JP2021142707A - 中間転写体、当該中間転写体を備える画像形成装置 - Google Patents

中間転写体、当該中間転写体を備える画像形成装置 Download PDF

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亜希子 河村
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昭博 本谷
好康 松本
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好康 松本
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裕之 安川
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Abstract

【課題】インクを濡れ広がらせやすくし、プレコート液を均一に濡れ広がらせることができるとともに、良好な転写性を有する中間転写体を提供する。【解決手段】インクジェット画像形成装置に用いられる中間転写体は、単官能アクリルモノマーまたは単官能メタクリルモノマーと、多官能アクリルモノマーまたは多官能メタクリルモノマーと、の重合物を含有する表面層を有する。単官能アクリルモノマーまたは単官能メタクリルモノマーは、下記式(1)で表される構造(a)または構造(b)を有する。(式(1)中、Xは極性官能基または極性官能基を有する構造であり、Yは炭素原子および酸素原子の合計数が3つ以上の連結基である。)【選択図】図1

Description

本発明は、中間転写体、当該中間転写体を備える画像形成装置に関する。
インクジェット法は、簡便かつ安価に画像を作製できるため、各種印刷、マーキング、細線形成、カラーフィルター等の特殊印刷を含む様々な印刷分野に応用されている。インクジェット法は、版を用いずにデジタル印刷が可能であるため、多様な画像を少量ずつ形成するような用途に特に好適である。
インクジェット法には、インクジェットヘッドから吐出されるインクを中間転写体の表面に直接付与して中間画像を形成し、当該画像を記録媒体に転写して画像を形成する方法がある。また、より高精細な画像を得るために、中間転写体の表面にプレコート液を付与してプレコート層を作製し、その表面に中間画像を形成して、記録媒体に転写して画像を形成する方法がある。
上記画像を形成する方法では、中間転写体の表面に直接インクまたはプレコート液を付与している。中間転写体には表面張力が低いシリコーンゴムなどの材料を用いられているため、特に、中間転写体の表面にプレコート液を付与するとプレコート液がはじかれてしまい、塗布ムラが生じることがある。そのため、中間転写体の表面の改質が求められている。
たとえば、特許文献1には、中間転写部材の表面にインク液滴を付与し、付与されたインクの液滴を上記中間転写部材上で広がらせることにより、インクフィルムを形成する工程を含む印刷プロセスが記載されている。特許文献1によると、負に帯電した中間転写部材上に、正に帯電した処理溶液を付与し、その表面に負に帯電した官能基を有する有機ポリマー樹脂を含む水性インクを付与することにより、インク中の帯電した分子と、中間転写部材の外面における帯電した分子との間の分子間力によって、付与したインクを中間転写部材上で広がらせることができるとされている。
また、特許文献2には、不均質ポリマーを含む中間転写部材が記載されている。特許文献2によると、2つ以上の表面自由エネルギーが異なる不均質ポリマー(親水性ポリマー、非混和性ポリマー)を含むことにより、インクを十分に濡れ広がらせることができ、転写性を有することができるとされている。
また、特許文献3には、光の照射により選択的に親水性領域、疎水性領域のいずれかに変質する材料を含む中間転写体が記載されている。特許文献3によると、親水性と疎水性への変化は、高速かつ可逆的であり、解像度が高く、高速印字に適しているとされている。
特表2015−510848号公報 特開2015−063129号公報 特開平10−329354号公報
本願発明者らが検討したところ、水性インク以外のインク(例えば活性線硬化型インク)を用いたところ、塗布ムラが生じてしまい、所望する転写性を得ることができなかった。また、特許文献2の中間転写部材は、インクの表面張力に合わせた中間転写部材の材料が選択されており、プレコート液の表面張力は考慮されていないため、中間転写部材上のプレコート液がはじかれてしまうことがあった。また、特許文献3に記載の親水性領域に変質した中間転写体を用いて、その表面にプレコート液を付与したところ塗布ムラが生じてしまい、所望する転写性を得ることができなかった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、インクを濡れ広がらせやすくし、プレコート液を均一に濡れ広がらせることができるとともに、良好な転写性を有する中間転写体および当該中間転写体を有する画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一実施の形態に係る中間転写体は、インクジェット画像形成装置に用いられる中間転写体であって、前記中間転写体は、少なくとも単官能アクリルモノマーまたは単官能メタクリルモノマーと、多官能アクリルモノマーまたは多官能メタクリルモノマーと、の重合物を含有する表面層を有し、前記単官能アクリルモノマーまたは前記単官能メタクリルモノマーは、下記式(1)で表される構造(a)または構造(b)を有する。
Figure 2021142707
(式(1)中、Xは極性官能基または極性官能基を有する構造であり、Yは炭素原子および酸素原子の合計数が3つ以上の連結基である。)
また、上記課題を解決するため、本発明の一実施の形態に係る画像形成装置は、少なくとも基材層、および表面層を含む中間転写体と、前記中間転写体の表面にプレコート液を付与するプレコート液付与部と、前記プレコート液が付与された面にインクジェット用のインクを付与するインク付与部と、前記付与されたインクジェット用のインクを記録媒体に転写する転写部と、を有し、前記中間転写体は、少なくとも単官能アクリルモノマーまたは単官能メタクリルモノマーと、多官能アクリルモノマーまたは多官能メタクリルモノマーと、の重合物を含有する表面層を有し、前記単官能アクリルモノマーまたは前記単官能メタクリルモノマーは、下記式(1)で表される構造(a)または構造(b)を有する。
Figure 2021142707
(式(1)中、Xは極性官能基または極性官能基を有する構造であり、Yは炭素原子および酸素原子の合計数が3つ以上の連結基である。)
本発明によれば、インクを濡れ広がらせやすくし、プレコート液を均一に濡れ広がらせることができるとともに、良好な転写性を有する中間転写体および当該中間転写体を有する画像形成装置を提供することができる。
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像形成方法を実施するための画像形成装置の構成を示す模式図である。
以下、本発明の一実施の形態に係る中間転写体、画像形成方法および当該中間転写体を有する画像形成装置について順番に説明する。
1.中間転写体
本発明の一実施の形態に係る中間転写体は、少なくとも基材層、および表面層を含む無端状のベルトであることが好ましい。ここで、「無端状」とは、例えば、概念的(幾何学的)には一枚の長尺のシート状物の両端部を繋ぎ合わせて形成されるようなループ状の形状を意味する。中間転写体の実際の形状としては、シームレスのベルト状または円筒状の形状とすることが好ましい。
1−1.基材層
基材層は、所期の導電性と可撓性を有する無端状のベルトである。
基材層は、例えば、可撓性を有する樹脂によって構成されている。基材層を形成する樹脂の例には、芳香族ポリイミド(PI)、芳香族ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、芳香族ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、芳香族ポリカーボネート(PC)、芳香族ポリエーテルケトン(PEK)などのベンゼン環を含む構造単位を有する樹脂、ポリフッ化ビニリデン、またはこれらの混合物や共重合物が含まれる。
あるいは、上記基材層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリイミドフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレン(PS)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、およびアイオノマーフィルムなどの樹脂フィルム、セロハン、酢酸セルロースなどのセルロース誘導体から形成されていてもよい。
また、基材層は、上記樹脂以外の成分を含んでいてもよい。たとえば、基材層は無機フィラーを含有していてもよい。無機フィラーは、例えば、基材層の硬さ、伝熱性および導電性の少なくともいずれかの向上に寄与する成分である。無機フィラーの例には、カーボンブラック、ケッチェンブラック、ナノカーボンおよび黒鉛が含まれる。無機フィラーは、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
基材層は、公知の一般的な方法により製造できる。たとえば、基材層は材料となる耐熱性樹脂を押出機により溶融し、環状ダイを使用したインフレーション法により筒状に成形した後、輪切りにすることで環状(無端状のベルト)に製造できる。
また、基材層は表面処理されてもよい。基材層の表面処理方法は、特に限定されないが、UV照射、コロナ処理、オゾン処理、ブラスト処理、テクスチャー処理、カップリング剤塗布による表面処理をしてもよい。
1−2.表面層
表面層は、基材層または弾性層の外周面上に配置される層である。上記表面層は、樹脂、および溶剤を含む塗布液の硬化物である。なお、当該塗布液には、重合開始剤を含んでいてもよい。
また、表面層の厚さは、特に限定されないが0.5μm以上10μm以下が好ましく、1μm以上8μm以下がより好ましい。表面層の厚さが0.5μm以上の場合には、良好な膜質を得られるだけでなく、膜厚不足から予想される強度不足も抑制することができる。また、厚さが10μm以下の場合には、表面層の耐久性を向上させることができる。
(樹脂)
本発明の一実施の形態に係る表面層は、単官能アクリルモノマーまたは単官能メタクリルモノマーと、多官能アクリルモノマーまたは多官能メタクリルモノマーと、の重合物を含有することが好ましい。上記単官能アクリルモノマーまたは上記単官能メタクリルモノマーは、下記式(1)で表される構造(a)または構造(b)を有する樹脂であることが好ましい。
Figure 2021142707
(式(1)中、Xは極性官能基または極性官能基を有する構造であり、Yは炭素原子および酸素原子の合計数が3つ以上の連結基である。)
(単官能アクリルモノマーまたは単官能メタクリルモノマー)
上記樹脂は、上記式(1)で表される連結基Y(以下、単に「Y」ともいう)が、直鎖または分岐の飽和炭化水素骨格、脂環式炭化水素骨格、芳香族炭化水素骨格、エチレンオキサイド骨格、プロピレンオキサイド骨格、およびエステル骨格からなる群から選択される骨格構造を有することが好ましく、上記式(1)で表される極性官能基または極性官能基を有する構造X(以下、単に「X」ともいう)が、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基を有する1価の構造、エーテル基を有する1価の構造、ウレタン基を有する1価の構造、ニトロ基、リン酸基およびスルホ基からなる群から選択される極性官能基または極性官能基を有する構造であることが好ましい。
上記連結基Yの中では、直鎖の飽和炭化水素骨格、脂環式炭化水素骨格、およびエステル骨格であることがより好ましい。上記Yが、炭素原子および酸素原子の合計数が3つ以上の連結基であると、その分子鎖が長くなることから、(メタ)アクリロイル基が連結してなる主鎖が表面層の表面から離れた深さに位置していても、上記分子鎖の末端(Xおよび連結基Yが結合している部分)が、表面層の表面付近(インクおよびプレコート液と接触する側)に接近することができる。これにより、表面層の表面付近における上記極性官能基の量を多くすることができる。また、隣接する分岐鎖(Yに由来する構造)同士がそれぞれの嵩高い骨格により互いの自由運動を制限する。そのため、表面近くに配置された極性官能基(Xに由来する極性官能基)の、分子の自由な回転運動による表面層の内部への移動は生じにくい。
また、上記連結基Yが、上記嵩高い骨格を有すると、上記分子鎖の末端(Xが結合している部分)が、自由に移動しにくい。そのため、表面層の内部で、主鎖の回転などによりX同士が接近し、かつX同士の相互作用(分子内相互作用または分子間相互作用)によりXが表面層の内部に引き留められることによる、表面層の表面からのXの減少も生じにくい。これらの作用により、Yは、表面層の表面付近における上記極性官能基の量を増やし、かつ上記増やされた量を維持すると考えられる。
上記極性官能基または極性官能基を有する構造Xは、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、エーテル基を有する1価の構造、およびリン酸基であることがより好ましく、カルボキシ基であることがさらに好ましい。ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、エーテル基を有する1価の構造、およびリン酸基は、親水性を有する官能基である。このような極性官能基は、インクおよびプレコート液に含まれる極性官能基(例えばヒドロキシ基)との親和性が高い。そのため、このような極性官能基が表面層上(インクおよびプレコート液と接触する側)に配向することにより、インクおよびプレコート液を表面層上に均一に濡れ広がらせることができる。また、中間転写体の表面層上でプレコート液を均一に濡れ広がらせられることにより、記録媒体への画像の転写性も向上させることができる。とくに、カルボキシ基は、カルボニル基と、ヒドロキシ基とを有する構造であることから上記官能基よりも親水性がより高いので、インクおよびプレコート液の濡れ性を顕著に高めることができる。
上記連結基Yおよび極性官能基または極性官能基を有する構造Xを有する単官能アクリルモノマーまたは単官能メタクリルモノマー(以下、単に「単官能(メタ)アクリルモノマー」ともいう)の例には、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−(ブチルアミノ)カルボニルオキシエチルアクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルホスホネート、メトキシポリエチレングリコール400メタクリレート、メトキシプロピレングリコールメタクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが含まれる。
上記単官能(メタ)アクリルモノマーの中では、炭素原子および酸素原子の合計数が3つ以上の連結基Yとして、飽和炭化水素骨格、脂環式炭化水素骨格、またはエステル骨格を有し、極性官能基または極性官能基を有する構造Xとしてカルボキシ基を有する、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸が好ましい。上記単官能アクリルモノマーまたは単官能メタクリルモノマーとして、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸を用いることにより、表面層上でインクおよびプレコート液を均一に濡れ広がらせることができ、記録媒体への画像の転写性を向上させることができる。
(多官能モノマー)
本発明の一実施の形態に係る表面層は、多官能アクリルモノマーまたは多官能メタクリルモノマー(以下、単に「多官能(メタ)アクリル」ともいう)を含む。上記多官能(メタ)アクリルは、ポリエチレングリコール骨格、ポリエチレンポリプロピレングリコール骨格、プロピレンオキサイド骨格、エチレンオキサイド骨格、イソシアヌル酸骨格、グリセリン骨格、ビスフェノールA骨格、ペンタエリスリトール骨格からなる群から選択される構造を分子内に有することが好ましい。上記構造の中では、グリセリン骨格、イソシアヌル酸骨格、ポリエチレングリコール骨格、ポリエチレンポリプロピレングリコール骨格であることがより好ましい。
上記グリセリン骨格、イソシアヌル酸骨格、ポリエチレングリコール骨格、ポリエチレンポリプロピレングリコール骨格は、親水性を有するので、インクおよびプレコート液との親和性を高めることができる。また、嵩高い構造を有しているので、多官能モノマーと反応した単官能モノマーが、分子内で自由回転しにくくなるので、単官能モノマーの極性官能基または極性官能基を有する構造Xが、分子内に存在する他の極性官能基に引き寄せられにくくなり、表面層の表面(インクおよびプレコート液と接触する側)に配向しやすくなる。これにより、表面層の表面が親水性になることから、インクおよびプレコート液に含まれる極性官能基(例えばヒドロキシ基)が、分子間力により表面層に引き寄せられて、インクおよびプレコート液を表面層上に均一に濡れ広がらせることができる。また、中間転写体の表面層上でプレコート液を均一に濡れ広がらせることにより、記録媒体への転写性を向上させることができる。
本発明の一実施の形態に係る単官能(メタ)アクリルモノマーの溶解度パラメータ(SP値)は、15以上40以下であることが好ましく、16以上36以下であることがより好ましい。また、本発明の一実施の形態に係る多官能(メタ)アクリルモノマーの溶解度パラメータ(SP値)は、15以上40以下であることが好ましく、16以上36以下であることがより好ましい。
上記SP値が15以上40以下である単官能(メタ)アクリルモノマーと、上記SP値が15以上40以下である多官能(メタ)アクリルモノマーと、の重合物を含有することにより、上記表面層上に付与される上記インクを濡れ広がらせることができ、上記プレコート液を均一に濡れ広がらせることができる。
(溶剤)
本発明の一実施の形態に係る塗布液は、溶剤を含むことが好ましい。上記溶剤の例には、エタノール、2−ブタノール、酢酸エチル、ヘキサン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、キシレンが含まれる。上記溶剤は、その1種類のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
(重合開始剤)
また、本発明の一実施の形態に係る塗布液は、重合開始剤を含むことが好ましい。上記重合開始剤は、活性線の照射により、上記活性線重合性化合物の重合を開始できるものであればよい。たとえば、上記活性線硬化型インクがラジカル重合性化合物を有するときは、重合開始剤は光ラジカル開始剤とすることができ、上記活性線硬化型インクがカチオン重合性化合物を有するときは、重合開始剤は光カチオン開始剤(光酸発生剤)とすることができる。
ラジカル重合開始剤には、分子内結合開裂型のラジカル重合開始剤と分子内水素引き抜き型のラジカル重合開始剤とが含まれる。
分子内結合開裂型のラジカル重合開始剤の例には、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、および2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノンなどを含むアセトフェノン系の開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、およびベンゾインイソプロピルエーテルなどを含むベンゾイン類、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなどを含むアシルホスフィンオキシド系の開始剤、ならびに、ベンジルおよびメチルフェニルグリオキシエステルなどが含まれる。
分子内水素引き抜き型のラジカル重合開始剤の例には、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、および3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどを含むベンゾフェノン系の開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンなどを含むチオキサントン系の開始剤、ミヒラーケトン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンなどを含むアミノベンゾフェノン系の開始剤、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、ならびにカンファーキノンなどが含まれる。
カチオン系の重合開始剤の例には、光酸発生剤が含まれる。光酸発生剤の例には、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、およびホスホニウムなどを含む芳香族オニウム化合物のB(C 、PF 、AsF 、SbF 、CFSO 塩など、スルホン酸を発生するスルホン化物、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物、ならびに鉄アレン錯体などが含まれる。
1−3.弾性層
本発明の一実施の形態に係る中間転写体は、弾性層を含んでもよい。上記弾性層は、基材層と表面層との間に配置される層である。
弾性層の材料は、耐熱性ゴムが好ましい。耐熱性ゴムの例には、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、フッ素ゴム、液状フッ素エラストマーが含まれる。耐熱性ゴムは、耐熱性の観点から、シロキサン結合を主鎖とする弾性ゴムが好ましく、シリコーンゴムが好ましい。耐熱性ゴムは、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
また、弾性層は、上記弾性樹脂材料以外の成分をさらに含んでいてもよい。たとえば、弾性材料は、弾性層の伝熱性を高めるための伝熱性のフィラーをさらに含んでいてもよい。伝熱性のフィラーの例には、シリカ、金属シリカ、アルミナ、亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、カーボンおよび黒鉛が含まれる。伝熱性のフィラーの形態は、特に限定はされないが、例えば、球状粉末、不定形粉末、扁平粉末または繊維が好ましい。
1−4.中間転写体の製造方法
本発明の一実施の形態に係る中間転写体の製造方法は、弾性層を有する基材層を回転させながら、当該基材層の外周面(弾性層側)に、上記表面層形成用の塗布液(以下、「塗布液」ともいう)を、複数のノズルを用いて塗布して表面層を形成する工程を有する。
基材層は、公知の一般的な方法により製造できる。たとえば、基材層は材料となる耐熱性樹脂を押出機により溶融し、環状ダイを使用したインフレーション法により筒状に成形した後、輪切りにすることで環状(無端状のベルト)に製造できる。
表面層は、上記基材層を回転させながら、上記塗布液を、基材層の外周面(弾性層側)にノズルを用いて塗布して表面層を形成する工程を有する。
基材層を回転させる手段の例には、複数のローラや、円筒状の回転体が含まれる。上記複数のローラや、円筒状の回転体には、回転駆動装置が連結されている。複数のローラを用いる場合には、無端ベルト状である基材層の両端に配置され、基材層にテンションをかけて把持するとともに、ローラの回転に従って、基材層を回転させることができる。また、円筒状の回転体を用いる場合には、回転体の外周面に無端ベルト状である基材層を配置して、回転体の回転動作に従って基材層を回転させることができる。
また、表面層の厚さは、特に限定されないが、0.5〜10μmが好ましく、1.0〜8.0μmがより好ましい。表面層の厚さが0.5μm以上の場合には、良好な膜質を得られるだけでなく、膜厚不足から予想される強度不足も抑制することができる。また、厚さが10μm以下の場合には、表面層の耐久性を向上させることができる。
上記塗布液に、活性線硬化性樹脂が含有されている場合には、基材層の表面の配置される弾性層上の塗膜に活性線(例えば紫外線)を照射して硬化させることができる。また、上記塗布液に、熱硬化性樹脂が含有されている場合には、基材層の表面の配置される弾性層上の塗膜を乾燥装置によって熱硬化させることができる。本発明の一実施の形態において、弾性層を有する中間転写体について説明したが、これに限定されず、基材層と表面層とを有する中間転写体に用いることもできる。
2.画像形成方法
本発明の一実施の形態に係る画像形成方法は、中間転写体の表面にプレコート液を付与する工程と、上記中間転写体の前記プレコート液が付与された面にインクジェット用のインクを付与する工程と、上記付与されたインクジェット用のインクを記録媒体に転写する工程と、を有し、上記中間転写体は、少なくとも単官能アクリルモノマーまたは単官能メタクリルモノマーと、多官能アクリルモノマーまたは多官能メタクリルモノマーと、の重合物を含有する表面層を有し、前記単官能アクリルモノマーまたは前記単官能メタクリルモノマーは、下記式(1)で表される構造(a)または構造(b)を有する。
Figure 2021142707
(式(1)中、Xは極性官能基または極性官能基を有する構造であり、Yは炭素原子および酸素原子の合計数が3つ以上の連結基である。)
以下、各工程について説明する。
2.画像形成方法
本発明の一実施の形態に係る画像形成方法は、中間転写体の表面にプレコート液を付与してプレコート層を形成する工程と、中間転写体の表面に形成された液体状のプレコート層の表面にインクジェット用のインクを付与して、中間画像を形成する工程と、活性線硬化型インクを、中間転写体から記録媒体の表面に転写する工程と、を有する。なお、活性線硬化型インクを用いる場合には、インクジェット用のインクを硬化させる工程をさらに有することが好ましい。
2−1.プレコート液を付与する工程
プレコート液を付与する工程は、中間転写体の表面にプレコート液を付与して、液体状のプレコート層を形成する工程である。
(プレコート液)
本発明の一実施の形態に係るプレコート液は、水および水溶性有機溶剤などの液体成分を用いることができる。また、プレコート液中には、表面張力および粘度を調整するための調整剤を含んでも良い。
上記水溶性有機溶剤の例には、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンが含まれる。
上記調整剤の例には界面活性剤などが含まれる。
上記界面活性剤の例には、上記界面活性剤の例には、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類および脂肪酸塩類を含むアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類およびポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類を含むノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類および第四級アンモニウム塩類を含むカチオン性界面活性剤、シリコーン系の界面活性剤、ならびにフッ素系の界面活性剤が含まれる。上記界面活性剤の中では、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類が好ましい。
また、本発明の一実施の形態に係るプレコート液の溶解度パラメータ(SP値)は、26以上35以下であることが好ましく、29以上35以下であることがより好ましい。上記プレコート液のSP値が26以上であると、上記プレコート液が上記表面層に濡れ広がりやすくなる。また、上記プレコート液のSP値が35以下であると、記録媒体への転写時に中間転写体の表面から中間画像が剥離しやすくなる。
上記溶解度パラメータ(SP値)は、HSPiPソフトウェア(ハンセンの溶解度パラメータ(HSP値))を用いて計算することができる。ハンセンの溶解度パラメータとは、溶解度パラメータ(SP値)を分散項(dD)、極性項(dP)、水素結合項(dH)の三つに分割し三次元のベクトルとして捉えたものである。なお、物質固有のHSP値は以下の式に定義され、ハンセンが提唱したこの考え方は、「化学工業社、化学工業2010年3月号 山本博志、Steven Abbott、Charles M.Hansen」に記載されている。
(プレコート液の付与方法)
上記プレコート液は、スプレー塗布、ノズルやスリットを用いたスパイラル塗布、ディッピング塗布、ロールコーター塗布など公知の液体塗布方法を用いることができる。上記プレコート液は粘度が高いため、ロールコーター塗布方法を用いて中間転写体の表面全体に付与することが好ましい。
上記プレコート液は、インクジェット用のインクが付与される前の中間転写体の表面に付与されるものであり、上記プレコート液を中間転写体の表面全体に付与することにより、中間画像(インクジェット用のインク)を記録媒体に転写する際に、中間転写体の表面から中間画像が剥離しやすくなる。
2−2.インクジェット用のインクを付与する工程
インクジェット用のインクを付与する工程は、中間転写体の表面に形成された液体状のプレコート層の表面にインクジェット用のインクを付与して、中間画像を形成する工程である。
[インクジェット用のインク]
本発明の一実施の形態に係るインクジェット用のインクは、水系のインクジェット用インクでもよいし、溶剤系のインクジェット用インクでもよい。上記インクジェット用インクにおいては、溶剤系のインクジェット用インクであることが好ましく、活性線硬化型インクであることが好ましい。上記活性線硬化型インクは、活性線重合性化合物を含み、活性線(例えば紫外線)の照射により上記活性線重合性化合物が重合および架橋して硬化するインクである。また、上記活性線硬化型インクは、必要に応じて、重合開始剤、ゲル化剤、重合禁止剤、染料および顔料などの色材、顔料を分散させるための分散剤、顔料を基材に定着させるための定着樹脂、界面活性剤、pH調整剤、保湿剤、紫外線吸収剤などを含有してもよい。上記その他の成分は、上記組成物中に、1種類のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
(活性線重合性化合物)
上記活性線重合性化合物は、活性線の照射により架橋または重合する化合物である。活性線の例には、紫外線、電子線、エックス線、α線およびγ線などが含まれる。上記活性線の中では、紫外線が好ましい。上記活性線重合性化合物の例には、ラジカル重合性化合物、カチオン重合性化合物、またはそれらの混合物が含まれる。上記活性線重合性化合物の中では、ラジカル重合性化合物が好ましい。なお、上記活性線重合性化合物は、モノマー、重合性オリゴマー、プレポリマーおよびこれらの混合物のいずれであってもよい。
ラジカル重合性化合物とは、分子中にエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物である。ラジカル重合性化合物は、単官能または多官能の化合物でありうる。ラジカル重合性化合物の例には、不飽和カルボン酸エステル化合物である、(メタ)アクリレートが含まれる。なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基またはメタクリロイル基を意味し、「(メタ)アクリル」は、アクリルまたはメタクリルを意味する。
単官能の(メタ)アクリレートの例には、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミルスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸およびt−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートが含まれる。なお、表面層を構成する単官能の(メタ)アクリレートを含んでもよい。
多官能の(メタ)アクリレートの例には、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートおよびトリプロピレングリコールジアクリレートなどの2官能の(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能の(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレートなどの3官能以上の(メタ)アクリレート;ポリエステルアクリレートオリゴマーを含む(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー、ならびにこれらの変性物などが含まれる。上記変性物の例には、エチレンオキサイド基を挿入したエチレンオキサイド変性(EO変性)アクリレート、およびプロピレンオキサイドを挿入したプロピレンオキサイド変性(PO変性)アクリレートが含まれる。なお、表面層を構成する多官能の(メタ)アクリレートを含んでもよい。
また、カチオン重合性化合物とは、分子中にカチオン重合性基を有する化合物である。カチオン重合性化合物の例には、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物およびオキセタン化合物などが含まれる。
上記エポキシ化合物の例には、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンモノエポキサイド、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1−メチル−4−(2−メチルオキシラニル)−7−オキサビシクロ[4,1,0]ヘプタン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサノン−メタ−ジオキサンおよびビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテルなどの脂環式エポキシ樹脂、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、およびグリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種類または2種類以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドなど)を付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテルなどを含む脂肪族エポキシ化合物、ならびに、ビスフェノールAまたはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAまたはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、およびノボラック型エポキシ樹脂などを含む芳香族エポキシ化合物などが含まれる。
上記ビニルエーテル化合物の例には、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−o−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、およびオクタデシルビニルエーテルなどを含むモノビニルエーテル化合物、ならびにエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、およびトリメチロールプロパントリビニルエーテルなどを含むジまたはトリビニルエーテル化合物などが含まれる。
上記オキセタン化合物の例には、3−ヒドロキシメチル−3−メチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−プロピルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−ノルマルブチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−フェニルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−ベンジルオキセタン、3−ヒドロキシエチル−3−メチルオキセタン、3−ヒドロキシエチル−3−エチルオキセタン、3−ヒドロキシエチル−3−プロピルオキセタン、3−ヒドロキシエチル−3−フェニルオキセタン、3−ヒドロキシプロピル−3−メチルオキセタン、3−ヒドロキシプロピル−3−エチルオキセタン、3−ヒドロキシプロピル−3−プロピルオキセタン、3−ヒドロキシプロピル−3−フェニルオキセタン、3−ヒドロキシブチル−3−メチルオキセタン、1,4ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタンおよびジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルなどが含まれる。
上記活性線重合性化合物の含有量は、例えば、活性線硬化型インクの全質量に対して1質量%以上97質量%以下であることが好ましく、30質量%以上90質量%以下とすることがより好ましい。
(重合開始剤)
本発明の一実施の形態に係る活性線硬化型インクは、重合開始剤を含むことができる。上記重合開始剤は、上述の塗布液に含むことができる重合開始剤を用いることができる。
(ゲル化剤)
本発明の一実施の形態に係る活性線硬化型インクは、ゲル化剤を含むことができる。ゲル化剤は、常温では固体であるが、加熱すると液体となることにより、上記活性線硬化型インクを温度変化に応じてゾルゲル相転移させることができる有機物である。
ゲル化剤の例には、ジペンタデシルケトン、ジヘプタデシルケトン、ジリグノセリルケトン、ジベヘニルケトン、ジステアリルケトン、ジエイコシルケトン、ジパルミチルケトン、ジミリスチルケトン、ラウリルミリスチルケトン、ラウリルパルミチルケトン、ミリスチルパルミチルケトン、ミリスチルステアリルケトン、ミリスチルベヘニルケトン、パルミチルステアリルケトン、バルミチルベヘニルケトンおよびステアリルベヘニルケトン等の脂肪族ケトンワックス;パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニル、イコサン酸イコシル、ステアリン酸ベヘニル、ステアリン酸パルミチル、ステアリン酸ラウリル、パルミチン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸ステアリル、エルカ酸ステアリル、リノール酸ステアリル、オレイン酸ベヘニルおよびリノール酸アラキジル等の脂肪族エステルワックス;N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド、N−(2−エチルヘキサノイル)−L−グルタミン酸ジブチルアミド等のアミド化合物;1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−グルシトール等のジベンジリデンソルビトール類;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス;キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、ホホバ固体ロウ、およびホホバエステル等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリンおよび鯨ロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、および水素化ワックス等の鉱物系ワックス;硬化ヒマシ油または硬化ヒマシ油誘導体;モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体またはポリエチレンワックス誘導体等の変性ワックス;ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、およびエルカ酸等の高級脂肪酸;ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;12−ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシステアリン酸;12−ヒドロキシステアリン酸誘導体;ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド;N−ステアリルステアリン酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド等のN−置換脂肪酸アミド;N,N’−エチレンビスステアリルアミド、N,N’−エチレンビス−12−ヒドロキシステアリルアミド、およびN,N’−キシリレンビスステアリルアミド等の特殊脂肪酸アミド;ドデシルアミン、テトラデシルアミンまたはオクタデシルアミンなどの高級アミン;ステアリルステアリン酸、オレイルパルミチン酸、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル化合物;ショ糖ステアリン酸、ショ糖パルミチン酸等のショ糖脂肪酸エステル;ポリエチレンワックス、α−オレフィン無水マレイン酸共重合体ワックス等の合成ワックス;重合性ワックス;ダイマー酸;ダイマージオール等が含まれる。これらのワックスは、1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記ゲル化剤の含有量は、活性線硬化型インクの全質量に対して0.5質量%以上10質量%未満であることが好ましく、活性線硬化型インクの全質量に対して1質量%以上10質量%未満であることがより好ましく、活性線硬化型インクの全質量に対して2質量%以上7質量%以下であることがさらに好ましい。
また、上記ゲル化剤は、インクのゲル化温度以下の温度で、インク中で結晶化することが好ましい。ここで、ゲル化温度とは、加熱によりゾル化または液体化したインクを冷却していったときに、インクがゾルからゲルに相転移し、インクの粘度が急変する温度をいう。具体的には、ゾル化または液体化したインクを、例えば、レオメータMCR300(Anton Paar社製)で粘度を測定しながら冷却していき、粘度が急激に上昇した温度を、そのインクのゲル化温度とすることができる。
上記ゲル化剤がインク中で結晶化すると、板状に結晶化した上記ゲル化剤およびワックスによって形成された三次元空間に活性線重合性化合物が内包される構造が形成されることがある(このような構造を、以下「カードハウス構造」という)。カードハウス構造が形成されると、液体の活性線重合性化合物が上記空間内に保持されるため、インクが付着して形成されたドットがより濡れ広がりにくくなり、インクのピニング性がより高まる。インクのピニング性が高まると、インクが記録媒体に付着して形成されたドット同士が合一しにくくなる。
(重合禁止剤)
上記活性線硬化型インクは、重合禁止剤を含むことができる。
上記重合禁止剤の例には、(アルキル)フェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、p−メトキシフェノール、t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、ピロガロール、1,1−ピクリルヒドラジル、フェノチアジン、p−ベンゾキノン、ニトロソベンゼン、2,5−ジ−t−ブチル−p−ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、トリ−p−ニトロフェニルメチル、N−(3−オキシアニリノ−1,3−ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ジブチルクレゾール、シクロヘキサノンオキシムクレゾール、グアヤコール、o−イソプロピルフェノール、ブチルアルドキシム、メチルエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシムが含まれる。
上記重合禁止剤の含有量は、インクの全質量に対して0.05質量%以上0.2質量%以下とすることができる。
(色材)
上記活性線硬化型インクは、色材を含むことができる。色材には、顔料および染料が含まれる。活性線硬化型インクの分散安定性をより高め、かつ耐候性が高い画像を形成する観点からは、色材は顔料であることが好ましい。顔料の例には、有機顔料および無機顔料が含まれる。染料の例には、各種の油溶性染料が含まれる。
上記顔料は、形成すべき画像の色などに応じて、例えば、カラーインデックスに記載される赤またはマゼンタ顔料、黄顔料、緑顔料、青またはシアン顔料および黒顔料から選択することができる。
顔料または染料の含有量は、インクの全質量に対して0.1質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、0.4質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。顔料または染料の含有量が、インクの全質量に対して0.1質量%以上であると、得られる画像の発色が十分となる。顔料または染料の含有量がインクの全質量に対して20.0質量%以下であると、インクの粘度が高まりすぎない。
(分散剤)
上記顔料は、分散剤で分散されていてもよい。上記分散剤は、上記顔料を十分に分散させることができればよい。分散剤の例には、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、およびステアリルアミンアセテートが含まれる。
(定着樹脂)
上記活性線硬化型インクは、塗膜の耐擦性およびブロッキング耐性をより高めるため、定着樹脂を含有してもよい。
定着樹脂の例には、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリシロキサン樹脂、マレイン酸樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ニトロセルロース、酢酸セルロース、エチルセルロース、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、およびアルキド樹脂が含まれる。
上記定着樹脂の含有量は、例えば、活性線重合性化合物の全質量に対して1質量%以上10質量%以下とすることができる。
(界面活性剤)
上記活性線硬化型インクは、界面活性剤を含有してもよい。
界面活性剤は、インクの表面張力を調整して、付与後のインクの基材に対する濡れ性を調整したり、隣接する液滴間の合一を抑制したりすることができる。
界面活性剤の例には、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、およびパーフルオロアルケニル基を有するフッ素系界面活性剤などが含まれる。
界面活性剤の含有量は、活性線硬化型インクの全質量に対して0.001質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.001質量%以上1質量%以下であることがより好ましい。
(その他の成分)
上記活性線硬化型インクは、上記成分以外に、必要に応じて、多糖類、粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防黴剤、防錆剤などを含んでもよい。
(活性線硬化型インクの物性)
上記活性線硬化型インクの粘度は、40℃において、1×10mPa・s以上5×10mPa・s未満であることが好ましく、3×10mPa・s以上1×10mPa・s未満であることがより好ましい。インク付与時の中間転写体の温度における粘度が1×10mPa・s以上であると、中間転写体に付与された活性線硬化型インクの液滴が広がり難く、液滴同士が合一し難い。一方で、インク付与時の中間転写体の温度における粘度が5×10mPa・s未満であると、インクジェットヘッドからの吐出性が良好となる。
また、インクジェットヘッドからの射出性をより高める観点からは、上記活性線硬化型インクの80℃における粘度は3mPa・s以上20mPa・s以下であることが好ましい。80℃における粘度が3mPa・s以上20mPa・s以下であると、インクジェットヘッドからの上記活性線硬化型組成物の射出時に組成物がゲル化しにくいため、より安定して上記活性線重合性化合物を射出することができる。また、活性線硬化型インクがゲル化剤を含有している場合には、着弾して常温に降温した際にインクを十分にゲル化させる観点から、上記活性線硬化型インクの25℃における粘度は1000mPa・s以上であることが好ましい。25℃における粘度は1000mPa・s以上であると、中間転写体に付与されたインク液滴が広がり難く、液滴同士が合一し難い。
上記活性線硬化型インクの40℃、80℃における粘度は、レオメータにより、活性線硬化型インクの動的粘弾性の温度変化を測定することにより求めることができる。たとえば、上記活性線硬化型インクの40℃における粘度および80℃における粘度は、レオメータにより、活性線硬化型インクを100℃に加熱し、ストレス制御型レオメータ(AntonPaar社製、Physica MCR301(コーンプレートの直径:75mm、コーン角:1.0°))によって粘度を測定しながら、剪断速度11.7(1/s)、降温速度0.1℃/sの条件で40℃までインクを冷却して得られた粘度の温度変化曲線において40℃および80℃における粘度をそれぞれ読み取ることにより求める。
[活性線硬化型インクの調製方法]
上記活性線硬化型インクは、前述の活性線重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤、色材と、任意のその他の成分とを、加熱下において混合することにより調製することができる。この際、得られた混合液を所定のフィルターで濾過することが好ましい。なお、顔料を含有するインクを調製する際は、顔料、活性線重合性化合物を含む顔料分散液を調製し、その後、顔料分散液と他の成分とを混合することが好ましい。顔料分散液は、分散剤をさらに含んでもよい。
上記顔料分散液は、活性線重合性化合物に顔料を分散して調製することができる。顔料の分散は、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカーなどを用いて行えばよい。このとき、分散剤を添加してもよい。
[活性線硬化型インクの付与方法]
上記活性線硬化型インクを上記液体状のプレコート層の表面に付与する方法は、特に限定されず、スプレー塗布、浸漬法、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、インクジェット法などの公知の方法を使用することができる。本発明の一実施の形態では、上記液体状のプレコート層の表面に活性線硬化型インクを付与して、中間画像を形成する工程では、活性線硬化型インクを、インクジェットヘッドから吐出して、上記液体状のプレコート層の表面に付与する、インクジェット法を用いることが好ましい。
インクジェット法で使用するインクジェットヘッドは、オンデマンド方式およびコンティニュアス方式のいずれのインクジェットヘッドでもよい。オンデマンド方式のインクジェットヘッドの例には、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型およびシェアードウォール型を含む電気−機械変換方式、ならびにサーマルインクジェット型およびバブルジェット(「バブルジェット」はキヤノン株式会社の登録商標)型を含む電気−熱変換方式等が含まれる。
また、インクジェットヘッドは、スキャン式およびライン式のいずれのインクジェットヘッドでもよい。
このとき、活性線硬化型インクの液滴の吐出性を高めるために、インクジェットヘッド内の活性線硬化型インクを40〜120℃に加熱して、上記加熱された活性線硬化型インクを吐出することが好ましい。
また、上記活性線硬化型インクがゲル化剤を含むときは、インクジェットヘッド内の活性線硬化型インクの温度を、活性線硬化型のゲル化温度より10℃以上40℃未満高い温度に設定することが好ましい。インクジェットヘッド内の活性線硬化型インクの温度をゲル化温度+10℃以上にすることで、インクジェットヘッド内もしくはノズル表面で活性線硬化型インクがゲル化することがなく、活性線硬化型インクを良好に射出することができる。また、インクジェットヘッド内の活性線硬化型インクの温度を活性線硬化型インクのゲル化温度+40℃未満とすることで、インクジェットヘッドの熱的負荷を小さくすることができる。特に、ピエゾ素子を用いたインクジェットヘッドでは、熱的負荷による性能低下が生じやすいため、活性線硬化型インクの温度を上記範囲内とすることが特に好ましい。
上記活性線硬化型インクがゲル化剤を含むときは、中間転写体の表面に付与された活性線硬化型インクは、ゲル化剤が結晶化してピニングされる。これにより、活性線硬化型インクが付与されて形成されたドットがより濡れ広がりにくくなり、活性線硬化型インクが上記中間転写体の表面に着弾して形成されたドット同士が合一するのを抑制することができる。
このとき、活性線硬化型インクのピニング性を高めるために、中間転写体の表面温度をゲル化剤のゲル化温度の付近またはそれ以下としてもよい。
2−3.インクジェット用のインクを記録媒体に転写する工程
インクジェット用のインクを転写する工程は、活性線硬化型インクを、中間転写体から記録媒体の表面に転写する工程である。記録媒体に転写する際に、上記中間転写体の表面に形成された活性線硬化型インクを加圧部材で加圧する工程を、さらに含んでもよい。上記画像を加圧する際の、上記加圧部材の温度は、20℃以上90℃以下であることが好ましく、20℃以上80℃以下であることがより好ましい。上記加圧部材の温度を上記範囲にすることにより、上記活性線硬化型インクのガラス転移点(Tg)が室温よりも高い場合であっても、転写性を低下させることなく、上記活性線硬化型インクを中間転写体から上記記録媒体に転写することができる。
2−4.インクジェット用のインクを硬化させる工程
インクジェット用のインクとして、活性線硬化型インクを用いる場合には、インクジェット用のインクを硬化させる工程を有することが好ましい。上記工程では、記録媒体に転写された活性線硬化型インク(中間画像)に活性線(例えば紫外線)を照射して、上記活性線硬化型インク(中間画像)を完全に硬化させる工程である。これにより、記録媒体の表面に、目的とする高精細な画像が形成される。なお、当該工程で照射される活性線の波長は350nm〜450nmであること好ましく、380nm以上430nm未満であることがより好ましい。これにより、活性線硬化型インクを本硬化させることにより、記録媒体と活性線硬化型インクの定着性を高めることができる。
本発明の一実施の形態に係る画像形成方法は、上述の画像形成方法に限定されない。たとえば、活性線硬化型インクを記録媒体に転写する前に、または転写時に、活性線硬化型インクに活性線(例えば紫外線)を照射して活性線硬化型インクを増粘させる増粘工程を有していてもよい。
3.画像形成装置
図1は、本発明の実施の形態に係るインクジェット用の画像形成装置100の例示的な構成を示す模式図である。
本発明の一実施の形態に係る画像形成装置100は、少なくとも基材層、および表面層を含む中間転写体110と、中間転写体110の表面にプレコート液を付与するプレコート液付与部120と、プレコート液が付与された面にインクジェット用のインクを付与するインク付与部130と、付与されたインクジェット用のインクを記録媒体に転写する転写部140と、を有し、中間転写体110は、少なくとも単官能アクリルモノマーまたは単官能メタクリルモノマーと、多官能アクリルモノマーまたは多官能メタクリルモノマーと、の重合物を含有する表面層を有し、上記単官能アクリルモノマーまたは上記単官能メタクリルモノマーは、下記式(1)で表される構造(a)または構造(b)を有する。
Figure 2021142707
(式(1)中、Xは極性官能基または極性官能基を有する構造であり、Yは炭素原子および酸素原子の合計数が3つ以上の連結基である。)
また、画像形成装置100は、無端状のベルトの形状を有する中間転写体110を張架する支持ローラ150、151および152と、記録媒体Mに転写されずに中間転写体110の表面に残存したインクジェット用のインク(以下、インクともいう)を中間転写体110の表面から除去するクリーニング部160と、を有する。インクジェット用のインクとして活性線硬化型インクを用いる場合には、中間画像を構成する活性線硬化型インクを硬化(本硬化)させるための活性線(例えば紫外線)を搬送路170の表面に向けて照射する硬化部180を有することが好ましい。
中間転写体110は、支持ローラ150、151および152によって張架され、かつ回転移動し、中間画像形成部131によって中間転写体110の表面に形成された中間画像を転写部140に搬送する。
3つの支持ローラ150、151および152のうち、少なくとも1つのローラは、駆動ローラであり、中間転写体110をA方向に回転させる。
中間転写体110は、本発明の一実施の形態に係る表面層を有する中間転写体を用いることができる。
また、中間転写体110は、活性線(たとえば紫外線)を透過させる材料から形成されていてもよい。
また、中間転写体110は、基材層と本発明の一実施の形態に係る表面層との間に、シリコーンゴム(SR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)およびエピクロルヒドリンゴム(ECO)などのゴム、エラストマーおよび弾性樹脂など含む弾性層(不図示)を有していてもよい。
中間転写体110における、逆三角形状の左右の頂点部分に位置する支持ローラ150、151および152に張架された部分は、インク付与部130から付与されたインクの着弾面となっている。中間転写体110における、逆三角形状の下側の頂点部分に位置する支持ローラ150は、中間転写体110を搬送路170に向けて所定のニップ圧により加圧する加圧ローラであり、インク付与部130から吐出されたインクが付与して形成された中間画像を記録媒体Mに転写する加圧部141として機能する。
プレコート液付与部120は、表面をスポンジで被覆されたロールコーター121、およびスクレーパー122を有する。ロールコーター121は、中間転写体110の表面にプレコート液を付与する。スクレーパー122は、過剰量のプレコート液を除去して付与されたプレコート液の表面を平滑化し、中間転写体110の表面にプレコート液が所定の厚みで広がってなるプレコート層を形成する。なお、プレコート液付与部120では、バーコーターを用いる方法やインクジェット法などを用いてもよい。
インク付与部130でもある中間画像形成部131は、本発明の一実施の形態ではインクジェット法により中間画像を形成するインク付与部であり、それぞれY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色のインク組成物(インクジェット用のインク)をノズルから吐出して中間転写体110の表面に付与させる、インクジェットヘッド130Y、130M、130Cおよび130Kを有する。インクジェットヘッド130Y、130M、130Cおよび130Kは、上記各色のインクを、中間転写体110の表面のうち形成されるべき画像に応じた位置に付与して、中間画像を形成する。
転写部140は、中間転写体110と搬送路170とが最接近した部分であって、支持ローラ150、151および152によって中間転写体110が搬送路170の方向に付勢されることにより、中間転写体110が接する搬送路170の表面を加圧する。中間転写体110の表面に形成されて搬送されてきた活性線硬化型インクを含む中間画像と、搬送路170の表面に配置されて搬送されてきた記録媒体Mとは、転写部140において接触され、支持ローラ150を介して中間転写体110から搬送路170側に加圧されることで、記録媒体Mに転写される。
搬送路170は、例えば、金属ドラムで構成され、中間画像を転写される記録媒体Mを搬送する。搬送路170は、中間転写体110の一部の表面に接して配置され、支持ローラ150よって中間転写体110の上記接する表面が加圧されることで、転写部140が形成される。搬送路170は、記録媒体Mの先端を固定する爪(不図示)を有してもよい。搬送路170は、当該爪に記録媒体Mの先端を固定し、図1における反時計回り方向に回転することで、記録媒体Mを転写部に搬送する。
硬化部180は、搬送路170による記録媒体Mの搬送方向における、転写部140より下流側に配置され、搬送路170の表面に向けて活性線(紫外線)を照射する。これにより、硬化部180は、記録媒体Mに転写された中間画像に活性線を照射して、中間画像を構成する活性線硬化型インクを硬化(本硬化)させる。これにより、記録媒体Mの表面に、目的とする高精細な画像が形成される。
クリーニング部160は、ウェブローラやスポンジローラ等のクリーニングローラであり、転写部140の下流側で、中間転写体110の表面に接触する。クリーニング部160は、上記クリーニングローラが駆動回転することで、転写部140において記録媒体Mに転写されずに中間転写体110の表面に残存した残組成物(残塗布物)を除去する。
なお、本発明の一実施の形態に係る画像形成装置100は、インクジェット用のインク(例えば、活性線硬化型インク)を記録媒体に転写する前に、または転写時に、増粘させるための増粘部を有していてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.中間転写体の作製
1−1.基材層の作製
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)とを反応させて得られるポリアミド酸のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(宇部興産株式会社製、U−ワニスS(固形分18質量%))に、乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPECIALBLACK4(Degussa社製、pH3.0、揮発分:14.0%))を添加して、混合物を得た。上記酸化処理カーボンブラックは、上記ポリアミド酸から得られるポリイミド系樹脂の固形分100質量部に対して、23質量部になる量を添加した。得られた混合物を、衝突型分散機「GeanusPY」(シーナス社製)を用い、圧力200MPaで、最小面積が1.4mmで2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて、混合して、カーボンブラック入りポリアミド酸溶液を得た。
上記カーボンブラック入りポリアミド酸溶液を、円筒状金型内面に、ディスペンサーを介して回転させながら、30rpmで15分間回転させて0.5mmの均一な厚みを有する円筒状層に塗布した。その後、上記カーボンブラック入りポリアミド酸溶液が塗布された金型を、15rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あて、その後、150℃で60分加熱した。さらに、360℃まで2℃/分の昇温速度で上記金型を昇温し、さらに360℃で30分加熱して溶剤の除去および脱水閉環水の除去を行い、イミド転化反応を完結させた。その後、上記金型を室温に戻し、円筒状層を金型から剥離して、総厚0.1mmの無端ベルト状の基材層を作製した。
1−2.弾性層の作製
液状シリコーンゴム(信越化学工業株式会社製、KE−2060−30)のA液とB液とを等量撹拌混合し、液状シリコーンゴム溶液を得た。上記作製した無端ベルト状の基材を1rpmで回転させながら、ディスペンサーを介して上記液状シリコーンゴム溶液を上記基材の外面に螺旋状に供給し、0.5mmの厚みに塗布した。上記基材をそのまま回転させながら120℃の熱風を5分間あてて、一次硬化を行った。次いで、200℃に昇温したのちに60分加熱し、弾性層付き無端状のベルトを作製した。
1−3.表面層の作製
[表面処理液の作製]
以下の材料を用いて、表面層を作製するための表面処理液を作製した。
表面処理液に含まれる、下記式(1)で示される単官能モノマーの極性官能基または極性官能基を有する構造Xおよび連結基Yを表1に、多官能モノマーの骨格を表2に示す。
Figure 2021142707
(式(1)中、Xは極性官能基または極性官能基を有する構造であり、Yは炭素原子および酸素原子の合計数が3つ以上の連結基である。)
Figure 2021142707
Figure 2021142707
なお、単官能モノマーM1〜M3は大阪有機化学工業株式会社製であり、M4およびM11は共栄社化学株式会社製であり、M5は日立化成株式会社製であり、M6、M8およびM9は新中村化学工業株式会社製であり、M7およびM10は東亜合成株式会社製である。また、多官能モノマーP1は巴工業株式会社製であり、P2は東亜合成株式会社製であり、P3およびP4は新中村化学工業株式会社製である。
(表面処理液1)
70質量部のM1に対し、30質量部のP1と、130質量部の溶剤(2−ブタノン)と、を加えて攪拌して樹脂液1を作製した。次いで、樹脂液1に0.2質量部の重合開始剤「Irgacure815」(BASF社製、Irgacureは同社の登録商標)を加え、10分攪拌することにより表面処理液1を得た。
表面処理液2〜16は、表面処理液1と単官能(メタ)アクリルモノマーおよび多官能(メタ)アクリルモノマーの組み合わせを変更した以外は、表面処理液1と同様にして、表面処理液2〜16を得た。表面処理液1〜16の単官能(メタ)アクリルモノマーおよび多官能(メタ)アクリルモノマーの組み合わせ、および各単官能(メタ)アクリルモノマー、多官能(メタ)アクリルモノマーのSP値を表3に示す。
Figure 2021142707
1−4.中間転写体の作製
上記弾性層付き無端状のベルトを100mm/sで回転させながら、コロナ放電装置(春日電機株式会社製)を用い、350mWの条件でコロナ放電処理を行った。
上記コロナ放電の直後に、スプレーノズルを用いてベルト表面全体が濡れるように、表面処理液1〜16を塗布し、100℃で15分加熱乾燥したのち、活性線(波長395nmのUV−LED光源、FirejetFJ200、Phoseon社製)を照射した。次いで、イオン交換水で表面を洗浄し乾燥した後、12時間エージングすることで中間転写体1〜16を作製した。
2.活性線硬化型インクの調製
活性線硬化型インクを以下の手順で調製した。
2−1.顔料分散液の調製
9.0質量部の顔料分散剤(アジスパーPB824、味の素ファインテクノ株式会社製、「アジスパー」は味の素株式会社の登録商標)と、70.0質量部の活性線重合性化合物(トリプロピレングリコールジアクリレート)と、0.02質量部の重合禁止剤(IrgastabUV10、BASF社製、「Irgastab」は同社の登録商標)と、をステンレスビーカーに入れ、65℃のホットプレートで加熱しながら、1時間加熱撹拌した。
上記混合液を室温まで冷却した後、これに21.0質量部のpigmentRED 122(大日精化工業株式会社製、クロモファインレッド6112JC)を加えた。混合液を、直径0.5mmのジルコニアビーズ200gと共にガラス瓶に入れ密栓し、ペイントシェーカーにて8時間分散処理した。その後、ジルコニアビーズを除去して顔料分散液を得た。
2−2.インクの調製
5.0質量%のゲル化剤「ルナックBA」(ベヘニン酸、花王株式会社製、「ルナック」は同社の登録商標)と、29.9質量%の活性線重合性化合物(ポリエチレングリコール#400ジアクリレート)と、23.0質量%の6EO変性トリメチロールプロパントリアクリレートと、15.0質量%の4EO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレートと、6.0質量%の重合開始剤「DAROCURTPO」(BASF社製、「DAROCUR」は同社の登録商標)と、1.0質量%の重合開始剤「ITX」(DKSHジャパン社製)と、1.0質量%の重合開始剤「DAROCUREDB」(BASF社製)と、0.1質量%の界面活性剤「KF−352」(信越化学工業株式会社製)と、19.0質量%の顔料分散液をステンレスビーカーに入れ、これを80℃のホットプレートで加熱しながら1時間撹拌した。得られた溶液を加熱しながら、ADVATEC社製テフロン(登録商標)3μmメンブランフィルターで濾過することにより活性線硬化型インクを得た。
なお、本発明の一実施の形態では、ゲル化剤を含むインクを調製しているが、これに限定されない。本発明の一実施の形態では、ゲル化剤を含まないインクを用いることもできる。
3.プレコート液の調製
プレコート液1および2を以下の手順で調製した。
3−1.プレコート液1
99質量部の純水と、1質量部のポリオキシエチレンアルキルエーテル(界面活性剤)と、を混合した希釈液を作製し、100質量部の1,5−ペンタンジオールに対して1質量部の希釈液を混合することにより、プレコート液1を得た。なお、プレコート液1のSP値は27であった。
3−2.プレコート液2
99質量部の純水と、1質量部のポリオキシエチレンアルキルエーテル(界面活性剤)と、を混合した希釈液を作製し、100質量部のグリセリンに対して1質量部の希釈液を混合することにより、プレコート液2を得た。なお、プレコート液2のSP値は34であった。
4.評価
表面処理液1〜16の重合物を表面層として有する中間転写体1〜16を用いて画像形成を行い、転写性の評価を行った。また、中間転写体1〜16の表面の濡れ性の評価を行った。
4−1.転写性評価
(評価方法)
画像形成装置に、各記録媒体を600mm/sで搬送し、10枚の30cm×30cmのベタ画および10%濃度のシアンのハーフトーン像をコート紙(OKトップコート、128g/m、王子製紙株式会社製)および普通紙(レザック66、305g/m、特種東海製紙株式会社製)に形成し、ハーフトーン像が上記コート紙および普通紙に転写しているか目視にて判定した。
(評価基準)
◎:転写率が98%以上
○:転写率が95%以上98%未満
△:転写率が90%以上95%未満
×:転写率が90%未満
4−2.濡れ性評価1
(評価方法:接触角測定)
中間転写体1〜16の表面のインクに対する接触角は、JIS R 3257(1999年)に準じて20℃で測定した。
(評価基準)
◎:0度以上10度未満
○:10度以上30度未満
△:30度以上70度未満
×:70度以上
−:評価なし
4−3.濡れ性評価2
(評価方法:塗布面積維持率)
プレコート液をワイヤーバー♯2を用いて中間転写体1〜16の表面に厚みが4.58μmとなるように塗布し、塗布してから30秒後の中間転写体の表面に塗布されたプレコート液の塗布面積を求めた。塗布面積は、株式会社キーエンス製の顕微鏡マイクロスコープ「VHX−7000」を用いて、倍率を20倍で、プレコート液が塗布されている個所を観察することにより求めた。また、塗布面積維持率は、上記求めた塗布面積を用いて、下記数式(1)により算出した。
塗布面積維持率(%)=A2/A1 (1)
A1:プレコート液の塗布直後のプレコート液塗布面積
A2:プレコート液を塗布してから30秒後のプレコート液塗布面積
(評価基準)
◎:塗布面積維持率が98%以上
○:塗布面積維持率が95%以上98%未満
△:塗布面積維持率が90%以上95%未満
×:塗布面積維持率が90%未満
−:評価なし
上記評価結果を表4に示す。なお、中間転写体表面への付与液でプレコート液1およびプレコート液2を用いている場合には、付与されたプレコート液の表面に活性線硬化型インクを付与してからコート紙または普通紙に転写したものを転写性として評価している。
Figure 2021142707
表4に示される転写性評価および濡れ性評価の結果から、炭素原子および酸素原子の合計数が3つ以上の連結基Y、および極性官能基または極性官能基を有する構造Xを有数単官能アクリルモノマーまたは単官能メタクリルモノマーを含む重合物を含有する表面層を有する中間転写体を用いることにより、記録媒体への転写性が良好であり、プレコート液の、中間転写体の表面への濡れ広がりも良好となることがわかった。
特に、連結基Yが飽和炭化水素骨格、脂環式炭化水素骨格、またはエステル骨格を有し、かつ、極性官能基または極性官能基を有する構造Xがカルボキシ基である、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート(飽和炭化水素骨格)、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸(エステル骨格)、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸(脂環式炭化水素骨格、エステル骨格)を含む重合物を含有する表面層を有する中間転写体において、転写性および濡れ性の双方とも良好な結果となった。また、上記中間転写体の表面にグリセリンを含有するプレコート液を用いた際に、転写性および濡れ性において顕著な効果を奏した。
これは、Yが炭素原子および酸素原子の合計数が3つ以上の連結基であると、炭素原子および酸素原子を含む分子鎖が長くなることから、分子内で自由回転しにくくなるので、一定の方向に配向しやすくなる。また、炭素原子および酸素原子の合計数が3つ以上の連結基に環状構造を含むことにより、分子が嵩高くなるので分子内で自由回転しにくくなることから、一定の方向に配向しやすくなるためであると考えられる。
また、上記Yが上述の骨格を有することにより、Yに連結している極性官能基または極性官能基を有する構造Xも一定の方向に配向しやすくなる。そのため、上記Xは、分子内に存在する他の極性官能基に引き寄せられにくくなる一方で、表面層中の上記Xと、インクおよびプレコート液に含まれる極性官能基(例えばヒドロキシ基)とが分子間力により引き寄せられることにより、インクおよびプレコート液が表面層上に均一に濡れ広がったと考えられる。
本発明の中間転写体を用いることにより、転写性に優れ、高精細な画像を得ることができる。そのため、本発明は、インクジェット用のインクを用いた中間転写方式の画像形成方法の適用の幅を広げ、同分野の技術の進展および普及に貢献することが期待される。
100 画像形成装置
110 中間転写体
120 プレコート液付与部
121 ロールコーター
122 スクレーパー
130 インク付与部
131 中間画像形成部
140 転写部
141 加圧部
150、151、152 支持ローラ
160 クリーニング部
170 搬送路
180 硬化部
M 記録媒体

Claims (8)

  1. インクジェット画像形成装置に用いられる中間転写体であって、
    前記中間転写体は、少なくとも単官能アクリルモノマーまたは単官能メタクリルモノマーと、
    多官能アクリルモノマーまたは多官能メタクリルモノマーと、
    の重合物を含有する表面層を有し、
    前記単官能アクリルモノマーまたは前記単官能メタクリルモノマーは、下記式(1)で表される構造(a)または構造(b)を有する、
    中間転写体。
    Figure 2021142707
    (式(1)中、Xは極性官能基または極性官能基を有する構造であり、Yは炭素原子および酸素原子の合計数が3つ以上の連結基である。)
  2. 前記式(1)で表される構造(a)または構造(b)のYは、直鎖または分岐の飽和炭化水素骨格、脂環式炭化水素骨格、芳香族炭化水素骨格、エチレンオキサイド骨格、プロピレンオキサイド骨格、およびエステル骨格からなる群から選択される骨格構造を有する、請求項1に記載の中間転写体。
  3. 前記式(1)で表される構造(a)または構造(b)のXは、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基を有する1価の構造、エーテル基を有する1価の構造、ウレタン基を有する1価の構造、ニトロ基、リン酸基およびスルホ基からなる群から選択される極性官能基または極性官能基を有する構造である、請求項1または請求項2に記載の中間転写体。
  4. 前記Xは、カルボキシ基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の中間転写体。
  5. 前記多官能アクリルモノマーまたは前記多官能メタクリルモノマーは、ポリエチレングリコール骨格、ポリエチレンポリプロピレングリコール骨格、プロピレンオキサイド骨格、エチレンオキサイド骨格、イソシアヌル酸骨格、グリセリン骨格、ビスフェノールA骨格、ペンタエリスリトール骨格からなる群から選択される構造を分子内に有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の中間転写体。
  6. 少なくとも基材層、および表面層を含む中間転写体と、
    前記中間転写体の表面にプレコート液を付与するプレコート液付与部と、
    前記プレコート液が付与された面にインクジェット用のインクを付与するインク付与部と、
    前記付与されたインクジェット用のインクを記録媒体に転写する転写部と、
    を有し、
    前記中間転写体は、少なくとも単官能アクリルモノマーまたは単官能メタクリルモノマーと、
    多官能アクリルモノマーまたは多官能メタクリルモノマーと、
    の重合物を含有する表面層を有し、
    前記単官能アクリルモノマーまたは前記単官能メタクリルモノマーは、下記式(1)で表される構造(a)または構造(b)を有する、
    画像形成装置。
    Figure 2021142707
    (式(1)中、Xは極性官能基または極性官能基を有する構造であり、Yは炭素原子および酸素原子の合計数が3つ以上の連結基である。)
  7. 前記プレコート液のSP値は、26以上35以下である、請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記インクジェット用のインクは、活性線硬化型インクである、請求項6または請求項7に記載の画像形成装置。
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