JP2021156879A - 破断面解析装置、破断面解析方法、及び、機械学習用データセットの生成方法 - Google Patents

破断面解析装置、破断面解析方法、及び、機械学習用データセットの生成方法 Download PDF

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真行 濱田
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真行 濱田
俊輔 喜多
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俊輔 喜多
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Tomotake Hirata
智丈 平田
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Takahiro Kitagawa
貴弘 北川
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Abstract

【課題】材料情報や破断面の特徴などのデータベースを必要とせずに、破断面解析の初心者でも破断面画像から破壊起点及びき裂の進展方向を推定できるようにする。【解決手段】破断面解析装置100は、破断面を撮影した画像に対して二値化処理を行う画像処理部30と、画像処理部30により二値化された画像から複数の直線を抽出する画像解析部40と、画像解析部40により抽出された複数の直線を用いて、破断面における破壊起点及びき裂の進展方向を推定する破断面解析部50とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、構造物の破断面の解析技術に関し、特に、破断面解析装置、破断面解析方法、及び、機械学習用データセットに関するものである。
構造物の破損事故が起きた場合、原因調査を目的として破断面解析が実施される。破断面解析では、低倍率での観察を中心とするマクロ解析と、高倍率での観察を中心とするミクロ解析とが実施される。マクロ解析では主に破壊起点やき裂の進展方向の解析が行われ、ミクロ解析では主に破壊様式の解析が行われる(例えば特許文献1、2参照)。
破断面解析では、過去に観察した破断面の特徴との類似性を調べるので、正しい解析結果を導出するためには豊富な経験が必要となる。このため、経験が浅い若手技術者は、破壊起点、き裂の進展方向及び破壊様式などの判断に迷うことが多く、そのたびに熟練技術者への相談や文献調査などを行って経験不足を補う必要がある。
特開平11−101625号公報 特開2009−085737号公報
近年、「退職等による熟練技術者の減少」や「再発防止策の早期策定のための破断面解析時間の短縮への要求」などが重なって、若手技術者には厳しい状況となっている。また、誤った破断面解析結果に基づく再発防止策では、破損事故が再発する可能性が高く、若手技術者が感じる精神的圧力も大きい。このような環境にある若手技術者を補助する技術として、破断面解析の豊富な経験を必要としない解析方法の開発が求められている。
しかしながら、従来の破断面解析技術には、厳しい状況にある若手技術者を補助する技術としては、以下のような2つの課題がある。
(1)一定以上の破断面解析能力が必要
破断面解析に関する研究開発は、高度な解析能力を有する研究者によって実施されているので、従来の破断面解析技術は、研究者と同程度の解析能力を有する技術者による使用が前提となっている。このため、若手技術者が使いこなすことは難しい。
(2)データベースが必要
従来の破断面解析技術として、様々な材料の材料情報(材質や物性など)や破断面の特徴量のデータベースを構築し、破壊様式が不明な破損品の材料情報や破断面の特徴量と類似するものをデータベースから探索し、破壊様式を推定する解析方法が提案されている。しかしながら、全ての材料をデータベース化することは不可能であるため、従来の破断面解析技術では、類似する材料も含めてデータベースに無いものの破壊様式を判定することはできない。
前記に鑑み、本発明は、材料情報や破断面の特徴などのデータベースを必要とせずに、破断面解析の初心者でも破断面画像から破壊起点及びき裂の進展方向を推定できるようにすることを目的とする。
前記の目的を達成するためには、様々な技術レベルにある若手技術者を補助する破断面解析技術として、一定以上の解析能力を必要としないことが求められる。これは、破断面解析の中から、解析経験が影響する作業や判断を排除することに等しい。また、膨大な数の材料を網羅したデータベースの構築は現実的に難しいため、データベースを必要としない破断面解析技術であることが求められる。
また、マクロ解析、ミクロ解析の両方の自動解析技術を開発することが理想であるが、両者は観察倍率の違いなどがあり、1つの解析方法として開発することは難しい。一般的な破断面解析の進め方では、マクロ解析を実施した後にミクロ解析が実施される場合が多い。そこで、本願発明者らは、破断面解析の初期段階で必要となるマクロ解析について、解析経験やデータベースを必要としない新たな解析技術の開発に取り組んだ結果、以下のような特徴(A)、(B)を持つ本発明の破断面解析技術に想到した。
(A)二値化による画像処理の導入
「二値化」とは、カラー画像などを白と黒のピクセルで表すことを意味し、二値化した画像を「二値画像」という。マクロ解析において、破壊起点を推定する方法として、破断面上に形成される段差に注目する方法がある。この段差が放射状に広がったものは「放射状模様」と呼ばれ、この「放射状模様」の収束位置が「破壊起点」となる。破断面画像内の段差や放射状模様を正確に見出すためには、豊富な解析経験が必要となるが、本発明では、画像処理(二値化)を採用することによって解析経験の影響を排除することに成功した。
(B)直線抽出による破壊起点の推定
直線抽出とは、例えば白地に黒いピクセルが分散して描画されている二値画像において、より多くの黒いピクセルを通るような直線を計算により求める手法のことをいう。例えば、二値画像中である一定の幅を持つ任意の線を考え、このような線のうち、最も多く黒いピクセルを通る線を計算で求めてもよい。この場合、線の幅の持たせ方は、単純に太い線としてもよいし、或いは、直線の起点から一定の角度で広がる線としてもよい。直線抽出法のその他の例としては、ハフ変換が挙げられる。また、「破壊起点」は、破断面画像内においてカタカナの「ハ」のような形で広がる放射状模様の収束点(ハの二本線を伸ばしたときの交点)となる。破断面の二値画像中では、段差や放射状模様が黒又は白のピクセルで「ハ」の字状にいくつも描画されている。従って、この二値画像に対して、放射状模様を描画するピクセルをより多く通る直線を複数本抽出すれば、これらの直線の交点から「破壊起点」を推定することができる。本発明では、解析経験が影響する破壊起点の推定においても以上の直線抽出の手法を適用することによって、解析経験の影響を排除することに成功した。
すなわち、本発明に係る破断面解析装置は、構造物の破断面を撮影した画像に対して二値化処理を行う画像処理部と、前記画像処理部により二値化された画像から複数の直線を抽出する画像解析部と、前記画像解析部により抽出された複数の直線を用いて、前記破断面における破壊起点及びき裂の進展方向を推定する破断面解析部とを備える。
また、本発明に係る破断面解析方法は、構造物の破断面を撮影した画像に対して二値化処理を行う画像処理ステップと、前記画像処理ステップで二値化された画像から複数の直線を抽出する画像解析ステップと、前記画像解析ステップで抽出された複数の直線を用いて、前記破断面における破壊起点及びき裂の進展方向を推定する破断面解析ステップとを備える。本発明に係る破断面解析方法は、記録媒体に記録されるコンピュータプログラムとして、コンピュータで実行可能である。
本発明に係る破断面解析装置及び破断面解析方法によると、破断面画像に対して二値化処理を行うことにより、豊富な解析経験やデータベースを必要とすることなく、破断面画像内の段差や放射状模様を見出すことができる。また、二値化された画像から複数の直線を抽出することにより、豊富な解析経験やデータベースを必要とすることなく、破断面における破壊起点及びき裂の進展方向を推定することができる。
従来の破断面解析技術では、一定以上の解析能力が要求されたり、データベースが必要であるため、破断面解析に取り組む若手技術者を補助する技術として適していなかった。それに対して、本発明では、前述のように、解析経験が影響する部分を排除できており、初心者でも破壊起点及びき裂の進展方向を推定することができる。また、本発明は、データベースを必要としないことから多種多様な材料に適用することができる。
また、本発明に係る破断面解析装置及び破断面解析方法において、二値化された画像から少なくとも2つ以上の部分二値画像を設定し、当該各部分二値画像から複数の直線を抽出してもよい。このようにすると、き裂の進展経路が直線状ではなくカーブや分岐などを含むような場合にも、破壊起点及びき裂の進展方向を推定することができる。
また、本発明を種々の破断面に適用することで、二値画像のデータと破壊起点位置のデータの組み合わせだけではなく、二値化する前の破断面画像のデータと破壊起点位置のデータの組み合わせも得ることができる。これらのデータの組み合わせは、破断面画像から、機械学習により破壊起点を推定するための機械学習用データセットとして利用できる。
すなわち、本発明に係る機械学習用データセットの生成方法は、構造物の破断面を撮影した画像から、機械学習により前記破断面における破壊起点を推定するための機械学習用データセットを生成する方法であって、前記機械学習用データセットの入力データとして、前記画像を生成するか、又は、前記画像に対して二値化処理を行って二値画像を生成し、前記機械学習用データセットの教師データとして、前記二値画像から複数の直線を抽出し、抽出された複数の直線を用いて、前記破壊起点を推定する。
本発明によると、材料情報や破断面の特徴などのデータベースを必要とせずに、破断面解析の初心者でも破断面画像から破壊起点及びき裂の進展方向を推定することができる。
図1は、実施形態に係る破断面解析装置の構成図である。 図2Aは、実施形態に係る破断面解析方法を説明する図であって、材料欠陥を起点とする破断面画像の一例を示す。 図2Bは、実施形態に係る破断面解析方法を説明する図であって、図2Aに示す破断面画像を二値化した画像を示す。 図2Cは、実施形態に係る破断面解析方法を説明する図であって、図2Bに示す二値画像から直線を抽出する様子を示す。 図2Dは、実施形態に係る破断面解析方法を説明する図であって、図2Bに示す二値画像から直線を抽出する様子を示す。 図2Eは、実施形態に係る破断面解析方法を説明する図であって、図2Bに示す二値画像から直線を抽出する様子を示す。 図2Fは、実施形態に係る破断面解析方法を説明する図であって、図2Bに示す二値画像から複数の直線を抽出すると共に破壊起点を同定する様子を示す。 図2Gは、実施形態に係る破断面解析方法を説明する図であって、図2Bに示す二値画像においてき裂の進展方向を推定する様子を示す。 図2Hは、実施形態に係る破断面解析方法を説明する図であって、図2Bに示す二値画像から抽出された複数の直線の交点が破断面領域上に存在しない場合に破壊起点を同定する様子を示す図である。 図3Aは、実施形態に係る破断面解析方法を、き裂の進展経路が直線状である場合に適用した様子の一例を示す図である。 図3Bは、実施形態に係る破断面解析方法を、き裂の進展経路が直線状である場合に適用した様子の一例を示す図である。 図4Aは、実施形態に係る破断面解析方法を、き裂の進展経路が直線状でない場合に適用した様子の一例を示す図である。 図4Bは、実施形態に係る破断面解析方法を、き裂の進展経路が直線状でない場合に適用した様子の一例を示す図である。 図5Aは、実施形態に係る破断面解析方法を改良して、き裂の進展経路が直線状でない場合に適用した様子の一例を示す図であって、3×3の小領域に分割された二値画像を示す。 図5Bは、実施形態に係る破断面解析方法を改良して、き裂の進展経路が直線状でない場合に適用した様子の一例を示す図であって、二値画像に設定された部分二値画像を示す。 図5Cは、実施形態に係る破断面解析方法を改良して、き裂の進展経路が直線状でない場合に適用した様子の一例を示す図であって、二値画像に設定された部分二値画像を示す。 図5Dは、実施形態に係る破断面解析方法を改良して、き裂の進展経路が直線状でない場合に適用した様子の一例を示す図であって、二値画像に設定された部分二値画像を示す。 図5Eは、実施形態に係る破断面解析方法を改良して、き裂の進展経路が直線状でない場合に適用した様子の一例を示す図であって、二値画像に設定された部分二値画像を示す。 図5Fは、実施形態に係る破断面解析方法を改良して、き裂の進展経路が直線状でない場合に適用した様子の一例を示す図であって、部分二値画像において抽出された直線とその交点を示す。 図5Gは、実施形態に係る破断面解析方法を改良して、き裂の進展経路が直線状でない場合に適用した様子の一例を示す図であって、部分二値画像において抽出された直線とその交点を示す。 図5Hは、実施形態に係る破断面解析方法を改良して、き裂の進展経路が直線状でない場合に適用した様子の一例を示す図であって、部分二値画像において抽出された直線とその交点を示す。 図5Iは、実施形態に係る破断面解析方法を改良して、き裂の進展経路が直線状でない場合に適用した様子の一例を示す図であって、部分二値画像において抽出された直線とその交点を示す。 図6は、実施形態に係る破断面解析方法を改良して、き裂の進展経路が直線状でない場合に適用した様子の一例を示す図である。 図7は、実施形態に係る破断面解析方法を改良して、き裂の進展経路が直線状でない場合に適用した様子の一例を示す図である。 図8は、実施形態に係る破断面解析方法を改良して、き裂の進展経路が直線状である場合に適用した様子の一例を示す図である。 図9Aは、実施形態に係る破断面解析方法において二値画像から直線を抽出する方法の第1例を説明する図である。 図9Bは、実施形態に係る破断面解析方法において二値画像から直線を抽出する方法の第1例を説明する図である。 図9Cは、実施形態に係る破断面解析方法において二値画像から直線を抽出する方法の第1例を説明する図である。 図9Dは、実施形態に係る破断面解析方法において二値画像から直線を抽出する方法の第1例を説明する図である。 図10Aは、実施形態に係る破断面解析方法において二値画像から直線を抽出する方法の第2例を説明する図である。 図10Bは、実施形態に係る破断面解析方法において二値画像から直線を抽出する方法の第2例を説明する図である。 図10Cは、実施形態に係る破断面解析方法において二値画像から直線を抽出する方法の第2例を説明する図である。 図10Dは、実施形態に係る破断面解析方法において二値画像から直線を抽出する方法の第2例を説明する図である。 図11は、実施形態に係る破断面解析方法により得られたデータを、破断面画像から機械学習により破壊起点を推定するための機械学習用データセットとして用いる様子を示す図である。 図12は、実施例に係る破断面解析の対象となる破断面画像を示す図である。 図13は、図12に示す破断面画像を二値化した画像の一例を示す図である。 図14は、図13に示す二値画像から直線を抽出した様子を示す図である。 図15は、図12に示す破断面画像から、ピクセル比率の異なる複数の二値画像を生成し、当該各二値画像から直線を抽出した様子を示す図である。 図16は、5個の交点A〜Eの集中度を評価する方法の一例を示す模式図である。 図17は、5個の交点A〜Eの集中度を評価する方法の他例を示す模式図である。 図18は、図13に示す二値画像から直線を抽出し、直線同士の交点の集中度に基づいて破壊起点を推定した様子を示す図である。
以下、実施形態に係る破断面解析装置及び破断面解析方法について、図面を参照しながら説明する。
(破断面解析装置の構成)
図1は、実施形態に係る破断面解析装置の構成図である。
図1に示す破断面解析装置100は、主として、画像処理部30と、画像解析部40と、破断面解析部50とを備える。尚、破断面解析装置100の各構成要素は、別体の装置部分として、分散して配置されていてもよい。
破断面解析装置100は、破損物(破壊起点及びき裂の進展方向を判定したい構造物)1の破断面の画像を撮影する撮影部10を備えていてもよい。撮影部10としては、破損物1の種類に応じて、SEM等の電子顕微鏡、実体顕微鏡、マイクロスコープ、デジタルカメラ等の種々の撮影手段を利用可能である。
破断面解析装置100は、撮影部10により撮影された破断面画像のデータを記憶する画像記憶部20を備えていてもよい。撮影部10が電子顕微鏡であれば、画像記憶部20は例えばハードディスク等の記憶媒体であってもよい。また、撮影部10がデジタルカメラであれば、画像記憶部20は例えばSDカード等の記憶媒体であってもよい。
画像処理部30は、撮影部10により撮影された破断面画像を画像記憶部20から読み込んで、当該画像に対して二値化処理を行う。これにより、破断面画像内の段差や放射状模様などが、他の部分と区別されて黒又は白のピクセルで描画される。破断面画像だけでは捉えることが困難な段差や放射状模様なども、二値化により抽出可能である。撮影部10としてSEMを用いる場合、二次電子像及び反射電子像のどちらでも段差や放射状模様などを撮影できるが、段差や放射状模様などがより明瞭に撮影できる反射電子像を用いて二値化することが望ましい。
画像解析部40は、画像処理部30により二値化された画像から複数の直線を抽出する。抽出された各直線は、き裂の進展経路を表す。画像解析部40は、段差や放射状模様を描画するピクセルをより多く通る直線を複数本抽出してもよい。二値画像からの直線抽出法の詳細については後述する。
破断面解析部50は、画像解析部40により抽出された複数の直線を用いて、破断面における破壊起点及びき裂の進展方向を推定する。破断面解析部50は、き裂進展経路解析部51と、破壊起点判定部52と、き裂進展方向判定部53とを有していてもよい。き裂進展経路解析部51は、画像解析部40により抽出された直線(き裂進展経路)同士の交点から、き裂の進展経路を解析する。破壊起点判定部52は、画像解析部40により抽出された直線(き裂進展経路)同士の交点の密集度から、破壊起点を判定する。き裂進展方向判定部53は、破壊起点判定部52により判定された破壊起点と、き裂進展経路解析部51により解析されたき裂進展経路とから、き裂の進展方向を判定する。
後述するように、破壊起点判定部52により破壊起点が判定できなかった場合、画像処理部30により得られた破断面の二値画像を任意の複数領域に分割し、当該領域を任意の個数結合した部分二値画像(結合領域画像)を用いて、画像解析部40、き裂進展経路解析部51及び破壊起点判定部52による各処理を繰り返し実施してもよい。
破断面解析装置100は、破断面解析部50により判定されたき裂の進展方向及び破壊起点を破断面画像上や二値画像上に表示する判定結果表示・加工部60を備えていてもよい。判定結果表示・加工部60は、必要に応じて判定結果の加工、例えば、き裂進展経路の線を太く表示する等を行ってもよい。
また、破断面解析装置100は、破断面解析部50により得られたき裂の進展方向及び破壊起点の解析結果データや、判定結果表示・加工部60により加工されたデータ等を保存する判定結果記憶部70を備えていてもよい。判定結果記憶部70は、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの記録媒体により構成される。判定結果記憶部70は、画像記憶部20と共通の記憶媒体として構成されていてもよい。
尚、破断面解析装置100において、画像処理部30、画像解析部40、破断面解析部50及び判定結果表示・加工部60の各機能は、コンピュータがプログラムを実行することによって実施される。コンピュータは、プログラムに従って動作するプロセッサ、プログラムの実行に必要なデータを記憶するメモリ等を主なハードウェア構成として備える。すなわち、後述する実施形態に係る破断面解析方法は、記録媒体に記録されるコンピュータプログラムとして、コンピュータで実行可能である。
(破断面解析方法)
図2A〜図2Hは、実施形態に係る破断面解析方法を説明する図である。図2Aは、材料欠陥を起点とする破断面画像(電子顕微鏡で撮影したSEM画像)の一例である。尚、図2B〜図2Hにおいて、図2Aに示す破断面画像における破断面領域の境界を破線で示している。
図2Bは、図2Aに示す破断面画像に対して画像処理部30が二値化を行って得られた白黒の二値画像である。図2Bにおいて、黒のピクセルが集まって線状に見えるものが、き裂の進展経路を示している。
図2C、図2D、図2E、図2Fは、図2Bに示す二値画像から複数の直線を抽出すると共に破壊起点を同定する様子を示す図である。具体的には、図2C、図2D、図2E、図2Fは、二値画像中に所定の幅を持った線を引き、当該線上に載る黒のピクセル数を計数してピクセル数が多い順(つまり優先度が高い順)に4本の直線L1、L2、L3、L4を順次抽出する様子を示す。ここで、黒のピクセルを多く通る直線は、破断面上に存在するき裂の進展経路を多く通る線となる。また、図2Fに示すように、抽出された直線同士の交点が集中する箇所(太破線で囲んだ領域)が、き裂の進展経路の起点つまり破壊起点Oとなる。
図2Gは、図2Bに示す二値画像においてき裂の進展方向を推定する様子を示す。図2Gに示すように、破壊起点Oから、抽出された各直線(き裂の進展経路)L1〜L4がそれぞれ広がる方向が、き裂の進展方向S1、S2、S3、S4となる。
尚、図2A〜図2Gは、図2Bに示す二値画像から抽出された複数の直線の交点が破断面領域上に存在する場合を例示しているが、直線の交点が破断面領域の外側に存在する場合もありうる。それは、破壊起点がある程度の幅を有する場合である。図2Hは、図2Bに示す二値画像から抽出された複数の直線の交点が破断面領域上に存在しない場合に破壊起点を同定する様子を示す。図2Hに示すように、破断面領域の境界(外周部)と、抽出された直線との交点間の領域(図2Hの場合、直線L2と破断面領域の境界との交点と、直線L3と破断面領域の境界との交点との間の領域)、つまり、破断面領域の境界上の幅を持った領域を破壊起点Oとみなしてもよい。この場合も、き裂の進展方向は、図2Gに示す場合と同様に、破壊起点Oから、抽出された各直線L1〜L4がそれぞれ広がる方向となる。
図3A、図3Bは、実施形態に係る破断面解析方法を、き裂の進展経路が直線状である場合に適用した様子の一例を示す図である。具体的には、図3Aは、撮影部10により得られた破断面画像に対して画像処理部30が二値化を行って得られた二値画像2において、き裂の進展経路3を黒のピクセルで示したものである。図3Aに示すき裂の進展経路3は、直線状である。図3Bは、図3Aに示す二値画像2に対して画像解析部40が複数の直線Lを抽出した様子を示している。図3Bに示すように、複数の直線Lの交点は一箇所に集中しているので、破壊起点を判定することができる。
図4A、図4Bは、実施形態に係る破断面解析方法を、き裂の進展経路が直線状でない場合に適用した様子の一例を示す図である。具体的には、図4Aは、撮影部10により得られた破断面画像に対して画像処理部30が二値化を行って得られた二値画像2において、き裂の進展経路3を黒のピクセルで示したものである。図4Aに示すき裂の進展経路3は、直線状ではなく、カーブや分岐を有している。また、実際の破壊起点(図中の中央上付近に位置する)に対して、き裂の進展経路3は、漢字の「八」の字のように末広がりになっている。図4Bは、図4Aに示す二値画像2に対して画像解析部40が複数の直線Lを抽出した様子を示している。図4Bに示すように、複数の直線Lの交点は一箇所に集中しておらず、このままでは破壊起点を判定することができない。図4Bにおいて、複数の直線Lの交点が一箇所に集中しない理由は、各き裂の進展経路3におけるカーブや分岐の前後で別々に直線Lが抽出されるためである。
以上に述べたように、き裂の進展経路が直線状でない場合には、後述するように、破断面解析においてカーブや分岐の影響を抑制する必要がある。
(破断面解析方法の改良)
図5A〜図5I、図6、図7は、前述の実施形態に係る破断面解析方法を改良して、き裂の進展経路が直線状でない場合に適用した様子の一例を示す図である。図5Aは、図4Aに示す二値画像2を例えば3×3の小領域2aに分割した様子を示す。尚、二値画像2の分割領域数は、き裂の進展経路3のカーブや分岐等の影響を排除できるように、解析対象の破断面に応じて任意に設定可能である。
図5B、図5C、図5D、図5Eはそれぞれ、図5Aに示す二値画像2において分割小領域2aを複数個結合した領域(本例では2×2の小領域2aの結合領域)を設定し、当該結合領域を縦横1つずつずらすことによって二値画像2全体から、4つの部分二値画像4A、4B、4C、4Dを抽出した様子を示す。
図5F、図5G、図5H、図5Iはそれぞれ、図5B、図5C、図5D、図5Eに示す部分二値画像4A、4B、4C、4Dから抽出された直線Lとその交点Cを示す図である。図5F、図5Gに示すように、部分二値画像4A、4Bでは、直線Lの交点Cが一箇所に集中する一方、図5H、図5Iに示すように、部分二値画像4C、4Dでは、直線Lの交点Cが一箇所に集中しない。
図6は、図5F、図5G、図5H、図5Iにそれぞれ示す直線Lの交点Cを、図5Aに示す二値画像2上にプロットした様子を示す。図6において、交点Cが集中する箇所が破壊起点Oとなる。尚、本例では、破壊起点Oを示す交点C以外の交点Cの中には、き裂の進展経路3の分岐点や曲がり角を示すものが含まれる。
図7は、図6に示す破壊起点Oを用いて、き裂の進展方向を推定している様子を示す。前述のように、破壊起点Oから各直線Lが広がる方向にき裂は進展するので、図7に示すように、図6で破壊起点Oの同定に用いた交点Cを通る直線Lを用いて、き裂の進展方向Sを推定することができる。
尚、以上に説明した部分二値画像を用いた破断面解析方法は、き裂の進展経路が直線状である場合に適用してもよい。図8は、図5A〜図5I、図6、図7を用いて説明した破断面解析方法を、図3Aに示す二値画像2(き裂の進展経路3が直線状)に適用した様子を示す図である。図8では、部分二値画像毎に得られた直線Lの交点Cをプロットしている。図8に示すように、き裂の進展経路3が直線状であっても、部分二値画像を用いて破壊起点Oを推定できる。また、図示は省略しているが、図7で説明したように、き裂の進展方向も推定することができる。
(二値画像からの直線抽出法の具体例)
画像解析部40における二値画像からの直線抽出に用いる手法は、例えば白地に黒いピクセルが分散して描画されている二値画像において、より多くの黒いピクセルを通るような直線を計算により求められる手法であれば、特に限定されるものではないが、例えば、図9A〜図9Dに示す手法や図10A〜図10Dに示す手法、或いは、ハフ変換などを用いてもよい。
図9A〜図9Dは、本実施形態に係る破断面解析方法において二値画像から直線を抽出する方法の第1例を説明する図である。
第1例では、図9Aに示すように、6個のピクセルX1〜X6が描画されている二値画像から直線を抽出する。まず、図9Aに示す二値画像の外周をある一定の間隔で区画する外周ポイントP0〜P7を設定する。
次に、図9Bに示すように、ピクセルX1から各外周ポイントP0〜P7に線を引く。ここで、ピクセルX1と各外周ポイントP0〜P7とを結ぶ線と、二値画像の外周とがなす角度をそれぞれθ0〜θ7とする。次に、角度θ0〜θ7を測定して、その結果を下記の表1に示すように、各外周ポイントP0〜P7の角度範囲に分類する。
Figure 2021156879
表1は、ピクセルX1の角度を分類した結果を示しており、角度θ0〜θ7の分類が該当する箇所に「1」が記入されている。
続いて、図9Cに示すように、ピクセルX2についても、ピクセルX1と同様の分類を行う。下記の表2は、ピクセルX2の角度を分類した結果を示している。
Figure 2021156879
表2では、ピクセルX2の角度の分類結果が、ピクセルX1の角度を分類したときに「1」を記入した箇所と重なった場合、「2」が記入されている。
以上に説明した角度分類を全てのピクセルについて実施した結果を下記の表3に示している。
Figure 2021156879
表3に示す結果から、外周ポイントP2の角度20°〜40°の範囲に、最も多い4つのピクセルがあることが分かる。そこで、図9Dに示すように、角度20°〜40°のちょうど真ん中となる30°の角度で外周ポイントP2から引いた直線Lを、ピクセルを最も多く通る直線として抽出する。
尚、図9A〜図9Dに示す第1例では、説明を簡単にするために、6つのピクセルX1〜X6、8つの外周ポイントP0〜P7について例示したが、実際の直線抽出では、もっと細かい区画で外周ポイントを設定すると共に角度の分類範囲ももっと細かく設定する。
図10A〜図10Dは、本実施形態に係る破断面解析方法において二値画像から直線を抽出する方法の第2例を説明する図である。
第2例でも、図10Aに示すように、6個のピクセルX1〜X6が描画されている二値画像から直線を抽出する。まず、図10Aに示す二値画像の外周コーナーの1つ(図10Aでは左上コーナー)に原点Oを設定する。
次に、図10Bに示すように、ピクセルX1について、水平方向となす角度θを変化させながらピクセルX1を通る複数の直線を引き、各直線と原点Oとの距離をρとして、距離ρを計算により算出する。尚、図10Bでは、角度θ11の直線L11(原点Oとの距離ρ11)、角度θ12の直線L12(原点Oとの距離ρ12)、角度θ13の直線L13(原点Oとの距離ρ13)を例示しているが、実際の直線抽出では、例えばθを1°刻みで変化させて180本の直線を引き、これらの180本の直線について、原点Oとの距離ρを計算する。
続いて、図10Cに示すように、ピクセルX2についても、ピクセルX1と同様に直線を引く。図10Cでは、角度θ21の直線L21(原点Oとの距離ρ21)、角度θ22の直線L22(原点Oとの距離ρ22)を例示している。ここで、ピクセルX2を通る直線L22は、ピクセルX1を通る直線L12と同じ直線であり、θ22=θ12、ρ22=ρ12である。
以上に説明した処理を全てのピクセルについて実施し、算出された距離ρを下記の表4に示すように、角度θ毎に分類する。
Figure 2021156879
図10Dは、ピクセルX1〜X4を通る直線の角度θが40°で、当該直線と原点Oとの距離ρが46mmであることを示している。この場合、下記の表5に示すように、該当するθ、ρの箇所に、4つのピクセルを通ることを示す「4」が記入される。
Figure 2021156879
尚、表4、表5では、距離ρの刻み幅が3mmであるので、第2例では、太さ3mmの線上に存在するピクセルが多い線を抽出していることになる。すなわち、表中の数字が最も大きいものが、最も多くのピクセルを通る直線を示す。
尚、実際の直線抽出では、角度θ及び距離ρの刻み幅は、適宜調整される。
(実施形態の効果)
以上に説明した本実施形態によると、破断面画像に対して二値化処理を行うことにより、豊富な解析経験やデータベースを必要とすることなく、破断面画像内の段差や放射状模様を見出すことができる。また、二値化された画像から複数の直線を抽出することにより、豊富な解析経験やデータベースを必要とすることなく、破断面における破壊起点及びき裂の進展方向を推定することができる。
従来の破断面解析技術では、一定以上の解析能力が要求されたり、データベースが必要であるため、破断面解析に取り組む若手技術者を補助する技術として適していなかった。それに対して、本実施形態では、前述のように、解析経験が影響する部分を排除できており、初心者でも破壊起点及びき裂の進展方向を推定することができる。また、本実施形態は、データベースを必要としないことから多種多様な材料に適用することができる。
また、本実施形態において、二値画像から少なくとも2つ以上の部分二値画像を設定し、当該各部分二値画像から複数の直線を抽出してもよい。このようにすると、き裂の進展経路が直線状ではなくカーブや分岐などを含むような場合にも、破壊起点及びき裂の進展方向を推定することができる。
また、本発明を種々の破断面に適用することで、二値画像のデータと破壊起点位置のデータの組み合わせだけではなく、二値化する前の破断面画像のデータと破壊起点位置のデータの組み合わせも得ることができる。これらのデータの組み合わせは、破断面画像から、機械学習により破壊起点を推定するための機械学習用データセットとして利用できる。
図11は、前述の本実施形態の破断面解析により得られたデータを、破断面画像から機械学習により破壊起点を推定するための機械学習用データセットとして用いる様子を示す図である。図11に示すように、前述の本実施形態の破断面解析により得られたデータで学習モデル201の機械学習を行った解析システム200では、二値画像からの直線抽出を行わずに、入力画像(起点不明の破断面画像)から破壊起点位置を直接推定することができる。
(実施例)
<破断面画像>
破断面画像としては、積層造形により作製したアルミニウム合金(Al-10mass%Si-0.4mass%Mg)を回転曲げ疲労試験機で疲労破壊させた破断面を撮影した、図12に示す画像を用いた。図12は、走査型電子顕微鏡で撮影した反射電子像である。図12(a)に示す破断面は、疲労き裂が伝播した平坦な領域と、凹凸が激しい最終破断部とから構成される。図12(b)は、図12(a)の画像における□で囲んだ領域を拡大したものである。図12(b)に示すように、平坦な領域の一部に、ガスポアと呼ばれる積層造形時に形成された欠陥が見られる。この欠陥が破壊起点となっている。
<破断面画像の二値化>
オープンソースでパブリックドメインの画像処理ソフトウェアであるImageJを用いて、図12(b)に示す画像に対して二値化処理を行った。具体的には、8ビットのWindows bitmap形式で撮影された図12(b)に示す画像をImageJによりRGBの3チャンネルのカラー画像に変換し、その後、2階調の白黒画像に変換した。直線抽出時に黒色ピクセルをカウントする場合は、破断面画像のバックグラウンドが白色になるように二値化すればよい。一方、直線抽出時に白色ピクセルをカウントする場合は、破断面画像のバックグラウンドが黒色になるように二値化すればよい。図13(a)は、図12(b)に示す破断面画像のバックグラウンドが白色になるように二値化した例を示す。尚、図13(a)では、破断面以外の箇所、欠陥(破壊起点)の一部、及びスケール等の文字が、段差や放射状模様と同じ黒色ピクセルで表されている。図13(a)に示す二値画像でも破壊起点は推定可能であるが、本実施例では、解析時間の短時間化を目的として、図13(b)に示すように、段差や放射状模様以外の黒色ピクセルを除去した。
<二値画像からの直線抽出>
前述の二値画像から直線を抽出する方法の第1例(図9A〜図9D参照)を用いて、図13に示す二値画像から直線抽出を行った。尚、破断面解析の初心者には、図13において黒色ピクセルで描画されている段差や放射状模様が、直線状であるのか、カーブを描いているのか、判断することが難しいことを考慮して、本実施例では、直線状及び曲線状の両方の段差や放射状模様に対応可能な部分二値画像を用いた破断面解析を行った。具体的には、図13(b)に示す二値画像(全体画像)を縦方向に6分割、横方向に8分割し、縦横2個ずつの分割部分を結合した複数の部分二値画像について破断面解析を行った。
<直線同士の交点>
前述の実施形態における部分二値画像を用いた破断面解析では、各部分二値画像において直線抽出を行い、当該部分二値画像内に存在する直線同士の交点を全体画像に集約した(図6参照)。それに対して、本実施例では、各部分二値画像で抽出された直線を全体画像に集約し、集約された直線同士の交点を用いて、破壊起点の推定を行った。このようにすると、部分二値画像内に存在する直線同士の交点を全体画像に集約させた場合と比べて、直線同士の交点数が多くなる。従って、より多数の交点を用いて、交点の集中箇所を探索して破壊起点の推定を行うことができる。
<実際の直線抽出例>
図9A〜図9Dに示す直線抽出の第1例において外周ポイントの間隔を10ピクセルとし、表1で20°の刻み幅とした角度の間隔を1°として、図13(b)に示す二値画像から直線抽出を行った。各部分二値画像における直線の抽出本数を11本とし、抽出した直線を全体画像に集約した結果を図14に示す。図14から、多くの直線が全体画像に集約されていることがわかる。
尚、段差や放射状模様以外の黒色ピクセルを含む図13(a)に示す二値画像から直線抽出を行った場合、破断面外側の対角線状(×状)の直線や文字(キャラクター)上を通る直線など、段差や放射状模様とは関係の無い直線が抽出された。このことから、段差や放射状模様ではない不要な黒色ピクセルは直線抽出結果に影響を及ぼすため、除去した方が良いことが分かった。また、不要なピクセルは、直線抽出に要する時間を増加させるので、不要なピクセルの除去は、解析時間の短時間化にも有効である。
<段差や放射状模様を描画するピクセルの比率が直線抽出結果に及ぼす影響>
破断面以外の箇所やキャラクターの有無が直線抽出結果に影響を及ぼすことを説明したが、本願発明者らは、段差や放射状模様を描画するピクセルの比率(以下、ピクセル比率ということもある)が直線抽出結果に及ぼす影響についても検討を行った。尚、本開示において、「ピクセル比率」とは、「破断面領域(破断面画像において破断面の外側領域を除外した領域)中の全ピクセル数で、破断面の段差や放射状模様を描画するピクセル数を除した値の百分率」を意味する。従って、「ピクセル比率」を高くすると、段差や放射状模様の抽出感度が高くなる一方、段差や放射状模様以外のノイズを抽出する度合いも高くなる。
本願発明者らは、前述のピクセル比率を変えながら、図12に示す破断面画像から異なる複数の二値画像を生成し、当該各二値画像から直線抽出を行った。その結果を図15に示す。尚、図15に示す各二値画像の左上にピクセル比率(%)を示す。
図15に示すように、段差や放射状模様を描画するピクセル数が最も多いピクセル比率95%の二値画像では、各部分二値画像内において×状の直線が抽出される傾向が強い。これは、ピクセル比率が高くなると、部分二値画像の対角線(部分二値画像内で最も長い直線)が抽出されやすくなる一方、き裂の進展方向を示す段差や放射状模様を示す直線が抽出されにくくなるからである。このような傾向は、ピクセル比率が71%まで低下すると、ある程度緩和される。
また、図15に示すように、ピクセル比率2%までは、段差や放射状模様を描画するピクセル数が少なくなるに従って、段差や放射状模様を描画する黒色ピクセルから、適切に直線が抽出されている。しかし、ピクセル比率が2%を下回ると、黒色ピクセルの集中部に直線が集中する傾向が強くなることが分かる。
尚、図14、図15のいずれに示す直線抽出結果についても、抽出した直線同士の交点がどの部分で最も集中しているのかを破断面解析の初心者が感覚的に判断することは難しい。そこで、本実施例では、以下に述べるような交点の集中度を評価する手法を用いた。
<交点間の距離を用いた集中度の評価方法>
直線同士の交点が集中しているということは、ある任意の交点から近い距離に、多くの交点が存在していることを意味する。従って、個々の交点の集中度を、交点間の距離を導入した数式(評価関数)に基づく評価値や、交点間の距離を基準とした順位付けなどで表せれば、集中度の高い交点を見出すことが容易となる。
図16は、5個の交点A〜Eの集中度を評価する方法の一例を示す模式図である。評価対象の交点について、他の交点との間の距離をdi(i=1〜4)とし、diの和(Σdi(i=1〜4))を評価値とする。この場合、評価値が最も小さな値となる交点の近傍に他の交点が多く存在していることになるので、集中度が高いと判断することができる。尚、以下の説明では、特に断らない限り、diは、交点間の距離(単位:ピクセル)を表すものとする。
図16に示す場合、5個の交点A〜Eそれぞれの評価値は、
交点Aの評価値=√17+4+√17+8=20.24
交点Bの評価値=√17+1+2+√17=11.25
交点Cの評価値=4+1+1+4=10
交点Dの評価値=√17+2+1+√17=11.25
交点Eの評価値=8+√17+4+√17=20.24
と表される。
従って、距離1の箇所に他の2つの交点(B、D)が存在する交点Cの評価値が10と最も低く、集中度が高いと判断できる。
<評価関数の種類>
交点の集中度を表す評価関数の種類は特に限定されない。例えば、評価関数を1/diとし、評価値をΣ1/diとすれば、評価値の高い交点が、集中度の高い交点となる。また、評価値をΣdi+10とすれば、評価値が10に近い交点が、集中度の高い交点となる。このように評価関数及び評価値の設定の仕方に応じて、交点の集中度の評価方法は数多く存在する。
また、任意の交点について、所定の距離よりも近く(又は遠く)に他の交点があれば高い評価を与える一方、所定の距離よりも遠く(又は近く)に他の交点があれば低い評価を与える方法として、所定の距離を境界として評価関数を切り替えるという方法もある。一例として、ある交点に対して距離が100ピクセル以内にある他の交点については、評価関数を101−diとし、距離が100ピクセルを超える箇所に存在する他の交点については、評価関数を100/diとする評価方法がある。この場合、距離100ピクセル以内の交点があれば、評価関数の算出値が高くなる一方、他の交点までの距離が遠くになるに従って、評価関数の算出値が低くなる。尚、評価関数を切り替える距離については、任意に設定できる。また、評価関数の式についても、前述の例示に限定されることなく、任意に設定できる。
以上に説明してきた例示では、交点間の距離diを評価関数に用いてきたが、距離diを使わない評価方法で交点の集中度を評価してもよい。図17は、5個の交点A〜Eの集中度を評価する方法の他例を示す模式図である。図17に示すように、ある交点Aを中心として異なる半径の複数の円周からなる同心円を考え、円周同士の間の領域に所定のポイントpを付与するものとする。評価関数をポイントpの二乗値p2とすれば、図17に示す場合、交点Bには1ポイント、交点Cには4ポイント、交点Dには9ポイント、交点Eには16ポイントが付与される。評価値をΣp2とすれば、交点Aの評価値は、1+4+9+25=39となる。続いて、交点B〜Eについても同様の同心円を用いて評価値を算出し、全ての交点について評価値が算出されたら、評価値Σp2が最も低い交点が、集中度の高い交点であると判断できる。
<交点の集中箇所の判別方法>
全ての交点を、評価値が高い順(又は低い順)にランキングすれば、その順番は、集中度が高い順(又は低い順)を表すことになる。評価値が高い交点が、集中度の高い交点である場合は、評価値が高い順に上位X%(個)の交点のみを破断面解析装置100に表示させることによって、交点の集中箇所が判別できる。逆に、評価値が低い交点が、集中度の高い交点である場合は、評価値が低い順に上位X%(個)の交点のみを破断面解析装置100に表示させることによって、交点の集中箇所が判別できる。
<交点の集中度を用いた破壊起点の推定>
図13(b)に示す二値画像から直線抽出を行い、前述の評価方法(具体的には、「ある交点に対して距離が100ピクセル以内にある他の交点については、評価関数を101−diとし、距離が100ピクセルを超える箇所に存在する他の交点については、評価関数を100/diとする評価方法」)を用いて破壊起点の推定を実施した。その結果を図18に示す。尚、図18に示す各二値画像の左上に示す本数は、部分二値画像中での直線抽出本数を示す。また、図18において、直線抽出本数が3本から9本までの二値画像については、評価値に基づく集中度が高い順に上位5%までの交点の位置を実線で囲み、直線抽出本数が11本から13本までの二値画像については、評価値に基づく集中度が高い順に上位3%までの交点の位置を実線で囲んでいる。図18に示すように、いずれの二値画像においても、交点の集中部は、破壊起点である材料欠陥部(図中の破線で囲んだ領域)と重なっており、破壊起点を正確に推定できていることが分かる。すなわち、部分二値画像中での直線抽出本数に依存せず、交点の集中部は1箇所となっており、破断面解析の初心者でも容易に破壊起点が推定できる。尚、段差や放射状模様以外の黒色ピクセルを含む図13(a)に示す二値画像に対して同様の破壊起点の推定を行った場合には、交点の集中部は複数箇所に分散してしまうが、最も大きい交点の集中箇所は破壊起点と重なるので、最も大きい交点の集中箇所に注目することで破断面解析の初心者でも破壊起点が推定できる。
<破壊起点の推定結果に及ぼすピクセル比率の影響>
ピクセル比率が及ぼす破壊起点の推定結果への影響を確認するために、図15に示す全ての二値画像を用いて、図18に示す場合と同じ条件で破壊起点を推定した結果を下記の表6にまとめた。
Figure 2021156879
表6は、破壊起点の推定結果を部分二値画像中の直線抽出本数とピクセル比率ごとにまとめたものである。表6において、◎は、「評価値が上位3%(部分二値画像中の直線抽出本数が11本、13本の場合)又は5%(部分二値画像中の直線抽出本数が5本、7本又は9本の場合)の交点が一箇所に集中しており、その集中箇所が破壊起点と重なり、破断面解析の初心者でも破壊起点を容易に推定できる」場合を示す。また、〇は、「評価値が上位3%(部分二値画像中の直線抽出本数が11本、13本の場合)又は5%(部分二値画像中の直線抽出本数が5本、7本又は9本の場合)の交点の集中箇所が2箇所以上存在するが、最も大きい交点の集中箇所が破壊起点と重なり、破断面解析の初心者でも破壊起点が推定できる」場合を示す。また、×は、「評価値が上位3%(部分二値画像中の直線抽出本数が11本、13本の場合)又は5%(部分二値画像中の直線抽出本数が5本、7本又は9本の場合)の交点の集中箇所が存在しないか、或いは、集中箇所は存在するものの破壊起点から離れていて、破断面解析の習熟度によらず破壊起点を推定できない」場合を示す。
例えば、ピクセル比率が95%であると、図15に示すように、破断面上の各部分二値画像がほぼ黒色ピクセルで埋め尽くされる結果、抽出される直線が部分二値画像の対角線となりやすい。その結果、き裂の進展方向を示す段差や放射状模様を示す直線が抽出できなくなり、破壊起点を推定できない。
ピクセル比率が95%よりも低い71%まで下がると、交点の集中箇所が複数箇所存在するものの、最も大きい交点の集中箇所が破壊起点と重なっており、破壊起点の推定が可能となる。例外的に交点が1箇所になる場合もあるが、ピクセル比率が45%及び19%の場合でも同様の結果となる。ピクセル比率が8%から0.6%までの範囲になると、部分二値画像中の直線の抽出本数によらず交点の集中箇所が1箇所となり、しかも当該集中箇所が破壊起点となる欠陥と重なるので、極めて容易に破壊起点を推定できる。ピクセル比率が0.4%から0.3%までの範囲でも破壊起点を推定できるが、直線抽出本数が多くなると、交点の集中箇所が複数になる傾向がみられた。一方、ピクセル比率が0.2%にまで低下すると、破壊起点を推定できなくなる。
以上に説明したように、破断面解析の初心者でも破壊起点を推定できるピクセル比率の範囲は、71%から0.3%までの範囲であり、破断面解析の初心者が「容易に」破壊起点を推定できるようにするためには、交点の集中箇所が1箇所となる8%から0.6%の範囲にピクセル比率を設定すればよいことが分かる。
<き裂の進展方向の表示>
前記実施形態でも説明したように(図7参照)、図18で推定された破壊起点からき裂が進展するので、当該破壊起点の推定箇所を通る直線を用いて、き裂の進展方向を推定できる。
(その他の実施形態)
以上、本発明についての実施形態(実施例を含む。以下、同じ。)を説明したが、本発明は前述の実施形態のみに限定されず、発明の範囲内で種々の変更が可能である。すなわち、前述の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。また、以上の実施形態は、本発明の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
1 破損物
2 二値画像
2a 小領域
3 き裂の進展経路
4A、4B、4C、4D 部分二値画像
10 撮影部
20 画像記憶部
30 画像処理部
40 画像解析部
50 破断面解析部
51 き裂進展経路解析部
52 破壊起点判定部
53 き裂進展方向判定部
60 判定結果表示・加工部
70 判定結果記憶部
100 破断面解析装置
200 解析システム
201 学習モデル

Claims (14)

  1. 構造物の破断面を撮影した画像に対して二値化処理を行う画像処理部と、
    前記画像処理部により二値化された画像から複数の直線を抽出する画像解析部と、
    前記画像解析部により抽出された複数の直線を用いて、前記破断面における破壊起点及びき裂の進展方向を推定する破断面解析部と
    を備える、
    破断面解析装置。
  2. 前記画像解析部は、ハフ変換を用いて前記複数の直線を抽出する、
    請求項1に記載の破断面解析装置。
  3. 前記画像解析部は、前記画像処理部により二値化された画像から少なくとも2つ以上の部分二値画像を設定し、当該各部分二値画像から前記複数の直線を抽出する、
    請求項1又は2に記載の破断面解析装置。
  4. 前記画像処理部は、前記二値化処理におけるピクセル比率を0.3%以上71%以下に設定する、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の破断面解析装置。
  5. 前記破断面解析部は、前記画像解析ステップで抽出された複数の直線の交点の密集度を評価関数により評価し、相対的に密集度の高い交点に基づいて前記破壊起点を推定する請求項1〜4のいずれか1項に記載の破断面解析装置。
  6. 構造物の破断面を撮影した画像に対して二値化処理を行う画像処理ステップと、
    前記画像処理ステップで二値化された画像から複数の直線を抽出する画像解析ステップと、
    前記画像解析ステップで抽出された複数の直線を用いて、前記破断面における破壊起点及びき裂の進展方向を推定する破断面解析ステップと
    を備える、
    破断面解析方法。
  7. 前記画像解析ステップでは、ハフ変換を用いて前記複数の直線を抽出する、
    請求項6に記載の破断面解析方法。
  8. 前記画像解析ステップでは、前記画像処理ステップで二値化された画像から少なくとも2つ以上の部分二値画像を設定し、当該各部分二値画像から前記複数の直線を抽出する、
    請求項6又は7に記載の破断面解析方法。
  9. 前記画像処理ステップでは、前記二値化処理におけるピクセル比率を0.3%以上71%以下に設定する、
    請求項6〜8のいずれか1項に記載の破断面解析方法。
  10. 前記破断面解析ステップでは、前記画像解析ステップで抽出された複数の直線の交点の密集度を評価関数により評価し、相対的に密集度の高い交点に基づいて前記破壊起点を推定する請求項6〜9のいずれか1項に記載の破断面解析方法。
  11. 請求項6〜10のいずれか1項に記載の破断面解析方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
  12. 請求項6〜10のいずれか1項に記載の破断面解析方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムを記録した記録媒体。
  13. 構造物の破断面を撮影した画像から、機械学習により前記破断面における破壊起点を推定するための機械学習用データセットを生成する方法であって、
    前記機械学習用データセットの入力データとして、前記画像を生成するか、又は、前記画像に対して二値化処理を行って二値画像を生成し、
    前記機械学習用データセットの教師データとして、前記二値画像から複数の直線を抽出し、抽出された複数の直線を用いて、前記破壊起点を推定する、
    機械学習用データセットの生成方法。
  14. 前記二値画像から抽出した複数の直線の交点の密集度を評価関数により評価し、相対的に密集度の高い交点に基づいて前記破壊起点を推定する請求項13に記載の機械学習用データセットの生成方法。
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