JP2021138005A - 繊維強化樹脂製部材とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】曲げ荷重が入力された場合の高い剛性を得ることができるとともに、優れた振動減衰性能を得ることができる繊維強化樹脂製部材とその製造方法を提供する。【解決手段】補強部材の長尺筒部は、X方向に延びる筒状部材である。長尺筒部の中央部21a3では、複数の繊維入り樹脂層216〜219が積層されてなる。各樹脂層216〜219は、樹脂部と繊維216f,217f,218f,219fとを含む。各繊維216f,217f,218f,219fは、筒軸Ax21に対して繊維角度θ6,θ7,θ8,θ9で交差している。中央部21a3における繊維218fおよび繊維219fは、当該繊維218fおよび繊維219fの筒軸Ax21に対する各繊維角度θ8,θ9は、長尺筒部の端部よりも大きくなるように配設されている。【選択図】図6

Description

本発明は、繊維強化樹脂製部材とその製造方法に関する。
自動車や航空機、さらには産業機械の構造部材として、炭素繊維強化樹脂製の部材が用いられる場合がある(特許文献1,2)。
特許文献1には、自動車の車体下部の剛性を補強するために、炭素繊維強化樹脂製の帯板材が用いられた構成が開示されている。特許文献1に開示の構成では、車体の変形時において、上記帯板材に捩りモーメントが作用するようになっている。
特許文献2には、自動車のステアリングシャフトとして炭素繊維強化樹脂製のシャフトを採用する構成が開示されている。特許文献2に開示のシャフトでは、所定の角度で繊維同士が交差するように炭素繊維を配向し、炭素繊維同士を編み込んでなる炭素繊維強化樹脂製の部材が用いられている。
特開2017−61170号公報 特開2015−160551号公報
しかしながら、上記特許文献1,2に開示の技術をはじめとする従来技術では、曲げ荷重が入力された場合の高い剛性と優れた減衰性能との両立を図ることが困難である。即ち、部材の長手方向に延びる軸心に対する繊維角度を小さくすれば、曲げ荷重が入力された場合の部材の剛性を向上させることはできるが減衰性能が低くなる。
逆に、部材の長手方向に延びる軸心に対する繊維角度を大きくすれば、高い減衰性能を得ることはできるが剛性が低くなる。
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、曲げ荷重が入力された場合の高い剛性を得ることができるとともに、優れた振動減衰性能を得ることができる繊維強化樹脂製部材とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る繊維強化樹脂製部材は、一の方向に延びる繊維強化樹脂製部材であって、前記一の方向に沿った中心軸周りに設けられ、第1繊維と樹脂部とを含む第1構成層と、前記第1構成層の外周側に隣接するように設けられ、第2繊維と樹脂部とを含む第2構成層と、を備え、前記第1繊維は、前記一の方向に対して交差する方向からの平面視で前記中心軸に対して交差するように当該中心軸周りを周回するように配設され、前記第2繊維は、前記交差する方向からの平面視で前記中心軸および前記第1繊維に対して交差するように当該中心軸周りを周回するように配設され、前記一の方向における一部に、前記交差する方向からの平面視での前記第1繊維および前記第2繊維の前記中心軸に対する各繊維角度が、他の領域と異なる一部領域を有する。
上記態様に係る繊維強化樹脂製部材では、上記一部領域における第1繊維および第2繊維と上記中心軸とがなす各繊維角度を他の領域と異なるようにしているので、繊維角度を大きく設定した領域(一部領域および他の領域の一方)での弾性率を低くすることにより、振動減衰性を高くすることができる。
また、繊維角度を小さく設定した領域(一部領域およびたの領域の他方)で剛性を高くすることができる。さらに、上記態様に係る繊維強化樹脂製部材では、第1構成層の繊維の向きと第2構成層の繊維の向きとを逆向きとすることで上記交差する方向からの平面視で互いに交差するようにしているので、上記特許文献2に開示の技術のように組物技術(繊維同士を編み込む技術)を採用する場合に比べて、設備上の制約が少なく、一部領域における上記繊維角度を他の領域における上記繊維角度に対して容易に変更することができる。
上記態様に係る繊維強化樹脂製部材において、前記他の領域は、前記第1構成層と前記第2構成層とを含む第1積層体で構成されており、前記一部領域は、前記第1積層体の前記第1構成層とは前記第1繊維の前記繊維角度が異なる前記第1構成層と、前記第1積層体の前記第2構成層とは前記第2繊維の前記繊維角度が異なる前記第2構成層と、を含む第2積層体で構成されており、前記第1積層体と前記第2積層体とは、前記一の方向において互いに突き合せ状態で接合されている、としてもよい。
上記のように、ともに第1構成層と第2構成層とを含む第1積層体および第2積層体を、互いに突き合せて接合することで繊維強化樹脂製部材を構成することとすれば、製造が容易となり製造コストの低減を行うことができる。
上記態様に係る繊維強化樹脂製部材において、前記第1積層体と前記第2積層体とは、前記一の方向において、前記第1積層体の前記第1構成層と前記第2積層体の前記第1構成層との突き合せ位置と、前記第1積層体の前記第2構成層と前記第2積層体の前記第2構成層との突き合せ位置とが異なるように、接合されている、としてもよい。
上記のように、上記一の方向において、前記第1積層体の前記第1構成層と前記第2積層体の前記第1構成層との突き合せ位置と、前記第1積層体の前記第2構成層と前記第2積層体の前記第2構成層との突き合せ位置とが異なるように、第1積層体と第2積層体とを接合するようにすれば、曲げ応力が入力されたような場合に第1積層体と第2積層体との突き合せ部分での応力集中を抑制することができる。よって、繊維強化樹脂製部材における上記接合部分の強度向上を図ることができる。
上記態様に係る繊維強化樹脂製部材において、前記第2構成層は、該繊維強化樹脂製部材の最外層を構成する、としてもよい。
上記のように、第2構成層を最外層に配設し、第1構成層を第2構成層の内側に隣接するように配設する場合、第1繊維および第2繊維の各交差角度を一部領域と他の領域との間で、一部領域では第1繊維角度<第2繊維角度、他の領域では第1繊維角度>第2繊維角度となるように差異を設けることで、第2構成層を積層の内側に設ける場合に比べて、より効果的に高剛性な部分と優れた減衰性を有する部分とを領域ごとに配設するのに有効である。
上記態様に係る繊維強化樹脂製部材において、前記他の領域における前記第1繊維および前記第2繊維が前記軸に対してなす繊維角度は、15°以上45°以下である、としてもよい。
上記のように、前記他の領域における前記第1繊維および前記第2繊維が前記軸に対してなす繊維角度を15°以上45°以下とすることにより、上記他の領域における弾性率を高くすることができる。よって、上記構成を採用する場合には、繊維強化樹脂製部材に対して曲げ荷重が入力された場合に、上記他の領域での高い剛性を確保することができる。
上記態様に係る繊維強化樹脂製部材において、前記一部領域における前記第1繊維および前記第2繊維が前記軸に対してなす繊維角度は、60°以上90°以下である、としてもよい。
上記のように、前記一部領域における前記第1繊維および前記第2繊維が前記軸に対してなす繊維角度を60°以上90°以下とすることにより、上記一部領域における弾性率を低くでき、優れた振動減衰性を得ることができる。
上記態様に係る繊維強化樹脂製部材において、前記一の方向における前記一部領域の幅をLとし、前記一の方向における該繊維強化樹脂製部材の全長をLとするとき、L/Lは、0.001以上0.01以下である、としてもよい。
上記のように、L/Lを0.001以上0.01以下とすることにより、曲げ荷重が入力された場合の高い剛性の確保と、優れた振動減衰性の確保との両立をバランスよく図ることができる。
本発明の一態様に係る繊維強化樹脂製部材の製造方法は、一の方向に延びる繊維強化樹脂製部材の製造方法であって、第1繊維と樹脂とを含む第1シート材を、前記一の方向に沿って延びる軸心を有するマンドレルにおける前記一の方向での一部領域に対して、前記軸心周りに巻回する第1巻回ステップと、第2繊維と樹脂とを含む第2シート材を、前記第1シート材の外周側に隣接するように、前記マンドレルの周りに巻回する第2巻回ステップと、第1繊維と樹脂とを含む第3シート材を、前記マンドレルにおける前記一の方向における前記一部領域に隣接する他の領域に対して、前記軸心周りに巻回する第3巻回ステップと、第2繊維と樹脂とを含む第4シート材を、前記第3シート材の外周側に隣接するように、前記マンドレルの周りに巻回する第4巻回ステップと、前記第1シート材、前記第2シート材、前記第3シート材、および前記第4シート材のそれぞれの前記樹脂を硬化させる硬化ステップと、前記樹脂が硬化した後に前記マンドレルを抜く脱芯ステップと、を備え、前記マンドレルに巻回された前記第1シート材および前記第3シート材において、前記第1シート材および前記第3シート材のそれぞれの前記第1繊維は、前記一の方向に対して交差する方向からの平面視で前記マンドレルの前記軸心に対して交差し、前記マンドレルに巻回された前記第2シート材および前記第4シート材において、前記第2シート材および前記第4シート材のそれぞれの前記第2繊維は、前記一の方向に対して交差する方向からの平面視で前記軸心および前記前記第1シート材および前記第3シート材のそれぞれの前記第1繊維に対して交差し、前記第1シート材における前記第1繊維の前記軸心に対する繊維角度は、前記第3シート材における前記第1繊維の前記軸心に対する繊維角度と異なり、前記第2シート材における前記第2繊維の前記軸心に対する繊維角度は、前記第4シート材における前記第2繊維の前記軸心に対する繊維角度と異なる。
上記態様に係る繊維強化樹脂製部材の製造方法では、所謂、シートワインディング工法を用いて、曲げ荷重が入力された場合の高い剛性と優れた振動減衰性能とを有する繊維強化樹脂製部材を製造することができるので、上記特許文献2に開示の技術のように組物技術(繊維同士を編み込む技術)を採用する場合に比べて、設備上の制約が少なく、容易に製造することができ製造コストの低減を図ることができる。
なお、高い剛性と優れた振動減衰性能との両立は、上述の通り、一部領域と他の領域とで繊維角度を異ならせることで実現できる。
本発明の一態様に係る繊維強化樹脂製部材の製造方法は、一の方向に延びる繊維強化樹脂製部材の製造方法であって、樹脂を含侵させた繊維を、前記一の方向に沿って延びる軸心を有するマンドレルに対して、前記軸心周りに巻回して、隣接して積層された第1構成層と第2構成層とを含む複数の構成層を形成する巻回ステップと、前記樹脂を硬化させる硬化ステップと、前記樹脂が硬化した後に前記マンドレルを抜く脱芯ステップと、を備え、前記巻回ステップでは、前記マンドレルを前記一の方向に移動させながら前記繊維を巻回することにより、前記第1構成層および前記第2構成層のそれぞれの前記繊維が、前記一の方向に対して交差する方向からの平面視で前記マンドレルの前記軸心に対して交差するように巻回するとともに、前記交差する方向からの平面視で前記第1構成層と前記第2構成層とで前記繊維同士が互いに交差するように巻回し、前記一の方向における一部領域において、前記第1構成層および前記第2構成層のそれぞれの前記繊維の、前記交差する方向からの平面視での前記軸心に対する各繊維角度が、他の領域と異なるように前記マンドレルの前記一の方向への移動を制御する。
上記態様に係る繊維強化樹脂製部材の製造方法でも、所謂、シートワインディング工法を用いて、曲げ荷重が入力された場合の高い剛性と優れた振動減衰性能とを有する繊維強化樹脂製部材を製造することができるので、上記特許文献2に開示の技術のように組物技術(繊維同士を編み込む技術)を採用する場合に比べて、設備上の制約が少なく、容易に製造することができ製造コストの低減を図ることができる。
また、上記態様に係る繊維強化樹脂製部材の製造方法では、第1繊維および第2繊維をそれぞれマンドレルに対して連続して巻回させるので、繊維の連続性が確保でき、剛性および減衰性の両観点から優れた繊維強化樹脂製部材を製造することができる。
上記の各態様に係る繊維強化樹脂製部材では、、曲げ荷重が入力された場合の高い剛性を得ることができるとともに、優れた振動減衰性能を得ることができる。
実施形態に係る車体の下面構造を示す下面図である。 車体の下面の一部構造を示す下面図である。 車体における車室内の構造を示す斜視図である。 補強部材の構造を示す斜視図である。 (a)は、図4のA部の構造を示す断面図であり、(b)は、A部における積層体の構造を示す模式図である。 (a)は、図4のB部の構造を示す断面図であり、(b)は、B部における積層体の構造を示す模式図である。 補強部材における長尺筒部の製造方法を示す斜視図である。 変形例1に係る長尺筒部の製造方法を示す模式図である。 補強部材における長尺筒部の高減衰部が奏する効果を評価するための閾値ラインを示す特性グラフである。 端部における繊維の繊維角度が±15°の場合の特性グラフであって、(a)は、L/L=0.01の場合、(b)は、L/L=0.004の場合、(c)は、L/L=0.002の場合、(d)は、L/L=0.001の場合をそれぞれ示す。 端部における繊維の繊維角度が±30°の場合の特性グラフであって、(a)は、L/L=0.01の場合、(b)は、L/L=0.004の場合、(c)は、L/L=0.002の場合、(d)は、L/L=0.001の場合をそれぞれ示す。 端部における繊維の繊維角度が±45°であって、L/L=0.001の場合における特性グラフである。 確認試験に供した実施例サンプルの構造を示す側面図である。 実施例サンプルの特性を示すグラフである。 変形例2に係る補強部材における長尺筒部の構造を示す側面図である。 変形例3に係る補強部材の長尺筒部の構造を示す図であって、(a)は、中央部における積層体の構造を示す断面図であり、(b)は、中央部における積層体の構造示す模式図である。 変形例4に係る補強部材における長尺筒部の構造を示す断面図である。
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明を例示的に示すものであって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
なお、以下の説明で用いる図面のうち、図1から図3における「Fr」は車体前方、「Re」は車体後方、「Le」は車体左方、「Ri」は車体右方を示し、完成車体を想定した場合の車両の前進方向を基準にした方向である。
[実施形態]
1.車体1の下面および車室内の構成
図1は、車体1の下面構成を模式的に示す下面図であり、図2は、車体1の下面の一部構成を模式的に示す下面図であり、図3は、車体1における車室1b内の構成を模式的に示す斜視図である。
本実施形態に係る車両の車体1は、モノコック式の車体である。図1から図3に示すように、車体1は、車室1bの下面(底面)を構成するフロアパネル2と、エンジンルーム1aと車室1bとを仕切るダッシュパネル3と、ダッシュパネル3から前方に向けて延びるように設けられた左右一対のフロントサイドフレーム4と、フロアパネル2の後側端部分から後方に向けて延びるように設けられた左右一対のリヤサイドフレーム5と、を備える。
なお、ダッシュパネル3は、フロアパネル2の前端部分から上方に向けて延びるように設けられている。
さらに、車体1は、フロアパネル2の左右両端部分に配設された左右一対のサイドシル6と、左右一対のサイドシル6の各前端部分から上方に向けて延びるように設けられた左右一対のヒンジピラー7と、左右一対のサイドシル6の各中間部分から上方に向けて延びるように設けられた左右一対のセンターピラー8と、左右一対のヒンジピラー7の各上端部分から斜め後ろに向けて延びるように設けられた左右一対のフロントピラー9と、左右一対のフロントピラー9の各後端部分から後方に向けて延びるように設けられた左右一対のルーフサイドレール10と、を備える。
なお、左右一対のルーフサイドレール10は、センターピラー8に対して、その上端部分であって後端部分にそれぞれ接合されている。
図1から図3に示すように、車体1のフロアパネル2は、下方からの平面視で略矩形状に構成されたトンネル部11を備える。トンネル部11は、車幅方向(Le−Ri方向)の中央部分において、前後方向(Fr−Re方向)に延び、車室1bに対して突出した状態で設けられている。
また、トンネル部11の左右両端部分には、それぞれが前後方向(Fr−Re方向)に延びる左右一対のトンネルフレーム部12が設けられている。左右一対のトンネルフレーム部12のそれぞれは、断面形状が略ハット状であり、フロアパネル2の下面と協働して前後方向(Fr−Re方向)に略並行した状態で延びる略矩形状の閉断面を構成している。
左右一対のサイドシル6のそれぞれと左右一対のトンネルフレーム部12のそれぞれとの各間の部分には、前後方向(Fr−Re方向)に延び、断面形状が略ハット状のフロアフレーム13がそれぞれ設けられている。フロアフレーム13のそれぞれは、車体1の後側(Re側)に行くに従って車体1の外側となるように配設されており、フロアパネル2の下面と協働して前後方向(Fr−Re方向)に略並行した状態で延びる略矩形状の閉断面を構成している。
それぞれのフロアフレーム13の前端部分は、フロントサイドフレーム4の後端部分に接合されている。
フロアパネル2は、車室1b内にトンネル部11を跨ぐ状態で左右方向(Le−Ri方向)に延びるように設けられたクロスメンバ14,15を備えている。クロスメンバ14,15のそれぞれは、断面形状が略ハット状に設けられている。そして、クロスメンバ14,15のそれぞれは、トンネル部11の側壁部分からサイドシル6の側壁部分に亘りフロアパネル2の上面と協働して左右方向(Le−Ri方向)に延びる略矩形状の閉断面を構成している。
クロスメンバ14は、ヒンジピラー7とセンターピラー8との中間部分に対応する位置に配設され、クロスメンバ14の前側壁部には、フロアフレーム13の前端側部分にフロアパネル2を挟んで接合された上側フレーム16の後端部分が接合されている。
クロスメンバ15は、クロスメンバ14と略並行する状態で配設されており、センターピラー8に対応する位置に配設されている。
車室1b内には、左右一対の前席シート(図示を省略。)が配設されている。各シートは、当該シートの強度および剛性を確保するためのシートフレーム(図示を省略。)をそれぞれ備え、左右一対のシートレール17に対して摺動できるようになっている。
図3に示すように、左右一対のシートレール17のうち、車幅方向の外側のシートレール17は、前端部分(前側シート取付部)がクロスメンバ14の車幅方向の外側部分に固定され、後端部分(後側シート取付部)がクロスメンバ15の車幅方向の外側部分に固定されている。
左右一対のシートレール17のうち、車幅方向の内側のシートレール17は、前端部分(前側シート取付部)がクロスメンバ14の車幅方向の内側部分に固定され、後端部分(後側シート取付部)がクロスメンバ15の車幅方向の内側部分に固定されている。
また、図1および図2に示すように、フロアパネル2の下側には、複数の補強部材21〜27が配設されている。
2.補強部材21〜27の構成と車体1の部材への取付構成
補強部材21〜27の構成と車体1の部材への取付構成について、図2および図4を用いて説明する。図4は、補強部材21(補強部材21〜27の一例)の構成を示す模式斜視図である。
図2に示すように、本実施形態に係る車体1では、複数の補強部材21〜27が左右対称の形態を以って配設されている。そして、補強部材21は、車体1の右側のサイドシル6とトンネルフレーム部12との間に架け渡され、それぞれに固定箇所Pで固定されている。
補強部材22は、トンネル部11を跨ぐ状態で左右のトンネルフレーム部12の間に架け渡され、それぞれに固定箇所Pで固定されている。補強部材23は、車体1の左側のサイドシル6とトンネルフレーム部12との間に架け渡され、それぞれに固定箇所Pで固定されている。
補強部材24は、補強部材23よりも車体1の前方側において、車体1の左側のサイドシル6とトンネルフレーム部12との間に架け渡され、それぞれに固定箇所Pで固定されている。補強部材25は、トンネル部11を跨ぐ状態で左右のトンネルフレーム部12同士の間に架け渡され、それぞれに固定箇所Pで固定されている。
補強部材26は、補強部材25よりも車体1の後方側において、トンネル部11を跨ぐ状態で左右のトンネルフレーム部12同士の間に架け渡され、それぞれに固定箇所Pで固定されている。補強部材27は、補強部材26の後端部分と、補強部材22および補強部材21の各一端とを繋ぎ、且つ、トンネルフレーム部12に対して固定箇所Pで固定されている。
図4に示すように、補強部材21は、一の方向(X方向)に沿って延びる筒軸Ax21を有する長尺筒部21aと、長尺筒部21aの各端部に設けられた固定部21b,21cとを有する。各固定部21b,21cには、ボルトの挿通(矢印C,D)を許す孔21d,21eが設けられている。補強部材21の固定部21b,21cは、車体1の各部に対してボルトの締結を以って固定する場合の部分である。
なお、図4では、図示を省略しているが、補強部材22〜27についても、補強部材21と同様の構成を有する。ただし、車体1に対して用いる場所に応じて長尺筒部の長さは適宜設定されている。
ここで、本実施形態に係る補強部材21〜27では、長尺筒部21aが炭素繊維強化樹脂(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)を用いて構成されている。即ち、補強部材21〜27における長尺筒部21aが、「繊維強化樹脂製部材」に該当する。具体的な構成については、後述する。
本実施形態に係る補強部材21は、長尺筒部21aの長さがLである。そして、長尺筒部21aの端から長さLだけ離間した部分、即ち、長尺筒部21aの長手方向中央とその周辺の領域(矢印Bで指し示す領域)を含む中央部21a3が、低弾性率で高振動減衰性の部分であり、「一部領域」に該当する。ここで、本実施形態に係る補強部材21〜27では、中央部21a3のX方向における幅がLである。幅Lは、長尺筒部21aの全長Lに対して、L/Lが0.001以上0.01以下の範囲となるように規定されている。
一方、補強部材21では、矢印Bで指し示す領域を除く領域(例えば、矢印Aで指し示す領域)である端部21a1,21a2が、高弾性率の部分であり、補強部材21に曲げ荷重がかかった際に高い剛性を確保するための部分であって、「他の領域」に該当する。
3.長尺筒部21aにおける端部21a1,21a2の構造
図5(a)は、図4のA部の構造を示す断面図であり、図5(b)は、図4のA部における積層体210の構造を示す模式図である。なお、図5(a)、(b)では、長尺筒部21aにおける中央部21a3を除く「他の領域」のうち、端部21a1だけを図示しているが、当該「他の領域」は、同様の構造を有する。
図5(a)に示すように、長尺筒部21aにおける端部21a1は、筒軸Ax21を中心軸として設けられた筒状の繊維入り樹脂層211〜214が積層されてなる積層体210で構成されている。図5(a)の拡大部分に示すように、各繊維入り樹脂層211〜214は、樹脂部211rと当該樹脂部211r内に埋設された繊維(炭素繊維)211fとで構成されている。なお、図5(a)の拡大部分では、繊維入り樹脂層211だけを図示しているが、残りの繊維入り樹脂層212〜214についても、樹脂部と繊維(炭素繊維)とで構成されている。
図5(b)に示すように、積層体210を構成する各繊維入り樹脂層211〜214の繊維211f〜214fは、それぞれ筒軸Ax21に対して交差するように筒軸Ax21の周りを周回するように配設されている。
繊維211fは、筒軸Ax21に対して繊維角度がθ1となっており、繊維212fは、筒軸Ax21に対して繊維角度がθ2(=−θ1)となっている。同様に、繊維213fは、筒軸Ax21に対して繊維角度がθ3となっており、繊維214fは、筒軸Ax21に対して繊維角度がθ4(=−θ3)となっている。
繊維角度θ1〜θ4は、15°以上45°以下の範囲に設定されている。
繊維211fと繊維212fとは、筒軸Ax21を基準とする繊維の向きが互いに逆向きとなるように配設されており、図5(b)に示す平面視で互いに交差している。繊維212fと繊維213fとについても、筒軸Ax21を基準とする繊維の向きが互いに逆向きとなるように配設されており、図5(b)に示す平面視で互いに交差している。繊維213fと繊維214fとについても、筒軸Ax21を基準とする繊維の向きが互いに逆向きとなるように配設されており、図5(b)に示す平面視で互いに交差している。
なお、本実施形態に係る長尺筒部21aでは、繊維入り樹脂層213が端部21a1における「第1構成層」に該当し、繊維入り樹脂層214が積層体210の最外層を構成し、端部21a1における「第2構成層」に該当する。そして、繊維入り樹脂層213の構成中に含まれる繊維(炭素繊維)213fが「第1繊維」に該当し、繊維入り樹脂層214の構成中に含まれる繊維(炭素繊維)214fが「第2繊維」に該当する。
また、長尺筒部21aにおいて、端部21a1の積層体210が「第1積層体」に該当する。
4.長尺筒部21aにおける中央部21a3の構造
図6(a)は、図4のB部の構造を示す断面図であり、図6(b)は、図4のB部における積層体215の構造を示す模式図である。
図6(a)に示すように、長尺筒部21aにおける中央部21a3は、筒軸Ax21を中心軸として設けられた筒状の繊維入り樹脂層216〜219が積層されてなる積層体215で構成されている。図6(a)の拡大部分に示すように、各繊維入り樹脂層216〜219は、樹脂部216rと当該樹脂部216r内に埋設された繊維(炭素繊維)216fとで構成されている。なお、図6(a)の拡大部分では、繊維入り樹脂層216だけを図示しているが、残りの樹脂層217〜219についても、樹脂層と繊維(炭素繊維)とで構成されている。
図6(b)に示すように、積層体215を構成する各繊維入り樹脂層216〜219の繊維216f〜219fは、それぞれ筒軸Ax21に対して交差するように筒軸Ax21の周りを周回するように配設されている。
繊維216fは、筒軸Ax21に対して繊維角度がθ6となっており、繊維217fは、筒軸Ax21に対して繊維角度がθ7(=−θ6)となっている。同様に、繊維218fは、筒軸Ax21に対して繊維角度がθ8となっており、繊維219fは、筒軸Ax21に対して繊維角度がθ9(=−θ8)となっている。
繊維角度θ6〜θ9は、60°以上90°以下の範囲に設定されている。
繊維216fと繊維217fとは、筒軸Ax21を基準とする配向が逆向きとなるように配設されており、図6(b)に示す平面視で互いに交差している。繊維217fと繊維218fとについても、筒軸Ax21を基準とする配向が逆向きとなるように配設されており、図6(b)に示す平面視で互いに交差している。繊維218fと繊維219fとについても、筒軸Ax21を基準とする配向が逆向きとなるように配設されており、図6(b)に示す平面視で互いに交差している。
なお、本実施形態に係る長尺筒部21aでは、繊維入り樹脂層218が中央部21a3における「第1構成層」に該当し、繊維入り樹脂層219が積層体215の最外層を構成し、中央部21a3における「第2構成層」に該当する。そして、繊維入り樹脂層218の構成中に含まれる繊維(炭素繊維)218fが「第1繊維」に該当し、繊維入り樹脂層219の構成中に含まれる繊維(炭素繊維)219fが「第2繊維」に該当する。
また、長尺筒部21aにおいて、中央部21a3の積層体215が「第2積層体」に該当する。詳細な図示を省略しているが、中央部21a3における積層体215と、X方向両側の端部21a1、21a2における積層体210とは、X方向において互いに突き合せ状態で接合されている。
5.長尺筒部21aの製造方法
図7は、補強部材21における長尺筒部21aの製造方法を示す斜視図である。
図7に示すように、まず、棒状のマンドレル500を準備する。マンドレル500は、当該マンドレル500の軸心Ax500周りに回転可能となっている(矢印E)。
次に、複数枚のプリプレグシート2110,2120,2130,2140,2160,2170,2180,2190を準備する。プリプレグシート2110は、繊維入り樹脂層211に対応するシートであり、マンドレル500の軸心Ax500に対して角度θ1で交差する向きに配された繊維(炭素繊維)211fを含む。プリプレグシート2120は、繊維入り樹脂層212に対応するシートであり、マンドレル500の軸心Ax500に対して角度θ2で交差する向きに配された繊維(炭素繊維)212fを含む。プリプレグシート2130は、繊維入り樹脂層213に対応するシートであり、マンドレル500の軸心Ax500に対して角度θ3で交差する向きに配された繊維(炭素繊維)213fを含む。プリプレグシート2140は、繊維入り樹脂層214に対応するシートであり、マンドレル500の軸心Ax500に対して角度θ4で交差する向きに配された繊維(炭素繊維)214fを含む。
プリプレグシート2160は、繊維入り樹脂層216に対応するシートであり、マンドレル500の軸心Ax500に対して角度θ6で交差する向きに配された繊維(炭素繊維)216fを含む。プリプレグシート2170は、繊維入り樹脂層217に対応するシートであり、マンドレル500の軸心Ax500に対して角度θ7で交差する向きに配された繊維(炭素繊維)217fを含む。プリプレグシート2180は、繊維入り樹脂層218に対応するシートであり、マンドレル500の軸心Ax500に対して角度θ8で交差する向きに配された繊維(炭素繊維)218fを含む。プリプレグシート2190は、繊維入り樹脂層219に対応するシートであり、マンドレル500の軸心Ax500に対して角度θ9で交差する向きに配された繊維(炭素繊維)219fを含む。
次に、マンドレル500を回転させながら、準備したプリプレグシート2110〜2140をマンドレル500の端部500a1,500a2に向けて送り出す(矢印F1,F2)。同様に、マンドレル500を回転させながら、準備したプリプレグシート2160〜2190をマンドレル500の中央部500a3に向けて送り出す(矢印F3)。ここで、マンドレル500の中央部500a3の幅は、形成しようとする長尺筒部21aにおける中央部21a3の幅と同じLである。
マンドレル500に対するプリプレグシート2110,2120,2130,2140,2160,2170,2180,2190の巻回においては、プリプレグシート2110〜2140からなる積層体とプリプレグシート2160〜2190とが、マンドレル500の長手方向に突き合せ状態となるようにする。
ここで、本実施形態において、プリプレグシート2180が「第1シート材」に該当し、プリプレグシート2190が「第2シート材」に該当する。そして、マンドレル500に対してプリプレグシート2180を巻回するステップが「第1巻回ステップ」に該当し、プリプレグシート2190を巻回するステップが「第2巻回ステップ」に該当する。
また、本実施形態において、プリプレグシート2130が「第3シート材」に該当し、プリプレグシート2140が「第4シート材」に該当する。そして、マンドレル500に対してプリプレグシート2130を巻回するステップが「第3巻回ステップ」に該当し、プリプレグシート2140を巻回するステップが「第2巻回ステップ」に該当する。
次に、マンドレル500に対するプリプレグシート2110,2120,2130,2140,2160,2170,2180,2190の巻回が終了すると、加熱により樹脂を硬化させる(硬化ステップ)。そして、樹脂が硬化したらマンドレル500を引く抜く(脱芯ステップ)。
なお、上記は熱硬化性樹脂の場合であり、熱可塑性樹脂の場合においては、ガラス転移点もしくは融点以上により、上記作業を行い、ガラス転移点もしくは融点以下になることで脱芯が可能となる。
以上のように、本実施形態では、シートワインディング工法を用いて長尺筒部21aを形成する。
6.効果
本実施形態に係る補強部材21〜27の長尺筒部(繊維強化樹脂製部材)21aでは、中央部21a3における炭素繊維216f,217f,218f,219fの繊維角度θ6〜θ9(θbと総称する。)を、端部21a1,21a2における炭素繊維211f,212f,213,214fの繊維角度θ1〜θ4(θaと総称する。)と異なるようにしているので、繊維角度θbを繊維角度θaよりも相対的に大きく設定した中央部21a3での弾性率を低く、振動減衰性を高くすることができる。
また、繊維角度θaを繊維角度θbよりも相対的に小さく設定した端部21a1,21a2での剛性を高くすることができる。さらに、本実施形態に係る長尺筒部21aでは、端部21a1,21a2における繊維入り樹脂層213の炭素繊維213fの向きと繊維入り樹脂層214の炭素繊維214fの向きとを逆向きとして平面視で互いに交差するようにし、同様に、中央部21a3における繊維入り樹脂層218の炭素繊維218fの向きと繊維入り樹脂層219の炭素繊維219fの向きとを逆向きとして平面視で互いに交差するようにしているので、上記特許文献2に開示の技術のように組物技術(繊維同士を編み込む技術)を採用する場合に比べて、設備上の制約が少なく、端部21a1,21a2と中央部21a3とで繊維角度θaと繊維角度θbとを容易に変更することができる。
また、本実施形態に係る長尺筒部21aでは、端部21a1,21a2を構成する積層体210と中央部21a3を構成する積層体215とを、X方向に突き合せた状態で接合しているので、製造が容易であって製造コストの低減を行うことができる。
また、第2構成層に該当する繊維入り樹脂層214,219を最外層に配設し、第1構成層に該当する繊維入り樹脂層213,218を繊維入り樹脂層214,219にそれぞれ隣接する内側に配設しているので、中央部21a3における繊維角度θbを端部21a1,21a2における繊維角度θaに対して差異を設けることで、繊維入り樹脂層214,219を積層体210,215の各内側の層として設ける場合に比べて、より確実に高剛性な部分と優れた減衰性を有する部分とを領域ごとに配設するのに有効である。
また、本実施形態に係る長尺筒部21aでは、端部21a1,21a2における繊維角度θaを15°以上45°以下とすることにより、端部21a1,21a2における弾性率を高くすることができる。よって、本実施形態に係る長尺筒部21aでは、当該長尺筒部21aに対して曲げ荷重が入力された場合に、当該部分での高い剛性を確保することができる。
また、本実施形態に係る長尺筒部21aでは、中央部21a3における繊維角度θbを60°以上90°以下とすることにより、中央部21a3における弾性率を低くでき、当該部分での優れた振動減衰性を得ることができる。
また、本実施形態に係る長尺筒部21aでは、L/Lを0.001以上0.01以下とすることにより、曲げ荷重が入力された場合の高い剛性の確保と、優れた振動減衰性の確保との両立を図ることができる。
また、本実施形態では、長尺筒部21aをシートワインディング工法を用いて形成することとしているので、上記特許文献2に開示の技術のように組物技術(繊維同士を編み込む技術)を採用する場合に比べて、設備上の制約が少なく、中央部21a3における繊維角度θbを端部21a1,21a2における繊維角度θaに対して容易に変更することができ、曲げ荷重が入力された場合の高い剛性の確保と、優れた振動減衰性の確保との両立を図りながら高い生産性を確保することが可能となる。
以上より、本実施形態に係る長尺筒部21aは、、曲げ荷重が入力された場合の高い剛性が得られるとともに、優れた振動減衰性能が得られる。
[変形例1]
上記実施形態では、長尺筒部21aの形成にシートワインディング工法を用いることとしたが、本変形例では、フィラメントワインディング工法を用いた長尺筒部21aの形成方法を説明する。
図8は、本変形例に係る長尺筒部21aの製造方法を示す模式図である。
図8に示すように、まず、棒状のマンドレル501を準備する。マンドレル501も、当該マンドレル501の軸心Ax501周りに回転可能となっている(矢印G)。
次に、矢印I1で示すように、繊維(炭素繊維)3110fを、液状の樹脂3110rが貯留された樹脂槽502の中に浸漬させる。そして、マンドレル501を回転させながら、矢印I2で示すように、繊維3110fに樹脂3110rが含侵されてなる樹脂含侵繊維311を送り出す。マンドレル501は、矢印Gの回転とともに矢印Hのように軸心Ax501に沿った方向に往復動する(巻回ステップ)。
なお、マンドレル501の往復動の速度は、長尺筒部21aの端部21a1,21a2に相当する領域である端部501a1,501a2では、長尺筒部21aの中央部21a3に相当する領域である中央部501a3に比べて高速となるように、逆に言えば、中央部501a3では、端部501a1,501a2よりもマンドレル501の矢印Hで示す方向への移動速度が低速となるように制御される。ここで、マンドレル501における中央部500a3についても、幅が形成しようとする長尺筒部21aにおける中央部21a3の幅と同じLである。
マンドレル501の表面への樹脂含侵繊維311の巻回は、積層された複数の繊維入り樹脂層211〜214,216〜219が形成されるように実行される。即ち、樹脂含侵繊維311を巻回しながら、マンドレルを複数回往復動させる。
次に、マンドレル501への樹脂含侵繊維311の巻回が終了すると、加熱により樹脂3110rを硬化させる(硬化ステップ)。そして、樹脂3110rが硬化したらマンドレル501を引く抜く(脱芯ステップ)。
なお、上記も熱硬化性樹脂の場合であり、熱可塑性樹脂の場合においては、ガラス転移点もしくは融点以上により、上記作業を行い、ガラス転移点もしくは融点以下になることで脱芯が可能となる。
以上のように、本変形例では、フィラメントワインディング工法を用いて長尺筒部21aを製造する。
なお、本変形例のように、長尺筒部21aをフィラメントワインディング工法を用いて形成する場合にも、上記実施形態と同様に、上記特許文献2に開示の技術のように組物技術(繊維同士を編み込む技術)を採用する場合に比べて、設備上の制約が少なく中央部21a3における繊維角度θbを端部21a1,21a2における繊維角度θaに対して容易に変更することができ、曲げ荷重が入力された場合の高い剛性の確保と、優れた振動減衰性の確保との両立を図りながら高い生産性を確保することが可能となる。
[考察]
以下では、中央部21a3の幅Lと繊維211f〜214f,216f〜219fの繊維角度θ1〜θ4,θ6〜θ9についての考察を行う。
1.閾値ラインの設定
図9は、長尺筒部21aにおける高減衰部が奏する効果を評価するための閾値ラインを示す特性グラフである。
図9において、実線で示すラインは、筒軸に対して長手方向の全域に亘って一様な角度で交差するように繊維を配設した長尺筒部の特性ラインである(従来技術)。
これに対して、図9において、破線で示すラインは、上記の従来技術に係る長尺筒部に対して、同じ剛性を維持しながら、減衰性を50%向上することができるラインを想定し、これを閾値ラインとして設定した。本考察では、図9に示す特性グラフにおいて、閾値ライン(破線で示すライン)よりも右上の領域となるように、中央部21a3の幅Lと繊維211f〜214f,216f〜219fの繊維角度θ1〜θ4,θ6〜θ9の設定を行うこととした。
なお、図9に示す特性グラフにおいて、減衰性が0.00125で横軸に沿って延びる破線は、減衰率の下限値を示すラインである。
2.幅Lと繊維角度θ1〜θ4,θ6〜θ9の設定
図10は、端部21a1,21a2における繊維211f〜214fの繊維角度θ1〜θ4(以下では、総称してθaと記載する。)が15°の場合の特性グラフであって、(a)は、L/L=0.01の場合、(b)は、L/L=0.004の場合、(c)は、L/L=0.002の場合、(d)は、L/L=0.001の場合をそれぞれ示す。
図11は、繊維角度θaが30°の場合の特性グラフであって、(a)は、L/L=0.01の場合、(b)は、L/L=0.004の場合、(c)は、L/L=0.002の場合、(d)は、L/L=0.001の場合をそれぞれ示す。
図12は、繊維角度θaが45°であって、L/L=0.001の場合における特性グラフである。
(1)θa=15°の場合
図10(a)に示すように、L/L=0.01の場合には、中央部21a3における繊維216f〜219fの繊維角度θ6〜θ9(以下では、総称してθbと記載する。)が60°の場合に、減衰率が下限値となっている。そして、θa=15°でθb=60°とすることにより、減衰性を50%向上することができることが分かる。
図10(b)に示すように、L/L=0.004の場合には、θb=85°の場合に、減衰率が下限値となっている。そして、θa=15°でθb=85°とすることにより、減衰性を50%向上することができることが分かる。
図10(c)に示すように、L/L=0.002の場合には、θb=87°の場合に、減衰率が下限値となっている。そして、θa=15°でθb=87°とすることにより、減衰性を50%向上することができることが分かる。
図10(d)に示すように、L/L=0.001の場合には、θb=89°の場合に、減衰率が下限値となっている。そして、θa=15°でθb=89°とすることにより、減衰性を50%向上することができることが分かる。
(2)θa=30°の場合
図11(a)に示すように、θa=30°であってL/L=0.01の場合には、実測ラインが閾値ラインよりもグラフの右上となることはなく、減衰性を50%向上することができないことが分かる。
図11(b)に示すように、L/L=0.004の場合には、θb=89°の場合に、減衰率が下限値となっている。そして、θa=30°でθb=89°とすることにより、減衰性を50%向上することができることが分かる。
図11(c)に示すように、L/L=0.002の場合には、θb=89°の場合に、減衰率が下限値となっている。そして、θa=30°でθb=89°とすることにより、減衰性を50%向上することができることが分かる。
図11(d)に示すように、L/L=0.001の場合に、θb=89.5°の場合に、減衰率が下限値となっている。そして、θa=30°でθb=89°とすることにより、減衰性を50%向上することができることが分かる。
(3)θa=45°の場合
図12に示すように、L/L=0.001の場合に、θb=90°の場合に、減衰率が下限値となっている。そして、θa=45°でθb=90°とすることにより、減衰性を50%向上することができることが分かる。
図12では特性グラフを省略しているが、繊維角度θa=45°の場合においては、L/L=0.01、L/L=0.004、L/L=0.002の場合には、実測ラインが閾値ラインよりもグラフの右上となることはなく、減衰性を50%向上することができないことを確認している。
3.まとめ
以上の結果を次表にまとめて示す。
Figure 2021138005
表1において、“NG”と表しているのは、実測ラインが閾値ラインよりもグラフの右上となることはなく、減衰性を50%向上することができない箇所である。
表1に示すように、長尺筒部21aにおける剛性を高く維持しながら、振動減衰率を50%以上向上させるには、L/Lの比と、θaおよびθbと、の関係が関連していることが分かる。具体的には、L/Lの比が小さくなればなるほど、θaがある程度大きい場合でも(表1では、45°)、減衰率を50%以上向上させることができるθbを設定することができる。
また、θaが小さいほど、θbをある程度小さく設定しても(表1では、60°)、減衰率を50%以上向上させることができるθbを設定することができる。
[確認実験]
1.実施例サンプル
図13は、確認試験に供した実施例サンプル(補強部材41の長尺筒部41a)の構造を示す側面図である。
図13に示すように、実施例サンプルである長尺筒部41aも一の方向に筒軸Ax41が延びる円筒形状を有する。長尺筒部41aの全長はLであり、中央部41a3の幅はLである。実施例サンプルにおいては、全長Lを1000mmとし、幅Lを2mmとした。
長尺筒部41aにおける長手方向の両側の端部41a1,41a2は、上記実施形態に係る長尺筒部21aの端部21a1,21a2と同様に、4層の繊維入り樹脂層が積層されてなる積層体で構成されている。各繊維入り樹脂層における炭素繊維の繊維角度θaは、20°とした。各繊維入り樹脂層における炭素繊維は、上記実施形態と同様に平面視で交互に交差するように配向されている。
長尺筒部41aにおける中央部41a3も、上記実施形態に係る長尺筒部21aの中央部21a3と同様に、4層の繊維入り樹脂層が積層されてなる積層体で構成されている。各繊維入り樹脂層における炭素繊維の繊維角度θbは、85°とした。各繊維入り樹脂層における炭素繊維は、上記実施形態と同様に平面視で交互に交差するように配向されている。
中央部41a3を構成する積層体と端部41a1,41a3を構成する積層体とは、筒軸Ax41が延びる一の方向において、互いに突き合せ状態で接合されている。
なお、図13に示すように、実施例サンプルにおいては、中央部41a3の内径φbが端部41a1,41a2の内径φaよりも小径としている。具体的に、内径φaは、16mmであるのに対して、内径φbは、15mmである。
本確認実験では、上記構成の実施例サンプルを3つ用意した。
2.実験結果
図14は、実施例サンプルにおける剛性と減衰性とを測定してプロットした特性グラフである。
図14に示すように、3つの実施例サンプルは、共進周波数が130Hzを示した。また、3つの実施例サンプルは、モード減衰比が0.041〜0.057を示した。
図14に示すように、3つの実施例サンプルでは、共振周波数が130Hz以上、モード減衰比が0.010以上も達成している。
[変形例2]
図15は、変形例2に係る補強部材51における長尺筒部51aの構造を示す側面図である。
図15に示すように、本変形例に係る長尺筒部51aは、長手方向に端部51a1,51a2と、中央部51a3と、中間部51a4,51a5と、を備える。中央部51a3と中間部51a4,51a5とは長手方向に突き合せ状態で接合されている。同様に、中間部51a4,51a5と端部51a1,51a2とも長手方向に突き合せ状態で接合されている。
端部51a1,51a2、中央部51a3、および中間部51a4,51a5のそれぞれは、上記実施形態と同様に、複数の繊維入り樹脂層が積層されてなる積層体により構成されている。そして、各積層体においては、径方向に隣り合う層の炭素繊維が互いに異なる向きをもって配設されている。
ここで、端部51a1,51a2における炭素繊維の筒軸に対する繊維角度をθa、中央部51a3における炭素繊維の筒軸に対する繊維角度をθb、中間部51a4,51a5における炭素繊維の筒軸に対する繊維角度をθcとするとき、次の関係を満足する。
θa<θc<θb ・・(数1)
なお、繊維角度θaについては、上記実施形態と同様に、15°以上45°以下であり、繊維角度θbについても、60°以上90°以下である。
上記構成を有する本変形例に係る長尺筒部51aでは、上記実施形態に係る長尺筒部21aが有する効果に加えて、曲げ荷重が入力された場合の中央部51a3と端部51a1,51a2との間での応力集中が中間部51a4,51a5の介挿により緩和される。
[変形例3]
図16は、変形例3に係る補強部材61の長尺筒部61aの構造を示す図であって、図16(a)は、中央部61a3における積層体615の構造を示す断面図であり、図16(b)は、中央部61a3における積層体615の構造示す模式図である。
図16(a)に示すように、本変形例に係る長尺筒部61aにおける中央部61a3も、上記実施形態と同様に、筒軸Ax61を中心軸として設けられた筒状の繊維入り樹脂層616〜619が積層されてなる積層体615で構成されている。図示を省略するが、各繊維入り樹脂層616〜619は、樹脂部と当該樹脂部内に埋設された繊維(炭素繊維)とで構成されている。
図16(b)に示すように、積層体615を構成する各繊維入り樹脂層616〜619の繊維616f〜619fは、それぞれ筒軸Ax61に対して交差するように筒軸Ax61の周りを周回するように配設されている。
繊維616fは、筒軸Ax61に対して繊維角度がθ11となっており、繊維617fは、筒軸Ax61に対して繊維角度がθ12となっている。同様に、繊維618fは、筒軸Ax61に対して繊維角度がθ13となっており、繊維619fは、筒軸Ax61に対して繊維角度がθ14となっている。
繊維角度θ11〜θ14は、60°以上90°以下の範囲に設定されている。
繊維616fと繊維617fと繊維618fとは、筒軸Ax61を基準とする配向が同じ向きとなるように配設されている。この点が上記実施形態と相違する点である。
繊維618fと繊維619fとについては、上記実施形態と同様に、筒軸Ax61を基準とする配向が逆向きとなるように配設されており、図16(b)に示す平面視で互いに交差している。換言すると、本変形例に係る長尺筒部61aでは、中央部61a3において、積層体615の最外層を構成する繊維入り樹脂層619の炭素繊維619fと、繊維入り樹脂層619の内側に隣接する繊維入り樹脂層618の炭素繊維618fと、が平面視で互いに交差するように配設されている。
なお、本変形例に係る長尺筒部61aでは、繊維入り樹脂層618が中央部61a3における「第1構成層」に該当し、繊維入り樹脂層619が積層体615の最外層を構成し、中央部61a3における「第2構成層」に該当する。そして、繊維入り樹脂層618の構成中に含まれる繊維(炭素繊維)618fが「第1繊維」に該当し、繊維入り樹脂層619の構成中に含まれる繊維(炭素繊維)619fが「第2繊維」に該当する。
また、長尺筒部61aにおいて、中央部61a3の積層体615が「第1積層体」に該当する。
なお、詳細な図示を省略しているが、長尺筒部61aにおいて、端部も中央部61a3と同様の積層構造をもって構成されており、相違点は上記実施形態と同様に繊維の繊維角度である。また、中央部61a3を構成する積層体615と、X方向両側の端部を構成する積層体とは、X方向において互いに突き合せ状態で接合されている。
上記構成を有する本変形例に係る長尺筒部61aでも、上記実施形態に係る長尺筒部21aと同様の効果を有する。
[変形例4]
図17は、変形例4に係る補強部材71の長尺筒部71aの構造を示す断面図である。
図17に示すように、本変形例に係る長尺筒部71aでも、円筒形状の積層体710によって端部71a1が構成され、同じく円筒形状の積層体715によって中央部71a3が構成されている。
端部71a1を構成する積層体710は、上記実施形態と同様に、筒軸を中心軸として設けられた筒状の繊維入り樹脂層711〜714が積層されて構成されている。中央部71a3を構成する積層体715も、上記実施形態と同様に、筒軸を中心軸として設けられた筒状の繊維入り樹脂層711〜714が積層されて構成されている。
本変形例に係る長尺筒部71aは、長手方向における端部71a1と中央部71a3との間に改装された中間部71a4を備える。中間部71a4は、端部71a1を構成する積層体710の一部の繊維入り樹脂層712,714と、中央部71a3を構成する積層体715の一部の繊維入り樹脂層716,718と、が交互に積層されている。
具体的に、中間部71a4では、筒の内方側から順に、積層体715の繊維入り樹脂層716、積層体710の繊維入り樹脂層712、積層体715の繊維入り樹脂層718、積層体710の繊維入り樹脂層714が積層されている。換言すると、本変形例に係る長尺筒部71aでは、積層体710の繊維入り樹脂層711と積層体715の繊維入り樹脂層716との突き合せ位置Pa1と、積層体710の繊維入り樹脂層712と積層体715の繊維入り樹脂層717との突き合せ位置Pa2とがX方向に異なっている。
同様に、積層体710の繊維入り樹脂層712と積層体715の繊維入り樹脂層717との突き合せ位置Pa2と、積層体710の繊維入り樹脂層713と積層体715の繊維入り樹脂層718との突き合せ位置Pa3とがX方向に異なっており、積層体710の繊維入り樹脂層713と積層体715の繊維入り樹脂層718との突き合せ位置Pa3と、積層体710の繊維入り樹脂層714と積層体715の繊維入り樹脂層719との突き合せ位置Pa4とがX方向に異なっている。
上記構成を有する本変形例に係る長尺筒部71aでは、上記実施形態に係る長尺筒部21aが有する効果に加えて、曲げ荷重が入力された場合の中央部71a3と端部71a1との間での応力集中が中間部71a4の介挿により緩和される。
[その他の変形例]
上記実施形態および上記変形例1〜4では、繊維強化樹脂製部材の一例として、車体1の下面の補強に用いられる補強部材21〜27,41,51,61,71の長尺筒部21a,41a,51a,61a,71aを採用することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、ストラットタワーバーなどに適用することも可能である。
また、本発明では、ある部位を補強するための部材だけでなく、構造部材そのものとして、上記構成の部材を採用することでも、上記同様の効果を得ることができる。例えば、車体であれば、ルーフサイドレールやセンターピラー、さらにはフロントピラーなどに適用することも可能である。
また、本発明に係る繊維強化樹脂製部材を、自動車等の車体に限らず種々の構造体(例えば、産業機器など)に適用することも可能である。
また、上記実施形態および上記変形例1〜4では、繊維強化樹脂製部材の一例として、中空円筒形状の長尺筒部21a,41a,51a,61a,71aを採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、中実の部材への適用も可能であるし、横断面形状(長軸に対して直交する方向での断面の形状)についても、円形に限らず楕円形や長円形、さらには多角形などを採用することも可能である。
また、上記実施形態および上記変形例2〜4では、それぞれ4層の繊維入り樹脂層211〜214,216〜219,616〜619,711〜714,716〜719で積層体210,215,615,710,715を構成することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、2層または3層の繊維入り樹脂層を積層してなる積層体や、5層以上の繊維入り樹脂層を積層してなる積層体などを採用することも可能である。
また、上記実施形態などでは、炭素繊維216g,217f,218f,219fの交差角度がθbである領域を長手方向に1箇所だけ設けることとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。2箇所以上設けることも可能であるし、必ずしも長手方向の中央に設ける必要もない。
上記実施形態および上記変形例1〜4では、繊維強化樹脂の一例として炭素繊維強化樹脂を採用することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、ガラス繊維強化樹脂(GFRP)や、アラミド繊維強化樹脂(ArFRP)や、炭化ケイ素繊維強化樹脂(SiCFRP)や、非鉄金属などの金属繊維を用いた繊維強化樹脂などを採用することも可能である。
また、上記実施形態では、シートワインディング工法を用いて長尺筒部21aを形成し、上記変形例1では、フィラメントワインディング工法を用いて長尺筒部21aを形成することとしたが、本発明は、シートワインディング工法とフィラメントワインディング工法とを併用して長尺筒部を形成することも可能である。
21〜27 補強部材
21a,41a,51a,61a,71a 長尺筒部(繊維強化樹脂製部材)
21a3,41a3,51a3,61a3,71a3 中央部(一部領域)
21a1,21a2,41a1,41a2,51a1,51a2,71a1 端部(他の領域)
210,215,615,710,715 積層体
213,218,618,718 繊維入り樹脂層(第1構成層)
214,219,619,719 繊維入り樹脂層(第2構成層)
211f,212f,213f,214f,216f,217f,218f,219f,616f,617f,618f,619f 炭素繊維
311 樹脂含侵繊維
500,501 マンドレル
2110,2120,2130,2140,2160,2170,2180,2190 シート材
θ1〜θ4,θ6〜θ9,θ11〜θ14 繊維角度
Pa1〜Pa4 突き合せ位置

Claims (9)

  1. 一の方向に延びる繊維強化樹脂製部材であって、
    前記一の方向に沿った中心軸周りに設けられ、第1繊維と樹脂部とを含む第1構成層と、
    前記第1構成層の外周側に隣接するように設けられ、第2繊維と樹脂部とを含む第2構成層と、
    を備え、
    前記第1繊維は、前記一の方向に対して交差する方向からの平面視で前記中心軸に対して交差するように当該中心軸周りを周回するように配設され、
    前記第2繊維は、前記交差する方向からの平面視で前記中心軸および前記第1繊維に対して交差するように当該中心軸周りを周回するように配設され、
    前記一の方向における一部に、前記交差する方向からの平面視での前記第1繊維および前記第2繊維の前記中心軸に対する各繊維角度が、他の領域と異なる一部領域を有する、
    繊維強化樹脂製部材。
  2. 請求項1に記載の繊維強化樹脂製部材において、
    前記他の領域は、前記第1構成層と前記第2構成層とを含む第1積層体で構成されており、
    前記一部領域は、前記第1積層体の前記第1構成層とは前記第1繊維の前記繊維角度が異なる前記第1構成層と、前記第1積層体の前記第2構成層とは前記第2繊維の前記繊維角度が異なる前記第2構成層と、を含む第2積層体で構成されており、

    前記第1積層体と前記第2積層体とは、前記一の方向において互いに突き合せ状態で接合されている、
    繊維強化樹脂製部材。
  3. 請求項2に記載の繊維強化樹脂製部材において、
    前記第1積層体と前記第2積層体とは、前記一の方向において、前記第1積層体の前記第1構成層と前記第2積層体の前記第1構成層との突き合せ位置と、前記第1積層体の前記第2構成層と前記第2積層体の前記第2構成層との突き合せ位置とが異なるように、接合されている、
    繊維強化樹脂製部材。
  4. 請求項1から請求項3の何れかに記載の繊維強化樹脂製部材において、
    前記第2構成層は、該繊維強化樹脂製部材の最外層を構成する、
    繊維強化樹脂製部材。
  5. 請求項1から請求項4の何れかに記載の繊維強化樹脂製部材において、
    前記他の領域における前記第1繊維および前記第2繊維が前記軸に対してなす繊維角度は、15°以上45°以下である、
    繊維強化樹脂製部材。
  6. 請求項1から請求項5の何れかに記載の繊維強化樹脂製部材において、
    前記一部領域における前記第1繊維および前記第2繊維が前記軸に対してなす繊維角度は、60°以上90°以下である、
    繊維強化樹脂製部材。
  7. 請求項1から請求項6の何れかに記載の繊維強化樹脂製部材において、
    前記一の方向における前記一部領域の幅をLとし、前記一の方向における該繊維強化樹脂製部材の全長をLとするとき、
    /Lは、0.001以上0.01以下である、
    繊維強化樹脂製部材。
  8. 一の方向に延びる繊維強化樹脂製部材の製造方法であって、
    第1繊維と樹脂とを含む第1シート材を、前記一の方向に沿って延びる軸心を有するマンドレルにおける前記一の方向でにおける一部領域に対して、前記軸心周りに巻回する第1巻回ステップと、
    第2繊維と樹脂とを含む第2シート材を、前記第1シート材の外周側に隣接するように、前記マンドレルの周りに巻回する第2巻回ステップと、
    第1繊維と樹脂とを含む第3シート材を、前記マンドレルにおける前記一の方向における前記一部領域に隣接する他の領域に対して、前記軸心周りに巻回する第3巻回ステップと、
    第2繊維と樹脂とを含む第4シート材を、前記第3シート材の外周側に隣接するように、前記マンドレルの周りに巻回する第4巻回ステップと、
    前記第1シート材、前記第2シート材、前記第3シート材、および前記第4シート材のそれぞれの前記樹脂を硬化させる硬化ステップと、
    前記樹脂が硬化した後に前記マンドレルを抜く脱芯ステップと、
    を備え、
    前記マンドレルに巻回された前記第1シート材および前記第3シート材において、前記第1シート材および前記第3シート材のそれぞれの前記第1繊維は、前記一の方向に対して交差する方向からの平面視で前記マンドレルの前記軸心に対して交差し、
    前記マンドレルに巻回された前記第2シート材および前記第4シート材において、前記第2シート材および前記第4シート材のそれぞれの前記第2繊維は、前記一の方向に対して交差する方向からの平面視で前記軸心および前記前記第1シート材および前記第3シート材のそれぞれの前記第1繊維に対して交差し、
    前記第1シート材における前記第1繊維の前記軸心に対する繊維角度は、前記第3シート材における前記第1繊維の前記軸心に対する繊維角度と異なり、
    前記第2シート材における前記第2繊維の前記軸心に対する繊維角度は、前記第4シート材における前記第2繊維の前記軸心に対する繊維角度と異なる、
    繊維強化樹脂製部材の製造方法。
  9. 一の方向に延びる繊維強化樹脂製部材の製造方法であって、
    樹脂を含侵させた繊維を、前記一の方向に沿って延びる軸心を有するマンドレルに対して、前記軸心周りに巻回して、隣接して積層された第1構成層と第2構成層とを含む複数の構成層を形成する巻回ステップと、
    前記樹脂を硬化させる硬化ステップと、
    前記樹脂が硬化した後に前記マンドレルを抜く脱芯ステップと、
    を備え、
    前記巻回ステップでは、
    前記マンドレルを前記一の方向に移動させながら前記繊維を巻回することにより、前記第1構成層および前記第2構成層のそれぞれの前記繊維が、前記一の方向に対して交差する方向からの平面視で前記マンドレルの前記軸心に対して交差するように巻回するとともに、前記交差する方向からの平面視で前記第1構成層と前記第2構成層とで前記繊維同士が互いに交差するように巻回し、
    前記一の方向における一部領域において、前記第1構成層および前記第2構成層のそれぞれの前記繊維の、前記交差する方向からの平面視での前記軸心に対する各繊維角度が、他の領域と異なるように前記マンドレルの前記一の方向への移動を制御する、
    繊維強化樹脂製部材の製造方法。
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