JP2021082200A - 情報処理システム、方法、およびプログラム - Google Patents

情報処理システム、方法、およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】生産工程に関する操作量の精度を向上する。【解決手段】物の生産に関するデータを集約するデータ集約部と、前記データに基づいて、前記物の品質を機械学習を用いて予測する品質予測部と、前記予測された品質に基づいて所定の品質の物を生産するために必要な生産工程に関する操作量を計算する操作量計算部と、前記操作量の異常の有無を機械学習を用いて判断する異常検知部と、異常が無い操作量を出力する工程動作指示部と、を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、情報処理システム、方法、およびプログラムに関する。
従来、物を生産する際に、生産される物の品質を生産前に予測する技術が知られている。予測された品質に基づいて、原材料や加工条件といった生産工程に関する操作量が決定されうる。
特許文献1では、解析装置が、生産設備としての研削盤が生産対象物としてのクランクシャフトを生産する過程において、生産対象物の状態の良否に関する予測を行う(特許文献1の段落[0099])。具体的には、予測部が、研削加工時に得られるデータやオペレータ等によって予め入力された各種情報等に基づき、研削加工を行っているクランクシャフトが良品であるか否かについての予測を行う(特許文献1の段落[0029])。そして、オペレータは、解析装置による解析結果を確認した結果、通常よりも不良品が多いと判断した場合に、その時点で研削盤のメンテナンスを行う(特許文献1の段落[0063])。
しかしながら、予測を行うために用いられるデータ(特許文献1では、研削加工時に得られるデータやオペレータ等によって予め入力された各種情報等)に異常があった場合には、品質を正確に予測することができない。生産工程に関する操作量が、正確に予測されなかった品質に基づいて決定されることとなり、その結果、所望の品質の物が生産されないという問題があった。
そこで、本発明の一実施形態では、生産工程に関する操作量の精度を向上することを目的とする。
上述した課題を解決するために、物の生産に関するデータを集約するデータ集約部と、前記データに基づいて、前記物の品質を機械学習を用いて予測する品質予測部と、前記予測された品質に基づいて所定の品質の物を生産するために必要な生産工程に関する操作量を計算する操作量計算部と、前記操作量の異常の有無を機械学習を用いて判断する異常検知部と、異常が無い操作量を出力する工程動作指示部と、を備える。
本発明によれば、生産工程に関する操作量の精度を向上することができる。
本発明の一実施形態に係る情報処理システムを含む全体の構成図である。 本発明の一実施形態に係る情報処理システムのハードウェア構成図である。 本発明の一実施形態に係る情報処理システムの機能ブロック図である。 本発明の一実施形態に係る情報処理のフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る情報処理のフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る情報処理のフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る重合トナーの製造工程を示すフローチャートである。
以下、各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
なお、本明細では、トナーを生産する場合を一例として説明するが、本発明は、トナーに限らず、任意の物(例えば、化学反応を用いて製造する化学製品)を生産する場合に適用することができる。
<システム構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10を含む全体の構成図である。図1に示されるように、情報処理システム10は、任意のネットワーク30を介して、工場等内の各生産工程A、B、C、・・・の設備20a、20b、20c、・・・(以下、生産工程の設備20と総称する)と通信可能に接続されている。なお、生産工程は、1つの生産工程のみであってもよいし、あるいは、複数の生産工程を含んでもよい。以下、それぞれについて説明する。
各生産工程の設備20は、コントローラ21a、21b、21c、・・・(以下、コントローラ21と総称する)と、生産設備22a、22b、22c、・・・(以下、生産設備22と総称する)と、センサ23a、23b、23c、・・・(以下、センサ23と総称する)と、を含むことができる。
コントローラ21は、生産工程に関する操作量を情報処理システム10から受信する。また、コントローラ21は、情報処理システム10から受信した操作量に基づいて、生産設備22を制御する。
生産設備22は、物を生産するための任意の設備である。
センサ23は、任意のセンサである。例えば、センサ23は、生産設備22の状態や生産設備22が設置されている工場等内の状態を検知することができる。
情報処理システム10は、各生産工程で生産される物の品質を予測して、予測した品質に基づいて、生産工程に関する操作量を計算する。情報処理システム10は、計算した操作量の異常の有無を判断することができる。また、情報処理システム10は、品質を予測するために用いられるデータの異常の有無を判断することができる。後段で、図3を参照しながら、情報処理システム10について詳細に説明する。
なお、実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、情報処理システム10は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリ等を含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
<ハードウェア構成>
図2は、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10のハードウェア構成図である。
図2に示されているように、情報処理システム10は、コンピュータによって構築されており、図2に示されているように、CPU101、ROM102、RAM103、HD104、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ105、ディスプレイ106、外部機器接続I/F(Interface)107、ネットワークI/F108、データバス109、キーボード110、ポインティングデバイス111、DVD−RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ113、メディアI/F115を備えている。
これらのうち、CPU101は、情報処理システム10全体の動作を制御する。ROM102は、IPL等のCPU101の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM103は、CPU101のワークエリアとして使用される。HD104は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ105は、CPU101の制御にしたがってHD104に対する各種データの読み出しまたは書き込みを制御する。ディスプレイ106は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、または画像等の各種情報を表示する。外部機器接続I/F107は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークI/F108は、通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン109は、図2に示されているCPU101等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
また、キーボード110は、文字、数値、各種指示等の入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス111は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動等を行う入力手段の一種である。DVD−RWドライブ113は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD−RW112に対する各種データの読み出しまたは書き込みを制御する。なお、DVD−RWに限らず、DVD−R等であってもよい。メディアI/F115は、フラッシュメモリ等の記録メディア114に対するデータの読み出しまたは書き込み(記憶)を制御する。
<機能ブロック>
図3は、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10の機能ブロック図である。図3に示されるように、情報処理システム10は、データ集約部11、品質予測部12、操作量計算部13、異常検知部14、工程動作指示部15、データ記憶部16、計算結果記憶部17を備えることができる。また、情報処理システム10は、プログラムを実行することによって、データ集約部11、品質予測部12、操作量計算部13、異常検知部14、工程動作指示部15として機能することができる。以下、それぞれについて説明する。
データ記憶部16には、物の生産に関するデータ(例えば、原材料に関するデータ、加工条件に関するデータ等)、生産された物の品質に関するデータ、が記憶されている。例えば、原材料に関するデータは、原材料の検査結果および物性データである。例えば、加工条件に関するデータは、工程動作指示部15より得られる工程稼働のための定量データや稼働実績データ、これから開始される工程の予定データ、生産工程の各種のセンサ23からリアルタイムで入力されるデータ、生産工程のサンプルデータ、操業者が入力する定量または定性データ、処方指示値、生産のタクトタイムといった、生産プロセスの操業に関わるデータである。例えば、生産された物の品質に関するデータは、生産工程の検査結果である。
データ集約部11は、データ記憶部16内のデータの中から、品質予測部12、操作量計算部13、異常検知部14が処理のために必要とするデータを集約する。具体的には、データ集約部11は、データ記憶部16から取得したデータを品質予測部12等が参照できるようにメモリ等に記憶する。
品質予測部12は、各生産工程の開始前に、各生産工程の終了時の物の品質を予測する。具体的には、品質予測部12は、機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、物の生産に関するデータ(例えば、原材料に関するデータと加工条件に関するデータの少なくとも一方)から物の品質を予測する。例えば、品質予測部12は、生産される物の複数の項目の各品質を数値として予測することができる。なお、品質予測部12は、ニューラルネットワーク、ディープラーニング、サポートベクターマシン、K平均法、決定木等を用いることができる。また、アンサンブル学習により複数の手法を組み合わせることで、精度を向上させることができる。
操作量計算部13は、品質(つまり、品質予測部12が予測した品質)に基づいて、生産工程に関する操作量を計算する。具体的には、操作量計算部13は、予測された品質(つまり、品質予測部12が予測した品質)に基づいて所定の品質の物を生産するために必要な生産工程に関する操作量を計算する。なお、操作量とは、生産工程の最適制御条件値のことである。例えば、操作量は、生産される物の複数の項目の各品質の数値が規格の範囲内となるようにするための、原材料(量、割合等)と加工条件の少なくとも一方の操作量である。以下、<機械学習>により操作量を計算する場合と、<ルールベース>により操作量を計算する場合とに分けて説明する。
<機械学習>
操作量計算部13は、ニューラルネットワーク、ディープラーニング、サポートベクターマシン、K平均法、決定木等を用いて、品質から、生産工程に関する操作量を計算することができる。また、アンサンブル学習により複数の手法を組み合わせることで、精度を向上させることができる。
<ルールベース>
操作量計算部13は、品質と生産工程に関する操作量との対応関係に基づいて、品質から、生産工程に関する操作量を計算することができる。
このとき、例えば、操業者の入力ミスやセンサの故障により、データ集約部11が集約したデータに誤りがあった場合、誤ったデータをもとに品質予測が実施されるため、操作量が正しく計算されず、適切でない制御により品質が狙い通りにならない。また、製品品質は原材料の物性値や、工程のバルブ状態、センサ値等の数多くの要因で変化する。工程が多いほど品質に影響する要因が多くなり、品質と制御変数の関係が複雑となる。学習実績のないデータが入力された場合、品質の予測結果が大きく外れ、生産工程の操作量を正しく計算することができない。また、操作量計算部13による計算結果が局所解となった場合、操作量が狙いから外れ、品質が予測通りとならない。そこで、本発明の一実施形態では、操作量の異常を検知する。
なお、実績の有無の確認、誤りや欠損の確認、変動傾向の確認等を行うことを異常検知と表現する。また、データや計算結果について、実績がない状態、誤りや欠損が見られる状態、変動の急激な変化が見られる状態等を異常と表現する。
<操作量の異常の検知>
異常検知部14は、操作量の異常を検知する。具体的には、異常検知部14は、機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、操作量からその操作量の異常の有無を検知する。例えば、異常検知部14は、操作量の実績の有無、誤りや欠損、変動傾向を確認することで、異常の有無を検知する。
<品質を予測するために用いられるデータの異常の検知>
また、異常検知部14は、品質を予測するために用いられるデータ(つまり、データ集約部11が集約したデータ)の異常の有無を検知することもできる。また、異常検知部14は、品質を予測するための学習済みモデルを生成するためのデータ(つまり、データ集約部11が集約したデータ)の異常の有無を検知することもできる。具体的には、異常検知部14は、機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、データ集約部11が集約したデータからそのデータの異常の有無を検知する。例えば、異常検知部14は、データ集約部11が集約したデータの実績の有無、誤りや欠損、変動傾向を確認することで、異常の有無を検知する。
計算結果記憶部17には、生産工程に関する操作量が記憶されている。具体的には、計算結果記憶部17には、操作量計算部13が計算した操作量が記憶されている。
工程動作指示部15は、異常が無いと判断された操作量をコントローラ21へ送信する。なお、工程動作指示部15は、異常が有ると判断された操作量を生産工程に反映させるか否かを選択する構成とすることもできる。例えば、工程動作指示部15は、操業者の端末等からの指示に応じて、異常が有ると判断された操作量を生産工程に反映させる、反映させない、再計算する、のいずれかを選択することができる。工程動作指示部15は、採用の場合(つまり、反映させる場合)には操作量をコントローラ21へ送信し、不採用の場合(つまり、反映させない場合)には操作量を生産工程に反映させず処理を終了し、再計算する場合には品質予測および操作量計算を再度行わせる。
なお、工程動作指示部15は、異常が無いと判断された操作量を、操業者の端末等の表示手段に表示する構成とすることもできる。この場合、操業者は、操業者の端末等の表示手段に表示された操作量を見て、コントローラ21に指示を入力する。工程動作指示部15が、コントローラ21へ送信すること、および、操業者の端末等の表示手段に表示することを併せて、出力するという。
<処理方法>
以下、図4〜図6を参照しながら、情報処理システム10が実行する方法について説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係る情報処理のフローチャートである。図4の情報処理では、異常が無い操作量を生産工程に自動的に反映させることができる。
ステップ101(S101)において、データ集約部11は、データ記憶部16内のデータの中から、品質予測部12、操作量計算部13、異常検知部14が処理のために必要とするデータを集約する。
ステップ102(S102)において、品質予測部12は、機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、物の生産に関するデータ(例えば、原材料に関するデータと加工条件に関するデータの少なくとも一方)から物の品質を予測する。
ステップ103(S103)において、操作量計算部13は、S102で予測された品質に基づいて、生産工程に関する操作量を計算する。
ステップ104(S104)において、異常検知部14は、S103で計算された操作量の異常を検知するための処理を実行する。
ステップ105(S105)において、異常検知部14は、S104の処理に基づいて、S103で計算された操作量の異常の有無を判断する。異常が無い場合にはステップ106へ進み、異常が有る場合には操作量を生産工程に反映させず処理を終了する。
ステップ106(S106)において、工程動作指示部15は、S105で異常が無いと判断された操作量をコントローラ21へ送信する。その後、異常が無い操作量が生産工程に反映される。
図5は、本発明の一実施形態に係る情報処理のフローチャートである。図5の情報処理では、品質を予測するために用いられるデータの異常の有無を判断し、かつ、異常が無い操作量を生産工程に自動的に反映させることができる。
ステップ201(S201)において、データ集約部11は、データ記憶部16内のデータの中から、品質予測部12、操作量計算部13、異常検知部14が処理のために必要とするデータを集約する。
ステップ202(S202)において、異常検知部14は、S201で集約されたデータの異常を検知するための処理を実行する。
ステップ203(S203)において、異常検知部14は、S202の処理に基づいて、S201で集約されたデータの異常の有無を判断する。異常が無い場合にはステップ204へ進み、異常が有る場合にはステップ208へ進む。
ステップ208(S208)において、異常検知部14は、S203で異常が有ると判断されたデータを、操業者の端末等の表示手段に表示する。
ステップ209(S209)において、異常検知部14は、S208で表示した異常が有るデータについて対応する。例えば、異常検知部14は、操業者の端末等からの指示に応じて、異常が有るデータの削除または修正を行うことができる。その後、ステップ204へ進む。
ステップ204(S204)において、品質予測部12は、機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、S203で異常が無いと判断されたデータまたはS209で削除または修正が行われたデータ(物の生産に関するデータ(例えば、原材料に関するデータと加工条件に関するデータの少なくとも一方))から、物の品質を予測する。
ステップ205(S205)において、操作量計算部13は、S204で予測された品質に基づいて、生産工程に関する操作量を計算する。
ステップ206(S206)において、異常検知部14は、S205で計算された操作量の異常を検知するための処理を実行して、S205で計算された操作量の異常の有無を判断する。異常が無い場合にはステップ207へ進み、異常が有る場合には操作量を生産工程に反映させず処理を終了する。
ステップ207(S207)において、工程動作指示部15は、S206で異常が無いと判断された操作量をコントローラ21へ送信する。その後、異常が無い操作量が生産工程に反映される。
このように、図5の情報処理では、品質予測および操作量計算の正確性が向上し、操作量の計算結果における異常を減少させることができる。
図6は、本発明の一実施形態に係る情報処理のフローチャートである。図6の情報処理では、品質を予測するために用いられるデータの異常の有無を判断し、かつ、異常が無い操作量を生産工程に反映させるか否かを選択することができる。
ステップ301(S301)において、データ集約部11は、データ記憶部16内のデータの中から、品質予測部12、操作量計算部13、異常検知部14が処理のために必要とするデータを集約する。
ステップ302(S302)において、異常検知部14は、S301で集約されたデータの異常を検知するための処理を実行する。
ステップ303(S303)において、異常検知部14は、S302の処理に基づいて、S301で集約されたデータの異常の有無を判断する。異常が無い場合にはステップ304へ進み、異常が有る場合にはステップ309へ進む。
ステップ309(S309)において、異常検知部14は、S303で異常が有ると判断されたデータを、操業者の端末等の表示手段に表示する。
ステップ310(S310)において、異常検知部14は、S309で表示した異常が有るデータについて対応する。例えば、異常検知部14は、操業者の端末等からの指示に応じて、異常が有るデータの削除または修正を行うことができる。その後、ステップ304へ進む。
ステップ304(S304)において、品質予測部12は、S303で異常が無いと判断されたデータまたはS310で削除または修正が行われたデータ(物の生産に関するデータ(例えば、原材料に関するデータと加工条件に関するデータの少なくとも一方))から、物の品質を予測する。
ステップ305(S305)において、操作量計算部13は、S304で予測された品質に基づいて、生産工程に関する操作量を計算する。
ステップ306(S306)において、異常検知部14は、S305で計算された操作量の異常を検知するための処理を実行する。
ステップ307(S307)において、異常検知部14は、S306の処理に基づいて、S305で計算された操作量の異常の有無を判断する。異常が無い場合にはステップ308へ進み、異常が有る場合にはステップ311へ進む。
ステップ308(S308)において、工程動作指示部15は、S307で異常が無いと判断された操作量をコントローラ21へ送信する。その後、異常が無い操作量が生産工程に反映される。
ステップ311(S311)において、工程動作指示部15は、S307で異常が有ると判断された操作量を生産工程に反映させるか否かを選択する。例えば、工程動作指示部15は、操業者の端末等からの指示に応じて、S307で異常が有ると判断された操作量を生産工程に反映させる、反映させない、再計算する、のいずれかを選択することができる。採用の場合(つまり、反映させる場合)にはS308へ進み、不採用の場合(つまり、反映させない場合)には操作量を生産工程に反映させず処理を終了し、再計算する場合にはステップ312へ進む。
ステップ312(S312)において、工程動作指示部15は、計算条件に制約を追加して、S304へ戻り再計算を実施する。例えば、操作量の計算中にエラーが生じた場合や、計算結果が局所解となりNGの判断となった場合、計算条件に制約を追加して再計算を実施することで正しい操作量を得ることができるようになる。
このように、図6の情報処理では、異常検知結果がNGであった場合でも、採用するか否かの判断を別途設けることで、細かな品質制御を実施することができる。
なお、図6の情報処理において、S302およびS303を省略するようにしてもよい。
<重合トナーの製造>
図7は、本発明の一実施形態に係る重合トナーの製造工程を示すフローチャートである。本発明の生産システムはいずれの工程にも適用可能であるが、油相作成工程における実施例を説明する。なお、以下の処理は、トナーの製造の場合に限定されず、任意の物の生産の場合に適用することができる。
[実施例1]
トナーの粒子は、少なくとも2種類以上の異なる分子量の樹脂、着色剤、離型剤を含有するトナー原材料組成物を有機溶剤に溶解または分散し、該溶解物または分散物(以下、油相)を、固体の樹脂微粒子分散剤の存在する水系媒体中(以下、水相)で連続的に乳化することで生成される。
重合トナーの製造方法では原材料等の不純物の含有量や前工程の重合反応や粒子形状の制御を乳化工程での製造条件やその前工程の分散工程等の工程バラつきが品質影響を与える事が知られている。従来は最終工程を経たのちに品質の評価を実施し、工程管理幅を設け品質が管理範囲外にならない様に乳化工程の製造条件により品質をフィードバック制御することで製造がおこなわれていた。フィードバックの制御では制御遅延が発生するため、品質安定化等に課題があった。そこで、本発明による情報処理システム10を油相作成工程に導入し工程開始前に品質の予測および最適制御条件の計算を行うことで、油相工程における処方を自動調整し、品質の安定化を行う。
まず、図1〜図3に記載の情報処理システム10を用いデータ集約部11にてデータ記憶部16に保存されている前回以前の設備設定、原材料情報、原材料処方、生産実績、製品の検査結果、タンク内圧力や液温度、重量計等の設備に設置された各種センサーデータ等(以下、過去実績データ)と、工程動作指示部15が保持しているこれから実施する油相作成工程の原材料物性情報、原材料処方、設備設定値等の情報(以下、予定データ)を収集する。工程動作指示部15、データ記憶部16についてはクラウドコンピューティング等の手段とネットワークシステムで構築することもできるが、本実施例ではオンプレミス環境での構築を行った。
図1において、各生産工程A、B、C、・・・は、図7に記載の各製造工程となる。また、情報処理について、図4の動作フローで動作させるものとする。
データ記憶部16は油相作成工程のみでなく、図7の各工程について、過去実績データを記憶している。また、図1における生産工程の設備20のコントローラ21はPLC、DCS、マイコン等があげられるが、本実施例ではPLCを用いた。センサ23から取得されるデータは、コントローラ21を介してデータ記憶部16に保存されるが、コントローラ21を介さず直接データ記憶部16に保管されてもよい。
次に、収集したデータを使用し、品質予測部12にて予測計算を実施する。最終品質と収集データに強い相関があり、他の因子に交互作用が無ければ単変量解析も可能となるが、油相作成工程における予測としては、多変量解析手法を採用した。品質予測の手法として一般的に線形回帰や非線形回帰を始めより複雑で非線形にまで対応可能な機械学習に分類される様々な手法が取りえるが、本実施例では化学反応等非線形に対応できる機械学習の手法としてランダムフォレストによる予測計算を採用した。また、ランダムフォレストのモデル構築用データは前述の収集データを全部用いる事もできるが、時系列データについては特徴量への変換や主成分分析等による次元削減、また機械学習の予測誤差や予測と相関係数等の情報をもとに変数選択を行う手法を採用等により予測精度を上げることも有効である。本実施例では特徴量変換、予測誤差による指標により変数選択を行う方式を採用しランダムフォレストにて過去実績データよりモデルを作成し、予定データから製品品質の予測計算を行った。
品質予測結果を元に、予定データに対して最適制御条件の計算を行う。操作量計算部13は、品質予測部12の計算結果を元に、品質が狙い通りになるよう制御条件を算出する。操作量計算部13は、生産工程で発生する物理的現象、過去実績データより確認された工程条件と最終品質の関係性、品質予測部12にて構築されたモデルから確認された工程条件と最終品質の関係性からルールベースで構築したアルゴリズムにより最適制御条件を算出した。機械学習を用いた最適条件算出も実施可能であるが、変数間の交互作用や制約条件の有無等を考慮し適用対象の特性に応じて選択する事が好ましい。最適制御条件を計算する際には、最終品質項目がすべて狙いの範囲を満足するように制御対象となる項目および変化量を決定する。
品質予測および操作量計算のアルゴリズムのモデルは固定型、更新型を問わないが、本実施例では季節変動や加工機等の経年劣化等による変化等をモデルに取り込み変化に対応する柔軟なシステムとするため逐次更新型を採用した。逐次更新の場合、新しいデータを取り込んだ際に構築されるモデルによって開発当時想定していなかった計算結果が算出される場合がある他、固定更新に関わらず予測に使用する値が機械学習の範囲外となった場合や、予測したい物性値に対して変数が複雑となる際に局所解が発生する等、誤った予測、制御計算結果が出力される可能性がある。そのような場合、誤った計算結果に基づいて生産を行うため、安定した品質で油相を作成することができない。
そこで、最適制御条件に対し、異常検知部14で異常検知を行うことで、モデル更新型の課題を解決した。また、モデル更新型の予測システムと異常検知の組み合わせにより、機械学習手法のもう一方の課題である学習データに無い領域の推定精度が著しく低下する課題に対しても、過去学習データの実績に対する異常検知を行うことで推定精度が低下している状態を検知し人による制御に切り替える事を可能とすることで、誤った条件での操業を防止し、品質予測を用いて安定した品質の製品を生産することができる。
情報処理システム10の構成により、機械学習の学習データにある領域は自動制御を行い、未学習域で推定精度が低下している場合は異常検知により検知し人による制御へ切り変えを行う。人による制御結果をモデル更新により学習データに取り込むことで、学習域を拡大し自動制御システムで対応できる範囲拡大できるシステム構成とした。
異常検知モデル算出の手法としては、単純な上下限設定のほかエックスバー管理図等QC手法やホテリング、one-class SVM、近傍法等の機械学習を用いた分類手法等様々な手法を取り得るが、本実施例では対象項目が多く項目毎に閾値を設定、維持管理する作業が煩雑化してしまうため、過去データを用いた教師なし機械学習により異常を検知する手法としてARIMA(自己回帰和分移動平均)モデルによる予測値と実績の乖離度の判定とカーネル密度推定による過去実績密度分布の尤度の判定を採用した。管理限界は管理対象項目数や制御変更頻度に応じて任意で設定可能であるが、本実施例ではARIMAモデルでは予測値と実績値の乖離が二乗平均平方根誤差基準で3を超える場合乃至カーネル密度推定による区間確率が累積確率密度上位99.7%に含まれない場合を異常とした。また本実施例では項目間の直接的な相互作用を含まなかったため1項目毎に計算し判定を行うが、必要に応じ多変量解析手法である主成分分析やオートエンコーダを用いた異常検知手法を用いることで変数間の関係性を考慮した異常の検知も可能となる。
異常検知の結果、操作量計算部13の算出した操作量最適制御条件が正常範囲内である場合、最適制御条件を油相作成工程に反映させることでトナー粒子径最終品質を狙いの品質範囲に調整できる。最適制御条件が正常範囲内であれば、制御条件は計算結果記憶部17に格納され、工程動作指示部15を介して油相作成工程へ反映される。
工程動作指示部15、計算結果記憶部17についてはクラウドコンピューティング等の手段とネットワークシステムで構築することもできるが、本実施例ではオンプレミス環境での構築を行った。また、本実施例では計算結果記憶部17を介して最適制御条件の反映を実施しているが、操作量計算部13や異常検知部14から工程動作指示部15へ直接反映することも可能である。
操作量計算部13の算出した操作量最適制御条件に対して異常が検知された場合、工程への反映は実施しない。
[実施例2]
実施例2では、実施例1と同様に、図1〜図3に記載の情報処理システム10を用い、油相工程における処方を自動調整し、品質の安定化を行う。
実施例2では、実施例1と異なり、情報処理は図5の動作フローで動作させる。
まず、図1〜図3に記載の情報処理システム10を用いデータ集約部11にてデータ記憶部16に保存されている前回以前の設備設定、原材料情報、原材料処方、生産実績、製品の検査結果等(以下、過去実績データ)と、工程動作指示部15が保持しているこれから実施する油相作成工程の原材料物性情報、原材料処方、設備設定値等の情報(以下、予定データ)を収集する。
次に、収集した過去実績データおよび予定データに対して、異常検知部14による異常検知を行う。品質予測前に異常検知を実施することで、事前にデータの入力ミス、センサおよび生産設備の故障を検知することができる。また、データが学習範囲内であるか事前に判定することで、正確な予測が可能であるか否か判断することができる。異常が判定された場合、操業者に内容を通知することで、入力ミスの是正、故障対応が可能となり、安定した品質での生産が可能となる。
次に、異常のないことが確認された過去実績データおよび予定データを使用して品質予測を実施する。そして、品質予測結果に対して操作量計算部13による最適制御条件の算出を行う。算出された最適条件に対して、再度異常検知部14による異常検知を行う。入力されたデータに異常がなくとも、予測したい物性値に対して変数が複雑となるため、時として局所解が発生するため、異常検知によって誤った条件での操業を防止し、安定した品質での生産が可能となる。
[実施例3]
実施例3では、実施例2と同様に、図1〜図3に記載の情報処理システム10を用い、油相工程における処方を自動調整し、品質の安定化を行う。
実施例3では、実施例2と異なり、情報処理は図6の動作フローで動作させる。最適制御条件に対する異常検知結果が異常であった場合、操業者が最適制御条件を適用するか否かの判断を行う。必要があれば、計算条件に制約を追加し、再度品質予測および操作量計算を行うことで、より最適な制御条件を得ることができ、安定した品質での生産が可能となる。
本情報処理システム10をトナー製造プロセスで活用した結果、工程能力指数(C_pk)の向上とトナー品質管理者の工数15%低減を確認した。
このように、本発明の一実施形態では、原材料に関するデータと加工条件に関するデータの少なくとも一方から、生産される物の品質を予測および生産工程の最適制御条件を計算し、その計算結果に対して異常検知を行う生産システムを提供することができる。
上記で説明した実施形態の各機能は、一または複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせ等、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
10 情報処理システム
20 生産工程の設備
21 コントローラ
22 生産設備
23 センサ
30 ネットワーク
11 データ集約部
12 品質予測部
13 操作量計算部
14 異常検知部
15 工程動作指示部
16 データ記憶部
17 計算結果記憶部
特開2017−151962号公報

Claims (9)

  1. 物の生産に関するデータを集約するデータ集約部と、
    前記データに基づいて、前記物の品質を機械学習を用いて予測する品質予測部と、
    前記予測された品質に基づいて所定の品質の物を生産するために必要な生産工程に関する操作量を計算する操作量計算部と、
    前記操作量の異常の有無を機械学習を用いて判断する異常検知部と、
    異常が無い操作量を出力する工程動作指示部と
    を備えた情報処理システム。
  2. 前記物の生産に関するデータは、原材料に関するデータと加工条件に関するデータの少なくとも一方を含み、
    前記操作量は、原材料と加工条件の少なくとも一方の操作量を含む、請求項1に記載の情報処理システム。
  3. 前記異常検知部は、前記データ集約部が集約したデータの異常の有無を機械学習を用いて判断する、請求項1または2に記載の情報処理システム。
  4. 前記工程動作指示部は、
    異常が有る操作量を出力するか否かの指示を受信し、
    前記出力する指示を受信した場合に、前記異常が有る操作量を出力する、請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理システム。
  5. 前記工程動作指示部は、異常が有る操作量を再計算する指示を受信し、
    前記操作量計算部は、前記操作量を再計算する、請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理システム。
  6. 前記操作量の異常の有無の表示と、
    前記異常が有る操作量を出力するか否かを指示するための表示と
    を有する画面を表示させる、請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理システム。
  7. 前記物はトナーである、請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理システム。
  8. 情報処理システムが実行する方法であって、
    物の生産に関するデータを集約するステップと、
    前記データに基づいて、前記物の品質を機械学習を用いて予測するステップと、
    前記予測された品質に基づいて所定の品質の物を生産するために必要な生産工程に関する操作量を計算するステップと、
    前記操作量の異常の有無を機械学習を用いて判断するステップと、
    異常が無い操作量を出力するステップと
    を含む方法。
  9. コンピュータを
    物の生産に関するデータを集約するデータ集約部、
    前記データに基づいて、前記物の品質を機械学習を用いて予測する品質予測部、
    前記予測された品質に基づいて所定の品質の物を生産するために必要な生産工程に関する操作量を計算する操作量計算部、
    前記操作量の異常の有無を機械学習を用いて判断する異常検知部、
    異常が無い操作量を出力する工程動作指示部
    として機能させるためのプログラム。
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