JP2021100058A - 半導体光検出素子 - Google Patents

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晃永 山本
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隆裕 近藤
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弘典 園部
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輝昌 永野
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龍太郎 土屋
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守弘 幸田
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Abstract

【課題】分光特性の制御性が低下しがたい半導体光検出素子を提供する。【解決手段】半導体光検出素子1は、半導体基板11と、半導体領域15と、半導体領域17と、を備えている。半導体基板11は、主面11aと、主面11aに対向する主面11bとを有している。主面11aは、複数の窪み21が規則的に配置されるように形成されている領域11a1を含んでいる。半導体領域15は、半導体基板11の、領域11a1の直下に形成されている。半導体領域17は、半導体基板11の主面11a側の、半導体領域15が形成されていない領域に形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、半導体光検出素子に関する。
第一導電型のシリコン基板と、シリコン基板に形成されている第二導電型の第一半導体領域及び第一導電型の第二半導体領域と、を備えている半導体光検出素子が知られている(たとえば、特許文献1参照)。シリコン基板は、不規則な凹凸が形成されている領域を含む第一主面と、第一主面に対向する第二主面と、を有している。第一半導体領域は、不規則な凹凸が形成されている領域の直下に形成されている。第二半導体領域は、シリコン基板の第一主面側の、第一半導体領域が形成されていない領域に形成されている。特許文献1では、不規則な凹凸は、レーザ光をシリコン基板に照射することにより形成されている。
半導体光検出素子に入射する光は、不規則な凹凸が形成されている領域にて散乱されて、シリコン基板内を長い距離進む。半導体光検出素子に入射した光の大部分は、シリコン基板を透過しがたく、シリコン基板で吸収される。半導体光検出素子に入射した光の走行距離が長くなり、光が吸収される距離も長くなるので、半導体光検出素子では、近赤外の波長帯域での分光感度特性が向上する。
特開2010−283223号公報
不規則な凹凸がシリコン基板に形成される場合、凹凸が形成される位置により凹凸の形状又はサイズが異なるので、分光特性の制御性が低下するおそれがある。たとえば、分光反射率が、一部の波長で高くならずに、広い波長範囲で低くなるおそれがある。したがって、不規則な凹凸がシリコン基板に形成される場合、外乱光成分とされる波長の光をも、シリコン基板が吸収し、半導体光検出素子が検出してしまう。
レーザ装置は、均一な照射条件で常に安定して動作しがたい。したがって、凹凸が、レーザ光をシリコン基板に照射することにより形成される場合でも、凹凸が形成される位置によって、凹凸の形状、又は、サイズが異なるおそれがある。この場合も、上述したように、分光特性の制御性が低下するおそれがある。
本発明の一以上の態様は、分光特性の制御性が低下しがたい半導体光検出素子を提供することを目的とする。
一つの態様に係る半導体光検出素子は、複数の窪みが規則的に配置されるように形成されている領域を含む第一主面と、第一主面に対向する第二主面とを有している、第一導電型のシリコン基板と、シリコン基板の、複数の窪みが形成されている領域の直下に形成されている、第二導電型の第一半導体領域と、シリコン基板の第一主面側の、第一半導体領域が形成されていない領域に形成されている、第一導電型の第二半導体領域と、を備えている。
上記一つの態様では、光が第一主面に入射する場合、光は、複数の窪みが規則的に配置されるように形成されている領域にて散乱される。散乱された光は、シリコン基板内を様々な方向に進む。光が第二主面に入射する場合、シリコン基板内を進む光は、複数の窪みが規則的に配置されるように形成されている領域にて乱反射される。乱反射された光は、シリコン基板内を様々な方向に進む。したがって、上記一つの態様では、シリコン基板の一の主面が平らである構成に比して、シリコン基板内での光の走行距離が増加する。シリコン基板に入射した光は、シリコン基板内を長い距離進むので、より多くの光が電荷に変換される。この結果、上記一つの態様は、近赤外の波長帯域での分光感度特性を向上する。
上記一つの態様では、シリコン基板の第一主面に、複数の窪みが規則的に配置されるように形成されている。したがって、上記一つの態様では、シリコン基板の第一主面に不規則な凹凸が形成されている構成に比して、分光特性の制御性が低下しがたい。
上記一つの態様では、複数の窪みが、周期的に配置されていてもよい。
上記一つの態様では、複数の窪みが、エッチングにより形成されていてもよい。複数の窪みが、エッチングにより形成されている構成では、凹凸が、レーザ光をシリコン基板に照射することにより形成されている構成に比して、分光特性の制御性がより一層低下しがたい。
レーザ光の照射により凹凸が形成された領域には、結晶損傷(結晶欠陥)が生じ、シリコン基板の結晶性が劣化する。シリコン基板の結晶性が劣化すると、光の入射によらずに電荷がシリコン基板に発生し、当該電荷により暗電流が発生するおそれがある。シリコン基板にレーザ光を照射する場合、凹凸を形成し終えるまでの時間が長く、生産性が低下するおそれがある。また、製品毎で、形成される凹凸の形状及びサイズが、大幅に異なるおそれがある。
複数の窪みが、エッチングにより形成されている構成では、シリコン基板の結晶性が劣化しがたく、暗電流の発生が抑制される。また、本構成では、生産性の低下が抑制され、分光感度特性のばらつきが生じがたい。
別の態様に係る半導体光検出素子は、複数の窪みがエッチングにより形成されている領域を含む第一主面と、第一主面に対向する第二主面とを有している、第一導電型のシリコン基板と、シリコン基板の、複数の窪みが形成されている領域の直下に形成されている、第二導電型の第一半導体領域と、シリコン基板の第一主面側の、第一半導体領域が形成されていない領域に形成されている、第一導電型の第二半導体領域と、を備えている。
上記別の態様では、光が第一主面に入射する場合、光は、複数の窪みが形成されている領域にて散乱される。散乱された光は、シリコン基板内を様々な方向に進む。光が第二主面に入射する場合、シリコン基板内を進む光は、複数の窪みが形成されている領域にて乱反射される。乱反射された光は、シリコン基板内を様々な方向に進む。したがって、上記一つの態様では、シリコン基板の一の主面が平らである構成に比して、シリコン基板内での光の走行距離が増加する。シリコン基板に入射した光は、シリコン基板内を長い距離進むので、より多くの光が電荷に変換される。この結果、上記一つの態様は、近赤外の波長帯域での分光感度特性を向上する。
上記別の態様では、複数の窪みが、エッチングにより形成されている。したがって、上記別の態様では、凹凸が、レーザ光をシリコン基板に照射することにより形成されている構成に比して、分光特性の制御性が低下しがたい。
上記別の態様では、上述したように、シリコン基板の結晶性が劣化しがたく、暗電流の発生が抑制される。また、上記別の態様では、生産性の低下が抑制され生産性の低下が抑制され、分光感度特性のばらつきが生じがたい。
上記一つの態様及び上記別の態様では、第一主面が、複数の窪みが形成されている領域を囲むように位置している平坦面を含んでいてもよい。
上記一つの態様及び上記別の態様では、第一主面が、複数の窪みのうち互いに隣り合う窪みの間に位置している平坦面を含んでいてもよい。
上記一つの態様及び上記別の態様では、複数の窪みの各開口縁を含む平面を基準面として、第一半導体領域の基準面からの厚みが、複数の窪みの表面形状に対応して変化していてもよい。この場合、第一半導体領域の厚みが適切に確保される。したがって、半導体光検出素子の検出感度が容易に確保される。
上記一つの態様及び上記別の態様では、第二主面と対向するように配置されている支持基板を更に備えていてもよい。この場合、半導体光検出素子の機械的強度が向上する。
上記一つの態様及び上記別の態様では、第一主面が光入射面であってもよい。この場合、分光特性の制御性が低下しがたい表面入射型の半導体光検出素子が実現される。
本発明の一以上の態様によれば、分光特性の制御性が低下しがたい半導体光検出素子が提供される。
図1は、第一実施形態に係る半導体光検出素子の断面構成を示す図である。 図2は、複数の窪みの配列の一例を示す図である。 図3は、複数の窪みの配列の一例を示す図である。 図4は、複数の窪みの配列の一例を示す図である。 図5は、複数の窪みの配列の一例を示す図である。 図6は、複数の窪みの配列の一例を示す図である。 図7は、複数の窪みの配列の一例を示す図である。 図8は、複数の窪みの配列の一例を示す図である。 図9は、複数の窪みの配列の一例を示す図である。 図10は、複数の窪みの配列の一例を示す図である。 図11は、複数の窪みの配列の一例を示す図である。 図12は、複数の窪みの形成過程を示す図である。 図13は、複数の窪みの形成過程を示す図である。 図14は、第一実施形態の第一変形例に係る半導体光検出素子の断面構成を示す図である。 図15は、第一実施形態の第二変形例に係る半導体光検出素子の断面構成を示す図である。 図15は、第一実施形態の第三変形例に係る半導体光検出素子の断面構成を示す図である。 図15は、第一実施形態の第四変形例に係る半導体光検出素子の断面構成を示す図である。 。図18は、実施例1及び2、並びに、比較例1における、波長に対する分光感度の変化を示す線図である。 図19は、第一実施形態に係る半導体光検出素子での光の走行を示す模式図である。 図20は、実施例3〜6及び比較例2における、波長に対する反射率の変化を示す線図である。 図21は、第二実施形態に係る半導体光検出素子の断面構成を示す図である。 図22は、第二実施形態の第一変形例に係る半導体光検出素子の断面構成を示す図である。 図23は、第二実施形態の第二変形例に係る半導体光検出素子の断面構成を示す図である。 図24は、第三実施形態に係る半導体光検出素子を示す平面図である。 図25は、図24に示された半導体光検出素子のXXV−XXV線に沿った断面構成を示す図である。 図26は、各光検出チャンネルと信号導線及び抵抗との接続関係を概略的に示す図である。 図27は、第三実施形態の変形例に係る半導体光検出素子の断面構成を示す図である。 図28は、第四実施形態に係る半導体光検出素子の断面構成を示す図である。 図29は、第四実施形態に係る半導体光検出素子の製造過程を示す図である。 図30は、第四実施形態に係る半導体光検出素子の製造過程を示す図である。 図31は、第四実施形態に係る半導体光検出素子の製造過程を示す図である。 図32は、第四実施形態に係る半導体光検出素子の製造過程を示す図である。 図33は、第四実施形態に係る半導体光検出素子の製造過程を示す図である。 図34は、第四実施形態に係る半導体光検出素子の製造過程を示す図である。 図35は、第四実施形態に係る半導体光検出素子の製造過程を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
(第一実施形態)
図1を参照して、第一実施形態に係る半導体光検出素子1の構成を説明する。図1は、第一実施形態に係る半導体光検出素子の断面構成を示す図である。第一実施形態では、半導体光検出素子1は、たとえば、表面入射型のフォトダイオードである。
半導体光検出素子1は、図1に示されるように、半導体基板11を備えている。半導体基板11は、シリコン(Si)からなる基板である。半導体基板11は、互いに対向する主面11a及び主面11bを有している。主面11aは、半導体基板11への光入射面である。主面11aが表面であり、主面11bが裏面である。本実施形態では、主面11bは、平坦面である。半導体基板11の厚みは、たとえば、270μmである。たとえば、主面11aが第一主面を構成する場合、主面11bは第二主面を構成する。
半導体基板11は、第一導電型の半導体領域13と、第二導電型の半導体領域15と、第一導電型の半導体領域17と、を有している。半導体領域13は、半導体基板11の基体を構成する。半導体領域15と半導体領域17とは、半導体基板11の主面11a側に配置されている。第一導電型は、たとえば、n型である。第二導電型は、たとえば、p型である。半導体基板11がSiからなる場合、p型不純物は、たとえば、第13族元素を含み、n型不純物は、たとえば、第15族元素を含む。n型不純物は、たとえば、窒素(N)、リン(P)、又はヒ素(As)である。p型不純物は、たとえば、ホウ素(B)又はアルミニウム(Al)である。第一導電型が、p型であり、第二導電型が、n型であってもよい。たとえば、半導体領域15が第一半導体領域を構成する場合、半導体領域17は第二半導体領域を構成する。
半導体領域13は、低不純物濃度である。半導体領域15及び半導体領域17は、高不純物濃度である。半導体領域15及び半導体領域17は、半導体領域13よりも不純物濃度が高い。半導体領域13の不純物濃度は、たとえば、1×1015cm−3である。半導体領域15の不純物濃度は、たとえば、1×1017cm−3である。半導体領域17の不純物濃度は、たとえば、1×1017cm−3である。半導体領域15の最大厚みは、たとえば、5μmである。半導体領域17の厚みは、たとえば、1μmである。
半導体領域13と半導体領域15とは、pn接合を構成している。pn接合は、半導体領域13と半導体領域15との境界に形成されている。半導体領域15と半導体領域17とは、互いに離間している。主面11aに直交する方向から見て、半導体領域17は、半導体領域15を囲むように、半導体領域15の外側に位置している。半導体領域17は、半導体領域15の外側で、連続的又は断続的に形成されている。半導体領域17は、半導体基板11の主面11a側の、半導体領域15が形成されていない領域に形成されている。半導体領域15の厚みは、たとえば、0.5μmである。半導体領域17の厚みは、たとえば、1.7μmである。
半導体光検出素子1は、絶縁膜19を備えている。絶縁膜19は、半導体基板11の主面11aに配置されている。絶縁膜19は、主面11a上に形成されている。絶縁膜19は、たとえば、酸化膜である。本実施形態では、絶縁膜19は、酸化シリコン(SiO)からなる。絶縁膜19は、窒化シリコン(Si)からなっていてもよい。絶縁膜19は、半導体領域15上に位置している第一領域と、半導体領域17上に位置している第二領域とを有している。絶縁膜19の第一領域の厚みは、たとえば、110nmである。絶縁膜19の第二領域の厚みは、たとえば、400nmである。絶縁膜19の第一領域は、反射防止膜として機能してもよい。
半導体光検出素子1は、複数の電極E1,E2を備えている。電極E1は、絶縁膜19の第一領域に配置されている。電極E2は、絶縁膜19の第二領域に配置されている。電極E1は、絶縁膜19の第一領域に形成されているコンタクトホールを通して、半導体領域15と接続されている。電極E1は、半導体領域15と絶縁膜19とに接触している。電極E1は、半導体領域15と電気的に接続されている。電極E2は、絶縁膜19の第二領域に形成されているコンタクトホールを通して、半導体領域17と接続されている。電極E2は、半導体領域17と絶縁膜19とに接触している。電極E2は、半導体領域17と電気的に接続されている。電極E1,E2は、導電性材料からなる。電極E1,E2は、たとえば、アルミニウム(Al)からなる。この場合、電極E1,E2は、スパッタ法又は蒸着法により形成される。半導体光検出素子1では、電極E1は、アノード電極を構成し、電極E2は、カソード電極を構成する。
主面11aは、領域11aと、領域11aとを含んでいる。領域11aは、半導体領域15の表面を含んでいる。領域11aは、領域11aを囲むように、領域11aの外側に位置している。領域11aは、半導体領域17の表面を含んでいる。本実施形態では、領域11aは、半導体領域13の表面も含んでいる。領域11aには、複数の窪み21が設けられている。すなわち、半導体領域15は、複数の窪み21が形成されている領域(領域11a)の直下に形成されている。複数の窪み21は、規則的に配置されるように、領域11aに形成されている。本実施形態では、複数の窪み21は、周期的に配置されている。領域11aは、平坦面である。領域11aは、主面11bを含む仮想平面と平行である。本実施形態では、領域11aは、領域11aの全体を囲むように位置している。この場合、領域11aは、枠状の、連続した平坦面である。窪み21の深さは、たとえば、0.5〜2.0μmである。窪み21の深さは、半導体領域15の深さの最大値より小さい。領域11a(複数の窪み21の表面)は、光学的に露出していてもよい。領域11aが光学的に露出している構成は、領域11aが空気などの雰囲気ガスと接する構成のみならず、領域11a上に光学的に透明な膜が形成されている構成も含む。
複数の窪み21は、たとえば、図2及び図3に示されるように、二次元配列されていてもよい。この場合、複数の窪み21は、互いに直交する二つの方向に、等間隔で並んでいてもよい。図2及び図3に示された複数の窪み21は、互いに直交するX方向及びY方向に、等間隔で並んでいる。図2及び図3は、複数の窪みの配列の一例を示す図である。図3は、複数の窪み21が形成されている主面11a(領域11a)を、半導体基板11の平面(主面11b)に直交する方向が0°であると規定された場合に、斜め30°から観察したSEM画像である。
各窪み21の表面は、たとえば、複数の傾斜面21aを含んでいる。図2及び図3に示された各窪み21の表面は、四つの傾斜面21aを含んでいる。窪み21の内側空間は、四つの傾斜面21aで画成される。窪み21の内側空間の形状は、四角錐状である。各窪み21は、同じ形状である。互いに隣り合う窪み21の最深位置、すなわち、窪み21の内側空間の頂点の、X方向での間隔(ピッチ)Pは、たとえば、0.5〜3.0μmである。互いに隣り合う窪み21の最深位置、すなわち、窪み21の内側空間の頂点の、Y方向での間隔(ピッチ)Pは、たとえば、0.5〜3.0μmである。本実施形態では、間隔Pと間隔Pとは、同等である。間隔Pと間隔Pとは、異なっていてもよい。
領域11aは、互いに隣り合う窪み21の間に位置する平坦面22を含んでいる。この場合、Z方向から見て、複数の窪み21は、平坦面22を挟んで、間接的に隣り合っている。Z方向から見て、各窪み21は、平坦面22で囲まれている。Z方向は、主面11bに直交する方向と平行である。領域11aが含んでいる平坦面22は、領域11aを含む仮想平面に含まれる。領域11aが含んでいる平坦面22と主面11bとの間隔は、領域11aと主面11bとの間隔と同等である。領域11aが含んでいる平坦面22は、格子状である。領域11aが含んでいる平坦面22の幅は、たとえば、0〜1.6μmである。領域11aが含んでいる平坦面22の幅が、0μmである場合、図4に示されるように、複数の窪み21は、Z方向から見て、直接的に隣り合う。図4は、複数の窪みの配列の一例を示す図である。図4は、複数の窪み21が形成されている主面11a(領域11a)を、図3と同じく斜め30°から観察したSEM画像である。
複数の窪み21は、たとえば、図5及び図6に示されるように、二次元配列されていてもよい。この場合、X方向に配置されている複数の窪み21からなる第一列と、第一列とY方向で隣り合い、かつ、X方向に配置されている複数の窪み21からなる第二列とでは、窪み21の位置が、X方向に所定ピッチずれている。所定ピッチは、互いに隣り合う窪み21の最深位置の、X方向での間隔Pより小さい。所定ピッチは、たとえば、間隔Pの半分である。図2〜図4に示された構成と、図5及び図6に示された構成とでは、複数の窪み21の配列が相違する。図5及び図6は、複数の窪みの配列の一例を示す図である。図6は、複数の窪み21が形成されている主面11a(領域11a)を、図3と同じく斜め30°から観察したSEM画像である。
複数の窪み21は、たとえば、図7及び図8に示されるように、一次元配列されていてもよい。複数の窪み21は、一の方向に、等間隔で並んでいてもよい。この場合、各窪み21は、複数の窪み21が並んでいる上記一の方向と交差する方向に、延在していてよい。図7及び図8に示された複数の窪み21は、Y方向に等間隔で並んでいると共に、X方向に延在している。図2及び図3に示された構成と、図7及び図8に示された構成とでは、複数の窪み21の形状及び配列が相違する。図7及び図8は、複数の窪みの配列の一例を示す図である。図8は、複数の窪み21が形成されている主面11a(領域11a)を、半導体基板11の平面(主面11b)に直交する方向が0°であると規定された場合に、斜め10°から観察したSEM画像である。
図7及び図8に示された各窪み21の表面も、四つの傾斜面21aを含んでいる。窪み21の内側空間は、四つの傾斜面21aで画成される。窪み21の内側空間の形状は、三角柱状である。窪み21の内側空間は、X方向に延在している。各窪み21は、同じ形状である。互いに隣り合う窪み21の最深位置、すなわち、窪み21の内側空間の頂点の、Y方向での間隔Pは、たとえば、0.5〜3.0μmである。
複数の窪み21は、たとえば、図9に示されるように、複数の窪み23と、複数の窪み25とを含んでいてもよい。この場合、各窪み23の形状と、各窪み25の形状とは、相違している。図9は、複数の窪みの配列の一例を示す図である。
各窪み23の表面は、図2〜図4に示された窪み21の表面と同じく、四つの傾斜面23aを含んでいる。窪み23の内側空間は、四つの傾斜面23aで画成される。窪み23の内側空間の形状は、四角錐状である。複数の窪み23は、二次元配列されている。複数の窪み21は、互いに直交するX方向及びY方向に、等間隔で並んでいる。
各窪み25の表面は、図7及び図8に示された窪み21の表面と同じく、四つの傾斜面25aを含んでいる。窪み25の内側空間は、四つの傾斜面25aで画成される。窪み25の内側空間の形状は、三角柱状である。
複数の窪み25は、複数の窪み23が設けられている領域の外側に設けられている。複数の窪み23が設けられている領域は、たとえば、多角形状を呈している。複数の窪み23が設けられている領域は、複数の辺を有している。図9に示された構成では、複数の窪み23が設けられている領域は、矩形状を呈している。複数の窪み25は、複数の窪み23が設けられている領域の各辺に沿って、配列されている。この場合、各窪み25は、複数の窪み23が設けられている領域の各辺と交差する方向に延在している。図9に示された例では、各窪み25は、複数の窪み23が設けられている領域の各辺と略直行する方向に延在している。図9に示された構成では、複数の窪み23が設けられている領域の外側に位置する四つの領域に設けられている。複数の窪み25は、複数の窪み23が設けられている領域の各辺と交差する方向に沿って、配列されていてもよい。この場合、各窪み25は、複数の窪み23が設けられている領域の各辺と略平行な方向に延在する。
複数の窪み21の表面は、図10及び図11に示されるように、湾曲していてもよい。すなわち、各窪み21の表面は、凹面形状を呈していてもよい。各窪み23,25の表面も、窪み21と同様に、湾曲していてもよい。図10及び図11は、複数の窪みの配列の一例を示す図である。図11の(a)は、複数の窪み21が形成されている主面11a(領域11a)を、半導体基板11の平面(主面11b)に直交する方向が0°であると規定された場合に、斜め34.7°から観察したSEM画像である。図11の(b)は、複数の窪み21が形成されている主面11a(領域11a)を、半導体基板11の平面(主面11b)に直交する方向が0°であると規定された場合に、斜め80°から観察したSEM画像である。複数の窪み21の表面が湾曲している場合でも、領域11bは、互いに隣り合う窪み21の間に位置する平坦面22を含んでいてもよい。
図2〜図9に示されている窪み21,23,25は、たとえば、以下の過程により形成されてもよい。以下の過程では、窪み21,23,25は、異方性ウエットエッチングにより形成される。
マスクMKが、半導体基板11の主面11aに形成される(図12の(a)を参照)。マスクMKには、各窪み21,23,25の形成予定領域に対応する位置に開口MKaが形成されている。マスクMKは、レジストマスク又はハードマスクである。レジストマスクは、レジスト材料からなる。ハードマスクは、酸化シリコン(SiO)又は窒化シリコン(Si)からなる。図12は、複数の窪みの形成過程を示す図である。図12では、断面を表すハッチングが省略されている。
マスクMKが形成されている半導体基板11が、エッチング液に浸漬される。エッチング液への浸漬により、半導体基板11に対して、異方性ウエットエッチングが施される。エッチング液が、開口MKaを通して半導体基板11に達すると、エッチング液は、半導体基板11を侵食する(図12の(b)を参照)。この場合、エッチングは、シリコン基板である半導体基板11の面方位に応じて進む。半導体基板11における、マスクMK直下の少なくとも一部の領域は、エッチングされることなく残る。この結果、複数の窪み21,23,25が、半導体基板11に形成される(図12の(c)を参照)。半導体基板11が〔100〕面からエッチングされる場合、〔111〕面が、各窪み21,23,25の表面に現れる。〔111〕面は、〔100〕面に対して54.7°を有している。したがって、各窪み21,23,25の表面は、四つの傾斜面21a,23a,25aを含む。エッチング液は、たとえば、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム溶液)である。
複数の窪み21,23,25が半導体基板11に形成された後、マスクMKが除去される(図12の(d)を参照)。半導体基板11における、マスクMK直下の領域は、平坦面22を含む。マスクMKが除去されることにより、半導体基板11の主面11aが、平坦面22として露出する。平坦面22の幅は、たとえば、半導体基板11がエッチング液に浸漬される時間により調整される。半導体基板11がエッチング液に浸漬される時間が長いほど、平坦面22の幅は小さくなる。
図10及び図11に示されている窪み21は、たとえば、以下の過程により形成されてもよい。以下の過程では、窪み21は、等方性ドライエッチングにより形成される。
マスクMKが、半導体基板11の主面11aに形成される(図13の(a)を参照)。マスクMKには、各窪み21の形成予定領域に対応する位置に開口MKaが形成されている。マスクMKは、たとえば、レジストマスクである。レジストマスクは、レジスト材料からなる。図13は、複数の窪みの形成過程を示す図である。図13では、断面を表すハッチングが省略されている。
マスクMKが形成されている半導体基板11が、ケミカルドライエッチング(CDE)装置のチャンバ内に配置される。その後、エッチングガスにより、半導体基板11に対して、等方性ドライエッチングが施される。エッチングガスが、開口MKaを通して半導体基板11に達すると、エッチングガスは、半導体基板11を侵食する(図13の(b)を参照)。この場合、エッチングは、等方的に進む。半導体基板11における、マスクMK直下の少なくとも一部の領域は、エッチングされることなく残る。この結果、複数の窪み21が、半導体基板11に形成される(図13の(c)を参照)。窪み21の表面は、湾曲している。エッチングガスは、たとえば、ClとHBrとが混合されたガス、又は、CFとOとが混合されたガスである。
複数の窪み21が半導体基板11に形成された後、マスクMKが除去される(図13の(d)を参照)。半導体基板11における、マスクMK直下の領域は、平坦面22を含む。マスクMKが除去されることにより、半導体基板11の主面11aが、平坦面22として露出する。平坦面22の幅は、たとえば、エッチング時間により調整される。エッチング時間が長いほど、平坦面22の幅は小さくなる。
複数の窪み21は、半導体領域15が形成されている半導体基板11に形成されてもよい。この場合、図1に示されるように、半導体領域15の厚みは、複数の窪み21の表面形状に対応して変化する。pn接合の形状は、略平坦である。
複数の窪み21は、半導体領域15が形成されていない半導体基板11に形成されてもよい。すなわち、半導体領域15は、複数の窪み21が形成されていない半導体基板11に形成されてもよい。この場合、図14に示されるように、領域11aが含んでいる平坦面22を含む平面を基準面として、半導体領域15の基準面からの厚みが、複数の窪み21の表面形状に対応して変化する。この場合、pn接合の形状も、複数の窪み21の表面形状に対応して変化する。平坦面22は、複数の窪み21の各開口縁を含む平面でもある。図14は、第一実施形態の第一変形例に係る半導体光検出素子の断面構成を示す図である。
半導体光検出素子1は、絶縁膜31を備えている。絶縁膜31は、半導体基板11の主面11bに配置されている。絶縁膜31は、主面11b上に形成されており、主面11bと接している。絶縁膜31は、各窪み21の表面を覆っている。絶縁膜31の表面は、各窪み21に対応する位置で窪んでいてもよい。絶縁膜31は、たとえば、酸化膜である。本実施形態では、絶縁膜31は、酸化シリコン(SiO)からなる。絶縁膜31は、窒化シリコン(Si)からなっていてもよい。半導体光検出素子1が、たとえば、裏面入射型のフォトダイオードである場合、絶縁膜31は、たとえば、反射防止膜として機能してもよい。
以上のように、第一実施形態では、複数の窪み21が領域11aに設けられている。
光が主面11aに入射する場合、光は、領域11aにて散乱される。散乱された光は、半導体基板11内を様々な方向に進む。したがって、複数の窪み21が領域11aに設けられている構成では、半導体基板11の主面11aが平らである構成に比して、半導体基板11内での光の走行距離が増加する。半導体基板11に入射した光は、半導体基板11内を長い距離進むので、より多くの光が電荷に変換される。この結果、半導体光検出素子1は、近赤外の波長帯域での分光感度特性を向上する。
領域11aから入射した後、半導体基板11内を進み、主面11bに達する光は、主面11bに直交する方向と交差する方向から主面11bに入射する確率が高い。主面11bに直交する方向と交差する方向から主面11bに入射する光が、主面11bで反射される場合、光は半導体基板11内を更に進む。この場合、半導体基板11内での光の走行距離がより一層増加し、より多くの光が電荷に変換される。したがって、シリコンによる吸収係数が小さい近赤外の波長帯域の光であっても、半導体基板11で吸収される。この結果、半導体光検出素子1は、近赤外の波長帯域での分光感度特性をより一層向上する。
半導体光検出素子1では、半導体基板11の主面11a(領域11a)に、複数の窪み21が規則的に配置されるように形成されている。したがって、半導体光検出素子1では、半導体基板11の主面11aに不規則な凹凸が形成されている構成に比して、分光特性の制御性が低下しがたい。また、半導体光検出素子1では、半導体基板11の主面11aに不規則な凹凸が形成されている構成に比して、分光感度特性のばらつきが生じがたい。本実施形態では、分光特性の制御性が低下しがたく、かつ、分光感度特性のばらつきが生じがたい表面入射型の半導体光検出素子1が実現される。
半導体基板11の主面11aに不規則な凹凸が形成されている構成では、凹凸の形状を制御しがたい。これに対し、複数の窪み21が規則的に配置されるように形成されている構成では、各窪み21の形状を制御しやすい。したがって、半導体光検出素子1では、各窪み21の形状を制御することにより、特定の波長に対する分光特性を簡易に制御することが可能である。したがって、半導体光検出素子1では、分光特性の制御性が低下しがたい。たとえば、半導体光検出素子1では、分光反射率が、一部の波長で高くならずに、広い波長範囲で低くなるおそれがない。窪み21の形状は、たとえば、窪み21の深さ、窪み21の幅、又は、窪み21のピッチを含む。
特許文献1では、不規則な凹凸は、レーザ光をシリコン基板に照射することにより形成されている。レーザ装置は、均一な照射条件で常に安定して動作しがたい。したがって、一つの製品内で、凹凸が形成される位置によって、凹凸の形状、又は、サイズが大幅に異なるおそれがある。この場合、たとえば、分光反射率が、広い波長範囲で更に低くなるおそれがある。また、製品毎で、形成される凹凸の形状及びサイズが、大幅に異なるおそれがある。
半導体光検出素子1では、複数の窪み21がエッチングにより形成されているので、レーザ照射により生じる上述した事象は生じがたい。すなわち、半導体光検出素子1では、分光特性の制御性がより一層低下しがたい。また、半導体光検出素子1では、分光感度特性のばらつきがより一層生じがたい。
不規則な凹凸が、レーザ光をシリコン基板に照射することにより形成される場合、以下の事象が生じるおそれがある。
レーザ光の照射により不規則な凹凸が形成された領域には、結晶欠陥が生じ、シリコン基板の結晶性が劣化する。シリコン基板の結晶性が劣化すると、光の入射によらずに電荷がシリコン基板に発生し、当該電荷により暗電流が発生するおそれがある。
不規則な凹凸を形成し終えるまでの時間が長く、生産性が低下するおそれがある。
半導体光検出素子1では、複数の窪み21がエッチングにより形成されているので、レーザ照射により生じる上述した事象は生じがたい。すなわち、半導体光検出素子1では、半導体基板11の結晶性が劣化しがたく、暗電流の発生が抑制される。また、半導体光検出素子1では、生産性の低下が抑制される。
半導体光検出素子1では、複数の窪み21の各開口縁を含む平面を基準面として、半導体領域15の基準面からの厚みが、複数の窪み21の表面形状に対応して変化していてもよい。この場合、半導体領域15の厚みが適切に確保される。したがって、半導体光検出素子1の検出感度が容易に確保される。
次に、図15を参照して、第一実施形態の第二変形例の構成を説明する。図15は、第一実施形態の第二変形例に係る半導体光検出素子の断面構成を示す図である。第二変形例は、概ね、第一実施形態と類似又は同じであるが、本変形例は、反射膜33に関して、第一実施形態と相違する。以下、第一実施形態と第二変形例との相違点を主として説明する。
第二変形例では、半導体光検出素子1は、反射膜33を備えている。反射膜33は、半導体基板11の主面11b側に配置されている。反射膜33は、絶縁膜31上に形成されている。反射膜33は、主面11bの全体を間接的に覆っている。反射膜33は、たとえば、金属からなる。反射膜33は、たとえば、アルミニウム(Al)又は金(Au)からなる。半導体光検出素子1は、反射膜33上に配置されている絶縁膜を備えていてもよい。反射膜33上に配置される絶縁膜は、たとえば、酸化シリコン(SiO)からなる。反射膜33は、主面11bと接するように、半導体基板11に配置されていてもよい。
次に、図16を参照して、第一実施形態の第三変形例の構成を説明する。図16は、第一実施形態の第三変形例に係る半導体光検出素子の断面構成を示す図である。第三変形例は、概ね、第一実施形態と類似又は同じであるが、本変形例は、反射膜35に関して、第一実施形態と相違する。以下、第一実施形態と第三変形例との相違点を主として説明する。
第三変形例では、半導体光検出素子1は、たとえば、裏面入射型のフォトダイオードアレイである。半導体光検出素子1は、反射膜35を備えている。反射膜35は、半導体基板11の主面11a側に配置されている。反射膜35は、領域11aを間接的に覆うように、絶縁膜19上に形成されている。反射膜35は、たとえば、金属からなる。反射膜35は、たとえば、アルミニウム(Al)又は金(Au)からなる。反射膜35が、電極E1,E2と同じ材料からなる場合、反射膜35は、電極E1,E2のいずれか一方と一体的に形成されていてもよい。
次に、図17を参照して、第一実施形態の第四変形例の構成を説明する。図17は、第一実施形態の第四変形例に係る半導体光検出素子の断面構成を示す図である。第四変形例は、概ね、第一実施形態と類似又は同じであるが、本変形例は、複数の窪み21が主面11bに形成されている構成に関して、第一実施形態と相違する。以下、第一実施形態と第四変形例との相違点を主として説明する。
第四変形例では、図17に示されるように、複数の窪み21が主面11bにも形成されている。複数の窪み21は、主面11bにおける、pn接合に対向する領域に形成されている。主面11bは、領域11bと、領域11bとを含んでいる。領域11bは、半導体領域15と対向している。領域11bは、領域11bを囲むように、領域11bの外側に位置している。領域11bには、上述したように、複数の窪み21が設けられている。複数の窪み21は、規則的に配置されるように、領域11bに形成されている。本実施形態では、複数の窪み21は、周期的に配置されている。領域11bは、平坦面である。領域11bは、主面11aを含む仮想平面と平行である。本実施形態では、領域11bは、領域11bの全体を囲むように位置している。この場合、領域11bは、枠状の、連続した平坦面である。主面11bに形成される窪み21の深さは、たとえば、0.5〜2.0μmである。領域11b(複数の窪み21の表面)は、光学的に露出していてもよい。領域11bが光学的に露出している構成は、領域11bが空気などの雰囲気ガスと接する構成のみならず、領域11b上に光学的に透明な膜が形成されている構成も含む。
主面11bの全体に、複数の窪み21が設けられていてもよい。主面11bに形成される窪み21の形状も、図2〜図8、図10、及び図11に示された形状であってもよい。主面11bに形成される複数の窪み21は、たとえば、図9に示されるように、複数の窪み23と、複数の窪み25とを含んでいてもよい。
本発明者らは、第一実施形態による近赤外の波長帯域での分光感度特性の向上効果を確認するための実験を行なった。
本発明者らは、図1に示された半導体光検出素子1(実施例1と称する)と、図15に示された半導体光検出素子1(実施例2と称する)と、複数の窪み21が形成されていない半導体光検出素子(比較例1と称する)とを作製し、それぞれの分光感度特性を調べた。実施例1と比較例1とは、複数の窪み21の形成有無の点を除いて、同じ構成である。複数の窪み21は、図4に示されるように二次元配列されている。各間隔P,Pは、1.2μmである。各窪み21の深さは、0.84μmである。半導体基板11のサイズは、3mm×3mmである。半導体領域15、すなわち光感応領域のサイズは、2.4mm×2.3mmである。各半導体光検出素子に印加するバイアス電圧VRは、0Vである。
結果を図18に示す。図18において、実施例1の分光感度特性はTe1で示され、実施例2の分光感度特性はTe2で示され、比較例1の分光感度特性は特性Tc1で示されている。図18において、縦軸は分光感度(a.u.)を示し、横軸は光の波長(nm)を示している。図18は、実施例1及び2、並びに、比較例1における、波長に対する分光感度の変化を示す線図である。
図18から分かるように、実施例1及び2では、近赤外の波長帯域以下の波長域での分光感度が大幅に向上している。実施例2は、実施例1と比較して、近赤外の波長帯域以下の波長域での分光感度が向上している。
光Lが主面11aに入射する場合、図19に示されるように、一部の光は、窪み21の表面(たとえば、傾斜面21a)で反射する。この場合、たとえば、一つの傾斜面21aで反射した光は、当該傾斜面21aと隣接する傾斜面21aに入射する。すなわち、窪み21の表面で反射した光が、窪み21の表面に再入射する。したがって、窪み21の表面に入射する光Lの多くが、半導体基板11に取り込まれる。この結果、半導体光検出素子1に入射する光の多くが電荷に変換される。
本発明者らの調査研究の結果、本発明者らは、後述するように、領域11aでの波長毎の反射率が、窪み21の形状に応じて変化することを新たに見出した。ここでの反射率は、光が主面11bに直交する方向(Z方向)から主面11a(領域11a)に入射した場合に、主面11aに入射する光の光量に対する、主面11aで正反射される光、すなわち、戻り光の光量の割合で表すことが可能である。
本発明者らは、窪み21の深さ及び間隔が異なる複数の半導体光検出素子(実施例3〜6と称する)と、窪み21が形成されていない半導体光検出素子(比較例2と称する)とを作製し、各半導体光検出素子での反射率を波長毎に調べた。各実施例3〜6での半導体光検出素子は、図1に示された半導体光検出素子1であり、窪み21の深さ及び間隔が異なる点を除いて同じ構成を有している。複数の窪み21は、図3に示されるように二次元配列されている。実施例3〜6と比較例2とは、複数の窪み21の形成有無の点を除いて、同じ構成である。
実施例3では、窪み21の深さが0.4μmであり、窪み21の間隔が0.8μmである。実施例4では、窪み21の深さが0.6μmであり、窪み21の間隔が1.2μmである。実施例5では、窪み21の深さが0.8μmであり、窪み21の間隔が1.6μmである。実施例6では、窪み21の深さが1.1μmであり、窪み21の間隔が2.4μmである。
結果を図20に示す。図20において、実施例3の反射率特性はTe3で示され、実施例4の反射率特性はTe4で示され、実施例5の反射率特性はTe5で示され、実施例6の反射率特性はTe6で示され、比較例2の分光感度特性は特性Tc3で示されている。図20において、縦軸は反射率(%)を示し、横軸は光の波長(nm)を示している。図20は、実施例3〜6及び比較例2における、波長に対する反射率の変化を示す線図である。
図20から分かるように、実施例3〜6では、比較例2に比して、近赤外の波長帯域以下の波長域での反射率が低下している。
350〜600nmの波長帯域での反射率は、実施例3〜6でばらついている、すなわち、領域11aでの波長毎の反射率が、窪み21の形状に応じて変化している。したがって、窪み21の形状を選択することにより、所望の分光反射率が得られる。たとえば、所定の波長を有する信号が透過されがたい構成を得る場合、所定の波長での反射率が高まるように、窪み21の形状が選択されればよい。本発明者らは、半導体基板11の主面11aに不規則な凹凸が形成されている構成では、350〜600nmの波長帯域でも、600nm以上の波長帯域と同様に、低い反射率が維持されると推測している。
(第二実施形態)
図21を参照して、第二実施形態に係る半導体光検出素子2の構成を説明する。図21は、第二実施形態に係る半導体光検出素子の断面構成を示す図である。第二実施形態では、半導体光検出素子2は、たとえば、表面入射型のアバランシェフォトダイオードである。
半導体光検出素子2は、波長領域が可視〜近赤外領域にある低エネルギー光を検出するためのアバランシェフォトダイオードである。半導体光検出素子2は、半導体基板40を備えている。半導体基板40の導電型は、たとえば、p型である。半導体基板40は、シリコン(Si)結晶からなる基板である。半導体基板40は、互いに対向している主面40a及び主面40bを有している。半導体基板40は、光感応領域41を含んでいる。光感応領域41は、入射光に応じて電荷が発生する領域である。導電型に付される「−」は、低不純物濃度であることを示しており、たとえば、不純物濃度が約1×1015cm−3以下であることを示す。たとえば、主面40aが第一主面を構成する場合、主面40bは第二主面を構成する。
光感応領域41は、平面視で主面40aの中央部に設けられている。光感応領域41は、主面40aから半導体基板40の内側に向けて厚みを有している。光感応領域41は、半導体領域43と、半導体領域45とを含んでいる。半導体領域43の導電型は、n型である。半導体領域45の導電型は、p型である。導電型に付される「+」は、高不純物濃度であることを示しており、たとえば、不純物濃度が約1×1017cm−3以上であることを示す。光感応領域41は、半導体基板40において、バイアス電圧を印加した際に空乏化する領域も含んでいる。半導体領域43は、主面40aから半導体基板40の内側に向けて厚みを有している。半導体領域43は、ガードリング43aを有していてもよい。ガードリング43aの導電型は、n型である。ガードリング43aは、半導体領域43の周端に設けられている。半導体領域45は、半導体領域43から更に半導体基板40の内側に向けて厚みを有している。半導体基板40は、拡散遮蔽領域47を有する。拡散遮蔽領域47の導電型は、p型である。拡散遮蔽領域47は、平面視で主面40aの周端に位置している。拡散遮蔽領域47は、主面40aから半導体基板40の内側に向けて厚みを有している。拡散遮蔽領域47は、光感応領域41を囲むように設けられている。拡散遮蔽領域47は、半導体基板40の主面40a側の、半導体領域43が形成されていない領域に形成されている。たとえば、半導体領域43が第一半導体領域を構成する場合、拡散遮蔽領域47は第二半導体領域を構成する。
半導体基板40は、p型不純物が添加されたシリコン基板である。半導体領域45は、半導体基板40よりもp型不純物が高濃度に添加された領域である。拡散遮蔽領域47は、半導体領域45よりもp型不純物が高濃度で添加された領域である。半導体領域43は、n型不純物が添加された領域である。半導体領域43と半導体領域45とは、半導体基板40内においてpn接合を構成している。
半導体光検出素子2は、パッシベーション膜49を有している。パッシベーション膜49は、主面40a上に積層されている。半導体光検出素子2は、電極51及び電極53を有している。電極51及び電極53は、パッシベーション膜49上に配置されている。パッシベーション膜49には、半導体領域43上にコンタクトホールH11が設けられていると共に、拡散遮蔽領域47上にコンタクトホールH12が設けられている。電極51は、コンタクトホールH11を介して半導体領域43に電気的に接触且つ接続されている。電極53は、コンタクトホールH12を介して拡散遮蔽領域47に電気的に接触且つ接続されている。パッシベーション膜49は、たとえば、酸化シリコンからなる。電極51,53は、たとえば、アルミニウム(Al)からなる。
半導体光検出素子2は、主面40b側に形成されている凹部55を有している。凹部55は、半導体基板40が主面40bから薄化されることにより形成されている。凹部55の周囲には、枠部が存在している。枠部での半導体基板40の厚みは、凹部55が形成されている位置での半導体基板40の厚みより大きい。凹部55の側面は、凹部55の底面に対して鈍角を成して傾斜している。凹部55は、平面視で光感応領域41に重なるように形成されている。凹部55の底面と主面40aとの間の厚みは、たとえば、約100〜200μmである。本実施形態では、凹部55の底面と主面40aとの間の厚みは、約150μmである。凹部55の底面と主面40aとの間の厚みが、比較的小さい構成では、応答速度が高速化されると共に、半導体光検出素子2に印加するバイアス電圧が低減される。凹部55の底面、凹部55の側面、及び枠部の表面は、それぞれ平坦面である。
主面40aは、領域40aと、領域40aとを含んでいる。領域40aは、半導体領域43の表面を含んでいる。領域40aは、領域40aを囲むように、領域40aの外側に位置している。領域40aは、拡散遮蔽領域47の表面を含んでいる。領域40aには、複数の窪み21が設けられている。すなわち、半導体領域43は、複数の窪み21が形成されている領域(領域40a)の直下に形成されている。複数の窪み21は、規則的に配置されるように、領域40aに形成されている。本実施形態では、複数の窪み21は、周期的に配置されている。領域40aは、平坦面である。領域40aは、枠部の表面を含む仮想平面と平行である。本実施形態では、領域40aは、領域40aの全体を囲むように位置している。この場合、領域40aは、枠状の、連続した平坦面である。窪み21の深さは、たとえば、0.5〜2.0μmである。窪み21の深さは、半導体領域43の深さの最大値より小さい。
窪み21の形状は、図2〜図8、図10、及び図11に示された形状であってもよい。複数の窪み21は、たとえば、図9に示されるように、複数の窪み23と、複数の窪み25とを含んでいてもよい。複数の窪み21は、主面40aの全体に形成されていてもよい。複数の窪み21は、第一実施形態と同様に、エッチングにより形成される。領域40a(複数の窪み21の表面)は、光学的に露出していてもよい。領域40aが光学的に露出している構成は、領域40aが空気などの雰囲気ガスと接する構成のみならず、領域40a上に光学的に透明な膜が形成されている構成も含む。
半導体基板40は、半導体領域57を有している。半導体領域57は、半導体基板40の主面40b側に配置されている。半導体領域57は、凹部55の底面に対応する領域を有している。半導体領域57は、半導体基板40と同じ導電型である。半導体領域57の不純物濃度は、半導体基板40の不純物濃度よりも大きい。半導体領域57は、たとえば、主面40bから半導体基板40内に不純物をイオン注入又は拡散させることによって形成されている。半導体領域57は、不純物をイオン注入又は拡散させた後に熱処理(アニール)することにより、活性化されている。半導体領域57の厚みは、たとえば、1.5μmである。
半導体光検出素子2は、電極59を有している。電極59は、半導体領域57上に設けられており、半導体領域57に電気的に接触且つ接続されている。半導体領域57における電極59が形成された領域は、光学的に露出していない。半導体領域57は、アキュムレーション層としても機能する。電極59は、たとえば、金(Au)からなる。
逆バイアス電圧(ブレークダウン電圧)が電極51と電極59との間に印加されている場合、半導体光検出素子2は、光感応領域41に入射する光量に応じたキャリアが光感応領域41で生成される。拡散遮蔽領域47の近傍で生成された電荷は、拡散遮蔽領域47に流れ込む。したがって、電極51からの出力信号に生じる裾引きは、拡散遮蔽領域47により低減される。
複数の窪み21は、半導体領域43,45及び拡散遮蔽領域47が形成されている半導体基板40に形成されてもよい。この場合、図21に示されるように、半導体領域43の厚みは、複数の窪み21の表面形状に対応して変化する。pn接合の形状は、略平坦である。
複数の窪み21は、半導体領域43,45及び拡散遮蔽領域47が形成されていない半導体基板40に形成されてもよい。すなわち、半導体領域43は、複数の窪み21が形成されていない半導体基板40に形成されてもよい。この場合、図22に示されるように、領域40aが含んでいる平坦面22を含む平面を基準面として、半導体領域43の基準面からの厚みが、複数の窪み21の表面形状に対応して変化する。平坦面22は、複数の窪み21の各開口縁を含む平面でもある。半導体領域45の形状は、複数の窪み21の表面形状に対応して変化する。この場合、pn接合の形状も、複数の窪み21の表面形状に対応して変化する。図22は、第二実施形態の第一変形例に係る半導体光検出素子の断面構成を示す図である。
以上のように、第二実施形態では、複数の窪み21が領域40aに設けられている。
光が主面40aに入射する場合、光は、領域40aにて散乱される。散乱された光は、半導体基板40内を様々な方向に進む。したがって、複数の窪み21が領域40aに設けられている構成では、半導体基板40の主面40aが平らである構成に比して、半導体基板40内での光の走行距離が増加する。半導体基板40に入射した光は、半導体基板40内を長い距離進むので、より多くの光が電荷に変換される。この結果、半導体光検出素子2は、近赤外の波長帯域での分光感度特性を向上する。
領域40aから入射した後、半導体基板40内を進み、たとえば、凹部55の底面に達する光は、凹部55の底面に直交する方向と交差する方向から凹部55の底面に入射する確率が高い。凹部55の底面に直交する方向と交差する方向から凹部55の底面に入射する光が、凹部55の底面で反射される場合、光は半導体基板40内を更に進む。この場合、半導体基板40内での光の走行距離がより一層増加し、より多くの光が電荷に変換される。したがって、シリコンによる吸収係数が小さい近赤外の波長帯域の光であっても、半導体基板40で吸収される。この結果、半導体光検出素子2は、近赤外の波長帯域での分光感度特性をより一層向上する。
半導体光検出素子2では、半導体基板40の主面40a(領域40a)に、複数の窪み21が規則的に配置されるように形成されている。したがって、半導体光検出素子2では、半導体基板40の主面40aに不規則な凹凸が形成されている構成に比して、分光特性の制御性が低下しがたい。半導体光検出素子2では、半導体基板40の主面40aに不規則な凹凸が形成されている構成に比して、分光感度特性のばらつきが生じがたい。
半導体基板40の主面40aに不規則な凹凸が形成されている構成では、凹凸の形状を制御しがたい。これに対し、複数の窪み21が規則的に配置されるように形成されている構成では、各窪み21の形状を制御しやすい。したがって、半導体光検出素子2では、各窪み21の形状を制御することにより、特定の波長に対する分光特性を簡易に制御することが可能である。したがって、半導体光検出素子2では、分光特性の制御性が低下しがたい。たとえば、半導体光検出素子2では、分光反射率が、一部の波長で高くならずに、広い波長範囲で低くなるおそれがない。
複数の窪み21の形状を適切に設定することにより、たとえば、特定波長帯の光の反射率が高くされ、当該特定波長帯の光の吸収が抑えられる。この場合、複数の窪み21が規則的に配置されるように形成されている構成は、波長フィルタの機能を有する。複数の窪み21の形状は、たとえば、深さ、開口サイズ、ピッチ、又はパターンを含む。
半導体光検出素子2では、複数の窪み21がエッチングにより形成されているので、上述したように、分光特性の制御性がより一層低下しがたい。また、半導体光検出素子2では、分光感度特性のばらつきがより一層生じがたい。
半導体光検出素子2では、半導体基板40の結晶性が劣化しがたく、暗電流の発生が抑制される。また、半導体光検出素子2では、生産性の低下が抑制される。
半導体光検出素子2では、複数の窪み21の各開口縁を含む平面を基準面として、半導体領域43の基準面からの厚みが、複数の窪み21の表面形状に対応して変化していてもよい。この場合、半導体領域43の厚みが適切に確保される。したがって、半導体光検出素子2の検出感度が容易に確保される。
半導体光検出素子2では、半導体基板40の主面40bに、半導体領域57が設けられている。各窪み21の表面は、半導体領域57の表面に含まれている。半導体領域57が、光によらずに発生する電荷を再結合させ、暗電流を低減する。半導体領域57は、半導体基板40の主面40b付近で光により発生したキャリアが主面40bでトラップされるのを抑制する。したがって、光により発生した電荷は、pn接合へ効率的に移動する。これらの結果、半導体光検出素子2は、光検出感度を向上させる。
半導体基板40は、必ずしも半導体領域57を含んでいる必要はない。半導体基板40が半導体領域57を含まない場合、パッシベーション膜49及び電極51,53,59が形成される前に、半導体基板11が熱処理(アニール)されてもよい。
高いバイアス電圧が半導体光検出素子2に印加される場合、以下の事象が生じるおそれがある。
たとえば、窪み21が、図2及び図3に示されるように、複数の傾斜面21aを有している構造では、窪み21の最深位置に電界が集中するおそれがある。たとえば、窪み21の表面が、図10及び図11に示されるに、湾曲している構造では、電界集中が生じがたい。電界集中が生じた場合、マイクロプラズマが発生して、暗電流が増加するおそれがある。
次に、図23を参照して、第二実施形態の第二変形例の構成を説明する。図23は、第二実施形態の第二変形例に係る半導体光検出素子の断面構成を示す図である。本変形例は、概ね、第二実施形態と類似又は同じであるが、本変形例は、支持基板60が配置されている構成に関して、第二実施形態と相違する。以下、第二実施形態と本変形例との相違点を主として説明する。
本変形例では、図23に示されるように、半導体光検出素子2は、支持基板60を備えている。支持基板60は、主面40bと対向するように、半導体基板40に配置されている。支持基板60は、たとえば、シリコン基板である。半導体基板40と支持基板60との間には、樹脂層RLが配置されている。樹脂層RLは、たとえば、主成分が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びエポキシ系樹脂のいずれかである樹脂からなる。支持基板60は、樹脂層RLにより、半導体基板40に接着されている。支持基板60の、主面40bと対向する面には、反射膜RFが配置されている。反射膜RFは、樹脂層RLと接する。反射膜RFは、たとえば、金属からなる。反射膜RFは、たとえば、アルミニウム(Al)からなる。本変形例では、半導体光検出素子2は、電極59を備えていない。半導体基板40の主面40bには、支持基板60(反射膜RF)を通して、バイアス電圧が印加されてもよい。この場合、樹脂層RLにより、半導体基板40と支持基板60との間に挿入される容量成分が形成される。なお、樹脂層RLに代えて、誘電体層が、半導体基板40と支持基板60との間に配置されていてもよい。誘電体層は、たとえば、酸化シリコン(SiO)からなる。
本変形例では、半導体光検出素子2は、支持基板60を備えているので、半導体光検出素子2の機械的強度が向上する。
続いて、第二実施形態の第二変形例に係る半導体光検出素子2の製造方法について説明する。
まず、半導体基板40が準備される。次に、半導体領域45及び拡散遮蔽領域47が、半導体基板40の主面40a側に形成される。半導体領域45は、中央部が開口したマスクなどを用い、半導体基板40内において主面40aからp型不純物を高濃度にイオン注入することにより形成される。拡散遮蔽領域47は、周辺部領域が開口した別のマスクなどを用い、半導体基板40内において主面40aからp型不純物を高濃度に拡散させることにより形成される。
半導体基板40がガードリング43aを有する場合、この過程にて、ガードリング43aが、半導体領域45の周囲に形成されてもよい。ガードリング43aは、リング状に開口したマスクなどを用い、半導体基板40内において主面40aからn型不純物を高濃度に拡散させることにより形成される。
次に、半導体基板40の主面40a側に、半導体領域43を形成する。半導体領域43は、中央部が開口した別のマスクなどを用い、半導体基板40内において主面40aからn型不純物を高濃度にイオン注入することにより形成される。
次に、半導体基板40の主面40aに、複数の窪み21が形成される。複数の窪み21は、上述したように、エッチングにより形成される。エッチングにより形成される窪み21の深さは、半導体領域43の厚みより小さい。
次に、半導体基板40が熱処理(アニール)される。たとえば、半導体基板40が、Nガスといった雰囲気下で、約800〜1000℃の範囲で、約0.5〜1.0時間にわたって加熱される。この熱処理により、半導体基板40における結晶損傷の回復及び再結晶化が図れ、暗電流の増加が抑制される。
次に、パッシベーション膜49が、半導体基板40の主面40aに形成される。コンタクトホールH11,H12が、パッシベーション膜49に形成され、電極51,53が形成される。電極51は、コンタクトホールH11内に形成され、電極53は、コンタクトホールH12内に形成される。
次に、半導体基板40の主面40a側に、仮支持基板が仮接合される。仮支持基板は、接着樹脂により、半導体基板40に接合される。その後、半導体基板40が、主面40b側から薄化される。半導体基板40の薄化は、たとえば、機械研磨及び化学的機械研磨(CMP)により行われる。この場合、研磨剤によって機械研磨が行われた後に、化学的機械研磨が行われる。半導体基板40が薄化された後、n型不純物が、半導体基板40内において主面40bから高濃度に拡散されてもよい。
次に、支持基板60が、半導体基板40に接合される。支持基板60は、反射膜RFが主面40bと対向している状態で、樹脂層RLにより半導体基板40に接合される。その後、仮支持基板が、半導体基板40から剥離される。
これらの過程により、半導体光検出素子2が得られる。
反射膜RFは、必ずしも支持基板60に形成されている必要はない。半導体基板40が薄化された後、反射膜RFが主面40bに直接形成されてもよい。この場合、反射膜RFは、たとえば、金(Au)からなる。反射膜RFは、接着樹脂により、半導体基板40(主面40b)に接合されてもよい。
半導体光検出素子2が、たとえば、裏面入射型のアバランシェフォトダイオードである場合、支持基板60は、ガラス基板であってもよい。この場合、半導体光検出素子2は、反射膜RFを備える必要はない。ガラス基板は、樹脂層RLと接する主面と、樹脂層RLと接する主面と対向する主面とを有する。樹脂層RLと接する主面と対向する主面には、光学フィルタが形成されていてもよい。光学フィルタは、たとえば、所定の波長帯域の光を透過させるフィルタ(バンドパスフィルタ)である。
複数の窪み21は、半導体領域43,45及び拡散遮蔽領域47が半導体基板40に形成される前に形成されてもよい。この場合、製造過程は、以下の過程を含む。
まず、半導体基板40が準備される。次に、半導体基板40の主面40aに、複数の窪み21が形成される。複数の窪み21は、上述したように、エッチングにより形成される。
次に、半導体領域45及び拡散遮蔽領域47が、上述したように、半導体基板40の主面40a側に形成される。半導体基板40がガードリング43aを有する場合、この過程にて、ガードリング43aが、上述したように、半導体領域45の周囲に形成されてもよい。
次に、半導体領域43が、上述したように、半導体基板40の主面40a側に形成される。半導体領域43が半導体基板40に形成された後は、製造過程は、半導体基板40を熱処理する過程以降の上述された過程を含んでもよい。
半導体光検出素子2がアバランシェフォトダイオードである場合、半導体領域43の厚みは、極めて薄い。半導体領域43の厚みは、たとえば、約1μmである。
半導体領域43の厚みが極めて薄いアバランシェフォトダイオードでは、pn接合は平坦であることが好ましい。アバランシェフォトダイオードの使用時には、pn接合に高電界が発生する。したがって、pn接合が平坦ではない構成では、発生する電界の強度にばらつきが生じるおそれがある。電界強度にばらつきが生じた場合、増倍特性にもばらつきが生じる。たとえば、有感領域の深さ、すなわち空乏層の厚みは、数十μm必要である。
複数の窪み21が、半導体領域43,45が形成されている半導体基板40に形成されている構成では、半導体領域43と半導体領域45とで構成されるpn接合が平坦である傾向を有する。したがって、上記構成を有する半導体光検出素子2では、電界強度のばらつきが生じがたく、増倍特性のばらつきも生じがたい。
複数の窪み21がエッチングにより形成される場合、各窪み21の深さが制御されやすい。したがって、pn接合が平坦である傾向を確実に有する。この結果、複数の窪み21が、半導体領域43,45が形成されている半導体基板40にエッチングにより形成されている構成では、電界強度のばらつきがより一層生じがたく、増倍特性のばらつきもより一層生じがたい。
(第三実施形態)
図24及び図25を参照して、第三実施形態に係る半導体光検出素子3の構成を説明する。図24は、第三実施形態に係る半導体光検出素子を示す平面図である。図25は、図24に示された半導体光検出素子のXXV−XXV線に沿った断面構成を示す図である。第三実施形態では、半導体光検出素子3は、たとえば、表面入射型のアバランシェフォトダイオードアレイである。
半導体光検出素子3では、基板62上に複数の半導体層及び絶縁層が積層されている。図24に示されるように、被検出光を入射させる複数の光検出チャンネルCHが、マトリクス状に形成されている。本実施形態では、16個の光検出チャンネルCHが、4×4のマトリクス状に形成されている。半導体光検出素子3は、フォトンカウンティング用マルチチャンネルアバランシェフォトダイオードである。半導体光検出素子3の上面には、信号導線63、抵抗64、及び電極パッド65が設けられている。基板62は、たとえば、一辺が約1mmの正方形状である。各光検出チャンネルCHは、たとえば、正方形状である。
信号導線63は、読み出し部63aと、接続部63bと、チャンネル外周部63cとを有している。読み出し部63aは、各光検出チャンネルCHから出力された信号を運ぶ。接続部63bは、各抵抗64と読み出し部63aとを接続する。チャンネル外周部63cは、各光検出チャンネルCHの外周を囲むように配線される。読み出し部63aは、当該読み出し部63aを挟んで隣接する2つの列に配置された光検出チャンネルCHそれぞれと接続されている。読み出し部63aの一端は、電極パッド65と接続されている。本実施形態では、フォトダイオードが4×4のマトリクス状に配置されているので、半導体光検出素子3上には2本の読み出し部63aが配線されている。2本の読み出し部63aは、電極パッド65に接続される。信号導線63は、たとえば、アルミニウム(Al)からなる。
抵抗64は、一端部64a及びチャンネル外周部63cを介して光検出チャンネルCHごとに設けられている。抵抗64は、他端部64b及び接続部63bを介して読み出し部63aに接続される。同一の読み出し部63aに接続される複数の抵抗64は、当該読み出し部63aに接続される。同一の読み出し部63aに接続される抵抗64の数は、8つである。抵抗64は、たとえば、ポリシリコン(Poly−Si)からなる。
次に、図25を参照して、半導体光検出素子3の断面構成について説明する。図25に示されるように、半導体光検出素子3は、導電型がn型である半導体層を有する基板62と、基板62上に形成された半導体層73と、半導体層73に形成された半導体領域74と、保護膜76と、半導体層73に形成された分離部80と、保護膜76上に形成された信号導線63及び抵抗64と、を備えている。半導体層73の導電型は、p型である。半導体領域74の導電型は、p型である。分離部80の導電型は、n型である。被検出光は、図25での上面から、基板62に入射する。半導体光検出素子3の上面は、たとえば、保護膜76の表面により構成される。半導体光検出素子3の上面は、たとえば、半導体層73の表面により構成されてもよい。たとえば、半導体領域74が第一半導体領域を構成する場合、分離部80は第二半導体領域を構成する。
基板62は、基板部材SMと、基板部材SM上に形成された絶縁膜61と、絶縁膜61上に形成された半導体層72とを有する。基板部材SMは、Si(シリコン)からなる。絶縁膜61は、たとえば、SiO(酸化シリコン)からなる。半導体層72の導電型は、n型である。半導体層72は、Siからなる。半導体層72の導電型は、n型である。半導体層72の厚みは、たとえば、1〜12μmである。半導体層72の表面72aは、たとえば、露出している。本実施形態では、表面72aは、平坦面である。
半導体層73は、p型のエピタキシャル半導体層である。半導体層73は、基板62との界面でpn接合を構成する。半導体層73は、増倍領域AMを各光検出チャンネルCHに対応して複数有する。増倍領域AMは、被検出光の入射によって生じたキャリアをアバランシェ増倍する。半導体層73の厚みは、たとえば、3〜5μmである。半導体層73は、Siからなる。したがって、半導体層72と半導体層73とは、シリコン基板を構成している。
半導体領域74は、各光検出チャンネルCHの増倍領域AMに対応して、半導体層73上に形成されている。半導体層の積層方向で半導体領域74の下方に位置する半導体層73の、基板62との界面近傍の領域が、増倍領域AMである。半導体領域74は、Siからなる。半導体層の積層方向は、以下、単に「積層方向」と称される。
分離部80は、複数の光検出チャンネルCHの間に形成され、各光検出チャンネルCHを分離する。分離部80は、各光検出チャンネルCHと一対一に対応して半導体層73に増倍領域AMが形成されるように形成される。分離部80は、各増倍領域AMの周囲を完全に囲うように基板62上において二次元格子状に形成される。分離部80は、積層方向で半導体層73の上面から下面まで貫通して形成されている。分離部80は、不純物濃度が高い導電型がn型の半導体層である。分離部80の不純物は、たとえば、Pからなる。分離部80が拡散により形成される場合、長い熱処理時間が必要である。この場合、半導体層72の不純物がエピタキシャル半導体層へ拡散して、pn接合の界面がせり上がるおそれがある。このせり上がりを抑制するため、分離部80にあたる領域の中央付近をトレンチエッチングした後、不純物の拡散を行って分離部80を形成してもよい。トレンチ溝は、光検出チャンネルが吸収する波長帯域の光を吸収、又は反射する物質で埋められていてもよい。この場合、光検出チャンネルが吸収する波長帯域の光を吸収、又は反射する物質は、遮光部を構成する。この遮光部は、なだれ増倍による発光が隣接する光検出チャンネルに影響を及ぼして生じるクロストークを抑制する。
半導体層73、半導体領域74、及び分離部80の上には保護膜76が形成されている。保護膜76は、たとえば、SiOからなる。保護膜76は、絶縁層である。保護膜76上には、信号導線63及び抵抗64が形成されている。信号導線63の読み出し部63a及び抵抗64は、分離部80の上方に形成されている。たとえば、半導体層73、半導体領域74、及び分離部80の各表面により構成される面が第一主面を構成する場合、半導体層72の表面72aは第二主面を構成する。分離部80は、基板62の上面側の、半導体領域74が形成されていない領域に形成されている。
信号導線63が、アノードとして機能する。半導体光検出素子3は、カソードとして機能する電極を備えていてもよい。この電極は、たとえば、基板62の下面側に配置されている透明電極層である。基板62の下面側は、基板62の、絶縁膜61を有していない側である。透明電極層は、たとえば、ITO(Indium Tin Oxide)からなる。カソードとして機能する電極は、半導体光検出素子3の表面側に引き出されるように形成されてもよい。
次に、図26を参照して、各光検出チャンネルCHと信号導線63及び抵抗64との接続関係を説明する。図26は、各光検出チャンネルと信号導線及び抵抗との接続関係を概略的に示す図である。図26に示されるように、各光検出チャンネルCHの半導体領域74と信号導線63(チャンネル外周部63c)とは直接接続されている。したがって、信号導線63(チャンネル外周部63c)と半導体層73とは電気的に接続される。半導体層73と抵抗64の一端部64aとは、信号導線63(チャンネル外周部63c)を介して接続される。各抵抗64の他端部64bは、接続部63bを介して読み出し部63aに接続される。
基板62では、複数の光検出チャンネルCHが形成された領域が基板部材SM側から薄化されている。基板部材SMにおける、複数の光検出チャンネルCHが形成された領域に対応する部分が、除去されている。薄化された領域の周囲には、基板部材SMが枠部として存在している。上記枠部も除去され、基板62の全領域が薄化されてもよい。この場合、基板部材SM全体が、除去される。基板部材SMは、たとえば、エッチング(たとえば、ドライエッチングなど)又は研磨により除去される。ドライエッチングにより基板部材SMが除去される場合、絶縁膜61はエッチングストップ層としても機能する。基板部材SMが除去されることにより露出する絶縁膜61は、除去される。
半導体領域74の表面には、複数の窪み21が、規則的に配置されるように形成されている。すなわち、半導体領域74は、複数の窪み21が形成されている領域の直下に形成されている。半導体領域74の表面における、複数の窪み21が形成されている領域は、光学的に露出している。半導体領域74の表面が光学的に露出している構成は、半導体領域74の表面が空気などの雰囲気ガスと接している構成のみならず、半導体領域74の表面上に光学的に透明な膜が形成されている構成も含む。窪み21の形状は、図2〜図8、図10、及び図11に示された形状であってもよい。複数の窪み21は、たとえば、図9に示されるように、複数の窪み23と、複数の窪み25とを含んでいてもよい。
複数の窪み21は、半導体領域74に、上述した実施形態と同様に、エッチングにより形成される。複数の窪み21がエッチングにより形成された後に、基板62が熱処理(アニール)されてもよい。たとえば、基板62が、Nガスなどの雰囲気下で、800〜1000℃程度の範囲で、0.5〜1.0時間程度にわたって加熱される。この熱処理により、半導体層72における結晶損傷の回復及び再結晶化が図れ、暗電流の増加が抑制される。
複数の窪み21は、半導体領域74に形成されてもよい。この場合、図26に示されるように、半導体領域74の厚みは、複数の窪み21の表面形状に対応して変化する。pn接合の形状は、略平坦である。
複数の窪み21は、半導体領域74が形成されていない半導体層73に形成されてもよい。すなわち、半導体領域74は、複数の窪み21が形成されていない半導体層73に形成されてもよい。この場合、図27に示されるように、複数の窪み21が形成されている領域が含んでいる平坦面22を含む平面を基準面として、半導体領域74の基準面からの厚みが、複数の窪み21の表面形状に対応して変化する。平坦面22は、複数の窪み21の各開口縁を含む平面でもある。半導体領域74の形状は、複数の窪み21の表面形状に対応して変化する。この場合、pn接合の形状も、複数の窪み21の表面形状に対応して変化する。図27は、第三実施形態の変形例に係る半導体光検出素子の断面構成を示す図である。
半導体光検出素子3がフォトンカウンティングに用いられる場合、半導体光検出素子3は、ガイガーモードと呼ばれる動作条件下で動作する。ガイガーモードでは、各光検出チャンネルCHにブレークダウン電圧よりも高い逆電圧(たとえば、50V以上)が印加される。半導体光検出素子3がガイガーモードで動作している状態で、上面側から各光検出チャンネルCHに被検出光が入射すると、被検出光が各光検出チャンネルCHにおいて吸収されてキャリアが発生する。発生したキャリアは、各光検出チャンネルCH内の電界に従って加速しながら移動する。この結果、キャリアが、各増倍領域AMで増倍される。増倍されたキャリアは、抵抗64を介して信号導線63により外部に出力される。増倍されたキャリアは、出力信号の波高値に基づいて検出される。フォトンを検出したチャンネルからは何れも同量の出力が得られるので、全チャンネルからの総出力を検出することで半導体光検出素子3のうちのいくつの光検出チャンネルCHから出力があったかがカウントされる。したがって、半導体光検出素子3では、被検出光の一回の照射によって、フォトンカウンティングがなされる。
以上のように、半導体光検出素子3では、半導体領域74の表面に複数の窪み21が形成されている。
光が半導体光検出素子3の上面に入射する場合、光は、半導体領域74にて散乱される。散乱された光は、半導体層72,73内を様々な方向に進む。したがって、複数の窪み21が半導体領域74に設けられている構成では、半導体領域74の表面が平らである構成に比して、半導体層72,73内での光の走行距離が増加する。半導体光検出素子3に入射した光は、半導体層72,73内を長い距離進むので、より多くの光が電荷に変換される。この結果、半導体光検出素子3は、近赤外の波長帯域での分光感度特性を向上する。
半導体領域74から入射した後、半導体層72,73内を進み、たとえば、半導体層72の表面72aに達する光は、表面72aに直交する方向と交差する方向から表面72aに入射する確率が高い。表面72aに直交する方向と交差する方向から表面72aに入射する光が、表面72aで反射される場合、光は半導体層72,73内を更に進む。この場合、半導体層72,73内での光の走行距離がより一層増加し、より多くの光が電荷に変換される。したがって、シリコンによる吸収係数が小さい近赤外の波長帯域の光であっても、半導体層72,73で吸収される。この結果、半導体光検出素子3は、近赤外の波長帯域での分光感度特性をより一層向上する。
半導体光検出素子3では、半導体領域74の表面に、複数の窪み21が規則的に配置されるように形成されている。したがって、半導体光検出素子3では、半導体領域74の表面に不規則な凹凸が形成されている構成に比して、分光特性の制御性が低下しがたい。半導体光検出素子3では、半導体領域74の表面に不規則な凹凸が形成されている構成に比して、分光感度特性のばらつきが生じがたい。
半導体領域74の表面に不規則な凹凸が形成されている構成では、凹凸の形状を制御しがたい。これに対し、複数の窪み21が規則的に配置されるように形成されている構成では、各窪み21の形状を制御しやすい。したがって、半導体光検出素子3では、各窪み21の形状を制御することにより、特定の波長に対する分光特性を簡易に制御することが可能である。したがって、半導体光検出素子3では、分光特性の制御性が低下しがたい。たとえば、半導体光検出素子3では、分光反射率が、一部の波長で高くならずに、広い波長範囲で低くなるおそれがない。
半導体光検出素子3では、複数の窪み21がエッチングにより形成されているので、上述したように、分光特性の制御性がより一層低下しがたい。また、半導体光検出素子3では、分光感度特性のばらつきがより一層生じがたい。
半導体光検出素子2では、半導体層72,73の結晶性が劣化しがたく、暗電流の発生が抑制される。また、半導体光検出素子3では、生産性の低下が抑制される。
半導体光検出素子3では、複数の窪み21の各開口縁を含む平面を基準面として、半導体領域74の基準面からの厚みが、複数の窪み21の表面形状に対応して変化していてもよい。この場合、半導体領域74の厚みが適切に確保される。したがって、半導体光検出素子3の検出感度が容易に確保される。
フォトダイオードアレイに形成される光検出チャンネルの数は、上記実施形態における数(4×4)に限定されない。光検出チャンネルCH間に形成される分離部80の数も、上記実施形態で示した数に限られず、たとえば3つ以上であってもよい。信号導線63は、分離部80の上方に形成されていなくてもよい。抵抗64も分離部80の上方に形成されていなくてもよい。各層などは、上記実施形態で例示したものに限られない。
半導体光検出素子3は、裏面入射型フォトダイオードアレイであってもよい。半導体層72の表面72aから半導体光検出素子3に光が入射する場合、入射した光は、複数の窪み21が形成されている領域で乱反射されて、半導体光検出素子3内を長い距離進む。乱反射された光は、半導体層72,73内を様々な方向に進む。たとえば、光が、半導体領域74の表面に、表面72aに直交する方向から入射する場合でも、光は、表面72aに直交する方向に正反射しがたく、表面72aに直交する方向と交差する方向に反射する。したがって、複数の窪み21が半導体領域74の表面に設けられている構成では、半導体領域74の表面が平らである構成に比して、半導体光検出素子3内での光の走行距離が増加する。半導体光検出素子3に入射した光は、半導体光検出素子3の内部を長い距離進むうちに、各光検出チャンネルCHで吸収される。この結果、半導体光検出素子3では、近赤外の波長帯域での分光感度特性が向上する。
半導体領域74の表面で反射された後、半導体層72,73内を進み表面72aに達する光は、表面72aに直交する方向と交差する方向から表面72aに入射する。表面72aに入射する光は、表面72aで再び反射する可能性が高い。表面72aで再び反射した光は、半導体層72,73内を更に進む。この場合、半導体光検出素子3内での光の走行距離がより一層増加する。半導体光検出素子3に入射した光は、半導体光検出素子3の内部をより一層長い距離進むうちに、各光検出チャンネルCHで更に吸収される。
半導体光検出素子3に入射した光は、その大部分が半導体光検出素子3を透過することなく、走行距離が長くされて、各光検出チャンネルCHで吸収される。したがって、半導体光検出素子3は、裏面入射型フォトダイオードアレイであっても、近赤外の波長帯域での分光感度特性を向上させる。
(第四実施形態)
図28を参照して、第四実施形態に係る半導体光検出素子4の構成を説明する。図28は、第四実施形態に係る半導体光検出素子の断面構成を示す図である。第四実施形態では、半導体光検出素子4は、たとえば、表面入射型のアバランシェフォトダイオードアレイである。図28では、断面を表すハッチングが省略されている。
半導体光検出素子4は、半導体基板103、配線層105、及び支持基板107を備えている。半導体基板103は、複数のセルUを有している。複数のセルUは、たとえば、行列状に二次元配列されている。複数のセルUは、一次元配列されていてもよい。半導体基板103では、各セルUに入射された入射光に応じた信号が、各セルUから出力される。各セルUは、一つ又は複数のアバランシェフォトダイオードを含んでいる。本実施形態では、各セルUは、1つのアバランシェフォトダイオードAPDを含んでいる。アバランシェフォトダイオードAPDは、たとえば、第二実施形態に示された半導体光検出素子2と同様の構成を有している。
半導体基板103の導電型は、たとえば、p型である。半導体基板103は、シリコン(Si)結晶からなる基板である。半導体基板103は、互いに対向している主面103a及び主面103bを有している。主面103aは、平坦面である。たとえば、主面103aが第一主面を構成する場合、主面103bは第二主面を構成する。
各セルUに含まれるアバランシェフォトダイオードAPDは、半導体領域43と、半導体領域45と、半導体領域57と、半導体領域111と、を含んでいる。半導体領域57は、半導体基板103の基体を構成する。したがって、半導体領域57の導電型は、半導体基板103の導電型であるp型である。第二実施形態と同様に、半導体領域43及びガードリング43aと、半導体領域45とは、pn接合を構成している。本実施形態では、半導体領域57は、各セルUにおいて、半導体領域111を囲むように設けられている。半導体領域43上には、反射防止膜として機能する絶縁膜113が配置されている。絶縁膜113は、たとえば、酸化シリコン(SiO)からなる。絶縁膜113は、窒化シリコン(Si)からなっていてもよい。半導体領域111は、半導体基板103の主面103a側の、半導体領域43が形成されていない領域に形成されている。たとえば、半導体領域43が第一半導体領域を構成する場合、半導体領域111は第二半導体領域を構成する。
半導体基板103には、トレンチTRが形成されている。トレンチTRは、主面103aに開口している。トレンチTRの深さ方向は、半導体基板103の厚み方向である。トレンチTRは、複数のセルUのうちの互いに隣り合うセルU同士を物理的に分離している。トレンチTRは、主面103aに直交する方向から見て、各セルUを囲んでいる。互いに隣り合うセルUは、トレンチTRにより、互いに電気的に分離されている。本実施形態では、トレンチTRは、主面103aに直交する方向から見て、半導体基板103に格子状に形成されている。トレンチTRの側面及び底面は、半導体領域57により構成されている。すなわち、半導体領域57は、トレンチTRに露出している。
トレンチTRには、遮光部材121が配置されている。遮光部材121は、光を反射する材料からなる。遮光部材121は、光を吸収する材料からなっていてもよい。遮光部材121は、たとえば、タングステン(W)からなる。遮光部材121は、光を反射又は吸収する材料がトレンチTR内に充填されることにより形成される。遮光部材121は、トレンチTRの開口において、主面103aに露出する表面を有している。主面103aの表面は、絶縁層123により覆われている。
配線層105は、半導体基板103の主面103a上に配置されている。配線層105は、絶縁層125と、複数の接続導線127と、複数のクエンチング抵抗129と、共通導線131と、を備えている。絶縁層125は、電気絶縁性を有していると共に、被検出光を透過する材料からなる。絶縁層125は、たとえば、酸化シリコン(SiO)からなる。各接続導線127は、絶縁層125内に配置されており、一端と他端とを有している。接続導線127の一端は、複数のセルUのうち対応するセルUに含まれている半導体領域43に接続されている。接続導線127の他端は、複数のクエンチング抵抗129のうち対応するクエンチング抵抗129に接続されている。各接続導線127は、互いに対応する半導体領域43とクエンチング抵抗129とを電気的に接続している。
クエンチング抵抗129は、絶縁層125上に形成されている。クエンチング抵抗129は、主面103aに直交する方向から見て、半導体領域43の周縁に沿うように配置されている。各クエンチング抵抗129は、対応する接続導線127に接続される一端と、共通導線131に電気的に接続される他端とを有している。共通導線131は、複数のクエンチング抵抗129の各他端と電気的に接続されている。共通導線131は、絶縁層125から露出するように配置されている電極パッド133に電気的に接続されている。電極パッド133は、共通導線131、各クエンチング抵抗129、及び各接続導線127を通して、各セルUに含まれる半導体領域43と電気的に接続されている。電極パッド133には、たとえば、信号を取り出すボンディングワイヤが接続される。
配線層105は、半導体領域57と電気的に接続されている導線135を備えている。導線135は、絶縁層125から露出するように配置されている電極パッド137に電気的に接続されている。導線135は、半導体領域57と電気的に接続される一端と、電極パッド137に電気的に接続される他端と、を有している。電極パッド137には、たとえば、バイアス電圧を印加するボンディングワイヤが接続される。
各導線127,131,135及び各電極パッド133,137は、たとえば、金属材料からなる。各導線127,131,135及び各電極パッド133,137は、たとえば、銅(Cu)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、金(Au)、又は白金(Pt)からなる。クエンチング抵抗129は、各導線127,131,135及び各電極パッド133,137を構成する金属材料よりも電気抵抗が高い材料からなる。クエンチング抵抗129は、たとえば、シリコンクロム(SiCr)、ポリシリコン、ニッケルクロム(NiCr)、又はフェロクロム(FeCr)からなる。
半導体光検出素子4は、複数のレンズ109を備えている。複数のレンズ109は、配線層105上に配置されている。レンズ109は、複数のセルU(半導体領域43,45)のうち対応するセルU上に位置するように配置されている。半導体光検出素子4は、複数のレンズ109を備えていなくてもよい。
主面103aは、領域103aと、領域103aとを含んでいる。領域103aは、半導体領域43の表面を含んでいる。領域103aは、領域103aを囲むように、領域103aの外側に位置している。領域103aは、トレンチTRに露出する半導体領域57の表面を含んでいる。領域103aには、複数の窪み21が設けられている。すなわち、半導体領域43は、複数の窪み21が形成されている領域の直下に形成されている。複数の窪み21は、規則的に配置されるように、領域103aに形成されている。本実施形態では、複数の窪み21は、周期的に配置されている。領域103aは、平坦面である。領域103aは、枠部の表面を含む仮想平面と平行である。本実施形態では、領域103aは、領域103aの全体を囲むように位置している。この場合、領域103aは、枠状の、連続した平坦面である。窪み21の深さは、たとえば、0.5〜2.0μmである。窪み21の深さは、半導体領域43の深さの最大値より小さい。
窪み21の形状は、図2〜図8、図10、及び図11に示された形状であってもよい。複数の窪み21は、たとえば、図9に示されるように、複数の窪み23と、複数の窪み25とを含んでいてもよい。複数の窪み21は、主面103aの全体に形成されていてもよい。複数の窪み21は、第一実施形態と同様に、エッチングにより形成される。領域103a(複数の窪み21の表面)は、光学的に露出していてもよい。領域103aが光学的に露出している構成は、領域40aが空気などの雰囲気ガスと接する構成のみならず、領域40a上に光学的に透明な膜が形成されている構成も含む。
支持基板107は、接着層110により、半導体基板103に接合されている。支持基板107は、半導体基板103の主面103bと対向するように配置されている。支持基板107は、支持基板107は、たとえば、ガラス基板である。接着層110は、たとえば、酸化シリコン(SiO)からなる。支持基板107は、たとえば、シリコン(Si)基板であってもよい。
以上のように、第二実施形態では、複数の窪み21が領域103aに設けられている。
光が主面103aに入射する場合、光は、領域103aにて散乱される。散乱された光は、半導体基板103内を様々な方向に進む。したがって、複数の窪み21が領域103aに設けられている構成では、半導体基板103の主面103aが平らである構成に比して、半導体基板103内での光の走行距離が増加する。半導体基板103に入射した光は、半導体基板103内を長い距離進むので、より多くの光が電荷に変換される。この結果、半導体光検出素子4は、近赤外の波長帯域での分光感度特性を向上する。
領域103aから入射した後、半導体基板103内を進み、たとえば、主面103bに達する光は、主面103bに直交する方向と交差する方向から主面103bに入射する確率が高い。主面103bに直交する方向と交差する方向から主面103bに入射する光が、主面103bで反射される場合、光は半導体基板103内を更に進む。この場合、半導体基板103内での光の走行距離がより一層増加し、より多くの光が電荷に変換される。したがって、シリコンによる吸収係数が小さい近赤外の波長帯域の光であっても、半導体基板103で吸収される。この結果、半導体光検出素子4は、近赤外の波長帯域での分光感度特性をより一層向上する。
半導体光検出素子4では、半導体基板103の主面103a(領域103a)に、複数の窪み21が規則的に配置されるように形成されている。したがって、半導体光検出素子4では、半導体基板103の主面103aに不規則な凹凸が形成されている構成に比して、分光特性の制御性が低下しがたい。半導体光検出素子5では、半導体基板103の主面103aに不規則な凹凸が形成されている構成に比して、分光感度特性のばらつきが生じがたい。
半導体基板103の主面103aに不規則な凹凸が形成されている構成では、凹凸の形状を制御しがたい。これに対し、複数の窪み21が規則的に配置されるように形成されている構成では、各窪み21の形状を制御しやすい。したがって、半導体光検出素子4では、各窪み21の形状を制御することにより、特定の波長に対する分光特性を簡易に制御することが可能である。したがって、半導体光検出素子4では、分光特性の制御性が低下しがたい。たとえば、半導体光検出素子4では、分光反射率が、一部の波長で高くならずに、広い波長範囲で低くなるおそれがない。
半導体光検出素子4では、複数の窪み21がエッチングにより形成されているので、上述したように、分光特性の制御性がより一層低下しがたい。また、半導体光検出素子4では、分光感度特性のばらつきがより一層生じがたい。
半導体光検出素子4では、半導体基板103の結晶性が劣化しがたく、暗電流の発生が抑制される。また、半導体光検出素子4では、生産性の低下が抑制される。
半導体光検出素子4でも、複数の窪み21の各開口縁を含む平面を基準面として、半導体領域43の基準面からの厚みが、複数の窪み21の表面形状に対応して変化していてもよい。この場合、半導体領域43の厚みが適切に確保される。したがって、半導体光検出素子2の検出感度が容易に確保される。
半導体光検出素子4は、支持基板107を備えているので、半導体光検出素子4の機械的強度が向上する。
続いて、図29〜図35を参照して、第四実施形態に係る半導体光検出素子4の製造方法について説明する。図29〜図35は、第四実施形態に係る半導体光検出素子の製造過程を示す図である。図29〜図35では、断面を表すハッチングが省略されている。
まず、図29に示されるように、トレンチTRが形成されていない半導体基板103が準備される。この半導体基板103は、複数のアバランシェフォトダイオードAPD(半導体領域43,45,57,111)を含んでいる。半導体領域43は、たとえば、n型不純物を高濃度にイオン注入することにより形成される。イオン注入深さは、たとえば、約0.5〜0.6μmである。半導体基板103に複数のアバランシェフォトダイオードAPDを形成する過程は、当該技術分野では既知であるため、これ以上の説明を省略する。
次に、図30に示されるように、複数の窪み21が、半導体領域43の表面に形成される。複数の窪み21は、上述したように、エッチングにより形成される。複数の窪み21の深さは、たとえば、0.5〜2.0μmである。
次に、図31に示されるように、絶縁膜113が、複数の窪み21の表面に形成される。絶縁膜113の厚みは、たとえば、約100nmである。
次に、図31に示されるように、トレンチTRが、半導体基板103に形成される。トレンチTRは、たとえば、ドライエッチングにより形成される。トレンチTRの深さは、たとえば、約4μmである。次に、不純物領域が、トレンチTRに露出している半導体基板103の表面からn型不純物を高濃度にイオン注入することにより、形成される。この不純物領域は、半導体領域57と連続するため、本実施形態では、半導体領域57を構成する領域として扱う。その後、遮光部材121が、トレンチTRに埋め込まれる。遮光部材121は、たとえば、低圧化学気相成長(LP−CVD)により、トレンチTR内に形成される。
次に、図32に示されるように、配線層105が、半導体基板103に積層される。この過程により、半導体基板103と配線層105とが積層されている構造体140が得られる。半導体基板103に積層される配線層105を形成する過程とは、当該技術分野では既知であるため、この過程の説明を省略する。
次に、図33に示されるように、構造体140に、仮支持基板141が仮接合される。仮支持基板141は、接着樹脂143により、配線層105に接合される。その後、半導体基板103が、主面103b側から薄化される。半導体基板103の薄化は、たとえば、化学的機械研磨により行われる。
次に、図34に示されるように、支持基板107が、構造体140に接合される。支持基板107は、支持基板107が主面103bと対向している状態で、接着層110により構造体140(半導体基板103)に接合される。
次に、図35に示されるように、仮支持基板141が、構造体140から剥離される。その後、複数のレンズ109が、配線層105上に形成される。
これらの過程により、図28に示された半導体光検出素子4が得られる。
複数の窪み21は、半導体領域43が半導体基板103に形成される前に形成されてもよい。この場合、製造過程は、以下の過程を含む。
まず、トレンチTRが形成されていない半導体基板103が準備される。次に、複数の窪み21が、半導体基板103の主面103aの、半導体領域43の形成予定領域に対応する領域に、複数の窪み21は、上述したように、エッチングにより形成される。
次に、半導体領域43が、上記形成予定領域に形成される。半導体領域43が、たとえば、複数の窪み21の表面から、n型不純物を高濃度にイオン注入することにより形成される。半導体領域43が形成された後は、製造過程は、絶縁膜113を形成する過程以降の上述された過程を含んでもよい。
複数の窪み21が、半導体領域43が半導体基板103に形成される前に形成される場合、複数の窪み21の各開口縁を含む平面を基準面として、半導体領域43の基準面からの厚みは、複数の窪み21の表面形状に対応して変化する。半導体領域45の形状は、複数の窪み21の表面形状に対応して変化する。この場合、pn接合の形状も、複数の窪み21の表面形状に対応して変化する。
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
複数の窪み21は、不規則に配置されるように形成されていてもよい。複数の窪み21が不規則に配置されるように形成されるとは、互いに隣り合う窪み21の最深位置の間隔が不規則に変化していること、及び、窪み21の深さが不規則に変化していることの少なくとも一方を含む。複数の窪み21は、不規則に配置されるように形成されている構成は、たとえば、窪み21が、以下のように形成されることにより、実現され得る。シリコン基板が、開口の位置及び大きさが不規則に異なるマスクを用いてエッチングされる。
複数の窪み21,23,25は、深さが異なる窪みを含んでいてもよい。
たとえば、複数の窪み21は、第一深さを有する複数の第一窪みと、第一深さより大きい第二深さを有する複数の第二窪みと、を含んでいてもよい。この場合、第一窪みの幅と、第二窪みの幅とは、異なっていてもよい。複数の窪み21は、複数の第一窪み及び複数の第二窪みを含んでいる場合、複数の第一窪みと、複数の第二窪みとは、規則的に配置されるように形成される。たとえば、複数の第一窪みと、複数の第二窪みとは、交互に位置していてもよい。たとえば、第一の数の第一窪みが連続的に位置している領域と、第二の数の第二窪みが連続的に位置している領域と、が交互に位置していてもよい。第一の数は、「2」以上の値であり、第二の数は、第一の数より大きい値である。
たとえば、複数の窪み21は、それぞれ深さが異なる三つ以上の窪みを複数ずつ含んでいてもよい。
半導体光検出素子1〜4では、p型及びn型の各導電型が、上述した導電型とは逆になるように入れ替わっていてもよい。
1〜4…半導体光検出素子、11,40,103…半導体基板、11a,11b,40a,40b,103a,103b…主面、15,17,43,57…半導体領域、21…窪み、22…平坦面、60,107…支持基板。

Claims (9)

  1. 複数の窪みが規則的に配置されるように形成されている領域を含む第一主面と、前記第一主面に対向する第二主面とを有している、第一導電型のシリコン基板と、
    前記シリコン基板の、前記複数の窪みが形成されている前記領域の直下に形成されている、第二導電型の第一半導体領域と、
    前記シリコン基板の前記第一主面側の、前記第一半導体領域が形成されていない領域に形成されている、第一導電型の第二半導体領域と、を備えている半導体光検出素子。
  2. 前記複数の窪みは、周期的に配置されている、請求項1に記載の半導体光検出素子。
  3. 前記複数の窪みは、エッチングにより形成されている、請求項1又は2に記載の半導体光検出素子。
  4. 複数の窪みがエッチングにより形成されている領域を含む第一主面と、前記第一主面に対向する第二主面とを有している、第一導電型のシリコン基板と、
    前記シリコン基板の、前記複数の窪みが形成されている前記領域の直下に形成されている、第二導電型の第一半導体領域と、
    前記シリコン基板の前記第一主面側の、前記第一半導体領域が形成されていない領域に形成されている、第一導電型の第二半導体領域と、を備えている半導体光検出素子。
  5. 前記第一主面は、前記複数の窪みが形成されている前記領域を囲むように位置している平坦面を含んでいる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体光検出素子。
  6. 前記第一主面は、前記複数の窪みのうち互いに隣り合う窪みの間に位置している平坦面を含んでいる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体光検出素子。
  7. 前記複数の窪みの各開口縁を含む平面を基準面として、前記第一半導体領域の前記基準面からの厚みは、前記複数の窪みの表面形状に対応して変化している、請求項1〜6のいずれか一項に記載の半導体光検出素子。
  8. 前記第二主面と対向するように配置されている支持基板を更に備えている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の半導体光検出素子。
  9. 前記第一主面は光入射面である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の半導体光検出素子。
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