5.詳細な説明
5.1 血管新生および不十分血流に関連するかまたはそれに起因する疾患または症状の処置
循環系の疾患または障害を処置する方法であって、有効量の組織培養プラスチック接着性胎盤細胞、例えば以下のセクション5.2に記載されているPDACを投与することを含み、前記PDACがサイトカインで刺激されている方法が本明細書に提供される。具体的な実施形態では、前記PDACは、1つ以上の炎症促進性サイトカインで刺激される。具体的な実施形態では、前記炎症促進性サイトカインは、IL−1α、IL−1β、IL−6、IL−8、IL−18、TNF−αおよびINF−γの1つ以上を含む。別の具体的な実施形態では、前記炎症促進性サイトカインは、IL−1βである。特定の実施形態では、刺激PDACは、血管新生性である。
5.1.1 循環系疾患
本明細書で提供される刺激PDAC、例えばIL−1β刺激PDACおよびこのような細胞の集団は、血管新生の増加によって利益を受ける様々な疾患状態または症状を示す個体を処置するために使用され得る。このような疾患状態または症状の例としては、心筋梗塞、末梢動脈疾患、左心低形成症候群、糖尿病性潰瘍、褥瘡性潰瘍、静脈性潰瘍、動脈性潰瘍、火傷、偽関節骨折、骨関節炎および顎顔面骨修復が挙げられる。特定の実施形態では、刺激PDACおよびこのような細胞の集団は、外傷性組織欠損を示す個体における血管新生を促進するために、または瘢痕形成を予防するために、または関節全置換もしくは義歯を有する個体において使用され得る。具体的な実施形態では、前記疾患または障害は、鬱血性心不全である。
具体的な実施形態では、本明細書で提供される刺激PDAC、例えばIL−1β刺激PDACおよびこのような細胞の集団は、循環系の不全を有する個体、例えば末梢血管疾患または冠動脈疾患を有する個体を処置するために使用され得る。
一態様では、心臓疾患または心臓傷害を有する患者を処置するための方法であって、治療用細胞組成物を、心臓または循環系の疾患または傷害を有する患者に投与すること、および心臓機能の改善について前記患者を評価することを含み、前記細胞組成物が、本明細書に記載される刺激PDAC(例えば、IL−1β刺激PDAC)を含む方法が本明細書で提供される。一実施形態では、心臓疾患は、心筋症である。具体的な実施形態では、心筋症は、特発性のものであるか、または原因が既知の心筋症である。他の具体的な実施形態では、心筋症は、性質が虚血性または非虚血性のものである。別の実施形態では、心臓または循環系の疾患は、血管形成、動脈瘤、アンギナ(狭心症)、大動脈狭窄、大動脈炎、不整脈、動脈硬化症、動脈炎、非対称性心室中隔肥大(ASH)、アテローム動脈硬化症、心房細動および粗動、細菌性心内膜炎、バーロー症候群(僧帽弁逸脱症)、徐脈、バージャー病(閉塞性血栓血管炎)、心肥大、心筋症、心臓炎、頸動脈疾患、大動脈縮窄症、先天性心臓疾患(先天性心欠損)、冠動脈疾患、アイゼンメンガー症候群、塞栓症、心内膜炎、先端紅痛症、細動、線維筋性形成異常、心ブロック、心雑音、高血圧症、低血圧症、特発性乳児動脈石灰化、川崎病(皮膚粘膜リンパ節症候群、皮膚粘膜リンパ節疾患、乳児多発性動脈炎)、メタボリックシンドローム、微小血管狭心症、心筋梗塞(心臓発作)、心筋炎、発作性心房頻拍(PAT)、結節性動脈周囲炎(多発性動脈炎、結節性多発性動脈炎)、心膜炎、末梢血管疾患、重症肢虚血、糖尿病性血管症、静脈炎、肺動脈弁狭窄(肺動脈狭窄)、レイノー病、腎動脈狭窄、腎血管性高血圧症、リウマチ性心臓疾患、中隔欠損、無症候性虚血、X症候群、頻脈、高安動脈炎、ファローの四徴症、大血管転位症、三尖弁閉鎖症、総動脈幹症、心臓弁膜症、静脈瘤性潰瘍、静脈瘤、血管炎、心室中隔欠損、ウルフ−パーキンソン−ホワイト症候群または心内膜床欠損の1つ以上を含む。具体的な実施形態では、前記疾患または障害は、心不全、例えば鬱血性心不全である。
他の実施形態では、心臓または循環系の疾患は、急性リウマチ熱、急性リウマチ性心膜炎、急性リウマチ性心内膜炎、急性リウマチ性心筋炎、慢性リウマチ性心臓疾患、僧帽弁の疾患、僧帽弁狭窄、リウマチ性僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁の疾患、他の心内膜構造の疾患、虚血性心臓疾患(急性および亜急性)、狭心症、肺循環の疾患(急性肺性心臓疾患、肺塞栓症、慢性肺性心臓疾患)、脊柱後側弯性心臓疾患、心筋炎、心内膜炎、心内膜心筋線維症、心内膜弾性線維症、房室ブロック、心律動障害、心筋変性、循環系の疾患(脳血管疾患を含む)、前大脳動脈の閉塞および狭窄、大脳動脈の閉塞、動脈、細動脈および毛細血管の疾患(アテローム動脈硬化症、動脈瘤)または静脈およびリンパ管の疾患の1つ以上を含む。別の具体的な実施形態では、前記疾患または障害は、糖尿病性足部潰瘍である。
別の実施形態では、処置は、別の細胞型の有無にかかわらず刺激PDAC、例えばIL−1β刺激PDACを含む治療用細胞組成物で、心筋症を有する個体を処置することを含む。特定の実施形態では、個体は、治療から(例えば、心臓中に存在する他の細胞(幹細胞または前駆細胞を含む)の成長を支援する細胞の能力から、組織の内部成長または組織の血管形成から、および有益な細胞因子、ケモカイン、サイトカインなどの存在から)利益を受けるが、細胞は個体において取り込まれず、増加されない。別の実施形態では、患者は、細胞による治療処置から利益を受けるが、細胞は、患者において長期生存しない。一実施形態では、細胞は、数、生存率または生化学的活性が徐々に減少し、他の実施形態では、細胞の減少前に、一定期間の活性、例えば成長、分裂または生化学的活性があり得る。他の実施形態では、老化細胞、非生存細胞は、または死細胞でさえ、有益な治療効果を有することができる。
循環系の疾患または障害を有する個体であって、本明細書で提供される刺激PDACまたは治療用組成物を投与される個体の改善は、循環系の疾患または障害の1つ以上の症候の検出可能な改善によって評価または実証され得る。
別の実施形態では、循環系の疾患または障害を有する個体であって、刺激PDACまたは刺激PDACを含む治療用組成物を投与される個体の改善は、刺激PDACの投与前の個体と比較した、心臓機能の1つ以上の兆候の検出可能な改善、例えば、胸部心拍出量(CO)、心係数(CI)、肺動脈楔入圧(PAWP)および心係数(CI)、%短縮率(%FS)、駆出率(EF)、左心室駆出率(LVEF);左心室拡張末期径(LVEDD)、左心室収縮末期径(LVESD)、収縮性(例えば、dP/dt)、圧力容量ループ、心仕事量の測定値、心房機能もしくは心室機能の増加;ポンプ効率の増加、ポンプ効率の損失率の減少、血行動態機能の喪失の減少;および心筋症に関連する合併症の減少の1つ以上の検出可能な改善の実証によって評価または実証され得る。
本明細書で提供される刺激PDAC、例えばIL−1β刺激PDACまたは刺激PDACを含む治療用組成物を服用する個体の改善はまた、主観的な指標(例えば、投与後の彼または彼女の健康状態についての個人自己評価)によって評価され得る。
特定の実施形態では、細胞の投与の成功は、投与された刺激PDAC、例えばIL−1β刺激PDACの個体における生存に基づくものではない。代わりに、成功は、上記心臓または循環の健康の改善の1つ以上の指標に基づくものである。したがって、細胞は、患者の心臓または血管に取り込まれる必要はなく、それらと混ざる必要もない。
それを必要とする個体への刺激PDAC、例えばIL−1β刺激PDACまたはこのような細胞を含む治療用組成物の投与は、例えば、移植、(例えば、細胞自体、またはマトリックス−細胞組み合わせの一部としての細胞の)埋め込み、(例えば、疾患または症状の部位への直接的な、例えば、心筋梗塞を有している個体の心臓の虚血部位への直接的な)注射、注入、カテーテルを介した送達、または細胞療法を提供するための当技術分野で公知の任意の他の手段によって達成され得る。
一実施形態では、治療用細胞組成物は、例えば、個体における1つ以上の部位への注射によって、それを必要とする個体に提供される。具体的な実施形態では、治療用細胞組成物は、例えば、心臓における虚血領域への心腔内注射によって提供される。他の具体的な実施形態では、細胞は、心臓の表面に、隣接領域に、またはより遠隔領域にさえ注射される。好ましい実施形態では、細胞は、罹患領域または傷害領域にホーミングし得る。
冠動脈系または血管系の疾患または症状を有する個体は、細胞が治療的に有益である任意の時点において、刺激PDACを投与され得る。特定の実施形態では、例えば、本発明の刺激PDAC、例えばIL−1β刺激PDACまたは治療用組成物は、心筋梗塞の1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間もしくは24時間または1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日もしくは30日以内に投与される。心筋梗塞に時間的に近い(例えば、1〜3または1〜7日以内の)投与は、時間的に遠い(例えば、心筋梗塞の3日後または7日後の)投与よりも好ましい。他の実施形態では、本発明の細胞または治療用組成物は、疾患または症状の初期診断の1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間もしくは24時間または1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日もしくは30日以内に投与される。
心筋梗塞の処置において使用するためのキットも本明細書で提供される。キットは、例えば、薬学的に許容され得る担体と混合することによって薬学的に許容され得る形態で調製され得る刺激PDAC、例えばIL−1β刺激PDACを含む治療用細胞組成物と、アプリケータとを、使用説明書と共に提供する。理想的には、キットは、心筋梗塞または同様の心イベントを有していると診断された患者に適用されるために、現場において、例えば診療室において、または救急医療提供者によって使用され得る。
本明細書で提供される処置方法の具体的な実施形態では、刺激PDAC、例えばIL−1β刺激PDACは、幹細胞(すなわち、PDACではない幹細胞)、筋芽細胞、筋細胞、心筋芽細胞、心筋細胞または筋芽細胞、筋細胞、心筋芽細胞および/もしくは心筋細胞の前駆体と共に投与される。
具体的な実施形態では、本明細書で提供される処置方法は、刺激PDAC、例えばIL−1β刺激PDAC、例えば刺激細胞を含む治療用組成物を、心臓または循環系の疾患を有する患者に投与すること;および心臓機能の改善について前記患者を評価することを含み、前記治療用細胞組成物は、マトリックス−細胞複合体として投与される。特定の実施形態では、マトリックスは足場であり、好ましくは少なくとも細胞を含む生体吸収性足場である。
刺激PDAC、例えばIL−1β刺激PDACおよびこのような細胞の集団は、個体(例えば、心臓もしくは循環系のまたはそれらを冒す疾患、障害または症状を有する個体)に治療的または予防的に提供され得る。このような疾患、障害または症状としては、アテローム動脈硬化症、心筋症または心臓傷害、例えば虚血性傷害による、例えば心筋梗塞または創傷(急性または慢性)による先天性心不全が挙げられ得る。
特定の実施形態では、個体は、例えば、PDACを含む刺激細胞の集団で、治療有効量の刺激PDAC、例えばIL−1β刺激PDACを投与される。具体的な実施形態では、集団は、約50%の刺激PDACを含む。別の具体的な実施形態では、集団は、刺激PDACの実質的に均一な集団である。他の実施形態では、集団は、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%の刺激PDACを含む。
刺激PDAC、例えばIL−1β刺激PDACは、細胞と、別の治療剤、例えばインスリン様成長因子(IGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、上皮成長因子(EGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、肝細胞成長因子(HGF)、インターロイキン18(IL−8)、抗血栓剤(例えば、ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼまたはPPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)、抗トロンビン化合物、血小板受容体アンタゴニスト、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、ジピリダモール、プロタミン、ヒルジン、プロスタグランジン阻害剤および/または血小板阻害剤)、抗アポトーシス剤(例えば、エリスロポエチン(Epo)、Epo誘導体もしくは類似体またはそれらの塩、トロンボポエチン(Tpo)、IGF−I、IGF−II、肝細胞成長因子(HGF)またはカスパーゼ阻害剤)、抗炎症剤(例えば、(例えば、p38 MAPキナーゼ阻害剤、スタチン、IL−6阻害剤、IL−1阻害剤、ペミロラスト、トラニラスト、レミケード、シロリムスおよび/または非ステロイド抗炎症化合物(例えば、アセチルサリチル酸、イブプロフェン、テポキサリン、トルメチン、もしくはスプロフェン))、免疫抑制剤または免疫調節剤(例えば、カルシニューリン阻害剤、例えばシクロスポリン、タクロリムス、mTOR阻害剤、例えばシロリムスまたはエベロリムス;抗増殖薬、例えばアザチオプリンおよび/またはミコフェノール酸モフェチル;コルチコステロイド、例えばプレドニゾロンまたはヒドロコルチゾン;抗体、例えばモノクローナル抗IL−2Rα受容体抗体、バシリキシマブ、ダクリズマ、ポリクローナル抗T細胞抗体、例えば、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)、抗リンパ球グロブリン(ALG)および/またはモノクローナル抗T細胞抗体OKT3または米国特許第7,468,276号および米国特許出願公開第2007/0275362号(これらの各開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている接着性胎盤幹細胞、ならびに/または抗酸化剤(例えば、プロブコール;ビタミンA、Cおよび/もしくはE、補酵素Q−10、グルタチオン、Lシステイン、N−アセチルシステインまたは上記のいずれかの抗酸化誘導体、類似体もしくは塩)とを含む治療用組成物の形態で、個体に投与され得る。特定の実施形態では、PDACを含む治療用組成物は、1つ以上のさらなる細胞型、例えば成体細胞(例えば、線維芽細胞または内胚葉細胞)、幹細胞および/または前駆細胞をさらに含む。このような治療剤および/または1つ以上のさらなる細胞型は個別に、または2つ以上のこのような化合物もしくは薬剤と組み合わせてそれを必要とする個体に投与され得る。
特定の実施形態では、処置すべき個体は、哺乳動物である。具体的な実施形態では、処置すべき個体は、ヒトである。具体的な実施形態では、個体は、畜産動物または家畜である。他の具体的な実施形態では、処置すべき個体は、ウマ、ヒツジ、ウシもしくは去勢ウシ、ブタ、イヌまたはネコである。
5.1.2 虚血性疾患の処置
特定の実施形態では、例えば末梢血管系における血流の途絶を有する個体を処置する方法であって、治療有効量の刺激PDAC、例えばIL−1β刺激PDACを前記個体に投与することを含む方法が本明細書で提供される。特定の具体的な実施形態では、虚血は、末梢動脈疾患(PAD)であり、例えば重症肢虚血(CLI)である。特定の他の実施形態では、虚血は、末梢血管疾患(PVD)、末梢動脈疾患、虚血性血管疾患、虚血性心臓疾患または虚血性腎疾患である。
具体的な実施形態では、前記血流の途絶は、重症肢虚血である。別のより具体的な実施形態では、前記CLIは、下肢の動脈における重症閉塞であって、血流を著しく減少させる重症閉塞である。別のより具体的な実施形態では、前記CLIは、虚血性安静時痛、個体の停止時の脚および足の重度の疼痛、足もしくは脚の治癒しない痛み、足の疼痛もしくは痺れ、脚もしくは足の皮膚の光沢、平滑、乾燥、足指の肥厚、脚もしくは足の脈拍の欠如もしくは減弱、開放創、治癒しない皮膚感染もしくは潰瘍および/または脚もしくは足の乾燥した壊疽(黒色の乾燥皮膚)を特徴とする。別の具体的な実施形態では、CLIを有する個体は、少なくとも1本の指および/または手足全体の喪失を経験している。前記方法の別の具体的な実施形態では、前記治療有効量は、前記個体の末梢血管系における血流の途絶に起因する手足の機能喪失および/または酸素欠乏(低酸素症/無酸素症)の1つ以上の症候の排除、検出可能な改善、その重症度の軽減またはその進行の遅延をもたらす刺激PDAC、例えばIL−1β刺激PDACの数である。別の具体的な実施形態では、治療有効量の単離された刺激PDAC、例えばIL−1β刺激PDACは、例えば、前記血流の途絶後の手足またはその周辺の血流の二次的または後続的途絶によって引き起こされる組織損傷を減少または排除するために、前記個体に予防的に投与される。
他の実施形態では、刺激PDAC、例えばIL−1β刺激PDACは、脳卒中、例えば虚血性脳卒中の処置、例えばCNSの虚血領域における血管新生の促進による脳卒中の処置において使用され得る。一態様では、個体の脳またはその周辺の血流の途絶を有する(例えば、個体の脳もしくは中枢神経系(CNS)またはそれらの周辺の血流の途絶に起因する症候または神経学的欠損を有する)個体を処置する方法であって、治療有効量の単離された組織培養プラスチック接着性ヒト胎盤細胞を前記個体に投与することを含み、前記単離された胎盤細胞が、多能性細胞または幹細胞の特徴を有する方法が本明細書で提供される。特定の実施形態では、血流の途絶は、個体の脳またはCNSに対する酸素欠乏傷害または低酸素傷害をもたらす。本明細書で企図されるように、個体の脳またはその周辺の血流の途絶に起因する個体の症候または神経学的欠損の処置は、個体の脳またはその周辺のこのような血流の途絶を伴い得る再灌流傷害に起因する症候または神経学的欠損の処置を含む。
血管新生性であることに加えて、本明細書で提供される刺激胎盤細胞(例えば、下記IL−1β刺激PDAC)は、神経保護的である。特定の実施形態では、刺激胎盤細胞は、低酸素環境で、例えば低酸素条件(例えば、約5%未満のO2)下で神経保護的である。特定の実施形態では、刺激胎盤幹細胞は、ニューロンもしくは他の神経細胞または星状細胞と接触された場合、例えば、PDACおよびニューロンのインビトロ共培養における神経突起長の増加によって分かるように、ニューロン、神経細胞または星状細胞の健康を高める。特定の他の実施形態では、PDAC、例えばIL−1β刺激PDACは、低酸素環境で1つ以上の活性酸素種の濃度を減少させる。さらに、特定の実施形態では、刺激胎盤細胞(例えば、PDAC)は、神経栄養性サイトカインBDNF、VEGF、HGF、G−CSF、神経成長因子(NGF)および/またはニューロトロフィン−3(NTF3)の1つ以上を分泌する。このようなものとして、PDAC、例えばIL−1β刺激PDACは、CNSおよびPNSの両方に対する虚血性傷害、例えば脳卒中に起因するCNSの神経系に対する虚血性傷害、または重症肢虚血もしくは末梢血管疾患に起因するPNSの神経系に対する虚血性傷害の処置において有用である。他の実施形態では、PDAC、例えばIL−1β刺激PDACは、例えば、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病および/または末梢神経障害、例えば糖尿病性神経障害を処置するために使用され得る。
5.1.3 糖尿病性足部潰瘍の処置
それを必要とする対象における糖尿病性足部潰瘍(DFU)を処置する方法であって、治療有効量の刺激PDAC、例えばIL−1β刺激PDACを前記対象に投与することを含む方法が本明細書で提供される。具体的な実施形態では、前記刺激PDACは、医薬組成物として製剤化される。
具体的な実施形態では、本明細書で提供される方法に従って処置されるDFUを有する対象は、I型糖尿病を有する。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供される方法に従って処置されるDFUを有する対象は、II型糖尿病を有する。特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って処置される対象は、複数のDFUを有し、すなわち、対象は、片足において複数のDFUを有するか、または各足において少なくとも1つのDFUを有する。具体的な実施形態では、対象は、一方の足または両方の足の裏において1つ以上のDFUを有する。
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って処置されるDFUを有する対象は、末梢神経障害、例えば脚および/または足の神経の1つ以上に対する損傷を有する。
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って処置されるDFUを有する対象は、対象の末梢血管系における血流の途絶を引き起こす症状を有するDFUを有する。具体的な実施形態では、対象は、末梢動脈疾患(PAD)を有する。特定の実施形態では、前記DFUは、PADによって引き起こされ、および/またはそれに関連する。
特定の実施形態では、本明細書で提供されるDFUの処置方法は、本明細書で提供される方法に従って処置される対象におけるDFUの1つ以上の症候の検出可能な改善をもたらす。DFUの例示的な症候としては、限定されないが、足および/または下腿における傷、潰瘍または水膨れ;足(または両足)および/または下腿における痛み;歩行困難;足(または両足)における変色、例えば足(または両足)の外観の黒色、青色および/または赤色:ならびに感染症の徴候(例えば、発熱、皮膚の発赤および/または腫脹)が挙げられる。
特定の実施形態では、本明細書で提供されるDFUの処置方法は、改善の1つ以上の兆候の検出可能な改善のために十分な量および時間で、刺激PDAC(例えば、IL−1β刺激PDACまたはIL−1β刺激PDACを含む医薬組成物)を、DFUを有する対象に投与することを含み、前記改善の兆候としては、(i)潰瘍サイズの減少;(ii)潰瘍閉鎖:排膿も包帯の必要性もない1つ以上の潰瘍の皮膚閉鎖;(iii)閉鎖後の特定期間、例えば閉鎖後2週間、3週間、4週間、5週間または6週間にわたる潰瘍閉鎖の保持;(iv)潰瘍閉鎖時間;(v)足関節上腕血圧比(ABI)(対象の静止中に足首および腕の血圧を測定し、次いで対象の動作中に(例えば、トレッドミルを歩行中に)これを繰り返す検査であり、PADの重症度を予測/評価するために使用され得る)の改善;(vi)足趾上腕血圧比(TBI)(ABIと類似の検査であって、足首の血圧ではなく足趾の血圧を使用する検査である)の改善;(vii)経皮酸素(すなわち、潰瘍の近くの皮膚の下にある組織における酸素レベル)の改善(例えば、Ruangsetakit et al.,J Wound Care,2010,19(5):202−6を参照のこと);(viii)脈容量記録(これは、血液測定用カフおよび携帯超音波デバイスを使用して、腕および脚における動脈血流についての情報を得る非侵襲的血管検査である)の改善;(ix)大切断、例えば足首上部における切断の時間;(x)ワーグナー評価尺度(これは、評価システムを使用して、潰瘍の深さと、骨髄炎または壊疽の存在とを評価する:グレード0(潰瘍性病変の前または後)、グレード1(部分的/完全な厚さの潰瘍)、グレード2(腱または被膜へのプロービング)、グレード3(深部が骨髄炎を伴う)、グレード4(部分的な足の壊疽)およびグレード5(全体的な足の壊疽))の改善;(xi)ラザフォード基準(これは、末梢動脈疾患の病期分類に使用され、7つの分類ステージを有する:ステージ0−無症候、ステージ1−軽度の跛行、ステージ2−中程度の跛行、ステージ3−重度の跛行、ステージ4−安静時疼痛、ステージ5−足の指の潰瘍を超えない虚血性潰瘍形成、およびステージ6−重度の虚血性潰瘍または明らかな壊疽)の改善:および(xii)脚の安静時疼痛スコア(0が無痛であり、10が最大疼痛を表す0〜10の疼痛尺度)の改善が挙げられる。
特定の実施形態では、本明細書で提供されるDFUの処置方法は、例えば、(i)36項目簡易健康調査(SF−36)(例えば、Ware et al.,Medical Care 30(6):473−483を参照のこと);(ii)糖尿病性足部潰瘍尺度簡易版(DFS−SF)(これは、生活の質に対する糖尿病性足部潰瘍の影響を測定する)(例えば、Bann et al.,Pharmacoeconomics,2003,21(17):1277−90を参照のこと);(iii)神経障害の経時的変化を評価するための患者全般変化印象尺度(例えば、Kamper et al.,J.Man.Manip.Ther.,2009,17(3):163−170を参照のこと);ならびに/または(iv)EuroQol5D(EQ−5D(商標))尺度(これは、患者の健康状態に関する記述プロファイルおよび単一指標値を得るために使用される健康調査表である)によって評価した場合の対象の生活の質の検出可能な改善のために十分な量および時間で、刺激PDAC、例えば、IL−1β刺激PDACまたはIL−1β刺激PDACを含む医薬組成物)を、DFUを有する対象に投与することを含む。
本明細書に記載されるDFUの処置方法の具体的な実施形態では、刺激PDAC(例えば、IL−1β刺激PDAC、またはIL−1β刺激PDACを含む医薬組成物)は、注射によって投与される。本明細書に記載されるDFUの処置方法の別の具体的な実施形態では、刺激PDAC(例えば、IL−1β刺激PDAC、またはIL−1β刺激PDACを含む医薬組成物)は、胎盤細胞を含むマトリックスまたは足場の前記対象への埋め込みによって、処置される対象に投与される。
本明細書に記載されるDFUの処置方法の具体的な実施形態では、刺激PDAC(例えば、IL−1β刺激PDAC、またはIL−1β刺激PDACを含む医薬組成物)は、筋肉内投与される。本明細書に記載されるDFUの処置方法の別の具体的な実施形態では、刺激PDAC(例えば、IL−1β刺激PDAC、またはIL−1β刺激PDACを含む医薬組成物)は、静脈内投与される。本明細書に記載されるDFUの処置方法の別の具体的な実施形態では、刺激PDAC(例えば、IL−1β刺激PDAC、またはIL−1β刺激PDACを含む医薬組成物)は、皮下投与される。本明細書に記載されるDFUの処置方法の別の具体的な実施形態では、刺激PDAC(例えば、IL−1β刺激PDAC、またはIL−1β刺激PDACを含む医薬組成物)は、局所投与される。本明細書に記載されるDFUの処置方法の別の具体的な実施形態では、刺激PDAC(例えば、IL−1β刺激PDAC、またはIL−1β刺激PDACを含む医薬組成物)は、全身投与される。特定の実施形態では、本明細書に記載されるDFUの処置方法は、約1×106個、3×106個、5×106個、1×107個、3×107個、5×107個、1×108個、3×108個、5×108個、1×109個、5×109個または1×1010個の刺激PDAC(例えば、IL−1β刺激PDAC、またはIL−1β刺激PDACを含む医薬組成物)を投与することを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載されるDFUの処置方法は、約1×106〜3×106個、3×106〜5×106個、5×106〜1×107個、1×107〜3×107個、3×107〜5×107個、5×107〜1×108個、1×108〜3×108個、3×108〜5×108個、5×108〜1×109個、1×109〜5×109個または5×109〜1×1010個の刺激PDAC(例えば、IL−1β刺激PDAC、またはIL−1β刺激PDACを含む医薬組成物)を投与することを含む。具体的な実施形態では、本明細書に記載されるDFUの処置方法は、約3×106個の刺激PDAC(例えば、IL−1β刺激PDAC)を投与することを含む。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載されるDFUの処置方法は、約1×107個の刺激PDAC(例えば、IL−1β刺激PDAC)を投与することを含む。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載されるDFUの処置方法は、約3×107個の刺激PDAC(例えば、IL−1β刺激PDAC)を投与することを含む。
本明細書に記載されるDFUの処置方法の具体的な実施形態では、刺激PDAC(例えば、IL−1β刺激PDAC、またはIL−1β刺激PDACを含む医薬組成物)は、1週間の投与間隔で筋肉内投与され、例えば、刺激PDACは1日目(最初の投与日)に投与され、第2の用量の刺激PDAC(例えば、IL−1β刺激PDAC、またはIL−1β刺激PDACを含む医薬組成物)は1週間後に(すなわち、8日目に)に投与される。別の具体的な実施形態では、前記方法は、各投与日に(すなわち、1日目および8日目に)、約3×106個の刺激PDAC(例えば、IL−1β刺激PDAC)を投与することを含む。別の具体的な実施形態では、前記方法は、各投与日に(すなわち、1日目および8日目に)、約1×107個の刺激PDAC(例えば、IL−1β刺激PDAC)を投与することを含む。別の具体的な実施形態では、前記方法は、各投与日に(すなわち、1日目および8日目に)、約3×107個の刺激PDAC(例えば、IL−1β刺激PDAC)を投与することを含む。別の具体的な実施形態では、刺激PDAC(例えば、IL−1β刺激PDAC)を投与される対象は、PADを有する。
5.2 単離された胎盤細胞および単離された胎盤細胞集団
刺激PDAC、例えばIL−1β刺激PDACを作製するための基礎となる胎盤細胞は、胎盤またはその一部から取得可能な細胞であって、組織培養基質に接着し、多能性細胞または幹細胞の特徴を有するが、トロホブラストではない細胞である。このセクション(5.2)では、刺激PDAC、例えばIL−1β刺激PDACを作製するために使用され得る細胞源になる胎盤細胞について記載する。
刺激PDACを作製するための基礎となる胎盤細胞は、胎児起源または母親起源のいずれかであり得る(すなわち、それぞれ胎児または母親のいずれかの遺伝子型を有し得る)。好ましくは、胎盤細胞およびその集団は、胎児起源のものである。本明細書で使用される場合、「胎児起源」または「非母親起源」という語句は、単離された胎盤細胞または単離された胎盤細胞の集団が、胎児に関連する(すなわち、胎児遺伝子型を有する)臍帯または胎盤構造物から得られることを示す。本明細書で使用される場合、「母親起源」という語句は、細胞または細胞の集団が、母親に関連する(すなわち、母親遺伝子型を有する)胎盤構造物から得られることを示す。単離された胎盤細胞または単離された胎盤細胞を含む細胞の集団は、胎児起源もしくは母親起源のみの単離された胎盤細胞を含み得るか、または胎児起源および母親起源の両方の単離された胎盤細胞の混合集団を含み得る。単離された胎盤細胞および単離された刺激胎盤細胞を含む細胞の集団は、下記形態学的特徴、マーカー特徴および培養特徴によって同定および選択され得る。特定の実施形態では、本明細書に記載される胎盤細胞、例えば胎盤幹細胞または胎盤多能性細胞はいずれも、レシピエント(例えば、循環系の疾患または障害を有する個体)にとって自己である。特定の他の実施形態では、本明細書に記載される胎盤細胞、例えば胎盤幹細胞または胎盤多能性細胞はいずれも、レシピエント(例えば、循環系の疾患または障害を有する個体)にとって異種である。
特定の実施形態では、刺激PDAC(例えば、以下のセクション5.2.1、5.2.2および5.2.3に記載されているPDAC)を作製するための基礎となる本明細書に記載される胎盤幹細胞は、1つ以上の炎症促進性サイトカインで刺激される。特定の実施形態では、刺激PDAC(例えば、以下のセクション5.2.1、5.2.2および5.2.3に記載されているPDAC)を作製するための基礎となる本明細書に記載される胎盤幹細胞は、IL−1α、IL−1β、IL−6、IL−8、IL−18、TNF−αまたはINF−γの1つ以上で刺激されている。具体的な実施形態では、刺激PDAC(例えば、以下のセクション5.2.1、5.2.2および5.2.3に記載されているPDAC)を作製するための基礎となる本明細書に記載される胎盤幹細胞は、IL−1βで刺激されている。
5.2.1 物理的および形態学的な特徴
本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、初代培養または細胞培養で培養される場合、組織培養基材、例えば組織培養容器表面(例えば、組織培養プラスチック)に、または細胞外マトリックスもしくはリガンド、例えばラミニン、コラーゲン(例えば、天然もしくは変性)、ゼラチン、フィブロネクチン、オルニチン、ビトロネクチンおよび細胞外膜タンパク質(例えば、MATRIGEL(登録商標)(BD Discovery Labware,Bedford,Mass.))でコーティングされた組織培養表面に接着する。本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、培養中に線維芽細胞様の星状外観を一般に呈し、いくつかの細胞質突起が中央の細胞体から伸長している。しかしながら、単離された胎盤細胞は、線維芽細胞よりも多数のこのような突起を示すので、これらの細胞は、同じ条件下で培養された線維芽細胞と形態学的に区別可能である。形態学的には、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞はまた、培養中により円形または敷石状の形態を一般に呈する造血幹細胞と区別可能である。
特定の実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、成長培地中で培養される場合、胚様体様体を発達させる。胚様体様体は、増殖中の単離された胎盤細胞の接着層の先端上で成長し得る非連続的な細胞塊である。細胞塊は胚様体(胚性幹細胞の培養物から成長する細胞塊)に似ているので、「胚様体様」という用語が使用される。単離された胎盤細胞の増殖培養物中で胚様体様体が発達し得る成長培地としては、例えばDMEM−LG(例えば、Gibco製);2%胎仔ウシ血清(例えば、Hyclone Labs.製);1×インスリン−トランスフェリン−セレン(ITS);1×リノール酸−ウシ血清アルブミン(LA−BSA);10-9Mデキサメタゾン(例えば、Sigma製);10-4Mアスコルビン酸2−ホスフェート(例えば、Sigma製);上皮成長因子10ng/mL(例えば、R&D Systems製);および血小板由来成長因子(PDGF−BB)10ng/mL(例えば、R&D Systems製)を含む培地が挙げられる。
5.2.2 細胞表面マーカー、分子マーカーおよび遺伝子マーカー
本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、多能性細胞または幹細胞の特徴を有する組織培養プラスチック接着性ヒト胎盤細胞であって、幹細胞を含む細胞または細胞の集団を同定および/または単離するために使用され得る複数のマーカーを発現する組織培養プラスチック接着性ヒト胎盤細胞である。特定の実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される胎盤細胞は、例えば、インビトロまたはインビボで血管新生性である。本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞および胎盤細胞集団としては、胎盤またはその任意の部分(例えば、絨毛膜、胎盤葉など)から直接得られる胎盤細胞および胎盤細胞含有細胞集団が挙げられる。本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される胎盤細胞集団としては、培養物中の単離された胎盤細胞の集団(すなわち、2つ以上の単離された胎盤細胞)、および容器(例えば、バッグ)中の集団も挙げられる。本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される胎盤細胞は、骨髄由来間葉系細胞、脂肪由来間葉系幹細胞、ならびに臍帯血、胎盤血および末梢血から得られる間葉系細胞ではない。本明細書に記載される方法および組成物において有用な本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される胎盤細胞、例えば胎盤多能性細胞および胎盤細胞は本明細書に記載されており、例えば、米国特許第7,311,904号;米国特許第7,311,905号;および米国特許第7,468,276号;ならびに米国特許出願公開第2007/0275362号(これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
特定の他の実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される胎盤細胞は、単離された胎盤多能性細胞である。一実施形態では、前記細胞、例えば、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される細胞は、フローサイトメトリーによって検出した場合、CD34-、CD10+およびCD105+である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞は、神経表現型の細胞、骨形成表現型の細胞および/または軟骨形成表現型の細胞に分化する可能性を有する。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞はさらに、CD200+である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞はさらに、CD45-またはCD90+である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞はさらに、フローサイトメトリーによって検出した場合、CD45-およびCD90+である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離されたCD34-、CD10+、CD105+、CD200+胎盤細胞はさらに、フローサイトメトリーによって検出した場合、CD90+またはCD45-である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離されたCD34-、CD10+、CD105+、CD200+胎盤細胞はさらに、フローサイトメトリーによって検出した場合、CD90+およびCD45-であり、すなわち、細胞は、CD34-、CD10+、CD45-、CD90+、CD105+およびCD200+である。別の具体的な実施形態では、前記CD34-、CD10+、CD45-、CD90+、CD105+、CD200+細胞はさらに、CD80-およびCD86-である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、1つ以上のサイトカインによって刺激されている。具体的な実施形態では、前記サイトカインは、炎症促進性サイトカインである。別の具体的な実施形態では、前記サイトカインは、IL−1βである。
特定の実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、フローサイトメトリーによって検出した場合、CD34-、CD10+、CD105+およびCD200+であり、CD38-、CD45-、CD80-、CD86-、CD133-、HLA−DR,DP,DQ-、SSEA3-、SSEA4-、CD29+、CD44+、CD73+、CD90+、CD105+、HLA−A,B,C+、PDL1+、ABC−p+および/またはOCT−4+の1つ以上である。他の実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用されるCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞はいずれもさらに、CD29+、CD38-、CD44+、CD54+、SH3+またはSH4+の1つ以上である。別の具体的な実施形態では、細胞はさらに、CD44+である。上記単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞のいずれかの別の具体的な実施形態では、細胞はさらに、CD117-、CD133-、KDR-(VEGFR2-)、HLA−A,B,C+、HLA−DP,DQ,DR-もしくはプログラム死−1リガンド(PDL1)+の1つ以上またはそれらの任意の組み合わせである。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤幹細胞は、1つ以上のサイトカインによって刺激されている。具体的な実施形態では、前記サイトカインは、炎症促進性サイトカインである。別の具体的な実施形態では、前記サイトカインは、IL−1βである。
別の実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用されるCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞はさらに、CD13+、CD29+、CD33+、CD38-、CD44+、CD45-、CD54+、CD62E-、CD62L-、CD62P-、SH3+(CD73+)、SH4+(CD73+)、CD80-、CD86-、CD90+、SH2+(CD105+)、CD106/VCAM+、CD117-、CD144/VE−カドヘリン低、CD184/CXCR4-、CD200+、CD133-、OCT−4+、SSEA3-、SSEA4-、ABC−p+、KDR-(VEGFR2-)、HLA−A,B,C+、HLA−DP,DQ,DR-、HLA−G-もしくはプログラム死−1リガンド(PDL1)+の1つ以上またはそれらの任意の組み合わせである。他の実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用されるCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞はさらに、CD13+、CD29+、CD33+、CD38-、CD44+、CD45-、CD54/ICAM+、CD62E-、CD62L-、CD62P-、SH3+(CD73+)、SH4+(CD73+)、CD80-、CD86-、CD90+、SH2+(CD105+)、CD106/VCAM+、CD117-、CD144/VE−カドヘリン低、CD184/CXCR4-、CD200+、CD133-、OCT−4+、SSEA3-、SSEA4-、ABC−p+、KDR-(VEGFR2-)、HLA−A,B,C+、HLA−DP,DQ,DR-、HLA−G-およびプログラム死−1リガンド(PDL1)+である。
別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される胎盤細胞はいずれもさらに、フローサイトメトリーによって検出した場合、ABC−p+であるか、またはRT−PCRによって決定した場合、OCT−4+(POU5F1+)であり、ABC−pは、胎盤特異的ABC輸送体タンパク質(乳癌耐性タンパク質(BCRP)およびミトキサントロン耐性タンパク質(MXR)としても公知である)であり、OCT−4は、オクタマー−4タンパク質(POU5F1)である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される胎盤細胞はいずれもさらに、フローサイトメトリーによって決定した場合、SSEA3-またはSSEA4-であり、SSEA3はステージ特異的胚抗原3であり、SSEA4はステージ特異的胚抗原4である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される胎盤細胞はいずれもさらに、SSEA3-およびSSEA4-である。
別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞はいずれもさらに、MHC−I+(例えば、HLA−A,B,C+)、MHC−II-(例えば、HLA−DP,DQ,DR-)またはHLA−G-の1つ以上である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤幹細胞はいずれもさらに、MHC−I+(例えば、HLA−A,B,C+)、MHC−II-(例えば、HLA−DP,DQ,DR-)およびHLA−G-の1つ以上である。
本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞の集団、または本明細書に開示される方法および組成物において有用な単離された胎盤細胞を含む細胞の集団(例えば、胎盤細胞の集団)、例えば前記単離された胎盤細胞について濃縮されている胎盤幹細胞も本明細書で提供される。本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞を含む細胞の集団が好ましく、細胞の集団は、例えば、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%の単離されたCD10+、CD105+およびCD34-胎盤細胞を含む;すなわち、前記集団における細胞の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%は、単離されたCD10+、CD105+およびCD34-胎盤細胞である。具体的な実施形態では、単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞はさらに、CD200+である。別の具体的な実施形態では、単離されたCD34-、CD10+、CD105+、CD200+胎盤細胞はさらに、フローサイトメトリーによって検出した場合、CD90+またはCD45-である。別の具体的な実施形態では、単離されたCD34-、CD10+、CD105+、CD200+胎盤細胞はさらに、フローサイトメトリーによって検出した場合、CD90+およびCD45-である。別の具体的な実施形態では、上記単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞はいずれもさらに、CD29+、CD38-、CD44+、CD54+、SH3+またはSH4+の1つ以上である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離されたCD34-、CD10+、CD105+単離された胎盤細胞、または本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離されたCD34-、CD10+、CD105+、CD200+単離された胎盤細胞はさらに、CD44+である。上記単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞を含む細胞の集団のいずれかの具体的な実施形態では、単離された胎盤細胞はさらに、CD13+、CD29+、CD33+、CD38-、CD44+、CD45-、CD54+、CD62E-、CD62L-、CD62P-、SH3+(CD73+)、SH4+(CD73+)、CD80-、CD86-、CD90+、SH2+(CD105+)、CD106/VCAM+、CD117-、CD144/VE−カドヘリン低、CD184/CXCR4-、CD200+、CD133-、OCT−4+、SSEA3-、SSEA4-、ABC−p+、KDR-(VEGFR2-)、HLA−A,B,C+、HLA−DP,DQ,DR-、HLA−G-もしくはプログラム死−1リガンド(PDL1)+の1つ以上またはそれらの任意の組み合わせである。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用されるCD34-、CD10+、CD105+細胞はさらに、CD13+、CD29+、CD33+、CD38-、CD44+、CD45-、CD54/ICAM+、CD62E-、CD62L-、CD62P-、SH3+(CD73+)、SH4+(CD73+)、CD80-、CD86-、CD90+、SH2+(CD105+)、CD106/VCAM+、CD117-、CD144/VE−カドヘリン低、CD184/CXCR4-、CD200+、CD133-、OCT−4+、SSEA3-、SSEA4-、ABC−p+、KDR-(VEGFR2-)、HLA−A,B,C+、HLA−DP,DQ,DR-、HLA−G-およびプログラム死−1リガンド(PDL1)+である。
特定の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物において有用な刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、CD10+、CD29+、CD34-、CD38-、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SH2+、SH3+、SH4+、SSEA3-、SSEA4-、OCT−4+およびABC−p+の1つ以上またはすべてであり、前記単離された胎盤細胞は、胎盤組織の物理的および/または酵素的破壊によって得られる。具体的な実施形態では、単離された胎盤細胞は、OCT−4+およびABC−p+である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、OCT−4+およびCD34-であり、前記単離された胎盤細胞は、以下の特徴の少なくとも1つを有する:CD10+、CD29+、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SH3+、SH4+、SSEA3-およびSSEA4-。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、OCT−4+、CD34-、CD10+、CD29+、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SH3+、SH4+、SSEA3-およびSSEA4-である。別の実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、OCT−4+、CD34-、SSEA3-およびSSEA4-である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、OCT−4+およびCD34-であり、SH2+またはSH3+のいずれかである。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、OCT−4+、CD34-、SH2+およびSH3+である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、OCT−4+、CD34-、SSEA3-およびSSEA4-であり、SH2+またはSH3+のいずれかである。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、OCT−4+およびCD34-であり、SH2+またはSH3+のいずれかであり、CD10+、CD29+、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SSEA3-またはSSEA4-の少なくとも1つである。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、OCT−4+、CD34-、CD10+、CD29+、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SSEA3-およびSSEA4-であり、SH2+またはSH3+のいずれかである。
別の実施形態では、本明細書に開示される方法および組成物において有用な本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤幹細胞は、SH2+、SH3+、SH4+およびOCT−4+である。別の具体的な実施形態では、単離された胎盤細胞は、CD10+、CD29+、CD44+、CD54+、CD90+、CD34-、CD45-、SSEA3-またはSSEA4-である。別の実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、SH2+、SH3+、SH4+、SSEA3-およびSSEA4-である。別の具体的な実施形態では、単離された胎盤細胞は、SH2+、SH3+、SH4+、SSEA3-およびSSEA4-であり、CD10+、CD29+、CD44+、CD54+、CD90+、OCT−4+、CD34-またはCD45-である。
別の実施形態では、本明細書に開示される方法および組成物において有用な本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、CD10+、CD29+、CD34-、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SH2+、SH3+およびSH4+であり;前記単離された胎盤細胞はさらに、OCT−4+、SSEA3-またはSSEA4-の1つ以上である。
特定の実施形態では、本明細書に開示される方法および組成物において有用な本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、CD200+またはHLA−G-である。具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、CD200+およびHLA−G-である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞はさらに、CD73+およびCD105+である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞はさらに、CD34-、CD38-またはCD45-である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞はさらに、CD34-、CD38-およびCD45-である。別の具体的な実施形態では、前記幹細胞は、CD34-、CD38-、CD45-、CD73+およびCD105+である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD200+またはHLA−G-胎盤細胞は、胚様体様体の形成を可能にする条件下で、単離された胎盤細胞を含む胎盤細胞の集団における胚様体様体の形成を促進する。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、幹細胞および多能性細胞ではない胎盤細胞から単離されている。別の具体的な実施形態では、前記単離された胎盤細胞は、これらのマーカーを示さない胎盤細胞から単離されている。
別の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物において有用な細胞集団は、CD200+、HLA−G-幹細胞を含む(例えば、前記幹細胞について濃縮されている)細胞の集団である。具体的な実施形態では、前記集団は、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される胎盤細胞の集団である。様々な実施形態では、前記細胞集団における細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%または少なくとも約60%は、単離されたCD200+、HLA−G-胎盤細胞である。好ましくは、前記細胞集団における細胞の少なくとも約70%は、単離されたCD200+、HLA−G-胎盤細胞である。より好ましくは、前記細胞の少なくとも約90%、95%または99%は、単離されたCD200+、HLA−G-胎盤細胞である。細胞集団の具体的な実施形態では、前記単離されたCD200+、HLA−G-胎盤細胞はまた、CD73+およびCD105+である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD200+、HLA−G-胎盤細胞はまた、CD34-、CD38-またはCD45-である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD200+、HLA−G-胎盤細胞はまた、CD34-、CD38-、CD45-、CD73+およびCD105+である。別の実施形態では、前記細胞集団は、胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養される場合、1つ以上の胚様体様体を産生する。別の具体的な実施形態では、前記細胞集団は、幹細胞ではない胎盤細胞から単離されている。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD200+、HLA−G-胎盤細胞は、これらのマーカーを示さない胎盤細胞から単離されている。
別の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物において有用な単離された胎盤細胞は、CD73+、CD105+およびCD200+である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、HLA−G-である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、CD34-、CD38-またはCD45-である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、CD34-、CD38-およびCD45-である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、CD34-、CD38-、CD45-およびHLA−G-である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離されたCD73+、CD105+およびCD200+胎盤細胞は、胚様体様体の形成を可能にする条件下で、単離された胎盤細胞を含む胎盤細胞の集団が培養される場合、前記集団における1つ以上の胚様体様体の形成を促進する。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、単離された胎盤細胞ではない胎盤細胞から単離されている。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、これらのマーカーを示さない胎盤細胞から単離されている。
別の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物において有用な本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される細胞集団は、単離されたCD73+、CD105+、CD200+胎盤細胞を含む(例えば、前記胎盤細胞について濃縮されている)細胞の集団である。様々な実施形態では、前記細胞集団における細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%または少なくとも約60%は、単離されたCD73+、CD105+、CD200+胎盤細胞である。別の実施形態では、前記細胞の集団における前記細胞の少なくとも約70%は、単離されたCD73+、CD105+、CD200+胎盤細胞である。別の実施形態では、前記細胞の集団における細胞の少なくとも約90%、95%または99%は、単離されたCD73+、CD105+、CD200+胎盤細胞である。前記集団の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、HLA−G-である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞はさらに、CD34-、CD38-またはCD45-である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞はさらに、CD34-、CD38-およびCD45-である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞はさらに、CD34-、CD38-、CD45-およびHLA−G-である。別の具体的な実施形態では、前記細胞の集団は、胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養される場合、1つ以上の胚様体様体を産生する。別の具体的な実施形態では、前記胎盤細胞の集団は、幹細胞ではない胎盤細胞から単離されている。別の具体的な実施形態では、前記胎盤細胞の集団は、これらの特徴を示さない胎盤細胞から単離されている。
特定の他の実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、CD10+、CD29+、CD34-、CD38-、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SH2+、SH3+、SH4+、SSEA3−、SSEA4-、OCT−4+、HLA−G-またはABC−p+の1つ以上である。具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、CD10+、CD29+、CD34-、CD38-、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SH2+、SH3+、SH4+、SSEA3−、SSEA4-およびOCT−4+である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、CD10+、CD29+、CD34-、CD38-、CD45-、CD54+、SH2+、SH3+およびSH4+である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、CD10+、CD29+、CD34-、CD38-、CD45-、CD54+、SH2+、SH3+、SH4+およびOCT−4+である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、CD10+、CD29+、CD34-、CD38-、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、HLA−G-、SH2+、SH3+、SH4+である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、OCT−4+およびABC−p+である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、SH2+、SH3+、SH4+およびOCT−4+である。別の実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、OCT−4+、CD34-、SSEA3-およびSSEA4-である。具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される前記単離されたOCT−4+、CD34-、SSEA3-およびSSEA4-胎盤細胞はさらに、CD10+、CD29+、CD34-、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SH2+、SH3+およびSH4+である。別の実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、OCT−4+およびCD34-であり、SH3+またはSH4+のいずれかである。別の実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞はCD34-であり、CD10+、CD29+、CD44+、CD54+、CD90+またはOCT−4+のいずれかである。
別の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物において有用な本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、CD200+およびOCT−4+である。具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、CD73+およびCD105+である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される前記単離された胎盤細胞は、HLA−G-である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD200+、OCT−4+胎盤は、CD34-、CD38-またはCD45-である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD200+、OCT−4+胎盤細胞は、CD34-、CD38-およびCD45-である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD200+、OCT−4+胎盤は、CD34-、CD38-、CD45-、CD73+、CD105+およびHLA−G-である。別の具体的な実施形態では、単離されたCD200+、OCT−4+胎盤細胞は、胚様体様体の形成を可能にする条件下で、単離された細胞を含む胎盤細胞の集団が培養される場合、前記集団による1つ以上の胚様体様体の産生を促進する。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD200+、OCT−4+胎盤細胞は、幹細胞ではない胎盤細胞から単離されている。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD200+、OCT−4+胎盤細胞は、これらの特徴を示さない胎盤細胞から単離されている。
別の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物において有用な細胞集団は、CD200+、OCT−4+胎盤細胞を含む(例えば、前記胎盤細胞について濃縮されている)本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される細胞の集団である。様々な実施形態では、前記細胞集団における細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%または少なくとも約60%は、単離されたCD200+、OCT−4+胎盤細胞である。別の実施形態では、前記細胞の少なくとも約70%は、前記単離されたCD200+、OCT−4+胎盤細胞である。別の実施形態では、前記細胞集団における細胞の少なくとも約80%、90%、95%または99%は、前記単離されたCD200+、OCT−4+胎盤細胞である。単離された集団の具体的な実施形態では、前記単離されたCD200+、OCT−4+胎盤細胞はさらに、CD73+およびCD105+である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD200+、OCT−4+胎盤細胞はさらに、HLA−G-である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD200+、OCT−4+胎盤細胞はさらに、CD34-、CD38-およびCD45-である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD200+、OCT−4+胎盤細胞はさらに、CD34-、CD38-、CD45-、CD73+、CD105+およびHLA−G-である。別の具体的な実施形態では、細胞集団は、胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養される場合、1つ以上の胚様体様体を産生する。別の具体的な実施形態では、前記細胞集団は、単離されたCD200+、OCT−4+胎盤細胞ではない胎盤細胞から単離されている。別の具体的な実施形態では、前記細胞集団は、これらのマーカーを示さない胎盤細胞から単離されている。
別の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物において有用な本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、CD73+、CD105+およびHLA−G-である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD73+、CD105+およびHLA−G-胎盤細胞はさらに、CD34-、CD38-またはCD45-である。別の具体的な実施形態では、単離されたCD73+、CD105+、HLA−G-胎盤細胞はさらに、CD34-、CD38-およびCD45-である。別の具体的な実施形態では、単離されたCD73+、CD105+、HLA−G-胎盤細胞はさらに、OCT−4+である。別の具体的な実施形態では、単離されたCD73+、CD105+、HLA−G-胎盤細胞はさらに、CD200+である。別の具体的な実施形態では、単離されたCD73+、CD105+、HLA−G-胎盤細胞はさらに、CD34-、CD38-、CD45-、OCT−4+およびCD200+である。別の具体的な実施形態では、単離されたCD73+、CD105+、HLA−G-胎盤細胞は、胚様体様体の形成を可能にする条件下で、前記細胞を含む胎盤細胞の集団が培養される場合、前記集団における胚様体様体の形成を促進する。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD73+、CD105+、HLA−G-胎盤細胞は、単離されたCD73+、CD105+、HLA−G-胎盤細胞ではない胎盤細胞から単離されている。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD73+、CD105+、HLA−G-胎盤細胞は、これらのマーカーを示さない胎盤細胞から単離されている。
別の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物において有用な本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される細胞集団は、単離されたCD73+、CD105+およびHLA−G-胎盤細胞を含む細胞の集団(例えば、前記胎盤細胞について濃縮されている集団)である。様々な実施形態では、前記細胞の集団における細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%または少なくとも約60%は、単離されたCD73+、CD105+、HLA−G-胎盤細胞である。別の実施形態では、前記細胞の集団における細胞の少なくとも約70%は、単離されたCD73+、CD105+、HLA−G-胎盤細胞である。別の実施形態では、前記細胞の集団における細胞の少なくとも約90%、95%または99%は、単離されたCD73+、CD105+、HLA−G-胎盤細胞である。上記集団の具体的な実施形態では、前記単離されたCD73+、CD105+、HLA−G-胎盤細胞はさらに、CD34-、CD38-またはCD45-である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD73+、CD105+、HLA−G-胎盤細胞はさらに、CD34-、CD38-およびCD45-である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD73+、CD105+、HLA−G-胎盤細胞はさらに、OCT−4+である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD73+、CD105+、HLA−G-胎盤細胞はさらに、CD200+である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD73+、CD105+、HLA−G-胎盤細胞はさらに、CD34-、CD38-、CD45-、OCT−4+およびCD200+である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される前記細胞集団は、CD73+、CD105+、HLA−G-胎盤細胞ではない胎盤細胞から単離されている。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される前記細胞集団は、これらのマーカーを示さない胎盤細胞から単離されている。
別の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物において有用な本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞はCD73+およびCD105+であり、胚様体様体の形成を可能にする条件下で、前記CD73+、CD105+細胞を含む単離された胎盤細胞の集団が培養される場合、前記集団における1つ以上の胚様体様体の形成を促進する。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤細胞はさらに、CD34-、CD38-またはCD45-である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤細胞はさらに、CD34-、CD38-およびCD45-である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤細胞はさらに、OCT−4+である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤細胞はさらに、OCT−4+、CD34-、CD38-およびCD45-である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤細胞は、前記細胞ではない胎盤細胞から単離されている。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤細胞は、これらの特徴を示さない胎盤細胞から単離されている。
別の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物において有用な本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される細胞集団は、CD73+、CD105+である単離された胎盤細胞を含む細胞の集団(例えば、前記単離された胎盤細胞について濃縮されている集団)であり、胚様体様体の形成を可能にする条件下で、前記細胞を含む単離された胎盤細胞の集団が培養される場合、前記集団における1つ以上の胚様体様体の形成を促進する。様々な実施形態では、前記細胞の集団における細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%または少なくとも約60%は、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤細胞である。別の実施形態では、前記細胞の集団における細胞の少なくとも約70%は、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤細胞である。別の実施形態では、前記細胞の集団における細胞の少なくとも約90%、95%または99%は、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤細胞である。上記集団の具体的な実施形態では、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤細胞はさらに、CD34-、CD38-またはCD45-である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤細胞はさらに、CD34-、CD38-およびCD45-である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤細胞はさらに、OCT−4+である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤細胞はさらに、CD200+である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤細胞はさらに、CD34-、CD38-、CD45-、OCT−4+およびCD200+である。別の具体的な実施形態では、前記細胞集団は、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤細胞ではない胎盤細胞から単離されている。別の具体的な実施形態では、前記細胞集団は、これらのマーカーを示さない胎盤細胞から単離されている。
別の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物において有用な本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞はOCT−4+であり、胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養される場合、前記細胞を含む単離された胎盤細胞の集団における1つ以上の胚様体様体の形成を促進する。具体的な実施形態では、前記単離されたOCT−4+胎盤細胞はさらに、CD73+およびCD105+である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたOCT−4+胎盤細胞はさらに、CD34-、CD38-またはCD45-である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたOCT−4+胎盤細胞はさらに、CD200+である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたOCT−4+胎盤細胞はさらに、CD73+、CD105+、CD200+、CD34-、CD38-およびCD45-である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたOCT−4+胎盤細胞は、OCT−4+胎盤細胞ではない胎盤細胞から単離されている。別の具体的な実施形態では、前記単離されたOCT−4+胎盤細胞は、これらの特徴を示さない胎盤細胞から単離されている。
別の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物において有用な本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される細胞集団は、OCT−4+である単離された胎盤細胞を含む細胞の集団(例えば、前記単離された胎盤細胞について濃縮されている集団)であり、胚様体様体の形成を可能にする条件下で、前記細胞を含む単離された胎盤細胞の集団が培養される場合、前記集団における1つ以上の胚様体様体の形成を促進する。様々な実施形態では、前記細胞の集団における細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%または少なくとも約60%は、前記単離されたOCT−4+胎盤細胞である。別の実施形態では、前記細胞の集団における細胞の少なくとも約70%は、前記単離されたOCT−4+胎盤細胞である。別の実施形態では、前記細胞の集団における細胞の少なくとも約80%、90%、95%または99%は、前記単離されたOCT−4+胎盤細胞である。上記集団の具体的な実施形態では、前記単離されたOCT−4+胎盤細胞はさらに、CD34-、CD38-またはCD45-である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたOCT−4+胎盤細胞はさらに、CD34-、CD38-およびCD45-である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたOCT−4+胎盤細胞はさらに、CD73+およびCD105+である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたOCT−4+胎盤細胞はさらに、CD200+である。別の具体的な実施形態では、前記単離されたOCT−4+胎盤細胞はさらに、CD73+、CD105+、CD200+、CD34-、CD38-およびCD45-である。別の具体的な実施形態では、前記細胞集団は、前記細胞ではない胎盤細胞から単離されている。別の具体的な実施形態では、前記細胞集団は、これらのマーカーを示さない胎盤細胞から単離されている。
別の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物において有用な本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、単離されたHLA−A,B,C+、CD45-、CD133-およびCD34-胎盤細胞である。別の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物において有用な本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される細胞集団は、単離された胎盤細胞を含む細胞の集団であり、前記単離された細胞の集団における細胞の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%または少なくとも約99%は、単離されたHLA−A,B,C+、CD45-、CD133-およびCD34-胎盤細胞である。具体的な実施形態では、前記単離された胎盤細胞または単離された胎盤細胞の集団は、HLA−A,B,C+、CD45-、CD133-およびCD34-胎盤細胞ではない胎盤細胞から単離されている。別の具体的な実施形態では、前記単離された胎盤細胞は、非母親起源のものである。別の具体的な実施形態では、前記単離された胎盤細胞の集団は、母親成分を実質的に含まず;例えば、前記単離された胎盤細胞の集団における前記細胞の少なくとも約40%、45%、5−0%、55%、60%、65%、70%、75%、90%、85%、90%、95%、98%または99%は、非母親起源のものである。
別の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物において有用な本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、単離されたCD10+、CD13+、CD33+、CD45-、CD117-およびCD133-胎盤細胞である。別の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物において有用な細胞集団は、単離された胎盤細胞を含む細胞の集団であり、前記細胞の集団における細胞の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%または少なくとも約99%は、単離されたCD10+、CD13+、CD33+、CD45-、CD117-およびCD133-胎盤細胞である。具体的な実施形態では、前記単離された胎盤細胞または単離された胎盤細胞の集団は、前記単離された胎盤細胞ではない胎盤細胞から単離されている。別の具体的な実施形態では、前記単離されたCD10+、CD13+、CD33+、CD45-、CD117-およびCD133-胎盤細胞は、非母親起源のものである(すなわち、胎児遺伝子型を有する)。別の具体的な実施形態では、前記単離された胎盤細胞の集団における前記細胞の少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、90%、85%、90%、95%、98%または99%は、非母親起源のものである。別の具体的な実施形態では、前記単離された胎盤細胞または単離された胎盤細胞の集団は、これらの特徴を示さない胎盤細胞から単離されている。
別の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物において有用な本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、単離されたCD10-、CD33-、CD44+、CD45-およびCD117-胎盤細胞である。別の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物において有用な細胞集団は、単離された胎盤細胞を含む細胞の集団(例えば、単離された胎盤細胞について濃縮されている集団)であり、前記細胞の集団における細胞の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%または少なくとも約99%は、単離されたCD10-、CD33-、CD44+、CD45-およびCD117-胎盤細胞である。具体的な実施形態では、前記単離された胎盤細胞または単離された胎盤細胞の集団は、前記細胞ではない胎盤細胞から単離されている。別の具体的な実施形態では、前記単離された胎盤細胞は、非母親起源のものである。別の具体的な実施形態では、前記細胞集団における前記細胞の少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、90%、85%、90%、95%、98%または99%は、非母親起源のものである。別の具体的な実施形態では、前記単離された胎盤細胞または単離された胎盤細胞の集団は、これらのマーカーを示さない胎盤細胞から単離されている。
別の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物において有用な本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、単離されたCD10-、CD13-、CD33-、CD45-およびCD117-胎盤細胞である。別の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物において有用な細胞集団は、単離されたCD10-、CD13-、CD33-、CD45-およびCD117-胎盤細胞を含む細胞の集団(例えば、前記単離された胎盤細胞について濃縮されている集団)であり、前記集団における細胞の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%または少なくとも約99%は、CD10-、CD13-、CD33-、CD45-およびCD117-胎盤細胞である。具体的な実施形態では、前記単離された胎盤細胞または単離された胎盤細胞の集団は、前記細胞ではない胎盤細胞から単離されている。別の具体的な実施形態では、前記単離された胎盤細胞は、非母親起源のものである。別の具体的な実施形態では、前記細胞集団における前記細胞の少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、90%、85%、90%、95%、98%または99%は、非母親起源のものである。別の具体的な実施形態では、前記単離された胎盤細胞または単離された胎盤細胞の集団は、これらの特徴を示さない胎盤細胞から単離されている。
別の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物において有用な本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、HLA A,B,C+、CD45-、CD34-およびCD133-であり、さらにCD10+、CD13+、CD38+、CD44+、CD90+、CD105+、CD200+および/もしくはHLA−G-であり、ならびに/またはCD117について陰性である。別の実施形態では、本明細書に記載される方法において有用な細胞集団は、単離された胎盤細胞を含む細胞の集団であり、前記集団における細胞の少なくとも約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または約99%は、HLA A,B,C-、CD45-、CD34-、CD133-である単離された胎盤細胞であって、さらにCD10、CD13、CD38、CD44、CD90、CD105、CD200について陽性であり、ならびに/またはCD117および/もしくはHLA−Gについて陰性である単離された胎盤細胞である。具体的な実施形態では、前記単離された胎盤細胞または単離された胎盤細胞の集団は、前記細胞ではない胎盤細胞から単離されている。別の具体的な実施形態では、前記単離された胎盤細胞は、非母親起源のものである。別の具体的な実施形態では、前記細胞集団における前記細胞の少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、90%、85%、90%、95%、98%または99%は、非母親起源のものである。別の具体的な実施形態では、前記単離された胎盤細胞または単離された胎盤細胞の集団は、これらのマーカーを示さない胎盤細胞から単離されている。
別の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物において有用な本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、抗体結合によって決定した場合、CD200+およびCD10+である単離された胎盤細胞であって、抗体結合およびRT−PCRの両方によって決定した場合、CD117-である単離された胎盤細胞である。別の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物において有用な単離された胎盤細胞は、CD10+、CD29-、CD54+、CD200+、HLA−G-、MHCクラスI+およびβ−2−ミクログロブリン+である単離された胎盤細胞(例えば、胎盤幹細胞または胎盤多能性細胞)である。別の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物において有用な単離された胎盤細胞は、少なくとも1つの細胞マーカーの発現が、間葉系幹細胞(例えば、骨髄由来間葉系幹細胞)の場合よりも少なくとも2倍高い胎盤細胞である。別の具体的な実施形態では、前記単離された胎盤細胞は、非母親起源のものである。別の具体的な実施形態では、前記細胞集団における前記細胞の少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、90%、85%、90%、95%、98%または99%は、非母親起源のものである。
別の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物において有用な本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、CD10+、CD29+、CD44+、CD45-、CD54/ICAM+、CD62E-、CD62L-、CD62P-、CD80-、CD86-、CD103-、CD104-、CD105+、CD106/VCAM+、CD144/VE−カドヘリン低、CD184/CXCR4-、β2−ミクログロブリン低、MHC−I低、MHC−II-、HLA−G低および/またはPDL1低の1つ以上である単離された胎盤細胞(例えば、胎盤幹細胞または胎盤多能性細胞)である。具体的な実施形態では、単離された胎盤細胞は、少なくともCD29+およびCD54+である。別の具体的な実施形態では、単離された胎盤細胞は、少なくともCD44+およびCD106+である。別の具体的な実施形態では、単離された胎盤細胞は、少なくともCD29+である。
別の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物において有用な本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される細胞集団は、単離された胎盤細胞を含み、前記細胞集団における細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%または99%は、CD10+、CD29+、CD44+、CD45-、CD54/ICAM+、CD62−E-、CD62−L-、CD62−P-、CD80-、CD86-、CD103-、CD104-、CD105+、CD106/VCAM+、CD144/VE−カドヘリンdim、CD184/CXCR4-、β2−ミクログロブリンdim、HLA−Idim、HLA−II-、HLA−Gdimおよび/またはPDL1dimの1つ以上である単離された胎盤細胞である。別の具体的な実施形態では、前記細胞集団における細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%または99%は、CD10+、CD29+、CD44+、CD45-、CD54/ICAM+、CD62−E-、CD62−L-、CD62−P-、CD80-、CD86-、CD103-、CD104-、CD105+、CD106/VCAM+、CD144/VE−カドヘリンdim、CD184/CXCR4-、β2−ミクログロブリンdim、MHC−Idim、MHC−II-、HLA−GdimおよびPDL1dimである。
別の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物において有用な本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、CD10+、CD29+、CD34-、CD38-、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SH2+、SH3+、SH4+、SSEA3-、SSEA4-、OCT−4+およびABC−p+の1つ以上またはすべてである単離された胎盤細胞であり、ABC−pは、胎盤特異的ABC輸送体タンパク質(乳癌耐性タンパク質(BCRP)およびミトキサントロン耐性タンパク質(MXR)としても公知である)であり、前記単離された胎盤細胞は、臍帯血が排出されており、灌流されて残留血液が除去されている哺乳動物(例えば、ヒト)胎盤の灌流によって得られる。
上記特徴のいずれかの別の具体的な実施形態では、細胞マーカー(例えば、分化マーカーまたは免疫学的マーカーのクラスタ)の発現は、フローサイトメトリーによって決定される;別の具体的な実施形態では、マーカーの発現は、RT−PCRによって決定される。
遺伝子プロファイリングは、単離された胎盤細胞および単離された胎盤細胞の集団(例えば、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞および単離された胎盤細胞の集団)が、他の細胞、例えば間葉系幹細胞、例えば骨髄由来間葉系幹細胞と区別可能であることを確認する。本明細書に記載される単離された胎盤細胞は、例えば、1つ以上の遺伝子であって、その発現が、単離された胎盤細胞または特定の単離された臍帯幹細胞において、骨髄由来間葉系幹細胞と比較して有意に高い1つ以上の遺伝子の発現に基づいて、間葉系幹細胞と区別され得る。特に、本明細書で提供される処置方法において有用な本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、1つ以上の遺伝子であって、その発現が、単離された胎盤細胞において、同等数の骨髄由来間葉系幹細胞よりも有意に高い(すなわち、少なくとも2倍高い)1つ以上の遺伝子の発現に基づいて、間葉系幹細胞と区別され得、同等の条件下で細胞が成長される場合、1つ以上の遺伝子は、ACTG2、ADARB1、AMIGO2、ARTS−1、B4GALT6、BCHE、C11orf9、CD200、COL4A1、COL4A2、CPA4、DMD、DSC3、DSG2、ELOVL2、F2RL1、FLJ10781、GATA6、GPR126、GPRC5B、HLA−G、ICAM1、IER3、IGFBP7、IL1A、IL6、IL18、KRT18、KRT8、LIPG、LRAP、MATN2、MEST、NFE2L3、NUAK1、PCDH7、PDLIM3、PKP2、RTN1、SERPINB9、ST3GAL6、ST6GALNAC5、SLC12A8、TCF21、TGFB2、VTN、ZC3H12Aまたは上記のいずれかの組み合わせである。例えば、米国特許出願公開第2007/0275362号(この開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。特定の具体的な実施形態では、前記1つ以上の遺伝子の前記発現は、例えば、RT−PCRまたはマイクロアレイによって、例えばU133−Aマイクロアレイ(Affymetrix)を使用して決定される。別の具体的な実施形態では、前記単離された胎盤細胞は、DMEM−LG(例えば、Gibco製);2%胎仔ウシ血清(例えば、Hyclone Labs.製);1×インスリン−トランスフェリン−セレン(ITS);1×リノール酸−ウシ血清アルブミン(LA−BSA);10-9Mデキサメタゾン(例えば、Sigma製);10-4Mアスコルビン酸2−ホスフェート(例えば、Sigma製);上皮成長因子10ng/mL(例えば、R&D Systems製);および血小板由来成長因子(PDGF−BB)10ng/mL(例えば、R&D Systems製)を含む培地中で、多数回の集団倍加(例えば、約3〜約35回の集団倍加)で培養される場合、前記1つ以上の遺伝子を発現する。別の具体的な実施形態では、単離された胎盤細胞に特異的なまたは単離された臍帯細胞に特異的な遺伝子は、CD200である。
2008年3月現在、これらの遺伝子の具体的な配列は、GenBankにおいて受託番号NM_001615(ACTG2)、BC065545(ADARB1)、(NM_181847(AMIGO2)、AY358590(ARTS−1)、BC074884(B4GALT6)、BC008396(BCHE)、BC020196(C11orf9)、BC031103(CD200)、NM_001845(COL4A1)、NM_001846(COL4A2)、BC052289(CPA4)、BC094758(DMD)、AF293359(DSC3)、NM_001943(DSG2)、AF338241(ELOVL2)、AY336105(F2RL1)、NM_018215(FLJ10781)、AY416799(GATA6)、BC075798(GPR126)、NM_016235(GPRC5B)、AF340038(ICAM1)、BC000844(IER3)、BC066339(IGFBP7)、BC013142(IL1A)、BT019749(IL6)、BC007461(IL18)、(BC072017)KRT18、BC075839(KRT8)、BC060825(LIPG)、BC065240(LRAP)、BC010444(MATN2)、BC011908(MEST)、BC068455(NFE2L3)、NM_014840(NUAK1)、AB006755(PCDH7)、NM_014476(PDLIM3)、BC126199(PKP−2)、BC090862(RTN1)、BC002538(SERPINB9)、BC023312(ST3GAL6)、BC001201(ST6GALNAC5)、BC126160またはBC065328(SLC12A8)、BC025697(TCF21)、BC096235(TGFB2)、BC005046(VTN)およびBC005001(ZC3H12A)で見られ得る。
特定の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される前記単離された胎盤細胞は、同等の条件下で細胞が成長される場合、同等数の骨髄由来間葉系幹細胞よりも検出可能に高いレベルで、ACTG2、ADARB1、AMIGO2、ARTS−1、B4GALT6、BCHE、C11orf9、CD200、COL4A1、COL4A2、CPA4、DMD、DSC3、DSG2、ELOVL2、F2RL1、FLJ10781、GATA6、GPR126、GPRC5B、HLA−G、ICAM1、IER3、IGFBP7、IL1A、IL6、IL18、KRT18、KRT8、LIPG、LRAP、MATN2、MEST、NFE2L3、NUAK1、PCDH7、PDLIM3、PKP2、RTN1、SERPINB9、ST3GAL6、ST6GALNAC5、SLC12A8、TCF21、TGFB2、VTNおよびZC3H12Aのそれぞれを発現する。
具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される胎盤細胞は、同等数の骨髄由来間葉系幹細胞BM−MSCよりも検出可能に高いレベルで、CD200およびARTS1(1型腫瘍壊死因子のアミノペプチダーゼ調節因子);ARTS−1およびLRAP(白血球由来アルギニンアミノペプチダーゼ);IL6(インターロイキン−6)およびTGFB2(形質転換成長因子、β2);IL6およびKRT18(ケラチン18);IER3(前初期応答3)、MEST(中胚葉特異的転写産物ホモログ)およびTGFB2;CD200およびIER3;CD200およびIL6;CD200およびKRT18;CD200およびLRAP;CD200およびMEST;CD200およびNFE2L3(核因子(赤血球由来2)−様3);またはCD200およびTGFB2を発現し、前記骨髄由来間葉系幹細胞は、前記単離された胎盤細胞が受けた継代数と同等の培養継代数を受けたものである。他の具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される胎盤細胞は、同等数の骨髄由来間葉系幹細胞BM−MSCよりも検出可能に高いレベルで、ARTS−1、CD200、IL6およびLRAP;ARTS−1、IL6、TGFB2、IER3、KRT18およびMEST;CD200、IER3、IL6、KRT18、LRAP、MEST、NFE2L3およびTGFB2;ARTS−1、CD200、IER3、IL6、KRT18、LRAP、MEST、NFE2L3およびTGFB2;またはIER3、MESTおよびTGFB2を発現し、前記骨髄由来間葉系幹細胞は、前記単離された胎盤細胞が受けた継代数と同等の培養継代数を受けたものである。
上記遺伝子の発現は、標準的な技術によって評価され得る。例えば、遺伝子の配列に基づくプローブは個々に選択され、従来技術によって構築され得る。遺伝子の発現は、例えば、遺伝子の1つ以上に対するプローブを含むマイクロアレイ、例えばAffymetrix GENECHIP(登録商標)Human Genome U133A 2.0 arrayまたはAffymetrix GENECHIP(登録商標)Human Genome U133 Plus 2.0(Santa Clara,California)によって評価され得る。修正配列に特異的なプローブは、周知の標準的な技術を使用して容易に作製され得るので、特定のGenBank受託番号の配列が修正された場合であっても、これらの遺伝子の発現は評価され得る。
これらの遺伝子の発現のレベルは、単離された胎盤細胞の集団の同一性を確認するために、細胞の集団が少なくとも複数の単離された胎盤細胞を含むことを確認するためなどに使用され得る。その同一性が確認される単離された胎盤細胞の集団は、クローン性のもの(例えば、単一の単離された胎盤細胞からエクスパンションされた単離された胎盤細胞の集団、または幹細胞の混合集団、例えば、複数の単離された胎盤細胞からエクスパンションされた単離された胎盤細胞をのみ含む細胞の集団、もしくは本明細書に記載される単離された胎盤細胞と少なくとも1つの他の細胞型とを含む細胞の集団)であり得る。
これらの遺伝子の発現のレベルは、単離された胎盤細胞の集団を選択するために使用され得る。例えば、上記遺伝子の1つ以上の発現が、細胞の集団由来のサンプルにおいて、間葉系幹細胞の同等の集団よりも有意に高い場合、細胞の集団(例えば、エクスパンションされたクローン細胞)が選択され得る。このような選択は、複数の単離された胎盤細胞集団由来の(すなわち、その正体が不明の複数の細胞集団由来の)集団などのものであり得る。
本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、例えば、間葉系幹細胞対照における前記1つ以上の遺伝子の発現のレベル(例えば、同等数の骨髄由来間葉系幹細胞における前記1つ以上の遺伝子の発現のレベル)と比較した1つ以上のこのような遺伝子の発現のレベルに基づいて選択され得る。一実施形態では、同等数の間葉系幹細胞を含むサンプルにおける前記1つ以上の遺伝子の発現のレベルは、対照として使用される。別の実施形態では、特定の条件下で試験される本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞のための対照は、前記条件下の間葉系幹細胞における前記1つ以上の遺伝子の発現のレベルを表す数値である。
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法において有用な胎盤細胞(例えば、PDAC)は、1〜100ng/mL VEGFに4〜21日間曝露した後に免疫局在性決定によって検出した場合、CD34を発現しない。具体的な実施形態では、前記胎盤接着細胞は、組織培養プラスチックに接着する。別の具体的な実施形態では、前記細胞の集団は、例えば、MATRIGEL(商標)などの基材上において、血管新生因子、例えば血管内皮成長因子(VEGF)、上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)または塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)の存在下で培養される場合、内皮細胞による芽または管状構造の形成を誘導する。
別の態様では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される胎盤細胞、細胞の集団、例えばPDACの集団、または前記単離された細胞の集団における細胞の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%もしくは98%がPDACである細胞の集団は、VEGF、HGF、IL−8、MCP−3、FGF2、フォリスタチン、G−CSF、EGF、ENA−78、GRO、IL−6、MCP−1、PDGF−BB、TIMP−2、uPARまたはガレクチン−1の1つ以上またはすべてを、例えば、1つまたは複数の細胞が成長される培養培地中に分泌する。別の実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される胎盤細胞は、低酸素条件(例えば、約5%未満のO2)下で、正常酸素条件(例えば、約20%または約21%のO2)と比較して増加したレベルのCD202b、IL−8および/またはVEGFを発現する。
別の実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される胎盤細胞または前記胎盤細胞を含む細胞の集団はいずれも、前記胎盤由来接着細胞と接触した内皮細胞の集団における芽または管状構造の形成を引き起こし得る。具体的な実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される胎盤細胞をヒト内皮細胞と共培養し、芽もしくは管状構造を形成させるか、または例えば胎盤コラーゲンまたはMATRIGEL(商標)などの基材中またはその上において、例えば細胞外マトリックスタンパク質、例えばコラーゲンI型およびIV型ならびに/もしくは血管新生因子、例えば血管内皮成長因子(VEGF)、上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)もしくは塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)の存在下で少なくとも4日間培養する場合、内皮細胞芽の形成を支持する。別の実施形態では、本明細書に記載される胎盤由来接着細胞を含む細胞の集団はいずれも、血管新生因子、例えば血管内皮成長因子(VEGF)、肝細胞成長因子(HGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)またはインターロイキン−8(IL−8)を分泌し、それにより、例えば胎盤コラーゲンまたはMATRIGEL(商標)などの基材中またはその上において、細胞外マトリックスタンパク質、例えばコラーゲンI型およびIV型の存在下で培養される場合、ヒト内皮細胞による芽または管状構造の形成を誘導し得る。
別の実施形態では、胎盤由来接着細胞(PDAC)を含む上記細胞の集団はいずれも、血管新生因子を分泌する。具体的な実施形態では、細胞の集団は、血管内皮成長因子(VEGF)、肝細胞成長因子(HGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)および/またはインターロイキン−8(IL−8)を分泌する。他の具体的な実施形態では、PDACを含む細胞の集団は、1つ以上の血管新生因子を分泌し、それにより、インビトロの創傷治癒アッセイにおいてヒト内皮細胞の遊走を誘導する。他の具体的な実施形態では、胎盤由来接着細胞を含む細胞の集団は、ヒト内皮細胞、内皮前駆体、筋細胞または筋芽細胞の成熟、分化または増殖を誘導する。
本明細書に記載される単離された胎盤細胞は、初代培養中に、または例えばDMEM−LG(Gibco)、2%胎仔ウシ血清(FCS)(Hyclone Laboratories)、1×インスリン−トランスフェリン−セレン(ITS)、1×レノレン酸(lenolenic−acid)−ウシ血清アルブミン(LA−BSA)、10-9Mデキサメタゾン(Sigma)、10-4Mアスコルビン酸2−ホスフェート(Sigma)、上皮成長因子(EGF)10ng/ml(R&D Systems)、血小板由来成長因子(PDGF−BB)10ng/ml(R&D Systems)および100Uペニシリン/1000Uストレプトマイシンを含む培地における増殖中に、上記特徴(例えば、細胞表面マーカーおよび/または遺伝子発現プロファイルの組み合わせ)を示す。
本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される胎盤細胞のいずれかの特定の実施形態では、細胞は、ヒトのものである。本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される胎盤細胞のいずれかの特定の実施形態では、細胞マーカーの特徴または遺伝子発現の特徴は、ヒトマーカーまたはヒト遺伝子である。
本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞または前記細胞の集団の別の具体的な実施形態では、前記細胞または集団はエクスパンションされたものであり、例えば、少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、少なくとも11回、少なくとも12回、少なくとも13回、少なくとも14回、少なくとも15回、少なくとも16回、少なくとも17回、少なくとも18回、少なくとも19回もしくは少なくとも20回、約1回、約2回、約3回、約4回、約5回、約6回、約7回、約8回、約9回、約10回、約11回、約12回、約13回、約14回、約15回、約16回、約17回、約18回、約19回もしくは約20回または1回以下、2回以下、3回以下、4回以下、5回以下、6回以下、7回以下、8回以下、9回以下、10回以下、11回以下、12回以下、13回以下、14回以下、15回以下、16回以下、17回以下、18回以下、19回以下もしくは20回以下またはそれを超えて継代されたものであるか、または少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、少なくとも11回、少なくとも12回、少なくとも13回、少なくとも14回、少なくとも15回、少なくとも16回、少なくとも17回、少なくとも18回、少なくとも19回、少なくとも20回、少なくとも21回、少なくとも22回、少なくとも23回、少なくとも24回、少なくとも25回、少なくとも26回、少なくとも27回、少なくとも28回、少なくとも29回、少なくとも30回、少なくとも31回、少なくとも32回、少なくとも33回、少なくとも34回、少なくとも35回、少なくとも36回、少なくとも37回、少なくとも38回、少なくとも39回、少なくとも40回、少なくとも41回、少なくとも42回、少なくとも43回、少なくとも44回、少なくとも45回、少なくとも46回、少なくとも47回、少なくとも48回、少なくとも49回もしくは少なくとも50回、約1回、約2回、約3回、約4回、約5回、約6回、約7回、約8回、約9回、約10回、約11回、約12回、約13回、約14回、約15回、約16回、約17回、約18回、約19回、約20回、約21回、約22回、約23回、約24回、約25回、約26回、約27回、約28回、約29回、約30回、約31回、約32回、約33回、約34回、約35回、約36回、約37回、約38回、約39回、約40回、約41回、約42回、約43回、約44回、約45回、約46回、約47回、約48回、約49回もしくは約50回または1回以下、2回以下、3回以下、4回以下、5回以下、6回以下、7回以下、8回以下、9回以下、10回以下、11回以下、12回以下、13回以下、14回以下、15回以下、16回以下、17回以下、18回以下、19回以下、20回以下、21回以下、22回以下、23回以下、24回以下、25回以下、26回以下、27回以下、28回以下、29回以下、30回以下、31回以下、32回以下、33回以下、34回以下、35回以下、36回以下、37回以下、38回以下、39回以下、40回以下、41回以下、42回以下、43回以下、44回以下、45回以下、46回以下、47回以下、48回以下、49回以下もしくは50回以下の集団倍加で増殖されたものである。本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される前記単離された胎盤細胞または前記細胞の集団の別の具体的な実施形態では、前記細胞または集団は、初代単離株である。本明細書に開示される単離された胎盤細胞または単離された胎盤細胞を含む細胞の集団の別の具体的な実施形態では、前記単離された胎盤細胞は、胎児起源のものである(すなわち、胎児遺伝子型を有する)。
特定の実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される前記単離された胎盤細胞は、成長培地(すなわち、増殖を促進するように製剤化された培地)における培養中に(例えば、成長培地における増殖中に)、分化しない。別の具体的な実施形態では、前記単離された胎盤細胞は、増殖するためにフィーダー層を必要としない。別の具体的な実施形態では、前記単離された胎盤細胞は、フィーダー細胞層の欠如という理由のみにより、フィーダー層の非存在下における培養では分化しない。
別の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物において有用な本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される細胞は、単離された胎盤細胞であり、複数の前記単離された胎盤細胞は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性アッセイによって評価した場合、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)について陽性である。このようなアッセイは、当技術分野で公知である(例えば、Bostian and Betts,Biochem.J.,173,787,(1978)を参照のこと)。具体的な実施形態では、前記ALDHアッセイは、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性のマーカーとしてALDEFLUOR(登録商標)(Aldagen,Inc.,Ashland,Oregon)を使用する。具体的な実施形態では、前記複数は、前記細胞の集団における細胞の約3%〜約25%である。別の実施形態では、単離された臍帯細胞(例えば、単離された多能性臍帯細胞)の集団であって、複数の前記単離された臍帯細胞が、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性の指標としてALDEFLUOR(登録商標)を使用するアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性アッセイによって評価した場合、アルデヒドデヒドロゲナーゼについて陽性である集団が本明細書で提供される。具体的な実施形態では、前記複数は、前記細胞の集団における細胞の約3%〜約25%である。別の実施形態では、前記単離された胎盤細胞または単離された臍帯細胞の集団は、ほぼ同じ数の細胞を有する同じ条件下で培養された骨髄由来間葉系幹細胞の集団よりも少なくとも3倍または少なくとも5倍高いALDH活性を示す。
本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞を含む細胞の集団のいずれかの特定の実施形態では、前記細胞の集団における胎盤細胞は、母親遺伝子型を有する細胞を実質的に含まず;例えば、前記集団における胎盤細胞の少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%は、胎児遺伝子型を有する。本明細書に記載される単離された胎盤細胞を含む細胞の集団のいずれかの特定の他の実施形態では、前記胎盤細胞を含む細胞の集団は、母親遺伝子型を有する細胞を実質的に含まず;例えば、前記集団における細胞の少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%は、胎児遺伝子型を有する。
本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される上記単離された胎盤細胞または細胞集団のいずれかの具体的な実施形態では、細胞または前記集団における細胞の少なくとも約95%もしくは約99%の核型は、正常である。上記胎盤細胞または細胞集団のいずれかの別の具体的な実施形態では、細胞または細胞の集団における細胞は、非母親起源のものである。
上記マーカーの組み合わせのいずれかを有する本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞または単離された胎盤細胞の集団は、任意の比で組み合わされ得る。上記単離された胎盤細胞集団のいずれか2つ以上の集団は、単離された胎盤細胞集団を形成するために組み合わされ得る。例えば、単離された胎盤細胞の集団は、上記マーカーの組み合わせの一方によって定義される単離された胎盤細胞の第1の集団と、上記マーカーの組み合わせの他方によって定義される単離された胎盤細胞の第2の集団とを含み得、前記第1の集団および第2の集団は、約1:99、2:98、3:97、4:96、5:95、10:90、20:80、30:70、40:60、50:50、60:40、70:30、80:20、90:10、95:5、96:4、97:3、98:2または約99:1の比で組み合わされる。同様にして、上記単離された胎盤細胞または単離された胎盤細胞集団のいずれか3つ、4つ、5つ以上が組み合わされ得る。
本明細書に記載される方法および組成物において有用な本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、例えば、酵素的破壊(セクション5.3.3を参照のこと)または灌流(セクション5.3.4を参照のこと)の有無にかかわらず、胎盤組織の破壊によって得られ得る。例えば、単離された胎盤細胞の集団は、臍帯血が排出されており、灌流されて残留血液が除去されている哺乳動物胎盤を灌流すること;前記胎盤を灌流溶液で灌流すること;および前記灌流溶液を回収すること(灌流後の前記灌流溶液は、単離された胎盤細胞を含む胎盤細胞の集団を含む);ならびに前記細胞の集団から複数の前記単離された胎盤細胞を単離することを含む方法によって生産され得る。具体的な実施形態では、灌流溶液を臍帯静脈および臍帯動脈の両方に通過させ、それが胎盤から浸出した後に回収する。別の具体的な実施形態では、灌流溶液を臍帯静脈に通過させて臍帯動脈から回収するか、または臍帯動脈に通過させて臍帯静脈から回収する。
様々な実施形態では、胎盤の灌流から得られる細胞の集団に含まれる本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞は、前記胎盤細胞の集団の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%または少なくとも99.5%である。別の具体的な実施形態では、灌流によって回収される単離された胎盤細胞は、胎児細胞および母親細胞を含む。別の具体的な実施形態では、灌流によって回収される単離された胎盤細胞は、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%または少なくとも99.5%の胎児細胞である。
別の具体的な実施形態では、灌流によって回収される本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞の集団を含む組成物であって、、前記単離された胎盤細胞を回収するために使用される灌流溶液の少なくとも一部を含む組成物が本明細書で提供される。
本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞の単離された集団は、胎盤組織を組織破壊酵素で消化して、細胞を含む胎盤細胞の集団を得ること、および前記胎盤細胞の残りから複数の胎盤細胞を単離または実質的に単離することによって生産され得る。胎盤の全部または任意の部分は、本明細書に記載される単離された胎盤細胞を得るために消化され得る。具体的な実施形態では、例えば、前記胎盤組織は、全胎盤、羊膜、絨毛膜、羊膜と絨毛膜の組み合わせまたは上記のいずれかの組み合わせであり得る。他の具体的な実施形態では、組織破壊酵素は、トリプシンまたはコラゲナーゼである。様々な実施形態では、胎盤の消化から得られる細胞の集団に含まれる単離された胎盤細胞は、前記胎盤細胞の集団の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%または少なくとも99.5%である。
本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される上記単離された胎盤細胞集団または単離された胎盤細胞の集団は、一般に、約1×102個、約5×102個、約1×103個、約5×103個、約1×104個、約5×104個、約1×105個、約5×105個、約1×106個、約5×106個、約1×107個、約5×107個、約1×108個、約5×108個、約1×109個、約5×109個、約1×1010個、約5×1010個、約1×1011個、少なくとも1×102個、少なくとも5×102個、少なくとも1×103個、少なくとも5×103個、少なくとも1×104個、少なくとも5×104個、少なくとも1×105個、少なくとも5×105個、少なくとも1×106個、少なくとも5×106個、少なくとも1×107個、少なくとも5×107個、少なくとも1×108個、少なくとも5×108個、少なくとも1×109個、少なくとも5×109個、少なくとも1×1010個、少なくとも5×1010個、少なくとも1×1011個または1×102個以下、5×102個以下、1×103個以下、5×103個以下、1×104個以下、5×104個以下、1×105個以下、5×105個以下、1×106個以下、5×106個以下、1×107個以下、5×107個以下、1×108個以下、5×108個以下、1×109個以下、5×109個以下、1×1010個以下、5×1010個以下、1×1011個以下またはそれを超える単離された胎盤細胞を含み得る。本明細書に記載される処置方法において有用な単離された胎盤細胞の集団は、例えば、トリパンブルー排出などによって決定した場合、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%の単離された生存胎盤細胞を含む。
5.2.3 培養による成長
任意の哺乳動物細胞に関して、本明細書のセクション5.2に記載されている単離された胎盤細胞(例えば、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される胎盤細胞)の成長は、部分的には、成長のために選択される特定の培地に依存する。最適な条件下では、単離された胎盤細胞は、典型的には、約1日で数が2倍になる。培養中に、本明細書に記載される単離された胎盤細胞は、培養液中の基材、例えば組織培養容器(例えば、組織培養ディッシュプラスチック、フィブロネクチンコーティングプラスチックなど)の表面に接着し、単層を形成する。
本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞を含む胎盤細胞の集団は、適切な条件下で培養される場合、胚様体様体を形成し得る(すなわち、接着細胞層の先端において、細胞の三次元クラスタが成長する)。胚様体様体内の細胞は、非常に初期の幹細胞に関連するマーカー、例えばOCT−4、Nanog、SSEA3およびSSEA4を発現し得る。胚様体様体内の細胞は、典型的には、本明細書に記載される単離された胎盤細胞と同様に培養基材に接着しないが、培養中は、接着細胞に依然として付着する傾向がある。単離された接着性胎盤細胞の非存在下では、胚様体様体は形成しないので、胚様体様体細胞は、生存について、単離された接着性胎盤細胞に依存する。したがって、単離された接着性胎盤細胞は、単離された接着性胎盤細胞を含む胎盤細胞の集団における1つ以上の胚様体様体の成長を促進する。理論に束縛されるものではないが、胚様体様体の細胞は、胚性幹細胞が細胞のフィーダー層上で成長するのと同じく、単離された接着性胎盤細胞上で成長すると考えられる。
5.3 単離された胎盤細胞を得る方法
5.3.1 幹細胞回収組成物
胎盤細胞、例えば上記セクション5.2.2に記載されている単離された胎盤細胞(例えば、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞)を回収および単離する方法が本明細書でさらに提供される。一般に、このような細胞は、生理的に許容され得る溶液、例えば細胞回収組成物を使用して、哺乳動物胎盤から得られる。例示的な細胞回収組成物は、「Improved Medium for Collecting Placental Stem Cells and Preserving Organs」という表題の関連米国特許出願公開第2007/0190042号(この開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に詳細に記載されている。
細胞回収組成物は、細胞、例えば本明細書に記載される単離された胎盤細胞の回収および/または培養に適切な任意の生理的に許容され得る溶液、例えば生理食塩水溶液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水、クレブス溶液、改変クレブス溶液、イーグル溶液、0.9%NaClなど)、培養培地(例えば、DMEM、H.DMEMなど)などを含み得る。
細胞回収組成物は、回収時から培養時まで、単離された胎盤細胞を保存する(すなわち、単離された胎盤細胞の死を防止するか、または前記単離された胎盤細胞の死を遅延させるか、死滅する細胞の集団における単離された胎盤細胞の数を減少させるなど)傾向がある1つ以上の成分を含み得る。このような成分は、例えば、アポトーシス阻害剤(例えば、カスパーゼ阻害剤またはJNK阻害剤);血管拡張剤(例えば、硫酸マグネシウム、抗高血圧薬、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、副腎皮質刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン、ニトロプルシドナトリウム、ヒドララジン、アデノシン三リン酸、アデノシン、インドメタシンまたは硫酸マグネシウム、ホスホジエステラーゼ阻害剤など);壊死阻害剤(例えば、2−(1H−インドール−3−イル)−3−ペンチルアミノ−マレイミド、ピロリジンジチオカルバメートまたはクロナゼパム);TNF−α阻害剤;および/または酸素担持ペルフルオロカーボン(例えば、ペルフルオロオクチルブロミド、ペルフルオロデシルブロミドなど)であり得る。
細胞回収組成物は、1つ以上の組織分解酵素、例えばメタロプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、中性プロテアーゼ、RNaseまたはDNaseなどを含み得る。このような酵素としては、限定されないが、コラゲナーゼ(例えば、コラゲナーゼI、II、IIIまたはIV、Clostridium histolyticum由来のコラゲナーゼなど);ディスパーゼ、サーモリシン、エラスターゼ、トリプシン、LIBERASE、ヒアルロニダーゼなどが挙げられる。
細胞回収組成物は、殺菌または静菌有効量の抗生物質を含み得る。特定の非限定的な実施形態では、抗生物質は、マクロライド(例えば、トブラマイシン)、セファロスポリン(例えば、セファレキシン、セフラジン、セフロキシム、セフプロジル、セファクロール、セフィキシムまたはセファドロキシル)、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ペニシリン(例えば、ペニシリンV)またはキノロン(例えば、オフロキサシン、シプロフロキサシンまたはノルフロキサシン)、テトラサイクリン、ストレプトマイシンなどである。特定の実施形態では、抗生物質は、グラム陽性細菌および/またはグラム陰性細菌、例えば、Pseudomonas aeruginosa、Staphylococcus aureusなどに対して活性である。一実施形態では、抗生物質は、例えば、培養培地中、約0.005%〜約0.01%(w/v)のゲンタマイシンである。
細胞回収組成物はまた、以下の化合物の1つ以上を含み得る:アデノシン(約1mM〜約50mM);D−グルコース(約20mM〜約100mM);マグネシウムイオン(約1mM〜約50mM);一実施形態では、内皮の完全性および細胞の生存能力を維持するために十分な量で存在する分子量20,000ダルトン超の巨大分子(例えば、合成または天然のコロイド、約25g/l〜約100g/lまたは約40g/l〜約60g/lで存在するデキストランまたはポリエチレングリコールなどの多糖);抗酸化剤(例えば、約25μM〜約100μMで存在するブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、グルタチオン、ビタミンCまたはビタミンE);還元剤(例えば、約0.1mM〜約5mMで存在するN−アセチルシステイン);細胞内へのカルシウムの侵入を防止する薬剤(例えば、約2μM〜約25μMで存在するベラパミル);ニトログリセリン(例えば、約0.05g/L〜約0.2g/L);一実施形態では、残留血液の凝固の防止を助けるのに十分な量で存在する抗凝血剤(例えば、約1000単位/l〜約100,000単位/lの濃度で存在するヘパリンまたはヒルジン);またはアミロライド含有化合物(例えば、約1.0μM〜約5μMで存在するアミロライド、エチルイソプロピルアミロライド、ヘキサメチレンアミロライド、ジメチルアミロライドまたはイソブチルアミロライド)。
5.3.2 胎盤の回収および取扱い
一般に、ヒトの胎盤を、出産後のその娩出後すぐに回収する。好ましい実施形態では、インフォームドコンセント後、および患者の全病歴を取得して、前記胎盤に関連付けた後、胎盤を患者から回収する。好ましくは、この病歴は分娩後も続く。このような病歴を使用して、胎盤またはそれから採取される単離された胎盤細胞のその後の使用を調整し得る。例えば、単離されたヒト胎盤細胞は、その病歴を考慮して、胎盤に関連する幼児のための、または幼児の親、兄弟姉妹もしくは他の血縁者のための個人医療に使用され得る。
単離された胎盤細胞の回収前に、臍帯血および胎盤血を除去することが好ましい。特定の実施形態では、分娩後、胎盤内の臍帯血を回収する。胎盤は、従来の臍帯血の回収プロセスに供され得る。典型的には、針またはカニューレを用い、重力の助けを借りて、胎盤を放血させる(例えば、Andersonの米国特許第5,372,581号;Hesselらの米国特許第5,415,665号を参照のこと)。針またはカニューレを、一般に、臍帯静脈内に留置し、胎盤を穏やかにマッサージして、胎盤からの臍帯血の排出を助け得る。このような臍帯血の回収は、商業的に、例えば、LifeBank USA,Cedar Knolls,N.Jによって実施され得る。好ましくは、臍帯血を回収する間の組織破壊を最小限に抑えるために、胎盤を、それ以上操作することなく、重力排出させる。
典型的には、臍帯血の回収、および例えば、灌流または組織解離による幹細胞の回収のために、胎盤を、分娩室または出産室から別の場所、例えば、実験室まで輸送する。例えば、胎盤を、近位臍帯をクランプしたまま、滅菌されたジップロック式プラスチックバッグの中に入れ、次いで、このプラスチックバッグを断熱容器内に入れることによって、胎盤を(胎盤の温度を20〜28℃に維持する)滅菌された断熱輸送装置で輸送することが好ましい。別の実施形態では、係属中の米国特許第7,147,626号(この開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に実質的に記載されているように、胎盤を臍帯血回収キットで輸送する。好ましくは、胎盤を、分娩から4〜24時間後に、実験室に移送する。特定の実施形態では、臍帯血の回収前に、胎盤への挿入部から4〜5cm(センチメートル)以内のところで、近位臍帯をクランプする。他の実施形態では、臍帯血の回収後、しかし胎盤のさらなる処理前に、近位臍帯をクランプする。
胎盤は、細胞回収前に、滅菌条件下、室温または5〜25℃の温度のいずれかで保存され得る。胎盤を灌流して残留臍帯血を除去する前に、胎盤は、4〜24時間、最大48時間または48時間よりも長い時間保存し得る。一実施形態では、胎盤は、娩出後、約0時間から約2時間で採取される。胎盤は、5〜25℃の温度で、抗凝血剤溶液中に保存することが好ましい。適切な抗凝血剤溶液は、当技術分野で周知である。例えば、ヘパリンまたはワルファリンナトリウム溶液を使用し得る。好ましい実施形態では、抗凝血剤溶液は、ヘパリン溶液(例えば、1:1000溶液中で1%w/w)を含む。放血された胎盤は、胎盤細胞を回収する前に、36時間以下保存することが好ましい。
一般に上記のように回収および調製したら、哺乳動物胎盤またはその一部は、単離された胎盤細胞を得るために、任意の当技術分野で公知の方法で処理され得、例えば、灌流または破壊され得、例えば、1つ以上の組織破壊酵素で消化され得る。
5.3.3 胎盤組織の物理的破壊および酵素的消化
一実施形態では、幹細胞を、哺乳動物胎盤の一部または全部の物理的破壊によって、この臓器から回収する。例えば、胎盤またはその一部を、例えば、圧搾、剪断、ミンス、ダイス、チョップ、浸軟などし得る。次いで、この組織を培養して、単離された胎盤細胞の集団を得ることができる。典型的には、胎盤組織を、例えば、培養培地、生理食塩水溶液または幹細胞回収組成物を使用して破壊する(セクション5.5.1および下記を参照のこと)。
物理的破壊および/または酵素的消化ならびに幹細胞回収の前に、胎盤を構成要素に解剖し得る。単離された胎盤細胞は、全胎盤を含む羊膜、絨毛膜、臍帯、胎盤葉またはそれらの任意の組み合わせの全部または一部から得られ得る。好ましくは、単離された胎盤細胞は、羊膜および絨毛膜を含む胎盤組織から得られる。典型的には、単離された胎盤細胞は、胎盤組織の小さいブロック、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900または約1000立方ミリメートルの体積の胎盤組織のブロックの破壊によって得られ得る。破壊方法が、例えば、トリパンブルー排出によって決定した場合、前記臓器内の細胞の複数、より好ましくは大部分、およびより好ましくは、少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、98%または99%を生きた状態にとどめるという条件で、任意の物理的破壊方法を使用し得る。
単離された接着性胎盤細胞を、一般に、娩出後の最初の約3日以内の任意の時点で、しかし好ましくは、娩出後約8時間〜約18時間で、胎盤またはその一部から回収し得る。
具体的な実施形態では、破壊された組織を、単離された胎盤細胞の増殖に適切な組織培養培地中で培養する(例えば、胎盤細胞、例えば、PDACの培養について記載されている以下のセクション5.6を参照のこと)。
別の具体的な実施形態では、単離された胎盤細胞を、胎盤組織の物理的破壊によって回収し、物理的破壊は、1つ以上の組織消化酵素の使用によって達成され得る酵素的消化を含む。また、胎盤またはその一部を、1つ以上の酵素で物理的に破壊および消化し、次いで、得られた材料を細胞回収組成物に浸漬または混合し得る。
好ましい細胞回収組成物は、1つ以上の組織破壊酵素を含む。胎盤組織を破壊するために使用され得る酵素としては、パパイン、デオキシリボヌクレアーゼ、セリンプロテアーゼ、例えば、トリプシン、キモトリプシン、コラゲナーゼ、ディスパーゼまたはエラスターゼが挙げられる。セリンプロテアーゼは、血清中のα2ミクログロブリンによって阻害され得るので、消化に使用される培地は、一般に、無血清のものである。EDTAおよびDNaseは、細胞回収効率を増加させるために、酵素的消化手順において一般に使用される。粘性の消化液内に細胞が捕捉されることを避けるために、消化物を希釈することが好ましい。
組織消化酵素の任意の組み合わせを使用し得る。トリプシンを使用する消化のための典型的な濃度は、0.1%〜約2%トリプシン、例えば、約0.25%トリプシンを含む。胎盤細胞、例えば、胎盤幹細胞および胎盤多能性細胞を遊離させるために、プロテアーゼを併用するか(すなわち、同じ消化反応で2つ以上のプロテアーゼ)、または順次使用し得る。例えば、一実施形態では、胎盤またはその一部を、最初に、約1〜約2mg/mlの適量のコラゲナーゼIで、例えば30分間消化し、次いで、約0.25%の濃度のトリプシンで、例えば37℃で10分間消化する。セリンプロテアーゼを、他の酵素の使用後に連続して使用することが好ましい。
別の実施形態では、幹細胞回収組成物で幹細胞を単離する前に、キレート剤、例えば、エチレングリコールビス(2−アミノエチルエーテル)−N,N,N'N'−四酢酸(E
GTA)またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を、幹細胞を含む幹細胞回収組成物に、または組織を破壊および/もしくは消化する溶液に追加することにより、組織をさらに破壊し得る。
消化後、消化物を、例えば、培養培地で3回洗浄し、洗浄した細胞を培養フラスコ中に播種する。次いで、細胞を示差的接着により単離し、例えば、生存能力、細胞表面マーカー、分化などについて特性評価する。
胎盤全体または胎盤の一部が、胎児細胞および母親細胞の両方を含む場合(例えば、胎盤の一部が、絨毛膜または胎盤葉を含む場合)、単離された胎盤細胞は、胎児起源および母親起源の両方に由来する胎盤細胞の混合物を含み得ることが理解されるであろう。胎盤の一部が、母親細胞(例えば、羊膜)を全く含まないかまたはごくわずかな数しか含まない場合、それから単離される胎盤細胞は、ほとんど胎児性の胎盤細胞(すなわち、胎児の遺伝子型を有する胎盤細胞)しか含まないことになる。
胎盤細胞、例えば、上記セクション5.2.2に記載されている胎盤細胞を、示差的トリプシン処理(以下のセクション5.3.5を参照のこと)を行い、続いて、1つ以上の新たな培養容器を含む新鮮な増殖培地中で培養し、続いて場合により、第2の示差的トリプシン処理工程を行うことによって、破壊された胎盤組織から単離し得る。
5.3.4 胎盤灌流
また、胎盤細胞、例えば、上記セクション5.2.2に記載されている胎盤細胞(例えば、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される胎盤細胞)は、哺乳動物胎盤の灌流によって得られ得る。哺乳動物胎盤を灌流して胎盤細胞を得る方法は、例えば、Haririの米国特許第7,045,148号および第7,255,729号ならびに米国特許出願公開第2007/0275362号および第2007/0190042号(これらの各開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
胎盤細胞を、例えば細胞回収組成物を灌流溶液として使用して、例えば胎盤血管系を通した灌流によって回収し得る。一実施形態では、哺乳動物胎盤を、灌流溶液を臍帯動脈および臍帯静脈のいずれかまたは両方に通すことによって灌流する。胎盤を通る灌流溶液の流れを、例えば、胎盤の中への重力流を使用して達成し得る。好ましくは、灌流溶液を、ポンプ、例えば蠕動ポンプを使用して、胎盤に強制的に通す。臍帯静脈に、例えば、滅菌チューブなどの滅菌された接続装置に接続されているカニューレ、例えばTEFLON(登録商標)またはプラスチックカニューレを挿入し得る。この滅菌された接続装置は、灌流マニフォールドに接続されている。
灌流の準備では、臍帯動脈および臍帯静脈が胎盤の最も高い位置に配置されるように、胎盤を配向させる(例えば、ぶら下げる)ことが好ましい。灌流液を胎盤血管系および周囲組織に通すことによって、胎盤を灌流し得る。また、灌流液を臍帯静脈に通して臍帯動脈から回収するか、または灌流液を臍帯動脈に通して臍帯静脈から回収することによって、胎盤を灌流し得る。
一実施形態では、例えば、臍帯動脈および臍帯静脈を、例えば、柔軟なコネクタを介して灌流溶液のリザーバに接続されたピペットに同時に接続する。灌流溶液を、臍帯静脈および臍帯動脈に通す。灌流溶液は血管壁から滲出し、および/または血管壁を通って胎盤の周囲組織中に入り、妊娠中の母親の子宮に付着していた胎盤表面から適切な開放容器中に回収される。また、灌流溶液を臍帯の開放部に通して導入し、母親の子宮壁と接合している胎盤壁の開口部から流出または浸出させ得る。「pan」法と称され得るこの方法で回収される胎盤細胞は、典型的には、胎児細胞と母親細胞との混合物である。
別の実施形態では、灌流溶液を臍帯静脈に通して臍帯動脈から回収するか、または臍帯動脈に通して臍帯静脈から回収する。「閉回路」法と称され得るこの方法で回収される胎盤細胞は、典型的には、ほとんど胎児のものしかない。
pan法を使用する灌流では、灌流液が胎盤の母親側から滲出した後に灌流液を回収し、胎児細胞と母親細胞との混合物が得られることが理解されるだろう。結果として、この方法で回収された細胞は、胎児起源および母親起源の両方の胎盤細胞、例えば、胎盤幹細胞または胎盤多能性細胞の混合集団を含み得る。対照的に、専ら胎盤血管系を通した閉回路法による灌流では、灌流液を1つまたは2つの胎盤血管に通し、専ら残りの血管を通して回収し、ほぼ胎児起源のものしかない胎盤細胞の集団が回収される。
閉回路灌流法を、一実施形態では、以下のように実施し得る。出産後胎盤を、出産後約48時間以内に得る。臍帯をクランプし、クランプの上方で切断する。臍帯は、廃棄され得るか、または例えば臍帯幹細胞を回収するために、および/もしくは生体材料の生産用に臍帯膜を処理するために処理され得る。羊膜を灌流中保持し得るか、または例えば指による鈍的剥離を使用して絨毛膜から分離し得る。羊膜を灌流前に絨毛膜から分離する場合、それを、例えば廃棄するか、または例えば酵素的消化によって幹細胞を得るために、もしくは例えば羊膜生体材料、例えば米国特許出願公開第2004/0048796号(この開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている生体材料を生産するために処理し得る。例えば、滅菌ガーゼを使用して、すべての可視的な血塊および残留血液を胎盤から除去した後、例えば、臍帯膜を一部切断して、臍帯の断面を露出させることにより、臍帯血管を露出させる。血管を確認し、それを、例えば、閉じたアリゲータークランプを各血管の切断端に通して前進させることによって広げる。次いで、装置、例えば、灌流装置または蠕動ポンプに接続されたプラスチックチューブを胎盤動脈のそれぞれに挿入する。ポンプは、この目的に適切な任意のポンプ、例えば、蠕動ポンプであり得る。次いで、滅菌回収リザーバ、例えば、250mL回収バッグなどの血液バッグに接続されたプラスチックチューブを胎盤静脈に挿入する。あるいは、ポンプに接続されたチューブを胎盤静脈に挿入し、回収リザーバに接続されたチューブを胎盤動脈の一方または両方に挿入する。次いで、胎盤を、一定容量の灌流溶液、例えば、約750mlの灌流溶液で灌流する。次いで、灌流液中の細胞を、例えば、遠心分離によって回収する。特定の実施形態では、灌流して、胎盤細胞、例えば、胎盤幹細胞および/または胎盤多能性細胞を回収する前に残留血液を除去するために、胎盤を、灌流溶液、例えば、100〜300mLの灌流溶液で灌流する。別の実施形態では、灌流して胎盤細胞を回収する前に残留血液を除去するために、胎盤を灌流溶液で灌流することはない。
一実施形態では、灌流中、近位臍帯をクランプし、より好ましくは、胎盤への臍帯挿入部から4〜5cm(センチメートル)以内のところで、近位臍帯をクランプする。
放血プロセスの間の哺乳動物胎盤からの灌流液の最初の回収物は、一般に、臍帯血および/または胎盤血の残留赤血球のために着色されている。灌流液は、灌流が進み、残留臍帯血細胞が胎盤から洗い流されるにつれて、より無色になる。一般に、最初に胎盤を放血するためには、30〜100ml(ミリリットル)の灌流液で十分であるが、観察結果に応じて、より多くのまたはより少ない灌流液を使用し得る。
胎盤細胞を単離するために使用される灌流液の容量は、回収すべき細胞の数、胎盤のサイズ、単一の胎盤から行なわれる回収の回数などによって異なり得る。様々な実施形態では、灌流液の容量は、50mL〜5000mL、50mL〜4000mL、50mL〜3000mL、100mL〜2000mL、250mL〜2000mL、500mL〜2000mLまたは750mL〜2000mLであり得る。典型的には、放血後、胎盤を700〜800mLの灌流液で灌流する。
胎盤を、数時間から数日間かけて、複数回灌流し得る。胎盤を複数回灌流すべき場合、それを、容器または他の適切な容器中、無菌条件下で維持または培養し、細胞回収組成物または抗凝血剤(例えば、ヘパリン、ワルファリンナトリウム、クマリン、ビスヒドロキシクマリン)を含むかもしくは含まない、および/または抗微生物剤(例えば、β−メルカプトエタノール(0.1mM);ストレプトマイシン(例えば、40〜100μg/ml)、ペニシリン(例えば、40U/ml)、アンフォテリシンB(例えば、0.5μg/ml)などの抗生物質を含むかもしくは含まない、標準的な灌流溶液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水(「PBS」)などの生理食塩水溶液)で灌流し得る。一実施形態では、胎盤を、灌流および灌流液の回収前に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、もしくは24時間または2もしくは3日間以上維持または培養するように、単離された胎盤を、灌流液を回収せずに一定期間維持または培養する。灌流された胎盤を、さらにもう1回以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間以上維持し、例えば、700〜800mLの灌流液で再び灌流し得る。胎盤を、1、2、3、4、5回以上、例えば、1、2、3、4、5または6時間に1回灌流し得る。好ましい実施形態では、回収された有核細胞の数が細胞100個/mlを下回るまで、胎盤の灌流と、灌流溶液、例えば細胞回収組成物の回収とを繰り返す。異なる時点の灌流液をさらに個別に処理して、時間依存的な細胞、例えば、幹細胞の集団を回収し得る。また、異なる時点からの灌流液をプールし得る。好ましい実施形態では、娩出後約8時間〜約18時間の1つまたは複数の時点で、胎盤細胞を回収する。
灌流は、好ましくは、前記溶液で灌流されていない哺乳動物胎盤であって、胎盤細胞を得るために別様に(例えば、組織破壊、例えば酵素的消化によって)処理されていない哺乳動物胎盤から得られ得る数よりも有意に多い胎盤細胞の回収をもたらす。この文脈において、「有意に多い」は、少なくとも10%多いことを意味する。灌流によって、例えば、胎盤またはその一部が培養された培養培地から単離可能な胎盤細胞の数よりも有意に多い胎盤細胞が得られる。
胎盤細胞を、1つ以上のプロテアーゼまたは他の組織破壊酵素を含む溶液による灌流によって、胎盤から単離し得る。具体的な実施形態では、胎盤またはその一部(例えば、羊膜、羊膜と絨毛膜、胎盤小葉もしくは胎盤葉、臍帯または上記のいずれかの組み合わせ)を25〜37℃に置き、1つ以上の組織破壊酵素と共に、200mLの培養培地中、30分間インキュベートする。灌流液由来の細胞を回収し、4℃に置き、5mM EDTA、2mMジチオスレイトールおよび2mMβ−メルカプトエタノールを含む冷たい阻害剤混合物で洗浄する。数分後、胎盤細胞を冷たい(例えば、4℃の)幹細胞回収組成物で洗浄する。
5.3.5 胎盤細胞の単離、選別および特性評価
灌流または(例えば、酵素的消化による)物理的破壊によって得られるかにかかわらず、単離された胎盤細胞、例えば、上記セクション5.2.2に記載されている細胞(例えば、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞)を、最初に、Ficoll勾配遠心分離によって、他の細胞から精製(すなわち、単離)し得る。このような遠心分離は、遠心分離速度などのための任意の標準的なプロトコールに従い得る。一実施形態では、例えば、胎盤から回収された細胞を、室温、5000×gで15分間遠心分離することによって灌流液から回収し、これにより、細胞は、例えば、夾雑残屑および血小板から分離される。別の実施形態では、胎盤灌流液を約200mlに濃縮し、Ficoll上で穏やかに層形成させ、22℃、約1100×gで20分間遠心分離し、前記細胞の低密度界面層をさらなる処理のために回収する。
細胞ペレットを、新鮮な幹細胞回収組成物、または細胞維持、例えば、幹細胞維持に適切な培地、例えば、2U/mlヘパリンおよび2mM EDTA(GibcoBRL,NY)を含むIMDM無血清培地に再懸濁し得る。全単核細胞画分を、例えば、製造業者の推奨手順に従って、Lymphoprep(Nycomed Pharma,Oslo,Norway)を使用して単離し得る。
灌流または消化によって得られた胎盤細胞を、例えば、0.2%EDTA(Sigma,St.Louis MO)を含む0.05%トリプシン溶液を使用する示差的トリプシン処理によって、例えばさらにまたは最初に単離し得る。組織培養プラスチック接着性である単離された胎盤細胞は、典型的には、約5分以内にプラスチック表面から剥がれるが、他の接着性集団は、典型的には、20〜30分間を超えるインキュベーションを必要とするので、示差的トリプシン処理が可能である。トリプシン処理、および例えば、トリプシン中和溶液(TNS、Cambrex)を使用するトリプシン中和後、剥がれた胎盤細胞を採取し得る。接着細胞の単離の一実施形態では、一定分量の、例えば、約5〜10×106個の細胞を、いくつかのT−75フラスコ、好ましくは、フィブロネクチンコーティングT75フラスコのそれぞれに入れる。このような実施形態では、細胞を、市販の間葉系幹細胞成長培地(MSCGM)(Cambrex)を使用して培養し、組織培養インキュベーター(37℃、5%CO2)内に置き得る。10〜15日後、PBSで洗浄することにより、接着していない細胞をフラスコから除去する。次いで、PBSをMSCGMに交換する。フラスコを、様々な接着細胞型の存在について、特に、線維芽細胞様細胞のクラスタの同定およびエクスパンションのために、毎日調べることが好ましい。
哺乳動物胎盤から回収された細胞の数および種類を、例えば、フローサイトメトリー、細胞選別、免疫細胞化学(例えば、組織特異的もしくは細胞マーカー特異的抗体による染色)、蛍光活性化細胞選別(FACS)、磁気活性化細胞選別(MACS)などの標準的な細胞検出技術を使用して形態および細胞表面マーカーの変化を測定することにより、光学顕微鏡もしくは共焦点顕微鏡法を使用して細胞の形態を調べることにより、ならびに/またはPCRおよび遺伝子発現プロファイリングなどの当技術分野で周知の技術を使用して遺伝子発現の変化を測定することにより、モニタリングし得る。これらの技術を、1つ以上の特定のマーカーについて陽性の細胞を同定するためにも使用し得る。例えば、CD34に対する抗体を使用して、上記技術を使用して、細胞が検出可能な量のCD34を含むかを決定し得る;もしそうであるならば、細胞はCD34+である。同様に、細胞がRT−PCRで検出されるのに十分なOCT−4 RNA、または成体細胞よりも有意に多くのOCT−4 RNAを産生するならば、前記細胞は、OCT−4+である。細胞表面マーカー(例えば、CD34などのCDマーカー)に対する抗体およびOCT−4などの幹細胞特異的遺伝子の配列は、当技術分野で周知である。
胎盤細胞、特に、Ficoll分離、示差的接着または両方の組み合わせによって単離された細胞を、蛍光活性化細胞選別機(FACS)を使用して選別し得る。蛍光活性化細胞選別(FACS)は、粒子の蛍光特性に基づいて、細胞を含む粒子を分離する周知の方法である(Kamarch,1987,Methods Enzymol,151:150−165)。個々の粒子中の蛍光部分のレーザーによる励起によって、わずかな電荷が生じ、混合物からの陽性粒子および陰性粒子の電磁分離が可能になる。一実施形態では、細胞表面マーカー特異的抗体またはリガンドを個別の蛍光標識で標識する。細胞をセルソーターに通して処理し、使用された抗体に結合するその能力に基づく細胞の分離を可能にする。FACSで選別された粒子を96ウェルまたは384ウェルプレートの個々のウェルに直接に堆積させて、分離およびクローニングを容易にし得る。
1つの選別スキームでは、胎盤由来の細胞、例えば、PDACを、マーカーCD34、CD38、CD44、CD45、CD73、CD105、OCT−4および/またはHLA−Gの1つ以上の発現に基づいて選別する。これは、このような細胞を培養下のその接着特性に基づいて選択する手順との関連で達成し得る。例えば、組織培養プラスチック接着の選択を、マーカー発現に基づく選別の前または後に達成し得る。一実施形態では、例えば、細胞を、最初に、そのCD34発現に基づいて選別し;CD34-細胞を保持し、さらにCD200+およびHLA−G-であるCD34-細胞を、他のすべてのCD34-細胞から分離する。別の実施形態では、胎盤由来の細胞をそのマーカーCD200および/またはHLA−Gの発現に基づいて選別し;例えば、CD200を提示し、HLA−Gを欠く細胞をさらなる使用のために単離する。例えば、CD200を発現し、および/または例えば、HLA−Gを欠く細胞を、具体的な実施形態では、CD73および/もしくはCD105または抗体SH2、SH3、もしくはSH4によって認識されるエピトープの発現、あるいはCD34、CD38またはCD45の発現の欠如に基づいてさらに選別し得る。例えば、別の実施形態では、胎盤細胞を、CD200、HLA−G、CD73、CD105、CD34、CD38およびCD45の発現またはその欠如によって選別し、CD200+、HLA−G-、CD73+、CD105+、CD34-、CD38-およびCD45-である胎盤細胞を、さらなる使用のために他の胎盤細胞から単離する。
選別された胎盤細胞の上記実施形態のいずれかの具体的な実施形態では、選別後に残存する細胞集団における細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%または95%は、前記単離された胎盤細胞である。胎盤細胞を、上記セクション5.2.2に記載されているマーカーのいずれかの1つ以上によって選別し得る。
具体的な実施形態では、例えば、(1)組織培養プラスチックに接着性であり、(2)CD10+、CD34-およびCD105+である胎盤細胞を他の胎盤細胞から選別する(すなわち、単離する)。別の具体的な実施形態では、(1)組織培養プラスチックに接着性であり、(2)CD10+、CD34-、CD105+およびCD200+である胎盤細胞を他の胎盤細胞から選別する(すなわち、単離する)。別の具体的な実施形態では、(1)組織培養プラスチックに接着性であり、(2)CD10+、CD34-、CD45-、CD90+、CD105+およびCD200+である胎盤細胞を他の胎盤細胞から選別する(すなわち、単離する)。
胎盤細胞のヌクレオチド配列ベースの検出に関して、本明細書に記載されるマーカーの配列は、GenBankまたはEMBLなどの公的に利用可能なデータベースで容易に入手可能である。
胎盤細胞、例えば、胎盤幹細胞または胎盤多能性細胞の抗体による検出および選別に関して、特定のマーカーに特異的な任意の抗体を、細胞の検出および選別(例えば、蛍光活性化細胞選別)に適切な任意のフルオロフォアまたは他の標識と組み合わせて使用し得る。特異的マーカーに対する抗体/フルオロフォアの組み合わせとしては、限定されないが、HLA−Gに対するフルオレセインイソチオシアネート(FITC)コンジュゲートモノクローナル抗体(Serotec,Raleigh,North Carolinaから入手可能)、CD10に対するフルオレセインイソチオシアネート(FITC)コンジュゲートモノクローナル抗体(BD Immunocytometry Systems,San Jose,Californiaから入手可能)、CD44に対するフルオレセインイソチオシアネート(FITC)コンジュゲートモノクローナル抗体(BD Biosciences Pharmingen,San Jose,Californiaから入手可能)およびCD105に対するフルオレセインイソチオシアネート(FITC)コンジュゲートモノクローナル抗体(R&D Systems Inc.,Minneapolis,Minnesotaから入手可能);CD44、CD200、CD117およびCD13に対するフィコエリスリン(PE)コンジュゲートモノクローナル抗体(BD Biosciences Pharmingen);CD33およびCD10に対するフィコエリスリン−Cy7(PE Cy7)コンジュゲートモノクローナル抗体(BD Biosciences Pharmingen);アロフィコシアニン(APC)コンジュゲートストレプトアビジンおよびCD38に対するアロフィコシアニン(APC)コンジュゲートモノクローナル抗体(BD Biosciences Pharmingen);ならびにビオチン化CD90(BD Biosciences Pharmingen)が挙げられる。使用され得る他の抗体としては、限定されないが、CD133−APC(Miltenyi)、KDR−ビオチン(CD309、Abcam)、サイトケラチンK−Fitc(SigmaまたはDako)、HLA ABC−Fitc(BD)、HLA DR、DQ、DP−PE(BD)、β2−ミクログロブリン−PE(BD)、CD80−PE(BD)およびCD86−APC(BD)が挙げられる。使用され得る他の抗体/標識の組み合わせとしては、限定されないが、CD45−PerCP(ペリジンクロロフィルタンパク質);CD44−PE;CD19−PE;CD10−F(フルオレセイン);HLA−G−Fおよび7−アミノ−アクチノマイシン−D(7−AAD);HLA−ABC−F;などが挙げられる。このリストは網羅的なものではなく、他の供給業者からの他の抗体も市販されている。
本明細書で提供される単離された胎盤細胞を、例えば、フィコエリスリン−Cy5(PE Cy5)コンジュゲートストレプトアビジンと、CD117またはCD133に対するビオチンコンジュゲートモノクローナル抗体とを使用してCD117またはCD133についてアッセイし得る;しかしながら、このシステムを使用すると、バックグラウンドが比較的高いために、細胞は、それぞれCD117またはCD133について陽性であるように見え得る。
単離された胎盤細胞を単一のマーカーに対する抗体で標識し、検出および/選別し得る。また、胎盤細胞を異なるマーカーに対する複数の抗体で同時に標識し得る。
別の実施形態では、磁気ビーズを使用して細胞を分離し得る。磁気ビーズ(直径0.5〜100μm)に結合するその能力に基づいて粒子を分離する方法である、磁気活性化細胞選別(MACS)技術を使用して、細胞を選別し得る。特定の細胞表面分子またはハプテンを特異的に認識する抗体の共有結合的付加を含む様々な有用な修飾を、磁気マイクロスフェアに対して実施し得る。次いで、前記ビーズを細胞と混合して、結合を可能にする。次いで、細胞を磁場に通して、特異的細胞表面マーカーを有する細胞を分離する。一実施形態では、次いで、これらの細胞を単離し、さらなる細胞表面マーカーに対する抗体と結合した磁気ビーズと再び混合し得る。細胞を再び磁場に通して、両方の抗体に結合した細胞を単離する。次いで、このような細胞を希釈して、別々のディッシュ、例えば、クローン単離用のマイクロタイターディッシュに入れ得る。
また、単離された胎盤細胞を、細胞形態および成長特性に基づいて特性評価および/または選別し得る。例えば、単離された胎盤細胞を、例えば、培養下で線維芽細胞様の外観を有するものとして特性評価し、および/または培養下での線維芽細胞様の外観に基づいて選択し得る。また、単離された胎盤細胞を、胚様体様体を形成するその能力を有するものとして特性評価し、および/または胚様体様体を形成するその能力に基づいて選択し得る。一実施形態では、例えば、線維芽細胞様の形状であり、CD73およびCD105を発現し、培養下で1つ以上の胚様体様体を産生する胎盤細胞を他の胎盤細胞から単離する。別の実施形態では、培養下で1つ以上の胚様体様体を産生するOCT−4+胎盤細胞を他の胎盤細胞から単離する。
別の実施形態では、単離された胎盤細胞は、コロニー形成単位アッセイによって同定および特性評価され得る。MESENCULT(商標)medium(Stem Cell Technologies,Inc.,Vancouver British Columbia)などのコロニー形成単位アッセイは、当技術分野で一般に公知である。
単離された胎盤細胞を、(生存を評価するための)トリパンブルー排出アッセイ、フルオレセインジアセテート取り込みアッセイ、ヨウ化プロピジウム取り込みアッセイ;および(増殖を評価するための)チミジン取り込みアッセイ、MTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)細胞増殖アッセイなどの、当技術分野で公知の標準的技術を使用して、生存能力、増殖能力および寿命について評価し得る。寿命は、当技術分野で周知の方法によって、例えば延長された培養下での集団倍加の最大数を決定することによって決定され得る。
また、単離された胎盤細胞、例えば、上記セクション5.2.2に記載されている単離された胎盤細胞を、当技術分野で公知の他の技術、例えば、所望の細胞の選択的成長(陽性選択)、望ましくない細胞の選択的破壊(陰性選択);例えば、ダイズ凝集素を使用する混合集団における示差的細胞凝集力に基づく分離;凍結−解凍処置;ろ過;従来のゾーン遠心分離;遠心洗浄(向流遠心分離);単位重力分離;向流分配;電気泳動法;などを使用して他の胎盤細胞から分離し得る。
5.3.6 刺激胎盤細胞
1つ以上の刺激分子と接触させることによって刺激された単離された胎盤細胞、例えば上記セクション5.2.2に記載されている単離された胎盤細胞の集団も本明細書で提供される。具体的な実施形態では、前記細胞または細胞の集団(例えば、PDAC)は、1つ以上のサイトカインで刺激される。別の具体的な実施形態では、前記細胞または細胞集団(例えば、PDAC)は、1つ以上の炎症促進性サイトカインで刺激される。具体的な実施形態では、前記1つ以上の炎症促進性サイトカインは、IL−1α、IL−1β、IL−6、IL−8、IL−18、TNF−αおよびINF−γからなる群より選択される。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される細胞または細胞の集団(例えば、PDAC)は、IL−1αで刺激される。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される細胞または細胞の集団(例えば、PDAC)は、IL−1βで刺激される。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される細胞または細胞の集団(例えば、PDAC)は、IL−6で刺激される。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される細胞または細胞の集団(例えば、PDAC)は、IL−8で刺激される。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される細胞または細胞の集団(例えば、PDAC)は、IL−18で刺激される。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される細胞または細胞の集団(例えば、PDAC)は、TNF−αで刺激される。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される細胞または細胞の集団(例えば、PDAC)は、INF−γで刺激される。
一実施形態では、本明細書に記載される細胞の集団(例えば、PDAC)は、1つ以上のサイトカインによって刺激され、前記サイトカインは、1pg/mL、10pg/mL、100pg/mL、1,000pg/mL、10,000pg/mLまたは100,000pg/mLの濃度である。具体的な実施形態では、前記培養培地は、1pg/mL〜10pg/mL、10pg/mL〜100pg/mL、100pg/mL〜1,000pg/mL、1,000pg/mL〜10,000pg/mLまたは10,000pg/mL〜100,000pg/mLの濃度の前記1つ以上のサイトカインを補充される。
別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される細胞の集団(例えば、PDAC)は、1つ以上のサイトカインによって刺激され、前記刺激は、1分間、5分間、15分間、30分間、60分間、2時間、5時間、10時間、15時間、20時間、25時間、30時間、35時間、40時間、45時間、50時間、55時間または60時間行われる。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される細胞の集団(例えば、PDAC)は、1つ以上のサイトカインによって刺激され、前記刺激は、1分間〜5分間、5分間〜10分間、10分間〜15分間、15分間〜30分間、30分間〜60分間、60分間〜2時間、2時間〜5時間、5時間〜10時間、10時間〜15時間、15時間〜20時間、20時間〜25時間、25時間〜30時間、30時間〜35時間、35時間〜40時間、40時間〜45時間、45時間〜50時間、50時間〜55時間または55時間〜60時間行われる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される刺激PDAC(例えば、IL−1β刺激PDAC)は、非刺激PDACよりも高いレベルで分泌因子を産生する。具体的な実施形態では、前記分泌因子は、GM−CSF、G−CSF、IL−6、GRO、MCP−1、フォリスタチンおよび/またはIL−8を含む。具体的な実施形態では、前記本明細書に記載される刺激PDAC(例えば、IL−1β刺激PDAC)は、血管新生促進特性を有する。
具体的な実施形態では、本明細書に記載される細胞の集団(例えば、PDAC)は、インビトロで刺激される。
5.4 単離された胎盤細胞の培養
5.4.1 培養培地
単離された胎盤細胞、または単離された胎盤細胞の集団、または胎盤細胞が生じる細胞もしくは胎盤組織を使用して、細胞培養物をイニシエートまたは播種し得る。一般に、細胞を、コーティングされていないか、あるいはラミニン、コラーゲン(例えば、天然物または変性物)、ゼラチン、フィブロネクチン、オルニチン、ビトロネクチン、ポリリジン、CELLSTART(商標)および/もしくは細胞外膜タンパク質(例えば、MATRIGEL(登録商標)(BD Discovery Labware,Bedford,Mass.))などの細胞外マトリックスもしくはリガンド、または他の適切な生体分子もしくは合成模倣剤でコーティングされているかのいずれかの滅菌組織培養容器に移す。
単離された胎盤細胞を、細胞、例えば、幹細胞の培養に許容され得るものとして当技術分野で認識されている任意の培地中および任意の条件下で培養し得る。好ましくは、培養培地は、血清を含む。単離された胎盤細胞を、例えば、ITS(インスリン−トランスフェリン−セレン)、LA+BSA(リノール酸−ウシ血清アルブミン)、デキサメタゾン、L−アスコルビン酸、PDGF、EGF、IGF−1およびペニシリン/ストレプトマイシンを含むDMEM−LG(ダルベッコの改変必須培地、低グルコース)/MCDB 201(ニワトリ線維芽細胞基本培地);10%胎仔ウシ血清(FBS)を含むDMEM−HG(高グルコース);15%FBSを含むDMEM−HG;10%FBS、10%ウマ血清およびヒドロコルチゾンを含むIMDM(イスコフの改変ダルベッコ培地);1%〜20%FBS、EGFおよびヘパリンを含むM199;10%FBS、GLUTAMAX(商標)およびゲンタマイシンを含むα−MEM(最小必須培地);10%FBS、GLUTAMAX(商標)およびゲンタマイシンを含むDMEMなどの中で培養し得る。
胎盤細胞を培養するために使用され得る他の培地としては、DMEM(高グルコースまたは低グルコース)、イーグルの基本培地、ハムのF10培地(F10)、ハムのF−12培地(F12)、イスコフの改変ダルベッコ培地、間葉系幹細胞成長培地(MSCGM)、ライボヴィッツのL−15培地、MCDB、DMEM/F12、RPMI 1640、改良DMEM(Gibco)、DMEM/MCDB201(Sigma)およびCELL−GRO FREEが挙げられる。
培養培地には、例えば、血清(例えば、ウシ胎仔血清(FBS)、好ましくは、約2〜15%(v/v);ウマ(equine)(ウマ(horse))血清(ES);ヒト血清(HS));β−メルカプトエタノール(BME)、好ましくは、約0.001%(v/v);1つ以上の成長因子、例えば、血小板由来成長因子(PDGF)、上皮成長因子(EGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、インスリン様成長因子−1(IGF−1)、白血病抑制因子(LIF)、血管内皮成長因子(VEGF)およびエリスロポエチン(EPO);L−バリンを含むアミノ酸;ならびに例えば、ペニシリンG、硫酸ストレプトマイシン、アンフォテリシンB、ゲンタマイシンおよびナイスタチンなどの、微生物汚染を防除するための1つ以上の抗生物質および/または抗真菌剤を含む1つ以上の成分を単独で、または組み合わせて補充し得る。
単離された胎盤細胞を、標準的な組織培養条件で、例えば、組織培養ディッシュまたはマルチウェルプレート中で培養し得る。また、単離された胎盤細胞を、ハンギングドロップ法を使用して培養し得る。この方法では、単離された胎盤細胞を約5mLの培地に細胞約1×104個/mLで懸濁し、1滴以上の培地を組織培養容器、例えば、100mLペトリ皿の蓋の内側に置く。この滴は、例えば、単一の滴、または例えば、マルチチャネルピペッターからの複数の滴であり得る。蓋を慎重にひっくり返し、一定容量の液体、例えば、皿の雰囲気内の水分含量を維持するために十分な滅菌PBSを含む皿底の上部に置き、幹細胞を培養する。
具体的な実施形態では、単離された胎盤幹細胞は、炎症促進性サイトカインの存在下で培養される。炎症促進性サイトカインを含有する培養培地は任意の培地であり得、任意の条件下で、細胞、例えば幹細胞の培養に許容され得るものであると当技術分野で認められているものであり得、1つ以上の炎症促進性サイトカインをさらに含む。具体的な実施形態では、前記炎症促進性サイトカインは、IL−1α、IL−1β、IL−6、IL−8、IL−18、TNF−αおよび/またはINF−γの1つ以上を含む。別の具体的な実施形態では、前記炎症促進性サイトカインは、IL−1βである。
炎症促進性サイトカインは、許容され得るものであると当技術分野で認められている任意の濃度で、培養培地に補充し得る。具体的な実施形態では、前記培養培地は、1pg/mL、10pg/mL、100pg/mL、1,000pg/mL、10,000pg/mLまたは100,000pg/mLの濃度の前記1つ以上のサイトカインを補充される。具体的な実施形態では、前記培養培地は、1pg/mL〜10pg/mL、10pg/mL〜100pg/mL、100pg/mL〜1,000pg/mL、1,000pg/mL〜10,000pg/mLまたは10,000pg/mL〜100,000pg/mLの濃度の前記1つ以上のサイトカインを補充される。
一実施形態では、単離された胎盤細胞を、単離された胎盤細胞における未分化な表現型を維持するように作用する化合物の存在下で培養する。具体的な実施形態では、化合物は、置換3,4−ジヒドロピリジモル[4,5−d]ピリミジンである。別の具体的な実施形態では、化合物は、以下の化学構造を有する化合物である:
化合物を、例えば、約1μM〜約10μMの濃度で、単離された胎盤細胞、または単離された胎盤細胞の集団と接触させ得る。
5.4.2 胎盤細胞のエクスパンションおよび増殖
単離された胎盤細胞、または単離された胎盤細胞の集団を分離したら(例えば、胎盤細胞または胎盤細胞の集団が、幹細胞または幹細胞の集団が通常インビボで関連している胎盤細胞の少なくとも50%から分離したら)、細胞または細胞の集団をインビトロで増殖およびエクスパンションし得る。例えば、単離された胎盤細胞の集団を、組織培養容器、例えば、ディッシュ、フラスコ、マルチウェルプレートなどの中で、70〜90%コンフルエンスになるまで、すなわち、細胞およびその子孫が、組織培養容器の培養表面積の70〜90%を占めるまで、細胞が増殖するために十分な時間培養し得る。
単離された胎盤細胞を、細胞成長を可能にする密度で培養容器中に播種し得る。例えば、細胞を、低密度(細胞約1,000〜約5,000個/cm2)から高密度(例えば、細胞約50,000個/cm2以上)で播種し得る。好ましい実施形態では、細胞を、大気中、約0〜約5容積%のCO2の存在下で培養する。いくつかの好ましい実施形態では、細胞を、大気中、約2〜約25%のO2、好ましくは、大気中、約5〜約20%のO2で培養する。細胞を、約25℃〜約40℃、好ましくは37℃で培養することが好ましい。細胞をインキュベーター内で培養することが好ましい。培養培地を静止状態とするか、または例えば、バイオリアクターを使用して撹拌し得る。胎盤細胞、例えば、胎盤幹細胞または胎盤多能性細胞を(例えば、グルタチオン、アスコルビン酸、カタラーゼ、トコフェロール、N−アセチルシステインなどの追加により)低酸化ストレス下で成長させることが好ましい。
100%未満、例えば、70〜90%のコンフルエンスを得たら、細胞を継代し得る。例えば、細胞を、当技術分野で周知の技術を使用して酵素的に処理し、例えば、トリプシン処理し、それらを組織培養表面から分離し得る。細胞をピペッティングによって除去し、細胞を計数した後、細胞約10,000〜100,000個/cm2を、新鮮な培養培地を含む新たな培養容器に移動させる。典型的には、新たな培地は、単離された胎盤細胞が除去された培地と同じ種類である。単離された胎盤細胞を、約次の回数、少なくとも次の回数または次の回数以下継代し得る:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18または20回以上。
5.4.3 単離された胎盤細胞の集団
本明細書に記載される方法および組成物において有用な単離された胎盤細胞、例えば、上記セクション5.2.2に記載されている単離された胎盤細胞(例えば、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞)の集団も本明細書で提供される。本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞の集団を1つ以上の胎盤から直接単離し得る;すなわち、細胞集団は、単離された胎盤細胞を含む胎盤細胞の集団であり得、単離された胎盤細胞は、灌流液から得られるか、またはその中に含まれるか、あるいは破壊された胎盤組織、例えば、胎盤組織消化物(すなわち、胎盤もしくはその部分の酵素的消化によって得られる細胞の集合体)から得られるか、またはその中に含まれる。また、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞を培養およびエクスパンションして、単離された胎盤細胞の集団を生産し得る。また、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞を含む胎盤細胞の集団を培養およびエクスパンションして、胎盤細胞集団を生産し得る。一実施形態では、本明細書に記載される単離された胎盤細胞は、1つ以上の炎症促進性サイトカインで刺激される。具体的な実施形態では、前記炎症促進性サイトカインは、IL−1α、IL−1β、IL−6、IL−8、IL−18、TNF−αおよびINF−γの1つ以上を含む。具体的な実施形態では、前記炎症促進性サイトカインは、IL−1βである。
本明細書で提供される処置方法において有用な胎盤細胞集団は、単離された胎盤細胞、例えば、本明細書のセクション5.4.2に記載されている単離された胎盤細胞を含む。具体的な実施形態では、前記胎盤細胞集団は、PDAC、例えばIL−1β刺激PDACを含む。様々な実施形態では、胎盤細胞集団における細胞の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または99%は、単離された胎盤細胞である。すなわち、単離された胎盤細胞の集団は、例えば、単離された胎盤細胞ではない1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%と同程度の量の細胞を含み得る。
本明細書に記載される方法および組成物において有用な単離された胎盤細胞集団を、例えば、酵素的消化によって得られたものであれ、灌流によって得られたものであれ、特定のマーカーおよび/または特定の培養特性もしくは形態特性を発現する単離された胎盤細胞を選択することによって生産し得る。一実施形態では、例えば、(a)基材に接着し、(b)CD200を発現し、HLA−Gの発現を欠く胎盤細胞を選択し;前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成させることによって、細胞集団を生産する方法が本明細書で提供される。別の実施形態では、細胞集団を、CD200を発現し、HLA−Gの発現を欠く胎盤細胞を選択し、前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成させることによって生産される。別の実施形態では、細胞集団を、(a)基材に接着し、(b)CD73、CD105およびCD200を発現する胎盤細胞を選択し;前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成させることによって生産される。別の実施形態では、細胞集団を、CD73、CD105およびCD200を発現する胎盤細胞を同定し、前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成させることによって生産される。別の実施形態では、細胞集団を、(a)基材に接着し、(b)CD200およびOCT−4を発現する胎盤細胞を選択し;前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成させることによって生産される。別の実施形態では、細胞集団を、CD200およびOCT−4を発現する胎盤細胞を選択し、前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成させることによって生産される。別の実施形態では、細胞集団を、(a)基材に接着し、(b)CD73およびCD105を発現し、(c)前記幹細胞を含む胎盤細胞の集団を、胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養される場合、前記集団における1つ以上の胚様体様体の形成を促進する胎盤細胞を選択し;前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成させることによって生産される。別の実施形態では、細胞集団を、CD73およびCD105を発現し、前記幹細胞を含む胎盤細胞の集団を、胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養される場合、前記集団における1つ以上の胚様体様体の形成を促進する胎盤細胞を選択し、前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成させることによって生産される。別の実施形態では、細胞集団を、(a)基材に接着し、(b)CD73およびCD105を発現し、HLA−Gの発現を欠く胎盤細胞を選択し;前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成させることによって生産される。別の実施形態では、細胞集団を、CD73およびCD105を発現し、HLA−Gの発現を欠く胎盤細胞を選択し、前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成させることによって生産される。別の実施形態では、細胞集団を生産する方法は、(a)基材に接着し、(b)OCT−4を発現し、(c)前記幹細胞を含む胎盤細胞の集団を、胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養される場合、前記集団における1つ以上の胚様体様体の形成を促進する胎盤細胞を選択すること;および前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成させることを含む。別の実施形態では、細胞集団を、OCT−4を発現し、前記幹細胞を含む胎盤細胞の集団を、胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養される場合、前記集団における1つ以上の胚様体様体の形成を促進する胎盤細胞を選択し、前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成させることによって生産される。
別の実施形態では、細胞集団(例えば、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される細胞集団)を、(a)基材に接着し、(b)CD10およびCD105を発現し、CD34を発現しない胎盤細胞を選択し;前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成させることによって生産される。別の実施形態では、細胞集団を、CD10およびCD105を発現し、CD34を発現しない胎盤細胞を選択し、前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成させることによって生産される。別の実施形態では、細胞集団(例えば、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される細胞集団)を、(a)基材に接着し、(b)CD10、CD105およびCD200を発現し、CD34を発現しない胎盤細胞を選択し;前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成させることによって生産される。別の実施形態では、細胞集団を、CD10、CD105およびCD200を発現し、CD34を発現しない胎盤細胞を選択し、前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成させることによって生産される。別の具体的な実施形態では、細胞集団(例えば、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される細胞集団)を、(a)基材に接着し、(b)CD10、CD90、CD105およびCD200を発現し、CD34およびCD45を発現しない胎盤細胞を選択し;前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成させることによって生産される。別の具体的な実施形態では、細胞集団(例えば、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される細胞集団)を、CD10、CD90、CD105およびCD200を発現し、CD34およびCD45を発現しない胎盤細胞を選択し、前記細胞を他の細胞から単離して細胞集団を形成させることによって生産される。
上記セクション5.2.2に記載されているマーカー組み合わせのいずれかを有する胎盤細胞を含む細胞集団の選択物は同様のやり方で単離され得るか、または得られ得る。
上記実施形態ではいずれも、単離された細胞集団の選択はさらに、ABC−p(胎盤特異的ABC輸送体タンパク質;例えば、Allikmets et al.,Cancer Res.58(23):5337−9(1998)を参照のこと)を発現する胎盤細胞を選択することを含み得る。前記方法はまた、例えば、間葉系幹細胞に特異的な少なくとも1つの特徴、例えば、CD44の発現、CD90の発現または上記の組み合わせの発現を示す細胞を選択することを含み得る。
上記実施形態では、基材は、細胞、例えば、単離された胎盤細胞の培養および/または選択を達成し得る任意の表面であり得る。典型的には、基材は、プラスチック、例えば、組織培養ディッシュまたはマルチウェルプレートプラスチックである。組織培養プラスチックは、生体分子、例えば、ラミニンまたはフィブロネクチンでコーティングし得る。
細胞、例えば、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞を、細胞選択の技術分野で公知の任意の手段によって、胎盤細胞集団について選択し得る。例えば、細胞を、例えば、フローサイトメトリーまたはFACSにおいて1つ以上の細胞表面マーカーに対する1つ以上の抗体を使用して選択し得る。抗体を磁気ビーズと組み合わせて使用して、選択を達成し得る。特定の幹細胞関連マーカーに特異的である抗体は当技術分野で公知である。例えば、OCT−4に対する抗体(Abcam,Cambridge,MA)、CD200に対する抗体(Abcam)、HLA−Gに対する抗体(Abcam)、CD73に対する抗体(BD Biosciences Pharmingen,San Diego,CA)、CD105に対する抗体(Abcam;BioDesign International,Saco,ME)など。他のマーカーに対する抗体も市販されており、例えば、CD34、CD38およびCD45に対する抗体が、例えば、StemCell TechnologiesまたはBioDesign Internationalから入手可能である。
本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤細胞集団は、幹細胞ではない胎盤細胞、または胎盤細胞ではない細胞を含み得る。
本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される胎盤由来接着細胞を含む単離された細胞集団は、第2の細胞型、例えば、胎盤由来接着細胞ではない胎盤細胞、または例えば、胎盤細胞ではない細胞を含み得る。例えば、単離された胎盤由来接着細胞集団は、第2の細胞型の集団を含み得、例えば、第2の細胞型の集団と組み合わせることができ、前記第2の細胞型は、例えば、胚性幹細胞、血液細胞(例えば、胎盤血、胎盤血細胞、臍帯血、臍帯血細胞、末梢血、末梢血細胞、胎盤血、臍帯血または末梢血由来の有核細胞など)、血液から単離された幹細胞(例えば、胎盤血、臍帯血または末梢血から単離された幹細胞)、胎盤灌流液から単離された有核細胞、例えば、胎盤灌流液由来の全有核細胞;臍帯幹細胞、血液由来有核細胞の集団、骨髄由来間葉系間質細胞、骨髄由来間葉系幹細胞、骨髄由来造血幹細胞、粗骨髄、成体(体性)幹細胞、組織に含まれる幹細胞の集団、培養された細胞、例えば、培養された幹細胞、完全に分化した細胞(例えば、軟骨細胞、線維芽細胞、羊膜細胞、骨芽細胞、筋肉細胞、心臓細胞など)の集団、周皮細胞などである。具体的な実施形態では、胎盤由来接着細胞を含む細胞の集団は、胎盤幹細胞または臍帯由来の幹細胞を含む。第2の細胞型が血液または血液細胞である特定の実施形態では、赤血球は、細胞の集団から除去されている。
具体的な実施形態では、第2の細胞型は、造血幹細胞である。このような造血幹細胞は、例えば、未処理の胎盤血、臍帯血または末梢血;胎盤血、臍帯血または末梢血由来の全有核細胞;胎盤血、臍帯血または末梢血由来の単離されたCD34+細胞集団;未処理の骨髄;骨髄由来の全有核細胞;骨髄由来の単離されたCD34+細胞集団などに含まれ得る。
別の実施形態では、本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される単離された胎盤由来接着細胞集団を、血管系由来の複数の成体細胞または前駆細胞と組み合わせる。様々な実施形態では、細胞は、内皮細胞、内皮前駆細胞、筋細胞、心筋細胞、周皮細胞、血管芽細胞、筋芽細胞または心筋芽細胞である。
別の実施形態では、第2の細胞型は、多能性のマーカーおよび胚性幹細胞に関連する機能を発現させるために培養下で操作された非胚細胞型である。
本明細書に記載される刺激PDACを作製するために使用される上記単離された胎盤由来接着細胞集団の具体的な実施形態では、胎盤由来接着細胞と第2の細胞型のいずれかまたは両方は、細胞の意図されるレシピエントにとって、自己のものであるか、または同種異系のものである。
別の具体的な実施形態では、組成物は、胎盤由来接着細胞および胚性幹細胞を含む。別の具体的な実施形態では、組成物は、胎盤由来接着細胞および間葉系間質細胞または間葉系幹細胞、例えば、骨髄由来間葉系間質細胞または骨髄由来間葉系幹細胞を含む。別の具体的な実施形態では、組成物は、骨髄由来造血幹細胞を含む。別の具体的な実施形態では、組成物は、胎盤由来接着細胞、ならびに造血前駆細胞、例えば、骨髄、胎児血液、臍帯血、胎盤血および/または末梢血由来の造血前駆細胞を含む。別の具体的な実施形態では、組成物は、胎盤由来接着細胞および体性幹細胞を含む。より具体的な実施形態では、体性幹細胞は、神経幹細胞、肝臓幹細胞、膵臓幹細胞、内皮幹細胞、心臓幹細胞または筋肉幹細胞である。
他の具体的な実施形態では、第2の細胞型は、前記集団における細胞の約次の%、少なくとも次の%または次の%以下を含む:10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%。他の具体的な実施形態では、前記組成物中のPDACは、前記組成物中の細胞の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%または90%を含む。他の具体的な実施形態では、胎盤由来接着細胞は、前記集団における細胞の約次の%、少なくとも次の%または次の%以下を含む:10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%または45%。
単離された胎盤由来接着細胞集団における細胞を、各集団における全有核細胞の数と比べて、約100,000,000:1、50,000,000:1、20,000,000:1、10,000,000:1、5,000,000:1、2,000,000:1、1,000,000:1、500,000:1、200,000:1、100,000:1,50,000:1、20,000:1、10,000:1、5,000:1、2,000:1、1,000:1、500:1、200:1、100:1、50:1、20:1、10:1、5:1、2:1、1:1;1:2;1:5;1:10;1:100;1:200;1:500;1:1,000;1:2,000;1:5,000;1:10,000;1:20,000;1:50,000;1:100,000;1:500,000;1:1,000,000;1:2,000,000;1:5,000,000;1:10,000,000;1:20,000,000;1:50,000,000;または約1:100,000,000の比で、別の種類の複数の細胞、例えば、幹細胞の集団と組み合わせ得る。また、単離された胎盤由来接着細胞集団における細胞を複数の細胞型の複数の細胞と組み合わせ得る。
他の実施形態では、本明細書に記載される胎盤細胞、例えば、上記PDACの集団を、骨形成性胎盤接着細胞(OPAC)、例えば、2009年8月24日に出願された「Methods and Compositions for Treatment of Bone Defects With Placental Stem Cells」という表題の米国特許出願第12/546,556号に記載されているOPACと組み合わせるか、または羊膜由来血管新生細胞(AMDAC)、例えば、「Amnion Derived Angiogenic Cells」という表題の米国特許出願第12/622,352号(この開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているAMDACと組み合わせる。
一実施形態では、本明細書に記載される単離された胎盤細胞(例えば、PDAC)は、1つ以上の炎症促進性サイトカインで刺激される。具体的な実施形態では、前記炎症促進性サイトカインは、IL−1α、IL−1β、IL−6、IL−8、IL−18、TNF−αおよびINF−γの1つ以上を含む。具体的な実施形態では、前記炎症促進性サイトカインは、IL−1βである。
5.5 胎盤細胞バンクの生産
分娩後の胎盤由来の単離された細胞、例えば、上記セクション5.2.2に記載されている単離された胎盤細胞をいくつかの異なる方法で培養して、単離された胎盤細胞のロットの組を生産し得、例えば、ロットは、個別投与可能な用量の組である。このようなロットは、例えば、胎盤灌流液由来の細胞または酵素的消化した胎盤組織由来の細胞から得られ得る。複数の胎盤から得られた胎盤細胞のロットの組は、例えば、長期保存用の単離された胎盤細胞のバンクに準備され得る。一般に、組織培養プラスチック接着性胎盤細胞を胎盤材料の初期培養物から得て、シード培養物を形成させ、これを制御条件下でエクスパンションして、ほぼ同等数の倍加から細胞の集団を形成させる。ロットは、単一の胎盤の組織に由来することが好ましいが、複数の胎盤の組織に由来し得る。
一実施形態では、胎盤細胞ロットは、以下のように得られる。胎盤組織を最初に、例えば、細かく刻むことによって破壊し、適切な酵素、例えば、トリプシンまたはコラゲナーゼで消化する(上記セクション5.3.3を参照のこと)。胎盤組織は、例えば、単一の胎盤由来の羊膜全体、絨毛膜全体または両方を含むことが好ましいが、羊膜または絨毛膜のいずれかの一部のみを含み得る。消化した組織を、例えば、約1〜3週間、好ましくは、約2週間培養する。接着していない細胞を除去した後、形成される高密度コロニーを、例えば、トリプシン処理によって回収する。これらの細胞を回収し、好都合な容量の培養培地に再懸濁し、次いで、それを使用して、エクスパンション培養物を播種する。エクスパンション培養物は、個別の細胞培養装置、例えば、NUNC(商標)によるCell Factoryに配置されたものであり得る。エクスパンション培養物を、例えば、細胞1×103個、2×103個、3×103個、4×103個、5×103個、6×103個、7×103個、8×103個、9×103個、1×104個、1×104個、2×104個、3×104個、4×104個、5×104個、6×104個、7×104個、8×104個、9×104個または10×104個/cm2で播種するために、細胞を任意の程度に細分し得る。好ましくは、細胞約1×103〜約1×104個/cm2を使用して、それぞれのエクスパンション培養物を播種する。エクスパンション培養物の数は、前記細胞が得られる特定の胎盤によって、数がより多いことも、より少ないこともあり得る。
培養下の細胞の密度が、一定のレベル、例えば、細胞約1×105個/cm2に達するまで、エクスパンション培養物を成長させる。細胞をこの時点で回収して凍結保存するか、または上記のような新たなエクスパンション培養物へと継代し得る。使用前に、細胞を、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20回継代し得る。エクスパンション培養中、集団倍加の累積数の記録を保持することが好ましい。培養物由来の細胞を、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、もしくは40回の倍加または最大60回の倍加の間、エクスパンションし得る。しかしながら、細胞の集団を個々の用量に分割する前の集団倍加の数は、約15〜約30回であることが好ましい。細胞を、エクスパンション過程を通して連続的に培養し得るか、またはエクスパンションの間の1つ以上の時点で凍結し得る。
個々の用量のために使用すべき細胞は、その後の使用のために凍結され得る(例えば、凍結保存され得る)。個々の用量は、例えば、細胞約1,000,000〜約50,000,000個/mlを含み得、全体で約106〜約1010個の細胞を含み得る。
一実施形態では、したがって、胎盤細胞バンクは、第1の複数の集団倍加の間、ヒトの分娩後の胎盤から初代培養胎盤細胞をエクスパンションし;前記胎盤細胞を凍結保存して、マスター細胞バンクを形成させ;第2の複数の集団倍加の間、前記マスター細胞バンクから複数の胎盤細胞をエクスパンションし;前記胎盤細胞を凍結保存して、ワーキング細胞バンクを形成させ;第3の複数の集団倍加の間、前記ワーキング細胞バンクから複数の胎盤細胞をエクスパンションし;前記胎盤細胞を個々の用量で凍結保存することを含む方法によって作製し得、前記個々の用量は、胎盤細胞バンクを集合的に構成する。場合により、前記第3の複数の集団倍加からの複数の胎盤細胞を第4の複数の集団倍加の間、エクスパンションして、個々の用量で凍結保存し得、前記個々の用量は、胎盤細胞バンクを集合的に構成する。
別の具体的な実施形態では、前記初代培養胎盤細胞は、胎盤灌流液由来の胎盤細胞を含む。別の具体的な実施形態では、前記初代培養胎盤細胞は、消化した胎盤組織由来の胎盤細胞を含む。別の具体的な実施形態では、前記初代培養胎盤細胞は、胎盤灌流液由来および消化した胎盤組織由来の胎盤細胞を含む。別の具体的な実施形態では、前記胎盤細胞初代培養物中の前記胎盤細胞はすべて、同じ胎盤由来のものである。別の具体的な実施形態では、前記方法はさらに、前記ワーキング細胞バンク由来の前記複数の前記胎盤細胞からCD200+またはHLA−G-胎盤細胞を選択して、個々の用量を形成させる工程を含む。別の具体的な実施形態では、前記個々の用量は、約104〜約105個の胎盤細胞を含む。別の具体的な実施形態では、前記個々の用量は、約105〜約106個の胎盤細胞を含む。別の具体的な実施形態では、前記個々の用量は、約106〜約107個の胎盤細胞を含む。別の具体的な実施形態では、前記個々の用量は、約107〜約108個の胎盤細胞を含む。別の具体的な実施形態では、前記個々の用量は、約108〜約109個の胎盤細胞を含む。別の具体的な実施形態では、前記個々の用量は、約109〜約1010個の胎盤細胞を含む。
好ましい実施形態では、胎盤が得られるドナー(例えば、母親)を少なくとも1つの病原体について検査する。母親が、検査した病原体について陽性反応を示す場合、前記胎盤由来の全ロットを廃棄する。このような検査は、胎盤細胞ロットの生産中、例えば、エクスパンション培養中のいつでも実施し得る。その存在を検査する病原体としては、限定されないが、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎、ヒト免疫不全ウイルス(I型およびII型)、サイトメガロウイルス、ヘルペスウイルスなどが挙げられ得る。
一実施形態では、本明細書に記載される方法に従ってバンキングされる胎盤幹細胞は、バンキング前に、1つ以上の炎症促進性サイトカインで刺激される。具体的な実施形態では、前記炎症促進性サイトカインは、IL−1α、IL−1β、IL−6、IL−8、IL−18、TNF−αおよびINF−γの1つ以上を含む。具体的な実施形態では、前記炎症促進性サイトカインは、IL−1βである。
5.6 胎盤細胞の保存
単離された胎盤細胞、例えば、上記セクション5.3.2に記載されている単離された胎盤細胞を保存し得る(すなわち、長期保存を可能にする条件下、または例えば、アポトーシスもしくは壊死による細胞死を阻害する条件下に置き得る)。
胎盤細胞を、例えば、関連米国特許出願公開第2007/0190042号(この開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているアポトーシス阻害剤、壊死阻害剤および/または酸素担持ペルフルオロカーボンを含む組成物を使用して保存し得る。一実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物において有用な細胞の集団を保存する方法は、前記細胞の集団を、アポトーシスの阻害剤および酸素担持ペルフルオロカーボンを含む細胞回収組成物と接触させることを含み、前記アポトーシスの阻害剤は、前記アポトーシスの阻害剤と接触していない細胞の集団と比較したとき、前記細胞の集団のアポトーシスを減少させるかまたは防止するために十分な量で、前記細胞の集団のアポトーシスを減少させるかまたは防止するために十分な時間存在する。具体的な実施形態では、前記アポトーシスの阻害剤は、カスパーゼ阻害剤である。別の具体的な実施形態では、前記アポトーシスの阻害剤はJNK阻害剤である。別の具体的な実施形態では、前記JNK阻害剤は、前記細胞の分化または増殖を調節しない。別の実施形態では、前記細胞回収組成物は、分離相中に前記アポトーシスの阻害剤および前記酸素担持ペルフルオロカーボンを含む。別の実施形態では、前記細胞回収組成物は、エマルジョン中に前記アポトーシスの阻害剤および前記酸素担持ペルフルオロカーボンを含む。別の実施形態では、前記細胞回収組成物は、乳化剤、例えば、レシチンをさらに含む。別の実施形態では、前記アポトーシス阻害剤および前記ペルフルオロカーボンは、前記細胞と接触させる時点において、約0℃〜約25℃である。別の具体的な実施形態では、前記アポトーシス阻害剤および前記ペルフルオロカーボンは、前記細胞と接触させる時点において、約2℃〜10℃または約2℃〜約5℃である。別の具体的な実施形態では、前記接触は、前記細胞の集団の輸送の間に行なわれる。別の具体的な実施形態では、前記接触は、前記細胞の集団の凍結および解凍の間に行なわれる。
胎盤細胞の集団を、例えば、前記細胞の集団をアポトーシスの阻害剤および臓器保存化合物と接触させることを含む方法によって保存し得、前記アポトーシスの阻害剤は、前記アポトーシスの阻害剤と接触していない細胞の集団と比較したとき、前記細胞の集団のアポトーシスを減少させるかまたは防止するために十分な量で、前記細胞の集団のアポトーシスを減少させるかまたは防止するために十分な時間存在する。具体的な実施形態では、臓器保存化合物は、UW溶液(米国特許第4,798,824号に記載されており;ViaSpanとしても公知であるもの;Southard et al.,Transplantation 49(2):251−257(1990)も参照のこと)またはSternらの米国特許第5,552,267号に記載されている溶液である(これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。別の実施形態では、前記臓器保存化合物は、ヒドロキシエチルスターチ、ラクトビオン酸、ラフィノースまたはそれらの組み合わせである。別の実施形態では、細胞回収組成物は、2相状態にあるかまたはエマルジョンとしてかのいずれかの酸素担持ペルフルオロカーボンをさらに含む。
前記方法の別の実施形態では、胎盤細胞を、灌流の間に、アポトーシス阻害剤および酸素担持ペルフルオロカーボン、臓器保存化合物またはそれらの組み合わせを含む細胞回収組成物と接触させる。別の実施形態では、前記細胞を、組織破壊、例えば、酵素的消化のプロセスの間に、接触させる。別の実施形態では、胎盤細胞を、灌流による回収の後に、または組織破壊、例えば、酵素的消化による回収の後に、前記細胞回収化合物と接触させる。
典型的には、胎盤細胞の回収、濃縮および単離時に、低酸素および機械的ストレスによる細胞ストレスを最小限に抑えるか、またはそれらを排除することが好ましい。前記方法の別の実施形態では、したがって、細胞または細胞の集団は、回収、濃縮または単離時に、前記保存時に6時間未満の間、低酸素状態に曝露され、低酸素状態は、正常な血中酸素濃度を下回る酸素濃度である。別の具体的な実施形態では、前記細胞の集団は、前記保存時に2時間未満の間、前記低酸素状態に曝露される。別の具体的な実施形態では、前記細胞の集団は、回収、濃縮または単離時に、1時間未満、もしくは30分未満の間、前記低酸素状態に曝露されるか、または低酸素状態に曝露されない。別の具体的な実施形態では、前記細胞の集団は、回収、濃縮または単離時に、剪断ストレスに曝露されない。
胎盤細胞を、例えば、小型の容器、例えば、アンプル中の凍結保存培地で凍結保存し得る。適切な凍結保存培地としては、例えば限定されないが、成長培地または細胞凍結培地、例えば、市販の細胞凍結培地、例えば、C2695、C2639、もしくはC6039(Sigma)をはじめとする培養培地が挙げられる。凍結保存培地は、約2%〜約15%(v/v)、例えば、約10%(v/v)の濃度のDMSO(ジメチルスルホキシド)を含むことが好ましい。凍結保存培地は、さらなる作用物質、例えば、メチルセルロースおよび/またはグリセロールを含み得る。胎盤細胞を、凍結保存時に、約1℃/分で冷却することが好ましい。好ましい凍結保存温度は、約−80℃〜約−180℃、好ましくは約−125℃〜約−140℃である。凍結保存された細胞を液体窒素に移した後、使用のために解凍し得る。いくつかの実施形態では、例えば、アンプルが約−90℃に達したら、それを液体窒素保存領域に移す。また、速度制御フリーザーを使用して凍結保存を行い得る。凍結保存された細胞は、約25℃〜約40℃、好ましくは約37℃の温度で解凍することが好ましい。
一実施形態では、本明細書に記載される方法に従って凍結保存される胎盤幹細胞は、凍結保存の前に、1つ以上の炎症促進性サイトカインで刺激される。具体的な実施形態では、炎症促進性サイトカインは、IL−1α、IL−1β、IL−6、IL−8、IL−18、TNF−αおよびINF−γの1つ以上を含む。具体的な実施形態では、前記炎症促進性サイトカインは、IL−1βである。
5.7 単離された胎盤細胞を含む組成物
本明細書、例えば、セクション5.3.6に記載されている刺激胎盤細胞を、本明細書に記載される方法および組成物において使用するための任意の生理的に許容され得るまたは医学的に許容され得る化合物、組成物または装置と組み合わせ得る。本明細書で提供される処置方法において有用な組成物は、本明細書に記載される刺激胎盤細胞のいずれか1つ以上を含み得る(上記セクション5.3.6を参照のこと)。特定の実施形態では、組成物は、薬学的に許容され得る組成物、例えば、薬学的に許容され得る担体中に刺激胎盤細胞を含む組成物である。
特定の実施形態では、単離された刺激胎盤細胞を含む組成物は、マトリックス、例えば、脱細胞化マトリックスまたは合成マトリックスをさらに含む。別の具体的な実施形態では、前記マトリックスは、三次元足場である。別の具体的な実施形態では、前記マトリックスは、コラーゲン、ゼラチン、ラミニン、フィブロネクチン、ペクチン、オルニチンまたはビトロネクチンを含む。別のより具体的な実施形態(another ore specific embodiment)では、前記マトリックスは、羊膜または羊膜由来生体材料である。別の具体的な実施形態では、前記マトリックスは、細胞外膜タンパク質を含む。別の具体的な実施形態では、前記マトリックスは、合成化合物を含む。別の具体的な実施形態では、前記マトリックスは、生体活性化合物を含む。別の具体的な実施形態では、前記生体活性化合物は、5,000ダルトン未満の成長因子、サイトカイン、抗体または有機分子である。
別の実施形態では、本明細書で提供される処置方法において有用な組成物は、上記胎盤細胞のいずれか、または上記胎盤細胞集団のいずれかによって馴化された培地を含む。
5.7.1 凍結保存された単離された胎盤細胞
本明細書に記載される方法および組成物において有用な単離された胎盤細胞集団を、後で使用するために保存し得る(例えば、凍結保存し得る)。幹細胞などの細胞の凍結保存方法は当技術分野で周知である。単離された胎盤細胞集団を、個体に容易に投与し得る形態、例えば、医療用途に適切な容器中に含まれる単離された胎盤細胞集団として調製し得る。このような容器は、例えば、注射器、滅菌プラスチックバッグ、フラスコ、瓶、または単離された胎盤細胞集団を容易に分注し得る他の容器であり得る。例えば、容器は、血液バッグまたはレシピエントへの液体の静脈内投与に適切な他のプラスチック製の、医療用に許容され得るバッグであり得る。容器は、特定の実施形態では、組み合わされた細胞集団の凍結保存を可能にする容器である。
一実施形態では、本明細書に記載される方法に従って凍結保存される胎盤幹細胞は、凍結保存の前に、1つ以上の炎症促進性サイトカインで刺激される。別の実施形態では、前記胎盤幹細胞は、前記凍結保存された胎盤幹細胞を解凍した後に、1つ以上の炎症促進性サイトカインで刺激される。具体的な実施形態では、炎症促進性サイトカインは、IL−1α、IL−1β、IL−6、IL−8、IL−18、TNF−αおよびINF−γの1つ以上を含む。具体的な実施形態では、前記炎症促進性サイトカインは、IL−1βである。
凍結保存された単離された胎盤細胞集団は、単一のドナーまたは複数のドナーに由来する単離された胎盤細胞を含み得る。単離された胎盤細胞集団は、意図されるレシピエントと完全にHLAが一致するものであり得るか、または一部もしくは完全にHLAが一致しないものであり得る。
したがって、一実施形態では、単離された胎盤細胞を、本明細書に記載される方法において、容器中に組織培養プラスチック接着性胎盤細胞集団を含む組成物の形態で使用し得る。具体的な実施形態では、単離された胎盤細胞は凍結保存されている。別の具体的な実施形態では、容器は、バッグ、フラスコまたは瓶である。別の具体的な実施形態では、前記バッグは、滅菌プラスチックバッグである。別の具体的な実施形態では、前記バッグは、例えば、静脈内注入による前記単離された胎盤細胞集団の静脈内投与に適切であるか、前記静脈内投与を可能にするか、または前記静脈内投与を容易にする。バッグは、投与の前または投与の間に、単離された胎盤細胞と1つ以上の他の溶液、例えば、薬物との混合を可能にするために相互接続されている複数の内腔または区画を含み得る。別の具体的な実施形態では、組成物は、組み合わされた細胞集団の凍結保存を容易にする1つ以上の化合物を含む。別の具体的な実施形態では、前記単離された胎盤細胞集団は、生理的に許容され得る水溶液に含まれる。別の具体的な実施形態では、前記生理的に許容され得る水溶液は、0.9%NaCl溶液である。別の具体的な実施形態では、前記単離された胎盤細胞集団は、前記細胞集団のレシピエントとHLAが一致する胎盤細胞を含む。別の具体的な実施形態では、前記組み合わされた細胞集団は、前記細胞集団のレシピエントと少なくとも一部HLAが一致しない胎盤細胞を含む。別の具体的な実施形態では、前記単離された胎盤細胞は、複数のドナーに由来する。
特定の実施形態では、容器中の単離された胎盤細胞は、単離されたCD10+、CD34-、CD105+胎盤細胞であり、前記細胞は、凍結保存されたものであり、容器に収容されている。具体的な実施形態では、前記CD10+、CD34-、CD105+胎盤細胞はまた、CD200+である。別の具体的な実施形態では、前記CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤細胞はまた、CD45-またはCD90+である。別の具体的な実施形態では、前記CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤細胞はまた、CD45-およびCD90+である。別の具体的な実施形態では、CD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞はさらに、CD13+、CD29+、CD33+、CD38-、CD44+、CD45-、CD54+、CD62E-、CD62L-、CD62P-、SH3+(CD73+)、SH4+(CD73+)、CD80-、CD86-、CD90+、SH2+(CD105+)、CD106/VCAM+、CD117-、CD144/VE−カドヘリンdim、CD184/CXCR4-、CD200+、CD133-、OCT−4+、SSEA3-、SSEA4-、ABC−p+、KDR-(VEGFR2-)、HLA−A,B,C+、HLA−DP,DQ,DR-、HLA−G-もしくはプログラム死−1リガンド(PDL1)+の1つ以上またはそれらの任意の組み合わせである。別の具体的な実施形態では、CD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞はさらに、CD13+、CD29+、CD33+、CD38-、CD44+、CD45-、CD54/ICAM+、CD62E-、CD62L-、CD62P-、SH3+(CD73+)、SH4+(CD73+)、CD80-、CD86-、CD90+、SH2+(CD105+)、CD106/VCAM+、CD117-、CD144/VE−カドヘリンdim、CD184/CXCR4-、CD200+、CD133-、OCT−4+、SSEA3-、SSEA4-、ABC−p+、KDR-(VEGFR2-)、HLA−A,B,C+、HLA−DP,DQ,DR-、HLA−G-およびプログラム死−1リガンド(PDL1)+である。
特定の他の実施形態では、上記単離された胎盤細胞は、単離されたCD200+、HLA−G-胎盤細胞であり、前記細胞は、凍結保存されたものであり、容器に収容されている。別の実施形態では、単離された胎盤細胞は、凍結保存されたものであり、容器に収容されているCD73+、CD105+、CD200+細胞である。別の実施形態では、単離された胎盤細胞は、凍結保存されたものであり、容器に収容されているCD200+、OCT−4+幹細胞である。別の実施形態では、単離された胎盤細胞は、凍結保存されたものであり、容器に収容されているCD73+、CD105+細胞であり、前記単離された胎盤細胞は、胚様体様体の形成を可能にする条件下で胎盤細胞の集団と共に培養される場合、1つ以上の胚様体様体の形成を促進する。別の実施形態では、単離された胎盤細胞は、凍結保存されたものであり、容器に収容されているCD73+、CD105+、HLA−G-細胞である。別の実施形態では、単離された胎盤細胞は、凍結保存されたものであり、容器に収容されているOCT−4+胎盤細胞であり、前記細胞は、胚様体様体の形成を可能にする条件下で胎盤細胞の集団と共に培養される場合、1つ以上の胚様体様体の形成を促進する。
別の具体的な実施形態では、上記単離された胎盤細胞は、フローサイトメトリーによって検出した場合、CD34-、CD10+およびCD105+である胎盤幹細胞または胎盤多能性細胞(例えば、PDAC)である。別の具体的な実施形態では、単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞は、神経表現型の細胞、骨形成表現型の細胞、または軟骨形成表現型の細胞に分化する可能性を有する。別の具体的な実施形態では、単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞はさらに、CD200+である。別の具体的な実施形態では、単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞はさらに、フローサイトメトリーによって検出した場合、CD90+またはCD45-である。別の具体的な実施形態では、単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞はさらに、フローサイトメトリーによって検出した場合、CD90+またはCD45-である。別の具体的な実施形態では、CD34-、CD10+、CD105+、CD200+胎盤細胞はさらに、フローサイトメトリーによって検出した場合、CD90+またはCD45-である。別の具体的な実施形態では、CD34-、CD10+、CD105+、CD200+細胞はさらに、フローサイトメトリーによって検出した場合、CD90+およびCD45-である。別の具体的な実施形態では、CD34-、CD10+、CD105+、CD200+、CD90+、CD45-細胞はさらに、フローサイトメトリーによって検出した場合、CD80-およびCD86-である。別の具体的な実施形態では、CD34-、CD10+、CD105+細胞はさらに、CD29+、CD38-、CD44+、CD54+、CD80-、CD86-、SH3+またはSH4+の1つ以上である。別の具体的な実施形態では、細胞はさらに、CD44+である。上記単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞のいずれかの具体的な実施形態では、細胞はさらに、CD117-、CD133-、KDR-(VEGFR2-)、HLA−A,B,C+、HLA−DP,DQ,DR-および/またはPDL1+の1つ以上である。
上記凍結保存された単離された胎盤細胞のいずれかの具体的な実施形態では、前記容器はバッグである。様々な具体的な実施形態では、前記容器は、約、少なくともまたは多くとも1×106個の前記単離された胎盤細胞、5×106個の前記単離された胎盤細胞、1×107個の前記単離された胎盤細胞、5×107個の前記単離された胎盤細胞、1×108個の前記単離された胎盤細胞、5×108個の前記単離された胎盤細胞、1×109個の前記単離された胎盤細胞、5×109個の前記単離された胎盤細胞、1×1010個の前記単離された胎盤細胞、または1×1010個の前記単離された胎盤細胞を含む。上記凍結保存された集団のいずれかの他の具体的な実施形態では、前記単離された胎盤細胞は、約5回、少なくとも5回または5回以下、10回以下、15回以下または20回以下継代されたものである。上記凍結保存された単離された胎盤細胞のいずれかの別の具体的な実施形態では、前記単離された胎盤細胞は、前記容器内でエクスパンションされたものである。
特定の実施形態では、胎盤由来接着細胞の単回単位用量は、様々な実施形態では、約1×105個、約5×105個、約1×106個、約5×106個、約1×107個、約5×107個、約1×108個、約5×108個、約1×109個、約5×109個、約1×1010個、約5×1010個、約1×1011個、少なくとも1×105個、少なくとも5×105個、少なくとも1×106個、少なくとも5×106個、少なくとも1×107個、少なくとも5×107個、少なくとも1×108個、少なくとも5×108個、少なくとも1×109個、少なくとも5×109個、少なくとも1×1010個、少なくとも5×1010個、少なくとも1×1011個もしくは1×105個以下、5×105個以下、1×106個以下、5×106個以下、1×107個以下、5×107個以下、1×108個以下、5×108個以下、1×109個以下、5×109個以下、1×1010個以下、5×1010個以下、1×1011個以下またはそれを超える胎盤由来接着細胞を含み得る。特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、50%以上の生細胞を含む胎盤由来接着細胞の集団を含む(すなわち、集団における細胞の少なくとも50%は機能的であるかまたは生きている)。好ましくは、集団における細胞の少なくとも60%は生きている。より好ましくは、医薬組成物中の集団における細胞の少なくとも70%、80%、90%、95%または99%は生きている。
5.7.2 遺伝子操作された胎盤細胞
胎盤細胞、例えば、上記セクション5.2.2および5.3.6に記載されている胎盤多能性細胞もしくは胎盤細胞のいずれか、またはこのような胎盤細胞を含む医薬組成物が本明細書でさらに提供され、前記胎盤細胞は、血管新生に関連するか、またはそれを促進する組換えまたは外因性サイトカインを産生するように遺伝子操作されている。特定の実施形態では、血管新生を促進する前記タンパク質は、肝細胞成長因子(HGF)、血管内皮成長因子(VEGF)(例えば、VEGFD)、線維芽細胞成長因子(FGF)(例えば、FGF2)、アンジオジェニン(ANG)、上皮成長因子(EGF)、上皮好中球活性化タンパク質78(ENA−78)、フォリスタチン、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、成長調節癌遺伝子タンパク質(GRO)、インターロイキン−6(IL−6)、IL−8、レプチン、単球走化性タンパク質−1(MCP−1)、MCP−3、血小板由来成長因子サブユニットB(PDGFB)、ランテス、形質転換成長因子ベータ1(TGF−β1)、トロンボポエチン(Tpo)、メタロプロテイナーゼの組織インヒビター1(TIMP1)、TIMP2および/またはウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子受容体(uPAR)の1つ以上である。
例えば、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ポリエチレングリコール、または当業者に公知の他の方法によって、細胞を遺伝子操作する方法を使用し得る。これらは、細胞内に核酸分子を運び、細胞内で核酸分子を発現させる発現ベクターを使用することを含む。(Geoddel;Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,Calif.(1990)を参照のこと)。ベクターDNAを、従来の形質転換またはトランスフェクション技術によって、原核生物または真核生物細胞に導入し得る。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトするための適切な方法は、Sambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor Laboratory press(1989)および他の実験用教科書に見られ得る。
例えば、レトロウイルス(レンチウイルスを含む)、サルウイルス40(SV40)、アデノウイルス、シンドビスウイルスおよびウシパピローマウイルスなどのDNAもしくはRNAウイルスベクターの使用を含むウイルスによる移入;リン酸カルシウムトランスフェクションおよびDEAEデキストラントランスフェクション法を含む、化学的移入;例えば、リポソーム、赤血球ゴーストおよびプロトプラストなどのDNAをローディングする膜小胞を使用する膜融合移入;またはマイクロインジェクション、エレクトロポレーション、もしくは裸のDNAの移入などの物理的移入技術をはじめとする方法によって、細胞にDNAまたはRNA、例えば、目的のタンパク質をコードするDNAまたはRNAを導入することにより、胎盤細胞、例えば、上記セクション5.2に記載されているPDACを遺伝子修飾し得る。外因性DNAの挿入によるか、または細胞ゲノムのセグメントと外因性DNAとの置換によって、胎盤細胞を遺伝子改変し得る。例えば、相同組換えによるか、または宿主細胞ゲノムへのウイルスの組み込みによるか、またはプラスミド発現ベクターおよび核局在化配列を使用して、細胞、特に、その核にDNAを取り込ませることによって、外因性DNA配列の挿入を達成し得る。DNAは、特定の化学物質/薬物、例えば、テトラサイクリンを使用して、目的のタンパク質の正または負の発現誘導を可能にする1つ以上のプロモーターを含み得る;プロモーターは、他の実施形態では、構成的であり得る。
リン酸カルシウムトランスフェクションを使用して、例えば、目的のタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含むプラスミドDNAを細胞に導入し得る。特定の実施形態では、DNAを塩化カルシウム溶液と組み合わせ、次いで、リン酸緩衝溶液に追加する。沈殿が形成されたら、この溶液を培養細胞に直接追加する。DMSOまたはグリセロールによる処理を使用して、トランスフェクション効率を向上させることができ、ビス−ヒドロキシエチルアミノエタンスルホネート(BES)を使用して、安定なトランスフェクタントのレベルを向上し得る。リン酸カルシウムトランスフェクションシステムは、市販されている(例えば、PROFECTION(登録商標),Promega Corp.,Madison,Wis.)。DEAE−デキストラントランスフェクションも使用し得る。
また、単離された胎盤細胞を、マイクロインジェクションによって遺伝子操作し得る。特定の実施形態では、ガラスマイクロピペットを光学顕微鏡下で細胞の核にガイドして、DNAまたはRNAを注入する。
また、胎盤細胞を、エレクトロポレーションを使用して遺伝子改変し得る。特定の実施形態では、DNAまたはRNAを培養細胞の懸濁液に追加し、DNA/RNA−細胞懸濁液を2本の電極の間に配置し、電気パルスにかけて、膜を横断する孔の出現により明らかになる細胞外膜における一過性の透過性を引き起こす。
細胞を遺伝子改変するためのDNAまたはRNAのリポソーム送達を、任意にジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)またはジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)を含むカチオン性リポソーム、例えば、LIPOFECTIN(登録商標)(Life Technologies,Inc.)を使用して実施し得る。他の市販の送達系としては、EFFECTENE(商標)(Qiagen)、DOTAP(Roche Molecular Biochemicals)、FUGENE 6(商標)(Roche Molecular Biochemicals)およびTRANSFECTAM(登録商標)(Promega)が挙げられる。
ウイルスベクターを使用して、例えば、標的遺伝子、ポリヌクレオチド、アンチセンス分子またはリボザイム配列の細胞への送達により、胎盤細胞を遺伝子改変し得る。レトロウイルスベクターは、迅速に分裂する細胞に形質導入するのに有効であるが、DNAを非分裂細胞にも同じく有効に移入するように、いくつかのレトロウイルスベクターが開発されている。レトロウイルスベクター用のパッケージング細胞株は当業者に公知である。特定の実施形態では、レトロウイルスDNAベクターは、第1のLTRが、マルチクローニング部位にクローニングされた標的遺伝子配列に機能的に連結されるSV40プロモーターの5'に位置し、マルチクローニング部位の後に3'の第2のLTRが位置するように
、2つのレトロウイルスLTRを含む。形成されたら、先に記載されているように、リン酸カルシウム媒介性トランスフェクションを使用して、レトロウイルスDNAベクターをパッケージング細胞株に移入する。ウイルス産生の約48時間後、標的遺伝子配列を含むウイルスベクターを採取する。レンチウイルスベクター、組換えヘルペスウイルス、アデノウイルスベクターまたはアルファウイルスベクターを使用して細胞をトランスフェクトする方法は、当技術分野で公知である。
標的細胞のトランスフェクションまたは形質導入の成功を、当業者に公知の技術において、遺伝子マーカーを使用して示し得る。例えば、Aequorea victoriaの緑色蛍光タンパク質は、遺伝子改変された造血細胞の同定および追跡のための有効なマーカーであることが示されている。別の選択マーカーとしては、β−Gal遺伝子、切断型の神経成長因子受容体または薬物選択マーカー(限定されないが、NEO、MTXまたはハイグロマイシンを含む)が挙げられ得る。
5.7.3 医薬組成物
単離された刺激胎盤細胞(例えば、PDAC、例えばIL−1β刺激PDAC)または単離された刺激胎盤細胞を含む細胞の集団を、インビボにおいて、例えば本明細書で提供される処置方法において使用するための医薬組成物に製剤化し得る。このような医薬組成物は、薬学的に許容され得る担体、例えば、生理食塩水溶液またはインビボ投与のための他の認められている生理的に許容され得る溶液中に、単離された刺激胎盤細胞の集団または単離された刺激胎盤細胞を含む細胞の集団を含む。本明細書に記載される単離された刺激胎盤細胞を含む医薬組成物は、本明細書の別所に記載される単離された刺激胎盤細胞集団もしくは単離された刺激胎盤細胞のいずれかまたは任意の組み合わせを含み得る。医薬組成物は、胎児の、母親のまたは胎児および母親の両方の単離された刺激胎盤細胞を含み得る。本明細書で提供される医薬組成物は、単一の個体もしくは胎盤から、または複数の個体もしくは胎盤から得られた単離された刺激胎盤細胞をさらに含み得る。
本明細書で提供される医薬組成物は、任意の数の単離された刺激胎盤細胞を含み得る。例えば、単離された刺激胎盤細胞の単回単位用量は、様々な実施形態では、約1×102個、約5×102個、約1×103個、約5×103個、約1×104個、約5×104個、約1×105個、約5×105個、約1×106個、約5×106個、約1×107個、約5×107個、約1×108個、約5×108個、約1×109個、約5×109個、約1×1010個、約5×1010個、約1×1011個、少なくとも1×102個、少なくとも5×102個、少なくとも1×103個、少なくとも5×103個、少なくとも1×104個、少なくとも5×104個、少なくとも1×105個、少なくとも5×105個、少なくとも1×106個、少なくとも5×106個、少なくとも1×107個、少なくとも5×107個、少なくとも1×108個、少なくとも5×108個、少なくとも1×109個、少なくとも5×109個、少なくとも1×1010個、少なくとも5×1010個、少なくとも1×1011個もしくは1×102個以下、5×102個以下、1×103個以下、5×103個以下、1×104個以下、5×104個以下、1×105個以下、5×105個以下、1×106個以下、5×106個以下、1×107個以下、5×107個以下、1×108個以下、5×108個以下、1×109個以下、5×109個以下、1×1010個以下、5×1010個以下、1×1011個以下またはそれを超える単離された胎盤細胞を含み得る。他の実施形態では、単離された刺激胎盤細胞の単回単位用量は、約1×102〜5×102個、約5×102〜1×103個、約1×103〜5×103個、約5×103〜1×104個、約1×104〜5×104個、約5×104〜1×105個、約1×105〜5×105個、約5×105〜1×106個、約1×106〜5×106個、約5×106〜1×107個、約1×107〜5×107個、約5×107〜1×108個、約1×108〜5×108個、約5×108〜1×109個、約1×109〜5×109個、約5×109〜1×1010個、約1×1010〜5×1010個、約5×1010〜1×1011個もしくは約1×1011〜5×1011個、少なくとも1×102〜5×102個、少なくとも5×102〜1×103個、少なくとも1×103〜5×103個、少なくとも5×103〜1×104個、少なくとも1×104〜5×104個、少なくとも5×104〜1×105個、少なくとも1×105〜5×105個、少なくとも5×105〜1×106個、少なくとも1×106〜5×106個、少なくとも5×106〜1×107個、少なくとも1×107〜5×107個、少なくとも5×107〜1×108個、少なくとも1×108〜5×108個、少なくとも5×108〜1×109個、少なくとも1×109〜5×109個、少なくとも5×109〜1×1010個、少なくとも1×1010〜5×1010個、少なくとも5×1010〜1×1011個もしくは少なくとも1×1011〜5×1011個、1×102〜5×102個以下、5×102〜1×103個以下、1×103〜5×103個以下、5×103〜1×104個以下、1×104〜5×104個以下、5×104〜1×105個以下、1×105〜5×105個以下、5×105〜1×106個以下、1×106〜5×106個以下、5×106〜1×107個以下、1×107〜5×107個以下、5×107〜1×108個以下、1×108〜5×108個以下、5×108〜1×109個以下、1×109〜5×109個以下、5×109〜1×1010個以下、1×1010〜5×1010個以下、5×1010〜1×1011個以下もしくは1×1011〜5×1011個以下またはそれを超える単離された胎盤細胞を含み得る。
本明細書で提供される医薬組成物は、50%以上の生存細胞を含む細胞の集団を含む(すなわち、集団における細胞の少なくとも50%は機能的であるか、または生存している)。好ましくは、集団における細胞の少なくとも60%が生存している。より好ましくは、医薬組成物中の前記集団における細胞の少なくとも70%、80%、90%、95%または99%が生存している。
本明細書で提供される医薬組成物は、例えば、生着を促進する1つ以上の化合物(例えば、抗T細胞受容体抗体、免疫抑制剤など);アルブミン、デキストラン40、ゼラチン、ヒドロキシエチルスターチ、プラズマライトなどの安定化剤などを含み得る。
注射用溶液として製剤化される場合、一実施形態では、医薬組成物は、約1%〜1.5%のHSAおよび約2.5%のデキストランを含む。好ましい実施形態では、医薬組成物は、5%HSAおよび10%デキストランを含む溶液であって、場合により例えば10mg/kgの免疫抑制剤(例えば、シクロスポリンA)を含む溶液中に、細胞約5×106個/ミリリットル〜細胞約2×107個/ミリリットルを含む。
他の実施形態では、医薬組成物、例えば溶液は、複数の細胞、例えば、単離された刺激胎盤細胞、例えば、PDAC、例えばIL−1β刺激PDACを含み、前記医薬組成物は、細胞約1.0±0.3×106個/ミリリットル〜細胞約5.0±1.5×106個/ミリリットルを含む。他の実施形態では、医薬組成物は、細胞約1.5×106個/ミリリットル〜細胞約3.75×106個/ミリリットルを含む。他の実施形態では、医薬組成物は、細胞約1×106個/mL〜約50×106個/mL、細胞約1×106個/mL〜約40×106個/mL、細胞約1×106個/mL〜約30×106個/mL、細胞約1×106個/mL〜約20×106個/mL、細胞約1×106個/mL〜約15×106個/mLまたは細胞約1×106個/mL〜約10×106個/mLを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、可視的な細胞塊を含まない(すなわち、巨大な細胞塊を含まない)か、またはこのような可視的な細胞塊を実質的に含まない。本明細書で使用される場合、「巨大な細胞塊」は、拡大せずに可視的な、例えば、裸眼で可視的な細胞の凝集体を意味し、一般に、約150ミクロンよりも大きい細胞凝集体を指す。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%、5.5%、6.0%、6.5%、7.0%、7.5%、8.0%、8.5%、9.0%、9.5%または10%のデキストラン、例えば、デキストラン−40を含む。具体的な実施形態では、前記組成物は、約7.5%〜約9%のデキストラン−40を含む。具体的な実施形態では、前記組成物は、約5.5%のデキストラン−40を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、約1%〜約15%のヒト血清アルブミン(HSA)を含む。具体的な実施形態では、医薬組成物は、約1%、2%、3%、4%、5%、65、75、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%または15%のHSAを含む。具体的な実施形態では、前記細胞は、凍結保存および解凍されたものである。別の具体的な実施形態では、前記細胞は、70μM〜100μMのフィルタに通してろ過されたものである。別の具体的な実施形態では、前記組成物は、可視的な細胞塊を含まない。別の具体的な実施形態では、前記組成物は、細胞106個当たり約200個未満の細胞塊を含み、前記細胞塊は、顕微鏡、例えば、光学顕微鏡下においてのみ可視的である。別の具体的な実施形態では、前記組成物は、細胞106個当たり約150個未満の細胞塊を含み、前記細胞塊は、顕微鏡、例えば、光学顕微鏡下においてのみ可視的である。別の具体的な実施形態では、前記組成物は、細胞106個当たり約100個未満の細胞塊を含み、前記細胞塊は、顕微鏡、例えば、光学顕微鏡下においてのみ可視的である。
具体的な実施形態では、医薬組成物は、細胞約1.0±0.3×106個/ミリリットル、約5.5%デキストラン−40(w/v)、約10%HSA(w/v)および約5%DMSO(v/v)を含む。
他の実施形態では、医薬組成物は、10%デキストラン−40を含む溶液中に複数の刺激細胞、例えば、刺激PDAC、例えばIL−1β刺激PDACを含み、医薬組成物は、細胞約1.0±0.3×106個/ミリリットル〜細胞約5.0±1.5×106個/ミリリットルを含み、前記組成物は、肉眼で見える細胞塊を含まない(すなわち、巨大な細胞塊を含まない)。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、細胞約1.5×106個/ミリリットル〜細胞約3.75×106個/ミリリットルを含む。具体的な実施形態では、前記細胞は、凍結保存され、解凍されたものである。別の具体的な実施形態では、前記細胞は、70μM〜100μMのフィルタに通してろ過されたものである。別の具体的な実施形態では、前記組成物は、細胞106個当たり約200個未満の微小な細胞塊(すなわち、拡大した場合にのみ可視的な細胞塊)を含む。別の具体的な実施形態では、医薬組成物は、細胞106個当たり約150個未満の微小な細胞塊を含む。別の具体的な実施形態では、医薬組成物は、細胞106個当たり約100個未満の微小な細胞塊を含む。別の具体的な実施形態では、医薬組成物は、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%もしくは2%未満のDMSOまたは1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%もしくは0.1%未満のDMSOを含む。
刺激細胞、例えば刺激PDAC、例えばIL−1β刺激PDACを含む組成物であって、本明細書に開示される方法の1つによって生産される組成物が本明細書でさらに提供される。例えば、一実施形態では、医薬組成物は細胞を含み、医薬組成物は、胎盤細胞、例えば、胎盤幹細胞または胎盤多能性細胞を含む溶液をろ過して、ろ過された細胞含有溶液を形成させること;前記ろ過された細胞含有溶液を、例えば、凍結保存前に、第1の溶液で細胞約1〜50×106個、1〜40×106個、1〜30×106個、1〜20×106個、1〜15×106個または1〜10×106個/ミリリットルに希釈すること;および得られたろ過された細胞含有溶液を、デキストランを含むがヒト血清アルブミン(HSA)を含まない第2の溶液で希釈して、前記組成物を生産することを含む方法によって生産される。特定の実施形態では、前記希釈は、細胞約15×106個/ミリリットル以下にする。特定の実施形態では、前記希釈は、細胞約10±3×106個/ミリリットル以下にする。特定の実施形態では、前記希釈は、細胞約7.5×106個/ミリリットル以下にする。他の特定の実施形態では、希釈前の前記ろ過された細胞含有溶液が、細胞約15×106個/ミリリットルを含む場合、ろ過は任意選択である。他の特定の実施形態では、希釈前の前記ろ過された細胞含有溶液が、細胞約10±3×106個/ミリリットルを含む場合、ろ過は任意選択である。他の特定の実施形態では、希釈前の前記ろ過された細胞含有溶液が、細胞約7.5×106個/ミリリットルを含む場合、ろ過は任意選択である。
具体的な実施形態では、刺激細胞、例えば刺激PDAC、例えばIL−1β刺激PDACは、前記第1の希釈溶液による希釈と前記第2の希釈溶液による希釈の間に凍結保存される。別の具体的な実施形態では、第1の希釈溶液は、デキストランおよびHSAを含む。第1の希釈溶液または第2の希釈溶液中のデキストランは、任意の分子量のデキストラン、例えば、約10kDa〜約150kDaの分子量を有するデキストランであり得る。いくつかの実施形態では、前記第1の希釈溶液または前記第2の溶液中の前記デキストランは、約2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%、5.5%、6.0%、6.5%、7.0%、7.5%、8.0%、8.5%、9.0%、9.5%または10%デキストランである。別の具体的な実施形態では、前記第1の希釈溶液または前記第2の希釈溶液中のデキストランは、デキストラン−40である。別の具体的な実施形態では、前記第1の希釈溶液および前記第2の希釈溶液中のデキストランは、デキストラン−40である。別の具体的な実施形態では、前記第1の希釈溶液中の前記デキストラン−40は、5.0%デキストラン−40である。別の具体的な実施形態では、前記第1の希釈溶液中の前記デキストラン−40は、5.5%デキストラン−40である。別の具体的な実施形態では、前記第2の希釈溶液中の前記デキストラン−40は、10%デキストラン−40である。別の具体的な実施形態では、前記HSAを含む溶液中の前記HSAは、1〜15%HSAである。別の具体的な実施形態では、前記HSAを含む溶液中の前記HSAは、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%または15%HSAである。別の具体的な実施形態では、前記HSAを含む溶液中の前記HSAは、10%HSAである。別の具体的な実施形態では、前記第1の希釈溶液は、HSAを含む。別の具体的な実施形態では、前記第1の希釈溶液中の前記HSAは、10%HSAである。別の具体的な実施形態では、前記第1の希釈溶液は、凍結保存剤を含む。別の具体的な実施形態では、前記凍結保存剤は、DMSOである。別の具体的な実施形態では、前記第2の希釈溶液中の前記デキストラン−40は、約10%デキストラン−40である。別の具体的な実施形態では、前記細胞を含む組成物は、約7.5%〜約9%デキストランを含む。別の具体的な実施形態では、医薬組成物は、細胞約1.0±0.3×106個/ミリリットル〜細胞約5.0±1.5×106個/ミリリットルを含む。別の具体的な実施形態では、医薬組成物は、細胞約1.5×106個/ミリリットル〜細胞約3.75×106個/ミリリットルを含む。
別の実施形態では、医薬組成物を、(a)凍結保存前に、刺激胎盤細胞、例えば刺激PDAC、例えばIL−1β刺激PDACを含む細胞含有溶液をろ過して、ろ過された細胞含有溶液を生産すること;(b)前記ろ過された細胞含有溶液中の細胞を、細胞約1〜50×106個、1〜40×106個、1〜30×106個、1〜20×106個、1〜15×106個または1〜10×106個/ミリリットルで凍結保存すること;(c)前記細胞を解凍すること;および(d)前記ろ過された細胞含有溶液をデキストラン−40溶液で約1:1〜約1:11(v/v)に希釈することを含む方法によって作製する。特定の実施形態では、細胞の数が、工程(a)の前に、細胞約10±3×106個/ミリリットル未満である場合、ろ過は任意選択である。別の具体的な実施形態では、工程(b)の細胞を、細胞約10±3×106個/ミリリットルで凍結保存する。別の具体的な実施形態では、工程(b)の細胞を、約5%〜約10%デキストラン−40とHSAとを含む溶液中で凍結保存する。特定の実施形態では、前記工程(b)の希釈は、細胞約15×106個/ミリリットル以下にする。
別の実施形態では、医薬組成物を、(a)10%HSAを含む5.5%デキストラン−40溶液に刺激胎盤細胞、例えば刺激PDAC、例えばIL−1β刺激PDACを懸濁して、細胞含有溶液を形成させること;(b)前記細胞含有溶液を70μMフィルタに通してろ過すること;(c)前記細胞含有溶液を、5.5%デキストラン−40、10%HSAおよび5%DMSOを含む溶液で、細胞約1〜50×106個、1〜40×106個、1〜30×106個、1〜20×106個、1〜15×106個または1〜10×106個/ミリリットルに希釈すること;(d)前記細胞を凍結保存すること;(e)前記細胞を解凍すること;ならびに(f)前記細胞含有溶液を10%デキストラン−40で1:1〜1:11(v/v)に希釈することを含む方法によって作製する。特定の実施形態では、前記工程(c)の希釈は、細胞約15×106個/ミリリットル以下にする。特定の実施形態では、前記工程(c)の希釈は、細胞約10±3×106個/mL以下にする。特定の実施形態では、前記工程(c)の希釈は、細胞約7.5×106個/mL以下にする。
別の実施形態では、刺激細胞を含む組成物を、(a)複数の細胞を遠心分離して、前記細胞を回収すること;(b)前記細胞を5.5%デキストラン−40に再懸濁すること;(c)前記細胞を遠心分離して、前記細胞を回収すること;(d)前記細胞を、10%HSAを含む5.5%デキストラン−40溶液に再懸濁すること;(e)前記細胞を70μMフィルタに通してろ過すること;(f)前記細胞を、細胞約1〜50×106個、1〜40×106個、1〜30×106個、1〜20×106個、1〜15×106個または1〜10×106個/ミリリットルになるまで5.5%デキストラン−40、10%HSAおよび5%DMSOに希釈すること;(g)前記細胞を凍結保存すること;(h)前記細胞を解凍すること;ならびに(i)前記細胞を10%デキストラン−40で1:1〜1:11(v/v)に希釈することを含む方法によって作製する。特定の実施形態では、前記工程(f)の希釈は、細胞約15×106個/ミリリットル以下にする。特定の実施形態では、前記工程(f)の希釈は、細胞約10±3×106個/mL以下にする。特定の実施形態では、前記工程(f)の希釈は、細胞約7.5×106個/mL以下にする。他の特定の実施形態では、細胞の数が、細胞約10±3×106個/ミリリットル未満である場合、ろ過は任意選択である。
本明細書に記載される組成物、例えば、単離された刺激胎盤細胞を含む医薬組成物は、本明細書に記載される単離された胎盤細胞のいずれかを含み得る。
細胞産物の投与に適切な他の注射用製剤が使用され得る。
一実施形態では、医薬組成物は、実質的にまたは完全に非母親起源のものである(すなわち、胎児の遺伝子型を有する)単離された刺激胎盤細胞を含み;例えば、少なくとも約90%、95%、98%、99%または約100%は、非母親起源のものである。例えば、一実施形態では、医薬組成物は、CD200+およびHLA−G-;CD73+、CD105+およびCD200+;CD200+およびOCT−4+;CD73+、CD105+およびHLA−G-;CD73+およびCD105+であり、胚様体様体の形成を可能にする条件下で、前記単離された胎盤細胞の集団を含む胎盤細胞の集団が培養される場合、前記胎盤細胞の集団における1つ以上の胚様体様体の形成を促進するか;またはOCT−4+であり、胚様体様体の形成を可能にする条件下で、前記単離された胎盤細胞の集団を含む胎盤細胞の集団が培養される場合、前記胎盤細胞の集団における1つ以上の胚様体様体の形成を促進するか;または上記の組み合わせである単離された刺激胎盤細胞の集団を含み、前記単離された胎盤細胞の少なくとも70%、80%、90%、95%または99%は、非母親起源のものである。別の実施形態では、医薬組成物は、CD10+、CD105+およびCD34-;CD10+、CD105+、CD200+およびCD34-;CD10+、CD105+、CD200+、CD34-およびCD90+またはCD45-の少なくとも1つ;CD10+、CD90+、CD105+、CD200+、CD34-およびCD45-;CD10+、CD90+、CD105+、CD200+、CD34-およびCD45-;CD200+およびHLA−G-;CD73+、CD105+およびCD200+;CD200+およびOCT−4+;CD73+、CD105+およびHLA−G-;CD73+およびCD105+であり、胚様体様体の形成を可能にする条件下で、前記単離された胎盤細胞を含む胎盤細胞の集団が培養される場合、前記胎盤細胞の集団における1つ以上の胚様体様体の形成を促進するか;OCT−4+であり、胚様体様体の形成を可能にする条件下で、前記単離された胎盤細胞を含む胎盤細胞の集団が培養される場合、前記胎盤細胞の集団における1つ以上の胚様体様体の形成を促進するか;またはCD117-、CD133-、KDR-、CD80-、CD86-、HLA−A,B,C+、HLA−DP,DQ,DR-および/またはPDL1+の1つ以上であるか;または上記の組み合わせである単離された胎盤細胞の集団を含み、前記単離された胎盤細胞の少なくとも70%、80%、90%、95%または99%は、非母親起源のものである。具体的な実施形態では、医薬組成物は、胎盤から得られない幹細胞をさらに含む。別の実施形態では、単離された胎盤幹細胞は、1つ以上の炎症促進性サイトカインで刺激される。具体的な実施形態では、炎症促進性サイトカインは、IL−1α、IL−1β、IL−6、IL−8、IL−18、TNF−αおよびINF−γの1つ以上を含む。他の具体的な実施形態では、炎症促進性サイトカインは、IL−1βである。
本明細書で提供される組成物、例えば医薬組成物中の単離された胎盤細胞は、単一のドナーに由来するか、または複数のドナーに由来する胎盤細胞を含み得る。単離された胎盤細胞は、意図されるレシピエントと完全にHLAが一致するものであり得るか、または一部もしくは完全にHLAが一致しないものであり得る。
5.7.4 単離された胎盤細胞を含むマトリックス
胎盤細胞または単離された胎盤細胞の集団を含むマトリックス、ハイドロゲル、足場などを含む組成物が本明細書でさらに提供される。このような組成物を、液体懸濁液中の細胞の代わりにまたはそれに加えて使用し得る。
本明細書に記載される単離された刺激胎盤細胞を、天然マトリックス、例えば、羊膜材料などの胎盤生体材料に播種し得る。このような羊膜材料は、例えば、哺乳動物胎盤から直接解剖された羊膜;固定または熱処理された羊膜、実質的に乾燥している(すなわち、20%未満H2Oの)羊膜、絨毛膜、実質的に乾燥している絨毛膜、実質的に乾燥している羊膜と絨毛膜などであり得る。単離された胎盤細胞を播種し得る好ましい胎盤生体材料は、Haririの米国特許出願公開第2004/0048796号(この開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
本明細書に記載される単離された刺激胎盤細胞を、例えば、注射に適切なハイドロゲル溶液に懸濁し得る。このような組成物のための適切なハイドロゲルは、RAD16などの自己集合ペプチドを含む。一実施形態では、細胞を含むハイドロゲル溶液を、例えば、鋳型中で硬化させて、その中に分散した細胞を有する埋め込み用のマトリックスを形成し得る。また、このようなマトリックス中の単離された胎盤細胞を、前記細胞が埋め込み前に有糸分裂でエクスパンションされるように培養し得る。ハイドロゲルは、例えば、共有結合、イオン結合または水素結合によって架橋されて、三次元開放格子構造を生成する有機ポリマー(天然物または合成物)であり、これが水分子を捕捉してゲルを形成する。ハイドロゲル形成材料としては、多糖、例えばアルギネートおよびその塩ペプチド、ポリホスファジンおよびポリアクリレート(これらは、イオンによって架橋される)またはブロックポリマー、例えばポリエチレンオキシド−ポリプロピレングリコールブロックコポリマー(これらは、それぞれ温度またはpHによって架橋される)が挙げられる。いくつかの実施形態では、ハイドロゲルまたはマトリックスは、生体分解性である。
いくつかの実施形態では、製剤は、インサイチューで重合可能なゲルを含む(例えば、米国特許出願公開第2002/0022676号(この開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる);Anseth et al.,J.Control Release,78(1−3):199−209(2002);Wang et al.,Biomaterials,24(22):3969−80(2003)を参照のこと)。
いくつかの実施形態では、ポリマーは、荷電側基またはその一価イオン塩を有する水、緩衝塩溶液または水性アルコール溶液などの水溶液において少なくとも部分的に可溶性である。カチオンと反応し得る酸性側基を有するポリマーの例は、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、ポリ(酢酸ビニル)およびスルホン化ポリスチレンなどのスルホン化ポリマーである。アクリル酸またはメタクリル酸とビニルエーテルモノマーまたはビニルエーテルポリマーの反応によって形成される酸性側基を有するコポリマーも使用し得る。酸性基の例は、カルボン酸基、スルホン酸基、ハロゲン化(好ましくは、フッ素化)アルコール基、フェノール性OH基および酸性OH基である。
具体的な実施形態では、マトリックスは、生体吸収性材料、例えば、PGA、PLA、PCLコポリマーもしくはブレンドまたはヒアルロン酸でできたマルチフィラメント糸から構成され得るフェルトである。クリンピング、裁断、カーディングおよびニードリングからなる標準的な繊維加工技術を使用して、前記糸をフェルトにする。別の好ましい実施形態では、本発明の細胞を、複合構造物であり得る発泡体足場上に播種する。さらに、三次元フレームワークを、有用な形状、例えば、修復、置換または強化すべき体内の特定の構造に成形し得る。使用され得る足場の他の例としては、不織マット、多孔性発泡体または自己集合ペプチドが挙げられる。不織マットは、グリコール酸と乳酸の吸収性合成コポリマー(例えば、PGA/PLA)(VICRYL,Ethicon,Inc.,Somerville,N.J.)から構成される繊維を使用して形成され得る。また、フリーズドライまたは凍結乾燥などのプロセスによって形成される、例えば、ポリ(ε−カプロラクトン)/ポリ(グリコール酸)(PCL/PGA)コポリマーから構成される発泡体(例えば、米国特許第6,355,699号を参照のこと)を足場として使用し得る。
本明細書に記載される単離された刺激胎盤細胞またはその共培養物を三次元フレームワークまたは足場に播種し、インビボで埋め込み得る。このようなフレームワークを、任意の1つ以上の成長因子、細胞、薬物または例えば、組織形成を刺激する他の成分と組み合わせて埋め込み得る。
使用され得る足場の例としては、不織マット、多孔性発泡体または自己集合ペプチドが挙げられる。不織マットは、グリコール酸と乳酸の吸収性合成コポリマー(例えば、PGA/PLA)(VICRYL,Ethicon,Inc.,Somerville,N.J.)から構成される繊維を使用して形成され得る。また、フリーズドライまたは凍結乾燥などのプロセスによって形成される、例えば、ポリ(ε−カプロラクトン)/ポリ(グリコール酸)(PCL/PGA)コポリマーから構成される発泡体(例えば、米国特許第6,355,699号を参照のこと)を足場として使用し得る。
別の実施形態では、単離された刺激胎盤細胞を、例えば、PGA、PLA、PCLコポリマーもしくはブレンドまたはヒアルロン酸などの生体吸収性材料でできたマルチフィラメント糸から構成され得るフェルトに播種するか、あるいはそれと接触させ得る。
本明細書で提供される単離された刺激胎盤細胞を、別の実施形態では、複合構造物であり得る発泡体足場に播種し得る。このような発泡体足場を、有用な形状、例えば、修復、置換または強化すべき体内の特定の構造物の一部の形状に成形し得る。いくつかの実施形態では、フレームワークを、例えば、0.1M酢酸で処理し、次いで、細胞接着を強化するために、細胞の接種前に、ポリリジン、PBSおよび/またはコラーゲン中でインキュベートする。例えば、マトリックスのプラズマコーティングまたは1つ以上のタンパク質(例えば、コラーゲン、弾性繊維、細網繊維)、糖タンパク質、グリコサミノグリカン(例えば、ヘパリン硫酸、コンドロイチン−4−硫酸、コンドロイチン−6−硫酸、デルマタン硫酸、ケラチン硫酸など)、細胞マトリックス、ならびに/もしくは限定されないが、ゼラチン、アルギネート、寒天、アガロースおよび植物ゴムなどの他の材料の追加によって、マトリックスの外部表面を修飾し、細胞の接着または成長および組織の分化を改善し得る。
いくつかの実施形態では、足場は、それを抗血栓性にする材料を含むか、または前記材料で処理される。これらの処理および材料はまた、内皮成長、移動および細胞外マトリックス沈着を促進および持続し得る。これらの材料および処理の例としては、限定されないが、天然材料、例えば、ラミニンおよびIV型コラーゲンなどの基底膜タンパク質、合成材料、例えば、EPTFE、ならびにセグメント化ポリウレタン尿素シリコーン、例えば、PURSPAN(商標)(The Polymer Technology Group,Inc.,Berkeley,Calif.)が挙げられる。足場はまた、ヘパリンなどの抗血栓剤を含み得る;また、単離された刺激胎盤細胞の播種の前に、足場を、表面電荷を変化させるように処理し得る(例えば、プラズマでコーティングし得る)。
また、本明細書で提供される刺激胎盤細胞(例えば、刺激PDAC、例えばIL−1β刺激PDAC)を、限定されないが、モノリン酸カルシウム、ジリン酸カルシウム、トリリン酸カルシウム、α−トリリン酸カルシウム、β−トリリン酸カルシウムおよびテトラリン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、硫酸カルシウム、フッ化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムマグネシウム、BIOGLASS(登録商標)などの生体活性ガラス、ならびにそれらの混合物を含む生理的に許容され得るセラミック材料に播種し得るか、またはそれと接触させ得る。現在市販されている多孔性の生体適合性セラミック材料としては、SURGIBONE(登録商標)(CanMedica Corp.,Canada)、ENDOBON(登録商標)(Merck Biomaterial France,France)、CEROS(登録商標)(Mathys,AG,Bettlach,Switzerland)ならびに石灰化コラーゲンの骨移植用製品、HEALOS(商標)(DePuy,Inc.,Raynham,MA)およびVITOSS(登録商標)、RHAKOSS(商標)およびCORTOSS(登録商標)(Orthovita,Malvern,Pa.)が挙げられる。フレームワークは、天然材料および/または合成材料の混合物、ブレンドまたは複合物であり得る。
一実施形態では、単離された刺激胎盤細胞を、細胞約0.5×106〜約8×106個/mLで、適切な足場に播種するか、またはそれと接触させる。
5.8 キット
別の態様では、循環系の疾患または障害を有する個体の処置に適切なキットであって、残りのキット内容物とは別の容器中に、刺激PDAC、例えば、上記セクション5.2に記載されている細胞(例えば、IL−1β刺激PDAC)と、使用説明書とを含むキットが本明細書で提供される。好ましくは、刺激胎盤細胞は、薬学的に許容され得る溶液、例えば、病変内投与に適切な溶液または静脈内投与に適切な溶液で提供される。特定の実施形態では、刺激胎盤幹細胞または刺激胎盤多能性細胞は、本明細書に記載されるCD10+、CD34-、CD105+胎盤細胞のいずれか、例えば、CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤細胞またはCD10+、CD34-、CD45-、CD90+、CD105+、CD200+胎盤細胞である。
特定の実施形態では、キットは、個体への刺激胎盤細胞の送達を容易にする1つ以上の構成要素を含む。例えば、特定の実施形態では、キットは、個体への刺激胎盤細胞の病変内送達を容易にする構成要素を含む。このような実施形態では、キットは、例えば、個体への細胞の送達に適切な注射器および針などを含み得る。このような実施形態では、刺激胎盤細胞は、バッグに、または1つ以上のバイアル中のキットに含まれ得る。特定の他の実施形態では、キットは、個体への刺激胎盤細胞の静脈内または動脈内送達を容易にする構成要素を含む。このような実施形態では、刺激胎盤細胞は、例えば、ボトルまたはバッグ(例えば、血液バッグもしくは細胞を含む最大約1.5Lの溶液を含み得る同様のバッグ)に含まれ得、キットは、個体への細胞の送達に適切なチューブおよび針をさらに含む。
加えて、キットは、個体の疼痛または炎症を軽減する1つ以上の化合物(例えば、鎮痛薬、ステロイド性または非ステロイド性抗炎症化合物など)を含み得る。キットはまた、抗菌化合物または抗ウイルス化合物(例えば、1つ以上の抗生物質)、個体の不安を軽減する化合物(例えば、アラプラゾラム)、個体の免疫応答を減少させる化合物(例えば、シクロスポリンA)、抗ヒスタミン薬(ジフェンヒドラミン、ロラタジン、デスロラタジン、クエチアピン、フェキソフェナジン、セチリジン、プロメタジン、クロレフェニラミン、レボセチリジン、シメチジン、ファモチジン、ラニチジン、ニザチジン、ロキサチジン、ラフチジンなど)を含み得る。
加えて、キットは、個体の送達への準備を促進するか、または刺激胎盤細胞の投与の結果としての個体の感染の可能性を減少させる使い捨て品、例えば、滅菌ワイプ、使い捨て紙製品、手袋などを含み得る。
6.実施例
6.1 実施例1:血管細胞の生存、増殖および形態に対する分泌PDAC因子の効果
6.1.1 PDAC成長因子およびサイトカインの分泌
胎盤由来接着幹細胞(PDAC)の凍結アリコートを解凍し、完全成長培地(10%ウシ胎児血清を補充したダルベッコ改変イーグル培地[DMEM])中でエクスパンションした。次いで、無血清DMEM中で、培養PDACを24時間インキュベートし、PDAC細胞馴化培地サンプル(P−CM)を収集した。2つのMillipix(登録商標)MAPイムノアッセイパネル(ヒト血管新生/成長因子パネル1およびヒトサイトカイン/ケモカインパネル)(Millipore)を使用して、P−CM中の分泌栄養因子の濃度を決定した。この実験の結果は、図1に示されている。P−CMは、IL−8、MCP−1、VEGF−a、フォリスタチン、GRO、HGFおよびIL−6を含む検出可能なレベルの様々な栄養血管新生因子を含有することが決定されたが、これは、培養PDACが血管新生因子を分泌することができることを示している。
6.1.2 分泌PDAC因子はHUVEC生存および管形成を変化させる
ヒト血管内皮細胞(HUVEC)を解凍し、完全内皮成長培地(EGM(商標)−2)(Lonza)中のフィブロネクチンコーティングプレート上に一晩プレーティングした。無血清内皮基礎培地(EBM(商標)−2)(Lonza)中でHUVECを6時間培養し、続いて、P−CM濃度0.104mL/cm2の培養フラスコにおいて、PDAC細胞馴化培地サンプル(P−CM)中で16時間インキュベートした。ヘキスト染色(Invitrogen)、続いてInCell Analyzer 2000(GE Healthcare)を使用した定量的画像分析によって、処置HUVEC細胞の生存率を決定した。図2Aに示されているように、DMEMのみで処置したHUVECと比較した場合、P−CMと共にインキュベートしたHUVECは、有意に高い増殖/生存率を有していた。
別の実験では、EBM(商標)−2中で、HUVECを3時間血清飢餓状態にし、採取した。P−CMまたはDMEMのみのいずれかの存在下で、HUVECをプレコーティング成長因子−還元Cultrex(Trevigen)プレートに再プレーティングした。次いで、再プレーティングしたHUVECをIncuCyte ZOOM(Essen Bioscience)によって16時間分析して、HUVEC管形成の程度を決定した。血管新生分析ツールキットを使用したImageJを使用して、画像を分析した。P−CM処置HUVECは、対照HUVEcよりも有意に長いネットワーク(図2B)および有意に多くの管(図2C)を形成した。これらのデータは、P−CMが、血管新生の血管細胞モデルにおいて管形成および分岐を促進することを示している。
6.2 実施例2:分泌PDAC因子はHUVEC細胞シグナル伝達および発現に影響を与える
6.2.1 PDAC馴化培地はHUVECシグナル伝達経路を変化させる
上記セクション6.1に記載されているように、HUVECを解凍し、2日間培養した。次いで、無血清EBM(商標)−2中で、HUVECを6時間血清飢餓状態にし、続いて、P−CMの存在下または非存在下で5分間、15分間または30分間培養した。Millipix(登録商標)MAP多経路細胞シグナル伝達多重分析(EMD Millipore)を使用して、HUVEC細胞シグナル伝達に対するP−CMの効果を評価した。
図3に示されているように、P−CMで処置したHUVEC(「Tx」レーン)は、試験したすべての時点において、培養培地対照(「培地対照」レーン)と比較して劇的に高いレベルのリン酸化MEK、リン酸化ERK1/2、リン酸化Aktおよびリン酸化STAT3レベルを示した。これらの結果は、PDAC馴化培地で処置した血管細胞が、細胞増殖(MEK1、ERK1/2)、生存(Akt)および分枝(STAT3)に関与することが公知の異なる細胞シグナル伝達経路を促進することができることを示している。
6.2.2 PDAC馴化培地はHUVEC遺伝子発現を変化させる
上記セクション6.2.1のように、HUVECを培養し、血清飢餓状態にした。次いで、P−CMの存在下で、HUVECを4時間、24時間または48時間培養し、分析のために収集した。製造業者のプロトコールに従ってTaqman Human VEGF Pathway ArraysおよびQuantStudio 12K Real−Time PCR System(Life Technologies)を使用して、VEGF遺伝子発現を測定した。図4に示されているように、P−CM中でHUVECを培養すると、48時間の時間経過と共に、多数の遺伝子が誘導された。P−CM処置HUVEC(「P−CM」)では、培地処置対照(「SF EBM−2」)と比べて、シグナル伝達、増殖および生存(上段);細胞運動性、構造および完全性(中段);ならびに酸化窒素合成および血管新生(下段)に関与する遺伝子がすべて増加した。図4に示されている遺伝子は、それらの機能に従って以下の表1に列挙されている。
6.3 実施例3:分泌されたPDAC栄養因子に対するIL−1ベータ効果
成長培地中で、PDACを24時間培養した。IL−1βを10pg/mL〜10,000pg/mLの範囲の濃度で成長培地に追加し、2つのMilliplex(登録商標)MAPイムノアッセイパネル(ヒト血管新生/成長因子パネル1およびヒトサイトカイン/ケモカインパネル)(Millipore)を使用して、分泌PDAC因子を測定した。
図5に示されているように、IL−1βで刺激したPDACは、いくつかの栄養因子を用量依存的に産生した。これらの因子としては、GM−CSF、G−CSF、IL−6、GRO、MCP−1、フォリスタチンおよびIL−8が挙げられる。逆に、いくつかの他の栄養因子の産生は、IL−1βによるPDACの刺激後に変化しなかったが、これは、IL−1βが、培養PDACにおける特定の一部の栄養因子の分泌を促進することを示している。
6.4 実施例4:IL−1β刺激PDAC馴化培地はHUVEC細胞シグナル伝達を変化させる
図6に示されているように、IL−1β刺激P−CMの存在下で培養したHUVECは、DMEMのみまたは非刺激P−CMの存在下で培養した細胞と比較して高いレベルのシグナル伝達を示した。重要なことに、IL−1βでスパイクしたP−CMもまた、IL−1β刺激P−CMよりも低いシグナル伝達をもたらしたが、これは、HUVECに対する刺激P−CMの効果が、IL−1βを直接介したものではないことを示唆している。増殖(MEK1、ERK1/2)および分枝形態(STAT3)に関与する細胞シグナル伝達経路についても、同様の傾向が観察された。総合すると、これらのデータは、炎症促進性サイトカインによるPDACの刺激が、内皮細胞における増殖および形態のシグナル伝達経路を促進し得ることを示唆している。
6.5 実施例5:IL−1β刺激効果は、肝成長因子経路を介してシグナル伝達する
PDACは、P−CMについて観察された増殖効果に寄与し得る多数の可溶性因子を分泌する。これらの因子の1つである肝成長因子(HGF)は、PDACによって構成的に分泌される。加えて、HUVECは、HGF受容体(HGFR。c−Metとしても公知である)を発現する。P−CMの血管新生効果におけるHGFシグナル伝達経路の役割を決定するために、IL−1β刺激P−CMを、500ng/mL抗HGF中和抗体(Abcam)と共に40分間インキュベートしてから、血清飢餓HUVECに追加した。同様に、上記セクション6.2.1に記載されているように、6時間の血清飢餓工程において、HUVECを20nM PHA665752(HGFR/c−Metの阻害剤)と共にインキュベートした。
図7に示されているように、抗HGF中和抗体またはPHA66572のいずれかによるHGFシグナル伝達の遮断は、MEK、ERK1/2およびSTAT3シグナル伝達経路のP−CM誘導性増加を完全に逆転させ(図7A〜C)、Aktシグナル伝達経路におけるこの効果を部分的に逆転させた(図7D)。これらのデータは、培養HUVECにおける増殖経路および血管新生経路のP−CM媒介性誘導が、少なくとも部分的には、肝成長因子シグナル伝達経路を介して媒介されることを示している。
6.6 実施例6:糖尿病性足部潰瘍の処置プロトコール
末梢動脈疾患(PAD)を伴う糖尿病性足部潰瘍(DFU)を有する18〜80歳の対象を、IL−1βで刺激されたCD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞で処置する。1日目(最初の処置日)および8日目に、以下の用量で、IL−1β刺激胎盤幹細胞を筋肉内投与する:(i):3×106個のIL−1β刺激CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞;(ii):1×107個のIL−1β刺激CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞;または(iii)3×107個のIL−1β刺激CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞。
臨床エンドポイント
DFUの処置に関するIL−1β刺激CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞の有効性の主要臨床エンドポイントは、処置されている1つまたは複数のDFUの閉鎖であり得る。潰瘍閉鎖は、排膿も包帯の必要性もない皮膚閉鎖によって表され得る。完全閉鎖は、閉鎖の決定後少なくとも4週間にわたる潰瘍閉鎖の保持によって表され得る。潰瘍閉鎖は、胎盤幹細胞による処置後3カ月の時点において評価され得る。
DFUの処置に関するIL−1β刺激CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞の有効性の他の臨床エンドポイントとしては、(i)有害事象の頻度および重症度の減少(これは、処置後最大24カ月評価され得る);(ii)潰瘍閉鎖時間(これは、処置後6カ月の時点において評価され得る);(ii)足関節上腕血圧比(ABI)の改善(これは、処置後6カ月の時点において評価され得る);(iii)足趾上腕血圧比(TBI)の改善(これは、処置後6カ月の時点において評価され得る);(iv)DFUのサイズおよび数の減少(これは、処置後最大24カ月評価され得る);(v)経皮酸素レベルの改善(これは、処置後6カ月の時点において評価され得る);(vi)脈容量記録の改善(これは、処置後6カ月の時点において評価され得る);(vii)大切断時間(これは、処置後最大24カ月評価され得る);(viii)ワーグナー評価尺度の改善(これは、処置後最大24カ月評価され得る);(ix)ラザフォード基準の改善(これは、処置後6カ月の時点において評価され得る);ならびに(x)脚の安静時疼痛スコアの改善(これは、処置後最大24カ月評価され得る);ならびに(xi)(i)36項目簡易健康調査(SF−36)(例えば、Ware et al.,Medical Care 30(6):473−483を参照のこと);(ii)糖尿病性足部潰瘍尺度簡易版(DFS−SF)(例えば、Bann et al.,Pharmacoeconomics,2003,21(17):1277−90を参照のこと);(iii)患者全般変化印象尺度(例えば、Kamper et al.,J.Man.Manip.Ther.,2009,17(3):163−170を参照のこと);および/または(iv)EuroQol5D(EQ−5D(商標))尺度によって評価した場合の対象の生活の質の改善が挙げられ得る。
対象の選択
以下の適格基準を使用して、IL−1β刺激CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞による処置が適切であると考えられる対象を選択し得る。この処置プロトコールが特定の対象に適切であるかを決定する場合、すべての関連病状および非病状を考慮する。
処置プロトコールに適格であるためには、対象は、以下の条件を満たさなければならない:
・少なくとも18歳以上の男性および女性。
・評価/手順に関連する任意の試験を行う前に、インフォームドコンセント文書を理解して自発的に署名する。
・試験訪問スケジュールおよび他のプロトコール要件を厳守することができる。
・1型または2型真性糖尿病。
・ワーグナー評価尺度のグレード1(全層のみ)またはグレード2の重症度の1カ月間を超える糖尿病性足部潰瘍であって、従来の潰瘍処置に適切に応答しておらず、足趾上に存在する場合を除いて、少なくとも1cm2のサイズを有する糖尿病性足部潰瘍。指標潰瘍の最大病変サイズの範囲は、6.25cm2以下である。指標潰瘍の測定は、スクリーニング訪問時における(必要な場合には)創面切除後に評価および測定すべきである。
・指標潰瘍を有する足における動脈循環不全の以下の基準の1つ以上を満たす対象。
a.0.4以上0.8以下のABIまたは0.30超0.65以下のTBIを有する末梢動脈疾患:
b.20〜40mmHgの経皮酸素(TcPO2)測定値。TcPO2で測定した領域は、浮腫および肥厚皮膚を含まないものでなければならない。
・スクリーニング訪問後の翌3カ月間は、血管再生または切断の予定がないこと。
・再灌流介入の失敗後少なくとも14日および再灌流介入の成功後少なくとも30日まで、スクリーニングを開始すべきではない。
・高血圧と、糖尿病と、継続的なケアを必要とする任意の他の慢性症状とについて、対象は適切な医学療法を受けなければならない。
・妊娠の可能性がある女性(FCBP)は、スクリーニング時の血清妊娠検査が陰性であり、試験療法による処置前の尿妊娠検査が陰性でなければならない。加えて、試験期間および経過観察期間中、性的に活発なFCBPは、以下の適切な形態の避妊方法、例えば経口、注射または移植ホルモン避妊;卵管結紮;IUD;殺精子剤によるバリア避妊具;またはパートナーの精管切除の2つを同時に使用することに同意しなければならない。
・試験期間および経過観察期間中、男性(精管切除術を受けた者を含む)は、FCBPとの生殖性的行為において避妊(ラテックスコンドーム)を行う場合、バリア避妊(ラテックスコンドーム)を使用することに同意しなければならない。
以下の症状の1つ以上を有する対象は、処置プロトコールから除外され得る:
・対象の試験参加を妨げる任意の重大な症状、検査異常または精神病。
・対象が試験に参加した場合、対象を許容不可能なリスクにさらす任意の症状(検査異常の存在を含む)。
・試験からのデータを解釈する能力を混乱させる任意の症状。
・ヒト免疫不全ウイルス、C型肝炎ウイルス、またはB型肝炎ウイルスの活動性感染について陽性であることが公知であること。
・妊娠中または授乳中の女性。
・スクリーニング時において、対象が40超の肥満度指数を有すること。
・スクリーニング時において、AST(SGOT)またはALT(SGPT)が正常上限(ULN)の2.5倍超であること。
・スクリーニング時において腎疾患食事療法試験式(Levey,2006)を使用して計算した推定糸球体ろ過量(eGFR)が30mL/分/1.73m2未満であるか、または過去1年以内に15mL/分/1.73m2超のeGFR減少の病歴があること。
・スクリーニング時において、アルカリホスファターゼがULNの2.5倍超であること。
・スクリーニング時において、(対象が既知のギルバート病を有しない限り)ビリルビンレベルが2mg/dL超であること。
・慢性感染症が未処置であるか、または全身性抗生物質による任意の感染症の処置(潰瘍部位を含む)が、腹腔内投与前1週間以内に抗生物質を含まないものでなければならないこと。
・指標潰瘍またはこれに隣接する活動性骨髄炎、感染症または蜂巣炎。
・スクリーニング/導入期間中において、指標潰瘍のサイズが30%以上減少または増加すること。
・肢虚血による安静時疼痛。
・指標潰瘍を有する足における経皮酸素測定値が20mmHg以下であること。
・踵潰瘍。
・非管理高血圧(スクリーニング中、対象が座っており少なくとも5分間安静にしている間に行われた2回の独立した測定において、拡張期血圧が100mmHg超であるか、または収縮期血圧が180mmHg超であると定義される)。
・管理不良の真性糖尿病(ヘモグロビンA1cが12%超であるか、またはスクリーニング時血清グルコースが300mg/dl以上である)。
・未処置の増殖性網膜症。
・インフォームドコンセント用紙(ICF)への署名前6カ月における悪性心室性不整脈、CCSクラスIII−IV狭心症、心筋梗塞/経皮的冠動脈介入(PCI)/冠状動脈バイパス移植片(CABG)、その後の3カ月における保留中の冠動脈血行再建、ICFへの署名前6カ月における一過性虚血発作/脳血管障害、および/またはニューヨーク心臓協会[NYHA]ステージIIIもしくはIV鬱血性心不全の病歴。
・ICFへの署名前3カ月における異常なECG(新たな右脚ブロック(BBB)が120ミリ秒以上である)。
・非管理の凝固亢進。
・ICFへの署名時において、平均余命が、合併症により2年未満であること。
・責任医師の意見では、対象が細胞療法に不適切であること。
・ICFへの署名前5年以内における悪性腫瘍の病歴(皮膚の基底細胞または扁平上皮癌を除く)、または現在は治癒したと考えられる癌の既往歴、またはその後の陰性経過観察による陽性パップスメア。
・製品製剤の成分(ウシまたはブタ生成物、デキストラン40およびジメチルスルホキシド[DMSO]を含む)のいずれかに対する過敏症の病歴。
・試験治療による処置前90日以内に(または5半減期のいずれか長い方)、対象が治験薬(任意の適応症における商業的使用について米国食品医薬品局(FDA)によって承認されていない薬剤またはデバイス)を投与されているか、またはこの試験の終了前に別の治療試験への参加が予定されていること。
・対象が、過去の治験遺伝子療法または細胞療法を受けていること。
臨床転帰
1つ以上の臨床エンドポイントの改善を実証する場合、DFUの処置におけるIL−1β刺激CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞の有効性を確認する。
6.7 実施例7:代替DFU処置プロトコール
末梢動脈疾患(PAD)を伴う糖尿病性足部潰瘍(DFU)を有する少なくとも18歳の対象を、IL−1β刺激CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞で処置する。対象群I:1日目(最初の処置日)、29日目および57日目に、3×106個のIL−1β刺激CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞を筋肉内投与する。対象群II:1日目(最初の処置日)、29日目および57日目に、3×107個のIL−1β刺激CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞を筋肉内投与する。対象群III:1日目(最初の処置日)、29日目および57日目に、プラセボを筋肉内投与する。
臨床エンドポイント
DFUの処置に関するIL−1β刺激CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞の有効性の主要臨床エンドポイントは、足関節上腕血圧比(ABI);経皮酸素測定(TCOM)、近赤外線分光法、フルデオキシグルコース陽電子放出断層撮影/コンピュータ断層撮影(FGD PET/CT)、ドップラー超音波、磁気共鳴映像法(MRI)、血管造影法および/または酸素測定の測定によって評価した場合、手足の血管機能の改善であり得る。手足の血管機能の改善は、処置後約1年の時点において評価され得る。
DFUの処置に関するIL−1β刺激CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞の有効性の他の臨床エンドポイントとしては、(i)指標潰瘍の潰瘍閉鎖および完全な創傷閉鎖(潰瘍閉鎖は、排膿も包帯の必要性もない皮膚閉鎖によって表され得る;完全閉鎖は、閉鎖の決定後少なくとも4週間にわたる潰瘍閉鎖の保持によって表され得る)(これは、処置後約1年の時点において評価され得る);(ii)有害事象の頻度および重症度の減少(これは、処置後約1年の時点において評価され得る);(iii)すべての潰瘍の数、サイズの減少および指標潰瘍の50%の閉鎖(これは、処置後約1年の時点において評価され得る);(iv)処置された脚の大切断までの時間の減少(これは、処置後約1年の時点において評価され得る);(v)ワーグナー評価尺度の改善(これは、処置後約1年の時点において評価され得る);(vi)ラザフォード基準の改善(これは、処置後約1年の時点において評価され得る);(vii)脚の安静時疼痛スコアの改善(これは、処置後約1年の時点において評価され得る);ならびに(viii)神経障害の患者全般変化印象(PGICN)を使用して評価した場合の対象の生活の質の改善が挙げられ得る。
対象の選択
以下の適格基準を使用して、IL−1β刺激CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞による処置が適切であると考えられる対象を選択し得る。この処置プロトコールが特定の対象に適切であるかを決定する場合、すべての関連病状および非病状を考慮する。
処置プロトコールに適格であるためには、対象は、以下の条件を満たさなければならない:
・少なくとも18歳以上の男性および女性。
・1型または2型真性糖尿病。
・ワーグナー評価尺度のグレード1(全層のみ)またはグレード2の重症度の1カ月間を超える糖尿病性足部潰瘍であって、従来の潰瘍処置に適切に応答していない糖尿病性足部潰瘍。
・指標潰瘍を有する足における動脈循環不全の以下の基準の1つ以上を満たす対象。
a.0.4以上0.8以下のABIまたは0.30超0.65以下のTBIを有する末梢動脈疾患:
b.20〜40mmHgの経皮酸素(TcPO2)測定値。
・スクリーニング訪問後の翌3カ月間は、血管再生または切断の予定がないこと。
・再灌流介入の失敗後少なくとも14日および再灌流介入の成功後少なくとも30日まで、投与を開始すべきではない。
以下の症状の1つ以上を有する対象は、処置プロトコールから除外され得る:
・対象の試験参加を妨げる任意の重大な症状、検査異常または精神病。
・対象が試験に参加した場合、対象を許容不可能なリスクにさらす任意の症状(検査異常の存在を含む)。
・妊娠中または授乳中の女性。
・スクリーニング時において、対象が40超の肥満度指数を有すること。
・スクリーニング時において腎疾患食事療法試験式(Levey,2006)を使用して計算した推定糸球体ろ過量(eGFR)が30mL/分/1.73m2未満であるか、または過去1年以内に15mL/分/1.73m2超のeGFR減少の病歴があること。
・慢性感染症が未処置であるか、または全身性抗生物質による任意の感染症の処置(潰瘍部位を含む)が、腹腔内投与前1週間以内に抗生物質を含まないものでなければならないこと。
・指標潰瘍またはこれに隣接する既知の骨髄炎、感染症または蜂巣炎。
・肢虚血による下肢痛。
・非管理高血圧(スクリーニング中、対象が座っており少なくとも5分間安静にしている間に行われた2回の独立した測定において、拡張期血圧が100mmHg超であるか、または収縮期血圧が180mmHg超であると定義される)。
・管理不良の真性糖尿病(ヘモグロビンA1cが12%超であるか、またはスクリーニング時血清グルコースが300mg/dl以上である)。
・未処置の増殖性網膜症。
・インフォームドコンセント用紙(ICF)への署名前6カ月における悪性心室性不整脈、CCSクラスIII−IV狭心症、心筋梗塞/経皮的冠動脈介入(PCI)/冠状動脈バイパス移植片(CABG)、その後の3カ月における保留中の冠動脈血行再建、ICFへの署名前6カ月における一過性虚血発作/脳血管障害、および/またはニューヨーク心臓協会[NYHA]ステージIIIもしくはIV鬱血性心不全の病歴。
・ICFへの署名前3カ月における異常なECG(新たな右脚ブロック(BBB)が120ミリ秒以上である)。
・非管理の凝固亢進。
・ICFへの署名時において、平均余命が、合併症により2年未満であること。
・責任医師の意見では、対象が細胞療法に不適切であること。
・ICFへの署名前5年以内における悪性腫瘍の病歴(皮膚の基底細胞または扁平上皮癌を除く)、または現在は治癒したと考えられる癌の既往歴、またはその後の陰性経過観察による陽性パップスメア。
・製品製剤の成分(ウシまたはブタ生成物、デキストラン40およびジメチルスルホキシド[DMSO]を含む)のいずれかに対する過敏症の病歴。
・試験治療による処置前90日以内に(または5半減期のいずれか長い方)、対象が治験薬(任意の適応症における商業的使用について米国食品医薬品局(FDA)によって承認されていない薬剤またはデバイス)を投与されているか、またはこの試験の終了前に別の治療試験への参加が予定されていること。
・対象が、過去の治験遺伝子療法または細胞療法を受けていること。
臨床転帰
1つ以上の臨床エンドポイントの改善を実証する場合、DFUの処置におけるIL−1β刺激CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞の有効性を確認する。