JP2021110734A - 標識化シリカコート金ナノロッド及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、生体に投与しても安全であり、温度上昇や外部環境に対して安定で、製造が容易な蛍光標識化シリカコート金ナノロッドを提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、金ナノロッドと、上記金ナノロッドを覆うシリカ層と、上記シリカ層に化学結合したスペーサーと、上記スペーサーに結合した標識物質と、を備える、標識化シリカコート金ナノロッドである。また、本発明は、シリカコート金ナノロッドのシリカ層にスペーサーを導入する導入ステップと、上記スペーサーに標識物質を化学結合させる結合ステップと、を有する、標識化シリカコート金ナノロッドの製造方法も提供する。【選択図】図13

Description

本発明は、金ナノ粒子、特に、標識物質を結合させたシリカコート金ナノロッドに関する。
金微粒子は可視光領域での特徴ある光学特性のためにバイオイメージングや造影剤・ラベル化剤及びバイオセンサ等のナノ材料、さらにはフォトサーマル(光温熱)ナノ治療薬としての応用が注目されている。事実、金微粒子は一般に販売されている妊娠検査キットや病院で使用されるインフルエンザ簡易診断の発色剤として利用されている。
これら金微粒子の中で、棒状の金微粒子である金ナノロッドは、その光吸収や光散乱の波長域が生体組織透過性の“生体の窓”と呼ばれる近赤外領域(600-900 nm)まで長波長化が可能であり、バイオサイエンスへの展開に有益である。しかしながら、金ナノロッドはナノサイズ領域での形状安定化に懸念があり、また界面近傍での光エネルギー移動等による消光現象が高感度な発光剤としての応用を困難としている。
高感度なバイオイメージング等で重要な発光性に関しては、コアの金属と蛍光部位との距離・スペーサー長に依存して蛍光強度が異なることが立証されている。即ち、スペーサー長が減少すると蛍光強度が低下する。この理由から、これまでにポリマーやDNA等をスペーサーとして用いて発光性を調整している(非特許文献1)。
また、癌の検査において、X線CTとNIR蛍光イメージング画像を得るために、金ナノロッドにコーティングされた多孔質のシリカ層に、(ICG)を担持させた造影剤が用いられている(非特許文献2)。
また、特許文献1には、カラー表示を行う表示装置や色光を射出する光源において、蛍光体を含有しさらに「表面プラズモン効果」を利用して蛍光体から生じる蛍光を増強するコアシェル型の金ナノ粒子の発明が開示されている。
Appl. Phys. Lett., 2009, 94, 063111; J. Am. Chem. Soc., 2006, 128,5462-5467. Optics Express, 2011 Vol.19, No.18, 17030-17039 特開2016−216547
しかしながら、非特許文献1のスペーサーは有機物質であり、フレキシブルで安定性に欠けるという問題があった。
そこで本発明者らは、シランカップリング剤をスペーサーとして用いて金ナノロッドのシリカコーティングを試みた。しかしながら、後述する比較実験例の通り、吸収スペクトルではサンプル分散ができないために吸収帯の明らかな減少が見られ、そのFE-SEM像より、シリカコーティングがなされないことが明らかになった。
次に、本発明者らは、テトラエトキシシランとシランカップリング剤との混合物を用いて金ナノロッドのシリカコーティング及び蛍光標識化を試みた。しかしながら、この製造方法で製造した蛍光標識化シリカコート金ナノロッドは蛍光強度が低下することが明らかとなった。
また、非特許文献2開示の金ナノロッドで構成された造影剤は、蛍光物質が化学結合されておらず物理的に捕捉されているだけなので温度上昇や外部環境に対する安定性に欠けるという問題があった。また、特許文献1に開示された蛍光剤は表面プラズモン効果を利用するため、金属ナノ構造体と蛍光剤間の距離が短く、かつ、距離を厳密に保たねばならないため製造が困難であり、しかも生体へ投与した時に安全性について考慮されていない、という問題があった。
そこで本発明者らは、テトラアルコキシシランでシリカコートされた金ナノロッドのシリカ層に、シランカップリング剤を導入してシランカップリング剤に蛍光物質を結合させることで、蛍光強度が低下しない蛍光標識化シリカコート金ナノロッドを製造することを明らかにして本発明は完成した。
本発明は、生体に投与しても安全であり、温度上昇や外部環境に対して安定で、製造が容易な蛍光標識化シリカコート金ナノロッドを提供することを目的とする。
本発明は、金ナノロッドと、上記金ナノロッドを覆うシリカ層と、上記シリカ層に結合したスペーサーと、上記スペーサーに化学結合によって結合した標識物質と、を備える、標識化シリカコート金ナノロッドである。
これによって、実用に支障を来さない程度にまで、蛍光物質の蛍光強度が低下しない標識化シリカコート金ナノロッドを提供することができる。
上記シリカ層の厚みは15nm以上であってもよい。このシリカ層の厚みにより標識物質と金ナノロッドは距離が離れているので蛍光強度が低下しない。
上記スペーサーは、Si原子と、上記Si原子と直接的又は間接的に接続した4つの官能基を備えるシランカップリング剤由来であってもよい。上記4つの官能基は、少なくとも1つの無機官能基と、少なくとも1つの有機官能基を備えていてもよい。
上記有機官能基は、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、ウレイド基、イソシアネート基、イソシアヌレート基及びメルカプト基からなる群より少なくとも1つ選択されていてもよい。
上記有機官能基は、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基、フェニル基、複素環基又は縮合環基を介して上記Si原素に間接的に接続していてもよい。
上記スペーサーは、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、P-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロビルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、又は3-メルカプトプロピルトリメトキシシランであってもよい。
また、本発明は、シリカコート金ナノロッドのシリカ層にスペーサーを導入する導入ステップと、上記スペーサーに標識物質を結合させる結合ステップと、を有する、標識化シリカコート金ナノロッドの製造方法も提供する。
これによって、実用に支障を来さない程度にまで、蛍光物質の蛍光強度が低下しない標識化シリカコート金ナノロッドを製造することができる。
上記シリカ層の厚みは15nm以上であってもよい。このシリカ層の厚みにより標識物質と金ナノロッドは距離が離れているので蛍光強度が低下しない。
図1は、Seed媒介法を用いた、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(CTAB)保護AuNRの合成スキームを示している。 図2は、AuNRの吸収スペクトルを示している。 図3は、AuNRの電界放出形走査型電子顕微鏡 (FE-SEM)写真を示している。 図4は、FE-SEM写真から算出したAuNRの粒子径分布を示している。 図5は、テトラエトキシシラン(TEOS)を用いたシリカコートAuNR(AuNR@TEOS)の作製スキームを示している。 図6は、AuNR及びAuNR@TEOSの吸収スペクトルを示している。 図7は、AuNR及びAuNR@TEOSのZeta電位を示している。 図8は、AuNR及びAuNR@TEOSのフーリエ変換赤外分光(FT-IR)のスペクトルを示している。 図9は、AuNR@TEOSのFE-SEM写真を示している。 図10は、FE-SEM写真から算出したAuNR@TEOSのシリカ層分布を示している。 図11は、AuNR、AuNR@TEOS及びAuNR@APTESの吸収スペクトルを示している。 図12は、AuNR@APTESのFE-SEM写真を示している。 図13は、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(3-Aminopropyltriethoxysilane,APTES)を用いてAPTES (-NH2基)を導入したAuNR@TEOS(AuNR@TEOS-APTES)の作製スキームを示している。 図14は、AuNR、AuNR@TEOS及びAuNR@TEOS-APTESの吸収スペクトルを示している。 図15は、AuNR、AuNR@TEOS及びAuNR@TEOS-APTESのZeta電位を示している。 図16は、AuNR、AuNR@TEOS及びAuNR@TEOS-APTESのFT-IRのスペクトルを示している。 図17は、AuNR@TEOS-APTESのFE-SEM写真を示している。 図18は、FE-SEM写真から算出したAuNR@TEOS-APTESのシリカ層分布を示している。 図19は、ダンシルクロリド(Dansyl Chloride)を用いて、Dansyl(ダンシル)基で修飾されたAuNR@TEOS-APTES (AuNR@TEOS-APTES-Dansyl)の作製スキームを示している。 図20は、AuNR@TEOS-APTES、AuNR@TEOS-APTES-Dansyl及びダンシル化ヘキシルアミン(Dansylated hexylamine)の吸収スペクトルを示している。 図21は、図20のグラフを拡大させたグラフである。 図22は、AuNR@TEOS-APTESとAuNR@TEOS-APTES-Dansylとの吸収スペクトルの差(即ち、Dansyl基修飾前後の差)を表すスペクトルを示している。 図23は、AuNR、AuNR@TEOS、AuNR@TEOS-APTES及びAuNR@TEOS-APTES-DansylのFT-IRのスペクトルを示している。 図24は、AuNR、AuNR@TEOS、AuNR@TEOS-APTES及びAuNR@TEOS-APTES-DansylのZeta電位を示している。 図25は、AuNR@TEOS-APTES-DansylのFE-SEM写真を示している。 図26は、FE-SEM写真から算出したAuNR@TEOS-APTES-Dansylのシリカ層分布を示している。 図27は、AuNR、AuNR@TEOS、AuNR@TEOS-APTES及びAuNR@TEOS-APTES-Dansylの蛍光スペクトルを示している。 図28は、バイアル瓶に入れたAuNR、AuNR@TEOS、AuNR@TEOS-APTES及びAuNR@TEOS-APTES-DansylにUV (365 nm)を照射した写真を示している。 図29は、AuNR@TEOS-APTES-Dansylと標準物質であるQuinineSulfate Dihydrateの一回目の蛍光スペクトルを示している。 図30は、AuNR@TEOS-APTES-Dansylと標準物質であるQuinineSulfate Dihydrateの二回目の蛍光スペクトルを示している。 図31は、AuNR@TEOS-APTES-Dansylと標準物質であるQuinineSulfate Dihydrateの三回目の蛍光スペクトルを示している。
<定義>
便宜上、本願で使用される特定の用語は、ここに集めている。別途規定されない限り、本願で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。文脈で別途明記されない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は複数の言及を含む。
本発明で示す数値範囲及びパラメーターは、近似値であるが、特定の実施例に示されている数値は可能な限り正確に記載している。しかしながら、いずれの数値も本質的に、それぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を含んでいる。また、本明細書で使用する「約」という用語は、一般に、所与の値又は範囲の10%、5%、1%又は0.5%以内を意味する。或いは、用語「約」は、当業者が考慮する場合、許容可能な標準誤差内にあることを意味する。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、例示であって、本発明の範囲は、以下の実施形態で示すものに限定されない。なお、同様な内容については繰り返しの煩雑をさけるために、摘示説明を省略する。
<実施形態1>
本実施形態にかかる標識化シリカコート金ナノロッドは、金ナノロッドと、上記金ナノロッドを覆うシリカ層と、上記シリカ層に結合したスペーサーと、上記スペーサーに化学結合した標識物質と、を備える。
本実施形態にかかる標識化シリカコート金ナノロッドは、金ナノロッドを備える。本実施形態で用いる金ナノロッドの純度は、75、80、85、90、95、98、99、99.9、99.99%以上であり、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。本実施形態で用いる金ナノロッドの長軸は、3、10、18、32、100、180、280、400、540、800nmであり、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。本実施形態で用いる金ナノロッドの短軸は、2、5、6、8、20、30、40、50、60、80nmであり、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。本実施形態で用いる金ナノロッドのアスペクト比(長軸/短軸)は、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10であり、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。金ナノロッドの長軸及び短軸は、走査型電子顕微鏡により撮影した写真から計測することができる。
本実施形態において、金ナノロッドの平均粒径は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30nmであり、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。金ナノロッドの平均粒径は、走査型電子顕微鏡により撮影した写真を用いて無造作に選択した200個の粒子から粒子の投影面積円相当径を計測し、得られた粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。金ナノロッドの平均粒径は、動的光散乱式粒度分布測定装置(DLS)を用いて算出してもよい。
本実施形態において、シリカコート金ナノロッドは、シリカ層で覆われた金ナノロッドである。シリカ層の厚さは、15、20、25、30、35、40、45nmであり、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。シリカ層の厚さは、走査型電子顕微鏡により撮影した写真から計測することができる。金ナノロッドに対するシリカ層の被覆率は、60、70、80、90、95、98、99、99.9、99.99%以上であり、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。シリカ層の被覆率は、走査型電子顕微鏡により撮影した写真から計測した金ナノロッドの全周あたりのシリカがコーティングされている金ナノロッドの部分の長さから算出することができる。金ナノロッドは、ナノサイズ領域での形状を安定させるためにシリカ層で覆っている。金ナノロッドを覆うシリカ層は、アルコキシシラン(例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメトキシジフェニルシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン)を用いて金ナノロッドの表面にシリカをコートすることによって製造することができる。
本実施形態において、シリカ層には、スペーサーが結合されている。上記スペーサーは、シランカップリング剤由来であり、上記シランカップリング剤は、Si原子と、上記Si原子と直接的又は間接的に接続した4つの官能基を備え、上記4つの官能基は、少なくとも1つの無機官能基と、少なくとも1つの有機官能基を備える。本実施形態において、シリカコート金ナノロッドとシリカコート金ナノロッドに導入されたスペーサーとのモル比は、1:2〜20(2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20であり、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい)である。
上記有機官能基は、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、ウレイド基、イソシアネート基、イソシアヌレート基及びメルカプト基からなる群より少なくとも1つ選択されてもよいがこれらに限定されない。また、有機官能基は、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基、フェニル基、複素環基又は縮合環基を介して上記Si原素に間接的に接続していてもよい。
上記無機官能基は、加水分解によって生じるシラノールが無機材料(ガラスやシリカなど)の水酸基と水素結合する基であり、好ましくはアルコキシ基であり、より好ましくは、メトキシ基又はエトキシ基である。また、無機官能基は、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基、フェニル基、複素環基又は縮合環基を介して上記Si原素に間接的に接続していてもよい。
本実施形態において、4つの官能基は、無機官能基及び有機官能基以外に炭素数1から3のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基)を備えていてもよい。例えば、4つの官能基は、3つの無機官能基及び1つの有機官能基、2つの無機官能基及び2つの有機官能基、並びに2つの無機官能基、1つの有機官能基及び1つの炭素数1から3のアルキル基を備えていてもよい。
上記スペーサーは、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、P-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロビルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、又は3-メルカプトプロピルトリメトキシシランであってもよい。
本実施形態において、スペーサーには、標識物質(蛍光物質、発光物質、放射性物質等)が化学結合により結合されるので強固であり安定である。従って温度の上昇や外部環境によっても結合が離れることはない。標識物質は、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ等の酵素、125I、131I、35S、3H等の放射性物質、フルオレセイン、ローダミン、ダンシル、ピレン、アントラニロイル、ニトロベンゾキサジアゾール、シアニン系色素(Cy3、Cy5等)、フィコエリスリン、テトラメチルローダミン、蛍光タンパク質(オワンクラゲ由来の緑色蛍光タンパク質、造礁サンゴ由来蛍光タンパク質、フルーツ蛍光タンパク質等)、近赤外蛍光材料等の蛍光物質、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、エクオリン等の発光物質、及び量子ドット等のナノ粒子が挙げられるがこれらに限定されるものではない。上記標識物質は、標識物質で標識したアビジン又はストレプトアビジンを含むビオチン-アビジン(又はストレプトアビジン)複合体及び上記標識物質とスクシンイミドとが結合したスクシンイミジルエステル化合物であってもよい。本実施形態の標識物質及び標識物質が結合する有機官能基は、標識化シリカコート金ナノロッドの使用目的に応じて適宜変更することができる。本実施形態において、スペーサーが導入されたシリカコート金ナノロッドとスペーサーに導入された標識物質とのモル比は、1つのスペーサーあたり1つの有機官能基を有する場合、1:2〜20(2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20であり、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい)であり、1つのスペーサーあたり2つの有機官能基を有する場合、1:2〜40(2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40であり、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい)である。
本実施形態において、金ナノロッドは、少なくとも15nm以上の厚みがあるシリカ層におおわれており、そのシリカ層とスペーサーを介して標識物質が化学結合されているため、金ナノロッドと標識物質は少なくとも15nm以上の距離がはなれている。従って、界面近傍での光エネルギー移動等による消光現象が起こらないため、安定かつ高感度な発光剤が実現できる。
<実施形態2>
本実施形態にかかる標識化シリカコート金ナノロッドの製造方法は、シリカコート金ナノロッドのシリカ層にスペーサーを導入する導入ステップと、上記スペーサーに標識物質を結合させる結合ステップと、を有する。
本実施形態において、導入ステップは、導入するスペーサーの種類によって導入条件を変更することができる。導入条件は、公知の方法を利用することができる。例えば、スペーサーとして3-アミノプロピルトリエトキシシラン(3-Aminopropyltriethoxysilane,
APTES)を用いる場合、導入ステップは、シリカコート金ナノロッドを分散させたMeOH溶液とNaOH溶液を撹拌しながら混合する第一混合ステップと、第一混合ステップにより得られた上記混合溶液とAPTESが溶解したMeOH溶液を撹拌しながら混合する第二混合ステップと、を有し、第一混合ステップ中のシリカコート金ナノロッドとNaOHの濃度比は、1:0.8〜1.5(0.8、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5であり、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい)である。第二混合ステップ中のシリカコート金ナノロッドとAPTESの濃度比は、1:3〜6(3、3.5、4、4.5、5、5.5、6であり、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい)である。上記導入ステップは、第二混合ステップの後、40℃〜60℃の温度条件下において混合溶液を1、2、3、4、5、6、7、8、9、10時間であって、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内の時間撹拌する加熱撹拌ステップを有していてもよい。
第一混合ステップにおいて、NaOH溶液は、20〜40分毎に2〜4回に分けてシリカコート金ナノロッドを分散させたMeOH溶液に加えてもよい。第一混合ステップにおいて、シリカコート金ナノロッドを分散させたMeOH溶液は、20、22、24、26、28、30%MeOH溶液であり、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。第二混合ステップにおける撹拌時間は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10分間であって、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。
本実施形態において、結合ステップは、化学結合させる標識物質の種類及びスペーサーの有機官能基の種類に応じて結合条件を変更することができる。化学結合条件は、公知の方法を利用することができる。例えば、有機官能基としてアミノ基を有するスペーサーと標識物質としてダンシル(ダンシル基)を用いる場合、結合ステップは、スペーサーが導入されたシリカコート金ナノロッドが分散したDry CH2Cl2溶液とトリエチルアミンを窒素雰囲気下で撹拌しながら混合する第三混合ステップと、第三混合ステップにより得られた混合溶液とダンシルクロリド(Dansyl Chloride)が溶解したDry CH2Cl2溶液とを混合して加熱還流を4、5、6、7、8、9、10、11、12時間であって、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内の時間行う加熱還流ステップと、を有する。加熱還流は、35℃〜45℃の温度条件下において実施される。第三混合ステップ中のスペーサーが導入されたシリカコート金ナノロッドとトリエチルアミンとの濃度比は、1:0.8〜5(0.8、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、2.0、3.0、4.0、5.0であり、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい)である。加熱還流ステップ中のスペーサーが導入されたシリカコート金ナノロッドとダンシルクロリドの濃度比は、1:20〜40(20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40であり、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい)である。
本実施形態にかかる標識化シリカコート金ナノロッドの製造方法は、金ナノロッドをシリカで覆う被覆ステップを有していてもよく、金ナノロッドを製造する製造ステップと、上記金ナノロッドをシリカで覆う被覆ステップを有していてもよい。
金ナノロッドを製造する製造ステップ
金ナノロッドを製造する製造ステップは、例えば、核溶液(Seed Solution)調製ステップと、第一成長溶液(Primary Growth
Solution)調製ステップと、第二成長溶液(Secondary Growth Solution)調製ステップと、を有する。
核溶液(Seed
Solution)調製ステップ
核溶液調製ステップは、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(CTAB)溶液を提供する核溶液調製第一ステップと、CTAB溶液に臭化カリウム溶液を加える核溶液調製第二ステップと、核溶液調製第二ステップで得られた混合溶液に塩化金(III)酸溶液を加える核溶液調製第三ステップと、核溶液調製第三ステップで得られた混合溶液に水素化ホウ素ナトリウム水溶液を撹拌しながら混合する核溶液調製第四ステップと、核溶液調製第四ステップで得られた混合溶液を、20〜40℃の温度条件下において30、45、60、75、80分間であって、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内静置させる核溶液調製第五ステップを有する。
核溶液調製ステップは、核溶液調製第四ステップの後に、核溶液調製第四ステップで得られた混合溶液を1、2、3、4、5、6、7、8、9、10分間であって、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内静置させる核溶液調製静置ステップを有していてもよい。
核溶液調製ステップにおいて、CTABと臭化カリウムとの濃度比は、1:0.05〜0.15(0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15であり、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい)である。核溶液調製ステップにおいて、CTABと塩化金(III)との濃度比は、1:0.001〜0.003(0.0015、0.0016、0.0017、0.0018、0.0019、0.0020、0.0021、0.0022、0.0023、0.0024、0.0025、0.0026、0.0027、0.0028、0.0029、0.0030であり、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい)である。核溶液調製ステップにおいて、CTABと水素化ホウ素ナトリウムとの濃度比は、1:0.001〜0.010(0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.010であり、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい)である。
第一成長溶液(Primary Growth Solution)調製ステップ
第一成長溶液調製ステップは、CTAB溶液を提供する第一成長溶液調製第一ステップと、CTAB溶液に臭化カリウム溶液を加える第一成長溶液調製第二ステップと、第一成長溶液調製第二ステップで得られた混合溶液に硝酸銀(I)溶液を加える第一成長溶液調製第三ステップと、第一成長溶液調製第三ステップで得られた混合溶液に塩化金(III)酸溶液を加える第一成長溶液調製第四ステップと、第一成長溶液調製第四ステップで得られた混合溶液にL-アスコルビン酸溶液を加える第一成長溶液調製第五ステップと、第一成長溶液調製第五ステップで得られた混合溶液に、核溶液調製第五ステップで得られた混合溶液(核溶液)を加えて撹拌する第一成長溶液調製第六ステップと、を有する。
第一成長溶液調製ステップにおいて、CTABと臭化カリウムとの濃度比は、1:0.05〜0.15(0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15であり、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい)である。第一成長溶液調製ステップにおいて、CTABと硝酸銀(I)との濃度比は、1:0.001〜0.003(0.0015、0.0016、0.0017、0.0018、0.0019、0.0020、0.0021、0.0022、0.0023、0.0024、0.0025、0.0026、0.0027、0.0028、0.0029、0.0030であり、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい)である。第一成長溶液調製ステップにおいて、CTABと塩化金(III)との濃度比は、1:0.005〜0.015(0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.010、0.011、0.012、0.013、0.014、0.015であり、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい)である。第一成長溶液調製ステップにおいて、CTABとL-アスコルビン酸との濃度比は、1:0.005〜0.015(0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.010、0.011、0.012、0.013、0.014、0.015であり、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい)である。第一成長溶液調製ステップにおいて、CTABと核溶液中の金との濃度比は、1:0.5×10−6〜5.5×10−6(0.5×10−6、1.5×10−6、2.0×10−6、2.5×10−6、3.0×10−6、3.5×10−6、4.0×10−6、4.5×10−6、5.0×10−6、5.5×10−6であり、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい)である。
第二成長溶液(Secondary Growth Solution)調製ステップ
第二成長溶液調製ステップは、第一成長溶液調製第六ステップで得られた混合溶液(第一成長溶液)を撹拌しながらL-アスコルビン酸溶液を流入速度0.5から2.0 mL/h(0.50、0.75、1.00、1.25、1.50、1.75、2.00、2.25、2.50、2.75、3.00mL/hであって、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内)で第一成長溶液に加える第二成長溶液調製第一ステップと、第二成長溶液調製第一ステップで得られた混合溶液を1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20分間であって、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内撹拌する第二成長溶液調製第二ステップと、第二成長溶液調製第二ステップで得られた混合溶液を12、18、24、30、36時間であって、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内の時間静置させる第二成長溶液調製第三ステップと、を有する。
第二成長溶液調製ステップにおいて、第一成長溶液中の金とアスコルビン酸との濃度比は、1:0.1〜1.0(0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0であり、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい)である。
金ナノロッドをシリカで覆う被覆ステップ
例えば、アルコキシシランとしてテトラエトキシシラン(TEOS)を用いる場合、金ナノロッドをシリカで覆う被覆ステップは、市販の金ナノロッド又は上記金ナノロッドを製造する製造方法で得られた金ナノロッドを分散させたMeOH溶液とNaOH溶液を撹拌しながら混合するシリカ被覆第一ステップと、シリカ被覆第一ステップにより得られた混合溶液とTEOSが溶解したMeOH溶液とを撹拌しながら混合するシリカ被覆第二ステップと、を有する。シリカ被覆第一ステップ中の金ナノロッドとNaOHの濃度比は、1:0.8〜1.5(0.8、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5であり、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい)である。シリカ被覆第二ステップ中の金ナノロッドとTEOSの濃度比は、1:3〜15(3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15であり、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい)である。金ナノロッドをシリカで覆う被覆ステップは、シリカ被覆第二ステップの後、20℃〜30℃の温度条件下において混合溶液を12、18、24、30、36時間であって、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内の時間静置する加温静置ステップを有していてもよい。
シリカ被覆第二ステップにおいて、TEOSが溶解したMeOH溶液は、20〜40分毎に2〜4回に分けて金ナノロッドを分散させたMeOH溶液に加えてもよい。シリカ被覆第一ステップにおいて、金ナノロッドを分散させたMeOH溶液は、20、22、24、26、28、30%MeOH溶液であり、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。シリカ被覆第二ステップにおける撹拌時間は、10、15、20、25、30、35、40分間であって、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。
また、金ナノロッドを製造する製造方法及び金ナノロッドをシリカで覆う被覆方法は、特開2018-127699に開示されている方法を用いても良い。
実験例1 Auナノロッド(AuNR)の合成
Seed媒介法を用いて、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(CTAB)保護AuNRを合成した。合成スキームを図1に示す。
使用試料は、以下の通りである。
・milliQ
(恒温槽で30℃にしたものを使用)
・臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム (CTAB) (Nacalai Tesque, MW= 364.45)
Figure 2021110734
・臭化カリウム (KBr) (Kishida Chemical, MW= 119.0)
・塩化金(III)酸4水和物 (HAuCl4)
(Nacalai Tesque, MW= 411.85)
・水素化ホウ素ナトリウム (NaBH4)
(Nacalai Tesque, MW= 37.83)
・硝酸銀(I) (AgNO3) (Wako Chemicals, MW= 169.87)
・L-アスコルビン酸 (AA) (Nacalai Tesque, MW= 176.13)
試料は、以下の通りに調整した。
<Seed Solution>
・0.125 M CTAB aq.
CTAB (0.3645 g, 1.0 mmol)をmilliQ (8.0 mL)に溶解し作製した。

・0.1 M KBr aq.
KBr (120.5 mg, 1.0 mmol)をmilliQ (10 mL)に溶解し作製した。

・2.4 mM HAuCl4 aq.
4.6 mM HAuCl4 aq. を希釈して調製した。
・10 mM NaBH4 aq.
NaBH4 (3.8 mg, 0.1
mmol)を氷冷milliQ
(10 mL)に溶解し作製した。
<Primary Growth Solution>
・0.122 M CTAB aq.
CTAB (3.4314 g, 9.4 mmol)をmilliQ (77 mL)に溶解し作製した。

・0.9412 M KBr aq.
KBr (1.1203 g, 9.4 mmol)をmilliQ (10 mL)に溶解し作製した。

・19.2 mM AgNO3 aq.
AgNO3 (39.3 mg, 0.23
mmol)をmilliQ
(12.05 mL)に溶解し作製した。
・4.6 mM HAuCl4 aq.
HAuCl4・4H2O (255.49 mg,
0.62 mmol)をmilliQ (134.858 mL)に溶解し作製した。
・0.105 M AA aq.
AA (186.5 mg, 1.1 mmol)をmilliQ (10 mL)に溶解し作製した。

<Secondary Growth Solution>
・9.48 mM AA aq.
AA (16.7 mg, 94.8 &micro;mol)をmilliQ (10 mL)に溶解し作製した。

1-1 核溶液(Seed Solution)の調製
14
mL容ガラス製サンプル瓶に0.125 M CTAB aq. (8.0 mL, 1.0 mmol)、0.1 M KBr aq. (1.0 mL, 0.1 mmol)、2.4 mM
HAuCl4・4H2O aq. (1.0 mL, 2.4
&micro;mol)の順に入れた。その後、室温で激しく撹拌した。10 mM NaBH4 aq.
(0.6 mL, 6.0 &micro;mol)を加え、撹拌を2分間継続した。その後、撹拌を停止し、そのまま3分間静置した。7回転倒混合した後、30℃のウォーターバス中で1時間静置した。核溶液の総量は、10.6 mLであり、終濃度は、以下の通りである。
終濃度
[CTAB]
= 94.34 mM

[KBr] = 9.43 mM

[HAuCl4・4H2O] = 0.226 mM

[NaBH4] = 0.556 mM
1-2 第一成長溶液(Primary Growth Solution)の調製
250
mL容メジューム瓶に0.122 M CTAB aq. (77 mL, 9.39 mmol) を入れ、室温で撹拌した。0.9412 M KBr aq. (1.0 mL, 0.9412 mmol)、19.2
mM AgNO3 aq. (1.0 mL, 19.2 &micro;mol) の順に加え、さらに4.6
mM HAuCl4・4H2O aq. (20 mL, 92 &micro;mol) 、0.105 M AA aq. (1.0 mL, 0.105 mmol) の順に加えた。 この溶液にちょうど一時間静置した上記核溶液(Au Seed)を0.135 mL入れ、撹拌を激しくした。 第一成長溶液の総量は、100.135 mLであり、終濃度は、以下の通りである。
終濃度

[CTAB] = 94.0 mM

[KBr] = 9.40 mM

[AgNO3] = 0.192 mM

[HAuCl4・4H2O] = 0.919 mM

[AA] = 1.05 mM

[Au seed] = 0.305 &micro;M
1-3 第二成長溶液(Secondary Growth Solution)の調製
室温で第一成長溶液を激しく撹拌したまま、9.48 mM AA aq. (5.00 mL, 47.4 &micro;mol) を入れた。 AA
aq. を入れるのにマイクロシリンジポンプ(AS ONE MSP-1D、シリンジ内径:17.0mm、流入量:5.00 mL、流入速度:1.75 mL/h、テルモシリンジ 10 mL ss-10Sz(プラスチック製))を使用した。 10 min撹拌を継続し、その後撹拌を停止させた。 200 mL容メジューム瓶へ全量 (105.135 mL) を移し、25℃のインキュベーター中で24時間静置した。第二成長溶液の総量は、100.135 mLであり、終濃度は、以下の通りである。

[AA] = 0.451 mM

[Au] = 0.88 mM
1-4 AuNR精製
24時間の静置後、AuNR (105.135 mL) を6本の50 mL容プラスチック製遠沈管へ約17.5 mLずつ移した。 その後、遠心分離 (10,000 rpm [9,840 ×g], 30 min, 25℃) を行い、上清を取り除きmilliQで等倍に再分散した。 作製した溶液をAuNR/ milliQとした。
作成したAuNRの吸収スペクトルを測定した(PMMAセル, 光路長:1 cm, [AuNR]= 0.0736 nM)。結果を図2に示す。図2の通り、786nmに極大吸収波長のピークを示した。また、電界放出形走査型電子顕微鏡
(FE-SEM)を用いてAuNRを観察し(図3)、更に、FE-SEM像からAuNRの粒子径分布(n=200)を算出した(図4)。分布結果を表1に示す。
Figure 2021110734
1-5 考察

以上の結果から、FE-SEM観察によりAuNRの合成に成功した。また、吸収スペクトル測定により、近赤外線領域に吸収を持つことが確認できた。
実験例2 AuNRのシリカコーティング (AuNR@TEOS)
テトラエトキシシラン(TEOS)を用いてシリカコートAuNR(AuNR@TEOS)を作製した。作製スキームを図5に示す。
使用試料は、以下の通りである。
・AuNR/
milliQ ([Au]= 0.88 mM, [AuNR]= 0.736 nM)
・テトラエトキシシラン(Tetraethoxysilane, TEOS) (MW= 208.33) (0.934 g/mL)
・milliQ
・MeOH
・水酸化ナトリウム (NaOH) (MW= 40.0)
試料は、以下の通りに調整した。
・0.1
M NaOH aq.
NaOH
(94.7 mg, 2.4 mmol)をmilliQ (23.7 mL)に溶解し作製した。
・20
vol% (0.89 M) TEOS/ MeOH
TEOS
(100 &micro;L, 0.45 mmol)とMeOH (400 &micro;L)を混合し作製した。
2-1 AuNR@TEOSの調製
15
mL容PP製遠心管へAuNR/ milliQ (5.0 mL)
を入れ、遠心分離 (8,000 rpm[6,011 ×g],
30 min, 25℃) した。 遠心分離後、上清を1.25
mL除き、MeOH (1.25 mL) を加え再分散した。 作製した溶液をAuNR/ 25% MeOH aq. とした。 溶液の総量は、5.0 mLであり、終濃度は、[Au]= 0.88 mMである。
AuNR/
25% MeOH aq. を全量 (5.0 mL) 30 mL容PP製広口瓶 (フィルムケース) へ入れ、室温で撹拌した。0.1 M NaOH aq. (50 &micro;L, 5.0 &micro;mol) を加え、20vol%TEOS/
MeOH (15&micro;L, 13.4 &micro;mol)を30分毎に3回加え、30分間撹拌して、その後、25℃のインキュベーター中で24時間静置した。溶液の総量は、5.095 mLであり、終濃度は、以下の通りである。
終濃度

[Au]= 0.864 mM

[NaOH]= 0.98 mM

[TEOS]= 7.86 mM
24時間の静置後、作製した溶液を全量
(5.095 mL) 15 mL容PP製遠心管へ移し、遠心分離
(8,000 rpm[6,011 ×g], 30 min, 25℃) した。
上清を除き、MeOHで等倍に再分散した。 再度、遠心分離 (6,000
rpm[3,381 ×g], 30 min, 25℃) を行い、上清を除き、MeOHで5.0 mLにfill upした。
その後、14 mL容ガラス製サンプル瓶へ全量 (5.0 mL) 移し、作製した溶液をAuNR@TEOS/
MeOHとした。 溶液の総量は、5.0 mLであり、終濃度は、[Au]=
0.88 mMである。
AuNR及びAuNR@TEOSの吸収スペクトル、Zeta電位及びフーリエ変換赤外分光(FT-IR)を測定した(それぞれ図6、図7及び図8)。また、FE-SEMを用いてAuNR@TEOSを観察し(図9)、更に、FE-SEM像からAuNR@TEOSのシリカ層分布(n=200)を算出した(図10)。分布結果を表2に示す。
Figure 2021110734
図10によるとAuNR@TEOSのシリカ層は、少なくとも15nm以上の厚みがあることがわかる。
2-2 考察

FE-SEM観察によりAuNR表面へシリカがコーティングされていることがわかった。 そのため、吸収スペクトル測定では粒子表面の局所屈折率が変化したため、極大吸収波長のシフトが見られた。
また、Zeta電位測定では正電荷を持つCTAB保護AuNR表面へシリカをコーティングすることで、粒子表面にシリカ由来の負電荷を持つヒドロキシ基が導入されるため、Zeta電位が負の値へシフトしたと考えられる。 FT-IR測定では、CTAB保護AuNRでは出ていない1100
cm-1周辺のSi-O結合由来のピークが新たに現れていることが確認できた。
以上の結果から、AuNR@TEOS(シリカコーティング)が製造されたことが明らかになった。
比較実験例A AuNRへの3-アミノプロピルトリエトキシシランの導入
3-アミノプロピルトリエトキシシラン(3-Aminopropyltriethoxysilane, APTES)をAuNRに導入したAuNR@APTESを作製した。
使用試料は、以下の通りである。
・AuNR/ milliQ ([Au]= 0.88 mM, [AuNR]= 0.736 nM)
・3-Aminopropyltriethoxysilane (APTES) (MW= 221.37) (0.946 g/mL)
・milliQ
・MeOH
・水酸化ナトリウム
(NaOH) (MW= 40.0)
試料は、以下の通りに調整した。
・0.1 M NaOH aq.
NaOH
(94.7 mg, 2.4 mmol)をmilliQ (23.7 mL)に溶解し作製した。
・10 vol% (0.427 M) APTES/ MeOH
APTES
(50 &micro;L, 0.21 mmol)とMeOH (450 &micro;L)を混合し作製した。
A-1 AuNR@ APTESの調製
15
mL容PP製遠心管へAuNR/ milliQ (5.0 mL)
を入れ、遠心分離 (8,000 rpm[6,011 ×g],
30 min, 25℃) した。 遠心分離後、上清を1.25
mL除き、MeOH (1.25 mL) を加え再分散した。 作製した溶液をAuNR/ 25% MeOH aq. とした。 溶液の総量は、5.0 mLであり、終濃度は、[Au]= 0.88 mMである。
AuNR/
25% MeOH aq. を全量 (5.0 mL) 30 mL容PP製広口瓶 (フィルムケース) へ入れ、室温で撹拌した。 0.1 M NaOH aq. (50 &micro;L, 5.0 &micro;mol) を加え、10
vol% (0.427 M) APTES/ MeOH (15 &micro;L, 6.40 &micro;mol) を30分毎に2回加え、30分間撹拌し、10 vol%
(0.427 M) APTES/ MeOH (20 &micro;L, 8.54 &micro;mol) を加え、30分間撹拌した。
その後、25℃のインキュベーターで24時間静置した。溶液の総量は、5.1 mLであり、終濃度は、以下の通りである。
終濃度

[Au]= 0.863 mM

[NaOH]= 0.98 mM

[APTES]= 4.19 mM
24時間の静置後、作製した溶液を全量 (5.1 mL) 15 mL容PP製遠心管へ移し、遠心分離 (8,000 rpm[6,011 ×g], 30 min, 25℃) した。 上清を除き、MeOHで等倍に再分散した。
再度、遠心分離 (6,000 rpm[3,381 ×g], 30 min,
25℃) を行い、上清を除き、MeOHで5.0 mLにfill upした。 その後、14 mL容ガラス製サンプル瓶へ全量 (5.0 mL) 移し、作製した溶液をAuNR@APTES/ MeOHとした。
溶液の総量は、5.0 mLであり、終濃度は、[Au]= 0.88 mMである。
AuNR、AuNR@TEOS及びAuNR@APTESの吸収スペクトル(ガラスセル, 光路長 1 mm,
[AuNR]= 0.736 nM)を測定した(図11)。また、FE-SEMを用いてAuNR@APTESを観察した(図12)。
A-2 考察

図11の通り、AuNR@APTESの吸収スペクトルから、サンプル分散ができないことによる吸収帯の明らかな減少が見られた。また、図12のFE-SEM像より、シリカコーティングがなされていないことも明らかになった。
実験例3 3-アミノプロピルトリエトキシシラン導入AuNR@TEOS(AuNR@TEOS-APTES)の合成法

3-アミノプロピルトリエトキシシラン(3-Aminopropyltriethoxysilane, APTES)を用いてAPTES
(-NH2基)を導入したAuNR@TEOS(AuNR@TEOS-APTES)を作製した。作製スキームを図13に示す。
使用試料は、以下の通りである。
・AuNR@TEOS/
MeOH ([Au]= 0.88 mM, [AuNR]= 0.736 nM)
・Tetraethoxysilane
(TEOS) (MW= 208.33) (0.934 g/mL)
・3-Aminopropyltriethoxysilane
(APTES) (MW= 221.37) (0.946 g/mL)
・milliQ
・MeOH
・水酸化ナトリウム (NaOH) (MW= 40.0)
試料は、以下の通りに調整した。
・0.1
M NaOH aq.
NaOH
(94.7 mg, 2.4 mmol)をmilliQ (23.7 mL)に溶解し作製した。
・20
vol% (0.89 M) TEOS/ MeOH
TEOS (100 &micro;L, 0.45 mmol)とMeOH (400 &micro;L)を混合し作製した。

・10
vol% (0.427 M) APTES/ MeOH
APTES
(50 &micro;L, 0.21 mmol)とMeOH (450 &micro;L)を混合し作製した。
3-1 AuNR@TEOS-APTESの調製
15
mL容PP製遠心管へAuNR@TEOS/ MeOH (5.0
mL) を入れ、遠心分離 (8,000 rpm[6,011 ×g],
30 min, 25℃) を行い、上清を3.75 mL除き、milliQを3.75 mL加え再分散した。 作製した溶液をAuNR@TEOS/ 25% MeOH
aq.とした。 溶液の総量は、5.0 mLであり、終濃度は、[Au]=
0.88 mMである。
AuNR@TEOS/
25% MeOH aq.を全量 (5.0 mL) 30 mL容PP製広口瓶 (フィルムケース) へ入れ、室温で撹拌した。0.1 M NaOH aq. (50 &micro;L, 5.0 &micro;mol) を加え、さらに10
vol% (0.427 M) APTES/ MeOH (50 &micro;L, 21.4 &micro;mol) を加え、撹拌を5分間継続した。
次に、50℃のウォーターバス中で撹拌を開始し、5時間撹拌した。
溶液の総量は、5.1 mLであり、終濃度は、以下の通りである。
終濃度

[Au]= 0.863 mM

[NaOH]= 0.98 mM

[APTES]= 4.19 mM
5時間の撹拌後、作製した溶液を全量
(5.1 mL)、15 mL容PP製遠心管へ移し、遠心分離 (8,000 rpm[6,011 ×g], 30 min, 25℃) を行い、上清を除き、MeOHで等倍に再分散した。
再度、遠心分離 (6,000 rpm[3,381 ×g], 30 min,
25℃) し、上清を除き、MeOHで5.0 mLにfill upした。 その後、作製した溶液を全量 (5.0 mL)、10 mL容ガラス製サンプル瓶へ移し、AuNR@TEOS-APTES/ MeOHとした。
溶液の総量は、5.0 mLであり、終濃度は、以下の通りである。
終濃度

[Au]= 0.88 mM (理論値)
[-NH2]= 4.27 mM (理論値)
AuNR、AuNR@TEOS及びAuNR@TEOS-APTESの吸収スペクトル、Zeta電位及びFT-IRを測定した(それぞれ図14、図15及び図16)。また、FE-SEMを用いてAuNR@TEOS-APTESを観察し(図17)、更に、FE-SEM像からAuNR@TEOS-APTESのシリカ層分布(n=200)を算出した(図18)。分布結果を表3に示す。
Figure 2021110734
図18によるとAuNR@TEOS-APTESのシリカ層は、少なくとも15nm以上の厚みがあることがわかる。
3-2 考察

吸収スペクトル測定より極大吸収波長がシフトしていた。
これは、粒子表面へ新たにアミノ基が修飾されたことで局所屈折率が変化したためだと考えられる。 さらにZeta電位を見てみると、シリカコーティング由来のヒドロキシ基により粒子表面は負に帯電していたが、新たにアミノ基を修飾することで表面電荷が正にシフトしていることが確認できた。
以上の理由より、アミノ基が導入されていることが示唆されている。 また、FE-SEM観察により、粒子径に変化は見られなかった。
実験例4 AuNR@TEOS-APTESへのDansyl(ダンシル)基の修飾
ダンシルクロリド(Dansyl Chloride)を用いて、Dansyl(ダンシル)基で修飾されたAuNR@TEOS-APTES (AuNR@TEOS-APTES-Dansyl)を作製した。作製スキームを図19に示す。
使用試料は、以下の通りである。
・AuNR@TEOS-APTES/
MeOH ([Au]= 0.88 mM, [AuNR]= 0.736 nM, [-NH2]= 4.27 mM (理論値))
・Dansyl
Chloride (MW= 269.75)
・CH2Cl2
・MeOH
・トリエチルアミン
試料は、以下の通りに調整した。
・Dry
CH2Cl2
200 mL容ナスフラスコへCH2Cl2
(100 mL)とCaCl2を適量入れ、ガラス栓をした。 その後よく振り混ぜ、室温で一晩静置した。
静置後、窒素雰囲気下で蒸留し、Dry CH2Cl2を得た。 得られたDry CH2Cl2は空気に触れないよう、ナスフラスコへ移し、セプタムで蓋をした。

・2.38
mM Dansyl Chloride/ Dry CH2Cl2
Dansyl Chloride (5.76 mg, 21.4 &micro;mol)をDry CH2Cl2
(9.0 mL)へ溶解して作製した。
1.5
mL容エッペンチューブへAuNR@TEOS-APTES/ MeOH (1.0 mL)を入れ、遠心分離
(8,000 rpm[5,796 ×g], 30 min, 25℃)し、上清を除き、Dry CH2Cl2で等倍に再分散した。 作製したAuNR@TEOS-ATPES/ Dry CH2Cl2へトリエチルアミン (3.0 &micro;L, 21.4 &micro;mol)を加え、100 mL容二口ナスフラスコへ全量
(約1.0 mL)移し、窒素雰囲気下で撹拌した。 2.38 mM Dansyl Chloride/ Dry CH2Cl2を全量
(9.0 mL)加え、加熱還流を開始した。 8時間後、撹拌と加熱還流を停止した。
溶液の総量は、10mLであり、終濃度は、以下の通りである。
終濃度

[Au]= 0.088 mM
[-NH2]=
0.427 mM
[Dansyl
Chloride]= 2.14 mM
[トリエチルアミン]= 2.14 mM
作製した溶液を同量 (5.0 mL)ずつ15 mL容PP製遠心管 (×2本)へ移し、遠心分離 (8,000
rpm[6,011 ×g], 30 min, 25℃)し、上清を除き、CH2Cl2で等倍に再分散した。 再度、遠心分離 (8,000 rpm[6,011 ×g], 30 min, 25℃)し、上清を除き、CH2Cl2で等倍に再分散した。 再度、遠心分離 (8,000 rpm[6,011 ×g], 30 min, 25℃)し、上清を除き、CH2Cl2で等倍に再分散した。 再度、遠心分離 (8,000 rpm[6,011 ×g], 30 min, 25℃)し、上清を除き、MeOHで等倍に再分散した。 再度、遠心分離 (8,000 rpm[6,011 ×g], 30 min, 25℃)し、上清を除き、MeOHで等倍に再分散した。
再度、遠心分離 (8,000 rpm[6,011 ×g], 30 min,
25℃)し、上清を除き、MeOHで等倍に再分散した。 再度、遠心分離 (8,000 rpm[6,011 ×g], 30 min, 25℃)し、上清を除き、MeOHで等倍に再分散した。 作製した溶液を、AuNR@TEOS-APTES-Dansyl/
MeOHとした。 溶液の総量は、10mLであり、終濃度は、以下の通りである。
終濃度

[Au]= 0.088 mM

[-NH-Dansyl]= 0.427 mM
AuNR@TEOS-APTES、AuNR@TEOS-APTES-Dansyl及びダンシル化ヘキシルアミン(Dansylated
hexylamine)の吸収スペクトル(図20及び21)、AuNR@TEOS-APTESとAuNR@TEOS-APTES-Dansylとの吸収スペクトルの差(即ち、Dansyl基修飾前後の差)を表すスペクトル(図22)、AuNR、AuNR@TEOS、AuNR@TEOS-APTES及びAuNR@TEOS-APTES-DansylのFT-IR(図23)及びZeta電位(図24)を測定した。また、FE-SEMを用いてAuNR@TEOS-APTES-Dansylを観察し(図25)、更に、FE-SEM像からAuNR@TEOS-APTES-Dansylのシリカ層分布(n=200)を算出した(図26)。分布結果を表4に示す。
Figure 2021110734
図18によるとAuNR@TEOS-APTES-Dansylのシリカ層は、少なくとも15nm以上の厚みがあることがわかる。
4-2 考察

吸収スペクトル測定より、220 nm、250 nm、330 nm周辺にDansyl基由来の新たなピークが確認できた。 FT-IR測定では、Si-O結合由来のピークに対するC-H結合由来のピーク強度が大きくなっていた。
これはDansyl基の修飾により、Dansyl基がもつC-H結合が強くIRスペクトルへ反映されたためだと考えられる。 Zeta電位測定ではアミノ基による粒子表面の正電荷がDansyl基とアミノ基が結合することで弱くなり、Zeta電位の負の方向へのシフトが見られた。 以上より粒子表面へのDansyl基の修飾に成功した。
さらに、FE-SEM観察より粒子径に変化は見られなかった。
実験例5 AuNR@TEOS-APTES-Dansyl1粒子あたりのDansyl基修飾数
非線形最小二乗法によるカーブフィッティングを行い、データに最も当てはまりの良いフィッティングパラメータを推定することでAuNR@TEOS-APTES-Dansyl 1粒子あたりのDansyl基の修飾数を算出した。 AuNR@TEOS-APTES-Dansylの長軸由来のピークによる影響を少なくするため、210-450 nmの波長範囲カーブフィッティングを行った。 その結果、算出したAuNR@TEOS-APTES-Dansyl
1粒子あたりのDansyl基導入数は
(3.68±0.77)×104個であった。
実験例6 AuNR@TEOS-APTES-Dansylの蛍光性
AuNR、AuNR@TEOS、AuNR@TEOS-APTES及びAuNR@TEOS-APTES-Dansylの蛍光スペクトル測定(石英セル, 光路長 1 cm, Ex:335
nm)を測定した(図27)。その結果、蛍光スペクトル測定により、Dansyl基修飾後の蛍光性を確認することができた。
更に、AuNR、AuNR@TEOS、AuNR@TEOS-APTES及びAuNR@TEOS-APTES-Dansylをそれぞれバイアル瓶に入れて、UV (365
nm)を照射して蛍光観察を行った(図28)。AuNR@TEOS-APTES-Dansylのみに蛍光性を確認することができた。
実験例7 AuNR@TEOS-APTES-Dansylの蛍光スペクトル測定及び蛍光量子収率算出
相対法によりAuNR@TEOS-APTES-Dansylの蛍光量子収率を算出した(図29、図30及び図31)。 蛍光量子収率は、測定した蛍光スペクトルの積分面積と吸収スペクトルの吸光度 (Ex:335 nm)を利用して算出した。計3回蛍光量子収率を算出することで蛍光量子収率の平均値と標準偏差を算出した。相対法による蛍光量子収率算出の式を以下に示す。
Figure 2021110734
表5から7に示す吸収スペクトル測定及び蛍光スペクトル測定で測定した値を(1)式に代入し (標準物質:Quinine
Sulfate Dihydrate, 未知試料:AuNR@TEOS-APTES-Dansyl (励起波長の吸光度にAuNR@TEOS-APTESとの差のスペクトルを使用), Ex:335.0 nm)、AuNR@TEOS-APTES-Dansylの相対量子収率ΦFを算出した。
Figure 2021110734
Figure 2021110734
Figure 2021110734
以上の計3回の蛍光量子収率算出より、AuNR@TEOS-APTES-Dansylの蛍光量子収率は、ΦF=8.23±0.67 %であった。この結果から、AuNR@TEOS-APTES-Dansylは蛍光性を有していると言える。 さらに、対照測定としてAuNR、AuNR@TEOS、AuNR@TEOS-APTESの蛍光スペクトル測定を行ったところ、蛍光性は確認できなかった(図27参照)。以上より、AuNR@TEOS-APTES-Dasnylの蛍光性はDansyl基に由来すると考えられる。
以上の結果より、粒子表面へのDansyl基の修飾に成功した。
さらに、AuNR@TEOS-APTES-Dansylの蛍光性を確認することができた。
以上のように、本発明はシリカ層の厚みを15nm以上とすることによって、金ナノロッド界面近傍での光エネルギー移動等による消光現象が回避されるので、安定で高感度な発光剤が実現できた。また、上記実施例において、シリカ層の厚みの分布範囲が大きいにもかかわらず、消光現象が回避されているため、製造時のシリカ層の厚みに対する条件が厳しくなく、製造が容易であり、製造コストを削減することができる。
本発明の標識物質を結合させたシリカコート金ナノロッドは、例えば、造影剤、ナノ治療薬、バイオイメージング剤、ラベル化剤などに利用することが可能である。その際、蛍光剤であるDansylの発光と、金ロッドによる光の回折の両方を利用することができるので、蛍光顕微鏡と電子顕微鏡の両方での観察が可能となりバイオイメージング剤として有用である。例えば、in vitroで細胞等に投与した場合、どの細胞に本発明の金ナノロッドが取り込まれたかを蛍光顕微鏡で確認することができ、その後電子顕微鏡により微細な観測をすることが可能となる。実験動物に投与した場合も同様に、蛍光顕微鏡にてどの臓器に取り込まれたかを確認後、電子顕微鏡にてより微細な観測をすることができる。
人体におけるナノ治療薬としての応用例についてだが、本発明は金ナノロッドを使用しているので人体には無害である。まず最初に、癌等の病理部位に本発明の標識物質を結合させたシリカコート金ナノロッドをドラッグデリバリーシステムなどにより到達させる。蛍光をターゲットとして近赤外線を照射することにより金ナノロッドを発熱させ、治療を行うことができる。
その他、造影剤、ラベル化剤などに蛍光を発する本発明は有用である。
本発明の標識物質を結合させたシリカコート金ナノロッドは、例えば、造影剤、ナノ治療薬、バイオイメージング剤、ラベル化剤などに利用することが可能である。

Claims (8)

  1. 金ナノロッドと、
    前記金ナノロッドを覆うシリカ層と、
    前記シリカ層に結合したスペーサーと、
    前記スペーサーに化学結合によって結合した標識物質と、
    を備える、標識化シリカコート金ナノロッド。
  2. 前記シリカ層の厚みが15nm以上である請求項1に記載の標識化シリカコート金ナノロッド。
  3. 前記スペーサーは、Si原子と、前記Si原子と直接的又は間接的に接続した4つの官能基を備えるシランカップリング剤由来であって、
    前記4つの官能基は、少なくとも1つの無機官能基と、少なくとも1つの有機官能基を備える、
    請求項1または2に記載の標識化シリカコート金ナノロッド。
  4. 前記有機官能基は、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、ウレイド基、イソシアネート基、イソシアヌレート基及びメルカプト基からなる群より少なくとも1つ選択される、請求項3に記載の標識化シリカコート金ナノロッド。
  5. 前記有機官能基は、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基、フェニル基、複素環基又は縮合環基を介して前記Si原素に間接的に接続している、請求項3に記載の標識化シリカコート金ナノロッド。
  6. 前記スペーサーは、
    ビニルトリメトキシシラン、
    ビニルトリエトキシシラン、
    2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、
    3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、
    3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
    3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、
    3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、
    P-スチリルトリメトキシシラン、
    3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、
    3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
    3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、
    3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、
    3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
    N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、
    N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、
    3-アミノプロピルトリメトキシシラン、
    3-アミノプロビルトリエトキシシラン、
    3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、
    N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、
    3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、
    3イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、
    卜リス-(卜リメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、
    3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、又は
    3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン
    である、請求項1から5のいずれかに記載の標識化シリカコート金ナノロッド。
  7. シリカコート金ナノロッドのシリカ層にスペーサーを導入する導入ステップと、
    前記スペーサーに標識物質を化学結合によって結合させる結合ステップと、
    を有する、標識化シリカコート金ナノロッドの製造方法。
  8. 前記シリカ層の厚みが15nm以上である請求項7に記載の標識化シリカコート金ナノロッドの製造方法。
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