JP2021130956A - 可折壁 - Google Patents

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【課題】堅牢でありながら軽量である可折壁を提供すること、さらに、厚みの影響を受けずに折り畳むことのできる可折壁を提供する。【解決手段】補強繊維と第一のマトリクス樹脂からなる繊維強化樹脂複合材である少なくとも二つの硬質複合材部、および一方の硬質複合材部の実質的に直線状の縁と他方の硬質複合材部の実質的に直線状の縁の両方に接して配置され、補強繊維と第二のマトリクス樹脂からなる屈曲可能部分である実質的に直線状の軟質複合材部から構成される板材であって、軟質複合材部の幅Bと、軟質複合材部を挟んで隣接する二つの硬質複合材部を軟質複合材部を軸として180°折り曲げたときに一方の硬質複合材部と他方の硬質複合材部との間に生じる空隙の厚さDとが0.1×B<D<0.6×Bを満足することを特徴とする可折壁。【選択図】図3

Description

本発明は、建物の非耐力壁として用いられ、折り畳むことのできる可折壁に関する。
建物の非耐力壁として可折壁を用いることは一般に行われている。可折壁を用いることで、一つの部屋を複数に分割してそれぞれを独立の部屋として用いることができる。
一般的に、可折壁を堅牢なものにしようとすると、重量が増え、厚みも増す。その場合、可折壁を支えるための構造が大掛かりになるとともに、収納するためにより多くの空間が取られることになる。
本発明は、堅牢でありながら軽量である可折壁を提供すること、さらに、厚みの影響を受けずに折り畳むことのできる可折壁を提供することを課題とする。
本発明は、補強繊維と第一のマトリクス樹脂からなる繊維強化樹脂複合材である少なくとも二つの硬質複合材部(R)、および一方の硬質複合材部(R)の実質的に直線状の縁と他方の硬質複合材部(R)の実質的に直線状の縁の両方に接して配置され、補強繊維と第二のマトリクス樹脂からなる屈曲可能部分である実質的に直線状の軟質複合材部(S)から構成される可折壁であって、軟質複合材部(S)の幅Bと、軟質複合材部(S)を挟んで隣接する二つの硬質複合材部(R)を軟質複合材部(S)を軸として180°折り曲げたときに一方の硬質複合材部(R)と他方の硬質複合材部(R)との間に生じる空隙の厚さDと、が以下の関係式を満足することを特徴とする可折壁である。
0.1×B<D<0.6×B
本発明はまた、補強繊維と第一のマトリクス樹脂とからなる繊維強化樹脂複合材の板材に、第一のマトリクス樹脂が実質的に存在しない屈曲可能部分を実質的に直線状に形成することで繊維強化樹脂複合材の板材を複数の硬質複合材部(R)に区画し、屈曲可能部分に第二のマトリクス樹脂を充填することで軟質複合材部(S)を形成した可折壁であって、軟質複合材部(S)の幅Bと、軟質複合材部(S)を挟んで隣接する二つの硬質複合材部(R)を軟質複合材部(S)を軸として180°折り曲げたときに一方の硬質複合材部(R)と他方の硬質複合材部(R)との間に生じる空隙の厚さDと、が以下の関係式を満足することを特徴とする可折壁である。
0.1×B<D<0.6×B
本発明によれば、堅牢でありながら軽量である可折壁を提供すること、さらに、厚みの影響を受けずに折り畳むことのできる可折壁を提供することができる。
軟質複合材部(S)(図のa)を軸として、両側の硬質複合材部(R)(図のb)を180°の角度を超えて折り曲げた状態を示す側面図である。 軟質複合材部(S)の幅Bと、空隙の厚さDを説明するための側面図である。 実施例2の可折壁の折れ線パターンである。
本発明の可折壁において、硬質複合材部(R)と軟質複合材部(S)には連続する同じ補強繊維が含まれることが好ましい。これは、硬質複合材部(R)と軟質複合材部(S)の双方を、同じ補強繊維が貫通している態様を意味する。補強繊維が補強繊維の織物である場合には、該補強繊維の織物を共通の補強繊維として硬質複合材部(R)と軟質複合材部(S)が構成されていることが好ましい。
本発明において、軟質複合材部(S)の幅Bと、軟質複合材部(S)を挟んで隣接する二つの硬質複合材部(R)を、軟質複合材部(S)を軸として180°を超える角度に折り曲げることができる。180°の角度を超えて折り曲げたときには軟質複合材部(S)の近傍には空隙ができる。この状態を図1に示す。この空隙によって、軟質複合材部(S)の近傍で硬質複合材部(R)が相互に直接接触することが防止される。
また、180°の角度に折り曲げたときに一方の硬質複合材部(R)と他方の硬質複合材部(R)との間には厚さDの空隙が生じる。この状態を図2に示す。剛体折紙構造に本発明の板材を使用するときには、この空隙によって硬質複合材部(R)の厚みの影響を回避して、円滑な折り畳みを実現できる。
本発明では、この空隙の厚さDと軟質複合材部(S)の幅Bとの間で以下の関係式を満足する。
0.1×B<D<0.6×B
好ましくは、以下の関係式を満足する。
0.1×B<D<0.5×B
空隙の厚さDが軟質複合材部(S)の幅Bの0.1倍以下であると、折り畳みのときに硬質複合材部(R)の厚みの影響を排除することが不十分となる。また、180°の折り曲げによって軟質複合材部(S)の補強繊維の一部ないし全部に座屈が起こり、繰り返しの曲げ変形に対する耐久性が低下する。この場合には、軟質複合材部(S)に隣接する硬質複合材部(R)に遊びが発生しやすく、硬質複合材部(R)に水平な軸力が働く場合には軸力による座屈が起こりやすくなる。
軟質複合材部(S)が完全弾性体に近い挙動を示す場合には、空隙の厚さDの値は大きくなるが、空隙の厚さDが軟質複合材部(S)の幅Bの0.6倍と等しいかこれを超えるようにすることは困難である。座屈発生を抑制し、なおかつ厚みの影響の排除と折り畳み時の省スペース化を両立する観点から、空隙の厚さDは、軟質複合材部(S)の幅Bの0.5倍未満であることが好ましい。
本発明の可折壁は、好ましくは剛体折紙構造を採用する。剛体折紙構造を現実の材料を剛体面に用いて実現するときの最大の課題は、剛体面の厚みによる影響を排除することである。このために、本発明においては空隙の厚さDを硬質複合材部(R)の厚みTの2倍を超えるようにすることが好ましい。
すなわち、軟質複合材部(S)を挟んで隣接する二つの硬質複合材部(R)を軟質複合材部(S)を軸として180°折り曲げたときに一方の硬質複合材部(R)と他方の硬質複合材部(R)との間に生じる空隙の厚さDと硬質複合材部(R)の厚みTが以下の式を満足することが好ましい。
2×T<D
この条件を満たすと、剛体面の厚みによる折り畳み阻害が実質的に発生しない剛体折紙構造の可折壁を得ることができる。
これらの条件を満たす本発明の可折壁は、好ましくは、補強繊維と第一のマトリクス樹脂とからなる繊維強化樹脂複合材の板材に、第一のマトリクス樹脂が実質的に存在しない屈曲可能部分を実質的に直線状に形成することで繊維強化樹脂複合材の板材を複数の硬質複合材部(R)に区画し、屈曲可能部分に第二のマトリクス樹脂を充填することで軟質複合材部(S)を形成することで作成することができる。
<硬質複合材部(R)>
硬質複合材部(R)は、補強繊維と第一のマトリクス樹脂からなる繊維強化樹脂複合材である。
補強繊維としては、例えば炭素繊維、バサルト繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維を用いることができる。これらは連続繊維であることが好ましく、連続繊維の織物を用いることが好ましい。
第一のマトリクス樹脂としては、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂のうちガラス転移点が室温以上のものを用いる。熱可塑樹脂は結晶性高分子からなるものでもよく非晶性高分子からなるものでもよい。このマトリクス樹脂は、複数の樹脂の混合物であってもよく、また、例えば安定剤、フイラー、難燃剤といった添加剤が含まれていてもよい。
熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ウレア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性ポリイミドを例示することができる。なかでもエポキシ樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂として、ポリフェニレンスルフィド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド、非晶ポリアリレート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリオレフィン、ABS樹脂、アクリル樹脂を例示することができる。なかでもポリアミドが好ましい。
<軟質複合材部(S)>
軟質複合材部(S)は、補強繊維と第二のマトリクス樹脂からなる屈曲可能な部分であり、折り曲げのときにヒンジとしての役割を果たす。軟質複合材部(S)は、一方の硬質複合材部(R)の実質的に直線状の縁と他方の硬質複合材部(R)の実質的に直線状の縁の両方に接して配置されている。
ここで、実質的に直線状の縁とは、好ましくは直線状の縁であるが、軟質複合材部(S)を挟んで隣接する硬質複合材部(R)の折り曲げが軟質複合材部(S)を軸として可能である範囲で変形した形状の縁も含む意味である。
この実質的に直線状の縁には、例えば、軟質複合材部(S)の幅程度の凹凸がある縁も含まれる。折り畳みを確実に行う観点から、実質的に直線状の線は、凹凸の全くない直線状であることが好ましい。
第二のマトリクス樹脂は、ヒンジとしての役割を果たすために、その弾性率が第一のマトリクス樹脂の弾性率の10分の1以下であることが好ましい。これは25℃での弾性率についてである。10分の1を超えると軟質複合材部の折り畳み変形時に必要な応力が過大となり、折り畳むときの操作性が低下して好ましくない。第二のマトリクス樹脂は、ガラス転移点が室温以下である架橋性高分子および熱可塑性エラストマーから選ぶことができる。第二のマトリクス樹脂として、例えばシリコン樹脂、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、クロロブレン系エラストマー、アクリロニトリル系エラストマー、天然ゴムなどを例示することができる。特に、耐候性を考慮した場合シリコン樹脂を選択することが好ましい。第二のマトリクス樹脂として架橋性高分子を用いる場合には、未架橋あるいは低架橋の状態で軟質複合材部の補強繊維に含浸した後に架橋反応を完結させることで形成することができる。
本発明の可折壁では、空隙の厚さDは、軟質複合材部(S)の幅Bとの間で、0.1×B<D<0.6×Bの関係を満足する必要あるが、この条件の満たす板材を得るために、室温において第一のマトリクス樹脂の1/10以下の弾性率を有する第二のマトリクス樹脂を、屈曲可能部分の補強繊維に、含浸率5〜45%の範囲で充填することにより軟質複合材部(S)を形成することが好ましい。含浸率が5%未満であると折り畳み時の繊維挙動が制御されにくくなるとともに耐候性が低くなり好ましくない。含浸率が45%を超えると、180°の曲げに要する応力が過大となる場合があり、実用上ヒンジとしての作用しなくなる場合があり好ましくない。ここで含浸率P(%)は以下の式で定義される。
P(%)=(((A−A)×D)/((A−A)×D))×100
ただし、硬質複合材部(R)の面密度をA、軟質複合材部(S)の面密度をA、強化繊維の面密度をA、硬質複合材部(R)の形成に用いた第一のマトリクス樹脂の密度をD、軟質複合材部(S)の形成に用いた第二のマトリクス樹脂の密度をDとした。
<剛体折紙構造>
本発明の可折壁は、剛体折紙構造をとることができ、本発明の好ましい態様は、剛体折紙構造である可折壁である。この場合、上記の可折壁の屈曲可能部分は剛体折紙の折れ線パターンに基づいて形成されている。この剛体折紙構造は、折紙構造を構成する材料を面内弾性変形させることなく展開および折り畳みができる折れ線パターンを持つ折紙構造である。
もともと剛体折紙構造は仮想的に厚みが無い剛体面に対して構築されているため、厚みのある現実の材料に剛体面を用いた場合には、重畳数が零の場合を除いて、剛体面の厚みのために、剛体面を折り畳んだときに折れ線の周りに、折り畳まれる剛体面同士で空間的な干渉が起こる。このため、一般的には折り畳みが不完全にしか実現できない場合が多く、折り曲げることができない場合さえある。
この空間的な干渉を回避するためには、個々に試行錯誤が必要であり、一般的に剛体面の厚みの影響を排除する方法は知られていない。剛体折紙構造を、例えば金属ヒンジを用いて作成する場合には、一般的に多数の付加的な折れ線や切り込みを入れることが必要であり、剛体折紙構造とそれを用いた折り畳み可能な可折構造物の製造は、極めて複雑になる。
本発明の好ましい態様である剛体折紙構造の可折壁は、剛体折紙構造の折れ線パターンを構成する屈曲可能部分のうち重畳数Ncが零のものを除くすべての屈曲可能部分において、軟質複合材部(S)の線幅Bおよび硬質複合材部(R)の厚みTが好ましくは以下の関係式を満足することで、剛体面の厚みの影響を回避して、厚みを有する現実の剛体面の折り畳みが可能な可折壁を得ることができる。
Nc×T<B<100×Nc×T
さらに好ましくは、以下の関係式を満足する。
(Nc×T)/0.46<B<100×Nc×T
特に好ましくは、以下の関係式を満足する。
(Nc×T)/0.45<B<100×Nc×T
この条件を満たすことにより、追加の折れ線を付加することなく、剛体折紙の折れ線パターンに基づく屈曲可能部分を備える可折壁を得ることができる。線幅BがNc×Tと等しいか、これより小さいと、折れ線の内側に重畳する硬質複合材部(R)を収納するスペースが十分ではなく、折り畳みが完全にはできない場合がある。他方、線幅BがNc×Tの100倍と等しいか、これより大きいと、軟質複合材部(S)の幅が大きくなりすぎ、所期の剛体折紙からの外観の乖離が大きくなりすぎて好ましくない。
前述したように本発明の好ましい態様である剛体折紙構造の可折壁は、180°の角度での折り曲げ状態では、軟質複合材部(S)を挟んで隣接する一方の硬質複合材部(R)と他方の硬質複合材部(R)との間に安定した空隙が形成され、この空隙にさらに他の硬質複合材部(R)を円滑に折り畳むことができる。
ここで、剛体折紙の折れ線の重畳数Ncは、その折れ線で連結される一対の剛体面を完全に折り畳んだときに、その一対の剛体面の内側に一部または全部が挟み込まれる剛体面の総数として定義される。
本発明の好ましい態様である剛体折紙構造の可折壁は、屈曲可能部分を折れ線として可逆的に折り畳むことができる。本発明の好ましい態様によれば、上記の剛体折紙構造用板材から作成された折り畳み可能な壁である可折壁が提供される。
<製造方法>
本発明の可折壁は、例えば、以下のように製造することができる。なお、補強繊維は織物の態様で用いることが好ましい。織物として、例えば、平織、綾織、朱子織、からみ織、模紗織、斜紋織、二重織を用いることができる。一方向のUDであってもよい。
(方法1)
まず、補強繊維織物の屈曲可能部分を形成する部分をマスキングし、第一のマトリクス樹脂を含浸することにより硬質複合材部(R)を形成する。つぎに、マスキングを外した屈曲可能部分の補強繊維の束または織物に、第二のマトリクス樹脂を充填して軟質複合材部(S)を形成する。
(方法2)
まず、補強繊維織物の屈曲可能部分を形成する部分に、第二のマトリクス樹脂を流動可能な状態で充填して軟質複合材部(S)を形成し、つぎに、第一のマトリクス樹脂をこれ以外の部分に含浸して硬質複合材部(R)を形成する。
(方法3)
補強繊維として特に無機繊維を用いる場合には、この方法も用いることができる。すなわち、まず補強繊維の全体に第一のマトリクス樹脂を含浸して硬化させて硬質複合材部(R)を全面に形成し、屈曲可能部分を形成する部分の第一のマトリクス樹脂を選択的に溶融または分解させて除去し、そこに第二のマトリクス樹脂を充填する方法である。溶融または分解には、例えばレーザーや高温加熱空気を用いることができる。
上記のいずれの方法においても、軟質複合材部(A)での第二のマトリクス樹脂の含浸率が5〜45%の範囲になるようにすることが好ましい。この含浸率になるように軟質複合材部(B)を形成するためには、例えば、第二のマトリクス樹脂を補強繊維の織物にコーティングして補強繊維の両面表層部に局在させる方法をとることができ、また、第二のマトリクス樹脂を溶剤に溶解させて補強繊維の織物に含浸することでマトリクス樹脂含浸層にミクロあるいはマクロのボイドを含ませる方法をとることができる。
本発明において軟質複合材部(S)の折り曲げに対する変形特性は、軟質複合材部(S)の弾性特性と線幅Bおよび硬質複合材部(R)の厚みTで決まる。弾性特性は、主に軟質複合材部(S)での補強繊維の配向と第二のマトリクス樹脂の含浸状態によって決まる。補強繊維の配向に応じて第二のマトリクス樹脂の含浸状態を適宜調整する。
<可折壁>
本発明の可折壁は、タペストリーやブラインド、テント布のような巻き取ることができる柔らかい材料と同様に小さく収納することができ、そのうえで、これらの柔らかい材料にはない剛性を備える。このため、本発明の可折壁は、パーティションとして好適に使用することができる。
本発明の可折壁を、パーティションとして用いる場合には、ビスまたはボルトによる連結が可能な硬質複合材部(R)から成る取り付け部を備えることが好ましい。そして、この取り付け部によって壁や天井、床に取り付けて用いる。
本発明の可折壁は、対向する天井と床の間で、いずれか一方の端が、天井か床に固定される態様で用いることができる。また、対向する壁と壁の間で、いずれか一方の端が、一方の壁に固定される態様で用いることができる。例えば、固定される側を天井に設けることで、収納時に天井に折り畳んで収納することができる。また、固定される側を一方の壁の内部に設けることで、壁の内部に折り畳んで収納することができる。いずれの場合も、使用時には面状に展開して用いる。
取り付けの例を詳しく説明すると、可折壁の少なくとも1辺に設けられた硬質複合材部(R)から成る取り付け部を、天井または壁内部の躯体に直接ビスなどで固定し、折り畳んだ可折壁を、予め開閉できるようにした天井板ないしは壁外層板の内側に格納する。
本発明の可折壁は、小さく折り畳めることで、格納スペースを小さくできる。また、本発明の可折壁は繊維材料からなるため、重量が小さいためビス等で自重を支えることができ、天井裏や壁内部の躯体への負担を小さくすることができる。
本発明の可折壁を展開するときには、予め開閉できるようにした天井板や壁外層板を開き、可折壁を面状に展開する。その後、例えば可折壁の展開された面の少なくとも1辺に設けられた硬質複合材部(R)から成る取り付け部に固着された金物と、可折壁が収納されていた面と向かい合う面の床または壁に予め設置されている金物とを固定する。
金物としてビスやボルトを用いて固定してもよいが、フックやカギ状であると工具等を使用することなく、引っ掛けるだけで設置することができる。また、この金物にターンバックルなどの可折壁にかかる張力を微調整する機構が備わっていてもよい。ここで、本発明の可折壁は、面状であり、剛性が高いため、設置後の可折壁に絵画などの装飾品を取り付けた場合にも装飾品の重量によって可折壁がゆがむことがなく、空調や換気の風や人の通行などによって壁が揺らぐことが少ない。本発明の可折壁と同様の機構は、布製のタペストリーやブラインド、テント布などでも実現することはできるが、これら材料は柔らかく、糸の伸縮性により若干の伸縮が発生するため、装飾品の重量や風の影響を受け、壁としての剛性を活かした機能を十分発揮することができない。このような課題を解決し、かつ簡易に設置することができる壁が、本発明の可折壁の特徴である。
また、本発明の可折壁は連結して拡大することができる。この場合には、可折壁を建物躯体に取り付けるための硬質複合材部(R)から成る取り付け部同士を例えばビスまたはボルトにて連結すればよく、連結部分は2つの取り付け部の表面と裏面が重なるように連結してもよく、表面同士または裏面同士が接するように連結してもよい。
本発明の可折壁を使用することで、建築空間の間取りや用途、雰囲気を容易に変えることができる。例えば、普段は観劇や講演会などに使用する大ホールであっても、複数個の可折壁を天井裏に格納してあれば、大ホールにいくつかの壁を設置することができ、絵画などの展示会を実施する会場や多数の半個室が存在する座談会会場などに様変わりさせることができる。
以下、実施例を用いて本発明を説明する。測定は以下の方法で行った。
(1)マトリクス樹脂の含浸率
含浸率P(%)は、サンプルの軟質複合材部(S)について以下の式で算出した。
P(%)=(((A−A)×D)/((A−A)×D))×100
:硬質複合材部(R)の面密度
:軟質複合材部(S)の面密度
:強化繊維の面密度
:硬質複合材部(R)の形成に用いた第一のマトリクス樹脂の密度
:軟質複合材部(S)の形成に用いた第二のマトリクス樹脂の密度
(2)補強繊維の体積含有率
硬質複合材部(R)における繊維体積含有率V(%)は、以下の式で算出した。
(%)=(A/D)/(A/D)×100
:強化繊維の面密度
:硬質複合材部(R)の面密度
:硬質複合材部(R)の形成に用いた補強繊維の密度
:硬質複合材部(R)の密度
(3)樹脂の硬化物の弾性率
JIS K 7171に準拠して曲げ弾性率を測定した。測定は25℃で行った。
[実施例1]
目付200g/mの平織の炭素繊維織物(帝人株式会社製 W3101)を長さ970mm、幅250mmに切り出したものを3枚重ね、その長さ方向の、15〜25mm、325〜335mm、635〜645mm、945〜955mmの位置にスリット(線幅が10mm)を設けたマスキングフイルムを置き、その上から半硬化シリコン樹脂(信越化学社製商品:シーラント45)をヘキサンで10倍に希釈したものを炭素繊維織物の片側から注入含浸し、注入面反対側の面近傍に、シリコン樹脂未含浸部分が存在するように含浸した。シリコン樹脂を硬化乾燥して軟質複合材部(S)を形成した後、軟質複合材部(S)をマスクして、ナイロン樹脂パウダー(ユニチカ社製:A1015LP−20)を炭素繊維織物の上に散布し、熱プレスでナイロン樹脂を炭素繊維織物に含浸させて冷却し、硬質複合材部(R)を形成することで可折壁を得た。
得られた可折壁は、長さ方向の両端に15mmの硬質複合材部(R)から成る取り付け部を有し、300mm×250mmの長方形の硬質複合材部(R)3枚が、直線状の長さ250mmおよび線幅10mmの軟質複合材部(S)により連結された形状である。軟質複合材部(S)における炭素繊維の体積含有率Vは40%であり、マトリクス樹脂の含浸率Pは40%であった。軟質複合材部(S)および硬質複合材部(R)の厚みTは、いずれも0.75mmであった。
シリコン樹脂の硬化物の弾性率0.22GPaは、ナイロン樹脂の硬化物の弾性率は2.75GPaであった。
この可折壁は、屈曲可能部分の軟質複合材部(S)近傍に空隙を残したまま硬質複合材部(R)の両端部が接触するまで曲げることができ、180°の角度に折り曲げたときの、一方の硬質複合材部(R)と他方の硬質複合材部(R)との間の空隙の厚さDは4mmであった。
上記で得られた可折壁を3部、長さ方向の両端にある15mmの硬質複合材部(R)から成る取り付け部を表面同士が接するように背面に90°曲げた状態で重ね合わせ、ボルト止めにて連結し、長さ2850mm×幅250mmの可折壁とした。
得られた可折壁は、折り畳むと300mm×250mmの硬質複合材部(R)が9枚重なった状態となり、折り畳み厚さは約40mmであり、天井裏に十分収納できるサイズであった。
また、得られた可折壁を展開し、上部にある硬質複合材部(R)から成る取り付け部を天井躯体にビスで固定し、もう一方の端にある硬質複合材部(R)から成る取り付け部に予め穴を空け、ハトメを加工しておき、そのハトメに床面にボルトで固定したフックを引っ掛けることで、仮設パーティションとした。
なお、この実施例では既存の建物に対して、仮設パーティションを施工したため、床面にフックをボルト固定したが、新築段階で仮設パーティションを計画したのであれば、床内部にフックは固定され、フックのボルト固定などの作業は不要となる。
[実施例2]
実施例1において、マスキングフイルムとして、図3に示す形状のミウラオリ構造のマスキングフイルムを用いた他は実施例1と同様にして、剛体折紙構造の可折壁を得る。このマスキングフイルムは、図3に示すとおり平行四辺形を縦方向と横方向に連結した形状とし、個々の平行四辺形の高さを1120mm、底辺の長さを780mm、長辺と短辺のなす角度を86°とする。得られる可折壁は図3に示す形状をしており、上部に図3に示すように円形の穴(直径10mm)を備える。さらに、天井には一軸方向にそれぞれ移動可能な4個フックを備えたレールを設置し、フックと可折壁の円形の穴とを一組づつアラミド糸で連結することにより天井部から可折壁を吊り下げ、パーティションとする。このパーティションはパーティション自体の厚みに妨げられることなく折り畳むことができ、天井部に別に設けた収納箱に折り畳んで収納することができる。
本発明の可折壁は、建築分野において折り畳みのできる可動壁や仮設のパーティションとして利用することができる。
a 屈曲可能部分である軟質複合材部(S)
b 硬質複合材部(R)
c 硬質複合材部(R)から成る取り付け部
B 軟質複合材部(S)の幅
D 軟質複合材部(S)を挟んで隣接する二つの硬質複合材部(R)を、軟質複合材部(S)を軸として180°折り曲げたときに一方の硬質複合材部(R)と他方の硬質複合材部(R)との間に生じる空隙の厚さ

Claims (4)

  1. 補強繊維と第一のマトリクス樹脂からなる繊維強化樹脂複合材である少なくとも二つの硬質複合材部(R)、および一方の硬質複合材部(R)の実質的に直線状の縁と他方の硬質複合材部(R)の実質的に直線状の縁の両方に接して配置され、補強繊維と第二のマトリクス樹脂からなる屈曲可能部分である実質的に直線状の軟質複合材部(S)から構成される可折壁であって、軟質複合材部(S)の幅Bと、軟質複合材部(S)を挟んで隣接する二つの硬質複合材部(R)を軟質複合材部(S)を軸として180°折り曲げたときに一方の硬質複合材部(R)と他方の硬質複合材部(R)との間に生じる空隙の厚さDと、が以下の関係式を満足することを特徴とする可折壁。
    0.1×B<D<0.6×B
  2. 補強繊維と第一のマトリクス樹脂とからなる繊維強化樹脂複合材の板材に、第一のマトリクス樹脂が実質的に存在しない屈曲可能部分を実質的に直線状に形成することで繊維強化樹脂複合材の板材を複数の硬質複合材部(R)に区画し、屈曲可能部分に第二のマトリクス樹脂を充填することで軟質複合材部(S)を形成した可折壁であって、軟質複合材部(S)の幅Bと、軟質複合材部(S)を挟んで隣接する二つの硬質複合材部(R)を軟質複合材部(S)を軸として180°折り曲げたときに一方の硬質複合材部(R)と他方の硬質複合材部(R)との間に生じる空隙の厚さDと、が以下の関係式を満足することを特徴とする可折壁。
    0.1×B<D<0.6×B
  3. 軟質複合材部(S)を挟んで隣接する二つの硬質複合材部(R)を軟質複合材部(S)を軸として180°折り曲げたときに一方の硬質複合材部(R)と他方の硬質複合材部(R)との間に生じる空隙の厚さDと硬質複合材部(R)の厚みTが以下の式を満足する、請求項1または2に記載の可折壁。
    2×T<D
  4. 軟質複合材部(S)における第二のマトリクス樹脂の含浸率が5〜45%であり、かつ第二のマトリクス樹脂は25℃において第一のマトリクス樹脂の1/10以下の弾性率を有する樹脂である、請求項1または2に記載の可折壁。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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