JP2021141741A - バッテリ制御装置及びバッテリ制御プログラム - Google Patents

バッテリ制御装置及びバッテリ制御プログラム Download PDF

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修二 戸村
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Abstract

【課題】バッテリの充放電環境に応じて決定されるバッテリの充放電に関する制約条件を満たしながら、当該バッテリの総充放電量を大きくする。【解決手段】制約条件設定部30は、バッテリ12の現在の充放電環境に応じて、バッテリ12の充放電に関する制約条件を設定する。充放電条件設定部32は、バッテリ12の充放電条件毎に、当該充放電条件でバッテリ12の充放電を継続した場合における総充放電量が示された総充放電量情報22に基づいて、制約条件設定部30が設定した制約条件を満たす複数の充放電条件のうち、他の充放電条件よりも(その充放電条件で充放電を継続した場合の)バッテリ12の総充放電量が大きい充放電条件でバッテリ12を充放電させる。【選択図】図1

Description

本発明は、バッテリ制御装置及びバッテリ制御プログラムに関する。
従来、充放電可能なバッテリ(2次電池)の状態を監視して、バッテリの状態に応じて種々の制御を行うことが提案されている。
例えば、特許文献1には、直列に接続された複数のバッテリの中に充放電能力が他のバッテリと大きく相違するバッテリがある場合、当該バッテリに負荷が集中する観点から、直列に接続された複数のバッテリの充放電能力を測定し、他のバッテリに対して充放電能力が大きく相違するバッテリが存在する場合に通知を出力するバッテリ管理装置が開示されている。
特開2018−92856号公報
ところで、充放電可能なバッテリは、充放電を繰り返すうちに劣化していき、やがて寿命を迎える。バッテリの寿命としては種々の定義が考えられるが、例えば、バッテリの充電可能容量が所定容量に達することと定義することができる。ここで、バッテリをより長く使用したい、換言すれば、バッテリが寿命までに充放電が可能な電力量である総充放電量をより大きくしたいという要望がある。
バッテリの総充放電量は、当該バッテリの充放電条件(例えば充放電時の電流絶対値、充電量上限、充電量下限など)に応じて変動することが知られている。したがって、バッテリを理想の充放電条件で充放電し続ければ、当該バッテリの総充放電量を最大化することができる。
しかしながら、バッテリの充放電環境(バッテリが使用される環境)に応じて決定されるバッテリの充放電に関する制約条件によって、バッテリを理想の充放電条件で充放電し続けることができない場合が考えられる。例えば、あるタイミングでは、理想の充放電条件に比して、電流値を大きくしなければならない、あるいは、充電量上限を上げなければならない、などの如くである。
このように、充放電環境からの制約条件によって、バッテリが理想の充放電条件で充放電できない場合に、単に、充放電環境からの制約条件のみに基づいてバッテリの充放電条件を設定してしまうと、当該バッテリの総充放電量を不用意に小さくしてしまうおそれがある。
本発明の目的は、バッテリの充放電環境に応じて決定されるバッテリの充放電に関する制約条件を満たしながら、当該バッテリの総充放電量を大きくすることにある。
本発明は、バッテリの充放電条件毎に、当該充放電条件で前記バッテリの充放電を継続した場合における前記バッテリが寿命まで充放電が可能な電力量である総充放電量を示す総充放電量情報に基づいて、前記バッテリの充放電環境に応じて決定される前記バッテリの充放電に関する制約条件を満たす複数の充放電条件のうち、他の充放電条件よりも前記総充放電量が大きい充放電条件で前記バッテリを充放電させる充放電条件設定部、を備えることを特徴とするバッテリ制御装置である。
望ましくは、前記充放電条件設定部は、前記制約条件を満たす複数の充放電条件のうち、前記総充放電量が最大となる充放電条件で前記バッテリを充放電させる。
望ましくは、前記充放電条件設定部は、時間変化する前記制約条件に応じて、前記バッテリの充放電条件を動的に変化させる。
望ましくは、前記充放電条件設定部は、前記バッテリの充放電条件として、前記バッテリの充電量上限及び充電量下限の少なくとも一方を設定する。
望ましくは、前記総充放電量情報は、前記バッテリの充放電条件毎の、当該充放電条件で単位時間の間前記バッテリの充放電を継続した場合における前記バッテリの充電可能容量の低下量を示し、前記充放電条件設定部は、前記バッテリの前記単位時間当たりの前記充電可能容量の低下量が最小となるように、前記バッテリの充放電条件を設定する。
また、本発明は、コンピュータを、バッテリの充放電条件毎に、当該充放電条件で前記バッテリの充放電を継続した場合における前記バッテリが寿命まで充放電が可能な電力量である総充放電量を示す総充放電量情報に基づいて、前記バッテリの充放電環境に応じて決定される前記バッテリの充放電に関する制約条件を満たす複数の充放電条件のうち、他の充放電条件よりも前記総充放電量が大きい充放電条件で前記バッテリを充放電させる充放電条件設定部、として機能させることを特徴とするバッテリ制御プログラムである。
本発明によれば、バッテリの充放電環境に応じて決定されるバッテリの充放電に関する制約条件を満たしながら、当該バッテリの総充放電量を大きくすることができる。
本実施形態に係るバッテリ制御システムの構成概略図である。 バッテリの容量維持率の時間変化を示すグラフ(a)、及び、バッテリの累積充放電量を示すグラフ(b)である。 本実施形態におけるバッテリの充放電条件の各パラメータを示す図である。 上限SOCを80%とした場合の、各下限SOCと充放電電流値との組み合わせでバッテリを充放電させ続けたときの総充放電量を示すグラフである。 上限SOCを75%とした場合の、各下限SOCと充放電電流値との組み合わせでバッテリを充放電させ続けたときの総充放電量を示すグラフである。 上限SOCを70%とした場合の、各下限SOCと充放電電流値との組み合わせでバッテリを充放電させ続けたときの総充放電量を示すグラフである。 モータの要求電力の予測推移と、発電機の発電量の予測推移の第1の例を示すグラフである。 モータの要求電力の予測推移と、発電機の発電量の予測推移の第2の例を示すグラフである。 変更された充放電条件にて充放電を行ったバッテリの充電量の時間推移を示す第1の図である。 変更された充放電条件にて充放電を行ったバッテリの充電量の時間推移を示す第2の図である。
図1は、本実施形態に係るバッテリ制御システム10の構成概略図である。バッテリ制御システム10は、バッテリ12、発電機14、及びバッテリ制御装置16を含んで構成される。バッテリ12、発電機14、及びバッテリ制御装置16は、互いに通信可能に接続されている。また、バッテリ12と発電機14は、電力供給線で互いに接続されており、発電機14からの電力をバッテリ12に供給可能となっている。
本実施形態では、バッテリ制御システム10は、バッテリ12から電力が供給されるモータを駆動源とする電気自動車に搭載されるシステムである。したがって、バッテリ12は、モータ(不図示)に電力供給線にて接続されている。しかし、バッテリ制御システム10としては、バッテリ制御装置16がバッテリ12の充放電制御を行う限りにおいて、どのようなシステムであってもよい。
バッテリ12は2次電池であり、例えばリチウムイオン電池あるいはニッケル水素電池である。本実施形態では、バッテリ12は、セルと呼ばれる複数の小さな電池から構成されている。各セルの出力電圧は1.2V程度であり、数百個のセルが直列接続されることで、バッテリ12としては200V以上の直流電圧を出力可能となる。
発電機14は、例えば、電気自動車に設けられたソーラーパネルや、モータジェネレータなどから構成される。発電機14は、太陽光やモータジェネレータの回転などよって発電し、発電した電力をバッテリ12に供給する。発電機14としては、発電可能であり、発電した電力をバッテリ12に供給可能である限りにおいてどのようなものであってもよい。
バッテリ制御装置16は、バッテリ12の充放電を制御するコンピュータであり、例えば、ECU(エンジンコントロールユニット)などから構成される。バッテリ制御システム10が電気自動車以外に用いられるシステムである場合、バッテリ制御装置16はECUに限られない。以下、バッテリ制御装置16の各部について説明する。
メモリ20は、例えばROMあるいはRAMなどを含んで構成されている。また、メモリ20は、ハードディスクやSSDなどを含んで構成されてもよい。メモリ20は、後述のプロセッサ26とは別に設けられてもよいし、少なくとも一部がプロセッサ26の内部に設けられていてもよい。メモリ20には、バッテリ制御装置16の各部を動作させるためのバッテリ制御プログラムが記憶される。また、図1に示す通り、メモリ20には、総充放電量情報22及び学習器24が記憶される。
総充放電量情報22は、バッテリ制御装置16の制御対象となるバッテリ12が寿命までに充放電可能な電力量である総充放電量を示す情報である。上述のように、バッテリ12の総充放電量は、バッテリ12の充放電条件に応じて変動する。したがって、総充放電量情報22においては、バッテリ12の充放電条件毎に、当該充放電条件でバッテリ12の充放電を継続した場合における総充放電量が示される。
総充放電量情報22の具体的な内容を説明する前に、バッテリ12の寿命と総充放電量について説明する。バッテリ12は充放電を行う度に劣化する。具体的には、バッテリ12の充電可能容量がだんだんと小さくなっていく。上述のように、バッテリ12の寿命の定義としては種々の定義があるが、例えば、バッテリ12の充電可能容量が所定容量に達したこと、と定義することができる。ちなみに、当該所定容量は、バッテリ制御システム10の管理者などによって設定されてよい。本実施形態では、バッテリ12の寿命を定義するための指標として、以下の式で表されるバッテリ12の容量維持率を用いる。
Figure 2021141741
図2(a)は、所定の充放電条件にてバッテリ12の充放電を継続したときのバッテリ12の容量維持率の時間変化を示すグラフである。バッテリ12の充放電を継続すると、時間が経つ程バッテリ12の充電可能容量が低下していくから、図2(a)に示す通り容量維持率も低下していく。そして、本実施形態では、バッテリ12の容量維持率が、予め定められた閾値容量維持率Cに到達したときに、バッテリ12が寿命を迎えた、と定義する。なお、閾値容量維持率Cは、バッテリ制御システム10の管理者などによって設定されてよい。
図2(b)は、所定の充放電条件にてバッテリ12の充放電を継続したときのバッテリ12の累積充放電量の時間変化を示すグラフである。図2(b)に示す通り、バッテリ12の充放電を継続すると、時間が経つ程バッテリ12の累積充放電量が増大していく。そして、バッテリ12が寿命を迎えたときの累積充放電量が、バッテリ12の総充放電量Eとなる。
総充放電量情報22の具体的な内容を説明する。上述の通り、総充放電量情報22は、各充放電条件でバッテリ12の充放電を継続した場合における総充放電量を示すものであるため、本実施形態では、当該各充放電条件を予め定義しておく。充放電条件は、バッテリ12の充放電に関する複数のパラメータの組み合わせで構成される。そのようなパラメータとしては、例えば、充放電時の電流絶対値、充電量上限としての上限SOC(State Of Charge)、充電量下限としての下限SOC、充放電時の電圧値、あるいはバッテリ12の周囲温度などがあるがこれには限られない。これらのパラメータの複数の組み合わせを予め充放電条件として定義しておく。
図3は、本実施形態におけるバッテリ12の充放電条件の各パラメータを示す図である。図3に示すように、本実施形態では、充放電時の電流絶対値として、15A/17.5A/20A/22.5A/25A/27.5Aの6種類を定義する。また、上限SOCとして、70%/75%/80%の3種類を定義する。また、下限SOCとして、10%/15%/20%/25%/30%の5種類を定義する。周囲温度は40℃の1種類のみとする。本実施形態では、これらの各パラメータの各値の全ての組み合わせを充放電条件とする。したがって、6×3×5×1=90種類の充放電条件が定義される。もちろん、各パラメータの値としてはもっと多くの(あるいは少ない)値が定義されていてもよいし、その他のパラメータ(例えば充放電電圧など)を充放電条件に含めるようにしてもよい。
図4〜図6は、上述のように定義された各充放電条件でバッテリ12を充放電させたときの総充放電量を示すグラフである。具体的には、図4は、上限SOCを80%としたときの充放電時の各電流絶対値に対する総充放電量を示すグラフであり、図5は、上限SOCを75%としたときの充放電時の各電流絶対値に対する総充放電量の変化を示すグラフであり、図6は、上限SOCを70%としたときの充放電時の各電流絶対値に対する総充放電量を示すグラフである。
図4〜図6の各グラフにおいて、四角のプロット及び実太線は、下限SOCが30%である場合のグラフであり、丸のプロット及び破線は、下限SOCが25%である場合のグラフであり、三角のプロット及び一点鎖線は、下限SOCが20%である場合のグラフであり、五角形のプロット及び実細線は、下限SOCが15%である場合のグラフであり、菱形のプロット及び二点鎖線は、下限SOCが10%である場合のグラフである。
例えば、図4には、上限SOCが80%、下限SOCが30%、電流絶対値が25Aという充放電条件でバッテリ12の充放電を継続した場合、総充放電量は約22.5kAhであることが示されている。また、図4〜図6を参照すると、図3に示すように定義された充放電条件の中では、バッテリ12の総充放電量が最も大きくなるのは(つまりバッテリ12の総充放電量が最大となる理想の充放電条件は)、上限SOCが70%(図6参照)、下限SOCが30%、電流絶対値が27.5Aという充放電条件であることが分かる。
なお、本実施形態では、充放電条件は上述の90種類であるから、図4〜図6における各プロットの位置が示す総充放電条件に対する総充放電量のみが用いられるが、図4〜図6に示すように、各プロットを線で結ぶことで、上述の6種類の電流絶対値の間の電流絶対値(例えば20Aと22.5Aの間の21A)に対する総充放電量を推認することもできる。
ちなみに、図4〜図6の各図を個別的にみると、電流絶対値が低い場合には当てはまらない場合があるものの、概ね下限SOCが大きい方が総充放電量が大きくなる傾向があると言える。また、概ね、電流絶対値が25Aである場合に総充放電量が大きくなる場合が多いと言える。また、図4〜図6を横断的にみると、上限SOCが小さい方が総充放電量が大きくなる傾向があると言える。
本実施形態では、図4〜図6に示したようなグラフが総充放電量情報22としてメモリ20に記憶される。もちろん、総充放電量情報22としては、充放電条件毎に、当該充放電条件でバッテリ12の充放電を継続した場合における総充放電量を示すものである限りどのような情報であってもよい。
また、総充放電量情報22として、バッテリ12の充放電条件毎の、当該充放電条件で所定の単位時間Tの間バッテリ12の充放電を継続した場合における、バッテリ12の充電可能容量の低下量が示されていてもよい。バッテリ12の寿命がバッテリ12の充電可能容量が所定容量に達したことと定義されているならば、単位時間当たりの充電可能容量の低下量に基づいて、バッテリ12の寿命までの時間が計算でき、当該時間と、バッテリ12の充放電の電圧値や電流絶対値とに基づいて総充放電量Eが算出できる。したがって、当該充放電条件で所定の単位時間Tの間バッテリ12の充放電を継続した場合におけるバッテリ12の充電可能容量の低下量もバッテリ12の総充放電量を示す指標であると言える。
単位時間T当たりのバッテリ12の充電可能容量の低下量として、単位時間T当たりの容量維持率の低下量が示されていてもよい。バッテリ12の寿命がバッテリ12の容量維持率が閾値容量維持率Cに達したことと定義されているならば(図2参照)、単位時間T当たりの容量維持率の低下量に基づいて、バッテリ12の寿命までの時間が計算でき、バッテリ12の充放電開始から寿命までの時間が分かれば、充放電の電圧値や電流絶対値に基づいて総充放電量Eが算出できるからである。
本実施形態では、総充放電量情報22の内容、すなわち、各充放電条件に対するバッテリ12の総充放電量は、学習済みの学習器24を用いて予測する。しかし、総充放電量情報22は学習器24の出力によって得るのに限られず、例えば、各充放電条件にてバッテリ12を実際に充放電させた実験結果によって総充放電量情報22を得るようにしてもよい。
図1に戻り、学習器24は、例えばディープニューラルネットワークあるいはロジスティック回帰などのモデルによって構成される。学習器24の詳細については、プロセッサ26が発揮する機能である学習処理部28の処理と共に後述する。なお、学習器24の実体は、学習器24の構造を定義するプログラム、学習器24に関する各種パラメータ、及び、入力データに対して処理を行うための処理実行プログラムなどである。したがって、メモリ20に学習器24が記憶されるとは、上記プログラムや各種パラメータがメモリ20に記憶されることを意味する。
プロセッサ26は、例えばマイクロコントローラなどの処理装置、及び、専用の処理装置(例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)など)の少なくとも1つを含んで構成される。プロセッサ26としては、1つの処理装置によるものではなく、物理的に離れた位置に存在する複数の処理装置の協働により構成されるものであってもよい。図1に示す通り、プロセッサ26は、メモリ20に記憶されたバッテリ制御プログラムにより、学習処理部28、制約条件設定部30、及び、充放電条件設定部32としての機能を発揮する。
学習処理部28は、バッテリ12の充放電条件を説明変数として学習器24に入力したときに、当該充放電条件で充放電を継続したときのバッテリ12の総充放電量を目的変数として出力するように、学習器24を学習させる。
具体的には、学習器24は、入力されたバッテリ12の充放電条件に基づいて、バッテリ12の予測総充放電量を出力する。学習処理部28は、学習器24に入力した当該充放電条件で充放電を継続した場合の既知の教師総充放電量(教師データ)と、予測総充放電量との誤差に基づいて、誤差逆伝番法(バックプロパゲーション)などの手法により、当該誤差が小さくなるように学習器24を学習させる。具体的には、学習器24に含まれる各ニューロンの重みやバイアス値を補正する。
学習処理部28が当該学習処理を繰り返すことで、学習器24は、入力された充放電条件に対する総充放電量を精度良く予測することができるようになる。したがって、学習済みの学習器24によれば、任意の充放電条件に対する総充放電量を容易に得ることができる。
また、学習処理部28は、バッテリ12の時刻tにおける充放電条件を説明変数として学習器24に入力したときに、バッテリ12の時刻tから単位時間Tの間におけるバッテリ12の充電可能容量の低下量、すなわち、単位時間T当たりの充電可能容量の低下量を目的変数として出力するように、学習器24を学習させるようにしてもよい。単位時間T当たりの充電可能容量の低下量として、単位時間T当たりの容量維持率の低下量を出力するようにしてもよい。
例えば、学習器24は、入力されたバッテリ12の時刻tの充放電条件に基づいて、バッテリ12の単位時間T当たりの容量維持率の予測低下量を出力する。学習処理部28は、学習器24に入力した当該充放電条件に対する、既知の、単位時間T当たりの容量維持率の教師低下量(教師データ)と、予測低下量との誤差に基づいて、誤差逆伝番法などの手法により、当該誤差が小さくなるように学習器24を学習させる。学習済みの学習器24によれば、任意の充放電条件に対する単位時間T当たりの充電維持率の低下量を容易に得ることができる。
なお、本実施形態では、バッテリ制御装置16のプロセッサ26(学習処理部28)の処理により学習器24が学習されていたが、学習器24はバッテリ制御装置16以外の装置によって学習されてもよい。その場合は、十分に学習済みの学習器24がメモリ20に記憶される。
制約条件設定部30は、バッテリ12の充放電環境に応じて、バッテリ12の充放電に関する制約条件を設定する。例えば、制約条件設定部30は、バッテリ12が電力を供給するモータの高駆動力が要求されている、という充放電環境に応じて、制約条件設定部30は、所定値の出力電力以上、すなわち所定電流値以上及び所定電圧値以上でバッテリ12が放電する、という制約条件を設定する。また、例えば、制約条件設定部30は、バッテリ12が電力を供給するモータが、所定時間後から、比較的長い時間、高出力で駆動するという予定がある、という充放電環境に応じて、制約条件設定部30は、モータが駆動するまでに十分なバッテリ12の充電量を確保すべく、上限SOCを所定値以上とする、という制約条件を設定する。
バッテリ12の充放電環境は時間変化するため、それに応じて、制約条件設定部30は制約条件を動的に変化させる。すなわち、制約条件は時間変化し得る。
また、制約条件設定部30は、バッテリ12の未来の充放電環境を予測して、予測された未来の充放電環境に応じて、バッテリ12の充放電に関する制約条件を設定してもよい。
図7は、充放電環境のうちの1つの要素である、バッテリ12が電力を供給するモータの未来の要求電力(モータが必要とする電力)の予測推移(実線)と、同じく充放電環境のうちの1つの要素である、発電機14の発電量の予測推移(破線)を示す第1のグラフである。図7において、時刻tは現在時刻を示すものとする。また、図7の例では、発電機14はソーラーパネルであり発電量はソーラーパネルによる発電量であるとする。
図7の例においては、天気予報などに基づいて、未来の時刻tにおいて天候が晴れから雨に変わることが予測され、それにより、ソーラーパネルである発電機14の発電量の予測推移が時刻t以降減少している。一方、バッテリ12が電力を供給するモータの現在の駆動状態あるいはモータの駆動計画などに基づいて予測されたモータの要求電力は、時刻t以前と時刻t以降でほぼ同等となっている。したがって、図7に示すように、モータの要求電力と発電機14の発電量とが、時刻t以前は同等であったが、時刻t以降においては、モータの要求電力よりも発電機14の発電量が小さくなっている(図7のΔ参照)。
この場合、時刻t以前においては、発電機14が発電した電力をそのままモータに供給すればよいため、結果的にバッテリ12の充放電量は少なくなるが、時刻t以降においては、発電機14の発電量で足りない不足電力Δをバッテリ12が出力する必要がある。この場合、制約条件設定部30は、時刻t以降に不足電力Δをモータに供給できること、という制約条件を設定する。
また、図8は、バッテリ12が電力を供給するモータの未来の要求電力の予測推移(実線)と、発電機14の発電量の予測推移(破線)を示す第2のグラフである。図8においても、時刻tは現在時刻を示し、発電機14はソーラーパネルであるとする。
図8の例においては、未来の時刻tにおいて天候が雨から晴れに変わることが予測され、それにより、ソーラーパネルである発電機14の発電量の予測推移が時刻t以降増加している。一方、予測されたモータの要求電力は、時刻t以前と時刻t以降でほぼ同等となっている。したがって、図8に示すように、モータの要求電力と発電機14の発電量とが、時刻t以前は同等であったが、時刻t以降においては、モータの要求電力よりも発電機14の発電量が大きくなっている(図8のΔ参照)。
この場合、時刻t以降においては、発電機14が発電した電力を無駄にしない観点から、余剰電力Δをバッテリ12に充電しておくのが望ましい。この場合、制約条件設定部30は、時刻t以降に余剰電力Δをバッテリ12に充電できること、という制約条件を設定する。
図1に戻り、充放電条件設定部32は、メモリ20に記憶された総充放電量情報22、及び、制約条件設定部30が設定した制約条件に基づいて、バッテリ12の充放電条件を設定し、設定した充放電条件にてバッテリ12に充放電させる。具体的には、充放電条件設定部32は、制約条件設定部30が設定した制約条件を満たす複数の充放電条件のうち、総充放電量情報22を参照し、他の充放電条件よりも(その充放電条件で充放電を継続した場合の)バッテリ12の総充放電量が大きい充放電条件を選択する。なお、本実施形態では、充放電条件設定部32が設定可能な充放電条件は、図3を参照しながら説明した上記90種類とする。
例えば、図7の例で説明したように、時刻t以降に不足電力Δをモータに供給できることが制約条件として設定されたとする。この場合、当該制約条件を満たすには、不足電力Δの大きさに応じて、バッテリ12の充電量を多くする(すなわち上限SOCを上げる)、バッテリ12の放電可能量を多くする(すなわち下限SOCを下げる)、あるいはその両方を行うことが考えられる。ここでは、現在の下限SOCが30%であり、上限SOCが70%である場合、当該下限SOC及び上限SOCでは不足電力Δのために十分な充電量が得られないものとする。本例では、バッテリ12の充放電の電流絶対値は25Aで固定とし、下限SOCを10〜20%とするか、上限SOCを80%とするか、下限SOCと上限SOCを両方変更することで、不足電力Δのために十分な充電量が得られるものとする。
充放電条件設定部32は、総充放電量情報22(図4〜図6参照)を参照し、制約条件を満たす充放電条件の中で、より総充放電量が大きい充放電条件を選択する。本実施形態では、充放電条件設定部32は、制約条件を満たす充放電条件の中で、その充放電条件で充放電を継続した場合にバッテリ12の総充放電量が最大となる充放電条件を選択する。
本例の場合、制約条件を満たす充放電条件として、上限SOCと下限SOCのみに着目すると、下限SOCが10%・上限SOCが70%、下限SOCが15%・上限SOCが70%、下限SOCが20%・上限SOCが70%(以上3つ下限SOCのみを変更する場合)、及び、下限SOCが30%・上限SOCが80%(上限SOCのみを変更する場合)の他、上限SOCと下限SOCの両方を変更した複数の充放電条件があるとする。充放電条件設定部32は、総充放電量情報22を参照し、これらの充放電条件の中から、バッテリ12の総充放電量が最大となる充放電条件である、下限SOCが20%・上限SOCが70%という充放電条件をバッテリ12の充放電条件として設定する。
図9は、バッテリ12の充放電条件を下限SOCが20%・上限SOCが70%とし、モータの要求電力と発電機14の発電量の時間推移が図7に示した予測推移通りとなった場合における、バッテリ12の充電量の時間推移を示すグラフである。なお、図9においては、バッテリ12の充電量は、バッテリ12の充電可能容量の定格値に対する充電量の割合で示されている。図9に示す通り、下限SOCを下げるように変更したことで、時刻t後において、バッテリ12の充電量は下限SOCに到達していない。すなわち、バッテリ12から不足電力Δが好適にモータに供給されたことが示されている。つまり、制約条件を満足したことが示されている。さらに、当該バッテリ12の充放電条件は、当該制約条件を満たす充放電条件の中で、バッテリ12の総充放電量を最大化する充放電条件である。
また、例えば、図8の例で説明したように、時刻t以降に余剰電力Δをバッテリ12に充電できることが制約条件として設定されたとする。この場合、当該制約条件を満たすには、余剰電力Δの大きさに応じて、バッテリ12の上限SOCを上げる、余剰電力Δが生じる前におけるバッテリ12の充電量をより少なくする(すなわち下限SOCを下げる)、あるいはその両方を行うことが考えられる。ここでは、現在の下限SOCが30%であり、上限SOCが70%である場合、当該下限SOC及び上限SOCでは余剰電力Δを全てバッテリ12に充電できないものとする。本例でも、バッテリ12の充放電の電流絶対値は25Aで固定とし、上限SOCを80%とするか、上限SOCを80%とした上で、下限SOCを25%以下とすることで、余剰電力Δをバッテリ12に充電可能となるものとする。
本例の場合、制約条件を満たす充放電条件として、上限SOCと下限SOCのみに着目すると、下限SOCが10%・上限SOCが80%、下限SOCが15%・上限SOCが80%、下限SOCが20%・上限SOCが80%、下限SOCが25%・上限SOCが80%、及び、下限SOCが30%・上限SOCが80%の5つの充放電条件があるとする。充放電条件設定部32は、総充放電量情報22を参照し、これらの充放電条件の中から、バッテリ12の総充放電量が最大となる充放電条件である、下限SOCが30%・上限SOCが80%という充放電条件をバッテリ12の充放電条件として設定する。
図10は、バッテリ12の充放電条件を下限SOCが30%・上限SOCが80%とし、モータの要求電力と発電機14の発電量の時間推移が図8に示した予測推移通りとなった場合における、バッテリ12の充電量の時間推移を示すグラフである。なお、図10においても、バッテリ12の充電量は、バッテリ12の充電可能容量の定格値に対する充電量の割合で示されている。図10に示す通り、上限SOCを上げるように変更したことで、時刻t後において、バッテリ12の充電量は上限SOCに到達していない。すなわち、バッテリ12に余剰電力Δが好適に充電されたことが示されている。つまり、制約条件を満足したことが示されている。さらに、当該バッテリ12の充放電条件は、当該制約条件を満たす充放電条件の中で、バッテリ12の総充放電量を最大化する充放電条件である。
なお、総充放電量情報22として、バッテリ12の充放電条件毎の、当該充放電条件で所定の単位時間Tの間バッテリ12の充放電を継続した場合におけるバッテリ12の充電可能容量の低下量が示されている場合には、充放電条件設定部32は、総充放電量情報22に基づいて、制約条件設定部30が設定した制約条件を満たす複数の充放電条件のうち、バッテリ12の単位時間T当たりの充電可能容量(例えば容量維持率)の低下量が、他の充放電条件よりも小さい充放電条件でバッテリ12を充放電させるようにしてもよい。好適には、充放電条件設定部32は、制約条件を満たす複数の充放電条件のうち、バッテリ12の単位時間T当たりの充電可能容量(例えば容量維持率)の低下量が最小となる充放電条件でバッテリ12を充放電させる。これによれば、充放電条件設定部32は、制約条件を満たす複数の充放電条件のうち、バッテリ12の寿命がより長くなる充放電条件を選択するため、バッテリ12の寿命がより長くなり、結果としてバッテリ12の総充放電量が大きくなる。
また、上述のように、制約条件はバッテリ12の充放電環境に応じて時間変化するため、充放電条件設定部32は、時間変化する制約条件に応じて、バッテリ12の充放電条件を動的に変化させるようにしてもよい。
本実施形態に係るバッテリ制御装置16の構成概要は以上の通りである。バッテリ制御装置16によれば、充放電条件設定部32は、単に制約条件設定部30が設定した制約条件を満たす充放電条件でバッテリ12を充放電させるのではなく、総充放電量情報22に基づいて、制約条件を満たす中で、総充放電量がより多くなる充放電条件でバッテリ12を充放電させる。これにより、バッテリ12の総充放電量を大きくすることができる。
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
10 バッテリ制御システム、12 バッテリ、14 発電機、16 バッテリ制御装置、20 メモリ、22 総充放電量情報、24 学習器、26 プロセッサ、28 学習処理部、30 制約条件設定部、32 充放電条件設定部。

Claims (6)

  1. バッテリの充放電条件毎に、当該充放電条件で前記バッテリの充放電を継続した場合における前記バッテリが寿命まで充放電が可能な電力量である総充放電量を示す総充放電量情報に基づいて、前記バッテリの充放電環境に応じて決定される前記バッテリの充放電に関する制約条件を満たす複数の充放電条件のうち、他の充放電条件よりも前記総充放電量が大きい充放電条件で前記バッテリを充放電させる充放電条件設定部、
    を備えることを特徴とするバッテリ制御装置。
  2. 前記充放電条件設定部は、前記制約条件を満たす複数の充放電条件のうち、前記総充放電量が最大となる充放電条件で前記バッテリを充放電させる、
    ことを特徴とする請求項1に記載のバッテリ制御装置。
  3. 前記充放電条件設定部は、時間変化する前記制約条件に応じて、前記バッテリの充放電条件を動的に変化させる、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のバッテリ制御装置。
  4. 前記充放電条件設定部は、前記バッテリの充放電条件として、前記バッテリの充電量上限及び充電量下限の少なくとも一方を設定する、
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のバッテリ制御装置。
  5. 前記総充放電量情報は、前記バッテリの充放電条件毎の、当該充放電条件で単位時間の間前記バッテリの充放電を継続した場合における前記バッテリの充電可能容量の低下量を示し、
    前記充放電条件設定部は、前記バッテリの前記単位時間当たりの前記充電可能容量の低下量が最小となるように、前記バッテリの充放電条件を設定する、
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のバッテリ制御装置。
  6. コンピュータを、
    バッテリの充放電条件毎に、当該充放電条件で前記バッテリの充放電を継続した場合における前記バッテリが寿命まで充放電が可能な電力量である総充放電量を示す総充放電量情報に基づいて、前記バッテリの充放電環境に応じて決定される前記バッテリの充放電に関する制約条件を満たす複数の充放電条件のうち、他の充放電条件よりも前記総充放電量が大きい充放電条件で前記バッテリを充放電させる充放電条件設定部、
    として機能させることを特徴とするバッテリ制御プログラム。
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