JP2021098931A - スパンボンド不織布、集塵機プリーツフィルター用濾材、集塵機プリーツフィルターおよび大風量パルスジェットタイプ集塵機 - Google Patents

スパンボンド不織布、集塵機プリーツフィルター用濾材、集塵機プリーツフィルターおよび大風量パルスジェットタイプ集塵機 Download PDF

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千夏 山野
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【課題】粉塵の捕集性能と通気性のバランスに優れ、剛性が高く、プリーツ加工性と形状保持性、ダスト払い出し性にも優れたスパンボンド不織布、集塵機プリーツフィルター用濾材および大風量パルスジェットタイプ集塵機を提供する。【解決手段】本発明のスパンボンド不織布は、高融点成分と低融点成分からなる熱可塑性連続フィラメントより構成され、部分的に融着された融着部と、融着されていない非融着部とを有し、目付CV値が5.0%以下であり、かつ滑剤を含んで成る。【選択図】なし

Description

本発明は、プリーツフィルター基材等に用いられるスパンボンド不織布と、その不織布を用いて成る集塵機プリーツフィルター用濾材、集塵機プリーツフィルターおよび大風量パルスジェットタイプ集塵機に関するものである。
従来から、粉塵の発生する作業環境に対し、粉塵の除去および回収を目的とする集塵機が用いられており、中でもフィルターの交換頻度を低減できるパルスジェットタイプの集塵機が知られている。このパルスジェットタイプの集塵機ではフィルターの外側が濾過面となり、フィルターゲージに装着されて運転される。パルスジェットタイプの集塵機は、フィルターが一定圧力に達した際にフィルター内部に圧縮空気を送る、逆洗を行うことができる機構を有しており、逆洗によってフィルターの外側表面に堆積した粉塵を払い落とし、繰り返し使用される。このパルスジェットタイプの集塵機のフィルターは、プリーツ状に折りたたまれた形状で使用されることが知られており、プリーツ形状とすることにより濾過面積を大幅に向上させ、圧力損失を低減させたり、捕集性能を高めたりすることを可能としている。したがって、プリーツフィルターとして使用される不織布に必要な特性としては、プリーツ加工を施すための高い剛性と、圧力損失を抑制するための通気性、およびダストを表層で濾過でき、かつ払い落とし性を有するものであることが重要であり、これまで種々の織布および不織布が提案されている。
例えば、エンボスロールで熱融着されたタイプの長繊維不織布を、プリーツフィルターとして使用することが提案されている(特許文献1参照)。一方、エンボスロールとは別の熱融着方法として、不織布に熱風を通過させることにより熱融着させる、いわゆるエアスルー方式も提案されている(特許文献2参照)。
また、不織布を積層する方法(特許文献3参照)や不織布と極細繊維混在層(濾材)を組み合わせる方法(特許文献4参照)についても提案されている。
特許第3534043号公報 特開平7−157960号公報 特許第4543332号公報 特許第5918641号公報
しかしながら、特許文献1に開示されるような、エンボスロールで熱融着する技術では、通気性が無い熱融着部分にダストが堆積しやすく、低寿命となるという課題がある。また、特許文献2に開示されるような、エアスルー方式によって得られる不織布の場合、エンボスロールのような熱融着部が無く、通気性を損なうという課題はないものの、製法上、緻密性に劣ることからダストが内部に入り込みやすく、逆洗ではダストの払い落としができず低寿命となるという課題がある。さらに、特許文献3や4で開示されるような技術においても、圧力損失を下げることはできても、蓄積されるダストの払い落しを十分に行うことができず、使用寿命を伸ばすことが困難であるという課題がある。
ところで前記のパルスジェットタイプの集塵機で、化学工場のように微粉体の粉塵を含んだ大量の空気を1分間あたり300〜1500Lで処理をする必要があるような場所では、大風量パルスジェットタイプ集塵機が使用されている。このような大風量パルスジェットタイプ集塵機に使用されるフィルターには大風量と繰り返しの逆洗が行われるため、剥離等の懸念があるPTFE膜などの基材は貼り合わせず、スパンボンド不織布単体がフィルター用スパンボンド不織布として使用されている。また、使用されるフィルター用スパンボンド不織布は、大風量下での粉塵捕集と繰り返し行われる逆洗に耐えるためのプリーツ形状保持性を有した剛性が必要である。ところが、従来の集塵除去に使用されるフィルター用スパンボンド不織布では、粉塵捕集性能と通気性を両立しながら、大風量下でプリーツ形状保持とプリーツ加工性に十分な剛性を有するものが得られていない。すなわち捕集性能を向上させようと、繊維同士の融着を強固にすると目開きが小さくなり、通気性の低下につながり、一方で通気性を向上させようと、繊維同士の融着を緩くすると目開きが大きくなり、粉塵の捕集性能が低下してしまうだけでなく、剛性の低下により大風量下ではプリーツ形状が保持できなくなるとともに、毛羽が発生し、外観上も問題となる、という課題がある。
そこで本発明の目的は、上記課題を鑑み、粉塵の捕集性能と通気性のバランスを両立しながら、かつ大容量下でのプリーツ形状保持性とプリーツ加工性に優れた高い剛性を有し、ダスト払い落とし性にも優れたスパンボンド不織布を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明のスパンボンド不織布は、高融点成分と低融点成分からなる熱可塑性連続フィラメントから構成され、部分的に融着された融着部と、融着されていない非融着部とを有し、目付CV値が5.0%以下であり、かつ滑剤を含んで成る。
本発明のスパンボンド不織布の好ましい態様としては、前記の熱可塑性連続フィラメントは、前記の高融点成分としてポリエチレンテレフタレートを用い、前記の低融点成分として共重合ポリエステルまたはポリブチレンテレフタレートを用いることにある。
本発明の不織布の好ましい態様としては、前記の融着部の面積の割合は5〜20%の範囲にある。
本発明のスパンボンド不織布の好ましい態様としては、前記熱可塑性連続フィラメントは、平均単繊維直径が12μm以上26μm以下である。
また、本発明のスパンボンド不織布の好ましい態様としては、前記滑剤は、脂肪族アミド系である。
また、本発明の集塵機プリーツフィルター用濾材は、前記のスパンボンド不織布を用いてなる。
本発明の集塵機プリーツフィルターは、前記の集塵機プリーツフィルター用濾材を用いてなる。
本発明の大風量パルスジェットタイプ集塵機の好ましい態様としては、上記に記載の集塵機プリーツフィルターを使用する。
本発明によれば、粉塵の捕集性能と通気性のバランスに優れ、プリーツ加工性、プリーツ形状保持性に優れた高い剛性を有し、ダスト払い落とし性にも優れたスパンボンド不織布が得られる。このため、本発明のスパンボンド不織布は、プリーツフィルターやPTFE膜やナノファイバー等と貼り合わせて用いられるプリーツフィルター用濾材として好適に用いることができる。
図1は、本発明の集塵機プリーツフィルター用濾材を例示する概要斜視図である。 図2は、スパンボンド不織布のダスト払い落とし性を評価する装置構成を説明する概略図である。
次に、本発明のスパンボンド不織布について、詳細に説明する。
本発明のスパンボンド不織布は、高融点成分と低融点成分からなる熱可塑性連続フィラメントから構成され、高融点成分がポリエチレンテレフタレート、低融点成分が共重合ポリエステルまたはポリブチレンテレフタレートで構成されることが好ましく、熱可塑性連続フィラメントは、平均単繊維直径が12μm以上26μm以下であることが好ましい。
また、スパンボンド不織布の通気性を損なわず、プリーツ加工を施すために必要な所定の剛性を得るために、スパンボンド不織布は部分的に融着されており、融着部は上下両側から融着されている方がより好ましい。スパンボンド不織布は、部分的に融着された融着部と、融着されていない非融着部とを有しており、融着部の面積の割合は5〜20%の範囲にあることがより好ましい。
本発明のスパンボンド不織布を構成する合成繊維の原料樹脂として、ポリエステルを用いることが好ましい。ポリエステルは、酸成分とアルコール成分をモノマーとする高分子重合体である。酸成分としては、フタル酸(オルト体)、イソフタル酸およびテレフタル酸等の芳香族カルボン酸、アジピン酸やセバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、およびシクロヘキサンカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等を用いることができる。また、アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびポリエチレングリコール等を用いることができる。ポリエステルの例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸およびポリブチレンサクシネート等が挙げられる。高融点ポリエステルとしては、融点が高く耐熱性に優れ、かつ剛性にも優れたPETが最も好ましく用いられる。
本発明で用いられる高融点ポリエステルと低融点ポリエステルの組み合わせ(高融点ポリエステル/低融点ポリエステル)としては、例えば、PET/PBT、PET/PTT、PET/ポリ乳酸、およびPET/共重合PET等の組み合わせを挙げることができ、これらの中でも、曳糸性に優れることからPET/共重合PETの組み合わせが好ましく用いられる。また、共重合PETの共重合成分としては、特に曳糸性に優れることから、イソフタル酸共重合PETが好ましく用いられる。
ポリエステル原料には、本発明の効果を損なわない範囲で、結晶核剤、艶消し剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、難燃剤、金属酸化物、脂肪族ビスアミドおよび/または脂肪族モノアミドおよび親水剤等の添加剤を添加することができる。中でも、酸化チタン等の金属酸化物は、繊維の表面摩擦を低減し繊維同士の融着を防ぐことにより紡糸性を向上し、また不織布の熱ロールによる熱融着成形の際、熱伝導性を増すことにより不織布の融着性を向上させる効果がある。また、エチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪族ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪族モノアミドは、熱ロールと不織布ウェブ間の離型性を高め、搬送性を向上させる効果がある。
本発明のスパンボンド不織布は熱可塑性連続フィラメントで構成されており、熱可塑性連続フィラメントは高融点成分と低融点成分から成る。熱可塑性連続フィラメントは、高融点成分である高融点ポリエステルの周りに、低融点成分である低融点ポリエステルを配した複合型ポリエステル繊維や、高融点ポリエステルからなる繊維と低融点ポリエステルからなる繊維を混繊した複合型ポリエステル繊維を例示することができる。高融点ポリエステルの周りに、低融点ポリエステルを配した複合型ポリエステル繊維は、融着によりスパンボンド不織布を形成した際、スパンボンド不織布を構成する複合型ポリエステル繊維(フィラメント)同士が強固に融着するため、スパンボンド不織布は機械的強度に優れ、高風量下での粉塵処理にも十分耐えることができるので好ましく使用することができる。
低融点ポリエステルと高融点ポリエステルの融点の差は15℃以上であることが、熱融着の観点から好ましく、融点の差が15℃未満の場合、低融点ポリエステルだけでなく、高融点ポリエステルも熱融着により変形、ダメージを受け、不織布の剛性、強度が低下するため好ましくない。低融点ポリエステルと高融点ポリエステルの融点の差は、より好ましくは20℃以上である。
高融点ポリエステルの融点は、200〜320℃の範囲であることが好ましい。高融点ポリエステルの融点を好ましくは200℃以上、より好ましくは210℃以上、さらに好ましくは220℃以上とすることにより、耐熱性に優れるフィルターを得ることができる。一方、高融点ポリエステルの融点を好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下、さらに好ましくは280℃以下とすることにより、不織布製造時に溶融するための熱エネルギーを多大に消費し生産性が低下することを抑制することができる。
低融点ポリエステルの融点は、160〜250℃の範囲であることが好ましい。低融点ポリエステルの融点を好ましくは160℃以上、より好ましくは170℃以上、さらに好ましくは180℃以上とすることにより、プリーツ加工時の熱セット等、プリーツフィルター製造時に熱が加わる工程を通過しても形状保持性に優れる。一方、低融点ポリエステルの融点を好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下とすることにより、不織布製造時の熱融着性に優れ、機械的強度に優れるフィルターを得ることができる。
熱可塑性連続フィラメントにおける高融点ポリエステルと低融点ポリエステルとの含有比率は、質量比で90:10〜60:40の範囲であることが好ましく、85:15〜70:30の範囲がより好ましい態様である。高融点ポリエステルを60〜90質量%とすることにより、剛性と耐熱性に優れるスパンボンド不織布を得ることができる。一方、低融点ポリエステルを10〜40質量%とすることにより、熱融着によりスパンボンド不織布を形成し使用した際、スパンボンド不織布を構成する熱可塑性連続フィラメント同士を強固に融着でき、機械強度に優れ、繰り返しの逆洗に十分耐えることができるスパンボンド不織布を得ることができる。
複合型ポリエステル繊維の複合形態については、例えば、同心芯鞘型、偏心芯鞘型および海島型等が挙げられ、さらにそのフィラメント(単繊維)の断面形状としては、円形断面、扁平断面、多角形断面、多葉断面および中空断面等の形状が挙げられる。なかでも、フィラメント同士を均一かつ強固に融着させることができることから複合形態については同心芯鞘型のものを、そしてフィラメント(単繊維)の断面形状としては円形断面の形状のものを用いることが好ましい態様である。
本発明のスパンボンド不織布は、不織布表面の摩擦抵抗を低減することでダスト払い落とし性を向上させるため、滑剤を含むものである。スパンボンド不織布に滑剤を添加する方法は特に規定されるものではなく、押出機でポリマーを溶融する際に滑剤を添加して練り込む方法、滑剤を溶媒に溶解・分散して繊維に含浸させる方法、滑剤を溶媒に溶解・分散させ噴射ノズル等で繊維表面に塗布する方法などがある。添加する滑剤の種類としては、炭化水素系滑剤(パラフィンワックス、合成ポリエチレン、流動パラフィンなど)、脂肪酸・高級アルコール系滑剤(ステアリン酸、ベヘニン酸、12ヒドロキシステアリン酸、ステアリルアルコールなど)、脂肪酸アミド系滑剤(ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなど)、金属せっけん系滑剤(ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸鉛など)、エステル系滑剤(グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレート、ブチルステアレートなど)を用いることが出来るが、この中でも脂肪族アミド系の滑剤が好ましい。
スパンボンド不織布中の滑剤の添加量の割合は、スパンボンド不織布を構成する熱可塑性連続フィラメント100質量部に対し、0.1〜2.5質量部であることが好ましく、0.2〜1.0質量部であることがより好ましい。スパンボンド不織布への滑剤の添加量が、0.1質量部未満である場合、不織布表面の摩擦抵抗の低減効果が小さくなる。また、滑剤の添加量が、2.5質量部より大きい場合、押出機でポリマーを溶融する際に滑剤を添加して練り込む場合は糸切れの増加(収率の悪化)、滑剤を溶媒に溶解・分散して繊維に含浸させる場合や、滑剤を溶媒に溶解・分散させ噴射ノズル等で繊維表面に塗布する場合では、搬送ロール等への滑剤脱落によるロール巻付きトラブルの増加(収率の悪化)、ロール定期洗浄作業増による作業負担の増加がそれぞれ懸念される。
本発明のスパンボンド不織布は部分的に融着されたものであるが、部分的に融着する方法は特に限定されるものではない。熱エンボスロールによる融着、あるいは超音波発振装置とエンボスロールとの組み合わせによる融着が好ましいものである。特にエンボスロールによる融着は、スパンボンド不織布の強度を向上させる点から最も好ましいものである。熱エンボスロールによる熱融着の温度は、スパンボンド不織布の繊維表面に存在する最も融点の低いポリマーの融点に対して5℃以上60℃以下低いことが好ましく、10℃以上50℃以下低いことがより好ましい。熱エンボスロールによる不織布の繊維表面に存在する最も融点の低いポリマーの融点より5℃以上、より好ましくは10℃以上低くすることで、過度の融着を防ぐことができる。一方、前記の温度差を60℃以下、より好ましくは50℃以下とすることによって、不織布内において均一な融着を行うことができる。
本発明のスパンボンド不織布の部分的な融着部の面積の割合(以下、単に融着面積率と記載することがある)は、融着部の不織布全体の面積に占める割合のことであり、不織布全面積に対して5%以上20%以下が好ましい範囲である。前記融着面積率が5%以上、より好ましくは6%以上、さらに好ましくは8%以上であれば、不織布の強度が十分に得られ、さらに表面が毛羽立ちやすくなることがない。一方、融着面積率が20%以下、より好ましくは19%以下、さらに好ましくは18%以下であれば、繊維間の空隙が少なくなって圧力損失が上昇し、捕集性能が低下することもない。
なお、スパンボンド不織布の融着面積率の測定には、デジタルマイクロスコープ(例えば、株式会社キーエンス製「VHX−5000」)を用い、スパンボンド不織布の任意の部分から、マイクロスコープの倍率20倍で不織布のMD方向およびCD方向に平行な1.0cm×1.0cmの矩形枠を100箇所とり、100箇所それぞれについて当該面積に対する矩形枠内の融着部の面積を測定して平均値をとり、百分率にして小数点以下第一位を四捨五入したものを融着面積率(%)とする。なお、百分率として表記しない場合は、前記矩形枠内の融着部の面積(cm)を矩形枠の面積である1.0cmで除した後、小数点以下第三位を四捨五入することで融着面積率として算出することができる。
ここで本発明においては、不織布の長手方向を試料のMD方向とする。なお、本発明において、MD方向とはスパンボンド不織布製造時のシート搬送方向、すなわち不織布ロールにおける巻き取り方向を指すものであり、CD方向はシート搬送方向、すなわち不織布ロールにおける巻き取り方向に対して垂直に交差する方向を指すものである。スパンボンド不織布が切断された場合などでロール状態にない場合は、以下の手順によってMD方向、CD方向を決定することとする。
(a) スパンボンド不織布の面内において、任意の1方向を定め、その方向に沿って、長さ38.1mm、幅25.4mmの試験片を採取する。
(b) 採取した方向から30度、60度、90度回転させた方向においても、同様に長さ38.1mm、幅25.4mmの試験片を採取する。
(c) 各方向の試験片について後述するスパンボンド不織布の剛軟度の測定方法に基づいて、各試験片の剛軟度を測定する。
(d) 測定により得られた値が最も高い方向をそのスパンボンド不織布のMD方向とし、これに直交する方向をCD方向とする。また、プリーツ成形体などからMD方向、CD方向を決定するときにおいて、図1に例示するようなプリーツ成形体の場合には、山部9の稜線と平行な方向がCD方向(図1において、矢印12の方向)、CD方向と直交する方向がMD方向(図1において、矢印11の方向)であるとする。
融着部はくぼみを形成しており、スパンボンド不織布を構成する熱可塑性連続フィラメント同士が熱と圧力によって融着して形成されている。すなわち、他の部分に比べて熱可塑性連続フィラメントが融着して凝集している部分が融着部である。融着する方法として熱エンボスロールによる融着を採用した場合には、エンボスロールの凸部により熱可塑性連続フィラメントが融着して凝集している部分が融着部となる。例えば、上側または下側のみに所定のパターンの凹凸を有するロールを用いて、他のロールは凹凸の無いフラットロールを用いる場合においては、融着部とは凹凸を有するロールの凸部とフラットロールとで融着されて不織布の熱可塑性連続フィラメントが凝集された部分をいう。また、例えば、表面に複数の平行に配置された直線的溝が形成されている一対の上側ロールと下側ロールからなり、その上側ロールの溝とその下側ロールの溝とがある角度で交叉するように設けられているエンボスロールを用いる場合、融着部とは上側ロールの凸部と下側ロールの凸部とで融着されて不織布の熱可塑性連続フィラメントが凝集された部分をいう。この場合、上側の凸部と下側の凹部あるいは上側の凹部と下側の凸部とで融着される部分はここでいう融着部には含まれない。
本発明のスパンボンド不織布における融着部の形状は特に規定されるものではなく、上側または下側のみに所定のパターンの凹凸を有するロールを用いて、他のロールは凹凸の無いフラットロールを用いる場合や表面に複数の平行に配置された直線的溝が形成されている一対の上側ロールと下側ロールからなり、その上側ロールの溝とその下側ロールの溝とがある角度で交叉するように設けられているエンボスロールにおいて、上側ロールの凸部と下側ロールの凸部とで融着された場合においても、その融着部の形状は円形、三角形、四角形、平行四辺形、楕円形、菱形などでもよい。これらの融着部分の配列は、特に規定されるものではなく、等間隔に規則的に配されたもの、ランダムに配されたもの、異なる形状が混在したものでもよい。なかでも、不織布の均一性の点から、融着部分が等間隔に配されるものが好ましい。さらに不織布を剥離することなく部分的な融着をする点で、表面に複数の平行に配置された直線的溝が形成されている一対の上側ロールと下側ロールからなり、その上側ロールの溝とその下側ロールの溝とがある角度で交叉するように設けられているエンボスロールを用い、上側ロールの凸部と下側ロールの凸部とで融着され形成される平行四辺形の融着部が好ましい。
本発明において、スパンボンド不織布を構成する熱可塑性連続フィラメントとして使用する複合型ポリエステル繊維は、平均単繊維直径が12μm以上26μm以下の範囲であることが好ましい。複合型ポリエステル繊維の平均単繊維直径が12μm以上、好ましくは13μm以上、より好ましくは14μm以上とすることでスパンボンド不織布の通気性を向上させ、圧力損失を低減させることができる。また、複合型ポリエステル繊維を形成する際に糸切れ回数を低下させ、生産時の安定性を向上させることもできる一方、複合型ポリエステル繊維の平均単繊維直径が26μm以下、好ましくは25μm以下、より好ましくは24μm以下とすることでスパンボンド不織布の均一性を向上させ、不織布表面を緻密なものとすることができ、ダストを表層で濾過しやすくするなど、捕集性能を向上させることができる。
なお、本発明において、スパンボンド不織布の平均単繊維直径(μm)は、以下の方法によって求められる値を採用することとする。
(i)スパンボンド不織布からランダムに小片サンプル10個を採取する。
(ii)採取した小片サンプルの表面を走査型電子顕微鏡等で500〜2000倍の範囲で繊維の太さを計測することが可能な写真を撮影する。
(iii)各小片サンプルの撮影した写真から10本ずつ、計100本の繊維を任意に選び出して、その太さを測定する。繊維は断面が円形と仮定し、太さを単繊維直径とする。
(iv)それらの算術平均値の小数点以下第一位を四捨五入して算出した値を平均単繊維直径とした。
本発明におけるスパンボンド不織布の目付は、150〜300g/mの範囲であることが好ましい。目付が150g/m以上であると、プリーツに必要な剛性を得ることができる。また、目付が300g/m以下であれば、圧力損失が上昇するのを抑制することができ、さらにはコスト面からも好ましい態様である。より好ましい目付の範囲は、150〜260g/mであり、さらに好ましくは180〜230g/mである。
ここでいう目付は、縦50cm×横50cmのサイズの試料を、3個採取して各質量をそれぞれ測定し、得られた値の平均値(g)を単位面積(1m)当たりに換算し、小数点以下第一位を四捨五入することにより求められる。
また、本発明のスパンボンド不織布の目付CV値は5.0%以下である。好ましくは4.5%以下であり、さらに好ましくは4.0%以下であれば、不織布の均一性向上に伴って不織布を緻密なものとすることができるため、捕集効率が向上しやすくなり、満足するフィルター寿命が得られやすくなるため、好ましい。一方、スパンボンド不織布の通気量を一定量確保し、圧力損失を小さくすることでフィルター寿命を長くするために、目付CV値が1.0%以上であることがより好ましい。
本発明において、スパンボンド不織布の目付CV値(%)は、次のようにして測定されて得られる値を採用することとする。
(i)スパンボンド不織布から5cm×5cmの小片を計100個採取する。
(ii)各小片の質量(g)をそれぞれ測定し、単位面積(1m)当たりに換算する。
(iii)(ii)の換算結果の平均値(Wave)、標準偏差(Wsdv)をそれぞれ算出する。
(iv)(i)〜(iii)の結果を基に、以下の式により目付CV値(%)を計算し、小数点以下第二位を四捨五入する。
目付CV値(%)=Wsdv/Wave×100
本発明におけるスパンボンド不織布の厚さは、0.50mm以上0.80mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.51mm以上0.78mm以下である。厚さを0.50mm以上とすることにより、剛性を向上させ、フィルターとしての使用に適した不織布とすることができる。また、厚さを0.80mm以下とすることにより、フィルターとしてのハンドリング性や加工性に優れたスパンボンド不織布とすることができる。
なお、本発明において、スパンボンド不織布の厚さ(mm)は、以下の方法によって測定されて得られる値を採用することとする。
(i)厚さ計(例えば、株式会社テクロック製“TECLOCK”(登録商標)SM−114等)を使用して、不織布の厚さをCD方向で等間隔に10点測定する。
(ii)上記算術平均値から小数点以下第3位を四捨五入し、不織布の厚さ(mm)とする。
本発明におけるスパンボンド不織布の見掛け密度は、0.25g/cm以上0.40g/cm以下であることが好ましい。見掛け密度が0.25g/cm以上0.40g/cm以下であると、スパンボンド不織布は緻密な構造となりダストが内部に入りにくく、ダスト払い落とし性に優れる。より好ましい見掛け密度の範囲は、0.26g/cm以上0.38g/cm以下の範囲である。
なお、本発明において、スパンボンド不織布の見掛け密度(g/cm)は、前記のスパンボンド不織布の目付、厚さの値から以下の式によって求められた値の小数点以下第三位を四捨五入した値を採用することとする。
見掛け密度(g/cm)=目付(g/m)/厚さ(mm)/1000
本発明におけるスパンボンド不織布の通気量は、10(cm/(cm・秒))以上130(cm/(cm・秒))以下であることが好ましい。通気量が10(cm/(cm・秒))以上、好ましくは、13(cm/(cm・秒))以上であると、圧力損失が上昇するのを抑制できる。また、目付あたりの通気量が130(cm/(cm・秒))以下、好ましくは、105(cm/(cm・秒))以下であると、ダストが内部に滞留しにくいことによりフィルターとして捕集性能が良好である。
なお、本発明において、スパンボンド不織布の通気量(cm/(cm・秒))は、以下のとおりJIS L1913:2010「一般不織布試験方法」6.8「通気性(JIS法)」の6.8.1「フラジール形法」に基づいて測定される値を採用することとする。
(i)スパンボンド不織布のCD方向で等間隔に縦150mm×横150mmの試験片を10枚採取する。
(ii)試験機の円筒の一端に試験片を取り付けた後、下限抵抗器によって傾斜型気圧計が125Paの圧力を示すように、吸込みファン及び空気孔を調整し、その時の垂直型気圧計の示す圧力を測る。
(iii)測定した圧力と使用した空気孔の種類とから、試験機に付属の換算表によって試験片を通過する空気量(cm/(cm・秒))を求める。
(iv)得られた10点の試験片の通気量の算術平均値を、小数点以下第一位を四捨五入して、スパンボンド不織布の通気量(cm/(cm・秒))を算出する。
本発明のスパンボンド不織布は、粉塵の捕集性能と通気性のバランスに優れ、プリーツ加工性、プリーツ形状保持性に優れた高い剛性をもち、ダスト払落し性に優れるため、集塵機プリーツフィルター用濾材として好適に用いることができる。プリーツフィルター用濾材は、例えば、前記のスパンボンド不織布をプリーツ形状とし、プリーツ形状にしたスパンボンド不織布の全体を円筒状にした後に円筒の上端と下端とが固定されてなる円筒型集塵機フィルターまたは金属材料や高分子樹脂材料からなる角型や丸型といった枠材の内壁にプリーツ形状にしたスパンボンド不織布の端部を固定したパネル型集塵機フィルターとすることができる。
本発明のパルスジェットタイプ集塵機は、前記の集塵機用プリーツフィルターを使用したものであり、特に、流量が300L/分を超えるような大風量下での粉塵捕集と繰り返しの逆洗を行う、大風量パルスジェットタイプ集塵機である。この大風量パルスジェットタイプの集塵機において前記の集塵機フィルターは、1つの集塵機フィルターあたりの流量が3.0L/分以上5.0L/分以下、1つの集塵機フィルターにかかる処理空気の圧力が0.5MPa以上0.7MPa以下の雰囲気下で用いられる。
本発明のパルスジェットタイプ集塵機は、集塵対象設備からの粉塵を濾過する少なくとも1つの集塵機フィルターを備え、集塵機フィルターの内側面に圧縮空気をパルス状に噴射してフィルターの外側面に付着した粉塵を払い落とすパルスジェット機構を備えている。なお、このパルスジェット機構は、集塵機の送風機用モーターが運転している間に稼働することができる、オンラインパルス方式の機構としてもよいし、集塵を中断した状態の間稼働することができる、オフラインパルス方式の機構としてもよい。
次に、実施例に基づき本発明のスパンボンド不織布について具体的に説明する。
(測定方法)
下記の実施例における各特性値は、次の方法で測定したものである。ただし、各物性の測定において、特段の記載がないものは、前記の方法に基づいて測定を行ったものである。
(1)ポリエステルの融点(℃)
示差走査型熱量計として、株式会社パーキンエルマージャパン製「DSC−2型」を用い、昇温速度20℃/分、測定温度範囲30℃から300℃の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度を当該熱可塑性樹脂の融点とした。また、示差走査型熱量計において融解吸熱曲線が極値を示さない樹脂については、ホットプレート上で加熱し、顕微鏡観察により樹脂が溶融した温度を融点とした。
(2)ポリエステルの固有粘度(IV)
ポリエステルの固有粘度(IV)は、次の方法で測定した。
オルソクロロフェノール100mLに対し試料8gを溶解し、温度25℃においてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを、下記式により求めた。
η=η/η=(t×d)/(t×d
(ここで、ηはポリマー溶液の粘度、ηはオルソクロロフェノールの粘度、tは溶液の落下時間(秒)、dは溶液の密度(g/cm)、tはオルソクロロフェノールの落下時間(秒)、dはオルソクロロフェノールの密度(g/cm)を、それぞれ表す。)
次いで、相対粘度ηrから、下記式により固有粘度(IV)を算出した。
固有粘度(IV)=0.0242η+0.2634
(3)スパンボンド不織布の目付(g/m)、目付CV値(%)、厚さ(mm)、見掛け密度(g/cm
スパンボンド不織布の目付、目付CV値は前記の方法で算出した。
また、スパンボンド不織布の厚さは、厚さ計として、株式会社テクロック製“TECLOCK”(登録商標)SM−114を使用し、前記の方法で測定、算出した。
そして、スパンボンド不織布の見掛け密度は前記で得られたスパンボンド不織布の目付と前記のスパンボンド不織布の厚さより、前記の方法で算出した。
(4)スパンボンド不織布の剛軟度(mN)
JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」6.7「剛軟度(JIS法及びISO法)」の6.7.4「ガーレ法(JIS法)」に準じて、以下のようにされて得られた値とする。
(i)試料から長さ38.1mm(有効試料長L=25.4mm)、幅d=25.4mmの試験片を試料の任意の5点から採取する。
(ii)採取した試験片をそれぞれチャックに取り付け、可動アームA上の目盛り1−1/2”(1.5インチ=38.1mm)に合わせてチャックを固定する。この場合、試料長の1/2”(0.5インチ=12.7mm)はチャックに1/4”(0.25インチ=6.35mm)、試料の自由端にて振子の先端に1/4”(0.25インチ=6.35mm)がかかるため測定にかかる有効試料長Lは試験片長さから1/2”(0.5インチ=12.7mm)差し引いたものとなる。
(iii)次に振り子Bの支点から下部のおもり取付孔a、b、c(mm)に適当なおもりWa、Wb、Wc(g)を取り付けて可動アームAを定速回転させ、試験片が振り子Bから離れるときの目盛りRG(mgf)を読む。目盛りは小数点以下第一位の桁で読む。ここでおもり取付孔に取り付けるおもりは適宜選択できるものであるが、目盛りRGが4〜6になるよう設定するのが好ましい。
(iv)測定は試験片5点につき表裏各5回、合計50回実施する。
(v)得られた目盛りRGの値から下記式(3)を用いて剛軟度の値を小数点以下第二位で四捨五入してそれぞれ求める。試料の剛軟度(mN)は、50回の測定の平均値を、小数点以下第二位を四捨五入して算出するものである。
Figure 2021098931
(5)スパンボンド不織布の融着面積率(%)
スパンボンド不織布の融着面積率の測定には、株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープ「VHX−5000」を用い、前記の方法によって測定、算出した。
(6)スパンボンド不織布のプリーツ加工性
幅50cm長さ1mの試料を、ロータリー式プリーツ加工機で、ピッチが3cmとなるようプリーツ加工し、以下の基準で評価した。
A:プリーツが鋭角で均一であり、シートに蛇行の見られないもの
B:プリーツがやや不均一であり、シートに僅かな蛇行が見られるもの
C:プリーツが不均一で、シートに蛇行が見られるもの
(7)スパンボンド不織布の通気量(cm/(cm・秒))
スパンボンド不織布の通気量は、スイス・テクステスト社製通気性試験機「FX3300−III」を用いて測定した。
(8)スパンボンド不織布のダスト払い落とし性
不織布の任意の部分から、15cm×15cmのサンプルを3個採取した。図2は、スパンボンド不織布のダスト払い落とし性を評価する装置構成を説明する概略図である。試験サンプルMをセットするサンプルホルダー1の上流側にダスト供給装置5が連結され、下流側に流量計2、流量調整バルブ3、ブロワ4、およびパルスジェット装置6を連結した構成となっている。試験サンプルの評価面積は、0.01mとした。また、サンプルホルダー1に圧力計7が接続されており、試験サンプルMの圧力損失が測定できるようになっている。払い落とし性の試験にあたっては、ダスト供給装置5からJIS15種の標準粉体を205g/mの濃度になるように供給し、フィルター通過速度が1.5m/分になるように流量調整バルブ3で風量を調整して、ダストを一定濃度で連続供給し、試験サンプルMの圧力損失が1500Paに到達したら、パルスジェット装置6から、0.5MPaの圧縮空気を0.1秒噴射し、試験サンプルMに付着した粉塵(ダスト)を払い落とした。
この払い落とし回数が200回に到達するまでの運転時間(hr)をそれぞれ測定し、3回の試験結果の平均値を求め、小数点以下第一位を四捨五入して運転時間(hr)を求めた。
(使用した樹脂)
実施例・比較例において使用した樹脂は下記の通りである。
・ポリエステル系樹脂A:水分率50質量ppm以下に乾燥した、固有粘度(IV)が0.66で融点が260℃の、ポリエチレンテレフタレート(PET)。
・ポリエステル系樹脂B:水分率50質量ppm以下に乾燥した、固有粘度(IV)が0.68、イソフタル酸の共重合比率が11mol%で融点が230℃の、共重合ポリエチレンテレフタレート(CO−PET)。
(実施例1)
前記のポリエステル系樹脂Aと前記のポリエステル系樹脂Bを、それぞれ295℃と280℃の温度で溶融させた。その後、ポリエステル系樹脂Aを芯成分とし、ポリエステル系樹脂Bを鞘成分として、口金温度が300℃で、芯:鞘=80:20の質量比率で芯鞘型の熱可塑性連続フィラメントを平均単繊維直径17μmとなるように吐出量を設定、滑剤であるエルカ酸アミドを繊維全体の0.5質量%となるように添加して溶融紡出し、連続して空気圧にて約5000m/minの高速牽引を実施した。引き続き、フィラメントを空気圧にて噴射、開繊し、移動するネット上に開繊板により繊維配列を規制して堆積させ不織布ウェブとし、これを一対の加熱エンボスロールにより線圧60kg/cm、ロール表面温度200℃、融着面積率10%の条件で融着し、目付が150g/m、200g/m、250g/mの不織布をそれぞれ得た。
(実施例2)
芯鞘型の熱可塑性連続フィラメントの平均単繊維直径が24μmとなるよう吐出量を設定し、加熱エンボスロールの融着条件を、線圧70kg/cm、ロール表面温度205℃、融着面積率20%とし、エンボス加工後に滑剤であるステアリン酸カルシウム塩の液浴に含浸、繊維全体の0.2質量%の割合で付与した。その他の条件は全て実施例1と同じ条件で、目付150g/m、200g/m、250g/mの不織布をそれぞれ得た。
(実施例3)
前記のポリエステル系樹脂Aを平均単繊維直径が17μmとなるよう吐出量を設定し、前記のポリエステル系樹脂Bを平均単繊維直径17μmとなるよう吐出量を設定、それぞれ溶融紡出して紡糸混繊し、連続して空気圧にて約5000m/minの高速牽引を実施した。引き続きフィラメントを空気圧にて噴射、開繊し、移動するネット上に開繊板により繊維配列を規制して堆積させ不織布ウェブとし、これを一対の加熱エンボスロールにより線圧60kg/cm、ロール表面温度200℃、融着面積率18%の条件で融着、その後滑剤であるパラフィンワックスを繊維全体の0.2質量%の割合で塗布し、目付が150g/m、200g/m、250g/mの不織布をそれぞれ得た。
(実施例4)
一対の加熱エンボスロールにより線圧60kg/cm、ロール表面温度200℃、融着面積率6%の条件で融着したこと以外は、実施例3と同じ条件で目付が150g/m、200g/m、250g/mの不織布をそれぞれ得た。
実施例1〜4に記載したスパンボンド不織布の剛軟度、目付CV値、見掛け密度、プリーツ加工性、通気量、およびダスト払い落とし性の評価結果を表1に示した。表1から明らかなように、実施例1〜4のスパンボンド不織布はいずれも剛軟度が25mN以上、目付CV値が5.0%以下であり、プリーツ加工性およびダスト払い落とし性も良好で、フィルター基材として満足できる特性を有するものであった。
(比較例1)
芯鞘型の熱可塑性連続フィラメントの平均単繊維直径が27μmとなるよう吐出量を設定し、加熱エンボスロールの融着条件を、線圧70kg/cm、ロール表面温度205℃、融着面積率23%とし、その他の条件は全て実施例1と同じ条件で、目付150g/m、200g/m、250g/mの不織布をそれぞれ得た。この不織布の各種特性の評価結果を表1に示した。表1から明らかなように、この不織布は、目付150、200g/mでプリーツ加工性がやや不均一となり、ダスト払い落とし性については全ての目付で不十分であった。また、不織布の厚さが薄く、見掛け密度が高いため、フィルター基材とした場合、通気量が低く、ダストの経時的な付着により圧力上昇が起こり、またプリーツ加工性も劣るため好ましくないものであった。
(比較例2)
高融点成分の平均単繊維直径が11μm、低融点成分の平均単繊維直径が11μmとなるよう吐出量を設定し、その他の条件は全て実施例3と同じ条件で、目付150g/m、200g/m、250g/mの不織布をそれぞれ得た。この不織布の各種特性の評価結果を表1に示した。表1から明らかなように、この不織布は、目付150g/mではプリーツ加工性が不均一でシートに蛇行が見られ、200g/mにおいてもプリーツ加工性がやや不均一となり、ダスト払い落とし性については全ての目付で不十分であった。また、不織布の厚さが薄く、見掛け密度が高いため、フィルター基材とした場合、通気量が低く、ダストの経時的な付着により圧力上昇が起こり、またプリーツ加工性も劣るため好ましくないものであった。
Figure 2021098931
1:サンプルホルダー
2:流量計
3:流量調整バルブ
4:ブロワ
5:ダスト供給装置
6:パルスジェット装置
7:圧力計
M:測定サンプル
8:集塵機プリーツバグフィルター用濾材
9:山部
10:谷部
11:MD方向を示す矢印
12:CD方向を示す矢印

Claims (7)

  1. 高融点成分と低融点成分からなる熱可塑性連続フィラメントから構成され、部分的に融着された融着部と、融着されていない非融着部とを有し、目付CV値が5.0%以下であり、かつ滑剤を含んで成るスパンボンド不織布。
  2. 前記熱可塑性連続フィラメントは、前記高融点成分としてポリエチレンテレフタレートを、前記低融点成分として共重合ポリエステルまたはポリブチレンテレフタレートを用いてなる請求項1に記載のスパンボンド不織布。
  3. 前記融着部の面積の割合は、5〜20%である請求項1または2に記載のスパンボンド不織布。
  4. 前記熱可塑性連続フィラメントは、平均単繊維直径が12〜26μmである請求項1〜3に記載のスパンボンド不織布。
  5. 前記滑剤は、脂肪族アミド系である請求項1〜4に記載のスパンボンド不織布。
  6. 請求項1〜5に記載のスパンボンド不織布を用いて成る集塵機プリーツフィルター用濾材。
  7. 請求項6に記載の集塵機プリーツフィルター用濾材を使用した大風量パルスジェットタイプ集塵機。
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