JP2021131742A - 画像処理装置、放射線画像システム及びプログラム - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1には、元画像に対してスジムラと直交する方向にメディアン処理を施し、この画像を元画像から減算し、減算して得られた画像から、濃度が閾値を超える領域の濃度を低減し、この濃度低減処理を行った画像に、スジムラ方向にローパスフィルターによる周波数処理を行い、周波数処理を施した画像を元画像から減算することにより、スジを補正することが記載されている。
また、フィルタリング処理を用いた手法では、低周波のスジの補正は困難である。例えば、フィルタリング処理で低周波のスジを除去した場合、被写体情報も消えてしまう。
画像又は前記画像の解析画像からスジを除去する処理手段を備える画像処理装置であって、
前記処理手段は、前記画像の空間方向又は時間方向の画像プロファイルと、前記スジの基準信号波形とを取得し、前記画像プロファイルと前記基準信号波形の相関解析及び/又は共分散解析を行うことによって、前記スジの信号成分に関する情報を算出し、算出した前記スジの信号成分に関する情報に基づいて、前記画像又は前記解析画像から前記スジを除去する。
前記処理手段は、前記画像の前記スジと垂直方向の画像プロファイルと、前記スジの基準信号波形とを取得し、前記画像プロファイルと前記基準信号波形の相関係数を算出し、算出した前記相関係数から前記スジの信号成分を逆算して前記画像から除去する。
前記画像は動画像であり、
前記処理手段は、前記動画像の時間方向の画像プロファイルと、前記スジの基準信号波形とを取得し、前記画像プロファイルと前記基準信号波形の相関係数を算出し、算出した前記相関係数から前記スジの信号成分を逆算して前記動画像から除去する。
前記処理手段は、前記スジの信号成分が所定の閾値以上である場合に、警告を行う。
前記画像は、被写体の胸部を連続的に複数回放射線撮影することにより得られた動態画像であり、
前記動態画像の画素ごと又は小領域ごとの画像信号値の時間変化を示す出力信号波形を時間方向にずらしながら心拍信号波形との相関係数を求めることにより血流解析画像を生成する解析手段を備え、
前記処理手段は、下記の(1)〜(5)の処理を実行することにより前記血流解析画像から前記スジを除去する。
(1)前記動態画像の肺野領域外の時間方向の画像プロファイルを取得
(2)前記心拍信号波形を基準信号波形として、前記心拍信号波形と前記画像プロファイルの共分散を算出することにより、前記心拍信号波形とスジの共分散を算出
(3)前記画像プロファイルに含まれるスジの信号成分と前記心拍信号波形の信号成分の回帰直線の係数を最小二乗法を用いて算出することにより、前記スジの信号波形を求め、前記スジの信号波形の分散を算出
(4)前記動態画像の肺野領域内の画像信号の時間変化を示す波形と前記スジの信号波形の共分散を算出
(5)前記(2)〜(4)の算出結果を用いて、前記血流解析画像の前記画素ごと又は前記小領域ごとの相関係数を補正することにより、前記血流解析画像から前記心拍信号波形の周波数のスジを除去
前記画像は、放射線撮影により取得された画像であり、
前記処理手段は、前記画像プロファイルを前記放射線撮影に用いられた放射線検出器の画素領域の周囲に設けられた前記画素領域の画素相当の容量を持つノイズ検出用コンデンサーから取得する。
前記画像は、放射線撮影により取得された画像であり、
前記処理手段は、前記画像プロファイルを前記放射線撮影に用いられた放射線検出器において放射線の照射が遮断された領域に対応する画像領域から取得する。
前記処理手段は、さらに、フィルタリング処理による前記スジの除去を組み合わせる。
請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像処理装置と、
被写体に放射線撮影を行う放射線撮影装置と、
を備え、
前記処理手段は、前記放射線撮影装置により取得された画像又は前記画像の解析画像に前記スジの除去を行う。
前記処理手段は、前記放射線撮影装置における撮影モードに応じて前記スジの除去を行うか否かを切り替える。
前記放射線撮影装置により取得された画像を表示する表示手段を備え、
前記処理手段は、前記放射線撮影装置により取得された前記画像の表示モードに応じてスジの除去を行うか否かを切り替える。
画像又は前記画像の解析画像からスジを除去する画像処理装置のコンピューターを、
前記画像の空間方向又は時間方向の画像プロファイルと、前記スジの基準信号波形とを取得し、前記画像プロファイルと前記基準信号波形の相関解析及び/又は共分散解析を行うことによって、前記スジの信号成分に関する情報を算出し、算出した前記スジの信号成分に関する情報に基づいて、前記画像又は前記解析画像から前記スジを除去する処理手段として機能させる。
まず、本実施形態の構成を説明する。
図1に、本実施形態における放射線画像システム100の全体構成を示す。
図1に示すように、放射線画像システム100は、撮影装置1と、撮影用コンソール2とが通信ケーブル等により接続され、撮影用コンソール2と、診断用コンソール3とがLAN(Local Area Network)等の通信ネットワークNTを介して接続されて構成されている。放射線画像システム100を構成する各装置は、DICOM(Digital Image and Communications in Medicine)規格に準じており、各装置間の通信は、DICOMに則って行われる。
撮影装置1は、被写体Mに放射線を照射して被写体Mの動態撮影(動画撮影)又は静止画撮影を行う装置である。
動態撮影とは、被写体に対し、X線等の放射線をパルス状にして所定時間間隔で繰り返し照射するか(パルス照射)、もしくは、低線量率にして途切れなく継続して照射する(連続照射)ことで、被写体の動態を示す複数の画像を取得することをいう。動態撮影により得られた一連の画像(動画像)を動態画像と呼ぶ。また、動態画像を構成する複数の画像のそれぞれをフレーム画像と呼ぶ。なお、本実施形態では、パルス照射により胸部の動態撮影を行う場合を例にとり説明する。
静止画撮影とは、従来のフィルム方式やCR方式と同様に撮影部位の濃度分解能に基づく診断に使用されるもので、被写体Mに対し、X線等の放射線を1回照射して一枚の静止画像を取得することをいう。
放射線照射制御装置12は、撮影用コンソール2に接続されており、撮影用コンソール2から入力された放射線照射条件に基づいて放射線源11を制御して放射線撮影を行う。撮影用コンソール2から入力される放射線照射条件は、例えば、パルスレート、パルス幅、パルス間隔、1撮影あたりの撮影フレーム数、X線管電流の値、X線管電圧の値、付加フィルター種等である。パルスレートは、1秒あたりの放射線照射回数であり、後述するフレームレートと一致している。パルス幅は、放射線照射1回当たりの放射線照射時間である。パルス間隔は、1回の放射線照射開始から次の放射線照射開始までの時間であり、後述するフレーム間隔と一致している。
放射線検出部13は、被写体Mを挟んで放射線源11と対向するように設けられている。
撮影用コンソール2は、放射線照射条件や画像読取条件を撮影装置1に出力して撮影装置1による放射線撮影及び放射線画像の読み取り動作を制御するとともに、撮影装置1により取得された静止画像や動態画像を撮影技師等の撮影実施者によるポジショニングの確認や診断に適した画像であるか否かの確認用に表示する。
撮影用コンソール2は、図1に示すように、制御部21、記憶部22、操作部23、表示部24、通信部25を備えて構成され、各部はバス26により接続されている。
診断用コンソール3は、撮影用コンソール2から画像データを取得し、取得した画像データに画像処理を施して表示する画像処理装置である。
診断用コンソール3は、図1に示すように、制御部31、記憶部32、操作部33、表示部34、通信部35を備えて構成され、各部はバス36により接続されている。
次に、本実施形態における上記放射線画像システム100の動作について説明する。
まず、撮影装置1、撮影用コンソール2による撮影動作について説明する。
図2に、撮影用コンソール2の制御部21において実行される撮影制御処理を示す。撮影制御処理は、制御部21と記憶部22に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
次に、診断用コンソール3における動作について説明する。
診断用コンソール3においては、通信部35を介して撮影用コンソール2から画像データが受信されると、制御部31と記憶部32に記憶されているプログラムとの協働により図3に示す画像表示処理が実行される。
例えば、受信された画像データに付帯されている情報に基づいて、当該画像データの撮影時の撮影モードが判断される。
例えば、血流再生モードと動画再生モードのいずれの表示モードとするかを問い合わせる画面が表示部34に表示され、操作部33による入力に応じて表示モードが判断される。
肺野領域の抽出方法は何れの方法であってもよい。例えば、一連のフレーム画像中の任意のフレーム画像(ここでは、撮影順が一番(最初)のフレーム画像とする。)の各画素の信号値(濃度値)のヒストグラムから判別分析によって閾値を求め、この閾値より高信号の領域を肺野領域候補として1次抽出する。次いで、1次抽出された肺野領域候補の境界付近でエッジ検出を行い、境界付近の小領域でエッジが最大となる点を境界に沿って抽出すれば肺野領域の境界を抽出することができる。
基準画像としては、息止めで撮影された画像においてはいずれのフレーム画像としてもよいが、安静呼吸時に撮影された画像においては安静呼気位のフレーム画像とすることが好ましい。安静呼気位では、安静呼吸時において横隔膜の位置が最も高くなる、即ち、肺野領域の面積が最も小さくなるので、基準画像の小領域を他のフレーム画像に対応付けたときに、小領域が他のフレーム画像の肺野外の領域に対応付けられることがないからである。
安静呼気位の画像は、例えば、一連のフレーム画像の中から横隔膜の位置が最も高い位置にある画像を抽出することで取得することができる。または、肺野領域の面積が最も小さいフレーム画像を安静呼気位の画像としてもよい。
心拍信号波形としては、以下の何れかを用いることができる。
(1)心臓領域(又は大動脈領域)にROI(関心領域)を定め、そのROIにおける信号値の時間変化を示す波形
(2)(1)の波形を反転させた信号波形
(3)心電検知センサより得られた心電信号波形
(4)心壁の動き(位置の変化)を示す信号波形
即ち、放射線画像システム100においては、上記(1)〜(4)の何れかにより心拍信号波形を取得する手段を備える。
(2)は、(1)の信号波形を反転させたものである。この波形は、各小領域(又は各画素)の信号波形に近い形状としておくことにより、後段の処理工程で相互相関係数rを求めやすくしたものである。
(4)の信号波形は、各フレーム画像においてテンプレートマッチング等により心臓領域を認識し、心壁位置の基準位置(例えば、心臓領域においてx座標(水平方向座標)が最も大きい(外側の)エッジ点)を特定し、横軸を動態画像の撮影開始からの経過時間(フレーム番号)、縦軸を心壁位置の基準位置(x座標)とした座標空間上に各フレーム画像の心壁位置の基準位置をプロットすることにより作成することができる。
このフィルタリング処理は、呼吸等による低周波数な信号変化を除去し、血流による信号値の時間変化を出力信号波形として抽出するための処理である。例えば、小領域毎の信号値の時間変化に対して、安静呼吸画像群では低域カットオフ周波数0.7Hzでハイパスフィルタリングを行う。若しくは、さらに高周波数のノイズ成分を除去するために2.5Hzの高域カットオフ周波数で高周波数も遮断するバンドパスフィルターによってフィルタリングを行っても良い。
例えば、最初に、撮影開始からのフレーム番号が互いに一致した同一時間軸の心拍信号波形と出力信号波形の2つの信号波形の相互相関係数rを算出し(時間シフトなしの相互相関係数rを算出し)、フレーム画像を生成する。次いで、心拍信号波形に対して、出力信号波形を1フレーム分左へシフト、すなわち、1フレーム間隔進めて、2つの信号波形の相互相関係数rを算出し、フレーム画像を生成する。以下、出力信号波形の左シフトを繰り返し、各小領域に対してそれぞれ出力信号波形を、シフトなしから1心拍周期以上左シフトした相互相関係数rを算出し、複数のフレーム画像からなる血流解析画像を生成する。シフト方向は、右としてもよい。相互相関係数rは、以下の(式1)により求めることができる。
すなわち、血流解析画像において(式1)により算出される相互相関係数rは、出力信号波形に含まれる成分に分解して表すと、信号値にスジが含まれていない場合は(式2)で表され、信号値にスジが含まれている場合は、(式3)で表される。
ここで、h:心拍信号波形、l:スジ成分の信号波形(スジ信号波形)、m:心拍周期以外の体動成分の信号波形(体動信号波形)、b:血流成分の信号波形(血流信号波形)を表す。
そこで、ステップS25においては、図6に示すスジ補正処理Aが行われる。スジ補正処理Aは、制御部31と記憶部32に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
具体的には、動態画像の各フレーム画像において、図7に示すように、血流がない肺野外領域にライン方向(x方向)と垂直方向に延在するROIが設定され、ROI内のラインごとに、信号値が平均化され、平均化された信号値の時間方向のプロファイルが生成される。
ここで、動態画像に発生するスジは、各フレーム画像内においてライン方向に延びるスジであり、同じライン上のスジの強度は同じであると推定できる。
肺野外領域には血流成分の信号(血流の信号成分)がなく、スジ成分の信号(スジの信号成分)と体動成分の信号(体動の信号成分)のみが含まれていると想定される。よって、心拍信号波形hとステップS201で算出した画像プロファイルの共分散は、Cov(h,l)+Cov(h,m)で表すことができる。また、心拍信号波形hと体動信号波形mはほとんど相関がないと推定されるため、Cov(h,m)≒0である。よって、心拍信号波形hとステップS201で生成された画像プロファイルの共分散を心拍信号波形hとスジ信号波形lの共分散Cov(h,l)として算出することができる。
ステップS203においては、例えば、まず、心拍信号波形hに対してステップS201で生成された画像プロファイルを時間方向にシフトさせ(1フレーム分ずつシフトさせ)、相互相関係数rが最大となるシフト量が決定される。心拍信号波形hに対し、スジ信号波形lを上記の決定したシフト量だけシフトさせると、心拍信号波形hとスジ信号波形lの位相を合わせることができる。この位相を合わせた(相関している)心拍信号波形hとスジ信号波形lの値は、心拍が大きければスジも大きく、心拍が小さければスジも小さい、ということができる。そこで、この2つの波形上の心拍成分の信号の値とスジ成分の信号の値の回帰直線をl=ah+bとするとき、最小二乗法を用いると、a、bは、
a=Cov(h,l)/σh2
b=(lの平均値)−a×(hの平均値)
で算出することができる。
ここで、Cov(h,l)はステップS202で求めており、σh2は心拍信号波形hの分散であるから、aは計算により求めることができる。bは0として計算上差し支えない。
よって、スジ信号波形lの振幅を求めることができ、求めたスジ信号波形lの振幅と位相から、スジ信号波形lを特定して、スジの分散σl2を求めることができる。
肺野内領域の画像信号には、血流、スジ、体動の信号が存在するため、スジ信号波形lと肺野内領域の画像信号の時間変化を示す波形との共分散は、Cov(l,l)+Cov(l,b)+Cov(l,m)となる。Cov(l,l)=σl2である。
ここで、スジ信号波形lと体動信号波形mはほとんど相関がないため、Cov(l,m)≒0とみなすことができる。すなわち、ステップS203で特定されたスジ信号波形lと肺野内領域の画像信号の時間変化を示す波形との共分散を算出することにより、Cov(l,l)+Cov(l,b)を算出することができる。
スジなしの場合の相互相関係数rを表す式(式2)とスジありの場合の相互相関係数rを表す式(式3)を比較すると、(式3)には、余分な成分として、分母にσl2、2Cov(l,b)、分子にCov(h,l)が含まれている。ここで、Cov(h,l)はステップS202で算出され、σl2はステップS203で算出されている。また、Cov(l,l)+Cov(l,b)がステップS204で算出されており、Cov(l,l)=σl2であるため、2Cov(l,b)を求めることができる。よって、(式3)の余分な成分を特定することができるため、この成分を血流解析画像の各画素又は各小領域の相互相関係数rから除去することで、血流解析画像のスジを除去することができる。
ここで、図8(a)、(b)、図9(a)、(b)は、ファントムを動態撮影した動態画像の領域a1に心拍相当の周波数の信号を付加し、領域a2に血流相当の周波数の信号を付加した動態画像について、心拍相当信号波形を基準として画像の出力信号波形の位相をずらしながら画素ごとに心拍相当信号波形と出力信号波形の相互相関係数rを算出してフレーム画像を生成し、相互相関係数rの値が所定以上の場合に色付けしたフレーム画像のスジ補正処理Aの前後を示している。
図8(a)、図9(a)では、横方向にライン状のスジが見られるが、上記のスジ補正処理Aを行うと、図8(b)、図9(b)に示すように、スジが除去されていることがわかる。一方で、領域bの血流相当信号は除去されていないことがわかる。
ステップS27においては、図10に示すスジ補正処理Bが実行される。スジ補正処理Bは、制御部31と記憶部32に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
なお、以下の説明では、動態画像から空間方向又は時間方向にスジを除去する場合について説明する。いずれの方向にスジを除去するかは、予め設定されていてもよいし、ユーザーが操作部33により設定することとしてもよい。また、動態画像の画素ごとにスジを除去することとして説明するが、第1の実施形態で説明したように、複数画素からなる小領域ごとにスジを除去することとしてもよい。
素抜け領域とは、放射線が被写体を介さず、直接放射線検出部13に到達した領域である。すなわち、素抜け領域の信号値は、スジがない場合は、被写体を透過せずに直接到達した放射線量に対応する信号成分(素抜け成分と呼ぶ)の値となり、スジがある場合には、スジの信号成分と、素抜け信号成分の合計となる。
ステップS301においては、具体的には、動態画像の各フレーム画像において、図11に示すように、素抜け領域にスジ方向と垂直方向(縦方向)にROIが設定されてROI内のラインごとに信号値が平均化され、空間方向にスジを除去する場合には、平均化された信号値の縦方向のプロファイル(図11の画像左側に示す)が各フレーム画像ごとに生成され、時間方向にスジを除去する場合には、ラインごとに、平均化された信号値の時間方向のプロファイルが生成される。
ここで、動態画像に発生するスジの波形はおおよそメーカー側で予めわかっており、基準信号波形sの波形(周波数、位相、振幅)は記憶部32に記憶されている。なお、高周波のスジについては、従来からのフィルタリング処理で除去できるため、本処理とフィルタリング処理を組み合わせ、フィルタリング処理で除去できない範囲の周波数のスジを基準信号波形sとして、スジ補正処理Bで除去することが好ましい。
相互相関係数rは、上述の(式1)により算出することができる(小領域=画素とする)。算出された相互相関係数rは、出力信号波形に含まれる成分に分解して表すと、出力信号波形にスジが含まれている場合、(式4)で表される。
(式4)から、
r×√σs2×√(σl2+σi2)=Cov(s,l)+Cov(s,i)
ここで、基準信号波形sと素抜け信号波形iはほとんど相関がないため、Cov(s,i)≒0である。また、√σs2は基準信号波形Sの標準偏差なので算出可能である。また、√(σl2+σi2)は、上述の画像プロファイルの信号値の分散を算出して求めることができる。
ここで、素抜け領域において、スジ信号波形lの周波数と位相は画像プロファイルの周波数と位相とほぼ一致していると考えられる。すなわち、ステップS303において、基準信号波形sと画像プロファイルの相互相関係数rが最大となったとき(すなわち、位相がほぼ一致したとき)、基準信号波形sとスジ信号波形lの周波数と位相はほぼ一致していると考えられる。そのため、同一位相(ライン又は時間)の基準信号波形sとスジ信号波形lの値の関係は、基準信号波形sの値が大きければスジの値も大きく、基準信号波形sの値が小さければスジ信号波形lの値も小さい、ということができる。そこで、このときの基準信号波形sの値(s)とスジ信号波形lの値(l)の回帰直線をl=as+bとするとき、最小二乗法を用いると、a、bは、
a=Cov(s,l)/σs2
b=(lの平均値)−a×(sの平均値)
で算出することができる。
ここで、Cov(s,l)はステップS304で求めており、σs2は基準信号波形sの分散であるから、aは計算により求めることができる。bは0として計算上差し支えない。
これにより、各フレームのラインごと又は各ラインの時間ごとのスジの信号成分の値(l)を算出することができる。
ステップS306においては、各フレーム画像の各画素の信号値から、その画素が位置するラインについて算出されたスジの信号成分の値が減算される。
例えば、制御部31は、動態画像の各フレーム画像又は静止画像におけるスジと垂直方向の画像プロファイルと、スジの基準信号波形sとを取得し、取得した画像プロファイルと基準信号波形sの相互相関係数rを算出し、算出した相互相関係数rからスジの信号成分を逆算して動態画像の各フレーム画像又は静止画像から除去する。
また、例えば、制御部31は、動態画像の時間方向の画像プロファイルと、スジの基準信号波形sとを取得し、取得した画像プロファイルと基準信号波形sの相互相関係数rを算出し、算出した相互相関係数rからスジの信号成分を逆算して動画像から除去する。
したがって、動態画像や静止画像において、画像情報として有用な成分を損なうことなく、画像上のスジを除去することができる。また、放射線の時間方向の低周波線量変動も併せて補正することができる。
(1)動態画像の肺野領域外の時間方向の画像プロファイルを取得
(2)心拍信号波形hを基準信号波形sとして、心拍信号波形hと画像プロファイルの共分散を算出することにより、心拍信号波形hとスジの共分散を算出
(3)画像プロファイルに含まれるスジの信号成分と心拍信号波形hの信号成分の回帰直線の係数を最小二乗法を用いて算出することにより、スジの信号波形を求め、スジの信号波形の分散を算出
(4)動態画像の肺野領域内の画像信号の時間変化を示す波形とスジの信号波形との共分散を算出
(5)前記(2)〜(4)の算出結果を用いて、血流解析画像の画素ごと又は小領域ごとの相互相関係数rを補正することにより、血流解析画像から心拍信号波形の周波数のスジを除去
したがって、血流解析画像において、画像情報として有用な成分を損なうことなく、画像上のスジを除去することができる。また、心拍と同じ周波数の放射線の時間方向の低周波線量変動も併せて補正することができる。
また、例えば、制御部31は、撮影装置1により取得された画像の表示モードに応じてスジ補正を行うか否かを切り替えることで、不要なスジ補正を省略することが可能となる。
例えば、動態画像の各フレーム画像からスジを除去する手法としては、上述のスジ補正処理Bの他、スジ補正処理AのステップS201〜S203を実行することによりラインごとの画像プロファイルに含まれるスジ信号波形lを特定して各フレーム画像のラインごとにスジの信号成分を算出し、動態画像の各フレーム画像の各画素から、その画素のラインのスジの信号成分を減算することによりスジを除去することとしてもよい。
また、スジが除去された血流解析画像を取得するための手法としては、血流解析画像にスジ補正処理Aを実施する他、動態画像の各フレーム画像からスジを除去した後、スジが除去された動態画像に対して上述の血流解析処理を行うこととしてもよい。
また、補正するスジの周波数帯域を操作部33によりユーザーが指定可能な構成としてもよい。これにより、スジの周波数帯域がわかっていれば、基準信号波形sの周波数と位相を変化させながら画像プロファイルとの相互相関係数rを算出する際の周波数帯域を絞り込むことができるため、処理速度や処理精度を向上させることができる。
1 撮影装置
11 放射線源
12 放射線照射制御装置
13 放射線検出部
14 読取制御装置
2 撮影用コンソール
21 制御部
22 記憶部
23 操作部
24 表示部
25 通信部
26 バス
3 診断用コンソール
31 制御部
32 記憶部
33 操作部
34 表示部
35 通信部
36 バス
Claims (12)
- 画像又は前記画像の解析画像からスジを除去する処理手段を備える画像処理装置であって、
前記処理手段は、前記画像の空間方向又は時間方向の画像プロファイルと、前記スジの基準信号波形とを取得し、前記画像プロファイルと前記基準信号波形の相関解析及び/又は共分散解析を行うことによって、前記スジの信号成分に関する情報を算出し、算出した前記スジの信号成分に関する情報に基づいて、前記画像又は前記解析画像から前記スジを除去する画像処理装置。 - 前記処理手段は、前記画像の前記スジと垂直方向の画像プロファイルと、前記スジの基準信号波形とを取得し、前記画像プロファイルと前記基準信号波形の相関係数を算出し、算出した前記相関係数から前記スジの信号成分を逆算して前記画像から除去する請求項1に記載の画像処理装置。
- 前記画像は動画像であり、
前記処理手段は、前記動画像の時間方向の画像プロファイルと、前記スジの基準信号波形とを取得し、前記画像プロファイルと前記基準信号波形の相関係数を算出し、算出した前記相関係数から前記スジの信号成分を逆算して前記動画像から除去する請求項1又は2に記載の画像処理装置。 - 前記処理手段は、前記スジの信号成分が所定の閾値以上である場合に、警告を行う請求項2又は3に記載の画像処理装置。
- 前記画像は、被写体の胸部を連続的に複数回放射線撮影することにより得られた動態画像であり、
前記動態画像の画素ごと又は小領域ごとの画像信号値の時間変化を示す出力信号波形を時間方向にずらしながら心拍信号波形との相関係数を求めることにより血流解析画像を生成する解析手段を備え、
前記処理手段は、下記の(1)〜(5)の処理を実行することにより前記血流解析画像から前記スジを除去する請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
(1)前記動態画像の肺野領域外の時間方向の画像プロファイルを取得
(2)前記心拍信号波形を基準信号波形として、前記心拍信号波形と前記画像プロファイルの共分散を算出することにより、前記心拍信号波形とスジの共分散を算出
(3)前記画像プロファイルに含まれるスジの信号成分と前記心拍信号波形の信号成分の回帰直線の係数を最小二乗法を用いて算出することにより、前記スジの信号波形を求め、前記スジの信号波形の分散を算出
(4)前記動態画像の肺野領域内の画像信号の時間変化を示す波形と前記スジの信号波形の共分散を算出
(5)前記(2)〜(4)の算出結果を用いて、前記血流解析画像の前記画素ごと又は前記小領域ごとの相関係数を補正することにより、前記血流解析画像から前記心拍信号波形の周波数のスジを除去 - 前記画像は、放射線撮影により取得された画像であり、
前記処理手段は、前記画像プロファイルを前記放射線撮影に用いられた放射線検出器の画素領域の周囲に設けられた前記画素領域の画素相当の容量を持つノイズ検出用コンデンサーから取得する請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像処理装置。 - 前記画像は、放射線撮影により取得された画像であり、
前記処理手段は、前記画像プロファイルを前記放射線撮影に用いられた放射線検出器において放射線の照射が遮断された領域に対応する画像領域から取得する請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像処理装置。 - 前記処理手段は、さらに、フィルタリング処理による前記スジの除去を組み合わせる請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像処理装置。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像処理装置と、
被写体に放射線撮影を行う放射線撮影装置と、
を備え、
前記処理手段は、前記放射線撮影装置により取得された画像又は前記画像の解析画像に前記スジの除去を行う放射線画像システム。 - 前記処理手段は、前記放射線撮影装置における撮影モードに応じて前記スジの除去を行うか否かを切り替える請求項9に記載の放射線画像システム。
- 前記放射線撮影装置により取得された画像を表示する表示手段を備え、
前記処理手段は、前記放射線撮影装置により取得された前記画像の表示モードに応じてスジの除去を行うか否かを切り替える請求項9に記載の放射線画像システム。 - 画像又は前記画像の解析画像からスジを除去する画像処理装置のコンピューターを、
前記画像の空間方向又は時間方向の画像プロファイルと、前記スジの基準信号波形とを取得し、前記画像プロファイルと前記基準信号波形の相関解析及び/又は共分散解析を行うことによって、前記スジの信号成分に関する情報を算出し、算出した前記スジの信号成分に関する情報に基づいて、前記画像又は前記解析画像から前記スジを除去する処理手段として機能させるためのプログラム。
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