JP2021148237A - 制御バルブ - Google Patents
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Abstract
Description
また、弁体の周壁部に形成される弁孔は、真円形状や、周方向に長い長孔形状に形成されている。弁体の特定の回転位置で流出口に液体を流す場合には、真円形状の弁孔が用いられ、弁体の広範な回転領域で流出口に液体を流す場合には、周方向に長い長孔状の弁孔が用いられる。
R1≦W1<W2 …(1)
R1:第1筒部の内径
W2:弁孔の軸方向幅
また、本制御バルブは、弁体の弁孔が、周方向幅が軸方向幅よりも狭いオーバル形状とされているため、弁孔が真円形状である場合に比較して、弁体の周方向の移動速度に対する弁孔とシール筒部材の連通面積の変化量を増加させることができる。このため、本制御バルブでは、弁体の回転調整により、所望の流出流量を迅速に得ることができる。
W2<R2 …(2)
R2:第2筒部の外径
また、シール筒部材の第2筒部が弁孔を通して弁体の周壁部の内側と連通しているときに、周壁部の外周側の液体が弁孔を通して第2筒部内に流入しにくくなる。したがって、本構成を採用した場合には、弁体の周壁部に当接したシール筒部材の周域に、不要な圧力変動が生じるのを抑制することができる。
W1<R3 …(3)
R3:第2筒部の内径
S1<S2≦S1/k …(4)
α≦k<1 …(5)
k:弁摺接面と弁体の間の微少隙間を流れる液体の圧力減少定数。
α:液体の物性によって決まる圧力減少定数の下限値。
また、シール筒部材の付勢用受圧面の面積S1が弁摺接面の面積S2よりも小さいため、ケーシング内の液体の圧力が大きくなってもシール筒部材が過剰な力で弁体に押し付けられるのを抑制される。
本構成では、シール筒部材に作用する液体による弁体方向の押し付け力が、シール筒部材に作用する浮き上がり力を下回らない範囲で、弁摺接面の面積が付勢用受圧面の面積よりも大きく設定されている。したがって、本構成を採用した場合には、弁体に対するシール筒部材の過剰な力での押し付けを抑制しつつ、良好なシール性を確保することができる。
図1は、冷却システム1のブロック図である。
図1に示すように、冷却システム1は、車両駆動源に少なくともエンジンを具備する車両に搭載される。なお、車両としては、エンジンのみを有する車両の他、ハイブリッド車両やプラグインハイブリッド車両等であっても構わない。
ウォータポンプ3、エンジン2及び制御バルブ8は、メイン流路10上で上流から下流にかけて順に接続されている。メイン流路10では、ウォータポンプ3の動作により冷却液(液体)がエンジン2及び制御バルブ8を順に通過する。
図2は、制御バルブ8の斜視図であり、図3は、制御バルブ8の分解斜視図である。図4は、図2のIV−IV線に沿う制御バルブ8の断面図であり、図5は、図4のV−V線に沿う制御バルブ8の断面図である。
これらの図に示すように、制御バルブ8は、ケーシング21と、弁体22と、駆動ユニット23と、を主に備えている。
ケーシング21は、有底筒状のケーシング本体25と、ケーシング本体25の開口側の端部に取り付けられる端部カバー26と、を有している。ケーシング21の内部には、弁体22が回転可能に収容されている。ケーシング21のうちの、弁体22の回転中心軸線と合致する軸線をケーシング21の軸線O1と言う。また、以下の説明では、ケーシング21の軸線O1に沿う方向を単にケース軸方向と言う。また、ケース軸方向において、ケーシング本体25のケース周壁31に対してケーシング本体25の底壁部32に向かう方向をケース軸方向の一端側と言い、ケーシング本体25のケース周壁31に対して端部カバー26に向かう方向をケース軸方向の他端側と言う。さらに、ケーシング21の軸線O1に直交する方向をケース径方向と言う。
また、ラジエータ流出口60には、シール機構36が設けられている。シール機構36は、シール筒部材37と、付勢部材38と、シール部材39,40と、を備えている。シール筒部材37は、軸方向の一端部がラジエータ流出口60に連通するとともに、軸方向の他端部が、後述する弁体22によって開閉される。シール機構36については、後に詳述する。
駆動ユニット23は、ケーシング本体25の底壁部32に取り付けられている。図4に示すように、底壁部32は、ケース周壁31のケース軸方向の一端側の端面を閉塞する底壁本体32aと、底壁本体32aの外周縁部からケース軸方向の一端側に突出する囲み壁32bと、を有している。駆動ユニット23は、一部が囲み壁32bの内側に収容され、その状態で底壁部32にボルト締結等によって固定されている。
弁体22は、ケーシング21の内部に回転可能に配置されている。弁体22は、円筒形状の周壁部44と、周壁部44のケース軸方向の一端側から径方向内側に向かって延設された接続フランジ部45と、接続フランジ部45の径方向内側の端部に連設された略筒状の連結筒部46と、を備えている。これらの周壁部44、接続フランジ部45、及び、連結筒部46は、樹脂材料によって一体に形成されている。連結筒部46は、駆動軸27(第2軸27B)に一体に連結されている。周壁部44には、上述した各流出口(バイパス流出口65、ラジエータ流出口60及び空調流出口68)と連通可能な弁孔47,47A,47Bが形成されている。各弁孔47,47A,47Bは、周壁部44をケース径方向に貫通している。
つづいて、各流出口(バイパス流出口65、ラジエータ流出口60、空調流出口68)に設けられるシール機構36とその周域部の構造について説明する。なお、各流出口に配置されるシール機構36は、同様の基本構造とされているため、以下では、バイパス流出口65のシール機構36とその周域部の構造について詳細に説明し、ラジエータ流出口60と空調流出口68のシール機構36とその周辺部の構造については説明を省略する。
図6に示すように、バイパスポート64に形成されるバイパス流出口65は、ケーシング21の内面に隣接する小径孔65aと、小径孔65aのポート軸方向外側に連設される中径孔65bと、中径孔65bのポート軸方向外側に連設される大径孔65cと、を有している。
また、ジョイント筒部53の内周面には、ポート軸方向の内側の端部まで連続する拡径溝55が形成されている。拡径溝55のポート軸方向の外側の端部には、段差部55aが設けられている。
シール筒部材37は、図5〜図7に示すように、軸線O2と同軸に延びる周壁を有している。シール筒部材37の周壁は、ポート軸方向の外側に向かうに従い外径が段状に縮径する多段筒状に形成されている。具体的には、シール筒部材37の周壁は、ポート軸方向の外側(軸方向の一端部側)に位置され、バイパス流出口65の下流側に連通する第1筒部56と、ポート軸方向の内側(軸方向の他端部側)に位置され、第1筒部56よりも内径及び外径が大きい第2筒部57と、を有している。第1筒部56と第2筒部57の内周面は、シール筒部材37のポート軸方向の外側端(一端部)と内側端(他端部)とを連通するシール開口90を構成している。
なお、隙間Q1内のシール部材39を挟んでポート軸方向の内側の空間部には、バイパス流出口65の小径孔65aとシール筒部材37の第2筒部57の間の隙間を通してケーシング21内の冷却液の液圧が導入される。段差面49は、ポート軸方向におけるシール筒部材37の弁摺接面59と相反する向きに形成されている。段差面49は、ケーシング21内の冷却液の液圧を受けてポート軸方向の内側に押圧される受圧面を構成している。
また、バイパス流出口65の大径孔65cとバイパスジョイント66の中径部53cの間には、両者の間を液密に密閉するためのOリング等の環状のシール部材40が介装されている。
S1<S2≦S1/k …(4)
α≦k<1 …(5)
k:弁摺接面59と弁体22の周壁部44との間の微少隙間を流れる冷却液の圧力減少定数
α:冷却液の物性によって決まる圧力減少定数の下限値
なお、段差面49の面積S1と弁摺接面59の面積S2は、ポート軸方向に投影したときの面積を意味する。
また、式(5)における圧力減少定数kは、弁摺接面59がポート径方向の外側端縁から内側端縁にかけて均一に周壁部44に接しているときには、圧力減少定数の標準値であるα(例えば、1/2)となる。但し、シール筒部材37の製造誤差や組付け誤差等によって、弁摺接面59の外周部分と周壁部44との間の隙間が弁摺接面59の内周部分に対して僅かに増大することがある。この場合、式(5)における圧力減少定数kは、次第にk=1に近づくことになる。
すなわち、シール筒部材37の段差面49には、上述したようにケーシング21内の冷却液の圧力がそのまま作用する。一方で、弁摺接面59には、ケーシング21内の冷却液の圧力がそのまま作用しない。具体的には、冷却液の圧力は、弁摺接面59と周壁部44の間の微小な隙間を冷却液がポート径方向の外側端縁から内側端縁に向かって流れるときに圧力減少を伴いつつ作用する。このとき、冷却液の圧力は、ポート径方向の内側に向かって漸減しつつ、シール筒部材37をポート軸方向の外側に押し上げようとする。
したがって、シール筒部材37の段差面49に作用する押し付け方向の力F1(F1=P×S1)は、シール筒部材37の弁摺接面59に作用する浮き上がり方向の力F2(F2=P×k×S2)以上に大きくなる。よって、本実施形態の制御バルブ8においては、ケーシング21内の冷却液の圧力の関係のみによっても、シール筒部材37と周壁部44との間をシールすることができる。
図8は、弁体22の周壁部44の一部(二つの弁孔47が形成された領域)の展開図である。
弁体22の周壁部44に形成される弁孔47,47Aは、真円形状ではなく、周壁部44の周方向に沿う周方向幅W1が周壁部44の軸方向に沿う軸方向幅W2よりも狭いオーバル形状に形成されている。なお、本実施形態において、オーバル形状とは、楕円形状や長円形状、卵形形状、角丸長方形状等を含む。
R1≦W1<W2 …(1)
W2<R2 …(2)
R1:シール筒部材37の第1筒部56の内径
R2:シール筒部材37の第2筒部57の外径
W1<R3 …(3)
R3:第2筒部57の内径
次に、上述した制御バルブ8の動作について説明する。
図1に示すように、メイン流路10において、ウォータポンプ3により送出される冷却液は、エンジン2で熱交換された後、制御バルブ8に向けて流通する。メイン流路10においてエンジン2を通過した冷却液は、流入口17を通して制御バルブ8のケーシング21内に流入する。
以上のように、本実施形態の制御バルブ8は、弁体22の周壁部44に形成する弁孔47,47Aが、周方向幅W1が軸方向幅W2よりも狭いオーバル形状とされている。このため、弁体22の周壁部44の外周上に(同じ軸方向領域での外周上に)同じ数の弁孔を形成するのであれば、弁体22の周壁部44の周長を短くして、周壁部44の外径を小径にすることができる。
したがって、本実施形態の制御バルブ8を採用した場合には、バイパス流出口65やラジエータ流出口60から流出される冷却液の流出流量の低下を抑制しつつ、弁体22の周壁部44の外径を小径にし、装置全体(制御バルブ8)の小型化を図ることができる。
したがって、本実施形態の制御バルブ8を採用した場合には、弁体22に対するシール筒部材37の過剰な力での押し付けを抑制しつつ、良好なシール性を確保することができる。
17…流入口
21…ケーシング
22…弁体
37…シール筒部材
44…周壁部
47…弁孔
49…段差面
56…第1筒部
57…第2筒部
59…弁摺接面
65…バイパス流出口(流出口)
Claims (4)
- 外部から液体が流入する流入口、及び、内部に流入した液体を外部に流出させる流出口を有するケーシングと、
前記ケーシングの内部に回転可能に配置され、内外を連通する弁孔が形成された周壁部を有する弁体と、
軸方向の一端部が、前記流出口に連通するとともに、軸方向の他端部に、前記弁体の前記弁孔の回転経路と少なくとも一部がラップする位置で前記周壁部の外周面に摺動自在に当接する環状の弁摺接面が設けられたシール筒部材と、を備えた制御バルブであって、
前記シール筒部材は、
前記一端部側に位置され、前記流出口に連通する第1筒部と、
前記他端部側に位置され、軸方向の端面が前記弁摺接面を構成するとともに、内径が前記第1筒部の内径よりも大きい第2筒部と、を有し、
前記弁孔は、前記周壁部の周方向に沿う周方向幅が前記周壁部の軸方向に沿う軸方向幅よりも狭いオーバル形状に形成され、
前記弁孔の前記周方向幅W1は、式(1)を満たすように設定されていることを特徴とする制御バルブ。
R1≦W1<W2 …(1)
R1:第1筒部の内径
W2:弁孔の軸方向幅 - 前記弁孔の前記軸方向幅W2は、式(2)を満たすように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の制御バルブ。
W2<R2 …(2)
R2:第2筒部の外径 - 前記弁孔の前記周方向幅W1は、式(3)を満たすように設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の制御バルブ。
W1<R3 …(3)
R3:第2筒部の内径 - 前記シール筒部材は、前記第1筒部の外径が前記第2筒部の外径よりも小さく形成されるとともに、前記第1筒部の外周面と前記第2筒部の外周面の間に段差面が設けられ、
前記段差面は、前記ケーシングの内部の液体の圧力を受けて前記シール筒部材を前記弁体の側に付勢する付勢用受圧面を構成し、
前記付勢用受圧面の面積S1と前記シール筒部材の前記弁摺接面の面積S2とは、式(4),(5)を満たすように設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の制御バルブ。
S1<S2≦S1/k …(4)
α≦k<1 …(5)
k:弁摺接面と弁体の間の微少隙間を流れる液体の圧力減少定数。
α:液体の物性によって決まる圧力減少定数の下限値。
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