JP2021130774A - セルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法、及び成形品の製造方法 - Google Patents

セルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法、及び成形品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】剛性及び良好な外観を兼備する成形品を成形可能なセルロース繊維含有樹脂組成物を得ることができるセルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法を提供する。【解決手段】セルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法は、セルロース繊維と、第1熱可塑性樹脂と、前記第1熱可塑性樹脂よりも重量平均分子量が小さい第2熱可塑性樹脂と、を含有するセルロース繊維含有樹脂組成物を製造する方法である。前記セルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法は、第1混合工程と、第2混合工程と、を含む。前記第1混合工程では、前記セルロース繊維と、前記第2熱可塑性樹脂と、を混合して中間混合物を得る。前記第2混合工程では、前記中間混合物と、前記第1熱可塑性樹脂と、を混合して前記セルロース繊維含有樹脂組成物を得る。【選択図】なし

Description

本開示は、一般にセルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法、及び成形品の製造方法に関する。より詳細には本開示は、セルロース繊維と熱可塑性樹脂とを含有するセルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法、及び前記セルロース繊維含有樹脂組成物を用いた成形品の製造方法に関する。
特許文献1は、複合樹脂成型体を開示する。この複合樹脂成型体は、主剤樹脂、有機繊維状フィラー及び分散剤を含有する溶融混練物からなる。ここで、有機繊維状フィラーは、セルロースが含まれたセルロース類である。そして、複合樹脂成型体中には炭化した有機繊維状フィラーが特定の割合で存在している。
特開2017−210595号公報
特許文献1の複合樹脂成型体では、分散剤として、無水マレイン酸変性ポリオレフィン又は不飽和炭化水素系シランカップリング剤などが使用されている。このような分散剤が使用された複合樹脂成型体では、剛性及び外観については更なる改良の余地がある。
本開示の目的は、剛性及び良好な外観を兼備する成形品を成形可能なセルロース繊維含有樹脂組成物を得ることができるセルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法を提供することにある。
本開示の一態様に係るセルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法は、セルロース繊維と、第1熱可塑性樹脂と、前記第1熱可塑性樹脂よりも重量平均分子量が小さい第2熱可塑性樹脂と、を含有するセルロース繊維含有樹脂組成物を製造する方法である。前記セルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法は、第1混合工程と、第2混合工程と、を含む。前記第1混合工程では、前記セルロース繊維と、前記第2熱可塑性樹脂と、を混合して中間混合物を得る。前記第2混合工程では、前記中間混合物と、前記第1熱可塑性樹脂と、を混合して前記セルロース繊維含有樹脂組成物を得る。
本開示の一態様に係る成形品の製造方法は、成形工程を含む。前記成形工程では、前記セルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法により得られたセルロース繊維含有樹脂組成物を成形する。
本開示によれば、剛性及び良好な外観を兼備する成形品を成形可能なセルロース繊維含有樹脂組成物を得ることができる。
図1は、第2熱可塑性樹脂の重量平均分子量と成形品の曲げ弾性率との関係を示すグラフである。 図2は、第2熱可塑性樹脂の重量平均分子量と成形品中の凝集体の個数との関係を示すグラフである。
(1)概要
本実施形態に係るセルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法は、セルロース繊維含有樹脂組成物を製造する方法である。セルロース繊維含有樹脂組成物は、セルロース繊維と、第1熱可塑性樹脂と、第2熱可塑性樹脂と、を含有する。第2熱可塑性樹脂は、第1熱可塑性樹脂よりも重量平均分子量が小さい。
セルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法は、第1混合工程と、第2混合工程と、を含む。第1混合工程では、セルロース繊維と、第2熱可塑性樹脂と、を混合して中間混合物を得る。第2混合工程では、中間混合物と、第1熱可塑性樹脂と、を混合してセルロース繊維含有樹脂組成物を得る。
このように、本実施形態では、セルロース繊維と熱可塑性樹脂との混合を少なくとも2段階に分けている。さらに、重量平均分子量の小さい熱可塑性樹脂から順に、セルロース繊維と混合するようにしている。これにより、セルロース繊維の凝集が抑制され、セルロース繊維が均一に分散しやすくなる。
したがって、本実施形態によれば、剛性及び良好な外観を兼備する成形品を成形可能なセルロース繊維含有樹脂組成物を得ることができる。
(2)詳細
(2.1)セルロース繊維含有樹脂組成物
本実施形態に係るセルロース繊維含有樹脂組成物は、セルロース繊維と、第1熱可塑性樹脂と、第2熱可塑性樹脂と、を含有する。第1熱可塑性樹脂及び第2熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)には大小関係がある。具体的には、第1熱可塑性樹脂の重量平均分子量よりも、第2熱可塑性樹脂の重量平均分子量が小さい。第1熱可塑性樹脂及び第2熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ分析(GPC)により得られるポリスチレン換算の相対値である。セルロース繊維含有樹脂組成物は、分散剤を更に含有してもよい。セルロース繊維含有樹脂組成物の常温での形態は、例えば、球形、円柱形又は角柱形のペレットである。以下、セルロース繊維、第1熱可塑性樹脂、第2熱可塑性樹脂、及び分散剤について順に説明する。
<セルロース繊維>
セルロース繊維は、成形品に剛性を付与し得る。セルロース繊維は、木材及び植物等から得られる。より具体的には、セルロース繊維は、木材類、パルプ類、紙類、植物茎・葉類及び植物殻類から選ばれる1種又は2種以上のセルロース含有原料を粉砕機で処理して得ることができる。具体的には、セルロース含有原料を、必要により、シュレッダー等の裁断機を利用して粗粉砕を行ってから、衝撃式の粉砕機又は押出機による処理を行ったり、乾燥処理を行ったりする。その後、媒体式の粉砕機を用いて攪拌することで、微細化されたセルロース繊維を得ることができる。
好ましくは、セルロース繊維の平均繊維長は、0.001mm(1μm)以上0.1mm(100μm)以下の範囲内である。平均繊維長が0.001mm以上であることで、成形品の剛性を向上させることができる。平均繊維長が0.1mm以下であることで、セルロース繊維の分散性の低下を抑制することができる。なお、セルロース繊維の平均繊維長は、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径(50%累積粒径:d50)を意味する。
好ましくは、セルロース繊維の含有量は、樹脂組成物の全質量に対して1質量%以上40質量%以下の範囲内である。セルロース繊維の含有量が1質量%以上であることで、成形品の剛性を向上させることができる。セルロース繊維の含有量が40質量%以下であることで、成形品の耐衝撃性の低下を抑制することができる。
<第1熱可塑性樹脂>
第1熱可塑性樹脂は、セルロース繊維含有樹脂組成物における母材(主要材料)となり得る。第1熱可塑性樹脂は特に限定されない。第1熱可塑性樹脂の具体例として、ポリオレフィン(環状ポリオレフィンも含む)、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル、ナイロン、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリカーボネート及びポリサルフォンが挙げられる。
上記に列挙した中でも、特にポリオレフィンが低比重である点で好ましい。すなわち、ポリプロピレン(PP)及びポリエチレン(PE)などのポリオレフィンは比重が小さいため、セルロース繊維との複合化で、軽量かつ高剛性の成形品を成形可能な樹脂組成物を容易に得ることができる。
なお、ポリプロピレン(PP)の概念には、ホモポリマー、ランダムコポリマー及びブロックコポリマーが含まれる。ホモポリマーは、プロピレンの単独重合体である。ランダムコポリマー及びブロックコポリマーは、プロピレンと、エチレンなどのモノマーとの共重合体である。
第1熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、好ましくは45000以上1000000以下の範囲内であり、より好ましくは45000以上300000以下の範囲内である。第1熱可塑性樹脂の重量平均分子量が45000以上であることで、成形品の剛性の低下を抑制することができる。第1熱可塑性樹脂の重量平均分子量が1000000以下であることで、成形時における流動性が高くなり過ぎず、成形品が得られやすくなる。
好ましくは、第1熱可塑性樹脂の含有量は、セルロース繊維含有樹脂組成物の全質量に対して30質量%以上95質量%以下の範囲内である。第1熱可塑性樹脂の含有量が30質量%以上であることで、成形品の軽量化を実現し得る。この場合、第1熱可塑性樹脂は、低比重素材であるポリオレフィンを含むことがより好ましい。第1熱可塑性樹脂の含有量が95質量%以下であることで、成形品の剛性の低下を抑制することができる。なお、剛性は、例えば曲げ弾性率を意味する。
<第2熱可塑性樹脂>
第2熱可塑性樹脂は、分散剤と同様の機能を有し得る。このように、第2熱可塑性樹脂は、分散剤の代替物となり得る。したがって、第2熱可塑性樹脂を使用すれば、分散剤を使用する必要性は特にない。ただし、第2熱可塑性樹脂と分散剤との併用を排除する趣旨ではない。
第2熱可塑性樹脂は特に限定されない。第2熱可塑性樹脂の具体例として、ポリオレフィン(環状ポリオレフィンも含む)、パラフィン、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル、ナイロン、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリカーボネート及びポリサルフォンが挙げられる。
上記に列挙した中でも、特にポリオレフィンが低比重である点で好ましい。すなわち、ポリプロピレン(PP)及びポリエチレン(PE)などのポリオレフィンは比重が小さいため、セルロース繊維との複合化で、軽量かつ高剛性の成形品を成形可能なセルロース繊維含有樹脂組成物を容易に得ることができる。さらにパラフィンも低比重である点で好ましい。パラフィンは、炭化水素化合物の一種であり、炭素原子の数が20以上のアルカン(鎖式飽和炭化水素)の総称である。
第2熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、第1熱可塑性樹脂の重量平均分子量よりも小さい。低分子量の第2熱可塑性樹脂によって、高分子量の第1熱可塑性樹脂中におけるセルロース繊維を均一に分散させることができる。これにより、成形品に剛性及び良好な外観を付与することができる。
より詳細には、成形品の剛性が向上する理由の1つは、低分子量の第2熱可塑性樹脂によって、セルロース繊維含有樹脂組成物の結晶性が高くなるためである、と推測される。また成形品の外観が良好になる理由の1つは、低分子量の第2熱可塑性樹脂によって、セルロース繊維の解繊度が向上し、光の乱反射が起こりにくくなるためである、と推測される。なお、良好な外観とは、成形品を見たときにセルロース繊維を目視で認識しにくいことを意味する。より具体的には「実施例」の項に記載の外観評価の基準で、S評価及びA評価を意味する。
第2熱可塑性樹脂の重量平均分子量の上限値は、小さいほど好ましい。すなわち、第2熱可塑性樹脂の重量平均分子量の上限値を好ましい順に並べると、10000以下、13500以下、25200以下、40000以下、45000以下、75000以下、130000以下である。つまり、上記に列挙した中では、第2熱可塑性樹脂の重量平均分子量は10000以下であることが最も好ましい。このような分子サイズの第2熱可塑性樹脂であれば、セルロース繊維の分散性を更に向上させることができる。セルロース繊維と第2熱可塑性樹脂とを更に均一に混合しやすい。なお、第2熱可塑性樹脂の重量平均分子量の下限値は特に限定されないが、例えば500以上である。
第2熱可塑性樹脂の含有量は、セルロース含有樹脂組成物の全質量に対して、好ましくは0.1質量%以上30質量%以下の範囲内であり、より好ましくは1質量%以上30質量%以下の範囲内である。第2熱可塑性樹脂の含有量が0.1質量%以上であることで、成形品の軽量化を実現し得る。この場合、第2熱可塑性樹脂は、低比重素材であるポリオレフィンを含むことがより好ましい。第2熱可塑性樹脂の含有量が1質量%以上であることで、成形品の外観がより良好になる。第2熱可塑性樹脂の含有量が30質量%以下であることで、成形品の剛性の低下を抑制することができる。
好ましくは、第1熱可塑性樹脂と第2熱可塑性樹脂とは同種の樹脂である。一般に熱可塑性樹脂の分子は、基本単位であるモノマーが多数連結した鎖状の構造を有している。したがって、第1熱可塑性樹脂と第2熱可塑性樹脂とが同種の樹脂であるとは、基本単位のモノマーの種類(化学構造)が同じであることを意味する。例えば、第1熱可塑性樹脂がポリプロピレンであれば、第2熱可塑性樹脂もポリプロピレンであることが好ましい。このように、第1熱可塑性樹脂と第2熱可塑性樹脂とが同種の樹脂であることで、相分離を抑制することができる。
好ましくは、第1熱可塑性樹脂及び第2熱可塑性樹脂の両方がポリオレフィンである。両者が同種の樹脂であることで、相分離を抑制することができる。さらには同種の樹脂がポリオレフィンであることで、第1熱可塑性樹脂又は第2熱可塑性樹脂のいずれかのみがポリオレフィンである場合に比べて、成形品の更なる軽量化を実現することができる。
<分散剤>
上述のように、セルロース含有樹脂組成物は、分散剤を更に含有してもよい。分散剤は、疎水性の第1熱可塑性樹脂と、親水性のセルロース繊維とを均一に分散させる機能を有する。このような機能を有するものであれば、分散剤は、特に限定されない。セルロース含有樹脂組成物が分散剤を更に含有することで、セルロース繊維の分散性を更に向上させることができる。
好ましくは、分散剤は、無水マレイン酸変性ポリオレフィンである。無水マレイン酸変性ポリオレフィンの好適例として、三洋化成工業株式会社製「ユーメックスシリーズ」及びBYK社製「PRIEXシリーズ」及び「SCONAシリーズ」が挙げられる。
無水マレイン酸変性ポリオレフィンは、疎水性のポリオレフィンセグメントと、親水性の無水マレイン酸セグメントとを有する。ポリオレフィンセグメントは、第1熱可塑性樹脂(特にポリオレフィン)との親和性があり、無水マレイン酸セグメントは、セルロース繊維との親和性がある。したがって、無水マレイン酸変性ポリオレフィンを第1熱可塑性樹脂に添加することによって、セルロース繊維の分散性を向上させることができる。このように、第1熱可塑性樹脂中におけるセルロース繊維同士の相互作用による凝集が、無水マレイン酸変性ポリオレフィンによって抑制されることで、成形品の剛性が向上する。さらに無水マレイン酸変性ポリオレフィンによって、第1熱可塑性樹脂とセルロース繊維との密着性も向上すると考えられる。そして、この密着性の向上が、成形品の剛性向上に寄与していると推測される。
無水マレイン酸変性ポリオレフィンの重量平均分子量は、好ましくは45000以下、より好ましくは20000以下である。このことにより、セルロース繊維の分散性を更に向上させることができる。無水マレイン酸変性ポリオレフィンは低分子量であるほど、セルロース繊維の分散性を向上させることができる。その理由は、高分子量の無水マレイン酸変性ポリオレフィンと比較して、低分子量の無水マレイン酸変性ポリオレフィンは、分子サイズが小さく、流動性が高いことにより、効率的にセルロース繊維の極性基(ヒドロキシ基など)と反応するからである、と推定される。無水マレイン酸変性ポリオレフィンの重量平均分子量の下限値は、特に限定されないが、5000である。なお、無水マレイン酸変性ポリオレフィンの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ分析(GPC)により得られるポリスチレン換算の相対値である。
好ましくは、分散剤の含有量は、セルロース含有樹脂組成物の全質量に対して1質量%以上10質量%以下の範囲内である。分散剤の含有量が1質量%以上であることで、第1熱可塑性樹脂とセルロース繊維との相容性を向上させることができ、成形品の剛性を向上させることができる。分散剤の含有量が10質量%以下であることで、成形品の剛性の低下を抑制することができる。
(2.2)セルロース含有樹脂組成物の製造方法
本実施形態に係るセルロース含有樹脂組成物の製造方法は、上述のセルロース含有樹脂組成物を製造する方法である。セルロース含有樹脂組成物は、第1混合工程と、第2混合工程と、を含む。以下、第1混合工程、及び第2混合工程について順に説明する。
<第1混合工程>
第1混合工程では、セルロース繊維と、第2熱可塑性樹脂と、を混合して中間混合物を得る。このように、中間混合物は、セルロース繊維と、第2熱可塑性樹脂と、を含有する。第2熱可塑性樹脂は、第1熱可塑性樹脂に比べて重量平均分子量が小さいので、セルロース繊維間に入り込みやすい。そのため、第2熱可塑性樹脂は、セルロース繊維同士を解繊しやすい。
好ましくは、第1混合工程では、ミキサーを用いて、セルロース繊維と、第2熱可塑性樹脂と、を混合する。ミキサーは、処理物(この場合はセルロース繊維及び第2熱可塑性樹脂)を、主として攪拌により均一にできるものであれば特に限定されない。例えば、ミキサーは、混合槽と、上羽根と、下羽根と、を備える。混合槽内に処理物が投入される。上羽根は、混合槽内に回転可能に配置されている。下羽根は、上羽根よりも下方に位置し、混合槽内に回転可能に配置されている。具体的には、ミキサーとしては、特に限定されないが、例えば、ヘンシェルミキサー、プラネタリーミキサー、及びバンバリーミキサーなどが挙げられる。
ミキサーを用いる場合、第1混合工程では、セルロース繊維及び第2熱可塑性樹脂をミキサー内に投入する。投入前にセルロース繊維は、変性処理(疎水化処理)されていなくてもよい。必要に応じて分散剤もミキサー内に投入する。ミキサー内で第2熱可塑性樹脂が溶融又は分散し、第2熱可塑性樹脂によって、セルロース繊維が分散する。さらにミキサー内でセルロース繊維が剪断作用を受けて凝集塊の解繊が促進され、セルロース繊維が更に均一に分散される。したがって、セルロース繊維と第2熱可塑性樹脂とを均一に混合しやすい。
好ましくは、中間混合物の粘度は、第1熱可塑性樹脂の粘度よりも低い。これにより、セルロース繊維と第2熱可塑性樹脂とを更に均一に混合しやすい。第2熱可塑性樹脂は、第1熱可塑性樹脂に比べて重量平均分子量が小さいので粘度も小さい。そのため、中間混合物の粘度も、第1熱可塑性樹脂の粘度よりも低くなりやすい。なお、本明細書において「粘度」とは、180℃及び剪断速度100/秒における溶融粘度を意味する。
好ましくは、中間混合物の粘度は、第2熱可塑性樹脂の粘度よりも高い。中間混合物にはセルロース繊維が含有されているので、中間混合物の粘度は、第2熱可塑性樹脂単独の粘度よりも高くなりやすい。これにより、中間混合物と第1熱可塑性樹脂とを均一に混合しやすい。すなわち、第2熱可塑性樹脂単独の粘度よりも、中間混合物の粘度の方が、第1熱可塑性樹脂の粘度に近くなるので、中間混合物と第1熱可塑性樹脂とを均一に混合しやすくなる。
好ましくは、第1混合工程の混合温度は、第2混合工程の混合温度(混練温度)よりも低い。これにより、第1混合工程では、セルロース繊維と第2熱可塑性樹脂とを更に均一に混合しやすい。第1混合工程の混合温度は、第2混合工程の混合温度よりも低ければ特に限定されないが、好ましくは20℃以上160℃以下の範囲内である。
好ましくは、第1混合工程では、セルロース繊維が、平均繊維長1μm以上100μm以下の大きさから平均繊維長1μm以上50μm以下の大きさとなるように混合する。これにより、セルロース繊維と第2熱可塑性樹脂とを更に均一に混合しやすい。
<第2混合工程>
第2混合工程では、中間混合物と、第1熱可塑性樹脂と、を混合してセルロース繊維含有樹脂組成物を得る。このように、セルロース含有樹脂組成物は、中間混合物(セルロース繊維及び第2熱可塑性樹脂)と、第1熱可塑性樹脂と、を含有する。第1混合工程で第2熱可塑性樹脂がセルロース繊維同士を解繊しているので、第2熱可塑性樹脂よりも重量平均分子量が大きい第1熱可塑性樹脂を追加しても、セルロース繊維は凝集しにくい。
好ましくは、第2混合工程では、混練押出機を用いて、中間混合物と、第1熱可塑性樹脂と、を混合する。混練押出機は、処理物(この場合は中間混合物及び第1熱可塑性樹脂)を、主として攪拌及び剪断により均一にできるものであれば特に限定されない。例えば、混練押出機は、シリンダーと、少なくとも1本以上のスクリューと、を備えている。シリンダー内に処理物が投入される。スクリューは、シリンダー内に回転可能に配置されている。具体的には、混練押出機としては、特に限定されないが、例えば、2軸混練押出機などが挙げられる。
混練押出機を用いる場合、第2混合工程では、中間混合物及び第1熱可塑性樹脂を混練押出機内に投入する。この場合、中間混合物及び第1熱可塑性樹脂を同時に投入しなくてもよい。混練押出機内に第1熱可塑性樹脂を投入した後に、中間混合物を投入してもよい。このように、混練押出機の途中から中間混合物を供給するためのサイドフィーダも使用可能である。混練押出機内で第1熱可塑性樹脂及び第2熱可塑性樹脂が溶融するとともに、セルロース繊維が剪断作用を受けて凝集塊の解繊が更に促進され、セルロース繊維が第1熱可塑性樹脂及び第2熱可塑性樹脂中に更に均一に分散される。混練押出機から押し出された溶融混練物は、例えば水冷され、ペレットとなる。ペレットの寸法は特に限定されない。このように混練押出機を用いれば、中間混合物と第1熱可塑性樹脂とを更に均一に混合しやすい。
好ましくは、第2混合工程の混合温度(混練温度)は、第1混合工程の混合温度よりも高い。これにより、第2混合工程では、中間混合物と第1熱可塑性樹脂とを更に均一に混合しやすい。第2混合工程の混合温度は、第1熱可塑性樹脂が溶融する温度以上であれば特に限定されないが、好ましくは160℃以上200℃以下の範囲内である。
<作用効果>
上述のように、本実施形態では、セルロース繊維と熱可塑性樹脂との混合を少なくとも2段階に分けている。さらに、重量平均分子量の小さい熱可塑性樹脂から順に、セルロース繊維と混合するようにしている。すなわち、まずセルロース繊維と第2熱可塑性樹脂とを混合し、次に中間混合物と第1熱可塑性樹脂とを混合するようにしている。これにより、セルロース繊維を少しずつ解繊していくことができるので、セルロース繊維の凝集が抑制され、セルロース繊維が均一に分散しやすくなる。
したがって、本実施形態によれば、剛性及び良好な外観を兼備する成形品を成形可能なセルロース繊維含有樹脂組成物を得ることができる。
(2.3)成形品の製造方法
本実施形態に係る成形品の製造方法は、成形工程を含む。成形工程では、上述のセルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法により得られたセルロース繊維含有樹脂組成物を成形する。すなわち、セルロース含有樹脂組成物(例えばペレット)を成形材料として、射出成形、押出成形及び注型成形等の公知の成形方法を使用することにより、各種の成形品を製造することができる。得られた成形品は、上述のセルロース繊維含有樹脂組成物で成形されているので、剛性及び良好な外観を兼備している。
好ましくは、セルロース繊維含有樹脂組成物の粘度が360Pa・s以上700Pa・s以下の範囲内である。これにより、成形品を成形しやすい。
本実施形態に係る成形品は、例えば家電構造材への適用が可能である。すなわち、成形品は、ハンディタイプの家電製品の部品(例えば掃除機本体)などとして好適である。
(3)態様
上記実施形態から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。
第1の態様は、セルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法であって、セルロース繊維と、第1熱可塑性樹脂と、前記第1熱可塑性樹脂よりも重量平均分子量が小さい第2熱可塑性樹脂と、を含有するセルロース繊維含有樹脂組成物を製造する方法である。前記セルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法は、第1混合工程と、第2混合工程と、を含む。前記第1混合工程では、前記セルロース繊維と、前記第2熱可塑性樹脂と、を混合して中間混合物を得る。前記第2混合工程では、前記中間混合物と、前記第1熱可塑性樹脂と、を混合して前記セルロース繊維含有樹脂組成物を得る。
この態様によれば、剛性及び良好な外観を兼備する成形品を成形可能なセルロース繊維含有樹脂組成物を得ることができる。
第2の態様は、第1の態様に基づくセルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法である。第2の態様では、前記第1混合工程では、ミキサーを用いて、前記セルロース繊維と、前記第2熱可塑性樹脂と、を混合する。
この態様によれば、セルロース繊維と第2熱可塑性樹脂とを均一に混合しやすい。
第3の態様は、第1又は第2の態様に基づくセルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法である。第3の態様では、前記中間混合物の粘度は、前記第1熱可塑性樹脂の粘度よりも低い。
この態様によれば、セルロース繊維と第2熱可塑性樹脂とを更に均一に混合しやすい。
第4の態様は、第1〜第3の態様のいずれか一つに基づくセルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法である。第4の態様では、前記中間混合物の粘度は、前記第2熱可塑性樹脂の粘度よりも高い。
この態様によれば、中間混合物と第1熱可塑性樹脂とを均一に混合しやすい。
第5の態様は、第1〜第4の態様のいずれか一つに基づくセルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法である。第5の態様では、前記第2混合工程では、混練押出機を用いて、前記中間混合物と、前記第1熱可塑性樹脂と、を混合する。
この態様によれば、中間混合物と第1熱可塑性樹脂とを更に均一に混合しやすい。
第6の態様は、第1〜第5の態様のいずれか一つに基づくセルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法である。第6の態様では、前記第1混合工程の混合温度は、前記第2混合工程の混合温度よりも低い。
この態様によれば、第1混合工程では、セルロース繊維と第2熱可塑性樹脂とを更に均一に混合しやすく、第2混合工程では、中間混合物と第1熱可塑性樹脂とを更に均一に混合しやすい。
第7の態様は、第1〜第6の態様のいずれか一つに基づくセルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法である。第7の態様では、前記セルロース繊維含有樹脂組成物の粘度が360Pa・s以上700Pa・s以下の範囲内である。
この態様によれば、成形品を成形しやすい。
第8の態様は、第1〜第7の態様のいずれか一つに基づくセルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法である。第8の態様では、前記第1混合工程では、前記セルロース繊維が、平均繊維長1μm以上100μm以下の大きさから平均繊維長1μm以上50μm以下の大きさとなるように混合する。
この態様によれば、セルロース繊維と第2熱可塑性樹脂とを更に均一に混合しやすい。
第9の態様は、第1〜第8の態様のいずれか一つに基づくセルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法である。第9の態様では、前記第2熱可塑性樹脂の重量平均分子量は10000以下である。
この態様によれば、セルロース繊維と第2熱可塑性樹脂とを更に均一に混合しやすい。
第10の態様は、成形品の製造方法であって、成形工程を含む。前記成形工程では、第1〜第9の態様のいずれか一つに基づくセルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法により得られたセルロース繊維含有樹脂組成物を成形する。
この態様によれば、剛性及び良好な外観を兼備する成形品を得ることができる。
以下、本開示を実施例によって具体的に説明する。ただし、本開示は、以下の実施例に限定されない。
(参考例1)
以下に示す第1熱可塑性樹脂、第2熱可塑性樹脂及びセルロース繊維を原料として用いてペレットを製造した。具体的には、上記の原料を表1に示す比率(質量%)となるように秤量し、ドライブレンドした。次に、2軸混練押出機(株式会社テクノベル製、型式:KZW15TW)にて、混練温度を200℃、排出量を2kg/時間として溶融混練分散した後、水冷して、ペレットを製造した。
第1熱可塑性樹脂:BC03B(日本ポリプロ株式会社製、ポリプロピレン、重量平均分子量200000)
第2熱可塑性樹脂:ビスコール660−P(三洋化成工業株式会社、ポリプロピレン、重量平均分子量10000)
セルロース繊維:NBKP Celgar(三菱製紙株式会社製、綿状針葉樹パルプ、平均繊維長0.05mm)。
(参考例2)
以下に示す第1熱可塑性樹脂、第2熱可塑性樹脂及びセルロース繊維を原料として用いるようにした以外は、参考例1と同様にしてペレットを製造した。
第1熱可塑性樹脂:参考例1と同じ
第2熱可塑性樹脂:ビスコール550−P(三洋化成工業株式会社、ポリプロピレン、重量平均分子量13500)
セルロース繊維:参考例1と同じ。
(参考例3)
以下に示す第1熱可塑性樹脂、第2熱可塑性樹脂及びセルロース繊維を原料として用いるようにした以外は、参考例1と同様にしてペレットを製造した。
第1熱可塑性樹脂:参考例1と同じ
第2熱可塑性樹脂:ビスコール440−P(三洋化成工業株式会社、ポリプロピレン、重量平均分子量25200)
セルロース繊維:参考例1と同じ。
(参考例4)
以下に示す第1熱可塑性樹脂、第2熱可塑性樹脂及びセルロース繊維を原料として用いるようにした以外は、参考例1と同様にしてペレットを製造した。
第1熱可塑性樹脂:参考例1と同じ
第2熱可塑性樹脂:ビスコール330−P(三洋化成工業株式会社、ポリプロピレン、重量平均分子量40000)
セルロース繊維:参考例1と同じ。
(参考例5)
以下に示す第1熱可塑性樹脂、第2熱可塑性樹脂及びセルロース繊維を原料として用いるようにした以外は、参考例1と同様にしてペレットを製造した。
第1熱可塑性樹脂:参考例1と同じ
第2熱可塑性樹脂:エルモーデュS901(出光興産株式会社、ポリプロピレン、重量平均分子量130000)
セルロース繊維:参考例1と同じ。
(参考例6)
以下に示す第1熱可塑性樹脂、第2熱可塑性樹脂及びセルロース繊維を原料として用いるようにした以外は、参考例1と同様にしてペレットを製造した。
第1熱可塑性樹脂:参考例1と同じ
第2熱可塑性樹脂:サンワックス171−P(三洋化成工業株式会社、ポリエチレン、重量平均分子量10000)
セルロース繊維:参考例1と同じ。
(実施例1)
以下に示す第1熱可塑性樹脂、第2熱可塑性樹脂及びセルロース繊維を原料として用いて、第1混合工程及び第2混合工程を経て、ペレットを製造した。上記の原料は、表1に示す比率(質量%)となるように秤量した。
具体的には、まず第1混合工程では、ミキサー(日本コークス工業株式会社製、型式:FM10C/I)にて、混合温度を150℃として、セルロース繊維及び第2熱可塑性樹脂を混合した。これにより、中間混合物が得られた。中間混合物の粘度は、第2熱可塑性樹脂の粘度よりも高く、第1熱可塑性樹脂の粘度よりも低かった。
次に第2混合工程では、2軸混練押出機(株式会社テクノベル製、型式:KZW15TW)にて、混練温度を200℃、排出量を2kg/時間として、中間混合物及び第1熱可塑性樹脂を混合し、溶融混練分散した後、水冷して、セルロース繊維含有樹脂組成物のペレットを製造した。なお、セルロース繊維含有樹脂組成物の粘度(180℃及び剪断速度100/秒における溶融粘度)は、360Pa・s以上700Pa・s以下の範囲内であった。
第1熱可塑性樹脂:参考例1と同じ
第2熱可塑性樹脂:参考例1と同じ
セルロース繊維:参考例1と同じ。
(実施例2)
以下に示す第1熱可塑性樹脂、第2熱可塑性樹脂及びセルロース繊維を原料として用いるようにした以外は、実施例1と同様にしてペレットを製造した。なお、中間混合物及びセルロース繊維含有樹脂組成物の粘度は、実施例1とほぼ同様であった。
第1熱可塑性樹脂:参考例5と同じ
第2熱可塑性樹脂:参考例5と同じ
セルロース繊維:参考例5と同じ。
(実施例3)
以下に示す第1熱可塑性樹脂、第2熱可塑性樹脂及びセルロース繊維を原料として用い、第1混合工程の混合温度を100℃とした以外は、実施例1と同様にしてペレットを製造した。なお、中間混合物及びセルロース繊維含有樹脂組成物の粘度は、実施例1とほぼ同様であった。
第1熱可塑性樹脂:参考例1と同じ
第2熱可塑性樹脂:165−14051(富士フィルム和光純薬株式会社、パラフィン、重量平均分子量500)
セルロース繊維:参考例1と同じ。
(実施例4)
以下に示す第1熱可塑性樹脂、第2熱可塑性樹脂及びセルロース繊維を原料として用いるようにした以外は、実施例1と同様にしてペレットを製造した。なお、中間混合物及びセルロース繊維含有樹脂組成物の粘度は、実施例1とほぼ同様であった。
第1熱可塑性樹脂:参考例6と同じ
第2熱可塑性樹脂:参考例6と同じ
セルロース繊維:参考例6と同じ。
(比較例1)
以下に示す第1熱可塑性樹脂及びセルロース繊維を原料として用いるようにした以外は、参考例1と同様にしてペレットを製造した。
第1熱可塑性樹脂:参考例1よりも比率は高い
第2熱可塑性樹脂:不使用
セルロース繊維:参考例1と同じ。
(比較例2)
以下に示す第1熱可塑性樹脂、セルロース繊維及び分散剤を原料として用いるようにした以外は、参考例1と同様にしてペレットを製造した。
第1熱可塑性樹脂:参考例1と同じ
第2熱可塑性樹脂:不使用
セルロース繊維:参考例1と同じ
分散剤:ユーメックス1001(三洋化成工業株式会社製、重量平均分子量45000)。
(比較例3)
以下に示す第1熱可塑性樹脂及びセルロース繊維を原料として用いるようにした以外は、参考例1と同様にしてペレットを製造した。
第1熱可塑性樹脂:参考例1と同じ
第2熱可塑性樹脂:不使用
セルロース繊維:参考例1よりも比率は高い。
(比較例4)
以下に示す第1熱可塑性樹脂、第2熱可塑性樹脂及びセルロース繊維を原料として用いるようにした以外は、参考例1と同様にしてペレットを製造した。
第1熱可塑性樹脂:参考例1と同じ
第2熱可塑性樹脂:実施例3と同じ
セルロース繊維:参考例1と同じ。
(曲げ弾性率)
各実施例、参考例及び比較例のペレットを用いてISO178に規定の試験片を作製した。各試験片について、JIS K 7171に規定の曲げ試験を行った。曲げ弾性率の測定結果を表1に示す。
(外観)
各実施例、参考例及び比較例のペレットを1gずつ秤量し、熱プレス機を用いて、直径150mm、厚さ約0.1mmの円形の試験片を作製した。各試験片について、デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、VHX−6000)を用いて、長径300μm以上のセルロース繊維の凝集体の個数を数え、以下の基準で外観の良否を評価した。外観の評価結果を表1に示す。
S:凝集体が10個以下
A:凝集体が10個超15個以下
B:凝集体が15個超20個以下
C:凝集体が20個超。
Figure 2021130774
図1に、第2熱可塑性樹脂の重量平均分子量と成形品の曲げ弾性率との関係を示すグラフを示す。図2に、第2熱可塑性樹脂の重量平均分子量と成形品中の凝集体の個数との関係を示すグラフを示す。
図1及び図2において、実施例1、3(E1、E3)では、原材料を2段階に分けて混合している。参考例1〜4(R1〜R4)、比較例2、4(C2、C4)では、原材料を一度に混合している。
図1に示すように、原材料を一度に混合する場合、第2熱可塑性樹脂の重量平均分子量が10000を超えると、曲げ弾性率を高めに維持することができる(R1〜R4、C2参照)。しかし、第2熱可塑性樹脂の重量平均分子量が10000以下であると、曲げ弾性率は曲線k2に沿って急激に低下し得る(C4参照)。
一方、原材料を2段階に分けて混合する場合、第2熱可塑性樹脂の重量平均分子量が10000を超えるところでも、10000以下のところでも、曲げ弾性率を高めることができる。以下、この点について説明する。
すなわち、第2熱可塑性樹脂の重量平均分子量が10000を超えるところでは、実施例1(E1)に示すように、曲げ弾性率を高めることができる。実施例1(E1)と参考例1(R1)とは原材料の組成は同じであるが、混合方法が相違するため、実施例1(E1)の方が参考例1(R1)に比べて曲げ弾性率が高くなっている。
そして、第2熱可塑性樹脂の重量平均分子量が10000以下のところでも、実施例3(E3)に示すように、曲げ弾性率は、曲線k1に沿って高く維持されている。実施例3(E3)と比較例4(C4)とは原材料の組成は同じであるが、混合方法が相違するため、実施例3(E3)の方が比較例4(C4)に比べて曲げ弾性率が著しく高くなっている。
また図2に示すように、原材料を一度に混合する場合、第2熱可塑性樹脂の重量平均分子量が10000を超えるところでは、曲線k3に沿って第2熱可塑性樹脂の重量平均分子量が10000に近づくにつれて凝集体の個数を減少させることができる(R1〜R4、C2参照)。しかし、第2熱可塑性樹脂の重量平均分子量が10000以下のところでは、比較例4(C4)に示すように、第2熱可塑性樹脂の重量平均分子量が10000から遠ざかるにつれて凝集体の個数が増加し得る。
一方、原材料を2段階に分けて混合する場合、第2熱可塑性樹脂の重量平均分子量が10000を超えるところでも、10000以下のところでも、凝集体の個数を減少させることができる。以下、この点について説明する。
すなわち、第2熱可塑性樹脂の重量平均分子量が10000を超えるところでは、実施例1(E1)に示すように、原材料を一度に混合する場合に比べて凝集体の個数を減少させることができる。実施例1(E1)と参考例1(R1)とは原材料の組成は同じであるが、混合方法が相違するため、実施例1(E1)の方が参考例1(R1)に比べて凝集体の個数が少なくなっている。
そして、第2熱可塑性樹脂の重量平均分子量が10000以下のところでも、実施例3(E3)に示すように、凝集体の個数を減少し得る。実施例3(E3)と比較例4(C4)とは原材料の組成は同じであるが、混合方法が相違するため、実施例3(E3)の方が比較例4(C4)に比べて凝集体の個数が著しく減少している。

Claims (10)

  1. セルロース繊維と、第1熱可塑性樹脂と、前記第1熱可塑性樹脂よりも重量平均分子量が小さい第2熱可塑性樹脂と、を含有するセルロース繊維含有樹脂組成物を製造する方法であって、
    前記セルロース繊維と、前記第2熱可塑性樹脂と、を混合して中間混合物を得る第1混合工程と、
    前記中間混合物と、前記第1熱可塑性樹脂と、を混合して前記セルロース繊維含有樹脂組成物を得る第2混合工程と、を含む、
    セルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記第1混合工程では、ミキサーを用いて、前記セルロース繊維と、前記第2熱可塑性樹脂と、を混合する、
    請求項1に記載のセルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記中間混合物の粘度は、前記第1熱可塑性樹脂の粘度よりも低い、
    請求項1又は2に記載のセルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記中間混合物の粘度は、前記第2熱可塑性樹脂の粘度よりも高い、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法。
  5. 前記第2混合工程では、混練押出機を用いて、前記中間混合物と、前記第1熱可塑性樹脂と、を混合する、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載のセルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法。
  6. 前記第1混合工程の混合温度は、前記第2混合工程の混合温度よりも低い、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載のセルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法。
  7. 前記セルロース繊維含有樹脂組成物の粘度が360Pa・s以上700Pa・s以下の範囲内である、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載のセルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法。
  8. 前記第1混合工程では、前記セルロース繊維が、平均繊維長1μm以上100μm以下の大きさから平均繊維長1μm以上50μm以下の大きさとなるように混合する、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載のセルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法。
  9. 前記第2熱可塑性樹脂の重量平均分子量は10000以下である、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載のセルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のセルロース繊維含有樹脂組成物の製造方法により得られたセルロース繊維含有樹脂組成物を成形する成形工程を含む、
    成形品の製造方法。
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