以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本実施形態の説明では、沈砂池から砂が混入した汚水が移送される固液分離装置に本発明の駆動方法を適用した例を用いる。なお、沈砂池は、下水処理施設の上流側に配置され、下水または雨水などの汚水から砂を取り除くためのものである。沈砂池において砂が取り除かれた汚水は、下流にある沈殿池などに送られる。
図1は、本発明の一実施形態に相当する固液分離装置を示す概略構成図である。この図1には沈砂池9も示されている。
図1に示すように、本実施形態の沈砂池9は、ポンプ井91と、トラフ92と、集砂ノズル93と、集砂ピット94とを備えた池である。この沈砂池9には、図の右側から汚水が流れ込んでくる。流れ込んだ汚水は図の左側に向かってゆっくりと流れていく。沈砂池9では、汚水が流れていく間に、汚水に含まれている砂が池底に向かって沈降していく。ポンプ井91は、沈砂池9の最も下流側に配置されている。ポンプ井91は、砂が取り除かれた汚水が貯留されるものである。ポンプ井91の内部には、揚水ポンプ911が設けられている。この揚水ポンプ911は、ポンプ井91に貯留された汚水を沈砂池9の外部に排出するものである。揚水ポンプ911には揚水管912が接続されている。揚水ポンプ911によって吸引された汚水は、この揚水管912を通して不図示の沈殿池に送られる。なお、図1には汚水の池水面WL1も示されている。この池水面WL1の位置は、沈砂池9へ流れ込む汚水の量によって、トラフ92の底からの高さが例えば1m以上5m以下の範囲で変化する。
トラフ92は、ポンプ井91よりも上流の池底であって池幅方向の中央に形成されている。このトラフ92は、沈砂池9における汚水の流れ方向に沿って延在している。トラフ92の池幅方向両側の池底には、トラフ92に向かうに従って下方に位置するように傾斜した池底傾斜面95が形成されている。沈砂池9に流れ込んだ汚水に含まれる砂は、池底に向かって沈降し、池底傾斜面95を滑り落ちて或いは直接トラフ92内に堆積する。
集砂ノズル93は、トラフ92の上流端に配置されている。集砂ノズル93には、沈殿池から汲み上げられた汚水が供給される。集砂ノズル93に供給された汚水は集砂ノズル93の先端から沈砂池9の下流側に向かって吐出される。トラフ92の下流端は集砂ピット94に接続されている。トラフ92内に堆積した砂は、集砂ノズル93から吐出される水の流れによって集砂ピット94に集められる。集砂ピット94は、ポンプ井91とトラフ92の間に形成されている。集砂ピット94に集められた砂は、汚水とともに固液分離装置1移送されて、固体(砂)と液体(汚水)とに分離される。
集砂ピット94の内部であって、集砂ピット94の底近傍には、揚砂ポンプ941が配置されている。この揚砂ポンプ941は、混入液移送ポンプの一例に相当する。この揚砂ポンプ941には、揚砂管942が接続されている。揚砂ポンプ941は、集砂ピット94の内部に集められた砂を汚水とともに吸引し、砂が混入した汚水を揚砂管942を通して固液分離装置1に移送する。揚砂ポンプ941によって固液分離装置1に移送される砂と汚水の割合は、集砂ピット94の内部に集められた砂の量等によって変動するが、砂5%程度に対して汚水95%程度である。この揚砂ポンプ941によって移送された、汚水に砂が混入した砂混入水が混入液の一例に相当する。また、砂混入水中の砂が固体の一例に相当し、砂混入水中の汚水が液体の一例に相当する。
固液分離装置1は、貯留槽4と、ベルトゲート5と、送液管6と、オーバーフロー管7とを備えている。貯留槽4とベルトゲート5は、地上であって沈砂池9の近傍に配置されている。ベルトゲート5は、貯留槽4の下端に配置されている。このベルトゲート5は、排出手段の一例に相当する。貯留槽4およびベルトゲート5は、トラックTの高さよりも高い位置にフレーム45によって保持されている。
貯留槽4は、移送された砂混入水中の汚水を砂と分離して送液管6およびオーバーフロー管7から送り出す。貯留槽4において砂と分離された汚水は、送液管6およびオーバーフロー管7を通して沈砂池9に戻される。送液管6は、水平に延びた管で構成された水平部分61と、水平部分から屈曲して下方に延びた管で構成された垂直部分62と、貯留槽4内に挿入されて水平部分から下方に向かって屈曲した管で構成された一端部分63(図2参照)を有している。この送液管6は、送液機構の一例に相当する。垂直部分62は、送液管6の他端側に設けられ、その下端には貯留槽4において砂と分離された汚水が流出する流出口621が形成されている。この流出口621は、貯留槽4の外部であって貯留槽4よりも下方に配置されている。また、この流出口621は、池水面WL1に対向しており、送液管6を通して貯留槽4から送り出された汚水を沈砂池9内に向かって放出する。なお、送液管6の他端側を沈砂池9の池水面WL1よりも下方まで延在させて、流出口621が水中に没するようにしてもよい。また、貯留槽4と沈砂池9との間に中間槽を設置し、その中間槽に流出口621から流出する汚水を貯留してもよい。中間槽を設けることで、汚水の状態を中間槽に溜まった汚水により確認することができる。また、汚水とともに多少の砂が送液管6を通して送り出されてしまった場合でも、その砂を中間槽に沈降させて中間槽の上澄み液を沈砂池9に戻すことで、砂が沈砂池9に戻されてしまうことをより抑制できる。
図2は、図1に示した固液分離装置の主たる構成を示す正面図である。図2(a)では、貯留槽の下端がベルトゲートによって閉塞された状態が示されており、図2(b)では、貯留槽の下端が開放された状態が示されている。
図2に示す貯留槽4は、垂直方向に立ち上がった4枚の側壁41によって構成された平面視で略正方形の角筒をした槽である。貯留槽4の上端は開放されており、その開放部分から、揚砂管942の、揚砂ポンプ941が接続された側とは反対側の端部が差し込まれている。揚砂管942の、貯留槽4に差し込まれた部分の先端には供給口9421が形成されている。揚砂ポンプ941(図1参照)が吸引した砂混入水は、揚砂管942を通って供給口9421から貯留槽4の槽内に注ぎ込まれる。
送液管6の一端側は、貯留槽4の一側面を構成する側壁41を貫通している。送液管6の貫通部分は、側壁41に溶接されており、その貫通部分は水密状態になっている。送液管6のうち、貯留槽4の槽内に配置された部分が一端部分63になる。この一端部分63は、貯留槽4の下側部分において槽内に突出しており、その突出端には下方を向いた流入口631が形成されている。一端部分63の、流入口631よりも少し上方には、平面視で流入口631の周囲に広がった笠状の覆い部材632が固定されている。この覆い部材632は、貯留槽4の槽内に注ぎ込まれた砂混入水に含まれる砂が、貯留槽4の槽内に貯留された砂混入水中を沈降してくる間に流入口631に吸い込まれてしまうことを抑制するものである。なお、覆い部材632は、その周縁部分が流入口631よりも下方まで延びたものであってもよい。さらに、覆い部材632は、円盤状のものであってもよい。またさらに、覆い部材632は、流入口631と同じ高さ位置から流入口631の周囲に広がるものであってもよい。すなわち、覆い部材632は、流入口631よりも上方または流入口631の周囲に設けられていればよい。換言すれば、覆い部材632は、供給口9421と流入口631の間に配置されていればよい。なお、覆い部材632として水平方向に広がった円盤状のものを用いると、覆い部材632の上に砂が堆積してしまうので、笠状のものまたは傾斜して設置された円盤状のものを用いることが好ましい。
オーバーフロー管7の端部は、貯留槽4の上端より少し下の部分で側壁41を貫通して槽内に少し突出している。オーバーフロー管7の貫通部分は、側壁41に溶接されており、その貫通部分は水密状態になっている。オーバーフロー管7の突出端には、オーバーフロー口43が形成されている。このオーバーフロー口43は、貯留槽4に注ぎ込まれた砂混入水によって形成された槽水面WL2が貯留槽4の上端付近まで達したときに、貯留槽4の槽内から貯留槽4の外部に砂混入水の上澄み液(砂混入水中の汚水)を流出させるものである。この槽水面WL2は液面の一例に相当する。オーバーフロー口43から流出した上澄み液は、オーバーフロー管7を通して沈砂池9(図1参照)に戻される。このオーバーフロー口43を設けることで、貯留槽4の上端から砂混入水が溢れ出てしまうことを防止している。
貯留槽4の下端には開口4aが形成されている。図2(a)では、この開口4aは、ベルトゲート5によって閉塞されている。貯留槽4の開口4aは、図の左側から右側に向けて、3°上側に傾斜した姿勢で開口している。ベルトゲート5は、開口4aと同様に3°上側に傾斜した姿勢で、貯留槽4の下端部分に配置されている。ただし、開口4aおよびベルトゲート5は、水平に配置されていてもよい。開口4aがベルトゲート5によって閉塞された状態では、貯留槽4に貯留された砂混入水は、開口4aからの排出が阻止されている。以下、図2(a)に示す、開口4aがベルトゲート5によって閉塞された状態を、閉塞状態と称する。ベルトゲート5は、紙面と直交する方向に延在した複数のローラ51と、これら複数のローラ51に巻き掛けられたベルト52を有している。複数のローラ51のうち、図2(a)における左右両端に配置されたローラ51は駆動用であり、これら駆動用のローラ51を駆動することによって、ベルトゲート5は、閉塞状態の位置から、図2(a)の矢印で示すように右側に移動する。以下、ベルトゲート5が、閉塞状態の位置から移動する方向を開放方向と称する。なお、ベルトゲート5は公知であるため、詳細な説明は省略し、図面においてもベルトゲート5を簡略化して示し駆動装置やフレーム等は省略している。
砂混入水は、閉塞状態において貯留槽4に注ぎ込まれる。貯留槽4に注ぎ込まれた砂混入水に含まれる砂は、砂混入水中を沈降してベルトゲート5の上に堆積していく。すなわち、貯留槽4に貯留された砂混入水に含まれる砂は、貯留槽4の底部側に集められていく。図2(a)では、堆積した砂SAの一例を二点鎖線で囲まれたドットで示している。貯留槽4には、この堆積した砂SAの高さ位置を検出するセンサ42が固定されている。このセンサ42は、高さ位置検出手段の一例に相当する。センサ42は、接触式であってもよく、非接触式であってもよい。このセンサ42は、堆積した砂SAの高さ位置が流入口631よりも低い所定の高さ位置に達したときに出力を出すものである。ただし、堆積した砂SAの高さ位置(堆積した砂SAからセンサ42までの距離)を電流値または電圧値としてリニアに出力するものをセンサ42として用いてもよい。
図2(b)は、ベルトゲート5が、同図(a)に示す閉鎖状態の位置から開放方向に移動し、開口4aが全て開放された状態を示している。ベルトゲート5が開放方向に移動することで、ベルトゲート5の上に堆積した砂SAは若干の汚水とともに貯留槽4の開口4aから貯留槽4の外部に排出される。この若干の汚水とは、後述する送液工程が完了した後に残っている、堆積した砂SAの上面から流入口631の間に溜まっている汚水である。換言すれば、ベルトゲート5が開放方向に移動することで、砂の濃度が極めて高い砂混入水が貯留槽4の外部に排出されることになる。なお、図2(b)は、同図(a)で二点鎖線で囲まれたドットで示した堆積した砂SAが全て排出された様子を示している。以下、開口4aが全て開放されたベルトゲート5の状態を開放状態と称する。ベルトゲート5は、駆動用のローラ51の駆動によって図2(b)に示す開放状態から図2(b)の矢印で示すように左側に移動する。以下、ベルトゲート5が、開放状態の位置から移動する方向を閉塞方向と称する。すなわち、ベルトゲート5は、固液分離装置1を閉塞状態と開放状態の間で状態変化させるものであり、開放状態に変化させることで貯留槽4の底部側に堆積した砂SAを貯留槽4の外部に排出するものである。
次に図1乃至3を用いて固液分離装置1の動作について説明する。図3は、図1に示した固液分離装置の動作を示すフローチャートである。
沈砂池9および固液分離装置1の動作は、不図示の制御装置によって集中制御されている。なお、沈砂池9と固液分離装置1それぞれに制御装置を設け、互いに情報または指令を送受信可能な構成にしてもよい。図1に示した沈砂池9の底面に堆積した砂がある程度の量になった所定の時期に、沈砂池9は、集砂ノズル93から汚水を吐出させて砂を集砂ピット94に集める集砂動作を行う。その集砂動作の後、固液分離装置1は、固液分離動作を開始する。ここで所定の時期は、例えば月に一回など定期的でもよく、沈砂池9に流入した汚水の合計流量または沈砂池9から排出された汚水の合計流量が一定量になったときでもよい。なお、集砂ピット94に砂を集めている途中で固液分離動作を開始してもよい。
固液分離動作では、閉塞状態において、揚砂ポンプ941の駆動が開始される。この駆動開始により、貯留槽4における砂混入水の受け入れが開始される(ステップS11)。砂混入水の受け入れを開始したときに貯留槽4の槽内が空の状態であった場合、貯留槽4の槽水面WL2は徐々に上昇していく。また、貯留槽4の槽内に貯留された砂混入水に含まれる砂は、自重により貯留槽4の底部に向かって沈降し、ベルトゲート5の上に堆積していく。槽水面WL2が上昇して流入口631を超え、送液管6の水平部分61の下端に達すると、砂混入水の上澄み液である汚水が、送液管6によって沈砂池9に送り出され始める。槽水面WL2がさらに上昇し、水平部分61の上端まで達すると、送液管6の水平部分61、垂直部分62、および一端部分63の管内が全て汚水で満たされる。これらの管内が汚水で満たされると、サイフォンの原理により流入口631よりも低い流出口621から流れ出ようとする作用が汚水に生じる。このため、砂混入水中の汚水の位置エネルギーによって送液管6を通して貯留槽4の外部に送り出される汚水の量は増加する。なお、流入口631近傍には砂混入水を吸い込む力が生じるが、流入口631近傍に沈降してくる砂は、覆い部材632の上を滑り落ちて覆い部材632の縁から落下していくので流入口631から遠ざけられる。これにより、流入口631近傍に沈降してくる砂が、流入口631に吸い込まれて送液管6を通って貯留槽4の外部に送り出されてしまうことは抑制されている。本実施形態では、揚砂ポンプ941が吸い上げる砂混入水の量は、流入口631から送り出される汚水の量よりも多い。このため、流入口631から送り出される汚水の量が増加した後も槽水面WL2は上昇しつづける。そして、槽水面WL2がオーバーフロー口43に達した後は、砂混入水の上澄み液がオーバーフロー口43からも流出する。これにより、槽水面WL2の上昇は停止し、槽水面WL2はその位置で維持される。図2には、この時の槽水面WL2が示されている。槽水面WL2が上昇している間も、上昇が停止した後も、貯留槽4が受け入れた砂混入水に含まれる砂は、沈降して貯留槽4の底部側に集まっていく。
揚砂ポンプ941の駆動が開始された後、センサ42は、堆積した砂SAの高さ位置が流入口631よりも少し低い位置に達したか否かを常時検出している(ステップS12)。センサ42が検出する堆積した砂SAの高さ位置は、流入口631に向かう汚水の流れが最も強くなったときにその堆積した砂SAが流入口631に吸い込まれてしまわない限界の高さに設定されている。なお、センサ42の代わりに、堆積した砂SAの高さ位置が流入口631よりも少し低い位置に達するであろう時間を設定したタイマーを設け、揚砂ポンプ941の駆動を開始してからその時間が経過したことを検出してもよい。ただし、貯留槽4が受け入れた砂混入水に含まれる砂の濃度は一定ではなく、堆積した砂SAが流入口631よりも少し低い位置に達する時間も一定ではないので、堆積した砂SAの高さを正確に検出する意味で、タイマーよりもセンサ42を用いることが好ましい。
堆積した砂SAの高さ位置が流入口631よりも少し低い位置に達したことをセンサ42によって検出したら(ステップS12でYES)、揚砂ポンプ941の駆動を停止させる(ステップS13)。これにより、貯留槽4における砂混入水の受け入れが停止する。以上説明したステップS11からステップS12でYESになるまでが受入工程の一例に相当する。なお、センサ42が検出してすぐに揚砂ポンプ941の駆動を停止させてもよく、センサ42が検出してからしばらく経過してから揚砂ポンプ941の駆動を停止させてもよい。すなわち、センサ42が検出したことに基づいて揚砂ポンプ941の駆動を停止すればよい。揚砂ポンプ941の駆動を停止した後も、上述のサイフォンの原理による効果により、砂混入水には、送液管6を通って沈砂池9に流れ出ようとする作用が働いている。これにより、砂混入水の上澄み液が送液管6を通って沈砂池9に流れ出ていき、槽水面WL2は低下する。すなわち、貯留槽4に貯留された砂混入水中の汚水を、その汚水の位置エネルギーを利用して、送液管6を通して貯留槽4の外部に送ることで、槽水面WL2を低下させている。一方、槽水面WL2が低下している間にも、砂混入水に含まれる砂は、自重により徐々に沈降して貯留槽4の底部側に集まっていく。槽水面WL2が流入口631付近まで低下すると、流入口631から空気が送液管6内に入り込み、サイフォンの原理による効果が終了する。揚砂ポンプ941の駆動が停止してから第1所定時間経過するまでは、揚砂ポンプ941を停止した直後の状態が維持される(ステップS14)。この第1所定時間は、槽水面WL2がオーバーフロー口43付近から流入口631付近まで低下するのに十分な時間である。なお、第1所定時間が経過したか否か判断することに代えて、槽水面WL2が流入口631の高さよりも低い位置まで低下したことを検出する水位センサを貯留槽4に設け、その検出が発生したか否かを判断してもよい。以上説明したステップS13およびステップS14が液送工程の一例に相当する。なお、ステップS13およびステップS14において、揚砂ポンプ941の駆動を完全に停止しないで、槽水面WL2が低下する量であれば、貯留槽4に少量の砂混入水を供給していてもよい。
第1所定時間経過したら、槽水面WL2が流入口631付近まで低下している状態で、ベルトゲート5を開放方向に移動させて開放状態にする(ステップS15)。ベルトゲート5の移動によって、ベルトゲート5の上に堆積していた砂SAは、貯留槽4の外部に排出される。このステップS15が排出工程の一例に相当する。なお、貯留槽4を開放状態にする前に、図1に示したようにトラックTを貯留槽4の下に待機させておく。貯留槽4から排出された砂は、トラックTの荷台或いはその荷台に設けられた容器内に落下してトラックTによって運ばれる。貯留槽4内の砂が排出されたら、ベルトゲート5を閉塞方向に移動させて閉塞状態にし(ステップS16)、固液分離動作を終了する。
この固液分離装置1およびその駆動方法によれば、貯留槽4内の砂混入水における汚水の量が極めて少量になるまで貯留槽4の槽水面WL2を低下させてから砂を排出しているので、砂を水切りしながら排出する搬送装置に代えて、ベルトゲート5などのゲート装置を用いることができる。ベルトゲート5は、水切りしながら排出する搬送装置のように斜め上方に延在させる必要がないため、固液分離装置1の高さおよび幅を小さくして、固液分離装置1を小型化することができる。また、送液工程(ステップS13およびS14)において、砂混入水中の汚水を、その汚水の位置エネルギーを利用して、貯留槽4の外部に送っているので、ポンプなどの装置を固液分離装置1に設ける必要がない。これにより、固液分離装置1を安価に構成できる。また、センサ42によって堆積した砂SAの高さ位置を検出しているので、砂SAが流入口631とほぼ同じ高さ位置まで堆積して流入口631から堆積した砂SAが汚水とともに吸い込まれてしまうことを抑制しつつ、送液工程の後に貯留槽4に残る砂SAの量を最大化することができる。換言すれば、送液工程の後に貯留槽4に残る汚水の量を最小にして砂混入水における砂SAの濃度を高めることができる。また、この固液分離装置1およびその駆動方法によれば、揚砂ポンプ941の駆動中にサイフォンの原理により貯留槽4から沈砂池9に流れ出ようとする作用が汚水に生じるので、揚砂ポンプ941の動力を小さくすることができる。
続いて、本実施形態の固液分離装置およびその駆動方法の変形例について説明する。以降の説明では、これまで説明した構成要素の名称と同じ構成要素の名称には、これまで用いた符号と同じ符号を付すことがあり、重複する説明は省略することがある。
図4は、図1に示した固液分離装置の第1変形例を示す、図2(a)と同様の正面図である。
図4に示すように、この第1変形例の固液分離装置1は、覆い部材632が設けられておらず、代わりに電動弁64が設けられている点が図1に示した固液分離装置1と異なる。この第1変形例では、送液管6の垂直部分62の上下方向の中間部分に、電動弁64が設けられている。電動弁64は、送液管6によって貯留槽4の外部に送り出される汚水の流量を調整可能な流量調整弁である。この電動弁64は、流量調整部の一例に相当する。なお、電動弁64によって汚水を遮断して送液管6における流量をゼロにすることもできる。また、電動弁64は、送液管6における流入口631と流出口621の間に配置されていれば、垂直部分62の上下方向の中間部分以外の部分に配置されていても構わない。
次に、第1変形例の固液分離装置1の動作について主に図3および図4を用いて説明する。第1変形例の固液分離装置1では、受入工程(ステップS11からステップS12でYESになるまで)の間、電動弁64によって、汚水を遮断するか、極わずかな流量の汚水のみ送液管6を通過可能にしておく。そして、受入工程では、主にオーバーフロー管7を用いて貯留槽4から汚水を流出させる。覆い部材632を設けていないので、受入工程中に貯留槽4の槽内を沈降してくる砂は流入口631に近づくこともあるが、流入口631に流入する汚水の流れが存在しないか、極わずかな流れであるため砂が流入口631から送り出されてしまうことは抑制される。そして、ステップS13で揚砂ポンプ941(図1参照)の駆動を停止させると同時に電動弁64を開放し、ステップS14以降を実施する。すなわち、汚水を流入口631から流出させて槽水面WL2を低下させる送液工程を実行し、その後、ベルトゲート5を開放方向に移動させて堆積していた砂SAを貯留槽4の外部に排出する排出工程を実行し、ベルトゲート5を閉塞方向に移動して閉塞状態にする。なお、揚砂ポンプ941の駆動を停止させた後、全ての砂の沈降が完了するまで数分程度待機してから電動弁64を開放し、その後にステップS14以降を実行してもよい。固液分離動作に必要な時間は長くなるものの、数分程度してから電動弁64を開放することで、沈降中の砂が流入口631から吸い込まれてしまうことを抑制することができる。
この第1変形例の固液分離装置1の送液工程において、電動弁64によって調整された流量で砂混入水中の汚水を貯留槽4の外部に送ってもよい。すなわち、ステップS13で電動弁64を開放する際、電動弁64の開放量を調整することで、送液工程において貯留槽4の外部に送り出される汚水の流量を少なめに調整してもよい。こうすることで、送液管6が汚水を吸い込む力が弱まるので、流入口631にかなり近づくまで砂SAを堆積させても、その砂SAが汚水とともに流入口631から吸い込まれて貯留槽4の外部に送り出されてしまうことが抑制される。従って、送液工程の後に貯留槽4に残る汚水の量を最小にして砂混入水における砂SAの濃度を高めることができる。なお、電動弁64の代わりに、手動で流量を調整可能な弁を設けてもよく、通過可能な流量が定まった定流量弁を用いてもよい。その場合、これらの弁が流量調整部の一例に相当する。
図5は、図1に示した固液分離装置の第2変形例を示す、図2(a)と同様の正面図である。
図5に示すように、この第2変形例の固液分離装置1は、覆い部材632が設けられておらず、代わりに小型ポンプ633が設けられている点が図1に示した固液分離装置1と異なる。この第2変形例では、送液管6の一端部分63の先端側に、小型ポンプ633がが設けられている。この第2変形例では、小型ポンプ633の吸込口が流入口631になる。この小型ポンプ633は流入口631から吸い込む汚水の量をインバータモータの回転数を変化させることで調整可能なポンプである。ただし、吸い込む汚水の量を調整することができない小型ポンプを用いてもよく、その小型ポンプとともに第1変形例と同様の流量調整弁を設置してもよい。
次に、第2変形例の固液分離装置1の動作について主に図3および図5を用いて説明する。第2変形例の固液分離装置1では、受入工程(ステップS11からステップS12でYESになるまで)の間、小型ポンプ633を停止しておくか、小型ポンプ633が吸い込む汚水の量を少なくしておく。そして、受入工程では、主にオーバーフロー管7を用いて貯留槽4から汚水を流出させる。覆い部材632を設けていないので、受入工程中に貯留槽4の槽内を沈降してくる砂は流入口631に近づくこともあるが、流入口631に流入する汚水の流れが存在しないか、極わずかな流れであるため砂が流入口631から送り出されてしまうことは抑制される。そして、ステップS13で揚砂ポンプ941の駆動を停止させると同時に小型ポンプ633を駆動開始するか、小型ポンプ633が吸い込む汚水の量を増加させ、ステップS14以降を実施する。すなわち、小型ポンプ633によって砂混入水中の汚水を貯留槽4の外部に送り出す。なお、揚砂ポンプ941の駆動を停止させた後、全ての砂の沈降が完了するまで数分程度待機してから小型ポンプ633を駆動または吸い込み量を増加させ、その後にステップS14以降を実行してもよい。
この第2変形例の固液分離装置1において、ステップS13で小型ポンプ633を駆動または吸込み量を増加させる際、小型ポンプ633の吸込み量を調整することで、送液工程において貯留槽4の外部に送り出される汚水の流量を少なめにしてもよい。こうすることで、流入口631にかなり近づくまで砂SAを堆積させても、その砂SAが汚水とともに流入口631から吸い込まれて貯留槽4の外部に送り出されてしまうことが抑制される。従って、送液工程の後に貯留槽4に残る汚水の量を最小にして砂混入水における砂SAの濃度を高めることができる。
図6は、図1に示した固液分離装置の第3変形例を示す、図2(a)と同様の正面図である。
図6に示すように、この第2変形例の固液分離装置1は、送液管6の一端部分63の構成および覆い部材632の構成が図1に示した固液分離装置1と異なる。送液管6の一端部分63は、貯留槽4の槽内で水平方向に突出しており、流入口631は水平方向に向いている。覆い部材632は、貯留槽4の側壁41内側面に取り付けられ、送液管6の一端部分63と平行に貯留槽4の内側に向かって突出している。図6のZ矢視図に示すように、この覆い部材632は、流入口631の上方を覆う、断面がへの字状の板材で構成されている。この覆い部材632によって、流入口631近傍に沈降してくる砂が流入口631に入り込んでしまうことを抑制することができる。
次に、第2実施形態の固液分離装置1について説明する。
図7は、第2実施形態の固液分離装置における図2(a)と同様の正面図である。
図7に示すように、この第2実施形態の固液分離装置1は、ベルトゲート5の代わりに搬送装置50が設けられている点と、貯留槽4の側壁41の下側部分の形状が図1に示した固液分離装置1と異なる。搬送装置50は、貯留槽4の下端から斜め上方に向かって延在している。貯留槽4の下端は、搬送装置50の傾斜角度と同じ角度で斜め上方に向かって切り欠かれている。貯留槽4の4枚の側壁41のうち、図7における紙面手前側と紙面奥側の側壁41の下側部分には、槽傾斜面41aが形成されている。槽傾斜面41aは、貯留槽4の下端から一定の高さに形成されている。この槽傾斜面41aの下端は、搬送装置50に接続されている。貯留槽4に貯留された砂混入水に含まれる砂は、貯留槽4の底部に向かって沈降し、搬送装置50の下端部分の上に堆積していく。図7には、堆積した砂SAの一例が二点鎖線で囲まれたドットで示されている。
搬送装置50は、スクリューコンベア501と投下部502とスクリューコンベア501の外側を覆う筒状部503とを有する。スクリューコンベア501は、筒状部503内に配置されている。スクリューコンベア501の軸方向は、搬送装置50の延在方向に一致している。このスクリューコンベア501によって、斜め上方に向かって延在した搬送経路が形成されている。この搬送経路の下端部分は、貯留槽4の底部に接続されている。搬送経路の上端部分は、送液管6の一端部分63に形成された流入口631よりも上方に配置されている。貯留槽4内に貯留された砂混入水に含まれている砂は、貯留槽4内を沈降して貯留槽4の底部側に集まる。貯留槽4の底部側に集まった砂は、スクリューコンベア501が回転することで斜め上方に搬送され、搬送装置50の搬送経路の上端部分では、水切りされながら搬送される。投下部502は、スクリューコンベア501の上端近傍から下方に延びた管状のものであり、下端部に投下口502aが形成されている。投下部502の上端は、筒状部503の上端近傍の下部に接続されている。スクリューコンベア501による搬送によって水切りされた砂は、投下部502を通って投下口502aから下方に向けて投下される。すなわち、搬送装置50は、貯留槽4が受け入れた砂混入水に含まれている砂を貯留槽4の外部に搬送して排出するものである。なお、スクリューコンベア501の代わりに、ベルトコンベアやフライトコンベアなどの他の搬送機構を用いてもよい。また、投下部502を閉塞および開放自在な開閉蓋を投下部502に設け、搬送装置50を駆動していない時には投下部502を閉塞してもよい。閉塞蓋は、投下部502の上端、すなわち投下部502と筒状部503の間に形成することが好ましいが、投下口502a近傍に設けてもよい。開閉蓋を設けることで、例え槽水面WL2が投下部502の上端よりも上昇したとしても、砂混入水が投下部502から漏れ出てしまうことを防止できる。
図8は、図7に示す固液分離装置の動作を示すフローチャートである。
第2実施形態の固液分離装置1における固液分離動作では、まず搬送装置50を停止させた状態で、揚砂ポンプ941(図1参照)の駆動が開始されることで、貯留槽4における砂混入水の受け入れが開始される(ステップS21)。なお、搬送装置50は、完全に停止していなくてもよく、例えば、砂混入水に含まれる液体成分が搬送装置50の駆動によって投下部502に到達しない程度の速度で微速駆動していても構わない。すなわち、所定の駆動速度よりも遅い駆動速度で搬送装置50を駆動していてもよい。その後、貯留槽4に貯留された砂混入水によって形成される槽水面WL2は徐々に上昇していく。貯留槽4に貯留された砂混入水に含まれる砂は、自重により貯留槽4の底部に向かって沈降し、搬送装置50の搬送経路における下端部分に集まっていく。槽水面WL2が、送液管6の水平部分61の下端に達すると、送液管6を通って砂混入水の上澄み液(汚水)が沈砂池9に送り出され始める。さらに槽水面WL2が上昇し、槽水面WL2が送液管6の最上端である管上端6cの高さに達すると、送液管6内が汚水で満たされてサイフォンの原理による効果が生じ、汚水の流出量が増加する。槽水面WL2がオーバーフロー口43に達すると、送液管6とともにオーバーフロー管7からも砂混入水の上澄み液が流出してそれ以上の槽水面WL2の上昇が防止される。
揚砂ポンプ941(図1参照)の駆動が開始された後、センサ42は、堆積した砂SAの高さ位置が流入口631よりも少し低い位置に達したか否かを常時検出している(ステップS22)。堆積した砂SAの高さ位置が流入口631よりも少し低い位置に達したことをセンサ42によって検出したら(ステップS22でYES)、揚砂ポンプ941の駆動を停止させる(ステップS23)。これにより、貯留槽4における砂混入水の受け入れが停止する。以上説明したステップS21からステップS22でYESになるまでが受入工程の一例に相当する。揚砂ポンプ941の駆動が停止してから第1所定時間経過するまでは、揚砂ポンプ941を停止した直後の状態が維持される(ステップS24)。以上説明したステップS23およびステップS24が液送工程の一例に相当する。
第1所定時間経過したら、搬送装置50の駆動を開始する(ステップS25)。搬送装置50が所定の駆動速度で駆動することで、搬送経路の下端部分に集められた砂は搬送経路の上端側に搬送されていく。この駆動開始時点で、槽水面WL2は、搬送経路の上端部分よりも低い位置である流入口631付近まで低下しているので、スクリューコンベア501によって搬送されている砂は、搬送経路の上端部分において水切りされながら搬送される。そして、投下部502の上端に達した砂は、投下口502aから下方に向けて投下される。搬送装置50の駆動は、駆動開始から第2所定時間するまで継続される(ステップS26)。以上説明したステップS25およびステップS26が排出工程の一例に相当する。この第2所定時間は、搬送経路の下端部分に集められた砂の多くを搬送して投下部502から投下できる時間である。なお、第2所定時間が経過したか否か判断することに代えて、搬送経路の下端部分の砂の有無を検出する砂有無センサを貯留槽4の底部に設け、その検出が発生したか否かを判断してもよい。第2所定時間経過したら、搬送装置50の駆動を停止し(ステップS27)、固液分離動作を終了する。
この第2実施形態の固液分離装置1およびその駆動方法によれば、貯留槽4の槽水面WL2を低下させた後に、搬送装置50を駆動するので、搬送経路が短くても、水切りしつつ砂を搬送することができる。すなわち、少なくとも上述のステップS23およびステップS24において槽水面WL2が低下した分だけ、槽水面WL2を低下させない通常の固液分離装置1よりも搬送経路の高さを低くすることができる。搬送経路は斜め上方に向かって延在しているので、搬送装置50の高さを低くすることで搬送装置50の横幅が短くなる。その結果、固液分離装置1を小型化できる。
次に、第3実施形態の固液分離装置1について説明する。第3実施形態の説明では、第2実施形態の固液分離装置1とは異なる点を中心に説明する。
図9(a)は、第3実施形態の固液分離装置に設けられた濃縮容器の平面図であり、図9(b)は、同図(a)におけるA−A断面図である。図2(a)および図2(b)には、送液管6の一端部分63の一部も示されている。
第3実施形態の固液分離装置1では、送液管6の一端部分63に図9に示す濃縮容器3が接続されている。この濃縮容器3は、いわゆる流体サイクロン装置である。濃縮容器3は、図1に示した沈砂池9から揚砂管942を通して移送された砂混入水中の汚水の一部を砂と分離して送液管6に送り出す。また、第3実施形態の固液分離装置1には、第2実施形態と同様に搬送装置50(図10参照)が設けられている。まず、濃縮容器3について説明する。
図9(b)に示すように、濃縮容器3は、流体導入部31と、絞り部32と、排出部33と、流体流入管34と、一対の取付部36とを備えている。流体導入部31は、濃縮容器3の上側部分に設けられている。絞り部32は、その上端が流体導入部31の下端に接続している。また、絞り部32の下端には、排出部33の上端が接続されている。濃縮容器3の内周面3aは、流体導入部31の内周面31aと絞り部32の内周面32aと排出部33の内周面33aによって構成されている。この濃縮容器3の内周面3aによって内部空間X1が画定されている。すなわち、これらの流体導入部31、絞り部32、および排出部33によって、内部空間X1を有する中空状のタンクが構成されている。
流体導入部31は、内周面31aが円筒状をした円筒部311と、円筒部311の上端を閉塞する蓋312とを備えている。円筒部311は、板厚3.2mmの鋼板を内径500mmの円筒状に加工したものである。また、蓋312は、板厚6.0mmの鋼板を外径が586mmで内径が114mmの環状に加工したものである。なお、円筒部311および蓋312の形状、材質、および厚みは、内部空間X1の大きさ等に応じて適宜選択すればよい。また、円筒部311は、下方に向かうに従って内部空間X1の断面積が増加する、円錐状やドーム状をしたものであってもよい。さらに、円筒部311は、後述する受入口341が形成されている上側部分が下方に向かうに従って内部空間X1の断面積が増加する円錐状やドーム状をしたもので、下側部分が円筒状をしたものであってもよい。円筒部311の外周面には、一対の取付部36が固定されている。この取付部36は、濃縮容器3を、図10に示す貯留槽4に固定するためのものである。
また、円筒部311の上側部分には、流体流入管34が連結されている。図1に示した揚砂ポンプ941と流体流入管34とは揚砂管942を介して接続されている。揚砂管942と流体流入管34とは、接続端に設けられたフランジどうしがボルトで締結されることで着脱可能に結合されている。流体流入管34は内径100mmの管である。図2(b)に示すように、この流体流入管34と円筒部311との連結部には、受入口341が形成されている。図2(a)に直線の矢印で示すように、揚砂ポンプ941が吸い上げた砂混入水は、円筒部311の内周面31aの接線方向から受入口341を通って内部空間X1に導入される。従って、濃縮容器3が受け入れた砂混入水は、送液管6の一端部分63のうち濃縮容器3内に挿入された部分の外周面と、円筒部311の内周面31aの間に導入される。これにより、内部空間X1には砂混入水の旋回流が形成される。
絞り部32は、受入口341と排出部33の間に配置されている。この絞り部32では、内部空間X1の断面積が排出部33に向かうに従って減少する。換言すれば、絞り部32は、円筒部311から離れるにつれて漸次縮径する逆円錐状の内周面32aを有している。なお、絞り部32は、内部空間X1の断面積が排出部33に向かって段階的に減少したものであってもよい。すなわち、絞り部32は、内部空間X1の断面積が受入口341側よりも排出部33側の方が小さくなるように形成されたものである。この絞り部32は、板厚3.2mmの鋼板を円錐状に加工したものであり、上端は内径500mm、下端は内径100mmに形成されている。なお、絞り部32の材質や厚みは、内部空間X1の大きさや絞り量等に応じて適宜選択すればよい。また、この実施形態では、絞り部32の下端の断面積を受入口341の断面積と一致させているが、絞り部32の下端の断面積は、受入口341の断面積より大きくてもよく、受入口341の断面積より小さくてもよい。ただし、絞り部32の下端の断面積を小さくしすぎると、濃縮容器3における圧力損失が増大するので、絞り部32の下端の断面積は、受入口341の断面積以上であることが好ましい。
排出部33は、絞り部32の、流体導入部31が設けられた側とは反対側に接続している。すなわち、排出部33は、絞り部32の下端に接続している。排出部33は、下端にフランジが形成された、絞り部32の下端と同径の内径をした円筒状をしている。この排出部33の下端の開口が排出口331になる。この排出口331は、送液工程において、サイフォンの原理による効果が生じた際には、汚水を吸い込んで沈砂池9(図1参照)に戻すための汚水流入口として機能する。従って、この第3実施形態における排出口331は、流入口の一例に相当する。なお、排出部33は省略してもよい。省略した場合、絞り部32の下端の開口部が排出口331になる。
送液管6の一端部分63は、流体導入部31の蓋312を上下方向に貫通している。この一端部分63は、円筒部311の径方向の中心軸に沿って、蓋312の下端よりも下方から蓋312の上端よりも上方まで延在している。従って、一端部分63の下側部分は、内部空間X1内に突出している。ただし、一端部分63の下側部分は、内部空間X1に突出していなくてもよく、例えば蓋312の下面と一端部分63の下端は同じ平面上にあってもよい。一端部分63の蓋312を貫通している部分は溶接によって蓋312に水密状態で結合している。一端部分63は、内径100mmの管状をしている。この一端部分63下端が、送液管6の一端になり、その一端の開口が汚水送出口634になる。従って、一端部分63および汚水送出口634(送液管6の一端)は、濃縮容器3に接続されている。また、この実施形態の汚水送出口634は、内部空間X1内に配置されている。濃縮容器3内で砂混入水から分離された汚水は、この汚水送出口634から送液管6を通して沈砂池9に戻される。汚水送出口634は、受入口341よりも下方に配置されている。なお、一端部分63の、内部空間X1内にある部分(濃縮容器3内に配置された部分)の長さは任意であり、例えば一端部分63の、内部空間X1内にある部分を流体導入部31よりも長く形成してもよい。このように形成した場合、汚水送出口634は、内部空間X1のうち絞り部32の内周面32aによって画定されている領域に形成される。また、汚水送出口634の断面積は、絞り部32の下端の断面積と一致している例を示したが、汚水送出口634の断面積は、排出口331の断面積以上であることが好ましい。こうすることで、汚水送出口634から排出される汚水の量を増加させ、さらに濃縮容器3における圧力損失を低減することができる。
次に、この濃縮容器3の作用について説明する。上述したように、揚砂ポンプ941(図1参照)を駆動することで砂混入水が受入口341から内部空間X1に流入し、内部空間X1には砂混入水の旋回流が形成される。砂混入水に含まれている砂は、汚水よりも比重が大きいため遠心力により濃縮容器3の内周面3aに押し付けられつつ、その内周面3aに沿って旋回しながら徐々に下方に落下していく。一方、円筒部311の径方向の中心部分には、砂混入水から砂が取り除かれた汚水が集まる。その汚水は、汚水送出口634から送り出される。送り出された汚水は、送液管6を通って送液管6の他端に形成された流出口621(図1参照)から沈砂池9に向かって放出される。ただし、本実施形態の濃縮容器3は、受入口341と排出口331の大きさが同一であるので、受入口341から受け入れる砂混入水の単位時間あたりの量にもよるが、汚水送出口634から汚水を送り出すためには、図10に示す、排出口331よりも高い側壁41を有する貯留槽4が設けられている必要がある。また、濃縮容器3は、受け入れた砂混入水から汚水の一部が取り除かれることで汚水に対する砂の濃度が高まった濃縮砂混入水を排出口331から貯留槽4の槽内に排出する。この濃縮砂混入水は混入液の一例に相当し、濃縮砂混入水中の汚水は液体の一例に相当し、濃縮砂混入水中の砂は固体の一例に相当する。
図10(a)は第3実施形態の濃縮容器と貯留槽を示す平面図であり、図10(b)は、第3実施形態の濃縮容器と貯留槽を示す正面図であり、図10(c)は、同図(b)におけるB−B断面図である。
図10(a)および図10(b)に示すように、貯留槽4は、濃縮容器3の外周側面3bよりも外側に配置されて排出口331よりも上方に延在した側壁41を備えている。図10(c)に示すように、この実施形態では、側壁41は、送液管6の管上端6cよりも上方まで延在している。濃縮容器3は、側壁41の内周面に一端が固定されて内側に向かって延びた一対のアーム44に、取付部36がボルトで連結されることで着脱自在に貯留槽4の槽内に固定されている。図10(b)および図10(c)に示すように、送液管6および揚砂管942は、貯留槽4の側壁41を貫通している。送液管6および揚砂管942の貫通部分は、側壁41に溶接されており、その貫通部分は水密状態になっている。
貯留槽4は、下側部分に2つの槽傾斜面41aが形成された平面視で略正方形の角筒をした槽である。濃縮容器3の排出口331から排出された濃縮砂混入水に含まれている砂は、槽傾斜面41aを滑り落ちて貯留槽4の下端に接続された搬送装置50に堆積する。図10(c)に示すように、排出口331よりも上方であって、貯留槽4の上端より少し下の部分には、オーバーフロー口43が形成されている。このオーバーフロー口43は、排出口331から濃縮砂混入水が多く排出されすぎてしまった場合に、貯留槽4から濃縮砂混入水の上澄み液を流出させるものである。オーバーフロー口43から流出した上澄み液は、オーバーフロー管7を通して沈砂池9(図1参照)に戻される。
図11は、図10に示した固液分離装置の動作を示すフローチャートである。
固液分離動作では、まず搬送装置50を停止させた状態で、揚砂ポンプ941の駆動が開始される。この駆動開始により、図10に示した濃縮容器3における砂混入水の受け入れが開始される。なお、搬送装置50は、完全に停止していなくてもよく、例えば、濃縮砂混入水中の汚水が搬送装置50の駆動によって投下部502に到達しない程度の速度で微速駆動していても構わない。すなわち、後述する所定の駆動速度よりも遅い駆動速度で搬送装置50を駆動していてもよい。揚砂ポンプ941(図1参照)の駆動開始前に濃縮容器3の内部空間X1および貯留槽4の槽内が空の状態であった場合、内部空間X1に供給された砂混入水の殆どは、排出口331から排出される。すなわち、貯留槽4における砂混入水および濃縮砂混入水の受け入れが開始される(ステップS31)。排出口331から排出された濃縮砂混入水が、貯留槽4の槽内に貯留されていくことで、貯留槽4に貯留された濃縮砂混入水によって形成される水面である槽水面WL2は徐々に上昇していく。また、貯留槽4の槽内に貯留された濃縮砂混入水に含まれる砂は、自重により貯留槽4の底部に向かって沈降し、搬送装置50の搬送経路における下端部分に集まっていく。槽水面WL2が排出口331に達すると、排出口331が濃縮砂混入水で閉塞されるため、排出口331から排出される濃縮砂混入水の量が減少する。すなわち、絞り部32における内部空間X1の断面積の減少による抵抗と排出口331に加わる濃縮砂混入水の水圧が相まって、排出口331から濃縮砂混入水が排出されにくくなり、汚水送出口634から汚水が送り出され始める。槽水面WL2が上昇するにつれ、排出口331に加わる濃縮砂混入水の水圧が高まるため、排出口331から排出される濃縮砂混入水の量は減少し、汚水送出口634から送り出される汚水の量は増加して送液管6内が汚水で満たされる。送液管6内が汚水で満たされるとサイフォンの原理により沈砂池9に流れ出ようとする作用が汚水に生じる。つまり、砂混入水中の液体および濃縮砂混入水中の液体の位置エネルギーによって、汚水が送液管6を通して貯留槽4の外部に送り出され始める。このため、汚水送出口634から送り出される汚水の量はさらに増加し、排出口331から排出される濃縮砂混入水の量はさらに減少する。内部空間X1に供給される砂混入水の量が、例えば、1.0m3/minの場合には、槽水面WL2が受入口341よりも少し下になった時点で排出口331からはほぼ砂しか排出されなくなり、槽水面WL2は上昇しなくなる。図10(b)および図10(c)には、この時の槽水面WL2が示されている。また、内部空間X1に供給される砂混入水の量を、例えば、1.5m3/minにした場合、汚水送出口634から送り出される汚水の量も増加するが、ある程度の割合の汚水を含む濃縮砂混入水が排出口331から排出され、槽水面WL2は上昇しつづける。槽水面WL2がオーバーフロー口43に達した後は、砂混入水の上澄み液がオーバーフロー口43から0.3m3/min程度流出する。なお、揚砂ポンプ941が駆動する前に、沈殿池に貯留されている汚水や水道水を貯留槽4に流入させ、貯留槽4を液体で満たしておいてもよい。貯留槽4を液体で満たすと、内部空間X1にも貯留槽4と略同じ高さの液体が充填される。このため、槽水面WL2が汚水送出口634の高さ以上になるように液体を貯留しておけば、揚砂ポンプ941の駆動とほぼ同時に汚水送出口634から汚水を送ることができる。揚砂ポンプ941の2回目以降の駆動時には、貯留槽4に貯留されている液体を抜き取らない限り、揚砂ポンプ941の駆動とほぼ同時に汚水送出口634から汚水を送ることができる。
揚砂ポンプ941の駆動が開始された後、センサ42は、堆積した砂SAの高さ位置が流入口631よりも少し低い位置に達したか否かを常時検出している(ステップS32)。堆積した砂SAの高さ位置が排出口331よりも少し低い位置に達したことをセンサ42によって検出したら(ステップS32でYES)、揚砂ポンプ941の駆動を停止させる(ステップS33)。これにより、濃縮容器3における砂混入水の受け入れが停止する。そして、貯留槽4における濃縮砂混入水の受け入れも停止する。以上説明したステップS31からステップS32でYESになるまでが受入工程の一例に相当する。揚砂ポンプ941の駆動が停止してから第3所定時間経過するまでは、揚砂ポンプ941を停止した直後の状態が維持される(ステップS34)。以上説明したステップS33およびステップS34が液送工程の一例に相当する。この第3所定時間は、槽水面WL2が排出口331付近まで低下する時間である。なお、第3所定時間が経過したか否か判断することに代えて、槽水面WL2が排出口331付近まで低下したことを検出する水位センサを貯留槽4に設け、その検出が発生したか否かを判断してもよい。
揚砂ポンプ941の駆動が停止した後にも、上述のサイフォンの原理による効果により、濃縮砂混入水および砂混入水には、送液管6を通って沈砂池9に流れ出ようとする作用が働いている。これにより、濃縮砂混入水および砂混入水の上澄み液が送液管6を通って沈砂池9に流れ出ていき、槽水面WL2は低下する。一方、槽水面WL2が低下している間にも、濃縮砂混入水および砂混入水に含まれる砂は、自重により徐々に沈降して搬送装置50の搬送経路における下端部分に集まっていく。槽水面WL2が排出口331まで低下すると、排出口331から濃縮容器3を通って空気が送液管6内に入り込み、サイフォンの原理による効果が終了する。揚砂ポンプ941の駆動が停止してから第3所定時間経過するまでは、揚砂ポンプ941を停止した直後の状態が維持される(ステップS34)。以上説明したステップS33およびステップS34が液送工程の一例に相当する。なお、ステップS33およびステップS34において、揚砂ポンプ941の駆動を完全に停止しないで、槽水面WL2が低下する量であれば、濃縮容器3に少量の砂混入水を供給していてもよい。以下、ステップS35乃至ステップS37は、第2実施形態のステップS25乃至ステップS27と同様であるため、説明を省略する。
この第3実施形態の固液分離装置1およびその駆動方法によっても、第2実施形態の固液分離装置1およびその駆動方法と同様に固液分離装置1を小型化できる。また、上述のステップS32において、貯留槽4に貯留された液体によって排出口331が塞がれるので、貯留槽4の槽内に貯留された液体の水圧が排出口331に生じる。この水圧により、排出口331から濃縮砂混入水が排出されにくくなるので、送液管6を通して送り出される汚水の量を増加させることができる。すなわち、排出口331から排出される濃縮砂混入水に対して、汚水送出口634から送り出される汚水の比率が高まるので、濃縮容器3における分離効率が高まる。また、貯留槽4に排出される濃縮砂混入水が少ないので、貯留槽4をさらに小型化できる。また、絞り部32における絞り量(断面積の減少量)を少なくしても、排出口331から排出される濃縮砂混入水の量を抑制することができる。絞り部32における絞り量を少なくすることで、濃縮容器3における圧力損失を低減できるので、揚砂ポンプ941(図1参照)の動力を小さくすることができる。またさらに、排出口331から排出される濃縮砂混入水が飛び散ることがなく、濃縮砂混入水に含まれている砂が短時間で貯留槽4の底に沈降しやすい。また、貯留槽4に搬送装置50が接続され、貯留槽4と濃縮容器3とが高さ方向において重複した位置に配置されているので、固液分離装置1全体の高さを低くできる。そして、濃縮容器3を地上に近い位置に配置できるので、揚砂ポンプ941に必要な揚程が低くなり、よりさらに小さな動力で混入水を濃縮容器3に移送することができる。
また、この第3実施形態では、貯留槽4の側壁41は、内部空間X1の上端よりも上方に延びているので、貯留槽4の槽内に、内部空間X1の上端より上方まで液体を貯留することができる。内部空間X1の上端まで液体を貯留することで、排出口331に加わる水圧が高まり、内部空間X1にある砂混入水中の汚水が、重力によって排出口331から流出しようとする力を打ち消すことができる。これにより、排出口331から排出される汚水の量がより抑制され、濃縮砂混入水における砂の濃度をさらに高めることができる。また、排出口331から貯留槽4に排出される濃縮砂混入水の量が減るので、貯留槽4の大きさを小さくすることができる。さらに、前記絞り部32の減少量を少なくして圧力損失をより減少させることもできる。また、貯留槽4の側壁41の高さを送液管6の管上端6cよりも上方にしているので、絞り部32の絞り量を極端に減らしたとしても、槽水面WL2が管上端6cに達すれば、送液管6内が汚水で満たされるのでサイフォンの原理による効果を得ることができる。
続いて、第3実施形態の固液分離装置1の変形例について説明する。
図12(a)は、図10に示した固液分離装置の第1変形例を示す、図10(b)と同様の正面図であり、図12(b)は、同図(a)におけるC−C断面図である。
図12(a)に示すように、この変形例の固液分離装置1は、揚砂管942に微細気泡水供給管8が接続されている点および貯留槽4の高さが低い点が、図10に示した固液分離装置1と異なる。この変形例では、不図示のナノバブル水発生装置によって発生させたナノバブル水が、微細気泡水供給管8を通して揚砂管942に供給される。ただし、ナノバブル水の代わりにマイクロイバブル水を揚砂管942に供給してもよく、ナノバブル水とマイクロバブル水とを混合したマイクロナノバブル水を揚砂管942に供給しても良い。この微細気泡水供給管8は、微細気泡供給手段の一例に相当する。ナノバブル水は、粒径がナノメートルオーダーの空気の気泡を含む水を意味する。また、マイクロバブル水は、マイクロメートルオーダーの空気の気泡を含む水を意味する。なお、ナノバブル水として、ナノメートルオーダーの酸素の気泡を含む水を用いてもよい。同様にマイクロバブル水として、マイクロメートルオーダーの酸素の気泡を含む水を用いても良い。また、微細気泡水供給管8を濃縮容器3に直接接続してもよい。すなわち、微細気泡水供給管8は、揚砂ポンプ941(図1参照)と排出口331の間に接続されていればよい。ナノバブル水およびマイクロバブル水は、洗浄効果を有しているので、砂混入水に加えることで砂混入水に含まれる砂および汚水を洗浄することができる。揚砂ポンプ941と排出口331の間で、ナノバブル水またはマイクロバブル水を砂混入水に加えることで、濃縮容器3の内部空間X1(図9(b)参照)で砂混入水を高い洗浄効果で洗浄することができる。すなわち、内部空間X1に発生した旋回流によって内部空間X1内においてナノバブルおよびマイクロバブルが砂混入水と混ざり合うので、高い洗浄効果を発揮させることができる。
貯留槽4の側壁41は、濃縮容器3の上端よりも上方で、送液管6の管上端6cよりも下方になる高さまで延在している。図10に示した第3実施形態の貯留槽4のように、貯留槽4の側壁41を高くすれば、貯留槽4の槽水面WL2を送液管6の管上端6cよりも高くすることも可能になる。そして、上述したように、排出口331に加わる水圧は槽水面WL2の高さに応じて高まるので槽水面WL2が高くなることは濃縮砂混入水における砂の濃度をさらに高めることや圧力損失を減少させる意味では好ましい。しかし、貯留槽4の側壁41を高くしすぎると、固液分離装置1全体の高さも高くなり、貯留槽4の製造費用も高価になってしまうので、この意味では貯留槽4の側壁41の高さは低い方が好ましい。側壁41は、排出口331よりも上方に延びていれば、貯留槽4の槽内に貯留された濃縮砂混入水で排出口331を閉塞できるが、この変形例では、固液分離装置1全体の高さと排出口331に加わる水圧のバランスを重視した高さにしている。なお、オーバーフロー口43は、側壁41の高さに応じて適宜配置位置を設定すればよいが、この変形例では、受入口341(図9(b)参照)と同等の高さにしている。
次に、図10に示した固液分離装置1の、図12に示した変形例とは異なる変形例について説明する。
図13(a)は、図10に示した固液分離装置の第2変形例を示す、図10(b)と同様の正面図であり、図13(b)は、同図(a)におけるD−D断面図である。
図13(a)および図13(b)に示す固液分離装置1は、濃縮容器3に絞り部32および排出部33が設けられていない点、貯留槽4の高さが低い点、およびオーバーフロー口43の位置が図10に示した固液分離装置1と異なる。濃縮容器3は、流体導入部31で構成されている。したがって、内部空間X1は、流体導入部31の内周面31aのみによって画定されている。濃縮容器3の下端は、円筒部311の下端であり、その下端の開口が排出口331になる。この排出口331は、直径500mmの開口であり、受入口341(図9(b)参照)に対して相当程度大きい。このため、この変形例では、濃縮容器3における圧力損失がほとんど生じない。貯留槽4は、図10に示した貯留槽4と比較して、絞り部32および排出部33の合計高さ分だけ低く形成されている。また、濃縮容器3に形成された受入口341は、その合計高さ分、貯留槽4の下端に近い位置に配置されている。貯留槽4の高さが低くなった分、搬送装置50の長さ(高さ)も低くすることができる。すなわち、濃縮容器3の高さを低くすることで、固液分離装置1全体の高さを低くし、固液分離装置1を小型化することができる。また、受入口341が地上に近い位置に配置されるので、揚砂ポンプ941(図1参照)に必要な揚程が低くなり、よりさらに小さな動力で混入水を濃縮容器3に移送することができる。オーバーフロー口43は、受入口341と同一の高さに配置されている。ただし、オーバーフロー口43は、受入口341よりも高い位置に配置してもよく、送液管6の管上端6cよりも高い位置に配置してもよい。高い位置に配置することで、送液管6の管上端6cよりも高い位置まで素早く液体を貯留することができ、砂混入水が内部空間X1に供給され始めてからサイフォンの原理による効果が生じるまでの時間を短くすることができる。
この変形例の固液分離装置1の動作は、図10に示した固液分離装置1と同様であるが、図11に示したステップS31およびステップS32における砂混入水および濃縮砂混入水の挙動が多少異なるので、主にこれらの挙動について説明する。濃縮容器3の内部空間X1および貯留槽4の槽内が空の状態で、図1に示す揚砂ポンプ941を駆動すると、内部空間X1に砂混入水が供給され始める。この変形例では、2.0m3/minの砂混入水が内部空間X1に供給される。円筒部311の内周面31aの接線方向から受入口341(図9(b)参照)を通って砂混入水が内部空間X1に導入されるので、内部空間X1には砂混入水の旋回流が形成される。砂混入水に含まれている砂は、汚水よりも比重が大きいため遠心力により円筒部311の内周面31aに押し付けられつつ、その内周面31aに沿って旋回しながら徐々に下方に落下していく。一方、円筒部311の径方向の中心近傍には、砂混入水から砂が取り除かれた汚水が残る。貯留槽4に貯留されている液体が少ないうちは、内部空間X1に供給された砂混入水の全てが、濃縮砂混入水として排出口331から排出される。排出口331から排出された濃縮砂混入水が、貯留槽4の槽内に貯留されていくことで、槽水面WL2は徐々に上昇していく。槽水面WL2が排出口331に達すると、排出口331が濃縮砂混入水で閉塞され、槽水面WL2が上昇するにつれ、排出口331に加わる濃縮砂混入水の水圧が高まる。この変形例では、図9(b)に示した絞り部32がなく、受入口341に対して排出口331が十分大きいので、排出口331が濃縮砂混入水で閉塞された後も槽水面WL2が所定の高さになるまで、内部空間X1に供給された砂混入水の全てが排出口331から排出される。その後、槽水面WL2がオーバーフロー口43に達すると、濃縮砂混入水の上澄み液がオーバーフロー口43から流出するが、自然流下によってオーバーフロー口43から流出する上澄み液よりも揚砂ポンプ941によって供給される砂混入水の方が多いため槽水面WL2は上昇を続ける。槽水面WL2が送液管6の管下端6dに達すると、汚水が送液管6を通って送り出され始める。槽水面WL2が管上端6cに達すると、送液管6内が液体で満たされ、サイフォンの原理により汚水送出口634から沈砂池9に流れ出ようとする作用が砂混入水に生じるので、汚水送出口634から送り出される汚水の量はさらに増加し、槽水面WL2の上昇は停止し、その後下降して一定位置で安定する。図13(a)および図13(b)には、この時の槽水面WL2が示されている。槽水面WL2が安定している時にオーバーフロー口43からは、1.2m3/min程度の上澄み液が流出する。
この変形例の固液分離装置1においても、図10に示した固液分離装置1と同様の効果が得られる。さらに、貯留槽4に貯留された液体によって生じた排出口331の水圧により、絞り部32がなくても排出口331から排出される濃縮砂混入水の量を抑制することができる。絞り部32がないので濃縮容器3における圧力損失がほぼゼロになり、揚砂ポンプ941(図1参照)の動力をより小さくすることができる。また、送液管6内に液体がない状態でも揚砂ポンプ941を駆動するだけで、槽水面WL2が管上端6cの高さに達して送液管6内を液体で満たすことができるので、容易にサイフォンの原理による作用を生じさせることができる。
本発明は上述の実施形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形を行うことが出来る。たとえば、本実施形態では、固液分離装置1を沈砂池9に設置した例で説明したが、固液分離装置1は、沈殿池に設けてもよく、ダム湖等の貯水池に設けてもよい。また、工場等で生じた工場排水から水と金属粉等を分離する固液分離装置1として使用してもよい。さらに、ベルトゲート5やスクリューコンベア501を用いる例で説明したが、スライドゲートやカットゲートなどのゲート装置、またはベルトコンベアやフライトコンベアなどの搬送装置を排出装置として用いてもよい。
以上説明した実施形態や変形例によれば、固液分離装置を小型化することが可能な固液分離装置の駆動方法および小型化に好適な固液分離装置を提供できる。
なお、以上説明した各実施形態や変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、他の実施形態や変形例に適用してもよい。