JP2021134687A - 過給機付きエンジン - Google Patents

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隆雅 松本
弘樹 宮脇
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弘樹 宮脇
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直之 山形
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    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

Abstract

【課題】走行風による空冷が困難な条件下でも、排気ガスの高温化を抑制しながら、フィルタの再生を短時間で行える過給機付きエンジンを提供する。【解決手段】ターボ過給機4、電動過給機5、フィルタを含む後処理装置6bを有する排気浄化装置6等を備える。吸気通路31にコンプレッサ41と電動過給機5とが配置され、排気通路32に排気浄化装置6とタービン42とが配置されている。EGR通路71は、ショートカット通路72を有している。制御ユニットは、アイドリング状態でフィルタの再生処理を実行する場合、電動過給機5を駆動し、ショートカット通路72を通じて排気浄化装置6よりも下流で排気ガスに新気を合流させる。【選択図】図8

Description

開示する技術は、過給機付きエンジンに関する。
DPF(Diesel Particulate Filter)では、フィルタに堆積したPM(粒子状物質)を高温の排気ガスで燃焼して再生させる処理が定期的に実行される。
それに対し、近年では、エンジン性能の向上等により、燃焼に用いられる燃料の減少が著しい。燃料の減少によって燃費は向上するが、燃焼熱は小さくなるため、排気ガスの温度が低下する。その結果、再生温度が不安定になり、DPFの連続した再生を維持するのが難しくなっている。
そのような問題を解決するために、DPFおよびDOC(Diesel Oxidation Catalyst)を、ターボチャージャーのタービンよりも排気通路の上流側に配置して、DPFの温度を高めるようにした排気ガス浄化装置が、特許文献1に開示されている。
特許文献1の排気ガス浄化装置にはまた、EGRバルブおよびEGRクーラを備えたEGR管が、排気通路と吸気通路との間に設けられていて、EGR(Exhaust Gas Recirculation、排気再循環)が実行可能となっている。
具体的には、排気マニホールドと吸気マニホールドとの間を接続する高圧EGR管と、排気通路の下流側の部位とターボチャージャーのコンプレッサよりも吸気通路の上流側の部位との間を接続する低圧EGR管とが設けられている。
特許文献2には、ディーゼルエンジンがアイドリング状態のときにDPFの再生を行うための技術が開示されている。
すなわち、DPFの再生時は排気ガスが高温になる。一方、アイドリング状態では、走行風による空冷ができない。そのため、アイドリング状態では、排気管やその周辺が高温になり過ぎるという問題がある。それに対し、特許文献2の排気ガス浄化装置では、エンジンの回転数を制御して、排気ガスの高温化を抑制しながらDPFの再生を行っている。
特開2013−189900号公報 特開2012−047078号公報
特許文献1の排気ガス浄化装置では、高圧EGR管によって排気ガスを環流する場合、DPFを通らないので、PMは除去されない。そのため、煤が、高圧EGR管に入り込んで堆積していく。従って、EGRバルブ、EGRクーラ等の性能が悪化する。
特許文献2の排気ガス浄化装置のように、排気ガスの高温化を抑制しながらDPFの再生を行う方法では、再生温度が低くなる。そのため、再生時間が長くなることは避けられない。
そこで開示する技術の主たる目的は、アイドリング状態のような、走行風による空冷が困難な条件下でも、排気ガスの高温化を抑制しながらフィルタの再生を短時間で行える、過給機付きエンジンを提供することにある。
開示する技術は、過給機付きエンジンに関する。すなわち、前記エンジンは、燃焼が行われる燃焼室に吸気を供給する吸気通路と、前記燃焼室に燃料を供給する燃料供給装置と、前記燃焼室から排気ガスを排出する排気通路と、コンプレッサおよびタービンを有し、排気ガスで駆動するターボ過給機と、電気で駆動する電動過給機と、酸化触媒を含む前処理装置、および粒子状物質を捕集するフィルタを含む後処理装置を有する排気浄化装置と、前記排気通路を流れる排気ガスを前記吸気通路に環流させるEGR通路と、前記燃料供給装置および前記電動過給機を制御する制御ユニットと、を備えた車両のエンジンである。
前記吸気通路には、その上流側から下流側に向かって、順次、前記コンプレッサと前記電動過給機とが配置されている。前記排気通路には、その上流側から下流側に向かって、順次、前記排気浄化装置と前記タービンとが配置されている。前記EGR通路は、前記吸気通路における前記コンプレッサと前記電動過給機との間の部位と、前記排気通路における前記排気浄化装置と前記タービンとの間の部位とに接続されるとともに、排気ガスを冷却するEGRクーラ、および、前記EGRクーラよりも上流側の部位から分岐して前記吸気通路における前記電動過給機よりも下流側の部位に接続されるショートカット通路を有している。
前記制御ユニットは、前記フィルタに堆積した粒子状物質が設定量以上になった時には、排気行程で前記燃焼室に燃料を供給するように前記燃料供給装置を制御することにより、前記フィルタを再生させる再生処理を実行する。そして、アイドリング状態または所定速度以下で前記車両が低速走行している状態で、前記再生処理を実行する場合には、前記電動過給機を駆動して、新気を、前記ショートカット通路を通じて前記排気通路に供給することにより、前記排気浄化装置よりも下流で排気ガスに新気を合流させる合流処理を実行する。
すなわち、この過給機付きエンジンによれば、排気ガスの流動でタービンを駆動してコンプレッサで過給するターボ過給機に加えて、コンプレッサよりも下流側の吸気通路に、電気で駆動する電動過給機が配置されている。従って、エンジンが停止していて、ターボ過給機が駆動できない状態でも、電動過給機で過給できる。電動過給機であれば、駆動にタイムラグがあるターボ過給機と異なり、レスポンスよく駆動できる。また、ターボ過給機が駆動している状態でも、電動過給機を駆動することによって過給を増やすことができる。従って、このエンジンは過給レスポンスに優れる。
そして、タービンよりも上流側の排気通路には、排気浄化装置が配置されているので、タービンを含めた、その下流側の排気通路には、浄化されたクリーンな排気ガスが流れる。前処理装置は例えばDOCであり、後処理装置は例えばDPFである。すなわち、排気浄化装置により、排気ガスに含まれる煤等の粒子状物質(PM)を効果的に除去できる。従って、タービンや排気通路の劣化を抑制できる。
更に、EGR通路の排気側の端部は、排気通路における排気浄化装置とタービンとの間の部位に接続されている。従って、クリーンな排気ガスが環流されるので、EGRクーラ等の性能の悪化も抑制できる。
エンジンが低回転で運転している時は、排気圧が低い。従って、その時には、低圧の排
気ガスが環流されるので、いわゆる低圧EGRを実現できる。また、電動過給機の駆動によって排気圧の調整もできる。特に、低回転かつ高負荷での運転時は、排気ガスは環流し難いが、電動過給機を駆動することで、必要な環流量を確保できる。
一方、エンジンが高回転で運転している時は、過給しているタービンおよびコンプレッサの間の、高圧で圧力差の小さい領域で、排気ガスの環流が行われる。従って、いわゆる高圧EGRが実現でき、ポンプ損失を低減できる。
これらの結果、簡単な構造でありながら、エンジンの運転領域の全域において良好なEGRの実行が可能になる。
加えて、EGR通路には、EGRクーラよりも上流側から分岐して、電動過給機よりも下流側の吸気通路に接続されたショートカット通路が設けられている。従って、EGR通路とは異なり、ショートカット通路を利用することで、電動過給機を経由することなく、最短距離で、燃焼室に排気ガスを導入できる。それにより、ショートカット通路を通じて、迅速に高温の排気ガスを燃焼室に導入できる。着火温度が低下した場合に、ショートカット通路を利用することでレスポンスよく着火性を改善できる。
更に、このエンジンでは、フィルタに堆積したPMが設定量以上になった時には、いわゆるポスト噴射により、フィルタを再生させる再生処理が実行される。すなわち、排気行程で燃焼室に燃料を供給する。そうすることで発生する未燃成分が、前処理装置の酸化触媒で酸化される。その反応熱で排気ガスを高温にし、後処理装置のフィルタに堆積したPMを燃焼させて除去する。それにより、フィルタが再生されて後処理装置の機能が回復する。
従って、フィルタの再生時には、排気ガスが高温になるので、アイドリング状態または車両が低速走行している状態など、走行風による空冷が実質的にできない状態でDPFの再生を行うと、排気管やその周辺に熱害が発生するおそれがある。それに対し、このエンジンでは、そのような場合に、電動過給機が駆動される。新気(車外から取り入れられる空気)を、ショートカット通路を通じて排気通路に供給することにより、排気浄化装置よりも下流で、排気ガスに新気を合流させる合流処理が実行される。
すなわち、アイドリング状態など、ターボ過給機では過給できない状態でも、電動過給機であれば過給できる。そして、電動過給機で、十分な量の新気を導入し、再生処理を実行しながら、その新気の一部をショートカット通路に分流させる。それにより、その一部の新気は、エンジンおよび排気浄化装置をバイパスし、排気浄化装置よりも下流側で、再生処理で高温になった排気ガスに合流する。
その結果、合流した排気ガスの温度が下がるので、排気管等の熱害を効果的に防止できる。再生温度は維持できるので、排気ガスの高温化を抑制しながら、フィルタの再生を短時間で行える。
前記エンジンはまた、前記制御ユニットが、排気ガスの温度が所定の設定値を超えたか否かを判定し、排気ガスの温度が前記設定値を超えた場合に前記合流処理を実行し、排気ガスの温度が前記設定値を超えない場合には前記合流処理を実行しない、としてもよい。
合流処理では、電動過給機を駆動するので、電力を消費する。一方、アイドリング状態などでフィルタを再生する時でも、排気ガスの温度が過度に高くなければ、低下させなくてもよい。それに対し、このエンジンでは、排気ガスの温度が、所定の設定値を超えた場合に合流処理を実行する。従って、合流処理を効率的に実行できる。電力消費が抑制され
る。
前記エンジンはまた、前記吸気通路が、前記コンプレッサよりも下流側に、吸気を冷却するインタークーラを有し、前記ショートカット通路における吸気側の端部が、前記インタークーラよりも下流側の部位に接続されている、としてもよい。
この場合、吸気通路にインタークーラが追加されたことで、再生処理および合流処理の実行時に、新気の冷却が可能になる。従って、新気を冷却することで、合流した排気ガスの温度を更に下げることができる。新気の温度を調節できるので、安定したフィルタの再生が行える。
前記エンジンはまた、前記吸気通路に、前記電動過給機を迂回するバイパス通路が設けられ、前記電動過給機の駆動時に、前記バイパス通路が閉じられる、としてもよい。
電動過給機が駆動していない時に、吸気が電動過給機を流れると、強い流動抵抗を受ける。それにより、吸気行程で燃焼室が負圧になり易い。ポンプ損失が増加して、燃費が悪化する。それに対し、このエンジンは、バイパス通路を通じて吸気を導入できる。従って、そのような不具合を防止できる。一方、電動過給機の駆動時には、バイパス通路が閉じられるので、電動過給機で効率よく過給できる。
前記エンジンはまた、前記制御ユニットは、前記車両が一時停止した場合に、前記燃焼室への燃料の供給を停止するように前記燃料供給装置を制御して、前記エンジンを停止させるアイドリングストップを更に実行し、前記再生処理が実行されている時に前記車両が一時停止した場合には、前記アイドリングストップの実行を禁止して、前記合流処理を実行する、としてもよい。
車両が一時停止した場合に、アイドリング状態でエンジンの運転を維持するのではなく、燃料の供給を停止してエンジンを停止させる制御、いわゆるアイドリングストップが広く行われている。このエンジンは、アイドリングストップを実行する車両のエンジンである。その車両が、再生処理の実行中に一時停止した場合には、アイドリングストップによって燃料の供給が停止される結果、再生処理が中断される。高温の排気ガスの排出は無くなるが、フィルタの再生が遅れる。
それに対し、このエンジンでは、合流処理の実行により、排気ガスの高温化を防ぎながら短時間でフィルタを再生できる。そのため、再生処理が実行されている時に車両が一時停止した場合には、アイドリングストップの実行を禁止して、合流処理を実行する。従って、アイドリングストップを実行する車両においても、排気ガスの高温化を抑制しながらフィルタの再生を短時間で行える。
開示する技術を適用した過給機付きエンジンによれば、アイドリング状態のような、走行風による空冷が困難な条件下でも、排気ガスの高温化を抑制しながら排気浄化装置のフィルタの再生を短時間で行える。
エンジンシステムの構成を例示する概略図である。 エンジンの制御構成を例示するブロック図である。 エンジンの運転領域を例示するマップである。 エンジンの通常運転時における燃焼制御を例示するフローチャートである。 EGR復帰処理での制御を例示するフローチャートである。 EGR復帰処理での状態を例示する図である。 再生処理及び合流処理での制御を例示するフローチャートである。 合流処理での状態を例示する図である。 アイドリングストップ実行時における再生処理での制御を例示するフローチャートである。
以下、過給機付きエンジンの実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、実施形態に係るエンジンシステム1(広義のエンジン)を示す。このエンジンシステム1は、車両に搭載される。エンジンシステム1のエンジン2は、軽油を主成分とした燃料が供給されるディーゼルエンジンである。エンジン2は、図示は省略するが、複数の気筒を有している。各気筒は、燃焼が行われる燃焼室2aを形成する。燃焼室2aに供給された燃料は、圧縮自着火により燃焼する。
<エンジンシステムの構成>
エンジン2には、燃料噴射弁、つまりインジェクタ21が取り付けられている。インジェクタ21は、エンジン2に燃料を供給する。より詳細に、インジェクタ21は、気筒毎に設けられ、気筒内に燃料を直接噴射する。インジェクタ21は、後述するECU100からの制御信号を受ける。インジェクタ21は、エンジン2の運転状態に応じて設定された噴射タイミングでかつ、エンジン2の運転状態に応じた量の燃料を、燃焼室2a内に噴射する。
エンジン2には、吸気通路31が接続されている。吸気通路31は、各気筒に吸気を供給する。燃焼室2a内に供給される吸気は、空気と、排気ガスであるEGRガスとを含む。エンジン2にはまた、排気通路32が接続されている。排気通路32は、各気筒から排出される排気ガスが流れる。
(吸気通路)
吸気通路31には、上流側から下流側へ向かって順に、ターボ過給機4のコンプレッサ41と、電動過給機5と、インタークーラ43とが配設されている。コンプレッサ41は、吸気を昇圧する。電動過給機5も、吸気を昇圧する。インタークーラ43は、過給された吸気を冷却する。インタークーラ43は、例えば水冷式の熱交換器である。インタークーラ43は、例えばエンジン2の冷却水で熱交換を行う。
電動過給機5は、吸気通路31内に設けられたコンプレッサホイール51と、このコンプレッサホイール51を駆動する電動モータ52とを有している。電動モータ52が運転すると、コンプレッサホイール51が回転し、コンプレッサホイール51は、吸気通路31を流れる吸気を昇圧する。電動過給機5は、排気エネルギーを利用しない過給機である。電動モータ52は、車両に搭載されたバッテリ55からの電力供給を受ける。バッテリ55には、例えばオルタネータ(図示省略)によって発電された電力が蓄積される。
ここで電動過給機5の容量は、ターボ過給機4のコンプレッサ41の容量よりも小に設定されている。電動過給機5は、後述するように、エンジン2が低回転領域の高負荷状態で運転している場合に駆動し、それ以外の場合には駆動しない。大容量のターボ過給機4のコンプレッサ41と、小容量の電動過給機5とを直列に設け、ターボ過給機4のコンプレッサ41のみの駆動、電動過給機5のみの駆動、及び、ターボ過給機4のコンプレッサ41と電動過給機5の両方の駆動を切り替えることにより、このエンジン2は、広い運転領域に亘って、吸気を過給できる。
吸気通路31には、コンプレッサホイール51をバイパスするバイパス通路53が設け
られている。バイパス通路53の上流端は、吸気通路31におけるコンプレッサ41とコンプレッサホイール51との間の部位に接続されている。バイパス通路53の下流端は、吸気通路31におけるコンプレッサホイール51とインタークーラ43との間の部位に接続されている。バイパス通路53には、バイパス弁54が設けられている。バイパス弁54は、バイパス通路53を流れる吸気量を調整する。電動過給機5が駆動している間、バイパス弁54は閉じられる。電動過給機5が駆動していない間、バイパス弁54は開かれる。
電動過給機5が駆動していない時に、吸気がコンプレッサホイール51を流れると、強い流動抵抗を受ける。それにより、吸気行程で燃焼室2aが負圧になり易くなる。ポンプ損失が増加して燃費の悪化を招く。バイパス通路53が通じれば、そのような不具合を防止できる。一方、電動過給機5の駆動時に、バイパス通路53を閉じれば、電動過給機5で効率よく過給できる。
(排気通路)
排気通路32には、上流側から下流側へ向かって順に、排気浄化装置6と、ターボ過給機4のタービン42とが配設されている。
排気浄化装置6は、前処理装置6a及び後処理装置6bを有している。前処理装置6aは、後処理装置6bの上流側に隣接して配置されている。このエンジンシステム1の場合、前処理装置6aは、いわゆる「DOC」であり、酸化触媒を含む。後処理装置6bは、いわゆる「DPF」であり、フィルタを含む。
DOCは、排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HC)を酸化し、二酸化炭素及び水を生成する反応を促す。また、DPFは、排気ガスに含まれる煤等の粒子状物質(PM)を捕集する。排気浄化装置6についは別途後述する。
このエンジンシステム1は、排気中のNOxを浄化する触媒を備えていない。但し、ここに開示する技術は、NOxを浄化する触媒を備えたエンジンに適用することを排除しない。
ターボ過給機4のタービン42は、排気のエネルギーによって回転する。図示を省略する連結シャフトは、タービン42とコンプレッサ41とを互いに連結する。排気通路32においてタービン42が回転すると、吸気通路31においてコンプレッサ41が回転し、吸気を昇圧する。
ターボ過給機4は、詳細な図示は省略するが、可変容量式のターボ過給機4である。タービンケース内には、可動ベーンが配設されている。可動ベーンの開度を調整することによって、ターボ過給機4の容量が変わる。
(EGRシステム)
エンジンシステム1はまた、EGR(Exhaust Gas Recirculation)システム7を備えている。EGRシステム7は、エンジン2から排出される排気ガスの一部をEGRガスとして吸気通路31に還流する。EGRシステム7は、第1EGR通路71(EGR通路)と、第2EGR通路72(ショートカット通路)とを有している。
第1EGR通路71は、吸気通路31におけるコンプレッサ41と電動過給機5との間の部位と、排気通路32における排気浄化装置6とタービン42との間の部位とを互いに接続している。第1EGR通路71には、第1EGR弁73(EGRバルブ)が設けられている。第1EGR弁73は、例えば電磁式の開度調整弁である。第1EGR弁73は、
第1EGR通路71を通って吸気通路31に還流されるEGRガスの流量を調整する。
第1EGR通路71にはまた、EGRクーラ75が設けられている。EGRクーラ75は、図1の構成例においては、EGRガスの流れる方向を基準にして、第1EGR弁73の上流に設けられている。EGRクーラ75は、第1EGR通路71を流れるEGRガスを冷却する。EGRクーラ75は、例えば水冷式の熱交換器である。
第2EGR通路72は、第1EGR通路71の途中から分岐している。より詳細に、第2EGR通路72は、第1EGR通路71におけるEGRクーラ75の上流部から、分岐している。第2EGR通路72はまた、吸気通路31における電動過給機5の下流に接続されている。より詳細に、第2EGR通路72は、吸気通路31におけるインタークーラ43とエンジン2との間の部位に接続されている。
第2EGR通路72には、第2EGR弁74(ショートカットバルブ)が設けられている。第2EGR弁74は、例えば電磁式の開度調整弁である。第2EGR弁74は、第2EGR通路72を通って吸気通路31に還流されるEGRガスの流量を調整する。
(制御ユニット)
図2は、エンジンシステム1の制御構成を例示するブロック図である。エンジンシステム1は、エンジン・コントロール・ユニット(以下、ECUという)100を備えている。ECU100は、CPU101、メモリ102、カウンタタイマ群103、インターフェース104及びこれらのユニットを接続するバス105を有するマイクロプロセッサで構成されている。ECU100は、エンジン2を制御する。ECU100は、制御ユニットの一例である。
ECU100は、吸気温度センサSW1、過給圧センサSW2、排気温度センサSW3、クランク角センサSW4、アクセル開度センサSW5、車速センサSW6、DPF差圧センサSW7、及び、触媒温度センサSW8からの信号を受ける。
吸気温度センサSW1は、吸気通路31の上流側に設けられかつ、エンジンシステム1に取り込む空気(外気)の温度に対応する信号を出力する。過給圧センサSW2は、吸気通路31に設けられかつ、過給圧に対応する信号を出力する。排気温度センサSW3は、排気通路32に設けられかつ、排気温度に対応する信号を出力する。クランク角センサSW4は、エンジン2に取り付けられかつ、エンジン2のクランクシャフトの回転角に対応する信号を出力する。アクセル開度センサSW5は、アクセルペダル(図示省略)に連結されかつ、運転者によるアクセルペダルの操作量に対応する信号を出力する。車速センサSW6は、例えば図示省略の車軸に設けられかつ、車両の車速に対応する信号を出力する。DPF差圧センサSW7は、排気浄化装置6に取り付けられかつ、DPFの入口圧と出口圧との圧力差に対応する信号を出力する。触媒温度センサSW8は、排気浄化装置6に取り付けられかつ、DOCの温度に対応する信号を出力する。
ECU100は、車速センサSW6の信号に基づいて車両の速度を判断する。ECU100はまた、吸気温度センサSW1、過給圧センサSW2などの信号に基づいて吸気の状態を判断し、燃焼制御を行う。
ECU100は、クランク角センサSW4の信号に基づいてエンジン回転数を算出し、アクセル開度センサSW5の信号に基づいてエンジン負荷を算出する。ECU100は、アクセル開度センサSW5の信号に基づいて、車両の運転者の加速要求の有無、及び、その加速要求の度合いを判定する。
ECU100はまた、DPF差圧センサSW7の信号に基づいて、DPFの再生の要否を判定する。ECU100は、DPFの再生が必要と判断すれば、排気温度センサSW3などの信号に基づいて、DPFを再生する制御を行う。ECU100はまた、触媒温度センサSW8の信号に基づいて、DOCの機能を判断する。なお、これらセンサは一例である。ECU100は、これら以外のセンサからの信号も受け得る。
ECU100は、入力された信号に基づいてエンジン2の運転状態を判断し、判断した運転状態に対応するよう、インジェクタ21、電動モータ52、バイパス弁54、ベーンアクチュエータ44、第1EGR弁73、第2EGR弁74、エレキサーモスタット弁85へ制御信号を出力する。尚、ベーンアクチュエータ44は、ターボ過給機4の可動ベーンを動かすアクチュエータである。
エンジン2の燃焼室2a内には、エンジン2の運転状態に応じた量の空気及びEGRガスが導入されると共に、燃料が供給される。燃焼室2a内に供給された燃料は、適切なタイミングで圧縮自己着火により燃焼する。
ここで、このエンジン2は、熱効率が向上するよう、空気が過剰な状態で燃料を燃焼させる。また、EGRガスを燃焼室2aに導入することにより、燃焼室2a内の空気量の調整も行われる。エンジンシステム1を搭載した車両は、燃費性能が高い。
一方、エンジン2の熱効率が高いため、燃焼室2aから排出される排気の温度は低い。排気の温度が低いと、DOCの活性化には不利になる。従来のエンジンにおいては、ターボ過給機4のタービンの下流に排気浄化装置を設けることが一般的である。この構成はタービンの熱容量が大きいため、排気浄化装置の温度が、より一層上がりにくくなるという問題がある。
これに対し、このエンジンシステム1は、排気浄化装置6を、ターボ過給機4のタービン42の上流に設けている。エンジン2と排気浄化装置6との間にタービンが存在しないため、排気浄化装置6は、排気によって温度が高まりやすくかつ、エンジン2の運転中は、高温に保たれる。このエンジンシステム1は、排気の温度が低くても、エンジン2の運転中にDOCの活性状態が維持できるから、排出ガス性能が向上する。
(電動過給機5の制御)
次に、ECU100によるエンジン2の制御について説明をする。図3は、エンジン2の運転領域を例示している。運転領域は、エンジン回転数と、トルク(つまり、エンジン負荷)とによって規定される。
図3は、電動過給機5の運転に関するマップ301である。ECU100は、エンジン2の全運転領域のうち、第2領域において、電動過給機5を駆動し、第2領域以外の第1領域において、電動過給機5を駆動しない。
第2領域は、低回転領域における高負荷領域に相当する。ここで、低回転領域は、エンジン2の全運転領域を、回転数方向に低回転領域と高回転領域とに二等分した場合の、低回転領域に相当する。または、低回転領域は、エンジン2の全運転領域を、回転数方向に低回転領域と中回転領域と高回転領域とに三等分した場合の、低回転領域に相当する。高負荷領域は、エンジン2の全運転領域を、負荷方向に低負荷領域と高負荷領域とに二等分した場合の、高負荷領域に相当する。または、高負荷領域は、エンジン2の全運転領域を、負荷方向に低負荷領域と中負荷領域と高負荷領域とに三等分した場合の、高負荷領域に相当する。
第2領域において、電動過給機5が駆動している場合、ECU100は、バイパス弁54を閉じる。吸気は、電動過給機5のコンプレッサホイール51を通過してエンジン2へ流れる。電動過給機5の運転中、コンプレッサホイール51は、吸気を過給する。
第1領域において電動過給機5の停止している場合、ECU100は、バイパス弁54を開く。吸気は、電動過給機5のコンプレッサホイール51を通過せずに、エンジン2へ流れる。電動過給機5の停止中に、エンジン2のポンプ損失の増大が抑制される。
上述したように、電動過給機5のコンプレッサホイール51は、ターボ過給機4のコンプレッサ41よりも容量が小さい。電動過給機5は、エンジン2の低回転領域において、高効率に運転できる。電動過給機5は、第2領域において、吸気を効率的に過給できる。
ターボ過給機4のコンプレッサ41は、容量が大きいため、エンジン2の運転状態が第2領域にある場合は、実質的に吸気を過給しない。コンプレッサ41は、エンジン2の回転数が高い場合に吸気を過給する。コンプレッサ41は、エンジン2の運転状態が第1領域にある場合に駆動し、吸気を過給する。なお、第1領域と第2領域との境界付近においては、コンプレッサ41が吸気を昇圧しかつ、電動過給機5が吸気をさらに昇圧する場合がある。
次に、電動過給機5を駆動させる車両の運転シーンについて説明する。図3の実線の矢印及び破線の矢印は、運転者がアクセルペダルを踏み込んで車両の加速を要求した場合の、エンジン2の運転状態の変化を例示している。ECU100は、アクセル開度センサSW5の信号に基づいて、図3に白丸で示す運転状態から、エンジン2の負荷を高める。これにより、エンジン2の運転状態は第1状態から第2状態へと移行する。ECU100は、電動過給機5を運転する。その後、ECU100は、エンジン2の回転数を高める。エンジン2の運転状態が第2状態から第1状態へと移行すると、ECU100は、電動過給機5の運転を終了する。
上述したように、このエンジンシステム1は、排気浄化装置6を、ターボ過給機4のタービン42よりも上流に設けている。運転者が車両の加速を要求した場合に、タービン42よりも上流の容量が大きいため、ターボ過給機4は過給レスポンスが低下する。
しかしながら、エンジンシステム1は、電動過給機5を備えており、車両の加速が要求された場合に、ECU100は、電動過給機5を駆動できる。その結果、エンジン2の過給レスポンスが向上する。
従って、このエンジンシステム1は、排気浄化装置6をタービン42よりも上流に配置することに依る排気の浄化性能の向上と、電動過給機5が加速要求時に駆動をすることに依る過給レスポンスの向上と、を両立できる。
電動過給機5は、エンジン2の運転状態が低回転領域内にある場合でかつ、車両が加速過渡にある時、及び、エンジン2が低回転領域内において高負荷運転をしている時、の両方において駆動する。
上述したように、電動過給機5は、車両の加速過渡時における過給レスポンスを向上することができる。電動過給機5はまた、エンジン2が低回転高負荷運転をしているときに、吸気を十分に過給できるから、エンジン2のトルク向上、及び、排出ガス性能の向上に有利である。
なお、電動過給機5は、エンジン2の運転状態が低回転領域内にある場合でかつ、車両
が加速過渡にある時、又は、エンジン2が低回転領域内において高負荷運転をしている時、のいずれか一方において駆動してもよい。
(エンジン運転時でのEGRシステムの制御)
ECU100は、エンジン2の全運転領域において、EGRガスを吸気通路31に還流させる。つまり、ECU100は、第1EGR弁73、及び/又は、第2EGR弁74を開弁する。エンジン2が全負荷(フルスロットル)で運転している場合に、EGRガスを吸気通路31に還流することにより、燃焼室2a内の酸素濃度が低下して、燃焼温度が下がる。燃焼温度が下がると、NOxの生成を抑制できる。電動過給機5は、エンジン2が低回転かつ全負荷で運転している場合、つまり、エンジン2が第2領域で運転している場合に、大量の空気とEGRガスとを、燃焼室2a内に導入することを可能にする。電動過給機5は、エンジン2の排出ガス性能を向上させる。
ECU100は、図3に示すように、エンジン2の運転状態が第2領域にある場合、換言すると、電動過給機5を運転している場合に、第1EGR弁73を開弁し、第2EGR弁74を閉弁する。エンジン2の運転状態に応じた量のEGRガスが、吸気通路31へ還流する。低回転の領域ではターボ過給機4が実質的に駆動していないので、その影響を受けることなく電動過給機5を駆動する第2領域では、電動過給機5の効率を高めることができる。
また、第1EGR通路71には、EGRクーラ75が介設している。EGRクーラ75は、EGRガスを冷却する。エンジン2の負荷が高い場合に、EGRシステム7は、冷却したEGRガスを吸気通路31に還流できる。EGRガスが導入される燃焼室2a内の温度が、過剰に高くなることが抑制される。エンジン2において異常燃焼の発生が抑制される。
エンジン2の運転状態が第1領域内にある場合、ECU100は、更に、第2EGR弁74を開弁する。エンジン2の回転数が高くなれば排気の流量が増大するため、エンジン2の排気側の圧力が吸気側の圧力よりも高くなる。第2EGR通路72を通じて、EGRガスが吸気通路31に還流する。
ここで、第2EGR通路72は、EGRクーラ75をバイパスしている。また、第2EGR通路72は、吸気通路31において、インタークーラ43とエンジン2との間の部位に接続されている。第2EGR通路72を通じてEGRガスを還流する場合は、第1EGR通路71を通じてEGRガスを還流する場合と比べて、短い通路長でEGRガスを還流できる。これらの要因により、EGRシステム7は、第2EGR通路72を通じて、比較的温度の高いEGRガスを、吸気通路31に還流できる。
エンジン2の負荷が低い場合は、燃焼室2a内の温度が低くなりがちで、燃料の着火性が低下しやすい。エンジン2が第1領域において低負荷又は軽負荷で運転している場合に、EGRシステム7が、第2EGR通路72を介して、温度の高いEGRガスを吸気通路31に還流することにより、燃焼室2a内の温度を高めて、燃料の着火性を向上できる。このことは、エンジン2の燃焼安定性を高める。
また、図3にハッチングを付して示すように、第1領域においてエンジン2が高回転かつ全負荷で運転している場合、EGRシステム7は、ターボ過給機4の過給によって高圧になっている領域内でEGRガスが環流される。そのため、燃焼室2aの下流側の排気圧と上流側の吸気圧との差圧が小さくなって、エンジン2のポンプ損失が低減する。
また、エンジン2が高回転全負荷領域内において運転している場合、コンプレッサ41
を通過する空気の流量は多い。コンプレッサ41を通過する空気の流量が多い状態で、仮にEGRガスを吸気通路31におけるコンプレッサ41の上流に導入しようとしても、コンプレッサ41の通過が増えすぎてコンプレッサ41の効率低下を招く。これに対し、エンジンシステム1は、コンプレッサ41の下流よりも下流の吸気通路31にEGRガスを導入する。これにより、エンジンシステム1は、コンプレッサ41の効率が低下しないという利点も得られる。
EGRシステム7のEGR通路は、第1EGR通路71と、第1EGR通路71から分岐した第2EGR通路72とによって構成されている。従来のエンジンシステムは、高圧EGR通路と低圧EGR通路との二つの経路を有していた。これに対し、このエンジンシステム1のEGR通路は、一つの経路によって構成されている。エンジンシステム1の構成が簡略化するという利点がある。
また、第1EGR通路71は、排気通路32における排気浄化装置6の下流に接続されている。EGRシステム7は、クリーンな排気ガスを、EGRガスとして吸気通路31に還流できる。
上述したように、このエンジンシステム1では、エンジン2の運転領域の全域でEGRを行う。そして、安定した燃焼を実現するため、燃焼室2aでの燃焼状態に応じて、第2EGR通路72を通じて、吸気通路31に高温のEGRガスを環流させる処理(HOT−EGR)と、第1EGR通路71を通じて、EGRクーラ75で冷却したEGRガスを環流させる処理(COOLED−EGR)とが、個別に、または併用して実行される。
第2EGR通路72は、第1EGR通路71よりも、エンジン2までの経路長が短く、かつ、通路容積も小さい。第2EGR通路72は、排気浄化装置6の下流側の排気通路32から、最短の距離かつ最小の通路容積で、吸気通路31にEGRガスが環流できる。
従って、第2EGR通路72を通じてEGRガスを環流することにより、迅速に高温のEGRガスを燃焼室2aに導入できる(HOT−EGR)。
対して、第1EGR通路71は、第2EGR通路72よりも、エンジン2までの経路長が長く、かつ、通路容積も大きい。しかも、EGRクーラ75が配置されている。従って、第1EGR通路71を通じてEGRガスを環流することにより、低温のEGRガスを燃焼室2aに導入できる(COOLED−EGR)。
このエンジンシステム1では、これらHOT−EGR及びCOOLED−EGRが、簡素な経路構造からなる1つのEGRシステム7で実現できる。そして、これらを併用することにより、要求される温度及び量のEGRガスを、レスポンスよく環流できる。その結果、エンジン2の広範囲な運転領域で適切なEGRが実行できる。それにより、このエンジンシステム1では、エンジン2の運転領域の全域でEGRを行うことが可能となっており、SCR(選択式還元触媒)などの高価な装置を組み込まなくても、NOxを効果的に除去できる。
そして、燃焼室2aの中で混合気が着火する時の温度(着火温度)が適温であれば、安定した燃焼を実現できる。しかし、リーン燃焼を行うこのエンジン2では、燃焼熱が少ないため、着火温度が低下し易い傾向がある。例えば、エンジン2が十分に暖まっていない冷間時や、温間時でもエンジン2が所定負荷以下の低負荷で運転している状態などでは、着火温度が低下して燃焼が不安定になる場合がある。なお、ここでいう所定負荷とは、例えば、エンジン2の全運転領域を負荷方向に2等分した場合での低負荷側の領域、エンジン2の全運転領域を負荷方向に3等分した場合での最も低負荷側の領域などが相当する。
所定負荷は、エンジン2の仕様に応じて定まる。
それに対し、このエンジンシステム1では、第2EGR通路72を通じてEGRガスを環流することにより、迅速に高温のEGRガスを燃焼室2aに導入できる(HOT−EGR)。HOT−EGRの実行によって燃焼室2aの温度が高まるので、レスポンスよく着火性を改善できる。
また逆に、高回転全負荷領域などでは、着火温度が上昇して異常燃焼が発生する場合もあり得る。そのような場合、このエンジンシステム1では、第1EGR通路71を通じて、EGRクーラ75で冷却したEGRガスを環流させることができる(COOLED−EGR)。COOLED−EGRの実行によって燃焼室2aの温度が低下するので、異常燃焼も改善できる。
図4に、ECU100による、エンジン2の通常運転時におけるEGRシステム7の制御例を示す。燃焼室2aでの燃焼が安定している場合には(ステップS1)、ECU100は、HOT−EGR及びCOOLED−EGRを併用し、エンジン2の運転状態に応じて、要求される温度及び量のEGRガスが環流されるように、第1EGR弁73及び第2EGR弁74の各々の開度を調整する(ステップS2)。
そして、エンジン2が所定負荷以下の低負荷で運転している時などに、失火が頻発するなどして燃焼が不安定になると、ECU100は、着火温度が低下したと判定し(ステップS3でYes)、ステップS4,S5に示すように、第2EGR弁74を開く(実質的に全開の状態、以下同様)とともに、第1EGR弁73を閉じる(実質的に全閉の状態、以下同様)。それにより、EGRガスは、実質的に第2EGR通路72のみを通じて環流されることとなり、HOT−EGRのみが実行される。その結果、高温のEGRガスが迅速に燃焼室2aに導入されるので、レスポンスよく着火性が改善されて燃焼状態が安定化する。
また、エンジン2が高回転全負荷領域などで運転している時に、異常騒音が頻発するなどして燃焼が不安定になると、ECU100は、着火温度が上昇したと判定し(ステップS3でNo)、第1EGR弁73を開くとともに、第2EGR弁74を閉じる(ステップS6,S7)。それにより、EGRガスは、実質的に第1EGR通路71のみを通じて環流されることとなり、EGRクーラ75で環流するEGRガスを冷却するCOOLED−EGRのみが実行される。その結果、低温のEGRガスが燃焼室2aに導入されるので、着火性が改善されて燃焼状態が安定化する。
<燃料カット>
このエンジンシステム1では、燃費を向上するため、減速時に、いわゆる「燃料カット」が行われる。すなわち、ECU100は、アクセル開度センサSW5などの信号に基づいて、エンジン2が減速してエンジン2からの出力が不要と判定した時には、インジェクタ21を制御することによって燃料の噴射を停止する処理(燃料カット処理)を実行する。
そして、燃料カット処理の実行中に、アクセルが踏み込まれるなどして、エンジン2の出力が要求された場合には、ECU100は、燃料の噴射を再開し、燃料カット処理から復帰させる。このとき、このエンジンシステム1では、EGRの実行の遅れが抑制できるように、燃料カットから復帰する時の制御が工夫されている。
<燃料カットからの復帰制御>
燃料カット中は、燃焼室2aで燃焼は行われないが、エンジン2が回転しているため、
燃焼室2aには新気が供給される。そのため、燃焼室2aから排出される排気ガスは次第に空気へとシフトし、その温度も低下していく。その結果、排気通路32中の排気ガスは空気に置換され、排気通路32の温度も低下する。
それにより、エンジン2が燃料カットの運転状態から復帰する時には、直ちにEGRを再開しても、高温のEGRガスではなく、低温の空気が吸気通路31に環流されることになる。従って、本来のEGRの状態に戻るまでにはタイムラグがある。EGRの実行に遅れが生じる。
特に、このエンジンシステム1の場合、排気通路32に第1EGR通路71が接続されている部位(排気導入部位)の上流側に、排気浄化装置6が配置されている。燃料カット処理の実行により、これら排気浄化装置6の内部の排気ガスも置換される。DOCを効率よく機能させるためには、DOCの酸化触媒を所定温度以上にして活性化させておく必要がある。そのため、燃料カットからの復帰時に、本来のEGRの状態に戻すために置換が必要な空気量及び昇温に必要な熱量は、一般的なエンジンよりも多い。
更に、第1EGR通路71を用いたEGRは、電動過給機5よりも上流側の吸気通路31にEGRガスを環流させるので、循環経路が長いうえに、その途中に多くの機器が配置されている。そのため、本来のEGRへの復帰が大幅に遅れるおそれがある。それに対し、このエンジンシステム1では、燃料カットからの復帰時に、第2EGR通路72を通じて吸気通路31にEGRガスを環流する処理(EGR復帰処理)が実行される。すなわち、HOT−EGRが実行される。
HOT−EGRであれば、最短の距離かつ最小の通路容積で、高温のEGRガスを循環供給できる。従って、空気の置換量及び加熱量を最小限にできる。その結果、燃料カットからの復帰時に発生するEGRの遅れを抑制でき、運転性能に優れたエンジンを実現できる。
図5に、ECU100が実行するEGR復帰処理の一例を示す。ECU100は、エンジンの運転が開始されると、図2に示した各種センサSW1−SW8などの信号を読み込む(ステップS10)。
そして、ECU100は、これら信号に基づいて、エンジン2に要求される回転数及びトルクを判定し、燃焼室2aでそれに応じた燃焼が行われるように、インジェクタ21、EGRシステム7などの各種装置を制御する。そうすることにより、ECU100は、エンジン2の運転(通常運転)を実行する(ステップS11)。通常運転では、ECU100は、上述したように、安定した燃焼を実現するため、燃焼室2aでの燃焼状態に応じて、HOT−EGR及びCOOLED−EGRの各々を個別に用いたり併用したりする。
そして、ECU100は、車速センサSW6の信号に基づいて、エンジン2が減速を開始したことを判定する(ステップS12)。ECU100はまた、更にアクセル開度センサSW5、クランク角センサSW4などの信号に基づいて、エンジン2のトルクが不要と判定した場合には、燃料カット処理を開始する(ステップS13)。すなわち、ECU100は、インジェクタ21を制御し、燃料の噴射を停止する(燃料の噴射量をゼロにする)。
ECU100はまた、第1EGR弁73及び第2EGR弁74を閉じる(ステップS14,S15)。それにより、燃料カット中に、排気ガス(この場合では、ほとんどが空気)がEGRシステム7に流れないようにする。それにより、EGRシステム7内の排気ガスが、低温の空気に置換されるのを防止できる。
そして、アクセルの踏み込みなどにより、燃料カット処理の実行中に、エンジン2のトルクが必要とECU100が判定した場合には、減速からの復帰、つまり燃料カット処理から、通常運転に復帰するための処理が開始される(ステップS16)。
ECU100は、まず、インジェクタ21を制御し、エンジン2の運転状態に応じて、燃料の噴射を再開する。それにより、燃焼室2aでは燃焼が開始され、エンジン2は要求されたトルクを出力し始める。それに応じて、本来の排気ガス(つまり不活性ガスを多く含む高温のガス、空気で置換された排気ガスと区別するために、燃焼ガスともいう)が、排気通路32に排出される。
このとき、排気導入部位よりも上流側の排気通路32(図6に示す区画B)には、排気浄化装置6が配置されているので、通路容積は大幅に増加している。そのため、エンジン2から燃焼ガスが排出されるようになっても、区間Bの内部が、完全に燃焼ガスに置換されるまでには、ある程度、時間を要する。
そのため、直ぐにEGR復帰処理を実行すると、温度及び組成が不安定なEGRガスが環流される。従って、適切な燃焼制御が行えない。また、このとき、酸化触媒の温度が不十分であると、DOCが適切に機能せずに、排気ガスの浄化が不完全になるおそれもある。
それに対し、このエンジンシステム1では、区画Bが燃焼ガスで満たされるまでは、EGR復帰処理の実行を待機する。具体的には、ECU100は、例えば、触媒温度センサSW8、排気温度センサSW3などの信号に基づいて、区画Bが燃焼ガスで満たされたか否かを判定する(ステップS18)。そうして、区画Bが燃焼ガスで満たされるまで、ECU100は、EGR復帰処理を実行せずに待機する(ステップS18でNo)。
一方、区画Bが燃焼ガスで満たされたと判定した場合、ECU100は、EGR復帰処理を実行する。すなわち、第2EGR弁74を開く(ステップS19)。それにより、図6に矢印Y1で示すように、組成が安定した高温のEGRガスが最短距離で環流されて、迅速に燃焼室2aに導入される。従って、EGR復帰処理の実行により、レスポンスよく、適切な燃焼制御が安定して行える。それにより、DOCの機能を短時間で回復できる。
その後、ECU100は、所定のタイミングで、第1EGR弁73を開く(ステップS20)。それにより、燃焼ガスは、第2EGR通路72と第1EGR通路71の双方に分かれて環流される。その結果、EGRシステム7の全域が燃焼ガスで満たされるとともに、吸気通路31における上流側の排気導出部位から下流側の排気導出部位までの間の区間(図6に示す区画A)にも、燃焼ガスが流れるようになる。
上述したように、このエンジンシステム1では、運転領域の全域でEGRが行われており、着火温度が低下して燃焼が不安定になるような所定の状態を除けば、第1EGR通路71を通じたEGRガスの環流が行われる。そのため、通常運転時の大部分は、区間Aを流れる吸気中に排気ガスが含まれている。それに対し、燃料カット中は、この区間Aを流れる吸気も低温の空気に置換される。そのため、直ちに通常運転に移行すると、吸気の組成及び温度の違いにより、円滑に通常運転に移行できないおそれがある。
そこで、ECU100は、区間Aを流れる吸気中の排気ガスが所定の濃度に達したか否かを判定する(ステップS21)。なお、所定の濃度は実験等に基づいて予め設定されており、その濃度に達したか否かは、第1EGR弁73の開度、吸入した空気量などの、EGRに関する制御情報と、区間Aの容積とに基づいて判定される。また、電動過給機5は
駆動していないので、ここでいう区間Aは実質的にはバイパス通路53が相当する。
そして、ECU100は、所定の濃度に達したと判定すると、通常運転に移行する(ステップS22)。それにより、第1EGR通路71及び第2EGR通路72の双方から環流されることによって温度及び量が調整されたEGRガスが、吸気に混合された状態で、燃焼室2aに供給される。その結果、エンジン2は、燃料カットから復帰する時にも、通常運転に円滑に移行できるようになり、安定した燃焼を実現できる。
<排気浄化装置>
上述したように、排気浄化装置6は、酸化触媒を含むDOC及びフィルタを含むDPFからなる前処理装置6a及び後処理装置6bを有している。
酸化触媒は、例えば白金などからなり、所定温度以上に保持することで活性化する。活性化した酸化触媒は、排気ガスに含まれる炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)などを効率よく酸化して、無害な水、二酸化炭素などに変化させる。
フィルタは、多孔質な濾材であり、DPFに一体化されている(便宜上、フィルタを包括的にDPFともいう)。排気ガスに含まれる煤などの粒子状物質(PM)は、フィルタに捕集される。従って、DPFを通過することで、排気ガスは、PMを含まないクリーンな状態となる。なお、NOxは、リーン燃焼を、エンジン2の運転領域の全域で実行することにより、効果的に抑制されている。
一方、PMの捕集によってDPFにPMが堆積していく。PMの堆積が進むと、DPFが目詰まりする。その結果、排気が適切に行えなくなる。そのため、排気浄化装置6では、DPFの目詰まりを解消して、その機能を回復させるために、間欠的に、DPFを再生させる処理(再生処理)が実行される。
具体的には、ECU100は、DPF差圧センサSW7の信号に基づいて、常時、DPFの目詰まりの状態、換言すれば、DPFへのPMの堆積量を検知している。そして、その堆積量が所定の設定量以上になった時に、ECU100は再生処理を実行する。その設定量は、DPFの仕様に応じて、メモリ102に設定されている。
再生処理が開始されると、ECU100は、要求されたトルクを出力するために、吸気行程及び圧縮行程の両過程の間で行われる燃料噴射とは別に、排気行程で燃焼室2aに燃料が供給されるように、インジェクタ21を制御する(いわゆるポスト噴射)。それにより、ポスト噴射された燃料の未燃成分が、排気ガスに含まれた状態で燃焼室2aから排出される。その排気ガスがDOCに流入し、酸化触媒で未燃成分が酸化されて反応熱が発生する。その反応熱により、排気ガスは、煤が燃焼する温度(例えば600℃)以上の高温になる。
その高温の排気ガスがDPFに流入し、DPFに堆積したPMが燃焼する。ECU100がポスト噴射を継続することで、PMは次第に除去されていく。そうして、ECU100は、DPFの機能が回復して、DPFの差圧が所定値以下となると、DPFが再生されたと判定し、ポスト噴射を停止して、再生処理を終了する。
従って、再生処理の実行中は、過度に高温の排気ガスが排出される。そのため、走行風による空冷が実質的にできない状態、例えば、アイドリング状態や、交通渋滞などによって自動車が低速走行している状態で、DPFの再生を行うと、排気管やその周辺に配置されている機器に熱害が発生するおそれがある。また、そのような高温の排気ガスを車外に排出するのは好ましくない。
そこで、このエンジンシステム1では、走行風による空冷が困難な条件下でも、排気ガスの高温化を抑制しながら、DPFの再生を短時間で行えるように、構造及び制御が工夫されている(詳細は後述)。
<アイドリングストップ>
この車両は、車両が一時停止した場合にエンジン2を停止させる、いわゆる「アイドリングストップ」を実行する。アイドリングストップの実行により、燃費が向上する。
具体的には、ECU100は、車速センサSW6、アクセル開度センサSW5などの信号に基づいて、車両が一時停止したと判定した場合、インジェクタ21を制御して、燃焼室2aへの燃料の供給を停止する。車両が一時停止している間は、エンジン2の停止も継続される。そうして、アクセルが踏み込まれて、車両の走行が再開すると、ECU100は、要求されたトルクを出力できるように、インジェクタ21を制御して、燃焼室2aへの燃料の供給を再開する。それにより、アイドリング状態が減少し、燃費が向上する。
<再生処理の工夫>
上述したように、走行風による空冷が実質的にできない状態で再生処理を行うと、過度に高温の排気ガスが排出されるので、好ましくない。しかし、排気ガスが高温になり過ぎないように再生処理を行うと、再生温度が低くなる。その結果、再生処理の時間が長くなる。
そこで、このエンジンシステム1では、そのような状態で再生処理を実行する場合、走行風による冷却の代わりに、排気浄化装置6よりも下流で排気ガスに新気を合流させる処理(合流処理)を実行して、排気ガスの温度を低下させる。
具体的には、ECU100は、アイドリング状態、または、所定速度以下で車両が低速走行している状態で、再生処理を実行する場合には、電動過給機5を駆動して過給を行う。そして、新気を、第2EGR通路72を通じて排気通路32に供給する。そうすることにより、排気浄化装置6よりも下流で、排気浄化装置6から排出される高温の排気ガスに、低温の新気を、合流させる。
その結果、合流した排気ガスの温度が下がるので、排気管等の熱害を効果的に防止できる。高温の排気ガスが、車外に排出されることも防止できる。しかも、DPFの再生温度は、従来通りに維持できるので、DPFの再生も短時間で行える。従って、このエンジンシステム1によれば、排気ガスの高温化を抑制しながら、DPFの再生を短時間で行える。
図7に、ECU100が実行する、そのような状態での再生処理及び合流処理の一例を示す。ECU100は、エンジン2の運転が開始されると、図2に示した各種センサSW1−SW8などの信号を読み込む(ステップS30)。
ECU100は、DPF差圧センサSW7の信号に基づいて、その後は常時、DPFの目詰まりの状態を検知する。その結果、DPFの再生が必要と判定すると、再生処理を実行する(ステップS31でYes)。
そして、ECU100は、車速センサSW6の信号に基づいて、車両の速度が所定の速度Vs以下であるか否かを判定する(ステップS32)。所定の速度は、例えば、時速が10km以下、時速20km以下などの、走行風による冷却が実質的に利用できない低速である。所定の速度は、仕様に応じてメモリ102に設定される。
車両の速度が所定の速度Vsより高い場合、走行風を利用して排気ガスを冷却できる。また、車両が移動しているので、車外に高温の排気ガスが排出されても支障は無い。従って、その場合、ECU100は、通常運転に適したEGRシステム7の状態で、再生処理を実行する(ステップS32でNo)。
すなわち、電動過給機5は停止する(ステップS33)。第2EGR弁74は閉じる(ステップS34)。第1EGR弁73は開く(ステップS35)。それにより、第2EGR通路72は実質的に遮断される。吸気通路31は、第1EGR通路71を介して、排気通路32と連通する。
一方、車両の速度が所定の速度Vs以下の場合は、ECU100は、排気温度センサSW3の信号に基づいて、排気ガスの温度が所定の設定値Tsを超えたか否かを判定する(ステップS36)。設定値Tsは、例えば、排気ガスが過度に高いとみなされる温度である。設定値Tsは、仕様に応じて、メモリ102に設定される。
排気ガスの温度が所定の設定値Tsを超えていると判定された場合、ECU100は、合流処理を実行する。すなわち、第1EGR弁73は閉じる(ステップS37)。第2EGR弁74は開く(ステップS38)。それにより、第1EGR通路71は実質的に遮断し、吸気通路31を、第2EGR通路72を介して、排気通路32に連通させる。そうして、電動過給機5を駆動して過給する(ステップS39)。
そうすることにより、吸気通路31に取り入れられる新気の一部は、図8に矢印線Y2で示すように、エンジン2に導入されて燃焼に用いられる。新気の他の一部は、図8に矢印線Y3で示すように、第2EGR通路72を通じて排気通路32に供給される。その結果、排気浄化装置6よりも下流で、燃焼室2aから排出される高温の排気ガスに、低温の新気が、合流する。
合流処理では、電動過給機5を駆動するため、電力を消費する。一方、排気ガスの温度が過度な高温に達していない場合には、必ずしも排気ガスの温度を低下させなくてもよい。従って、ECU100は、排気ガスの温度が所定の設定値Ts以下と判定した場合には、合流処理を実行しない(ステップS36でNo)。
すなわち、通常運転に適したEGRシステム7の状態で、再生処理を実行する(ステップS33,S34,S35)。その結果、合流処理を効率的に実行できる。電力消費が抑制される。
このような再生処理及び合流処理の実行により、DPFの機能は回復していく。その結果、ECU100は、DPFの再生は不要と判定すると、これら一例の処理を終了する(ステップS31でNo)。
<アイドリングストップ時の対応>
上述したように、この車両の場合、アイドリングストップが実行可能である。従って、車両が走行している時に、再生処理が開始され、その再生処理の実行中に一時停止した場合には、アイドリングストップによって燃料の供給が停止される。その場合、再生処理も中断される。再生処理が中断すると、高温の排気ガスは排出されないが、フィルタの再生が遅れる。
それに対し、このエンジンシステム1の場合、合流処理の実行により、排気ガスの高温化を防ぎながら、短時間でDPFを再生できる。そのため、ECU100は、再生処理の
実行中に、車両が一時停止した場合、アイドリングストップの実行を禁止して、再生処理を継続する。そして、合流処理を実行する。
図9に、その制御の一例を示す。ECU100は、車速センサSW6などの信号に基づいて、車両が一時停止し、アイドリングストップを実行する条件が成立したか否かを判定する(ステップS40)。その結果、アイドリングストップを実行する条件が成立したと、ECU100が判定した場合、DPFの再生、つまり再生処理が実行中か否かを判定する(ステップS41)。
その結果、再生処理が実行中であると判定した場合、ECU100は、アイドリングストップを禁止して、再生処理を継続する(ステップS42)。なお、この場合には、上述したように、ECU100は合流処理も実行する。従って、排気ガスの高温化を抑制しながら、短時間でDPFを再生できる。
一方、DPFの再生処理が実行中でないと判定した場合、ECU100は、アイドリングストップを実行する(ステップS43)。燃料の使用が抑制され、燃費が向上する。
このような制御を行うことで、アイドリングストップを実行する車両においても、排気ガスの高温化を抑制しながら、DPFの再生を短時間で行える。
なお、開示する技術にかかる過給機付きエンジンは、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。例えば、実施形態では、ディーゼルエンジンへの適用例を示したが、ガソリンエンジンにも適用可能である。
1 エンジンシステム
2 エンジン
2a 燃焼室
4 ターボ過給機
5 電動過給機
6 排気浄化装置
7 EGRシステム
21 インジェクタ
31 吸気通路
32 排気通路
43 インタークーラ
53 バイパス通路
54 バイパス弁
71 第1EGR通路(EGR通路)
72 第2EGR通路(ショートカット通路)
75 EGRクーラ
100 ECU(制御ユニット)

Claims (5)

  1. 燃焼が行われる燃焼室に吸気を供給する吸気通路と、
    前記燃焼室に燃料を供給する燃料供給装置と、
    前記燃焼室から排気ガスを排出する排気通路と、
    コンプレッサおよびタービンを有し、排気ガスで駆動するターボ過給機と、
    電気で駆動する電動過給機と、
    酸化触媒を含む前処理装置、および粒子状物質を捕集するフィルタを含む後処理装置を有する排気浄化装置と、
    前記排気通路を流れる排気ガスを前記吸気通路に環流させるEGR通路と、
    前記燃料供給装置および前記電動過給機を制御する制御ユニットと、
    を備えた車両のエンジンであって、
    前記吸気通路には、その上流側から下流側に向かって、順次、前記コンプレッサと前記電動過給機とが配置され、
    前記排気通路には、その上流側から下流側に向かって、順次、前記排気浄化装置と前記タービンとが配置され、
    前記EGR通路は、前記吸気通路における前記コンプレッサと前記電動過給機との間の部位と、前記排気通路における前記排気浄化装置と前記タービンとの間の部位とに接続されるとともに、排気ガスを冷却するEGRクーラ、および、前記EGRクーラよりも上流側の部位から分岐して前記吸気通路における前記電動過給機よりも下流側の部位に接続されるショートカット通路を有し、
    前記制御ユニットは、
    前記フィルタに堆積した粒子状物質が設定量以上になった時には、排気行程で前記燃焼室に燃料を供給するように前記燃料供給装置を制御することにより、前記フィルタを再生させる再生処理を実行し、
    アイドリング状態または所定速度以下で前記車両が低速走行している状態で、前記再生処理を実行する場合には、前記電動過給機を駆動して、新気を、前記ショートカット通路を通じて前記排気通路に供給することにより、前記排気浄化装置よりも下流で排気ガスに新気を合流させる合流処理を実行する、過給機付きエンジン。
  2. 請求項1に記載の過給機付きエンジンにおいて、
    前記制御ユニットが、排気ガスの温度が所定の設定値を超えたか否かを判定し、排気ガスの温度が前記設定値を超えた場合に前記合流処理を実行し、排気ガスの温度が前記設定値を超えない場合には前記合流処理を実行しない、過給機付きエンジン。
  3. 請求項1または2に記載の過給機付きエンジンにおいて、
    前記吸気通路が、前記コンプレッサよりも下流側に、吸気を冷却するインタークーラを有し、前記ショートカット通路における吸気側の端部が、前記インタークーラよりも下流側の部位に接続されている過給機付きエンジン。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の過給機付きエンジンにおいて、
    前記吸気通路に、前記電動過給機を迂回するバイパス通路が設けられ、
    前記電動過給機の駆動時に、前記バイパス通路が閉じられる過給機付きエンジン。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の過給機付きエンジンにおいて、
    前記制御ユニットは、
    前記車両が一時停止した場合に、前記燃焼室への燃料の供給を停止するように前記燃料供給装置を制御して、前記エンジンを停止させるアイドリングストップを更に実行し、
    前記再生処理が実行されている時に前記車両が一時停止した場合には、前記アイドリングストップの実行を禁止して、前記合流処理を実行する、過給機付きエンジン。
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