JP2021158812A - 回転電機およびロータの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】異なる磁極の間に設けられる磁極境界線の形状を工夫することで磁気検出部の検出精度を向上させ、製品毎に特性がばらついてしまうことが抑えられる回転電機およびロータの製造方法を提供する。【解決手段】U相用,V相用,W相用センサSu,Sv,Swと対向する第1着磁部34bおよび回転センサSrと対向する第2着磁部34cを有し、第1および第2着磁部34b,34cの磁極が互いに異なる2段マグネット34において、第1着磁部34bと第2着磁部34cとの間の磁極境界線BLのロータ30の回転方向に沿う両側部(薄肉部34eの部分)が、磁極境界線BLのロータ30の回転方向に沿う中央部(肉厚部34dの部分)に対して、ロータ30の軸方向において回転センサSr側に配置されている。【選択図】図5
Description
本発明は、複数のコイルが巻装されたステータと、ステータに対して回転するロータと、を備えた回転電機に関する。
従来、自動二輪車等のエンジンの始動には、回転電機(例えば、スタータモータまたはACGスタータ)が用いられている。ACGスタータは、エンジンの始動時にはクランクシャフトを回転させるスタータモータとして作動し、エンジンの始動後には車載バッテリを充電する発電機として作動する。また、自動二輪車等のエンジンの始動に用いられるACGスタータは、点火タイミングや燃料噴射タイミング(例えば、ピストンの上死点など)を検出して、車載コントローラに最適なプラグの点火や燃料の噴射をさせるようにしている。
例えば、特許文献1には、エンジンの始動に用いられる始動モータ(回転電機)が記載されている。この始動モータは、U相,V相,W相に対応したコイルを有するステータと、クランクシャフトに固定されるロータとを備えている。ロータには、ステータと対向する環状のマグネットが設けられ、当該マグネットは、ロータの回転方向にN極およびS極が交互に現れるように着磁されている。
また、ステータのマグネットとの対向部分(非回転部分)には、U相,V相,W相に対応した3つのセンサ(磁気検出部)が設けられている。これにより、U相,V相,W相に対応したそれぞれのコイルに所定のタイミングで駆動電流が供給され、ひいてはスタータモータとして駆動される。
さらに、複数のマグネットのうちの1つだけ、基準の磁極とは異なる磁極の異極磁性部を設け、3つのセンサのうちの1つを、当該異極磁性部と対向させている。これにより、ロータが1回転する間に、異極磁性部による矩形波信号が1回出力され、この矩形波信号をプラグの点火や燃料の噴射のタイミングに利用している。
ところで、上述の特許文献1に記載された技術のように、マグネットに異極磁性部を設けるには、比較的小さな部分に小さな着磁コイル等(着磁装置)を対向させて、当該着磁コイルに大きな電流(着磁電流)を流す必要がある。この場合には、異極磁性部の磁極とその他の部分の磁極との境界部(磁極境界線)が不明瞭になることが起こり得る。すなわち、異極磁性部の周囲のその他の部分の磁極が、ぼんやりと異極磁性部の磁極になってしまうことが起こり得る。その結果、磁気検出部による磁極(N極/S極)の検出タイミングが製品毎にばらついてしまい、ひいてはスタータモータの駆動効率がばらついたり、プラグの点火や燃料の噴射のタイミングがばらついたりすることが起こり得る。
本発明の目的は、異なる磁極の間に設けられる磁極境界線の形状を工夫することで磁気検出部の検出精度を向上させ、製品毎に特性がばらついてしまうことが抑えられる回転電機およびロータの製造方法を提供することにある。
本発明の回転電機では、複数のコイルが巻装されたステータと、前記ステータに対して回転するロータと、を備えた回転電機であって、前記ステータに設けられ、前記ロータの回転方向に並んで配置された3つの第1磁気検出部と、前記ステータに設けられ、前記第1磁気検出部に対して前記ロータの軸方向にずれて配置された1つの第2磁気検出部と、前記ロータに設けられ、前記第1および第2磁気検出部と対向し、前記ロータの回転方向にN極およびS極が交互に現れるように配置された複数のマグネットと、を有し、前記複数のマグネットのうちの1つが、前記第1磁気検出部と対向する第1着磁部および前記第2磁気検出部と対向する第2着磁部を有し、前記第1および第2着磁部の磁極が互いに異なる2段マグネットであり、前記第1着磁部と前記第2着磁部との間の磁極境界線の前記ロータの回転方向に沿う両側部が、当該磁極境界線の前記ロータの回転方向に沿う中央部に対して、前記ロータの軸方向において前記第2磁気検出部側に配置されていることを特徴とする。
本発明のロータの製造方法では、ステータに対して回転するロータの製造方法であって、複数のマグネット素材を準備するマグネット素材準備工程と、前記複数のマグネット素材を、前記ロータの周方向に並べて前記ロータに固定するマグネット素材固定工程と、前記ロータに固定された前記複数のマグネット素材における前記ステータとの対向部に着磁装置をセットし、前記複数のマグネット素材を前記ロータの回転方向に交互に異極が現れるように着磁し、かつ前記複数のマグネット素材のうちの1つに対して、前記ステータに設けられた第1磁気検出部と対向する第1着磁部を一の磁極に着磁し、前記ステータに設けられた第2磁気検出部と対向する第2着磁部を他の磁極に着磁し、前記第1着磁部と前記第2着磁部との間の磁極境界線の前記ロータの回転方向に沿う両側部を、当該磁極境界線の前記ロータの回転方向に沿う中央部に対して、前記ロータの軸方向において前記第2磁気検出部側に配置する着磁工程と、を有することを特徴とする。
本発明の他の態様では、前記第1磁気検出部および前記第2磁気検出部の双方から等距離の位置に検出境界線が設けられ、当該検出境界線が前記磁極境界線の前記中央部に対して、前記ロータの軸方向において前記第1磁気検出部側に配置されていることを特徴とする。
本発明の他の態様では、前記第1着磁部の前記ロータの軸方向に対する長さ寸法が、前記第2着磁部の前記ロータの軸方向に対する長さ寸法よりも大きいことを特徴とする。
本発明の回転電機によれば、第1磁気検出部と対向する第1着磁部および第2磁気検出部と対向する第2着磁部を有し、第1および第2着磁部の磁極が互いに異なる2段マグネットにおいて、第1着磁部と第2着磁部との間の磁極境界線のロータの回転方向に沿う両側部が、磁極境界線のロータの回転方向に沿う中央部に対して、ロータの軸方向において第2磁気検出部側に配置されている。
これにより、第1および第2着磁部をそれぞれ互いに異極に着磁する際に、第2着磁部の部分で、かつ磁極境界線のロータの回転方向に沿う両側部に、所謂「着磁だれ」(図6(c)参照)が発生したとしても、当該「着磁だれ」の部分が、磁極境界線のロータの回転方向に沿う中央部を基準として、第1着磁部側にはみ出ることが抑えられる。したがって、第1および第2磁気検出部の検出精度をそれぞれ向上させることができ、ひいては製品毎に特性がばらつくことを抑えることが可能となる。
また、本発明のロータの製造方法によれば、磁力を有さない複数のマグネット素材を準備し、これらのマグネット素材をロータに並べて固定した後で、着磁工程を経てロータを完成させるので、磁力を有する複数のマグネットを、予めロータに固定する場合に比して、組み立て前の部品管理を容易にしつつ、ロータの組み立て作業を容易にすることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態1について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明に係る回転電機を示す斜視図を、図2はスロット数および極数を説明する説明図を、図3は図1の回転電機を側方から見た部分断面図を、図4は図3のセンサユニットの部分を拡大した部分断面図を、図5はマグネットの形状および配置関係を説明する説明図を、図6(a),(b),(c)はロータの製造手順を説明する説明図を、図7は図6(b)の第2着磁装置による着磁状態を説明する図を、図8は比較例のロータの着磁状態を説明する図5に対応した図をそれぞれ示している。
図1ないし図3に示される回転電機10は、所謂ACGスタータであって、自動二輪車等(図示せず)のスタータおよび発電機に用いられるものである。具体的には、回転電機10は、アウターローター型のブラシレスモータと同じ構造を採用している。そして、エンジン(図示せず)を始動する際には、車載バッテリ(図示せず)からの駆動電流の供給によりスタータモータとして作動し、エンジンの始動後には、エンジンの駆動力によりジェネレータとして作動する。
回転電機10は、その全体が扁平の略円盤形状に形成されており、エンジンを形成するクランクシャフト(図示せず)の軸方向端部に配置されている。具体的には、回転電機10は、クランクケース(図示せず)の内部に固定されるステータ20と、クランクシャフトに固定されてステータ20に対して回転するロータ30と、を備えている。これにより、回転電機10に駆動電流を供給することでクランクシャフトが回転され、これとは逆に、クランクシャフトの回転によりロータ30が回転される。
ステータ20は、複数の鋼板(磁性体)を積層してなるステータコア21を備えている。このステータコア21は、略筒状に形成された本体部21aと、当該本体部21aを中心に放射状に突出された複数のティース21bと、を備えている。具体的には、ティース21bは合計18個設けられ、その基端部が本体部21aに一体化されている。言い換えれば、ステータコア21には、合計18個のスロットSL(図2参照)が設けられている。
合計18個のティース21bのそれぞれには、プラスチック等の絶縁体よりなるインシュレータ21cが装着されている。なお、インシュレータ21cは、ステータコア21における本体部21aの外周部分にも設けられている。そして、ティース21bを覆うインシュレータ21cには、U相に対応したU相コイルCuと、V相に対応したV相コイルCvと、W相に対応したW相コイルCwとが、それぞれ集中巻により巻装されている。
ここで、図1においては、各コイルCu,Cv,Cwの巻装状態を分かり易くするために、各コイルCu,Cv,Cwのそれぞれに網掛けを施している。そして、U相コイルCu,V相コイルCvおよびW相コイルCwの巻順は、ロータ30の回転方向に対して、U相コイルCu,V相コイルCv,W相コイルCw,U相コイルCu,V相コイルCv…のように一相ずつ交互となっている(図2参照)。
また、ステータコア21の径方向外側で、かつ周方向に沿う一部分には、センサユニット22が設けられている。つまり、センサユニット22は、回転電機10の非回転部分に固定されている。このセンサユニット22は、プラスチック等の絶縁体により略T字形状に形成されたハウジング23を備えている。そして、ハウジング23は、ステータコア21に固定される固定部23aと、U相,V相およびW相に対応した合計3つのセンサ基板24u,24v,24wを収容するセンサ収容部23bと、を備えている。ここで、センサ収容部23bは、ステータコア21の径方向外側で、かつステータコア21の周方向に延びるようにして配置され、略円弧形状に形成されている。
図3に示されるように、ハウジング23のセンサ収容部23bに収容されたセンサ基板24u,24v,24wには、それぞれU相用センサSu,V相用センサSv,W相用センサSwが実装されている。また、W相に対応したセンサ基板24wには、点火タイミングおよび燃料噴射タイミングを検出するための回転センサSrも実装されている。ここで、U相用,V相用,W相用センサSu,Sv,Swの3つは、ロータ30の回転方向に並んで配置され、本発明における第1磁気検出部を構成している。また、回転センサSrの1つは、本発明における第2磁気検出部を構成している。
そして、これら4つのセンサSu,Sv,Sw,Srは、それぞれ同じ構成のホール素子となっている。具体的には、磁極(N極/S極)によりオン/オフが切り替わる交番検知型(バイポーラ)のホール素子となっている。例えば、N極を検出すると「オン信号(1)」を発生し、S極を検出すると「オフ信号(0)」を発生するようになっている。
これにより、合計12個のマグネットMG(図5参照)を有するロータ30の回転に伴って、各センサSu,Sv,Sw,Srは、それぞれ矩形波信号(図示せず)を出力するようになっている。よって、車載コントローラ(図示せず)は、これらの矩形波信号の入力に基づいて、ロータ30の回転状態を把握して、各コイルCu,Cv,Cwに対して最適なタイミングで駆動電流を供給することができる。また、車載コントローラは、点火タイミングおよび燃料噴射タイミングを把握して、イグナイターや燃料ポンプ(図示せず)を制御することができる。
図3および図4に示されるように、U相用センサSu,V相用センサSv,W相用センサSw,回転センサSrは、それぞれセンサ基板24u,24v,24wを介して、ステータコア21の各ティース21bの間(スロットSLの部分)に入り込んでいる。ここで、W相用センサSwおよび回転センサSrは、各ティース21bの間のうちの同じ箇所(同じスロットSLの部分)に入り込んでいる。そして、ステータコア21の軸方向に沿うW相用センサSwと回転センサSrとの離間寸法Lは、約5.0mmに設定されている。
より具体的には、回転電機10の駆動用に用いられるU相用,V相用,W相用センサSu,Sv,Swは、ステータコア21の軸方向に沿う略中央部に配置されている。これに対し、点火タイミングおよび燃料噴射タイミングを検出するために用いられる回転センサSrは、駆動用の各センサSu,Sv,Swに対して、ステータコア21の軸方向に沿うボス部32側とは反対側(図3および図4中上側)に配置されている。
このように、合計4つのセンサSu,Sv,Sw,Srは、何れもステータコア21に設けられ、そのうちの1つの回転センサSrのみが、駆動用の各センサSu,Sv,Swに対して、ロータ30の軸方向にずれて配置されている。ここで、各センサSu,Sv,Sw,Srは、何れも合計12個のマグネットMG(図5参照)に対して、回転電機10の径方向内側から対向するようになっている。これにより、各センサSu,Sv,Sw,Srは、ロータ30の回転に伴う磁極(N極/S極)の変化により、矩形波信号をそれぞれ出力するようになっている。
ここで、図5に示されるように、各センサSu,Sv,Sw,Srは、合計12個のマグネットMGに対して相対移動(相対回転)して、それぞれのマグネットMGのエッジ部分PN,PSに差し掛かったときにそれぞれの磁極を検出するようになっている。例えば、各センサSu,Sv,Sw,Srは、N極のエッジ部分PNに差し掛かると「オン信号(1)」を発生し、S極のエッジ部分PSに差し掛かると「オフ信号(0)」を発生するようになっている。
ここで、合計12個のマグネットMGのうちの11個は、ステータコア21(各センサSu,Sv,Sw,Sr)と対向する対向部SFに1つの磁極のみを有する標準マグネット33となっている。これに対し、合計12個のマグネットMGのうちのその他の1個は、ステータコア21(各センサSu,Sv,Sw,Sr)と対向する対向部SFに2つの磁極を有する2段マグネット34となっている。
そして、3つのU相用センサSu,V相用センサSv,W相用センサSwは、それぞれ2段マグネット34の第1着磁部34b(S極)と対向するようになっており、1つの回転センサSrは、2段マグネット34の第2着磁部34c(N極)と対向するようになっている。ここで、図4においては、各センサSu,Sv,Sw,Srの配置関係を分かり易くするために、各センサSu,Sv,Sw,Srに網掛けを施している。
図1ないし図5に示されるように、ロータ30はロータ本体31を備えている。このロータ本体31は、比較的厚みのある鋼板(磁性材料)をプレス加工等することで略お椀形状に形成され、略円盤状に形成された底壁部31aと、当該底壁部31aの外周部分から垂直に立ち上がった筒状の側壁部31bと、を備えている。
また、底壁部31aの回転中心には、クランクシャフトの軸方向端部が固定される筒状のボス部32が固定されている。これにより、ロータ本体31の回転に伴ってクランクシャフトが回転される。ここで、ボス部32の肉厚は、ロータ本体31の肉厚よりも厚くなっており、これにより回転電機10とエンジン(クランクシャフト)との固定強度が十分に確保される。よって、高速回転時等における回転むらの発生が抑えられて、エンジン(クランクシャフト)および回転電機10の双方に掛かる負荷を低減することができる。
そして、筒状の側壁部31bの径方向内側、つまり側壁部31bのステータコア21側には、合計12個のマグネットMGが装着されている。これらのマグネットMGはフェライト磁石であって、酸化鉄を主原料にバリウムやストロンチウム等を微量加えて焼き固めたものである。マグネットMGは、図2の網掛け部分に示されるように、筒状の側壁部31b(図1参照)の形状に倣って略円弧形状に形成されている。なお、これらのマグネットMGは、側壁部31bに対して接着剤等(図示せず)によって固定されている。
また、合計12個のマグネットMGは、略筒状に形成されたマグネットホルダHDによって、ロータ本体31の径方向内側から側壁部31bに向けて押さえ付けられている。これにより、それぞれのマグネットMGが、側壁部31bから脱落することが防止される。ここで、マグネットホルダHDは、可撓性を有する薄いステンレス鋼板等によって形成され、それぞれのマグネットMGを側壁部31bの周方向に対して等間隔で位置決めする機能も備えている。これにより、各マグネットMGの側壁部31bに対する固定作業を容易にして、回転電機10の組み立て作業性を向上させている。
合計12個のマグネットMGと、合計4つのセンサSu,Sv,Sw,Srとの位置関係は、図5に示される位置関係となっている。図5は、ロータ本体31の筒状の側壁部31b(図3参照)を平面状に展開した模式図となっている。
各マグネットMGの幅寸法Wは約30mmに設定され、各マグネットMGの高さ寸法Hは約20mmに設定されている。また、ロータ30の回転方向に沿う各マグネットMGの間隔寸法Gは約2mmに設定されている。そして、各マグネットMGのエッジ部分PN,PSのピッチP1は30度に設定されている。このピッチP1(30度)は、ロータ30の回転方向に沿う各マグネットMGの配置間隔と一致しており、「360度÷12極」に基づいて得られる。
これに対し、駆動用の各センサSu,Sv,SwのピッチP2は20度に設定されている。このピッチP2(20度)は、ロータ30の回転方向に沿う各スロットSL(図2参照)の配置間隔と一致しており、「360度÷18スロット」に基づいて得られる。このように、本実施の形態における回転電機10は、[12極18スロット]のブラシレスモータを形成している。これにより、コギングトルクの発生が抑えられた滑らかな回転駆動が可能となっている。
図5に示されるように、標準マグネット33および2段マグネット34は、平面状に展開した状態において、いずれも凹凸や切欠部等を何も備えない単純な長方形形状に形成されている。そして、ロータ30の回転方向(図中左右方向)に対して、対向部SFの磁極がN極,S極,N極,S極…と交互に異極が現れるように配置されている。ここで、図5において、薄い網掛け部分がS極であり、濃い網掛け部分がN極である。
ここで、2段マグネット34の対向部SFには、大きな表面積を占める第1着磁部34bと、当該第1着磁部34bの表面積よりも小さな表面積の第2着磁部34cと、が設けられている。そして、2段マグネット34は、対向部SFがN極の1極に着磁された標準マグネット33の間に配置されており、第1着磁部34bがS極に着磁され、第2着磁部34cがN極に着磁されている。つまり、第1着磁部34bの磁極および第2着磁部34cの磁極は、互いに異なっている。
2段マグネット34の第2着磁部34cは、ロータ30の回転方向に帯状に延びており、第1着磁部34bに比して大分小さくなっている。第2着磁部34cは、ロータ30の回転方向に沿う中央部に配置された肉厚部34dと、ロータ30の回転方向に沿う肉厚部34dの両隣にそれぞれ配置された一対の薄肉部34eと、を備えている。
そして、肉厚部34dの厚み寸法w1は約3mmとなっており、薄肉部34eの厚み寸法w2は約2mmとなっている。また、ロータ30の回転方向に沿う薄肉部34eの長さ寸法w3は約8mmとなっており、ロータ30の回転方向に沿う肉厚部34dの長さ寸法に比して短くなっている。なお、第2着磁部34cのロータ30の回転方向に沿う両側には、それぞれ若干の「着磁だれ」が発生している。この「着磁だれ」は、後述の[二次着磁工程]を経ることにより、第2着磁部34cのN極の部分が、第1着磁部34bのS極の部分に食い込むようにして着磁されてしまう部分である。ただし、本実施の形態における「着磁だれ」の部分は、後述の「検出境界線LN」を越えることは無い。
第2着磁部34cの肉厚部34dは、第2着磁部34cの基準となる部分を形成しており、その厚み寸法w1は、2段マグネット34の高さ寸法H(約20mm)の約7分の1の寸法となっている。言い換えれば、第1着磁部34bのロータ30の軸方向に対する長さ寸法(約17mm)の方が、第2着磁部34cのロータ30の軸方向に対する長さ寸法(約3mm)よりも大分大きくなっている。
ここで、第1着磁部34bと第2着磁部34cとの間には、磁極の境界を示す磁極境界線BLが設けられている。磁極境界線BLは、2段マグネット34の対向部SF上に配置され、かつ段差状に形成されている。具体的には、肉厚部34dと一対の薄肉部34eとの接続部分には直角の段差部34aが形成されており、これにより磁極境界線BLのロータ30の回転方向に沿う両側部が、磁極境界線BLのロータ30の回転方向に沿う中央部に対して、ロータ30の軸方向において回転センサSr側に配置されている。すなわち、第2着磁部34cの基準の部分をなす肉厚部34d以外の部分、つまり一対の薄肉部34eの部分において、第1着磁部34bのS極が、第2着磁部34cのN極に食い込むようにして着磁されている。
また、図5に示されるように、磁極境界線BLの近傍には、仮想線(二点鎖線)で示されるように、検出境界線LNが形成されている。この検出境界線LNは、W相用センサSwと回転センサSrとの間の丁度真ん中に配置され、当該検出境界線LNの第1着磁部34b側(図中下側)が、駆動用の各センサSu,Sv,Swが磁極の変化を検出し得る第1検出領域AR1となっている。これに対し、検出境界線LNの第2着磁部34c側(図中上側)が、回転センサSrが磁極の変化を検出し得る第2検出領域AR2となっている。
すなわち、検出境界線LNは、W相用センサSwおよび回転センサSrの双方から等距離の位置に設けられており、第1検出領域AR1と第2検出領域AR2とを分ける線分となっている。なお、検出境界線LNは、肉厚部34dの部分(中央部)に対応した磁極境界線BLよりも、ロータ30の軸方向において駆動用の各センサSu,Sv,Sw側に配置されている。言い換えれば、検出境界線LNは、肉厚部34dの部分に対応した磁極境界線BLに対して、第1着磁部34b側に若干オフセットされている(ずれている)。
ここで、駆動用の各センサSu,Sv,Swの検出精度および回転センサSrの検出精度をそれぞれ向上させるためにも、ロータ30の軸方向に対する検出境界線LNの位置と、肉厚部34dの部分に対応した磁極境界線BLの位置とを、完全に一致させることが望ましい。このようにすることで、他方の磁極に影響を受けること無く、それぞれの磁極を精度良く検出することが可能となる。しかしながら実際には、構成部品の寸法精度がばらついたり、ステータ20に対するロータ30の軸ずれが生じたりするため、検出境界線LNの位置と、肉厚部34dの部分に対応した磁極境界線BLの位置とを、完全に一致させることは困難である。
そこで、駆動用の各センサSu,Sv,Swが、より高精度に磁極の変化を検出可能となるように、設計上において、検出境界線LNを中心として、第2着磁部34c側に第1着磁部34bのS極を少しだけはみ出させている。これにより、駆動用の各センサSu,Sv,Swの検出精度が十分に確保され、回転電機10をスタータモータとして確実に駆動させることが可能となっている。
ここで、図5に示されるように、駆動用の各センサSu,Sv,SwのピッチP2は20度となっている。そのため、駆動用の各センサSu,Sv,Swは、1つのマグネットMGに対して同時に対向することが無い。そして、駆動用の各センサSu,Sv,Swが、それぞれ異なるタイミングで矩形波信号を出力することで、車載コントローラはロータ30の回転状態(回転方向や回転速度等)を把握するようになっている。
ここで、回転センサSrは、ロータ30が1回転する間に、2段マグネット34の部分において3回連続でN極と対向することになる。つまり、駆動用の各センサSu,Sv,Swが出力する矩形波信号の長さを「1」としたときに、駆動用の各センサSu,Sv,Swは、常に長さが「1」の矩形波信号を出力する。これに対し、回転センサSrは、3回連続してN極と対向すると、長さが「3」の矩形波信号を出力する。したがって、車載コントローラは、回転センサSrからの長い矩形波信号の入力に基づいて、ロータ30が1回転したことを把握することができる。
このようにして、本実施の形態に係る回転電機10は、スタータモータとして効率良く回転駆動することができ、かつ点火タイミングや燃料噴射タイミングを確実に検出可能となっている。
なお、図5に示されるように、回転センサSrは、ロータ30の軸方向に対して、N極に着磁された第2着磁部34cから第1着磁部34b側とは反対側に少しだけはみ出た位置に配置されている。これにより、回転センサSrは、検出境界線LNを中心として第2着磁部34c側に少しだけはみ出た第1着磁部34bのS極の影響を受け難くなっている。したがって、回転センサSrの検出精度も低下することが無い。
次に、合計12個のマグネットMG(11個の標準マグネット33および1個の2段マグネット34)が設けられたロータ30の製造方法(組立手順)について、図面を用いて詳細に説明する。
[マグネット素材準備工程]
まず、図6(a)に示されるように、いずれも同じ形状で、かつ単純な長方形形状に形成された複数のマグネット素材WK(合計12個)を準備する。なお、複数のマグネット素材WKのうちの11個が標準マグネット33となり、その他の1個が2段マグネット34となる。これにより、[マグネット素材準備工程]が完了する。なお、複数のマグネット素材WKは焼結品であって、特定形状の金型を用いて焼結成形を行うことで、図6(a)に示されるような長方形形状となる。
まず、図6(a)に示されるように、いずれも同じ形状で、かつ単純な長方形形状に形成された複数のマグネット素材WK(合計12個)を準備する。なお、複数のマグネット素材WKのうちの11個が標準マグネット33となり、その他の1個が2段マグネット34となる。これにより、[マグネット素材準備工程]が完了する。なお、複数のマグネット素材WKは焼結品であって、特定形状の金型を用いて焼結成形を行うことで、図6(a)に示されるような長方形形状となる。
また、複数のマグネット素材WKは、着磁作業を行っていない状態の素材、つまり磁力を有さない素材となっている。したがって、部品単体において磁力で互いに張り付くことが無い。よって、複数のマグネット素材WKの管理を容易にすることができ、かつ複数のマグネット素材WKのロータ本体31(図3参照)への組み付け作業性を向上させることが可能となっている。
なお、図6においては、着磁作業の状態を分かり易くするために、2段マグネット34となる1つのマグネット素材WKと、2段マグネット34の両隣に配置され、標準マグネット33となる2つのマグネット素材WKのみ(合計3個)を示している。
[マグネット素材固定工程]
次に、[マグネット素材準備工程]で準備した合計12個のマグネット素材WKを、ロータ本体31の側壁部31b(図3参照)の径方向内側に、その周方向に並べて固定する作業を行う。このとき、側壁部31bの径方向内側に所定量の接着剤(図示せず)を塗布し、当該接着剤が乾燥する前にマグネットホルダHD(図3参照)を用いて合計12個のマグネット素材WKを、側壁部31bに密着させて位置決めする。
次に、[マグネット素材準備工程]で準備した合計12個のマグネット素材WKを、ロータ本体31の側壁部31b(図3参照)の径方向内側に、その周方向に並べて固定する作業を行う。このとき、側壁部31bの径方向内側に所定量の接着剤(図示せず)を塗布し、当該接着剤が乾燥する前にマグネットホルダHD(図3参照)を用いて合計12個のマグネット素材WKを、側壁部31bに密着させて位置決めする。
これにより、ロータ本体31の周方向に各マグネット素材WKが間隔寸法G(約2mm)で並べられて固定される(図3および図5参照)。これにより、[マグネット素材固定工程]が完了する。ここで、接着剤を素早くかつ確実に乾燥させるために、各マグネット素材WKが固定されたロータ本体31を、乾燥炉(図示せず)に入れても構わない。このとき、各マグネット素材WKは着磁前の状態であるため、熱減磁等の不具合が生じることは無い。
[一次着磁工程]
次に、図6(a)に示されるように、各マグネット素材WKを、ロータ30の回転方向にN極およびS極が交互に現れるように1回目の着磁作業を実施する。このとき、ロータ本体31における側壁部31bの径方向内側に、各マグネット素材WKをそれぞれ個別にかつ一度に着磁可能な第1着磁装置MM1(詳細図示せず)をセットする。より具体的には、各マグネット素材WKにおけるステータ20との対向部SFに第1着磁装置MM1をセットし、当該第1着磁装置MM1に設けられたそれぞれの着磁コイルMC1を、各マグネット素材WKのステータ20との対向部SFの正面に対向させる。
次に、図6(a)に示されるように、各マグネット素材WKを、ロータ30の回転方向にN極およびS極が交互に現れるように1回目の着磁作業を実施する。このとき、ロータ本体31における側壁部31bの径方向内側に、各マグネット素材WKをそれぞれ個別にかつ一度に着磁可能な第1着磁装置MM1(詳細図示せず)をセットする。より具体的には、各マグネット素材WKにおけるステータ20との対向部SFに第1着磁装置MM1をセットし、当該第1着磁装置MM1に設けられたそれぞれの着磁コイルMC1を、各マグネット素材WKのステータ20との対向部SFの正面に対向させる。
その後、第1着磁装置MM1を駆動して、それぞれの着磁コイルMC1に所定の大きさの電流を流す。このとき、図6(a)に示されるように、それぞれの着磁コイルMC1に流れる電流の向きを変えるようにする。すると、図6(b)の網掛け部分に示されるように、真ん中のマグネット素材WKにおける対向部SFの全面がS極に着磁され、その両隣のマグネット素材WKにおける対向部SFの全面がそれぞれN極に着磁される。これにより、[一次着磁工程]が完了する。
[二次着磁工程]
次に、図6(b)に示されるように、2段マグネット34となる真ん中のマグネット素材WKのみを再度着磁する2回目の着磁作業を実施する。このとき、上述の[一次着磁工程]で用いた第1着磁装置MM1とは別の第2着磁装置MM2を用いる。具体的には、図6(b)および図7に示されるように、第2着磁装置MM2は、1つの2段着磁コイルMC2を備えている。
次に、図6(b)に示されるように、2段マグネット34となる真ん中のマグネット素材WKのみを再度着磁する2回目の着磁作業を実施する。このとき、上述の[一次着磁工程]で用いた第1着磁装置MM1とは別の第2着磁装置MM2を用いる。具体的には、図6(b)および図7に示されるように、第2着磁装置MM2は、1つの2段着磁コイルMC2を備えている。
ここで、2段着磁コイルMC2は、マグネット素材WKの対向部SFを、大きい表面積のS極の部分と小さい表面積のN極の部分とに着磁するようになっている。すなわち、2段着磁コイルMC2は、大きなS極用コイルMSと小さなN極用コイルMNとを備えている。具体的には、図7に示されるように、N極用コイルMNの部分に着目すると、当該N極用コイルMNは、2段マグネット34の第2着磁部34c(肉厚部34d/薄肉部34e)の形状に倣って、ロータ30の回転方向に沿う中央部(図中左右方向に沿う中央部)が、S極用コイルMS側に出っ張った形状となっている。
つまり、S極用コイルMSが配置される領域とN極用コイルMNが配置される領域とは、互いにコイル境界線MBによって区切られており、これにより2段マグネット34の磁極境界線BLの形状が、コイル境界線MBの形状と略同じ形状となる。そして、S極用コイルMSの形状が転写されるように、第1着磁部34bがS極に着磁され、N極用コイルMNの形状が転写されるように、第2着磁部34cがN極に着磁される。
より具体的には、図6(b)に示されるように、2段着磁コイルMC2を、2段マグネット34となる真ん中のマグネット素材WKのステータ20との対向部SFの正面に対向させる。これにより、マグネット素材WKの第1着磁部34bにS極用コイルMSが対向し、マグネット素材WKの第2着磁部34cにN極用コイルMNが対向する。
次いで、第2着磁装置MM2を駆動して、2段着磁コイルMC2のS極用コイルMSおよびN極用コイルMNに、それぞれ所定の大きさの電流を流す。このとき、図6(b)に示されるように、S極用コイルMSおよびN極用コイルMNに流れる電流の向きは、それぞれ逆向きとなる。
これにより、図6(c)の網掛け部分に示されるように、真ん中のマグネット素材WKに、上述した磁極境界線BLが形成されて、当該磁極境界線BLを境として、第1着磁部34bがS極(一の磁極)に着磁され、第2着磁部34cがN極(他の磁極)に着磁される。これにより、[二次着磁工程]が完了し、真ん中のマグネット素材WKが2段に着磁されて、2段マグネット34が完成する。これにより、全ての着磁工程が終了し、ロータ30が完成する。
ここで、上述の[一次着磁工程]および[二次着磁工程]が、本発明の着磁工程を構成している。
また、S極用コイルMSおよびN極用コイルMNは、コイル境界線MB(磁極境界線BL)を境に互いに対極を着磁する。そのため、磁極境界線BLを境にS極およびN極を明瞭に分けることが可能となっている。しかしながら、第2着磁部34cのロータ30の回転方向に沿う両側には、[一次着磁工程]および[二次着磁工程]を経ることで、どうしても若干の「着磁だれ」が発生してしまう。そこで、本実施の形態においては、コイル境界線MB(磁極境界線BL)の形状を上述のように工夫しているため、「着磁だれ」の部分は、検出境界線LNを越えることは無い。
なお、「着磁だれ」の部分が検出境界線LNを越えてしまうと、駆動用の各センサSu,Sv,Sw(図5参照)の検出精度を低下させることになる。以下、駆動用の各センサSu,Sv,Swの検出精度を低下させる「着磁だれ」の発生メカニズムについて、図面を用いて詳細に説明する。
図8に示されるように、磁極境界線BLの形状に工夫が無く、略真っ直ぐな磁極境界線BLを備えた2段マグネットA(比較例)、つまり「着磁だれ」の発生を考慮していない2段マグネットAを有するロータをモデルに説明する。本比較例では、上述と同様に、同じ形状の3つのマグネット素材Bを準備しつつ、上述した[一次着磁工程]および[二次着磁工程]と略同様の工程を経て、真ん中のマグネット素材Bのみを2段マグネットAにする。ただし、本比較例においては、図7で説明した第2着磁装置MM2における2段着磁コイルMC2のコイル境界線MBの形状が真っ直ぐなもの(工夫を施していないもの)を用いている。
この場合、ロータの回転方向に沿う2段マグネットAの両側に、比較的大きな「着磁だれ」が発生する。そして、磁極境界線BLは略真っ直ぐに形成されるため、当該「着磁だれ」の部分は、図8の破線円に示されるように、検出境界線LNを越えて第1着磁部34b側にはみ出てしまう。つまり、ロータの回転方向に沿う第2着磁部34cの両側のN極の部分が、検出境界線LNを越えて第1着磁部34b側にはみ出てしまう。
この「着磁だれ」は、2段マグネットAの両隣に配置された、対向部SFがN極に着磁された標準マグネットCの磁力の影響を受けることに起因する。そこで、検出境界線LNを越える程の「着磁だれ」の発生を抑えるべく、本実施の形態においては、「着磁だれ」が発生する箇所を、第1着磁部34b側とは反対側に後退させるよう、磁極境界線BLを段付き形状となるように工夫している。これにより、図6(c)に示されるように「着磁だれ」が発生したとしても、当該「着磁だれ」の部分が、検出境界線LNを越えることは無く、ひいては駆動用の各センサSu,Sv,Swの検出精度が低下することが無い。
以上詳述したように、本実施の形態に係る回転電機10によれば、U相用,V相用,W相用センサSu,Sv,Swと対向する第1着磁部34bおよび回転センサSrと対向する第2着磁部34cを有し、第1および第2着磁部34b,34cの磁極を互いに異ならせた2段マグネット34において、第1着磁部34bと第2着磁部34cとの間の磁極境界線BLのロータ30の回転方向に沿う両側部(薄肉部34eの部分)が、磁極境界線BLのロータ30の回転方向に沿う中央部(肉厚部34dの部分)に対して、ロータ30の軸方向において回転センサSr側に配置されている。
これにより、第1および第2着磁部34b,34cをそれぞれ互いに異極に着磁する際に、第2着磁部34cの部分で、かつ磁極境界線BLのロータ30の回転方向に沿う両側部に、所謂「着磁だれ」(図6(c)参照)が発生したとしても、当該「着磁だれ」の部分が、磁極境界線BLのロータ30の回転方向に沿う中央部を基準として、第1着磁部34b側にはみ出ることが抑えられる。したがって、各センサSu,Sv,Sw,Srの検出精度をそれぞれ向上させることができ、ひいては製品毎に特性がばらつくことを抑えることが可能となる。
また、本実施の形態に係る回転電機10によれば、W相用センサSwおよび回転センサSrの双方から等距離の位置に検出境界線LNが設けられ、当該検出境界線LNが磁極境界線BLの中央部(肉厚部34dの部分)に対して、ロータ30の軸方向において駆動用の各センサSu,Sv,Sw側に配置されている。
これにより、駆動用の各センサSu,Sv,Swが、より高精度に磁極の変化を検出することが可能となり、回転電機10をスタータモータとして確実に駆動させることができる。
さらに、本実施の形態に係る回転電機10によれば、第1着磁部34bのロータ30の軸方向に対する長さ寸法が、第2着磁部34cのロータ30の軸方向に対する長さ寸法よりも大きいので、より精度良く磁極の変化を検出させる必要がある駆動用の各センサSu,Sv,Swの検出精度を、十分に確保することが可能となる。よって、回転電機10をスタータモータとしてより確実に駆動させることができる。
また、本実施の形態に係るロータ30の製造方法によれば、磁力を有さない複数のマグネット素材WKを準備し、これらのマグネット素材WKをロータ30に並べて固定した後で、[一次着磁工程]および[二次着磁工程]を経て、ロータ30を完成させるので、磁力を有するマグネットを、予めロータに固定する場合に比して、組み立て前の部品管理を容易にしつつ、ロータの組み立て作業を容易にすることが可能となる。
次に、本発明の他の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図9は実施の形態2の2段マグネットを示す平面図を、図10は実施の形態3の2段マグネットを示す平面図を、図11は実施の形態4の2段マグネットを示す平面図をそれぞれ示している。
2段マグネット34に設けられる磁極境界線BLの形状は、図5に示されるような直角の段差部34aを有する段差形状に限らず、図9ないし図11に示されるような形状にすることもできる。この場合、上述の[二次着磁工程]で使用した第2着磁装置MM2の2段着磁コイルMC2を変更するようにする。具体的には、2段着磁コイルMC2のコイル境界線MB(図7参照)の形状を変えるようにする。
[実施の形態2]
図9に示されるように、実施の形態2の2段マグネット34では、ロータ30の回転方向に沿う肉厚部34dの長さ寸法を長くしつつ、ロータ30の回転方向に沿う一対の薄肉部34eの長さ寸法を短くしている。具体的には、薄肉部34eの長さ寸法w4は約4mmとなっている。なお、薄肉部34eの長さ寸法w4は、発生し得る「着磁だれ」の大きさに合わせて、最小限の長さ寸法となるように設定されている。
図9に示されるように、実施の形態2の2段マグネット34では、ロータ30の回転方向に沿う肉厚部34dの長さ寸法を長くしつつ、ロータ30の回転方向に沿う一対の薄肉部34eの長さ寸法を短くしている。具体的には、薄肉部34eの長さ寸法w4は約4mmとなっている。なお、薄肉部34eの長さ寸法w4は、発生し得る「着磁だれ」の大きさに合わせて、最小限の長さ寸法となるように設定されている。
このような実施の形態2においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態2では、第2着磁部34cの基準の部分をなす肉厚部34dの表面積を十分に大きくすることができるので、回転センサSr(図5参照)の検出精度をより向上させることが可能となる。
[実施の形態3]
図10に示されるように、実施の形態3の2段マグネット34では、磁極境界線BL形状が略V字形状に形成されている。そして、ロータ30の回転方向に沿う磁極境界線BLの中央部が検出境界線LNの最も近くに配置され、ロータ30の回転方向に沿う磁極境界線BLの両側部が、ロータ30の軸方向において回転センサSr側に配置されている。
図10に示されるように、実施の形態3の2段マグネット34では、磁極境界線BL形状が略V字形状に形成されている。そして、ロータ30の回転方向に沿う磁極境界線BLの中央部が検出境界線LNの最も近くに配置され、ロータ30の回転方向に沿う磁極境界線BLの両側部が、ロータ30の軸方向において回転センサSr側に配置されている。
このような実施の形態3においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態3では、磁極境界線BLの形状が、実施の形態1のように直角の段差部34aを有する形状(図5参照)では無く、単純な略V字形状であるため、第2着磁装置MM2の2段着磁コイルMC2の形状、特にN極用コイルMNの形状を簡素化することが可能となる。
[実施の形態4]
図11に示されるように、実施の形態4の2段マグネット34では、ロータ30の回転方向に沿う磁極境界線BLの中央部が、略円弧形状に形成されている。そして、この略円弧形状に形成された磁極境界線BLの中央部が、検出境界線LNの最も近くに配置されている。なお、実施の形態4においても、ロータ30の回転方向に沿う磁極境界線BLの両側部が、ロータ30の軸方向において回転センサSr側に配置されている。
図11に示されるように、実施の形態4の2段マグネット34では、ロータ30の回転方向に沿う磁極境界線BLの中央部が、略円弧形状に形成されている。そして、この略円弧形状に形成された磁極境界線BLの中央部が、検出境界線LNの最も近くに配置されている。なお、実施の形態4においても、ロータ30の回転方向に沿う磁極境界線BLの両側部が、ロータ30の軸方向において回転センサSr側に配置されている。
このような実施の形態4においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態4では、実施の形態3と同様に、磁極境界線BLの形状が、実施の形態1のように直角の段差部34aを有する形状(図5参照)では無く、2段着磁コイルMC2のN極用コイルMNの形状を、簡素化することができる。
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記各実施の形態においては、図6に示されるように、着磁工程において、第1着磁装置MM1を用いた[一次着磁工程]と、第2着磁装置MM2を用いた[二次着磁工程]とを、それぞれこの順番で個別に実施した場合を示したが、本発明はこれに限らない。例えば、複数の着磁コイルMC1と1つの2段着磁コイルMC2とを備えた1つの着磁装置(図示せず)を用いることで、1回の着磁動作で一気に図6(c)に示されるような着磁状態(完成)にすることもできる。この場合、着磁工程に要する時間を半減させることができ、ひいては製造コストを低減することが可能となる。
また、上記各実施の形態においては、回転電機10を、「12極18スロット」のブラシレスモータ構造としたものを示したが、本発明はこれに限らず、他の極数および他のスロット数であっても構わない。
さらに、上記各実施の形態においては、回転電機10を、自動二輪車等のスタータおよび発電機に用いられるACGスタータとしたものを示したが、本発明はこれに限らず、例えば、耕運機などの農機具や小型船舶の船外機等のエンジンの始動に用いられるACGスタータ(回転電機)にも適用することができる。
その他、上記各実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上記各実施の形態に限定されない。
10 回転電機
20 ステータ
21 ステータコア
21a 本体部
21b ティース
21c インシュレータ
22 センサユニット
23 ハウジング
23a 固定部
23b センサ収容部
24u,24v,24w センサ基板
30 ロータ
31 ロータ本体
31a 底壁部
31b 側壁部
32 ボス部
33 標準マグネット(マグネット)
34 2段マグネット(マグネット)
34a 段差部
34b 第1着磁部
34c 第2着磁部
34d 肉厚部
34e 薄肉部
A 2段マグネット
AR1 第1検出領域
AR2 第2検出領域
B マグネット素材
BL 磁極境界線
C 標準マグネット
Cu U相コイル(コイル)
Cv V相コイル(コイル)
Cw W相コイル(コイル)
HD マグネットホルダ
LN 検出境界線
MB コイル境界線
MC1 着磁コイル
MC2 2段着磁コイル
MG マグネット
MM1 第1着磁装置(着磁装置)
MM2 第2着磁装置(着磁装置)
MN N極用コイル
MS S極用コイル
PN,PS エッジ部分
SF 対向部
SL スロット
Sr 回転センサ(第2磁気検出部)
Su U相用センサ(第1磁気検出部)
Sv V相用センサ(第1磁気検出部)
Sw W相用センサ(第1磁気検出部)
WK マグネット素材
20 ステータ
21 ステータコア
21a 本体部
21b ティース
21c インシュレータ
22 センサユニット
23 ハウジング
23a 固定部
23b センサ収容部
24u,24v,24w センサ基板
30 ロータ
31 ロータ本体
31a 底壁部
31b 側壁部
32 ボス部
33 標準マグネット(マグネット)
34 2段マグネット(マグネット)
34a 段差部
34b 第1着磁部
34c 第2着磁部
34d 肉厚部
34e 薄肉部
A 2段マグネット
AR1 第1検出領域
AR2 第2検出領域
B マグネット素材
BL 磁極境界線
C 標準マグネット
Cu U相コイル(コイル)
Cv V相コイル(コイル)
Cw W相コイル(コイル)
HD マグネットホルダ
LN 検出境界線
MB コイル境界線
MC1 着磁コイル
MC2 2段着磁コイル
MG マグネット
MM1 第1着磁装置(着磁装置)
MM2 第2着磁装置(着磁装置)
MN N極用コイル
MS S極用コイル
PN,PS エッジ部分
SF 対向部
SL スロット
Sr 回転センサ(第2磁気検出部)
Su U相用センサ(第1磁気検出部)
Sv V相用センサ(第1磁気検出部)
Sw W相用センサ(第1磁気検出部)
WK マグネット素材
Claims (6)
- 複数のコイルが巻装されたステータと、
前記ステータに対して回転するロータと、
を備えた回転電機であって、
前記ステータに設けられ、前記ロータの回転方向に並んで配置された3つの第1磁気検出部と、
前記ステータに設けられ、前記第1磁気検出部に対して前記ロータの軸方向にずれて配置された1つの第2磁気検出部と、
前記ロータに設けられ、前記第1および第2磁気検出部と対向し、前記ロータの回転方向にN極およびS極が交互に現れるように配置された複数のマグネットと、
を有し、
前記複数のマグネットのうちの1つが、前記第1磁気検出部と対向する第1着磁部および前記第2磁気検出部と対向する第2着磁部を有し、前記第1および第2着磁部の磁極が互いに異なる2段マグネットであり、
前記第1着磁部と前記第2着磁部との間の磁極境界線の前記ロータの回転方向に沿う両側部が、当該磁極境界線の前記ロータの回転方向に沿う中央部に対して、前記ロータの軸方向において前記第2磁気検出部側に配置されていることを特徴とする、
回転電機。 - 請求項1に記載の回転電機において、
前記第1磁気検出部および前記第2磁気検出部の双方から等距離の位置に検出境界線が設けられ、当該検出境界線が前記磁極境界線の前記中央部に対して、前記ロータの軸方向において前記第1磁気検出部側に配置されていることを特徴とする、
回転電機。 - 前記第1着磁部の前記ロータの軸方向に対する長さ寸法が、前記第2着磁部の前記ロータの軸方向に対する長さ寸法よりも大きいことを特徴とする、
請求項1または請求項2に記載の回転電機。 - ステータに対して回転するロータの製造方法であって、
複数のマグネット素材を準備するマグネット素材準備工程と、
前記複数のマグネット素材を、前記ロータの周方向に並べて前記ロータに固定するマグネット素材固定工程と、
前記ロータに固定された前記複数のマグネット素材における前記ステータとの対向部に着磁装置をセットし、前記複数のマグネット素材を前記ロータの回転方向に交互に異極が現れるように着磁し、かつ前記複数のマグネット素材のうちの1つに対して、前記ステータに設けられた第1磁気検出部と対向する第1着磁部を一の磁極に着磁し、前記ステータに設けられた第2磁気検出部と対向する第2着磁部を他の磁極に着磁し、前記第1着磁部と前記第2着磁部との間の磁極境界線の前記ロータの回転方向に沿う両側部を、当該磁極境界線の前記ロータの回転方向に沿う中央部に対して、前記ロータの軸方向において前記第2磁気検出部側に配置する着磁工程と、
を有することを特徴とする、
ロータの製造方法。 - 請求項4に記載のロータの製造方法において、
前記第1磁気検出部および前記第2磁気検出部の双方から等距離の位置に検出境界線が設けられ、当該検出境界線が前記磁極境界線の前記中央部に対して、前記ロータの軸方向において前記第1磁気検出部側に配置されていることを特徴とする、
ロータの製造方法。 - 前記第1着磁部の前記ロータの軸方向に対する長さ寸法が、前記第2着磁部の前記ロータの軸方向に対する長さ寸法よりも大きいことを特徴とする、
請求項4または請求項5に記載のロータの製造方法。
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