JP2021143105A - 硬質複合材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】高温環境下においても耐アブレッシブ摩耗性に優れ、さらに掘削工具として用いても、岩石を破壊するための衝撃や振動による欠損などの損傷要因に対する耐性を有する硬質複合材料を提供する【解決手段】ダイヤモンド粒子と結合相を有するPDCであって、前記結合相には、TiCとAl4C3とTiが含まれ、XRDにおける2θ=41.6〜41.8°に出現するTiCのピーク強度をITiC、同2θ=55.2〜55.4°に出現するAl4C3のピーク強度をIAl4C3、同2θ=39.0〜39.2°に出現するTiのピーク強度をITiとするとき、前記ピーク強度の比、ITiC/IAl4C3が15.0〜35.0、ITi/IAl4C3が0.8〜1.4を満足する【選択図】図1
Description
本発明は、特に、掘削工具の掘削チップに適した硬質複合材料に関する。
WC基超硬合金は、高硬度で靭性に優れるため、切削工具の他に掘削工具の掘削チップとして用いられている。また、難削材と呼ばれる硬度の高い材料に対しては、硬質物質として立方晶窒化ほう素(以下、cBNということがある)やダイヤモンドを用いた多結晶焼結体が切削工具に加えて、鉱山での掘削工具の掘削チップとしても用いられている。そして、これらWC基超硬合金、cBN焼結体、そして多結晶ダイヤモンド焼結体(以下、PDCと云うことがある)に対して、切削性能や堀削性能を向上させるための提案がなされている。
例えば、特許文献1には、鉄系金属、WC、TiCNを有する高深度掘削用工具の刃先向けの超硬合金が記載されている。
また、例えば、特許文献2には、結合相形成物質にTi2AlCを用い、この結合相形成物質の表面を活性化してcBNと結合相との反応を活発にすることにより、cBN粒の表面にTiとほう素を含む第1層とこの第1層の全表面にAlとほう素を含む第2層の2層構造の反応層を形成させて、cBNと結合相との密着性を高め、焼結体の強度および靭性等を高めた切削工具または耐摩耗工具向けのcBN焼結体が記載されている。
さらに、例えば、特許文献3には、焼結体組織としてダイヤモンドと炭化タングステンとCoからなる多結晶ダイヤモンド焼結体において、ダイヤモンドと炭化タングステンの含有量を変えることにより硬度を調整し、それらを積層した鉱山の掘削工具向けのPDCが提案されている。
特許文献1に記載された超硬合金は、高深度掘削用ではあるが、腐食性の強い雰囲気での掘削を前提としており、掘削深度が深くなり温度が高い環境においてはCoがWCに比べて先に酸化し結合剤としての機能が弱まることから耐摩耗性が劣り、掘削用工具の刃先として用いた場合、早期に摩耗し寿命が短いという問題があった。
また、特許文献2に示されるcBN焼結体は、主に均一な成分の被削材に押し当てて使用することが前提であって、岩石掘削用の掘削工具として用いると、繰り返し加わる衝撃による疲労摩耗、破砕した岩石の中で硬質成分が工具刃先と岩石の間に入り込み生じる微小な切削作用によるアブレッシブ摩耗、さらに岩石を破壊するための衝撃や振動による欠損などの損傷要因に対する耐性については、十分ではない。
また、特許文献3に示されるPDCは、その組成成分にCoを含むため、特許文献1と同様に温度が高い環境での使用にあたり、Coが酸化し結合剤としての機能が弱まることから耐摩耗性が劣り、掘削用工具の刃先として用いた場合、早期に摩耗し寿命が短いという問題があった。
掘削工具は地中の岩石を掘削するものであり、その成分や強度は均一ではないことや、岩石は脆性材料であるため切削のように削り取るというよりも岩石を破壊するための衝撃や振動に耐えることに加えて、この破壊した岩石を効率よく取り除くための回転に耐える必要がある。さらに、一般的に地熱の影響で地下の地層は、地上の温度に比べて100mあたり3℃、その温度は高くなるため高温下での耐性も必要がある。
すなわち、掘削工具用材料には高い温度環境下においても繰り返し加わる衝撃による疲労摩耗、破砕した岩石の中で硬質成分が工具刃先と岩石の間に入り込み生じる微小な切削作用によるアブレッシブ摩耗、さらに岩石を破壊するための衝撃や振動による欠損などの損傷要因に対する耐性が求められている。
すなわち、掘削工具用材料には高い温度環境下においても繰り返し加わる衝撃による疲労摩耗、破砕した岩石の中で硬質成分が工具刃先と岩石の間に入り込み生じる微小な切削作用によるアブレッシブ摩耗、さらに岩石を破壊するための衝撃や振動による欠損などの損傷要因に対する耐性が求められている。
そこで、本発明は、高い温度環境下においても耐アブレッシブ摩耗性に優れ、さらに掘削工具として用いても、岩石を破壊するための衝撃や振動による欠損などの損傷要因に対する耐性を有する硬質複合材料を提供することを目的とする。
本発明者は、硬質複合材料としてのPDCに着目し、結合相にCoを含まず、その結合相を構成するTiCとAl4C3のXRDピークに所定の関係を有し、加えて焼結体中にTiを含むとき、高温環境においても耐アブレッシブ摩耗性に優れ、さらに掘削工具として用いても、岩石を破壊するための衝撃や振動による欠損などの損傷要因に対する耐性を有するPDCを得ることができるという知見を得た。
本発明は、この知見に基づくものであって、次のとおりのものである。
「(1)ダイヤモンドと結合相を有する多結晶ダイヤモンド焼結体であって、
前記結合相には、TiCとAl4C3とTiが含まれ、
XRDにおける2θ=41.6〜41.8°に出現するTiCのピーク強度をITiC、同2θ=55.2〜55.4°に出現するAl4C3のピーク強度をIAl4C3、同2θ=39.0〜39.2°に出現するTiのピーク強度をITiとするとき、
前記ピーク強度の比、ITiC/IAl4C3が15.0〜35.0、ITi/IAl4C3が0.8〜1.4を満足することを特徴とする多結晶ダイヤモンド焼結体。」
「(1)ダイヤモンドと結合相を有する多結晶ダイヤモンド焼結体であって、
前記結合相には、TiCとAl4C3とTiが含まれ、
XRDにおける2θ=41.6〜41.8°に出現するTiCのピーク強度をITiC、同2θ=55.2〜55.4°に出現するAl4C3のピーク強度をIAl4C3、同2θ=39.0〜39.2°に出現するTiのピーク強度をITiとするとき、
前記ピーク強度の比、ITiC/IAl4C3が15.0〜35.0、ITi/IAl4C3が0.8〜1.4を満足することを特徴とする多結晶ダイヤモンド焼結体。」
本発明のPDCは、高温環境においても耐アブレッシブ摩耗性に優れ、さらに掘削工具として用いても、岩石を破壊するための衝撃や振動による欠損などの損傷要因に対する耐性を有する。
以下、本発明のPDCについて、より詳細に説明する。なお、本明細書、特許請求の範囲の記載において、数値範囲を「A〜B」(A、Bは共に数値)と表現する場合、その範囲は上限値(B)と下限値(A)を含むものである。また、上限値と下限値の単位は同じである。
ダイヤモンド(Dia)粒子の平均粒径:
本発明で用いるDia粒子の平均粒径は、特に限定されるものではないが、6.0〜30.0μmの範囲であることが好ましい。
その理由は、硬質なDia粒子を焼結体内に含むことにより強度と耐摩耗性を高める効果に加えて、平均粒径が6.0〜30.0μmであれば、掘削工具としての使用中に刃先に加わる応力により工具内部にて発生し工具内部を伝播するクラックに対して、Dia粒子がその進展を抑制することにより、より優れた耐欠損性を有することができるためである。
本発明で用いるDia粒子の平均粒径は、特に限定されるものではないが、6.0〜30.0μmの範囲であることが好ましい。
その理由は、硬質なDia粒子を焼結体内に含むことにより強度と耐摩耗性を高める効果に加えて、平均粒径が6.0〜30.0μmであれば、掘削工具としての使用中に刃先に加わる応力により工具内部にて発生し工具内部を伝播するクラックに対して、Dia粒子がその進展を抑制することにより、より優れた耐欠損性を有することができるためである。
ここで、Dia粒子の平均粒径は、以下のとおりにして求めることができる。
PDCの断面を鏡面加工し、前記鏡面加工面に対して電子線後方散乱回折法(EBSD:Electron BackScatter Diffraction)による測定を実施し、得られた分析面のダイヤモンド結晶粒子の結晶方位情報のマッピングから、各々の単位結晶粒子の粒径を計測し、粒子径に対する相対面積率で示す頻度分布を得ることにより、メディアン径(相対面積率が50%となる粒径)を算出し、PDCの平均粒径とした。
PDCの断面を鏡面加工し、前記鏡面加工面に対して電子線後方散乱回折法(EBSD:Electron BackScatter Diffraction)による測定を実施し、得られた分析面のダイヤモンド結晶粒子の結晶方位情報のマッピングから、各々の単位結晶粒子の粒径を計測し、粒子径に対する相対面積率で示す頻度分布を得ることにより、メディアン径(相対面積率が50%となる粒径)を算出し、PDCの平均粒径とした。
EBSDによりDia粒径を求めるための観察領域として、Dia粒子の平均粒径が12μm程度の場合、150μm×200μm程度の視野領域が望ましい。
PDCに占めるDia粒子の含有割合(体積%、vol%)は、特に限定されるものではないが、65体積%未満では、焼結体中に硬質物質が少なく、掘削用工具として使用した場合に、耐欠損性が低下することがあり、一方、93体積%を超えると、焼結体中にクラックの起点となる空隙が生成し、耐欠損性が低下することがある。そのため、本発明が奏する効果をより一層発揮するためには、PDCに占めるDia粒子の含有割合は、65〜93体積%の範囲とすることが好ましい。
PDCに占めるDia粒子の含有割合は、以下のとおりにして求めることができる。すなわち、PDCの断面組織を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)によって観察し、得られた二次電子像内のDia粒子の部分を画像処理によって抜き出し、画像解析によってDia粒子が占める面積を算出し、少なくとも3画像を処理し求めた値の平均値をDia粒子の含有割合(体積%)とする。画像処理に用いる観察領域として、Dia粒子の平均粒径12μmとなる場合は、160μm×240μm程度の視野領域が望ましい。
結合相:
本発明のセラミックス結合相は、Ti3AlC2粉末、TiN粉末、TiC粉末、TiCN粉末、および、TiAl3粉末を用いて作製することができる。
本発明のセラミックス結合相は、Ti3AlC2粉末、TiN粉末、TiC粉末、TiCN粉末、および、TiAl3粉末を用いて作製することができる。
そして、結合相の成分であるTiCとAl4C3とTiについて、そのXRDピーク強度が所定の関係にあるとき、すなわち、
XRDにおける2θ=41.6〜41.8°に出現するTiCのピーク強度をITiC、同2θ=55.2〜55.4°に出現するAl4C3のピーク強度をIAl4C3、同2θ=39.0〜39.2°に出現するTiのピーク強度をITiとするとき、ピーク強度の比、ITiC/IAl4C3が15.0〜35.0、ITi/IAl4C3が0.8〜1.4となれば、岩石掘削時において耐摩耗性と岩石を破壊するための衝撃や振動による欠損などの損傷要因に対する耐性の高いPDCとして好ましい。
XRDにおける2θ=41.6〜41.8°に出現するTiCのピーク強度をITiC、同2θ=55.2〜55.4°に出現するAl4C3のピーク強度をIAl4C3、同2θ=39.0〜39.2°に出現するTiのピーク強度をITiとするとき、ピーク強度の比、ITiC/IAl4C3が15.0〜35.0、ITi/IAl4C3が0.8〜1.4となれば、岩石掘削時において耐摩耗性と岩石を破壊するための衝撃や振動による欠損などの損傷要因に対する耐性の高いPDCとして好ましい。
その理由は、ITiC/IAl4C3が15.0未満であると、PDC中に過剰に存在するAl4C3が岩石掘削時に破壊の起点となってしまい、一方、ITiC/IAl4C3が35.0より大きいと焼結体中のTiCが多くなり、刃先に加わる応力により工具内部にて発生するクラックがTiCを通じて伝播しやすくなり、焼結体の靭性が低下してしまうためである。
また、PDC中のTiは、刃先表面に露出した場合、あるいは焼結体内部においても表面に通じたクラックに接する場合において、温度が高く酸素がある環境においては酸化し、体積が増えることによりクラックを塞ぎその進展を抑える役割を果たす。そのため、ITi/IAl4C3は0.8未満であると焼結体中のTiの量が少なく、クラックが生じた際にクラックがPDC中のTiに遭遇する割合が低くなり、Tiがその進展を抑える効果が小さく、一方、ITi/IAl4C3が1.4より大きいとPDC中に占めるTiの割合が多くなり、温度が高い環境での使用においてはPDCの強度が低下し、特にアブレッシブ摩耗を生じやすくなるためである。
ここで、TiCのピーク強度(ITiC)、Al4C3のピーク強度(IAl4C3)、Tiのピーク強度(ITi)は、Cu管球によるXRD測定により、Dia粒子の{111}面の回折ピークを2θ=43.9とし、このピーク位置(角度)を基準として、2θ=41.6〜41.8°の間のピークをTiC、2θ=55.2〜55.4°のピークをAl4C3、2θ=39.0〜39.2°のピークをTiとして、バックグラウンド除去後、ピークサーチを行い、それぞれ、確認する。
結合相の製造方法
本発明のPDCの結合相は、例えば、以下のようにして製造することができる。
超高圧高温焼結前の原料混合時に、例えば、1〜500μmの範囲のTi3AlC2を準備し、さらに原料混合粉を真空下において250℃以上900℃以下にて熱処理を行う。これにより、Ti3AlC2をTiO2とAl2O3に分解させずに原料表面の吸着水を低減させることができる。さらに、粒の内部まで酸素と反応せず超高圧焼結を経て焼結体内にTiCとAl4C3とTiを生じることができる。
本発明のPDCの結合相は、例えば、以下のようにして製造することができる。
超高圧高温焼結前の原料混合時に、例えば、1〜500μmの範囲のTi3AlC2を準備し、さらに原料混合粉を真空下において250℃以上900℃以下にて熱処理を行う。これにより、Ti3AlC2をTiO2とAl2O3に分解させずに原料表面の吸着水を低減させることができる。さらに、粒の内部まで酸素と反応せず超高圧焼結を経て焼結体内にTiCとAl4C3とTiを生じることができる。
結合相中にTiを含むことにより高温環境下において酸化による耐摩耗性の低下はCoと変わらないが、Tiが酸化することによる体積膨張を利用しクラックを塞ぐことにより、その進展を抑えることができる。また、Al4C3は水に溶けやすいため、工具表面に現れたAl4C3は掘削時にクーラントとして供給される水へ溶けることにより、工具表面は常に細かな凹凸を有する形状となる。工具表面に細かい凹凸ができることにより、岩石へ工具を強く押し当てなくとも岩石をとらえることができるため、工具の刃先に生じる応力を低減することができるため、欠損しにくくなり、岩石掘削時において耐摩耗性と靭性の高いPDCを得ることができる。
次に、実施例について記載する。ただし、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。
本実施例は、以下の(1)〜(3)の工程により製造した。
(1)原料粉末の準備
硬質原料として、平均粒径が6.0〜35μmのDia原料を、結合相を構成する原料粉末として、Ti3AlC2原料を用意した。Ti3AlC2原料は、平均粒径50μmであった。また、結合相形成原料粉末としてTiN粉末、TiC粉末、TiCN粉末、TiAl3粉末を別途準備した。これら別途準備した粉末の平均粒径は、0.3μm〜0.9μmであった。これらの粉末の配合割合を表1に示す。
硬質原料として、平均粒径が6.0〜35μmのDia原料を、結合相を構成する原料粉末として、Ti3AlC2原料を用意した。Ti3AlC2原料は、平均粒径50μmであった。また、結合相形成原料粉末としてTiN粉末、TiC粉末、TiCN粉末、TiAl3粉末を別途準備した。これら別途準備した粉末の平均粒径は、0.3μm〜0.9μmであった。これらの粉末の配合割合を表1に示す。
(2)混合
これらの原料粉末を混合し、超硬合金で内張りされた容器内に超硬合金製ボールとアセトンと共に充填し、蓋をした後にボールミルにより混合を行った。混合時間は原料粉を細かく粉砕させないように、1時間であった。本実施例では行っていないが、超音波攪拌装置を用いて原料粉の凝集を解砕しながら混合することがより好ましい。
これらの原料粉末を混合し、超硬合金で内張りされた容器内に超硬合金製ボールとアセトンと共に充填し、蓋をした後にボールミルにより混合を行った。混合時間は原料粉を細かく粉砕させないように、1時間であった。本実施例では行っていないが、超音波攪拌装置を用いて原料粉の凝集を解砕しながら混合することがより好ましい。
(3)成形、焼結
次いで、得られた焼結体原料粉末を、所定圧力で成形して成形体を作製し、これを600℃で仮熱処理(表2では、「混合後の熱処理温度」と記載している)し、その後、超高圧焼結装置に装入して、圧力:5GPa、温度:1600℃の範囲内の所定の温度で焼結することにより、表2に示す本発明のダイヤモンド焼結体(本発明焼結体という)1〜15を作製した。
次いで、得られた焼結体原料粉末を、所定圧力で成形して成形体を作製し、これを600℃で仮熱処理(表2では、「混合後の熱処理温度」と記載している)し、その後、超高圧焼結装置に装入して、圧力:5GPa、温度:1600℃の範囲内の所定の温度で焼結することにより、表2に示す本発明のダイヤモンド焼結体(本発明焼結体という)1〜15を作製した。
仮熱処理は、圧力が1Pa以下の真空雰囲気中で、250℃以上900℃以下とした。その理由は、250℃未満であると吸着水が十分に原料表面から解離せず、Ti3AlC2が超高圧高温焼結中に原料に吸着していた水分と反応してTiO2とAl2O3に分解し、超高圧高温焼結後の焼結体の結合相中にAl4C3やTiの存在が少なくなり、PDCの靭性が低下するためである。一方、900℃より高い温度であると仮熱処理の段階でTi3AlC2が吸着水の酸素と反応してTiO2とAl2O3に分解してしまい、特に超高圧高温焼結後のPDCの結合相中にAl4C3やTiの存在がなくなり、PDCの靭性が低下するためである。
比較のために、比較例焼結体を作製した。原料粉末は、硬質原料として、平均粒径が8.0〜30.0μmのDia原料を、結合相を構成する原料粉末として、表1と表3に示すTi3AlC2を含む原料粉末を用意した。ここで、Ti3AlC2原料は、平均粒径50μmであった。原料粉の混合は実施例と同様な条件でボールミルにより混合を行った。その後、所定圧力で成形して成形体を作製し、これを温度100℃〜1200℃の範囲内の所定の温度で仮熱処理(表4では、「混合後の熱処理温度」と記載している)し、その後、超高圧焼結装置に装入して、圧力:5GPa、温度:1600℃で焼結することにより、表4に示す比較例のPDC(比較例焼結体という)1〜5を作製した。
次に、本発明焼結体1〜15および比較焼結体1〜5から、それぞれ、ISO規格RNGN090300形状をもつ本発明工具1〜15と比較例工具1〜5を作製し、これら工具をNC旋盤に取り付け、以下の湿式切削試験を行った。
切削速度:150m/min
切込量:0.3mm
送り量:0.1mm/rev
被削材:花崗岩(滝根産) 形状Φ150mm×200mmL
切削長(切削距離)が500mへ到達時に摩耗量と刃先の状態を確認した。ただし、切削長が100m毎に刃先を観察し欠損の有無、摩耗量を測定し摩耗量が2000μmを超えていればその時点で切削試験を中止した。結果を表5に示す。
切削速度:150m/min
切込量:0.3mm
送り量:0.1mm/rev
被削材:花崗岩(滝根産) 形状Φ150mm×200mmL
切削長(切削距離)が500mへ到達時に摩耗量と刃先の状態を確認した。ただし、切削長が100m毎に刃先を観察し欠損の有無、摩耗量を測定し摩耗量が2000μmを超えていればその時点で切削試験を中止した。結果を表5に示す。
表5から明らかなように、本発明工具は、摩耗量が少なくチッピングの発生がないことから、耐アブレッシブ摩耗性に優れ、さらに掘削工具として用いても、岩石を破壊するための衝撃や振動による欠損などの損傷要因に対する耐性を有するが、比較例工具は、わずかな切削長さで、欠損の発生、または高い摩耗量を示し、耐アブレッシブ摩耗性能は低く、欠損しやすいため掘削工具として用いることが困難である。
本発明のPDCは、結合相中にTiCとAl4C3とTiを含むことから、高温環境下においても耐アブレッシブ摩耗性に優れ、岩石を破壊するための衝撃や振動による欠損などの損傷要因に対する耐性を有するから、堀削工具の掘削チップに好適である。
Claims (1)
- ダイヤモンド粒子と結合相を有する多結晶ダイヤモンド焼結体であって、
前記結合相には、TiCとAl4C3とTiが含まれ、
XRDにおける2θ=41.6〜41.8°に出現するTiCのピーク強度をITiC、同2θ=55.2〜55.4°に出現するAl4C3のピーク強度をIAl4C3、同2θ=39.0〜39.2°に出現するTiのピーク強度をITiとするとき、
前記ピーク強度の比、ITiC/IAl4C3が15.0〜35.0、ITi/IAl4C3が0.8〜1.4を満足することを特徴とする多結晶ダイヤモンド焼結体。
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