JP2021147163A - 媒体搬送装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】対向ローラの回転方向を良好に切り換えることが可能な媒体搬送装置を提供する。【解決手段】媒体搬送装置100は、媒体を給送する給送ローラ112と、給送ローラに対向して配置される対向ローラ113と、駆動力を発生するモータ119と、対向ローラを第1の方向に回転させるための第1ギア123eと、対向ローラを第1の方向と逆の第2の方向に回転させるための第2ギア123hと、モータからの駆動力を第1ギア又は第2ギアに伝達するためのスライドギア126と、第1ギアの駆動軸をスライドギアの駆動軸から所定の範囲内で移動可能に案内する第1ガイド部材132a、bと、第2ギアの駆動軸をスライドギアの駆動軸から所定の範囲内で移動可能に案内する第2ガイド部材134a、bと、を有する。【選択図】図8
Description
本発明は、媒体搬送装置に関し、特に、二方向にローラを回転させる媒体搬送装置に関する。
一般に、スキャナ等の媒体搬送装置は、媒体を給送する給送ローラと、給送ローラに対向して配置される対向ローラを用いて媒体を給送する。近年、媒体搬送装置では、媒体として用紙だけでなく、プラスチック製のカード、パスポート等も搬送させることが要求されている。そのため、一般に、媒体搬送装置は、対向ローラを媒体給送方向の逆方向に回転させることにより媒体を分離して給送する分離モードと、対向ローラを媒体給送方向に回転させることにより媒体を分離せずに給送する非分離モードとを有している。
歯車が、その中心に持った穴により、回り止め用ピンが固定された回転軸と嵌合し、更に回り止め用ピンと係合する扇状の溝を有する駆動力伝達装置が開示されている(特許文献1を参照)。この駆動力伝達装置において、溝とピンとの回転方向のすき間は、歯車がその歯の厚さ分だけ回転できる量となっている。
二方向に回転可能な対向ローラを有する媒体搬送装置では、対向ローラの回転方向を良好に切り換えられることが望まれている。
本発明の目的は、対向ローラの回転方向を良好に切り換えることが可能な媒体搬送装置を提供することにある。
本発明の一側面に係る媒体搬送装置は、媒体を給送する給送ローラと、給送ローラに対向して配置される対向ローラと、駆動力を発生するモータと、対向ローラを第1の方向に回転させるための第1ギアと、対向ローラを第1の方向と逆の第2の方向に回転させるための第2ギアと、モータからの駆動力を第1ギア又は第2ギアに伝達するためのスライドギアと、第1ギアの駆動軸をスライドギアの駆動軸から所定の範囲内で移動可能に案内する第1ガイド部材と、第2ギアの駆動軸をスライドギアの駆動軸から所定の範囲内で移動可能に案内する第2ガイド部材と、を有する。
本発明によれば、媒体搬送装置は、対向ローラの回転方向を良好に切り換えることが可能となる。
以下、本発明の一側面に係る媒体搬送装置について図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
図1は、イメージスキャナとして構成された媒体搬送装置100を示す斜視図である。媒体搬送装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、厚紙、カード、冊子又はパスポート等である。媒体搬送装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体搬送装置100はプリンタ等でもよい。
媒体搬送装置100は、下側筐体101、上側筐体102、載置台103、排出台104、操作装置105及び表示装置106等を備える。
上側筐体102は、媒体搬送装置100の上面を覆う位置に配置され、媒体つまり時、媒体搬送装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより下側筐体101に係合している。
載置台103は、給送される媒体を載置可能に下側筐体101に係合している。排出台104は、排出された媒体を保持可能に下側筐体101に係合している。
操作装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置106は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
図2は、媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
媒体搬送装置100内部の搬送経路は、媒体センサ111、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第1撮像装置116a、第2撮像装置116b、第3搬送ローラ117及び第4搬送ローラ118等を有している。なお、各ローラの数は一つに限定されず、各ローラの数はそれぞれ複数でもよい。以下では、第1撮像装置116a及び第2撮像装置116bを総じて撮像装置116と称する場合がある。
下側筐体101の上面は、媒体の搬送路の下側ガイド107aを形成し、上側筐体102の下面は、媒体の搬送路の上側ガイド107bを形成する。図2において矢印A1は媒体搬送方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A1の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A1の下流のことをいう。
媒体センサ111は、給送ローラ112及びブレーキローラ113の上流側に配置される。媒体センサ111は、接触検出センサを有し、載置台103に媒体が載置されているか否かを検出する。媒体センサ111は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する媒体信号を生成して出力する。
給送ローラ112は、下側筐体101に設けられ、載置台103に載置された媒体を下側から順に給送する。ブレーキローラ113は、対向ローラの一例であり、上側筐体102に設けられ、給送ローラ112に対向して配置される。
第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115は、給送ローラ112及びブレーキローラ113の下流側に配置され、給送ローラ112及びブレーキローラ113により給送された媒体を撮像装置116に搬送する。
第1撮像装置116aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサを有する。また、第1撮像装置116aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置116aは、搬送された媒体の表面を撮像した入力画像を生成して出力する。
同様に、第2撮像装置116bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのCISによるラインセンサを有する。また、第2撮像装置116bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置116bは、搬送された媒体の裏面を撮像した入力画像を生成して出力する。
なお、媒体搬送装置100は、第1撮像装置116a及び第2撮像装置116bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサの代わりに、CCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサが利用されてもよい。また、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。
第3搬送ローラ117及び第4搬送ローラ118は、撮像装置116の下流側に配置され、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115により搬送された媒体を排出台104に搬送する。
載置台103に載置された媒体は、給送ローラ112が図2の矢印A3の方向、即ち媒体給送方向に回転することによって、下側ガイド107aと上側ガイド107bの間を媒体搬送方向A1に向かって搬送される。ブレーキローラ113は、分離モードで媒体搬送時、矢印A4の方向、即ち媒体給送方向の反対方向に回転する。給送ローラ112及びブレーキローラ113の働きにより、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ112と接触している媒体のみが分離される。これにより、分離された媒体以外の媒体の搬送が制限されるように動作する(重送の防止)。
媒体は、下側ガイド107aと上側ガイド107bによりガイドされながら、第1搬送ローラ114と第2搬送ローラ115の間に送り込まれる。媒体は、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115がそれぞれ矢印A5及び矢印A6の方向に回転することによって、第1撮像装置116aと第2撮像装置116bの間に送り込まれる。撮像装置116により読み取られた媒体は、第3搬送ローラ117及び第4搬送ローラ118がそれぞれ矢印A7及び矢印A8の方向に回転することによって排出台104上に排出される。
図3は、ブレーキローラ113及び第1〜第4搬送ローラ114、115、117、118の第1駆動機構について説明するための模式図である。図3は、搬送路の上方側から第1駆動機構を見た斜視図である。
図3に示すように、第1駆動機構は、第1モータ119、第1〜第4プーリ121a〜d、第1〜第2ベルト122a〜b、第1〜第3伝達ギア123a〜c及び第1〜第6シャフト125a〜f等を有する。
第1モータ119は、後述する処理回路からの制御信号によって、ブレーキローラ113及び第1〜第4搬送ローラ114、115、117、118を回転させる駆動力を発生する。
第1モータ119の回転軸には第1プーリ121aが取り付けられ、第1プーリ121aと第2プーリ121bの外径の大きい方のプーリ部分との間には第1ベルト122aが張架されている。第2プーリ121bの外径の小さい方のプーリ部分と、第3プーリ121cのプーリ部分と、第4プーリ121dのプーリ部分との間には第2ベルト122bが張架されている。第3プーリ121cのギア部分は第1伝達ギア123aと歯合される。第1伝達ギア123aは第2伝達ギア123bと歯合され、第2伝達ギア123bは第1シャフト125aに取り付けられている。第1シャフト125aは、後述する第2駆動機構を介して、第2シャフト125bに第1モータ119からの駆動力を伝達する。第2シャフト125bにはブレーキローラ113が取り付けられている。
また、第3プーリ121cは第3シャフト125cに取り付けられ、第3シャフト125cにはさらに第1搬送ローラ114が取り付けられている。第1伝達ギア123aは第4シャフト125dに取り付けられ、第4シャフト125dにはさらに第2搬送ローラ115が取り付けられている。第4プーリ121dは第5シャフト125eに取り付けられ、第5シャフト125eにはさらに第3搬送ローラ117が取り付けられている。第4プーリ121dのギア部分は第3伝達ギア123cと歯合される。第3伝達ギア123cは第6シャフト125fに取り付けられ、第6シャフト125fにはさらに第4搬送ローラ118が取り付けられている。
図4及び図5は、ブレーキローラ113の第2駆動機構について説明するための模式図である。図4は、搬送路側から第2駆動機構を見た斜視図であり、図5は、搬送路の反対側から第2駆動機構を見た斜視図である。
図4及び図5に示すように、第2駆動機構は、第4〜第11伝達ギア123d〜k、第7〜第12シャフト125g〜l及びスライドギア126等を有する。媒体搬送装置100は、さらに内側筐体131a〜b、第1ガイド部材132a〜b、第1押圧部材133a〜b、第2ガイド部材134a〜b、第2押圧部材135a〜b、ソレノイド136、アーム137、軸部材138及び第3押圧部材139等を有する。
図3に示した第1駆動機構の第1シャフト125aには第4伝達ギア123dが取り付けられ、第4伝達ギア123dは、スライドギア126の第1ギア部分126aと歯合している。スライドギア126の第2ギア部分126bは第5伝達ギア123eの外径の大きい方のギア部分又は第8伝達ギア123hの外径の大きい方のギア部分の何れか一方と歯合する。図4及び図5に示す状態では、第2ギア部分126bは第5伝達ギア123eの外径の大きい方のギア部分と歯合している。第5伝達ギア123eの外径の小さい方のギア部分は第6伝達ギア123fと歯合し、第6伝達ギア123fは第7伝達ギア123gと歯合し、第7伝達ギア123gは、図3に示した第1駆動機構の第2シャフト125bに取り付けられている。
一方、第8伝達ギア123hの外径の小さい方のギア部分は第9伝達ギア123iと歯合し、第9伝達ギア123iは第10伝達ギア123jと歯合し、第10伝達ギア123jは第11伝達ギア123kと歯合している。第11伝達ギア123kは、図3に示した第1駆動機構の第2シャフト125bに取り付けられている。
内側筐体131a、bは、上側筐体102の内部に固定され、第7〜第12シャフト125g〜lを回転可能に支持している。第7シャフト125gにはスライドギア126が取り付けられ、第8シャフト125hには第5伝達ギア123eが取り付けられ、第9シャフト125iには第6伝達ギア123fが取り付けられている。また、第10シャフト125jには第8伝達ギア123hが取り付けられ、第11シャフト125kには第9伝達ギア123iが取り付けられ、第12シャフト125lには第10伝達ギア123jが取り付けられている。
内側筐体131a、bには、それぞれ第1ガイド部材132a、bが設けられ、第1ガイド部材132a、bには、それぞれ穴部141a、bが形成され、各穴部141a、bには、第8シャフト125hの各端部が挿入されている。第1押圧部材133a、bは、板ばね等の弾性部材であり、それぞれ一端(図4、図5の斜線部分)が内側筐体131a、bに固定され、他端が第8シャフト125hの各端部を各穴部141a、bの略中央位置に向けて押圧するように設けられている。第1押圧部材133a、bとして、コイルばね等の他のばね部材、又は、ゴム部材等が用いられてもよい。
同様に、内側筐体131a、bには、それぞれ第2ガイド部材134a、bが設けられ、第2ガイド部材134a、bには、それぞれ穴部142a、bが形成され、各穴部142a、bには、第10シャフト125jの各端部が挿入されている。第2押圧部材135a、bは、板ばね等の弾性部材であり、それぞれ一端(図4、図5の斜線部分)が内側筐体131a、bに固定され、他端が第10シャフト125jの各端部を各穴部142a、bの略中央位置に向けて押圧するように設けられている。第2押圧部材135a、bとして、コイルばね等の他のばね部材、又は、ゴム部材等が用いられてもよい。
ソレノイド136、アーム137、軸部材138及び第3押圧部材139は、スライド機構の一例である。ソレノイド136は、上側筐体102の内部に固定される。ソレノイド136は、後述する処理回路からの制御信号に従って、可動磁極136aを延伸方向に、即ちスライドギア126の駆動軸である第7シャフト125gの延伸方向と平行に移動させる。可動磁極136aの先端にはアーム137の一端137aが取り付けられ、アーム137の他端137bには、スライドギア126の駆動軸の延伸方向の一端が取り付けられる。アーム137は、可動磁極136aの延伸方向のスライド移動に従って、軸部材138を中心に回転可能に設けられ、スライドギア126は、アーム137の回転に従って、駆動軸の延伸方向にスライド移動可能に設けられている。
軸部材138は、アーム137の他端137bより、アーム137の一端137aに近い位置に配置される。てこの原理により、スライドギア126の移動量は、可動磁極136aの移動量より大きい。したがって、媒体搬送装置100は、スライドギア126を移動させる際の電力消費を低減させることができる。
第3押圧部材139は、コイルばね等の弾性部材であり、スライドギア126をアーム137側に押圧するように設けられている。第3押圧部材139としてゴム部材等が用いられてもよい。
以下、図3〜図5を用いて、各ローラ、第1駆動機構及び第2駆動機構の動作について説明する。
第1モータ119が駆動力を発生させた場合、図3に示すように、第1プーリ121aが矢印B1の方向に回転し、それに伴い第2〜第4プーリ121b〜dがそれぞれ矢印B1の方向に回転する。また、第1伝達ギア123aが矢印B2の方向に回転し、第2伝達ギア123b及び第1シャフト125aが矢印B3の方向に回転する。これにより、図4及び図5に示すように、第4伝達ギア123dが矢印B3の方向に回転し、スライドギア126が矢印B4の方向に回転する。スライドギア126が第5伝達ギア123eと歯合している場合、第5伝達ギア123eが矢印B5の方向に回転し、第6伝達ギア123fが矢印B6の方向に回転し、第7伝達ギア123g及び第2シャフト125bが矢印B7の方向に回転する。これにより、図3に示すように、ブレーキローラ113は、媒体給送方向の反対方向A4に回転する。
このように、第1モータ119からの駆動力は、第1伝達機構、第4伝達ギア123d、スライドギア126及び第5〜第7伝達ギア123e〜gを介して、ブレーキローラ113に伝達される。第5伝達ギア123eは、第1ギアの一例であり、ブレーキローラ113を媒体給送方向の反対方向A4に回転させる。第6伝達ギア123fは、第3ギアの一例であり、第5伝達ギア123eと歯合し且つ第5伝達ギア123eから伝達された駆動力をブレーキローラ113に伝達する。
一方、図4及び図5に示すように、スライドギア126が第8伝達ギア123hと歯合している場合、第8伝達ギア123hが矢印B8の方向に回転し、第9伝達ギア123iが矢印B9の方向に回転し、第10伝達ギア123jが矢印B10の方向に回転する。また、第11伝達ギア123k及び第2シャフト125bが矢印B11の方向に回転する。これにより、図3に示すように、ブレーキローラ113は、媒体給送方向(矢印A4の反対方向)に回転する。
このように、第1モータ119からの駆動力は、第1伝達機構、第4伝達ギア123d、スライドギア126及び第8〜第11伝達ギア123h〜kを介して、ブレーキローラ113に伝達される。第8伝達ギア123hは、第2ギアの一例であり、ブレーキローラ113を媒体給送方向に回転させる。第9伝達ギア123iは、第4ギアの一例であり、第8伝達ギア123hと歯合し且つ第8伝達ギア123hから伝達された駆動力をブレーキローラ113に伝達する。
また、図3に示すように、第3プーリ121cが矢印B1の方向に回転することにより、第1搬送ローラ114は、媒体搬送方向A5に回転する。第1伝達ギア123aが矢印B2の方向に回転することにより、第2搬送ローラ115は、媒体搬送方向A6に回転する。第4プーリ121dが矢印B1の方向に回転することにより、第3搬送ローラ117は、媒体搬送方向A7に回転する。第4プーリ121dが矢印B1の方向に回転することにより、第3伝達ギア123cが矢印B12の方向に回転し、第4搬送ローラ118は、媒体搬送方向A8に回転する。
図6及び図7は、スライドギア126の動作について説明するための模式図である。図6及び図7は、図4に示した第2駆動機構を図4の下側から見た模式図である。図6は、スライドギア126が第5伝達ギア123eと歯合している状態を示し、図7は、スライドギア126が第8伝達ギア123hと歯合している状態を示す。
図6及び図7に示すように、第5伝達ギア123e及び第8伝達ギア123hは、スライドギア126の駆動軸である第7シャフト125gの延伸方向において、相互に重ならないように配置される。
図6に示す状態では、第3押圧部材139により、スライドギア126には矢印C1の方向に(第5伝達ギア123e側に)押圧する押圧力が加えられている。一方、ソレノイド136は、可動磁極136aを吸引させる吸引力を発生させていない。そのため、スライドギア126は、第3押圧部材139による押圧力によって、その駆動軸である第7シャフト125gの延伸方向に沿って、第5伝達ギア123e側に押し付けられ、不図示のストッパにより第5伝達ギア123eと歯合する位置で停止する。この状態では、スライドギア126は、第8伝達ギア123hと歯合せずに第5伝達ギア123eと歯合し、第1モータ119からの駆動力は、第5〜第7伝達ギア123e〜gを介して、ブレーキローラ113に伝達される。
一方、図7に示す状態においても、第3押圧部材139により、スライドギア126には矢印C1の方向に押圧する押圧力が加えられている。但し、ソレノイド136は、可動磁極136aを吸引させる吸引力を発生させて可動磁極を矢印C2の方向に移動させ、アーム137を、軸部材138を中心に矢印C3の方向に回転させている。そのため、スライドギア126には、ソレノイド136による押圧力によって、矢印C4の方向に押圧する押圧力が加えられる。スライドギア126は、ソレノイド136による押圧力によって、第7シャフト125gの延伸方向に沿って、第8伝達ギア123h側に押し付けられ、不図示のストッパにより第8伝達ギア123hと歯合する位置で停止する。この状態では、スライドギア126は、第5伝達ギア123eと歯合せずに第8伝達ギア123hと歯合し、第1モータ119からの駆動力は、第8〜第11伝達ギア123h〜kを介して、ブレーキローラ113に伝達される。
このように、ソレノイド136、アーム137、軸部材138及び第3押圧部材139は、スライドギア126の駆動軸に沿ってスライドギア126を移動させて、スライドギア126を第5伝達ギア123e及び第8伝達ギア123hの何れか一方と歯合させる。スライドギア126がその駆動軸に沿って移動するように設けられることにより、スライドギア126が現在歯合しているギアに引っかかって、その移動が制限されることが抑制される。また、媒体搬送装置100は、ソレノイド136、アーム137、軸部材138及び第3押圧部材139を用いることにより、低消費電力でスライドギア126を移動させることができる。
スライドギア126は、ソレノイド136、アーム137、軸部材138及び第3押圧部材139によって移動し、第1モータ119からの駆動力を第5伝達ギア123e又は第8伝達ギア123hに伝達する。スライドギア126の第1ギア部分126aの幅(軸方向の長さ)は、スライドギア126が何れの位置に配置された場合でも、第1ギア部分126aが第4伝達ギア123dと歯合する大きさを有する。したがって、図6及び図7の何れの状態でも、第1ギア部分126aは第4伝達ギア123dと歯合し、第1モータ119からの駆動力はスライドギア126に伝達される。
なお、媒体搬送装置100は、ソレノイド136、アーム137、軸部材138及び第3押圧部材139の代わりに、例えばラック・アンド・ピニオン、カム等の他の部材により、スライドギア126をスライド移動させてもよい。
図8は、第5伝達ギア123e及び第8伝達ギア123hの配置について説明するための模式図である。図8は、図5に示した第2駆動機構を図5の手前側、即ち内側筐体131b側から見た模式図である。上記したように、内側筐体131a、bには、それぞれ第1ガイド部材132a、b及び第2ガイド部材134a、bが形成されている。第1ガイド部材132a及び132bの形状は同様であり、第2ガイド部材134a及び134bの形状は同様であるため、以下では、第1ガイド部材132b及び第2ガイド部材134bについてのみ説明する。
図8に示すように、第1ガイド部材132bには、第5伝達ギア123eの駆動軸である第8シャフト125hの端部が挿入される穴部141bが形成されている。穴部141bは、短辺が第8シャフト125hの端部の直径にマージンを加えた大きさを有し、且つ、長辺が第8シャフト125hの端部の直径より十分に大きい大きさを有する角丸長方形の形状を有している。穴部141bは、第8シャフト125hの端部が穴部141bの何れの位置に配置された場合でも、第5伝達ギア123eがスライドギア126及び第6伝達ギア123fと離間せずに歯合するように設けられている。第1ガイド部材132bは、穴部141bの中心(重心)位置が、スライドギア126の駆動軸である第7シャフト125gの中心位置と第6伝達ギア123fの駆動軸である第9シャフト125iの中心位置を結んだ直線T1上に位置するように配置される。また、第1ガイド部材132bは、穴部141bの短辺が直線T1と略平行に延伸し、穴部141bの長辺が直線T1と略直交する方向に延伸するように配置される。
これにより、第1ガイド部材132a、bは、第5伝達ギア123eの駆動軸を、スライドギア126の駆動軸から所定の範囲内、即ち第1ガイド部材132a、bに形成された穴部141a、bの範囲内で移動可能に案内する。特に、第1ガイド部材132a、bは、第5伝達ギア123eの駆動軸を、スライドギア126の駆動軸と第6伝達ギア123fの駆動軸を結んだ直線に対して直交する方向にのみ移動可能に案内する。また、第1ガイド部材132a、bは、第5伝達ギア123eの駆動軸を、第5伝達ギア123eの駆動軸と直交する平面と平行な方向、即ち第5伝達ギア123eの半径方向に移動可能に案内するように設けられる。
なお、第1ガイド部材132a、bは、他の任意の方向に第5伝達ギア123eの駆動軸を移動可能に案内するように設けられてもよい。例えば、第1ガイド部材132a、bは、第5伝達ギア123eの駆動軸を、スライドギア126の駆動軸と第6伝達ギア123fの駆動軸を結んだ直線と直交する方向に対して所定範囲(例えば±10°)内の方向に移動可能に案内するように設けられてもよい。また、第1ガイド部材132a、bは、第5伝達ギア123eの駆動軸を、第5伝達ギア123eの駆動軸と直交する平面に対して所定範囲内の方向に移動可能に案内するように設けられてもよい。
また、第1押圧部材133bは、第8シャフト125hの中心位置が直線T1上に配置されるように、第8シャフト125hを介して第5伝達ギア123eを押圧する。即ち、第1押圧部材133a、bは、第5伝達ギア123eの駆動軸がスライドギア126の駆動軸と第6伝達ギア123fの駆動軸を結んだ直線上に配置されるように第5伝達ギア123eを押圧する。
媒体搬送装置100は、ブレーキローラ113の回転を停止させた状態で、スライドギア126を移動させる。第2駆動機構において、第7伝達ギア123gと第11伝達ギア123kがともに第2シャフト125bに取り付けられているため、第5〜第7伝達ギア123e〜gと第8〜第11伝達ギア123h〜kは、連動して回転する。そのため、媒体搬送装置100は、第8伝達ギア123hと歯合しているスライドギア126を第5伝達ギア123e側に移動させる際に、スライドギア126と、第5伝達ギア123eとをそれぞれ独立して回転させることはできない。したがって、媒体搬送装置100は、スライドギア126の歯の側面と第5伝達ギア123eの歯の側面が対向している場合に、スライドギア126が第5伝達ギア123eと歯合するように、第5伝達ギア123eを回転させることができない。
第2駆動機構では、第5伝達ギア123eが所定の範囲内で移動可能に設けられている。そのため、媒体搬送装置100は、スライドギア126の歯の側面と第5伝達ギア123eの歯の側面が対向している場合に、スライドギア126が第5伝達ギア123eと歯合するように、第5伝達ギア123eをスライド移動させることができる。
特に、第2駆動機構では、第5伝達ギア123eがスライドギア126の駆動軸と第6伝達ギア123fの駆動軸を結んだ直線に対して直交する方向に移動可能に設けられている。これにより、第5伝達ギア123eとスライドギア126のペアと、第5伝達ギア123eと第6伝達ギア123fのペアにおいて、一方のギアの歯先と他方のギアの歯底の間の距離は常に略同一になる。そのため、媒体搬送装置100は、第5伝達ギア123eの移動可能範囲が、第5伝達ギア123eがスライドギア126及び第6伝達ギア123fの両方から離間しない範囲で最大となるように、第1ガイド部材132a、bを設けることができる。
また、第2駆動機構では、第1押圧部材133a、bが、第5伝達ギア123eの駆動軸がスライドギア126の駆動軸と第6伝達ギア123fの駆動軸を結んだ直線上に配置されるように第5伝達ギア123eを押圧する。そのため、媒体搬送装置100が各ギアを回転させて、第5伝達ギア123eが穴部141a、bの中心位置でスライドギア126と歯合できる状態になった時に、第5伝達ギア123eは穴部141a、bの中心位置に復帰する。第5伝達ギア123eは、可動範囲の中心位置に配置されていることによって、スライドギア126から離れる方向に移動可能となり、スライドギア126は、再度スライド移動する際に、第5伝達ギア123eを押し分けながら移動することができる。また、第5伝達ギア123eはスライドギア126及び第6伝達ギア123fから離れる方向にのみ移動する。そのため、第5伝達ギア123eとスライドギア126の間の距離又は第5伝達ギア123eと第6伝達ギア123fの間の距離が短くなってしまって、第5伝達ギア123e、スライドギア126又は第6伝達ギア123fの回転が制限されることが防止される。
同様に、第2ガイド部材134bには、第8伝達ギア123hの駆動軸である第10シャフト125jの端部が挿入される穴部142bが形成されている。穴部142bは、短辺が第10シャフト125jの端部の直径にマージンを加えた大きさを有し、且つ、長辺が第10シャフト125jの端部の直径より十分に大きい大きさを有する角丸長方形の形状を有している。穴部142bは、第10シャフト125jの端部が穴部142bの何れの位置に配置された場合でも、第8伝達ギア123hがスライドギア126及び第9伝達ギア123iと離間せずに歯合するように設けられている。第2ガイド部材134bは、穴部142bの中心(重心)位置が、スライドギア126の駆動軸である第7シャフト125gの中心位置と第9伝達ギア123iの駆動軸である第11シャフト125kの中心位置を結んだ直線T2上に位置するように配置される。また、第2ガイド部材134bは、穴部142bの短辺が直線T2と略平行に延伸し、穴部142bの長辺が直線T2と略直交する方向に延伸するように配置される。
これにより、第2ガイド部材134a、bは、第8伝達ギア123hの駆動軸を、スライドギア126の駆動軸から所定の範囲内、即ち第2ガイド部材134a、bに形成された穴部142a、bの範囲内で移動可能に案内する。特に、第2ガイド部材134a、bは、第8伝達ギア123hの駆動軸を、スライドギア126の駆動軸と第9伝達ギア123iの駆動軸を結んだ直線に対して直交する方向にのみ移動可能に案内する。また、第2ガイド部材134a、bは、第8伝達ギア123hの駆動軸を、第8伝達ギア123hの駆動軸と直交する平面と平行な方向、即ち第8伝達ギア123hの半径方向に移動可能に案内するように設けられる。
なお、第2ガイド部材134a、bは、他の任意の方向に第8伝達ギア123hの駆動軸を移動可能に案内するように設けられてもよい。例えば、第2ガイド部材134a、bは、第8伝達ギア123hの駆動軸を、スライドギア126の駆動軸と第9伝達ギア123iの駆動軸を結んだ直線と直交する方向に対して所定範囲内の方向に移動可能に案内するように設けられてもよい。また、第2ガイド部材134a、bは、第8伝達ギア123hの駆動軸を、第8伝達ギア123hの駆動軸と直交する平面に対して所定範囲内の方向に移動可能に案内するように設けられてもよい。
また、第2押圧部材135bは、第10シャフト125jの中心位置が直線T2上に配置されるように、第10シャフト125jを介して第8伝達ギア123hを押圧する。即ち、第2押圧部材135a、bは、第8伝達ギア123hの駆動軸がスライドギア126の駆動軸と第9伝達ギア123iの駆動軸を結んだ直線上に配置されるように第8伝達ギア123hを押圧する。
上記したように、媒体搬送装置100は、ブレーキローラ113の回転を停止させた状態で、スライドギア126を移動させる。第2駆動機構において、第7伝達ギア123gと第11伝達ギア123kがともに第2シャフト125bに取り付けられているため、第5〜第7伝達ギア123e〜gと第8〜第11伝達ギア123h〜kは、連動して回転する。そのため、第5伝達ギア123eと歯合しているスライドギア126を第8伝達ギア123h側に移動させる際に、スライドギア126と、第8伝達ギア123hとをそれぞれ独立して回転させることはできない。したがって、媒体搬送装置100は、スライドギア126の歯の側面と第8伝達ギア123hの歯の側面が対向している場合、スライドギア126が第8伝達ギア123hと歯合するように、第8伝達ギア123hを回転させることができない。
第2駆動機構では、第8伝達ギア123hが所定の範囲内で移動可能に設けられている。そのため、媒体搬送装置100は、スライドギア126の歯の側面と第8伝達ギア123hの歯の側面が対向している場合に、スライドギア126が第8伝達ギア123hと歯合するように、第8伝達ギア123hをスライド移動させることができる。
特に、第2駆動機構では、第8伝達ギア123hがスライドギア126の駆動軸と第9伝達ギア123iの駆動軸を結んだ直線に対して直交する方向に移動可能に設けられている。これにより、第8伝達ギア123hとスライドギア126のペアと、第8伝達ギア123hと第9伝達ギア123iのペアにおいて、一方のギアの歯先と他方のギアの歯底の間の距離は常に略同一になる。そのため、媒体搬送装置100は、第8伝達ギア123hの移動可能範囲が、第8伝達ギア123hがスライドギア126及び第9伝達ギア123iの両方から離間しない範囲で最大となるように、第2ガイド部材134a、bを設けることができる。
また、第2駆動機構では、第2押圧部材135a、bが、第8伝達ギア123hの駆動軸がスライドギア126の駆動軸と第9伝達ギア123iの駆動軸を結んだ直線上に配置されるように第8伝達ギア123hを押圧する。そのため、媒体搬送装置100が各ギアを回転させて、第8伝達ギア123hが穴部142a、bの中心位置でスライドギア126と歯合できる状態になった時に、第8伝達ギア123hは穴部142a、bの中心位置に復帰する。第8伝達ギア123hは、可動範囲の中心位置に配置されていることによって、スライドギア126から離れる方向に移動可能となり、スライドギア126は、再度スライド移動する際に、第8伝達ギア123hを押し分けながら移動することができる。また、第8伝達ギア123hはスライドギア126及び第9伝達ギア123iから離れる方向にのみ移動する。そのため、第8伝達ギア123hとスライドギア126の間の距離又は第8伝達ギア123hと第9伝達ギア123iの間の距離が短くなってしまって、第8伝達ギア123h、スライドギア126又は第9伝達ギア123iの回転が制限されることが防止される。
図9は、スライドギア126、第5伝達ギア123e及び第8伝達ギア123hの形状について説明するための模式図である。
図9に示すように、スライドギア126の第2ギア部分126bの各歯の両側面(駆動軸の延伸方向における両端)127a、bには、ギア円周方向の中心位置を頂点とするR形状が形成され、且つ、ギア円周方向の両サイドにC面取り形状が形成されている。また、第5伝達ギア123eの各歯の第8伝達ギア123h側の側面(駆動軸の延伸方向における第8伝達ギア123h側の端部)127cには、ギア円周方向の中心位置を頂点とするR形状が形成され、且つ、ギア円周方向の両サイドにC面取り形状が形成されている。同様に、第8伝達ギア123hの各歯の第5伝達ギア123e側の側面(駆動軸の延伸方向における第5伝達ギア123e側の端部)127dには、ギア円周方向の中心位置を頂点とするR形状が形成され、且つ、ギア円周方向の両サイドにC面取り形状が形成されている。
このように、スライドギア126、第5伝達ギア123e及び第8伝達ギア123hは、面取り形状を有する。なお、スライドギア126、第5伝達ギア123e及び第8伝達ギア123hの側面には、任意の形状を有する斜面が形成されていればよく、C面取り形状でなく、R面取り形状が形成されてもよい。
各ギアの側面にR形状又は面取り形状によって斜面が形成されることにより、スライドギア126の歯は、その斜面に沿って歯合対象のギアを押し分けながら、歯合対象のギアの溝部に良好に進入することができる。
図10は、媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
媒体搬送装置100は、前述した構成に加えて、第2モータ151、インタフェース装置152、記憶装置160及び処理回路170等をさらに有する。
第2モータ151は、処理回路170からの制御信号によって、給送ローラ112を回転させて媒体を給送させる。
インタフェース装置152は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して入力画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置152の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース装置とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。
記憶装置160は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置160には、媒体搬送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置160にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD−ROM(compact disc read only memory)、DVD−ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
処理回路170は、予め記憶装置160に記憶されているプログラムに基づいて動作する。処理回路170は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。処理回路170として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
処理回路170は、操作装置105、表示装置106、媒体センサ111、撮像装置116、第1モータ119、ソレノイド136、第2モータ151、インタフェース装置152及び記憶装置160等と接続され、これらの各部を制御する。処理回路170は、第1モータ119、ソレノイド136及び第2モータ151の駆動制御、撮像装置116の撮像制御等を行い、入力画像を取得し、インタフェース装置152を介して情報処理装置に送信する。
図11は、記憶装置160及び処理回路170の概略構成を示す図である。
図11に示すように、記憶装置160には、制御プログラム161及び画像取得プログラム162等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。処理回路170は、記憶装置160に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、処理回路170は、制御部171及び画像取得部172として機能する。
図12は、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
以下、図12に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置160に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路170により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。図12に示す動作のフローは、定期的に実行される。
なお、媒体搬送装置100は、媒体を給送する給送モードとして、複数の媒体を分離して給送する分離モードと、媒体を分離せずに給送する非分離モードとを有している。給送モードは、利用者により操作装置105を用いて設定され、記憶装置160に記憶される。図12に示す動作のフローが実行される前、ソレノイド136は可動磁極136aを吸引させる吸引力を発生させておらず、可動磁極は図6に示す状態に配置されている。即ち、第2駆動機構は、スライドギア126が第5伝達ギア123eと歯合し、ブレーキローラ113が分離モードで動作するように設定されている。
最初に、制御部171は、利用者により操作装置105を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置105から受信するまで待機する(ステップS101)。
次に、制御部171は、媒体センサ111から媒体検出信号を取得し、取得した媒体検出信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。
載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部171は、ステップS101へ処理を戻し、操作装置105から新たに操作信号を受信するまで待機する。
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、制御部171は、現在の給送モードが分離モードであるか非分離モードであるかを判定する(ステップS103)。給送モードが分離モードである場合、制御部171は、処理をステップS106へ移行する。上記したように、第2駆動機構は、ブレーキローラ113が分離モードで動作するように設定されているため、給送モードが分離モードである場合、制御部171は、特に処理を実行しない。
一方、給送モードが非分離モードである場合、制御部171は、ソレノイド136が可動磁極136aを吸引させる吸引力を発生させるように、ソレノイド136を制御する(ステップS104)。これにより、スライドギア126には、ソレノイド136によって、第8伝達ギア123h側に向かう力が加えられる。
次に、制御部171は、第1モータ119がスライドギア126を所定量だけ回転させるための駆動力を発生させるように、第1モータ119を制御する(ステップS105)。所定量は、例えば1/4ピッチ、即ち相互に隣接する二つの歯の間隔の1/4である。
図13A及び図13Bは、スライドギア126を所定量だけ回転させることの技術的意義について説明するための模式図である。
図13A及び図13Bは、第5伝達ギア123eと歯合している状態のスライドギア126の第2ギア部分126bを示す。図13Aは、第2ギア部分126bの側面127bに形成されたR形状の頂点128aと、第8伝達ギア123hの側面127dに形成されたR形状の頂点128bとが対向している状態を示す。この状態で、ステップS104の処理が実行されて、ソレノイド136が吸引力を発生させても、頂点128aと頂点128bが押し合って、スライドギア126が第8伝達ギア123h側にスライド移動しない可能性がある。
図13Bは、ステップS105の処理が実行されて、図13Aに示す状態から、スライドギア126と第8伝達ギア123hの両方が、それぞれ逆方向に1/4ピッチずつ回転した状態を示す。上述したように、第5〜第7伝達ギア123e〜gと第8〜第11伝達ギア123h〜kは、連動して回転する。そのため、スライドギア126を1/4ピッチ回転させると、第8伝達ギア123hは反対方向に1/4ピッチ回転し、頂点128aと頂点128bは回転前の状態から1/2ピッチずれた状態になる。したがって、頂点128aは、第8伝達ギア123hの溝部のギア円周方向の中心位置と対向する位置に配置される。なお、各ギアの側面にR形状又はC面取り形状によって斜面が形成されているため、頂点128aと頂点128bがわずかでもずれれば、スライドギア126の歯は、第8伝達ギア123hの歯を押し分けながら第8伝達ギア123hの溝部に進入できる。そのため、所定量は、1/4ピッチより小さくてもよい。
頂点128aと頂点128bが相互に対向しない位置に移動することにより、スライドギア126は、第8伝達ギア123hの側面127dに阻害されることなく、第8伝達ギア123h側にスライド移動する。なお、頂点128aと頂点128bが相互に対向しない位置に配置された状態で、ステップS104の処理が実行された場合、スライドギア126は第8伝達ギア123h側にスライド移動する。その場合、ステップS105の処理が実行されると、スライドギア126及び第8伝達ギア123hは、歯合した状態で回転する。したがって、頂点128aと頂点128bが相互に対向しない位置に配置された状態でステップS104〜S105の処理が実行されても、スライドギア126は、第8伝達ギア123hと歯合するように良好に移動する。
次に、制御部171は、第1モータ119及び第2モータ151を駆動して、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1〜第4搬送ローラ114、115、117及び118を回転させて、媒体を給送及び搬送させる(ステップS106)。ブレーキローラ113は、動作モードが分離モードである場合、媒体給送方向の反対方向A4に回転し、動作モードが非分離モードである場合、媒体給送方向に回転する。一方、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1〜第4搬送ローラ114、115、117及び118は、動作モードが分離モード及び非分離モードの何れの場合も、それぞれ図2の矢印A3、A5、A6、A7及びA8の方向に回転する。
次に、画像取得部172は、搬送された媒体を撮像装置116に撮像させて入力画像を取得し、取得した入力画像を、インタフェース装置152を介して不図示の情報処理装置へ送信する(ステップS107)。なお、情報処理装置と接続されていない場合、画像取得部172は、入力画像を記憶装置160に記憶しておく。
次に、制御部171は、媒体センサ111から取得する媒体検出信号に基づいて載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS108)。載置台103に媒体が残っている場合、制御部171は、ステップS106へ処理を戻し、ステップS106〜S108の処理を繰り返す。
一方、載置台103に媒体が残っていない場合、制御部171は、ソレノイド136が可動磁極136aを吸引させる吸引力の発生を停止するように、ソレノイド136を制御する(ステップS109)。これにより、スライドギア126には、第3押圧部材139によって、第5伝達ギア123e側に向かう力が加えられる。スライドギア126の第2ギア部分126bの側面127aに形成されたR形状の頂点と、第5伝達ギア123eの側面127cに形成されたR形状の頂点とが対向していない場合、スライドギア126は第5伝達ギア123e側にスライド移動する。
次に、制御部171は、ステップS105の処理と同様に、第1モータ119がスライドギア126を所定量だけ回転させるための駆動力を発生させるように、第1モータ119を制御し(ステップS110)、一連のステップを終了する。これにより、スライドギア126に形成されたR形状の頂点と、第5伝達ギア123eに形成されたR形状の頂点とが対向していた場合でも、各頂点は対向しない位置に配置され、スライドギア126は第5伝達ギア123e側にスライド移動する。
ステップS104〜S105及びステップS109〜S110に示したように、制御部171は、ソレノイド136、アーム137、軸部材138及び第3押圧部材139を制御する。特に、制御部171は、スライドギア126を第5伝達ギア123e及び第8伝達ギア123hの何れか一方と歯合させる際に、スライドギア126を所定量だけ回転させるように制御する。これにより、媒体搬送装置100は、スライドギア126を第5伝達ギア123e又は第8伝達ギア123hと歯合するように良好にスライド移動させることができる。
なお、ブレーキローラ113は、スライドギア126が第5伝達ギア123eと歯合したときに非分離モードで動作し、スライドギア126が第8伝達ギア123hと歯合したときに分離モードで動作するように設けられてもよい。その場合、制御部171は、動作モードが非分離モードである場合にはステップS104〜S105の処理を実行せずに、動作モードが分離モードである場合にステップS104〜S105の処理を実行する。
また、ステップS109〜S110の処理が省略され、制御部171は、スライドギア126を、現在の動作モードに応じた位置に配置し続けてもよい。その場合、ステップS103において、制御部171は、動作モードが変化したか否かを判定する。制御部171は、動作モードが変化した場合、ステップS104〜S105の処理又はステップS109〜S110の処理を実行して、最新の動作モードに応じた位置にスライドギア126を移動させる。
また、第1モータ119は、第1〜第4搬送ローラ114、115、117、118の全ての搬送ローラの回転を制御するのでなく、一部の搬送ローラの回転のみを制御してもよい。また、第1モータ119は、第1〜第4搬送ローラ114、115、117、118に代えて又は加えて、給送ローラ112の回転を制御してもよい。
以上詳述したように、媒体搬送装置100では、スライドギア126と歯合する第5伝達ギア123e及び第8伝達ギア123hが所定範囲内で移動可能に設けられる。これにより、媒体搬送装置100は、スライドギア126をスライド移動させる際に、スライドギア126を第5伝達ギア123e又は第8伝達ギア123hと適切に係合させることが可能となった。したがって、媒体搬送装置100は、第1モータ119の回転方向を変更することなく、ブレーキローラ113の回転方向を良好に切り換えることが可能となった。
特に、媒体搬送装置100は、第1モータ119の回転方向を変更することなく、ブレーキローラ113の回転方向を変更するため、単一の第1モータ119を用いてブレーキローラ113以外のローラの回転を適切に制御することが可能となった。したがって、媒体搬送装置100は、消費電力、装置コスト及び装置重量を低減させることが可能となった。また、媒体搬送装置100は、電磁クラッチ等のクラッチ構造を用いることなく、ブレーキローラ113の回転方向を変更するため、装置コスト及び装置重量の増大を抑制させることが可能となった。
また、媒体搬送装置100は、短時間且つ確実に分離モードと非分離モードを切り替えることが可能となり、媒体読取処理の処理時間を低減させることが可能となった。また、媒体搬送装置100は、冊子又はパスポート等を損傷させることなく搬送させることが可能となった。
図14は、他の実施形態に係る媒体搬送装置における処理回路270の概略構成を示す図である。処理回路270は、媒体搬送装置100の処理回路170の代わりに使用され、処理回路170の代わりに、媒体読取処理を実行する。処理回路270は、制御回路271及び画像取得回路272等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
制御回路271は、制御部の一例であり、制御部171と同様の機能を有する。制御回路271は、操作装置105から操作信号を、媒体センサ111から媒体検出信号を受信し、受信した各信号に応じて第1モータ119、第2モータ151及びソレノイド136を駆動するように制御する。
画像取得回路272は、画像取得部の一例であり、画像取得部172と同様の機能を有する。画像取得回路272は、撮像装置116から入力画像を受信し、記憶装置160に記憶するとともにインタフェース装置152を介して情報処理装置へ送信する。
以上詳述したように、媒体搬送装置は、処理回路270を用いる場合においても、ブレーキローラ113の回転方向を良好に切り換えることが可能となった。
100 媒体搬送装置、112 給送ローラ、113 ブレーキローラ、119 第1モータ、123e 第5伝達ギア、123f 第6伝達ギア、123h 第8伝達ギア、123i 第9伝達ギア、126 スライドギア、132a、b 第1ガイド部材、133a、b 第1押圧部材、134a、b 第2ガイド部材、135a、b 第2押圧部材、136 ソレノイド、137 アーム、138 軸部材、139 第3押圧部材、171 制御部
Claims (6)
- 媒体を給送する給送ローラと、
前記給送ローラに対向して配置される対向ローラと、
駆動力を発生するモータと、
前記対向ローラを第1の方向に回転させるための第1ギアと、
前記対向ローラを前記第1の方向と逆の第2の方向に回転させるための第2ギアと、
前記モータからの駆動力を前記第1ギア又は前記第2ギアに伝達するためのスライドギアと、
前記第1ギアの駆動軸を前記スライドギアの駆動軸から所定の範囲内で移動可能に案内する第1ガイド部材と、
前記第2ギアの駆動軸を前記スライドギアの駆動軸から所定の範囲内で移動可能に案内する第2ガイド部材と、
を有することを特徴とする媒体搬送装置。 - 前記スライドギア、前記第1ギア及び前記第2ギアは、面取り形状を有する、請求項1に記載の媒体搬送装置。
- 前記スライドギアの駆動軸に沿って前記スライドギアを移動させて、前記スライドギアを前記第1ギア及び前記第2ギアの何れか一方と歯合させるスライド機構をさらに有する、請求項1または2に記載の媒体搬送装置。
- 前記スライド機構を制御する制御部をさらに有し、
前記制御部は、前記スライドギアを前記第1ギア及び前記第2ギアの何れか一方と歯合させる際に、前記スライドギアを所定量だけ回転させるように制御する、請求項3に記載の媒体搬送装置。 - 前記第1ギアと歯合し且つ前記第1ギアから伝達された駆動力を前記対向ローラに伝達する第3ギア、及び、前記第2ギアと歯合し且つ前記第2ギアから伝達された駆動力を前記対向ローラに伝達する第4ギアをさらに有し、
前記第1ガイド部材は、前記スライドギアの駆動軸と前記第3ギアの駆動軸を結んだ直線に対して直交する方向にのみ前記第1ギアの駆動軸を移動可能に案内し、
前記第2ガイド部材は、前記スライドギアの駆動軸と前記第4ギアの駆動軸を結んだ直線に対して直交する方向にのみ前記第2ギアの駆動軸を移動可能に案内する、請求項1〜4の何れか一項に記載の媒体搬送装置。 - 前記第1ギアの駆動軸が前記スライドギアの駆動軸と前記第3ギアの駆動軸を結んだ直線上に配置されるように、前記第1ギアを押圧する第1押圧部材と、
前記第2ギアの駆動軸が前記スライドギアの駆動軸と前記第4ギアの駆動軸を結んだ直線上に配置されるように、前記第2ギアを押圧する第2押圧部材と、をさらに有する、請求項5に記載の媒体搬送装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020048165A JP2021147163A (ja) | 2020-03-18 | 2020-03-18 | 媒体搬送装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2020048165A JP2021147163A (ja) | 2020-03-18 | 2020-03-18 | 媒体搬送装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2021147163A true JP2021147163A (ja) | 2021-09-27 |
Family
ID=77850761
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2020048165A Pending JP2021147163A (ja) | 2020-03-18 | 2020-03-18 | 媒体搬送装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021147163A (ja) |
-
2020
- 2020-03-18 JP JP2020048165A patent/JP2021147163A/ja active Pending
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