JP2021157730A - 管渠診断装置及び管渠診断方法 - Google Patents
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Abstract
Description
そのため、目視やカメラによる外観調査や、下水管渠に対する衝撃弾性波試験やセンサによる診断調査を行い、下水管渠の状態を直接確認することで、不具合が生じていることが認められる箇所への対応を行うことも検討されている。
しかし、下水管渠の規模を鑑みると、調査に係る人件費や、診断調査用の装置の配置に係る設備コストが膨大になるという問題があり、好ましくない。
これらの問題を解決するため、下水管渠のような自然流下式管渠の維持管理に係る診断調査として、管渠の維持管理に係る人的コスト及び設備コストを削減することができるものが求められている。
すなわち、本発明は、以下の管渠診断装置及び管渠診断方法である。
本発明の管渠診断装置は、この知見に基づくものであり、本来ならば流体の輸送時に状態変動が生じない自然流下式管渠において、その予測状態と実測状態との差異を求めることで、管渠の状態を間接的な指標で大まかに捉えることができる。これにより、管渠の状態を簡便に把握した上で、対応箇所の早期特定や維持管理コストの削減が可能となる。
この特徴によれば、管渠に係る予測状態と実測状態に加え、過去の診断データも使用することで、管渠の状態に係る診断の精度を高めることが可能となる。
この特徴によれば、管渠内を流れる流体の予測流量と実測流量の差異から管渠の状態を診断することが可能となる。これにより、管渠の状態を診断することに特化した診断装置を設けることなく、比較的簡便な測定装置により管渠の状態を診断することが可能となる。したがって、管渠の維持管理に係る維持管理コストの削減が可能となる。
この特徴によれば、降雨実測情報を用いた雨量の予測を行い、この予測雨量を管渠に流入する増加分として予測流量の算出に用いることで、予測流量の算出に係る精度を高めることが可能となる。これにより、診断の精度を高めることが可能となる。
この特徴によれば、メッシュ状に区分された地域ごとに診断を行うことで、管渠に不具合が生じた範囲をより精度を高めて捉えることができ、対応箇所の早期特定が可能となる。
この特徴によれば、管渠内を流れる流体の予測濃度と実測濃度の差異から管渠の状態を診断することが可能となる。これにより、管渠の状態を診断することに特化した診断装置を設けることなく、比較的簡便な測定装置により管渠の状態を診断することが可能となる。したがって、管渠の維持管理に係る維持管理コストの削減が可能となる。
本発明の管渠診断方法は、本来ならば流体の輸送時に状態変動が生じない自然流下式管渠において、その予測状態と実測状態との差異を求めることで、管渠の状態を間接的な指標で大まかに捉えることができ、管渠の状態を簡便に把握した上で、対応箇所の早期特定や維持管理コストの削減が可能となる。
なお、実施態様に記載する管渠診断装置及び管渠診断方法については、本発明に係る管渠診断装置及び管渠診断方法を説明するために例示したにすぎず、これに限定されるものではない。
図1は、本発明の第1の実施態様における管渠診断装置を示す概略説明図である。
本実施態様に係る管渠診断装置1Aは、図1に示すように、複数の配管10が合流することで形成される管路網を備える下水管渠100に対して設けられるものである。なお、図1における下水管渠100は管路網の一例を示すものであり、これに限定されるものではない。
また、管渠診断装置1Aは、下水管渠100に対する予測状態に関する情報の取得あるいは演算を行う予測状態情報取得部2と、下水管渠100に対する実測状態に関する情報の取得を行う実測状態情報取得部3と、予測状態情報取得部2と実測状態情報取得部3で得られた情報の差異から下水管渠100の状態を診断する診断演算部4とを備えている。なお、図1における一点鎖線は、互いに入出力可能となるように接続されていることを示している。
実測状態情報取得部3は、下水管渠100に対する実測状態に関する情報の取得を行うための手段を備えるものであればよく、例えば、作業者により必要な情報収集を行うことや、必要な情報収集に係る測定を行うことができる各種測定装置を用いること等が挙げられる。
診断演算部4は、予測状態情報取得部2と実測状態情報取得部3で得られた情報を対比して判断を行う手段を備えるものであればよく、例えば、作業者が情報の対比及び判断を行うことや、各種データの入出力が可能で、演算に必要なプログラムをCPU等のプロセッサにより実行する計算装置を用いること等が挙げられる。なお、診断演算部4と予測状態情報取得部2について、1つの計算装置で兼用するものとしてもよく、別々の計算装置として設けたものを互いに入出力可能となるように接続するものとしてもよい。
例えば、予測状態情報取得部2による予測状態に係る情報として、任意の地点A及びその周辺地域における雨量を、降雨実測情報を用いて予測するとともに、任意の地点Aにおける予測流量を算出する。一方、実測状態情報取得部3による実測状態に係る情報として、任意の地点Aにおいて流量計31による実測流量の測定を行う。
そして、予測流量と実測流量のデータを診断演算部4に入力し、診断演算部4において予測流量と実測流量の対比を行う。
仮に、予測流量と実測流量が略一致した場合、下水管渠100の状態には不具合がないと判断する。
一方、予測流量と実測流量の間に有意な差が生じた場合、下水管渠100の配管10に、経年劣化や腐食による穴が開いているなどの不具合が生じていると判断する。
特に、下水管渠100の配管10では、下水が常に流れる断面下方部より、下水中の気化した成分が接触・蓄積する断面上方部のほうが劣化や腐食による影響を受ける。したがって、下水管渠100の状態に不具合が生じた場合には、配管10上部から不明水が流入し、予測流量よりも実測流量のほうが大きくなるという傾向が現れることになる。このとき、配管10内に流入する不明水としては、地中に保持されている水分のほか、下水管渠100の管路網を介さずに流入する雨水などが挙げられる。
したがって、任意の地点Aにおいて、予測流量よりも実測流量のほうが大きいという結果が得られた場合、任意の地点Aの上流側で下水管渠100の状態に不具合が生じているということがわかる。
図2は、本発明の第2の実施態様における管渠診断装置を示す概略説明図である。
第2の実施態様に係る管渠診断装置1Bは、第1の実施態様における管渠診断装置1Aに対し、過去の診断データと、予測状態情報取得部2や実測状態情報取得部3で取得した予測状態及び/又は実測状態の関係から、下水管渠100の状態を判定する判定部5をさらに設けるものである。なお、第1の実施態様の構成と同じものについては、説明を省略する。
判定部5としては、過去の診断データと、予測状態情報取得部2や実測状態情報取得部3で取得した予測状態及び/又は実測状態との関係から、下水管渠100の状態を判定する演算手段を備えるものであれば特に限定されない。例えば、作業者が各種データを収集し、演算を行うことや、各種データの入出力が可能で、演算に必要なプログラムをCPU等のプロセッサにより実行する計算装置を用いること等が挙げられる。なお、判定部5は、予測状態情報取得部2及び診断演算部4と、1つの計算装置で兼用するものとしてもよく、別々の計算装置として設けたものを互いに入出力可能となるように接続するものとしてもよい。
判定部5では、過去の診断データを基に、予測状態と実測状態の対比における閾値を設定する。この閾値は、予測状態と実測状態の間にどの程度の差異が発生したら、下水管渠100の不具合が生じていると判断することができるかということに係る値である。なお、閾値の設定において、過去の診断データに加え、下水管渠100の施工からの経過年数も加味したものとしてもよい。
そして、予測状態情報取得部2及び実測状態情報取得部3で取得した予測状態と実測状態について診断演算部4における対比を行い、この対比結果を判定部5に入力する。
さらに、判定部5では、入力した対比結果と過去の診断データに基づく閾値との比較を行い、下水管渠100の状態に係る判定を行う。例えば、診断演算部4において予測状態と実測状態の間に有意な差異が生じているという対比結果が得られた場合であっても、この差異が過去の診断データに基づく閾値を超えていないときには、この差異は下水管渠100の不具合が生じていることを指すものではないという判定を行うことができる。これにより、下水管渠100の状態に係る診断の精度を高めることが可能となる。
図3は、本発明の第3の実施態様における管渠診断装置を示す概略説明図である。
第3の実施態様に係る管渠診断装置1Cは、第1の実施態様における管渠診断装置1Aにおいて、予測状態と実測状態に係る情報として、予測濃度と実測濃度を取得するものである。より具体的には、予測状態情報取得部2において扱う情報として、任意の地点Aにおける予測濃度を用い、実測状態情報取得部3において扱う情報として、任意の地点Aにおける実測濃度を用いるものとする。なお、第1の実施態様の構成と同じものについては、説明を省略する。
本発明者らは、種々の検討の結果、沿岸地域における下水管渠100に不具合が生じている場合、潮位の変化に応じて塩分濃度が周期的に変動するという知見を得た。
本来、下水管渠100において不具合が生じていない場合、図4中の破線で示すように、塩分濃度は一定値を示すものである。一方、下水管渠100に不具合が生じている場合、潮位が上がることで海水が配管10内に流入し、図4中の太線で示すように、塩分濃度の変化を生じさせることがわかった。
Claims (7)
- 自然流下式管渠の診断を行う管渠診断装置であって、
管渠に係る予測状態と実測状態との差異から診断を行うことを特徴とする、管渠診断装置。 - 過去の診断データと、前記予測状態及び/又は前記実測状態との関係から、管渠の状態を判定する判定部を備えることを特徴とする、請求項1に記載の管渠診断装置。
- 前記予測状態と前記実測状態は、それぞれ任意の地点における予測流量と実測流量であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の管渠診断装置。
- 前記予測流量は、前記任意の地点及びその周辺地域における雨量を降雨実測情報から予測して算出するものであることを特徴とする、請求項3に記載の管渠診断装置。
- 前記任意の地点は、メッシュ状に区分された地域ごとに選択されることを特徴とする、請求項3又は4に記載の管渠診断装置。
- 前記予測状態と前記実測状態は、それぞれ任意の地点における予測濃度と実測濃度であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の管渠診断装置。
- 自然流下式管渠の診断を行う管渠診断方法であって、
管渠に係る予測状態と実測状態との差異から診断を行う診断工程を備えることを特徴とする、管渠診断方法。
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