JP2021139954A - ポリウレタンレンズおよびその製造方法 - Google Patents

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直樹 篠原
清弘 齊藤
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清弘 齊藤
裕史 森田
Yasushi Morita
裕史 森田
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【課題】熱可塑性ポリウレタン樹脂から得られ、収縮を抑制できるポリウレタンレンズおよびその製造方法を提供する。【解決手段】熱可塑性ポリウレタン樹脂から成形されたポリウレタンレンズ1が、レンズ部2と、レンズ部2に連続するゲート部3とを備え、ゲート部3が、ストレートゲート形状である。また、ポリウレタンレンズの製造方法が、熱可塑性ポリウレタン樹脂を準備する準備工程と、熱可塑性ポリウレタン樹脂をレンズ形状に射出成形する成形工程とを備え、成形工程において、熱可塑性ポリウレタン樹脂を金型に供給する供給口が、ストレートゲートである。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリウレタンレンズおよびその製造方法に関する。
プラスチックレンズとして、ポリウレタンレンズが知られている。ポリウレタンレンズは、ポリイソシアネートと、ポリオールおよび/またはポリチオールとを反応させることにより得られ、各種産業分野において、広範に利用されている。
より具体的には、例えば、脂環式ポリイソシアネートおよび非環式脂肪族ポリイソシアナートを含むイソシアナート成分と、ポリチオール成分とを含有する重合性組成物が知られており、また、そのような重合性組成物を成形型に注型し、重合させることにより、光学部材およびプラスチックレンズを得る方法が、提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
国際公開WO2016/153061号
一方、特許文献1に記載のプラスチックレンズは、注型重合により得られる熱硬化性ポリウレタン樹脂からなるため、生産効率に限界がある。
そこで、生産効率の向上を図るため、例えば、熱可塑性ポリウレタン樹脂を射出成形することによって、ポリウレタンレンズを製造することが検討される。
しかし、熱可塑性ポリウレタン樹脂から得られるプラスチックレンズは、成形後に収縮し、レンズ表面に皺を発生させる場合がある。
本発明は、熱可塑性ポリウレタン樹脂から得られ、収縮を抑制できるポリウレタンレンズおよびその製造方法である。
本発明[1]は、熱可塑性ポリウレタン樹脂から成形されたポリウレタンレンズであり、レンズ部と、前記レンズ部に連続するゲート部とを備え、前記ゲート部が、ストレートゲート形状である、ポリウレタンレンズを含んでいる。
本発明[2]は、前記ゲート部の幅が、前記レンズ部の直径に対して、20%以下である、上記[1]に記載のポリウレタンレンズを含んでいる。
本発明[3]は、前記熱可塑性ポリウレタン樹脂が、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含むポリイソシアネート成分と、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを含むポリオール成分との反応生成物を含む、上記[1]または[2]に記載のポリウレタンレンズを含んでいる。
本発明[4]は、前記ポリオール成分が、さらに、ポリカプロラクトンポリオールを含む、上記[3]に記載のポリウレタンレンズを含んでいる。
本発明[5]は、熱可塑性ポリウレタン樹脂を準備する準備工程と、前記熱可塑性ポリウレタン樹脂をレンズ形状に射出成形する成形工程とを備えるポリウレタンレンズの製造方法であり、前記成形工程において、熱可塑性ポリウレタン樹脂を金型に供給する供給口が、ストレートゲートである、ポリウレタンレンズの製造方法を含んでいる。
本発明[6]は、前記成形工程において、前記金型温度が40℃未満である、上記[5]に記載のポリウレタンレンズの製造方法を含んでいる。
本発明[7]は、前記成形工程において、前記金型に熱可塑性ポリウレタン樹脂を飢餓供給する、上記[5]または[6]に記載のポリウレタンレンズの製造方法を含んでいる。
本発明のポリウレタンレンズは、熱可塑性ポリウレタン樹脂から成形され、レンズ部と、そのレンズ部に連続するゲート部とを備え、ゲート部が、ストレートゲート形状である。
そのため、本発明のポリウレタンレンズによれば、生産性の向上を図ることができ、さらに、ゲート部がファンゲート形状である場合などに比べて、成形後の収縮を抑制できる。
また、本発明のポリウレタンレンズの製造方法では、熱可塑性ポリウレタン樹脂を準備し、その熱可塑性ポリウレタン樹脂をレンズ形状に射出成形する。また、熱可塑性ポリウレタン樹脂を金型に供給する供給口が、ストレートゲートであり、金型温度が、40℃以下である。
このような、本発明のポリウレタンレンズの製造方法によれば、上記したポリウレタンレンズを効率よく得ることができる。
そのため、本発明のポリウレタンレンズの製造方法は、ポリウレタンレンズの生産性に優れ、また、得られるポリウレタンレンズは、ゲート部がファンゲート形状である場合などに比べて、成形後の収縮を抑制できる。
図1は、本発明のポリウレタンレンズの一実施形態を示す平面概略図である。 図2は、図1に示すポリウレタンレンズを成形するための金型を示す側面概略図である。 図3は、ゲート部がファン形状を有するポリウレタンレンズを示す平面概略図である。
図1において、ポリウレタンレンズ1は、後述する熱可塑性ポリウレタン樹脂から成形される成形物であり、レンズ部2と、レンズ部2に連続するゲート部3とを備えている。
図1において、レンズ部2は、平面視略円形状を有する。また、レンズ部2は、公知のレンズ形状に成形されている。これにより、レンズ部2は、レンズとしての光学的機能を発現可能としている。
なお、レンズ形状としては、特に制限されず、バイコンベックス(両面凸)、プラノコンベックス(片面凸)、アスフェリカル(非球面)、さらに、ディフラクティブアスフェリカル、メニスカス、アスフェリカル、アプラナート、アクロマートなど、公知の形状とすることができる。
レンズ形状として、好ましくは、プラノコンベックスが挙げられる。
このような場合、レンズ部2の厚み(最大厚み)は、例えば、0.8mm以上、好ましくは、1.0mm以上であり、例えば、17.0mm以下、好ましくは、15.0mm以下である。
また、レンズ部2の曲率は、例えば、1カーブ以上、好ましくは、2カーブ以上であり、例えば、10カーブ以下、好ましくは、8カーブ以下である。
また、レンズ部2の平面視における径方向長さ(直径)は、例えば、60mm以上、好ましくは、65mm以上であり、例えば、85mm以下、好ましくは、80mm以下である。
ゲート部3は、ポリウレタンレンズ1の成形に使用される金型(後述)において、樹脂を供給するための供給口(ゲート)に残存した熱可塑性ポリウレタン樹脂から成形される。
ゲート部3は、略平帯形状を有する。ゲート部3は、レンズ部2の端縁から連続し、レンズ部2の径方向に沿って延びるように成形されている。
ゲート部3の長手方向長さは、例えば、2mm以上、好ましくは、5mm以上であり、例えば、10mm以下、好ましくは、8mm以下である。
また、ゲート部3の厚みおよび幅方向長さ(長手方向と直交する方向)は、長手方向において、略一定である。
ゲート部3の厚み(最大厚み)は、例えば、1.0mm以上、好ましくは、1.5mm以上であり、例えば、8.0mm以下、好ましくは、6.0mm以下である。
また、ゲート部3の幅方向長さ(幅)は、収縮を低減し、シワの発生を抑制する観点から、例えば、3mm以上、好ましくは、6mm以上であり、例えば、42mm以下、好ましくは、30mm以下である。
また、ゲート部3の幅方向長さ(幅)は、収縮を低減し、シワの発生を抑制する観点から、レンズ部2の平面視における径方向長さ(直径)に対して、例えば、50%以下、好ましくは、30%以下、より好ましくは、20%以下、さらに好ましくは、15%以下であり、例えば、5%以上である。
また、ポリウレタンレンズ1は、射出成形時における成形品のショート(樹脂不足による欠け)を抑制するため、余剰部4を備えることができる。
余剰部4は、ポリウレタンレンズ1の成形において、金型の製品部(後述)に対して余剰の熱可塑性ポリウレタン樹脂が充填されることにより、成形される。
余剰部4は、略平帯形状を有する。余剰部4は、レンズ部2の端縁から連続し、レンズ部2の径方向に沿って延びるように成形されている。また、余剰部4は、レンズ部2を挟んでゲート部3と対向するように成形される。
余剰部4の長手方向長さは、例えば、1mm以上、好ましくは、3mm以上であり、例えば、30mm以下、好ましくは、25mm以下である。
また、余剰部4の厚みおよび幅方向長さ(長手方向と直交する方向)は、好ましくは、長手方向において、略一定である。
余剰部4の厚み(最大厚み)は、例えば、0.3mm以上、好ましくは、0.5mm以上であり、例えば、7.0mm以下、好ましくは、5.0mm以下である。
また、余剰部4の幅方向長さ(幅)は、例えば、1mm以上、好ましくは、3mm以上であり、例えば、30mm以下、好ましくは、25mm以下である。
また、余剰部4の幅方向長さ(幅)は、レンズ部2の平面視における径方向長さ(直径)に対して、例えば、50%以下、好ましくは、30%以下、より好ましくは、20%以下、さらに好ましくは、15%以下であり、例えば、5%以上である。
このようなポリウレタンレンズ1は、熱可塑性ポリウレタン樹脂を射出成形することにより、得ることができる。
以下において、ポリウレタンレンズの製造方法について、詳述する。
このポリウレタンレンズの製造方法では、まず、熱可塑性ポリウレタン樹脂を用意する(準備工程)。
熱可塑性ポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との反応生成物を、主成分として含んでいる。なお、主成分とは、熱可塑性ポリウレタン樹脂(熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物)の総量に対して、例えば、90質量%以上、好ましくは、95質量%以上を占めることを示す。
なお、熱可塑性ポリウレタン樹脂と、熱硬化性ポリウレタン樹脂とは、温度変化による固体状態および液体状態間の状態変化の可否により区別される。
換言すれば、熱可塑性ポリウレタン樹脂の高温状態(液状)における粘度は、熱硬化性ポリウレタン樹脂の高温状態における粘度よりも、低い。
より具体的には、熱可塑性ポリウレタン樹脂の250℃における粘度は、50万Pa・s以下である。一方、熱硬化性ポリウレタン樹脂の250℃における粘度は、50万Pa・sを超過する。
ポリイソシアネート成分としては、特に制限されず、例えば、ポリイソシアネート単量体、ポリイソシアネート誘導体が挙げられる。
ポリイソシアネート単量体としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2’−ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカメチレントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアナトメチルオクタン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアネート−5−イソシアナトメチルオクタン、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテル−ω、ω’−ジイソシアネート、リジンイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、2−イソシアナトプロピル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、ビス(4−イソシアネート−n−ブチリデン)ペンタエリスリトール、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエートなどが挙げられる。
また、脂肪族ポリイソシアネートには、脂環族ポリイソシアネートが含まれる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トランス,トランス−、トランス,シス−、およびシス,シス−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよびこれらの混合物(H12MDI)、1,3−または1,4−シクロヘキサンジイソシアネートおよびこれらの混合物、1,3−または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、1,3−または1,4−ビス(イソシアナトエチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、2,2’−ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、2,5−ジイソシアナトメチルビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、その異性体である2,6−ジイソシアナトメチルビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン(NBDI)、2−イソシアナトメチル2−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチルビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチルビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナトメチル3−(3−イソシアナトプロピル)−5−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナトメチル3−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナトメチル2−(3−イソシアナトプロピル)−5−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナトメチル2−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタンなどが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネートおよび2,6−トリレンジイソシアネート、ならびに、これらトリレンジイソシアネートの異性体混合物(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ならびに、これらジフェニルメタンジイソシアネートの任意の異性体混合物(MDI)、トルイジンジイソシアネート(TODI)、パラフェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(NDI)などが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物(XDI)、1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物(TMXDI)などが挙げられる。
ポリイソシアネート誘導体としては、例えば、上記したポリイソシアネート単量体の公知の変性体が挙げられる。ポリイソシアネート誘導体として、より具体的には、例えば、多量体(ダイマー(例えば、ウレトジオン変性体など)、トリマー(例えば、イソシアヌレート変性体、イミノオキサジアジンジオン変性体など)など)、ビウレット変性体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体と水との反応により生成するビウレット変性体など)、アロファネート変性体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体と1価アルコールまたは2価アルコールとの反応より生成するアロファネート変性体など)、ポリオール変性体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体と3価アルコールとの反応より生成するポリオール変性体(付加体)など)、オキサジアジントリオン変性体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体と炭酸ガスとの反応により生成するオキサジアジントリオンなど)、カルボジイミド変性体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体の脱炭酸縮合反応により生成するカルボジイミド変性体など)などが挙げられる。
これらポリイソシアネート成分は、単独使用または2種類以上併用することができる。
透明性および機械物性の観点から、ポリイソシアネート成分は、好ましくは、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,4−HXDI)を含有する。
ポリイソシアネート成分が、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含有する場合、その割合は、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の総モル数に対して、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアネート基が、50モル%以上、好ましくは、70モル%以上、より好ましくは、80モル%以上、さらに好ましくは、90モル%以上、とりわけ好ましくは、100モル%である。
すなわち、ポリイソシアネート成分として、好ましくは、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの単独使用が挙げられる。
また、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンには、シス−1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、シス1,4体とする。)、および、トランス−,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、トランス1,4体とする。)の立体異性体がある。
1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、好ましくは、トランス1,4体を、含有する。
トランス1,4体およびシス1,4体の総量に対して、トランス1,4体の含有割合は、例えば、60モル%以上、好ましくは、70モル%以上、より好ましくは、80モル%以上、さらに好ましくは、85モル%以上、例えば、99.8モル%以下、好ましくは、99モル%以下、より好ましくは、95モル%以下、さらに好ましくは、90モル%以下である。
なお、トランス1,4体およびシス1,4体の総量が100モル%である。
すなわち、トランス1,4体およびシス1,4体の総量に対して、シス1,4体の含有割合は、例えば、0.2モル%以上、好ましくは、1モル%以上、より好ましくは、5モル%以上、さらに好ましくは、10モル%以上、例えば、40モル%以下、好ましくは、30モル%以下、より好ましくは、20モル%以下、さらに好ましくは、15モル%以下である。
トランス1,4体の含有割合が上記範囲であれば、透明性および機械物性の向上を図ることができる。
1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、例えば、国際公開WO2009/051114パンフレットに記載の方法などにより、製造することができる。
また、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、変性体として調製することもできる。
ポリオール成分は、分子中に水酸基を2つ以上含有する化合物を含有する組成物である。
ポリオール成分は、好ましくは、高分子量ポリオールを含有する。
高分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有し、数平均分子量400以上、好ましくは、500以上の有機化合物(重合物)であって、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ビニルモノマー変性ポリオールなどが挙げられ、好ましくは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオキシ(C2〜3)アルキレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオールなどが挙げられる。
ポリオキシ(C2〜3)アルキレンポリオールは、例えば、低分子量ポリオールや、公知の低分子量ポリアミンなどを開始剤とする、炭素数2〜3のアルキレンオキサイドの付加重合物である。
低分子量ポリオールとしては、例えば、分子中に水酸基を2つ以上有し、分子量50以上400未満、好ましくは、300以下の有機化合物が挙げられる。
低分子量ポリオールとして、より具体的には、例えば、1,2−エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,2−トリメチルペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオールなどの炭素数(C)2〜20アルカンジオール、例えば、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテンなどのC2〜20アルケンジオール、例えば、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールAなどの脂環含有ジオール、例えば、ビスフェノールAなどの芳香環含有ジオール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのC4〜10のエーテルジオール、例えば、イソソルビド(1,4:3,6−ジアンヒドログルシトール)などのヘテロ環含有ジオールなどの2価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリイソプロパノールアミンなどの3価アルコール、例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなどの4価アルコール、例えば、キシリトールなどの5価アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトール、イノシトール、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコール、例えば、ペルセイトールなどの7価アルコール、例えば、ショ糖などの8価アルコールなどが挙げられる。
これら低分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
低分子量ポリオールとして、好ましくは、2価アルコール、3価アルコールが挙げられ、より好ましくは、2価アルコールが挙げられる。
アルキレンオキサイドとしては、例えば、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイドなどが挙げられる。また、これらアルキレンオキサイドは、単独使用または2種類以上併用することができる。なお、ポリオキシアルキレンポリオールには、例えば、プロピレンオキサイドと、エチレンオキサイドとのランダムおよび/またはブロック共重合体が含まれる。
ポリオキシ(C2〜3)アルキレンポリオールとして、より具体的には、例えば、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン(ランダムおよび/またはブロック)共重合体などが挙げられる。
ポリテトラメチレンエーテルポリオールとしては、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合により得られる結晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコール、例えば、テトラヒドロフランなどの重合単位に、アルキル置換テトラヒドロフランや、上記した2価アルコールを共重合した非晶性(非結晶性)ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。なお、非晶性(非結晶性)とは、常温(25℃)において液状であることを示す。
これらポリエーテルポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリエーテルポリオールとして、外観および機械物性の観点から、好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、より好ましくは、結晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコールが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子量ポリオールと多塩基酸とを、公知の条件下、反応させて得られる重縮合物が挙げられる。
低分子量ポリオールとしては、上記した低分子量ポリオールが挙げられ、好ましくは、2価アルコールが挙げられ、より好ましくは、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールが挙げられる。
多塩基酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、1,1−ジメチル−1,3−ジカルボキシプロパン、3−メチル−3−エチルグルタール酸、アゼライン酸、セバシン酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸(C11〜13)、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、例えば、ヘキサヒドロフタル酸などの脂環族ジカルボン酸、例えば、ダイマー酸、水添ダイマー酸、ヘット酸などのその他のカルボン酸、および、それらカルボン酸から誘導される酸無水物、例えば、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水2−アルキル(C12〜C18)コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、さらには、これらのカルボン酸などから誘導される酸ハライド、例えば、シュウ酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、セバシン酸ジクロライドなどが挙げられる。
これら多塩基酸は、単独使用または2種類以上併用することができる。
多塩基酸として、好ましくは、飽和脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、酸無水物が挙げられ、より好ましくは、アジピン酸、フタル酸、無水フタル酸が挙げられ、さらに好ましくは、アジピン酸が挙げられる。
また、ポリエステルポリオールとして、例えば、植物由来のポリエステルポリオール、具体的には、上記した低分子量ポリオールを開始剤として、ヒドロキシル基含有植物油脂肪酸(例えば、リシノレイン酸を含有するひまし油脂肪酸、12−ヒドロキシステアリン酸を含有する水添ひまし油脂肪酸など)などのヒドロキシカルボン酸を、公知の条件下、縮合反応させて得られる植物油系ポリエステルポリオールなども挙げられる。
また、ポリエステルポリオールとして、例えば、上記した低分子量ポリオール(好ましくは、2価アルコール)を開始剤として、例えば、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン類や、例えば、L−ラクチド、D−ラクチドなどのラクチド類などを開環重合して得られる、ポリカプロラクトンポリオール(好ましくは、ポリカプロラクトンジオール)、ポリバレロラクトンポリオール(好ましくは、ポリバレロラクトンジオール)、さらには、それらに上記2価アルコールを共重合したアルコール変性ラクトンポリオールなどの、ラクトンベースポリエステルポリオールなどが挙げられる。
これらポリエステルポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリエステルポリオールとして、好ましくは、ラクトンベースポリエステルポリオール、より好ましくは、ポリカプロラクトンポリオール、さらに好ましくは、ポリカプロラクトンジオールが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオール(好ましくは、上記2価アルコール)を開始剤とするエチレンカーボネートの開環重合物(結晶性ポリカーボネートポリオール)や、例えば、炭素数4〜6の2価アルコールと、開環重合物とを共重合した非晶性ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
これらポリカーボネートポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
これら高分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
高分子量ポリオールとして、機械物性の向上を図る観点から、好ましくは、ポリエーテルポリオールが挙げられ、より好ましくは、ポリオキシ直鎖状アルキレン(炭素数2〜4)ポリオールが挙げられ、さらに好ましくは、ポリオキシ直鎖状アルキレン(炭素数2〜4)グリコールが挙げられ、とりわけ好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルグリコールが挙げられる。すなわち、ポリオール成分は、とりわけ好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを含む。
また、高分子量ポリオールとして、透明性の向上を図る観点から、好ましくは、ポリエーテルポリオールとポリエステルポリオールとの併用が挙げられ、より好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルグリコールと、ポリカプロラクトンジオールとの併用が挙げられる。
ポリエーテルポリオール(例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール)とポリエステルポリオール(例えば、ポリカプロラクトンジオール)とが併用される場合、それらの総量100質量部に対して、ポリエーテルポリオールが、例えば、60質量部以上、好ましくは、80質量部以上であり、例えば、100質量部未満、好ましくは、99質量部以下である。また、ポリエステルポリオールが、例えば、0質量部を超過、好ましくは、1質量部以上であり、例えば、40質量部以下、好ましくは、20質量部以下である。
また、高分子量ポリオールの平均水酸基価(JIS K 1557−1(2007年)に準拠)は、例えば、10mgKOH/g以上、好ましくは、20mgKOH/g以上、より好ましくは、40mgKOH/g以上であり、例えば、500mgKOH/g以下、好ましくは、300mgKOH/g以下、より好ましくは、100mgKOH/g以下である。
また、外観および機械物性の観点から、高分子量ポリオールの数平均分子量(GPC測定によるポリスチレン換算分子量)は、400以上、好ましくは、500以上、より好ましくは、600以上、さらに好ましくは、800以上であり、例えば、5000以下、好ましくは、3000以下、より好ましくは、1300以下、さらに好ましくは、1200以下である。
また、ポリオール化合物は、さらに、低分子量ポリオールを含むことができる。
低分子量ポリオールとしては、上記した低分子量ポリオールなどが挙げられ、単独使用または2種類以上併用することができる。
低分子量ポリオールとして、好ましくは、2価アルコールが挙げられ、より好ましくは、炭素数2〜20アルカンジオール、ヘテロ環含有ジオールが挙げられ、さらに好ましくは、炭素数3〜8アルカンジオール、ヘテロ環含有ジオールが挙げられ、とりわけ好ましくは、1,4−ブタンジオール、イソソルビドが挙げられる。
また、低分子量ポリオールとして、好ましくは、炭素数3〜8アルカンジオールと、ヘテロ環含有ジオールとの併用が挙げられる。
このような場合、併用割合は、ポリウレタンレンズの外観、透明性および機械物性の観点から、適宜調整される。
より具体的には、炭素数3〜8アルカンジオールおよびヘテロ環含有ジオールの総モル数に対して、ヘテロ環含有ジオールの含有割合が、60モル%以上、好ましくは、65モル%以上、より好ましくは、70モル%以上、さらに好ましくは、75モル%以上、とりわけ好ましくは、78モル%以上であり、95モル%以下、好ましくは、90モル%以下、より好ましくは、88モル%以下、さらに好ましくは、85モル%以下、とりわけ好ましくは、83モル%以下である。また、炭素数3〜8アルカンジオールの含有割合が、例えば、5モル%以上、好ましくは、10モル%以上、より好ましくは、12モル%以上、さらに好ましくは、15モル%以上、とりわけ好ましくは、17モル%以上であり、例えば、40モル%以下、好ましくは、35モル%以下、より好ましくは、30モル%以下、さらに好ましくは、25モル%以下、とりわけ好ましくは、22モル%以下である。
質量基準では、炭素数3〜8アルカンジオールおよびヘテロ環含有ジオールの総質量に対して、ヘテロ環含有ジオールの含有割合が、例えば、70質量%以上、好ましくは、75質量%以上、より好ましくは、78質量%以上、さらに好ましくは、80質量%以上であり、例えば、98質量%以下、好ましくは、93質量%以下、より好ましくは、90質量%以下、さらに好ましくは、88質量%以下である。また、炭素数3〜8アルカンジオールの含有割合が、例えば、2質量%以上、好ましくは、5質量%以上、より好ましくは、8質量%以上、さらに好ましくは、10質量%以上であり、例えば、30質量%以下、好ましくは、25質量%以下、より好ましくは、23質量%以下、さらに好ましくは、20質量%以下である。
炭素数3〜8アルカンジオールおよびヘテロ環含有ジオールの割合が上記範囲であれば、外観、透明性および機械物性を兼ね備える熱可塑性ポリウレタン樹脂を得ることができる。
また、これら低分子量ポリオールと上記高分子量ポリオールとの併用割合は、ポリウレタンレンズの外観、透明性および機械物性の観点から、適宜調整される。例えば、後述するプレポリマー法が採用される場合には、後述する当量比に基づいて、高分子量ポリオールおよび低分子量ポリオールの併用割合が設定される。
そして、熱可塑性ポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分を、公知の方法で反応させることによって、製造される。
この反応では、例えば、ワンショット法、プレポリマー法などの公知の方法が採用される。外観、透明性および機械物性を向上させる観点から、好ましくは、プレポリマー法が採用される。
プレポリマー法では、まず、ポリイソシアネート成分と高分子量ポリオールとを反応させて、イソシアネート末端プレポリマーを合成する(プレポリマー合成工程)。
より具体的には、プレポリマー合成工程では、ポリイソシアネート成分と、高分子量ポリオールとを、例えば、バルク重合や溶液重合などの重合方法により反応させる。
バルク重合では、例えば、窒素気流下において、ポリイソシアネート成分および高分子量ポリオールを、反応温度が、例えば、50℃以上、例えば、250℃以下、好ましくは、200℃以下で、例えば、0.5時間以上、例えば、15時間以下反応させる。
溶液重合では、有機溶剤に、ポリイソシアネート成分および高分子量ポリオールを加えて、反応温度が、例えば、50℃以上、例えば、120℃以下、好ましくは、100℃以下で、例えば、0.5時間以上、例えば、15時間以下反応させる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、例えば、アセトニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのアルキルエステル類、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのグリコールエーテルエステル類、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、例えば、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、臭化メチル、ヨウ化メチレン、ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホニルアミドなどの極性非プロトン類などが挙げられる。
また、上記の重合反応では、必要に応じて、例えば、アミン類や有機金属化合物などの公知のウレタン化触媒を添加することができる。
アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N−メチルモルホリンなどの3級アミン類、例えば、テトラエチルヒドロキシルアンモニウムなどの4級アンモニウム塩、例えば、イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類などが挙げられる。
有機金属化合物としては、例えば、酢酸錫、オクチル酸錫(オクチル酸第一スズ)、オレイン酸錫、ラウリル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジメチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジメルカプチド、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジネオデカノエート、ジオクチル錫ジメルカプチド、ジオクチル錫ジラウリレート、ジブチル錫ジクロリドなどの有機錫化合物、例えば、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛などの有機鉛化合物、例えば、ナフテン酸ニッケルなどの有機ニッケル化合物、例えば、ナフテン酸コバルトなどの有機コバルト化合物、例えば、オクテン酸銅などの有機銅化合物、例えば、オクタン酸ビスマス(オクチル酸ビスマス)、ネオデカン酸ビスマスなどの有機ビスマス化合物などが挙げられ、好ましくは、オクチル酸スズ、オクチル酸ビスマスが挙げられる。
さらに、ウレタン化触媒として、例えば、炭酸カリウム、酢酸カリウム、オクチル酸カリウムなどのカリウム塩が挙げられる。
これらウレタン化触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ウレタン化触媒の添加割合は、ポリイソシアネート成分および高分子量ポリオールとの総量10000質量部に対して、例えば、0.001質量部以上、好ましくは、0.01質量部以上であり、例えば、1質量部以下、好ましくは、0.5質量部以下である。
また、上記重合反応においては、未反応のポリイソシアネート成分や、有機溶剤を用いた場合には有機溶剤を、例えば、蒸留や抽出などの公知の除去手段により除去することができる。
プレポリマー合成工程において、各成分の配合割合は、高分子量ポリオール中の水酸基に対する、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)として、例えば、1.5以上、好ましくは、3.0以上、より好ましくは、4.0以上であり、例えば、15以下、好ましくは、10以下、より好ましくは、8以下である。
そして、この方法では、イソシアネート基含有率が、例えば、5.0質量%以上、より好ましくは、10.0質量%以上、より好ましくは、15.0質量%以上、例えば、30.0質量%以下、好ましくは、25.0質量%以下に達するまで上記成分を反応させる。これにより、イソシアネート基末端プレポリマーを得ることができる。
なお、イソシアネート基含有量(イソシアネート基含有率)は、ジ−n−ブチルアミンによる滴定法や、FT−IR分析などの公知の方法によって求めることができる。
次いで、この方法では、上記により得られたイソシアネート基末端プレポリマーと、低分子量ポリオールとを鎖伸長反応させて、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との反応生成物を得る(鎖伸長工程)。
すなわち、この方法において、低分子量ポリオールは、鎖伸長剤である。
そして、鎖伸長工程では、イソシアネート基末端プレポリマーと、低分子量ポリオールとを、例えば、上記したバルク重合や上記した溶液重合などの重合方法により反応させる。
鎖伸長工程において、各成分の配合割合は、低分子量ポリオール中の水酸基に対する、イソシアネート基末端プレポリマー中のイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)として、例えば、0.75以上、好ましくは、0.9以上、例えば、1.3以下、好ましくは、1.1以下である。
より具体的には、鎖伸長工程における各成分の配合割合は、イソシアネート基末端プレポリマー100質量部に対して、低分子量ポリオールの総量が、例えば、1.0質量部以上、好ましくは、2.0質量部以上、より好ましくは、3.0質量部以上であり、例えば、50質量部以下、好ましくは、40質量部以下、より好ましくは、30質量部以下である。
また、鎖伸長工程において、得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂のハードセグメント濃度を調整するために、低分子量ポリオールの他に、高分子量ポリオールを、適宜の割合で配合することもできる。
さらに、この反応においては、必要に応じて、上記したウレタン化触媒を添加することができる。ウレタン化触媒は、イソシアネート基末端プレポリマーおよび/または低分子量ポリオールに配合することができ、また、それらの混合時に別途配合することもできる。
また、鎖伸長工程における反応温度は、例えば、室温(23℃)以上、好ましくは、100℃以上、より好ましくは、150℃以上であり、例えば、300℃以下、好ましくは、260℃以下、より好ましくは、240℃以下である。
また、反応時間が、例えば、30分以上、好ましくは、1時間以上、例えば、48時間以下、好ましくは、24時間以下である。
反応温度および反応時間が上記範囲であれば、外観、透明性および機械物性を兼ね備える熱可塑性ポリウレタン樹脂が得られる。
また、鎖伸長工程では、必要に応じて、上記した反応(一次加熱)の後、二次加熱して、反応を完結させることができる。
二次加熱温度は、例えば、室温(23℃)以上、好ましくは、50℃以上、より好ましくは、80℃以上であり、例えば、200℃以下、好ましくは、160℃以下、より好ましくは、140℃以下である。
また、二次加熱時間が、例えば、3時間以上、好ましくは、5時間以上、例えば、72時間以下、好ましくは、48時間以下である。
このような二次加熱により、鎖伸長反応を完結させ、上記ポリイソシアネート成分および上記ポリオール成分の反応生成物を得ることができ、熱可塑性ポリウレタン樹脂を得ることができる。
さらに、得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂を、必要に応じて、例えば、室温(23℃)〜40℃で、例えば、1〜7日間、養生することもできる。
また、上記の反応生成物を得る方法として、ワンショット法を採用する場合には、ポリイソシアネート成分と、ポリオール成分(高分子量ポリオールおよび低分子量ポリオールを含む)とを、ポリオール成分中の水酸基に対する、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)が、例えば、0.9以上、好ましくは、0.95以上、より好ましくは、0.98以上、例えば、1.2以下、好ましくは、1.1以下、より好ましくは、1.08以下となる割合で、同時に配合して撹拌混合する。
また、この撹拌混合は、例えば、不活性ガス(例えば、窒素)雰囲気下、反応温度が、例えば、40℃以上、好ましくは、100℃以上、例えば、280℃以下、好ましくは、260℃以下で、反応時間が、例えば、30秒以上1時間以下で実施する。
また、撹拌混合時には、必要により、上記したウレタン化触媒や有機溶剤を、適宜の割合で添加することができる。
このような方法でも、上記ポリイソシアネート成分および上記ポリオール成分の反応生成物を得ることができ、熱可塑性ポリウレタン樹脂を得ることができる。
また、熱可塑性ポリウレタン樹脂は、必要に応じて、公知の添加剤を含むことができる。そのような添加剤としては、例えば、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、さらには、酸化防止剤、加水分解防止剤、可塑剤、ブロッキング防止剤、離型剤、顔料、染料、滑剤、フィラー、防錆剤、充填剤などを添加することができる。これら添加剤は、各成分の混合時、合成時または合成後に添加することができる。
耐熱安定剤としては、特に制限されず、公知の耐熱安定剤(例えば、BASFジャパン製カタログに記載)が挙げられ、より具体的には、例えば、リン系加工熱安定剤、ラクトン系加工熱安定剤、イオウ系加工熱安定剤などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、特に制限されず、公知の紫外線吸収剤(例えば、BASFジャパン製カタログに記載)が挙げられ、より具体的には、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤などが挙げられる。
耐光安定剤としては、特に制限されず、公知の耐光安定剤(例えば、ADEKA製カタログに記載)が挙げられ、より具体的には、例えば、ベンゾエート系光安定剤、ヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられる。
これら添加剤の添加量は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
また、添加剤は、例えば、上記ポリイソシアネート成分および/または上記ポリオール成分に添加されていてもよく、それらの配合時に同時に添加されていてもよく、さらに、それらの配合後に添加されていてもよい。
以上のようにして、熱可塑性ポリウレタン樹脂が、準備される。
また、熱可塑性ポリウレタン樹脂は、好ましくは、熱可塑性ポリウレタン樹脂のペレットとして準備される。より具体的には、熱可塑性ポリウレタン樹脂を粉砕し、押出機により押出した後、ペレット化する。
これにより、熱可塑性ポリウレタン樹脂のペレットを準備する。
次いで、この方法では、上記の熱可塑性ポリウレタン樹脂を、レンズ形状に射出成形する(成形工程)。
より具体的には、この工程では、熱可塑性ポリウレタン樹脂のペレットを射出成形し、ポリウレタンレンズ1(図1参照)を得る。
射出成形では、図2に示されるように、射出成形シリンダー10および金型11が準備され、射出成形シリンダー10に供給および溶融された熱可塑性ポリウレタン樹脂が、予金型11に射出(供給)および成形される。
射出成形シリンダー10は、図示しないが、例えば、熱可塑性ポリウレタン樹脂のペレットを供給するためのホッパ、例えば、熱可塑性ポリウレタン樹脂の供給量を調整するためのフィーダ、例えば、熱可塑性ポリウレタン樹脂のペレットを溶融させるためのヒータ、例えば、熱可塑性ポリウレタン樹脂を混練および供給するためのスクリューなどを備えている。
射出成形シリンダー10の先端(シリンダーノズル)は、金型11に接続されており、溶融状態の熱可塑性ポリウレタン樹脂を、金型11内に射出可能としている。
金型11は、ポリウレタンレンズ1(図1参照)に対応する空間を有する金型である。
より具体的には、金型11は、内部空間として、製品部12、ゲート13および余剰供給部14を備えている。
製品部12は、ポリウレタンレンズ1におけるレンズ部2(図1参照)を成形するための空間である。すなわち、製品部12の内寸は、レンズ部2の外寸と略同一である。
ゲート13は、製品部12に熱可塑性ポリウレタン樹脂を供給するための供給口である。
より具体的には、ゲート13は、製品部12から連続し、製品部12の径方向に沿って延びる略平帯形状の空間である。換言すれば、ゲート13は、ストレートゲートである。
なお、ストレートゲートは、ファンゲート(扇形状の供給口)などとは異なり、幅方向長さ(長手方向と直交する方向)が長手方向において略一定であるゲートを示す。
ゲート13の長手方向長さは、例えば、2mm以上、好ましくは、5mm以上であり、例えば、10mm以下、好ましくは、8mm以下である。
また、ゲート13の幅方向長さ(幅)は、収縮を低減し、シワの発生を抑制する観点から、例えば、3mm以上、好ましくは、6mm以上であり、例えば、42mm以下、好ましくは、30mm以下である。
また、ゲート13の幅方向長さ(幅)は、収縮を低減し、シワの発生を抑制する観点から、製品部12の平面視における径方向長さ(直径)に対して、例えば、50%以下、好ましくは、30%以下、より好ましくは、20%以下、さらに好ましくは、15%以下であり、例えば、5%以上である。
余剰供給部14は、ポリウレタンレンズ1の成形において、金型11の製品部12の容量に対し、熱可塑性ポリウレタン樹脂が余剰に供給される場合、その余剰の熱可塑性ポリウレタン樹脂を充填する空間である。
金型11が余剰供給部14を備えることにより、射出成形時のショート(樹脂不足による欠け)を抑制することができ、生産性よくポリウレタンレンズ1を得ることができる。
余剰供給部14は、特に制限されないが、例えば、製品部12から連続し、製品部12の径方向に沿って延びる略平帯形状の空間である。また、余剰供給部14は、製品部12を挟んでゲート13と対向するように設けられる。つまり、余剰供給部14は、製品部12に対して、ゲート13の反対側に配置されている。
余剰供給部14の長手方向長さは、例えば、1mm以上、好ましくは、3mm以上であり、例えば、30mm以下、好ましくは、25mm以下である。
また、余剰供給部14の厚みおよび幅方向長さ(長手方向と直交する方向)は、好ましくは、長手方向において、略一定である。
余剰部4の厚みは、例えば、0.3mm以上、好ましくは、0.5mm以上であり、例えば、7.0mm以下、好ましくは、5.0mm以下である。
また、余剰部4の幅方向長さ(幅)は、例えば、1mm以上、好ましくは、3mm以上であり、例えば、30mm以下、好ましくは、25mm以下である。
また、余剰供給部14の幅方向長さ(幅)は、製品部12の平面視における径方向長さ(直径)に対して、例えば、50%以下、好ましくは、30%以下、より好ましくは、20%以下、さらに好ましくは、15%以下であり、例えば、5%以上である。
そして、この方法では、射出成形シリンダー10に、熱可塑性ポリウレタン樹脂のペレットを投入し、射出成形シリンダー10内で熱可塑性ポリウレタン樹脂を溶融および混練させる。そして、溶融した熱可塑性ポリウレタン樹脂を、スプール15およびランナー16を介して、ゲート13から製品部12に供給する。
製品部12に対して熱可塑性ポリウレタン樹脂を供給する方法は、例えば、ホッパにおける熱可塑性ポリウレタン樹脂の自重(自然落下)によって供給する自重供給であってもよく、また、例えば、排気性などを考慮して樹脂温度および供給量(供給速度)をフィーダにより制限する飢餓供給であってもよい。
この方法では、曇りを改善し、透明性の向上を図る観点から、好ましくは、製品部12(金型11)に対して、熱可塑性ポリウレタン樹脂を飢餓供給する。
熱可塑性ポリウレタン樹脂を飢餓供給する場合、射出成形シリンダー10の温度(シリンダー温度)は、例えば、150℃以上、好ましくは、180℃以上であり、例えば、270℃以下、好ましくは、250℃以下である。
また、射出成形シリンダー10の先端温度(ノズル温度)は、例えば、150℃以上、好ましくは、180℃以上であり、例えば、270℃以下、好ましくは、250℃以下である。
また、熱可塑性ポリウレタン樹脂の供給量(供給速度)は、例えば、10g/min以上、好ましくは、30g/min以上であり、例えば、300g/min以下、好ましくは、250g/min以下である。
また、金型11の温度(金型温度)は、収縮を低減し、シワの発生を抑制する観点から、例えば、5℃以上、好ましくは、10℃以上であり、例えば、60℃以下、好ましくは、50以下、より好ましくは、40℃以下、さらに好ましくは、40℃未満、さらに好ましくは、30℃以下、とりわけ好ましくは、25℃以下である。
これにより、熱可塑性ポリウレタン樹脂が、製品部12において固化し、ポリウレタンレンズ1のゲート部2(図1参照)が成形される。
また、熱可塑性ポリウレタン樹脂は、ゲート13においても固化する。これにより、ポリウレタンレンズ1のゲート部3(図1参照)が成形される。
さらに、製品部12に対して余剰の熱可塑性ポリウレタン樹脂は、余剰供給部14に供給され、余剰供給部14において固化する。これにより、ポリウレタンレンズ1の余剰部4(図1参照)が成形される。
これにより、ポリウレタンレンズ1が得られる。
また、得られたポリウレタンレンズ1は、好ましくは、アニール(養生)処理される。
アニール条件としては、アニール温度が、例えば、40℃以上、好ましくは、60℃以上であり、例えば、150℃以下、好ましくは、130℃以下である。また、アニール時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1.0時間以上であり、例えば、5.0時間以下、好ましくは、3.0時間以下である。
このようなアニール処理により、ポリウレタンレンズ1の機械物性の向上を図ることができる。
しかし、熱可塑性ポリウレタン樹脂から得られるポリウレタンレンズ1において、ゲート部3がファンゲート形状(図3参照)である場合などには、上記の成形後にポリウレタンレンズ1が収縮し、レンズ部2の表面に皺を発生させる場合がある。とりわけ、アニール処理すると、ポリウレタンレンズ1が顕著に収縮し、レンズ部2の表面に、顕著に皺を発生させる。また、レンズの収縮を抑制するため、熱硬化性ポリウレタン樹脂を用いることも検討されるが、そのような場合には、生産性が低下する。
これらに対して、上記のポリウレタンレンズ1は、熱可塑性ポリウレタン樹脂から成形され、レンズ部2と、そのレンズ部2に連続するゲート部3とを備え、ゲート部3が、ストレートゲート形状である。
そのため、上記のポリウレタンレンズ1によれば、生産性の向上を図ることができ、さらに、ゲート部がファンゲート形状である場合などに比べて、成形後の収縮を抑制できる。
また、上記のポリウレタンレンズ1の製造方法では、熱可塑性ポリウレタン樹脂を準備し、その熱可塑性ポリウレタン樹脂をレンズ形状に射出成形する。また、熱可塑性ポリウレタン樹脂を金型11に供給するゲート13が、ストレートゲートであり、金型温度が、40℃以下である。
このようなポリウレタンレンズ1の製造方法によれば、上記したポリウレタンレンズ1を効率よく得ることができる。
そのため、上記のポリウレタンレンズ1の製造方法は、ポリウレタンレンズ1の生産性に優れ、また、得られるポリウレタンレンズ1は、ゲート部2がファンゲート形状である場合などに比べて、成形後の収縮を抑制できる。
そのため、上記のポリウレタンレンズ1は、例えば、矯正眼鏡、保護眼鏡、サングラス、ゴーグルなどのアイウェアのレンズ、例えば、デジタルカメラ、フィルムカメラなどのカメラのレンズ、例えば、顕微鏡、双眼鏡などの光学機器のレンズなど、各種産業分野において、好適に用いられる。
なお、上記のポリウレタンレンズ1が上記のように製造された後、ゲート部3および/または余剰部4が除去される場合がある。つまり、ポリウレタンレンズ1は、レンズ部2のみの状態で流通され、また、使用される場合がある。
このような場合にも、レンズ部2には、僅かに残存するゲート部3の形跡(残痕、レムナント)および/または余剰部4の形跡が付着するため、これら形跡に基づいて、ゲート部3の形状、および/または、余剰部4の形状を特定できる。
ポリウレタンレンズ1の厚さ2mmにおけるヘイズは、例えば、0.001以上、好ましくは、0.01以上であり、例えば、1.5以下、好ましくは、1.0以下である。
また、ポリウレタンレンズ1の厚さ12mmにおける硬さ(ショアD)が、例えば、60以上、好ましくは、65以上であり、例えば、95以下、好ましくは、90以下である。
次に、本発明を、製造例、合成例、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、これらによって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
<1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの製造>
製造例1 1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1)(以下、1,4−BIC(1)とする。)の製造方法
特開2014−55229号公報の製造例6の記載に準拠して、純度99.5%以上のトランス体/シス体比98/2の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを92%の収率で得た。
その後、特開2014−55229号公報の製造例1の記載に準拠して、この1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを原料として、冷熱2段ホスゲン化法を加圧下で実施して、1,4−BIC(1)を382質量部得た。
得られた1,4−BIC(1)のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.9%、13C−NMR測定によるトランス体/シス体比は98/2であった。
製造例2 1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(2)(以下、1,4−BIC(2)とする。)の製造方法
撹拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、製造例1の1,4−BIC(1)を789質量部、後述の製造例4の1,4−BIC(3)を211質量部装入し、窒素雰囲気下、室温にて1時間撹拌した。得られた1,4−BIC(2)のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.9%、13C−NMR測定によるトランス/シス比は86/14であった。
製造例3 1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(3)(以下、1,4−BIC(3)とする。)の製造方法
13C−NMR測定によるトランス体/シス体比が41/59の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(東京化成工業社製)を原料として、特開2014−55229号公報の製造例1の記載に準拠して、388質量部の1,4−BIC(3)を得た。
得られた1,4−BIC(3)のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.9%、13C−NMR測定によるトランス体/シス体比は41/59であった。
<熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造、および、ポリウレタンレンズの成形>
実施例1
撹拌機、温度計、還流管および窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、PTG1000(保土ヶ谷化学工業社製、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、数平均分子量1000)32.10質量部と、PCL210N(ダイセル社製、ポリカプロラクトンジオール、数平均分子量1000)1.60質量部とを装入した。
次いで、そこに、当量比(NCO/OH)が6.63になるように、1,4−BIC(2)41.70質量部(トランス/シス比=86/14)を装入した。
そして、イソシアネート基含量が所定値(20.32質量%)に至るまで反応させ、イソシアネート基末端プレポリマー(以下、プレポリマーと略する場合がある。)を得た。
次いで、予め80℃に調製したプレポリマー75.40質量部と、イルガノックス245(BASFジャパン製 耐熱安定剤)0.30質量部と、チヌビン326(BASFジャパン社製 紫外線吸収剤)0.40質量部と、アデカスタブLA−72(ADEKA社製 光安定剤)0.09質量部と、JPE−10(城北化学工業社製 酸化防止剤)0.5質量部と、スタノクト(APIコーポレーション社製 オクチル酸第一スズ)のDINA(ジェイ・プラス社製 ジイソノニルアジペート)溶液(4質量%)0.013質量部とを、ステンレス容器に入れ、高速ディスパーを使用して、800rpmの撹拌下、約2分間撹拌混合した。
一方、イソソルビド(ROQUETTE社製、POLYSORB P(登録商標))と、1,4−ブタンジオール(BG、三菱化学社製)とを、イソソルビド:BG=80:20(モル比)となるように混合し、80℃に温度を調整した。これにより、鎖伸長剤を得た。
そして、上記のプレポリマーを含む混合物に、鎖伸長剤を、当量比(NCO/OH)が1.00になるように添加した。
その後、約10分間、反応混合液の全体が均一になるまで充分に撹拌した。
そして、撹拌停止後、すぐに反応混合液の均一性を確認し、予め180℃に温調したSUS(ステンレス鋼)製バッド上のテフロン(登録商標)シートに反応混合液を流し込み、180℃にて2時間反応させ、さらに、100℃にて20時間反応させた。
これにより、熱可塑性ポリウレタン樹脂を得た。
次いで、得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂を、バットから取り外し、室温23℃、相対湿度50%の恒温恒湿条件下にて、3日間養生した。
次いで、熱可塑性ポリウレタン樹脂を、ベールカッターによりサイコロ状に切断し、粉砕機にてサイコロ状の樹脂を粉砕し、粉砕ペレットを得た。次いで、粉砕ペレットを、窒素気流下、80℃にて一昼夜乾燥した。
次いで、粉砕ペレットを、単軸押出機(型式:SZW40−28MG、テクノベル社製)により、シリンダー温度185〜250℃の範囲で押出成形し、さらに、カットすることによって、熱可塑性ポリウレタン樹脂のペレットを得た。また、得られたペレットをさらに窒素気流下、80℃にて一昼夜乾燥した。
次いで、ペレットを、射出成型機(型式:SE−180DU、住友重機械工業株式会社製)により、シリンダー温度185〜250℃、ノズル温度185〜245℃の範囲で射出成形した。
これにより、ポリウレタンレンズ(厚さ2.0mm、直径78mm、プラノコンベックス)を得た。
なお、射出成形に用いた金型のゲートは、ストレートゲートであり、その寸法は、幅10mm、厚み1.5mmであった。
また、射出成形において、金型温度は20℃であった。
また、熱可塑性ポリウレタン樹脂の供給方法は、ハングリーフィーダーを用いた飢餓供給とし、供給量(供給速度)を、60g/minに調整した。
実施例2
金型温度を40℃に変更した以外は、実施例1と同じ方法で、熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、ポリウレタンレンズを成形した。
実施例3
PCL210N(ダイセル社製、ポリカプロラクトンジオール、数平均分子量1000)を配合せず、PTG1000を33.58質量部配合し、さらに、1,4−BIC(2)の配合量を41.82質量部に変更した以外は、実施例1と同じ方法で、熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、ポリウレタンレンズを成形した。
実施例4
射出成形に用いる金型を変更した以外は、実施例1と同じ方法で、熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、ポリウレタンレンズを成形した。
なお、射出成形に用いた金型のゲートは、ストレートゲートであり、その寸法は、幅27mm、厚み1.5mmであった。
実施例5
射出成形において、熱可塑性ポリウレタン樹脂の供給方法を、飢餓供給から、ホッパにおける熱可塑性ポリウレタン樹脂の自重による供給に変更した以外は、実施例1と同じ方法で、熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、ポリウレタンレンズを成形した。
比較例1
射出成形に用いる金型を変更した以外は、実施例1と同じ方法で、熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造し、ポリウレタンレンズを成形した。
なお、射出成形に用いた金型のゲートは、ファンゲート(図3参照)であり、その寸法は、レンズ部とゲート部との接触部分の幅27mm、厚み1.5mmであった。
<評価>
各実施例および各比較例で得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂およびポリウレタンレンズについて、以下の通り評価した。その結果を、表1に示す。
1)収縮比
各実施例および各比較例において得られたポリウレタンレンズの、射出成形直後の寸法を測定した。なお、寸法として、ゲート部が延びる方向(図1の紙面左右方向(MD方向))における、レンズ部の直径D1を測定した。
次いで、ポリウレタンレンズを60℃の乾燥オーブンに入れ、2時間静置した。
次いで、ポリウレタンレンズを、120℃の乾燥オーブンに入れ、1時間静置した。
次いで、ポリウレタンレンズを、室温まで冷却した。
その後、ポリウレタンレンズの寸法、すなわち、レンズ部の上記MD方向における直径D2を測定した。また、下記式により、ポリウレタンレンズの収縮率を算出した。
そして、各ポリウレタンレンズの収縮率を、比較例1のポリウレタンレンズの収縮率で割った値を収縮比として、評価した。
2)外観
各実施例および各比較例で得られたポリウレタンレンズの外観を、目視で確認した。
そして、収縮によるシワの発生について、以下の基準で評価した。
○:シワが確認されなかった。
△:シワが確認された。
×:シワが顕著に確認された。
3)濁り
各実施例および各比較例で得られたポリウレタンレンズの濁りを、目視で確認した。
そして、濁りについて、以下の基準で評価した。
○:濁り確認されなかった。
△:濁りが確認された。
×:濁りが顕著に確認された。
Figure 2021139954
なお、表中の略号の詳細を下記する。
1,4−BIC(2):製造例2の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(トランス体/シス体比は86/14)
PTG1000:保土ヶ谷化学工業社製、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、数平均分子量1000
PCL210N:ダイセル社製、ポリカプロラクトンジオール、数平均分子量1000

Claims (7)

  1. 熱可塑性ポリウレタン樹脂から成形されたポリウレタンレンズであり、
    レンズ部と、前記レンズ部に連続するゲート部とを備え、
    前記ゲート部が、ストレートゲート形状である
    ことを特徴とする、ポリウレタンレンズ。
  2. 前記ゲート部の幅が、前記レンズ部の直径に対して、20%以下である
    ことを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタンレンズ。
  3. 前記熱可塑性ポリウレタン樹脂が、
    1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含むポリイソシアネート成分と、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを含むポリオール成分との反応生成物を含む
    ことを特徴とする、請求項1または2に記載のポリウレタンレンズ。
  4. 前記ポリオール成分が、さらに、ポリカプロラクトンポリオールを含む
    ことを特徴とする、請求項3に記載のポリウレタンレンズ。
  5. 熱可塑性ポリウレタン樹脂を準備する準備工程と、
    前記熱可塑性ポリウレタン樹脂をレンズ形状に射出成形する成形工程と
    を備えるポリウレタンレンズの製造方法であり、
    前記成形工程において、熱可塑性ポリウレタン樹脂を金型に供給する供給口が、ストレートゲートである
    ことを特徴とする、ポリウレタンレンズの製造方法。
  6. 前記成形工程において、前記金型温度が40℃未満である
    ことを特徴とする、請求項5に記載のポリウレタンレンズの製造方法。
  7. 前記成形工程において、前記金型に熱可塑性ポリウレタン樹脂を飢餓供給する
    ことを特徴とする、請求項5または6に記載のポリウレタンレンズの製造方法。
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