JP2021085469A - ソレノイドバルブ - Google Patents
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Abstract
【課題】ソレノイドバルブにおける供給排出能力のロバスト性を向上させる。【解決手段】ソレノイドバルブ300、300aにおいて、ステータコア端面41、41aからヨーク10の底部14までの軸方向ADにおける長さはシャフト90及びプランジャ30の軸方向における合計長さ以上であり、シャフト及びプランジャが底部側へ移動したとき、ステータコア端面41、41aとスプール端面221、221aとが当接してスプール220の移動が規制される。ステータコア端面とスプール端面の少なくとも一方には、ステータコア端面とスプール端面とが当接したときに、ステータコアとスプールとシャフトとで形成される空間Sとソレノイド部100側のスプールの端部223が収容される収容部218とを連通する溝部45a〜45d、225a〜225dが形成されており、収容部には外部と連通する連通孔219が形成されている。【選択図】図1
Description
本開示は、ソレノイドバルブに関する。
従来から、通電により磁力を発生するコイルの内側において、ステータコアの内側をシャフト及びシャフトに当接するプランジャが軸方向に摺動するソレノイド部と、スプールが挿入され、流体を供給したり排出したりするためのポートを備えるスリーブを有するバルブ部と、を備えるソレノイドバルブが知られている。ソレノイドバルブでは、スプールの軸方向における位置に応じて、ポートの開口面積が調整され、流体の供給量や排出量が調整される。
特許文献1に記載の技術では、スプールと当接するシャフト及びプランジャがバルブ部とは反対側へ移動して、スプールのソレノイド部側への移動が規制されたときに、シャフトはステータコアのバルブ部側の端部から突出している。そのため、特許文献1に記載の技術では、スプールのソレノイド側への移動規制時における、流体の供給や排出量に関わる供給排出能力は、シャフトとプランジャとスプールの各部品の公差内寸法により異なる場合がある。したがって、ソレノイドバルブにおける供給排出能力のロバスト性を向上させる技術が求められる。
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
本開示の一形態によれば、バルブ部(200、200a)とソレノイド部(100、100a)とを備えるソレノイドバルブ(300、300a)が提供される。前記バルブ部は、軸方向(AD)に沿って延び、前記軸方向と交差する方向に開口するポート(214)を備える筒状のスリーブ(210)と、前記スリーブに挿入されて前記軸方向に摺動し、前記軸方向における位置により前記ポートの開口面積を調整するスプール(220、220a)と、を備え、前記ソレノイド部は、通電により磁力を発生する筒状のコイル部(20)と、前記軸方向に沿った側面部(12)と、前記軸方向と交差する方向に沿って形成された底部(14)とを有し、前記コイル部を収容する磁性体のヨーク(10)と、前記軸方向に摺動する柱状のプランジャ(30)と、ステータコア(40、40a)であって、前記軸方向において前記プランジャの先端面(32)と対向して配置されて前記コイル部が発生する磁力により前記プランジャを磁気吸引する筒状の磁気吸引コア(50)と、前記軸方向と直交する径方向において前記コイル部の内側に配置されて前記プランジャを収容する筒状のコア部(61)と、前記コア部の前記軸方向の端部であって前記底部と対向するコア端部(62)から前記径方向の外側に向かって形成され、前記ヨークと前記コア部との間における磁束の受け渡しを行う磁束受渡部(65)と、を有する摺動コア(60)と、前記摺動コアと前記磁気吸引コアとの間における磁束の通過を抑制する磁束通過抑制部(70)と、を有するステータコアと、前記軸方向において前記プランジャと前記スプールの間に配置され、前記径方向において前記磁気吸引コアの内側に配置され、前記ソレノイド部の推力を前記スプールに伝達するためのシャフト(90)と、を備え、前記ステータコアの前記バルブ部側の端面であるステータコア端面(41、41a)から前記ヨークの前記底部までの前記軸方向における長さ(L1)は、前記シャフト及び前記プランジャの前記軸方向における合計長さ(L2)以上であり、前記シャフト及び前記プランジャが前記底部側へ移動したとき、前記ステータコア端面と前記スプールの前記ソレノイド部側の端面であるスプール端面(221、221a)とが当接することで前記ソレノイド部側への前記スプールの移動が規制され、前記ステータコア端面と前記スプール端面の少なくとも一方には、前記ステータコア端面と前記スプール端面とが当接したときに、前記ステータコアと前記スプールと前記シャフトとで形成される空間(S)と、前記ソレノイド部側の前記スプールの端部(223)が収容される収容部(218)と、を連通する溝部(45a〜45d、225a〜225d)が形成されており、前記収容部には、前記収容部の内部と外部とを連通する連通孔(219)が形成されている。
この形態のソレノイドバルブによれば、ステータコア端面からヨークの底部までの軸方向における長さは、シャフト及びプランジャの軸方向における合計長さ以上であり、シャフト及びプランジャがヨークの底部側へ移動したとき、ステータコア端面とスプール端面とが当接することでソレノイド部側へのスプールの移動が規制される。そのため、ソレノイドバルブの供給排出能力は、ステータコアとスプールの2部品の寸法に影響される。したがって、この形態のソレノイドバルブでは、例えば、ステータコア端面からヨークの底部までの軸方向における長さが、シャフト及びプランジャの軸方向における合計長さよりも短く、ソレノイド部側へのスプールの移動が規制されたときのソレノイドバルブの供給排出能力が、シャフトとプランジャとスプールの3部品の影響を受ける構成と比較して、流体の供給排出能力のロバスト性を向上させることができる。
本開示は、種々の形態で実現することも可能である。例えば、ソレノイドバルブの製造方法等の形態で実現することができる。
A.第1実施形態:
図1に示す第1実施形態のソレノイドバルブ300は、リニアソレノイドバルブであり、図示しない車両用自動変速機に供給する作動油の油圧を制御するために用いられ、図示しないトランスミッションケースの外側面に設けられたバルブボディに搭載されている。図1では、中心軸AXに沿ってソレノイドバルブ300を切断した断面を模式的に示している。ソレノイドバルブ300は、中心軸AXに沿って互いに並んで配置されたソレノイド部100とバルブ部200とを備える。なお、図1及び以降の図では、非通電状態のソレノイドバルブ300を示している。図1に示す、軸方向ADは、中心軸AXと平行な方向である。本実施形態のソレノイドバルブ300は、ノーマリクローズタイプであるが、ノーマリオープンタイプであってもよい。
図1に示す第1実施形態のソレノイドバルブ300は、リニアソレノイドバルブであり、図示しない車両用自動変速機に供給する作動油の油圧を制御するために用いられ、図示しないトランスミッションケースの外側面に設けられたバルブボディに搭載されている。図1では、中心軸AXに沿ってソレノイドバルブ300を切断した断面を模式的に示している。ソレノイドバルブ300は、中心軸AXに沿って互いに並んで配置されたソレノイド部100とバルブ部200とを備える。なお、図1及び以降の図では、非通電状態のソレノイドバルブ300を示している。図1に示す、軸方向ADは、中心軸AXと平行な方向である。本実施形態のソレノイドバルブ300は、ノーマリクローズタイプであるが、ノーマリオープンタイプであってもよい。
図1に示すバルブ部200は、筒状のスリーブ210と、スプール220と、バネ230と、バネ荷重調整部240とを備える。バルブ部200はスプール弁とも呼ばれる。
スリーブ210は、略円筒状の外観形状を有する。スリーブ210には、中心軸AXに沿って貫通する挿入孔212と、挿入孔212と連通して軸方向ADに交差する方向に開口し、流体が流通する複数のポート214とが形成されている。本実施形態では、ポート214は、軸方向ADに直交する方向である、径方向に開口している。挿入孔212には、スプール220が挿入されている。挿入孔212のソレノイド部100側の端部は、拡径して形成され、収容部218として機能する。収容部218には、ソレノイド部100側へのスプール220の移動が規制されたときにスプール220の端部223が位置し、かつ、後述する弾性部材420が収容される。収容部218には、収容部218の内部と外部とを連通する連通孔219が形成されている。複数のポート214は、軸方向ADに沿って互いに並んで形成されている。複数のポート214は、例えば、図示しないオイルポンプと連通して油圧の供給を受ける入力ポート、図示しないクラッチピストン等と連通して油圧を供給する出力ポート、出力される油圧に応じてスプール220に負荷荷重を付与するフィードバックポート、作動油を排出するドレインポート等として機能する。スリーブ210の軸方向ADにおけるソレノイド部100側の端部の外周面211は、後述するベース部80の内側に締結されている。
スプール220は、軸方向ADに沿って複数の大径部222と小径部224とが並んで配置された略棒状の外観形状を有する。スプール220は、挿入孔212の内部において軸方向ADに沿って摺動し、大径部222と小径部224との軸方向ADに沿った位置に応じて、複数のポート214の開口面積を調整する。スプール220のソレノイド部100側の端部223には、ソレノイド部100の推力をスプール220に伝達するためのシャフト90が配置されている。スプール220の他端には、バネ230が配置されている。バネ230は、圧縮コイルスプリングにより構成され、スプール220を軸方向ADに押圧してソレノイド部100側へと付勢している。バネ荷重調整部240は、バネ230と当接して配置され、スリーブ210に対するねじ込み量が調整されることにより、バネ230のバネ荷重を調整する。
図1及び図2に示すソレノイド部100は、図示しない電子制御装置によって通電制御されて、バルブ部200を駆動する。ソレノイド部100は、ヨーク10と、コイル部20と、プランジャ30と、シャフト90と、ステータコア40と、ベース部80と、を備える。
ヨーク10は、磁性体の金属により形成され、ソレノイド部100の外郭を構成している。ヨーク10は、有底筒状の外観形状を有し、コイル部20とプランジャ30とステータコア40とを収容する。ヨーク10は、側面部12と、底部14と、薄肉部17と、開口部18と、を有する。
側面部12は、軸方向ADに沿った略円筒状の外観形状を有し、コイル部20の径方向外側に配置されている。薄肉部17は、側面部12におけるバルブ部200側の端部に接続され、側面部12よりも厚みが小さい部位である。薄肉部17は、ヨーク10の開口部18を構成する。薄肉部17は、ベース部80に当接し、かつ、ベース部80にかしめ固定されている。
底部14は、側面部12のバルブ部200側とは反対側の端部に連なって軸方向ADと垂直に形成され、側面部12の端部を閉塞している。なお、底部14は、軸方向ADと垂直に限らず、略垂直に形成されてもよく、後述する磁束受渡部65の形状に応じて軸方向ADと交差して形成されてもよい。底部14は、後述するプランジャ30の基端面34と対向している。
コイル部20は、筒状を呈し、ヨーク10の側面部12の径方向内側に配置されている。コイル部20は、コイル21とボビン22とを有する。コイル21は、絶縁被覆が施された導線により形成されている。ボビン22は、樹脂により形成され、コイル21が巻回されている。ボビン22は、ヨーク10の外周部に配置されたコネクタ26と連結されている。コネクタ26の内部には、コイル21の端部が接続された接続端子24が配置されている。コネクタ26は、図示しない接続線を介してソレノイド部100と電子制御装置との電気的な接続を行う。コイル部20は、通電されることにより磁力を発生し、ヨーク10の側面部12と、ヨーク10の底部14と、ステータコア40と、プランジャ30と、ベース部80とを通るループ状の磁束の流れ(以下、「磁気回路C1」とも呼ぶ)を形成させる。図1及び図2に示す状態では、コイル部20への通電が実行されず磁気回路が形成されていないが、説明の便宜上、コイル部20への通電が実行された場合に形成される磁気回路C1の一部を、図2において太線の矢印で模式的に示している。
プランジャ30は、略円柱状の外観形状を有し、磁性体の金属により構成されている。プランジャ30は、後述するステータコア40のコア部61の内周面を軸方向ADに摺動する。プランジャ30のバルブ部200側の端面(以下、「先端面32」とも呼ぶ)には、後述するシャフト90の端面が接している。図2に示すように、プランジャ30の先端面32とは反対側の端面(以下、「基端面34」とも呼ぶ)は、ヨーク10の底部14と対向している。プランジャ30には、軸方向ADに貫通する、図示しない呼吸孔が形成されている。呼吸孔は、例えば、作動油や空気等の、プランジャ30の基端面34側及び先端面32側に位置する流体を流通させる。
ステータコア40は、磁性体の金属により構成され、コイル部20とプランジャ30との間に配置されている。ステータコア40は、磁気吸引コア50と、摺動コア60と、磁束通過抑制部70とが一体化された部材により構成されている。
磁気吸引コア50は、内側にシャフトが摺動する孔部56が形成されて、シャフト90を周方向に取り囲んで配置されている。磁気吸引コア50は、ステータコア40のうちバルブ部200側の部分を構成し、コイル部20が発生する磁力によりプランジャ30を磁気吸引する。磁気吸引コア50のうちプランジャ30の先端面32と対向する面には、ストッパ55が配置されている。ストッパ55は、非磁性体により構成され、プランジャ30と磁気吸引コア50とが直接当接することを抑制し、磁気吸引により磁気吸引コア50からプランジャ30が離れなくなることを抑制する。本実施形態において、磁気吸引コア50の軸方向ADにおけるバルブ部200側の端部の外周面52には、ベース部80が嵌合されている。
摺動コア60は、ステータコア40のうち底部14側の部分を構成し、プランジャ30の径方向外側に配置されている。摺動コア60は、コア部61と、磁束受渡部65とを有する。
コア部61は、略円筒状の外観形状を有し、径方向においてコイル部20とプランジャ30との間に配置されている。コア部61は、プランジャ30の軸方向ADに沿った移動をガイドする。これにより、プランジャ30は、コア部61の内周面を直接摺動する。コア部61とプランジャ30との間には、プランジャ30の摺動性を確保するための図示しない摺動ギャップが存在している。摺動コア60の端部であって磁気吸引コア50側とは反対側の端部(以下、「コア端部62」とも呼ぶ)は、底部14と対向して当接している。
磁束受渡部65は、コア端部62の全周に亘って、コア端部62から径方向外側に向かって形成されている。このため、磁束受渡部65は、軸方向ADにおいて、ボビン22とヨーク10の底部14との間に位置している。磁束受渡部65は、コア部61を介してヨーク10とプランジャ30との間における磁束の受け渡しを行う。より具体的には、本実施形態の磁束受渡部65は、ヨーク10の底部14とプランジャ30との間における磁束の受け渡しを行う。なお、磁束受渡部65は、ヨーク10の側面部12とプランジャ30との間における磁束の受け渡しを行ってもよい。本実施形態の磁束受渡部65は、コア部61と一体に成形されている。なお、磁束受渡部65とコア部61とは、互いに別体として形成された後に一体化されてもよい。例えば、リング状に形成された磁束受渡部65の貫通孔に、コア部61が圧入されてもよく、コア部61が挿入された後に溶接等により固定されてもよい。
磁束通過抑制部70は、軸方向ADにおいて、磁気吸引コア50とコア部61との間に形成されている。磁束通過抑制部70は、コア部61と磁気吸引コア50との間で直接的に磁束が流れることを抑制する。本実施形態の磁束通過抑制部70は、ステータコア40の径方向の厚みが薄肉に形成されることにより、磁気吸引コア50及びコア部61よりも磁気抵抗が大きくなるように構成されている。
ベース部80は、スリーブ210の外周面211に締結され、磁気吸引コア50の外周面52の径方向の外側に配置され、ヨーク10の内側においてヨーク10と当接する、略筒状の磁性体部材である。ベース部80は、第1内径部81と、第1内径部81よりも内径の小さい第2内径部82と、第1内径部81と第2内径部82とを接続し径方向に略平行な接続面83とを備える。接続面83には、スリーブ210の軸方向ADにおけるバルブ部200側の端面が当接している。本実施形態において、ベース部80は、第1内径部81において外周面211に圧入されて締結され、第2内径部82において外周面52に嵌合されている。また、ベース部80は、径方向外側かつ軸方向ADにおけるソレノイド部100側において、軸方向ADにヨーク10の側面部12と当接している。ベース部80は、ステータコア40の磁気吸引コア50とヨーク10の側面部12との間における磁束の受け渡しを行う。
弾性部材420は、バルブ部200のスリーブ210に形成された収容部218に収容され、ステータコア40を底部14側へと付勢する。弾性部材420は、磁気吸引コア50におけるバルブ部200側の外周端面216と当接して配置されている(図2参照)。本実施形態において、弾性部材420は、略円筒状の外観形状を有する圧縮コイルバネにより構成されている。弾性部材420の径方向内側には、スプール220が挿入されている。弾性部材420により、ステータコア40がヨーク10の底部14側へと軸方向ADに付勢されるので、磁束受渡部65が底部14へと圧接され、ヨーク10の底部14から磁束受渡部65へと伝達される磁束の損失が抑制される。
本実施形態において、ヨーク10と、プランジャ30と、ステータコア40と、ベース部80とは、それぞれ鉄により構成されている。なお、鉄に限らず、ニッケルやコバルト等、任意の磁性体により構成されてもよい。また、本実施形態において、プランジャ30の外周面には、めっき処理が施されている。かかるめっき処理により、プランジャ30の剛性を高めることができ、また、摺動性の悪化を抑制できる。また、本実施形態において、ヨーク10はプレス成形により形成され、ステータコア40は鍛造により形成されているが、それぞれ任意の成形方法により形成されてもよい。例えば、ヨーク10は、側面部12と底部14とが互いに別体に形成された後に、かしめ固定や圧入固定等により一体化されてもよい。また、本実施形態において、スリーブ210の主材料はアルミニウム(Al)である。スリーブ210の主材料はアルミニウム(Al)以外の任意の材料により構成されていてもよい。
図1及び図2に示す状態とは異なり、コイル21への通電が行われると、ソレノイド部100の内部に磁気回路C1が形成される。プランジャ30は、磁気回路C1の形成によって磁気吸引コア50側へと引き寄せられて、コア部61の内周面を軸方向ADに摺動する。コイル部20に流される電流が大きいほど、磁気回路C1の磁束密度が増加し、プランジャ30の移動量(ストローク量)が増加する。
プランジャ30の先端面32に当接するシャフト90は、プランジャ30が磁気吸引コア50側へと移動すると、図1に示すスプール220をバネ230側へと押圧する。これにより、ポート214の開口面積が調整され、コイル21に流される電流値に比例した油圧が出力される。
図2には、軸方向ADにおけるステータコア端面41からヨーク10の底部14までの長さL1と、シャフト90及びプランジャ30の軸方向ADにおける合計長さL2と、が示されている。ステータコア端面41は、ステータコア40のバルブ部200側の端面である。図2に示されるように、ソレノイドバルブ300において合計長さL1は長さL2よりも短く、非通電時には、シャフト90及びプランジャ30は、ステータコア端面41からヨーク10の底部14の間に位置する。ソレノイドバルブ300では、シャフト90及びプランジャ30がヨーク10の底部14側へ移動したとき、ステータコア端面41とスプール220のソレノイド部100側の端面であるスプール端面221と、が当接することで、スプール220のソレノイド部100側への移動が規制される。
図3は、ソレノイドバルブ300におけるステータコア端面41とスプール端面221とが当接する部分を拡大した断面図である。ステータコア端面41には、4つの溝部45a〜45dが形成されている。図4はステータコア40をバルブ部200側から見た図であり、図5はステータコア40の一部断面図である。図4及び図5では、ステータコア40以外の構成は示されていない。溝部45a〜溝部45dは、径方向に向かって延びている。ステータコア端面41の形状は、中心軸AXを通り径方向に沿った直線M(図4参照)について対称である。ソレノイドバルブ300の搭載環境において、溝部45aは鉛直上方に配置され、溝部45bは鉛直下方に配置され、溝部45c及び溝部45dは、鉛直方向に交差する方向に配置される。溝部45a〜45dは、ステータコア端面41とスプール端面221とが当接したときに、ステータコア40とスプール220とシャフト90とで形成される空間S(図3参照)と、収容部218の内部とを連通する。収容部218には、上述したように収容部218の内部と外部を連通する連通孔219が形成されているので、上記の空間Sとソレノイドバルブ300の外部とはステータコア端面41とスプール端面221とが当接した状態においても連通している。
例えば、ステータコア端面41からヨーク10の底部14までの軸方向ADにおける長さL1が、シャフト90及びプランジャ30の軸方向ADにおける合計長さL2よりも短い構成では、ソレノイド部100側へのスプール220の移動が規制されたときのソレノイドバルブにおける流体の供給排出能力は、シャフト90とプランジャ30とスプール220の3部品の影響を受けるため、3部品の公差内寸法により異なる場合がある。この形態のソレノイドバルブ300によれば、ステータコア端面41からヨーク10の底部14までの軸方向ADにおける長さL1は、シャフト90及びプランジャ30の軸方向ADにおける合計長さL2以上であり、シャフト90及びプランジャ30がヨーク10の底部14側へ移動したとき、ステータコア端面41とスプール端面221とが当接することでソレノイド部100側へのスプール220の移動が規制される。そのため、ソレノイドバルブ300における流体の供給排出能力は、ステータコア40とスプール220の2部品の寸法に影響される。したがって、この形態のソレノイドバルブ300では、ステータコア端面41からヨーク10の底部14までの軸方向ADにおける長さL1が、シャフト90及びプランジャ30の軸方向ADにおける合計長さL2よりも短い上記構成と比較して、ソレノイドバルブ300における流体の供給排出能力のロバスト性を向上させることができる。
この形態によれば、ステータコア端面41には、ステータコア端面41とスプール端面221が当接した場合に、ステータコア40とスプール220とシャフト90で形成される空間Sと、スリーブ210の端部223が収容される収容部218とを連通する溝部45a〜45dが形成されており、収容部218内は連通孔219により外部と連通する。そのため、上記空間Sは、ステータコア端面41とスプール端面221が当接した場合にも密閉されないので、スプール220のバルブ部200側への移動開始時に、上記空間S内の気圧が低下してスプール220の移動が妨げられることを抑制できる。また、スプール220がバルブ部200側へ移動する際にも、空間Sは密閉されないので、空間S内の空気が圧縮されてスプール220の移動が妨げられることを抑制できる。したがって、スプール220の軸方向ADにおける移動を安定化させることができる。
更に、この形態によれば、ソレノイド部100において、摺動コア60が、プランジャ30に対して径方向外側に配置された筒状のコア部61と、コア部61のコア端部62から径方向外側に向かって形成されて磁束の受け渡しを行う磁束受渡部65とを有するので、コア部61と磁束受渡部65との間に、径方向の隙間がほぼ存在しない。このため、コア部61と磁束受渡部65とが偏心することを抑制できるので、かかる偏心に起因してコア部61を介して磁束受渡部65からプランジャ30へと伝達される磁束の分布に径方向の偏りが発生することを抑制できる。したがって、磁束の分布の偏りによるサイドフォースの増大を抑制できる。
B.第2実施形態:
第1実施形態のソレノイドバルブ300では、ステータコア端面41に溝部45a〜45dが形成されていた。これに対し、図6に示す第2実施形態のソレノイドバルブ300aでは、バルブ部200aのスプール220aのソレノイド部100側の端面であるスプール端面221aに、溝部225a〜225dが形成されている点において、第1実施形態と異なる。本実施形態では、ステータコア40aのステータコア端面41aには、溝部が形成されていない。
第1実施形態のソレノイドバルブ300では、ステータコア端面41に溝部45a〜45dが形成されていた。これに対し、図6に示す第2実施形態のソレノイドバルブ300aでは、バルブ部200aのスプール220aのソレノイド部100側の端面であるスプール端面221aに、溝部225a〜225dが形成されている点において、第1実施形態と異なる。本実施形態では、ステータコア40aのステータコア端面41aには、溝部が形成されていない。
図6は第1実施形態の図3に対応しており、ソレノイドバルブ300aにおけるステータコア端面41aとスプール端面221aとが当接する部分を拡大した断面図である。図7はスプール端面221aをソレノイド部100a側から見た図であり、図8は、スプール220aのソレノイド部100a側の一部断面図である。スプール端面221aには、4つの溝部225a〜225dが形成されている。本実施形態では、ソレノイドバルブ300aの搭載環境において、溝部225aは鉛直上方に配置され、溝部225bは鉛直下方に配置される。溝部225bは、221aのうち連通孔219に最も近い位置に配置される。溝部225c及び溝部225dは、鉛直方向に交差する方向に配置される。溝部225a〜225dは、ステータコア端面41aとスプール端面221aとが当接したときに、ステータコア40aとスプール220aとシャフト90とで形成される空間Sと、収容部218の内部とを連通する。上記の空間Sとソレノイドバルブ300aの外部とはステータコア端面41aとスプール端面221aとが当接した状態においても連通している。その他の構成は第1実施形態のソレノイドバルブ300と同じであるので、同一の構成には同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。第2実施形態のソレノイドバルブ300aにおいても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
C.他の実施形態:
(1)上記第1実施形態と第2実施形態とは組みあわせられてもよく、ステータコア端面41、41aとスプール端面221、221aとの双方に、溝部45a〜45d、225a〜225dが形成されていてもよい。この形態によっても、上述の実施形態と同様の効果を奏する。
(1)上記第1実施形態と第2実施形態とは組みあわせられてもよく、ステータコア端面41、41aとスプール端面221、221aとの双方に、溝部45a〜45d、225a〜225dが形成されていてもよい。この形態によっても、上述の実施形態と同様の効果を奏する。
(2)上記第1実施形態におけるステータコア端面41における溝部の数、及び、第2実施形態におけるスプール端面221aにおける溝部の数は、それぞれ、1つ以上であればよい。また、ステータコア端面41における溝部の形成位置、及び、スプール端面221aにおける溝部の形成位置は、上記の空間Sと収容部218との連通が可能であれば、上記実施形態に限られない。
(3)上記各実施形態のソレノイド部100、100aの構成は、一例であり、種々変更可能である。例えば、摺動コア60のコア部61と磁束受渡部65とは、互いに別体に形成される態様であってもよい。かかる態様においては、環状に形成された磁束受渡部65の内孔にコア部61が圧入されていてもよい。また、例えば、弾性部材420は、圧縮コイルバネに限らず、皿バネや板バネ等の任意の弾性部材により構成されていてもよく、収容部218に代えて軸方向ADにおいてコイル部20と磁束受渡部65との間に配置されて磁束受渡部65を付勢していてもよい。このような構成によっても、上記各実施形態と同様な効果を奏する。
(4)上記各実施形態のソレノイドバルブ300、300aでは、ベース部80を省略し、スプール220、220aのソレノイド部100、100a側の端部に径方向に突出する鍔部を設け、当該鍔部とヨーク10の薄肉部17とを固定するようにしてもよい。
(5)上記各実施形態のソレノイドバルブ300、300aは、車両用自動変速機に供給する作動油の油圧を制御するためのリニアソレノイドバルブに適用されていたが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、トランスミッションケースの外側面に設けられたバルブボディに搭載されることに限らず、流体の制御を必要とする任意の装置に搭載されてもよい。
本開示は、上述の各実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した形態中の技術的特徴に対応する各実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…ヨーク、12…側面部、14…底部、20…コイル部、30…プランジャ、32…先端面、40、40a…ステータコア、41、41a…ステータコア端面、45a、45b、45c、45d、225a、225b、225c、225d…溝部、50…磁気吸引コア、60…摺動コア、61…コア部、62…コア端部、65…磁束受渡部、70…磁束通過抑制部、90…シャフト、100、100a…ソレノイド部、200、200a…バルブ部、210…スリーブ、214…ポート、218…収容部、219…連通孔、220、220a…スプール、221、221a…スプール端面、223…端部、300、300a…ソレノイドバルブ、AD…軸方向
Claims (3)
- バルブ部(200、200a)とソレノイド部(100、100a)とを備えるソレノイドバルブ(300、300a)であって、
前記バルブ部は、
軸方向(AD)に沿って延び、前記軸方向と交差する方向に開口するポート(214)を備える筒状のスリーブ(210)と、
前記スリーブに挿入されて前記軸方向に摺動し、前記軸方向における位置により前記ポートの開口面積を調整するスプール(220、220a)と、を備え、
前記ソレノイド部は、
通電により磁力を発生する筒状のコイル部(20)と、
前記軸方向に沿った側面部(12)と、前記軸方向と交差する方向に沿って形成された底部(14)とを有し、前記コイル部を収容する磁性体のヨーク(10)と、
前記軸方向に摺動する柱状のプランジャ(30)と、
ステータコア(40、40a)であって、
前記軸方向において前記プランジャの先端面(32)と対向して配置されて前記コイル部が発生する磁力により前記プランジャを磁気吸引する筒状の磁気吸引コア(50)と、
前記軸方向と直交する径方向において前記コイル部の内側に配置されて前記プランジャを収容する筒状のコア部(61)と、前記コア部の前記軸方向の端部であって前記底部と対向するコア端部(62)から前記径方向の外側に向かって形成され、前記ヨークと前記コア部との間における磁束の受け渡しを行う磁束受渡部(65)と、を有する摺動コア(60)と、
前記摺動コアと前記磁気吸引コアとの間における磁束の通過を抑制する磁束通過抑制部(70)と、
を有するステータコアと、
前記軸方向において前記プランジャと前記スプールの間に配置され、前記径方向において前記磁気吸引コアの内側に配置され、前記ソレノイド部の推力を前記スプールに伝達するためのシャフト(90)と、を備え、
前記ステータコアの前記バルブ部側の端面であるステータコア端面(41、41a)から前記ヨークの前記底部までの前記軸方向における長さ(L1)は、前記シャフト及び前記プランジャの前記軸方向における合計長さ(L2)以上であり、
前記シャフト及び前記プランジャが前記底部側へ移動したとき、前記ステータコア端面と前記スプールの前記ソレノイド部側の端面であるスプール端面(221、221a)とが当接することで前記ソレノイド部側への前記スプールの移動が規制され、
前記ステータコア端面と前記スプール端面の少なくとも一方には、前記ステータコア端面と前記スプール端面とが当接したときに、前記ステータコアと前記スプールと前記シャフトとで形成される空間(S)と、前記ソレノイド部側の前記スプールの端部(223)が収容される収容部(218)と、を連通する溝部(45a〜45d、225a〜225d)が形成されており、
前記収容部には、前記収容部の内部と外部とを連通する連通孔(219)が形成されている、
ソレノイドバルブ。 - 請求項1に記載のソレノイドバルブであって、
前記溝部は、前記ステータコア端面に形成されている、ソレノイドバルブ。 - 請求項1に記載のソレノイドバルブであって、
前記溝部は、前記スプール端面に形成されている、ソレノイドバルブ。
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