JP2021148395A - パルス管冷凍機 - Google Patents
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Abstract
【課題】パルス管冷凍機のDCフローを調節する簡易な構成を提供する。【解決手段】パルス管冷凍機10は、パルス管50と、パルス管50に接続され、パルス管流入流れ56とパルス管流出流れ58が交互に流れる双方向流路52であって、流路抵抗部54を有し、パルス管流入流れ56が流路抵抗部54をその入口側から通過し、パルス管流出流れ58が流路抵抗部54をその出口側から通過する双方向流路52と、パルス管流入流れ56を流路抵抗部54の入口側で第1温度に調整し、パルス管流出流れ58を流路抵抗部54の出口側で第1温度と異なる第2温度に調整するように、双方向流路52に設けられた温度調整器62と、を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、パルス管冷凍機に関する。
パルス管冷凍機には、パルス管と蓄冷器を含む冷媒ガスのループ経路が形成されるタイプがある。このループ経路には、「DCフロー」とも称される、直流成分をもつガス流れが生成されうる。DCフローは、パルス管冷凍機の冷凍性能に影響する。そこで、DCフローを調節するために、オリフィスが組み込まれたニードルバルブがループ経路に配置される。このオリフィスは、ニードルバルブを通過する流れ方向に応じて流路の幾何学的形状が異なるように設計される(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、上述のDCフロー調節機構は、流路の形状が複雑であり、設計および製作が煩雑であり、コストも掛かる。
本発明のある態様の例示的な目的のひとつは、パルス管冷凍機のDCフローを調節する簡易な構成を提供することにある。
本発明のある態様によると、パルス管冷凍機は、パルス管と、パルス管に接続され、パルス管流入流れとパルス管流出流れが交互に流れる双方向流路であって、流路抵抗部を有し、パルス管流入流れが流路抵抗部をその入口側から通過し、パルス管流出流れが流路抵抗部をその出口側から通過する双方向流路と、パルス管流入流れを流路抵抗部の入口側で第1温度に調整し、パルス管流出流れを流路抵抗部の出口側で第1温度と異なる第2温度に調整するように、双方向流路に設けられた温度調整器と、を備える。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、パルス管冷凍機のDCフローを調節する簡易な構成を提供することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。説明および図面において同一または同等の構成要素、部材、処理には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。図示される各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。実施の形態は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
図1は、実施の形態に係るパルス管冷凍機10の一部を概略的に示す図である。パルス管冷凍機10は、パルス管50と、パルス管50に接続され、流路抵抗部54を有する双方向流路52と、を備える。双方向流路52は、パルス管50の高温端に接続され、パルス管50に出入りする作動ガス(たとえばヘリウムガス)の流れが許容される。
双方向流路52には、パルス管流入流れ56とパルス管流出流れ58が交互に流れる。パルス管流入流れ56とパルス管流出流れ58は、互いに反対向きの作動ガス流れである。パルス管流入流れ56は、流路抵抗部54をその入口側から通過し、パルス管50に流入する。パルス管流出流れ58は、パルス管50から流出し、流路抵抗部54をその出口側から通過する。パルス管流入流れ56は、パルス管冷凍機10の冷凍サイクルの一部分(例えば吸気工程の一部)において生成され、パルス管流出流れ58は、パルス管冷凍機の冷凍サイクルの他の一部分(例えば排気工程の一部)において生成される。
知られているように、パルス管冷凍機10は、作動ガスの圧力振動に対しパルス管50内のガス要素(ガスピストンとも呼ばれる)の変位振動の位相を適切に遅らせることによって、パルス管50の低温端にPV仕事を発生し、パルス管50の低温端に設けられた冷却ステージを冷却することができる。このようにして、パルス管冷凍機10は、冷却ステージに接触する気体、液体、または、冷却ステージに熱的に結合された物体を冷却することができる。パルス管冷凍機10が二段式である場合、第1段の冷却ステージは例えば100K未満(たとえば30K〜60K程度)に冷却され、第2段の冷却ステージは例えば約4K程度またはそれ以下に冷却される。振動流発生源や位相制御機構などパルス管冷凍機10の基本的な構成要素には、様々な公知の構成が適宜採用されうる。いくつかの例示的な構成は、図4および図5を参照して後述される。
図1に模式的に示されるように、流路抵抗部54は、例えば、固定オリフィスである。すなわち、オリフィスの形状は固定されている。この実施形態では、流路抵抗部54は、入口側と出口側で同じ流路形状をもつシンプルな固定オリフィスである。固定オリフィスは、パルス管流入流れ56およびパルス管流出流れ58の方向に直交しオリフィスの中心を通る対称面60に関して面対称である。ただし、流路抵抗部54として非面対称のオリフィス、すなわち入口側と出口側で異なる流路形状をもつオリフィスが使用されてもよい。あるいは、流路抵抗部54として可変オリフィス、たとえば流れの方向に垂直な流路断面積を可変とするオリフィスが使用されてもよく、それにより流路抵抗部54が双方向流路52の作動ガス流量を調整可能であってもよい。
また、パルス管冷凍機10は、双方向流路52に設けられた温度調整器62を備える。温度調整器62は、パルス管流入流れ56を流路抵抗部54の入口側で第1温度に調整し、パルス管流出流れ58を流路抵抗部54の出口側で第1温度と異なる第2温度に調整するように構成される。
この実施形態では、温度調整器62は、パルス管流入流れ56を流路抵抗部54の入口側で加熱するヒーター64を備える。ヒーター64は、流路抵抗部54の入口側で双方向流路52に配置される。ヒーター64は、例えば電気ヒーターなど適宜の加熱器具であってもよい。あるいは、後述するように、ヒーター64は、バッファ容積、圧縮機など発熱するパルス管冷凍機10の構成要素または周辺機器からの排熱を利用して加熱する加熱器具でもよい。ヒーター64は、作動ガスよりも高温の温調流体と作動ガスの熱交換により作動ガスを加熱する熱交換器でもよい。
パルス管流入流れ56はヒーター64によって第1温度に加熱された状態で流路抵抗部54に流入する。そして、パルス管流入流れ56は、流路抵抗部54を通過してパルス管50の高温端からパルス管50に流入する。パルス管50の高温端の周りは周囲温度(例えば室温)であるから、パルス管50に流入した作動ガスは放熱し温度が下がり、第2温度となる。第2温度は、第1温度よりも低い。こうして、流路抵抗部54の出口側から流路抵抗部54に流入するときのパルス管流出流れ58は、流路抵抗部54の入口側でのパルス管流入流れ56に比べて低い温度を有する。流路抵抗部54に流入する作動ガス流れは、流れの方向によって温度が異なる。
図2は、実施の形態に係る流路抵抗部54における圧力損失の温度依存性を示すグラフである。図2には、図1に示される流路抵抗部54をヘリウムガスが通過するときガス流れに生じる流路抵抗についての解析と実験の結果が示される。横軸は、流路抵抗部54の最小断面積(mm2)、すなわち対称面60における流路断面積を示す。縦軸は、流路抵抗部54の流路抵抗(MPa)を示し、これは流路抵抗部54の出口側を大気圧としたときの入口側での圧力に相当する。
図2において、三角の符号は、流路抵抗部54に流入するガスの温度を400Kに加熱した場合についての計算結果を示し、菱形の符号は、流路抵抗部54に流入するガスの温度が300Kである場合についての計算結果を示す。丸印は実験結果を示す。
計算結果は、実験結果と同様に、流路断面積が大きくなるほど流路抵抗が小さくなることを示している。よって、計算結果が示す流路抵抗の変化の傾向は、実験により裏付けられ、信頼できると評価される。300Kでの流路抵抗(約0.11MPa@0.28mm2)と400K(約0.15MPa@0.28mm2)での流路抵抗を比べると、400Kでの流路抵抗が300Kでの流路抵抗に対しておよそ1.3倍に増えている。
このように、流路抵抗部54に流入するガスの温度を異ならせることによって、流路抵抗部54がそこを通過するガス流れにもたらす流路抵抗を異ならせることができる。流路抵抗部54における流れ方向に依存する流路抵抗の違いは、パルス管冷凍機10にDCフローを発生させる。
パルス管流入流れ56が流路抵抗部54の入口側で第1温度(例えば400K)を有し、パルス管流出流れ58が流路抵抗部54の出口側で第2温度(例えば300K)を有するとき、流路抵抗部54の流路抵抗差により、パルス管流入流れ56がパルス管流出流れ58よりも流れにくくなる。この場合、本発明者の知見によると、パルス管50の低温端から高温端に向かうDCフロー68が促進される。
第1温度と第2温度の温度差は、上述の例では100Kであり、例えば50K〜150Kの範囲にあってもよい。温度調整器62は、この温度範囲から選択される温度差を、流路抵抗部54の入口側でのパルス管流入流れ56と流路抵抗部54の出口側でのパルス管流出流れ58との間に発生させるように構成されてもよい。
また、温度調整器62は、温度差を制御するように構成されてもよい。温度差を変え、流路抵抗差を変化させることによって、温度調整器62は、DCフロー68を制御することができる。
図1に示されるように、温度調整器62は、パルス管流出流れ58を流路抵抗部54の出口側で冷却するクーラー66を備えてもよい。クーラー66は、流路抵抗部54の出口側で双方向流路52に配置される。クーラー66は、液冷式の熱交換器、空冷式の熱交換器、例えばペルチェ素子など冷却素子を用いる冷却器、またはその他適宜の冷却器であってもよい。
ヒーター64と組み合わせてクーラー66を設けることにより、所定の温度差を実現するためのヒーター64の加熱温度を低くすることができる。例えば、クーラー66が無く流路抵抗部54の出口側で作動ガスが室温(例えば20℃)にあるとき、100℃の温度差を発生させるには、ヒーター64は作動ガスを120℃に加熱しなければならない。しかし、クーラー66が作動ガスを例えば−20℃に冷却する場合には、100℃の温度差を発生させるために、ヒーター64は作動ガスを80℃に加熱するだけで十分である。ヒーター64の構成やパルス管冷凍機10の耐熱性を簡素化しうる。
また、ヒーター64が流路抵抗部54の入口側で作動ガスの温度調整をするだけでなく、クーラー66が流路抵抗部54の出口側でも作動ガスの温度調整をすることによって、より確実に温度差を管理することができる。
クーラー66によって、ヒーター64で加熱されたパルス管流入流れ56をパルス管50に流入する前に冷却することができる。ガスが高温のままパルス管50に流入し、パルス管冷凍機10の冷凍性能に影響を及ぼすことを避けられる。
図3は、実施の形態に係るパルス管冷凍機10の一部を概略的に示す図である。図3に示される実施形態は、温度調整器62の構成を除いて、図1に示される実施形態と同様である。図3に示されるように、温度調整器62は、パルス管流出流れ58を流路抵抗部54の出口側で加熱するヒーター64を備えてもよい。また、温度調整器62は、パルス管流入流れ56を流路抵抗部54の入口側で冷却するクーラー66を備えてもよい。ヒーター64は、流路抵抗部54の出口側で双方向流路52に配置され、クーラー66は、流路抵抗部54の入口側で双方向流路52に配置される。
この場合にも、流路抵抗部54に流入するガスの温度が流れ方向によって異なるので、流路抵抗部54は、パルス管冷凍機10にDCフロー70を発生させることができる。温度調整器62の配置が流路抵抗部54に対して逆になっているので、第1温度が第2温度よりも低くなる。流路抵抗部54の入口側でのパルス管流入流れ56が、流路抵抗部54の出口側でのパルス管流出流れ58に比べて低い温度を有する。流路抵抗部54の流路抵抗差により、パルス管流出流れ58がパルス管流入流れ56よりも流れにくくなる。この場合、パルス管50の高温端から低温端に向かうDCフロー70が促進されることが期待される。
一般に、パルス管50の高温端から低温端に向かうDCフロー70は望ましくないと考えられている。なぜなら、DCフロー70が、パルス管高温端からパルス管低温端へと貫通する作動ガス流れを含む場合には、そうした作動ガス流れはパルス管高温端からパルス管低温端への熱侵入をもたらし、それによりパルス管冷凍機10の冷凍効率が低下しうるためである。
しかしながら、例えばパルス管冷凍機10が大型で蓄冷器の流路抵抗が大きい場合など、パルス管冷凍機10の設計に起因して、パルス管50の低温端から高温端に向かう過剰なDCフローが発生し、冷凍性能に影響することも起こりうる。これを緩和するには、パルス管50の高温端から低温端に向かうDCフロー70を発生させることが望まれる。
図3に示される実施形態によれば、パルス管50の高温端から低温端に向かうDCフロー70を発生させることができるので、上述の過剰なDCフローを緩和し、それにより起こりうるパルス管冷凍機10の冷凍性能の低下を抑えることができる。
温度調整器62の構成は、ほかにもありうる。温度調整器62は、流路抵抗部54の入口側と出口側の両方にヒーター64を有してもよく、これら2つのヒーター64がパルス管流入流れ56とパルス管流出流れ58に温度差を与えるように動作してもよい。あるいは、温度調整器62は、流路抵抗部54の入口側と出口側の両方にクーラー66を有してもよい。あるいは、温度調整器62は、ヒーター64を有しなくてもよく、クーラー66のみを有してもよい。
図4は、実施の形態に係るパルス管冷凍機10を概略的に示す図である。パルス管冷凍機10は、GM(Gifford-McMahon)方式のダブルインレット型の二段パルス管冷凍機であり、二段部のDCフローを調節するために、図1(または図3)を参照して説明したDCフロー発生器が適用される。
パルス管冷凍機10は、圧縮機12と、コールドヘッド14とを備える。コールドヘッド14は、主圧力切替弁22、第1段パルス管116、第1段蓄冷器118、第1段冷却ステージ120、第1段バッファ容積126、第1段ダブルインレット流路134、第1段バッファライン136を備える。主圧力切替弁22は、蓄冷器連通路32により第1段蓄冷器118に接続されている。第1段ダブルインレット流路134には第1段ダブルインレットオリフィス128が設けられ、第1段バッファライン136には第1段バッファオリフィス130が設けられている。
加えて、パルス管冷凍機10は、第2段パルス管216、第2段蓄冷器218、第2段冷却ステージ220、第2段バッファ容積226、第2段ダブルインレット流路234、第2段バッファライン236を備える。第2段蓄冷器218は、第1段蓄冷器118に直列に接続され、第2段蓄冷器218の低温端は、第2段パルス管216の低温端216bと連通している。
第2段ダブルインレット流路234は、蓄冷器(118、218)をバイパスするように主圧力切替弁22を第2段パルス管216に接続する。第2段ダブルインレット流路234には、第2段ダブルインレットオリフィス228が設けられ、第2段ダブルインレット流路234は、蓄冷器連通路32上の分岐部32aから第2段ダブルインレットオリフィス228を介して第2段パルス管高温端216aに接続されている。第2段バッファライン236には、第2段バッファオリフィス230が設けられ、第2段バッファライン236は、第2段バッファオリフィス230を介して第2段バッファ容積226を第2段パルス管高温端216aに接続する。
GM方式のダブルインレット型のパルス管冷凍機それ自体はよく知られているから、パルス管冷凍機10の各構成要素の詳細な説明は省略する。
図4に示されるパルス管冷凍機10の第2段ダブルインレット流路234および第2段ダブルインレットオリフィス228がそれぞれ、図1に示される双方向流路52および流路抵抗部54に相当する。よって、温度調整器62は、第2段ダブルインレット流路234に設けられている。
温度調整器62は、第2段バッファ容積226と熱接触している。第2段バッファ容積226では作動ガスの圧縮熱が発生するから、この排熱を熱源として利用することができる。第2段ダブルインレット流路234における第2段ダブルインレットオリフィス228の入口側の一部分が、第2段バッファ容積226を定めるバッファタンクの表面に設置され、またはバッファタンクの内部を経由する作動ガス配管として構成されてもよい。このようにして、パルス管流入流れ56を第2段ダブルインレットオリフィス228の入口側で加熱するヒーター64が構成されてもよい。
あるいは、温度調整器62は、伝熱部材を介して第2段バッファ容積226と熱接触してもよい。伝熱部材は、バッファタンクに取り付けられ、バッファタンクから第2段ダブルインレット流路234まで延在してもよい。なお、作動ガスの圧縮熱は、第1段バッファ容積126、圧縮機12でも発生するから、温度調整器62は、第1段バッファ容積126または圧縮機12と熱接触してもよい。
上述のように、ヒーター64とともに、またはヒーター64に代えて、パルス管流出流れ58を第2段ダブルインレットオリフィス228の出口側で冷却するクーラー66が第2段ダブルインレット流路234に設けられてもよい。ヒーター64とクーラー66は第2段ダブルインレットオリフィス228に対して逆の配置でもよい。
図4に示されるパルス管冷凍機10は、第2段パルス管216、第2段ダブルインレット流路234、および蓄冷器(118、218)を含むループ経路を有する。したがって、このループ経路にDCフロー68が発生しうる。第2段ダブルインレットオリフィス228に温度調整器62を組み合わせることにより、パルス管冷凍機10のDCフロー68を調節することができる。
なお、第2段ダブルインレット流路234は、第2段ダブルインレットオリフィス228と直列に接続された流路抵抗部54を第2段ダブルインレットオリフィス228とは別に有してもよく、この流路抵抗部54によりDCフロー68を発生させてもよい。
図4に示されるパルス管冷凍機10は第1段にもループ経路を有するから、第1段にDCフローを発生させるために、第1段ダブルインレットオリフィス128と組み合わせて第1段ダブルインレット流路134に温度調整器62が設けられてもよい。
図5は、実施の形態に係るパルス管冷凍機10の他の例を概略的に示す図である。図5に示されるパルス管冷凍機10は、GM方式の4バルブ型の二段パルス管冷凍機である。よって、パルス管冷凍機10は、ダブルインレット流路に代えて、第1段副圧力切替弁(V3,V4)と第2段副圧力切替弁(V5,V6)を備える。以下では、両者の異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
第1段副圧力切替弁(V3,V4)は、第1段パルス管116の高温端を圧縮機12の吐出口と吸入口に交互に接続する。第1段副圧力切替弁(V3,V4)は、第1段パルス管連通路140により第1段パルス管116の高温端に接続される。第1段パルス管連通路140は、第1段流量調整要素142を有する。同様に、第2段副圧力切替弁(V5,V6)は、第2段パルス管216の高温端を圧縮機12の吐出口と吸入口に交互に接続する。第2段副圧力切替弁(V5,V6)は、第2段パルス管連通路240により第2段パルス管216の高温端に接続される。第2段パルス管連通路240は、第2段流量調整要素242を有する。GM方式の4バルブ型のパルス管冷凍機それ自体はよく知られているから、パルス管冷凍機10の各構成要素の詳細な説明は省略する。
図5に示されるパルス管冷凍機10の第2段パルス管連通路240および第2段流量調整要素242がそれぞれ、図1に示される双方向流路52および流路抵抗部54に相当する。よって、温度調整器62は、第2段パルス管連通路240に設けられている。温度調整器62は、第2段バッファ容積226と熱接触している。このようにして、パルス管流入流れ56を第2段流量調整要素242の入口側で加熱するヒーター64が構成される。
上述のように、ヒーター64とともに、またはヒーター64に代えて、パルス管流出流れ58を第2段流量調整要素242の出口側で冷却するクーラー66が第2段パルス管連通路240に設けられてもよい。ヒーター64とクーラー66は第2段流量調整要素242に対して逆の配置でもよい。
図5に示されるパルス管冷凍機10は、圧縮機12、第2段パルス管216、および蓄冷器(118、218)を含むループ経路を有する。したがって、このループ経路にDCフロー68が発生しうる。第2段流量調整要素242に温度調整器62を組み合わせることにより、パルス管冷凍機10のDCフロー68を調節することができる。
図5に示されるパルス管冷凍機10は第1段にもループ経路を有するから、第1段にDCフローを発生させるために、第1段流量調整要素142と組み合わせて第1段パルス管連通路140に温度調整器62が設けられてもよい。
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。ある実施の形態に関連して説明した種々の特徴は、他の実施の形態にも適用可能である。組合せによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態それぞれの効果をあわせもつ。
上述の実施の形態では、流路抵抗部54は、固定または可変のオリフィスであるが、これに限られない。例えば、流路抵抗部54は、ニードルバルブまたはその他のバルブでもよい。この場合にも、流路抵抗部54に温度調整器62を組み合わせることにより、パルス管冷凍機10におけるDCフローを調節することができる。
上述の実施の形態では、双方向流路52は、パルス管50の高温端に接続される。取り扱いを容易にするうえで、流路抵抗部54と温度調整器62を高温側に設けることが有利である。しかし、双方向流路52は、パルス管と蓄冷器の低温端どうしをつなぐ流路であってもよい。原理的には、こうした低温側の双方向流路に流路抵抗部54と温度調整器62を設けることによっても、DCフローは発生しうる。
上述の実施の形態では、ダブルインレット型、4バルブ型のパルス管冷凍機を例に挙げて説明したが、本実施形態に係るDCフロー発生器は、パルス管を含む作動ガスのループ経路が形成されるそのほかのパルス管冷凍機にも適用できる。また、パルス管冷凍機は、単段式、または三段そのほかの多段式のパルス管冷凍機であってもよい。
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用の一側面を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
10 パルス管冷凍機、 50 パルス管、 52 双方向流路、 54 流路抵抗部、 56 パルス管流入流れ、 58 パルス管流出流れ、 62 温度調整器、 64 ヒーター、 66 クーラー。
Claims (8)
- パルス管と、
前記パルス管に接続され、パルス管流入流れとパルス管流出流れが交互に流れる双方向流路であって、流路抵抗部を有し、前記パルス管流入流れが前記流路抵抗部をその入口側から通過し、前記パルス管流出流れが前記流路抵抗部をその出口側から通過する双方向流路と、
前記パルス管流入流れを前記流路抵抗部の入口側で第1温度に調整し、前記パルス管流出流れを前記流路抵抗部の出口側で前記第1温度と異なる第2温度に調整するように、前記双方向流路に設けられた温度調整器と、を備えることを特徴とするパルス管冷凍機。 - 前記温度調整器は、前記パルス管流入流れを前記流路抵抗部の入口側で加熱するヒーターを備えることを特徴とする請求項1に記載のパルス管冷凍機。
- 前記温度調整器は、前記パルス管流出流れを前記流路抵抗部の出口側で冷却するクーラーを備えることを特徴とする請求項1または2に記載のパルス管冷凍機。
- 前記温度調整器は、前記パルス管流出流れを前記流路抵抗部の出口側で加熱するヒーターを備えることを特徴とする請求項1に記載のパルス管冷凍機。
- 前記温度調整器は、前記パルス管流入流れを前記流路抵抗部の入口側で冷却するクーラーを備えることを特徴とする請求項1または4に記載のパルス管冷凍機。
- 前記パルス管に接続されたバッファ容積をさらに備え、
前記温度調整器は、前記バッファ容積と熱接触していることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のパルス管冷凍機。 - 前記パルス管冷凍機は、ダブルインレット型の二段パルス管冷凍機であり、前記パルス管は、第二段パルス管であり、
前記第二段パルス管の低温端に接続された蓄冷器をさらに備え、
前記双方向流路は、前記蓄冷器をバイパスして前記第二段パルス管の高温端に接続されたダブルインレット流路であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のパルス管冷凍機。 - 前記パルス管冷凍機は、4バルブ型の二段パルス管冷凍機であり、前記パルス管は、第二段パルス管であり、
圧縮機と、前記第二段パルス管の高温端を前記圧縮機の吐出口と吸入口に交互に接続する圧力切替弁と、をさらに備え、
前記双方向流路は、前記圧力切替弁を前記第二段パルス管の高温端に接続することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のパルス管冷凍機。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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