JP2021090992A - レーザ貫通溶接モニタリングシステムおよびレーザ貫通溶接モニタリング方法 - Google Patents

レーザ貫通溶接モニタリングシステムおよびレーザ貫通溶接モニタリング方法 Download PDF

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Wataru Kono
渉 河野
克典 椎原
Katsunori Shiihara
克典 椎原
翔太 荒木
Shota Araki
翔太 荒木
吉延 牧野
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吉延 牧野
崇史 濱田
Takashi Hamada
崇史 濱田
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Abstract

【課題】光強度の測定方法または溶接条件に変化が生じても溶接が貫通したことを判定することができるレーザ貫通溶接モニタリング技術を提供する。【解決手段】レーザ貫通溶接モニタリングシステム1は、溶接の対象となる対象物2にレーザ3を照射して溶接するときに溶融部13とプルーム18の少なくとも一方から生じる光の光強度Lを測定する測定部8と、溶接開始時に測定される光強度Lが上昇から降下に転じる変化点Cを検出する変化点検出部27と、変化点Cを検出したときにレーザ3が対象物2を貫通したと判定する貫通判定部28とを備える。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、レーザ貫通溶接モニタリングシステムおよびレーザ貫通溶接モニタリング方法に関する。
レーザ溶接は、集光レンズで集光したレーザを金属材料に照射して、1パスで深い溶け込みを得ることが可能な溶接技術である。この特性を利用して、厚さ数mmから10mm程度の金属材料を1パスで貫通溶接することができる。また、溶融部から生じる可視光、赤外光、反射光などの強度変化を光センサで測定し、溶接状態および溶接品質の変化をモニタリングする技術が知られている。例えば、光強度に対する閾値を予め設定し、光強度の測定値が閾値より高い場合には、金属材料をレーザが貫通していないと判定し、光強度の測定値が閾値より低い場合には、金属材料をレーザが貫通したと判定する。
特許第3275988号公報
軽金属溶接 Vol.46(2008)No.10、480−490ページ 「アルミニウム合金の高出力YAGレーザ溶接時における溶接現象とインプロセスモニタリング」片山、川口、水谷、川人、樽井 レーザ研究 2004年5月第32巻第5号、357−363ページ 「アルミニウム合金のレーザーマイクロスポット重ね溶接におけるインプロセスモニタリングと適応制御−熱放射による部分溶込み溶接のための適応制御法−」川人、片山
溶融部の光強度の測定値は、レーザの貫通の有無に関わらず変化する場合がある。例えば、レーザ溶接を行うときの測定方法の変化より光強度の測定値が変化する場合がある。また、板厚が異なる金属材料を溶接中に生じる溶接条件の変化により光強度の測定値が変化する場合がある。また、金属材料の材質が変わったときに生じる溶接条件の変化により光強度の測定値が変化する場合がある。このような場合には、閾値を測定方法または溶接条件の変化に応じて再設定しなければならないという課題がある。
本発明の実施形態は、このような事情を考慮してなされたもので、光強度の測定方法または溶接条件に変化が生じても溶接が貫通したことを判定することができるレーザ貫通溶接モニタリング技術を提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係るレーザ貫通溶接モニタリングシステムは、溶接の対象となる対象物にレーザを照射して溶接するときに溶融部とプルームの少なくとも一方から生じる光の光強度を測定する測定部と、溶接開始時に測定される前記光強度が上昇から降下に転じる変化点を検出する変化点検出部と、前記変化点を検出したときに前記レーザが前記対象物を貫通したと判定する貫通判定部と、を備える。
本発明の実施形態により、光強度の測定方法または溶接条件に変化が生じても溶接が貫通したことを判定することができるレーザ貫通溶接モニタリング技術が提供される。
レーザ貫通溶接モニタリングシステムを示すシステム構成図。 レーザを用いて貫通溶接を行っている状態を示す説明図。 対象物の厚みの違いによる光強度の変化を示す説明図。 スロープアップ中にレーザが貫通したときの光強度の変化を示す説明図。 スロープアップの時間を変化させたときの光強度の変化を示す説明図。 光強度の測定値の移動平均を示す説明図。 レーザ貫通溶接モニタリング方法を示すフローチャート。
以下、図面を参照しながら、レーザ貫通溶接モニタリングシステムおよびレーザ貫通溶接モニタリング方法の実施形態について詳細に説明する。
図1の符号1は、本実施形態のレーザ貫通溶接モニタリングシステムである。このシステム1は、溶接の対象となる対象物2にレーザ3を照射して1パスで溶接するときに、レーザ3が対象物2を貫通したか否かをモニタリングすることができる。
レーザ貫通溶接モニタリングシステム1は、レーザ発振器4とレーザ溶接ヘッド5と同軸型光センサ6と直視型光センサ7と測定部8と制御ユニット9とを備える。
レーザ発振器4は、レーザを発生させる。このレーザ発振器4で発生させたレーザ3は、光ファイバーケーブル10を伝ってレーザ溶接ヘッド5に導かれる。レーザ溶接ヘッド5は、レーザ3を対象物2に向けて出力する。レーザ溶接ヘッド5の内部には、レンズ11が設けられており、レーザ3は、レンズ11で集光されて対象物2の表面に照射される。
図2に示すように、対象物2においてレーザ3が照射された部分は、高温に加熱されて金属が蒸発し、キーホール12と呼ばれる空洞が形成される。その周囲には、金属が溶融された溶融部13(溶接部)が形成される。レーザ溶接ヘッド5の進行方向14、即ち溶接方向にレーザ3が移動することによって、キーホール12と溶融部13とが移動して溶接が進行する。
溶融部13の後方は、冷却されて凝固した溶接金属15となり、対象物2同士が接合される。レーザ3を用いた貫通溶接では、このとき対象物2の裏側まで溶融しており、裏波16が形成されて対象物2の裏側まで完全に接合されていることになる。ここで、溶融部13からは強い光が発生する。
また、レーザ溶接中は、キーホール12から浮き出す金属蒸気によって溶融部13の一部がスパッタ17として飛散するとともに、金属蒸気がレーザ3のエネルギーを得てプルーム18を形成して強い光が発生する。
なお、本実施形態の「光」という用語には、溶融部13とプルーム18の少なくとも一方から生じる可視光と、溶融部13から生じる赤外光と、溶融部13で反射されるレーザの反射光とが含まれる。
溶融部13またはプルーム18から生じる光は、照射されるレーザ3の出力に応じて変化する。レーザ3の出力が高ければ光の強度も強くなる。また、レーザ3が対象物2の裏面に貫通されたときには、レーザ3の照射面側(表面側)で溶融部13またはプルーム18から発せられる光の強度が低下する。例えば、溶融部13から発せられる可視光または赤外光は、溶融部13の一部が対象物2の裏面に抜けるため低下する。レーザ3の反射光は、溶融部13で反射される量が低下されるため低下する。プルーム18から発せられる可視光は、プルーム18が対象物2の裏面側に抜けるため低下する。本実施形態では、この光の強度の低下を検出することで、レーザ3が対象物2の裏面に貫通されたか否かを判定する。
レーザ3を用いた貫通溶接は、1パスで対象物2を接合できる溶接方法であり、溶接時間の短縮または低入熱で低変形な溶接を実現できる有効な手法である。ここで、レーザ3が対象物2の裏面まで貫通しているか否かをレーザ3の照射面側から確認することはできない。
板状を成す対象物2の場合には、その裏面側から目視またはカメラを用いて裏波16を確認することができる。しかし、必ずしも裏波16を確認できるとは限らない。例えば、管状を成す対象物2に対してその外周面からレーザ3を照射して溶接する場合には、その裏面側から目視またはカメラを用いて裏波16を確認できない。本実施形態では、このような裏波16を確認できない場合に溶接条件の管理でレーザ3が貫通していることを担保する。
図1に示すように、レーザ溶接ヘッド5から対象物2にレーザ3が照射されたときに発生する可視光、赤外光、反射光の強度変化を同軸型光センサ6および直視型光センサ7で検出する。
直視型光センサ7は、レーザ溶接ヘッド5の外部の周辺位置に設けられ、溶融部13とプルーム18の少なくとも一方から生じる光を検出する。直視型光センサ7は、アンプ19を介して測定部8に接続されている。直視型光センサ7が光を検出することで出力される検出信号は、アンプ19で増幅されて測定部8に入力される。測定部8では、検出信号の時間変化を記録する。また、直視型光センサ7は、測定波長範囲の光をフィルタリングするフィルタ21を備える。このフィルタ21を変更することで特定波長範囲の光を検出することが可能となる。
同軸型光センサ6は、レーザ溶接ヘッド5の内部にレーザ3の通過軸に沿って溶融部13から入射される光を検出する。なお、溶融部13からレーザ溶接ヘッド5の内部に入射される光には、溶融部13から発せられる可視光または赤外光と、溶融部13で反射されるレーザ3の反射光とが含まれる。
レーザ溶接ヘッド5の内部には複数のミラー23,24が内蔵されている。これらのミラー23,24を用いてレーザ3の通過軸と同軸に戻ってくる光を同軸型光センサ6まで導くことができる。そして、同軸型光センサ6でその光の強度を測定することができる。同軸型光センサ6は、アンプ20を介して測定部8に接続されている。同軸型光センサ6が光を検出することで出力される検出信号は、アンプ20で増幅されて測定部8に入力される。測定部8では、検出信号の時間変化を記録する。また、同軸型光センサ6は、測定波長範囲の光をフィルタリングするフィルタ22を備える。このフィルタ22を変更することで特定波長範囲の光を検出することが可能となる。
なお、直視型光センサ7と同軸型光センサ6とをそれぞれ複数個ずつ設けるようにし、それぞれのフィルタ21,22を調整して可視光および赤外光をそれぞれの光センサ6,7で検出するようにしても良い。また、可視光用のフィルタ21,22と赤外光用のフィルタ21,22とを切り換え可能に設けても良い。対象物2または溶接条件に応じて用いるフィルタ21,22を切り換えても良い。
測定部8は、溶融部13またはプルーム18の光強度の変化を、直視型光センサ7または同軸型光センサ6の検出信号の強度の変化として捉えることができる。つまり、測定部8は、溶融部13とプルーム18の少なくとも一方から生じる光の光強度を測定する。そして、溶接中の時間変化を波形データとして取得することができる。この波形データは、制御ユニット9に入力される。この波形データを利用して、溶接状態または溶接品質の変化をモニタリングすることが可能なる。
本実施形態では、レーザ3を用いた溶接開始時に測定される光強度が上昇から降下に転じる変化点を検出し、この変化点を検出したときにレーザ3が対象物2を貫通したと判定するようにしている。
制御ユニット9は、事前設定部25と出力制御部26と変化点検出部27と貫通判定部28と記憶部29と表示部30とを備える。なお、事前設定部25と出力制御部26と変化点検出部27と貫通判定部28とは、メモリまたはHDDに記憶されたプログラムがCPUによって実行されることで実現される。
本実施形態の制御ユニット9は、CPU、ROM、RAM、HDDなどのハードウェア資源を有し、CPUが各種プログラムを実行することで、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて実現されるコンピュータで構成される。さらに、本実施形態のレーザ貫通溶接モニタリング方法は、各種プログラムをコンピュータに実行させることで実現される。
事前設定部25は、レーザ3の照射開始時に、レーザ3の出力値を特定値までスロープアップさせるときの時間を制御する。本実施形態では、スロープアップの時間が300ms以上、1500ms以下となっている。そして、事前設定部25には、スロープアップの時間内に変化点が含まれるように予めスロープアップの終了点を設定する。
出力制御部26は、レーザ発振器4で発生させるレーザ3の出力を制御する。特に、溶接開始時にレーザ3の出力を特定値までスロープアップさせる制御を行う。なお、特定値とは、対象物2を貫通させることができるレーザ3の出力値を示す。
変化点検出部27は、レーザ3の溶接開始時に測定される光強度が上昇から降下に転じる変化点を検出する。特に、変化点検出部27は、光強度の測定値が移動平均を下回った時点を変化点として検出する。なお、光強度の移動平均を算出し、この移動平均と光強度との関係に基づいて変化点を検出しても良い。
貫通判定部28は、変化点を検出したときにレーザ3が対象物2を貫通したと判定する。
記憶部29は、レーザ3が対象物2を貫通したか否かを示す情報を記憶する。なお、その他の情報を記憶しても良い。
表示部30は、対象物2を貫通したか否かを示す情報を表示する。なお、本実施形態では、変化点の検出を変化点検出部27が行っているが、システムのユーザが表示部30に表示される光強度のグラフに基づいて、人手により変化点の検出を行っても良い。さらに、本実施形態では、レーザ3が対象物2を貫通したことを貫通判定部28により行っているが、システムのユーザが表示部30に表示される光強度のグラフに基づいて、人手によりレーザ3が対象物2を貫通したか否かを判定しても良い。
本実施形態の表示部30は、解析結果の出力を行うディスプレイなどの表示装置が含まれる。なお、本実施形態では、表示装置としてディスプレイを例示するが、その他の態様であっても良い。例えば、紙媒体に情報を印字するプリンタをディスプレイの替りとして用いても良い。
制御ユニット9は、システムを使用する使用者の操作に応じて所定の情報が入力される情報入力部を備えていても良い。この情報入力部には、マウスまたはキーボードなどの入力装置が含まれる。つまり、これら入力装置の操作に応じて所定の情報が制御ユニット9に入力される。
次に、実験結果に基づいて基本的な原理を説明する。図3(A)は、対象物2の厚さの違いを示す説明図である。図3(B)は、溶融部13から生じる光の光強度と時間との関係を示すグラフである。理解を助けるために、対象物2とグラフとを並べて図示している。レーザ3の進行方向14とグラフの時間軸を一致させて図示している。
実験に用いた対象物2は、レーザ3が貫通しない非貫通溶接部W1としての板厚20mmの部分と、レーザ3が貫通する貫通溶接部W2としての板厚10mmの部分とがあるものとする。そして、対象物2の一旦から他端に向かってレーザ3を一定の出力で進行させながら照射するものとする。
このときに、光センサ6,7を用いて可視光の光強度Lを測定すると、レーザ3が板厚20mmの非貫通溶接部W1を照射しているときには光強度Lが高い。一方、レーザ3が進行して、板厚10mmの貫通溶接部W2を照射するようになると、光強度Lの低下が生じていることが分かる。なお、従来技術では、光強度Lに対して所定の閾値Tを設けることで非貫通溶接の状態と貫通溶接の状態の変化を判定するようにしていた。
次に、実験結果に基づいて本実施形態の実施態様を説明する。図4(A)は、レーザ3の出力値と時間との関係を示すグラフである。図4(B)は、対象物2の表面に沿ってレーザ3が照射される状態を示す説明図である。図4(C)は、溶融部13から生じる光の光強度Lと時間との関係を示すグラフである。
理解を助けるために、対象物2と各グラフとを並べて図示している。また、レーザ3の進行方向14とグラフの時間軸を一致させて図示している。なお、グラフでは、溶融部13から生じる光を例示しているが、プルーム18から生じる光でも同様のグラフとなる。レーザ3は、溶接の開始位置P1からスロープアップし、所定の位置P2で特定値となる。そして、レーザ3は、溶接の終了位置P3まで移動される。
実験に用いた対象物2は、一定の厚みを有するステンレス鋼を例示する。例えば、板厚10mmのステンレス鋼に9000Wの出力でレーザ貫通溶接を行う。溶接の開始位置P1でレーザ3の照射が開始される。レーザ出力プロファイルQに示すように(図4(A))、480msの時間を掛けて9000Wまで連続的にレーザ3の出力値をスロープアップさせる。このスロープアップの期間U中に溶接の溶け込み深さは増加し、光センサ6,7が検出する光強度Lが増加される(図4(C)の矢印R参照)。
さらに、レーザ3の出力値が増加すると溶け込み深さもさらに増加して所定の溶接貫通位置(変化点C)で対象物2の裏面側に貫通する。それ以後は、貫通溶接が進行して溶接部31が形成される。一方、光強度Lは、溶接貫通位置で溶接が貫通すると急激に減少する(図4(C)の矢印D参照)。このようにレーザ出力のスロープアップの期間U中に発生する光強度Lが上昇から下降に転じる変化点Cを抽出することで、溶接が貫通したことを判断することができる。
本実施形態では、固定された閾値Tを設定する必要がなく、光強度Lの相対的な時間変化から溶接の貫通を判断するため、測定方法の変化または溶接条件の変化が生じても適用することができる。
また、フィルタ21,22の種類を適宜変更することで、溶接部31(溶融部13と凝固した部分を含む)から発せられる可視光、赤外光、反射光など特定の波長域の光強度Lを測定することが可能となる。複数の波長域の光強度Lの相対的な時間変化で溶接が貫通したことを判断するようにしても良い。
次に、実験結果に基づいて本実施形態の実施態様を説明する。図5(A)は、レーザ3の出力値と時間との関係を示すグラフである。図5(B)は、対象物2の表面に沿ってレーザ3が照射される状態を示す説明図である。図5(C)は、溶融部13から生じる光の光強度Lと時間との関係を示すグラフである。
理解を助けるために、対象物2と各グラフとを並べて図示している。また、レーザ3の進行方向14とグラフの時間軸を一致させて図示している。なお、グラフでは、溶融部13から生じる光を例示しているが、プルーム18から生じる光でも同様のグラフとなる。レーザ3は、溶接の開始位置P1からスロープアップし、所定の位置P2で特定値となる。そして、レーザ3は、溶接の終了位置P3まで移動される。
実験に用いた対象物2は、一定の厚みを有するステンレス鋼を例示する。レーザ出力プロファイルQに示すように(図5(A))、レーザ3の出力値のスロープアップを980msとした場合に、出力の上昇が緩やかになるため溶け込み深さのなだらかに増加する(図5(C)の矢印R参照)。
この際に、溶融部13の光強度Lはなだらかに増加し、その後、溶接貫通位置(変化点C)で急激に減少する(図5(C)の矢印D参照)。また、スロープアップの時間Uを980msにした場合でも、溶接が貫通した時点で光強度Lの相対的な時間変化が発生し、この変化点Cを抽出することで溶接の貫通を判断することが可能となる。
なお、溶接速度が変化した場合に、レーザ3の出力値のスロープアップ中に溶接が進行する距離が変化することになるが、スロープアップの時間Uを調整することで貫通溶接を判断可能な適正なモニタリングが可能となる。
なお、光強度Lの移動平均Mに基づいて変化点Cを検出しても良い。図6では、光強度Lを示すグラフと移動平均Mを示すグラフとを重ねて図示している。
移動平均Mの値を光強度Lの実測値が下回る交差点を検知することで光強度Lの変化点Cを求めることができる。図6では、光強度Lが降下する部分と移動平均Mが上昇する部分とが交差しており、この交差点が変化点Cとなっている。この変化点Cでレーザ3が対象物2を貫通したと判定することができる。なお、移動平均Mは、溶接中に測定された光強度Lから計算できる。そのため、時系列データをリアルタイムに逐次処理して、光強度Lと移動平均Mを比較して変化点Cを検知することが可能となる。
例えば、変化点検出部27が、光強度Lの測定値が移動平均Mを下回った時点を変化点として検出する。このようにすれば、光強度Lが上昇から降下に転じる変化点Cを検出する処理を移動平均の計算に基づいて行うことができる。
本実施形態では、出力制御部26が、溶接開始時にレーザ3の出力を特定値までスロープアップさせることで、光強度が上昇から降下に転じる変化点が検出し易くなる。また、事前設定部25が、スロープアップの時間内に変化点Cが含まれるように予めスロープアップの終了点を設定することで、スロープアップ中に変化点Cを検出することができる。
また、スロープアップの時間が300ms以上であることで、光強度Lが上昇から降下に転じる変化点Cを検出するためのスロープアップの時間を確保することができる。300ms以上であれば、充分なスロープアップの時間が確保できる。
また、スロープアップの時間が1500ms以下であることで、レーザ3の進行速度が遅くても充分にスロープアップの時間を確保することができる。また、スロープアップの時間の確保により、溶接の進行が遅延してしまうことを抑制することができる。
また、溶融部13とプルーム18の少なくとも一方から生じる可視光に基づいて光強度を測定することで、より溶融部13またはプルーム18の変化を捉え易くなる。
また、溶融部13から生じる赤外光に基づいて光強度を測定することで、プルーム18に邪魔されることなく、レーザ3の貫通を判定することができる。
また、溶融部13で反射されるレーザ3の反射光に基づいて光強度を測定することで、他の外部の光がノイズとなることなく、レーザ3の反射光を用いてレーザ3の貫通を判定することができる。
なお、変化点検出部27は、可視光と赤外光とレーザ3の反射光の少なくともいずれか1つの光強度が上昇から降下に転じる変化点を検出し、この変化点に基づいて、貫通判定部28が、レーザ3が対象物2を貫通したと判定しても良い。このようにすれば、レーザ3の貫通をしたことを確実に判定することができる。
なお、可視光と赤外光と反射光とで判定結果が異なる場合には、反射光を優先して判定結果として用いても良い。反射光の場合には、レーザ3が対象物2の裏側に抜けるため、光強度の変化が最も捉え易いためである。また、反射光を用いることで、厚みが異なる複数の対象物2のいずれに適用しても、正確に光強度の変化を捉えることができる。
また、直視型光センサ7を用いることで、レーザ溶接ヘッド5の構成を変更することなく、溶融部13またはプルーム18から生じる光の検出を行うことができる。
また、同軸型光センサ6を用いることで、他の外部の光がノイズとなることなく、溶融部13から生じる光の検出を行うことができる。
次に、レーザ貫通溶接モニタリングシステム1を用いて実行されるレーザ貫通溶接モニタリング方法について図7のフローチャートを用いて説明する。なお、図1を適宜参照する。
図7に示すように、まず、ステップS11において、レーザ貫通溶接モニタリングシステム1のユーザは、溶接の開始前に、スロープアップの時間を設定する事前設定を行う。
なお、スロープアップの時間(期間)は、対象物2の形状、材質、厚み、レーザ3の出力値(特定値)などの各種情報に基づいて設定する。ここで、ユーザは、スロープアップの時間内に変化点が含まれるように予測し、スロープアップの終了点を設定する。このスロープアップの時間の設定が制御ユニット9の事前設定部25にセットされる。
次のステップS12において、出力制御部26は、レーザ3の出力を開始する。ここで、レーザ溶接ヘッド5は、所定の進行方向14に進行しながら、レーザ3が対象物2に照射される。
次のステップS13において、出力制御部26は、事前設定部25にセットされたスロープアップの時間に基づいて、レーザ3の出力を制御する。つまり、レーザ3の出力がスロープアップで上昇される。
次のステップS14において、測定部8は、直視型光センサ7および同軸型光センサ6から入力される検出信号に基づいて、溶融部13またはプルーム18から生じる光の光強度を測定する。
次のステップS15において、変化点検出部27は、測定部8が測定した光強度に基づいて変化点を検出する処理を行う。ここで、変化点が検出されていない場合(ステップS15にてNOの場合)は、ステップS14に戻る。一方、変化点が検出された場合(ステップS15にてYESの場合)は、ステップS16に進む。
次のステップS16において、貫通判定部28は、レーザ3が対象物2を貫通したと判定する。
次のステップS17において、記憶部29は、レーザ3が対象物2を貫通したことを示す情報を記憶する。さらに、表示部30は、レーザ3が対象物2を貫通したことを示す情報を表示する。そして、処理を終了する。
なお、本実施形態のフローチャートにおいて、各ステップが直列に実行される形態を例示しているが、必ずしも各ステップの前後関係が固定されるものでなく、一部のステップの前後関係が入れ替わっても良い。また、一部のステップが他のステップと並列に実行されても良い。
本実施形態のシステムは、専用のチップ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、またはCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを高集積化させた制御装置と、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)などの記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)などの外部記憶装置と、ディスプレイなどの表示装置と、マウスまたはキーボードなどの入力装置と、通信インターフェースとを備える。このシステムは、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成で実現できる。
なお、本実施形態のシステムで実行されるプログラムは、ROMなどに予め組み込んで提供される。もしくは、このプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、CD−R、メモリカード、DVD、フレキシブルディスク(FD)などのコンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体に記憶されて提供するようにしても良い。
また、このシステムで実行されるプログラムは、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせて提供するようにしても良い。また、このシステムは、構成要素の各機能を独立して発揮する別々のモジュールを、ネットワークまたは専用線で相互に接続し、組み合わせて構成することもできる。
以上説明した実施形態によれば、溶接開始時に測定される光強度が上昇から降下に転じる変化点を検出する変化点検出部を備えることにより、光強度の測定方法または溶接条件に変化が生じても溶接が貫通したことを判定することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…レーザ貫通溶接モニタリングシステム、2…対象物、3…レーザ、4…レーザ発振器、5…レーザ溶接ヘッド、6…同軸型光センサ、7…直視型光センサ、8…測定部、9…制御ユニット、10…光ファイバーケーブル、11…レンズ、12…キーホール、13…溶融部、14…進行方向、15…溶接金属、16…裏波、17…スパッタ、18…プルーム、19,20…アンプ、21,22…フィルタ、23,24…ミラー、25…事前設定部、26…出力制御部、27…変化点検出部、28…貫通判定部、29…記憶部、30…表示部、31…溶接部、C…変化点、L…光強度、M…移動平均、P1…開始位置、P2…所定の位置、P3…終了位置、Q…レーザ出力プロファイル、T…閾値、W1…非貫通溶接部、W2…貫通溶接部。

Claims (13)

  1. 溶接の対象となる対象物にレーザを照射して溶接するときに溶融部とプルームの少なくとも一方から生じる光の光強度を測定する測定部と、
    溶接開始時に測定される前記光強度が上昇から降下に転じる変化点を検出する変化点検出部と、
    前記変化点を検出したときに前記レーザが前記対象物を貫通したと判定する貫通判定部と、
    を備える、
    レーザ貫通溶接モニタリングシステム。
  2. 前記溶接開始時に前記レーザの出力を特定値までスロープアップさせる出力制御部を備える、
    請求項1に記載のレーザ貫通溶接モニタリングシステム。
  3. 前記スロープアップの時間内に前記変化点が含まれるように予め前記スロープアップの終了点を設定する事前設定部を備える、
    請求項2に記載のレーザ貫通溶接モニタリングシステム。
  4. 前記スロープアップの時間が300ms以上である、
    請求項2または請求項3に記載のレーザ貫通溶接モニタリングシステム。
  5. 前記スロープアップの時間が1500ms以下である、
    請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のレーザ貫通溶接モニタリングシステム。
  6. 前記変化点検出部は、前記光強度の測定値が移動平均を下回った時点を前記変化点として検出する、
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のレーザ貫通溶接モニタリングシステム。
  7. 前記光は、前記溶融部と前記プルームの少なくとも一方から生じる可視光を含む、
    請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のレーザ貫通溶接モニタリングシステム。
  8. 前記光は、前記溶融部から生じる赤外光を含む、
    請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のレーザ貫通溶接モニタリングシステム。
  9. 前記光は、前記溶融部で反射される前記レーザの反射光を含む、
    請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のレーザ貫通溶接モニタリングシステム。
  10. 前記光は、前記溶融部と前記プルームの少なくとも一方から生じる可視光と、前記溶融部から生じる赤外光と、前記溶融部で反射される前記レーザの反射光と、を含み、
    前記変化点検出部は、少なくともいずれか1つの前記光の前記光強度が上昇から降下に転じる変化点を検出する、
    請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のレーザ貫通溶接モニタリングシステム。
  11. 前記レーザを出力するレーザ溶接ヘッドの外部に設けられ、前記溶融部と前記プルームの少なくとも一方から生じる前記光を検出する直視型光センサを備える、
    請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のレーザ貫通溶接モニタリングシステム。
  12. 前記レーザを出力するレーザ溶接ヘッドの内部に前記レーザの通過軸に沿って前記溶融部から入射される前記光を検出する同軸型光センサを備える、
    請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のレーザ貫通溶接モニタリングシステム。
  13. 溶接の対象となる対象物にレーザを照射して溶接するときに溶融部とプルームの少なくとも一方から生じる光の光強度を測定するステップと、
    溶接開始時に測定される前記光強度が上昇から降下に転じる変化点を検出するステップと、
    前記変化点を検出したときに前記レーザが前記対象物を貫通したと判定するステップと、
    を含む、
    レーザ貫通溶接モニタリング方法。
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