以下、図面(図1〜図25)を参照して本発明の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されない。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合がある。また、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
本発明に係る基板処理装置及び基板処理方法が処理の対象とする「基板」には、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、及び光磁気ディスク用基板などの各種基板を適用可能である。以下では主として、円盤状の半導体ウエハを処理の対象とする基板処理装置及び基板処理方法を例に本実施形態を説明するが、本発明に係る基板処理装置及び基板処理方法は、上記した半導体ウエハ以外の各種基板に対しても同様に適用可能である。また、基板の形状についても、円盤状に限定されず、本発明に係る基板処理装置及び基板処理方法は、各種形状の基板に対して適用可能である。
[実施形態1]
以下、図1〜図17を参照して本発明の実施形態1を説明する。まず、図1を参照して本実施形態の基板処理装置100を説明する。図1は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。詳しくは、図1は、基板処理装置100の模式的な平面図である。基板処理装置100は、基板Wを処理する。より具体的には、基板処理装置100は、基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。
図1に示すように、基板処理装置100は、複数の処理ユニット1と、流体キャビネット100Aと、複数の流体ボックス100Bと、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、制御装置101とを備える。
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRと処理ユニット1との間で基板Wを搬送する。なお、インデクサーロボットIRとセンターロボットCRとの間に、基板Wを一時的に載置する載置台(パス)を設けて、インデクサーロボットIRとセンターロボットCRとの間で載置台を介して間接的に基板Wを受け渡しする装置構成としてもよい。
処理ユニット1の各々は、処理液を基板Wの上面501(図4(a)参照)に供給して、基板Wの上面501を処理する。より具体的には、処理ユニット1の各々は、エッチング処理を実行して、基板Wの厚みを目標厚みにする。
複数の処理ユニット1は、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置される複数のタワーTW(図1では4つのタワーTW)を形成している。各タワーTWは、上下に積層された複数の処理ユニット1(図1では3つの処理ユニット1)を含む。
流体キャビネット100Aは、処理液を収容する。流体ボックス100Bはそれぞれ、複数のタワーTWのうちの1つに対応している。流体キャビネット100A内の処理液は、いずれかの流体ボックス100Bを介して、流体ボックス100Bに対応するタワーTWに含まれる全ての処理ユニット1に供給される。
本実施形態において、処理液は、薬液と、リンス液とを含む。薬液は、エッチング液である。基板Wの上面501(図4(a)参照)は、エッチング液によってエッチングされる。エッチング液は、例えば、フッ硝酸(フッ酸(HF)と硝酸(HNO3)との混合液)、フッ酸、バファードフッ酸(BHF)、フッ化アンモニウム、HFEG(フッ酸とエチレングリコールとの混合液)、又は、燐酸(H3PO4)である。リンス液は、例えば、脱イオン水、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、又は、希釈濃度(例えば、10ppm〜100ppm程度)の塩酸水である。
続いて、制御装置101について説明する。制御装置101は、基板処理装置100の各部の動作を制御する。例えば、制御装置101は、ロードポートLP、インデクサーロボットIR、及びセンターロボットCRを制御する。制御装置101は、制御部102と、記憶部103とを含む。
制御部102は、プロセッサーを有する。制御部102は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、又は、MPU(Micro Processing Unit)を有する。あるいは、制御部102は、汎用演算機を有してもよい。
記憶部103は、データ及びコンピュータプログラムを記憶する。データは、レシピデータを含む。レシピデータは、複数のレシピを示す情報を含む。複数のレシピの各々は、基板Wの処理内容及び処理手順を規定する。
記憶部103は、主記憶装置を有する。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。記憶部103は、補助記憶装置を更に有してもよい。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリ及びハードディスクドライブの少なくも一方を含む。記憶部103はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。制御部102は、記憶部103に記憶されているコンピュータプログラム及びデータに基づいて、基板処理装置100の各部の動作を制御する。
続いて図1及び図2を参照して、本実施形態の基板処理装置100について更に説明する。図2は、本実施形態の基板処理装置100が備える処理ユニット1の模式図である。詳しくは、図2は、処理ユニット1の模式的な断面図である。
図2に示すように、処理ユニット1は、チャンバー2と、スピンチャック3と、スピンモータ部5と、ノズル移動機構6と、厚み測定部8と、プローブ移動機構9と、複数のガード10(図2では2つのガード10)と、第1ノズル41と、第2ノズル71とを備える。また、基板処理装置100は、エッチング液供給部4と、リンス液供給部7とを備える。エッチング液供給部4は、第1供給配管42を有し、リンス液供給部7は、第2供給配管72を有する。制御装置101(制御部102)は、スピンチャック3、スピンモータ部5、ノズル移動機構6、厚み測定部8、及びプローブ移動機構9を制御する。
チャンバー2は略箱形状を有する。チャンバー2は、基板W、スピンチャック3、スピンモータ部5、ノズル移動機構6、複数のガード10、厚み測定部8、プローブ移動機構9、第1ノズル41、第2ノズル71、第1供給配管42の一部、及び、第2供給配管72の一部を収容する。
スピンチャック3は、基板Wを水平に保持する。スピンチャック3は、基板保持部の一例である。具体的には、スピンチャック3は、スピンベース33を有する。スピンベース33は、略円板状であり、基板Wを水平に保持する。スピンチャック3は、例えば、ベルヌーイチャックである。
スピンモータ部5は、第1回転軸線AX1を中心として基板Wとスピンチャック3とを一体に回転させる。第1回転軸線AX1は、上下方向に延びる。本実施形態では、第1回転軸線AX1は、略鉛直方向に延びる。第1回転軸線AX1は中心軸の一例であり、スピンモータ部5は基板回転部の一例である。詳しくは、スピンモータ部5は、第1回転軸線AX1を中心としてスピンベース33を回転させる。したがって、スピンベース33は、第1回転軸線AX1を中心として回転する。その結果、スピンチャック3に保持された基板Wが、第1回転軸線AX1を中心として回転する。
具体的には、スピンモータ部5は、モータ本体51と、シャフト53と、エンコーダ55とを有する。シャフト53はスピンベース33に結合される。モータ本体51は、シャフト53を回転させる。その結果、スピンベース33が回転する。
エンコーダ55は、基板Wの回転速度を検出して、基板Wの回転速度を示す信号(以下、「回転速度信号」と記載する。)を制御装置101に出力する。具体的には、回転速度信号は、制御部102に入力される。制御部102は、回転速度信号に基づいて、基板Wが1回転するタイミングを検出する。
第1ノズル41は、基板Wに処理液を供給する。具体的には、第1ノズル41は、基板Wの上方から、基板Wにエッチング液を供給する。詳しくは、第1ノズル41は、回転中の基板Wに向けてエッチング液を吐出する。第1ノズル41は、処理液供給部の一例である。エッチング液供給部4は、第1ノズル41にエッチング液を供給する。詳しくは、エッチング液は、第1供給配管42を介して第1ノズル41に供給される。第1供給配管42は、エッチング液が流通する管状部材である。
ノズル移動機構6は、略水平方向に第1ノズル41を移動させる。詳しくは、ノズル移動機構6は、略鉛直方向に沿った第2回転軸線AX2を中心とする周方向に沿って第1ノズル41を移動させる。第1ノズル41は、移動しながら、基板Wに向けてエッチング液を吐出する。第1ノズル41は、スキャンノズルと称されることがある。
具体的には、ノズル移動機構6は、ノズルアーム61と、第1回転軸63と、第1駆動部65とを有する。ノズルアーム61は略水平方向に沿って延びる。ノズルアーム61の先端部に第1ノズル41が配置される。ノズルアーム61は第1回転軸63に結合される。第1回転軸63は、略鉛直方向に沿って延びる。第1駆動部65は、第2回転軸線AX2を中心として第1回転軸63を回転させて、第1回転軸63を中心にノズルアーム61を略水平面に沿って旋回させる。その結果、第1ノズル41が略水平面に沿って移動する。詳しくは、第1ノズル41は、第2回転軸線AX2を中心とする周方向に沿って、第1回転軸63の周りを移動する。第1駆動部65は、例えば、ステッピングモータを含む。あるいは、第1駆動部65は、モータと、減速機とを含んでもよい。
第2ノズル71は、基板Wの上方から、基板Wにリンス液を供給する。詳しくは、第2ノズル71は、回転中の基板Wに向けてリンス液を吐出する。リンス液供給部7は、第2ノズル71にリンス液を供給する。詳しくは、リンス液は、第2供給配管72を介して第2ノズル71に供給される。第2供給配管72は、リンス液が流通する管状部材である。第2ノズル71は、静止した状態でリンス液を吐出する。第2ノズル71は、固定ノズルと称されることがある。なお、第2ノズル71はスキャンノズルであってもよい。
ガード10の各々は、略筒形状を有する。複数のガード10は、基板Wから排出されたエッチング液及びリンス液を受け止める。
厚み測定部8は、基板Wの厚みを測定して、測定結果を示す測定信号を生成する。具体的には、測定信号(測定結果)は、基板Wの厚みの値を示す。厚み測定部8は、基板Wの厚みを非接触方式で測定する。測定信号は、制御装置101(制御部102)に入力される。厚み測定部8は、測定部の一例である。
厚み測定部8は、例えば、分光干渉法によって基板Wの厚みを測定する。具体的には、厚み測定部8は、光学プローブ81と、信号線83と、厚み測定器85とを含む。光学プローブ81は、レンズを有する。信号線83は、光学プローブ81と厚み測定器85とを光学的に接続する。信号線83は、例えば光ファイバーを含む。厚み測定器85は、光源と受光素子とを有する。厚み測定器85の光源が出射した光は、信号線83及び光学プローブ81を介して、基板Wに出射される。基板Wによって反射された光は、光学プローブ81及び信号線83を介して、厚み測定器85の受光素子で受光される。厚み測定器85は、受光素子が受光した光を解析して、基板Wの厚みの値を算出する。厚み測定器85は、算出した厚みの値を示す測定信号を生成する。
プローブ移動機構9は、略水平方向に光学プローブ81を移動させる。詳しくは、プローブ移動機構9は、略鉛直方向に沿った第3回転軸線AX3を中心とする周方向に沿って光学プローブ81を移動させる。
具体的には、プローブ移動機構9は、プローブアーム91と、第2回転軸93と、第2駆動部95とを有する。プローブアーム91は略水平方向に沿って延びる。プローブアーム91の先端部に光学プローブ81が配置される。プローブアーム91は第2回転軸93に結合される。第2回転軸93は、略鉛直方向に沿って延びる。第2駆動部95は、第3回転軸線AX3を中心として第2回転軸93を回転させて、第2回転軸93を中心にプローブアーム91を略水平面に沿って旋回させる。その結果、光学プローブ81が略水平面に沿って移動する。詳しくは、光学プローブ81は、第3回転軸線AX3を中心とする周方向に沿って、第2回転軸93の周りを移動する。第2駆動部95は、例えば、ステッピングモータを含む。あるいは、第2駆動部95は、モータと、減速機とを含んでもよい。
続いて図3〜図5を参照して、本実施形態の基板処理装置100が処理の対象とする基板Wについて説明する。図3は、基板Wの平面図である。図4(a)は、第1基板W1の側面図である。図4(a)は更に、第1基板W1の側面の一部を拡大して示す。図4(b)は、第1基板W1の断面を模式的に示す図である。図5(a)は、第2基板W2の側面図である。図5(a)は更に、第2基板W2の側面の一部を拡大して示す。図5(b)は、第2基板W2の断面を模式的に示す図である。図3〜図5に示すように、基板Wは、第1基板W1と、第2基板W2とを含む。
図3に示すように、基板Wは、複数のチップ領域RSを含む。チップ領域RSの各々には、半導体デバイスとなる構造が設けられる。具体的には、基板Wに対し、本実施形態の基板処理装置100及び基板処理方法によるエッチング処理を実行した後に、更に幾つかの後処理を実行することにより、半導体製品(デバイス)を得ることができる。後処理は、基板Wをダイシングすることによって各チップ領域RSを切り出す処理を含む。
続いて図4(a)及び図4(b)を参照して、第1基板W1を説明する。図4(a)に示すように、第1基板W1は、上面501及び下面601を有する。第1基板W1の下面601は、複数のトレンチ620を含む。換言すると、第1基板W1の下面601には、複数の段差が形成されている。複数のトレンチ620は、本実施形態の基板処理装置100及び基板処理方法によるエッチング処理の実行前に、第1基板W1に対して前処理を実行することによって、第1基板W1に形成される。
図4(b)に示すように、第1基板W1は、処理対象膜TGと、デバイス構造層630とを有する。処理対象膜TGは、基板本体である。例えば、処理対象膜TGは、半導体基板である。半導体基板は、例えば、シリコン基板である。デバイス構造層630は、処理対象膜TGの下側に位置する。換言すると、デバイス構造層630は、第1基板W1の下面601側に形成される。デバイス構造層630は、本実施形態の基板処理装置100及び基板処理方法によるエッチング処理の実行前に、第1基板W1に対して他の前処理を実行することによって、第1基板W1に形成される。
第1基板W1の上面501は、処理対象膜TGの上面によって構成される。処理対象膜TGは、本実施形態の基板処理装置100及び基板処理方法によるエッチング処理の対象である。なお、第1基板W1の上面501は、半導体製品の裏面に対応する。第1基板W1の下面601は、半導体製品の表面に対応する。したがって、本実施形態の基板処理装置100及び基板処理方法は、半導体製品の製造工程において、半導体製品の裏面をエッチングする工程を担う。
処理対象膜TGは、下面502を有する。デバイス構造層630は、第1基板W1において、処理対象膜TGの下面502よりも下側の部位である。処理対象膜TGの下面502は、処理対象膜TGとデバイス構造層630との界面に相当する。
第1基板W1の下面601は、デバイス構造層630の下面によって構成される。トレンチ620は、第1基板W1の下面601から上面501に向けて深くなる溝である。トレンチ620は、底面621を有する。トレンチ620の底面621は、デバイス構造層630と処理対象膜TGとの界面(処理対象膜TGの下面502)よりも第1基板W1の上面501に近い。つまり、トレンチ620の底面621側の部分は、処理対象膜TGに形成されている。
図2を参照して説明した厚み測定部8は、処理対象膜TGの厚みdを測定する。処理対象膜TGの厚みdは、第1厚みd1と、第2厚みd2とを含む。第1厚みd1は、第1基板W1の上面501(処理対象膜TGの上面)から処理対象膜TGの下面502までの厚みである。第2厚みd2は、第1基板W1の上面501(処理対象膜TGの上面)からトレンチ620の底面621までの厚みである。第1厚みd1は、第2厚みd2よりも大きい。
図1を参照して説明した制御部102は、エッチング処理中に、測定信号に基づいて、第1厚みd1の値を示す測定値(以下、「第1測定値」と記載する場合がある。)と、第2厚みd2の値を示す測定値(以下、「第2測定値」と記載する場合がある。)とを取得する。そして、制御部102は、所定の条件に基づいて、第1測定値及び第2測定値の一方から代表値を取得して、代表値が目標値dtgと一致するか否かを判定する。制御部102は、代表値が目標値dtgと一致すると、現在処理している第1基板W1に対するエッチング処理を終了させる。
続いて図5(a)及び図5(b)を参照して、第2基板W2を説明する。図5(a)に示すように、第2基板W2は、第1基板W1と同様に、上面501及び下面601を有する。第2基板W2には、第1基板W1と異なり、トレンチ620が形成されていない。
図5(b)に示すように、第2基板W2は、第1基板W1と同様に、処理対象膜TGと、デバイス構造層630とを有する。第2基板W2には、第1基板W1と異なり、トレンチ620が形成されていないため、第2基板W2の処理対象膜TGの厚みdは、第1基板W1と異なり、1種類である。具体的には、第2基板W2の処理対象膜TGの厚みdは、第1基板W1の上面501(処理対象膜TGの上面)から処理対象膜TGの下面502までの厚み(第1厚みd1)を示す。
図1を参照して説明した制御部102は、エッチング処理中に、測定信号に基づいて、第1厚みd1の値を示す測定値(第1測定値)を取得する。そして、制御部102は、所定の条件に基づいて、第1測定値から代表値を取得して、代表値が目標値dtgと一致するか否かを判定する。制御部102は、代表値が目標値dtgと一致すると、現在処理している第2基板W2に対するエッチング処理を終了させる。
なお、処理対象膜TGの上面(基板Wの上面501)は、本実施形態の基板処理装置100及び基板処理方法によるエッチング処理の実行前に、グラインドされていてもよい。この場合、処理対象膜TGの上面(上面501)に、ダメージ層が発生する。本実施形態の基板処理装置100及び基板処理方法は、エッチング処理により、処理対象膜TGの上面(上面501)に発生したダメージ層を除去することができる。
ここで、基板Wから製造される半導体製品について説明する。半導体製品は、第1デバイスと、第2デバイスとを含む。第1デバイスは、その両面に電極を有するデバイスである。第2デバイスは、その両面のうちの一方の面にのみ電極を有するデバイスである。
第1デバイスは、例えば、パワーデバイスである。パワーデバイスは、一対の電極を有する。例えば、パワーデバイスは、一対の電極として、ソース電極とドレイン電極との対、エミッタ電極とコレクタ電極との対、又は、アノード電極とカソード電極との対を有する。図4(b)及び図5(b)を参照して説明したデバイス構造層630には、一対の電極のうちの一方が形成されている。一対の電極のうちの他方は、本実施形態の基板処理装置100及び基板処理方法によって、処理対象膜TGの厚みdが目標厚み(目標値dtg)へ低減された後、基板Wの上面501(処理対象膜TGの上面)上に形成される。目標値dtgが過大でないことによって、パワーデバイスの電気抵抗が過大となることを避けることができる。また、目標値dtgが過小でないことによって、パワーデバイスの耐電圧が不足することを避けることができる。
第2デバイスは、非パワーデバイスである。非パワーデバイスは、例えば、イメージセンサデバイス、メモリデバイス、及びロジックデバイスを含む。イメージセンサデバイス、メモリデバイス、及びロジックデバイスは、片面にのみ電極を有する。
続いて図6(a)、及び図6(b)を参照して、測定位置決定処理と、厚み測定処理とを説明する。図6(a)は、測定位置決定処理を示す平面図である。図6(b)は、厚み測定処理を示す平面図である。
まず、図6(a)を参照して測定位置決定処理を説明する。測定位置決定処理は、基板W(処理対象膜TG)に対する厚みの測定位置Pを決定する処理である。図1を参照して説明した制御部102は、エッチング処理の実行前に、厚み測定部8及びプローブ移動機構9を制御して、測定位置Pを決定する。測定位置決定処理は、基板Wの回転中に実行される。
具体的には、図6(a)に示すように、光学プローブ81は、測定位置Pを決定する際に、平面視において光学プローブ81の移動軌跡が円弧状の軌跡TJを形成するように移動する。軌跡TJは、基板Wのエッジ部EGと基板Wの中心部CTとを通る。エッジ部EGは、基板Wの周縁部を示す。光学プローブ81は、平面視において、基板Wの中心部CTとエッジ部EGとの間を移動しながら、基板W(処理対象膜TG)に向けて光を出射する。この結果、基板Wの径方向RDにおける処理対象膜TGの厚みdの分布(プロファイル)が測定される。以下、基板Wの径方向RDにおける処理対象膜TGの厚みdを、「径方向RDの厚み」と記載する場合がある。
図1を参照して説明した制御部102は、径方向RDの厚みの分布に基づいて、測定位置Pを決定する。例えば、制御部102は、径方向RDの厚みの平均値を算出して、径方向RDの厚みのうちから、その平均値に対応する厚みを特定する。そして、制御部102は、特定した厚みを測定した径方向RDの位置を、測定位置Pに決定する。あるいは、制御部102は、平均値に代えて、径方向RDの厚みの分布から最低値、中央値、又は最大値を抽出してよい。
続いて、図6(b)を参照して厚み測定処理を説明する。厚み測定処理は、エッチング処理時に実行される。図6(b)に示すように、光学プローブ81は、厚み測定処理の実行中に、測定位置Pに配置される。換言すると、厚み測定処理の実行中に、光学プローブ81の位置は測定位置Pに固定される。
厚み測定部8は、エッチング処理中に、測定位置P(一定の位置)で基板W厚み(処理対象膜TGの厚みd)を測定する。基板Wは、エッチング処理中に回転する。したがって、厚み測定部8は、基板Wの周方向CDに沿った基板Wの厚み(処理対象膜TGの厚みd)を測定する。その結果、測定信号は、基板Wの周方向CDにおける基板Wの厚み(処理対象膜TGの厚みd)の分布プロファイル(分布)を示す。以下、基板Wの周方向CDにおける処理対象膜TGの厚みdを、「周方向CDの厚み」と記載する場合がある。
図1を参照して説明した制御部102は、周方向CDの厚みの分布に基づいて代表値を取得し、代表値が目標値dtgと一致するか否かを判定する。より具体的には、制御部102は、図2を参照して説明した回転速度信号に基づいて、基板Wが一回転する度に、測定信号に基づいて周方向CDの厚みの分布を取得する。そして、制御部102は、周方向CDの厚みの分布のうちから代表値を取得する。換言すると、制御部102は、基板W一回転分の測定値のうちから代表値を取得する。
なお、本実施形態では、制御部102は、径方向RDの厚みの分布に基づいて、測定位置Pを決定するが、測定位置Pは、予め定められた位置であってもよい。この場合、図6(a)を参照して説明した測定位置決定処理は省略される。
続いて、図7〜図9を参照して厚み測定部8を説明する。図7は、厚み測定部8から基板Wに向けて光Lが出射されている状態を示す図である。図8(a)は、第1基板W1において発生する反射光(第1反射光R1〜第4反射光R4)を模式的に示す断面図である。図8(b)は、第2基板W2において発生する反射光(第1反射光R1、第2反射光R2、及び第4反射光R4)を模式的に示す断面図である。
図7に示すように、光学プローブ81から基板Wの上面501に向けて光Lが出射される。この結果、基板Wの上面501(処理対象膜TGの上面)に光Lが入射する。
図8(a)に示すように、第1基板W1の上面501(処理対象膜TGの上面)に光Lが入射することにより、第1基板W1において反射光が発生する。反射光は、第1反射光R1〜第4反射光R4を含む。
第1反射光R1は、処理対象膜TGの上面(基板Wの上面501)から反射する光を示す。第2反射光R2は、処理対象膜TGの下面502(処理対象膜TGとデバイス構造層630との界面)から反射する光を示す。第3反射光R3は、トレンチ620の底面621から反射する光を示す。厚み測定処理はエッチング処理中に行われるため、第1基板W1の上面501にエッチング液の液膜EFが形成される。第4反射光R4は、液膜EFの液面からの反射する光を示す。なお、デバイス構造層630が半導体層を含む場合、半導体層は、処理対象膜TGの下面502上に形成されたエピタキシャル層であってもよい。処理対象膜TG(半導体層)と、エピタキシャル層(半導体層)とは、互いに屈折率等が異なるため、処理対象膜TGとデバイス構造層630との界面において反射光(第2反射光R2)が発生する。
図2を参照して説明した厚み測定器85は、第1基板W1からの反射光に基づいて、第1厚みd1及び第2厚みd2に加えて、第3厚みd3及び第4厚みd4を測定する。更に、厚み測定器85は、第5厚みを測定する。
具体的には、厚み測定器85は、第1反射光R1と第2反射光R2とに基づいて第1厚みd1を測定する。厚み測定器85は、第1反射光R1と第3反射光R3とに基づいて第2厚みd2を測定する。
第3厚みd3は、液膜EFの液面から第1基板W1の上面501(処理対象膜TGの上面)までの厚みである。厚み測定器85は、第1反射光R1と第4反射光R4とに基づいて第3厚みd3を測定する。第4厚みd4は、液膜EFの液面から処理対象膜TGの下面502までの厚みである。厚み測定器85は、第2反射光R2と第4反射光R4とに基づいて第4厚みd4を測定する。第5厚みは、液膜EFの液面からトレンチ620の底面621までの厚みである。厚み測定器85は、第3反射光R3と第4反射光R4とに基づいて第5厚みを測定する。
図8(b)に示すように、第2基板W2の上面501(処理対象膜TGの上面)に光Lが入射することにより、第2基板W2において反射光が発生する。反射光は、図8(a)を参照して説明した第1反射光R1、第2反射光R2、及び第4反射光R4を含む。図2を参照して説明した厚み測定器85は、第2基板W2からの反射光に基づいて、第1厚みd1に加えて、第3厚みd3及び第4厚みd4を測定する。第1厚みd1、第3厚みd3、及び第4厚みd4の測定については、図8(a)を参照して説明しているため、ここでの説明は割愛する。
図9は、厚み測定部8(厚み測定器85)によるフィルタリング処理を示す図である。詳しくは、図9は、図2を参照して説明した厚み測定器85が測定した厚みのデータをヒストグラム化したグラフHG1を示す。グラフHG1は、棒グラフである。図9において、横軸は厚みの測定値を示す。換言すると、横軸は、厚み測定器85が測定した厚みの値を示す。縦軸は度数(発生頻度)を示す。
図9に示すように、厚みの測定値は、処理対象膜TGの厚みdの値に加えて、処理対象膜TG以外の厚みの値を含む。処理対象膜TG以外の厚みの値は、例えば、図8(a)及び図8(b)を参照して説明した第3厚みd3、第4厚みd4、及び第5厚みを含む。
本実施形態において、図2を参照して説明した厚み測定器85は、厚みの測定値のうちから、有効範囲(特定の厚み範囲)内の測定値を抽出して、測定信号を生成する。有効範囲は、基板Wの厚みに基づいて予め設定されている。あるいは、厚み測定器85が、測定した厚みの値に基づいて、有効範囲を決定してもよい。例えば、厚み測定器85は、測定値のうちから、度数が最も大きい測定値を抽出して、その測定値を中心とする所定の範囲を有効範囲に決定する。なお、厚み測定器85は、測定した厚みの値を全て示す測定信号を生成してもよい。この場合、制御部102が、測定信号に基づいて有効範囲に決定する。そして、制御部102は、測定信号が示す厚みの値のうちから、有効範囲(特定の厚み範囲)内の測定値を抽出する。
続いて図10(a)〜図10(c)を参照して、制御部102が実行する代表値取得処理を説明する。代表値取得処理は、厚み測定部8が測定した厚みの値(測定値)のうちから代表値を取得する処理である。
制御部102は、測定信号に基づいて複数の測定値(処理対象膜TGの厚みdの値)を取得する。具体的には、測定信号に基づいて、基板W一回転分の測定値を取得する。そして、制御部102は、基板W一回転分の測定値のうちから、目標値dtgと比較する対象である代表値を取得する。より詳しくは、制御部102は、基板W一回転分の測定値をヒストグラム化して、測定値の度数を示すヒストグラムデータを生成する。そして、制御部102は、ヒストグラムデータによって示される度数のうちから、上位n個(nは正の整数)の度数を抽出し、上位n個の度数に含まれる測定値のうちから、所定の条件に基づいて代表値を取得する。以下、上位n個の度数に含まれる測定値を、「選定対象の測定値」と記載する場合がある。
図10(a)は、基板W一回転分の測定値のデータをヒストグラム化したグラフ(グラフHG2)を示す図である。図10(b)は、基板W一回転分の測定値のデータをヒストグラム化した他のグラフ(グラフHG3)を示す図である。図10(c)は、基板W一回転分の測定値のデータをヒストグラム化した他のグラフ(グラフHG4)を示す図である。
グラフHG2〜グラフHG4は、折れ線グラフである。図10(a)〜図10(c)において、横軸は厚みの測定値を示す。具体的には、横軸は、基板W一回転分の測定値を示す。縦軸は度数(発生頻度)を示す。
詳しくは、図10(a)は、第1基板W1の測定結果を示す。図10(a)に示すヒストグラムデータ(グラフHG2)は、第1厚みd1の度数が、第2厚みd2の度数よりも小さいことを示す。すなわち、トレンチ620の底面621から反射した光(第3反射光R3)の割合が、処理対象膜TGの下面502から反射した光(第1反射光R1)の割合に対して大きいことを示す。換言すると、第1基板W1の下面601の面積に占めるトレンチ620の開口面積の割合が比較的高いことを示す。
図10(b)は、第1基板W1の測定結果を示す。図10(b)に示すヒストグラムデータ(グラフHG3)は、第1厚みd1の度数が、第2厚みd2の度数よりも大きいことを示す。すなわち、トレンチ620の底面621から反射した光(第3反射光R3)の割合が、処理対象膜TGの下面502から反射した光(第1反射光R1)の割合に対して小さいことを示す。換言すると、第1基板W1の下面601の面積に占めるトレンチ620の開口面積の割合が比較的低いことを示す。
図10(c)は、第2基板W2の測定結果を示す。したがって、図10(c)に示すヒストグラムデータ(グラフHG4)は、第1厚みd1の度数のみを示す。
制御部102は、ヒストグラムデータによって示される度数のうちから、上位n個(nは正の整数)の度数を抽出する。上位n個は、予め定められている。具体的には、図10(a)〜図10(c)に示すように、上位n個は、上位n個の度数に第1厚みd1及び第2厚みd2の測定値が含まれるように、エッチング処理前の基板Wの状態に応じて予め定められている。
制御部102は、上位n個の度数に含まれる測定値(選定対象の測定値)のうちから、所定の条件に基づいて代表値を取得する。具体的には、所定の条件は、第1条件、及び第2条件を含む。第1条件は、代表値として、選定対象の測定値のうちの最大値を取得する条件を示す。第2条件は、代表値として、選定対象の測定値のうちの最小値を取得する条件を示す。所定の条件が第1条件である場合、制御部102は、代表値として、第1厚みd1のうちの最大値を取得する。所定の条件が第2条件である場合、制御部102は、代表値として、第2厚みd2のうちの最小値を取得する。
本実施形態において、所定の条件は、第3条件を更に含む。制御部102は、所定の条件が第3条件である場合、選定対象の測定値のうちの最大値を抽出し、その最大値を中心とする所定の範囲を設定し、その所定の範囲に含まれる測定値のうちの中央値を、代表値として取得する。したがって、第3条件も、第1条件と同様に、第1厚みd1のうちから代表値が選定される。所定の範囲は、予め定められている。なお、中央値を取得する際に、制御部102は、所定の範囲に含まれる測定値を降順にして中央値を取得してもよい。
続いて図11、図12(a)、及び図12(b)を参照して、制御装置101を説明する。図11は、制御装置101の構成を示すブロック図である。図11に示すように、制御装置101は、入力部104と、表示部105を更に含む。
入力部104は、作業者による入力操作を受け付けて、入力内容を示す情報を制御部102に出力する。入力部104は、例えば、タッチパネル及びポインティングデバイスを含む。タッチパネルは、例えば、表示部105の表示面に配置される。入力部104と表示部105とは、例えば、グラフィカルユーザーインターフェースを構成する。
本実施形態において、入力部104は、所定の条件を入力する入力操作を受け付ける。具体的には、作業者は、入力部104を用いて、第1条件〜第3条件のうちの任意の一つを選択する操作を行う。この結果、第1条件〜第3条件のうちの一つが所定の条件として選択されたことを示す情報が制御部102に入力される。制御部102は、選択された条件(入力された条件)に基づいて代表値を取得する。
表示部105は各種情報を表示する。本実施形態において、表示部105は、作業者による所定の条件の入力操作を受け付ける入力画面Gを表示する。表示部105は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(electroluminescence)ディスプレイを有する。
続いて、図12(a)を参照して、表示部105が表示する入力画面Gを説明する。図12(a)は、入力画面Gの一例を示す図である。図12(b)は、入力画面Gの他例を示す図である。入力画面Gは、代表値を選定するための条件の入力操作に用いられる。以下、図12(a)に示す入力画面Gを、「第1入力画面G1」と記載し、図12(b)に示す入力画面Gを「第2入力画面G2」と記載する。
図12(a)に示すように、第1入力画面G1は、ラジオボタン700、及びOKボタン704を表示する。OKボタン704は、第1入力画面G1に登録された情報を確定するためのボタンであり、作業者が入力部104を操作してOKボタン704を押下する指示を入力すると、第1入力画面G1に登録された情報が確定して制御部102に入力される。
ラジオボタン700は、第1条件選択欄701、第2条件選択欄702、及び第3条件選択欄703を含む。作業者は入力部104を操作して、第1条件(最大値)、第2条件(最小値)、第3条件(中央値)のうちの1つを選択することができる。
第1条件(最大値)が選択された状態で、作業者がOKボタン704を押下する指示を入力した場合、所定の条件として第1条件が設定される。その結果、制御部102は、エッチング処理中に、基板Wが1回転する度に、代表値として、選定対象の測定値のうちから最大値を取得する。
第2条件(最小値)が選択された状態で、作業者がOKボタン704を押下する指示を入力した場合、所定の条件として第2条件が設定される。その結果、制御部102は、エッチング処理中に、基板Wが1回転する度に、代表値として、選定対象の測定値のうちから最小値を取得する。
第3条件(中央値)が選択された状態で、作業者がOKボタン704を押下する指示を入力した場合、所定の条件として第3条件が設定される。その結果、制御部102は、エッチング処理中に、基板Wが1回転する度に、選定対象の測定値のうちの最大値を抽出し、その最大値を中心とする所定の範囲を設定し、その所定の範囲に含まれる測定値のうちの中央値を、代表値として取得する。
例えば、作業者は、基板Wから製造する半導体製品がパワーデバイスである場合、所定の条件として第1条件を設定する。所定の条件として第1条件を設定することにより、選定対象の測定値のうちの最大値が代表値となるため、パワーデバイスの耐電圧が不足することを避けることができる。また、本実施形態によれば、所定の条件として第1条件を設定することによって、第1厚みd1の中から代表値が取得される。したがって、処理対象膜TGの下面502からの厚みを目標厚み(目標値dtg)にすることができる。その結果、トレンチ620の底面621からの厚みを目標厚み(目標値dtg)にする場合に比べて、処理対象膜TGの厚みdが過大となり難い。よって、処理対象膜TGの過大な厚みに起因して、パワーデバイスの電気抵抗が過大となることを避けることができる。
あるいは、作業者は、基板Wから製造する半導体製品がパワーデバイスである場合、所定の条件として第3条件を設定してもよい。所定の条件として第3条件を設定することにより、第1厚みd1の中から代表値が取得されるため、第1条件と同様に、パワーデバイスの耐電圧が不足することや、処理対象膜TGの過大な厚みに起因して、パワーデバイスの電気抵抗が過大となることを避けることができる。
作業者は、基板Wから製造する半導体製品が非パワーデバイスである場合、所定の条件として第2条件を設定する。所定の条件として第2条件を設定することにより、選定対象の測定値のうちの最小値が代表値となるため、非パワーデバイスの電気抵抗が過大となることを避けることができる。また、本実施形態によれば、所定の条件として第2条件を設定することによって、第2厚みd2の中から代表値が取得される。したがって、トレンチ620の底面621からの厚みを目標厚み(目標値dtg)にすることができる。その結果、処理対象膜TGの下面502からの厚みを目標厚み(目標値dtg)にする場合に比べて、処理対象膜TGの厚みdが過小となり難い。よって、処理対象膜TGの過小な厚みに起因して、非パワーデバイスの耐電圧が不足することを避けることができる。
続いて、図12(b)を参照して第2入力画面G2を説明する。表示部105は、図12(a)を参照して説明した第1入力画面G1に代えて、図12(b)に示す第2入力画面G2を表示してもよい。
図12(b)に示すように、第2入力画面G2は、ラジオボタン710、及びOKボタン704を表示する。OKボタン704に割り当てられた機能は、図12(a)を参照して説明したOKボタン704と同様であるため、その説明は割愛する。
ラジオボタン710は、パワーデバイス選択欄711、及び非パワーデバイス選択欄712を含む。作業者は入力部104を操作して、基板Wから製造される半導体製品(デバイス)の種別を入力することができる。具体的には、デバイスの種別として、パワーデバイスと非パワーデバイスとのうちの一方を選択することができる。
デバイスの種別としてパワーデバイスが選択された状態で、作業者がOKボタン704を押下する指示を入力した場合、制御部102は、所定の条件を第1条件に決定する。その結果、制御部102は、エッチング処理中に、基板Wが1回転する度に、代表値として、選定対象の測定値のうちから最大値を取得する。
デバイスの種別として非パワーデバイスが選択された状態で、作業者がOKボタン704を押下する指示を入力した場合、制御部102は、所定の条件を第2条件に決定する。その結果、制御部102は、エッチング処理中に、基板Wが1回転する度に、代表値として、選定対象の測定値のうちから最小値を取得する。
なお、デバイスの種別としてパワーデバイスが選択された状態で、作業者がOKボタン704を押下する指示を入力した場合、制御部102は、所定の条件を第3条件に設定してもよい。
続いて図1〜図17を参照して、本実施形態の基板処理方法を説明する。本実施形態の基板処理方法は、図1〜図12を参照して説明した基板処理装置100によって実行される。図13〜図16は、本実施形態の基板処理装置100が備える制御部102による処理を示すフローチャートである。
図13〜図16に示す処理は、作業者が入力部104を操作して基板Wのエッチング処理の開始を指示することにより、開始される。作業者が入力部104を操作して基板Wのエッチング処理の開始を指示すると、表示部105が、図11、図12(a)、及び図12(b)を参照して説明した入力画面Gを表示する。具体的には、表示部105は、図12(a)を参照して説明した第1入力画面G1、又は図12(b)を参照して説明した第2入力画面G2を表示する。作業者は、第1入力画面G1又は第2入力画面G2を介して所定の所条件を設定する(ステップS1)。
例えば、第1入力画面G1が表示された場合、作業者は、入力部104を操作することにより、第1条件〜第3条件のうちの1つを選択する。この結果、制御部102は、所定の条件として、第1条件〜第3条件のうちの1つを設定する。第2入力画面G2が表示された場合、作業者は、入力部104を操作することにより、デバイスの種別として、パワーデバイス又は非パワーデバイスを選択する。この結果、制御部102は、所定の条件として、第1条件又は第2条件を設定する。あるいは、所定の条件として、第3条件又は第2条件を設定する。
所定の条得を設定すると、制御部102は、インデクサーロボットIR及びセンターロボットCRを制御して、処理ユニット1のチャンバー2内へ基板Wを搬入させる(ステップS2)。搬入された基板Wは、スピンチャック3によって保持される。
スピンチャック3が基板Wを保持すると、制御部102は、スピンモータ部5を制御して、スピンチャック3と一体に基板Wを回転させる(ステップS3)。
制御部102は、回転速度信号に基づいて、基板Wの回転速度が所定値で安定しているか否かを判定する。基板Wの回転速度が所定値で安定すると、制御部102は、図6(a)を参照して説明したように、厚み測定部8及びプローブ移動機構9を制御して、測定位置Pを決定する(ステップS4)。
測定位置Pが決定すると、制御部102は、光学プローブ81の位置を測定位置Pに固定させた後、エッチング液供給部4を制御して、第1ノズル41から基板Wの上面501へ向けてエッチング液を供給させる(ステップS5)。具体的には、制御部102は、第1供給配管42に設けられたバルブを開く。
エッチング液の供給が開始すると、制御部102は、厚み測定部8からの測定信号に基づいて、処理対象膜TGの厚みdが目標厚みに到達したか否かを判定する(ステップS6)。
制御部102は、処理対象膜TGの厚みdが目標厚みに到達したと判定すると、図14に示すように、エッチング液供給部4を制御して、第1ノズル41から基板Wの上面501へのエッチング液の供給を停止させる(ステップS7)。具体的には、制御部102は、第1供給配管42に設けられたバルブを閉じる。
制御部102は、エッチング液の供給を停止させた後、リンス液供給部7を制御して、第2ノズル71から基板Wの上面501へ向けてリンス液を供給させる(ステップS8)。具体的には、制御部102は、第2供給配管72に設けられたバルブを開く。基板Wの上面501にリンス液が供給されることにより、基板Wの上面501からエッチング液が除去される。具体的には、エッチング液はリンス液によって基板Wの外方に押し流され、基板Wの周囲に排出される。この結果、基板W上のエッチング液の液膜が、基板Wの上面全域を覆うリンス液の液膜に置換される。
基板W上のエッチング液をリンス液に置換した後、制御部102は、スピンモータ部5の回転速度を増加させて、基板Wを乾燥させる(ステップS9)。具体的には、基板Wの回転速度を、エッチング処理時及びリンス処理時の回転速度よりも増大させる。この結果、基板W上のリンス液に大きな遠心力が付与され、基板Wに付着しているリンス液が基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、基板Wからリンス液を除去し、基板Wを乾燥させる。
制御部102は、基板Wの高速回転を開始してから所定時間が経過した後、スピンモータ部5の動作を停止させることにより、基板Wの回転を停止させる(ステップS10)。この結果、乾燥処理が終了する。乾燥処理が終了すると、スピンチャック3による基板Wの保持が解除され、センターロボットCRがチャンバー2の外へ基板Wを搬出する。
制御部102は、乾燥処理が終了すると、予め設定されている予定枚数の基板Wの処理が終わったか否かを判定する(ステップS11)。予定枚数の基板Wの処理が終わったと制御部102が判定した場合(ステップS11のYes)、図13及び図14に示す処理が終了する。一方、予定枚数の基板Wの処理が終わっていないと制御部102が判定した場合(ステップS11のNo)、図13に示すステップS2以降の処理が再度実行される。
続いて、図15を参照して厚み判定処理(ステップS6)を説明する。図15は、厚み判定処理(ステップS6)のフローを示す図である。
図15に示すように、厚み判定処理を開始すると、制御部102は、基板Wの一回転分の測定値のうちから代表値を取得する(ステップS61)。
制御部102は、代表値を取得すると、取得した代表値が目標値dtg以下か否かを判定する(ステップS62)。代表値が目標値dtg以下であると制御部102が判定すると(ステップS62のYes)、処理は、図14に示すステップS7に移行する。
一方、制御部102は、代表値が目標値dtg以下でないと判定すると(ステップS62のNo)、基板Wの次の一回転分の測定値のうちから、代表値を取得する(ステップS61)。したがって、制御部102は、代表値が目標値dtg以下となるまで、基板Wが一回転する度に、代表値を取得して目標値dtgと比較する。
続いて、図16を参照して代表値取得処理(ステップS61)を説明する。図16は、代表値取得処理(ステップS61)のフローを示す図である。
図16に示すように、代表値取得処理を開始すると、制御部102は、厚み測定部8から入力される測定信号(測定結果)に基づいて、基板一回転分の測定値(複数の測定値)を取得する(ステップS611)。
制御部102は、基板一回転分の測定値(複数の測定値)を取得すると、取得した複数の測定値をヒストグラム化して、ヒストグラムデータを生成する(ステップS612)。
制御部102は、ヒストグラムデータを生成すると、ヒストグラムデータが示す度数分布に基づいて、図10(a)〜図10(c)を参照して説明したように、上位n個の度数を抽出する(ステップS613)。
制御部102は、上位n個の度数を抽出すると、図10(a)〜図10(c)を参照して説明したように、条件設定工程(ステップS1)において設定された条件に基づいて、上位n個の度数に含まれる測定値のうちから代表値を取得する(ステップS614)。
制御部102が代表値を取得すると、制御部102の処理は、図15に示すステップS62の処理に移る。
続いて、図17を参照して厚み判定処理(ステップS6)の変形例を説明する。但し、図15を参照して説明した処理と同じ処理については、その詳しい説明を割愛する。
図17は、厚み判定処理(ステップS6)の変形例のフローを示す図である。制御部102は、図15を参照して厚み判定処理に代えて、図17に示す厚み判定処理を実行してもよい。
図17に示すように、厚み判定処理を開始すると、制御部102は、今回の代表値X1を取得する(ステップS61)。制御部102は、今回の代表値X1を取得すると、前回の代表値X0から今回の代表値X1を引いた値(以下、「差分値」と記載する。)がゼロより小さいか否かを判定する(ステップS63)。なお、前回の代表値X0は、記憶部103に記憶されている。
制御部102は、差分値がゼロより小さくない判定すると(ステップS63のNo)、すなわち、差分値がゼロ以上である場合、再度、今回の代表値X1を取得する(ステップS61)。
制御部102は、差分値がゼロより小さいと判定すると(ステップS63のYes)、差分値が所定値Dより大きいか否かを判定する(ステップS64)。制御部102は、差分値が所定値Dより大きくないと判定すると(ステップS63のNo)、すなわち、差分値が所定値D以下である場合、再度、今回の代表値X1を取得する(ステップS61)。
制御部102は、差分値が所定値Dより大きいと判定すると(ステップS64のYes)、今回取得した代表値X1を、前回の代表値X0として設定する(ステップS65)。具体的には、制御部102は、今回取得した代表値X1を、前回の代表値X0として記憶部103に記憶させる。
制御部102は、今回の代表値X1を、前回の代表値X0として設定すると、今回の代表値X1が目標値dtg以下か否かを判定する(ステップS62)。
以上、図17を参照して厚み判定処理の変形例を説明した。図17に示す厚み判定処理によれば、処理対象膜TGの厚みdが目標厚みに到達していない状態でエッチング処理が停止する可能性を減じることができる。換言すると、処理対象膜TGの厚みdを目標厚みにできる可能性を高めることができる。
具体的には、エッチング処理では、処理対象膜TGの厚みdは時系列に沿って減少する。これに対し、差分値がゼロ以上であることは(ステップS63のNo)、処理対象膜TGの厚みdが減少していないことを示す。したがって、差分値がゼロ以上である場合、代表値の選定が適当でなかった可能性がある。また、差分値が所定値Dよりも小さいことは(ステップS64のNo)、処理対象膜TGの厚みdの減少量が、想定している減少量よりも少ないことを示す。したがって、差分値が所定値Dよりも小さい場合、代表値の選定が適当でなかった可能性がある。
よって、差分値をゼロ以上にする代表値、あるいは、差分値を所定値Dよりも小さくする代表値を用いて、処理対象膜TGの厚みdが目標厚みに到達したか否かを判定した場合、処理対象膜TGの厚みdが目標厚みに到達していない状態で、エッチング処理を停止させる可能性がある。
これに対し、図17に示す厚み判定処理によれば、制御部102は、差分値をゼロ以上にする代表値、あるいは、差分値を所定値Dよりも小さくする代表値を取得した場合、再度、今回の代表値X1を取得する。よって、処理対象膜TGの厚みdが目標厚みに到達していない状態でエッチング処理が停止する可能性を減じることができる。
以上、図1〜図17を参照して本発明の実施形態1を説明した。本実施形態によれば、条件に応じて代表値を決定する処理を変更することができる。具体的には、条件が第1条件である場合、制御部102は、選定対象の測定値のうちの最大値を代表値として取得する。条件が第2条件である場合、制御部102は、選定対象の測定値のうちの最小値を代表値として取得する。更に、条件が第3条件である場合、制御部102は、選定対象の測定値のうちの最大値を抽出し、その最大値を中心とする所定の範囲を設定し、その所定の範囲に含まれる測定値のうちの中央値を、代表値として取得する。よって、本実施形態によれば、基板Wから製造される半導体製品の種別や特性、並びに、本実施形態の基板処理装置100及び基板処理方法によるエッチング処理よりも前に基板Wに実行された処理の内容(前処理の内容)や、本実施形態の基板処理装置100及び基板処理方法によるエッチング処理よりも後に基板Wに実行される処理の内容(後処理の内容)に応じて、処理対象膜TGの厚みdをより適切な厚みにすることができる。
[実施形態2]
続いて図18〜図20を参照して本発明の実施形態2について説明する。但し、実施形態1と異なる事項を説明し、実施形態1と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態2は、制御部112が学習済みモデル200を用いて所定の条件を決定することが実施形態1と異なる。
図18は、本実施形態2の基板処理装置100が備える制御装置101の構成を示すブロック図である。図18に示すように制御装置101は、制御部112と、記憶部113と、入力部104と、表示部105とを含む。
制御部112は、プロセッサーを有する。制御部112は、例えば、CPU、又は、MPUを有する。あるいは、制御部112は、汎用演算機を有する。制御部112は、NCU(Neural Network Processing Unit)を更に有し得る。
記憶部113は、主記憶装置を有する。記憶部113は、補助記憶装置を更に有してもよい。記憶部113はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。制御部112は、記憶部113に記憶されているコンピュータプログラム及びデータに基づいて、基板処理装置100の各部の動作を制御する。
本実施形態において、記憶部113は、学習済みモデル200を記憶する。学習済みモデル200は、初期ヒストグラムデータと、所定の条件とを学習用データとして学習することにより生成される。ここで、初期ヒストグラムデータは、エッチング処理前の基板Wの厚み(処理対象膜TGの厚みd)の分布(プロファイル)をヒストグラム化したデータである。具体的には、エッチング処理中に生成されるヒストグラムデータと同様に、周方向CDの厚みの分布をヒストグラム化したデータである。
より詳しくは、学習済みモデル200は、初期ヒストグラムデータと、その初期ヒストグラムデータに対して実際に設定された所定の条件(第1条件〜第3条件のいずれか)とを学習することにより生成される。具体的には、学習済みモデル200は、初期ヒストグラムデータを特徴量とし、所定の条件を目的変数とする学習用データセットを学習して、その学習用データセットの中から一定の規則を見出し、その規則を表現するモデルを生成することにより生成される。なお、学習方法は、例えば、教師あり学習、教師なし学習、半教師あり学習、強化学習、及び深層学習のうちのいずれかである。
制御部112は、エッチング処理の実行前に、厚み測定部8を制御して、初期ヒストグラムデータを生成し、その初期ヒストグラムデータを説明変数として学習済みモデル200に入力して、学習済みモデル200から、目的変数である所定の条件(第1条件〜第3条件のいずれか)を出力させる。
続いて、図18〜図20を参照して本実施形態の基板処理装置100の動作を説明する。図19及び図20は、本実施形態の基板処理装置100が備える制御部112による処理を示すフローチャートである。但し、図13〜図17を参照して説明した処理と同じ処理については、その詳細な説明は割愛する。
図19に示すように、実施形態2では、実施形態1と異なり、制御部112が実行する処理は、作業者が選択した条件を設定する処理(ステップS1)を含まない。その一方で、制御部112が実行する処理は、条件決定処理(ステップS12)を含む。
制御部112は、測定位置Pを決定した後、条件決定処理を実行する(ステップS12)。条件決定処理は、代表値を取得する条件を決定する処理である。制御部112は、代表値を取得する条件を決定すると、エッチング液供給部4を制御して、第1ノズル41から基板Wの上面501へ向けてエッチング液を供給させる(ステップS5)。なお、ステップS6以降の処理は、図14を参照して説明した処理と同様であるため、説明を割愛する。
図20は、条件設定処理(ステップS12)のフローを示す図である。なお、条件設定処理の開始時に、光学プローブ81は測定位置Pに配置されている。図20に示すように、条件設定処理が開始すると、制御部112は、エッチング処理前の基板Wの厚み(処理対象膜TGの厚み)を厚み測定部8に測定させ、厚み測定部8から入力される測定信号(測定結果)に基づいて、基板一回転分の測定値(複数の測定値)を取得する(ステップS121)。以下、エッチング処理前に制御部112が取得する測定値を、「初期測定値」と記載する。
制御部112は、複数の初期測定値を取得すると、取得した複数の初期測定値をヒストグラム化して、初期測定値の度数を示す初期ヒストグラムデータを生成する(ステップS122)。
制御部112は、初期ヒストグラムデータを生成すると、学習済みモデル200を用いて、初期ヒストグラムデータから所定の条件(第1条件〜第3条件のいずれか)を決定する(ステップS123)。具体的には、制御部112は、初期ヒストグラムデータを説明変数として学習済みモデル200に入力して、学習済みモデル200から、目的変数である所定の条件(第1条件〜第3条件のいずれか)を出力させる。所定の条件が決定すると、処理は、図19に示すステップS5に移る。
以上、図18〜図20を参照して本発明の実施形態2について説明した。本実施形態によれば、作業者が条件を設定する作業を省くことができる。
なお、本実施形態では、記憶部113は学習済みモデル200を予め記憶したが、制御部112が、学習済みモデル200を生成して記憶部113に記憶させてもよい。この場合、記憶部113は、推論プログラムと、学習用プログラムとを予め記憶する。具体的には、制御部112は、基板Wを処理する度に、学習用データセットとして、初期ヒストグラムデータと、その初期ヒストグラムデータに対して実際に設定された所定の条件(第1条件〜第3条件のいずれか)とを取得して、学習用プログラムに学習させる。その結果、学習用プログラムから学習済みパラメータが出力される。制御部112は、学習済みパラメータを推論プログラムに組み込むことで、学習済みモデル200を生成する。
[実施形態3]
続いて図18、図20、及び図21を参照して本発明の実施形態3について説明する。但し、実施形態1、2と異なる事項を説明し、実施形態1、2と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態3は、説明変数として、初期ヒストグラムデータと、デバイスの種別を示す情報とを学習済みモデル200に入力することが実施形態1、2と異なる。なお、デバイスの種別は、基板Wから製造される半導体製品(デバイス)の種別を示す。デバイスの種別は、パワーデバイスと、非パワーデバイスとを含む。
本実施形態において、学習済みモデル200は、初期ヒストグラムデータと、デバイスの種別と、所定の条件とを学習用データとして学習することにより生成される。
より詳しくは、学習済みモデル200は、初期ヒストグラムデータと、その初期ヒストグラムデータに対して実際に設定された所定の条件(第1条件〜第3条件のいずれか)と、その初期ヒストグラムデータを取得した基板Wから製造されるデバイスの種別とを学習することにより生成される。具体的には、初期ヒストグラムデータ及びデバイスの種別を特徴量とし、所定の条件を目的変数とする学習用データセットを学習して、その学習用データセットの中から一定の規則を見出し、その規則を表現するモデルを生成することにより、学習済みモデル200を生成することができる。
制御部112は、エッチング処理の実行前に、入力部104を介して、デバイスの種別を示す情報を取得する。そして、エッチング処理の実行前に、厚み測定部8を制御して、初期ヒストグラムデータを生成し、その初期ヒストグラムデータと、デバイスの種別とを説明変数として学習済みモデル200に入力して、学習済みモデル200から、目的変数である所定の条件(第1条件〜第3条件のいずれか)を出力させる。
続いて、図18、図20、及び図21を参照して本実施形態の基板処理装置100の動作を説明する。図21は、本実施形態の基板処理装置100が備える制御部112による処理を示すフローチャートである。但し、図13〜図17、及び図19〜図20を参照して説明した処理と同じ処理については、その詳細な説明は割愛する。
図21に示すように、実施形態3では、実施形態2と異なり、制御部112が実行する処理は、作業者が選択したデバイスの種別を設定する処理(ステップS13)を含む。例えば、制御部112は、図12(b)を参照して説明した第2入力画面G2を表示部105に表示させることより、作業者にデバイスの種別を選択させる。
制御部112は、条件決定処理(ステップS12)において、実施形態2と同様に、初期ヒストグラムデータを生成し(図20のステップS121及びステップS122)、学習済みモデル200を用いて、初期ヒストグラムデータ及びデバイスの種別から所定の条件(第1条件〜第3条件のいずれか)を決定する(図20のステップS123)。
なお、ステップS6以降の処理は、図14を参照して説明した処理と同様であるため、説明を割愛する。
以上、図18、図20、及び図21を参照して本発明の実施形態3について説明した。本実施形態によれば、作業者が条件を設定する作業を省くことができる。
[実施形態4]
続いて図18、図22、及び図23を参照して本発明の実施形態4について説明する。但し、実施形態1〜3と異なる事項を説明し、実施形態1〜3と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態4は、制御部112が学習済みモデル200を用いて「上位n個」を決定することが実施形態1〜3と異なる。
本実施形態において、学習済みモデル200は、初期ヒストグラムデータと、上位n個の値とを学習用データとして学習することにより生成される。より詳しくは、学習済みモデル200は、初期ヒストグラムデータと、その初期ヒストグラムデータに対して実際に設定された上位n個の値とを学習することにより生成される。具体的には、初期ヒストグラムデータを特徴量とし、上位n個の値を目的変数とする学習用データセットを学習して、その学習用データセットの中から一定の規則を見出し、その規則を表現するモデルを生成することにより、学習済みモデル200を生成することができる。なお、学習方法は、例えば、教師あり学習、教師なし学習、半教師あり学習、強化学習、及び深層学習のうちのいずれかである。
制御部112は、エッチング処理の実行前に、厚み測定部8を制御して、初期ヒストグラムデータを生成し、その初期ヒストグラムデータを説明変数として学習済みモデル200に入力して、学習済みモデル200から、目的変数である上位n個の値を出力させる。
続いて、図18、図22、及び図23を参照して本実施形態の基板処理装置100の動作を説明する。図22及び図23は、本実施形態の基板処理装置100が備える制御部112による処理を示すフローチャートである。但し、図13〜図17、及び図19〜図21を参照して説明した処理と同じ処理については、その詳細な説明は割愛する。
図22に示すように、実施形態4では、実施形態1と同様に、制御部112が実行する処理は、作業者が選択した条件を設定する処理(ステップS1)を含む。制御部112が実行する処理は、上位n個の決定処理(ステップS14)を更に含む。
制御部112は、測定位置Pを決定した後、上位n個の決定処理を実行する(ステップS14)。上位n個の決定処理は、初期ヒストグラムデータに基づいて、上位n個の値を決定する処理である。制御部112は、上位n個の値を決定すると、エッチング液供給部4を制御して、第1ノズル41から基板Wの上面501へ向けてエッチング液を供給させる(ステップS5)。なお、ステップS6以降の処理は、図14を参照して説明した処理と同様であるため、説明を割愛する。
図23は、上位n個の決定処理(ステップS14)のフローを示す図である。なお、上位n個の決定処理の開始時に、光学プローブ81は測定位置Pに配置されている。図23に示すように、上位n個の決定処理が開始すると、制御部112は、エッチング処理前の基板Wの厚み(処理対象膜TGの厚みd)を厚み測定部8に測定させ、厚み測定部8から入力される測定信号(測定結果)に基づいて、複数の初期測定値を取得する(ステップS141)。
制御部112は、複数の初期測定値を取得すると、取得した複数の初期測定値をヒストグラム化して、初期ヒストグラムデータを生成する(ステップS142)。
制御部112は、初期ヒストグラムデータを生成すると、学習済みモデル200を用いて、初期ヒストグラムデータから上位n個の値を決定する(ステップS143)。具体的には、制御部112は、初期ヒストグラムデータを説明変数として学習済みモデル200に入力して、学習済みモデル200から、目的変数である上位n個の値を出力させる。上位n個の値が決定すると、処理は、図19に示すステップS5に移る。
以上、図18、図22、及び図23を参照して本発明の実施形態4について説明した。本実施形態によれば、作業者が上位n個を決定する作業を省くことができる。
なお、本実施形態では、記憶部113は学習済みモデル200を予め記憶したが、制御部112が、学習済みモデル200を生成して記憶部113に記憶させてもよい。この場合、記憶部113は、推論プログラムと、学習用プログラムとを予め記憶する。具体的には、制御部112は、基板Wを処理する度に、学習用データセットとして、初期ヒストグラムデータと、その初期ヒストグラムデータに対して実際に設定された上位n個の値とを取得して、学習用プログラムに学習させる。その結果、学習用プログラムから学習済みパラメータが出力される。制御部112は、学習済みパラメータを推論プログラムに組み込むことで、学習済みモデル200を生成する。
[実施形態5]
続いて図18、図23、及び図24を参照して本発明の実施形態5について説明する。但し、実施形態1〜4と異なる事項を説明し、実施形態1〜4と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態5は、説明変数として、初期ヒストグラムデータと、デバイスの種別を示す情報とを学習済みモデル200に入力することが実施形態1〜4と異なる。
本実施形態において、学習済みモデル200は、初期ヒストグラムデータと、デバイスの種別と、上位n個の値とを学習用データとして学習することにより生成される。
より詳しくは、学習済みモデル200は、初期ヒストグラムデータと、その初期ヒストグラムデータに対して実際に設定された上位n個の値と、その初期ヒストグラムデータを取得した基板Wから製造されるデバイスの種別とを学習することにより生成される。具体的には、初期ヒストグラムデータ及びデバイスの種別を特徴量とし、上位n個の値を目的変数とする学習用データセットを学習して、その学習用データセットの中から一定の規則を見出し、その規則を表現するモデルを生成することにより、学習済みモデル200を生成することができる。
制御部112は、エッチング処理の実行前に、入力部104を介して、デバイスの種別を示す情報を取得する。そして、エッチング処理の実行前に、厚み測定部8を制御して、初期ヒストグラムデータを生成し、その初期ヒストグラムデータと、デバイスの種別とを説明変数として学習済みモデル200に入力して、学習済みモデル200から、目的変数である上位n個の値を出力させる。
続いて、図18、図23、及び図24を参照して本実施形態の基板処理装置100の動作を説明する。図24は、本実施形態の基板処理装置100が備える制御部112による処理を示すフローチャートである。但し、図13〜図17、及び図19〜図23を参照して説明した処理と同じ処理については、その詳細な説明は割愛する。
図21に示すように、実施形態5では、実施形態4と異なり、制御部112が実行する処理は、作業者が選択したデバイスの種別を設定する処理(ステップS13)を含む。
制御部112は、上位n個の決定処理(ステップS14)において、実施形態4と同様に、初期ヒストグラムデータを生成し(図23のステップS141及びステップS142)、学習済みモデル200を用いて、初期ヒストグラムデータ及びデバイスの種別から上位n個の値を決定する(図23のステップS143)。
なお、ステップS6以降の処理は、図14を参照して説明した処理と同様であるため、説明を割愛する。
以上、図18、図23、及び図24を参照して本発明の実施形態5について説明した。本実施形態によれば、作業者が上位n個を決定する作業を省くことができる。
以上、図面(図1〜図24)を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、図1〜図24を参照して説明した実施形態では、スピンチャック3は、ベルヌーイチャックであったが、スピンチャック3の種類は、基板Wを水平に保持する構成である限り、特に限定されない。例えば、スピンチャック3は、バキュームチャックであってもよい。なお、スピンチャック3がバキュームチャックである場合、スピンベース33の上面に保護膜が設けられてもよい。スピンベース33の上面に保護膜が設けられる場合、スピンチャック3(バキュームチャック)は、保護膜を介して基板Wを吸引する。
また、図1〜図24を参照して説明した実施形態では、処理対象膜TGの厚みdを測定する際に、光学プローブ81は、測定位置P(一定の位置)に固定されたが、処理対象膜TGの厚みdを測定する際に、光学プローブ81が移動してもよい。この場合、図6(a)に示すように、平面視において、処理対象膜TGに対する厚みの測定位置が円弧状の軌跡TJを形成するように光学プローブ81が移動する。
具体的には、処理対象膜TGの厚みdを測定する際に、光学プローブ81は、平面視において、基板Wの中心部CTとエッジ部EGとの間を移動しながら、処理対象膜TGに向けて光を出射する。この結果、軌跡TJに含まれる各測定位置において、処理対象膜TGの厚みdが測定される。各測定位置は、基板Wの各半径位置に対応している。したがって、厚み測定処理により、基板Wの径方向RDにおける処理対象膜TGの厚みdの分布が測定される。
また、図1〜図24を参照して説明した実施形態では、ヒストグラムデータから、上位n個の度数が抽出されたが、図25に示すように、所定値PV以上の度数が抽出されてもよい。図25は、基板W一回転分の測定値のデータをヒストグラム化した他のグラフ(グラフHG5)を示す図である。グラフHG5は、棒グラフである。図25において、横軸は厚みの測定値を示す。具体的には、横軸は、基板W一回転分の測定値を示す。縦軸は度数(発生頻度)を示す。
図25に示すように、制御部102、112は、ヒストグラムデータによって示される度数のうちから、所定値PV以上の度数を抽出してもよい。具体的には、所定値PVは、所定値PV以上の度数に第1厚みd1及び第2厚みd2の測定値が含まれるように、エッチング処理前の基板Wの状態に応じて予め定められる。
また、図12(a)を参照して説明した第1入力画面G1は、作業者にラジオボタン(ラジオボタン700)によって条件を選択させたが、条件を選択させるインターフェイスは、ラジオボタンに限定されない。例えば、作業者にプルダウンメニューによって条件を選択させてもよい。同様に、図12(b)を参照して説明した第2入力画面G2は、作業者にラジオボタン(ラジオボタン710)によってデバイスの種別を選択させたが、デバイスの種別を選択させるインターフェイスは、ラジオボタンに限定されない。例えば、作業者にプルダウンメニューによってデバイスの種別を選択させてもよい。