JP2021150647A - 光電変換素子、光電変換モジュール、電子機器、及び電源モジュール - Google Patents

光電変換素子、光電変換モジュール、電子機器、及び電源モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】長時間にわたって高照度光に晒された後においても、発電効率を維持する光電変換素子などの提供。【解決手段】第1の電極2、電子輸送層3、光電変換層5、ホール輸送層6、及び第2の電極7を有する光電変換素子50であって、ホール輸送層6が、一般式(1)を有するポリマー、及び一般式(2)の化合物を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子、光電変換モジュール、電子機器、及び電源モジュールに関する。
近年、光電変換素子を利用する太陽電池は、化石燃料の代替や地球温暖化対策という観点のみならず、電池交換や電源配線等が不要な自立型電源としても、幅広い応用が期待されている。また、自立型電源としての太陽電池は、IoT(Internet of Things)デバイスや人工衛星などで必要される環境発電(エナジーハーベスト)技術の一つとしても、大きな注目を集めている。
太陽電池としては、従来から広く用いられているシリコンなどを用いた無機系太陽電池の他に、色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池、ペロブスカイト太陽電池などの有機系太陽電池がある。ペロブスカイト太陽電池は有機溶媒などを含む電解液を用いることなく、従来の印刷手段を用いて製造できるため、安全性の向上及び製造コストの抑制などの点で有利である。
また、有機薄膜太陽電池及びペロブスカイト太陽電池に関して、空間的に分割された複数の光電変換素子を、直列の回路となるように電気的に接続して、出力電圧を大きくすることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、長時間にわたって高照度光に晒された後においても、発電効率を維持することが可能である光電変換素子を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の光電変換素子は、第1の支持体、第1の電極、電子輸送層、光電変換層、ホール輸送層、及び第2の電極を有する光電変換素子であって、前記ホール輸送層が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマー、及び下記一般式(2)で表される化合物を含有する。
Figure 2021150647
ただし、前記一般式(1)中、Arは芳香族炭化水素基を表し、該芳香族炭化水素基は置換基で置換されていてもよい。Ar及びArはそれぞれ独立に単環式、非縮合多環式、又は縮合多環式芳香族炭化水素基の2価基を表し、これらは置換基で置換されていてもよい。Arはベンゼン、チオフェン、ビフェニル、アントラセン、又はナフタレンの2価基を表し、これらは置換基で置換されていてもよい。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。nは2以上の整数であり、かつ上記一般式(1)で表されるポリマーの重量平均分子量が2,000以上になる整数を示す。
Figure 2021150647
ただし、前記一般式(2)中、R〜Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基を表し、これらは同一であっても異なっていてもよい。Xはカチオンを表す。
本発明によれば、長時間にわたって高照度光に晒された後においても、発電効率を維持することが可能である光電変換素子を提供することができる。
図1は、光電変換素子の一実施形態としての太陽電池セルの一例の概略図である。 図2は、本発明の電子機器の一例としてのパソコン用マウスのブロック図である。 図3は、図2に示したマウスの一例を示す概略外観図である。 図4は、本発明の電子機器の一例としてのパソコン用キーボードのブロック図である。 図5は、図4に示したキーボードの一例を示す概略外観図である。 図6は、図4に示したキーボードの他の一例を示す概略外観図である。 図7は、本発明の電子機器の一例としてのセンサのブロック図である。 図8は、本発明の電子機器の一例としてのターンテーブルのブロック図である。 図9は、本発明の電子機器の一例を示すブロック図である。 図10は、図9に示した電子機器に電源ICを更に組み込んだ一例を示すブロック図である。 図11は、図10に示した電子機器に蓄電デバイスを更に組み込んだ一例を示すブロック図である。 図12は、本発明の電源モジュールの一例を示すブロック図である。 図13は、図12に示した電源モジュールに蓄電デバイスを更に組み込んだ一例を示すブロック図である。
(光電変換素子)
光電変換素子とは、光エネルギーを電気エネルギーに変換すること又は電気エネルギーを光エネルギーに変換することができる素子を意味し、太陽電池やフォトダイオードなどに応用されている。
本発明における光電変換素子は、第1の支持体、第1の電極、電子輸送層、光電変換層、ホール輸送層、及び第2の電極を少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
<第1の電極>
第1の電極としては、その形状、大きさについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
第1の電極の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、一層構造であってもよいし、複数の材料を積層する構造であってもよい。
第1の電極の材質としては、導電性を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、透明導電性金属酸化物、カーボン、金属などが挙げられる。
透明導電性金属酸化物としては、例えば、インジウム・スズ酸化物(以下、「ITO」と称する)、フッ素ドープ酸化スズ(以下、「FTO」と称する)、アンチモンドープ酸化スズ(以下、「ATO」と称する)、ニオブドープ酸化スズ(以下、「NTO」と称する)、アルミドープ酸化亜鉛(以下、「AZO」と称する)、インジウム・亜鉛酸化物、ニオブ・チタン酸化物などが挙げられる。
カーボンとしては、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレンなどが挙げられる。
金属としては、例えば、金、銀、アルミニウム、ニッケル、インジウム、タンタル、チタンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、透明性が高い透明導電性金属酸化物が好ましく、ITO、FTO、ATO、NTO、AZOがより好ましい。
第1の電極の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5nm以上100μm以下が好ましく、50nm以上10μm以下がより好ましい。なお、第1の電極の材質がカーボンや金属の場合には、第1の電極の平均厚みとしては、透光性を得られる程度の平均厚みにすることが好ましい。
第1の電極は、スパッタ法、蒸着法、スプレー法等の公知の方法などにより形成することができる。
また、第1の電極は、基板上に形成されることが好ましく、予め基板上に第1の電極が形成されている一体化された市販品を用いることができる。
一体化された市販品としては、例えば、FTOコートガラス、ITOコートガラス、酸化亜鉛:アルミニウムコートガラス、FTOコート透明プラスチックフィルム、ITOコート透明プラスチックフィルムなどが挙げられる。他の一体化された市販品としては、例えば、酸化スズ若しくは酸化インジウムに原子価の異なる陽イオン若しくは陰イオンをドープした透明電極、又はメッシュ状やストライプ状等の光が透過できる構造にした金属電極を設けたガラス基板などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して混合又は積層したものでもよい。また、電気的抵抗値を下げる目的で、金属リード線などを併用してもよい。
また、一体化された市販品における電極を適宜加工して、後述する光電変換モジュールを作製するために、複数の第1の電極が形成された基板を作製してもよい。
金属リード線の材質としては、例えば、アルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケルなどが挙げられる。
金属リード線は、例えば、蒸着法、スパッタリング法、圧着法などで基板に形成し、その上にITOやFTOの層を設ける、あるいはITOやFTOの上に設けることにより併用することができる。
<電子輸送層>
電子輸送層とは、後述する光電変換層で生成された電子を第1の電極まで輸送する層を意味する。このため、電子輸送層は、第1の電極に隣接して配置されることが好ましい。
電子輸送層としては、その形状、大きさについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、電子輸送層の構造としては、単層であってもよく、複数の層が積層された多層であってもよい。
電子輸送層は、電子輸送材料を含有する。
電子輸送材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、半導体材料が好ましい。
半導体材料としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができ、例えば、単体半導体、化合物半導体を有する化合物などが挙げられる。
単体半導体としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどが挙げられる。
化合物半導体としては、例えば、金属のカルコゲニドが挙げられる。
金属のカルコゲニドとしては、例えば、金属の酸化物(酸化物半導体)、金属の硫化物、金属のセレン化物、金属のテルル化物などが挙げられる。
金属酸化物(酸化物半導体)としては、例えば、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、タンタル等の酸化物が挙げられる。
金属の硫化物としては、例えば、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマス等の硫化物が挙げられる。
金属のセレン化物としては、例えば、カドミウム、鉛等のセレン化物が挙げられる。
金属のテルル化物としては、例えば、カドミウム等のテルル化物が挙げられる。
他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウム砒素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物等が挙げられる。
これらの中でも、金属酸化物(酸化物半導体)が好ましく、特に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、及び酸化ニオブの少なくともいずれかを含有することがより好ましく、酸化スズを含有することが特に好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、半導体材料の結晶型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、単結晶でも多結晶でもよく、非晶質でもよい。
前記電子輸送層は、前記光電変換層側の表面の前記電子輸送材料上に、ホスホン酸化合物、ボロン酸化合物、スルホン酸化合物、ハロゲン化シリル化合物、及びアルコキシシリル化合物の少なくともいずれかの化合物を含有することが好ましい。前記電子輸送層は、前記光電変換層側の表面の前記電子輸送材料上に、これらの化合物を含有することで、電子輸送層と光電変換層の界面の物性を制御することが期待できる。言い換えれば、前記電子輸送層の前記光電変換層側の表面において前記電子輸送材料をこれら化合物で被覆することで、電子輸送層と光電変換層の界面抵抗を減少し、電子移動をスムースにする効果が期待できる。
これらの化合物は、前記電子輸送材料と結合していてもよい。結合としては、例えば、共有結合、イオン結合などが挙げられる。
前記化合物は、ホスホン酸化合物、ボロン酸化合物、スルホン酸化合物、ハロゲン化シリル化合物、及びアルコキシシリル化合物の少なくともいずれかである。
前記化合物は、ペロブスカイト層との相溶性の点から、窒素原子を有することが好ましい。
ホスホン酸化合物としては、ホスホン酸基を含有する化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。具体例は後述する。
ボロン酸化合物としては、ボロン酸基を含有する化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。具体例は後述する。
スルホン酸化合物としては、スルホン酸基を含有する化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。具体例は後述する。
ハロゲン化シリル化合物としては、ハロゲン化シリル基を含有する化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。具体例は後述する。
アルコキシシリル化合物としては、アルコキシシリル基を含有する化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。具体例は後述する。
前記化合物の分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、100以上500以下が挙げられる。
前記化合物は、例えば、下記一般式(X)で表される。
Figure 2021150647
前記一般式(X)において、R、及びRは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環を表し、同一であっても異なっていてもよい。Rは、2価のアルキレン基、2価のアリール基、又は2価のヘテロ環を表し、Rは、ホスホン酸基、ボロン酸基、スルホン酸基、ハロゲン化シリル基、又はアルコキシシリル基を表す。R又はRと、Rと、Nとは、一緒になって環構造を形成していてもよい。
前記化合物としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2021150647
Figure 2021150647
電子輸送層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5nm以上1μm以下が好ましく、10nm以上700nm以下がより好ましい。
電子輸送層の光電変換層側の表面は、なるべく平滑であることが好ましい。平滑性を表す一つの指標としてラフネスファクターは小さいほど好ましいが、電子輸送層の平均厚みとの関係から、電子輸送層の光電変換層側のラフネスファクターは、20以下が好ましく、10以下がより好ましい。前記ラフネスファクターの下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1以上が挙げられる。
ラフネスファクターとは、見かけの表面積に対する実際の表面積の割合のことで、Wenzelのラフネスファクターとも呼ばれている。実際の表面積は、例えばBET比表面積などを測定することで測定することができ、その値を見かけの表面積で割ればラフネスファクターを求めることができる。
電子輸送層における電子輸送材料の薄膜を作製する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、真空中で電子輸送材料の薄膜を形成する方法(真空製膜法)、湿式製膜法などが挙げられる。
真空製膜法としては、例えば、スパッタリング法、パルスレーザーデポジッション法(PLD法)、イオンビームスパッタ法、イオンアシスト法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、アトミックレイヤーデポジッション法(ALD法)、化学気相成長法(CVD法)などが挙げられる。
湿式製膜法としては、例えば、ゾル−ゲル法が挙げられる。ゾル−ゲル法は、溶液から、加水分解や重合・縮合などの化学反応を経てゲルを作製し、その後、加熱処理によって緻密化を促進させる方法である。ゾル−ゲル法を用いた場合、ゾル溶液の塗布方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷などが挙げられる。また、ゾル溶液を塗布した後の加熱処理の際の温度としては、80℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。
電子輸送材料上に前記化合物を付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子輸送材料の薄膜上に、前記化合物を含有する溶液を塗布した後に乾燥させる方法が挙げられる。
塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法などが挙げられる。
溶液を塗布した後の乾燥処理の際の温度としては、40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましい。
<光電変換層>
光電変換層としては、光電変換を行う層であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ペロブスカイト層、バルクヘテロ接合層などが挙げられる。
<<ペロブスカイト層>>
ペロブスカイト層とは、ペロブスカイト化合物を含み、光を吸収して電子輸送層を増感する層を意味する。そのため、ペロブスカイト層は、電子輸送層に隣接して配置されることが好ましい。
ペロブスカイト層としては、その形状、大きさについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
ペロブスカイト化合物は、有機化合物と無機化合物の複合物質であり、以下の一般式(3)で表わされる。
αβγ ・・・一般式(3)
ただし、前記一般式(3)中、α:β:γの比率は3:1:1であり、β及びγは1より大きい整数を表す。Xはハロゲン原子、Yはアミノ基を有する有機化合物、Zは金属イオンを表す。
上記の一般式(3)におけるXとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記の一般式(3)におけるYとしては、有機カチオンであれば、メチルアミン、エチルアミン、n−ブチルアミン、ホルムアミジンなどのアルキルアミン化合物イオンや、無機のアルカリ金属カチオンとしてSb原子、Cs原子、Rb原子、K原子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、無機アルカリ金属カチオンと有機カチオンとをそれぞれ併用してもよい。これらの中でも、アミノ基を有する有機化合物が好ましい。
又はロゲン化鉛−メチルアンモニウムのペロブスカイト化合物の場合、ハロゲンイオンがClのときは、光吸収スペクトルのピークλmaxは約350nm、Brのときは約410nm、Iのときは約540nmと、順に長波長側にシフトするため、利用できるスペクトル幅(バンド域)は異なる。
上記の一般式(3)におけるZとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鉛、インジウム、アンチモン、スズ、銅、ビスマス等の金属のイオンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、ペロブスカイト層は、ハロゲン化金属からなる層と有機カチオン分子が並んだ層が、交互に積層した層状ペロブスカイト構造を示すことが好ましい。
ペロブスカイト層を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ハロゲン化金属及びハロゲン化アルキルアミンやハロゲン化セシウムなどを、溶解又は分散させた溶液を塗布した後に乾燥する方法などが挙げられる。
また、ペロブスカイト層を形成する方法としては、例えば、ハロゲン化金属を溶解又は分散させた溶液を塗布、乾燥した後、ハロゲン化アルキルアミンを溶解させた溶液中に浸して、ペロブスカイト化合物を形成する二段階析出法などが挙げられる。
更に、ペロブスカイト層を形成する方法としては、例えば、ハロゲン化金属及びハロゲン化アルキルアミンを溶解又は分散した溶液を塗布しながら、ペロブスカイト化合物にとっての貧溶媒(溶解度が小さい溶媒)を加えて結晶を析出させる方法などが挙げられる。 加えて、ペロブスカイト層を形成する方法としては、例えば、メチルアミンなどが充満したガス中において、ハロゲン化金属を蒸着する方法などが挙げられる。
これらの中でも、ハロゲン化金属及びハロゲン化アルキルアミンを溶解又は分散した溶液を塗布しながら、ペロブスカイト化合物にとっての貧溶媒を加えて結晶を析出させる方法が好ましい。
溶液を塗布する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浸漬法、スピンコート法、スプレー法、ディップ法、ローラー法、エアーナイフ法などが挙げられる。また、溶液を塗布する方法としては、例えば、二酸化炭素などを用いた超臨界流体中で析出させる方法であってもよい。
また、ペロブスカイト層は、増感色素を含んでもよい。
増感色素を含んだペロブスカイト層を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ペロブスカイト化合物と増感色素を混合する方法、ペロブスカイト層を形成した後で、増感色素を吸着させる方法などが挙げられる。
増感色素としては、使用される励起光により光励起される化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
増感色素としては、例えば、金属錯体化合物、クマリン化合物、ポリエン化合物、インドリン化合物、チオフェン化合物、シアニン色素、メロシアニン色素、9−アリールキサンテン化合物、トリアリールメタン化合物、フタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物などが挙げられる。
金属錯体化合物としては、例えば、特表平7−500630号公報、特開平10−233238号公報、特開2000−26487号公報、特開2000−323191号公報、特開2001−59062号公報等に記載の金属錯体化合物などが挙げられる。
クマリン化合物としては、例えば、特開平10−93118号公報、特開2002−164089号公報、特開2004−95450号公報、J.Phys.Chem.C,7224,Vol.111(2007)等に記載のクマリン化合物などが挙げられる。
ポリエン化合物としては、例えば、特開2004−95450号公報、Chem.Commun.,4887(2007)等に記載のポリエン化合物などが挙げられる。
インドリン化合物としては、例えば、特開2003−264010号公報、特開2004−63274号公報、特開2004−115636号公報、特開2004−200068号公報、特開2004−235052号公報、J.Am.Chem.Soc.,12218,Vol.126(2004)、Chem.Commun.,3036(2003)、Angew.Chem.Int.Ed.,1923,Vol.47(2008)等に記載のインドリン化合物などが挙げられる。
チオフェン化合物としては、例えば、J.Am.Chem.Soc.,16701,Vol.128(2006)、J.Am.Chem.Soc.,14256,Vol.128(2006)等に記載のチオフェン化合物などが挙げられる。
シアニン色素としては、例えば、特開平11−86916号公報、特開平11−214730号公報、特開2000−106224号公報、特開2001−76773号公報、特開2003−7359号公報等に記載のシアニン色素などが挙げられる。
メロシアニン色素としては、例えば、特開平11−214731号公報、特開平11−238905号公報、特開2001−52766号公報、特開2001−76775号公報、特開2003−7360号公報等に記載のメロシアニン色素などが挙げられる。
9−アリールキサンテン化合物としては、例えば、特開平10−92477号公報、特開平11−273754号公報、特開平11−273755号公報、特開2003−31273号公報等に記載の9−アリールキサンテン化合物などが挙げられる。
トリアリールメタン化合物としては、例えば、特開平10−93118号公報、特開2003−31273号公報等に記載のトリアリールメタン化合物などが挙げられる。
フタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物としては、例えば、特開平9−199744号公報、特開平10−233238号公報、特開平11−204821号公報、特開平11−265738号公報、J.Phys.Chem.,2342,Vol.91(1987)、J.Phys.Chem.B,6272,Vol.97(1993)、Electroanal.Chem.,31,Vol.537(2002)、特開2006−032260号公報、J.Porphyrins Phthalocyanines,230,Vol.3(1999)、Angew.Chem.Int.Ed.,373,Vol.46(2007)、Langmuir,5436,Vol.24(2008)等に記載のフタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物などが挙げられる。
これらの中でも、金属錯体化合物、インドリン化合物、チオフェン化合物、ポルフィリン化合物が好ましい。
<<バルクヘテロ接合層>>
バルクヘテロ接合層は、電子供与性有機材料及び電子求引性有機材料を含有する。
バルクヘテロ接合層においては、電子供与性有機材料(P型有機半導体)及び電子求引性有機材料(N型有機半導体)が混合されていることで、ナノサイズのPN接合であるバルクヘテロ接合が生じる。そうすることにより、接合面で生じる光電荷分離を利用して電流を得ることができる。
<<<電子供与性有機材料(P型有機半導体)>>>
前記P型有機半導体としては、例えば、ポリチオフェン又はその誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、オリゴチオフェン又はその誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン又はその誘導体、ポリフェニレンビニレン又はその誘導体、ポリチエニレンビニレン又はその誘導体、ベンゾジチオフェン誘導体、ジケトピロロピロール誘導体等の共役ポリマーや低分子化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、π共役を有する導電性ポリマーであるポリチオフェン又はその誘導体が好ましい。前記ポリチオフェン及びその誘導体は、優れた立体規則性を確保することができ、溶媒への溶解性が比較的高い点で有利である。
前記ポリチオフェン及びその誘導体としては、チオフェン骨格を有する化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリ−3−ヘキシルチオフェンに代表されるポリアルキルチオフェン、ポリ−3−ヘキシルイソチオナフテン、ポリ−3−オクチルイソチオナフテン、ポリ−3−デシルイソチオナフテン等のポリアルキルイソチオナフテン;ポリエチレンジオキシチオフェンなどが挙げられる。
また、近年では、ベンゾジチオフェン、カルバゾール、ベンゾチアジアゾール及びチオフェンからなる共重合体であるPTB7(ポリ({4,8−ビス[(2−エチルヘキシル)オキシ]ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン−2,6−ジイル}{3−フルオロ−2−[(2−エチルヘキシル)カルボニル]チエノ[3,4−b]チオフェネジル}))、PCDTBT(ポリ[N−9’’−ヘプタデカニル−2,7−カルバゾール−アルト−5,5−(4’,7’−ジ−2−チエニル−2’,1’,3’−ベンゾチアジアゾール)])などの誘導体が、優れた光電変換効率を得られる化合物として挙げられる。
更に、共役ポリマーだけでなく、電子供与性ユニットと電子吸引性ユニットとを結合させた低分子化合物でも優れた光電変換効率を得られる化合物が知られており、本発明にも用いることができる(例えば、ACSAppl.Mater.Interfaces2014,6,803−810参照)。
前記電子供与性有機材料としての低分子化合物の中でも、下記一般式(A)で示される化合物が好ましい。
Figure 2021150647
ただし、前記一般式(A)中、nは、1〜3の整数を表す。
は、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、及びn−ドデシル基のいずれかを表す。
は、炭素数6〜22のアルキル基を有する酸素原子、炭素数6〜22のアルキル基を有する硫黄原子、炭素数6〜22のアルキル基を有する炭素原子、又は下記一般式(B)で表される基を表す。中でも、炭素数6〜20のアルキル基を有する酸素原子、炭素数6〜20のアルキル基を有する硫黄原子、炭素数6〜20のアルキル基を有する炭素原子、又は下記一般式(B)で表される基が好ましい。
Figure 2021150647
ただし、前記一般式(B)中、R及びRは、水素原子若しくは炭素数6〜12のアルキル基を表す。
は、炭素数6〜22の分岐していてもよいアルキル基を表す。中でも、炭素数6〜12の分岐していてもよいアルキル基が好ましい。
前記電子供与性有機材料としての低分子化合物としては、より具体的には、下記一般式(C)で表される化合物が好ましい。
Figure 2021150647
ただし、前記一般式(C)中、R及びRは、水素原子若しくは炭素数6〜12のアルキル基を表し、水素原子若しくは炭素数6〜10のアルキル基であることが好ましい。
は、炭素数6〜22の分岐していてもよいアルキル基を表し、炭素数6〜12の分岐していてもよいアルキル基であることが好ましい。
ここで、前記一般式(C)で表される化合物について、具体例を下記に示すがこれに限定されるものではない。
Figure 2021150647
<<<電子求引性有機材料(N型有機半導体)>>>
前記電子求引性有機材料としては、例えば、イミド誘導体、フラーレン、フラーレン誘導体などが挙げられる。これらの中でも、電荷分離及び電荷輸送の点から、フラーレン誘導体が好ましい。
前記フラーレン誘導体としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよく、例えば、PC71BM(フェニルC71酪酸メチルエステル、フロンティアカーボン社製)、PC61BM(フェニルC61酪酸メチルエステル、フロンティアカーボン社製)、PC85BM(フェニルC85酪酸メチルエステル、フロンティアカーボン社製)、ICBA(フラーレンインデン2付加体、フロンティアカーボン社製)等が挙げられる。また、この他にも、下記一般式(D)に示すフラロピロリジン系フラーレン誘導体などが挙げられる。
Figure 2021150647
ただし、前記一般式(D)中、Y及びYは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基のいずれかを表す。
なお、YとYが同時に水素原子であることはない。
Arは、置換基を有していてもよいアリール基を表す。
前記アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラリル基、フェナントリル基などが挙げられる。これらの中でも、フェニル基が好ましい。
Arで表される置換基を有するアリール基の置換基としては、酸素原子を除くことが好ましい。置換基としては、例えば、アリール基、アルキル基、シアノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基などが挙げられる。
これらの置換基のうちで、アリール基としては、フェニル基等が挙げられる。
アルキル基、及びアルコキシ基のアルキル基部分としては、後述するY及びYで表されるアルキル基と同様に例えば炭素数1〜22のアルキル基等が挙げられる。
これらの置換基の数、及び置換位置については、特に限定されないが、例えば、1〜3個の置換基がArで表されるアリール基の任意の位置に存在することができる。
及びYで表される基のうちで、アルキル基としては、炭素数1〜22のアルキル基が好ましく、炭素数1〜12のアルキル基がより好ましく、炭素数6〜12のアルキル基が特に好ましい。これらのアルキル基は、直鎖状及び分枝鎖状のいずれでもよいが、特に、直鎖状であることが好ましい。
なお、アルキル基には、炭素鎖中に更にS、Oなどの異種元素が1個又は2個以上含まれていてもよい。
及びYで表される基のうちで、アルケニル基としては、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましく、特に好ましい具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、1,3−ブタジエニル基等の炭素数2〜4の直鎖状又は分岐鎖状アルケニル基を挙げることができる。
及びYで表される基のうちで、アルキニル基としては、炭素数1〜10のアルキニル基が好ましく、特に好ましい具体例として、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−メチル−2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等の炭素数2〜4の直鎖状又は分岐鎖状アルキニル基などが挙げられる。
及びYで表される基のうちで、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラリル基、フェナントリル基などが挙げられる。
及びYで表される基のうちで、アラルキル基としては、2−フェニルエチル、ベンジル、1−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル等の炭素数7〜20のアラルキル基などが挙げられる。
上述のように、Y及びYで表される基の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、及びアラルキル基は置換基を有する場合と、置換基を有しない場合を含む。
及びYで表される基が有することができる置換基としては、例えばアルキル基、アルコキシカルボニル基、ポリエーテル基、アルカノイル基、アミノ基、アミノカルボニ
ル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、基:−CONHCOR’(ただし、式中、R’はアルキル基である)、基:−C(=NR’)−R”(ただし、式中、R’及びR”はアルキル基である)、基:−NR’=CR”R’”(ただし、式中、R’、R”及びR’”はアルキル基である)などが挙げられる。
これらの置換基のうちで、前記ポリエーテル基としては、例えば、式:Y−(OY)n−O−で表される基が挙げられる。ここで、Yはアルキル基等の1価の炭化水素基を表し、Yは2価の脂肪族炭化水素基を表す。
上記式で表されるポリエーテル基において、−(OY−で表される繰り返し単位の具体例としては、−(OCH−、−(OC−、−(OC−等のアルコキシ鎖等が挙げられる。これらの繰り返し単位の繰り返し数nは、1〜20が好ましく、1〜5がより好ましい。−(OY−で表される繰り返し単位には、同一の繰り返し単位だけではなく、2種以上の異なる繰り返し単位が含まれていてもよい。上記した繰り返し単位のうちで、−OC−及び−OC−については、直鎖状及び分枝鎖状のいずれであってもよい。
また、前記置換基のうちで、アルキル基と、アルコキシカルボニル基、アルカノイル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ポリエーテル基、基:−CONHCOR’、基:−C(=NR’)−R”、及び基:−NR’=CR”R’”におけるアルキル基部分(R’、R”)は、前述したアルキル基と同様に、炭素数1〜22のアルキル基が好ましく、炭素数1〜12のアルキル基がより好ましく、炭素数6〜12のアルキル基が特に好ましい。
前記アミノ基、及びアミノカルボニル基におけるアミノ基部分としては、特に、炭素数1〜20のアルキル基が1個又は2個以上結合したアミノ基が好ましい。
前記一般式(D)で表されるフラーレン誘導体のうちで、好適な性能を有する化合物の例としては、Arが、置換基を有するか、若しくは置換基を有しないフェニル基であって、Y及びYのいずれか一方が水素原子であり、他方が、置換基としてアルコキシカルボニル基を有するアルキル基、置換基としてアルコキシ基を有するアルキル基、置換基としてポリエーテル基を有するアルキル基、置換基としてアミノ基を有するアルキル基、又は置換基を有するか若しくは置換基を有しないフェニル基である化合物が挙げられる。
このような化合物のうちで、特に優れた性能を有する化合物の一例としては、Arが置換基としてフェニル基、シアノ基、アルコキシ基、アルコシキカルボニル基、又はアルキル基を有するか若しくは置換基を有しないフェニル基であって、Y及びYのいずれか一方が水素原子であり、他方が、置換基としてアルコキシカルボニル基を有するアルキル基、置換基としてアルコキシ基を有するアルキル基、置換基としてポリエーテル基を有するアルキル基、フェニル基、置換基としてアルキル基を有するフェニル基、置換基としてアルコキシカルボニル基を有するフェニル基、又は置換基としてアルコキシ基を有するフェニル基である化合物が挙げられる。
これらの化合物は、ピロリジン骨格上に適度な極性を有する基を含むものであり、自己組織化性が良好であるために、バルクヘテロジャンクション構造の光電変換層を形成する際に、適切な層分離構造を有するバルクヘテロジャンクション構造の光電変換部を形成できる。これにより、電子移動度などが向上して高い変換効率が発現されるものと考えられる。
最も好ましい化合物としては、Arがフェニル基であり、Y又はYのいずれか一方が水素原子であり、他方が無置換のアルキル基(炭素数4〜6のアルキル基)、無置換のフェニル基、1−ナフチル基、又は2−ナフチル基である化合物である。
前記バルクヘテロ接合層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコート塗布、ブレードコート塗布、スリットダイコート塗布、スクリーン印刷塗布、バーコーター塗布、鋳型塗布、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法、スプレー法、真空蒸着法などが挙げられる。これらの中から、厚み制御や配向制御など、作製しようとする有機材料薄膜の特性に応じて適宜選択することができる。
例えば、前記スピンコート塗布を行う場合には、P型有機半導体及びN型有機半導体の濃度が5mg/mL以上40mg/mL以下であることが好ましい。この濃度にすることにより均質な有機材料薄膜を容易に作製することができる。
作製した有機材料薄膜から有機溶媒を除去するため、減圧下又は不活性雰囲気下(窒素やアルゴン雰囲気下)でアニーリング処理を行ってもよい。前記アニーリング処理の温度は、40℃以上300℃以下が好ましく、50℃以上200℃以下がより好ましい。また、前記アニーリング処理を行うことにより、積層した層が界面で互いに浸透して接触する実効面積が増加し、短絡電流を増大させることができる。なお、前記アニーリング処理は、電極の形成後に行ってもよい。
前記有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、トルエン、キシレン、o−クロロフェノール、アセトン、酢酸エチル、エチレングリコール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、クロロナフタレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、クロロベンゼン、クロロホルム、オルトジクロロベンゼンが好ましい。
また、前記P型有機半導体と前記N型有機半導体の相分離構造制御のために、前記有機溶媒に0.1質量%以上10質量%以下の添加剤を加えてもよい。前記添加剤としては、例えば、ジヨードアルカン(1,8−ジヨードオクタン、1,6−ジヨードヘキサン、1,10−ジヨードデカンなど)、アルカンジチオール(1,8−オクタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,10−デカンジチオールなど)、1−クロロナフタレン、ポリジメチルシロキサン誘導体などが挙げられる。
前記光電変換層の平均厚みは、50nm以上400nm以下が好ましく、60nm以上250nm以下がより好ましい。前記平均厚みが、50nm以上であれば、光電変換層による光吸収が少なくてキャリア発生が不充分となることはなく、400nm以下であれば、光吸収により発生したキャリアの輸送効率が一段と低下するようなことはない。
<有機塩、無機塩>
光電変換素子は、光電変換層とホール輸送層の間に、有機塩及び無機塩の少なくともいずれかの塩を含有することが好ましい。
光電変換素子が、光電変換層とホール輸送層の間に前記塩を含有することで、界面の物性を制御することが期待できる。
なお、前記光電変換層が、ペロブスカイト層である場合、前記塩は、前記ペロブスカイト層を構成する塩と異なる塩であることが好ましい。
前記塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、特にペロブスカイト化合物を光電変換層に用いた場合には、相溶性の点で、カチオンにハロゲン原子を有することが好ましい。ハロゲン原子としては、例えば、塩素、ヨウ素、臭素などが挙げられる。
前記有機塩としては、特にペロブスカイト化合物を光電変換層に用いた場合には、相溶性の点から、アミンのハロゲン化水素酸塩であることが好ましい。
前記無機塩としては、特にペロブスカイト化合物を光電変換層に用いた場合には、相溶性の点から、アルカリ金属のハロゲン化物であることが好ましい。アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどが挙げられる。
前記アミンのハロゲン化水素酸塩としては、例えば、n−ブチルアミン臭化水素酸塩、n−ブチルアミンヨウ化水素酸塩、n−ヘキシルアミン臭化水素酸塩、n−ヘキシルアミンヨウ化水素酸塩、n−デシルアミン臭化水素酸塩、n−オクタデシルアミンヨウ化水素酸塩、ピリジン臭化水素酸塩、アニリンヨウ化水素酸塩、ヒドラジンジ臭化水素酸塩、エチレンジアミンジヨウ化水素酸塩、2−フェニルエチルアミンヨウ化水素酸塩、フェニレンジアミンジ塩化水素酸塩、ジフェニルアミン臭化水素酸塩、ジフェニルアミンヨウ化水素酸塩、ベンジルアミンヨウ化水素酸塩、4−ジフェニルアミノフェネチルアミンヨウ化水素酸塩等が挙げられる。
前記アルカリ金属のハロゲン化物としては、例えば、ヨウ化セシウム、臭化セシウム、ヨウ化ルビジウム、ヨウ化カリウム等が挙げられる。
光電変換層とホール輸送層の間に、有機塩及び無機塩の少なくともいずれかの塩を配する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、光電変換層上に、前記塩を含有する溶液を塗布した後に、乾燥し、更にその後、その上に、ホール輸送層する形成する方法が挙げられる。前記溶液としては、例えば、水溶液、アルコール溶液などが挙げられる。
塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法などが挙げられる。
溶液を塗布した後の乾燥処理の際の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、有機塩及び無機塩は、ペロブスカイト層とホール輸送層の界面において、均一に分布させる必要はなく、例えば、局所的に複数の領域に存在するようにしてもよい(アイランド状など)。また、ペロブスカイト層のペロブスカイト化合物、ホール輸送層のホール輸送性材料と反応させることでペロブスカイト層内やホール輸送層内に分布させるようにしてもよい。つまり、有機塩及び無機塩が存在しないペロブスカイト層と、有機塩及び無機塩が存在しないホール輸送層と、の間に有機塩及び無機塩が存在する領域があればよい。
<ホール輸送層>
ホール輸送層とは、光電変換層で生成されたホール(正孔)を後述する第2の電極まで輸送する層を意味する。このため、ホール輸送層は、前記塩を介して又は直接に光電変換層に隣接して配置されることが好ましい。
ホール輸送層は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマー、及び下記一般式(2)で表される化合物を含有する。そうすることで、ホール輸送層の抵抗が減少する効果を得ることができる。
Figure 2021150647
ただし、前記一般式(1)中、Arは芳香族炭化水素基を表し、該芳香族炭化水素基は置換基で置換されていてもよい。Ar及びArはそれぞれ独立に単環式、非縮合多環式、又は縮合多環式芳香族炭化水素基の2価基を表し、これらは置換基で置換されていてもよい。Arはベンゼン、チオフェン、ビフェニル、アントラセン、又はナフタレンの2価基を表し、これらは置換基で置換されていてもよい。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。nは2以上の整数であり、かつ上記一般式(1)で表されるポリマーの重量平均分子量が2,000以上になる整数を示す。
Figure 2021150647
ただし、前記一般式(2)中、R〜Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基を表し、これらは同一であっても異なっていてもよい。Xはカチオンを表す。
上記一般式(1)におけるArは芳香族炭化水素基であり、例えばアリール基を表す。アリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、9−アントラセニル基等が挙げられる。アリール基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリール基などが挙げられる。
Ar及びArはそれぞれ独立に単環式、非縮合多環式、又は縮合多環式芳香族炭化水素基の2価基を表し、例えば、アリーレン基、2価のヘテロ環基などを表す。アリーレン基としては、例えば、1,4−フェニレン、1,1’−ビフェニレン、9,9’−ジ−n−ヘキシルフルオレン等が挙げられる。2価のヘテロ環基としては、例えば、2,5−チオフェン等が挙げられる。アリール基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリール基などが挙げられる。
Arはベンゼン、チオフェン、ビフェニル、アントラセン、又はナフタレンの2価基を表し、これらは置換基で置換されていてもよい。置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリール基などが挙げられる。
〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基などが挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基等が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、2−ナフチル基等が挙げられる。前記アルキル基、及び前記アリール基は置換基を有していてもよい。
上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーの重量平均分子量は、2,000以上100,000以下であることが好ましい。
前記重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーの具体例としては、下記(A−01)〜(A−20)を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。ただし、式中のnは2以上の整数であり、かつ上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーの重量平均分子量が2,000以上になる整数を示す。
なお、各ポリマーの両末端の置換基としては、例えば、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルール基などが挙げられる。
Figure 2021150647
Figure 2021150647
Figure 2021150647
上記一般式(2)において、R〜Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基を表し、同一であっても異なっていてもよい。Xはカチオンを表す。R及びR2、又はR及びRは、一緒になって環構造を形成していてもよい。
前記ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基などが挙げられる。前記アルキル基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
前記アルコキシ基としては、例えば、炭素数1〜6のアルコキシ基などが挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基などが挙げられる。
カチオンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカリ金属カチオン、ホスホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン、含窒素カチオン、スルホニウムカチオンなどが挙げられる。なお、ここでの含窒素カチオンとは、窒素原子上に陽電荷があるイオンを意味し、例えば、アンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオンなどが挙げられる。
前記一般式(2)で示される化合物の具体例としては、下記(B−01)〜(B−28)を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2021150647
Figure 2021150647
Figure 2021150647
Figure 2021150647
Figure 2021150647
前記ホール輸送層における、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーAと、前記一般式(2)で表される化合物Bとの質量比(A:B)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ホール移動の点から、20:1〜1:1が好ましく、10:1〜1:1がより好ましい。
ホール輸送層は、例えば、他の固体のホール輸送性材料を更に含み、必要に応じてその他の材料を含む。
他の固体のホール輸送性材料(以下では、単に「ホール輸送性材料」と称することがある)としては、ホールを輸送できる性質を持つ材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有機化合物を含有することが好ましい。
ホール輸送性材料として有機化合物を用いる場合、ホール輸送層は、例えば、複数の種類の有機化合物を含有する。
有機化合物としては、例えば、高分子材料が挙げられる。
ホール輸送層に用いる高分子材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリチオフェン化合物、ポリフェニレンビニレン化合物、ポリフルオレン化合物、ポリフェニレン化合物、ポリチアジアゾール化合物などが挙げられる。
ポリチオフェン化合物としては、例えば、ポリ(3−n−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−n−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(9,9’−ジオクチル−フルオレン−コ−ビチオフェン)、ポリ(3,3’’’−ジドデシル−クォーターチオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(2,5−ビス(3−デシルチオフェン−2−イル)チエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルチオフェン−コ−チエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン−コ−チエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン−コ−チオフェン)若しくはポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン−コ−ビチオフェン)等が挙げられる。
ポリフェニレンビニレン化合物としては、例えば、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ[2−メトキシ−5−(3,7−ジメチルオクチルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]若しくはポリ[(2−メトキシ−5−(2−エチルフェキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン)−コ−(4,4’−ビフェニレン−ビニレン)]等が挙げられる。
ポリフルオレン化合物としては、例えば、ポリ(9,9’−ジドデシルフルオレニル−2,7−ジイル)、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(9,10−アントラセン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(4,4’−ビフェニレン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン)]若しくはポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジイル)−コ−(1,4−(2,5−ジヘキシルオキシ)ベンゼン)]等が挙げられる。
ポリフェニレン化合物としては、例えば、ポリ[2,5−ジオクチルオキシ−1,4−フェニレン]、ポリ[2,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ−1,4−フェニレン]等が挙げられる。
ポリチアジアゾール化合物としては、例えば、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−コ−(1,4−ベンゾ(2,1’,3)チアジアゾール]、ポリ(3,4−ジデシルチオフェン−コ−(1,4−ベンゾ(2,1’,3)チアジアゾール)等が挙げられる。
ホール輸送層は、上記ポリマーだけでなく低分子化合物単独あるいは低分子と高分子の混合物を含有してもよい。
低分子ホール輸送性材料としては特に化学構造に制限はなく、例えば、オキサジアゾール化合物、トリフェニルメタン化合物、ピラゾリン化合物、ヒドラゾン化合物、テトラアリールベンジジン化合物、スチルベン化合物、スピロビフルオレン化合物、チオフェンオリゴマーなどが挙げられる。
オキサジアゾール化合物としては、例えば、特公昭34−5466号公報、特開昭56−123544号公報等に示されているオキサジアゾール化合物などが挙げられる。
トリフェニルメタン化合物としては、例えば、特公昭45−555号公報等に示されているトリフェニルメタン化合物などが挙げられる。
ピラゾリン化合物としては、例えば、特公昭52−4188号公報等に示されているピラゾリン化合物などが挙げられる。
ヒドラゾン化合物としては、例えば、特公昭55−42380号公報等に示されているヒドラゾン化合物などが挙げられる。
テトラアリールベンジジン化合物としては、例えば、特開昭54−58445号公報等に示されているテトラアリールベンジジン化合物などが挙げられる。
スチルベン化合物としては、例えば、特開昭58−65440号公報、特開昭60−98437号公報等に示されているスチルベン化合物などが挙げられる。
スピロビフルオレン化合物としては、例えば、特開2007−115665号公報、特開2014−72327号公報、特開2001−257012号公報、WO2004/063283号公報、WO2011/030450号公報、WO2011/45321号公報、WO2013/042699号公報、WO2013/121835号公報に示されているスピロビフルオレン化合物などが挙げられる。
チオフェンオリゴマーとしては、例えば、特開平2−250881号公報、特開2013−033868号公報に示されているチオフェンオリゴマーなどが挙げられる。
ポリマーと低分子化合物を混合する場合、それぞれのイオン化ポテンシャルの差が、0.2eV以下であることが好ましい。イオン化ポテンシャルとは分子から1個の電子を取り出すのに必要なエネルギーであり、電子ボルト(eV)の単位で表されるものである。イオン化ポテンシャルの測定方法に特に制限はないが、光電子分光法による測定が好ましい。
ホール輸送層に含まれるその他の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、添加剤、酸化剤などが挙げられる。
添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ヨウ素、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化銅、ヨウ化鉄若しくはヨウ化銀等の金属ヨウ化物、ヨウ化テトラアルキルアンモニウム若しくはヨウ化ピリジニウム等の4級アンモニウム塩、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化セシウム若しくは臭化カルシウム等の金属臭化物、臭化テトラアルキルアンモニウム若しくは臭化ピリジニウム等の4級アンモニウム化合物の臭素塩、塩化銅若しくは塩化銀等の金属塩化物、酢酸銅、酢酸銀若しくは酢酸パラジウム等の酢酸金属塩、硫酸銅若しくは硫酸亜鉛等の金属硫酸塩、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩若しくはフェロセン−フェリシニウムイオン等の金属錯体、ポリ硫化ナトリウム若しくはアルキルチオール−アルキルジスルフィド等のイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン等、ピリジン、4−t−ブチルピリジン若しくはベンズイミダゾール等の塩基性化合物を挙げることができる。
更に、酸化剤を加えることができる。酸化剤の種類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ヘキサクロロアンチモン酸トリス(4−ブロモフェニル)アミニウム、ヘキサフルオロアンチモネート銀、ニトロソニウムテトラフルオボラート、硝酸銀、コバルト錯体、4−イソプロピル−4‘−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。なお、酸化剤により、ホール輸送性材料の全体が酸化される必要はなく、一部が酸化されていれば有効である。また、酸化剤は、反応後に系外に取り出しても、取り出さなくてもよい。
ホール輸送層が酸化剤を含むことにより、ホール輸送性材料の一部又は全部をラジカルカチオンにすることができるため、導電性が向上し、出力特性の耐久性や安定性を高めることが可能になる。
ホール輸送層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、光電変換層上においては、0.01μm以上20μm以下が好ましく、0.1μm以上10μm以下がより好ましく、0.2μm以上2μm以下が更に好ましい。
ホール輸送層は、光電変換層の上に直接形成することができる。ホール輸送層の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、真空蒸着等の真空中で薄膜を形成する方法、湿式製膜法などが挙げられる。これらの中でも、製造コストなどの点で、特に湿式製膜法が好ましく、光電変換層上に塗布する方法がより好ましい。
湿式製膜法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法などが挙げられる。また、湿式印刷方法としては、例えば、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷などの方法を用いてもよい。
また、ホール輸送層は、例えば、超臨界流体又は臨界点より低い温度及び圧力の亜臨界流体中で製膜することにより作製してもよい。
超臨界流体とは、気体と液体が共存できる限界(臨界点)を超えた温度及び圧力領域において非凝集性高密度流体として存在し、圧縮しても凝集せず、臨界温度以上、かつ臨界圧力以上の状態である流体を意味する。超臨界流体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、臨界温度が低いものが好ましい。
亜臨界流体としては、臨界点近傍の温度及び圧力領域において、高圧液体として存在する流体であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。超臨界流体として挙げられる流体は、亜臨界流体としても好適に使用することができる。
超臨界流体としては、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、窒素、水、アルコール溶媒、炭化水素溶媒、ハロゲン溶媒、エーテル溶媒などが挙げられる。
アルコール溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノールなどが挙げられる。
炭化水素溶媒としては、例えば、エタン、プロパン、2,3−ジメチルブタン、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。ハロゲン溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロトリフロロメタンなどが挙げられる。
エーテル溶媒としては、例えば、ジメチルエーテルなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、二酸化炭素が、臨界圧力7.3MPa、臨界温度31℃であることから、容易に超臨界状態をつくり出せるとともに、不燃性で取扱いが容易である点で好ましい。
超臨界流体の臨界温度及び臨界圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。超臨界流体の臨界温度としては、−273℃以上300℃以下が好ましく、0℃以上200℃以下がより好ましい。
更に、超臨界流体及び亜臨界流体に加え、有機溶媒やエントレーナーを併用することもできる。有機溶媒及びエントレーナーを添加することにより、超臨界流体中での溶解度の調整をより容易に行うことができる。
有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ケトン溶媒、エステル溶媒、エーテル溶媒、アミド溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、炭化水素溶媒などが挙げられる。
ケトン溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
エステル溶媒としては、例えば、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどが挙げられる。
エーテル溶媒としては、例えば、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサンなどが挙げられる。
アミド溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
ハロゲン化炭化水素溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、1−クロロナフタレンなどが挙げられる。
炭化水素溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クメンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、光電変換層上に、ホール輸送性材料を積層した後、プレス処理工程を施してもよい。プレス処理を施すことによって、ホール輸送性材料が光電変換層とより密着するため、発電効率が改善できる場合がある。
プレス処理の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、IR(infrared spectroscopy)錠剤成形器に代表されるような平板を用いたプレス成形法、ローラー等を用いたロールプレス法などを挙げることができる。
プレス処理する際の圧力としては、10kgf/cm以上が好ましく、30kgf/cm以上がより好ましい。
プレス処理する時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1時間以下が好ましい。また、プレス処理時に熱を加えてもよい。
プレス処理の際、プレス機と電極との間に離型剤を挟んでもよい。
離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ四フッ化エチレン、ポリクロロ三フッ化エチレン、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合体、ペルフルオロアルコキシフッ化樹脂、ポリフッ化ビニリデン、エチレン四フッ化エチレン共重合体、エチレンクロロ三フッ化エチレン共重合体、ポリフッ化ビニル等のフッ素樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<金属酸化物を含む膜>
プレス処理工程を行った後、第2の電極を設ける前に、ホール輸送層と第2の電極との間に金属酸化物を含む膜を設けてもよい。
金属酸化物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化バナジウム、酸化ニッケルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、酸化モリブデンが好ましい。
金属酸化物を含む膜をホール輸送層上に設ける方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スパッタリング、真空蒸着等の真空中で薄膜を形成する方法や湿式製膜法などが挙げられる。
金属酸化物を含む膜を形成する際の湿式製膜法としては、金属酸化物の粉末又はゾルを分散したペーストを調製し、ホール輸送層上に塗布する方法が好ましい。
湿式製膜法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法などが挙げられる。また、湿式印刷方法としては、例えば、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷などの方法を用いてもよい。
金属酸化物を含む膜の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1nm以上50nm以下が好ましく、1nm以上10nm以下がより好ましい。
<第2の電極>
第2の電極は、ホール輸送層上、又は金属酸化物を含む膜上に形成することが好ましい。また、第2の電極は、第1の電極と同様のものを用いることができる。
第2の電極としては、その形状、構造、大きさについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
第2の電極の材質としては、例えば、金属、炭素化合物、導電性金属酸化物、導電性高分子などが挙げられる。
金属としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウムなどが挙げられる。
炭素化合物としては、例えば、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェンなどが挙げられる。
導電性金属酸化物としては、例えば、ITO、FTO、ATOなどが挙げられる。
導電性高分子としては、例えば、ポリチオフェン、ポリアニリンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
第2の電極は、用いられる材料の種類やホール輸送層の種類により、適宜ホール輸送層上に塗布法、ラミネート法、真空蒸着法、CVD法、貼り合わせ法などの方法を用いることにより形成可能である。
また、光電変換素子においては、第1の電極と第2の電極の少なくともいずれかは実質的に透明であることが好ましい。例えば、第1の電極を透明にして、入射光を第1の電極側から入射させることが好ましい。この場合、第2の電極には光を反射させる材料を使用することが好ましく、金属、導電性酸化物を蒸着したガラス、プラスチック、金属薄膜などが好ましく用いられる。また、入射光側の電極に反射防止層を設けることも有効な手段である。
ここで、光電変換素子の一例について図面を用いて説明する。
図1は、光電変換素子の一実施形態としての太陽電池セルの一例の概略図である。
図1の太陽電池セル50は、第1の電極2と、緻密な電子輸送層3と、光電変換層であるペロブスカイト層5と、ホール輸送層6と、第2の電極7とを有する。
第1の電極2は、緻密な電子輸送層3と接している。
緻密な電子輸送層3は、ペロブスカイト層5と接している。
ペロブスカイト層5は、ホール輸送層6と接している。
ホール輸送層6は、第2の電極7と接している。
(光電変換モジュール)
本発明の光電変換モジュールは、複数の本発明の光電変換素子が、直列又は並列に電気的に接続されてなる。
光電変換モジュールは、例えば、基板上に複数の本発明の光電変換素子を有し、前述の基板とは異なる第2の基板、封止部材を更に有することが好ましく、必要に応じてその他の部材を有する。
前記光電変換モジュールとしては、例えば、光電変換モジュールが挙げられる。
前記光電変換モジュールは、複数の本発明の光電変換素子が、基板上に複数設けられている光電変換モジュールであって、互いに隣接する少なくとも2つの光電変換素子において、ホール輸送層が、互いに連続しており、互いに隣接する少なくとも2つの光電変換素子における第1の電極、電子輸送層、及び光電変換層が、ホール輸送層により隔てられていることが好ましい。そのような光電変換モジュールにおいては、電子輸送層、及び光電変換層が切断されていることにより、拡散による電子の再結合が少なくなっているため、長時間にわたって高照度光に晒された後においても、発電効率を維持することが可能である。
<基板>
基板としては、その形状、構造、大きさについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、以下では、上述の基板を第1の基板と称することがある。
第1の基板の材質としては、透光性及び絶縁性を有するものが好ましい。そのような材質としては、例えば、ガラス、プラスチックフィルム、セラミックなどが挙げられる。これらの中でも、電子輸送層を形成する際に焼成する工程を含む場合は、焼成温度に対して耐熱性を有する材質のものが好ましい。また、第1の基板としては、可とう性を有するものが好ましい。
<第2の基板>
第2の基板は、複数の本発明の光電変換素子を挟むように第1の基板と対向して配置される。
基板としては、その形状、構造、大きさについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
第2の基板の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス、プラスチックフィルム、金属箔、セラミックなどが挙げられる。
第2の基板と後述する封止部材との接合部には、密着性を上げるため、凹凸部を形成してもよい。
凹凸部の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サンドブラスト法、ウオーターブラスト法、化学エッチング法、レーザー加工法、研磨紙を用いた方法などが挙げられる。
第2の基板と封止部材との密着性を上げる方法としては、例えば、第2の基板の表面の有機物を除去する方法でもよく、第2の基板の親水性を向上させる方法でもよい。第2の基板の表面の有機物を除去する手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、UVオゾン洗浄、酸素プラズマ処理などが挙げられる。
<封止部材>
封止部材は、第1の基板と第2の基板の間に配置され、光電変換素子を封止する。
封止部材の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル樹脂の硬化物、エポキシ樹脂の硬化物などが挙げられる。
アクリル樹脂の硬化物は、分子内にアクリル基を有するモノマーあるいはオリゴマーが硬化したものであれば、公知のいずれの材料でも使用することが可能である。
エポキシ樹脂の硬化物は、分子内にエポキシ基を有するモノマーあるいはオリゴマーが硬化したものであれば、公知のいずれの材料でも使用することが可能である。
エポキシ樹脂としては、例えば、水分散系、無溶剤系、固体系、加熱硬化型、硬化剤混合型、紫外線硬化型などが挙げられる。これらの中でも熱硬化型及び紫外線硬化型が好ましく、紫外線硬化型がより好ましい。なお、紫外線硬化型であっても、加熱を行うことは可能であり、紫外線硬化した後であっても加熱を行うことが好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ノボラック型、環状脂肪族型、長鎖脂肪族型、グリシジルアミン型、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂には、必要に応じて硬化剤や各種添加剤を混合することが好ましい。
硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アミン系、酸無水物系、ポリアミド系、その他の硬化剤などに分類される。
アミン系硬化剤としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの脂肪族ポリアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族ポリアミンなどが挙げられる。
酸無水物系硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、テトラ及びヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ピロメリット酸、無水ヘット酸、ドデセニル無水コハク酸などが挙げられる。
その他の硬化剤としては、例えば、イミダゾール類、ポリメルカプタンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、充填材(フィラー)、ギャップ剤、重合開始剤、乾燥剤(吸湿剤)、硬化促進剤、カップリング剤、可とう化剤、着色剤、難燃助剤、酸化防止剤、有機溶剤などが挙げられる。これらの中でも、充填材、ギャップ剤、硬化促進剤、重合開始剤、乾燥剤(吸湿剤)が好ましく、充填材及び重合開始剤がより好ましい。
添加剤として充填材を含むことにより、水分や酸素の浸入を抑制し、更には硬化時の体積収縮の低減、硬化時あるいは加熱時のアウトガス量の低減、機械的強度の向上、熱伝導性や流動性の制御などの効果を得ることができる。そのため、添加剤として充填材を含むことは、様々な環境で安定した出力を維持する上で非常に有効である。
また、光電変換素子の出力特性やその耐久性に関しては、侵入する水分や酸素の影響だけでなく、封止部材の硬化時あるいは加熱時に発生するアウトガスの影響が無視できない。特に、加熱時に発生するアウトガスの影響は、高温環境保管における出力特性に大きな影響を及ぼす。
封止部材に充填材やギャップ剤、乾燥剤を含有させることにより、これら自身が水分や酸素の浸入を抑制できるほか、封止部材の使用量を低減できることにより、アウトガスを低減させる効果を得ることができる。封止部材に充填材やギャップ剤、乾燥剤を含有させることは、硬化時だけでなく、光電変換素子を高温環境で保存する際にも有効である。
充填材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶性あるいは不定形のシリカ、タルク、アルミナ、窒化アルミ、窒化珪素、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム等の無機系充填材などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
充填材の平均一次粒径は、0.1μm以上10μmが好ましく、1μm以上5μm以下がより好ましい。充填材の平均一次粒径が上記の好ましい範囲内であると、水分や酸素の侵入を抑制する効果を十分に得ることができ、粘度が適正となり、基板との密着性や脱泡性が向上し、封止部の幅の制御や作業性に対しても有効である。
充填材の含有量としては、封止部材全体(100質量部)に対し、10質量部以上90質量部以下が好ましく、20質量部以上70質量部以下がより好ましい。充填材の含有量が上記の好ましい範囲内であることにより、水分や酸素の浸入抑制効果が十分に得られ、粘度も適正となり、密着性や作業性も良好となる。
ギャップ剤は、ギャップ制御剤あるいはスペーサー剤とも称される。添加剤としてギャップ剤を含むことにより、封止部のギャップを制御することが可能になる。例えば、第1の基板又は第1の電極の上に、封止部材を付与し、その上に第2の基板を載せて封止を行う場合、封止部材がギャップ剤を混合していることにより、封止部のギャップがギャップ剤のサイズに揃うため、容易に封止部のギャップを制御することができる。
ギャップ剤としては、粒状でかつ粒径が均一であり、耐溶剤性や耐熱性が高いものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ギャップ剤としては、エポキシ樹脂と親和性が高く、粒子形状が球形であるものが好ましい。具体的には、ガラスビーズ、シリカ微粒子、有機樹脂微粒子などが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ギャップ剤の粒径としては、設定する封止部のギャップに合わせて選択可能であるが、1μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下がより好ましい。
重合開始剤としては、熱や光を用いて重合を開始させるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。
熱重合開始剤は、加熱によってラジカルやカチオンなどの活性種を発生する化合物であり、例えば、2,2’−アゾビスブチロニトリル(AIBN)のようなアゾ化合物や、過酸化ベンゾイル(BPO)などの過酸化物などが挙げられる。熱カチオン重合開始剤としては、ベンゼンスルホン酸エステルやアルキルスルホニウム塩等が用いられる。
一方、光重合開始剤は、エポキシ樹脂の場合光カチオン重合開始剤が好ましく用いられる。エポキシ樹脂に光カチオン重合開始剤を混合し、光照射を行うと光カチオン重合開始剤が分解して、酸を発生し、酸がエポキシ樹脂の重合を引き起こし、硬化反応が進行する。光カチオン重合開始剤は、硬化時の体積収縮が少なく、酸素阻害を受けず、貯蔵安定性が高いといった効果を有する。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタセロン化合物、シラノール・アルミニウム錯体などが挙げられる。
また、重合開始剤として、光を照射することにより酸を発生する機能を有する光酸発生剤も使用できる。光酸発生剤は、カチオン重合を開始する酸として作用し、例えば、カチオン部とアニオン部からなるイオン性のスルホニウム塩系やヨードニウム塩系などのオニウム塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の添加量としては、使用する材料によって異なる場合があるが、封止部材全体(100質量部)に対し、0.5質量部以上10質量部以下が好ましく、1質量部以上5質量部以下がより好ましい。添加量が上記の好ましい範囲内であることにより、硬化が適正に進み、未硬化物の残存を低減することができ、またアウトガスが過剰になるのを防止できる。
乾燥剤は、吸湿剤とも称され、水分を物理的あるいは化学的に吸着、吸湿する機能を有する材料であり、封止部材に含有させることにより、耐湿性を更に高め、アウトガスの影響を低減できる。
乾燥剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、粒子状であるものが好ましく、例えば、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、シリカゲル、モレキュラーシーブ、ゼオライトなどの無機吸水材料が挙げられる。これらの中でも、吸湿量が多いゼオライトが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
硬化促進剤は、硬化触媒とも称され、硬化速度を速める材料であり、主に熱硬化型のエポキシ樹脂に用いられる。
硬化促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、DBU(1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7)やDBN(1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5)等の三級アミンあるいは三級アミン塩、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾールや2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール系、トリフェニルホスフィンやテトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等のホスフィンあるいはホスホニウム塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
カップリング剤は、分子結合力を高める効果を有する材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シランカップリング剤などが挙げられ、より具体的には、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、封止部材としては、封止材、シール材、又は接着剤などとして市販されているエポキシ樹脂組成物が知られており、本実施形態においても有効に使用することができる。中でも、太陽電池や有機EL素子用途向けに開発、市販されているエポキシ樹脂組成物もあり、本実施形態において特に有効に使用できる。市販されているエポキシ樹脂組成物としては、例えば、TB3118、TB3114、TB3124、TB3125F(スリーボンド社製)、WorldRock5910、WorldRock5920、WorldRock8723(協立化学社製)、WB90US(P)(モレスコ社製)等が挙げられる。
封止部材として、シート状封止材を用いることができる。
シート状封止材とは、シート上に予めエポキシ樹脂層を形成したもので、シートにはガラスやガスバリア性の高いフィルム等が用いられる。シート状封止材を、第2の基板上に貼り付け、その後硬化させることにより、封止部材及び第2の基板を一度に形成することができる。シート上に形成するエポキシ樹脂層の形成パターンにより、中空部を設けた構造にすることもできる。
封止部材の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディスペンス法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法などが挙げられる。また、封止部材の形成方法としては、例えば、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷などの方法を用いてもよい。
更に、封止部材と第2の電極との間にパッシベーション層を設けてもよい。パッシベーション層としては、封止部材が第2の電極に接しないように配置されていれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化アルミニウム、窒化シリコン、酸化シリコンなどが挙げられる。
<その他の部材>
その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の光電変換モジュールは、発生した電流を制御する回路基盤等と組み合わせることにより電源装置に応用できる。電源装置を利用している機器類として、例えば、電子卓上計算機や腕時計が挙げられる。また、携帯電話、電子手帳、電子ペーパー等に本発明の光電変換モジュールを有する電源装置を適用することもできる。また、充電式や乾電池式の電気器具の連続使用時間を長くするための補助電源、2次電池などと組み合わせることにより夜間等でも利用できる電源などとしても、本発明の光電変換モジュールを有する電源装置を用いることができる。更に、電池交換や電源配線等が不要な自立型電源として、IoTデバイスや人工衛星などに用いることもできる。
(電子機器)
本発明の電子機器は、本発明の光電変換モジュールと、前記光電変換モジュールが光電変換することによって発生した電力によって動作する装置と、を有し、更に必要に応じてその他の装置を有する。
(電源モジュール)
本発明の電源モジュールは、本発明の光電変換モジュールと、電源IC(Integrated Circuit)と、を有し、更に必要に応じてその他の装置を有する。
次に、本発明の光電変換モジュールと、これらが発電することによって得られた電力により動作する装置を有する電子機器の具体的な実施形態について説明する。
図2は、本発明の電子機器の一例としてのパソコン用マウスのブロック図である。
図2に示すように、光電変換モジュールと電源IC、更に蓄電デバイスとを組み合わせ、供給される電力をマウスの制御回路の電源に接続する。これにより、マウスを使用していない時に蓄電デバイスに充電し、その電力でマウスを動作させることができ、配線や電池交換が不要なマウスを得ることができる。また、電池が不要になることで軽量化も可能となり、有効である。
図3は、図2に示したマウスの一例を示す概略外観図である。
図3に示すように、光電変換モジュール及び電源IC、蓄電デバイスはマウス内部に実装されるが、光電変換モジュールの光電変換素子に光が当たるように光電変換素子の上部は透明の筐体で覆われている。また、マウスの筐体すべてを透明な樹脂で成形することも可能である。光電変換素子の配置はこれに限られるものではなく、例えばマウスを手で覆っていても光が照射される位置に配置することも可能であり、好ましい場合がある。
次に、本発明の光電変換モジュールと、これらが発電することによって得られた電力により動作する装置を有する電子機器の他の実施形態について説明する。
図4は、本発明の電子機器の一例としてのパソコン用キーボードのブロック図である。
図4に示すように、光電変換モジュールの光電変換素子と電源IC、蓄電デバイスを組み合わせ、供給される電力をキーボードの制御回路の電源に接続する。これにより、キーボードを使用していない時に蓄電デバイスに充電し、その電力でキーボードを動作させることができ、配線や電池交換が不要なキーボードを得ることができる。また、電池が不要になることで軽量化も可能となり、有効である。
図5は、図4に示したキーボードの一例を示す概略外観図である。
図5に示すように、光電変換モジュールの光電変換素子及び電源IC、蓄電デバイスはキーボード内部に実装されるが、光電変換素子に光が当たるように光電変換素子の上部は透明の筐体で覆われている。キーボードの筐体すべてを透明な樹脂で成形することも可能である。光電変換素子の配置はこれに限られるものではない。光電変換素子を組み込むスペースが小さい小型のキーボードの場合には、図6に示すように、キーの一部に小型の光電変換素子を埋め込むことも可能であり、有効である。
次に、本発明の光電変換モジュールと、これらが発電することによって得られた電力により動作する装置を有する電子機器の他の実施形態について説明する。
図7は、本発明の電子機器の一例としてのセンサのブロック図である。
図7に示すように、光電変換モジュールの光電変換素子と電源IC、蓄電デバイスを組み合わせ、供給される電力をセンサ回路の電源に接続する。これにより、外部電源に接続する必要がなく、また電池交換を行う必要もなく、センサモジュールを構成することが可能となる。センシング対象としては、温湿度、照度、人感、CO、加速度、UV、騒音、地磁気、気圧など、様々なセンサに応用でき、有効である。センサモジュールは、図7に示すように、定期的に測定対象をセンシングし、読み取ったデータをPCやスマートフォンなどに無線通信で送信する構成になっている。
IoT(Internet of Things)社会の到来により、センサは急増することが予想されている。この無数のセンサの電池を一つ一つ交換するには大きな手間がかかり、現実的ではない。またセンサは、天井や壁など、電池交換しにくい場所にあることも作業性を悪くしている。光電変換素子により電力供給できることもメリットは非常に大きい。また、本発明の光電変換モジュールは、低照度でも高い出力を得ることができ、かつ出力の光入射角依存性が小さいことから、設置自由度が高いといったメリットも得られる。
次に、本発明の光電変換モジュールと、これらが発電することによって得られた電力により動作する装置を有する電子機器の他の実施形態について説明する。
図8は、本発明の電子機器の一例としてのターンテーブルのブロック図である。
図8に示すように、光電変換素子と電源IC、蓄電デバイスを組み合わせ、供給される電力をターンテーブル回路の電源に接続する。これにより、外部電源に接続する必要がなく、また電池交換を行う必要もなく、ターンテーブルを構成することが可能となる。
ターンテーブルは、例えば商品を陳列するショーケースなどに用いられるが、電源の配線は見栄えが悪く、また電池交換の際には陳列物を撤去しなければならず、大きな手間がかかっていた。本発明の光電変換モジュールを用いることで、そのような不具合を解消でき、有効である。
以上、本発明の光電変換モジュールと、これらが発電することによって得られた電力により動作する装置を有する電子機器、及び電源モジュールについて説明したが、これらはごく一部であり、本発明の光電変換モジュールが、これらの用途に限定されるものではない。
<用途>
本発明の光電変換モジュールは、自立型電源として機能させることができ、光電変換によって発生した電力を用いて、装置を動作させることが可能である。本発明の光電変換モジュールは、光が照射されることにより発電することが可能であるため、電子機器を電源に接続したり、あるいは電池交換したりする必要がない。そのため、電源設備がない場所でも電子機器を動作させたり、身に着けて持ち歩いたり、電池交換が困難な場所でも電池を交換することなく、電子機器を動作させたりすることが可能である。また、乾電池を用いる場合は、その分、電子機器が重くなったり、サイズが大きくなったりするため、壁や天井への設置、あるいは持ち運びに支障をきたすことがあるが、本発明の光電変換モジュールは、軽量で薄いため、設置自由度が高く、身に着けたり、持ち歩く上でもメリットが大きい。
このように、本発明の光電変換モジュールは、自立型電源として使用でき、様々な電子機器に組み合わせることができる。例えば、電子卓上計算機、腕時計、携帯電話、電子手帳、電子ペーパーなどの表示機器、マウスやキーボードなどのパソコンの付属機器、温湿度センサや人感センサなどの各種センサ機器、ビーコンやGPSなどの発信機、補助灯、リモコン等数多くの電子機器と組み合わせて使用することができる。
本発明の光電変換モジュールは、特に低照度の光でも発電できるため、室内でも、更に薄暗い影のところでも発電することが可能であるため、適用範囲が広い。また、乾電池のように液漏れがなく、ボタン電池のように誤飲することもなく安全性が高い。更に、充電式や乾電池式の電気器具の連続使用時間を長くするための補助電源として用いることができる。このように、本発明の光電変換モジュールと、それが光電変換することによって発生した電力によって動作する装置とを組み合わせることで、軽量で使い勝手がよく、設置自由度が高く、交換が不要で、安全性に優れ、かつ環境負荷低減にも有効な電子機器に生まれ変わることができる。
本発明の光電変換モジュールと、それが光電変換することによって発生した電力によって動作する装置とを組み合わせた電子機器の基本構成図を図9に示す。これは、光電変換素子に光が照射されると発電し、電力を取り出すことができる。機器の回路は、その電力によって動作することが可能になる。
しかし、光電変換モジュールの光電変換素子は周囲の照度によって出力が変化するため、図9に示す電子機器は安定に動作することができない場合がある。この場合、図10に示すように、回路側に安定した電圧を供給するために、光電変換素子と機器の回路の間に光電変換素子用の電源ICを組み込むことが可能であり、有効である。
しかし、光電変換モジュールの光電変換素子は十分な照度の光が照射されていれば発電できるが、発電するだけの照度が足りなくなると、所望の電力が得られなくなり、これが光電変換素子の欠点でもある。この場合には、図11に示すように、キャパシタ等の蓄電デバイスを電源ICと機器回路の間に搭載することによって、光電変換素子からの余剰電力を蓄電デバイスに充電することが可能となり、照度が低すぎる場合や、光電変換素子に光が当たらない場合でも、蓄電デバイスに蓄えられた電力を機器回路に供給することが可能になり、安定に動作させることが可能となる。
このように、本発明の光電変換モジュールと、機器回路とを組み合わせた電子機器において、電源ICや蓄電デバイスを組み合わせることで、電源のない環境でも動作可能であり、また電池交換が不要で、安定に駆動させることが可能になり、光電変換素子のメリットを最大限に活かすことができる。
一方、本発明の光電変換モジュールは、電源モジュールとしても使用することが可能であり、有用である。例えば、図12に示すように、本発明の光電変換モジュールと、光電変換素子用の電源ICを接続すると、光電変換モジュールの光電変換素子が光電変換することによって発生した電力を電源ICにて一定の電圧レベルで供給することが可能な直流電源モジュールを構成することができる。
更に、図13に示すように、電源ICに蓄電デバイスを追加することにより、光電変換モジュールの光電変換素子が発生させた電力を蓄電デバイスに充電することが可能になり、照度が低すぎる場合や、光電変換素子に光が当たらない状態になっても、電力を供給することが可能な電源モジュールを構成することができる。
図12及び図13に示した本発明の電源モジュールは、従来の一次電池のように電池交換をすることなく、電源モジュールとして使用することが可能である。
以下、本発明を実施例及び比較例を挙げて説明する。なお、本発明はここに例示される実施例に限定されるものではない。
<製造例1:ポリマーの合成>
下記反応により下記式で表されるポリマー(A−05)を合成した。
Figure 2021150647
なお、「Et」は、エチル基を表す。「n」は、ポリマー(A−05)の重量平均分子量が20,000になる整数を示す。
100mLの四つ口フラスコに、上記のジアルデヒド化合物0.66g(2.0mmol)及びジホスホネート1.02g(2.0mmol)を入れ、窒素置換してテトラヒドロフラン75mLを加えた。この溶液にカリウムt−ブトキシドの1.0mol・dm−3テトラヒドロフラン溶液6.75mL(6.75mmol)を滴下し、室温で2時間撹拌した後、ベンジルホスホン酸ジエチル及びベンズアルデヒドを順次加え、更に2時間撹拌した。
酢酸1mLを加えて反応を終了し、溶液を水洗した。溶媒を減圧留去した後、テトラヒドロフラン及びメタノールを用いて再沈澱による精製を行い、ポリマー(A−05)を0.95g得た。ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の数平均分子量は8500、重量平均分子量は20,000であった。光電子分光装置(AC−2、理研計器株式会社製)を用いて測定したイオン化ポテンシャルは5.20eVであった。以下、記載されているイオン化ポテンシャルは全てAC−2にて測定した値である。
(実施例1)
<太陽電池セルの作製>
基板及び第1の電極として、ITO(Indium Tin Oxide)ガラス基板を用いた。
酸化スズコロイド溶液(アルファエーサー社製)をITOガラス基板上に塗布し、100℃で1時間加熱乾燥した。次いで、(1−アミノエチル)ホスホン酸(Aldrich社製)を溶解したエタノール0.1mM(なお、Mは、mol/dmを意味する)の溶液を、スピンコート法を用いて上述の膜上に塗布し、70℃で10分間乾燥し、電子輸送層を得た。
次いで、ヨウ化鉛(II)(0.5306g)、臭化鉛(II)(0.0736g)、臭化メチルアミン(0.0224g)、及びヨウ化ホルムアミジン(0.1876g)を、N,N−ジメチルホルムアミド(0.8mL)、及びジメチルスルホキシド(0.2mL)に加え、60℃で加熱攪拌して得た溶液を、上記の電子輸送層上にスピンコート法を用いて塗布しながらクロロベンゼン(0.3mL)を加えて、ペロブスカイト膜を形成し、150℃で30分間乾燥させることにより、ペロブスカイト層(光電変換層)を作製した。なお、ペロブスカイト層の平均厚みは、200〜350nmとなるようにした。更に、形成したペロブスカイト層上に、ヨウ化−n−ヘキシルアミンを溶解したエタノール20mMの溶液を、スピンコートを用いて塗布した。
次いで、製造例1で製造したポリマー(A−05)を73.6mg、及び添加剤として(B−14)で示される添加剤を、7.4mg計量し、クロロベンゼン3.0mlに溶解した。
得られた溶液を上記の工程により得られた積層物上にスピンコート法を用いて塗布して、ホール輸送層を作製した。なお、ホール輸送層の平均厚み(ペロブスカイト層上の部分)は、50nm〜120nmとなるようにした。
更に、前述の積層物上に、金を100nm真空蒸着した。
以上により太陽電池セル1を得た。
<太陽電池特性の評価>
得られた太陽電池セル1について、ソーラーシミュレーター(AM1.5、100mW/cm)で光を照射しつつ、太陽電池評価システム(株式会社エヌエフ回路設計ブロック製、商品名:As−510−PV03)を用いて、太陽電池特性(初期特性)を評価した。結果を表2に示した。
<変換効率の維持率>
得られた太陽電池セル1について、初期特性における変換効率に対する、500時間連続照射(AM1.5、100mW/cm)後の特性における変換効率の割合を、変換効率の維持率(%)として求めた。結果を表2に示した。
(実施例2〜25)
実施例1において、ホール輸送層を形成する際に用いたポリマー、添加剤B、及び質量比(A:B)を、表2に記載の実施例2〜25のポリマー、添加剤B、及び質量比(A:B)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜25の太陽電池セルを作製し、評価を行った。結果を表2に示した。
(比較例1)
実施例1において、添加剤をリチウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミド(LiTFSI)10mg、及び4−t−ブチルピリジン(tBP)13mgに変更した以外は、実施例1と同様にして、太陽電池セルを作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例2)
実施例1において、ホール輸送層を形成する際に用いたポリマーを、表2に記載のポリマーに変更した以外は、実施例1と同様にして、太陽電池セルを作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2021150647
表2において、各符号の意味は以下の通りである。
「Voc」は、開放電圧を意味する。
「Jsc」は、短絡電流密度を意味する。
「FF」は、形状因子を意味する。
「η」は、光電変換効率を意味する。
比較例2の「P3HT」は、下記構造式で表されるポリマー(Aldrich社製)である。
Figure 2021150647
ただし、nは1以上の整数を表す。
表2の結果から、実施例1〜25は、初期特性が非常に良好なだけでなく、500時間の連続照射試験後の変換効率の維持率が全て80%以上を維持しており、良好な耐久性を有していることがわかった。
これに対し、比較例1及び2は、初期性能が低いだけでなく、500時間の連続照射試験後の変換効率の維持率も低いことがわかった
以上説明したように、本発明の光電変換素子は、ホール輸送層が、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーと上記一般式(2)で示される化合物を含有することで、初期特性だけでなく、長時間にわたって高照度光に晒された後においても、発電効率を維持することが可能である。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 第1の支持体、第1の電極、電子輸送層、光電変換層、ホール輸送層、及び第2の電極を有する光電変換素子であって、
前記ホール輸送層が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマー、及び下記一般式(2)で表される化合物を含有することを特徴とする光電変換素子である。
Figure 2021150647
ただし、前記一般式(1)中、Arは芳香族炭化水素基を表し、該芳香族炭化水素基は置換基で置換されていてもよい。Ar及びArはそれぞれ独立に単環式、非縮合多環式、又は縮合多環式芳香族炭化水素基の2価基を表し、これらは置換基で置換されていてもよい。Arはベンゼン、チオフェン、ビフェニル、アントラセン、又はナフタレンの2価基を表し、これらは置換基で置換されていてもよい。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。nは2以上の整数であり、かつ上記一般式(1)で表されるポリマーの重量平均分子量が2,000以上になる整数を示す。
Figure 2021150647
ただし、前記一般式(2)中、R〜Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基を表し、これらは同一であっても異なっていてもよい。Xはカチオンを表す。
<2> 前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーAと前記一般式(2)で表される化合物Bとの質量比(A:B)が、20:1〜1:1である、前記<1>に記載の光電変換素子である。
<3> 前記光電変換層が、下記一般式(3)で表される化合物を含有する、前記<1>から<2>のいずれかに記載の光電変換素子である。
αβγ ・・・一般式(3)
ただし、前記一般式(3)中、α:β:γの比率は3:1:1であり、β及びγは1より大きい整数を表す。Xはハロゲン原子、Yはアミノ基を有する有機化合物、Zは金属イオンを表す。
<4> 前記光電変換層が、ペロブスカイト化合物を含有するペロブスカイト層である、前記<1>から<3>のいずれかに記載の光電変換素子である。
<5> 前記ペロブスカイト層は、Sb原子、Cs原子、Rb原子、及びK原子のいずれかを含有する、前記<4>に記載の光電変換素子である。
<6> 前記光電変換層と前記ホール輸送層の間に、前記光電変換層とは異なるアミン化合物を含有する、前記<1>から<5>のいずれかに記載の光電変換素子である。
<7> 前記電子輸送層が酸化スズを含有する、前記<1>から<6>のいずれかに記載の光電変換素子である。
<8> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の光電変換素子が直列又は並列に電気的に接続されたことを特徴とする光電変換モジュールである。
<9> 前記<8>に記載の光電変換モジュールと、
前記光電変換モジュールが光電変換することによって発生した電力によって動作する装置と、
を有することを特徴とする電子機器である。
<10> 前記<8>に記載の光電変換モジュールと、
前記光電変換モジュールが光電変換することによって発生した電力を蓄電する蓄電池と、前記光電変換モジュールが光電変換することによって発生した電力及び前記蓄電池に蓄電された電力の少なくともいずれかによって動作する装置を有することを特徴とする電子機器である。
<11> 前記<8>に記載の光電変換モジュールと、
電源ICと、
を有することを特徴とする電源モジュールである。
前記<1>から<7>のいずれかに記載の光電変換素子、前記<8>に記載の光電変換モジュール、前記<9>から<10>のいずれかに記載の電子機器、及び前記<11>に記載の電源モジュールは、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
2 第1の電極
3 緻密な電子輸送層(緻密層)
5 ペロブスカイト層
6 ホール輸送層
7 第2の電極
50 太陽電池セル
特開2016−195175号公報

Claims (11)

  1. 第1の支持体、第1の電極、電子輸送層、光電変換層、ホール輸送層、及び第2の電極を有する光電変換素子であって、
    前記ホール輸送層が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマー、及び下記一般式(2)で表される化合物を含有することを特徴とする光電変換素子。
    Figure 2021150647
    ただし、前記一般式(1)中、Arは芳香族炭化水素基を表し、該芳香族炭化水素基は置換基で置換されていてもよい。Ar及びArはそれぞれ独立に単環式、非縮合多環式、又は縮合多環式芳香族炭化水素基の2価基を表し、これらは置換基で置換されていてもよい。Arはベンゼン、チオフェン、ビフェニル、アントラセン、又はナフタレンの2価基を表し、これらは置換基で置換されていてもよい。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。nは2以上の整数であり、かつ上記一般式(1)で表されるポリマーの重量平均分子量が2,000以上になる整数を示す。
    Figure 2021150647
    ただし、前記一般式(2)中、R〜Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基を表し、これらは同一であっても異なっていてもよい。Xはカチオンを表す。
  2. 前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーAと前記一般式(2)で表される化合物Bとの質量比(A:B)が、20:1〜1:1である、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記光電変換層が、下記一般式(3)で表される化合物を含有する、請求項1から2のいずれかに記載の光電変換素子。
    αβγ ・・・一般式(3)
    ただし、前記一般式(3)中、α:β:γの比率は3:1:1であり、β及びγは1より大きい整数を表す。Xはハロゲン原子、Yはアミノ基を有する有機化合物、Zは金属イオンを表す。
  4. 前記光電変換層が、ペロブスカイト化合物を含有するペロブスカイト層である、請求項1から3のいずれかに記載の光電変換素子。
  5. 前記ペロブスカイト層は、Sb原子、Cs原子、Rb原子、及びK原子のいずれかを含有する、請求項4に記載の光電変換素子。
  6. 前記光電変換層と前記ホール輸送層の間に、前記光電変換層とは異なるアミン化合物を含有する、請求項1から5のいずれかに記載の光電変換素子。
  7. 前記電子輸送層が酸化スズを含有する、請求項1から6のいずれかに記載の光電変換素子。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の光電変換素子が直列又は並列に電気的に接続されたことを特徴とする光電変換モジュール。
  9. 請求項8に記載の光電変換モジュールと、
    前記光電変換モジュールが光電変換することによって発生した電力によって動作する装置と、
    を有することを特徴とする電子機器。
  10. 請求項8に記載の光電変換モジュールと、
    前記光電変換モジュールが光電変換することによって発生した電力を蓄電する蓄電池と、前記光電変換モジュールが光電変換することによって発生した電力及び前記蓄電池に蓄電された電力の少なくともいずれかによって動作する装置を有することを特徴とする電子機器。
  11. 請求項8に記載の光電変換モジュールと、
    電源ICと、
    を有することを特徴とする電源モジュール。

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