JP2021152093A - ゴム組成物およびそれを用いたゴム部材 - Google Patents

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春菜 丸茂
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Abstract

【課題】耐油および有機酸(凝縮水等)に対する耐性を有するとともに、低温域でも優れた防振特性を有する水素化ニトリルゴム組成物およびゴム部材を提供する。【解決手段】水素化ニトリルゴム、カーボンブラック、及び有機過酸化物からなる架橋剤を含むゴム組成物であって、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸化物、複合金属水酸化物、無機マイクロポーラス・クリスタル、又はこれらの混合物である受酸剤を、水素化ニトリルゴム100重量部に対して1重量部未満含むゴム組成物。【選択図】図3

Description

本発明は、水素化ニトリルゴム組成物およびそれを用いたゴム部材に関する。さらに詳しくは、車両用のエンジンのクランクシャフトやカムシャフトなどの回転軸に装着されて該回転軸のねじり振動を吸収するトーショナルダンパに好適なダンパゴム部材に関する。
従来、トーショナルダンパはエンジンのチェーンケースの外に取り付けられている(図1)。近年、自動車に対する騒音規制が厳しくなっており、トーショナルダンパを(チェーン)ケース内に取り付け、騒音を低減しようとする試みがなされている(図3)。この場合、トーショナルダンパはさらなる高温の環境下におかれ、さらにはエンジンオイルに曝される環境となるため、ダンパゴム部材には、さらなる耐熱性と耐エンジンオイル性が要求される。加えて、内燃機関の燃焼室より排出される排気ガスの一部を内燃機関の吸気系に再循環させる排気再循環(Exhaust Gas Recirculation;EGR)によりエンジン内には凝縮水が混入するために、ダンパゴム部材には酸性および塩基性の凝縮水に対する耐性(耐凝縮水性)も要求される。
特許文献1には、水素化ニトリルゴム100質量部に対して、セルロースパウダー15〜40質量部を含有し、好ましくはケイ酸カルシウム0〜30質量部を含有することを特徴とする水素化ニトリルゴム組成物と前記水素化ニトリルゴム組成物を用いてなるオイルシールが開示されている。オイルシール機能を向上するため、オイルの吸い込み性能を付与するセルロースパウダーを配合し、使用できる温度領域を一般的なアクリルゴム(ACM)と同等にするため、アクリロニトリル量が30質量%以下の水素化ニトリルゴムを用いることが教示されている。受酸剤の配合については開示されていない。
特許文献2には、タービン油やドレインと接触した後の体積変化や物性の変化を小さくするため、ポリエーテル系可塑剤または/ およびポリエステル系可塑剤の含有量が10重量部以下であり、水素化ニトリルゴムのヨウ素価が0〜60g/100gである空気圧機器用シール部材が開示されている。水素化ニトリルゴムの結合アクリロニトリル量は好ましくは15〜50重量%である。
特許文献1の水素化ニトリルゴム組成物では、シール性をよくするため、ある程度オイルを吸い込む配合だが、例えば、上述したダンパゴム部材に適用した場合には、エンジンオイル吸い込みによるゴム部材の体積変化が生じてしまうため望ましくない。ゴム部材が膨潤することで、トーショナルダンパとしての防振機能を満足できず、かつ、ダンパゴム部材自体に亀裂が入り、その結果、耐久性が悪化してしまう可能性がある。
特許文献2の水素化ニトリルゴム組成物の場合、タービン油に対する耐性を得るために15〜50%と非常に広い結合アクリロニトリル量を定めているが、アクリロニトリル量は多いほど低温時のゴム硬化が顕著になり、低温時の防振性能が劣る。また、凝縮水のような酸性水溶液に対する耐性については検討されてない、特にゴム組成物中に酸化亜鉛が配合されているため、耐凝縮水性が劣り、エンジンオイルや凝縮水の下で使用するトーショナルダンパに適用することは難しい。
特開2016−94528号公報 特開2005−8894号公報
したがって、本発明が解決しようとする課題は、耐熱性、耐油性、耐凝縮水性を併せ持ち、内燃機関の一部又は全部を収容する筐体内部に設置してもトーショナルダンパとしての製品性能を満足し、低温使用にも問題のないゴム部材、及びそのようなゴム部材を与えるゴム組成物を提供することである。
本発明は以下を包含する。
[1] 水素化ニトリルゴム、カーボンブラック、及び有機過酸化物からなる架橋剤を含むゴム組成物であって、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸化物、複合金属水酸化物、無機マイクロポーラス・クリスタル、又はこれらの混合物である受酸剤を、水素化ニトリルゴム100重量部に対して1重量部未満含むゴム組成物。
[2] 水素化ニトリルゴムの結合アクリロニトリル量が25重量%以上、45重量%未満であり、水素化ニトリルゴムのムーニー粘度ML1+4(100℃)が70以上、95以下である[1]に記載のゴム組成物。
[3] [1]に記載のゴム組成物を加硫成形してなるゴム部材。
[4] 下記条件をすべて満足する[3]に記載のゴム部材。
(条件1)150℃、500時間後のJIS 6258準拠の前記ゴム部材の伸びE≧+150%であり、かつ、100%モジュラスの変化率ΔM≦+150%である。
(条件2)エンジンオイルに150℃、500時間浸漬後のJIS 6258準拠の前記ゴム部材の伸びE≧+200%であり、100%モジュラスの変化率ΔM≦+100%以下であり、かつ 体積変化率ΔV≦+15%である。
(条件3)凝縮水中に80℃、168時間浸漬後のJIS 6258準拠の前記ゴム部材の伸びE≧+250%であり、100%モジュラスの変化率ΔM≧−50%であり、かつ、体積変化率ΔV≦+15%である。
(条件4)120℃、100Hzにおける前記ゴム部材の損失係数(tanδ)≧0.200である。
(条件5)JIS K6261準拠のゲーマンねじり試験による前記ゴム部材のT10≦−15℃である。
[5] 内燃機関の少なくとも一部を収容する筐体内部に設置したトーショナルダンパに用いられる[3]または[4]に記載のゴム部材。
油および有機酸(凝縮水等)に対する耐性を有するとともに、低温域でも優れた防振特性を有する水素化ニトリルゴム組成物およびゴム部材が実現できる。
トーショナルダンパ(3)がチェーンケース(1)の外部に取り付けられている、従来型エンジンの斜視図である。 図1のエンジンのI−I’の要部断面図である。 トーショナルダンパ(3)がチェーンケース(1)の内部に取り付けられている、エンジンの斜視図である。
本発明に係るゴム組成物は、水素化ニトリルゴム、カーボンブラック、及び有機過酸化物からなる架橋剤を含み、受酸剤を、水素化ニトリルゴム100重量部に対して1重量部未満含む。以下、順に説明する。
[水素化ニトリルゴム]
ニトリルゴム(NBR)は、ブタジエンとアクリロニトリルの共重合体からなり、ニトリルゴム(NBR)のポリマー主鎖にあるブタジエンに含まれる残存二重結合の全部又は一部を化学的に水素化することによって得られるのが水素化ニトリルゴム(水素添加アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、以下H−NBRと称する場合がある)である。水素添加により、耐熱性、耐候性、引張強さ、耐磨耗性等が改善される。
本発明におけるH−NBRの結合アクリロニトリル量は特に限定されない。ニトリル含有量を少なく抑えると、耐寒性、反発弾性、動的発熱性が向上するが、少な過ぎると耐油性、耐熱性、耐薬品性、耐磨耗性、引張強さ、引張応力、圧縮永久ひずみ、ガス透過性、流動特性などが低下することがある。そのため、本発明に使用するH−NBRの結合アクリロニトリル量は好ましくは25重量%以上、45重量%未満である。
本発明における水素化ニトリルゴム(H−NBR)のムーニー粘度は特に限定されない。好ましくは70以上であり、好ましくは95以下である。
本発明における水素化ニトリルゴム(H−NBR)は1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本発明に係るゴム組成物中には上記水素化ニトリルゴム(H−NBR)以外のゴム成分を配合しても良いが、ゴム成分の主成分は上記水素化ニトリルゴム(H−NBR)とする。ここで、主成分とは、全ゴム成分の中で最大量を占めることをいい、好ましくは過半を占めることをいう。ゴム成分の中でH-NBRの占める量は50質量%よりも多く、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、最も好ましくは100質量%である。
上記水素化ニトリルゴム(H−NBR)以外のゴム成分としては、ニトリルゴムにエチレン性不飽和モノマー単位を導入したものや、共役ジエン単位の代わりにエチレン性不飽和モノマー単位を導入したものである。具体的には、ブタジエン−アクリロニトリル共重合ゴム、イソプレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合ゴム、イソプレン−アクリロニトリル共重合ゴム等を水素化したもの;ブタジエン−メチルアクリレート−アクリロニトリル共重合ゴム、ブチルアクリレート−エトキシエチルアクリレート−ビニルクロロアセテート−アクリロニトリル共重合ゴム、ブチルアクリレート−エトキシエチルアクリレート−ビニルノルボルネン−アクリロニトリル共重合ゴム等が例示されるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明で使用可能な水素化ニトリルゴムとしては各種の市販品があるが、具体的には、
Zetpol(登録商標)2001L(日本ゼオン製、結合AN(アクリロニトリル)量:40重量%、ムーニー粘度ML1+4(100℃):70の水素化ニトリルゴム)、
Zetpol(登録商標)3110(日本ゼオン製、結合AN(アクリロニトリル)量:25重量%、ムーニー粘度ML1+4(100℃):95の水素化ニトリルゴム)
Zetpol(登録商標)1000L(日本ゼオン製、結合AN(アクリロニトリル)量:44.2重量%、ムーニー粘度ML1+4(100℃):70の水素化ニトリルゴム)
等が挙げられる。
[カーボンブラック]
カーボンブラックには様々な種類があり、用途によって適切なものが選択されて用いられている。本発明に使用可能なカーボンブラックの種類は、N300(HAFグレード)、N500(FEFグレード)、N700(SRFグレード)、N900(MTグレード)であり、一般にN300を「ハードカーボン」、他の三つを「ソフトカーボン」と称している。
本発明においては、トーショナルダンパに使用するために、ゴム部材として、引張り強さと高損失係数(tanδ)が必要になる。引張り強さは、カーボンブラックの粒径が小さいほど良好であるが、逆に分散性が悪化してしまう。また、損失係数(tanδ)は、カーボンブラックの粒径が小さいほど高いが、ゴム硬度が高くなる。これらの2つの特性を両立させるためには、適切なカーボンブラックを選択することが好ましい。
本発明に係るゴム組成物に用いるカーボンブラックは、ヨウ素吸着比表面積が好ましくは10m/g以上、より好ましくは20m/g以上、好ましくは100m/g以下であり、より好ましくは50m/g以下であり、ジブチルフタレート(DBP)吸着量が好ましくは30mL/100g以上、より好ましくは45mL/100g以上、好ましくは180mL/100g未満、より好ましくは120mL/100g未満である。
カーボンブラックは、本発明に係るゴム組成物中の水素化ニトリルゴム100重量部に対し、好ましくは10重量部以上、より好ましくは20重量部以上、好ましくは120重量部以下、より好ましくは80重量部以下の量で配合される。
本発明で使用可能なカーボンブラックとしては各種の市販品があるが、具体的には、旭#50、#50U、#51、#35(以上、旭カーボン株式会社)、ショウブラックN762(昭和キャボット株式会社)、シーストS(東海カーボン株式会社)、ダイアブラックR、ダイアブラックN760M(以上、三菱ケミカル株式会社)等のSRFグレードのカーボンブラックが挙げられる。
[有機過酸化物]
本発明で使用する架橋剤は有機過酸化物からなる。ゴムの架橋剤として一般的な硫黄は、架橋構造の形成が進行しにくいため架橋密度が低く、得られるゴム部材の耐変形性が劣ることから好ましくない。また、水素化ニトリルゴムはポリマー主鎖の二重結合が全部又は一部が水素化しているため、二重結合部で架橋を形成する硫黄による架橋は適さない。このため、本発明では、硫黄または硫黄供与体を用いず、有機過酸化物を用いてゴムの架橋を行う。
有機過酸化物としては、100℃以上の温度で分解してラジカルを発生するものであれば、どのようなものでも使用することができる。有機過酸化物は、一般に、架橋温度、組成物の調整条件、硬化(貼り合わせ)温度、被着体の耐熱性、貯蔵安定性を考慮して選択される。特に、半減期10時間の分解温度が70℃以上のものが好ましい。分解温度が70℃未満では、ゴム練り時あるいはゴム成形時の加工性が悪化してしまうためである。
有機過酸化物の具体例としては、
2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、
2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、
t−ブチルクミルパーオキサイド、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、
ジクミルパーオキサイド、
α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、
n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、
2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
t−ブチルパーオキシベンゾエート、
ベンゾイルパーオキサイド、
t−ブチルパーオキシアセテート、
メチルエチルケトンパーオキサイド、
2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、
メチルエチルケトンパーオキサイド、
2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ビスパーオキシベンゾエート、
t−ブチルハイドロパーオキサイド、
p−メンタンハイドロパーオキサイド、
p−クロロベンゾイルパーオキサイド、
ヒドロキシヘプチルパーオキサイド、
クロロヘキサノンパーオキサイド、
オクタノイルパーオキサイド、
デカノイルパーオキサイド、
ラウロイルパーオキサイド、
クミルパーオキシオクトエート、
コハク酸パーオキサイド、
アセチルパーオキサイド、
t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、
m−トルオイルパーオキサイド、
t−ブチルパーオキシイソブチレート、及び
2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイドを挙げることができるが、これらに限定されるわけではない。
有機過酸化物は一種使用してもよく、二種以上組み合わせて使用しても良い。また、これらは、シリカ等受酸剤を含まない物を担持体とした希釈品やマスターバッチ品として使用することもできる。
有機過酸化物の配合量は特に限定されない。例えば、有機過酸化物の配合量は、本発明に係るゴム組成物中の水素化ニトリルゴム100重量部に対し、1重量部以上、15重量部以下である。
[受酸剤]
受酸剤としては、金属化合物(金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸化物又は複合金属水酸化物)、無機マイクロポーラス・クリスタル若しくはこれらの混合物が挙げられる。
ここで、金属化合物としては、周期表第II族(2族および12族)金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、及び亜リン酸塩、並びに周期表第IV族(4族および14族)の非鉛系金属の酸化物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜リン酸塩、塩基性亜硫酸塩、及び三塩基性硫酸塩等の金属化合物が挙げられる。
具体的にはマグネシア、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸ナトリウム、生石灰、消石灰、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フタル酸カルシウム、亜リン酸カルシウム、亜鉛華(酸化亜鉛)、酸化錫、ステアリン酸錫、塩基性亜リン酸錫、等を挙げることができる。
また、無機マイクロポーラス・クリスタルとは、結晶性の多孔体を言い、無定型の多孔体、例えばシリカゲル、アルミナ等とは明瞭に区別できるもので、無機マイクロポーラス・クリスタルの例としては、ゼオライト類、アルミノホスフェート型モレキュラーシーブ、層状ケイ酸塩、合成ハイドロタルサイト、チタン酸アルカリ金属塩等が挙げられる。
本発明に係るゴム組成物は、受酸剤を、水素化ニトリルゴム100重量部に対して1重量部未満、好ましくは0.5重量部以下、より好ましくは0.1重量部以下含む。これは、本発明に係るゴム組成物に受酸剤を含まないか、含んでいてもごく微量(痕跡量)にとどまることを意味する。好ましくは本発明に係るゴム組成物において受酸剤は検出されない。最も好ましくは本発明に係るゴム組成物には受酸剤は含まれない。
[その他添加剤]
本発明に係るゴム組成物には、共架橋剤、軟化剤、老化防止剤、加工性を改良する加工助剤等を更に配合することができる。
[共架橋剤]
共架橋剤としてトリアリルイソシアヌレート、トリメタクリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアネート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、N,N’−m−フェンレンビスマレイミドなどのビスマレイミド類、などを用いることができる
[軟化剤]
軟化剤としては、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリンなどの石油系軟化剤;コールタール、コールタールピッチなどのコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油などの植物油系軟化剤;トール油、サブ、蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリンなどのロウ類;ビス(2−エチルヘキシル)セバケートなどの脂肪族二塩基酸エステル;トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェートなどの正リン酸エステル;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛などの脂肪酸及び脂肪酸塩;石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂などの合成高分子物質などが挙げられる。
これらはいずれも市販品として入手可能である。
軟化剤の配合量は本発明に係るゴム組成物中の水素化ニトリルゴム100重量部に対し、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜3重量部である。
[老化防止剤]
老化防止剤としては、公知のものを用いることができ、アミン−ケトン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤、アミン系老化防止剤などを挙げることができる。
市販品として具体的には、ノクラックCD(大内新興化学工業株式会社製、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン)等が挙げられる。
老化防止剤の配合量は本発明に係るゴム組成物中の水素化ニトリルゴム100重量部に対し、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。
[加工助剤]
加工助剤については目的に応じたものを選定すればよく、一般的によく知られている高級脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル類、脂肪酸アミド類、炭化水素類等を単独、もしくは2種以上を併用して用いてもよい。
加工助剤の配合量は、本発明に係るゴム組成物中の水素化ニトリルゴム100重量部に対し、好ましくは0.1〜10重量部である。また、シリカ等受酸剤として働かないものを補強剤として用いてもよい。
これらはいずれも市販品として入手可能である。
[ゴム組成物の調製方法]
本発明に係るゴム組成物は、公知のゴム組成物の調製方法を用いて、上記成分を配合することによって調製することができる。例えば、バンバリーミキサー、単軸あるいは2軸の押出機、ニーダー、インターミックスなどのインターナルミキサーなど公知の混合機を用いて、軟化剤、補強剤、老化防止剤などと水素化ニトリルゴムとを、80〜170℃の温度で3〜10分間混練し、次いで、オープンロールなどのロ−ル類あるいはニーダーを用いて、温度40〜80℃で必要に応じて架橋剤、架橋促進剤、加工助剤などを加えて、5〜30分間混練することにより調製することができる。
本発明に係るゴム組成物は、エンジン等の内燃機関の一部を構成するチェーンケース等のケース内部に設置したトーショナルダンパに用いられるゴム部材の製造のために特に適している。
[ゴム部材]
混練して得られたゴム組成物は、押出成形機、圧縮成形機、射出成形機、トランスファ成形機などによって所望のゴム部材に架橋成形することができる。成形条件は、例えば150〜220℃、1〜30分である。
以上、ゴム組成物の成分ごとに説明してきたが、得られるゴム部材の物性に即して説明すると以下のとおりである。但し、本発明は以下の理論に拘束されるものではない。
〈耐熱性〉
ゴムの熱老化は主に自動酸化によって進行する。自動酸化はゴムの炭化水素の特に弱い結合から発生したラジカルが起点となって、多数の遊離ラジカルを発生し、パーオキサイドの生成と分解を繰り返す連鎖反応となって進展する。したがって、ラジカルが生成しにくく、水素を引き抜かれにくい構造のゴム分子ほど安定性が高いことが期待される。
ゴム分子の安定性を最も左右する構造因子は、ゴムの主鎖における二重結合である。二重結合部位のβ位の水素がラジカルにより引き抜きやすいためである。そのため、主鎖に二重結合が少なければゴムの安定性は高くなることが期待される。ここに、主鎖に二重結合がない水素化ニトリルゴムを選択する技術的意義がある。
〈耐油性〉
本発明が意図するトーショナルダンパに用いられるゴム部材は金属製の部材の中に圧入されるものであるので、内燃機関の一部又は全部を収容する筐体内部に設置した場合に油を吸収して膨潤すると部材が破損する等のおそれがあり、このような危険は避けなければならない。したがって、本発明においては、吸油性のセルロースパウダー等は含有しないことが好ましい。
ゴムが油により膨潤する事象は、ゴムの分子間に油が入り込むためである。これはゴムと油の極性が近く、お互いが混ざりやすいため生じる現象である。一方、極性が異なる物質はお互いに混ざりにくいため膨潤しづらい。ゴムの耐油性は、ゴム分子の極性と油の極性の差異により発現する性質である。対象の油が鉱物油(ガソリン、潤滑油等)の場合、ゴムの極性は高いほうが耐油性に優れることが期待される。ここにも、極性の構造を持ったゴムである水素化ニトリルゴムを選択する技術的意義がある。
〈低温性〉
アクリロニトリルゴムは、極性を持った結合アクリロニトリル基により耐油性に優れるが、一方で結合アクリロニトリル基同士の分子間凝集エネルギーが大きいため、他のゴムと比較して低温でゴム弾性を失う温度(ガラス転移温度:Tg)が高く、低温性に劣る。これは、アクリロニトリル基に含まれる−CNが、
Figure 2021152093

のように分極し、
Figure 2021152093

のように会合するため、分子間力が強まり、凝集エネルギーを大きくするためと考えられる。
一方、ニトリルゴム(NBR)のTgは下式、
Figure 2021152093

[A:結合アクリロニトリル量(重量%)]
のように、結合アクリロニトリル量に比例して上昇していくことが知られている。
そこで、適切な低温性を得るためには、使用する環境に必要な耐油性とのバランスが必要であり、それに適したアクリロニトリル量のポリマーを選択しなければならない。
〈耐凝縮水性〉
エンジン内に混入する凝縮水は有機系の酸と水の混合物である。ゴムの中に金属化合物や無機マイクロポーラス・クリスタル等の受酸剤が存在すると、受酸剤がもつ酸素や水酸基に凝縮水の水分が引き寄せられてしまい、ゴムが膨潤することが懸念される。そこで、凝縮水や酸性の水に対する耐性を向上するために、受酸剤による有利な効果を損なわない程度にその配合量を微量に抑えつつ、他の物性に悪影響を及ぼさないように、ゴム種の選択、各種成分の配合割合を慎重に決定する必要がある。
本発明によれば、以下の条件を満たす優れたゴム部材を得ることができる。
(条件1)150℃、500時間後のJIS 6258準拠の前記ゴム部材の伸びE≧+150%であり、かつ、100%モジュラスの変化率ΔM≦+150%である。
(条件2)エンジンオイルに150℃、500時間浸漬後のJIS 6258準拠の前記ゴム部材の伸びE≧+200%であり、100%モジュラスの変化率ΔM≦+100%以下であり、かつ 体積変化率ΔV≦+15%である。
(条件3)凝縮水中に80℃、168時間浸漬後のJIS 6258準拠の前記ゴム部材の伸びE≧+250%であり、100%モジュラスの変化率ΔM≧−50%であり、かつ、体積変化率ΔV≦+15%である。
(条件4)120℃、100Hzにおける前記ゴム部材の損失係数(tanδ)≧+0.200である。
(条件5)JIS K6261準拠のゲーマンねじり試験による前記ゴム部材のT10≦−15℃である。
以下に実施例、比較例を参照して本発明を更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<ゴム組成物の製造方法>
3.5リットルバンバリーミキサーに、水素化ニトリルゴム100重量部を投入し、回転数40rpmで1分間素練りした後、下記表の処方に従い、カーボンブラック、酸化亜鉛、その他の添加剤を投入して2分間混練りした。その後、さらに1分間混練りした後、混合物をバンバリーミキサーから排出した。排出した混合物をロール間の間隙を5mmとした12インチロールに巻きつけてシート状に成形した。次に、上記の成形したゴム生地をロール間の間隙を4mmとした6インチロールに巻きつけて、架橋剤を練りこみ、切り返しを左右各3回ずつ行った後、丸め通しを5回行った後にシート状に成形した。
<各種物性試験方法>
[試験片作成条件および試験片形状]
・常態物性、動的粘弾性に使用した試験片は、混練して得られたゴム組成物をプレス成形機により、180℃、10分で架橋後、ギアオーブンで150℃、6時間で二次加硫を行い、残存する過酸化物を不活化させることで2mm厚のシート状テストピースを得た。
・耐熱性、耐油性、耐凝縮水性の評価に使用した試験片は、幅20mm×長30mm×厚み2.0±0.2mmの長方形の試験片である。
[試験方法]
○ムーニー粘度:
ポリマーのムーニー粘度は、JIS K6300に基づき、100℃で、L形ローターを用い、ダイを閉じて1分間予熱したのち、既定の角速度でL形ローターを回転し、4分後のトルクをムーニー粘度ML1+4(100℃)とした。
○常態物性値:
・ゴム部材の硬さは、JIS K6253に基づき、デュロメーター硬さタイプAにより測定した。
・ゴム部材の引張強度、伸び、100%モジュラス値は、JIS K6251に基づき、5号ダンベルを用いて室温で測定した。
○耐熱性:
・JIS K6257に基づき、5号ダンベルを用いて老化試験を実施した。老化試験は、ギアオーブンを用いて150℃、500時間の条件で空気加熱することによって行った。硬さは初期値と老化試験後の値の差を、引張強度と100%モジュラスは初期値に対する老化試験後の変化率ΔM(%)を算出した。
・伸び(残存伸び)Eは老化試験後の測定値を用いた。
○耐油性、耐凝縮水性:
・JIS K6258に基づき、5号ダンベルを用いて耐液試験を実施した。耐液試験は、オイルバスを用いて150℃、500時間(油浸漬)、および80℃、168時間(凝縮水浸漬)の条件で、耐熱ビンに試験液をいれ、上述した試験片を用いて行った。
・硬さは初期値と老化試験後の値の差を、引張強度と100%モジュラスは初期値に対する老化試験後の変化率(%)を算出した。耐油性試験による変化率をΔM(%)、耐凝縮水性試験による変化率をΔM(%)と表示する。
・伸び(残存伸び)は老化試験後の測定値を用いた。耐油性試験による測定値をE、耐凝縮水性試験による測定値をEと表示する。
・油浸漬試験には、合成エンジンオイル0W−20を用いた。凝縮水としては、硫酸1.67ml/L、硝酸0.47ml/L、塩酸0.009ml/L、ギ酸6.3ml/L、酢酸1.45ml/Lの混合液(pH=1)を作製し、これに80℃、168時間浸漬前後の試験片の硬さ、体積を測定し、初期値と式により体積変化率を算出した。耐油性試験による体積変化率をΔV、耐凝縮水性試験による体積変化率をΔVと表示する。
〇動的粘弾性:
試験機:上島製作所製動的粘弾性自動測定器、
変形方法:引張
プレロード荷重:480mN
温度範囲:−40〜+150℃
周波数:100Hz
変位:±1.0%
の条件で測定を行い、得られたデータから120℃、100Hzにおけるtanδを抽出した。
サンプル:2mm厚のシート状テストピースを40mm×4mmに打ち抜き、チャック間距離20mmで測定した。
〇低温性:
・JIS K6261に基づき、低温ねじり試験(ゲーマンねじり試験)を実施した。熱媒体としてはエタノールを使用した。なお、試験片形状は、両端のつかみ部の一辺が6.5mmの正方形で、つかみ部の間の平行部が幅2.0±0.2mm、長さ100.0±0.2mmのI字状で、厚みが2.0±0.2mmである。
組成物の処方と試験結果を表1に、水素化ニトリルゴムの詳細を表2に、判定基準を表3に示す。
[実施例1]
実施例1は、結合AN(アクリロニトリル)量:40重量%、ムーニー粘度ML1+4(100℃):70の水素化ニトリルゴム(Zetpol(登録商標)2001L、日本ゼオン製)100重量部に対して、N700グレードのカーボンブラック(ヨウ素吸着比表面積:23mg/g、DBP吸着量:63ml/100g)を40重量部を配合し、過酸化物架橋剤で架橋したものである。
熱劣化後物性(150℃、500時間)において、残存伸びが240%、100%モジュラス変化率が+98%と変化が小さかった。したがって、熱劣化後においても良好な特性を維持することができる。
また、油浸漬後物性(150℃、500時間、合成油0W−20)において、残存伸びが290%、100%モジュラス変化率が+27%、体積変化率が4%と変化が小さかった。したがって、油浸漬後も良好な特性を維持することができる。
凝縮水浸漬後物性(80℃、168時間)において、残存伸びが340%、100%モジュラス変化率が−30%、体積変化率が7%と変化が小さかった。したがって、凝縮水浸漬後も良好な特性を維持することができる。
粘弾性特性(tanδ、@120℃、100Hz)も0.200以上で、減衰性能を満足する。
低温性(ゲーマン捻じりT10)は−21℃と、低温使用も問題ない。
[実施例2]
実施例2は、結合AN(アクリロニトリル)量:25重量%、ムーニー粘度ML1+4(100℃):95、水素化ニトリルゴム(Zetpol(登録商標)3110、日本ゼオン製)100重量部に対して、N700グレードのカーボンブラック(ヨウ素吸着比表面積:23mg/g、DBP吸着量:63ml/100g)を40重量部を配合し、過酸化物架橋剤で架橋したものである。
熱劣化後物性(150℃、500時間)において、残存伸びが200%、100%モジュラス変化率が+81%と変化が小さかった。したがって、熱劣化後においても、良好な特性を維持することができる。
また、油浸漬後物性(150℃、500時間、合成油0W−20)において、残存伸びが200%、100%モジュラス変化率が+70%、体積変化率が10%と変化が小さかった。したがって、油浸漬後も良好な特性、を維持することができる。
凝縮水浸漬後物性(80℃、168時間)において、残存伸びが260%、100%モジュラス変化率が−33%、体積変化率が8%と変化が小さかった。したがって、凝縮水浸漬後も良好な特性を維持することができる。
粘弾性特性(tanδ、@120℃、100Hz)も0.200以上で、減衰性能を満足する。
低温性(ゲーマン捻じりT10)は−26℃と、低温使用も問題ない。
[実施例3]
実施例3は、結合AN(アクリロニトリル)量:44.2重量%、ムーニー粘度ML1+4(100℃):70、水素化ニトリルゴム(Zetpol(登録商標)1000L、日本ゼオン製)100重量部に対して、N700グレードのカーボンブラック(ヨウ素吸着比表面積:23mg/g、DBP吸着量:63ml/100g)を40重量部を配合し、過酸化物架橋剤で架橋したものである。
熱劣化後物性(150℃、500時間)において、残存伸びが190%、100%モジュラス変化率が+124%と変化が小さかった。したがって、熱劣化後においても良好な特性を維持することができる。
また、油浸漬後物性(150℃、500時間、合成油0W−20)において、残存伸びが280%、100%モジュラス変化率が+30%、体積変化率が2%と変化が小さかった。したがって、油浸漬後も良好な特性を維持することができる。
凝縮水浸漬後物性(80℃、168時間)において、残存伸びが320%、100%モジュラス変化率が−33%、体積変化率が7%と変化が小さかった。したがって、凝縮水浸漬後も良好な特性を維持することができる。
粘弾性特性(tanδ、@120℃、100Hz)も0.200以上で、減衰性能を満足する。
低温性(ゲーマン捻じりT10)は−15℃と、低温使用も問題ない。
[実施例4]
実施例4は、結合AN(アクリロニトリル)量:40重量%、ムーニー粘度ML1+4(100℃):70、水素化ニトリルゴム(Zetpol(登録商標)2001L、日本ゼオン製)100重量部に対して、N700グレードのカーボンブラック(ヨウ素吸着比表面積:23mg/g、DBP吸着量:63ml/100g)を40重量部、酸化亜鉛を0.1重量部を配合し、過酸化物架橋剤で架橋したものである。
熱劣化後物性(150℃、500時間)において、伸びが230%、100%モジュラス変化率が+88%と変化が小さかった。したがって、熱劣化後においても良好な特性を維持することができる。
また、油浸漬後物性(150℃、500時間、合成油0W−20)において、伸びが280%、100%モジュラス変化率が+25%、体積変化率が3%と変化が小さかった。したがって、油浸漬後も良好な特性をを維持することができる。
凝縮水浸漬後物性(80℃、168時間)において、伸びが310%、100%モジュラス変化率が−31%、体積変化率が10%と変化が小さかった。したがって、凝縮水浸漬後も良好な特性を維持することができる。
粘弾性特性(tanδ、@120℃、100Hz)も0.200以上で、減衰性能を満足する。
低温性(ゲーマン捻じりT10)は−22℃と、低温使用も問題ない。
[実施例5]
実施例5は、結合AN(アクリロニトリル)量:40重量%、ムーニー粘度ML1+4(100℃):70、水素化ニトリルゴム(Zetpol(登録商標)2001L、日本ゼオン製)100重量部に対して、N700グレードのカーボンブラック(ヨウ素吸着比表面積:23mg/g、DBP吸着量:63ml/100g)を40重量部、酸化亜鉛を0.5重量部を配合し、過酸化物架橋剤で架橋したものである。
熱劣化後物性(150℃、500時間)において、残存伸びが250%、100%モジュラス変化率が+85%と変化が小さかった。したがって、熱劣化後においても良好な特性を維持することができる。
また、油浸漬後物性(150℃、500時間、合成油0W−20)において、残存伸びが280%、100%モジュラス変化率が+24%、体積変化率が4%と変化が小さかった。したがって、油浸漬後も良好な特性を維持することができる。
凝縮水浸漬後物性(80℃、168時間)において、残存伸びが290%、100%モジュラス変化率が−31%、体積変化率が14%と変化が小さかった。したがって、凝縮水浸漬後も良好な特性を維持することができる。
粘弾性特性(tanδ、@120℃、100Hz)も0.200以上で、減衰性能を満足する。
低温性(ゲーマン捻じりT10)は−21℃と、低温使用も問題ない。
[比較例1]
比較例1は、結合AN(アクリロニトリル)量:49.2重量%、ムーニー粘度ML1+4(100℃):65、水素化ニトリルゴム(Zetpol(登録商標)0020、日本ゼオン製)100重量部に対して、N700グレードのカーボンブラック(ヨウ素吸着比表面積:23mg/g、DBP吸着量:63ml/100g)を40重量部配合し、過酸化物架橋剤で架橋したものである。
熱劣化後物性(150℃、500時間)において、残存伸びが170%、100%モジュラス変化率が+129%と変化が小さかった。したがって、熱劣化後においても良好な特性を維持することができる。
また、油浸漬後物性(150℃、500時間、合成油0W−20)において、残存伸びが290%、100%モジュラス変化率が+25%、体積変化率が2%と変化が小さかった。したがって、油浸漬後も良好な特性を維持することができる。
凝縮水浸漬後物性(80℃、168時間)において、残存伸びが330%、100%モジュラス変化率が−34%、体積変化率が7%と変化が小さかった。したがって、凝縮水浸漬後も良好な特性を維持することができる。
粘弾性特性(tanδ、@120℃、100Hz)も0.200以上で、減衰性能を満足する。
しかし、低温性(ゲーマン捻じりT10)は−11℃と、低温使用に支障が出る可能性がある。
[比較例2]
結合AN(アクリロニトリル)量:40重量%、ムーニー粘度ML1+4(100℃):70、水素化ニトリルゴム(Zetpol(登録商標)2001L、日本ゼオン製)100重量部に対して、N700グレードのカーボンブラック(ヨウ素吸着比表面積:23mg/g、DBP吸着量:63ml/100g)を40重量部、酸化亜鉛を1重量部を配合し、過酸化物架橋剤で架橋したものである。
熱劣化後物性(150℃、500時間)において、残存伸びが290%、100%モジュラス変化率が+97%と変化が小さかった。したがって、熱劣化後においても良好な特性を維持することができる。
また、油浸漬後物性(150℃、500時間、合成油0W−20)において、伸びが290%、100%モジュラス変化率が+25%、体積変化率が5%と変化が小さかった。したがって、油浸漬後も良好な特性を維持することがきでる。
しかし、凝縮水浸漬後物性(80℃、168時間)において、残存伸びが270%、100%モジュラス変化率が−26%、体積変化率が25%となった。このため、凝縮水浸漬後の特性変化が大きく、製品性能に懸念がある。
粘弾性特性(tanδ、@120℃、100Hz)も0.200以上で、減衰性能を満足する。
低温性(ゲーマン捻じりT10)は−22℃と、低温使用も問題ない。
Figure 2021152093
Figure 2021152093
Figure 2021152093
本発明によれば、耐熱性、耐油性、耐凝縮水性を併せ持ち、内燃機関の一部又は全部を収容する筐体内部に設置してもトーショナルダンパとしての製品性能を満足し、低温使用にも問題のないゴム部材、及びそのようなゴム部材を与えるゴム組成物を提供することができる。
1:チェーンケース
2:ダンパゴム部材
3:トーショナルダンパ
4:シリンダーブロック
5:エンジンオイル
60:オイル
6:オイルパン
7:シリンダーヘッド
8:シリンダーヘッドカバー
9:タイミングチェーン
10:エンジン

Claims (5)

  1. 水素化ニトリルゴム、カーボンブラック、及び有機過酸化物からなる架橋剤を含むゴム組成物であって、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸化物、複合金属水酸化物、無機マイクロポーラス・クリスタル、又はこれらの混合物である受酸剤を、水素化ニトリルゴム100重量部に対して1重量部未満含むゴム組成物。
  2. 水素化ニトリルゴムの結合アクリロニトリル量が25重量%以上、45重量%未満であり、水素化ニトリルゴムのムーニー粘度ML1+4(100℃)が70以上、95以下である請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 請求項1に記載のゴム組成物を加硫成形してなるゴム部材。
  4. 下記条件をすべて満足する請求項3に記載のゴム部材。
    (条件1)150℃、500時間後のJIS 6258準拠の前記ゴム部材の伸びE≧+150%であり、かつ、100%モジュラスの変化率ΔM≦+150%である。
    (条件2)エンジンオイルに150℃、500時間浸漬後のJIS 6258準拠の前記ゴム部材の伸びE≧+200%であり、100%モジュラスの変化率ΔM≦+100%以下であり、かつ 体積変化率ΔV≦+15%である。
    (条件3)凝縮水中に80℃、168時間浸漬後のJIS 6258準拠の前記ゴム部材の伸びE≧+250%であり、100%モジュラスの変化率ΔM≧−50%であり、かつ、体積変化率ΔV≦+15%である。
    (条件4)120℃、100Hzにおける前記ゴム部材の損失係数(tanδ)≧0.200である。
    (条件5)JIS K6261準拠のゲーマンねじり試験による前記ゴム部材のT10≦−15℃である。
  5. 内燃機関の少なくとも一部を収容する筐体内部に設置したトーショナルダンパに用いられる請求項3または4に記載のゴム部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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