JP2021137235A - 吊り下げ可能なジグソーパズル - Google Patents

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Abstract

【課題】完成後にジグソーパズルを垂直に吊り下げてもバラバラにならず、同一面の平らな均一表面を維持する透明なプラスチックジグソーパズルを提供する。【解決手段】各ピースが下記(i)〜(iii):(i)透明なプラスチックシ−トから成るジグソーパズル本体層と、(ii)ジグソーパズル本体層の上側および/または下側に配置される透明なプラスチック材料から成る透明表面層)と、(iii)上記ジグソーパズル本体層と上記の各透明表面層との間に配置された積層用中間層と、の複数の層で構成され、上記ジグソーパズル本体層がJIS規格K7171に従って測定した曲げ弾性率が200MPa〜1000MPaであることを特徴とする、パズルを完成した後にジグソーパズルを垂直に吊り下げてもバラバラにならない安定して吊り下げ可能なプラスチックジグソーパズル。【選択図】図1

Description

本発明は、パズル完成後にジグソーパズルを垂直に吊り下げた時にバラバラにならならず、安定して吊り下げることが可能な透明なプラスチックジグソーパズルと、その製造方法に関するものである。
本発明の透明なプラスチックジグソーパズルは、完成したジグソーパズルをスタンドに絵ハガキのように安定して立てて鑑賞することができる。
本発明の透明なプラスチックジグソーパズルは、各ピース(p)に画像や印刷が施されていない無地の透明プラスチックジグソーパズルとして使用することができる。
本発明の透明なプラスチックジグソーパズルは、少なくとも一部に遠近感のある画像を有するプラスチックジグソーパズルとして使用することができる。
本発明の透明なプラスチックジグソーパズルは、「写し絵」および「塗り絵」用の透明なプラスチックジグソーパズルとして使用することができる。
ジグソーパズルは紙製のものが主流であるが、ポリ塩化ビニルのようなプラスチックで作られたジグソーパズルも古くから知られている。また、アクリル板をレーザーカットした透明なプラスチックジグソーパズルも市販されている。しかし、従来のプラスチックジグソーパズルは持ち上げるとバラバラになるため、完成したプラスチックジグソーパズルを安定して垂直に吊り下げることができない。
本発明者は[特許文献1](特開2019−122747号公報)において、上記公知のプラスチックジグソーパズルの軟質シートと硬質シートとの間の剥離という課題を解決する手段を開示した。この特許の特徴は、複数のピース(p)を組み合わせて遊ぶプラスチックのジグソーパズにおいて、各ピース(p)がプラスチックシ−トから成るジグソーパズル本体層(1)と、透明な二軸延伸ポリプロピレン(OPP、Oriented Polypropylene)から成る透明表面層(2)と、上記ジグソーパズル本体層(1)と上記透明表面層(2)との間に配置された無延伸ポリプロピレン(CPP、Cast Polypropylene)から成るサーマルラミネーション用中間層(3)と、上記透明表面層(2)のジグソーパズル本体層(1)と接する表面上に設けられた印刷層(4)とから成る点にある。しかし、この特許には完成したプラスチックジグソーパズルを安定して垂直に吊り下げるという思想はない。
[特許文献2](特許第4318218号公報)には合成樹脂製の内層軟質シート(1)の表裏面に合成樹脂製の外層硬質フィルム(2),(3)を重合圧着してなる三層構造のパズル基板(A)から打抜いたピース(a),(b)から成るジグソーパズルが記載されている。この特許ではピースが不用意に抜脱するのを防止し、遊戯者がフィット感(フィット音)を確実に得られるようにするために内層を軟質シートで作り、外層を硬質フィルムで作ることが必須である。内層および外層の材料としてはポリプロピレン,ポリスチレン,塩化ビニル,ポリエチレン,PET等の透明合成樹脂が記載されている。この特許には内層と外層は透明接着剤を介して重合圧着されると記載されている(0018参照)。しかし、ポリプロピレン,ポリスチレン,ポリエチレンは接着が困難な難接着性プラスチックであるが、実際に使用する透明接着剤の内容については記載がない。
[特許文献3](特許第5193334号公報)にも中心層となる軟質合成樹脂製の軟質シート(102)と、この軟質シート(102)に貼り合わせられた表面層と背面層を構成する相対的に硬質な合成樹脂製の硬質シート(101、103)とから成る積層シート(100)を打ち抜いて作られるジグソーパズル(1)が記載されている。この特許の特徴は押出成形機の熱を利用して上記3層を一体化することにある。しかし、ポリプロピレンやポリエチレンを用いた場合には軟質シートと硬質シートとの間で剥離するおそれがある。
[特許文献4](特開2016−83289号公報)にはパズルを嵌め合わせるときのフィット感や、嵌め合わせた後のパズル同士の保持性能をよくするために、応力緩和率(X)が33%以上、かつ引張弾性率(E)が400MPa以上である熱可塑性樹脂を用いたジグソーパズル用シートが記載され、熱可塑性樹脂としてはポリプロピレン系樹脂(A)とスチレン系熱可塑性エラストマー(B)とを含有するポリオレフィン系樹脂が開示されている。
しかし、公知のプラスチックのジグソーパズルは完成後に垂直に吊り下げることはできないか、困難であった。特に、アクリル板をレーザーカットした透明ジグソーパズルはレーザーカット時に失われる部分があるため完成後に持ち上げることはできない。[特許文献2]の3層構造のプラスチックのジグソーパズルは中心層(102)の軟質合成樹脂の種類によっては完成後に垂直に吊り下げることが難しい。例えば、軟質合成樹脂として発泡した軟質ポリエチレンを使用した場合には、[特許文献2]の特徴であるフィット性を犠牲にしないで、垂直に吊り下げることができるプラスチックジグソーパズルを作るのは困難である。[特許文献3]に記載の引張弾性率(E)が400MPa以上の熱可塑性樹脂を用いたものは剛性が強く、完成したプラスチックジグソーパズルを垂直に吊り下げることはできない。
特許文献1〜3に記載の3層構造のジグソーパズルでは、慎重に行えば完成したプラスチックジグソーパズルを垂直に吊り下げることはできるが、プラスチックジグソーパズルを揺したり、曲げるとバラバラに壊れてしまう。また、これらのジグソーパズルでは完成後に隣接するピースの外表面の一部が突き出して、完成したジグソーパズルの表面が同一面の平らな均一表面にならないことがあり、そうしたジグソーパズルは安定して垂直に吊り下げることができない。
本発明者は、完成したプラスチックジグソーパズルを安定して垂直に吊り下げることができ、しかも、プラスチックジグソーパズルの外表面が同一面の平らな均一表面となるようにさらに研究を続けて本発明を完成させた。
特開2019−122747号公報 特許第4318218号公報 特許第5193334号公報 特開2016−83289号公報
本発明が解決しようとする課題は、完成したプラスチックジグソーパズルを安定して垂直に吊り下げることができ、しかも、プラスチックジグソーパズルの外表面を同一面の平らな均一表面にすることができる透明なプラスチックジグソーパズルの構造を提供することにある。
本発明が解決しようとする他の課題は、上記の特徴を有する無地の透明なプラスチックジグソーパズ、すなわち、各ピース(p)に画像が印刷されていない透明プラスチックジグソーパズを提供することにある。
本発明が解決しようとするさらに他の課題は、上記の特徴を有する遠近感のある画像を有する透明プラスチックジグソーパズを提供することにある。
本発明が解決しようとするさらに他の課題は、上記の特徴を有する透明なプラスチックジグソーパズルを「写し絵」および「塗り絵」の道具として使用することにある。
本発明の第1の対象は、複数のピース(p)を組み合わせて遊ぶ透明なプラスチックジグソーパズにおいて、各ピース(p)が下記(i)〜(iii):
(i)透明なプラスチックシ−トから成るジグソーパズル本体層(1)と、
(ii)ジグソーパズル本体層(1)の上側および/または下側に配置される透明なプラスチック材料から成る透明表面層(2、2')と、
(iii)上記ジグソーパズル本体層(1)と上記の各透明表面層(2、2')との間に配置された積層用中間層(3、3')と、
の複数の層で構成され、
上記ジグソーパズル本体層(1)がJIS規格K7171に従って測定した曲げ弾性率が200MPa〜1000MPa、好ましくは300MPa〜900MPa、より好ましくは400MPa〜700MPaであることを特徴とする、完成後にジグソーパズルを垂直に吊り下げてもバラバラにならず、同一面の平らな均一表面を維持する透明なプラスチックジグソーパズルにある。
本発明の第2の対象は、上記本発明の第1の対象のプラスチックジグソーパズルを使用した、画像が印刷されていない無地の透明プラスチックジグソーパズルにある。
本発明の第3の対象は、上記本発明の第1の対象のプラスチックジグソーパズルを使用した、ピースの少なくとも一部に画像を有するプラスチックジグソーパズルにある。
本発明の第4の対象は、上記本発明の第1の対象のプラスチックジグソーパズルを使用した、「写し絵」および「塗り絵」の道具としての使用にある。
本発明の透明なジグソーパズルは完成後にジグソーパズルを垂直に吊り下げてもバラバラにならず、同一面の平らな均一表面を維持することができる([図1]参照)。
本発明の透明ジグソーパズルは軽量であり、完成したジグソーパズルを垂直に吊り下げてもバラバラにならないので、スタンドに絵ハガキのように立てて鑑賞することができる([図7]参照)。
本発明の透明なジグソーパズルは各層の間が強固に接着され、層間剥離がない。
本発明の透明なジグソーパズルは無地の透明ジグソーパズルとして遊ぶことができる。
本発明の透明なジグソーパズルは遠近感のある透明ジグソーパズルにすることかできる。
本発明の透明なジグソーパズルは「写し絵」や「塗り絵」の道具として使用できる。
本発明の透明なジグソーパズルは幼児、学童および学生の玩具や学習ツールとして、また、老人の認知症の進行を遅らせるツールとして使用できる。
本発明の第1の対象の透明なプラスチックジグソーパズル(P)を手で吊り下げた状態を示す概念図。 本発明の透明なプラスチックジグソーパズルの個々のピースの概念的斜視図(左側)および概念的断面図(右側)で、(A)〜(C)は3つの実施例を示している。 本発明の画像を有する透明なプラスチックジグソーパズルの一つのピースの概念的斜視図(左側)および概念的断面図(右側)。 2つの印刷層(4−1、4−2)の絵柄や色相、明度、彩度が互いに相違することを説明するための説明図。 本発明の遠近感のある画像を有するプラスチックジグソーパズルの概念的斜視図で、構造を説明するために、2つの印刷層(200、201)を誇張してずらして示してあり、寸法は正確なものではない。 透明プラスチックジグソーパズルを「写し絵」材料として利用した時の概念的部分斜視図で、透明プラスチックジグソーパズルの下側にキャラクター画像が描かれたシートを配置し、透明プラスチックジグソーパズルの表面上に筆記具を用いてキャラクター画像を「写し取る」状態を示している。 本発明の透明なジグソーパズル(P)を完成した後にスタンド(S)に立て掛けた状態を示す概念図。 大量生産に適した本発明のジグソーパズルの製造装置の概念図。(a)は本発明のジグソーパズルの製造装置の概念図、(b)は[図7]の装置で作られるジグソーパズルのカット前の長尺状態を示す(a)のA区域の概念的平面図。 画像データをコンピュータ(A)で処理し、デジタル印刷する本発明ジグソーパズルの製造装置の概念図。 本発明の製造方法の変形実施例を示す概念図。
I.本発明の第1の対象:
本発明の第1の対象は、各ピース(p)が下記(i)〜(iii):
(i)透明なプラスチックシ−トから成るジグソーパズル本体層(1)と、
(ii)ジグソーパズル本体層(1)の上側および/または下側に配置される透明なプラスチック材料から成る透明表面層(2、2')と、
(iii)上記ジグソーパズル本体層(1)と上記の各透明表面層(2、2')との間に配置された積層用中間層(3、3')、
の複数の層で構成される透明なプラスチック材料から成る、複数のピース(p)を組み合わせて遊ぶジグソーパズにおいて、
上記ジグソーパズル本体層(1)がJIS規格K7171に従って測定した曲げ弾性率が200MPa〜1000MPa、好ましくは300MPa〜900MPa、より好ましくは400MPa〜700MPaであることを特徴とする、完成後にジグソーパズルを垂直に吊り下げてもバラバラにならず、同一面の平らな均一表面を維持する透明なプラスチックジグソーパズルにある。
以下、個々の構成について説明する。
ジグソーパズル本体層(1)
ジグソーパズル本体層(1)には種々の特性、例えば透明性、透明表面層との接着性が要求されるが、完成した後にジグソーパズルを垂直に吊り下げてもバラバラにならず、安定して吊り下げ可能で、しかも、各ピースの外表面が同一面の平らな均一表面を維持させるには、ジグソーパズル本体層(1)の物理特性、特に曲げ弾性率値を特定の範囲内に維持する必要がある、ということを本発明者は見いだした。
本発明者は、ジグソーパズル本体層(1)のJIS規格K7171に従って測定した曲げ弾性率値が200MPa〜1000MPa、好ましくは300MPa〜900MPa、より好ましくは400MPa〜700MPaであれば、上記の本発明が解決しようとする課題が解決できることを発見した。
曲げ弾性率が1000MPa以上になると、互いに嵌め合わせたピースが上下にズレて、ジグソーパズル全体が平らになり難い。逆に、曲げ弾性率が200MPa以下になるとジグソーパズル全体が柔らかくなり過ぎてジグソーパズルを遊ぶ時のフィト感が低下する。従って、垂直に吊り下げてもバラバラにならず、しかも、完成後にジグソーパズルの外表面全体が平らになるプラスチックジグソーパズルにするには上記の曲げ弾性率範囲を満たす必要がある。
ジグソーパズル本体層(1)の材料は曲げ弾性率値が上記範囲内にあれば、その材料は限定されない。一般には透明性とコストの観点からポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)およびこれらの共重合体、アロイまたは組み合わせが選択されるが、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂、シリコーン樹脂を用いても本発明の範囲を逸脱するものではない。乳酸をベースにした再生可能資源から得られた材料を使用することもできる。以下では、本発明で好ましく使用されるポリプロピレン(PP)を例にして説明する。
通常用途で使用されているポリプロピレン(PP)の曲げ弾性率は600〜2300MPa程度である。ジグソーパズル本体層(1)は単一材料から作ることもできるが、フィト感、透明性、接着性、カット性、コスト等の観点から複数の材料を組み合わせて作るのが好ましい。
本発明の好ましい実施例では、本発明で定義する曲げ弾性率値の200MPa〜1000MPa、好ましくは300MPa〜900MPa、より好ましくは400MPa〜700MPaに合うようにするために、ジグソーパズル本体層(1)をメタロセン触媒を使用したポリプロピレン(mPP)とメタロセン触媒を使用したポリエチレン(mPE)とを組み合わせて作ることができる。この配合比は実験によって決定できる。必要に応じて他の添加剤、例えばゴム成分をさらに添加することもできる。
メタロセンポリプロピレン(mPP)やメタロセンポリエチレン(mPE)ではないポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)にゴム成分を添加して上記の曲げ弾性率値にすることもできる。
ジグソーパズル本体層(1)は要求される透明度を有するのが好ましい。透明度は種々選択でき、完全透明(ヘイズ=0)である必要はない。ある程度の不透明度がジグソーパズルとして遊ぶ時に適している場合もある。本発明で使用する「透明」という用語には厳密な定義はなく、ジグソーパズルの片面から見た時にそのジグソーパズルの背面が目視できる状態にあれば、そのジグソーパズルは透明であるといえる。従って、半透明なポリエチレンのシートも本発明では透明といえる。好ましくは、「透明」とはヘイズ値が40程度まで、好ましくはヘイズ値が10程度まで、より好ましくはヘイズ値が5程度までの透明なプラスチック材料を使用するのが好ましい。樹脂のヘイズ値は一般に0.1〜8程度である。ポリプロピレンやポリエチレンの場合には核剤を添加することでヘイズ値を下げることができる。
透明表面層(2、2')
ジグソーパズル本体層(1)の上側および/または下側には透明なプラスチック材料から成る透明表面層(2、2')を配置する。この透明表面層(2、2')も透明なポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)およびこれらの共重合体、アロイまたは組み合わせの中から選択するのが好ましい。その他の材料、例えばポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂、シリコーン樹脂にしても本発明の範囲を逸脱するものではない。さらには、ABS,AS,ポリアミド、ポリアセタール、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等の透明なプラスチク材料は多数存在するが、コストおよび硬度の観点から本発明ではポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリカーボネート(PC)を選択するのが好ましい。
透明表面層(2、2')とジグソーパズル本体層(1)とは同じ材料で作ることができるが、その物理特性を相違させるのが好ましい。例えば、透明表面層(2、2')をポリプロピレン(PP)の延伸シートとし、ジグソーパズル本体層(1)はPPの無延伸シートにする。一般には、本体層(1)と透明表面層(2、2')の材料を同じ種類のものにするか、類似の材料を使用し、物理特性を互いに変えるのが好ましい。
透明表面層(2、2')の主たる役目はジグソーパズル本体層(1)の上側および/または下側表面の磨耗防止および印刷面の保護にある。耐引っ掻き性が必要な場合にはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)を選択することができる。
[図2]は透明表面層(2、2')を有する場合の本発明の透明なプラスチックジグソーパズル(P)の各ピース(p)の構成を説明するための概念図で、(A)〜(C)は3つの実施例を示している。各図の左側は概念的斜視図、右側は概念的断面図である。[図2]の(A)では一方の透明表面層(2)のみを有しており、(B)では両方の透明表面層(2、2')を有している。(C)は(B)の変形例で、ジグソーパズル本体層(1)を2枚以上のシートで構成した場合を示している。
積層用中間層(3、3')
積層用中間層(3、3')の役目は透明表面層(2、2')とジグソーパズル本体層(1)とを接着することにある。積層用中間層(3、3')の材料は透明表面層(2、2')とジグソーパズル本体層(1)の材料よって変化する。ジグソーパズル本体層(1)と透明表面層(2、2')との接着性は実用上の重要なファクターであるので、積層用中間層(3、3')の材料の選択は重要である。透明表面層(2、2')の材料として何を選択するかで、ジグソーパズル本体層(1)と熱積層用中間層(3、3')の材料の種類も決まる。
本発明で使用するプラスチック材料の多くは難接着材料である。透明表面層(2、2')との接着性が悪い場合には両者の間に透明性を損なわない範囲で接着剤を使用することができるが、コストが増加し、材料の白化、割れ等の劣化の問題がする場合がある。
透明表面層(2、2')とジグソーパズル本体層(1)との間の接着性を上げるために、これらの層の表面を処理することもできる。具体的にはプライマー処理や物理的処理(紫外線照射処理、コロナ放電処理、プラズマ処理等)をすることができる。必要な場合には接着剤をさらに使用してもよい。
本発明の好ましい実施例では積層用中間層として熱積層を使用する。
透明表面層(2、2')の材料としてポリプロピレン(PP)を選択した場合には、ジグソーパズル本体層(1)もポリプロピレンとし、透明表面層(2、2')を二軸延伸ポリプロピレン(OPP)とし、積層用中間層(3、3')を無延伸ポリプロピレン(CPP)にすることでサーマルラミネーションだけで透明表面層(2、2')とジグソーパズル本体層(1)とを実用的な剥離強度で接着することができる。
透明表面層(2、2')の材料としてポリエチレン(PE)を選択した場合には、ジグソーパズル本体層(1)もポリエチレンとし、透明表面層(2、2')を高密度ポリエチレン(HDPE)のシートにし、積層用中間層(3、3')を低密度ポリエチレン(LLDPE)にすることでサーマルラミネーションだけで透明表面層(2、2')とジグソーパズル本体層(1)とを実用的な剥離強度で接着することができる。接着性が不足する場合にはプライマー処理、表面処理したり、接着剤を使用することができる。
ポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)は同じポリオレフィン材料であり、これらは適宜組み合わせて使用することができる。ポリオレフィン材料以外の材料、例えばPETを使用する場合にも、無延伸ポリプロピレン(CPP)や低密度ポリエチレン(LLPE)を使用することができ、必要な場合は相溶性のある他の熱積層用中間層(3、3')を使用することもできる。
透明表面層(2、2')の材料としてポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート(PC)を選択した場合には、ジグソーパズル本体層(1)もこれらの材料にするのが好ましいが、本発明のジグソーパズル本体層(1)としての特性である弾性を満たし、妥当なコストである材料は少ない。
上記ジグソーパズル本体層(1)の厚さに特に制限はないが、一般的には0.5mm〜20mm、好ましくは0.6mm〜15mm、より好ましくは0.7mm〜10mmにするのが好ましい。
透明表面層(2、2')の厚さにも特に制限はないが、一般的には0.05mm〜2mm、好ましくは0.1mm〜1mmにするのが好ましい。
無延伸ポリプロピレン(CPP)または低密度ポリエチレン(LLDPE)から成る積層用中間層(3、3')の厚さは一般に0.05mm〜1mm、好ましくは0.1mm〜0.8mmにするのが好ましい。
II.本発明の第2の対象
本発明の第2の対象は、本発明の第1の対象のプラスチックジグソーパズルを使用した、各ピース(p)に画像が印刷されていない無地の透明ジグソーパズルにある。[図1]は発明本発明の透明プラスチックジグソーパズル(P)を手で吊り下げた状態を示す概念図である。
紙のジグソーパズルの分野では、画像が印刷されていない無地のジグソーパズルを組み立てて楽しむ「白パズル」「ホワイトパズル」等とよばれる種類のジグソーパズルがある。ホワイトパズルはピースを組み合わせる時のヒントになる絵柄がないので、集中力と忍耐力が必要で、パズルとしての難易度が桁違いに高い。一般的に、ジグソーパズルは一枚のシートを切断刃で打ち抜いて作られるが、切断刃の形状が各ピース毎に微妙に相違し、同じ形状パターンのピースでも全てのピースの形状は微妙に異なる。「白パズル」「ホワイトパズル」ではいくつかの形状パターンに分け、それを頼りにジグソーパズルを完成させていくことになる。
白パズルではない通常の紙のジグソーパズルは表面上に画像を有する不透明なジグソーパズルであるため、その画像の表現方法は限られる。すなわち、画像の表現方法は画像を紙の表面上に印刷したり、エンボスしたり、装飾物を接着する方法等に限られる。
上記の公知方法は全て不透明な無地のジグソーパズルの表面上に印刷をするものでジグソーパズルの背面は見えない(ジグソーパズルの背面は利用されていない)。従って、ジグソーパズルに立体感のある画像を表示させることはできない。立体感のあるジグソーパズルにするための方法としては表面画像をエンポス加工したり、凹凸のある肉厚印刷にしたり、ホログラム印刷する方法が知られている。
また、これまでの大抵のジグソーパズルでは絵柄(画像)が紙の表面に印刷されているので、絵柄が磨耗し、傷付くという欠点もあった。さらに、紙のジグソーパズルは誤ってコーヒーをこぼした時に汚染され、汚れた場合に水洗することもできない。
また、白パズル、ホワイトパズルを含めて、公知の紙のジグソーパズルは組み立てたジグソーパズルがバラバラになり易く、ハンドリング性が悪い。フィト感を得るためにプラスチックジシートを発泡体にし、軽量化すると透明性が失われる。
各ピースが透明であるアクリルの透明プラスチックジグソーパズルも公知であるが、このアクリル板の透明ジグソーパズルはレーザーカットで失われる部分あるため、完成したジグソーパズルを垂直に吊り下げることはできない。また、レーザーカットの加工費用のために安価に大量生産するのは困難である。
それに対して、本発明の透明なプラスチックジグソーパズルは[図7]に示すように完成した透明なジグソーパズルをスタンド(S)に絵ハガキのように安定して立てて鑑賞することができる。[図7]は30ピースの小型の透明なプラスチックジグソーパズルを市販のスタンドに立てかけた時の概念図である。
III.本発明の第3の対象
本発明の第3の対象は、上記本発明の第1の対象のプラスチックジグソーパズルを使用した、ピースの少なくとも一部に画像、特に遠近感のある画像を有する透明なプラスチックジグソーパズルにある。
この本発明の第3の対象の遠近感のある画像を有する透明なプラスチックジグソーパズルは、上記の本発明の第2の対象の透明プラスチックジグソーパズルの構造は第2の対象とほぼ同じであるが、第2の対象の透明なプラスチックジグソーパズルが完全に透明であるのに対して、第3の対象の透明なプラスチックジグソーパズルは遠近感のある画像を有する点が相違する。
[図3]は印刷層(4)有する本発明の遠近感のある画像を有するプラスチックジグソーパズルの一つのピース(p)の概念図で、左側は概念的斜視図、右側は概念的断面図である。[図2]の透明ジグソーパズルとの基本的な相違点は印刷層(4−1、4−2)がある点である。
この印刷層(4−1、4−2)は上記透明表面層(2、2')の表面上および/またはジグソーパズル本体層(1)と接する背面上に配置することができる。すなわち、印刷面は透明表面層(2、2')上、ジグソーパズル本体層(1)上、さらには積層用中間層(3、3')上のいずれでもよい。実際には、透明表面層(2、2')の表面上および/または背面上に印刷するのが好ましく、印刷面の剥離を防ぐには透明表面層(2、2')の背面上に印刷するのが好ましい。
この印刷層(4−1、4−2)は公知に任意の印刷方法で形成することができる。実際にはグラビア印刷、オフセット印刷、デジタル印刷、ゼログラフィー、インクジェット印刷等が使用できる。一般に、大量印刷時にはグラビア印刷、中規模印刷時にはオフセット印刷またはデジタル印刷、小規模印刷時にはインクジェット印刷が用いられる。
この印刷層(4−1、4−2)は2つの透明表面層(2、2')の少なくとも一方に形成するのが好ましく、2つの透明表面層(2、2')の両方に形成されていなくてもよい。換言すれば、印刷層のない場合は透明な印刷層があると見なされる。さらに、印刷層(4−1、4−2)の数は2つに限定されない。例えば、[図2]の(C)に示すように、ジグソーパズル本体層(1)を2枚以上のシート(1、1')で構成し、2枚以上のシート(1、1')の間に印刷層(4)を形成することもできる。
印刷層(4−1、4−2)は一般に透明表面層(2、2')上に形成するのが好ましいが、透明表面層(2、2')上ではなくて、ジグソーパズル本体層(1)の表面上に形成してもよい。どちらに形成するかは製造上のメリットを考えて選択する。
以下では、説明を簡単にするために、2つ以上の印刷層(4−1、4−2)を透明表面層(2、2')上に形成する場合について説明するが、印刷層(4−1、4−2)の数および配置場所はこれに限定されない。
本発明の第3の対象では、2つの印刷層(4−1、4−2)の絵柄の組み合わせで遠近感のある画像を有するプラスチックジグソーパズルが提供できる。
以下に、2つの印刷層(4−1、4−2)の絵柄の組み合わせの例1)〜3)を示す。
1)上側の表面上に設けられた印刷層(4−1)と下側の表面上に設けられた印刷層(4−2)の模様が互いに同一で、互いに色相、明度、彩度の少なくとも一つが互いに相違する組み合わせ:[図4]の(A)は上側印刷層(4−1)と下側印刷層(4−2)の模様の少なくとも一部が互いに同一で、互いに色相、明度、彩度の少なくとも一つが互いに相違する場合の例を示す。
2)上側の表面上に設けられた印刷層(4−1)と下側の表面上に設けられた印刷層(4−2)の模様が同一でなく、互いに相違する組み合わせ:[図4]の(B)は上側印刷層(4−1)と下側印刷層(4−2)の模様の少なくとも一部が同一でなく、互いに相違する場合の例を示している。
3)上側の表面上に設けられた印刷層(4−1)と下側の表面上に設けられた印刷層(4−2)の模様、色相、明度、彩度の少なくとも一つが互いに相違する組み合わせ。
具体的な例としては例えば下記のようなものがある:
1)モネの絵画の少女の部分を上側の透明表面層(200)に印刷し、その絵画の背景部分を下側の透明表面層(201)に印刷する([図5]参照)。
2)下側表面上に設けた印刷層(4−1)が遊園地の模様で、上側表面上に設けた印刷層(4−2)が同じ遊園地で撮影した家族写真やカップルの写真。
3)下側表面上に設けた印刷層(4−2)がグランドキャニオンの渓谷の低地部分の写真で、上側表面上に設けた印刷層(4−1)が同じグランドキャニオンの渓谷の断崖部分の写真。
4)下側表面上に設けた印刷層(4−2)がモダンアートの一つの絵柄で、上側表面上に設けた印刷層(4−1)が同じモダンアートの異なる色、形状等の絵柄。
5)上側の表面上に設けられた印刷層(4−1)を半透明な黒の絵画とし、下側の表面上に設けられた印刷層(4−2)を赤の絵画とするアートジグソーパズル。
6)上側の表面上に設けられた印刷層(4−1)と下側の表面上に設けられた印刷層(4−2)の色をそれぞれ赤と青にし、左右のレンズを赤と青に着色した眼鏡をかけて見たときに立体画像が見えるようにした立体ジグソーパズル。
IV.本発明の第4の対象:
本発明の第4の対象は、上記本発明の第1の対象のプラスチックジグソーパズルの「写し絵」または「塗り絵」の道具としての使用にある。
本発明の透明ジグソーパズルは「写し絵」または「塗り絵」の道具として使用するのに適しており、しかも、完成したプラスチックジグソーパズルを安定して垂直に吊り下げることができる。
本発明で「写し絵」とは、本発明の透明プラスチックジグソーパズル(P)の下側に写し絵の元になる原画(G)を配置し、透明プラスチックジグソーパズル(P)の表面に原画(G)を写し取ることを意味し、原画(G)をコピーし、トレースすることを意味する。本発明では、例えば白雪姫の原画(G)が記載された紙を透明プラスチックジグソーパズル(P)の下に置き、原画(G)を透明プラスチックジグソーパズル(P)の表面上に写し取る(コピー、トレースする)ことができる。
本発明で「塗り絵」とは、本発明の透明プラスチックジグソーパズル(P)の表面上に筆記具を用いて着色したり、絵を描くことを意味する。「写し絵」または「塗り絵」は透明プラスチックジグソーパズル(P)の表面全体または表面の一部に行うことができる。
この「写し絵」には公知の任意の筆記具を使用できるが、本発明の透明プラスチックジグソーパズル(P)の上に記載可能な筆記具である必要がある。筆記具は水性でも油性でもよく、消去自在なものでもよい。本発明のジグソーパズルの写し絵および塗り絵にはゼブラ社の「マッキー」(登録商標)を好ましく使用できる。筆記具(W)の数や種類も任意であり、種々の色の「マッキー」(登録商標)を使用して「写し絵」および「塗り絵」をすることができる。
[図6]は本発明の第1の対象の透明プラスチックジグソーパズルを「写し絵」の手段として利用する場合の部分的概念図である。[図6]はディズニーのキャラクターが記載された紙(100)の上に本発明の透明なプラスチックジグソーパズル(P)を載せ、油性ペンで下側のディズニーのキャラクターを透明プラスチックジグソーパズル(P)の表面上に描く(写し取る)状態を示している。写し取る画像を選択することで本発明の透明プラスチックジグソーパズル(P)を教育素材として使用したり、記念写真のプラスチックジグソーパズル(P)を作ることもできる。
本発明のジグソーパズルセットは幼児の知育玩具として使用できる。幼児用ジグソーパズルの場合にはピースの数を少なくし、各ピースの寸法を大きくすることでジグソーパズルの遊びを通して親が希望する画像を幼児に理解させることができる。本発明のジグソーパズルは透明プラスチックであるので汚れた場合には洗って何度も使用することができる。
本発明のジグソーパズルセットは学童の学習玩具として使用できる。例えば、日本地図を原画(G)から写し取り、ジグソーパズルとして遊ぶ間に反復して日本地図を頭に記憶することで、記憶は確実になる。
本発明のジグソーパズルセットは学生の教育手段として使用できる。例えば、記憶したい英語の単語や化学元素の周期律表、化学構造等を紙に記載し、それを透明プラスチックジグソーパズルに写し取り、ジグソーパズルとして遊ぶ間の反復思考行為によって単語や化学元素の位置を確実に記憶できる。
本発明のジグソーパズルセットは老人の脳の衰えを防止する手段あるいは認知症の進行を遅らせる手段として使用できる。患者の印象に残っている画像を写し取り、ジグソーパズルとして完成させる行為によって脳の記録を呼び起こすことができる。
本発明の写し絵用ジグソーパズルセットは脳の反復記憶作用の活性化に有用であるので反復記憶作用を必要とする他の分野でも使用できる。
本発明の透明プラスチックジグソーパズル(P)は、完成したジグソーパズルを垂直に吊り下げてもバラバラにならない。この性質は紙のジグソーパズルにはない性質である([図1]参照)。
以下、添付の図面を参照して本発明の特定の具体例を説明するが、本発明が下記の具体例に限定されるものではない。
1.各ピース(p)の構造
[図2]は単層ではない場合の本発明のジグソーパズルP(ジグソーパズルシートと呼ぶ場合もある)の一つのピース(p)の3つの実施例(A)〜(C)の概念的な斜視図で、説明のために相対寸法は誇張して示してある。[図2]の(A)(B)(C)の各々の左側の図は一つのピースの斜視図、右側の図は左側の図の概念的断面図である。[図2]には正確に表現されていないが、各ピース(p)は「透明」である。
本発明の好ましい実施例では、透明なプラスチックのジグソーパズルの各ピース(p)が下記(i)〜(iii)を積層一体化して構成される:
(i)透明なプラスチックシ−トから成るジグソーパズル本体層(1)と、
(ii)透明な二軸延伸ポリプロピレン(OPP、Oriented Polypropylene)または高密度ポリエチレン(HDPE)から成るジグソーパズル本体層(1)の上側および/または下側に配置された透明表面層(2、2')と、
(iii)上記ジグソーパズル本体層(1)と上記の各透明表面層(2、2')との間に配置された無延伸ポリプロピレン(CPP、Cast Polypropylene)または低密度ポリエチレン(LLDPE)から成るサーマルラミネーション用中間層(3、3')。
以下、各層について詳細に説明する。
ジグソーパズル本体層(1)
本発明ではジグソーパズル本体層(1)の材料は、JIS規格K7171に従って測定した曲げ弾性率が200MPa〜1000MPa、好ましくは300MPa〜900MPa、より好ましくは400MPa〜700MPaである限り、特に限定きれないが、透明表面層(2、2')との接着性の点からポリプロピレンまたはポリエチレン、特にメタロセンポリプロピレン(mPP)とメタロセンポリエチレン(mPE)とを組み合わせて作るのが好ましい。
本体層(1)を顔料、染料を用いて半透明に着色することもできるが、透明性を損なわないようにする必要がある。
ジグソーパズル本体層(1)の厚さは特に限定されないが、一般的には0.5mm〜20mm、好ましくは0.6mm〜15mm、より好ましくは0.7mm〜10mmにすることができる。
透明表面層(2)
透明表面層(2、2')は透明な二軸延伸ポリプロピレン(OPP、Oriented Polypropylene)または高密度ポリエチレン(HDPE)から成ることができる。これらのシートやフィルムは種々の厚さのシートの形で市場から安価、容易に入手可能である。
本明細書で「透明」とはJIS規格K7136に従って測定したヘイズ値が1以下、より好ましくは0.5以下であるのが好ましい。ポリプロピレンやポリエチレンの透明度を上げる方法に関しては多くの特許が出されており、核剤を使用する方法、特定の共重合体を用いる方法、結晶化を制御する方法、これらの組合せ等が知られており、本発明では任意の方法を使用することができる。本発明の一つの実施例では核剤を使用する。特に、ソルビトール系の造核剤をポリプロピレンやポリエチレンに加えることができる。ソルビトール系の造核剤は例えばミリケン社等から市販されている。
透明表面層(2、2')の上にハードコート等の表面処理をして耐引っ掻き強度を向上させることもできる。特に、透明表面層(2、2')上に印刷をした場合にはハードコートを付けるのが好ましい。
透明表面層(2、2')の厚さは0.01mm〜2mm、好ましくは0.02mm〜1mmにすることができる。
中間層(3)
本発明の中間層(3、3')は無延伸ポリプロピレン(CPP)または低密度ポリエチレン(LLDPE)にするのが有利である。無延伸ポリプロピレン(CPP)または低密度ポリエチレン(LLDPE)も広く使用されており、種々の厚さのシートの形で市場から容易に入手可能である。
この中間層(3、3')の厚さは0.05mm〜5mm、好ましくは0.1mm〜1mm、好ましくは0.1mm〜0.8mmにすることができる。
透明表面層(2、2')と中間層(3、3')とを基本的に同じ種類のポリプロピレンまたはポリエチレンから作ることで、これらの間の接着力は十分なものになる。一方、ジグソーパズル本体層(1)の材料によっては、中間層(3、3')とジグソーパズル本体層(1)との間の接着力が不十分になる場合がある。その場合には、中間層(3、3')と接触するジグソーパズル本体層(1)の面を表面処理、例えばコロナ放電処理、租面加工したり、接着剤、好ましくは無溶剤接着剤を使用することができる。
本発明の第2の対象
本発明の第2の対象と本発明の第3の対象との相違点は印刷層(4)が有るか無いかである。本発明の第3の対象では透明表面層(2、2')のいずれか一方の表面上、および/または、ジグソーパズル本体層(1)のいずれか一方の表面上に印刷層(4−1、4−2)が設けられる。好ましくは、透明表面層(2、2')のジグソーパズル本体層(1)と接する表面上に印刷層(4−1、4−2)を形成する。
印刷層(4−1、4−2)
印刷層(4−1、4−2)は一般に透明表面層(2、2')上に印刷で形成される。透明表面層(2、2')上に印刷すること自体は周知であり、無用剤型のインキを使用して印刷できる。
印刷層(4−1、4−2)が形成された透明表面層(2、2')上には熱積層時の熱による印刷層(4−1、4−2)のダレ(溶融流れ)を防止するためのダレ防止層を形成するのが好ましい。このダレ防止層として、無溶剤(ノンソル)接着剤として知られている接着剤を使用することができる。
本発明のジグソーパズルの製造方法および装置
本発明はさらに、本発明の第2の対象である遠近感のある画像を有するプラスチックジグソーパズの製造方法を提供する。以下、[図8]を参照して説明する。
本発明ではジグソーパズル本体層(1)と、透明表面層(2、2')と、中間層(3、3')とが積層装置(R)によって加熱加圧下に積層一体化される。この積層装置(R)は熱圧縮プレス、ロールラミネーション装置等の公知の任意の手段で構成できる。[図8]に示すように、圧着ローラを積層装置(R)として使用するのが有利である。積層装置(R)として熱圧縮プレス([図9]参照)を使用することもできる。積層一体化された積層シートはジグソーパズル打ち抜き機(M)を通ってジグソーパズルのピースの形に打ち抜かれる。この打ち抜きは一般には横方向打ち抜きと、縦方向打ち抜きの2工程で行われるが,単一打ち抜き機を使用して一回で打ち抜くこともできる。
本発明では、打ち抜き工程でプラスチックジグソーパズルの個別のピースが作られるが、打ち抜き工程後でも個別のピースがバラバラになることはなく、各ピースが互いに係合し、全体としてはシートの形を保っている([図1]参照)。しかし、打ち抜き工程でピースの一部が飛び出し足り、落下してピースが欠ける危険がある。この「ピース不足」の問題を無くすために打ち抜き機の後にはセンサー(S)を設けるのが有利である。このセンサー(S)は厚さセンサー、イメージセンサー等にすることができる。イメージセンサーにした場合には入力画像とジグソーパズルの印刷画像とを比較して画像品質の検査を同時にすることもできる。さらに、入力画像/印刷画像のデータは個別製品の包装管理、パッケージジングへの顧客デーアの印刷、在庫管理等にも利用することができる。
センサーを通過した積層シートはカッタ−(C)で一枚のジグソーパズルシート(P)に切断される。一般のジグソーパズルの場合にはパラシ機(E)で個別のピースにバラされた後に、容器に入れられて製品となるが、本発明の第2および第4の対象の透明ジグソーパズルと「写し絵」および「塗り絵」用のジグソーパズルの場合にはバラさない状態で出荷される。
以下、各装置について詳細に説明する。
[図8]はジグソーパズル(P)を製造するための設備の概念図で、この製造装置は基本的に下記の3つの装置を有している:
積層装置としての圧着ローラ(R)
ジグソーパズル打抜装置(M)
バラシ機(E)
圧着ローラ(R)
[図8]に示す圧着ローラ(R)はジグソーパズル本体層(1)と透明表面層(2)とを中間層(3)を介して上下のローラ(R1、R2)の間で熱積層(サーマルラミネーション)するもので、この熱積層方法自体は周知のものである。この圧着ローラ(R)を用いたサーマルラミネーションの条件(温度、ニップ間隙寸法、シート送り速度等)は当業者が適宜選択できる。
本発明では、ジグソーパズル本体層(1)、透明表面層(2)および中間層(3、3')の各プラスチックシ−トは市販のものを使用できる。これらの各層、特にジグソーパズル本体層(1)を押出機から押し出したシートにすることもできるが、設備投資を必要とし、生産コストも上がる。ロット数が少ない場合には市販のシートを使用するのが有利である。
[図8]では、印刷層(4、4')を形成した透明表面層(2、2')と中間層(3、3')とをデジタル印刷の現場でラミネータ(C)を用いて予めサーマルラミネーションした予備積層体(2+3+4)をジグソーパズル製造装置にセットして使用する。予備積層体(2+3+4)とは別体として供給されたジグソーパズル本体層(1)は圧着ローラ(R)で熱積層される。互いに対向する予備積層体(2+3+4)とジグソーパズル本体層(1)の表面はヒータ(h)によって加熱溶融させる。圧着ローラ(R)の運転条件は当業者が適宜選択することができる。
[図10](a)の変形実施例では中間層(3)とジグソーパズル本体層(1)とを組み合わせたものを透明表面層(2)に積層している。
圧着ローラ(R)に続く装置は一般に間欠運動(非連続運動)をする機械であるので、生産速度を調節するために、圧着ローラ(R)の後にダンサーローラ(R3)等の速度調節装置を設けるのがよい。本発明のジグソーパズル(P)の製造装置にプラスチックシート組立体(1+2+3)の供給を行うための駆動ロール(D1、D2、D3等)が適宜配置される。
ジグソーパズル打抜装置(M)
ジグソーパズル(P)は圧着ローラ(R)で圧着一体化されたプラスチックシート組立体(1+2+3)を縦方向および横方向に所定の間隔で略平行に打ち抜いて作られる。この打抜き作業は一般に透明表面層(2)の側から行われる。一般には、プラスチックシートの送り方向(縦方向)に略平行に配列された複数の波形ブレードを用いて縦方向に打ち抜き、次に横方向に略平行に配列された複数の波形ブレードを用いて横方向に打ち抜くことで個々のピース(p)に打ち抜かれる。縦方向と横方向とを同時に打ち抜いてもかまわないが、[図8]では縦方向打抜機(M1)の後に横方向縦方向打抜機(M2)が配置されている。[図8]に示した例では、プラスチックシート組立体(1+2+3)は各打抜機(M)の所で一旦停止し、各打抜機(M)と下側受け盤(M3)との間で各ピースに打ち抜かれる。
[図7]の(b)は[図8]の(a)の矢印A方向から見た時のプラスチックシート組立体(1+2+3)の概念的平面図である。パターン(A1)は縦方向打抜機(M1)を用いてプラスチックシートの送り方向に略平行に打ち抜いた時のパターンであり、パターン(A2)は横方向縦方向打抜機(M2)でさらに縦方向に略平行に打ち抜いた時のパターンである。
本発明の3層構造のプラスチックジグソーパズルでは、通常の打抜き操作で各ピースに打ち抜いた時に各ピースがバラバラにならないことが分かっている。逆に言えば、バラバラにならないように最後の打抜機(M2)を操作する。
イメージセンサー(s)
本発明では得られたプラスチックジグソーパズル(P)の品質を確認するためのセンサー(s)、特にイメージセンサーまたは厚さセンサーを打抜機(M)の後に設けるのが好ましい。このセンサー(s)では例えば厚さを検知してピース欠けの有無を検出できる。また、イメージセンサーまたはカメラを用いて、得られたプラスチックジグソーパズル(P)の写真を撮り、それを製品バッケージに保証書として同封することもできる。この保証書にコンピュータ(A)で入力したデーアの一部をデジタル印刷機(B)で印刷することもできる。また、このイメージセンサー(s)で得られたプラスチックジグソーパズル(P)の写真を撮り、それをパズル完成見本として製品バッケージに同封することもできる。
本発明では、得られた個々のプラスチックジグソーパズル(P)にバーコート等の形でコンピュータ(A)に入力したデータの一部を印刷し、品質管理や在庫管理等に利用することができる。さらには、保証書を印刷し、製品に同封することもできる。この場合には製品の輸送、包装装置の運動との連動システムが必要になる。
カッター(C)
打抜き操作の終わったプラスチックシートはカッター(C)で個々のジグソーパズルパネル(7)に切断される。カッター(C)自体は周知のものである。図示した実施例ではジグソーパズルパネル(7)はガイド(G1)中を案内されて重力で「バラし機」(E)中に落下する。
バラし機(E)
[図8]には切断された各ジグソーパズル(7)を個々のピースにバラバラにする「バラし機」(E)が示されている。
パッケーグ装置(K)
「バラし機」(E)でバラバラにされた一組のピースセット(p')は個別包装されてから出荷される。[図7]ではバラバラにされた一組のピースセット(p')はガイド(G2)中を案内されて重力で容器(10)中に落下する。各容器(10)はベルトコンベアによってガイド(G2)の真下に順次案内される。容器(10)をベルトコンベアで移送する代わりに、袋詰め装置を用いて一連のプラスチック袋を順次供給することもできる。
[図8]ではジグソーパズル打抜装置(M)は縦方向と横方向とを同時に打ち抜く単一打抜装置(M)を示しているが、上記で述べた縦方向打抜機(M1)と横方向縦方向打抜機(M2)の2つにすることもできる。
[図9]は本発明のプラスチックジグソーパズルの製造方法の好ましい一つの実施例を示している。この場合には、コンピュータ(A)で画像データを処理し、処理済みの画像データをデジタルプリンター(B)へ送り、このデジタルプリンター(B)を用いて透明表面層(2)の裏側表面上に画像を印刷し、印刷された画像を有する透明表面層(2)上にローラを用いて中間層(3)を積層して透明表面層/中間層組立体(2+4+3)にする。ここまでの工程は一般に印刷工場で行われる。次いで、上記の透明表面層/中間層組立体(2+4+3)を熱間圧着装置(R)に供給し、それと同時にプラスチックシ−トから成るジグソーパズル本体層(1)を熱間圧着装置(R)に供給して、透明表面層(2)と、中間層(3)と、ジグソーパズル本体層(1)とを加熱加圧下に積層一体化し、一体化された積層シートからジグソーパズルを打抜く。この工程は一般にジグソーパズル製造工場で行われ、実質的に[図8]と同じである。
本発明のさらに他の対象は、本発明のプラスチックジグソーパズルの製造装置にある。この装置は、画像データを入力、処理するコンピュータ(A)と、処理済みの画像データを受けて透明表面層(2、2')の裏側表面上に画像を印刷するデジタルプリンター(B)と、デジタルプリンター(B)からの印刷画像を有する透明表面層(2、2')、ジグソーパズル本体層(1)およびこのジグソーパズル本体層(1)と上記透明表面層(2、2')との間に配置された熱積層用中間層とを熱間圧着する熱間圧着装置(R)と、熱間圧着された積層組立体をジグソーパズルの形に打ち抜く打ち抜き機(M)と、打ち抜き処理の終わった積層組立体を個々のジグソーパズルシートにカットする切断装置(C)とを含む。
従来のプラスチックジグソーパズルはジグソーパズルに印刷する画像を一般にグラビア印刷機やオフセット印刷機を用いて印刷していた。これら印刷方法は個人の顧客からオーダーを受けた単品のジグソーパズルを製造するのには適していない。この実施例では、大量生産用プラスチックジグソーパズル(大量生産物)と、世界で一つだけのオーダーメードのプラスチックジグソーパズル(単品生産物)とを同じラインで製造できるようにするために、デジタル印刷機を使用するのが好ましい。
プラスチックジグソーパズルの製造者/販売者は家族写真、記念写真、ペットの写真といった個人的な画像のデータを受け取る。一般にはネットを介してコンピュータ(A)にデータを直接受けることができる。その画像の寸法、色彩等をジグソーパズル(P)に合うように修正してから画像データをデジタル印刷機(B)へ送る。大量生産物のジグソーパズル用の商業的な画像データの場合も同様な方法でデジタル印刷機(B)へ送られる。デジタル印刷機(B)ではその画像データを用いて透明表面層(2、2')のジグソーパズル本体層(1)と接する裏面上に画像を印刷して印刷層(4−1、4−2)を形成する。透明表面層(2)の裏面上へのデジタル印刷は市販のデジタル印刷機を用いて容易に行うことができる。必要に応じて、透明表面層(2、2')の裏面を表面処理したり、プライマー、インク受理層等を用いることもできる。
本発明の一つの観点から、印刷層(4−1、4−2)が形成された透明表面層(2、2')の上にはダレ防止層(d)を形成するのが好ましい。すなわち、本発明ではジグソーパズル本体層(1)と透明表面層(2、2')とを熱積層法によって互いに接着するが、この熱積層時に印刷層(4−1、4−2)が溶融して印刷層(4−1、4−2)の輪郭がダレる(輪郭のシャープさが無くなる)ことがある。このダレは画像のシャープさが要求されない場合には問題ないが、原画に対する忠実性が求められる場合にはダレ防止層を形成するのが好ましい。
このダレ防止層は印刷の技術分野で公知の任意の方法、例えば定着剤、固定剤等を用いて形成することができる。本発明の一つの実施例では無溶剤(ノンソル)接着剤として知られている接着剤をダレ防止層として使用することでジグソーパズル本体層(1)と透明表面層(2、2')との間の接着状態を補助し、両者の熱積層時のズレを防止する。市販の無溶剤接着剤としては三井化学のタケラックA969V/A−fを挙げることができる。
印刷層(4)を形成した透明表面層(2、2')を巻き取ってロール(2'')の形にし、それをジグソーパズル製造装置(D)へ送ることもできるが、一般にはデジタル印刷の現場で(C)の工程でラミネータを用いて印刷層(4−1、4−2)を形成した透明表面層(2、2')上に中間層(3)を積層して、両者をサーマルラミネーションする。そうして得られた印刷済みの透明表面層(2、2')上に中間層(3、3')を積層した積層体(2+3+4)をジグソーパズル製造装置(D)へ送る。
印刷層(4−1、4−2)を形成した透明表面層(2、2')を中間層(3)を同時に巻き取り、熱圧着しないで透明表面層+中間層の積層体(2+3)の形でジグソーパズル製造装置(D)へ送ることもできる。この場合には上記のダレ防止層としての接着剤層、特に無溶剤接着剤層を付けるのが好ましい。
本発明では、印刷層(4−1、4−2)を形成した透明表面層(2+4)またはそれと中間層との積層体(2+3+4)をデジタル印刷業者に外注することができる。デジタル印刷業者は印刷層(4−1、4−2)を有する透明表面層(2、2')またはそれと中間層との積層体(2+3+4)をロールの形に巻き取った形でジグソーパズル製造業者に納品する。ジグソーパズル製造業者はそれをジグソーパズル製造装置(D)にセットするだけでよい。
[図10]は本発明の2つの変形実施例を示している。[図9]の(a)は中間層とジグソーパズル本体層(1)とを一緒にしたもの(1+3)をサーマルラミネーション装置に送る変形例を示す。[図9]の(b)は本体層(1)を押出機から直接供給する場合を示している。
ジグソーパズルを大規模に製造する場合には、透明表面層(2、2')とジグソーパズル本体層(1)とを共押出し成形で作ることもできる。この場合には一つの押出機からヘッドの所で2枚の透明表面層(2、2')に分離し、本体層(1)からの押出しシートと共押出し成形する。この場合には熱積層用相(3)を省略することができる場合が多いが、大きな設備投資を必要とする。
以下、本発明の実施例を示す。
実施例1
吊り下げ可能なプラスチックジグソーパズル
本発明の第1の対象の、パズル完成後にジグソーパズルを垂直に吊り下げてもバラバラにならない安定して吊り下げ可能な60ピースの透明なプラスチックジグソーパズル(120mm×120mm)を製造した。
ジグソーパズル本体層(1)としてメタロセンポリプロピレン(mPP)とメタロセンポリエチレン(mPE)とを組み合わせた材料で作ったシートを使用した。mPPとmPEの各ペレットをmPP/mPEの比率を種々変えて押出機を用いて厚さが1mmのシートにした。各シートの曲げ弾性率はJIS規格K7171に従って測定した。得られた各シートの弾性率は200MPaから1500MPaの間で変えた([表1]のサンプル番号1〜6を参照])。
透明表面層(2)としては厚さが0.1mmの二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムを使用した。
上記のジグソーパズル本体層(1)の両面に透明表面層(2、2')を熱プレスで積層圧着した。この積層時にジグソーパズル本体層(1)と各透明表面層(2、2')との間に厚さが0.1mmの無延伸ポリプロピレン(CPP)のフィルムを中間層(3、3')としてサンドイッチして、透明表面層(2)/ジグソーパズル本体層(1)/透明表面層(2、2')の実質的に3層構造(中間層(3、3')を加えると5層構造)の積層シートにした。中間層(3、3')は熱積層用の結合層の役割をする。
得られた積層シートを2枚の刃を用いた通常のパズル製作機械を用いて打ち抜いて60ピースの透明なプラスチックジグソーパズルとした。得られた透明なプラスチックジグソーパズルの「吊下げ可能性」と「表面平滑性」とを調べた。
「吊下げ可能性」は打ち抜いて得られた透明なプラスチックジグソーパズルを[図1]に示す垂直な状態に吊り下げた時のピースの落下数で評価した。バラバラにならない状態で吊り下げすること自体が困難な場合を「難」、吊り下げできるが、一部のピースが落下する場合を「可」、全てのピースが落下しない場合を「良」、垂直な状態に吊り下げ且つ揺らしても全てのピースが落下しない場合を「秀」とした。
「表面平滑性」は透明なプラスチックジグソーパズルを完成させて60ピースの全てのピースを嵌め合わせたときの透明なプラスチックジグソーパズルの表面状態を目視で観察して評価した。透明なプラスチックジグソーパズルの表面が実質的に平らで、表面から上下にズレたピースが無い場合を「秀」とし、表面から上下にズレたピースの数が60ピース中10ピース以下の場合を「良」とし、表面から上下にズレたピースの数が60ピース中30ピース以上の場合を「不良」とした。
結果は以下の[表1]の通り。
Figure 2021137235
この結果からジグソーパズル本体層(1)の曲げ弾性率は200MPa〜1000MPaであるのが好ましく、より好ましくは曲げ弾性率は300MPa〜900MPa、より好ましくは400MPa〜700MPaであるのが好ましいことがわかる。
実施例2
透明プラスチックジグソーパズル
プラスチックジグソーパズルのピース数を200ピースにしたB5版のジグソーパズルを実施例1と同様な方法で作って、200ピースの吊り下げ可能な透明プラスチックとした。
実施例1と同じ評価をした。結果は実施例1とほぼ同じであった。
実施例3
透明プラスチックジグソーパズル
実施例2と同じ操作を行なったが、中間層(3、3')を無延伸ポリプロピレン(CPP)から同じ厚さ0.1mmの低密度ポリエチレン(LLDPE)に代えた。
実施例1と同じ評価をして、実施例1とほぼ同じ結果を得た。
実施例2と実施例3では得られたジグソーパズルの一つのピースにT型剥離試験を行ったが、各層が剥離することはなく、ジグソーパズルの通常使用時に十分な剥離強度があることが分かった。
実施例2および実施例3でほぼ同じ結果が得られたが、総合評価は実施例3の方が高かった。
実施例4
透明プラスチックジグソーパズル
実施例2と同じ操作を行なったが、透明表面層(2、2')を市販の厚さが1mmのポリエチレン(PE)のフィルムに代え、中間層(3、3')を無延伸ポリプロピレン(CPP)から同じ厚さ0.1mmの低密度ポリエチレン(LLDPE)に代えた。
実施例1と同じ評価をして、実施例1と同じ結果を得たが、表面の透明性、光沢性が実施例1より若干劣る。
比較例1
実施例1と同様な操作を行ったが、無延伸ポリプロピレン(CPP)のフィルムの中間層(3)は使用しなかった。
この比較例では、厚さが3mmのポリエチレンシートのジグソーパズル本体層(1)を押出機から直接供給し、その溶融熱を利用して圧着ローラを積層装置(R)で厚さが1mmの二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムの透明表面層(2、2')に熱圧着した。
実施例2、3と同様なT型剥離試験を行ったが、接着強度が不足していているため本体層(1)と透明表面層(2、2')との間で剥離が起こった。
実施例5
遠近感のある画像を有するプラスチックジグソーパズル
上記と同じ材料と方法を用いて製造できるが、透明表面層(2、2')の、ジグソーパズル本体層(1)の側に印刷層(4−1、4−2)をグラビア印刷した。透明表面層(2、2')としては二軸延伸ポリプロピレン(OPP)を使用した。
実施例1と同じ評価をして、実施例1とほぼ同じ結果を得た。印刷層を付け加えても本発明の特性(安定した吊下げ可能性、表面平滑性および相関接着性)は同じであった。
実施例6
「写し絵」の道具としてのプラスチックジグソーパズルの使用
60ピースの12mm×12mmの小型の透明なプラスチックジグソーパズを実施例1に記載の方法で作った。
幼児が好きなキャラクター画像を描いた紙を上記の透明プラスチックジグソーパズの下に置き、ゼブラ社の「マッキー」(登録商標)を使用して幼児に透明表面層(2)上にキャラクター画像を写し取らさせ、「マッキー」(登録商標)のカラーペンで着色させた。お絵描きが終わってからプラスチックジグソーパズルをバラバラにし、ジグソーパズとして遊ばせた。幼児は、何回か遊んだ後は、下絵を見なくてもジグソーパズルを完成できるようになった。
実施例7
「塗り絵」の道具としてのプラスチックジグソーパズルの使用
実施例6の透明なプラスチックジグソーパズを使用した。この場合には幼児が好きなキャラクター画像の輪郭線のみを裏側の透明表面層(2')の表面上に印刷した。
遊ぶ時には、幼児に透明表面層(2)の表面上のキャラクター画像の輪郭線の内部をカラー筆記具を用いて着色させた。幼児には、本発明の透明なプラスチックジグソーパズルを「塗り絵」の手段として使用させ、各ピースをバラバラにした後はジグソーパズルとして遊ばせることができた。
実施例7
市販のデジタル印刷機([図8]参照)を用いてキャラクター画像の一部をグラビア印刷でカラー印刷した印刷面(4−1)を有する透明表面層(2)とし、同じキャラクター画像の残りの部分をカラー印刷した印刷面(4−2)を有する透明表面層(2')とした。
これら2枚の透明表面層(2、2')上に熱積層時の熱による印刷層(4−1、4−2)のダレ(溶融流れ)を防止するためのダレ防止層(d)として市販の無溶剤(ノンソル)接着剤層を形成した。
こうして得られた透明表面層(2、2')を巻き取ったロールと、厚さが0.1mmの市販の無延伸ポリプロピレン(CPP)のフィルムからなる積層用中間層(3、3')のロールとを「ロール積層装置]([図8]の(C)参照)の供給部にセットし、透明表面層(2、2')をヒーターで加熱しながら熱積層した。
得られた予備積層体(2+3+4+3'+2')を積層装置(R)にジグソーパズル本体層(1)と一緒に供給し、両者をヒーターで加熱し、圧着ローラによって完全に熱積層した。
この実施例ではジグソーパズル本体層(1)、透明表面層(2、2')および積層用中間層(3、3')は実施例1と同じ材料を使用した。プラスチックジグソーパズルのピース数は200ピースで、B5版のジグソーパズルとした。
実施例1と同じ評価をした。結果は実施例1とほぼ同じであった。また、得られたジグソーパズル(P)の一つのピースにT型剥離試験を行ったが、各層が剥離することはなく、ジグソーパズルの通常使用時に十分な離強度があることが分かった。
以上、添付図面を参照して本発明の具体例を説明したが、本発明が図示した実施例に限定されるものではない。
P ジグソーパズル
p' ピース
S スタンド
C カッター
D 駆動ローラ
E バラし機
h ヒータ
M 打ち抜き機
R 積層装置(圧着ローラ)
1 ジグソーパズル本体層
2、2' 透明表面層
3、3' 積層用中間層
4−1、4−2 印刷層

Claims (9)

  1. 複数のピース(p)を組み合わせて遊ぶ透明なプラスチックジグソーパズにおいて、各ピース(p)が下記(i)〜(iii):
    (i)透明なプラスチックシ−トから成るジグソーパズル本体層(1)と、
    (ii)ジグソーパズル本体層(1)の上側および/または下側に配置される透明なプラスチック材料から成る透明表面層(2、2')と、
    (iii)上記ジグソーパズル本体層(1)と上記の各透明表面層(2、2')との間に配置された積層用中間層(3、3')と、
    の複数の層で構成され、
    上記ジグソーパズル本体層(1)がJIS規格K7171に従って測定した曲げ弾性率が200MPa〜1000MPa、好ましくは300MPa〜900MPa、より好ましくは400MPa〜700MPaであることを特徴とする、完成後にジグソーパズルを垂直に吊り下げてもバラバラにならず、同一面の平らな均一表面を維持する透明なプラスチックジグソーパズル。
  2. 全てのピース(p)が、画像が印刷されていない透明で無地なピースである請求項1に記載の透明なプラスチックジグソーパズル。
  3. 上記透明表面層(2、2')の表面上および/またはジグソーパズル本体層(1)と接する背面上の少なくとも一部に印刷層(4−1、4−2)を有する請求項1に記載の透明なプラスチックジグソーパズル。
  4. ジグソーパズル本体層(1)および透明表面層(2、2')がポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)およびこれらの共重合体、アロイまたは組み合わせから選択される材料で作られている請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラスチックジグソーパズル。
  5. 各ピース(p)が下記(i)〜(iii)によって構成されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の透明なプラスチックジグソーパズル:
    (i)透明なプラスチックシ−トから成るジグソーパズル本体層(1)と、
    (ii)上記ジグソーパズル本体層(1)の上側および/または下側に配置される透明な二軸延伸ポリプロピレン(OPP)または高密度ポリエチレン(HDPE)から成る透明表面層(2、2')と、
    (iii)上記ジグソーパズル本体層(1)と上記の各透明表面層(2、2')との間に配置された無延伸ポリプロピレン(CPP)または低密度ポリエチレン(LLDPE)から成る熱積層用中間層(3、3')。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の透明なプラスチックジグソーパズルの「写し絵」または「塗り絵」の道具としての使用。
  7. 下記の1)〜3)の工程:
    1)透明なプラスチックシ−トから成るジグソーパズル本体層(1)と透明な透明表面層(2、2')とを用意し、
    2)透明な透明表面層(2、2')とジグソーパズル本体層(1)とを結合用中間用シート(3、3')を介して互いに積層一体化し、
    4)得られた積層一体化物をジグソーパズルの形に打抜く、
    を含むプラスチックジグソーパズルの製造方法であって、
    上記ジグソーパズル本体層(1)がJIS規格K7171に従って測定した曲げ弾性率が200MPa〜1000MPa、好ましくは300MPa〜900MPa、より好ましくは400MPa〜700MPaであることを特徴とする、完成後にジグソーパズルを垂直に吊り下げてもバラバラにならず、同一面の平らな均一表面を維持する透明なプラスチックジグソーパズルの製造方法。
  8. 透明表面層(2、2')の少なくとも一方の表面上、および/または、ジグソーパズル本体層(1)側の少なくとも一方の表面上に画像を印刷する工程をさらに含む請求項7に記載の方法。
  9. 画像データを入力/処理するコンピュータ(A)と、入力/処理済みの画像データを受けて透明表面層(2、2')の少なくとも一方の表面上に画像を印刷するデジタルプリンター(B)と、デジタルプリンター(B)からの印刷画像を有する上記透明表面層(2、2')、上記ジグソーパズル本体層(1)およびこのジグソーパズル本体層(1)と上記透明表面層(2、2')との間に配置された積層用中間層とを熱間圧着する熱間圧着装置(R)と、熱間圧着された積層組立体をジグソーパズルの形に打ち抜く打ち抜き機(M)と、打ち抜き処理の終わった積層組立体を個々のジグソーパズルシートにカットする切断装置(C)とを含むことを特徴とする画像を有する透明なプラスチックジグソーパズルの製造装置。
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