JP2021153026A - 炭素層の検査方法及び燃料電池用セパレータ - Google Patents
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Abstract
【課題】耐久試験によらずに接触抵抗を推定可能な炭素層の検査方法及び耐久性に優れる燃料電池用セパレータの提供。【解決手段】耐久試験前の炭素層のラマン分光法で測定されるGピークの半値幅、D/G比及び蛍光成分比率、並びにX線光電子分光法で測定されるO/C比を説明変数とし、前記炭素層の耐久試験後の接触抵抗を目的変数とする重回帰式を用いて、前記炭素層の耐久試験後の接触抵抗値を推定する工程を含む炭素層の検査方法。【選択図】図1
Description
本発明は、炭素層の検査方法及び燃料電池用セパレータに関する。
燃料電池のセパレータとして、グラファイト、耐食性を有する金属などの導電性材料が従来より使用されている。しかしながら、グラファイトは割れやすく加工性に問題がある。チタン、ステンレス鋼等の耐食性を有する金属は、表面に酸化被膜が形成されて不動態化しやすく、燃料電池の内部抵抗が増大して電圧降下を引き起こすという問題がある。
そこで、金属製の基材の表面に導電性を有する非晶質炭素層を形成したセパレータが注目され、種々の検討がされている。例えば、特許文献1には、燃料電池のセパレータとして適した濡れ性(親水性)を示すように組成が最適化された非晶質炭素層を備えるセパレータ材料が記載されている。
そこで、金属製の基材の表面に導電性を有する非晶質炭素層を形成したセパレータが注目され、種々の検討がされている。例えば、特許文献1には、燃料電池のセパレータとして適した濡れ性(親水性)を示すように組成が最適化された非晶質炭素層を備えるセパレータ材料が記載されている。
非晶質炭素を用いるセパレータは、使用中の接触抵抗の増大が充分に小さいことを保証するための耐久試験を出荷前に実施している。このため、耐久試験の実施を省略できれば生産性の向上が期待できる。
本発明は上記事情に鑑み、耐久試験によらずに接触抵抗を推定可能な炭素層の検査方法を提供することを課題とする。本発明はまた、耐久性に優れる燃料電池用セパレータを提供することを課題とする。
本発明は上記事情に鑑み、耐久試験によらずに接触抵抗を推定可能な炭素層の検査方法を提供することを課題とする。本発明はまた、耐久性に優れる燃料電池用セパレータを提供することを課題とする。
上記課題を解決するための具体的手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1>耐久試験前の炭素層のラマン分光法で測定されるGピークの半値幅、D/G比及び蛍光成分比率、並びにX線光電子分光法で測定されるO/C比を説明変数とし、前記炭素層の耐久試験後の接触抵抗を目的変数とする重回帰式を用いて、前記炭素層の耐久試験後の接触抵抗値を推定する工程を含む炭素層の検査方法。
<2>前記重回帰式は下記で表される、<1>に記載の炭素層の検査方法。
Y=3489−10×a−2703×b+729×c+6348×d
式中、Yは耐久試験後の接触抵抗の推定値であり、aは炭素層のGピークの半値幅であり、bは炭素層のD/G比であり、cは炭素層の蛍光成分比率であり、dは炭素層のO/C比である。
<3>前記炭素層は燃料電池用セパレータの炭素層である、<1>又は<2>に記載の炭素層の検査方法。
<4>基材と、前記基材上に配置され、かつ下記の(A)〜(D)を満たす炭素層と、を備える燃料電池用セパレータ。
(A)ラマン分光法で測定されるGピークの半値幅が110cm−1〜140cm−1である。
(B)ラマン分光法で測定されるD/G比が0.85〜1.0である。
(C)ラマン分光法で測定される蛍光成分比率が0.3〜0.6である。
(D)X線光電子分光法で測定されるO/C比が0.03以下である。
<5>前記炭素層は非晶質炭素を含む、<4>に記載の燃料電池用セパレータ。
<6>前記炭素層の厚みは0.001μm〜1μmの範囲内である、<4>又は<5>に記載の燃料電池用セパレータ。
<7>前記基材はチタン、チタン合金及びステンレス鋼からなる群より選択される少なくとも1種である、<4>〜<6>のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータ。
<1>耐久試験前の炭素層のラマン分光法で測定されるGピークの半値幅、D/G比及び蛍光成分比率、並びにX線光電子分光法で測定されるO/C比を説明変数とし、前記炭素層の耐久試験後の接触抵抗を目的変数とする重回帰式を用いて、前記炭素層の耐久試験後の接触抵抗値を推定する工程を含む炭素層の検査方法。
<2>前記重回帰式は下記で表される、<1>に記載の炭素層の検査方法。
Y=3489−10×a−2703×b+729×c+6348×d
式中、Yは耐久試験後の接触抵抗の推定値であり、aは炭素層のGピークの半値幅であり、bは炭素層のD/G比であり、cは炭素層の蛍光成分比率であり、dは炭素層のO/C比である。
<3>前記炭素層は燃料電池用セパレータの炭素層である、<1>又は<2>に記載の炭素層の検査方法。
<4>基材と、前記基材上に配置され、かつ下記の(A)〜(D)を満たす炭素層と、を備える燃料電池用セパレータ。
(A)ラマン分光法で測定されるGピークの半値幅が110cm−1〜140cm−1である。
(B)ラマン分光法で測定されるD/G比が0.85〜1.0である。
(C)ラマン分光法で測定される蛍光成分比率が0.3〜0.6である。
(D)X線光電子分光法で測定されるO/C比が0.03以下である。
<5>前記炭素層は非晶質炭素を含む、<4>に記載の燃料電池用セパレータ。
<6>前記炭素層の厚みは0.001μm〜1μmの範囲内である、<4>又は<5>に記載の燃料電池用セパレータ。
<7>前記基材はチタン、チタン合金及びステンレス鋼からなる群より選択される少なくとも1種である、<4>〜<6>のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータ。
本発明によれば、耐久試験によらずに接触抵抗を推定可能な炭素層の検査方法が提供される。また本発明によれば、耐久性に優れる燃料電池用セパレータが提供される。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
<炭素層の検査方法>
本開示の炭素層の検査方法は、耐久試験前の炭素層のラマン分光法で測定されるGピークの半値幅、D/G比及び蛍光成分比率、並びにX線光電子分光法で測定されるO/C比を説明変数とし、前記炭素層の耐久試験後の接触抵抗を目的変数とする重回帰式を用いて、前記炭素層の耐久試験後の接触抵抗値を推定する工程を含む炭素層の検査方法である。
本開示の炭素層の検査方法は、耐久試験前の炭素層のラマン分光法で測定されるGピークの半値幅、D/G比及び蛍光成分比率、並びにX線光電子分光法で測定されるO/C比を説明変数とし、前記炭素層の耐久試験後の接触抵抗を目的変数とする重回帰式を用いて、前記炭素層の耐久試験後の接触抵抗値を推定する工程を含む炭素層の検査方法である。
本発明者らの検討の結果、上記重回帰式から得られる炭素層の耐久試験後の接触抵抗の値と、実際に耐久試験を実施した後に測定される炭素層の接触抵抗の値との間に高い相関があることがわかった。したがって、本開示の方法によれば、炭素層の耐久試験を行うことなく炭素層の接触抵抗値を推定することができる。
本開示において「炭素層」とは、炭素層に含まれる炭素原子の割合が90at%(原子パーセント)以上である層を意味する。
上記重回帰式を用いることで炭素層の耐久試験後の接触抵抗値を推定できる理由は必ずしも明らかではないが、下記のように考えられる。
炭素層に対して耐久試験を行うと、表面の炭素骨格の末端が酸化すると考えられる。このため、炭素層の表面付近の物性である上記の4項目を説明変数とする重回帰式から計算される接触抵抗の値は、実際に耐久試験を行った後の接触抵抗の値と高い相関関係にあると考えられる。
炭素層に対して耐久試験を行うと、表面の炭素骨格の末端が酸化すると考えられる。このため、炭素層の表面付近の物性である上記の4項目を説明変数とする重回帰式から計算される接触抵抗の値は、実際に耐久試験を行った後の接触抵抗の値と高い相関関係にあると考えられる。
ラマン分光法により炭素層の分析を行う方法は特に制限されず、公知の手法で行うことができる。ある実施態様では、下記の条件で実施する。測定装置は特に制限されず、一般的な装置を用いることができる。例えば、日本分光株式会社の顕微レーザーラマン分光装置(NRS−3300)を用いることができる。
分析条件:励起レーザー波長:532nm、露光時間:50秒、レーザー強度:1.0mW(OD値:1.0)、積算時間:2回、対物レンズ倍率長作動:50倍、グレーティング:600l/mm、測定箇所:5か所
Gピーク半値幅:ベースラインを900cm−1と2000cm−1に設定し、Gピークを1550cm−1付近のピークトップに設定し、Dピークを1350cm−1に固定して、カーブフィッティングを実施し、Gピークの半値幅(半値全幅)を得る。
D/G比:ベースラインを900cm−1と2000cm−1に設定し、Gピークの強度として1550cm−1付近のピークトップの強度を測定し、Dピークの強度として1350cm−1における強度を測定し、D/G比(Dピークの強度/Gピークの強度)を得る。
蛍光成分比率:ベースラインを900cm−1と2000cm−1に設定し、1550cm−1付近のGピークのベースラインまでの強度(N)とピークトップまでの強度(S)をそれぞれ計測し、下記式により蛍光成分比率を算出する。
蛍光成分比率=N/(N+S)
蛍光成分比率=N/(N+S)
X線光電子分光法(XPS)により炭素層の分析を行う方法は特に制限されず、公知の手法で行うことができる。ある実施態様では、下記の条件で実施する。測定装置は特に制限されず、一般的な装置を用いることができる。例えば、アルバック・ファイ株式会社の分析装置(QUANTERA SXM)を用いることができる。
分析条件:X線源:単色AlKα線(1486.6eV)、光電子取出角:45°、X線径:200μm、スパッタイオン種:アルゴン、加速電圧:1kV、スパッタ速度:約1nm/min(SiO2換算)
O/C比:X線光電子分光測定において4nmから60nmの間において検出される酸素原子量及び炭素原子量について、下記の方法で各原子濃度を求め、平均の酸素原子濃度(O)を平均の炭素原子濃度(C)で除してO/C比を算出する。
(1)XPSスペクトルから直線法でバックグラウンドを差し引き、面積(カウント値)を求める。
(2)カウント値を各元素固有の相対感度係数で除し、合計が100%となるように計算する。
(3)4nmから60nmの間において同様の処理を行い、平均値を求める。
(1)XPSスペクトルから直線法でバックグラウンドを差し引き、面積(カウント値)を求める。
(2)カウント値を各元素固有の相対感度係数で除し、合計が100%となるように計算する。
(3)4nmから60nmの間において同様の処理を行い、平均値を求める。
炭素層の接触抵抗を測定する方法は特に制限されず、公知の手法で行うことができる。例えば、下記の条件で定電位試験を実施した後に、接触抵抗を測定してもよい。
定電位試験は、燃料電池内の環境を模した溶液中にセパレータを浸漬し、一定の電圧を印加する試験である。接触抵抗は、セパレータの上にカーボン電極を一定荷重で押し付けた状態で、一定の電圧を印加したときの電流値を計測し、カーボン電極の接触面積から、接触抵抗(mΩ・cm2)を算出する。
定電位試験は、燃料電池内の環境を模した溶液中にセパレータを浸漬し、一定の電圧を印加する試験である。接触抵抗は、セパレータの上にカーボン電極を一定荷重で押し付けた状態で、一定の電圧を印加したときの電流値を計測し、カーボン電極の接触面積から、接触抵抗(mΩ・cm2)を算出する。
本開示の方法で使用する重回帰式は、耐久試験前の炭素層のラマン分光法で測定されるGピークの半値幅、D/G比及び蛍光成分比率、並びにX線光電子分光法で測定される0/C比を説明変数とし、耐久試験後の炭素層の接触抵抗を目的変数とするものであれば特に制限されない。
上記重回帰式は、下記のようにして得ることができる。
まず、初期状態(耐久試験を行っていない)の炭素層の試料を準備し、Gピークの半値幅、D/G比、蛍光成分比率及びO/C比を測定する。次いで、試料の耐久試験を行い、耐久試験を行った後の接触抵抗値を測定する。
初期状態の試料のGピークの半値幅、D/G比、蛍光成分比率及びO/C比をそれぞれ説明変数とし、耐久試験後のサンプルの接触抵抗値を目的変数として重回帰分析を行い、重回帰式を得る。
まず、初期状態(耐久試験を行っていない)の炭素層の試料を準備し、Gピークの半値幅、D/G比、蛍光成分比率及びO/C比を測定する。次いで、試料の耐久試験を行い、耐久試験を行った後の接触抵抗値を測定する。
初期状態の試料のGピークの半値幅、D/G比、蛍光成分比率及びO/C比をそれぞれ説明変数とし、耐久試験後のサンプルの接触抵抗値を目的変数として重回帰分析を行い、重回帰式を得る。
ある実施態様では、下記の重回帰式を用いて炭素層の耐久試験後の接触抵抗の推定値を得る。
Y=3489−10×a−2703×b+729×c+6348×d
式中、Yは耐久試験後の接触抵抗の推定値であり、aは炭素層のGピークの半値幅であり、bは炭素層のD/G比であり、cは炭素層の蛍光成分比率であり、dは炭素層のO/C比である。
Y=3489−10×a−2703×b+729×c+6348×d
式中、Yは耐久試験後の接触抵抗の推定値であり、aは炭素層のGピークの半値幅であり、bは炭素層のD/G比であり、cは炭素層の蛍光成分比率であり、dは炭素層のO/C比である。
重回帰式の説明変数は、上述した4項目を含むものであれば特に制限されず、必要に応じて他の項目を含んでいてもよい。
炭素層の厚みは、Gピークの半値幅、D/G比、蛍光成分比率及びO/C比の測定値が得られるのであれば、特に制限されない。例えば、0.001μm以上であってもよく、0.01μm以上であってもよい。炭素層の厚みの上限は特に制限されない。例えば、1μm以下であってもよい。
炭素層の厚みは、Gピークの半値幅、D/G比、蛍光成分比率及びO/C比の測定値が得られるのであれば、特に制限されない。例えば、0.001μm以上であってもよく、0.01μm以上であってもよい。炭素層の厚みの上限は特に制限されない。例えば、1μm以下であってもよい。
炭素層は、基材上に形成されたものであってもよい。基材の種類は特に制限されず、用途に応じて選択できる。基材として具体的には、金属、セラミックス、樹脂、ガラス、これらの組み合わせなどが挙げられる。
<燃料電池用セパレータ>
本開示の燃料電池用セパレータは、基材と、前記基材上に配置され、かつ下記の(A)〜(D)を満たす炭素層と、を備える。
(A)ラマン分光法で測定されるGピークの半値幅が110cm−1〜140cm−1である。
(B)ラマン分光法で測定されるD/G比が0.85〜1.0である。
(C)ラマン分光法で測定される蛍光成分比率が0.3〜0.6である。
(D)X線光電子分光法で測定されるO/C比が0.03以下である。
本開示の燃料電池用セパレータは、基材と、前記基材上に配置され、かつ下記の(A)〜(D)を満たす炭素層と、を備える。
(A)ラマン分光法で測定されるGピークの半値幅が110cm−1〜140cm−1である。
(B)ラマン分光法で測定されるD/G比が0.85〜1.0である。
(C)ラマン分光法で測定される蛍光成分比率が0.3〜0.6である。
(D)X線光電子分光法で測定されるO/C比が0.03以下である。
上記(A)〜(D)を満たす炭素層を備える燃料電池用セパレータは、耐久試験を経ても接触抵抗が低く維持され、耐久性に優れている。以下、燃料電池用セパレータを単にセパレータとも称する。
炭素層のラマン分光法で測定されるGピークの半値幅は、炭素層の結晶性の指標と考えることができる。
本開示において炭素層のGピークの半値幅は110cm−1〜140cm−1であり、120cm−1〜〜137cm−1であってもよく、125cm−1〜135cm−1であってもよい。
本開示において炭素層のGピークの半値幅は110cm−1〜140cm−1であり、120cm−1〜〜137cm−1であってもよく、125cm−1〜135cm−1であってもよい。
炭素層のラマン分光法で測定されるD/G比は、炭素層の結晶性の乱れの指標と考えることができる。
本開示において炭素層のD/G比は0.85〜1.0であり、0.875〜0.975であってもよく、0.90〜0.95であってもよい。
本開示において炭素層のD/G比は0.85〜1.0であり、0.875〜0.975であってもよく、0.90〜0.95であってもよい。
炭素層のラマン分光法で測定される蛍光成分比率は、炭素層に含まれる水素原子量の指標と考えることができる。
本開示において炭素層の蛍光成分比率は0.3〜0.6であり、0.35〜0.55であってもよく、0.4〜0.5であってもよい。
本開示において炭素層の蛍光成分比率は0.3〜0.6であり、0.35〜0.55であってもよく、0.4〜0.5であってもよい。
炭素層のラマン分光法で測定される0/C比は、炭素層に含まれる酸素原子量の指標と考えることができる。
本開示において炭素層のO/C比は0.03以下であり、0.02以下であってもよく、0.01以下であってもよい。
本開示において炭素層のO/C比は0.03以下であり、0.02以下であってもよく、0.01以下であってもよい。
炭素層の種類は、例えば、炭素原子の結合形態によりグラファイト、ダイヤモンド、非晶質炭素(ダイヤモンドライクカーボン)などに分類され、本開示の炭素層はこれらのいずれであってもよい。中でも非晶質炭素は機械強度と化学安定性とに優れるため、セパレータの材料として好適である。
炭素層に含まれる炭素原子の割合は、炭素層全体の90at%〜100at%であることが好ましく、93at%〜100at%であることがより好ましく、95at%〜100at%であることがさらに好ましい。
炭素層が炭素原子以外の原子を含む場合、その割合は炭素層全体の10at%未満であることが好ましい。炭素層に含まれる炭素原子以外の原子としては、酸素原子、窒素原子、水素原子等が挙げられる。
炭素層の厚みは特に制限されない。例えば、0.001μm〜1μmの範囲内であってもよく、0.01μm〜0.1μmの範囲内であってもよい。
セパレータに含まれる基材の材質としては、導電性及び加工性の観点からは金属が好ましく、耐食性の観点からはチタン、チタン合金及びステンレス鋼がより好ましい。
セパレータは、燃料電池を構成したときにガス流路を形成するための凹凸形状を一方の面に有していてもよい。
セパレータは、各種の燃料電池のセパレータとして用いることができる。例えば、イオン電導性を有する高分子膜を電解質として用いる固体高分子型燃料電池のセパレータとして用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)試料の作製及び表面分析
チタン基材の上に、スパッタリング法で厚みが約0.05μmの炭素層を形成して、試料1〜6を作製した。
チタン基材の上に、スパッタリング法で厚みが約0.05μmの炭素層を形成して、試料1〜6を作製した。
形成された炭素層の最表面から2nm程度の部分における元素比率(at%)をXPSで測定したところ、炭素が91at%、窒素が2at%、酸素が6at%、アルゴンが1at%であった。なお、XPSでは水素が測定できないため、上記比率に含まれていない。
作製した試料のそれぞれについて、日本分光株式会社の顕微レーザーラマン分光装置(NRS−3300)を用いて上述した条件にてGピークの半値幅、D/G比及び蛍光成分比率を得た。結果を表1に示す。
作製した試料のそれぞれについて、アルバック・ファイ株式会社の分析装置(QUANTERA SXM)を用いて上述した条件にてO/C比を得た。結果を表1に示す。
作製した試料のそれぞれについて、炭素層の接触抵抗を上述した方法で測定した。結果を表2に示す。
(2)耐久試験
作製した試料のそれぞれについて、上述した定電位試験を耐久試験として実施し、試験後の炭素層の接触抵抗を上記と同様にして測定した。結果を表2に示す。
作製した試料のそれぞれについて、上述した定電位試験を耐久試験として実施し、試験後の炭素層の接触抵抗を上記と同様にして測定した。結果を表2に示す。
(3)重回帰分析
上記(1)で得られた試料のGピークの半値幅、D/G比、蛍光成分比率及びO/C比を説明変数とし、上記(2)で得られた耐久試験後の接触抵抗を目的変数とした重回帰分析を実施した。分析にはマイクロソフト社のExcel2010の分析ツールを使用した。分析結果は下記の通りである。
補正R2:0.999
重回帰式:Y=3489−10×a−2703×b+729×c+6348×d
上記(1)で得られた試料のGピークの半値幅、D/G比、蛍光成分比率及びO/C比を説明変数とし、上記(2)で得られた耐久試験後の接触抵抗を目的変数とした重回帰分析を実施した。分析にはマイクロソフト社のExcel2010の分析ツールを使用した。分析結果は下記の通りである。
補正R2:0.999
重回帰式:Y=3489−10×a−2703×b+729×c+6348×d
式中、Yは耐久試験後の接触抵抗であり、aは炭素層のGピークの半値幅であり、bは炭素層のD/G比であり、cは炭素層の蛍光成分比率であり、dは炭素層のO/C比である。
重回帰式のa及びbの係数が負の値となった理由としては、a及びbが炭素層の構造に関わる因子であり、炭素層のグラファイト骨格とダイヤモンド骨格の結晶子サイズ及び比率が影響したと考えられる。
重回帰式のc及びdの係数が正の値となった理由としては、cは炭素層の水素量、dは酸素量の指標であり、耐久試験により炭素骨格の末端の不純物量が増えたためと考えられる。
重回帰式のc及びdの係数が正の値となった理由としては、cは炭素層の水素量、dは酸素量の指標であり、耐久試験により炭素骨格の末端の不純物量が増えたためと考えられる。
(4)結果及び考察
作製した試料のそれぞれについて、上記(3)で得られた重回帰式で接触抵抗を求めた。結果を表2に示す。
作製した試料のそれぞれについて、上記(3)で得られた重回帰式で接触抵抗を求めた。結果を表2に示す。
表2に示すように、炭素層が上述した(A)〜(D)の条件を満たす試料4〜6は、(A)〜(D)の少なくともいずれかを満たさない試料1〜3に比べて耐久試験後の接触抵抗の値が低く維持されていた。
以上の結果から、上述した(A)〜(D)の条件を満たす炭素層を備える燃料電池用セパレータは耐久性に優れていると考えられる。
さらに、重回帰式で求めた接触抵抗の値をY軸とし、上記(2)で測定した耐久試験後の接触抵抗の値をX軸として試料1〜6のデータをプロット(B)した散布図を図1に示す。図1に示すように、重回帰式から求めた接触抵抗の値と、耐久試験後の接触抵抗の実測値の間には高い相関関係が認められた。
以上の結果から、炭素層のGピークの半値幅、D/G比、蛍光成分比率及びO/C比を説明変数とし、炭素層の耐久試験後の接触抵抗を目的変数とする重回帰式を用いることで、炭素層の耐久試験後の接触抵抗値を精度よく推定できると考えられる。
Claims (7)
- 耐久試験前の炭素層のラマン分光法で測定されるGピークの半値幅、D/G比及び蛍光成分比率、並びにX線光電子分光法で測定されるO/C比を説明変数とし、前記炭素層の耐久試験後の接触抵抗を目的変数とする重回帰式を用いて、前記炭素層の耐久試験後の接触抵抗値を推定する工程を含む炭素層の検査方法。
- 前記重回帰式は下記で表される、請求項1に記載の炭素層の検査方法。
Y=3489−10×a−2703×b+729×c+6348×d
式中、Yは耐久試験後の接触抵抗の推定値であり、aは炭素層のGピークの半値幅であり、bは炭素層のD/G比であり、cは炭素層の蛍光成分比率であり、dは炭素層のO/C比である。 - 前記炭素層は燃料電池用セパレータの炭素層である、請求項1又は請求項2に記載の炭素層の検査方法。
- 基材と、前記基材上に配置され、かつ下記の(A)〜(D)を満たす炭素層と、を備える燃料電池用セパレータ。
(A)ラマン分光法で測定されるGピークの半値幅が110cm−1〜140cm−1である。
(B)ラマン分光法で測定されるD/G比が0.85〜1.0である。
(C)ラマン分光法で測定される蛍光成分比率が0.3〜0.6である。
(D)X線光電子分光法で測定されるO/C比が0.03以下である。 - 前記炭素層は非晶質炭素を含む、請求項4に記載の燃料電池用セパレータ。
- 前記炭素層の厚みは0.001μm〜1μmの範囲内である、請求項4又は請求項5に記載の燃料電池用セパレータ。
- 前記基材はチタン、チタン合金及びステンレス鋼からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータ。
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