JP2021118955A - 子宮腔に配置可能な器具 - Google Patents

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Abstract

【課題】子宮内避妊器具、およびそれを送達および使用する方法を提供する。【解決手段】本発明の子宮内避妊器具は、3次元(3D)構造体を形成することができる部分を含むワイヤを含む。3D構造体は、弛緩した子宮腔によって加えられる力よりも大きい圧潰力によって部分的に潰れた構成へと弾性的に変形可能である。また、3次元構造体は、子宮腔の収縮および拡張に応じて弾性的に収縮および拡張できる。【選択図】図2

Description

本発明は、子宮腔に配置可能な器具に関し、より詳細には、避妊するため、または子宮関連障害例えば月経過多を治療するために構成される子宮内避妊器具に関する。
子宮内避妊器具(IUD)は、子宮腔に植え込まれる小型の器具であり、受胎調節のために使用できるものである。避妊用IUDには2つの一般的なタイプがある。すなわち、銅付加IUDとホルモン付加IUDである。
銅付加IUD(例えば、パラガード)が最も一般的に使用されているIUDである。銅付加IUDは、子宮および卵管に、精子に有毒な、白血球、銅イオン、酵素、およびプロスタグランジンを含む液を生成するよう強いる。
ホルモン付加IUD(例えば、ミレーナまたはスカイラ)は、ホルモンの一形態のプロゲスチンを放出する。ホルモン付加IUDは、精子を損傷または死滅させ、精子の子宮への移動を妨げ(粘液を粘稠性かつ粘着性にすることによる)、受精卵の着床と成長を防ぐ(子宮内膜の肥厚を防ぐことによる)ことによって受精を妨げる。また、ホルモン付加IUDは月経時の出血および痙攣を軽減することができる。
銅付加IUDとホルモン付加IUDの両方共、避妊に有効であるが(ホルモン付加IUDは銅付加IUDよりも若干有効な可能性がある)、いずれもいくつか固有の限界がある。銅付加IUDは月経時の出血や痙攣を増加させ得るが、ホルモン付加IUDは、経口避妊薬により生じる副作用と同様の副作用、例えば乳房圧痛、気分変動、頭痛、座瘡を生じさせる可能性がある。ホルモン付加IUDは、卵巣嚢胞のリスクを高める可能性もある。
また、上記に加えて、両方のタイプのIUDとも、子宮壁の穿孔を引き起こすことがあり、脱出(expulsion)を受けやすい。女性1,000人のうち1人程度において、IUDは、通常では挿入中に、子宮壁に突き刺さるか子宮壁を穿孔する。最初の1年間に、100個中2〜10個程度のIUDが子宮から膣に排出されている。IUDを出産直後に挿入した場合、または妊娠経験のない女性か、20歳以下の女性である場合、脱出する可能性が高い。
現在使用されているIUDのもう1つの限界は、位置の不良である。正しい位置にないIUD、または使用中に最適な位置から移動したIUDは、避妊の効果がより少ない可能性がある。妊娠した場合、IUDが存在していると、特に妊娠第2期での流産のリスクが高まる。妊娠初期にIUDを除去すると、依然として早産のリスクを負うことになる。
したがって、上記の限界がないが、避妊、または子宮関連障害の治療のために使用できる子宮に植込み可能な器具を有することは、非常に有利である。
本発明の一態様によると、弛緩した子宮腔によって加えられる力よりも大きい圧潰力(crush force)によって部分的に潰れた構成へと弾性的に変形可能な3次元構造体を形成する部分を含むワイヤを含む子宮内避妊器具であって、3次元構造体は、子宮腔の収縮および拡張に応じて弾性的に収縮および拡張できる、子宮内避妊器具が提供される。
以下に記載する本発明の好適な実施形態におけるさらなる特徴によれば、圧潰力が少なくとも15g/cmであり、60g/cm以下である。好ましくは、子宮内避妊器具は、約15g/cmの圧潰力が概ね球形の3次元構造体を部分的に潰し、一方で任意のさらなる圧潰力がさらに器具を約50〜60g/cmの総圧潰力でほぼ完全に平らにするように構成される。
記載している好適な実施形態のまたさらなる特徴によれば、3次元構造体の直径は12〜20mm、好ましくは13mmである。
記載している好適な実施形態のまたさらなる特徴によれば、3次元構造体のワイヤが、ワイヤの自由端に対する100〜150gの牽引力によって弾性的に直線化できる。
記載している好適な実施形態のまたさらなる特徴によれば、3次元構造体は、互いに対して角度のある少なくとも2つのループ状構造体によって形成される。
記載している好適な実施形態のまたさらなる特徴によれば、ワイヤの直径は0.4〜0.6mmである。
記載している好適な実施形態のまたさらなる特徴によれば、ワイヤはニチノール製である。
記載している好適な実施形態のまたさらなる特徴によれば、少なくとも2つのループ状構造体が、互いに対して80〜100°の角度で配置される。
記載している好適な実施形態のまたさらなる特徴によれば、少なくとも2つのループ状構造体は各々、直径が12〜14mmである。
記載している好適な実施形態のまたさらなる特徴によれば、少なくとも2つのループ状構造体の間の角度は、3次元構造体が弾性的に収縮するときに狭まる。
記載している好適な実施形態のまたさらなる特徴によれば、少なくとも2つのループ状構造体の少なくとも1つが、3次元構造体が弾性的に収縮したときに弾性的に楕円形になる。
記載している好適な実施形態のまたさらなる特徴によれば、器具は、ワイヤに付属するビーズをさらに備える。
記載している好適な実施形態のまたさらなる特徴によれば、ビーズの直径は1.5〜6.0mmである。
記載している好適な実施形態のまたさらなる特徴によれば、ビーズは3次元構造体を形成するワイヤに沿って離間している。
記載している好適な実施形態のまたさらなる特徴によれば、ビーズの一部はワイヤ上で自由に摺動する。
記載している好適な実施形態のまたさらなる特徴によれば、ビーズは銅で作られている。
記載している好適な実施形態のまたさらなる特徴によれば、ビーズは活性薬剤を含む。
記載している好適な実施形態のまたさらなる特徴によれば、活性薬剤は、ホルモン、組織切除作用薬、化学薬品、および医薬品からなる群から選択される。
記載している好適な実施形態のまたさらなる特徴によれば、ワイヤは、子宮腔で活性薬剤を放出することができる材料でコーティングされている。
記載している好適な実施形態のまたさらなる特徴によれば、活性薬剤は、ホルモン、組織切除作用薬、化学薬品、および医薬品からなる群から選択される。
本発明の別の態様によると、子宮腔を治療するためのシステムであって、(a)弛緩した子宮腔によって加えられる力よりも大きい圧潰力によって部分的に潰れた構成へと弾性的に変形可能な3次元構造体を形成する部分を含むワイヤであって、3次元構造体が、子宮腔の収縮および拡張に応じて弾性的に収縮および拡張できるワイヤと、(b)ワイヤを子宮腔内へ前進させるための送達ガイドとを含むシステムが提供されている。
記載している好適な実施形態のまたさらなる特徴によれば、送達ガイドから前進したときにワイヤの部分が3次元構造体を形成するように、送達ガイドは、ワイヤを線形構成で維持する。
記載している好適な実施形態のまたさらなる特徴によれば、3次元構成は、ワイヤの部分が送達ガイドから前進する際に、順次ワイヤがループになることよって形成される。
記載している好適な実施形態のまたさらなる特徴によれば、システムは、送達ガイドに取り付け可能な画像化ユニットまたは照明ユニットをさらに備える。
本発明のさらに別の態様によると、子宮腔内に子宮内避妊器具を送達することを含む、子宮腔を治療する方法であって、器具は、弛緩した子宮腔によって加えられる力よりも大きい圧潰力によって部分的に潰れた構成へと弾性的に変形可能な3次元構造体を形成する部分を含むワイヤを含み、3次元構造体は、子宮腔の収縮および拡張に応じて弾性的に収縮および拡張できる方法が提供されている。
記載している好適な実施形態のまたさらなる特徴によれば、ワイヤは、受胎調節薬、薬物、組織切除作用薬、化学薬品および医薬品からなる群から選択される活性薬剤を含む
本発明は、子宮腔内での最大の安定性および最小の子宮壁刺激(最大服薬遵守)および使用者の不快感のために構成された子宮内避妊器具を提供することによって、現在公知の構成の欠点に首尾よく対処する。
他に定義されない限り、本明細書で使用されているすべての専門用語および科学用語は、本発明が属する当分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似または等価な方法および材料を本発明の実施または試験に使用することができるが、適切な方法および材料を以下に記載する。紛争の場合、定義を含む特許明細書が支配する。さらに、材料、方法、および実施例は例示的なものに過ぎず、限定することを意図するものではない。
本発明は、本明細書に例としてのみ、添付の図面を参照して記載される。これから詳細に図面を明確に参照しながら、提示される子細が、例としてのもので、また本発明の好適な実施形態の説明的な議論だけが目的のものであり、本発明の原理および本発明の概念的な態様の最も有用かつ容易に理解される説明と考えられるものを提供するために提示するということを強調する。この点で、本発明の基礎的理解のために必要であるよりもさらに詳細に、本発明に関する構造の細部を示す試みは一切なく、図面を用いてなされる説明から、いかにして本発明のいくつかの形態が実際には具体化され得るのかを当業者に明らかにする。
弛緩した状態の子宮腔を示す。 弛緩した子宮腔内に配置された、先行技術のT字形IUDを示す。 3次元構成の本発明の器具を示す。 弛緩した子宮壁の力によって部分的に圧縮された図2の器具を示す。 ワイヤに配置された、銅イオン放出ビーズを含む図2の器具の構成を示す。 本発明の器具を子宮腔に送達するのに利用可能な送達ガイドを示す。 子宮腔内で送達ガイドから押し出されるときの、本発明の器具の3次元構造体の段階的な形成を示す。 子宮腔内で送達ガイドから押し出されるときの、本発明の器具の3次元構造体の段階的な形成を示す。 子宮腔内で送達ガイドから押し出されるときの、本発明の器具の3次元構造体の段階的な形成を示す。
本発明は、避妊、または子宮関連障害の治療に使用できる植込み型器具である。具体的には、本発明は、避妊、更年期治療のためのホルモン放出、子宮内感染症の治療、または子宮内膜障害および子宮筋障害の治療に適した活性薬剤を放出できる子宮内避妊器具に関する。
本発明の原理と操作は、図面と付随する説明を参照しながらより良く理解することができる。
本発明の少なくとも1つの実施形態について詳細に説明する前に、本発明の適用は、以下の説明に記載されている詳細や、実施例によって例示されている詳細に限定されないということを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、多様な様式で実施または実行することができる。また、本明細書で使用している言い回しや用語が、説明を目的としたものであり、限定しているとみなすべきではないことを理解すべきである。
弛緩した状態では、子宮腔は実質的に体積がない、単なるスリットである(図1a)。子宮が収縮している間、子宮壁は、互いに弛緩および収縮する。弛緩すると、子宮壁は内側へ10mmHg(約13.5g/cm)の力を加えるが、収縮下では、子宮壁が内側へ加える力は、50〜60mmHg(約67〜82g/cm)以上に上昇する可能性がある(Gestel et al. Human Reproduction Update, Vol. 9, No. 2 pp. 131-138, 2003)。
現在利用されているIUDの全体的な設計は、数十年間変わっていない。弛緩した子宮の解剖学的な空間の抑制で押しつけられるからである。そのため、最も広く使用されているIUDは、IUDと弛緩した子宮壁との間の強制的な接触を最小限に抑える平らなT字形器具(図1b)として構成されている。ただし、その3つの尖った鋭利なかどが収縮する壁を突き刺し、刺激する場合がある。こうした設計は避妊において有効であるが、子宮が収縮している間、弛緩した子宮壁によって与えられる器具を安定しようとする力が著しく減少するので、穿孔、位置の不良、および脱出に至ることがある。
さらに、現在利用されているIUDは、平らなT字形設計により、送達が困難であり、挿入器具から出るとき、矢のような動きで前進するため、挿入中に組織壁に穿孔が生じることがある。
平らなIUDのこれらの問題を解決するために、本発明者らは、先の出願(米国特許第20110271963号)で3次元的なIUDについて説明しており、これは子宮腔内へ送達する間、単一のワイヤから形成され、子宮が弛緩した状態にあるとき実質的に平らな構成をとることを想定しながら、子宮壁の動きに合わせて収縮および拡張することができるものである。
この大躍進と言える(breakthrough)設計に関して実施した実験では、検証を行った被験者において移動の発生率が減少したことと、快適さが高水準であることが示された。この設計は、平らなIUDより移動に曝されにくいことが示されたが、特に弛緩時について、子宮での器具の安定性を高める、器具に対する改良が追求された。
本発明を実施するにあたり、本発明者らは予想外に、弛緩した子宮壁によって完全に平らになるのではなく、むしろ子宮壁にわずかな反対力を加える器具が、移動しにくく、位置の不良が起こりにくく、子宮から排出されにくいということを発見した。本発明者らは、理論に縛られることなく、単一の(複数のループの)ワイヤから構成される完全に平らになる器具は、弛緩した子宮壁の動きによって引き起こされる「器具の這回り」を受けやすいと考えている。
この問題に対処するために、本発明者らは、弛緩した子宮の壁によって加えられた力の下で器具が完全に平らになることを防ぎながら、動きのある子宮に合わせて器具を収縮および拡張することができる、特異的な圧潰力と直径の範囲によって特徴づけられる3次元の器具を設計した。
以下の実施例のセクションでさらに説明しているように、これらの特徴は、特に器具の安定性に関して、米国特許第20110271963号に記載されている器具を凌ぐ相当の利益を本発明の子宮内避妊器具にもたらす。
したがって、本発明の一態様による子宮内避妊器具が提供されている。本明細書で使用されている「子宮内避妊器具」は、好ましくは膣腔と頸部を経る送達で、子宮腔内に植込み可能な任意の器具を示す。本明細書にさらに記載しているように、そのような器具は、好ましくは、任意の長さの期間、例えば数分、数時間、数日、数週間、数カ月、または数年の間、避妊(避妊IUDまたは受胎調整IUD)、または子宮の障害、例えば月経過多の治療や、子宮内膜または子宮筋への医学または外科的な療法の処置をすることができる活性薬剤を放出するように構成される。
本発明の器具は、弾力的に変形可能な3次元構造体を形成できる部分を有するワイヤを含んでいる。
ワイヤは、事前に3次元構造体に形作ることができ、ワイヤの両端にかかる牽引力によって直線状にできるよう選択された弾性材料で構成できる。3次元構成と線形構成との間のそのような移行は、材料の弾性的性質と、ワイヤの端部に牽引力がないときに3次元の形状を維持できること(例えば、形状記憶)から、反復してもたらすことができる。
そのような目的に適した材料の例には、合金、例えばステンレス鋼、ニッケル・チタン、銅・アルミニウム・ニッケル、および他の銅含有合金、またはポリマー、例えばポリウレタン、ポリオール、ポリエチレンテレフタレート、およびアクリレートが挙げられる。
ワイヤは長さ50〜100mmで、3次元構造体を形成する部分が全長(10〜100mm)の50〜100%であってもよい。
本発明の器具の3次元構造体は、互いに関して角度がある、ワイヤの2つまたはそれ以上の連続ループによって形成される。ループの直径は12〜18mmであることができ、また1つのループが、第2のループの平面内に配置され、互いに対して60〜120°、好ましくは80〜100°の角度になる(角度は、ループを相互に接続しているワイヤの部分で測定される)ように構成される(2ループ構成)。したがって、ループは、4.5〜10.1cm(好ましくは6〜8cm)の表面積を有するほぼ球形の0.9〜3.0cm(好ましくは1〜1.5cm)の体積を「閉じ込め」るループ・イン・ループ構造を形成する。3次元構造体と、線形/直線化したワイヤによるループの形成に関するさらなる説明を、以下に行う。
上記で説明しているように、本発明の器具は、前の設計の安定性を改善するために設計された。必要な安定性を実現するために、本発明者らは、全直径12〜20mmの器具と組み合わせた0.3〜1.0mmという直径のワイヤが、弛緩した子宮壁の力に対する弾性の抵抗を生じさせ、そのような力の下で、器具が動く子宮に合わせて収縮および拡張することを可能にしながら、器具の形状をわずかに変えること(および激しい収縮の下でほぼ完全に平らになること)を明らかにした。本発明の器具は、弛緩した子宮壁に対して反対力を加えるが、そのような反対力は、組織への刺激をもたらさず、いかなる不快感にも至らない。
上記のように、受胎調整器具として、または、子宮の障害例えば月経過多、あるいは他の子宮内膜または子宮筋の障害を治療するのに適切な器具として、本発明の器具を使用できる。
このように、本発明の器具は、金属イオンまたはホルモン(例えば、プロゲステロン、エストロゲン、メノトロピンホルモン、LHおよび/またはFSH)、抗生物質、抗炎症薬、硝酸銀、および/または避妊または子宮関連障害および状態を治療するに適した他の化学物質を放出するよう構成することができる。
活性薬剤は、ワイヤ、その上に配置されたコーティング、または構造体例えばワイヤに配置されたビーズから放出できる。
例えば、銅の場合、本発明の器具は、ワイヤに据え付けた直径1.5〜6.0mmの銅のビーズを含むことができる。純銅、金、銀または他のいずれかの金属で、避妊への有効性があるビーズを構成できる。
ビーズは、ワイヤに通して、ワイヤ上を自由に移動するようにしてもよく、その場合、ビーズは中心の貫通孔(直径0.4〜1.1mm)を含み、および/または接着剤または圧着によってワイヤに固定させてもよい。固定したビーズや自由に移動するビーズを含む本発明の器具の構成を図4に示すが、この図を以下でより詳細に説明する。
また、例えば、印刷、蒸着、吹き付け塗装などにより接着するか、ワイヤ上に形成される銅含有コーティングから銅イオンを放出することができる。
ホルモン、例えばエストロゲン、プロゲステロン、メノトピンなどは、ホルモン含有ポリマー、例えばシリコーンやポリビニルアルコール(PVA)で作られたホルモン含有ビーズまたはコーティングから放出することができる。
切除作用薬、例えばトリクロロ酢酸、硝酸銀、カンタリジン、ビタミンA誘導体または他の化学的に組織を破壊する薬剤を、切除作用薬含有ビーズまたはコーティングから放出することが可能である。ビーズまたはコーティングは、薬剤および随意選択の運搬材料(carrier material)を含むことができる。ビーズは、ワイヤに固定しても、摺動可能にワイヤ上に据え付けてもよい。
これから図面を参照していくが、図2は本明細書で器具10と言及される本発明の器具の1つの実施形態を示している。
器具10はワイヤ12を含んでおり、このワイヤ12は、第2のループ18に連続する第1のループ16により、3次元構造体14を形成している。ワイヤ12の両端(Eで示す)は、器具10のループ16および18によって画定される部分(volume)の向きに内側に回される。送達ガイドの中へ器具10を搭載するために、および身体から器具10を取り外すために、牽引用の紐57(図3および図5)に端部Eのいずれもを繋げることができる。そのような牽引用の紐は、ナイロン、ポリプロピレンまたはポリエチレンから作ることができ、接着、圧着などを通してワイヤ12に取り付けられる。以下に牽引用の紐57の機能について説明する。
ループ16および18は、連続セグメント20で接続させて、ここでループ16とループ18の間に角度「A」を形成する。角度「A」は80〜100°にすることができる。
器具10全体の直径(D)は12〜15mm、好ましくは13mmにすることができる。ループ16および18は12〜18mm、好ましくは13mmの実質的に等しい直径(d)である。ワイヤ12の直径(wd)は0.4〜1.0mm、好ましくは、0.6mmにすることができる。
上記のように、器具10は、弛緩した子宮腔の壁によって加えられる力の下で、部分的に圧縮されるように構成されている。
例えば、互いに対して90度の角度をなす2つの連続ループ(直径13mm)に形成されたニチノール製ワイヤ(直径0.5mm)から構成される13mmという全体の直径を有する器具10は、13.6g/cmの力で一部潰れて、高さ10mmの略楕円形(図3)を形成する。部分的に潰れているとき、器具10が弾性の反対力を子宮腔の壁に加え、それによって、器具10をしっかり定位置に固定する。器具10のこの平らに近いものにする構成で、約50〜60g/cmが必要となるであろう。
このような力の下で器具10が潰れることは、角度Aの変化(セグメント20にて弾性で曲がる)、ならびにループ16および18の各々における形状の変化(丸形から楕円形へ)(ループが弾性により曲がる)という2つの別個の機構または複合させた機構により、影響される。
器具10が1つの軸に沿って潰れることは、比較的少ない力(弛緩した子宮壁で出される)の下で曲がり得るセグメント20によって主として媒介される。そのようにして潰すことにより、器具10が、上記の楕円形の構成を想定することが可能になる。ループ16および18での形状の変化(丸形から楕円形へ)が(セグメント20がさらに曲がることと同様に)必要であるので、他の軸に沿って潰すには、より大きい力(子宮の収縮)が必要である。また、軸を併用して潰すことも可能であり、それは子宮腔での器具10の方向と収縮のタイプ次第である。
図4はワイヤ12にわたり配置されたビーズ22を含んでいる器具10の構成を示す。上記のように、ビーズ22はワイヤ12に固定してもよく、および/またはワイヤ12を自由に動くようにしてもよい。図4に示された構成では、ビーズ24および26がワイヤ12の両端に固定されているが、間にあるビーズ22は、ワイヤ12に沿って自由に動く。
ビーズ22(ビーズ24と26の間にある)がワイヤ12上で自由に摺動できるようにしながら、ビーズ24と16を固定することで、いくつかの利点が得られる。ビーズ24および26は、ワイヤ12の両端を保護(および鈍化)するので、送達中に組織を穿孔する可能性を最小限に抑え、使用中に鋭利なかどが組織を刺激または穿刺することを排除する。
ビーズ22(ビーズ24と26の間にある)がワイヤ12上で自由に摺動できるようにすることで、ビーズ22と子宮壁との接触が最適化され、それによってその中に含まれる活性薬剤と組織壁との間の接触が最大限のものになるとともに、使用中に静止しているビーズによって引き起こされる場合のある可能な刺激を減らす。
さらに、器具10が周期的に収縮および拡張するので、ワイヤ12に沿って固定されるビーズは、互いに引っかかって、器具の拡張または収縮を妨げる可能性がある。ビーズ22がワイヤ12に沿って摺動できるようにすることによって、ビーズが引っかかる可能性が低減される。器具10を取り外すとき、この点は特に重要である、なぜならビーズが引っかかることでワイヤの直線化が妨げられる可能性があるからである。
所望の形態でワイヤを維持できる型(例えば、マンドレル)にワイヤ(例えば、ニチノール)を巻きつけることによって、器具10を作製することができる。次に、型と巻きつけたワイヤを、成型された形にワイヤを固定するために、指定された時間加熱するか化学的に処理して、形を成したワイヤを型から取り除く。その後、形成されたワイヤ構造体はコーティングでき、および/またはビーズは、先頭のビーズと後端のビーズがはんだ付けを経て永続的にワイヤに付属している状態で、ワイヤに通すことができる。その後、先頭のビーズまたは後端のビーズからはみ出しているいかなる余分なワイヤも、切り落とすことができる。
上記のように、器具10は、活性薬剤を内部に放出するために子宮腔に植え込まれる。
子宮腔への器具10の送達と植え込みが、専用の送達ガイドを使用することで行われることが好ましい。
図5は、本明細書でガイド50と称されるこのような送達ガイドの1つの構成を示している。
ガイド50は、遠位開口部53と近位開口部55を備えるとともに、それらの間で腔部を画定する中空のチューブ52を含む。据え付けられるビーズ22と付属する牽引用の紐57を有するワイヤ12は、チューブ52の内腔に直線状にして配置される。器具10は、牽引用の紐57を内腔に通し、それを引っ張ることで、内腔に引くときにワイヤ12が形成する3次元構造体を直線化することによって、内腔に搭載することができる。そのような直線化に必要な典型的な牽引力は、100〜150gにすることができる。
また、ガイド50は、取っ手56に固定されたシャフト58を有するプランジャ54を含む。プランジャシャフト58は、近位開口部55からチューブ52の内腔に嵌入する。取っ手56を用いてシャフト58をチューブ52の内腔内に前進させ、それによってワイヤ12を、固定されたビーズ22が遠位開口部53から本発明の器具の2ループ3次元構造体を段階的に形成しながら前進させる。
図6a〜図6cは、送達ガイド50を使用する、器具10の子宮腔内への送達について示している。
ガイド50の遠位開口部53は、子宮計(hysterometer)(音)を使用して、挿入する前に子宮の深さを測定することによって、子宮腔に配置可能である。子宮頚管の底から外側の子宮口までの測定された深さは、ガイド50の挿入深度の基準として、チューブ52に記される。
次に、図6a〜図6cに示すように、プランジャ54(図6a〜図6cには図示せず)を用いてワイヤ12および付属するビーズ22を遠位開口部53から前進させることにより、線形ワイヤから器具10の3D構造の第1のループ(図6b)および連続する第2のループ(図6c)を形成する。次いで、子宮に器具10と付属の牽引用の紐57を残しながら身体から送達ガイド50を取り外し、その近位端は、膣管に位置決めされる。
また、送達ガイド50は、白色光または特殊な波長の光(例えば、青色光)で子宮腔を照らすために、付属の光源(例えば、LEDまたは光ファイバーの光)を含むことができる。また、送達ガイドは、子宮鏡を使用する代わりに3Dで子宮腔を画像化するためのカメラを含むことができる。
本明細書に使用される「約(about)」という用語は、±10%について言及している。
本発明の追加物、利点、および新規の特徴は、以下の実施例の吟味で当業者に明らかになるであろう。実施例は限定することを意図していない。
これから、以下の実施例について言及する。実施例は上記の説明と共に、非限定的な様式で本発明を説明している。
実施例1
米国特許第20110271963号の教示に基づくIUD器具を使用する臨床研究を2014年1月に開始した。研究は、50名の女性の被験者、1名の流産後の被験者を含み、月経の激しい者が39名、出産未経験者が44名であった。
51名の試験被験者のうち29名の3カ月の追跡データが得られ、分析を行った。10例の脱出が報告された。妊娠、穿孔または位置の不良の報告は一切なかった。29名のモニターされた被験者のうち、19/29は、「非常に満足」であり、9/29が「いくらか満足感がある」と報告した。
研究にはいかなる比較用の部門(arm)もなく、分析の基礎を提供するには限界があるが、脱出の問題が潜在的にあり得ることが観察された。この問題に対応するために、器具のインシチュの性能を向上させるべく、IUDは本明細書に記載しているように、改造した。設計の変更には、フレームの直径を10mmから13mmに30%増やし、0.335から0.432にワイヤの直径を約30%増加させてフレームの剛性を高め、さらに展性を低下させ、ひいてはそれがより良好な配置を促すようにすることを含んでいた。
実施例2
多施設共同研究
多施設共同研究が、本発明の器具の位置の不良の発生数と同様に、脱出率と妊娠率を検証するために行われた。患者の数は、15〜220名と多様であり、特定の組み入れ基準と除外基準を満たし、長い間作用する元の状態に戻れる避妊を必要としていた15〜42歳の女性が含まれていた。
以下の表1に、結果の概要を記す。
Figure 2021118955
総合的なデータは、公表されている有害事象率を満たしているか、改善しているように見える。研究群Bにおける脱出率は、候補の選択が十分なされていなかったこと(半数以上がベースラインで月経過多と月経困難に苛まれていた)と、異常に侵襲的な挿入術を採用していたことに関連づけられる。ほぼすべての脱出が、若い出産未経験者と流産後患者に関連していた。
QOLパラメータ、すなわち満足度、疼痛および出血の欠如は、研究群Bを含むすべての群で、予想と同等かまたはそれより良好であったように見える。総じて、本発明の器具の結果は有望である。
明瞭化のため別々の実施形態の文脈に記載されている本発明の特定の特徴は、単一の実施形態に組み合わせて提供することもできることが理解される。逆に、簡潔さのために単一の実施形態の文脈に記載されている本発明の様々な特徴を別々にまたは任意の適切な部分的な組合せでも提供することができる。
本発明をその特定の実施形態と共に説明してきたが、当業者にとって多くの代替、変更および変形が明らかであることは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の精神および広範な範囲内にあるそのような代替物、改変物、および変形物のすべてを包含することが意図されている。個々の刊行物、特許または特許出願が各々、具体的かつ個別に参照により本明細書に組み入れられることが示されているのと同じように、本明細書で言及したすべての刊行物、特許、および特許出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。さらに、本出願におけるいかなる参考文献の引用または同定も、そのような参照が本発明の先行技術として利用可能であることを認めるものと解釈してはならない。

Claims (10)

  1. 複数のビーズが取り付けられたワイヤを備えた子宮内避妊器具であって、
    前記ワイヤは、前記子宮腔の収縮および拡張に応じて弾性的に収縮および拡張できる3次元構造を形成する部分を含み、
    前記3次元構造は、15g/cmより大きい圧潰力の下で弾性的に収縮し、
    前記3次元構造体の直径は、13〜20mmであり、
    前記3次元構造体は、互いに対して角度のある少なくとも2つのループ状構造体によって形成され、
    前記少なくとも2つのループ状構造体の少なくとも1つが、前記3次元構造体が弾性的に収縮したときに弾性的に楕円形になる、前記子宮内避妊器具。
  2. 前記ビーズの各々の直径が1.5〜6.0mmである、請求項1に記載の器具。
  3. 前記ビーズは、前記3次元構造を形成する前記ワイヤに沿って離間している、請求項1に記載の器具。
  4. 前記ビーズの一部が前記ワイヤ上で自由に摺動する、請求項3に記載の器具。
  5. 前記3次元構造体の前記ワイヤは、前記ワイヤの自由端に対する100〜150gの牽引力によって弾性的に直線化できる、請求項1に記載の器具。
  6. 前記少なくとも2つのループ状構造体は、互いに対して80〜100°の角度で配置される、請求項1に記載の器具。
  7. 前記少なくとも2つのループ状構造体の間の角度は、前記3次元構造体が弾性的に収縮するときに減少する、請求項1に記載の器具。
  8. 前記ビーズが銅で作られている、請求項1に記載の器具。
  9. 前記ビーズが活性薬剤を含む、請求項1に記載の器具。
  10. 前記活性薬剤が、ホルモン、組織切除作用薬、化学薬品、および医薬品からなる群から選択される、請求項9に記載の器具。
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