溶解液の製造方法の提供。【解決手段】複数の種類の樹脂を含む混合物から、特定の樹脂を溶解せず、前記特定の樹脂以外の樹脂を溶解する、樹脂の溶解方法であって、前記特定の樹脂に対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差が1超であり、かつ前記特定の樹脂以外の樹脂に対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差が1以下である溶媒を選択し、前記溶媒に前記混合物を接触処理させて前記特定の樹脂以外の樹脂を溶解する、樹脂の溶解方法。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂の溶解方法及び樹脂溶解液の製造方法に関する。
廃プラスチックのリサイクル技術の開発は、近年の廃棄物の増加及び限られた資源の有効利用の観点から重要課題の一つとなっている。廃プラスチックのリサイクル方法としては、廃プラスチックをそのまま再利用するマテリアルリサイクル、廃プラスチックを化学的に分解して、モノマー等の基礎化学原料を回収するケミカルリサイクル、廃プラスチックより熱エネルギーを回収するサーマルリサイクルの3つに大別される。
この中でもマテリアルリサイクルとケミカルリサイクルは、廃プラスチックを製品の原料に変換して再利用可能であるため、資源の循環的利用により、限りある天然資源の消費を抑制し、埋め立て処理量を減らすなど、環境負荷軽減の観点から望ましい。
マテリアルリサイクルでは、廃プラスチックをフレークやペレットという原料にした後、溶融、成形し、再び同じ製品又は別のプラスチック製品の樹脂材料として再利用する。樹脂材料としての品質基準を満たすために、異物や汚れを取り除き、基本的に同一種類のプラスチックにする必要がある。マテリアルリサイクルでは、回収した廃プラスチックに異なる種類の廃プラスチックが混入すると、再生プラスチックの特性が低下するため、回収した廃プラスチックを高精度に分離する技術が必要となる。
ケミカルリサイクルでは、廃プラスチックを高温で熱分解して合成ガスや分解油などの化学原料を製造、又は化学的に分解してモノマーを製造するなど、他の化学物質に変換して再利用する。マテリアルリサイクルと比較して、種類の異なるプラスチックが混在していたり、異物や汚れがあっても、リサイクル可能である場合が多い。一方、種類の異なるプラスチックが混在している場合、工程上問題となることもある。
したがって、マテリアルリサイクル及びケミカルリサイクルに適さない、廃プラスチックはサーマルリサイクルにより処理されているのが現状であり、マテリアルリサイクル及びケミカルリサイクルに適する廃プラスチックを得るための分離技術が強く望まれている。
廃プラスチックの分離技術として、特許文献1には、複数種類の材質を含む廃プラスチックから再利用プラスチックを選別する廃プラスチックの選別処理方法であって、材質による波長の吸収度の相違に基づいて前記再利用プラスチックを選別する材質選別工程と、材質による比重の相違に基づいて前記再利用プラスチックの純度を高める遠心分離工程と、を有し、前記材質選別工程及び前記遠心分離工程により、前記再利用プラスチックの少なくとも1種類を種類別の再利用プラスチックとして選別する、廃プラスチックの選別処理方法が開示されている。
特開2017−170653号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、材質選別工程、遠心分離工程という2つの工程が必要であり、効率的ではない。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであって、複数の樹脂を含む混合物である廃プラスチックから、特定の樹脂を溶解せず、前記特定の樹脂以外の樹脂を溶解可能な樹脂の溶解方法及び樹脂溶解液の製造方法を提供することを課題とする。すなわち、本発明は、複数の樹脂を含む混合物である廃プラスチックから、特定の樹脂を固体として、前記特定の樹脂以外の樹脂を樹脂溶解液として効率的に分離する方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の態様を有する。
[1] 複数の種類の樹脂を含む混合物から、特定の樹脂を溶解せず、前記特定の樹脂以外の樹脂を溶解する、樹脂の溶解方法であって、前記特定の樹脂に対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差が1超であり、かつ前記特定の樹脂以外の樹脂に対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差が1以下である溶媒を選択し、前記溶媒に前記混合物を接触処理させて前記特定の樹脂以外の樹脂を溶解する、樹脂の溶解方法。
[2] 前記特定の樹脂は、塩素元素を含む、[1]に記載の樹脂の溶解方法。
[3] 前記混合物は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、及びポリ塩化ビニルからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含む、[1]又は[2]に記載の樹脂の溶解方法。
[4] 前記溶媒は、2種以上の溶媒を含む、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の樹脂の溶解方法。
[5] [1]〜[4]のいずれか一項に記載の樹脂の溶解方法を樹脂溶解工程として有する、樹脂溶解液の製造方法。
本発明によれば、複数の樹脂を含む混合物である廃プラスチックから、特定の樹脂を溶解せず、前記特定の樹脂以外の樹脂を溶解可能な樹脂の溶解方法を提供することができる。
また、前記樹脂の溶解方法を樹脂溶解工程として有する、樹脂溶解液の製造方法を提供することができる。
ハンセン溶解度パラメータ値及び相互作用半径の求め方を示す模式図である。 物質1と物質2の2物質の溶解度パラメータ値間の距離を示す模式図である。 物質1の物質2に対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差が1以内である場合を示す模式図である。 物質1の物質2に対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差が1超である場合を示す模式図である。 溶媒Lのハンセン溶解度パラメータと、樹脂PA1、PA2のハンセン球S(PA1)、S(PA2)と、PB1、PB2のハンセン球S(PB1)、S(PB2)の関係を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下の記載は本発明の実施態様の一例であり、本発明はこれらの内容に限定されず、その要旨の範囲内で変形して実施することができる。
本実施形態の樹脂の溶解方法は、複数の種類の樹脂を含む混合物から、特定の樹脂を溶解せず、前記特定の樹脂以外の樹脂を溶解する、樹脂の溶解方法である。具体的には、前記特定の樹脂に対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差が1超であり、かつ前記特定の樹脂以外の樹脂に対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差が1以下である溶媒を選択し、前記溶媒に前記混合物を接触処理させて前記特定の樹脂以外の樹脂を溶解する、樹脂の溶解方法である。
以下、ハンセン溶解度パラメータ、及び前記相対的エネルギー差の求め方を説明する。
<ハンセン溶解度パラメータ>
ハンセン溶解度パラメータ(Hansen solubility parameter(以下、単に「HSP」ともいう。)は、分子間の相互作用が似ている2つの物質は、互いに溶解しやすいとの考えに基づいている。HSPは、分子間の分散力に由来するエネルギー(δd)、分子間の双極子相互作用に由来するエネルギー(δp)、及び分子間の水素結合に由来するエネルギー(δh)から構成される。これらの3つのパラメータは3次元空間(ハンセン空間)における座標とみなすことができる。
HSP値が未知の評価試料におけるHSP値は以下の方法で算出することができる。
HSP値(δd、δp、δh)を三次元空間にプロットすることにより特定されるハンセン溶解度パラメータ空間において、既知のHPS値を有する複数の純物質(1種の化合物からなる物質)をプロットするとともに、上記純物質に対する評価試料の溶解性の有無によってハンセン球を特定し、当該ハンセン球の中心値を求めることで評価試料のHSP値を算出することが出来る(ハンセン球法)。
また評価試料のHSP値は、平均分子構造の情報から原子団寄与法を用いて算出することも出来る。
ハンセン球法の場合も、原子団寄与法の場合も、評価試料のHSP値を算出する場合、例えばコンピューターソフトウェアHansen Solubility Parameters in Practice(HSPiP)を使用して算出することができる。
ハンセン球法の場合、評価試料は純物質であってもよく、混合物であってもよい。
上記ハンセン球の中心値、すなわちHSP値(δd、δp、δh)の求め方について、図1を用いて説明する。
先ず、図1に例示する(分散力項δd、双極子間力項δp及び水素結合力項δhを座標軸とする)三次元空間に既知のHSP値を有する15〜30個程度の純物質のHSP値をプロットする。
このとき、図1に示すように、例えば、評価試料に溶解性を示す純物質を○印、評価試料に溶解性を示さない純物質を×印で表記する。次いで、プロットされた評価試料の溶解性に基づき、溶解性を示した純物質(図1で○印で示す)を包含し、かつ溶解性を示さなかった純物質(図1に×印で示す)を包含しない仮想球のうち、最小半径を有するものを(図1に球状に示す)ハンセン球Sとして求める。
上記ハンセン球Sを成す半径(上記最少半径)が図中に○印で示す純物質を溶解し相溶性を示す相互作用半径Rとなり、また、得られたハンセン球Sの中心値(δd、δp、δh)が評価試料のHSP値となる。
ハンセン球を求めるために使用する上記純物質のHSP値としては例えば、分散力項δdが10〜25MPa1/2程度であり、双極子間力項δpが0〜20MPa1/2程度であり、水素結合力項δhが0〜20MPa1/2程度である。
また、溶解性は温度に依存するため、上記ハンセン球を求める際は、実際に樹脂の溶解を行う温度にて溶解性試験を行うことが好ましい。
次に図2は、物質1と物質2の2物質の溶解度パラメータ間の距離を示す模式図である。まず、物質1と物質2のハンセン球を上述の方法で求める。物質1のHSP値を(δd、δp、δh)とし、物質2のHSP値を(δd、δp、δh)とした時に、2物質間のHSP値の距離(以下、単に「Ra」ともいう。)は、下式1により算出することができる。
Ra={4×(δd−δd+(δp−δp+(δh−δh}0.5 式1
物質1の物質2に対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差(以下、単に「RED」ともいう。)は、物質2の相互作用半径をRとしたときに下式2により算出することができる。
RED=Ra/R式2
図3は、物質1の物質2に対するハンセン溶解度パラメータに基づくREDが1以内である場合を示す模式図である。この場合、図3に示す通り、物質1のHSP値(δd、δp、δh)が、物質2のハンセン球S2の内側(球の表面も含む)に位置することになる。
図4は、物質1の物質2に対するハンセン溶解度パラメータに基づくREDが1超である場合を示す模式図である。この場合、図4に示す通り、物質1のHSP値(δd、δp、δh)が、物質2のハンセン球のS2の外側(球の表面は含まない)に位置することになる。
本実施形態の樹脂の溶解方法は、複数の種類の樹脂を含む混合物から、特定の樹脂以外の樹脂を溶解する、樹脂の溶解方法である。具体的には、前記特定の樹脂に対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差が1超であり、かつ前記特定の樹脂以外の樹脂に対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差が1以下である溶媒を選択し、前記溶媒に前記混合物を接触処理させて前記特定の樹脂以外の樹脂を溶解させる、樹脂の溶解方法である。
前記特定の樹脂は1種でも複数でもよい。前記特定の樹脂以外の樹脂は1種でも複数でもよい。
以下、前記特定の樹脂を「樹脂A」、前記特定の樹脂以外の樹脂を「樹脂B」という。本実施形態では樹脂Aと樹脂Bを含む混合物から、樹脂Bのみを溶解する。
<溶媒の選択方法>
樹脂Aは、樹脂PA1〜PAxからなり、樹脂Bは、樹脂PB1〜PByからなる。xは、樹脂Aを構成する樹脂の種類の数を表し、1以上の整数である。yは、樹脂Bを構成する樹脂の種類の数を表し、1以上の整数である。
xの値は特に限定されないが、前記溶媒の選定が容易になる観点から、1〜3であることが好ましく、1〜2であることがより好ましい。yの値は特に限定されないが、前記溶媒の選定が容易になる観点から、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。前記x+yの値は特に限定されないが、前記溶媒の選定が容易になる観点から、2〜8であることが好ましく、2〜5であることがより好ましい。
上述の方法により、樹脂PA1〜PAxのハンセン球S(PA1)〜S(PAx)をそれぞれ求める。そして、得られたハンセン球S(PA1)〜S(PAx)から、樹脂PA1〜PAxのHSP値[δd(PA1)、δp(PA1)、δh(PA1)]〜[δd(PAx)、δp(PAx)、δh(PAx)]及び相互作用半径R(PA1)〜R(PAx)をそれぞれ求める。
同様にPB1〜PByのハンセン球S(PB1)〜S(PBy)をそれぞれ求める。そして、得られたハンセン球S(PB1)〜S(PBy)から、樹脂PB1〜PByのHSP値[δd(PB1)、δp(PB1)、δh(PB1)]〜[δd(PBy)、δp(PBy)、δh(PBy)]及び相互作用半径R(PB1)〜R(PBy)をそれぞれ求める。
選択する溶媒LのHSP値を仮の値[δd(L)、δp(L)、δh(L)]とする。
樹脂PA1〜PAxのHSP値[δd(PA1)、δp(PA1)、δh(PA1)]〜[δd(PAx)、δp(PAx)、δh(PAx)]をそれぞれ前記式1の(δd、δp、δh)に代入し、溶媒LのHSP値[δd(L)、δp(L)、δh(L)]を前記式1の(δd、δp、δh)に代入し、Ra(PA1)〜Ra(PAx)をそれぞれ求める。得られたRa(PA1)〜Ra(PAx)は、δd(L)、δp(L)、δh(L)の関数となる。そして、PA1〜PAxの相互作用半径R(PA1)〜R(PAx)及び得られたRa(PA1)〜Ra(PAx)をそれぞれ前記式2に代入し、RED(PA1)〜RED(PAx)を求める。得られたRED(PA1)〜RED(PAx)は、δd(L)、δp(L)、δh(L)の関数となる。
同様に、樹脂PB1〜PByのHSP値[δd(PB1)、δp(PB1)、δh(PB1)]〜[δd(PBy)、δp(PBy)、δh(PBy)]をそれぞれ前記式1の(δd、δp、δh)に代入し、溶媒LのHSP値[δd(L)、δp(L)、δh(L)]を前記式1の(δd、δp、δh)に代入し、Ra(PB1)〜Ra(PBy)をそれぞれ求める。得られたRa(PB1)〜Ra(PBy)は、δd(L)、δp(L)、δh(L)の関数となる。そして、PB1〜PByの相互作用半径R(PB1)〜R(PBy)及び得られたRa(PB1)〜Ra(PBy)をそれぞれ前記式2に代入し、RED(PB1)〜RED(PBy)を求める。得られたRED(PB1)〜RED(PBy)は、δd(L)、δp(L)、δh(L)の関数となる。
本実施形態においては、RED(PA1)〜RED(PAx)の全てが1超であり、かつRED(PB1)〜RED(PBy)の全てが1以下となる、HSP値[δd(L)、δp(L)、δh(L)]を有する溶媒Lを選択する。
図5にxが2、yが2の場合の溶媒LのHSP値と、樹脂PA1、PA2のハンセン球S(PA1)、S(PA2)と、樹脂PB1、PB2のハンセン球S(PB1)、S(PB2)の関係を示す。図5に示されるように、溶媒LのHSP値[δd(L)、δp(L)、δh(L)]は、樹脂PA1、PA2のハンセン球S(PA1)、S(PA2)の外側(球の表面は含まない)に位置し、かつ樹脂PB1、PB2のハンセン球S(PB1)、S(PB2)の内側(球の表面も含む)に位置する。
本実施形態においては、RED(PA1)〜RED(PAx)の全てが1超であり、2.5以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましい。RED(PA1)〜RED(PAx)の全てが前記下限値超(以上)であると、樹脂Aを構成する樹脂PA1〜PAxの溶媒Lによる溶解が抑制される。RED(PA1)〜RED(PAx)の上限値は特に限定されないが、例えば10以下である。
本実施形態においては、RED(PB1)〜RED(PBy)の全てが1以下であり、0.9以下であることが好ましく、0.8以下であることがより好ましい。RED(PB1)〜RED(PBy)の全てが前記上限値以下であると、樹脂Bを構成する樹脂PB1〜PByの溶媒Lによる溶解が促進される。RED(PB1)〜RED(PBy)の下限値は特に限定されないが、例えば0.1以上である。
溶媒LのHSP値と樹脂PA1〜PAxそれぞれのHSP値の距離であるRa(PA1)〜Ra(PAx)は、RED(PA1)〜RED(PAx)の全てが1超である限り特に限定されないが、例えば5MPa1/2以上が好ましく、10MPa1/2以上がより好ましい。
溶媒LのHSP値と樹脂PB1〜PByそれぞれのHSP値の距離であるRa(PB1)〜Ra(PBy)は、RED(PB1)〜RED(PBy)の全てが1以下である限り特に限定されないが、例えば8MPa1/2以下が好ましく、5MPa1/2以下がより好ましい。
RED(PB1)〜RED(PBy)の全てが1以下となるようなHSP値[δd(L)、δp(L)、δh(L)]を有する溶媒Lを選択するためには、yが2以上の場合において、樹脂PB1〜PByのハンセン球S(PB1)〜S(PBy)の全てが重なる部分を有することを意味する。
すなわち、樹脂Bから無作為に、y=c、y=dである樹脂PBc、PBdを選択したときに、PBcのHSP値[δd(PBc)、δp(PBc)、δh(PBc)]及びPBdのHSP値[δd(PBd)、δp(PBd)、δh(PBd)]を前記式1の(δd、δp、δh)及び(δd、δp、δh)にそれぞれを代入して得られるRa(PBc−PBd)と、PBcの相互作用半径R(PBc)と、PBdの相互作用半径R(PBd)との関係が下式3を満たす。
{R(PBc)+R(PBd)}≧Ra(PBc−PBd) 式3
前記式3を満たさない樹脂PB1〜PByの組み合わせがあるときは、樹脂Bの樹脂を適宜選択し直せばよい。すなわち、樹脂Bを構成するPB1〜PByから任意の樹脂を除き、前記式3を満たすようにする。この場合、前記除かれた樹脂は、樹脂Aを構成することになる。
<樹脂>
本実施形態の混合物に含まれる樹脂の種類としては特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等のポリスチレン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;三酢酸セルロース;ポリカーボネート;ポリウレタン、アクリル変性ポリウレタン等のウレタン樹脂;ポリメチルペンテン;ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリスルホン等のポリスルホン樹脂;ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン等のポリエーテルエーテルケトン;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルイミド、ポリイミド等のポリイミド系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11等のポリアミド系樹脂;アクリル樹脂;フッ素系樹脂;フェノール樹脂;エポキシ樹脂;メラミン樹脂;尿素樹脂;不飽和ポリエステル樹脂;アルキド樹脂等が挙げられる。
本実施形態の混合物に含まれる樹脂の質量平均分子量は、本発明の効果を得られる限り特に限定されないが、例えば10,000〜100,000でもよく、100,000〜1,000,000でもよい。
また、本実施形態の樹脂としては30℃以下で固体である。樹脂の形態は、本発明の効果を得られる限り特に限定されないが、ペットボトル等の包装体状に成形された成形体、ペレット状、フレーク状等が挙げられる。樹脂の大きさは、本発明の効果を得られる限り特に限定されないが、その長径が1〜100mm程度である。
このような樹脂の中から、後述の用途に応じ、樹脂A、樹脂Bを任意に選択することができる。
<溶媒>
本実施形態の溶媒としては、RED(PA1)〜RED(PAx)の全てが1超であり、かつRED(PB1)〜RED(PBy)の全てが1以下となるHSP値を有する限り、特に限定されない。溶媒としては、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ペンチル、酢酸ベンジル、安息香酸ベンジル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル等のエステル類、アセトン、ジイソブチルケトン、エチルメチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2ピロリドン等のケトン類、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール、2−メトキシテトラヒドロピラン等のエーテル類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、メトキシプロパノール、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノール、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド基を有する有機溶媒、アセトニトリル、イソブチロニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリル等のニトリル基を有する有機溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−炭酸グリセロール等のカーボネート基を有する有機溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、1−オクタデセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、2,2,4−トリメチルペンタン、シクロヘキセン、エチルベンゼン、d−リモネン、l−リモネン等の炭化水素等が例として挙げられる。
溶媒は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。すなわち、本実施形態の溶媒は2種以上の溶媒の混合物(以下、「混合溶媒」ともいう。)でもよい。混合溶媒としては、上記で列記した2種以上溶媒の混合物が挙げられる。
その他の混合溶媒としては、常圧残渣油、減圧軽油、減圧残渣油、脱硫常圧残渣油、脱硫減圧軽油、軽質分解軽油、重質分解軽油等の原油の精製工程で得られる石油留分;大豆油、菜種油、ひまわり油、とうもろこし油、綿実油、落花生油、オリーブ油、パーム油、ゴマ油、コメ油、オレンジ油等の植物油及びこれらの廃油であってもよい。また、これらの混合溶媒にさらに上述の溶媒を混合してもよい。
混合溶媒を本実施形態の溶媒として用いる場合、混合溶媒のHSP値は、上述の方法により求めてもよいし、以下のように混合溶媒を構成する溶媒のHSP値を加重平均して求めてもよい。
混合溶媒Lが、溶媒L〜Lからなり、混合溶媒の混合前のすべての溶媒の体積の合計に対する溶媒L〜Lの含有割合をそれぞれ、V(L)〜V(L)とする。溶媒L〜LのHSP値をそれぞれ、[δd(L)、δp(L)、δh(L)]〜[δd(L)、δp(L)、δh(L)]とすると、混合溶媒のHSP値である[δd(L)、δp(L)、δh(L)]は、下式4〜6により求めることができる。
Figure 2021160281
Figure 2021160281
Figure 2021160281
本実施形態においては、混合溶媒のHSP値は、前記式4〜6によって求めることが好ましい。
本実施形態の溶媒の沸点としては、本発明の効果を得られる限り特に限定されないが、例えば80〜700℃でもよく、150〜500℃でもよく、200〜400℃でもよい。
本実施形態の溶媒の密度としては、本発明の効果を得られる限り特に限定されないが、例えば0.70〜1.5g/cmでもよく、0.80〜1.2g/cmでもよく、0.85〜1.2g/cmでもよい。
<樹脂A、樹脂Bと溶媒Lの組み合わせ>
本実施形態においては、樹脂Aは、塩素元素を含むことが好ましい。また、本実施形態においては、樹脂B及び溶媒Lは塩素元素を含まないことが好ましい。本実施形態の樹脂の溶解方法及び樹脂溶解液の製造方法により得られる溶解液を後述のケミカルリサイクルの原料として用いる場合、樹脂溶解液中に塩素元素が含まれていると、ケミカルリサイクルのプロセス中で塩化水素が発生し、ケミカルリサイクルに使用される機器を腐食するおそれがある。樹脂Aが塩素元素を含み、樹脂B及び溶媒Lが塩素元素を含まないことにより、得られる溶解液中に塩素元素が含まれないことになり、前記装置の腐食を防止することが可能となる。
また、本実施形態の混合物に含まれる樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、及びポリ塩化ビニルからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。
樹脂Aを構成する樹脂をポリスチレン、ポリ塩化ビニルとし、樹脂Bを構成する樹脂をポリエチレン、ポリプロピレンとしたときに、樹脂Aに対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差が1超であり、かつ樹脂Bに対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差が1以下である溶媒としては、ベンゼン、シクロヘキサン、エチルベンゼンが例として挙げられる。
樹脂Aを構成する樹脂をポリプロピレン、ポリ塩化ビニルとし、樹脂Bを構成する樹脂をポリエチレン、ポリスチレンとしたときに、樹脂Aに対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差が1超であり、かつ樹脂Bに対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差が1以下である溶媒としては、安息香酸ブチル、酢酸ベンジル、オレンジ油が例として挙げられる。
樹脂Aを構成する樹脂をポリエチレン、ポリ塩化ビニルとし、樹脂Bを構成する樹脂をポリプロピレン、ポリスチレンとしたときに、樹脂Aに対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差が1超であり、かつ樹脂Bに対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差が1以下である溶媒としては、クロロベンゼン等が例として挙げられる。
樹脂Aを構成する樹脂をポリエチレン、ポリプロピレンとし、樹脂Bを構成する樹脂をポリスチレン、ポリ塩化ビニルとしたときに、樹脂Aに対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差が1超であり、かつ樹脂Bに対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差が1以下である溶媒としては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド等が例として挙げられる。
樹脂Aを構成する樹脂をポリプロピレンとし、樹脂Bを構成する樹脂をポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルとしたときに、樹脂Aに対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差が1超であり、かつ樹脂Bに対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差が1以下である溶媒としては、安息香酸エチル、2−メトキシテトラヒドロピラン、81質量%のd−リモネン及び19質量%の1,2−炭酸グリセロールの混合溶媒、64質量の%d−リモネン及び36質量%のジメチルホルムアミドの混合溶媒、58質量%のテトラヒドロフラン及び42質量%のシクロヘキサノンの混合溶媒、62質量%の酢酸エチル及び38質量%の安息香酸ベンジルの混合溶媒、58質量%のメチルエチルケトン及び42質量%の安息香酸ベンジルの混合溶媒等が例として挙げられる。
樹脂Aを構成する樹脂をポリ塩化ビニルとし、樹脂Bを構成する樹脂をポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンとしたときに、樹脂Aに対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差が1超であり、かつ樹脂Bに対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差が1以下である溶媒としては、1,1,1,2−テトラクロロエタン、d−リモネン、o−キシレン、トルエン等が例として挙げられる。
(樹脂溶解の条件)
本実施形態の樹脂の溶解方法において、溶媒の総質量に対する混合物の割合は、樹脂Bを溶解可能な限り特に限定されないが、例えば、1〜50質量%でもよく、1〜40質量%でもよく、1〜30質量%でもよい。
本実施形態の樹脂の溶解方法において、溶媒の総質量に対する樹脂Bの割合は、樹脂Bを溶解可能な限り特に限定されないが、例えば、1〜20質量%でもよく、1〜18質量%でもよく、1〜15質量%でもよい。
樹脂Bを溶解するときの温度は、樹脂Bを溶解可能な限り特に限定されないが、樹脂Aが軟化もしくは融解しない温度であれば、15〜100℃でもよく、20〜90℃でもよく、30〜80℃でもよい。
樹脂Bを溶解するときには、撹拌、超音波処理等を行うことが好ましい。
本実施形態の樹脂の溶解方法においては、樹脂Bの全てが溶解されることが好ましいが、樹脂Bの総質量に対して80〜100質量%が溶解してもよく、90〜100質量%が溶解してもよい。
本実施形態の樹脂の溶解方法においては、樹脂Aが溶解されないことが好ましいが、樹脂Aの総質量に対して0質量%以上1質量%未満が溶解してもよく、0〜0.5質量%が溶解してもよい。
樹脂の溶解量は、例えば、ハロゲン元素等のヘテロ原子を含む樹脂であれば、溶解液中のヘテロ原子の含有量を測定することにより、確認することができる。ヘテロ原子を含まない樹脂の溶解量は、従来公知の分析方法により測定することが可能であり、当該分析方法としては、例えば、赤外分光法、ガスクロマトグラフ質量分析法、ゲル濾過浸透クロマトグラフィーが例として挙げられる。
<樹脂溶解液の製造方法>
本実施形態の樹脂溶解液の製造方法は、上述の樹脂の溶解方法を樹脂溶解工程として有する。樹脂溶解液として、樹脂Aが溶解せず、樹脂Bのみが溶解した溶解液を得ることができる。
<樹脂の溶解方法及び樹脂溶解液の製造方法の用途>
本実施形態の樹脂の溶解方法及び樹脂溶解液の製造方法の用途としては、樹脂Aを利用する方法、樹脂Bを利用する方法の2種類に大別される。
(樹脂Aを利用する方法)
本実施形態の樹脂の溶解方法により溶け残った樹脂Aを利用する方法としては、マテリアルリサイクルが例として挙げられる。
本明細書において「マテリアルリサイクル」とは、1種類の樹脂からなる廃プラスチックをプラスチック原料としてプラスチック製品に再生するリサイクル方法を意味する。
樹脂Aをマテリアルリサイクルする場合、まず本実施形態の樹脂の溶解方法により得られた樹脂溶解液を固液分離することにより、樹脂Aを分取する。得られた樹脂Aを洗浄及び乾燥することにより樹脂Aを固体として得る。得られた樹脂Aを本分野で公知のマテリアルリサイクル法により処理することができる。
マテリアルリサイクルでは、樹脂Aは1種類であることが好ましい。マテリアルリサイクルで使用される樹脂Aとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリル樹脂等が好ましい。
(樹脂Bを利用する方法)
本実施形態の樹脂の溶解方法により溶解した樹脂Bを利用する方法としては、ケミカルリサイクルが例として挙げられる。
本明細書において「ケミカルリサイクル」とは、複数の種類の樹脂を含む混合物である廃プラスチックを化学的に変換(分解等)することにより化学原料に再生するリサイクル方法を意味する。ケミカルリサイクルとしては、廃プラスチックを化学的に分解し、プラスチックやモノマーに戻す原料・モノマー化、廃プラスチックを製鉄所で還元剤として使用する高炉原料化、廃プラスチックをコークス炉で分解することにより、炭化水素油、コークス、コークス炉ガスを得るコークス炉化学原料化、廃プラスチックを熱で分解して合成ガスを得るガス化、廃プラスチックを熱で分解して合成ガスを得るガス化が例として挙げられる。
樹脂Bをケミカルリサイクルする場合、まず本実施形態の樹脂の溶解方法により得られた固体の樹脂Aを含む樹脂溶解液を固液分離することにより、樹脂Aを分離し、樹脂Bが溶媒Lに溶解した溶解液を得る。そして、得られた溶解液をケミカルリサイクルの原料として使用することが好ましい。
本実施形態においては、ケミカルリサイクルの中でも廃プラスチックを化学的に分解し、プラスチックやモノマーに戻す原料・モノマー化反応に前記溶解液を使用することが好ましい。原料・モノマー化反応を行う場合、本実施形態における複数の種類の樹脂を含む混合物としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、及びポリ塩化ビニルからなる樹脂を用いることが好ましく、樹脂Aとしてはポリ塩化ビニルを、樹脂Bとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリスチレンを選択することが好ましい。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<樹脂>
溶解させる樹脂として、以下の樹脂を用いた。
・ポリ塩化ビニル(製品名:KVC 933J−N、昭和化成工業株式会社製、密度:1.325g/cm
・ポリスチレン(製品名:トーヨースチロールGP G201C、東洋スチレン株式会社製、密度:1.040g/cm
・低密度ポリエチレン(製品名:ノバテックLD LJ802、日本ポリエチレン株式会社製、密度:0.918g/cm
以下、ポリ塩化ビニルをPVC、ポリスチレンをPS、低密度ポリエチレンをLDPEと表す(表1及び表3においても同様)。PVC、PS、LDPEはその形状、色が異なるため、後述の実施例において、どの樹脂が溶解したかを目視で判別可能である。
<溶媒>
樹脂を溶解する溶媒として、以下の溶媒を用いた。
・軽質分解軽油
・オレンジ油(富士フイルム和光純薬株式会社製、沸点:177℃、密度:0.845g/cm
・軽質芳香族溶剤(製品名:スワゾール1000、丸善石油化学株式会社製、沸点範囲:160〜180℃、密度:0.875g/cm
軽質分解軽油とは、流動接触分解反応によって得られた軽油留分のうちの軽質な留分である(沸点範囲:175〜365℃)。以下、軽質分解軽油をLCOと表す(表2及び表3においても同様)。
<HPS値、R等の算出>
上記樹脂について、HSPiPを使用して、ハンセン球法によりハンセン球を決定し、HSP値及びRを求めた。樹脂のHSP値及びRを表1に示す。同様に、上記溶媒について、HSPiPを使用して、ハンセン球法によりハンセン球を決定し、HSP値を求めた。溶媒のHSP値を表2に示す。なお、ハンセン球を求める際の溶解性の判断は25℃を基準に行った。
<塩素量の測定>
後述の実施例1〜4及び比較例1、2で得られた溶液中の塩素濃度を、微量塩素・硫黄装置(TCL−2100V、三菱ケミカルアナリティック社製)により測定した。
Figure 2021160281
Figure 2021160281
[実施例1]
樹脂A1としてPVCを、樹脂B1としてPSを選択し、溶媒として、LCOを選択した。PVCのHSP値とLCOのHSP値をそれぞれ、前記式1の(δd、δp、δh)及び(δd、δp、δh)に代入し、PVCとLCO間のHSP値距離(Ra(A1))を求めた。さらに、PVCのR及びRa(A1)からLCOのPVCに対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差であるRED(A1)を求めた。同様に、PSのHSP値とLCOのHSP値をそれぞれ、前記式1の(δd、δp、δh)及び(δd、δp、δh)に代入し、PSとLCO間のHSP値距離(Ra(B1))を求めた。さらに、PSのR及びRa(B1)からLCOのPSに対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差であるRED(B1)を求めた。Ra(A1)、RED(A1)、Ra(B1)、及びRED(B1)を表3に示す。
PVC5g、PS5gの混合物に対して、LCOを90g添加し、25℃で60分間撹拌処理を行った。溶解状態を目視で観察したところ、PSは完全に溶解し、固体のPVCが確認された。溶液中の塩素量を表3に示す。
[実施例2]
樹脂A1としてPVCを、樹脂B1としてPSを選択し、溶媒として、オレンジ油を選択した。PVCのHSP値とオレンジ油のHSP値をそれぞれ、前記式1の(δd、δp、δh)及び(δd、δp、δh)に代入し、PVCとオレンジ油間のHSP値距離(Ra(A1))を求めた。さらに、PVCのR及びRa(A1)からオレンジ油のPVCに対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差であるRED(A1)を求めた。同様に、PSのHSP値とオレンジ油のHSP値をそれぞれ、前記式1の(δd、δp、δh)及び(δd、δp、δh)に代入し、PSとオレンジ油間のHSP値距離(Ra(B1))を求めた。さらに、PSのR及びRa(B1)からオレンジ油のPSに対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差であるRED(B1)を求めた。Ra(A1)、RED(A1)、Ra(B1)、及びRED(B1)を表3に示す。
PVC5g、PS5gの混合物に対して、オレンジ油を90g添加し、25℃で60分間撹拌処理を行った。溶解状態を目視で観察したところ、PSはオレンジ油に完全に溶解し、固体のPVCが確認された。溶液中の塩素量を表3に示す。
[実施例3]
樹脂A1としてPVCを、樹脂B2としてLDPEを選択し、溶媒として、オレンジ油を選択した。PVCのHSP値とオレンジ油のHSP値をそれぞれ、前記式1の(δd、δp、δh)及び(δd、δp、δh)に代入し、PVCとオレンジ油間のHSP値距離(Ra(A1))を求めた。さらに、PVCのR及びRa(A1)からオレンジ油のPVCに対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差であるRED(A1)を求めた。同様に、LDPEのHSP値とオレンジ油のHSP値をそれぞれ、前記式1の(δd、δp、δh)及び(δd、δp、δh)に代入し、LDPEとオレンジ油間のHSP値距離(Ra(B2))を求めた。さらに、LDPEのR及びRa(B2)からオレンジ油のLDPEに対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差であるRED(B2)を求めた。Ra(A1)、RED(A1)、Ra(B2)、及びRED(B2)を表3に示す。
PVC5g、LDPE5gの混合物に対して、オレンジ油を90g添加し、25℃で60分間撹拌処理を行った。溶解状態を目視で観察したところ、LDPEは完全に溶解し、固体のPVCが確認された。溶液中の塩素量を表3に示す。
[実施例4]
樹脂A1としてPVCを、樹脂B1としてPSを、樹脂B2としてLDPEを選択し、溶媒として、オレンジ油を選択した。PVCのHSP値とオレンジ油のHSP値をそれぞれ、前記式1の(δd、δp、δh)及び(δd、δp、δh)に代入し、PVCとオレンジ油間のHSP値距離(Ra(A1))を求めた。さらに、PVCのR及びRa(A1)からオレンジ油のPVCに対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差であるRED(A1)を求めた。同様に、PSのHSP値とオレンジ油のHSP値をそれぞれ、前記式1の(δd、δp、δh)及び(δd、δp、δh)に代入し、PSとオレンジ油間のHSP値距離(Ra(B1))を求めた。さらに、PSのR及びRa(B1)からオレンジ油のPSに対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差であるRED(B1)を求めた。さらに、LDPEのHSP値とオレンジ油のHSP値をそれぞれ、前記式1の(δd、δp、δh)及び(δd、δp、δh)に代入し、LDPEとオレンジ油間のHSP値距離(Ra(B2))を求めた。さらに、LDPEのR及びRa(B2)からオレンジ油のPSに対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差であるRED(B2)を求めた。Ra(A1)、RED(A1)、Ra(B1)、RED(B1)、Ra(B2)、及びRED(B2)を表3に示す。
PVC5g、PS5g、LDPE5gの混合物に対して、オレンジ油を85g添加し、25℃で60分間撹拌処理を行った。溶解状態を目視で観察したところ、PS及びLDPEは完全に溶解し、固体のPVCが確認された。溶液中の塩素量を表3に示す。
[比較例1]
樹脂A1としてPVCを、樹脂B2としてLDPEを選択し、溶媒として、LCOを選択した。PVCのHSP値とLCOのHSP値をそれぞれ、前記式1の(δd、δp、δh)及び(δd、δp、δh)に代入し、PVCとLCO間のHSP値距離(Ra(A1))を求めた。さらに、PVCのR及びRa(A1)からLCOのPVCに対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差であるRED(A1)を求めた。同様に、LDPEのHSP値とLCOのHSP値をそれぞれ、前記式1の(δd、δp、δh)及び(δd、δp、δh)に代入し、LDPEとLCO間のHSP値距離(Ra(B2))を求めた。さらに、LDPEのR及びRa(B2)からLCOのLDPEに対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差であるRED(B2)を求めた。Ra(A1)、RED(A1)、Ra(B2)、及びRED(B2)を表3に示す。
PVC5g、LDPE5gの混合物に対して、LCOを90g添加し、25℃で60分間撹拌処理を行った。溶解状態を目視で観察したところ、固体のPVC及びLDPEが確認された。溶液中の塩素量を表3に示す。
[比較例2]
樹脂A1としてPVCを、樹脂B2としてLDPEを選択し、溶媒として、スワゾール1000を選択した。PVCのHSP値とスワゾール1000のHSP値をそれぞれ、前記式1の(δd、δp、δh)及び(δd、δp、δh)に代入し、PVCとスワゾール1000間のHSP値距離(Ra(A1))を求めた。さらに、PVCのR及びRa(A1)からスワゾール1000のPVCに対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差であるRED(A1)を求めた。同様に、LDPEのHSP値とスワゾール1000のHSP値をそれぞれ、前記式1の(δd、δp、δh)及び(δd、δp、δh)に代入し、LDPEとスワゾール1000間のHSP値距離(Ra(B2))を求めた。さらに、LDPEのR及びRa(B2)からスワゾール1000のLDPEに対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差であるRED(B2)を求めた。Ra(A1)、RED(A1)、Ra(B2)、及びRED(B2)を表3に示す。
PVC5g、LDPE5gの混合物に対して、スワゾール1000を90g添加し、25℃で60分間撹拌処理を行った。溶解状態を目視で観察したところ、固体のPVC及びLDPEが確認された。溶液中の塩素量を表3に示す。
Figure 2021160281
樹脂A1に対するハンセン溶解度パラメータに基づくREDが1超であり、樹脂B1及び/又は樹脂B2に対するハンセン溶解度パラメータに基づくREDが1以下である溶媒を選択した実施例1〜4では、樹脂A1を溶解せず、樹脂B1及び/又は樹脂B2のみを溶解することができた。
一方、樹脂A1に対するハンセン溶解度パラメータに基づくREDが1超であり、樹脂B2に対するハンセン溶解度パラメータに基づくREDが1超である溶媒を選択した比較例1、2では、樹脂A1は溶解しなかったものの、樹脂B2も溶解することができなかった。

Claims (5)

  1. 複数の種類の樹脂を含む混合物から、特定の樹脂を溶解せず、前記特定の樹脂以外の樹脂を溶解する、樹脂の溶解方法であって、前記特定の樹脂に対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差が1超であり、かつ前記特定の樹脂以外の樹脂に対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差が1以下である溶媒を選択し、前記溶媒に前記混合物を接触処理させて前記特定の樹脂以外の樹脂を溶解する、樹脂の溶解方法。
  2. 前記特定の樹脂は、塩素元素を含む、請求項1に記載の樹脂の溶解方法。
  3. 前記混合物は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、及びポリ塩化ビニルからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含む、請求項1又は2に記載の樹脂の溶解方法。
  4. 前記溶媒は、2種以上の溶媒を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂の溶解方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂の溶解方法を樹脂溶解工程として有する、樹脂溶解液の製造方法。
JP2020065196A 2020-03-31 2020-03-31 樹脂の溶解方法及び樹脂溶解液の製造方法 Pending JP2021160281A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020065196A JP2021160281A (ja) 2020-03-31 2020-03-31 樹脂の溶解方法及び樹脂溶解液の製造方法
PCT/JP2021/013562 WO2021200959A1 (ja) 2020-03-31 2021-03-30 樹脂の溶解方法、溶解樹脂含有液の製造方法、石油化学原料の製造方法、石油製品の製造方法、及び石油製品の製造システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020065196A JP2021160281A (ja) 2020-03-31 2020-03-31 樹脂の溶解方法及び樹脂溶解液の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021160281A true JP2021160281A (ja) 2021-10-11

Family

ID=78004240

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020065196A Pending JP2021160281A (ja) 2020-03-31 2020-03-31 樹脂の溶解方法及び樹脂溶解液の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021160281A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022075387A1 (ja) 2020-10-09 2022-04-14 東洋インキScホールディングス株式会社 カーボンナノチューブ分散液およびその利用
WO2024117749A1 (ko) * 2022-11-29 2024-06-06 롯데케미칼 주식회사 고분자 혼합물의 분리 방법

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022075387A1 (ja) 2020-10-09 2022-04-14 東洋インキScホールディングス株式会社 カーボンナノチューブ分散液およびその利用
WO2024117749A1 (ko) * 2022-11-29 2024-06-06 롯데케미칼 주식회사 고분자 혼합물의 분리 방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Zhao et al. Upcycling to sustainably reuse plastics
Rahimi et al. Chemical recycling of waste plastics for new materials production
Ellis et al. Chemical and biological catalysis for plastics recycling and upcycling
Vollmer et al. Beyond mechanical recycling: giving new life to plastic waste
Zhao et al. Solvent-based separation and recycling of waste plastics: A review
Ragaert et al. Mechanical and chemical recycling of solid plastic waste
Maharana et al. Recycling of polystyrene
JP2021160281A (ja) 樹脂の溶解方法及び樹脂溶解液の製造方法
Genuino et al. Pyrolysis of mixed plastic waste (DKR-350): Effect of washing pre-treatment and fate of chlorine
KR20230075517A (ko) 폴리올레핀들의 스티렌-보조 해중합
Chandrasekaran et al. From waste to resources: How to integrate recycling into the production cycle of plastics
Pandey et al. Practical ways to recycle plastic: current status and future aspects
Marek et al. A new efficient method for the processing of post-consumer polypropylene and other polyolefin wastes into polar waxes
Kumar et al. Application of high-resolution NMR and GC–MS to study hydrocarbon oils derived from noncatalytic thermal transformation of e-waste plastics
Branfoot et al. Recovery of chemical recyclates from fibre-reinforced composites: A review of progress.
Yu et al. Separation and Solvent Based Material Recycling of Polycarbonate from Electronic Waste
Al Alshaikh et al. Chlorinated plastics offer unique opportunities and challenges in upcycling
Tao et al. Co-pyrolysis mechanism of polyester enameled wire and PVC: A joint experimental and theoretical investigation
Parasuram et al. Catalytic pyrolysis of polystyrene waste using bentonite as a catalyst
Gohatre et al. Composition and recyclability analysis of poly (vinyl chloride) recovered from computer power cables and commercial wires
Lai et al. Decrosslinking effect of mechanochemistry on waste acrylonitrile butadiene rubber/poly (vinyl chloride) blends: a method for zero-waste recycling
Xu et al. Co-pyrolytic interactions and products of brominated epoxy resin and polyethylene terephthalate: TG-FTIR analysis and machine learning prediction
US20040152816A1 (en) Method and apparatus for treating thermoplastic resin composition containing additive
Cadena et al. Cell-phone recycling by solvolysis for recovery of metals
WO2021200959A1 (ja) 樹脂の溶解方法、溶解樹脂含有液の製造方法、石油化学原料の製造方法、石油製品の製造方法、及び石油製品の製造システム

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20200925

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240116

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240307

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240521

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20240718

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240918