JP2021088583A - Nk−1受容体アンタゴニストを含むエマルジョン - Google Patents
Nk−1受容体アンタゴニストを含むエマルジョン Download PDFInfo
- Publication number
- JP2021088583A JP2021088583A JP2021025927A JP2021025927A JP2021088583A JP 2021088583 A JP2021088583 A JP 2021088583A JP 2021025927 A JP2021025927 A JP 2021025927A JP 2021025927 A JP2021025927 A JP 2021025927A JP 2021088583 A JP2021088583 A JP 2021088583A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- weight
- emulsion
- oil
- aprepitant
- receptor antagonist
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Medicinal Preparation (AREA)
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
Abstract
【課題】NK−1受容体アンタゴニストを含むエマルジョンの提供。【解決手段】本明細書において開示するのは、静脈内投与を含む非経口投与に適したニューロキニン−1(NK−1)受容体アンタゴニストの新規な医薬製剤である。また含まれるのは、NK−1受容体アンタゴニストおよびリン酸デキサメタゾンナトリウムの両方を含む製剤である。医薬製剤は、嘔吐(emesis)の非経口処置のための安定な水中油エマルジョンであり、高度に催吐性のがん化学療法を受けている対象の処置のために特に有用である。【選択図】なし
Description
(技術分野)
本開示は一般に、嘔吐(emesis)の処置のためのNK−1受容体アンタゴニストの静脈内または非経口投与のためのエマルジョン製剤および系に関する。エマルジョン製剤は、長期間安定である。また記載するのは、安定なNK−1受容体アンタゴニストエマルジョンおよび医薬製剤を調製する方法である。
本開示は一般に、嘔吐(emesis)の処置のためのNK−1受容体アンタゴニストの静脈内または非経口投与のためのエマルジョン製剤および系に関する。エマルジョン製剤は、長期間安定である。また記載するのは、安定なNK−1受容体アンタゴニストエマルジョンおよび医薬製剤を調製する方法である。
嘔吐(Emesis)は、抗がん細胞毒性療法の結果として経験される重大な問題である。予防的治療なしでは患者の80%までが、化学療法によって誘発される悪心および嘔吐(vomiting)(CINV)を経験する(Vieira dos Santosら、2012年、J Natl Cancer Inst、104巻:1280〜1292頁)。Navariら(1999年、N Engl J Med、340巻:190〜195頁)は、ニューロキニン−1(NK−1)受容体アンタゴニストが、シスプラチンをベースとする化学療法と組み合わせて使用されたとき、CINVを改善させることを示した。NK−1受容体アンタゴニストは受容体へのサブスタンスPの結合をブロックし、それによってNK−1受容体によって媒介される嘔吐(vomiting)経路の誘発を予防または制限する(Aziz、2012年、Ann Palliat Med、1巻:130〜136頁)。
現在承認され、市販されているNK−1受容体アンタゴニストは、両方とも経口形態で利用可能であるアプレピタントおよびロラピタントHClを含む。驚くほどのことではないが、経口剤形は、具体的には、例えば、化学療法の2日目および3日目に嘔吐(emesis)を患っている患者について問題を生じさせ得る。したがって、これらの患者のための処置を単純化する注射用製剤を有することが望ましい。本明細書に記載されているのは、注射によって患者に投与するために製剤化されるエマルジョンである。これらのエマルジョンは、水性溶媒中で難溶性、または水をベースとする液体製剤中で不安定であり得るニューロキニン−1受容体アンタゴニストを含有するように製剤化される。
Vieira dos Santosら、2012年、J Natl Cancer Inst、104巻:1280〜1292頁
Navariら(1999年、N Engl J Med、340巻:190〜195頁)
Aziz、2012年、Ann Palliat Med、1巻:130〜136頁
乏しい溶解性および/または乏しい胃腸の透過性の特徴を有するNK−1受容体アンタゴニストを含有する液体製剤は、長期間の貯蔵のためおよび投与のために製剤することが非常に挑戦的であり得る。この挑戦に取り組む1つの手段は、注射用製剤の調製を可能にし得、かつ一旦投与されると、活性剤のバイオアベイラビリティーを増進し得ることの両方である、エマルジョンを調製することである。
静脈内エマルジョンは、毛細管の閉塞および塞栓形成をもたらすことなく血流中を循環するのに非常に小さな液滴サイズを有するべきである。これらのサイズ制限は、注射可能な脂質エマルジョン中の小滴サイズ分布のためのUSP33−NF28総則<729>(以下USP<729>と称する)によって類型化され、USP<729>は、(1)500nmまたは0.5μmを超えない平均液滴サイズ、および(2)最終脂質濃度に関わりなく、0.05%を超えない5μmより大きい脂肪の体積加重百分率(PFAT5)として表される大きな直径の脂肪小滴の集団についての普遍的限度を定義する。
エマルジョン製剤は、物理的に安定でなくてはならない。USP<729>において定義される液滴サイズ限度は、指定された保存寿命にわたって適用される。全ての真のエマルジョンは熱力学的に不安定であり、経時的に液滴サイズを増加させる傾向のある一連のプロセスを起こし得る。これらは、2個の液滴が衝突して、単一の新たな液滴を形成するときの直接の液滴癒着、および凝集を含み、ここでは液滴が一緒に接着し、より大きな塊を形成する。凝集は、場合によって、より大きな液滴へのさらなる癒着の前駆体であり得る。これらのプロセスは、「クリーミング」として公知の現象である、容器の表面に達する大きな凝集物をもたらし、最終的に「クラッキング」として公知である、遊離油がエマルジョン表面上に可視であることをもたらし得る。
エマルジョン製剤はまた、化学的に安定でなくてはならない。薬物原料は、分解し得る。例えば、親油性薬物は、油相に分配され、これはある程度の保護を与えるが、加水分解による分解は、油−水の界面においてまだ起こり得る。非経口脂肪エマルジョン内の可能性がある化学分解は、トリグリセリドおよびレシチン中に存在する不飽和脂肪酸残基の酸化、ならびにリン脂質の加水分解を含み、遊離脂肪酸(FFA)およびリゾリン脂質の形成がもたらされる。このような分解物はpHを低下させ、次いでこれはさらなる分解を促進し得る。このように、製造の間にpHを制御すべきであり、非経口エマルジョン製剤は、さらなる制御を実現する緩衝剤を含み得る。指定された保存寿命にわたるpHのいかなる低下も、化学分解を示すものであり得る。
本出願において、エマルジョン製剤を調製および特徴付けをして、NK−1受容体アンタゴニスト化合物が、静脈内注射のためにエマルジョン中に組み込まれ、かつ製剤の保存寿命の間に安定であり続けることを可能とする製剤およびプロセスを識別した。
(簡単な要旨)
下記に記載および例示した下記の態様およびその実施形態は、範囲を限定するのではなく、例証的および例示的であることを意味する。
下記に記載および例示した下記の態様およびその実施形態は、範囲を限定するのではなく、例証的および例示的であることを意味する。
一態様では、油相(油相は、ニューロキニン1(NK−1)受容体アンタゴニスト、界面活性剤およびコサーファクタントを含む);ならびに水相(水相は、水、等張化剤、およびpH調節物質を含む)を含む安定なエマルジョンを含む、静脈内投与に適した医薬組成物を提供する。
一部の実施形態では、NK−1受容体アンタゴニストは、アプレピタント、ロラピタント、ネツピタント、ラネピタント、ベスチピタント、オルベピタントマレイン酸塩、カソピタント、エズロピタント、セルロピタント、ベフェツピタントおよびマロピタント、または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される。他の実施形態では、NK−1受容体アンタゴニストは、水中で難溶性である。
一部の実施形態では、NK−1受容体アンタゴニストは、ロラピタント、ネツピタント、カソピタント、エズロピタント、ベスチピタント、セルロピタント、マロピタント、およびオルベピタントからなる群から選択される。
一部の実施形態では、NK−1受容体アンタゴニストは、アプレピタントではない。
一部の実施形態では、組成物は、油を含む水中油エマルジョンであり、油は、ヤシ油、オリーブ油、ダイズ油、サフラワー油、トリグリセリド、グリセリン酸オクチルおよびグリセリン酸デシル、オレイン酸エチル、リノール酸グリセリル、リノール酸エチル、オレイン酸グリセリル、オレイン酸/リノール酸コレステリルまたはこれらの混合物からなる群から選択される。他の実施形態では、油は、加水分解される。また他の実施形態では、油は、構造的に修飾される。
一部の実施形態では、乳化剤は、リン脂質を含む。別の実施形態では、乳化剤は、卵リン脂質、ダイズリン脂質、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、混合鎖リン脂質、リゾリン脂質、硬化リン脂質、半硬化リン脂質、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
一部の実施形態では、コサーファクタントは、アルコールを含む。他の実施形態では、コサーファクタントは、エタノールである。
一部の実施形態では、pH調節物質は、オレエートまたは薬学的に許容されるその塩を含む。他の実施形態では、オレエートは、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウムまたはオレイン酸アンモニウムである。また他の実施形態では、pH調節物質は、オレイン酸ナトリウムまたは薬学的に許容されるその塩である。
一部の実施形態では、pH調節物質は、緩衝液を含む。他の実施形態では、緩衝液は、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液、炭酸緩衝液、コハク酸緩衝液、マレイン酸緩衝液およびホウ酸緩衝液からなる群から選択される。また他の実施形態では、緩衝液は、リン酸緩衝食塩水(PBS)、改変PBS(PBS−mod)およびクエン酸緩衝液の群から選択される。
一部の実施形態では、pH調節物質は、オレエートおよび緩衝液を含む。他の実施形態では、オレエートは、オレイン酸ナトリウムであり、緩衝液は、トリス緩衝液である。
一部の実施形態では、pH調節物質は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、トリス、リノール酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸アンモニウム、炭酸カリウム、リノール酸カリウム、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
一部の実施形態では、組成物は、約5重量/重量%(重量/重量%)〜15重量/重量%、5重量/重量%〜10重量/重量%、7重量/重量%〜10重量/重量%、8重量/重量%〜9重量/重量%、または9重量/重量%〜10重量/重量%の油を含む。別の実施形態では、組成物は、約8重量/重量%、8.5重量/重量%、9重量/重量%、9.5重量/重量%、10重量/重量%、または10.5重量/重量%の油を含む。また他の実施形態では、油は、ダイズ油である。
一部の実施形態では、組成物は、約10重量/重量%〜20重量/重量%、12重量/重量%〜17重量/重量%、13重量/重量%〜16重量/重量%、13重量/重量%〜15重量/重量%、14重量/重量%〜15重量/重量%、または13重量/重量%〜14重量/重量%の乳化剤を含む。他の実施形態では、組成物は、約13重量/重量%、13.5重量/重量%、14重量/重量%、14.5重量/重量%、15重量/重量%、16重量/重量%、17重量/重量%、18重量/重量%、19重量/重量%または20重量/重量%の乳化剤を含む。また他の実施形態では、乳化剤は、レシチンである。他の実施形態では、レシチンは、卵黄レシチンである。
一部の実施形態では、組成物は、約0.05重量/重量%〜1.5重量/重量%、0.1重量/重量%〜1.0重量/重量%、0.2重量/重量%〜0.8重量/重量%、0.3重量/重量%〜0.7重量/重量%、0.4重量/重量%〜0.6重量/重量%、0.4重量/重量%〜0.5重量/重量%のオレエートまたはその塩を含む。他の実施形態では、組成物は、約0.05重量/重量%、0.1重量/重量%、0.2重量/重量%、0.3重量/重量%、0.4重量/重量%、0.45重量/重量%、0.5重量/重量%、0.6重量/重量%、0.7重量/重量%、0.8重量/重量%、0.9重量/重量%、1.0重量/重量%または1.5重量/重量%のオレエートまたはその塩を含む。また他の実施形態では、オレエートは、オレイン酸ナトリウムである。さらに別の実施形態では、オレエートまたはオレイン酸ナトリウムは、pH調節物質である。
一部の実施形態では、組成物は、組成物の一単位における油、乳化剤およびオレエートの重量の合計当たりの油の重量の百分率として表して、約20重量/重量%〜50重量/重量%、30重量/重量%〜50重量/重量%、35重量/重量%〜45重量/重量%、30重量/重量%〜45重量/重量%、37重量/重量%〜42重量/重量%、38重量/重量%〜40重量/重量%、30重量/重量%、31重量/重量%、32重量/重量%、33重量/重量%、34重量/重量%、35重量/重量%、36重量/重量%、37重量/重量%、38重量/重量%、39重量/重量%、40重量/重量%、41重量/重量%、42重量/重量%、43重量/重量%、44重量/重量%、45重量/重量%、46重量/重量%、47重量/重量%、48重量/重量%、49重量/重量%、50重量/重量%の油を含む。他の実施形態では、油は、ダイズ油である。
一部の実施形態では、組成物は、組成物の一単位における油および乳化剤の重量の合計当たりの油の重量の百分率として表して、約20重量/重量%〜50重量/重量%、30重量/重量%〜50重量/重量%、35重量/重量%〜45重量/重量%、30重量/重量%〜45重量/重量%、37重量/重量%〜42重量/重量%、38重量/重量%〜40重量/重量%、30重量/重量%、31重量/重量%、32重量/重量%、33重量/重量%、34重量/重量%、35重量/重量%、36重量/重量%、37重量/重量%、38重量/重量%、39重量/重量%、40重量/重量%、41重量/重量%、42重量/重量%、43重量/重量%、44重量/重量%、45重量/重量%、46重量/重量%、47重量/重量%、48重量/重量%、49重量/重量%、50重量/重量%の油を含む。他の実施形態では、油は、ダイズ油である。
一部の実施形態では、組成物は、組成物の一単位における油、乳化剤およびオレエートの重量の合計当たりの乳化剤の重量の百分率として表して、約40重量/重量%〜80重量/重量%、50重量/重量%〜70重量/重量%、55重量/重量%〜65重量/重量%、57重量/重量%〜63重量/重量%、58〜60重量/重量%、35重量/重量%〜40重量/重量%、30重量/重量%〜40重量/重量%、50重量/重量%、51重量/重量%、52重量/重量%、53重量/重量%、54重量/重量%、55重量/重量%、56重量/重量%、57重量/重量%、58重量/重量%、59重量/重量%、60重量/重量%、61重量/重量%、62重量/重量%、63重量/重量%、64重量/重量%、65重量/重量%、66重量/重量%、67重量/重量%、68重量/重量%、69重量/重量%、70重量/重量%の乳化剤を含む。別の実施形態では、乳化剤は、レシチンである。また他の実施形態では、レシチンは、卵黄レシチンである。
一部の実施形態では、組成物は、組成物の一単位における油および乳化剤の重量の合計当たりの乳化剤の重量の百分率として表して、約40重量/重量%〜80重量/重量%、50重量/重量%〜70重量/重量%、55重量/重量%〜65重量/重量%、57重量/重量%〜63重量/重量%、58〜60重量/重量%、35重量/重量%〜40重量/重量%、30重量/重量%〜40重量/重量%、50重量/重量%、51重量/重量%、52重量/重量%、53重量/重量%、54重量/重量%、55重量/重量%、56重量/重量%、57重量/重量%、58重量/重量%、59重量/重量%、60重量/重量%、61重量/重量%、62重量/重量%、63重量/重量%、64重量/重量%、65重量/重量%、66重量/重量%、67重量/重量%、68重量/重量%、69重量/重量%、70重量/重量%の乳化剤を含む。他の実施形態では、乳化剤は、レシチンである。また他の実施形態では、レシチンは、卵黄レシチンである。
一部の実施形態では、組成物中の油とNK−1受容体アンタゴニストの比(重量%:重量%)は、約5:1〜20:1、5:1〜15:1、5:1〜10:1、11:1〜20:1、11:1〜15:1、12:1〜16:1、12:1〜14:1、11:1〜15:1、12:1〜14:1、12.5:1〜13.5:1、13:1〜14:1、または12:1〜15:1の範囲である。他の実施形態では、組成物中の油とNK−1受容体アンタゴニストの比(重量%:重量%)は、約11:1〜20:1、11:1〜15:1、12:1〜16:1、12:1〜14:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、11.5:1、12:1、12.5:1、13:1、13.5:1、14:1、14.5:1または15:1、15.5:1、16:1である。
一部の実施形態では、組成物中の乳化剤とNK−1受容体アンタゴニストの比(重量%:重量%)は、約10:1〜30:1、10:1〜20:1、15:1〜30:1、20:1〜25:1、18:1〜22:1、19:1〜20:1、または10:1〜30:1の範囲である。他の実施形態では、組成物中の乳化剤:NK−1受容体アンタゴニストの比(重量%:重量%)は、約10:1、11:1、13:1、14:1、15:1、18:1、19:1、20:1、21:1、22:1、23:1、24:1、25:1、または30:1である。
一部の実施形態では、組成物中の(乳化剤プラス油)とNK−1受容体アンタゴニストの比(重量%:重量%)は、約20:1〜40:1、25:1〜35:1、30:1〜35:1、または32:1〜34:1の範囲である。他の実施形態では、(乳化剤プラス油)とNK−1受容体アンタゴニストの比は、約25:1、26:1、27:1、28:1、29:1、30:1、31:1、32:1、33:1、34:1、35:1、36:1、37:1、38:1または40:1である。
一部の実施形態では、組成物中の乳化剤と油の比(重量%:重量%)は、約0.5:1〜4:1、1:1〜2:1、1.25:1〜1.75:1、または1.4:1〜1.6:1の範囲である。他の実施形態では、組成物中の乳化剤と油の比(重量%:重量%)は、約0.5:1、0.5:1、0.6:1、0.7:1、0.8:1、0.9:1、1:1、1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1、2:1、1.05:1、1.15:1、1.25:1、1.35:1、1.45:1、1.55:1、1.65:1、1.75:1、1.85:1、または1.95:1である。
一部の実施形態では、治療用量の医薬組成物は、約1〜4g、1.5〜3g、1.8〜2.8g、2.3〜2.8g、1.8〜2.3g、1g、1.1g、1.2g、1.3g、1.4g、1.5g、1.6g、1.7g、1.8g、1.9g、2g、2.1g、2.2g、2.3g、2.4g、2.5g、2.6g、2.7g、2.8g、2.9g、3g、3.1g、3.2g、3.3g、3.4g、3.5g、3.6g、3.7g、3.8g、3.9g、4gの乳化剤を含む。他の実施形態では、乳化剤は、レシチンである。また他の実施形態では、乳化剤は、卵黄レシチンである。
一部の実施形態では、治療用量の医薬組成物は、約0.5〜3g、1〜2.5g、1〜2g、1〜1.5g、1.5g〜2g、0.5g、0.6g、0.7g、0.8g、0.9g、1g、1.1g、1.2g、1.3g、1.4g、1.5g、1.6g、1.7g、1.8g、1.9g、2g、2.1g、2.2g、2.3g、2.4g、2.5gの油を含む。他の実施形態では、油は、ダイズ油である。
一部の実施形態では、治療用量の医薬組成物は、約50〜600mg、100〜600mg、100〜500mg、100〜400mg、100〜300mg、100〜200mg、200〜400mg、50〜250mg、75〜200mg、100〜150mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、または600mgのNK−1受容体アンタゴニストを含む。
一部の実施形態では、組成物は、約0重量/重量%〜10重量/重量%、1重量/重量%〜9重量/重量%、2重量/重量%〜6重量/重量%、2重量/重量%〜4重量/重量%または2重量/重量%〜3重量/重量%のコサーファクタントを含む。他の実施形態では、組成物は、10重量/重量%未満、9重量/重量%未満、8重量/重量%未満、7未満、6重量/重量%未満、5重量/重量%未満、4重量/重量%未満、3重量/重量%未満、2重量/重量%未満または1重量/重量%未満のコサーファクタントを含む。
一部の実施形態では、組成物は、約0重量/重量%〜10重量/重量%、1重量/重量%〜9重量/重量%、または2重量/重量%〜6重量/重量%のエタノールを含む。他の実施形態では、組成物は、10重量/重量%未満、9重量/重量%未満、8重量/重量%未満、7未満、6重量/重量%未満、5重量/重量%未満、4重量/重量%未満、3重量/重量%未満、2重量/重量%未満または1重量/重量%未満のエタノールを含む。
一部の実施形態では、エマルジョンの水相は、等張化剤、pH調節物質、および水を含む。
一部の実施形態では、エマルジョンの水相は、浸透圧性薬剤、pH調節物質、および水を含む。
一部の実施形態では、エマルジョンの水相は、等張化剤、浸透圧性薬剤、pH調節物質、および水を含む。
一部の実施形態では、水相は、緩衝液をさらに含む。
一部の実施形態では、水相は緩衝液を含むが、緩衝液とは異なるpH調節物質を含まない。他の実施形態では、緩衝液は、pH調節物質剤(pH modifier agent)および緩衝液の両方として機能する。
一部の実施形態では、水相が緩衝液を含むとき、組成物は、等張化剤を含有しない。
一部の実施形態では、緩衝液は、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液、炭酸緩衝液、コハク酸緩衝液、マレイン酸緩衝液およびホウ酸緩衝液からなる群から選択される。他の実施形態では、緩衝液は、リン酸緩衝食塩水(PBS)、改変PBS(PBS−mod)およびクエン酸緩衝液の群から選択される。
一部の実施形態では、水相は、油相と混合されたとき、実質的に等張の水中油エマルジョンを実現する緩衝液を含む。
一部の実施形態では、浸透圧性薬剤は、グリセロール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、グルコース、トレハロース、マルトース、スクロース、ラフィノース、ラクトース、デキストラン、ポリエチレングリコール、またはプロピレングリコールからなる群から選択される。他の実施形態では、浸透圧性薬剤は、無機塩、例えば、塩化ナトリウムおよびこれらの混合物である。
一部の実施形態では、組成物は、約6〜9、7〜9、7.5〜9、7.5〜8.5、8〜9、6〜8、7〜8、または6、7、8もしくは9のpHを有する。
一部の実施形態では、組成物は、約0重量/重量%〜25重量/重量%、2重量/重量%〜20重量/重量%、3重量/重量%〜15重量/重量%、または3重量/重量%〜8重量/重量%の等張化剤を含む。他の実施形態では、組成物は、約1重量/重量%、2重量/重量%、3重量/重量%、4重量/重量%、5重量/重量%、6重量/重量%、7重量/重量%、8重量/重量%、9重量/重量%、または10重量/重量%、11重量/重量%、12重量/重量%、13重量/重量%、14重量/重量%、15重量/重量%、16重量/重量%、17重量/重量%、18重量/重量%、19重量/重量%、または20重量/重量%、21重量/重量%、22重量/重量%、23重量/重量%、24重量/重量%、25重量/重量%の等張化剤を含む。また他の実施形態では、組成物は、等張化剤を含まない。
一部の実施形態では、組成物は、約0重量/重量%〜25重量/重量%、2重量/重量%〜20重量/重量%、3重量/重量%〜15重量/重量%、または3重量/重量%〜8重量/重量%の浸透圧性薬剤を含む。他の実施形態では、組成物は、約1重量/重量%、2重量/重量%、3重量/重量%、4重量/重量%、5重量/重量%、6重量/重量%、7重量/重量%、8重量/重量%、9重量/重量%、または10重量/重量%、11重量/重量%、12重量/重量%、13重量/重量%、14重量/重量%、15重量/重量%、16重量/重量%、17重量/重量%、18重量/重量%、19重量/重量%、または20重量/重量%、21重量/重量%、22重量/重量%、23重量/重量%、24重量/重量%、25重量/重量%の浸透圧性薬剤を含む。また他の実施形態では、組成物は、浸透圧性薬剤を含まない。
一部の実施形態では、水相は、治療用量の医薬組成物中でリン酸デキサメタゾンナトリウムの用量を含む。他の実施形態では、リン酸デキサメタゾンナトリウムの用量は、約0.5mg〜30mg、0.5mg〜25mg、1mg〜20mg、10mg〜20mg、または3mg〜16mgの範囲である。また他の実施形態では、リン酸デキサメタゾンナトリウムの用量は、治療用量の医薬組成物中で約9mgまたは16mgである。デキサメタゾンの用量を含むこれらの実施形態では、治療用量の医薬組成物は、約50〜600mg、100〜600mg、100〜500mg、100〜400mg、100〜300mg、100〜200mg、200〜400mg、50〜250mg、75〜200mg、100〜150mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、または600mgのNK−1受容体アンタゴニストを含む。
一部の実施形態では、油相は、治療用量の医薬組成物中でデキサメタゾンの用量を含む。他の実施形態では、デキサメタゾンの用量は、約0.5mg〜30mg、0.5mg〜20mg、1mg〜18mg、10mg〜20mg、または3mg〜16mgの範囲である。他の実施形態では、デキサメタゾンの用量は、治療用量の医薬組成物中で約8mgまたは12mgである。デキサメタゾンの用量を含むこれらの実施形態では、医薬組成物の治療用量は、約50〜600mg、100〜600mg、100〜500mg、100〜400mg、100〜300mg、100〜200mg、200〜400mg、50〜250mg、75〜200mg、100〜150mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、または600mgのNK−1受容体アンタゴニストを含む。
一部の実施形態では、エマルジョンは、約0.002重量/重量%〜0.2重量/重量%、0.003重量/重量%〜0.16重量/重量%、0.02重量/重量%〜0.1重量/重量%のリン酸デキサメタゾンナトリウムを含む。
一部の実施形態では、組成物は、動的光散乱(DLS)によって決定するように、約50nm〜1000nm、50〜500nm、50nm〜400nm、50nm〜300nm、50nm〜200nmまたは50nm〜100nmの強度加重平均粒子サイズを維持する安定な系である。別の実施形態では、平均液滴サイズは、室温にて少なくとも1カ月、3カ月、6カ月、9カ月、12カ月、2年または3年の期間500nm未満に維持される。他の実施形態では、平均液滴サイズは、5℃にて少なくとも1カ月、3カ月、6カ月、9カ月、12カ月、2年または3年の期間500nm未満に維持される。
別の態様では、NK−1受容体アンタゴニスト化合物を含み、かつ非経口投与に適したエマルジョンを調製する方法を提供する。
一部の実施形態では、投与は、静脈内投与である。
一部の実施形態では、方法は、a)アンタゴニスト化合物および乳化剤をエタノールに溶解し、次いで、油中に加え、油をベースとする混合物を生じさせることによって油相を調製することと;b)水を、任意選択で等張化剤と、任意選択で浸透圧性薬剤と、および任意選択でpH調節物質と、および任意選択で緩衝液と混合し、水性混合物を生じさせることによって水相を調製することと;c)油をベースとする混合物および水性混合物を合わせ、これを高速均質化に供し、粗エマルジョンを生じさせることと;d)粗エマルジョンを高圧均質化に供し、微細エマルジョンを生じさせることとを含む。
一部の実施形態では、油相を調製することは、デキサメタゾンをアンタゴニスト化合物および乳化剤と共にエタノールに溶解することをさらに含む。
一部の実施形態では、方法は、a)NK−1受容体アンタゴニスト、乳化剤、およびアルコールを油と合わせ、油相を生じさせることと;(b)水、等張化剤、pH調節物質、および任意選択で緩衝液を合わせ、水相を生じさせることと;(c)油相を水相とホモジナイズし、医薬エマルジョンを生じさせることと;(d)医薬エマルジョンを滅菌することとを含む。他の実施形態では、ホモジナイズすることは、高速均質化を含む。
一部の実施形態では、方法は、a)アンタゴニスト化合物および乳化剤をエタノールおよび油に溶解し、油をベースとする混合物を生じさせることによって油相を調製することと;b)水を、任意選択で等張化剤と、任意選択で浸透圧性薬剤と、および任意選択でpH調節物質と、および任意選択で緩衝液と混合し、水性混合物を生じさせることによって水相を調製することと;c)油をベースとする混合物および水性混合物を合わせ、これを均質化に供し、粗エマルジョンを生じさせることと;d)粗エマルジョンを均質化に供し、微細エマルジョンを生じさせることとを含む。他の実施形態では、均質化に供して粗エマルジョンを生じさせることは、高速均質化である。また他の実施形態では、微細エマルジョンを生じさせる均質化は、高圧均質化である。
一部の実施形態では、油相を調製することは、デキサメタゾンをアンタゴニスト化合物および乳化剤と共にエタノールおよび油に溶解することをさらに含む。
一部の実施形態では、水相を調製することは、デキサメタゾンを水、等張化剤、pH調節物質、および緩衝液と混合することをさらに含む。他の実施形態では、デキサメタゾンは、デキサメタゾンの塩である。また他の実施形態では、デキサメタゾンは、リン酸デキサメタゾンナトリウムである。
一部の実施形態では、方法は、微細エマルジョンを滅菌し、最終エマルジョンを生じさせることをさらに含み、最終エマルジョンは、対象への注射に適している。
一部の実施形態では、エタノール中の溶解は、約25℃〜80℃、40℃〜75℃、60℃〜70℃、または約25℃、35℃、45℃、60℃、65℃、70℃もしくは75℃の温度で行う。
一部の実施形態では、高速均質化は、約2,000rpm(毎分回転数)〜25,000rpmのスピードで行う。他の実施形態では、高速均質化は、約20,000rpmのスピードで行う。また他の実施形態では、高速均質化は、約3600rpmのスピードで行う。
一部の実施形態では、高速均質化は、約0.5分〜1時間、1分〜45分、または1分〜30分の期間行う。他の実施形態では、高速均質化は、約20〜40分の期間または約30分間行う。
一部の実施形態では、高速均質化は、約10℃〜約60℃、20℃〜約60℃、約30℃〜約50℃、または約35℃〜約45℃で行う。別の実施形態では、高速均質化は、約25℃、30℃、35℃、40℃、45℃または50℃で行う。
一部の実施形態では、高圧均質化は、約10,000psi(ポンド/平方インチ)〜30,000psiの圧力で行う。他の実施形態では、高圧均質化は、約20,000psiの圧力で行う。
一部の実施形態では、高圧均質化は、冷却しながら行う。別の実施形態では、高圧均質化は、プロセスの出口でのエマルジョンの温度を期間内で約0℃〜約60℃、約10℃〜約40℃、約20℃〜約30℃に、または約20℃、25℃もしくは30℃にするのに十分に冷却しながら行う。
一部の実施形態では、微細エマルジョンを滅菌することは、ナイロンフィルターを通して微細エマルジョンを濾過することを含む。他の実施形態では、ナイロンフィルターは、Posidyne(登録商標)フィルターである。さらに別の実施形態では、フィルターは、約0.2μm(マイクロメートル)の孔径を有する。
別の態様では、本明細書に記載されている組成物は、対象の処置のためのものであり、組成物は、必要としている対象への注射によって投与される。
一部の実施形態では、組成物は、対象における化学療法剤によって誘発される嘔吐(emesis)、放射線によって誘発される悪心および嘔吐(vomiting)、ならびに/または手術後に誘発される悪心および嘔吐(vomiting)の処置のための方法において使用するためである。他の実施形態では、処置は、対象に本明細書に記載のようなNK−1受容体アンタゴニストを含む組成物を投与することを含む。また他の実施形態では、組成物は、急性および遅延性の悪心および嘔吐(vomiting)を予防または治療することにおいて使用するためである。
本組成物および方法などのさらなる実施形態は、以下の説明、図面、実施例、および特許請求の範囲から明らかである。上記および下記の記載から認識することができるように、本明細書に記載されているそれぞれおよび全ての特徴、ならびにこのような特徴の2つまたはそれより多くのそれぞれおよび全ての組合せは、本開示の範囲内に含まれるが、ただし、このような組合せに含まれる特徴は、相互に相反するものでない。さらに、任意の特徴、または特徴の組合せは、本発明の任意の実施形態から特に除外し得る。本発明のさらなる態様および利点を、特に、添付の実施例および図面と併せて考慮したとき、以下の説明および特許請求の範囲において記載する。
(詳細な説明)
様々な態様をこれから本明細書の下記でより十分に記載する。しかし、このような態様は多くの異なる形態で具体化してもよく、本明細書において記載する実施形態を限定するものとして解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が十分および完全であるように提供され、その範囲を当業者に十分に伝える。
様々な態様をこれから本明細書の下記でより十分に記載する。しかし、このような態様は多くの異なる形態で具体化してもよく、本明細書において記載する実施形態を限定するものとして解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が十分および完全であるように提供され、その範囲を当業者に十分に伝える。
I.定義
本明細書において使用するように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈によって明らかにそれ以外のことの指示がない限り、複数の参照対象を含む。このように、例えば、「ポリマー」への言及は、単一のポリマー、および同じまたは異なるポリマーの2つまたはそれより多くを含み、「賦形剤」への言及は、単一の賦形剤、および同じまたは異なる賦形剤の2つまたはそれより多くなどを含む。
本明細書において使用するように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈によって明らかにそれ以外のことの指示がない限り、複数の参照対象を含む。このように、例えば、「ポリマー」への言及は、単一のポリマー、および同じまたは異なるポリマーの2つまたはそれより多くを含み、「賦形剤」への言及は、単一の賦形剤、および同じまたは異なる賦形剤の2つまたはそれより多くなどを含む。
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限および下限の間のそれぞれの介在する値、ならびにその記述した範囲中の任意の他の記述した値または介在する値は、本開示内に包含されることが意図される。例えば、1μm〜8μmの範囲が記述される場合、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、および7μm、ならびに1μmと等しいかもしくはそれより大きい値の範囲、および8μmと等しいかもしくはこれ未満の値の範囲をまた明示的に開示することが意図される。本明細書において使用する場合、用語「約」は、修飾される値の±5%、±10%、または±20%を意味する。
用語「エマルジョン」または「エマルジョン製剤」は、液滴の形態の2種の不混和性液体のコロイド状分散物を意味し、その直径は、一般に、10ナノメートル〜100ミクロンの間である。エマルジョンは、連続相が水溶液である場合、シンボルO/W(水中油)によって、および連続相が油である場合、W/O(油中水)によって示される。エマルジョンの他の例、例えば、O/W/O(油中水中油)は、連続油相中に分散した水性液滴内に含有される油滴を含む。
「物理的に安定な」エマルジョンは、(1)500nmまたは0.5μmを超えない平均液滴サイズ、および(2)5℃または室温で指定された貯蔵期間の間、0.05%を超えない、5μmより大きい脂肪の体積加重百分率(PFAT5)として表される大きな直径の脂肪小滴の集団についての普遍的限度を定義する、USP<729>下の判断基準を満たす。さらに、物理的に安定なエマルジョンは、5℃または室温での指定された期間の間の貯蔵時に、可視のNK−1受容体アンタゴニスト結晶を有さない。結晶は、4×〜10×の拡大率で見たときに可視であると考えられる。エマルジョンは、USP<729>下の判断基準を満たす場合、物理的に安定であり、NK−1受容体アンタゴニスト結晶は5℃または室温での、少なくとも1週間、2週間、4週間、1カ月、2カ月、6カ月、1年もしくは2年の間またはそれと等しい期間の貯蔵時に、可視ではない。
本開示の「化学的に安定な」エマルジョンは、活性構成要素(すなわち、送達される薬物)の濃度が適当な貯蔵条件下で少なくとも1カ月間、約20%より多き変化しないものである。ある特定の実施形態では、本開示のエマルジョン中のNK−1受容体アンタゴニスト濃度は、適当な貯蔵条件下で少なくとも1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、9カ月、12カ月、15カ月、18カ月、または24カ月間、約5%より多く、10%より多く、15%より多くまたは20%より多く変化しない。
一例では、本開示の安定なエマルジョン組成物は、広範囲の温度、例えば、−20℃〜40℃にわたり安定である。本開示の組成物は、約5℃〜約25℃で貯蔵し得る。
油中水エマルジョン中の「油相」は、水相中でこれらの溶解限度を個々に超える製剤中の全ての構成要素を指す。これらは蒸留水中で1%未満の溶解度を一般に有する材料であるが、水相構成要素、例えば、塩は、特定の油の溶解度を減少させ、油相中へのこれらの分割をもたらし得る。油相は、油中水エマルジョンの非水性部分を指す。
油中水エマルジョン中の「水相」(「Aqueous phase」または「water phase」)は、存在する水、および水溶性である、すなわち、水中でのこれらの溶解限度を超えていない任意の構成要素を指す。「水相」は、本明細書において使用する場合、薬学的に許容される添加剤、例えば、酸性化剤、アルカリ化剤、緩衝剤、キレート剤、錯化剤および可溶化剤、抗酸化剤および抗微生物保存剤、保湿剤、懸濁化剤および/または粘度調節剤、等張性および湿潤性または他の生体適合性材料を含有することができる水含有液体を含む。水相は、油中水エマルジョンの非油部分を指す。
「乳化剤」は、個々の油相および水相への、注射可能なエマルジョンの分離を阻止する化合物を指す。本開示において有用な乳化剤は一般に、(1)本開示の安定なエマルジョンの他の成分と適合性であり、(2)エマルジョン中に含有される薬物の安定性または有効性を妨げず、(3)調製物中で安定であり、劣化せず、かつ(4)無毒性である。
適切な乳化剤には、これらに限定されないが、プロピレングリコールモノ−およびジ−脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーおよびブロックコポリマー、脂肪アルコールスルフェートの塩、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレン−グリコールグリセロールエーテルのエステル(esters of polyethylene−glycol glycerol ethers)、油およびワックスをベースとする乳化剤、モノステアリン酸グリセロール、グリセリン、ソルビタン脂肪酸エステルおよびリン脂質が含まれる。
「リン脂質」は、第二級アルコール、および第一級アルコールの1つが、脂肪酸でエステル化されており、他の第一級アルコールが、リン酸基でエステル化されている、グリセロールのトリエステルを指す。本発明において有用な例示的なリン脂質には、これらに限定されないが、ホスファチジルコリン(phosphatidyl chlorine)、レシチン(リン酸化ジアシルグリセリドのコリンエステルの混合物)、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、約4〜約22個の炭素原子、およびより一般に、約10〜約18個の炭素原子および様々な飽和度を有するホスファチジン酸が含まれる。リン脂質は、その脂肪酸アシル側鎖として脂肪酸の任意の組合せを有することができ、例えば、リン脂質は、飽和脂肪酸、例えば、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イコサン酸(C20飽和脂肪酸);ナトリウムベヘン酸(sodium behenic acid)、または不飽和脂肪酸、例えば、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、ナトリウムリノール酸(sodium linoleic acid)、アルファリノレン酸、ナトリウムアラキドン酸(sodium arachidonic acid)、エイコサペンタン酸などを有することができる。リン脂質上の2個の脂肪酸アシル残基は同じであり得るか、またはこれらは異なる脂肪酸であり得る。薬物送達組成物のリン脂質構成要素は、単一のリン脂質またはいくつかのリン脂質の混合物でよい。リン脂質は、選択した投与経路について許容されるべきである。
一態様では、本発明において乳化剤として使用されるリン脂質は、天然起源からの天然に生じるリン脂質である。例えば、天然に生じるレシチンは、ホスファチジルコリンと一般に称されるリン酸のコリンエステルに連結したステアリン酸、パルミチン酸、およびオレイン酸のジグリセリドの混合物であり、種々の源、例えば、卵および大豆から得ることができる。ダイズレシチンおよび卵レシチン(これらの化合物の硬化バージョンを含む)は、様々な組成物において特徴付けられてきており、一般に安全であると認識され、組み合わせた乳化および可溶化特性を有し、大部分の合成界面活性剤より急速に無害の物質に崩壊する傾向がある。
用語「レシチン」は、アセトン−不溶性ホスファチドの複合混合物を含み、これらのうちホスファチジルコリンは、重大な構成要素である。レシチンという用語はまた、ホスファチジルコリンと同義語として使用される。有用なレシチンには、これらに限定されないが、卵黄、卵、ダイズ、およびトウモロコシに由来するレシチンが含まれる。一実施形態では、乳化剤は、レシチン、例えば、卵黄に由来するレシチンである。卵レシチンおよび卵黄に由来するレシチンという用語は、全体にわたって互換的に使用される。本明細書に記載されている組成物は好ましくは、乳化剤としてレシチンを含む。
本開示のエマルジョン中のリン脂質の重量による量は、約10重量/重量%〜約20重量/重量%、11重量/重量%〜19重量/重量%、11重量/重量%〜15重量/重量%、12重量/重量%〜13重量/重量%、13重量/重量%〜14重量/重量%、13重量/重量%〜20重量/重量%、または12重量/重量%〜18重量/重量%の範囲内であり得る。ある特定の実施形態では、エマルジョン中のリン脂質は、重量による濃度で、約11重量/重量%、12重量/重量%、12.5重量/重量%、13重量/重量%、13.5重量/重量%、14重量/重量%、14.5重量/重量%、または15重量/重量%である。
「油」は、例えば、脂肪族またはワックスベース炭化水素(wax−based hydrocarbons)、芳香族炭化水素または混合脂肪族および芳香族炭化水素を含む、鉱物、野菜、動物、エキスまたは合成起源の有機液体を指す。
用語「緩衝液」または「緩衝化された」は、本明細書において使用する場合、そのpHが酸または塩基の添加によって僅かにのみ変化する、弱酸およびその共役塩基の両方を含有する溶液を意味する。本明細書において使用する場合、語句「緩衝剤」は、溶液中でそれが含まれることによって緩衝化された溶液が実現される種を意味する。緩衝液は当技術分野において周知であり、容易に利用可能である。本明細書に記載されている方法および組成物による使用のための緩衝液には、これらに限定されないが、リン酸、クエン酸、トリス、炭酸、コハク酸、マレイン酸、ホウ酸、MES、ビス−トリス、ADA、aces,PIPES、MOPSO、ビス−トリスプロパン、BES、MOPS、TES、HEPES、DIPSO、MOBS、TAPSO、Trizma、HEPPSO、POPSO、TEA、EPPS、トリシン、Gly−Gly、ビシン、GEPBS、TAPS、AMPD、TABS、AMPSO、CHES、CAPSO、AMP、CAPS、およびCABSが含まれる。
用語「治療剤」は、生物活性を有する任意の天然または合成化合物を説明する。「治療的有効量」は、障害、状態、または疾患を処置または予防するために動物または対象に投与されるとき、その障害、状態、または疾患のための処置を行うのに十分である量を意味する。
本明細書において使用する場合、用語「嘔吐(emesis)」は、悪心および嘔吐(vomiting)を含む。
特定のフィーチャまたは実体に関連して用語「実質的に」は、フィーチャまたは実体に関して、かなりの程度までまたは殆ど完全に(すなわち、85%またはそれより多い程度まで)を意味する。
II.NK−1受容体(Reception)アンタゴニストエマルジョンおよび作製の方法
本開示は、水相と共に、NK−1受容体アンタゴニスト、界面活性剤または界面活性剤の混合物、コサーファクタント、油を含む安定な医薬組成物を対象とする。組成物は、注射可能なエマルジョンでよく、長期間にわたって安定なままであり、かつ希釈および静脈内投与に適している、水中油エマルジョンの形態である。
本開示は、水相と共に、NK−1受容体アンタゴニスト、界面活性剤または界面活性剤の混合物、コサーファクタント、油を含む安定な医薬組成物を対象とする。組成物は、注射可能なエマルジョンでよく、長期間にわたって安定なままであり、かつ希釈および静脈内投与に適している、水中油エマルジョンの形態である。
NK−1受容体アンタゴニスト化合物は、乳化剤、コサーファクタントおよび油と共に油相中に存在する。次いで、油相を水および下記のような等張化剤を含む水相と合わせ、安定なエマルジョンを生じさせる。油相を水相と合わせる前に、油相は、約11:1〜30:1、11:1〜15:1、または約13:11の油:アンタゴニスト化合物の比を有する。例えば、アプレピタントを含む油相の配合において、約13:1の油:アプレピタントの比の使用は、驚くことに、油相が約12:1未満もしくは11:1未満、および/または約15:1より大きく、20:1より大きく、もしくは30:1より大きい油:アプレピタントの比を含有するエマルジョンと比較すると、水相と混合したとき、より安定であるエマルジョンを生成したことが見出された。したがって、一部の実施形態では、NK−1受容体アンタゴニストを含み、かつ対象に投与される安定なエマルジョンは、約11:1〜30:、11:1〜15:1、または約13:11の油:アンタゴニスト化合物の比を有することができる。しかし、また企図されるのは、油:アンタゴニスト化合物の比が、約5:1〜20:1、5:1〜15:1または5:1〜10:1であるエマルジョンである。
さらに、本組成物はまた、油相中の乳化剤の量が油の量より多いとき、好ましい安定性特性を有する。例えば、油相は、約5:1〜1:1、3:1〜1:1の乳化剤:油の比または約1.5:1の比を含有する。乳化剤:油のこのような比は、驚くことに最終エマルジョンに対してより大きな安定性を与えることが見出されたが、これは患者への注射に適している。例えば、約1.5:1の油相中のリン脂質:油の比を有するアプレピタントエマルジョンは、同様のアプレピタントエマルジョンより大きな安定性を有することが見出されたが、油相は、約0.01:1、0.1:1、0.5:1または0.9:1のリン脂質:油の比を含む。
現在記載されている医薬エマルジョン中で使用するための適切なNK−1受容体アンタゴニストには、その全ての薬学的に許容される塩を含む、RP67580((3aR,7aR)−オクタヒドロ−2−[1−イミノ−2−(2−メトキシフェニル)エチル]−7,7−ジフェニル−4H−イソインドール))、WIN51078(17−β−ヒドロキシ−17−α−エチニル−5−α−アンドロスタノ[3,2−b]ピリミド[1,2−a]ベンゾイミダゾール)、l−733,060((2S,3S)−3−[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メトキシ]−2−フェニルピペリジン塩酸塩)、l−703,606(cis−2−(ジフェニルメチル(Diphenylmethel))−N−([2−ヨードフェニル]メチル)−1−アザビシクロ(2.2.2)オクタン−3−アミン)、MDL105,212((R)−1−[2−[3−(3,4−ジクロロフェニル)−1−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−ピロリジン−3−イル]−エチル]−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド塩酸塩)、セルロピタント、マロピタント、アンタゴニストD、アプレピタント、ホスアプレピタント、R116301、CGP49823、CP−96345、CP−99994、GR−203040、MDL−103392、l−760735、SDZ−NKT−343、ノルピタニチウム(nolpitanitium)(SR−140333)、AV608、ロラピタント、SCH900978、AV608、GSK424887(GlaxoSmithKline)、GSK206136(GlaxoSmithKline)、GR−205171、CP−99994、TAK637((S)−7−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−9−メチル−5−p−トリル−8,9,10,11−テトラヒドロ−7H−1,7,11a−トリアザ−シクロオクタ[b]ナフタレン−6,12−ジオン)、LY303870([(R)−1−[N−(2−メトキシベンジル)アセチルアミノ]−3−(1H−インドール−3−イル)−2−[N−(2−(4−(ピペリジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)アセチル)アミノ]プロパン])、LY686017((2−クロロ−フェニル)−{2−[5−ピリジン−4−イル−1−(3,5−ビストリフルオロメチル−ベンジル)−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−ピリジン−3−イル}−メタノン)、E−6006、カソピタント/GW679769((2R,4S)−4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)−N−[(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル]−2−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチルピペリジン−1−カルボキサミド)、ベスチピタント、オルベピタントおよびオルベピタントマレイン酸塩、ベフェツピタント、ネツピタント、エズロピタント、CP−122721、MPC−4505(Myriad Genetics,Inc.)、CP−122721(Pfizer,Inc.)、CJ−1 2,255(Pfizer,Inc.)、SRR240600(Sanofi−Aventis)、またはTA−5538(Tanabe Seiyaku Co.)が含まれる。
1.油相
油(疎水性)相は、油を含む。トリグリセリドは、本明細書に記載されている組成物中の使用のための例示的な油である。特定の実施形態では、油は、植物性油であるか、またはこれを含む。「植物性油」は、植物の種または木の実に由来する油を指す。植物性油は典型的には、3個の脂肪酸(通常、油の源に応じて数および位置が様々な不飽和結合を伴う、長さが14〜22個の炭素)がグリセロール上の3個のヒドロキシル基とエステル結合を形成するときに形成される「長鎖トリグリセリド」(LCT)である。ある特定の実施形態では、高度精製グレード(また「スーパーリファインド」と称される)の植物性油を使用して、水中油エマルジョンの安全性および安定性を確実にする。特定の実施形態では、植物性油の制御された水素付加によって生成された水素添加植物性油を使用し得る。例示的な植物性油には、これらに限定されないが、扁桃油、ババス油、クロフサスグリ種子油、ルリヂサ油、キャノーラ油、ヒマシ油、ヤシ油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、ピーナッツ油、パーム油、パーム核油、ナタネ油、サフラワー油、ダイズ油、ヒマワリ油およびゴマ油が含まれる。これらの油の硬化および/または半硬化形態をまた使用し得る。特定の実施形態では、油は、サフラワー油、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油および/もしくはダイズ油であるか、またはこれらを含む。より特定の実施形態では、油は、サフラワー油、および/もしくはダイズ油であるか、またはこれらを含む。油は、エマルジョン中で約9重量/重量%で存在するが、これは約5重量/重量%〜12重量/重量%の間または9重量/重量%〜10重量/重量%の間で変化し得る。
油(疎水性)相は、油を含む。トリグリセリドは、本明細書に記載されている組成物中の使用のための例示的な油である。特定の実施形態では、油は、植物性油であるか、またはこれを含む。「植物性油」は、植物の種または木の実に由来する油を指す。植物性油は典型的には、3個の脂肪酸(通常、油の源に応じて数および位置が様々な不飽和結合を伴う、長さが14〜22個の炭素)がグリセロール上の3個のヒドロキシル基とエステル結合を形成するときに形成される「長鎖トリグリセリド」(LCT)である。ある特定の実施形態では、高度精製グレード(また「スーパーリファインド」と称される)の植物性油を使用して、水中油エマルジョンの安全性および安定性を確実にする。特定の実施形態では、植物性油の制御された水素付加によって生成された水素添加植物性油を使用し得る。例示的な植物性油には、これらに限定されないが、扁桃油、ババス油、クロフサスグリ種子油、ルリヂサ油、キャノーラ油、ヒマシ油、ヤシ油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、ピーナッツ油、パーム油、パーム核油、ナタネ油、サフラワー油、ダイズ油、ヒマワリ油およびゴマ油が含まれる。これらの油の硬化および/または半硬化形態をまた使用し得る。特定の実施形態では、油は、サフラワー油、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油および/もしくはダイズ油であるか、またはこれらを含む。より特定の実施形態では、油は、サフラワー油、および/もしくはダイズ油であるか、またはこれらを含む。油は、エマルジョン中で約9重量/重量%で存在するが、これは約5重量/重量%〜12重量/重量%の間または9重量/重量%〜10重量/重量%の間で変化し得る。
油相を生じさせるために、NK−1受容体アンタゴニストを、乳化剤、例えば、リン脂質乳化剤と最初に混合する。実施例1〜6および11〜19は、卵レシチンを使用して作製したNK−1受容体アンタゴニストエマルジョンの例である。リン脂質(phoshoplipid)乳化剤を、エマルジョンの10重量/重量%より多い、11重量/重量%より多い、12重量/重量%より多い、または13重量/重量%より多いが、エマルジョンの15重量/重量%未満、17重量/重量%未満または20重量/重量%未満の濃度まで加える。
アンタゴニストおよび乳化剤の混合物を、コサーファクタント、例えば、短鎖アルコール(1〜6個の炭素)に溶解する。下記の実施例1〜6および11〜19は、コサーファクタントがエタノールであるいくつかの例である。NK−1受容体アンタゴニストおよび乳化剤が溶解するまで、混合物を、高温で、例えば、約60℃もしくは70℃で、または約50℃もしくは70℃の範囲内の高温で混合する。次いで、この混合物を、高温で、例えば、約60℃で再び混合することによって、油、例えば、ダイズ油と合わせ、NK−1受容体アンタゴニストを含有する油相を生成する。過剰なコサーファクタントは、ロータリーエバポレーターにおいて用いられるものなどの加熱、または減圧、またはこれらの組合せを含む標準的な蒸発方法によって除去することができる。このプロセスにおいて、調製スケール、任意の減圧、および加熱時間に応じて、エタノールの約10%〜100%、20%〜95%、80%〜100%、90%〜100%、または95%〜100%が蒸発する。
一実施形態では、NK−1受容体アンタゴニストおよび乳化剤を、コサーファクタントおよび油に溶解する。下記の実施例1〜6および11〜19は、コサーファクタントがエタノールであり、油がダイズ油であるいくつかの例であるが、方法は、本明細書に記載されているコサーファクタントおよび油の任意の1つもしくは複数と共に使用することができる。少なくともNK−1受容体アンタゴニストおよび乳化剤が溶解して、NK−1受容体アンタゴニストを含有する油相を生成するまで、混合物を、高温で、例えば、約60℃もしくは70℃で、または約50℃もしくは70℃の範囲内の高温で混合する。NK−1受容体アンタゴニスト、乳化剤、コサーファクタントおよび油の混合物を、約15分〜120分間、約15分〜45分間、約30分〜90分間、または約15分間、30分間もしくは50分間、高温で混合する。
過剰なコサーファクタントは、ロータリーエバポレーターにおいて加熱、または減圧、またはこれらの組合せを含む標準的な蒸発方法によって除去することができる。このプロセスの間に、調製スケール、任意の減圧、および加熱時間に応じて、約10%〜100%、20%〜95%、80%〜100%、90%〜100%、または95%〜100%のエタノールが蒸発する。
一実施形態では、デキサメタゾンを、NK−1受容体アンタゴニスト、乳化剤および油を含む油相に加え、水相との混合の前にNK−1受容体アンタゴニストおよびデキサメタゾンの両方を含む油相を生じさせ、注射のための医薬エマルジョンを生じさせる。デキサメタゾンを油相に加え、約12mgの用量のデキサメタゾンを提供する。
2.水相
NK−1受容体アンタゴニストエマルジョンの水相は、水、およびこれらに限定されないがスクロース、マンニトール、グリセリンもしくはデキストロースまたはこれらの混合物などのものを含む等張化剤の混合物であり得る。水相中にまた含まれるのは、pH調節剤(pH調節物質)である。オレイン酸ナトリウムが、所望のエマルジョン製剤に応じてエマルジョンのpHを約6〜9に調整するために、下記の実施例1〜3、5、6、および11〜15、および17〜19において使用される。しかし、pH調節物質は、これらに限定されないが、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウムおよびオレイン酸アンモニウムを含む他のオレイン酸またはその塩でよいことが理解される。オレイン酸は、本明細書において提供するような安定な注射可能なエマルジョンの約0.1重量/重量%〜1.0重量/重量%または約0.4重量/重量%または0.5重量/重量%を占めることができる。水相は、水を等張化剤およびpH調節物質(例えば、オレイン酸ナトリウム)と混合することによって精製する。使用し得るさらなるpH調節物質には、これらに限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、トリス、炭酸ナトリウムおよびリノール酸ナトリウムが含まれる。一部の実施形態では、pH調節物質は、複数種のpH調節物質を含む。例えば、水相は、オレエートおよび緩衝液、例えば、トリス緩衝液の両方を含み得る。使用されるpH調節物質は、エマルジョンのpHを約6〜9、7〜8、または約6、7、8もしくは9の好ましいpHに調整するのに有効である。水相は、室温にて混合することによって容易に形成することができる。
NK−1受容体アンタゴニストエマルジョンの水相は、水、およびこれらに限定されないがスクロース、マンニトール、グリセリンもしくはデキストロースまたはこれらの混合物などのものを含む等張化剤の混合物であり得る。水相中にまた含まれるのは、pH調節剤(pH調節物質)である。オレイン酸ナトリウムが、所望のエマルジョン製剤に応じてエマルジョンのpHを約6〜9に調整するために、下記の実施例1〜3、5、6、および11〜15、および17〜19において使用される。しかし、pH調節物質は、これらに限定されないが、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウムおよびオレイン酸アンモニウムを含む他のオレイン酸またはその塩でよいことが理解される。オレイン酸は、本明細書において提供するような安定な注射可能なエマルジョンの約0.1重量/重量%〜1.0重量/重量%または約0.4重量/重量%または0.5重量/重量%を占めることができる。水相は、水を等張化剤およびpH調節物質(例えば、オレイン酸ナトリウム)と混合することによって精製する。使用し得るさらなるpH調節物質には、これらに限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、トリス、炭酸ナトリウムおよびリノール酸ナトリウムが含まれる。一部の実施形態では、pH調節物質は、複数種のpH調節物質を含む。例えば、水相は、オレエートおよび緩衝液、例えば、トリス緩衝液の両方を含み得る。使用されるpH調節物質は、エマルジョンのpHを約6〜9、7〜8、または約6、7、8もしくは9の好ましいpHに調整するのに有効である。水相は、室温にて混合することによって容易に形成することができる。
エマルジョンの水相はエマルジョン製剤の安定性を促進する緩衝剤をさらに含有し得る。薬物原料は、分解し得る。例えば、親油性薬物は、油相に分配され、これはある程度の保護を与えるが、加水分解による分解は、油−水の界面においてまだ起こり得る。非経口脂肪エマルジョン内の可能性がある化学分解は、トリグリセリドおよびレシチン中に存在する不飽和脂肪酸残基の酸化、ならびにリン脂質の加水分解を含み、遊離脂肪酸(FFA)およびリゾリン脂質の形成がもたらされる。このような分解物はpHを低下させ、次いでこれはさらなる分解を促進し得る。このように、製造の間にpHを制御すべきであり、エマルジョン製剤はさらなる制御を実現する緩衝剤を含み得る。指定された保存寿命にわたるpHのいかなる低下も、化学分解を示すものであり得る。適切な緩衝液は当業者には周知であり、これらに限定されないが、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液、炭酸緩衝液、コハク酸緩衝液、マレイン酸緩衝液またはホウ酸緩衝液が含まれる。トリス緩衝液を下記の実施例11および19において使用して、エマルジョンのpHを約8〜9に調整する。実施例11および19において示すように、一部の実施形態では、別のpH調節物質(例えば、オレエートまたはオレイン酸ナトリウム)に加えて、緩衝液、例えば、トリス緩衝液を使用して、エマルジョンのpHを調整または改変することができる。一部の実施形態では、緩衝液は、リン酸緩衝食塩水(PBS)、改変PBS(PBS−mod)およびクエン酸緩衝液の群から選択される。特定の実施形態では、水相は、油相と混合したときに実質的に等張の水中油エマルジョンを実現する緩衝液を含む。
現在記載されている組成物のために有用な緩衝剤には、これらに限定されないが、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液、炭酸緩衝液、コハク酸緩衝液、マレイン酸緩衝液またはホウ酸緩衝液が含まれる。特定の実施形態では、緩衝液は、リン酸緩衝食塩水(PBS)、改変PBS(PBS−mod)およびクエン酸緩衝液の群から選択される。特定の実施形態では、水相は、油相と混合したときに実質的に等張の水中油エマルジョンを実現する緩衝液を含む。一部の実施形態では、水相が緩衝剤を含有するとき、水相は、等張化剤を含まない。また、緩衝液が水相に加えられるとき、pH調整剤を、水相に加えなくてもよい。緩衝液を水相に加えることができるか、または緩衝液をエマルジョンに加えることができることが理解される。
一部の実施形態では、エマルジョンの水相は、等張化剤、例えば、スクロースを含有する。等張化剤を、約0%〜30%、0%〜25%または約20%の等張化剤(重量/重量)を有する水相に加える。水相中に約20%重量/重量のスクロースを含有する組成物は、凍結融解試験によって決定して特に安定であったエマルジョンを生成したことが驚くことに見出された。したがって、好ましい実施形態は、水相が約10重量/重量%未満、約15重量/重量%未満もしくは約20重量/重量%未満の等張化剤、または約30重量/重量%より多い、約40重量/重量%より多いもしくは約50重量/重量%より多い等張化剤を含有するエマルジョンと比較して、水相がより大きな化学的および/または物理的安定性を与える等張化剤を含むエマルジョンを含む。
一実施形態では、水相は、リン酸デキサメタゾンナトリウム(また、「リン酸デキサメタゾン」と称される)をさらに含む。リン酸デキサメタゾンナトリウムは、水に溶けやすいコルチコステロイドである。リン酸デキサメタゾンナトリウムについての1日投与量は、疾患または障害の重症度に応じて、約0.5mg〜20mg、より好ましくは、約14mg〜18mgまたは16mgで変化する。したがって、デキサメタゾンをさらに含むNK−1受容体アンタゴニストエマルジョンは、水相中にリン酸デキサメタゾンナトリウムを含有し得る。したがって、静脈内投与に適したエマルジョンの水相は、約0.5mg〜20mg、14mg〜18mgまたは約16mgのリン酸デキサメタゾンナトリウムを含有し得る。
別の実施形態では、リン酸デキサメタゾンナトリウムの溶液は、滅菌濾過の前に、微細エマルジョン中に混合して、水相中にリン酸デキサメタゾンナトリウムを含有するエマルジョンを調製することができる。
3.医薬エマルジョン製剤
本明細書に開示されているようなNK−1受容体アンタゴニストを含む医薬組成物は、上記の水相および油相を含む無菌の水中油エマルジョンである。また本開示によって包含されるのは、静脈内投与に適しており、かつ防腐技術を使用した通常の製造手順によって調製することができる、受容体アンタゴニストを含む安定なエマルジョンを調製するための方法である。
本明細書に開示されているようなNK−1受容体アンタゴニストを含む医薬組成物は、上記の水相および油相を含む無菌の水中油エマルジョンである。また本開示によって包含されるのは、静脈内投与に適しており、かつ防腐技術を使用した通常の製造手順によって調製することができる、受容体アンタゴニストを含む安定なエマルジョンを調製するための方法である。
水相を、高速均質化下で油相と合わせ、粗大エマルジョンを生成する。実施例1〜6および12〜19は、本明細書において開示されている組成物および方法を使用して生成されたNK−1受容体アンタゴニストエマルジョンの例を提供する。これらの実施例に記載するように、合わせた水相および油相を、IKA Ultra−Turrax T25分散機器を使用して20,000rpmのスピードで1分間ホモジナイズする。この最初の均質化ステップにおいて使用するスピードは、例えば、2000rpm〜25,000rpm、または15,000rpm〜22,000rpmで変化し得る。均質化ステップの時間はまた、例えば、0.5分〜1時間、または1分〜45分で変化することができる。次いで、この粗エマルジョンを、マイクロフルイダイザーである得る高圧ホモジナイザーによって微細エマルジョンにホモジナイズする。マイクロフルイダイザーの相互作用チャンバーおよび冷却コイル部分を、水によって、例えば、氷浴によって冷却する。氷浴の温度は、0〜10℃の間、または2〜6℃でよい。高圧均質化から出てくるエマルジョンの温度は、0〜60℃の間、15℃〜60℃、20℃〜40℃、または約25℃であり得る。マイクロフルイダイザーに最初に呼び水を入れ、次いで、粗エマルジョンを導入する。ホモジナイザーからの排出物を、最初に廃棄し、呼び水、ならびに呼び水およびエマルジョンの混合物を取り出し、次いで、流れの外見のむらがなくなったときにクリーンなうつわに集める。高圧ホモジナイザーサイクルを繰り返して、油滴サイズを十分に低減し得る。均質化のために使用される圧力は変化し得る。圧力は、5000〜30,000psiの間でよい。マイクロフルイダイザーを通る通過の数は、所望の液滴サイズを達成するために変化し得る。通過の数は、約2〜20、2〜15、4〜15、4〜12または7〜8であり得る。
次いで、医薬製剤を、室温にてフィルターシステムを通して通過させ、かつ/またはオートクレーブして、滅菌を達成し得る。滅菌を達成するために使用されるフィルターは、当業者が選択してもよく、0.2μmの公称孔径を有してもよい。使用するフィルター材料は、変化し得る。一実施形態では、フィルターは、ナイロンである。別の実施形態では、フィルターは、Posidyne(登録商標)フィルターである(水溶液中で正味の正電荷ゼータ電位を示す共有結合電荷改変ナイロン6,6膜)。大規模な生成のために、上記の方法は、修正される必要があり得る。当業者は、異なる順序でおよび異なる処理設備を使用してこれらの材料を合わせ、所望の最終結果を達成することができる。
本開示の一実施形態では、均質化は、約25℃未満の温度へのホモジナイズした生成物の中間の冷却を伴う、油粒子/小滴サイズが2ミクロン(μm)未満であるエマルジョンを達成するための繰り返しのサイクルで行うことができる。
最終エマルジョンは、水性部分(水相)に分散した油部分(油相)を含む。油相中の構成要素とNK−1受容体アンタゴニストの比は、注射のために調製した製剤の安定性に影響を与え得るエマルジョンの重要な特徴であり、最終医薬エマルジョン中のこれらの比のそれぞれは、下記でより詳細に提示する。上記のように、油相は、NK−1受容体アンタゴニスト、油および乳化剤を含み、これらの例は、本明細書において提供する。
最終エマルジョンは、約0.7重量/重量%のNK−1受容体アンタゴニストを含有するが、約0.2重量/重量%〜1.5重量/重量%、0.4重量/重量%〜1.0重量/重量%、0.6重量/重量%〜0.7重量/重量%、または0.7重量/重量%〜0.8重量/重量%の範囲であり得る。約130mgのNK−1受容体アンタゴニストを含有することができるエマルジョンを調製するが、約100mg〜1000mg、100mg〜500mg、250mg〜750mgまたは100mg〜200mgのNK−1受容体アンタゴニストを含有する調製物をまた、本開示によって調製し得る。
一実施形態では、最終エマルジョンの油相中の油:NK−1受容体アンタゴニストの比(重量%:重量%)は約13:1〜14:1であるが、約11:1〜15:1、12:1〜14:1、13:1〜13.5:1、または12:1〜15:1の範囲でよい。別の実施形態では、油:NK−1受容体アンタゴニストの比は、約11:1、11.5:1、12:1、12.5:1、13:1、13.5:1、14:1、14.5:1または15:1である。
最終エマルジョン中の乳化剤とNK−1受容体アンタゴニストの比は約20:1でよいが、また変化し得る。例えば、油部分中の乳化剤:NK−1受容体アンタゴニストの比(重量%:重量%)は、約15:1〜30:1、20:1〜25:1、18:1〜22:1、19:1〜20:1、または10:1〜30:1の範囲である。一実施形態では、乳化剤:NK−1受容体アンタゴニスト(重量%:重量%)は、約15:1、18:1、19:1、20:1、21:1、22:1または23:1である。
最終エマルジョンの油相中の構成要素の比は、(乳化剤プラス油):NK−1受容体アンタゴニストの比(重量%:重量%)で代替的に表し得る。(乳化剤プラス油):NK−1受容体アンタゴニストの比は、約33:1でよいが、本エマルジョンについての比は、約20:1〜40:1、25:1〜35:1、30:1〜35:1もしくは33:1〜37:1の範囲でよく、または、例えば、約30:1、32:1、33:1、34:1、35:1、36:1、37:1、38:1もしくは40:1でよい。
本開示の組成物は、あまり望ましくない賦形剤、例えば、洗浄剤、例えば、Tween−20またはTween−80を含有し得る注射用製剤と比較して、低減した毒性に関して顕著な利点を有する。本製剤は、油相中の治療的有効量のNK−1受容体アンタゴニストを可溶化する能力を利用し、これを次いで使用して、注射に適したエマルジョンを生じさせることができる。したがって、本明細書に記載されているのは、NK−1受容体アンタゴニストおよび任意選択でデキサメタゾンまたはリン酸デキサメタゾンナトリウムを含有する医薬エマルジョン組成物であり、エマルジョンは、洗浄剤を含まない。
本開示の組成物は、小さな粒子サイズのために非経口使用に適した生成物を生じさせる。生成物を薬剤、例えば、スクロースの水溶液、マルトースの水溶液、またはデキストロース5%注射剤または生理食塩水で希釈して、非経口投与のための必要とされる濃度を達成することができるため、本開示の組成物は、使用するのに容易である。本開示の組成物はまた、延長された保存寿命を有し、したがって容易に市場性のある製品に適している。
本開示の組成物は、化学的および物理的の両方において安定である。本発明の物理的に安定なエマルジョンは、USP<729>において記述されているように許容されるものを超えた平均液滴サイズの増加を伴わずに、少なくとも1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、9カ月、12カ月、15カ月、18カ月、24カ月または36カ月間適当な条件下で貯蔵することができるものである。その上、大きな直径の脂肪小滴の集団は、USP<729>において記述される限度内であるはずである。
USP<729>において定義される液滴サイズ限度は、市販の医薬製剤について2〜3年またはそれより長くまで延長し得る指定された保存寿命にわたって適用される。全ての真のエマルジョンは熱力学的に不安定であり、経時的に液滴サイズを増加させる傾向のある一連のプロセスを起こし得る。これらは、2個の液滴が衝突して、単一の新たな液滴を形成するときの直接の液滴癒着、および凝集を含み、ここでは液滴が一緒に接着し、より大きな塊を形成する。凝集は、場合によって、より大きな液滴へのさらなる癒着の前駆体であり得る。これらのプロセスは、「クリーミング」として公知の現象である、容器の表面に達する大きな凝集物をもたらし、最終的に「クラッキング」として公知である、遊離油がエマルジョン表面上に可視であることをもたらし得る。
液滴サイズ限度は、注射可能な脂質エマルジョン中の小滴サイズ分布のためのUSP33−NF28総則<729>(以下、USP<729>と称する)によって類型化され、USP<729>は、(1)500nmまたは0.5μmを超えない平均液滴サイズ、および(2)最終脂質濃度に関わりなく、0.05%を超えない5μmより大きい脂肪の体積加重百分率(PFAT5)として表される大きな直径の脂肪小滴の集団についての普遍的限度を定義する。
液滴サイズ測定、例えば、USP<729>において定義するものは、サイズの最初の増加を測定することができ、したがって、製剤が肉眼で可視の変化を示すよりもずっと前の早期におけるエマルジョンの物理的安定性を予測する。したがって、本明細書に記載のようなエマルジョンは、約500nm未満、400nm未満、300nm未満、200nm未満または100nm未満の強度加重平均液滴直径を有する安定な組成物である。
本開示による油滴サイズまたは粒子液滴サイズ、すなわち、直径は、動的光散乱(DLS)機器、例えば、Malvern Zetasizer 4000、Malvern Zetasize Nano S90または好ましくはMalvern Zetasizer Nano ZSを使用して測定される。強度加重粒子サイズを記録した。これは、強度加重粒子サイズが粒子の屈折率についての知識を必要としないためである。Malvern Zetasizer機器において、油滴サイズの強度加重直径を決定するための2つのフィットが存在する。第1のフィットは、Z−平均直径を決定するために使用されるキュムラントフィットである。このフィットは、多分散性指数(PDI)をさらに与えることができる。このキュムラントフィットは、0.2未満のPDIを有する単分散試料に推奨される。第2のフィットは、非負最小二乗法(NNLS)フィットである。これは、ピーク1直径、ピーク2直径およびピーク3直径を生じさせる。これは、0.2より大きいPDIを有する多分散試料により適している。
本明細書に記載のようなエマルジョン調製物は、組成物を保存する量で保存剤をさらに含み得る。本開示の実施形態のいくつかにおいて使用される適切な保存剤には、これらに限定されないが、エデト酸二ナトリウム、トコフェロール、塩化ベンザルコニウム、メチル、エチル、プロピルもしくはブチルパラベン、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、ベンゼトニウム、クロロブタノール、ソルビン酸カリウムまたはこれらの組合せが含まれる。
III.医学的使用
本開示の医薬組成物は、嘔吐(emesis)の予防または処置のために使用することができ、高度または中程度に催吐性の化学療法、例えば、がん患者において使用される化学療法を受けている患者のための非経口オプションを提供する。このように、本開示は、化学療法が、最初の処置であろうと、または繰返しの一連の化学療法であろうと、高度または中程度に催吐性の化学療法を受けている対象に、本明細書に記載のようなNK−1受容体アンタゴニストを含むエマルジョンを静脈内に投与することを含む、処置方法を包含する。本明細書に記載されている医薬エマルジョンは、例えば、化学療法または放射線療法と関連する急性および遅延性の悪心および嘔吐(vomiting)の予防または治療において使用することができる。
本開示の医薬組成物は、嘔吐(emesis)の予防または処置のために使用することができ、高度または中程度に催吐性の化学療法、例えば、がん患者において使用される化学療法を受けている患者のための非経口オプションを提供する。このように、本開示は、化学療法が、最初の処置であろうと、または繰返しの一連の化学療法であろうと、高度または中程度に催吐性の化学療法を受けている対象に、本明細書に記載のようなNK−1受容体アンタゴニストを含むエマルジョンを静脈内に投与することを含む、処置方法を包含する。本明細書に記載されている医薬エマルジョンは、例えば、化学療法または放射線療法と関連する急性および遅延性の悪心および嘔吐(vomiting)の予防または治療において使用することができる。
別の実施形態は、それを必要とする対象において嘔吐(emesis)を予防または処置する使用のための、医薬の製造における本開示の医薬製剤の使用に関する。
本開示の方法において使用するのに必要とされるNK−1受容体アンタゴニストおよび任意選択でデキサメタゾンの量は、投与方法および患者の状態、および必要とされる治療の程度によって変化してもよく、最終的には担当の医師または臨床医の裁量である。
IV.実施例
下記の実施例は本質的に例示的であり、決して限定的であることを意図しない。
(実施例1)
静脈内注射のためのアプレピタントエマルジョンの調製
アプレピタントエマルジョンを調製するために、750mgのアプレピタントおよび15.0gの卵レシチン(LIPOID E80)と、12.0mlのエタノールとを合わせることによって、油相を最初に調製した。この混合物を、60℃および200rpmで15分間、加熱および撹拌することによって溶解した。得られた溶液に、10.0gのダイズ油を加えた。60℃での加熱および200rpmでの撹拌をさらに15分間続けた。5.60gのスクロースおよび0.500gのオレイン酸ナトリウムを、70.0mlの注射用水に溶解することによって、水相を調製した。この混合物を、300rpmで室温にて30分間撹拌した。次いで、水相を油相に加え、それに続いて高速均質化(Ultra−Turrax(登録商標)IKA T25)に20,000rpmのスピードで1分間供し、粗エマルジョンを生成した。次いで、この粗エマルジョンを、氷で冷却した高圧マイクロフルイダイザー(Microfluidizer(登録商標)M−110L、F12Y相互作用チャンバー)を通して18,000psiの圧力で8回通過させた。得られた微細エマルジョンを、0.2μmのナイロンシリンジフィルター(Corning)を通して通過させることによって滅菌した。エマルジョン組成物の詳細を、下記の表1において提供する。動的光散乱(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって、非負最小二乗法(NNLS)フィットを使用して分析した強度加重粒子サイズは、99nmのピーク1直径を与えた。キュムラントフィットを使用して決定した強度加重平均粒子サイズは、87nmのZ−平均直径を提供した。ゼータ電位を、レーザードップラー微小電気泳動(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって−43mVであると測定した。注射可能なエマルジョンのpHは、8.74であった。このアプレピタント含有エマルジョンはそのまま注射することができるか、または5%デキストロースもしくは0.9%食塩水との注入のために希釈することができる。
(実施例2)
静脈内注射のためのアプレピタントエマルジョンの調製
下記の実施例は本質的に例示的であり、決して限定的であることを意図しない。
(実施例1)
静脈内注射のためのアプレピタントエマルジョンの調製
アプレピタントエマルジョンを調製するために、750mgのアプレピタントおよび15.0gの卵レシチン(LIPOID E80)と、12.0mlのエタノールとを合わせることによって、油相を最初に調製した。この混合物を、60℃および200rpmで15分間、加熱および撹拌することによって溶解した。得られた溶液に、10.0gのダイズ油を加えた。60℃での加熱および200rpmでの撹拌をさらに15分間続けた。5.60gのスクロースおよび0.500gのオレイン酸ナトリウムを、70.0mlの注射用水に溶解することによって、水相を調製した。この混合物を、300rpmで室温にて30分間撹拌した。次いで、水相を油相に加え、それに続いて高速均質化(Ultra−Turrax(登録商標)IKA T25)に20,000rpmのスピードで1分間供し、粗エマルジョンを生成した。次いで、この粗エマルジョンを、氷で冷却した高圧マイクロフルイダイザー(Microfluidizer(登録商標)M−110L、F12Y相互作用チャンバー)を通して18,000psiの圧力で8回通過させた。得られた微細エマルジョンを、0.2μmのナイロンシリンジフィルター(Corning)を通して通過させることによって滅菌した。エマルジョン組成物の詳細を、下記の表1において提供する。動的光散乱(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって、非負最小二乗法(NNLS)フィットを使用して分析した強度加重粒子サイズは、99nmのピーク1直径を与えた。キュムラントフィットを使用して決定した強度加重平均粒子サイズは、87nmのZ−平均直径を提供した。ゼータ電位を、レーザードップラー微小電気泳動(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって−43mVであると測定した。注射可能なエマルジョンのpHは、8.74であった。このアプレピタント含有エマルジョンはそのまま注射することができるか、または5%デキストロースもしくは0.9%食塩水との注入のために希釈することができる。
静脈内注射のためのアプレピタントエマルジョンの調製
アプレピタントエマルジョンを調製するために、450mgのアプレピタントおよび9.00gの卵レシチン(LIPOID E80)と、4.0mlのエタノールとを合わせることによって、油相を最初に調製した。この混合物を、60℃および200rpmで15分間、加熱および撹拌することによって溶解した。得られた溶液に、6.00gのダイズ油を加えた。60℃での加熱および200rpmでの撹拌をさらに15分間続けた。3.36gのスクロースおよび0.300gのオレイン酸ナトリウムを、42.0mlの注射用水に溶解することによって、水相を調製した。この混合物を、300rpmで室温にて30分間撹拌した。次いで、水相を油相に加え、それに続いて高速均質化(Ultra−Turrax(登録商標)IKA T25)に20,000rpmのスピードで1分間供し、粗エマルジョンを生成した。次いで、この粗エマルジョンを、氷で冷却した高圧マイクロフルイダイザー(Microfluidizer(登録商標)M−110L、F12Y相互作用チャンバー)を通して18,000psiの圧力で8回通過させた。得られた微細エマルジョンを、0.2μmのナイロンシリンジフィルター(Corning)を通して通過させることによって滅菌した。エマルジョン組成物の詳細を、下記の表2において提供する。動的光散乱(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって、NNLSフィットを使用して分析した強度加重粒子サイズは、127nmのピーク1直径を与えた。キュムラントフィットを使用して決定した強度加重平均粒子サイズは、101nmのZ−平均直径を提供した。レーザードップラー微小電気泳動(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって、ゼータ電位を−47mVであると測定した。注射可能なエマルジョンのpHは、8.77であった。このアプレピタント含有エマルジョンはそのまま注射することができるか、または5%デキストロースもしくは0.9%食塩水との注入のために希釈することができる。
(実施例3)
静脈内注射のためのアプレピタントエマルジョンの調製
静脈内注射のためのアプレピタントエマルジョンの調製
アプレピタントエマルジョンを調製するために、450mgのアプレピタントおよび9.00gの卵レシチン(LIPOID E80)と、6.0mlのエタノールとを合わせることによって、油相を最初に調製した。この混合物を、60℃および200rpmで15分間、加熱および撹拌することによって溶解した。得られた溶液に、6.00gのダイズ油を加えた。60℃での加熱および200rpmでの撹拌をさらに15分間続けた。15.62gのスクロースおよび0.300gのオレイン酸ナトリウムを、42.0mlの注射用水に溶解することによって、水相を調製した。この混合物を、300rpmで室温にて30分間撹拌した。次いで、水相を油相に加え、それに続いて高速均質化(Ultra−Turrax(登録商標)IKA T25)に20,000rpmのスピードで1分間供し、粗エマルジョンを生成した。次いで、この粗エマルジョンを、氷で冷却した高圧マイクロフルイダイザー(Microfluidizer(登録商標)M−110L、F12Y相互作用チャンバー)を通して18,000psiの圧力で8回通過させた。得られた微細エマルジョンを、0.2μmのナイロンシリンジフィルター(Corning)を通して通過させることによって滅菌した。エマルジョン組成物の詳細を、下記の表3において提供する。動的光散乱(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって、NNLSフィットを使用して分析した強度加重粒子サイズは、88nmのピーク1直径を与えた。キュムラントフィットを使用して決定した強度加重平均粒子サイズは、68nmのZ−平均直径を提供した。ゼータ電位を、レーザードップラー微小電気泳動(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって−42mVであると測定した。注射可能なエマルジョンのpHは、8.80であった。このアプレピタント含有エマルジョンは、注射の前に、注射用水で4倍に希釈される。
(実施例4)
静脈内注射のための代替のアプレピタントエマルジョン製剤の調製
静脈内注射のための代替のアプレピタントエマルジョン製剤の調製
10%重量/重量未満のリン脂質乳化剤を有し、かつ8.0未満のpHに調整した、アプレピタントエマルジョンを調製した。アプレピタントエマルジョンを調製するために、450mgのアプレピタントおよび6.67gの卵レシチン(LIPOID E80)と、7.2mlのエタノールとを合わせることによって、油相を最初に調製した。この混合物を、60℃および200rpmで加熱および撹拌することによって溶解した。エタノールが蒸発し、濃い残渣が観察されるまで、加熱および撹拌を行った。得られた溶液に、6.00gのダイズ油および適当な量のエタノールを加え、60℃での加熱によって透明な油相を得た。3.36gのスクロースを、50.5mlの注射用水に60℃にて溶解することによって、水相を調製した。次いで、水相を油相に加え、それに続いて高速均質化(Ultra−Turrax(登録商標)IKA T25)に20,000rpmのスピードで1分間供し、粗エマルジョンを生成した。この粗エマルジョンのpHを7.0に調整し、次いで、氷で冷却した高圧マイクロフルイダイザー(Microfluidizer(登録商標)M−110L、F12Y相互作用チャンバー)を通して18,000psiの圧力で8回通過させた。得られた微細エマルジョンを、0.2μmのナイロンシリンジフィルター(Corning)を通して通過させることによって滅菌した。エマルジョン組成物の詳細を、下記の表4において提供する。室温にて調製後4日以内に、顕微鏡によって生成物中に結晶が観察された。
(実施例5)
静脈内注射のためのアプレピタントエマルジョンの調製
静脈内注射のためのアプレピタントエマルジョンの調製
オレイン酸を含有するアプレピタントエマルジョンを調製した。アプレピタントエマルジョンを調製するために、250mgのアプレピタント、2.50gの卵レシチン(LIPOID E80)と、15.0gのダイズ油および125mgのオレイン酸を合わせることによって、油相を最初に調製した。10mlのエタノールを加え、混合物を70℃で溶解した。エタノールを70℃の水浴中で減圧によって除去し、透明な油相を生じさせた。82.1mlの注射用水を70℃で含有する事前加熱した水相を油相に加え、それに続いて高速均質化(Ultra−Turrax(登録商標)IKA T25)に20,000rpmのスピードで1分間供し、粗エマルジョンを生成した。この粗エマルジョンを、氷で冷却した高圧マイクロフルイダイザー(Microfluidizer(登録商標)M−110L、F12Y相互作用チャンバー)を通して18,000psiの圧力で8回通過させた。得られた微細エマルジョンを、0.2μmのナイロンシリンジフィルター(Corning)を通して通過させることによって滅菌した。エマルジョン組成物の詳細を、下記の表5において提供する。室温にて調製後4日以内に、顕微鏡によって生成物中に結晶が観察された。
(実施例6)
静脈内注射のためのアプレピタントおよびリン酸デキサメタゾンナトリウムを含有するエマルジョンの調製
静脈内注射のためのアプレピタントおよびリン酸デキサメタゾンナトリウムを含有するエマルジョンの調製
アプレピタントおよびリン酸デキサメタゾンナトリウムを含有する注射可能なエマルジョンを調製するために、773mgのアプレピタントおよび15.5gの卵レシチン(LIPOID E80)と、10.3mlのエタノールとを合わせることによって、油相を最初に調製した。この混合物を、60℃および200rpmで15分間、加熱および撹拌することによって溶解した。得られた溶液に、10.3gのダイズ油を加えた。60℃での加熱および200rpmでの撹拌をさらに15分間続けた。5.77gのスクロースおよび0.515gのオレイン酸ナトリウムを、71.1mlの注射用水に溶解することによって、水相を調製した。この混合物を、300rpmで室温にて30分間撹拌した。次いで、水相を油相に加え、それに続いて高速均質化(Ultra−Turrax(登録商標)IKA T25)に20,000rpmのスピードで1分間供し、粗エマルジョンを生成した。次いで、この粗エマルジョンを、氷で冷却した高圧マイクロフルイダイザー(Microfluidizer(登録商標)M−110L、F12Y相互作用チャンバー)を通して18,000psiの圧力で8回通過させた。1mlの注射用水に溶解したリン酸デキサメタゾンナトリウム(93.5mg)を、微細エマルジョン中に混合した。アプレピタントおよびリン酸デキサメタゾンナトリウムの両方を含有するこの得られた微細エマルジョンを、0.2μmのナイロンシリンジフィルター(Corning)を通して通過させることによって滅菌した。エマルジョン組成物の詳細を、下記の表6において提供する。動的光散乱(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって、NNLSフィットを使用して分析した強度加重粒子サイズは、95nmのピーク1直径を与えた。キュムラントフィットを使用して決定した強度加重平均粒子サイズは、70nmのZ−平均直径を提供した。レーザードップラー微小電気泳動(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって、ゼータ電位は−43mVであると測定した。注射可能なエマルジョンのpHは、8.92であった。このアプレピタントおよびリン酸デキサメタゾンナトリウム含有エマルジョンはそのまま注射することができるか、または5%デキストロースもしくは0.9%食塩水との注入のために希釈することができる。
(実施例7)
室温および5℃でのアプレピタントエマルジョンの安定性
室温および5℃でのアプレピタントエマルジョンの安定性
実施例1、2、3および6において記載したように調製したアプレピタントエマルジョンの安定性を、室温(約25℃)にてまたは5℃にて各エマルジョン調製物をインキュベートすることによって測定した。5μmより大きい脂肪小滴の平均粒子サイズおよび百分率を、それぞれ、DLSおよび光遮蔽を使用して測定し、これらがUSP<729>を満たすかを決定した。エマルジョンをまた、アプレピタント結晶について顕微鏡によって検査した。実施例1は、室温にて2カ月安定であった。すなわち、5μmより大きい脂肪小滴の平均粒子サイズおよび百分率は、USP<729>を満たした。さらに、アプレピタント結晶は、顕微鏡によって可視ではなかった。室温にて2カ月の貯蔵後、クリーミングが実施例1および6において観察された。これは、アプレピタント結晶の観察と一致した。実施例2および3は、室温にて、それぞれ、3カ月間および2カ月間安定であった。これらの時点の後、アプレピタント結晶を、これらの製剤において観察した。5℃での貯蔵は、実施例1、2、3および6についてより長いエマルジョン安定性をもたらした。表7は、実施例1、2、3および6の特徴付け、ならびに室温および5℃でのこれらのそれぞれの安定性を示す。
(実施例8)
凍結融解サイクルに対するアプレピタントエマルジョンの安定性
凍結融解サイクルに対するアプレピタントエマルジョンの安定性
実施例1、2、3および6によって調製したアプレピタントエマルジョンを、凍結融解サイクルへの曝露によって安定性について試験した。実施例1、2、3および6からの試料を−20℃にて一晩貯蔵した。翌日、これらを室温に解凍し、顕微鏡によって可視化した。凍結の前に、鏡検すると全ての試料は可視の粒子を提示しなかった。図1は、凍結融解サイクル後のエマルジョンの10×での顕微鏡像を示す(実施例1、2、3および6は、それぞれ、図1A、B、C、およびDとして示す)。実施例1、2および6において記載したように調製したエマルジョンは、凍結への曝露の後に、可視の粒子を示した。実施例3のみが、凍結後に安定であった。図1Cが示すように、実施例3の製剤について可視の粒子は観察されなかった。この増進された安定性は、高い濃度のスクロースの存在によって与えられた(実施例1、2および6における5w/重量%と比較して、実施例3における20w/w%)。
(実施例9)
アプレピタントエマルジョンの薬物動態
(実施例9)
アプレピタントエマルジョンの薬物動態
実施例1によって調製したアプレピタントエマルジョンの薬物動態を決定した。それぞれ6匹の雄性Sprague−Dawleyラットの2つの群に、それぞれ、溶液中のホスアプレピタントまたは実施例1によって調製したアプレピタントエマルジョンを静脈内に注射した。全ての薬物を、14mg/kgのアプレピタントと等しい有効濃度で投与した。全てのラットからの血液を、適当な時間間隔で集め、遠心分離によって血漿へと処理した。血漿試料を、必要に応じて、アプレピタントおよびホスアプレピタントについてLC−MS/MSによって分析した。実施例1に記載したエマルジョンについて、およびホスアプレピタントについての、アプレピタントの血漿濃度対時間曲線を、図2において提示する(溶液中のホスアプレピタント、黒丸;アプレピタントエマルジョン、黒三角)。アプレピタントエマルジョンの注射の直後に到達した最初のアプレピタントレベルは、ホスアプレピタント溶液の注射の直後に到達した最初のアプレピタントレベルより殆ど3倍高かったことを曲線は示した。しかし、それぞれの注射からもたらされるアプレピタントの血漿レベルは、3時間の時点まで本質的に同じであったが、これは、製剤がアプレピタントへのホスアプレピタントの変換における遅延を除いて生物学的に同等であったことを示す。
(実施例10)
アプレピタントおよびデキサメタゾンエマルジョンの薬物動態
(実施例10)
アプレピタントおよびデキサメタゾンエマルジョンの薬物動態
実施例6によって調製したアプレピタントおよびリン酸デキサメタゾンナトリウムの組合せエマルジョンの薬物動態を決定した。雄性Sprague−Dawleyラットのそれぞれに、静脈内にホスアプレピタント溶液(群1)、リン酸デキサメタゾンナトリウム溶液(群2)、または実施例6によって調製したアプレピタントおよびリン酸デキサメタゾンナトリウムを含有するエマルジョン(群3)を注射した。群1および2は、それぞれ6匹のラットからなった。群3について、12匹のラットに、アプレピタントおよびリン酸デキサメタゾンナトリウムの組合せエマルジョンを注射し、両方の活性成分の測定のための十分な試料の収集を可能とした。
群1および3において、用量を2mg/kgのアプレピタントと等しい有効な薬物濃度で投与した。群2および3において、用量を0.24mg/kgのリン酸デキサメタゾンナトリウムと等しい有効な薬物濃度で投与した。全てのラットからの血液を、適当な時間間隔で集め、遠心分離によって血漿へと処理した。血漿試料を、必要に応じて、デキサメタゾン、アプレピタント、およびホスアプレピタントについてLC−MS/MSによって分析した。
図3および4は、それぞれ、アプレピタントおよびデキサメタゾンの血漿濃度対時間曲線を提示する。図3は、実施例6に記載されたエマルジョンの注射(図3、黒丸)に対するホスアプレピタントの溶液の注射(図3、黒三角)によってもたらされるアプレピタントの血漿濃度対時間曲線を比較する。図4は、リン酸デキサメタゾンナトリウム溶液の注射(図4、黒丸)に対する実施例6に記載したエマルジョンの注射によってもたらされるデキサメタゾンの血漿濃度対時間曲線を比較する。曲線は、エマルジョン中のアプレピタントが、リン酸デキサメタゾンナトリウムと概ね同時に放出されることを示す。エマルジョン中のリン酸デキサメタゾンナトリウムの存在は、アプレピタントの薬物動態に影響を与えない。
(実施例11)
静脈内注射のためのアプレピタントエマルジョンの調製
(実施例11)
静脈内注射のためのアプレピタントエマルジョンの調製
緩衝剤を含むアプレピタントエマルジョンを調製するために、750mgのアプレピタント、15.0gの卵レシチン(LIPOID E80)と、10.0gのダイズ油および3.75mlのエタノールとを合わせることによって、油相を最初に調製する。この混合物を、70℃および200rpmで30分間、加熱および撹拌することによって溶解する。2.17gのスクロースおよび0.500gのオレイン酸ナトリウムを、4.1mlの1Mトリス緩衝液(pH8.4)および65.9mlの注射用水の混合物に溶解することによって、水相を調製する。この混合物を、300rpmで室温にて30分間撹拌する。次いで、水相を油相に加え、それに続いて高速均質化(Ultra−Turrax(登録商標)IKA T25)に20,000rpmのスピードで1分間供し、粗エマルジョンを生成する。次いで、この粗エマルジョンを、氷で冷却した高圧マイクロフルイダイザー(Microfluidizer(登録商標)M−110L、F12Y相互作用チャンバー)を通して18,000psiの圧力で8回通過させる。得られた微細エマルジョンを、0.2μmのナイロンシリンジフィルター(Corning)を通して通過させることによって滅菌する。動的光散乱を使用して、NNLSフィットを使用して強度加重粒子サイズを決定し、ピーク1直径を生じさせ、キュムラントフィットを使用して強度加重平均粒子サイズを決定し、Z−平均直径を提供する。レーザードップラー微小電気泳動(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって、ゼータ電位を測定する。このアプレピタント含有エマルジョンはそのまま注射することができるか、または5%デキストロースもしくは0.9%食塩水との注入のために希釈することができる。
(実施例12)
静脈内注射のためのロラピタントエマルジョンの調製
(実施例12)
静脈内注射のためのロラピタントエマルジョンの調製
ロラピタントエマルジョンを調製するために、1.080gのロラピタントおよび21.6gの卵レシチン(LIPOID E80)と、14.4gのダイズ油および5.40mlのエタノールとをガラスジャーにおいて合わせることによって、油相を最初に調製した。この混合物を、室温にて30分間インキュベートし、それに続いて70℃および200rpmでさらに30分間、加熱および撹拌を行った。35℃および300rpmで15分間、加熱および撹拌することによって、8.06gのスクロースおよび0.720gのオレイン酸ナトリウムを100.8mlの注射用水に溶解することによって水相を調製した。次いで、水相を油相に加え、それに続いて高速均質化(Ultra−Turrax(登録商標)IKA T25)に20,000rpmのスピードで1分間供し、粗エマルジョンを生成した。この粗エマルジョンを、高圧マイクロフルイダイザー(Microfluidizer(登録商標)M−110P、F12Y相互作用チャンバー)を通して20,000psiの圧力で8回通過させた。冷却水を使用して、出口の微細エマルジョン温度を概ね25℃に維持した。得られた微細エマルジョンは、0.2μmのナイロンフィルター(Nalgene)を通して通過させることによって滅菌した。エマルジョン組成物の詳細を、下記の表8において提供する。動的光散乱(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって、非負最小二乗法(NNLS)フィットを使用して分析した強度加重粒子サイズは、127nmのピーク1直径を与えた(表9)。キュムラントフィットを使用して決定した強度加重平均粒子サイズは、100nmのZ−平均直径を提供した。注射可能なエマルジョンのpHおよび重量オスモル濃度は、それぞれ、8.51および318mmol/kgであった。このロラピタント含有エマルジョンはそのまま注射することができるか、または0.9%食塩水もしくは5%デキストロースとの注入のために希釈することができる。
(実施例13)
静脈内注射のためのネツピタントエマルジョンの調製
治療的有効量のネツピタントを含有するエマルジョンを調製するために、約750mgのネツピタントおよび15.0gの卵レシチン(LIPOID E80)と、12.0mlのエタノールとを合わせることによって、油相を最初に調製する。この混合物を、60℃および200rpmで15分間、加熱および撹拌することによって溶解する。得られた溶液に、10.0gのダイズ油を加える。60℃での加熱および200rpmでの撹拌をさらに15分間続ける。5.60gのスクロースおよび0.500gのオレイン酸ナトリウムを70.0mlの注射用水に溶解することによって、水相を調製する。この混合物を、300rpmで室温にて30分間撹拌する。次いで、水相を油相に加え、それに続いて高速均質化(Ultra−Turrax(登録商標)IKA T25)に20,000rpmのスピードで1分間供し、粗エマルジョンを生成させる。次いで、この粗エマルジョンを、氷で冷却した高圧マイクロフルイダイザー(Microfluidizer(登録商標)M−110L、F12Y相互作用チャンバー)を通して18,000psiの圧力で8回通過させる。得られた微細エマルジョンを、0.2μmのナイロンシリンジフィルター(Corning)を通して通過させることによって滅菌する。エマルジョン組成物の詳細を、下記の表10において提供する。動的光散乱(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって、強度加重粒子サイズを、非負最小二乗法(NNLS)フィットを使用して分析し、粒子のピーク1直径を得る。強度加重平均粒子サイズをまた、キュムラントフィットを使用して決定し、Z−平均直径を提供する。レーザードップラー微小電気泳動(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって、ゼータ電位は−43mVであると測定する。注射可能なエマルジョンのpHをまた測定し、好ましくは、約pH7.8〜8.8である。このNK−1受容体アンタゴニスト含有エマルジョンはそのまま注射することができるか、または5%デキストロースもしくは0.9%食塩水との注入のために希釈することができる。
静脈内注射のためのネツピタントエマルジョンの調製
治療的有効量のネツピタントを含有するエマルジョンを調製するために、約750mgのネツピタントおよび15.0gの卵レシチン(LIPOID E80)と、12.0mlのエタノールとを合わせることによって、油相を最初に調製する。この混合物を、60℃および200rpmで15分間、加熱および撹拌することによって溶解する。得られた溶液に、10.0gのダイズ油を加える。60℃での加熱および200rpmでの撹拌をさらに15分間続ける。5.60gのスクロースおよび0.500gのオレイン酸ナトリウムを70.0mlの注射用水に溶解することによって、水相を調製する。この混合物を、300rpmで室温にて30分間撹拌する。次いで、水相を油相に加え、それに続いて高速均質化(Ultra−Turrax(登録商標)IKA T25)に20,000rpmのスピードで1分間供し、粗エマルジョンを生成させる。次いで、この粗エマルジョンを、氷で冷却した高圧マイクロフルイダイザー(Microfluidizer(登録商標)M−110L、F12Y相互作用チャンバー)を通して18,000psiの圧力で8回通過させる。得られた微細エマルジョンを、0.2μmのナイロンシリンジフィルター(Corning)を通して通過させることによって滅菌する。エマルジョン組成物の詳細を、下記の表10において提供する。動的光散乱(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって、強度加重粒子サイズを、非負最小二乗法(NNLS)フィットを使用して分析し、粒子のピーク1直径を得る。強度加重平均粒子サイズをまた、キュムラントフィットを使用して決定し、Z−平均直径を提供する。レーザードップラー微小電気泳動(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって、ゼータ電位は−43mVであると測定する。注射可能なエマルジョンのpHをまた測定し、好ましくは、約pH7.8〜8.8である。このNK−1受容体アンタゴニスト含有エマルジョンはそのまま注射することができるか、または5%デキストロースもしくは0.9%食塩水との注入のために希釈することができる。
(実施例14)
静脈内注射のためのネツピタントエマルジョンの調製
ネツピタントエマルジョンを調製するために、約450mgのネツピタントおよび9.00gの卵レシチン(LIPOID E80)と、4.0mlのエタノールとを合わせることによって、油相を最初に調製する。この混合物を、60℃および200rpmで15分間、加熱および撹拌することによって溶解する。得られた溶液に、6.00gのダイズ油を加える。60℃での加熱および200rpmでの撹拌をさらに約15分間続ける。3.36gのスクロースおよび0.300gのオレイン酸ナトリウムを42.0mlの注射用水に溶解することによって、水相を調製する。この混合物を、300rpmで室温にて30分間撹拌する。次いで、水相を油相に加え、それに続いて高速均質化(Ultra−Turrax(登録商標)IKA T25)に20,000rpmのスピードで1分間供し、粗エマルジョンを生成させる。次いで、この粗エマルジョンを、氷で冷却した高圧マイクロフルイダイザー(Microfluidizer(登録商標)M−110L、F12Y相互作用チャンバー)を通して18,000psiの圧力で8回通過させる。得られた微細エマルジョンを、0.2μmのナイロンシリンジフィルター(Corning)を通して通過させることによって滅菌する。エマルジョン組成物の詳細を、下記の表11において提供する。動的光散乱(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって、強度加重粒子サイズを、NNLSフィットを使用して分析し、ピーク1直径を与える。強度加重平均粒子サイズを、キュムラントフィットを使用して決定し、Z−平均直径を提供する。ゼータ電位を、レーザードップラー微小電気泳動(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって測定する。注射可能なエマルジョンのpHをまた測定し、好ましくは、約pH7.8〜8.8である。このネツピタント含有エマルジョンはそのまま注射することができるか、または5%デキストロースもしくは0.9%食塩水との注入のために希釈することができる。
静脈内注射のためのネツピタントエマルジョンの調製
ネツピタントエマルジョンを調製するために、約450mgのネツピタントおよび9.00gの卵レシチン(LIPOID E80)と、4.0mlのエタノールとを合わせることによって、油相を最初に調製する。この混合物を、60℃および200rpmで15分間、加熱および撹拌することによって溶解する。得られた溶液に、6.00gのダイズ油を加える。60℃での加熱および200rpmでの撹拌をさらに約15分間続ける。3.36gのスクロースおよび0.300gのオレイン酸ナトリウムを42.0mlの注射用水に溶解することによって、水相を調製する。この混合物を、300rpmで室温にて30分間撹拌する。次いで、水相を油相に加え、それに続いて高速均質化(Ultra−Turrax(登録商標)IKA T25)に20,000rpmのスピードで1分間供し、粗エマルジョンを生成させる。次いで、この粗エマルジョンを、氷で冷却した高圧マイクロフルイダイザー(Microfluidizer(登録商標)M−110L、F12Y相互作用チャンバー)を通して18,000psiの圧力で8回通過させる。得られた微細エマルジョンを、0.2μmのナイロンシリンジフィルター(Corning)を通して通過させることによって滅菌する。エマルジョン組成物の詳細を、下記の表11において提供する。動的光散乱(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって、強度加重粒子サイズを、NNLSフィットを使用して分析し、ピーク1直径を与える。強度加重平均粒子サイズを、キュムラントフィットを使用して決定し、Z−平均直径を提供する。ゼータ電位を、レーザードップラー微小電気泳動(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって測定する。注射可能なエマルジョンのpHをまた測定し、好ましくは、約pH7.8〜8.8である。このネツピタント含有エマルジョンはそのまま注射することができるか、または5%デキストロースもしくは0.9%食塩水との注入のために希釈することができる。
(実施例15)
静脈内注射のためのネツピタントエマルジョンの調製
ネツピタントエマルジョンを調製するために、450mgのネツピタントおよび9.00gの卵レシチン(LIPOID E80)と、6.0mlのエタノールとを合わせることによって、油相を最初に調製する。この混合物を、60℃および200rpmで15分間、加熱および撹拌することによって溶解する。得られた溶液に、6.00gのダイズ油を加える。60℃での加熱および200rpmでの撹拌をさらに15分間続ける。42.0mlの注射用水中の15.62gのスクロースおよび0.300gのオレイン酸ナトリウムに溶解することによって、水相を調製する。この混合物を、300rpmで室温にて30分間撹拌する。次いで、水相を油相に加え、それに続いて高速均質化(Ultra−Turrax(登録商標)IKA T25)に20,000rpmのスピードで1分間供し、粗エマルジョンを生成させる。次いで、この粗エマルジョンを、氷で冷却した高圧マイクロフルイダイザー(Microfluidizer(登録商標)M−110L、F12Y相互作用チャンバー)を通して18,000psiの圧力で8回通過させる。得られた微細エマルジョンを、0.2μmのナイロンシリンジフィルター(Corning)を通して通過させることによって滅菌する。エマルジョン組成物の詳細を、下記の表12において提供する。動的光散乱(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって、強度加重粒子サイズを、NNLSフィットを使用して分析し、ピーク1直径を与える。強度加重平均粒子サイズを、キュムラントフィットを使用して決定し、Z−平均直径を提供する。ゼータ電位を、レーザードップラー微小電気泳動(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって測定する。注射可能なエマルジョンのpHをまた測定し、好ましくは、約pH7.8〜8.8である。このネツピタント含有エマルジョンは、注射の前に、注射用水で4倍に希釈される。
静脈内注射のためのネツピタントエマルジョンの調製
ネツピタントエマルジョンを調製するために、450mgのネツピタントおよび9.00gの卵レシチン(LIPOID E80)と、6.0mlのエタノールとを合わせることによって、油相を最初に調製する。この混合物を、60℃および200rpmで15分間、加熱および撹拌することによって溶解する。得られた溶液に、6.00gのダイズ油を加える。60℃での加熱および200rpmでの撹拌をさらに15分間続ける。42.0mlの注射用水中の15.62gのスクロースおよび0.300gのオレイン酸ナトリウムに溶解することによって、水相を調製する。この混合物を、300rpmで室温にて30分間撹拌する。次いで、水相を油相に加え、それに続いて高速均質化(Ultra−Turrax(登録商標)IKA T25)に20,000rpmのスピードで1分間供し、粗エマルジョンを生成させる。次いで、この粗エマルジョンを、氷で冷却した高圧マイクロフルイダイザー(Microfluidizer(登録商標)M−110L、F12Y相互作用チャンバー)を通して18,000psiの圧力で8回通過させる。得られた微細エマルジョンを、0.2μmのナイロンシリンジフィルター(Corning)を通して通過させることによって滅菌する。エマルジョン組成物の詳細を、下記の表12において提供する。動的光散乱(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって、強度加重粒子サイズを、NNLSフィットを使用して分析し、ピーク1直径を与える。強度加重平均粒子サイズを、キュムラントフィットを使用して決定し、Z−平均直径を提供する。ゼータ電位を、レーザードップラー微小電気泳動(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって測定する。注射可能なエマルジョンのpHをまた測定し、好ましくは、約pH7.8〜8.8である。このネツピタント含有エマルジョンは、注射の前に、注射用水で4倍に希釈される。
(実施例16)
静脈内注射のための代替のネツピタントエマルジョン製剤
10%重量/重量未満のリン脂質乳化剤を有し、かつ8.0未満のpHに調整したネツピタントエマルジョンを調製する。ネツピタントエマルジョンを調製するために、450mgのネツピタントおよび6.67gの卵レシチン(LIPOID E80)と、7.2mlのエタノールとを合わせることによって、油相を最初に調製する。この混合物を、60℃および200rpmで加熱および撹拌することによって溶解する。エタノールが蒸発し、濃い残渣が観察されるまで、加熱および撹拌を行う。得られた溶液に、6.00gのダイズ油および適切な量のエタノールを加え、60℃での加熱によって透明な油相を得る。60℃で3.36gのスクロースを50.5mlの注射用水に溶解することによって、水相を調製する。次いで、水相を油相に加え、それに続いて高速均質化(Ultra−Turrax(登録商標)IKA T25)に20,000rpmのスピードで1分間供し、粗エマルジョンを生成させる。この粗エマルジョンのpHを7.0に調整し、次いで、氷で冷却した高圧マイクロフルイダイザー(Microfluidizer(登録商標)M−110L、F12Y相互作用チャンバー)を通して18,000psiの圧力で8回通過させる。得られた微細エマルジョンを、0.2μmのナイロンシリンジフィルター(Corning)を通して通過させることによって滅菌する。エマルジョン組成物の詳細を、下記の表13において提供する。室温にて調製後4日以内に、エマルジョン生成物を、顕微鏡によって結晶の存在について分析する。
静脈内注射のための代替のネツピタントエマルジョン製剤
10%重量/重量未満のリン脂質乳化剤を有し、かつ8.0未満のpHに調整したネツピタントエマルジョンを調製する。ネツピタントエマルジョンを調製するために、450mgのネツピタントおよび6.67gの卵レシチン(LIPOID E80)と、7.2mlのエタノールとを合わせることによって、油相を最初に調製する。この混合物を、60℃および200rpmで加熱および撹拌することによって溶解する。エタノールが蒸発し、濃い残渣が観察されるまで、加熱および撹拌を行う。得られた溶液に、6.00gのダイズ油および適切な量のエタノールを加え、60℃での加熱によって透明な油相を得る。60℃で3.36gのスクロースを50.5mlの注射用水に溶解することによって、水相を調製する。次いで、水相を油相に加え、それに続いて高速均質化(Ultra−Turrax(登録商標)IKA T25)に20,000rpmのスピードで1分間供し、粗エマルジョンを生成させる。この粗エマルジョンのpHを7.0に調整し、次いで、氷で冷却した高圧マイクロフルイダイザー(Microfluidizer(登録商標)M−110L、F12Y相互作用チャンバー)を通して18,000psiの圧力で8回通過させる。得られた微細エマルジョンを、0.2μmのナイロンシリンジフィルター(Corning)を通して通過させることによって滅菌する。エマルジョン組成物の詳細を、下記の表13において提供する。室温にて調製後4日以内に、エマルジョン生成物を、顕微鏡によって結晶の存在について分析する。
(実施例17)
静脈内注射のための代替のネツピタントエマルジョン製剤
オレイン酸を含油するネツピタントエマルジョンを調製する。ネツピタントエマルジョンを調製するために、250mgのネツピタント、2.50gの卵レシチン(LIPOID E80)、15.0gのダイズ油および125mgのオレイン酸を合わせることによって、油相を最初に調製する。10mlのエタノールを加え、混合物を70℃にて溶解する。エタノールを70℃の水浴中で減圧によって除去し、透明な油相を生じさせる。82.1mlの注射用水を70℃で含有する事前加熱した水相を油相に加え、それに続いて高速均質化(Ultra−Turrax(登録商標)IKA T25)に20,000rpmのスピードで1分間供し、粗エマルジョンを生成させる。この粗エマルジョンを、氷で冷却した高圧マイクロフルイダイザー(Microfluidizer(登録商標)M−110L、F12Y相互作用チャンバー)を通して18,000psiの圧力で8回通過させる。得られた微細エマルジョンを、0.2μmのナイロンシリンジフィルター(Corning)を通して通過させることによって滅菌する。エマルジョン組成物の詳細を、下記の表14において提供する。室温にて調製後4日以内に、エマルジョン生成物を、顕微鏡によって結晶の存在について分析する。
静脈内注射のための代替のネツピタントエマルジョン製剤
オレイン酸を含油するネツピタントエマルジョンを調製する。ネツピタントエマルジョンを調製するために、250mgのネツピタント、2.50gの卵レシチン(LIPOID E80)、15.0gのダイズ油および125mgのオレイン酸を合わせることによって、油相を最初に調製する。10mlのエタノールを加え、混合物を70℃にて溶解する。エタノールを70℃の水浴中で減圧によって除去し、透明な油相を生じさせる。82.1mlの注射用水を70℃で含有する事前加熱した水相を油相に加え、それに続いて高速均質化(Ultra−Turrax(登録商標)IKA T25)に20,000rpmのスピードで1分間供し、粗エマルジョンを生成させる。この粗エマルジョンを、氷で冷却した高圧マイクロフルイダイザー(Microfluidizer(登録商標)M−110L、F12Y相互作用チャンバー)を通して18,000psiの圧力で8回通過させる。得られた微細エマルジョンを、0.2μmのナイロンシリンジフィルター(Corning)を通して通過させることによって滅菌する。エマルジョン組成物の詳細を、下記の表14において提供する。室温にて調製後4日以内に、エマルジョン生成物を、顕微鏡によって結晶の存在について分析する。
(実施例18)
静脈内注射のためのネツピタントおよびリン酸デキサメタゾンナトリウムを含有するエマルジョンの調製
ネツピタントおよびリン酸デキサメタゾンナトリウムを含有する注射可能なエマルジョンを調製するために、773mgのネツピタントおよび15.5gの卵レシチン(LIPOID E80)と、10.3mlのエタノールとを合わせることによって、油相を最初に調製する。この混合物を、60℃および200rpmで15分間、加熱および撹拌することによって溶解する。得られた溶液に、10.3gのダイズ油を加える。60℃での加熱および200rpmでの撹拌をさらに15分間続ける。5.77gのスクロースおよび0.515gのオレイン酸ナトリウムを71.1mlの注射用水に溶解することによって、水相を調製する。この混合物を、300rpmで室温にて30分間撹拌する。次いで、水相を油相に加え、それに続いて高速均質化(Ultra−Turrax(登録商標)IKA T25)に20,000rpmのスピードで1分間供し、粗エマルジョンを生成させる。次いで、この粗エマルジョンを、氷で冷却した高圧マイクロフルイダイザー(Microfluidizer(登録商標)M−110L、F12Y相互作用チャンバー)を通して18,000psiの圧力で8回通過させる。1mlの注射用水に溶解したリン酸デキサメタゾンナトリウム(93.5mg)を、微細エマルジョン中に混合する。ネツピタントおよびリン酸デキサメタゾンナトリウムの両方を含有するこの得られた微細エマルジョンを、0.2μmのナイロンシリンジフィルター(Corning)を通して通過させることによって滅菌する。エマルジョン組成物の詳細を、下記の表6において提供する。動的光散乱(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって、強度加重粒子サイズを、NNLSフィットを使用して分析し、ピーク1直径を決定する。強度加重平均粒子サイズを、キュムラントフィットを使用して決定し、Z−平均直径を決定する。レーザードップラー微小電気泳動(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって、ゼータ電位は−43mVであると測定する。注射可能なエマルジョンの好ましいpHは、約8.5〜9.5である。このネツピタントおよびリン酸デキサメタゾンナトリウム含有エマルジョンはそのまま注射することができるか、または5%デキストロースもしくは0.9%食塩水との注入のために希釈することができる。
静脈内注射のためのネツピタントおよびリン酸デキサメタゾンナトリウムを含有するエマルジョンの調製
ネツピタントおよびリン酸デキサメタゾンナトリウムを含有する注射可能なエマルジョンを調製するために、773mgのネツピタントおよび15.5gの卵レシチン(LIPOID E80)と、10.3mlのエタノールとを合わせることによって、油相を最初に調製する。この混合物を、60℃および200rpmで15分間、加熱および撹拌することによって溶解する。得られた溶液に、10.3gのダイズ油を加える。60℃での加熱および200rpmでの撹拌をさらに15分間続ける。5.77gのスクロースおよび0.515gのオレイン酸ナトリウムを71.1mlの注射用水に溶解することによって、水相を調製する。この混合物を、300rpmで室温にて30分間撹拌する。次いで、水相を油相に加え、それに続いて高速均質化(Ultra−Turrax(登録商標)IKA T25)に20,000rpmのスピードで1分間供し、粗エマルジョンを生成させる。次いで、この粗エマルジョンを、氷で冷却した高圧マイクロフルイダイザー(Microfluidizer(登録商標)M−110L、F12Y相互作用チャンバー)を通して18,000psiの圧力で8回通過させる。1mlの注射用水に溶解したリン酸デキサメタゾンナトリウム(93.5mg)を、微細エマルジョン中に混合する。ネツピタントおよびリン酸デキサメタゾンナトリウムの両方を含有するこの得られた微細エマルジョンを、0.2μmのナイロンシリンジフィルター(Corning)を通して通過させることによって滅菌する。エマルジョン組成物の詳細を、下記の表6において提供する。動的光散乱(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって、強度加重粒子サイズを、NNLSフィットを使用して分析し、ピーク1直径を決定する。強度加重平均粒子サイズを、キュムラントフィットを使用して決定し、Z−平均直径を決定する。レーザードップラー微小電気泳動(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって、ゼータ電位は−43mVであると測定する。注射可能なエマルジョンの好ましいpHは、約8.5〜9.5である。このネツピタントおよびリン酸デキサメタゾンナトリウム含有エマルジョンはそのまま注射することができるか、または5%デキストロースもしくは0.9%食塩水との注入のために希釈することができる。
(実施例19)
静脈内注射のためのNK−1受容体アンタゴニストエマルジョンの調製
緩衝剤を含むNK−1受容体アンタゴニストエマルジョンを調製するために、750mgのアプレピタント、15.0gの卵レシチン(LIPOID E80)、10.0gのダイズ油および3.75mlのエタノールを合わせることによって、油相を最初に調製する。この混合物を、70℃および200rpmで30分間、加熱および撹拌することによって溶解する。2.17gのスクロースおよび0.500gのオレイン酸ナトリウムを4.1mlのトリス緩衝液(1M)(pH8.4)および65.9mlの注射用水の混合物に溶解することによって、水相を調製する。この混合物を、300rpmで室温にて30分間撹拌する。次いで、水相を油相に加え、それに続いて高速均質化(Ultra−Turrax(登録商標)IKA T25)に20,000rpmのスピードで1分間供し、粗エマルジョンを生成させる。次いで、この粗エマルジョンを、氷で冷却した高圧マイクロフルイダイザー(Microfluidizer(登録商標)M−110L、F12Y相互作用チャンバー)を通して18,000psiの圧力で8回通過させる。得られた微細エマルジョンを、0.2μmのナイロンシリンジフィルター(Corning)を通して通過させることによって滅菌する。動的光散乱を使用して、NNLSフィットを使用した強度加重粒子サイズを決定し、ピーク1直径を与え、強度加重平均粒子サイズを、キュムラントフィットを使用して決定し、Z−平均直径を提供する。レーザードップラー微小電気泳動(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって、ゼータ電位を測定する。このアプレピタント含有エマルジョンはそのまま注射することができるか、または5%デキストロースもしくは0.9%食塩水との注入のために希釈することができる。
静脈内注射のためのNK−1受容体アンタゴニストエマルジョンの調製
緩衝剤を含むNK−1受容体アンタゴニストエマルジョンを調製するために、750mgのアプレピタント、15.0gの卵レシチン(LIPOID E80)、10.0gのダイズ油および3.75mlのエタノールを合わせることによって、油相を最初に調製する。この混合物を、70℃および200rpmで30分間、加熱および撹拌することによって溶解する。2.17gのスクロースおよび0.500gのオレイン酸ナトリウムを4.1mlのトリス緩衝液(1M)(pH8.4)および65.9mlの注射用水の混合物に溶解することによって、水相を調製する。この混合物を、300rpmで室温にて30分間撹拌する。次いで、水相を油相に加え、それに続いて高速均質化(Ultra−Turrax(登録商標)IKA T25)に20,000rpmのスピードで1分間供し、粗エマルジョンを生成させる。次いで、この粗エマルジョンを、氷で冷却した高圧マイクロフルイダイザー(Microfluidizer(登録商標)M−110L、F12Y相互作用チャンバー)を通して18,000psiの圧力で8回通過させる。得られた微細エマルジョンを、0.2μmのナイロンシリンジフィルター(Corning)を通して通過させることによって滅菌する。動的光散乱を使用して、NNLSフィットを使用した強度加重粒子サイズを決定し、ピーク1直径を与え、強度加重平均粒子サイズを、キュムラントフィットを使用して決定し、Z−平均直径を提供する。レーザードップラー微小電気泳動(Malvern(登録商標)Zetasizer Nano ZS)によって、ゼータ電位を測定する。このアプレピタント含有エマルジョンはそのまま注射することができるか、または5%デキストロースもしくは0.9%食塩水との注入のために希釈することができる。
(実施例20)
室温および5℃でのロラピタントエマルジョンの安定性
実施例12に記載したように調製したロラピタントエマルジョンの安定性を、室温(約25℃)にてまたは5℃にてエマルジョン調製物をインキュベートすることによって測定した。5μmより大きい脂肪小滴の平均粒子サイズおよび百分率を、それぞれ、DLSおよび光遮蔽を使用して測定し、2カ月の貯蔵後にUSP<729>を満たすことを示した。エマルジョンをまた、ロラピタント結晶について顕微鏡によって、およびエマルジョンクリーミングの存在について視覚的に検査した。結晶またはエマルジョンクリーミングが存在しないことは、生成物の安定性をさらに示した。
室温および5℃でのロラピタントエマルジョンの安定性
実施例12に記載したように調製したロラピタントエマルジョンの安定性を、室温(約25℃)にてまたは5℃にてエマルジョン調製物をインキュベートすることによって測定した。5μmより大きい脂肪小滴の平均粒子サイズおよび百分率を、それぞれ、DLSおよび光遮蔽を使用して測定し、2カ月の貯蔵後にUSP<729>を満たすことを示した。エマルジョンをまた、ロラピタント結晶について顕微鏡によって、およびエマルジョンクリーミングの存在について視覚的に検査した。結晶またはエマルジョンクリーミングが存在しないことは、生成物の安定性をさらに示した。
(実施例21)
室温および5℃でのネツピタントエマルジョンの安定性
実施例13〜17に記載したように調製したネツピタントエマルジョンの安定性は、室温(約25℃)にてまたは5℃にて各エマルジョン調製物をインキュベートすることによって測定することができる。5μmより大きい脂肪小滴の平均粒子サイズおよび百分率を、それぞれ、DLSおよび光遮蔽を使用して測定し、これらがUSP<729>を満たすかを決定する。エマルジョンをまた、ネツピタント結晶について顕微鏡によって、および/またはエマルジョンクリーミングの存在について視覚的に検査する。結晶またはエマルジョンクリーミングが存在しないことは、生成物の安定性を示す。
室温および5℃でのネツピタントエマルジョンの安定性
実施例13〜17に記載したように調製したネツピタントエマルジョンの安定性は、室温(約25℃)にてまたは5℃にて各エマルジョン調製物をインキュベートすることによって測定することができる。5μmより大きい脂肪小滴の平均粒子サイズおよび百分率を、それぞれ、DLSおよび光遮蔽を使用して測定し、これらがUSP<729>を満たすかを決定する。エマルジョンをまた、ネツピタント結晶について顕微鏡によって、および/またはエマルジョンクリーミングの存在について視覚的に検査する。結晶またはエマルジョンクリーミングが存在しないことは、生成物の安定性を示す。
(実施例22)
凍結融解サイクルに対するネツピタントエマルジョンの安定性
実施例13〜17によって調製したネツピタントエマルジョンは、凍結融解サイクルへの曝露による安定性について試験することができる。実施例13〜17からの試料を、−20℃にて一晩貯蔵する。試料を顕微鏡下で見たときに可視の粒子が存在しないことは、生成物の安定性を示す。
凍結融解サイクルに対するネツピタントエマルジョンの安定性
実施例13〜17によって調製したネツピタントエマルジョンは、凍結融解サイクルへの曝露による安定性について試験することができる。実施例13〜17からの試料を、−20℃にて一晩貯蔵する。試料を顕微鏡下で見たときに可視の粒子が存在しないことは、生成物の安定性を示す。
いくつかの例示的な態様および実施形態を上記で考察してきた一方、当業者は特定の修正、並べ替え、付加およびこれらのサブコンビネーションを認識する。したがって、以下に導入する下記の添付の特許請求の範囲は、これらの真の精神および範囲内であるように、全てのこのような修正、並べ替え、付加およびサブコンビネーションを含むと解釈されることが意図される。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
ニューロキナーゼ−1(NK−1)受容体アンタゴニスト;
11重量/重量%〜15重量/重量%の乳化剤;
油;
アルコールを含むコサーファクタント;
等張化剤;
pH調節物質;および
水を含む、注射可能なエマルジョンであって、
前記エマルジョンのpHは、約7.5〜9.0の範囲である、エマルジョン。
(項目2)
前記油と前記NK−1受容体アンタゴニストの比が、約5:1〜15:1(重量/重量%)の範囲である、項目1に記載のエマルジョン。
(項目3)
前記油と前記NK−1受容体アンタゴニストの比が、約10:1〜15:1(重量/重量%)の範囲である、項目1または2に記載のエマルジョン。
(項目4)
前記乳化剤と前記NK−1受容体アンタゴニストの比が、約10:1〜30:1(重量/重量%)の範囲である、項目1から3のいずれか一項に記載のエマルジョン。
(項目5)
前記乳化剤と前記NK−1受容体アンタゴニストの比が、約15:1〜30:1(重量/重量%)の範囲である、項目1から4のいずれか一項に記載のエマルジョン。
(項目6)
乳化剤と油の比が、約1:1〜3:1(重量/重量%)の範囲である、項目1から5のいずれか一項に記載のエマルジョン。
(項目7)
前記乳化剤が、リン脂質である、項目1から6のいずれか一項に記載のエマルジョン。
(項目8)
前記乳化剤が、卵レシチンである、項目1から7のいずれか一項に記載のエマルジョン。
(項目9)
リン酸デキサメタゾンナトリウムをさらに含み、前記リン酸デキサメタゾンナトリウムが、水相中に存在する、項目1から8のいずれか一項に記載のエマルジョン。
(項目10)
前記NK−1受容体アンタゴニストが、ロラピタント、ネツピタント、エズロピタント、ベスチピタント、セルロピタント、マロピタント、カソピタント、ベフェツピタント、およびオルベピタントからなる群から選択される、項目1から9のいずれか一項に記載のエマルジョン。
(項目11)
前記pH調節物質が、オレイン酸ナトリウムまたはその塩である、項目1から10のいずれか一項に記載のエマルジョン。
(項目12)
前記pH調節物質が、緩衝液である、項目1から10のいずれか一項に記載のエマルジョン。
(項目13)
前記緩衝液が、トリス緩衝液である、項目12に記載のエマルジョン。
(項目14)
前記油が、ダイズ油である、項目1から13のいずれか一項に記載のエマルジョン。
(項目15)
前記アルコールが、エタノールである、項目1から14のいずれか一項に記載のエマルジョン。
(項目16)
前記エタノールが、10重量/重量%未満で前記エマルジョン中に存在する、項目15に記載のエマルジョン。
(項目17)
前記NK−1受容体アンタゴニストが、アプレピタントではない、項目1から16のいずれか一項に記載のエマルジョン。
(項目18)
医薬エマルジョンを調製する方法であって、
(a)NK−1受容体アンタゴニスト、乳化剤、およびアルコールを油と合わせ、油相を生じさせることと;
(b)水、等張化剤、pH調節物質、および任意選択で緩衝液を合わせ、水相を生じさせることと;
(c)前記油相を前記水相とホモジナイズし、前記医薬エマルジョンを生じさせることと;
(d)前記医薬エマルジョンを滅菌することと
を含む、方法。
(項目19)
ステップ(c)が、前記油相を前記水相とホモジナイズし、粗エマルジョンを生じさせることを含み、ステップ(c)が、前記粗エマルジョンをホモジナイズし、微細エマルジョンを生じさせることをさらに含み、前記微細エマルジョンが、前記医薬エマルジョンである、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記粗エマルジョンをホモジナイズすることが、10,000〜30,000psiの圧力でマイクロフルイダイザーを使用することを含む、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記粗エマルジョンをホモジナイズすることが、前記マイクロフルイダイザーの4〜15回の通過を含む、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記滅菌することが、約0.2ミクロンの孔径を有するフィルターを通して前記医薬エマルジョンを通過させることを含む、項目18から21のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
滅菌濾過の前にリン酸デキサメタゾンナトリウムの溶液を前記医薬エマルジョンに加えることをさらに含む、項目18から22のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記受容体アンタゴニストが、ロラピタント、ネツピタント、エズロピタント、カソピタント、ベフェツピタント、ベスチピタント、セルロピタント、マロピタント、およびオルベピタントからなる群から選択される、項目18から23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記NK−1受容体アンタゴニストが、アプレピタントではない、項目18から24のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
予防または処置を必要とする対象を予防または処置する方法であって、前記対象に項目1から17のいずれか一項に記載のエマルジョンを含む組成物を投与することを含む、方法。
(項目27)
前記対象が、悪心および/または嘔吐の危険性があるか、またはこれらを患っている、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記悪心および/または嘔吐が、手術、放射線療法または化学療法によって誘発される、項目26または27に記載の方法。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
ニューロキナーゼ−1(NK−1)受容体アンタゴニスト;
11重量/重量%〜15重量/重量%の乳化剤;
油;
アルコールを含むコサーファクタント;
等張化剤;
pH調節物質;および
水を含む、注射可能なエマルジョンであって、
前記エマルジョンのpHは、約7.5〜9.0の範囲である、エマルジョン。
(項目2)
前記油と前記NK−1受容体アンタゴニストの比が、約5:1〜15:1(重量/重量%)の範囲である、項目1に記載のエマルジョン。
(項目3)
前記油と前記NK−1受容体アンタゴニストの比が、約10:1〜15:1(重量/重量%)の範囲である、項目1または2に記載のエマルジョン。
(項目4)
前記乳化剤と前記NK−1受容体アンタゴニストの比が、約10:1〜30:1(重量/重量%)の範囲である、項目1から3のいずれか一項に記載のエマルジョン。
(項目5)
前記乳化剤と前記NK−1受容体アンタゴニストの比が、約15:1〜30:1(重量/重量%)の範囲である、項目1から4のいずれか一項に記載のエマルジョン。
(項目6)
乳化剤と油の比が、約1:1〜3:1(重量/重量%)の範囲である、項目1から5のいずれか一項に記載のエマルジョン。
(項目7)
前記乳化剤が、リン脂質である、項目1から6のいずれか一項に記載のエマルジョン。
(項目8)
前記乳化剤が、卵レシチンである、項目1から7のいずれか一項に記載のエマルジョン。
(項目9)
リン酸デキサメタゾンナトリウムをさらに含み、前記リン酸デキサメタゾンナトリウムが、水相中に存在する、項目1から8のいずれか一項に記載のエマルジョン。
(項目10)
前記NK−1受容体アンタゴニストが、ロラピタント、ネツピタント、エズロピタント、ベスチピタント、セルロピタント、マロピタント、カソピタント、ベフェツピタント、およびオルベピタントからなる群から選択される、項目1から9のいずれか一項に記載のエマルジョン。
(項目11)
前記pH調節物質が、オレイン酸ナトリウムまたはその塩である、項目1から10のいずれか一項に記載のエマルジョン。
(項目12)
前記pH調節物質が、緩衝液である、項目1から10のいずれか一項に記載のエマルジョン。
(項目13)
前記緩衝液が、トリス緩衝液である、項目12に記載のエマルジョン。
(項目14)
前記油が、ダイズ油である、項目1から13のいずれか一項に記載のエマルジョン。
(項目15)
前記アルコールが、エタノールである、項目1から14のいずれか一項に記載のエマルジョン。
(項目16)
前記エタノールが、10重量/重量%未満で前記エマルジョン中に存在する、項目15に記載のエマルジョン。
(項目17)
前記NK−1受容体アンタゴニストが、アプレピタントではない、項目1から16のいずれか一項に記載のエマルジョン。
(項目18)
医薬エマルジョンを調製する方法であって、
(a)NK−1受容体アンタゴニスト、乳化剤、およびアルコールを油と合わせ、油相を生じさせることと;
(b)水、等張化剤、pH調節物質、および任意選択で緩衝液を合わせ、水相を生じさせることと;
(c)前記油相を前記水相とホモジナイズし、前記医薬エマルジョンを生じさせることと;
(d)前記医薬エマルジョンを滅菌することと
を含む、方法。
(項目19)
ステップ(c)が、前記油相を前記水相とホモジナイズし、粗エマルジョンを生じさせることを含み、ステップ(c)が、前記粗エマルジョンをホモジナイズし、微細エマルジョンを生じさせることをさらに含み、前記微細エマルジョンが、前記医薬エマルジョンである、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記粗エマルジョンをホモジナイズすることが、10,000〜30,000psiの圧力でマイクロフルイダイザーを使用することを含む、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記粗エマルジョンをホモジナイズすることが、前記マイクロフルイダイザーの4〜15回の通過を含む、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記滅菌することが、約0.2ミクロンの孔径を有するフィルターを通して前記医薬エマルジョンを通過させることを含む、項目18から21のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
滅菌濾過の前にリン酸デキサメタゾンナトリウムの溶液を前記医薬エマルジョンに加えることをさらに含む、項目18から22のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記受容体アンタゴニストが、ロラピタント、ネツピタント、エズロピタント、カソピタント、ベフェツピタント、ベスチピタント、セルロピタント、マロピタント、およびオルベピタントからなる群から選択される、項目18から23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記NK−1受容体アンタゴニストが、アプレピタントではない、項目18から24のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
予防または処置を必要とする対象を予防または処置する方法であって、前記対象に項目1から17のいずれか一項に記載のエマルジョンを含む組成物を投与することを含む、方法。
(項目27)
前記対象が、悪心および/または嘔吐の危険性があるか、またはこれらを患っている、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記悪心および/または嘔吐が、手術、放射線療法または化学療法によって誘発される、項目26または27に記載の方法。
Claims (1)
- 明細書に記載の発明。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021025927A JP2021088583A (ja) | 2021-02-22 | 2021-02-22 | Nk−1受容体アンタゴニストを含むエマルジョン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021025927A JP2021088583A (ja) | 2021-02-22 | 2021-02-22 | Nk−1受容体アンタゴニストを含むエマルジョン |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020045436A Division JP2020109115A (ja) | 2020-03-16 | 2020-03-16 | Nk−1受容体アンタゴニストを含むエマルジョン |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021088583A true JP2021088583A (ja) | 2021-06-10 |
Family
ID=76219570
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021025927A Withdrawn JP2021088583A (ja) | 2021-02-22 | 2021-02-22 | Nk−1受容体アンタゴニストを含むエマルジョン |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021088583A (ja) |
-
2021
- 2021-02-22 JP JP2021025927A patent/JP2021088583A/ja not_active Withdrawn
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US10953018B2 (en) | Emulsion formulations of aprepitant | |
US11744800B2 (en) | Methods of use of emulsion formulations of an NK-1 receptor antagonist | |
JP6829257B2 (ja) | Nk−1受容体アンタゴニストを含むエマルジョン | |
JP2021088583A (ja) | Nk−1受容体アンタゴニストを含むエマルジョン | |
JP2020109115A (ja) | Nk−1受容体アンタゴニストを含むエマルジョン | |
US20190231688A1 (en) | Method of administering emulsion formulations of an nk-1 receptor antagonist |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210222 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20210811 |