JP2021128570A - プリプレグ成形工程における局所変形解析手法 - Google Patents

プリプレグ成形工程における局所変形解析手法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021128570A
JP2021128570A JP2020023054A JP2020023054A JP2021128570A JP 2021128570 A JP2021128570 A JP 2021128570A JP 2020023054 A JP2020023054 A JP 2020023054A JP 2020023054 A JP2020023054 A JP 2020023054A JP 2021128570 A JP2021128570 A JP 2021128570A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
local
resin
model
prepreg
global
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020023054A
Other languages
English (en)
Inventor
彬 岩田
Akira Iwata
彬 岩田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2020023054A priority Critical patent/JP2021128570A/ja
Publication of JP2021128570A publication Critical patent/JP2021128570A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Moulding By Coating Moulds (AREA)

Abstract

【課題】プリプレグ成形中の局所的な大変形を伴う挙動や微小な皺等の成形不良の、短時間で高精度な局所変形解析手法を提供する。【解決手段】樹脂と強化繊維を区別せずプリプレグを均一な連続体として扱うグローバルモデルを作成し、解析を実行するグローバル解析実行ステップと、グローバルモデルの各要素における変位情報を取得し記憶する変位情報取得ステップと、プリプレグを構成する樹脂を、ALE要素からなる樹脂要素、強化繊維を、ラグランジュ型の要素で構成された強化繊維要素としてモデル化し、強化繊維要素を前記樹脂要素の内部に配置してカップリング拘束を与えるローカルモデル作成ステップと、グローバルモデルにおいてプリプレグが存在する領域に少なくとも一つ以上のローカルモデルを配置するローカルモデル配置ステップと、グローバルモデルの各要素における変位情報に基づくローカル解析実行ステップと、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂と強化繊維からなるプリプレグ成形工程における局所変形解析手法に関するものである。
近年、航空機や自動車部材の軽量化要求に伴う繊維強化プラスチック(FRP)の需要拡大に伴い、FRP部材のハイサイクル生産技術開発が進んでいる。プリプレグによるFRP部材の成形においては脱オートクレーブ化が進み、プレス成形による高速成形技術の開発が進んでいる。また連続繊維からなる基材では単純なプレスによる成形が難しい複雑形状を有する自動車部材などを対象に、繊維束に切り込みを入れることで賦形性を向上させたプリプレグや繊維束をチョップしてランダムに分散させた不連続繊維からなるシートモルディングコンパウンド(SMC)等の中間基材(以下、単に「基材」という場合がある)の需要が増えている。
良好な成形品を得るためには成形中に発生する皺等の賦形不良を無くすことが求められる。しかしながら、成形中の複雑な基材の動きをあらかじめ把握することは難しく、従来は試作型によるトライ&エラーで成形プロセスの検討がされてきたため、型製作や材料費あるいは検討に要する時間などが課題となっていた。そこで、最適な成形条件の検討に要するコストと検討期間の削減のためにコンピューターシミュレーション技術の研究開発が進められてきた。
最近ではシミュレーション技術に対する要求が高度化しており、自動車部材では局所的な繊維束の乱れによって発生する目ヨレや微小な皺、成形中の樹脂流動による繊維の動きまで予測し、成形プロセスの開発期間短縮や検討コスト削減に貢献することが求められている。したがって、樹脂流動まで考慮し、プリプレグ成形中の局所的な変形状態の評価が可能で、かつ実用的な計算コストで解析できるシミュレーション技術が必要となっている。
成形中の樹脂流動まで考慮可能な技術として、例えば特許文献1が知られている。特許文献1に記載の技術においては、金型内のリブ構造などの複雑形状へ圧縮充填される樹脂流動の解析を可能にしているが、プリプレグのような層構造を持つ基材のプレス成形解析に適用できるものではなかった。
また、非特許文献1では強化繊維束の形状から織構造まで詳細に定義し、メゾスケールモデルを作成するアルゴリズムが記されている。本アルゴリズムに沿って作成されたメゾスケールの解析モデルでは強化繊維束1本1本の詳細な挙動によって発生する局所的な変形を解析することが可能となる。しかしながら、解析対象が大きくなると要素数が莫大な数となり計算コストが実用化出来ないレベルに増大してしまう。
また部材スケールの局所変形を解析する技術として、例えば特許文献2ではミクロスケールモデルで材料特性を予測し、その結果をマクロスケール解析に適用するマルチスケール解析技術が提案されている。さらに特許文献2ではグローバル解析(全体解析)の変位情報を参照して、詳細に評価したい箇所のみローカル解析(局所解析)を実施するズーミング解析手法が提案されている。本提案においてはローカル解析モデルの要素サイズを十分細かくすることで局所的な詳細評価を可能としている。しなしながら、特許文献2に記載の技術は、樹脂流動まで考慮した大変形を伴う解析に対応できるもではなかった。
特許第6603466号公報 特開2006−18454号公報 特開2007−11601号公報
Stepan V. Lomov et al, Meso−FE modelling of textile composites: Road map, data flow and algorithms, Composites Science and Technology 67 (2007) 1870-1891
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたもので、樹脂と強化繊維からなるプリプレグ成形中の局所的な変形状態を解析する場合において、プリプレグ成形中の挙動を樹脂の流動状態まで考慮して予測し、リブ成形のような局所的な大変形を伴う挙動や、微小な皺等の成形不良を、比較的短い解析時間で精度よく解析できるプリプレグ成形工程における局所変形解析手法を提供するものである。
上記課題を達成するため、本発明は以下のいずれかの方法を採用するものである。すなわち、
(1)樹脂と強化繊維からなるプリプレグ成形工程における局所的な変形状態を解析する手法であって、
樹脂と強化繊維を区別せず前記プリプレグを均一な連続体として扱うグローバルモデルを作成し、グローバル解析を実行するグローバル解析実行ステップと、
前記グローバル解析によって前記グローバルモデルの各要素における変位情報を取得し記憶する変位情報取得ステップと、
プリプレグを構成する樹脂を、オイラー型とラグランジュ型の両方の特徴を有するALE要素からなる樹脂要素、強化繊維を、ラグランジュ型の要素で構成された強化繊維要素としてモデル化し、前記強化繊維要素を前記樹脂要素の内部に配置してカップリング拘束を与えるローカルモデル作成ステップと、
前記グローバルモデルにおいて前記プリプレグが存在する領域に少なくとも一つ以上の前記ローカルモデルを配置するローカルモデル配置ステップと、
前記グローバル解析で得られた前記グローバルモデルの各要素における変位情報に基づいて、前記ローカルモデルに変位境界を与えて解析を実行するローカル解析実行ステップと、
を有するプリプレグ成形工程における局所変形解析手法。
(2)
前記グローバル解析実行ステップにおいて、プリプレグを少なくとも1層以上の
シェル要素、あるいは、シェル要素と膜要素の組み合わせによって構成するグローバルモデルを作成し、
前記ローカルモデル作成ステップにおいて、強化繊維を、少なくとも1層以上のシェル要素、膜要素、ビーム要素からなる群より選択される要素により構成する、前記(1)に記載のプリプレグ成形工程における局所変形解析手法。
(3)前記ローカルモデルの前記強化繊維要素が前記樹脂要素の内部に配置され、前記樹脂要素の応答によって、前記強化繊維要素の変位自由度を拘束するカップリング拘束を与えることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のプリプレグ成形工程における局所変形解析手法。
(4)前記ローカルモデルを作成するステップと前記ローカル解析実行ステップとが複数回実行されることを特徴とする前記(1)〜(3)に記載のプリプレグ成形工程における局所変形解析手法。
(5)前記樹脂が流動状態から硬化状態まで変化することを特徴する前記(1)〜(4)に記載のプリプレグ成形工程における局所変形解析手法。
本発明のプリプレグ成形工程における局所変形解析手法によれば、プリプレグ成形中の樹脂流動を考慮し、リブ成形のような局所的な大変形を伴う挙動や、微小な皺等の成形不良を比較的短い解析時間で解析することができる
本発明の一実施形態を示すプリプレグ成形工程における局所変形解析手法のフローである。 本発明の一実施形態に係るグローバルモデルを示す図である。 本発明の一実施形態に係るグローバル解析結果を示す図であり、(a)はグローバル解析結果の全体図であり、(b)はリブ成形部を拡大した図である。 本発明の一実施形態に係る基材のローカルモデルを示す図である。 本発明の一実施形態におけるオイラー型とラグランジュ型の両方の特徴を有する要素を用いた大変形解析を簡易的に示した図である。 本発明の一実施形態におけるカップリング拘束について簡易的に説明するための図である。 本発明の一実施形態におけるローカルモデルを示す図である。 本発明の一実施形態における変位情報の変形イメージであり、(a)はグローバルモデルの変形イメージ、(b)はローカルモデルの変形イメージを示す図である。 本発明の一実施形態に係るローカル解析結果を示す図であり、(a)はローカル解析結果の全体図であり、(b)はリブ成形部を拡大した図である。 本発明の一実施例におけるグローバル解析モデルを示す図であり、(a)はグローバルモデルの全体図であり、(b)はリブ成形部を拡大した図である。 本発明の一実施例におけるグローバル解析結果を示す図であり、(a)はグローバル解析結果の全体図であり、(b)はリブ成形部を拡大した図である。 本発明の一実施例における基材のローカルモデルを示す図であり、(a)は基材のローカルモデルの全体図であり、(b)は部分的に拡大した図である。 本発明の一実施例におけるローカル解析結果を示す図であり、(a)はローカル解析結果の全体図であり、(b)はリブ成形部を拡大した図である。
本発明の望ましい実施の形態について、以下の通り図面を参照しながら説明する。
図1は本発明におけるプリプレグ成形工程における局所変形解析手法のフローを示している。ステップS1では、プリプレグを想定した基材を均一な連続体として扱うグローバルモデルを作成し、グローバル解析を実行する。図2は本発明の一実施形態に係るグローバルモデル1を示している。グローバルモデル1はベース面2と基材のグローバルモデル3とリブ5を有するプレス4で構成されている。基材のグローバルモデル3をベース面2の表面に配置し、ベース面2に対して垂直に真っすぐプレス4を降下させ、基材のグローバルモデル3を圧縮する条件でグローバル解析が実行される。
プレス4のリブ5の幅Wに対して基材のグローバルモデル3の全体サイズが大きい場合、リブ5の近傍では基材が局所的な大変形をする可能性が高い。したがって、基材のグローバルモデル3の要素サイズは局所的な大変形に追随できるように十分細かくしておくことが好ましい。具体的にはリブ5の幅Wに対して基材のグローバルモデルの1辺の要素サイズLを式(1)の関係になるように決定することが好ましい。
L≦W/4 (1)
しかし、大規模なモデルになると要素サイズLを細かくすることによって、計算コストが増大するという問題がある。通常、基材のグローバルモデル3の要素サイズLは解析対象の大きさや形状にも依存するため、任意のサイズであって良いが、基材の大まかな動きをとらえられる程度であることが好ましい。具体的には、要素サイズLは2mm〜10mm程度であることが好ましく、さらに好ましくはリブ5の成形のような変形の追従精度を上げる必要がある箇所のみ要素サイズLを細かくすることが好ましい。
図3(a)は本発明の一実施形態に係るグローバル解析で得られた結果、図3(b)はプレス後のリブ成形部11の拡大図でプレス後の基材12のみを示したものである。本実施形態における解析条件では、プレス後の基材12は、全体的に見れば図2に示すプレス前の基材厚みtを保ったままとなり、プレス前の基材厚みをtと図3(b)に示すプレス後の基材厚みtは式(2)の関係となる。
≒t(2)
しかし、実際はプレスによって流動状態、あるいはそれに近い状態にある基材が圧縮されると内部圧力が上昇し、基材が圧縮されず内部圧力が上昇しないリブ成形部11との圧力勾配が発生し、基材がリブ成形部11に流入するような挙動となるため、局所的に見ればリブ成形部11におけるプレス後の基材厚みtはプレス前の基材厚みtから変化する。
本発明において、図2に示す基材のグローバルモデル3は、シェル要素、あるいは、シェル要素と膜要素の組み合わせによって構成される。シェル要素や膜要素のような2次元要素は、対象部材の肉厚が十分に薄いことを想定しており、図2に示す座標軸Z方向に当たる基材のグローバルモデル3の厚み方向の応力分布が考慮されない、すなわち平面応力状態を仮定している。したがって、図3(b)に示す本実施形態におけるグローバル解析で得られるプレス後の基材厚みtは、基材が面内に延伸あるいは収縮することよるポアソン効果のみを反映したものとなり、面外負荷による基材の変形を正確に解析することは出来ない。
面外負荷による基材の変形を正確に解析するために、3次元要素であるソリッド要素でモデル化することが考えられる。ソリッド要素でモデル化することによって、面外負荷によって発生する厚み方向の応力分布を考慮し、それに伴う変形を解析することが可能になる。しかしながら、基材全体をソリッド要素でモデル化すると計算時間が問題となり、複数枚の基材を積層する多層構造の場合には実用的な計算時間での解析が困難なものとなる。また、本発明の対象であるプリプレグのように成形中の樹脂流動などによって基材が大変形するような問題においては、構造解析で一般的に用いられるラグランジュ型のソリッド要素では基材の変形を追随することが出来ない。
そこで、本発明においては、グローバルモデルに対して行ったグローバル解析の結果を使い、局所的な大変形を解析するために作成したローカルモデルに対してローカル解析を実施することで上述の問題解決をはかる。
具体的に、ステップS1に続くステップS2ではグローバル解析によって、グローバルモデルの各要素における変位情報を取得する。各要素の変位情報は解析開始から終了までの時間に対して、その途中経過についても必要なだけ取得することが可能であり、取得した情報はコンピューターの記憶領域に残される。
ステップS3では、プリプレグを構成する樹脂と強化繊維を区別し、樹脂要素と樹脂を除く強化繊維化要素を作成し、強化繊維要素を樹脂要素の内部に配置してカップリング拘束を与えるローカルモデルを作成する。
図4は本発明の一実施形態に係る基材のローカルモデル21を示しており、樹脂要素22の内部に強化繊維要素23が配置されている。本発明において、樹脂要素22はオイラー型とラグランジュ型の両方の特徴を有する要素でモデル化される。オイラー型とは、空間に固定された座標系に従って物体の物理量の移動(変形)を解くことを特徴としており、解析では空間に固定された要素の中を移動する物理量の変化が計算される。したがって、大変形問題でも安定した解析が可能であり、流体挙動の解析に好適に用いられる。一方、通常の構造解析で用いられるラグランジュ型の解法では、座標系が物体に追従することを特徴とし、解析では要素自体の移動(変形)を解くため、固体の解析に好適に用いられる。
図5はオイラー型とラグランジュ型の両方の特徴を有する要素を用いた大変形解析の簡易的な例を示している。オイラー型とラグランジュ型の両方の特徴を有する要素は一般的にはALE(Arbitrary Lagrangian−Eulerian)要素と呼ばれている。図5に示す例では、剛体要素でモデル化した剛体31がALE要素でモデル化した物体32にめり込み、大変形する場合の解析イメージを示している。まず、通常の構造解析と同様のアプローチで、剛体31が物体32にめり込んだ際の変形を、座標系が物体に追従して要素自体の変形を解く、ラグランジュ解析が実行される。ラグランジュ解析によって解析対象である物体32の変形後の物理量33を得ることが出来る。次に、ラグランジュ解析で得られた物理量33が、空間に固定されたバックグラウンドメッシュ34上にマッピングされ、最終的な物体32の変形解析結果を得られる。以上ように、ALE要素はオイラー型の特徴とラグランジュ型の両方の特徴を有するため、流体―構造連成解析などの大変形を伴う問題に好適に用いられ、樹脂流動が支配的となるような問題でも安定して解析することが可能である。
本発明で使用される樹脂は熱硬化性、熱可塑性いずれの樹脂であってもよい。熱硬化性樹脂としては特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂などを用いることが出来る。繊維との接着性や成形性を考慮すると、エポキシ樹脂やビニルエステル樹脂を用いることが好ましい。また、熱可塑性樹脂も同様に特に限定されるものではないが、ABS樹脂、ナイロン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリオレフィン樹脂などを用いる事ができる。
また、本発明に係る樹脂は流動状態から硬化状態までの状態を対象としている。流動状態から硬化状態までの樹脂の材料特性として、例えば動的粘弾性試験で得られるデータなどを使用することが出来る。動的粘弾性試験では弾性の性質の大きさを表す貯蔵剛性率E’と粘性の性質の大きさを表す損失剛性率E’’が得られる。また、弾性の性質と粘性の性質のそれぞれの寄与度を表す損失正接tanδは式(3)の関係で表され、
tanδ=E’’/E’ (3)
tanδが大きいほど粘性体に近く、0に近いほど弾性体としての性質が強くなる。本発明における樹脂の流動状態とは、一般的に樹脂がゲル化した時の状態であるとされるtanδ=0.1を基準とし、tanδ≧0.1の状態を想定している。
強化繊維要素22はシェル要素、膜要素、ビーム要素のいずれか一つから選択される要素、あるいはそれらの組み合わせによって構成される。連続繊維で構成される基材の場合、シェル要素あるいは膜要素またはその組み合わせで構成されることが好ましい。不連続繊維で構成される基材の場合はビーム要素で構成されることが解析精度の点で好ましいが、シェル要素あるいは膜要素またはその組み合わせで構成されることが、モデル作成の簡便さや計算コストの点で好ましく、求められる解析精度などに応じて任意に選択することができる。
本発明における強化繊維としては、特に規定されるものではないが、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリパラフェニレン・ベンゾビス・オキサゾール(PBO)繊維などを用いることが出来、これらのうち1種類あるいは2種類以上を併用したものも使用することが出来る。構造としては、連続繊維が2方向に入っている構造の、平織、綾織、朱子織、簾織等の織り構造、または、連続繊維を一方向に配向させた構造、さらにはスティッチやバインダーヤーンを用いた、NCF(ノンクリンプファブリック)や3次元構造を有するものであっても良いが、賦形性、取り扱い性、コストなどの観点から平織、綾織、繻子織などの織り構造を有するものが好適に用いられる。
強化繊維の材料特性は、カタログデータなどから求めた任意のヤング率や応力―ひずみ線図から得られる特性であってもよいが、例えば樹脂が含浸されていないドライな状態の基材から1本の強化繊維を抽出して試験を実施し、取得した荷重−変位線図から得られる特性やヤング率を用いることも可能である。
図6は、カップリング拘束について簡易的に説明するための要素モデルであり、8つの節点A、B、C、D、E、F、G、Hで構成される主要素41と、主要素41の内部に存在する、4つの節点a、b、c、dで構成される従属要素42と従属要素42のカップリング拘束点e、f、g、hを示している。ここで主要素とは解析の際に設定された境界条件に従って応答する要素であり、従属要素とは主要素の応答によって変位自由度を拘束される要素を意味している。本発明において実施されるカップリング拘束では、最初に主要素41の内部に存在する従属要素42のカップリング拘束点が探索される。例えば、従属要素42のカップリング拘束点e、f、g、hが主要素の内部にあることが検出されると、カップリング拘束点e、f、g、hは幾何学的な位置に基づいて節点A、B、C、D、E、F、G、Hに拘束される。なお、従属要素上のカップリング点は少なくとも1点以上あればよく、カップリング拘束の精度を上げるために数を増やすことも可能であるが、要素1辺当たり2点から3点程度とすることが計算コスト、カップリング拘束精度をバランス良く保証できる点で好ましい。
より具体的に本発明の一実施形態においては、図4に示す樹脂要素22を主要素、強化繊維要素23を従属要素として、カップリング拘束が与えられる。プリプレグを構成する強化繊維は一般的には全体を樹脂に覆われているため、樹脂要素22の応答によって、樹脂要素22の内部に配置された強化繊維要素23の変位自由度が拘束されるように与えられることが好ましい。
強化繊維が樹脂に完全には覆われていない場合、樹脂要素22と強化繊維要素23が重複して存在する範囲、すなわち従属要素である強化繊維要素23の一部にだけにカップリング拘束を定義することも可能である。また、樹脂と基材間の摩擦抵抗を考慮することも可能であり、樹脂と基材間の摩擦抵抗が低いほど成形中に基材が樹脂からのせん断抵抗を受けず自由に動くような挙動を表現することが出来る。
カップリング拘束は例えば外部のプログラムを用いて与えることが可能である。あるいはLivermore Software Technology Corporation社により商用コード化され、学界や産業界などで幅広く活用されている、シミュレーションソフトウェアLS−DYNAには上記のカップリング拘束を与える機能が備わっており、モデル化にあたってその機能を用いることも可能である。上述のように生成した基材のローカルモデル21を活用すれば、プリプレグ成形中の樹脂流動や樹脂と強化繊維の相互作用まで考慮することが可能となる。
しかしながら、図4に示す基材のローカルモデル21を実部材スケールの基材サイズまで拡張すると、要素数が莫大なものとなってしまい、計算時間が実用レベルでの活用が不可能なレベルに増大してしまう。そこで、本発明においては部分的に評価したい箇所のみをローカルモデルで解析する。
すなわち、ステップS4で、図2に示すグローバルモデル1の基材のグローバルモデル3が存在する領域に少なくとも1つ以上の基材のローカルモデルを配置し、ローカルモデルを作成する。図7は本発明の一実施形態におけるローカルモデル51を示しており、ローカルモデル配置エリア52にステップS3で作成した基材のローカルモデル53を配置する。ローカルモデル配置エリア52はグローバルモデル1において成形前の基材のグローバルモデル3が存在する範囲内であり、ローカルモデル51で詳細に評価したい任意の箇所に設定される。本実施形態においては基材のローカルモデル53が成形型のリブ成形部5に当たる範囲に配置されている。
そして、ステップS5ではグローバル解析が実行された基材のグローバルモデル3の各要素における変位情報に基づいて、基材のローカルモデル53に変位境界が与えられ、ローカル解析が実行される。境界条件は、基材のローカルモデル53の任意の指定された範囲に、基材のグローバルモデル3の各要素に基づいた変位情報が内挿され、変位条件として与えられる。本実施形態では、基材のローカルモデル53の側面54a、54b、54c、54dにおいて、従属要素である強化繊維要素22に属する節点に、基材のグローバルモデル3の各要素における変位情報に基づいた変位境界が与えられる。
図8(a)は本発明の一実施形態におけるグローバル解析の結果得られたグローバルモデルの変形イメージ61、図8(b)は本発明の一実施形態におけるローカル解析の結果得らえたローカルモデルの変形イメージ71を示している。グローバルモデルの変形イメージ61上のA−B−C−D線はローカルモデルの変形イメージ71の樹脂要素72の内部の配置された強化繊維要素73の境界エッジであるa−b−c−d線と一致している。
ローカルモデルの変形イメージ71はグローバル解析の結果得られるグローバルモデルの変形イメージ61の各要素の変位情報に基づいて解析されたものである。グローバルモデル上のA−B−C―D線にあたるローカルモデルの境界ラインa−b−c−d線上の節点には、境界ラインa−b−c−d線を含むグローバルモデルの要素が探索され、そのグローバルモデルの各要素の節点がもつ変位量が内挿される。境界ラインa−b−c−d線上の節点に内挿された変位量をローカルモデルの変位境界条件としてローカル解析が実行され、ローカルモデルの変形イメージ71が得られる。
本発明のローカルモデルを適用したローカル解析によれば、グローバルモデルの要素サイズを細かく分割しても表現できない局所的な大変形であっても、表現することができる。
図9(a)は、本発明の一実施形態におけるグローバル解析によって得られた変位情報に基づいた変位量が与えられ実行された、ローカル解析途中のローカルモデルの変形状態、図9(b)はプレス後のリブ成形部81の拡大図を示している。図9(b)に示すように、プレス後のリブ成形部81において、樹脂要素82と樹脂要素82の内部に配置された強化繊維要素83がリブ成形部81に流入している様子が確認される。ローカルモデルの樹脂要素82がプレスされるとプレス領域にある樹脂要素82の内部圧力が上がり、内部圧力が上がらないリブ成形部81との圧力勾配によって基材が押し出されて流入し、リブ成形される挙動が表現されている。
以上のように本発明のプリプレグ成形工程における局所変形解析手法によれば、グローバル解析結果を参照し、詳細に評価したい箇所のみをローカルモデルで解析することが可能となるため、プリプレグ成形中の局所的な変形を詳細に評価することが可能となる。また、オイラー型とラグランジュ型の両方の特徴を有する要素でモデル化した樹脂要素と、樹脂要素の内部に強化繊維要素を配置しカップリング拘束を与えたローカルモデルで解析評価することで、プリプレグ成形中の樹脂流動を伴うような大変形であっても比較的短い計算時間で安定した解析評価が可能となる。したがって、本解析手法は、プリプレグのプレス成形において、リブ成形のような局所的な大変形を伴う挙動、プリプレグ成形中に発生する微小な皺などの欠陥を予測し、最適な成形条件の検討や提案などに好適に活用することが出来る。
以下に具体的な実施例および比較例を示す。なお、本発明は、これらの実施例や比較例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示すステップによりプリプレグ成形工程における局所変形解析を実施した。まずが図1に示すフローに従いステップS1から実施した。図10(a)は本実施例に係るグローバルモデル101、図10(b)はリブ成形部102の拡大図を示している。グローバルモデル101は長手方向(X方向)に100mm、短手方向(Y方向)に50mmのベース面103と2か所のリブ104、105を有するプレス106と、樹脂と強化繊維を区別せず厚み0.15mm/層のシェル要素でモデル化した8層(トータル厚み:1.2mm)のプリプレグ基材のグローバルモデル107a、107b、107c、107d、107e、107f、107g、107hで構成されている。
図11(a)は本実施例に係るグローバル解析結果、図11(b)はグローバル解析結果のリブ成形部111における拡大図を示している。グローバル解析はベース面102とプレス105の間に挟んだ8層のプリプレグ基材のグローバルモデル107a、107b、107c、107d、107e、107f、107g、107hを、プレス106をベース面103に対して垂直に0.5mm降下させて圧縮する条件で実行した。図10(a)に示すプレス前のトータル厚みt=1.2mm、図11(b)に示すプレス後の基材のトータル厚みt=1.2mmであり、プレス前のトータル厚みのままであることが確認された。
ステップS2ではグローバル解析の結果得られた変位情報がコンピューターの記憶領域に残される。本実施例においては、図11(a)に示すグローバル解析結果の変位情報を記憶領域に残した。
図12(a)はステップS3で作成した本実施例に係る基材のローカルモデル121、図12(b)は基材のローカルモデル121のコーナー部122の拡大図を示している。プリプレグを構成する樹脂と強化繊維を区別し、ALE要素でモデル化した樹脂要素123とシェル要素でモデル化した8層の強化繊維要素124a、124b、124c、124d、124e、124f、124g、124hを樹脂要素123の内部に配置し、両要素間にカップリング拘束を与え、基材のローカルモデル121を作成した。
つづくステップS4ではステップS3で作成した基材のローカルモデル121を図10(a)に示すグローバルモデル101のリブ形成部102を含むように配置し、ステップS5ではステップS2で記憶した変位情報を基材のローカルモデルの8層のシェル要素124a、124b、124c、124d、124e、124f、124g、124hのエッジ上の節点に境界条件として与えてローカル解析を実行した。
図13(a)は本実施例に係るローカル解析結果、図13(b)はリブ成形部131におけるプリプレグ基材の拡大図を示しており、グローバル解析では確認できなかったリブ成形部131への基材の流入が確認された。リブ成形部131でのプリプレグ基材のトータル厚みt=2.1mmであり、プレス前のトータル厚み1.2mm対比で約1.8倍の値となった。ALE要素でモデル化した樹脂要素がリブ形成部に流入し、それに引きずられて基材のローカルモデルの8層のシェル要素がリブ形成部に流入する現象が表現できていることを確認した。
基材全体をローカルモデルでモデル化して計算すると莫大な計算時間を要するが、本実施例のように評価したい箇所のみローカルモデルを配置することによってリーズナブルな計算時間での評価が可能になる。またALE要素というオイラー型とラグランジュ型の両方の特徴を有する要素を用いることによって、本実施例のような局所的な大変形を安定して解析することが可能であることが実証された。
(比較例1)
図12(a)(b)に示すローカルモデルの樹脂要素を同じサイズで分割し、同等の剛性(粘度)を定義したラグランジュ型のソリッド要素でモデル化し、ローカル解析を実施した。しかし、プレスを0.1mm降下させたところで変形を追随できなくなり要素の異常変形が発生し、計算がストップした。以上の結果からローカルモデルにオイラー型とラグランジュ型の両方の特徴を有するALE要素を用いる本発明の優位性・有効性が実証された。
1 グローバルモデル
2 ベース
3 基材のグローバルモデル
4 プレス
5 リブ
11 リブ成形部
12 プレス後の基材
20 ローカルモデル
21 樹脂要素
22 繊維要素
31 剛体
32 ALE要素でモデル化した物体
33 変形後の物理量
34 バックグラウンドメッシュ
41 主要素
42 従属要素
51 ローカルモデル
52 ローカルモデル配置エリア
53 基材のローカルモデル
54a,54b、54c、54d 基材のローカルモデルの側面
61 グローバルモデルの変形イメージ
71 ローカルモデルの変形イメージ
72 ローカルモデルの変形イメージの樹脂要素
73 ローカルモデルの変形イメージの強化繊維要素
81 プレス後のリブ成形部
82 プレス後のリブ成形部の樹脂要素
83 プレス後のリブ成形部の強化繊維要素

Claims (5)

  1. 樹脂と強化繊維からなるプリプレグ成形工程における局所的な変形状態を解析する手法であって、
    樹脂と強化繊維を区別せず前記プリプレグを均一な連続体として扱うグローバルモデルを作成し、グローバル解析を実行するグローバル解析実行ステップと、
    前記グローバル解析によって前記グローバルモデルの各要素における変位情報を取得し記憶する変位情報取得ステップと、
    プリプレグを構成する樹脂を、オイラー型とラグランジュ型の両方の特徴を有するALE要素からなる樹脂要素、強化繊維を、ラグランジュ型の要素で構成された強化繊維要素としてモデル化し、前記強化繊維要素を前記樹脂要素の内部に配置してカップリング拘束を与えるローカルモデル作成ステップと、
    前記グローバルモデルにおいて前記プリプレグが存在する領域に少なくとも一つ以上の前記ローカルモデルを配置するローカルモデル配置ステップと、
    前記グローバル解析で得られた前記グローバルモデルの各要素における変位情報に基づいて、前記ローカルモデルに変位境界を与えて解析を実行するローカル解析実行ステップと、
    を有するプリプレグ成形工程における局所変形解析手法。
  2. 前記グローバル解析実行ステップにおいて、プリプレグを少なくとも1層以上の
    シェル要素、あるいは、シェル要素と膜要素の組み合わせによって構成するグローバルモデルを作成し、
    前記ローカルモデル作成ステップにおいて、強化繊維を、少なくとも1層以上のシェル要素、膜要素、ビーム要素からなる群より選択される要素により構成する、請求項1に記載のプリプレグ成形工程における局所変形解析手法。
  3. 前記ローカルモデルの前記強化繊維要素が前記樹脂要素の内部に配置され、前記樹脂要素の応答によって、前記強化繊維要素の変位自由度を拘束するカップリング拘束を与える、請求項1または2に記載のプリプレグ成形工程における局所変形解析手法。
  4. 前記ローカルモデル作成ステップと、前記ローカルモデル配置ステップと、前記ローカル解析実行ステップとが複数回実行される、請求項1〜3のいずれかに記載のプリプレグ成形工程における局所変形解析手法。
  5. 前記プリプレグ成形工程において、前記樹脂が流動状態から硬化状態まで変化する、請求項1〜4のいずれかに記載のプリプレグ成形工程における局所変形解析手法。
JP2020023054A 2020-02-14 2020-02-14 プリプレグ成形工程における局所変形解析手法 Pending JP2021128570A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020023054A JP2021128570A (ja) 2020-02-14 2020-02-14 プリプレグ成形工程における局所変形解析手法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020023054A JP2021128570A (ja) 2020-02-14 2020-02-14 プリプレグ成形工程における局所変形解析手法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021128570A true JP2021128570A (ja) 2021-09-02

Family

ID=77488730

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020023054A Pending JP2021128570A (ja) 2020-02-14 2020-02-14 プリプレグ成形工程における局所変形解析手法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021128570A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114103171A (zh) * 2021-11-24 2022-03-01 长三角先进材料研究院 一种适用于多腔结构的预浸料增强树脂传递成型方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114103171A (zh) * 2021-11-24 2022-03-01 长三角先进材料研究院 一种适用于多腔结构的预浸料增强树脂传递成型方法
CN114103171B (zh) * 2021-11-24 2024-04-12 长三角先进材料研究院 一种适用于多腔结构的预浸料增强树脂传递成型方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Gereke et al. A review of numerical models for 3D woven composite reinforcements
Bussetta et al. Numerical forming of continuous fibre reinforced composite material: A review
US20210357555A1 (en) Data-driven representation and clustering discretization method and system for design optimization and/or performance prediction of material systems and applications of same
Zhang et al. A numerical Bayesian-calibrated characterization method for multiscale prepreg preforming simulations with tension-shear coupling
Jacques et al. Application of periodic boundary conditions on multiple part finite element meshes for the meso-scale homogenization of textile fabric composites
CA2815968A1 (en) Novel composite parts, methods and apparatus for manufacturing the same
Bodaghi et al. On the variability of mesoscale permeability of a 2/2 twill carbon fabric induced by variability of the internal geometry
Tao et al. Uncertainty quantification of mechanical properties for three-dimensional orthogonal woven composites. Part I: Stochastic reinforcement geometry reconstruction
Yu et al. Simulating the effect of fabric bending stiffness on the wrinkling behaviour of biaxial fabrics during preforming
Cherouat et al. Numerical tools for composite woven fabric preforming
Poorzeinolabedin et al. Resin infusion under flexible tooling process and structural design optimization of the complex composite part
Zhang et al. Computational design of fabric formwork
Sun et al. Dry textile forming simulations: a benchmarking exercise
Khurana et al. Structurally intelligent 3D layer generation for active-Z printing
JP2021128570A (ja) プリプレグ成形工程における局所変形解析手法
Lamers Shape distortions in fabric reinforced composite products due to processing induced fibre reorientation
Bingol et al. An integrated framework for solid modeling and structural analysis of layered composites with defects
Liu et al. Experimental characterization and analysis of fiber orientations in hemispherical thermostamping for unidirectional thermoplastic composites
Drach et al. Finite element models of 3D woven composites based on numerically generated micro-geometry of reinforcement
Vijayachandran et al. Steered fiber paths for improved in-plane compressive response of aerostructural panels: Experimental studies and numerical modeling
Holman et al. Analyzing the composite 3-D printer frame for rigidity
Nagengast et al. Design for Sustainable Additive Manufacturing (DfsAM): Preperation and Validation of a Transversely Isotropic Simulation Model for FFF Components Made from Virgin and Recycled Polypropylene Filaments
Sherratt et al. A model for permeability in fibre-reinforced plastics
Swery et al. Verification of FlowTex Solver using Ansys CFX; Examining the permeability prediction method on a range of textile architecture models
JP2020045466A (ja) プリプレグの有限要素解析手法