以下、本発明に係る路面描画装置及び車両を実施するための形態が添付図面とともに例示される。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、以下の実施形態から変更、改良することができる。また、上記添付図面では、理解を容易にするために各部材の寸法が誇張して示されている場合がある。
図1は、実施形態における車両を概念的に示す平面図である。図1に示すように、本実施形態における車両は4輪の自動車1である。
図2は、自動車1の構成の一部を示すブロック図である。図1及び図2に示すように、自動車1は、フロントライト10と、右方向指示器20と、左方向指示器30と、バックライト40と、前方路面描画装置50Fと、後方路面描画装置50Bと、制御部60と、ステアリング61と、検知センサ65と、記憶部90と、を主な構成として備える。なお、本明細書において「右」とは自動車1の進行方向に対して右側を意味し、「左」とは自動車1の進行方向に対して左側を意味する。
フロントライト10は、右フロントライト11及び左フロントライト12を有している。右フロントライト11及び左フロントライト12は、例えば、不図示のライトスイッチが操作されることによって同時に発光する。フロントライト10は、例えば、自動車1の運転者の操作により、又は自動制御により、ロービームやハイビーム、あるいはデイライトに切り替えることができるように構成される。
右方向指示器20は、右フロントターンランプ21と、右サイドミラーターンランプ22と、右リアターンランプ23とを有している。右フロントターンランプ21は、例えば、右フロントライト11の右側に右フロントライト11と近接して設けられる。右サイドミラーターンランプ22は、例えば、右サイドミラーカバー24の前面に設けられる。また、右リアターンランプ23は、例えば、右バックライト41の右側に右バックライト41と近接して設けられる。右フロントターンランプ21、右サイドミラーターンランプ22、及び右リアターンランプ23は、例えば不図示の右ターンスイッチが操作されることによって同時に発光する。このように右方向指示器20が発光することによって、自動車1が右に旋回することが周囲の人に周知される。その後、運転者がステアリング61を基準位置から右回りに所定の操舵角だけ回転させることで、自動車1がその操舵角に応じて右に旋回する。
また、右方向指示器20は、制御部60に接続されており、右フロントターンランプ21、右サイドミラーターンランプ22、及び右リアターンランプ23が発光した際に信号を制御部60に出力する。
左方向指示器30は、左フロントターンランプ31と、左サイドミラーターンランプ32と、左リアターンランプ33とを有している。左フロントターンランプ31は、例えば、左フロントライト12の左側に左フロントライト12と近接して設けられる。左サイドミラーターンランプ32は、例えば、左サイドミラーカバー34の前面に設けられる。また、左リアターンランプ33は、例えば、左バックライト42の左側に左バックライト42と近接して設けられる。左フロントターンランプ31、左サイドミラーターンランプ32、及び左リアターンランプ33は、例えば不図示の左ターンスイッチが操作されることによって同時に発光する。このように左方向指示器30が発光することによって、自動車1が左に旋回することが周囲の人に周知される。その後、運転者がステアリング61を基準位置から左回りに所定の操舵角だけ回転させることで、自動車1がその操舵角に応じて左に旋回する。
また、左方向指示器30は、制御部60に接続されており、左フロントターンランプ31、左サイドミラーターンランプ32、及び左リアターンランプ33が発光した際に信号を制御部60に出力する。
バックライト40は、右バックライト41及び左バックライト42を有している。右バックライト41及び左バックライト42は、例えば、不図示のブレーキが操作されることによって、又は上記ライトスイッチが操作されることによって同時に発光する。
前方路面描画装置50Fは、自動車1から所定の距離だけ前方に離れた路面上に所定の形状の描画像を描画する装置である。本実施形態において、前方路面描画装置50Fは、例えば、右フロントライト11の左側に右フロントライト11と近接して設置され、自動車1の中央よりも右側に設置されている。なお、前方路面描画装置50Fは、右フロントライト11及び右フロントターンランプ21とともに、不図示の光透過性の筐体に覆われた灯室内に配置されてもよい。
この前方路面描画装置50Fは、光軸が概ね前方を向く光源51Fと、制御部60と、制御部60及び後述するモータ83Fに接続される第1モータ駆動回路91Mと、制御部60及び光源51Fに接続される第1光源駆動回路91Lと、を備えている。
後方路面描画装置50Bは、自動車1から所定の距離だけ後方に離れた路面上に所定の形状の描画像を描画する装置である。本実施形態において、後方路面描画装置50Bは、例えば、右バックライト41の左側に右バックライト41と近接して設置されている。なお、後方路面描画装置50Bは、右バックライト41及び右リアターンランプ23とともに、不図示の光透過性の筐体に覆われた灯室内に配置されてもよい。
この後方路面描画装置50Bは、光軸が概ね後方を向く光源51Bと、制御部60と、制御部60及び後述するモータ83Bに接続される第2モータ駆動回路92Mと、制御部60及び光源51Bに接続される第2光源駆動回路92Lと、を備えている。
上述のように、路面描画装置50F,50Bは、制御部60を共通して備えている。この制御部60は、所定のタイミングで上記モータ83F,83Bを駆動させる。制御部60は、例えば、自動車1の電子制御装置(ECU)の一部とされてもよく、ECUとは別に設けられてもよい。このような制御部60としては、例えば、マイクロコントローラ、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large-scale Integrated Circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの集積回路、或いはNC(Numerical Control)装置を挙げることができる。また、制御部60は、NC装置を用いた場合、機械学習器を用いたものであってもよく、機械学習器を用いないものであってもよい。
ステアリング61は、自動車1の前方右側に設けられており、不図示の舵角センサを含んでいる。この舵角センサは、制御部60に接続されており、ステアリング61の基準位置からの操舵角に応じた信号を制御部60に出力する。
本実施形態において、検知センサ65は人感センサである。この検知センサ65は、自動車1の中央よりも左側に設置されている。検知センサ65の構成として、例えば、不図示のカメラ、画像処理部、検知部等を備える構成が挙げられる。例えば、カメラは車両の周囲を撮影可能に構成される。また、画像処理部は、カメラによって撮影された画像に画像処理を施す。また、検知部は、画像処理部によって画像処理された情報からの車両の周囲に存在する人を検知する。このような構成により、検知センサ65は、自動車1の周囲の所定距離以内に位置する人を検知することができる。検知センサ65は、制御部60に接続されており、自動車1の周囲の所定距離以内に存在する人を検知した際に、信号を制御部60に出力する。
ところで、歩行者などはステアリングが配置される側とは反対側に存在する傾向が強い。例えば、本実施形態のようにステアリング61が自動車1の右側に配置されることが主流の国や地域では、歩道が自動車1の左側に設けられる等の理由によって、歩行者が自動車1の左側に存在する傾向が強い。そこで、本実施形態のように人感センサである検知センサ65を自動車1の左側に配置することで、自動車1の右側に検知センサ65を配置する場合に比べて、人を検知し易くし得る。ただし、人感センサを設置する位置は、自動車1の前方左側に限られるものではない。
記憶部90は、制御部60に接続されており、上記モータ83F,83Bを制御するためのテーブルなどを格納している。このような記憶部90として、例えば半導体メモリなどを用いてもよい。
次に、上述した2つの路面描画装置50F,50Bについてより詳細に説明する。
まず、前方路面描画装置50Fについて説明する。
図3は、前方路面描画装置50Fを概念的に示す側面図である。図3に示すように、前方路面描画装置50Fは、光LFを出射する光源51Fと、描画レンズ52Fと、制御部60とを主な構成として備える。光源51F及び描画レンズ52Fは、水平面に対してやや下方に傾いた状態で配置されている。
光源51Fは、不図示の構成によって自動車1の車体に固定されている。光源51Fは、描画レンズ52Fの概ね焦点上に配置されており、光LFを前方に出射する。したがって、光LFは、光源51Fから前方斜め下方に向かって出射して、描画レンズ52Fに入射する。
描画レンズ52Fは、後述する構成によって、自動車1の車体に固定されるとともに光軸中心に回転可能である。描画レンズ52Fは、光LFが入射する入射面54と、光LFが出射する出射面55とを有している。本実施形態において、入射面54は概ね平面状の形状を有する。一方、出射面55は、光LFの出射方向に向かって凸となる形状を有している。
図4は、前方路面描画装置50Fを描画レンズ52Fの出射面55側から見た正面図であり、前方路面描画装置50Fの構成を概念的に示す図である。図4に示すように、前方路面描画装置50Fは、駆動部80をさらに備えている。描画レンズ52Fは、駆動部80の駆動に伴って図4に示す基準状態から光軸中心に回転する。この駆動部80については後に詳細に説明する。なお、図3では、図が複雑化することを避けるために、駆動部80の図示が省略されている。
図3及び図4に示すように、描画レンズ52Fの出射面55は、出射面55の外縁に位置する描画非寄与領域57と、当該描画非寄与領域57の内側に位置する描画寄与領域53Fとを含んでいる。描画非寄与領域57は、光源51Fからの光LFが殆ど出射しない領域、或いは、当該領域から光LFが出射する場合でもこの光LFの拡散角が大きくなり、路面への投影像として殆ど現れない領域であり、路面描画に寄与しない領域である。一方、描画寄与領域53Fは、光LFの大部分が出射する領域であり、路面描画に寄与する領域である。
なお、出射面55の全体が描画寄与領域53Fとなるように描画レンズ52Fを形成してもよい。
描画寄与領域53Fは、異なる曲率を有する3つの曲面が連結して形成されており、下部に位置する曲面からなる第1領域53aと、中央に位置して最も突出する曲面からなる第2領域53bと、上部に位置する曲面からなる第3領域53cとに区切られている。すなわち、第1領域53aと第2領域53bとは、異なる曲率を有する曲面同士が交わる交線CL1により区切られており、第2領域53bと第3領域53cとは、異なる曲率を有する曲面同士が交わる交線CL2により区切られている。
図4に示すように、交線CL1及び交線CL2は、上記基準状態において上方に凸となる略逆V字状の軌跡を有している。このような交線CL1,CL2により領域53a,53b,53cの境界が画定されることによって、本実施形態の3つの領域53a,53b,53cは、いずれも正面視において概ね略逆V字状の形状を有する領域となる。
このような構成を有する前方路面描画装置50Fにおいて、描画レンズ52Fが上記基準状態にある際に光源51Fから光LFが出射すると、光LFは、前方斜め下方に向かって伝搬して、描画レンズ52Fの入射面54に入射する。その後、光LFのうち下方に位置する成分は、描画レンズ52Fの概ね下側の部分を透過して、第1領域53aから前方斜め下方に出射する。本実施形態において、第1領域53aの形状は、当該領域53aから出射する光が当該領域53aの形状と概ね同じ形状になるように屈折する形状とされる。上述のように、第1領域53aは概ね略逆V字状の形状を有している。したがって、第1領域53aから出射する光LFの成分は、第1領域53aの略逆V字状の形状に基づいて成型され、概ね略逆V字状の形状を有する光LFaとなる。
また、光LFのうち中央に位置する成分は、描画レンズ52Fの概ね中央の部分を透過して、第2領域53bから前方斜め下方に出射する。本実施形態において、第2領域53bの形状は、当該領域53bから出射する光が当該領域53bの形状と概ね同じ形状になるように屈折する形状とされる。上述のように、第2領域53bは概ね略逆V字状の形状を有している。したがって、第2領域53bから出射する光LFの成分は、この略逆V字状の形状に基づいて成型され、概ね略逆V字状の形状を有する光LFbとなる。
また、光LFのうち上方に位置する成分は、描画レンズ52Fの概ね上側の部分を透過して、第3領域53cから前方斜め下方に出射する。本実施形態において、第3領域53cの形状は、当該領域53cから出射する光が当該領域53cの形状と概ね同じ形状になるように屈折する形状とされる。上述のように、第3領域53cは概ね略逆V字状の形状を有している。したがって、第3領域53cから出射する光LFの成分は、この略逆V字状の形状に基づいて成型され、概ね略逆V字状の形状を有する光LFcとなる。
こうして、光LFa〜LFcが自動車1から前方斜め下方に出射する結果、図3に示すように、自動車1から前方に所定の距離離れた路面RFに描画像70Fが描画される。この描画像70Fは、光LFaが路面RFに投影された像71Fと、光LFbが路面RFに投影された像72Fと、光LFcが路面RFに投影された像73Fとを含んでいる。なお、上記所定の距離は、例えば、自動車1から1m以上5m以下の距離であってもよい。
以下、像71F,72F,73Fについて説明する。
上述のように、第1領域53aと第2領域53bとは、異なる曲率を有する曲面同士が交わる交線CL1によって区切られている。このため、交線CL1を挟んで下方の領域である第1領域53aから出射する光LFaが屈折する方向と、交線CL1を挟んで上方の領域である第2領域53bから出射する光LFbが屈折する方向とは互いに異なる。本実施形態では、第1領域53aを形成する曲面及び第2領域53bを形成する曲面は、光LFaと光LFbとが個別に前方斜め下方に伝搬する形状に形成されている。より具体的には、第1領域53aの曲面は、光LFaが路面RFの自動車1に最も近い第1位置RF1に到達するように形成されている。また、第2領域53bの曲面は、第1位置RF1から離間して第1位置RF1の前方に位置する第2位置RF2に光LFbが到達するように形成されている。したがって、光LFaによる路面RFにおける像71Fと、光LFbによる路面RFにおける像72Fとは、路面RFに互いに離間して個別に投影される。
また、上述のように、第2領域53bと第3領域53cとは、異なる曲率を有する曲面同士が交わる交線CL2によって区切られている。このため、交線CL2を挟んで下方の領域である第2領域53bから出射する光LFbが屈折する方向と、交線CL2を挟んで上方の領域である第3領域53cから出射する光LFcが屈折する方向とは互いに異なる。本実施形態では、第2領域53bを形成する曲面及び第3領域53cを形成する曲面は、光LFbと光LFcとが個別に前方斜め下方に伝搬する形状に形成されている。より具体的には、第3領域53cの曲面は、第2位置RF2から離間して第2位置RF2の前方に位置する第3位置RF3に光LFcが到達するように形成されている。したがって、光LFbによる路面RFにおける像72Fと、光LFcによる路面RFにおける像73Fとは、路面RFに互いに離間して個別に投影される。
このように、描画レンズ52Fが上記基準状態にある場合、略逆V字状に成型された光LFa,LFb,LFcが前方斜め下方に伝搬して、路面RFに互いに離間して到達する。その結果、路面RFに描画される描画像70Fは、図1に示すように、光LFaが第1位置RF1に投影されてなる略逆V字状の像71Fと、光LFbが第2位置RF2に投影されてなる略逆V字状の像72Fと、光LFcが第3位置RF3に投影されてなる略逆V字状の像73Fとが互いに離間して進行方向に並んだ描画像となる。このように、描画像70Fは、略逆V字状の像71F,72F,73Fが進行方向に並んだキャラクターを示すため、描画像70Fの視認者は、例えば自動車1が走行中であることなどを想起し得る。
このような略逆V字状の像71F,72F,73Fが3つ連なった描画像70Fを形成するためには、例えば、上述の第1領域53a、第2領域53b、及び第3領域53cの正面視における比率を概ね1:1:1にすることが好ましい。また、このような描画像70Fを形成する描画寄与領域53Fの形状は、概ね球面を基調とする形状であることが好ましい。
なお、描画像70Fの形状及び寸法は、図1に示すものに限定されるものではない。
次に、前方路面描画装置50Fの上記駆動部80について詳細に説明する。
図4に示すように、駆動部80は、レンズホルダ81と、3つの歯車82と、モータ83Fとを備えている。モータ83Fは、不図示の構成により自動車1の車体に固定されている。
レンズホルダ81は、描画レンズ52Fの外周面に固定されている。レンズホルダ81は、正面視において円盤状の外形を有しており、レンズホルダ81の外周は外歯歯車81Gになっている。なお、図4では、図が複雑になることを避けるために、外歯歯車81Gにおける歯状の形状が省略されている。
3つの歯車82のそれぞれは、同様の寸法及び外形を有しており、レンズホルダ81の外側に配置されている。より具体的には、3つの歯車82は、正面視において、描画レンズ52Fの光軸を中心とする円上に概ね120度の間隔を空けて配置されており、レンズホルダ81の外歯歯車81Gに咬合している。なお、図4では、図が複雑になることを避けるために、歯車82の歯状の形状が省略されている。
歯車82のそれぞれの中央には軸受けが設けられており、この軸受けに回転軸82Jの一端が回転可能に固定されている。これら3つの歯車82のうちの一つの回転軸82Jの他端は、モータ83Fのモータ軸に接続されている。他の2つ歯車82の回転軸82Jのそれぞれの他端は、自動車1の車体に対して固定された不図示の軸受けに回転可能に固定されている。
本実施形態では、このような3つの歯車82がレンズホルダ81の外歯歯車81Gの3か所に概ね120度の間隔を空けて咬合することによって、レンズホルダ81及び描画レンズ52Fが、自動車1の車体に対して固定される。また、上記のような構成によって、レンズホルダ81及び描画レンズ52Fは、モータ83Fの駆動に伴って描画レンズ52Fの光軸中心に回転する。具体的には、上記モータ軸が回転することにより、当該モータ軸に接続された回転軸82Jを有する歯車82が回転し、この歯車82の回転に同期して、他の2つの歯車82と、レンズホルダ81及び描画レンズ52Fとが回転する。
なお、駆動部80を構成する歯車82の数は3つに限られず、2つ以上であればよい。例えば、駆動部80を2つの歯車82で構成する場合には、当該2つの歯車を、平面視において描画レンズ52Fの光軸中心に対して概ね点対称の位置に配置することが好ましい。これにより、レンズホルダ81及び描画レンズ52Fを車体に対して効果的に固定し得る。また、駆動部80を4つの歯車で構成する場合には、当該4つの歯車を、正面視において、描画レンズ52Fの光軸を中心とする円上に概ね90度の間隔を空けて配置することが好ましい。これにより、レンズホルダ81及び描画レンズ52Fを車体に対して効果的に固定し得る。また、駆動部80を構成する歯車82の数を増やすことで、レンズホルダ81及び描画レンズ52Fを車体に対してより効果的に固定し得る。
また、描画レンズ52Fを車体に対して固定するとともに光軸中心に回転させる上記構成は例示的なものであり、その他の構成によって、描画レンズ52Fを車体に対して固定するとともに光軸中心に回転させてもよい。
モータ83Fは、上記第1モータ駆動回路91Mを介して制御部60に接続されており、制御部60の制御に基づいて駆動する。具体的には、モータ83Fは、制御部60に接続された不図示のエンコーダを含んでいる。このエンコーダは、モータ83Fのモータ軸の回転位置を検知して、所定の信号を制御部60に出力する。制御部60は、エンコーダからの信号に基づいて、モータ83Fの回転数を制御する。このようなモータ83Fの種類は特に限定されないが、例えばステッピングモータであってもよい。
図5は、描画レンズ52Fが上記基準状態から光軸中心に所定の角度だけ右回転した様子を示す図である。図5に示すように、描画レンズ52Fが光軸中心に右回転することによって、描画寄与領域53Fの形状の向きが変化する。例えば、描画レンズ52Fを基準状態から右回りに概ね30度回転させることにより、描画寄与領域53Fの領域53a,53b,53cの略逆V字状の形状が右方向に概ね30度回転する。
そして、第1領域53aの略逆V字状の形状が右方向に例えば概ね30度回転することによって、第1領域53aの形状に基づいて上記基準状態では略逆V字状に成型された光LFaの形状が、右方向に概ね30度傾いた形状となる。同様に、第2領域53bから出射する光LFb及び第3領域53cから出射する光LFcの形状も、右方向に概ね30度傾いた形状となる。このように右方向に所定の角度だけ傾いた形状を有する光LFa,LFb,LFcが自動車1の前方斜め下方に伝搬する結果、図6に示すように、光LFaによる像71F、光LFbによる像72F、及び光LFcによる像73Fの形状が、それぞれ右方向に例えば概ね30度傾いた略逆V字状の形状となる。こうして、上記基準状態では自動車1の進行方向に凸となる描画像70Fの形状が、描画レンズ52Fが所定の角度だけ右回転することによって、凸となる方向が進行方向に対して右方向に所定の角度だけ傾いた形状に変化する。
また、図示は省略するが、描画レンズ52Fが基準状態から光軸中心に所定の角度だけ左回転することによって、上記基準状態では自動車1の進行方向に凸となる描画像70Fの形状が、凸となる方向が進行方向に対して左方向に所定の角度だけ傾いた形状に変化する。
次に、後方路面描画装置50Bについて説明する。
図7は、後方路面描画装置50Bを概念的に示す側面図である。図7に示すように、後方路面描画装置50Bは、光LBを出射する光源51Bと、描画レンズ52Bと、制御部60とを主な構成として備える。光源51B及び描画レンズ52Bは、水平面に対してやや下方に傾いた状態で配置されている。
光源51Bは、不図示の構成によって自動車1の車体に固定されている。光源51Bは、描画レンズ52Bの概ね焦点上に配置されており、光LBを後方に出射する。したがって、光LBは、光源51Bから後方斜め下方に向かって出射して、描画レンズ52Bに入射する。
描画レンズ52Fは、自動車1の車体に固定されるとともに光軸中心に回転可能である。描画レンズ52Bは、光LBが入射する入射面54と、光LBが出射する出射面55とを有している。本実施形態において、入射面54は概ね平面状の形状を有する。一方、出射面55は、光LBの出射方向に向かって凸となる形状を有している。
図8は、後方路面描画装置50Bを描画レンズ52Bの出射面55側から見た正面図であり、後方路面描画装置50Bの構成を概念的に示す図である。なお、図8は、描画レンズ52Bの基準状態を示している。図8に示すように、後方路面描画装置50Bは、前方路面描画装置50Fと概ね同様の構成を有する。しかし、後方路面描画装置50Bは、描画寄与領域53Bの形状が前方路面描画装置50Fの描画寄与領域53Fと異なる点において、前方路面描画装置50Fと主に異なる。したがって、以下、前方路面描画装置50Fと同様の構成を有する後方路面描画装置50Bの駆動部80等の説明を適宜省略し、描画寄与領域53Bについて詳細に説明する。
図7及び図8に示すように、描画レンズ52Bの出射面55は、出射面55の外縁に位置する描画非寄与領域57と、当該描画非寄与領域57の内側に位置する描画寄与領域53Bとを含んでいる。描画非寄与領域57は、光源51Bからの光LBが殆ど出射しない領域、或いは、当該領域から光LBが出射する場合でもこの光LBの拡散角が大きくなり、路面への投影像として殆ど現れない領域であり、路面描画に寄与しない領域である。一方、描画寄与領域53Bは、光LBの大部分が出射する領域であり、路面描画に寄与する領域である。
なお、出射面55の全体が描画寄与領域53Bとなるように描画レンズ52Bを形成してもよい。
描画寄与領域53Bは、異なる曲率を有する3つの曲面が連結して形成されており、下部に位置する曲面からなる第1領域53aと、中央に位置して最も突出する曲面からなる第2領域53bと、上部に位置する曲面からなる第3領域53cとに区切られている。すなわち、第1領域53aと第2領域53bとは、異なる曲率を有する曲面同士が交わる交線CL1により区切られており、第2領域53bと第3領域53cとは、異なる曲率を有する曲面同士が交わる交線CL2により区切られている。
図8に示すように、交線CL1及び交線CL2は、上記基準状態において下方に凸となる略V字状の軌跡を有している。このような交線CL1,CL2により領域53a,53b,53cの境界が画定されることによって、本実施形態の3つの領域53a,53b,53cは、いずれも正面視において概ね略V字状の形状を有する領域となる。
このような構成を有する後方路面描画装置50Bにおいて、描画レンズ52Bが上記基準状態にある際に光源51Bから光LBが出射すると、光LBは、後方斜め下方に向かって伝搬して、描画レンズ52Bの入射面54に入射する。その後、光LBのうち下方に位置する成分は、描画レンズ52Bの概ね下側の部分を透過して、第1領域53aから後方斜め下方に出射する。本実施形態において、第1領域53aの形状は、当該領域53aから出射する光が当該領域53aの形状と概ね同じ形状になるように屈折する形状とされる。上述のように、第1領域53aは概ね略V字状の形状を有している。したがって、第1領域53aから出射する光LBの成分は、第1領域53aの略V字状の形状に基づいて成型され、概ね略V字状の形状を有する光LBaとなる。
また、光LBのうち中央に位置する成分は、描画レンズ52Bの概ね中央の部分を透過して、第2領域53bから後方斜め下方に出射する。本実施形態において、第2領域53bの形状は、当該領域53bから出射する光が当該領域53bの形状と概ね同じ形状になるように屈折する形状とされる。上述のように、第2領域53bは概ね略V字状の形状を有している。したがって、第2領域53bから出射する光LBの成分は、この略V字状の形状に基づいて成型され、概ね略V字状の形状を有する光LBbとなる。
また、光LBのうち上方に位置する成分は、描画レンズ52Bの概ね上側の部分を透過して、第3領域53cから後方斜め下方に出射する。本実施形態において、第3領域53cの形状は、当該領域53cから出射する光が当該領域53cの形状と概ね同じ形状になるように屈折する形状とされる。上述のように、第3領域53cは概ね略V字状の形状を有している。したがって、第3領域53cから出射する光LBの成分は、この略V字状の形状に基づいて成型され、概ね略V字状の形状を有する光LBcとなる。
こうして、光LBa〜LBcが自動車1から後方斜め下方に出射する結果、図7に示すように、自動車1から後方に所定の距離離れた路面RBに描画像70Bが描画される。この描画像70Bは、光LBaが路面RFに投影された像71Bと、光LBbが路面RBに投影された像72Bと、光LBcが路面RBに投影された像73Bとを含んでいる。
以下、像71B,72B,73Bについて説明する。
上述のように、第1領域53aと第2領域53bとは、異なる曲率を有する曲面同士が交わる交線CL1によって区切られている。このため、交線CL1を挟んで下方の領域である第1領域53aから出射する光LBaが屈折する方向と、交線CL1を挟んで上方の領域である第2領域53bから出射する光LBbが屈折する方向とは互いに異なる。本実施形態では、第1領域53aを形成する曲面及び第2領域53bを形成する曲面は、光LBaと光LBbとが個別に後方斜め下方に伝搬する形状に形成されている。より具体的には、第1領域53aの曲面は、光LBaが路面RBの自動車1に最も近い第1位置RB1に到達するように形成されている。また、第2領域53bの曲面は、第1位置RB1から離間して第1位置RB1の後方に位置する第2位置RB2に光LBbが到達するように形成されている。したがって、光LBaによる路面RBにおける像71Bと、光LBbによる路面RBにおける像72Bとは、路面RBに互いに離間して個別に投影される。
また、上述のように、第2領域53bと第3領域53cとは、異なる曲率を有する曲面同士が交わる交線CL2によって区切られている。このため、交線CL2を挟んで下方の領域である第2領域53bから出射する光LBbが屈折する方向と、交線CL2を挟んで上方の領域である第3領域53cから出射する光LBcが屈折する方向とは互いに異なる。本実施形態では、第2領域53bを形成する曲面及び第3領域53cを形成する曲面は、光LBbと光LBcとが個別に後方斜め下方に伝搬する形状に形成されている。より具体的には、第3領域53cの曲面は、第2位置RB2から離間して第2位置RB2の後方に位置する第3位置RB3に光LBcが到達するように形成されている。したがって、光LBbによる路面RBにおける像72Bと、光LBcによる路面RBにおける像73Bとは、路面RBに互いに離間して個別に投影される。
このように、描画レンズ52Bが上記基準状態にある場合、略V字状に成型された光LBa,LBb,LBcが後方斜め下方に伝搬して、路面RBに互いに離間して到達する。その結果、路面RBに描画される描画像70Bは、図1に示すように、光LBaが第1位置RB1に投影されてなる略逆V字状の像71Bと、光LFbが第2位置RB2に投影されてなる略逆V字状の像72Bと、光LBcが第3位置RB3に投影されてなる略逆V字状の像73Bとが互いに離間して進行方向に並んだ描画像となる。このように、描画像70Bは、略逆V字状の像71B,72B,73Bが進行方向に並んだキャラクターを示すため、描画像70Bの視認者は、例えば自動車1が走行中であることなどを想起し得る。
このような略逆V字状の像71B,72B,73Bが3つ連なった描画像70Bを形成するためには、例えば、上述の第1領域53a、第2領域53b、及び第3領域53cの正面視における比率を概ね1:1:1にすることが好ましい。また、このような描画像70Bを形成する描画寄与領域53Bの形状は、概ね球面を基調とする形状であることが好ましい。
なお、描画像70Bの形状及び寸法は、図1に示すものに限定されるものではない。
このような描画レンズ52Bは、前方路面描画装置50Fの描画レンズ52Fと同様に、駆動部80の駆動に伴って光軸周りに回転可能である。
具体的には、前方路面描画装置50Fと同様に、例えば、第2モータ駆動回路92Mを介して正の電圧がモータ83Bに印加されたときに、モータ83Bがモータ軸を右回りに回転させ、その結果、描画レンズ52Bが所定の角度だけ光軸中心に右回転する。また、第2モータ駆動回路92Mを介して負の電圧がモータ83Bに印加されたときに、モータ83Bがモータ軸を左回りに回転させ、その結果、描画レンズ52Bが所定の角度だけ光軸中心に左回転する。
したがって、例えば図9に示すように、描画レンズ52Bが光軸中心に右回転することによって、描画寄与領域53Bの形状の向きが変化する。例えば、描画レンズ52Bを基準状態から右回りに概ね30度回転させることにより、描画寄与領域53Bの領域53a,53b,53cの略V字状の形状が右方向に概ね30度回転する。
そして、第1領域53aの略V字状の形状が右方向に例えば概ね30度回転することによって、第1領域53aの形状に基づいて上記基準状態では略V字状に成型された光LBaの形状が、右方向に概ね30度傾いた形状となる。同様に、第2領域53bから出射する光LBb及び第3領域53cから出射する光LBcの形状も、右方向に概ね30度傾いた形状となる。このように右方向に所定の角度だけ傾いた形状を有する光LBa,LBb,LBcが自動車1の後方斜め下方に伝搬する結果、図10に示すように、光LBaによる像71B、光LBbによる像72B、及び光LBcによる像73Bの形状が、それぞれ右方向に例えば概ね30度傾いた略逆V字状の形状となる。こうして、上記基準状態では自動車1の進行方向に凸となる描画像70Bの形状が、描画レンズ52Bが所定の角度だけ右回転することによって、凸となる方向が進行方向に対して右方向に所定の角度だけ傾いた形状に変化する。
また、図示は省略するが、描画レンズ52Bが基準状態から光軸中心に所定の角度だけ左回転することによって、上記基準状態では自動車1の進行方向に凸となる描画像70Bの形状が、凸となる方向が進行方向に対して左方向に所定の角度だけ傾いた形状に変化する。
次に、路面描画装置50F,50Bの動作の一例について説明する。
まず、制御部60による第1の制御について説明する。
図11は、制御部60の前方路面描画装置50Fに対する第1の制御フローの一例を示すフローチャートである。図11に示すように、この前方路面描画装置50Fの制御フローは、ステップSP11〜ステップSP16を含んでいる。なお、本実施形態において、この第1の制御は、前方路面描画装置50F及び後方路面描画装置50Bに対して同様に行われる。したがって、前方路面描画装置50Fに対する制御について詳細に説明し、後方路面描画装置50Bの制御の詳細については省略する。
この第1の制御では、自動車1のイグニッション電源がオンになると、制御部60による前方路面描画装置50Fの制御がスタートする。なお、このスタート状態では、描画レンズ52Fは図4に示す基準状態にあり、光源51Fは発光していない。
(ステップSP11)
まず、制御部60は、上記右ターンスイッチから信号が入力するか否か判断する。右ターンスイッチからの信号が入力しない場合、制御部60は本ステップを繰り返す。一方、右ターンスイッチからの信号が入力する場合、制御部60は、ステップをステップSP12に進める。
なお、本明細書において「判断」とは、制御部60がステップを進めたり戻したり、あるいは、繰り返したりすることをいう。
(ステップSP12)
本ステップにおいて、制御部60は、第1モータ駆動回路91Mに所定の制御信号を出力する。これにより、第1モータ駆動回路91Mからモータ83Fに電流が供給され、モータ83Fが所定の回転数だけ回転する。その結果、描画レンズ52Fが光軸中心に所定の角度だけ右回転して、描画寄与領域53Fの形状が右方向に所定の角度傾いた例えば図5の状態となる。
描画レンズ52Fが例えば図5の状態となり、モータ83Fの上記エンコーダから、モータ軸が所定の回転位置にある旨の信号が制御部60に入力すると、制御部60は、上記制御信号を第1モータ駆動回路91Mに出力することを中断する。これにより、モータ83Fの回転が停止する。こうして、描画レンズ52Fの状態が維持される。
制御部60は、上記制御信号の出力を中断すると、ステップをステップSP13に進める。
(ステップSP13)
本ステップにおいて、制御部60は第1光源駆動回路91Lに制御信号を出力する。これにより、第1光源駆動回路91Lから光源51Fに電力が供給され、光源51Fから光LFが出射する。その結果、前方路面描画装置50Fによって自動車1の前方の路面RFに描画像70Fが描画される。ここで、上述のように、描画寄与領域53Fは、ステップSP12によって例えば図5のように右方向に傾いている。このため、この描画像70Fは、例えば図6に示すような右方向に傾いたキャラクターを示す。したがって、自動車1の周囲に存在する人は、自動車1が右旋回する予定であることなどを想起し得る。
制御部60は、第1光源駆動回路91Lに制御信号を出力すると、ステップをステップSP14に進める。
なお、ステップSP12とステップSP13との順序が逆であってもよい。このように順序が逆である場合、まず、図1に示す前方に凸となる描画像70Fが描画された後、当該描画像70Fが右回転して例えば図5に示すような傾いた描画像70Fになる。
(ステップSP14)
本ステップにおいて、制御部60は、上記右ターンスイッチから信号が入力するか否か再び判断する。右ターンスイッチからの信号が入力する場合、制御部60は本ステップを繰り返す。これにより、描画寄与領域53Fが右方向に傾いた描画レンズ52Fに光LFが入射し続け、右方向に傾いた描画像70Fが路面RFに描画され続ける。
一方、右ターンスイッチからの信号が入力しない場合、制御部60はステップをステップSP15に進める。
(ステップSP15)
本ステップにおいて、制御部60は、第1光源駆動回路91Lに制御信号を出力することを中断する。これにより、光源51Fに電力が供給されなくなり、路面RFに描画された描画像70Fが消失する。
制御部60は、第1光源駆動回路91Lに制御信号を出力することを中断すると、ステップをステップSP16に進める。
(ステップSP16)
本ステップにおいて、制御部60は、所定の制御信号を第1モータ駆動回路91Mに出力する。これにより、モータ83Fが所定の回転数だけ回転する。その結果、描画レンズ52Fが光軸中心に回転して、図4に示す基準状態に戻る。
また、描画レンズ52Fが基準状態にあることに対応する信号がモータ83Fのエンコーダから制御部60に入力すると、制御部60は、制御信号を第1モータ駆動回路91Mに出力することを中断する。これにより、描画レンズ52Fの基準状態が維持される。
その後、制御部60は、ステップをステップSP11に戻す。
本実施形態において、制御部60は、自動車1のイグニッション電源がオンの間上記ステップSP11〜ステップSP16を繰り返す。
このような第1の制御によれば、右方向指示器20が動作するタイミングで、右方向に傾いた描画像70Fが路面RFに描画される。したがって、自動車1の周囲に存在する人、特に自動車1の前方に存在する人は、自動車1の右旋回を想起し得、例えば安全性が向上し得る。
また、本実施形態では、制御部60は、後方路面描画装置50Bに対しても上記ステップSP11〜ステップSP16を行う。その結果、右方向指示器20が動作するタイミングで、右方向に傾いた描画像70Bが路面RBに描画される。したがって、自動車1の周囲に存在する人、特に自動車1の後方に存在する人は、自動車1の右旋回を想起し得、例えば安全性が向上し得る。
また、左方向指示器30が動作する場合は、上記ステップSP11〜ステップSP16が行われて左方向に傾いた描画像70F,70Bが路面RF,RBに描画される。したがって、自動車1の周囲に存在する人は自動車1の左旋回を想起し得、例えば安全性が向上し得る。
なお、この第1の制御において、光源51F,51Bを点滅させてもよい。こうすることで、点滅する描画像を路面に描画することができ、描画像のインパクトをより強くし得る。
次に、制御部60による第2の制御について説明する。
図12は、制御部60の前方路面描画装置50Fに対する第2の制御フローの一例を示すフローチャートである。図12に示すように、この前方路面描画装置50Fの制御フローは、ステップSP21〜ステップSP28を含んでいる。なお、本実施形態において、この第2の制御は、前方路面描画装置50F及び後方路面描画装置50Bに対して同様に行われる。したがって、前方路面描画装置50Fに対する制御について詳細に説明し、後方路面描画装置50Bの制御の詳細については省略する。
この第2の制御では、自動車1のイグニッション電源がオンになると、制御部60による前方路面描画装置50Fの制御がスタートする。なお、このスタート状態では、描画レンズ52Fは図4に示す基準状態であり、光源51Fは発光していない。
(ステップSP21〜ステップSP23)
これらのステップは、第1の制御におけるステップSP11〜ステップSP13と同様である。したがって、ステップSP22によって、上述のように描画寄与領域53Fは右方向に傾いており、前方路面描画装置50Fによって描画される描画像70Fは、例えば図6に示すような右方向に傾いたキャラクターを示す。したがって、自動車1の周囲に存在する人は、自動車1が右旋回する予定であることなどを想起し得る。
制御部60は、ステップSP23によって描画レンズ52Fを所定の角度だけ右回転させた後、ステップをステップSP24に進める。
なお、第1の制御と同様に、ステップSP22とステップSP23との順序を逆にして、右ターンスイッチがオンになったタイミングで図1の状態の描画像70Fを右方向に回転させてもよい。
(ステップSP24)
本ステップにおいて、制御部60は、右回りの操舵角が所定の角度以上である旨の信号がステアリング61の舵角センサから入力するか否か判断する。上述のように、ステアリング61は、不図示の舵角センサを含んでおり、当該舵角センサは、ステアリング61の基準位置からの操舵角に応じた信号を制御部60に出力する。本ステップにおいて、舵角センサから右回りの操舵角が所定の角度以上である旨の信号が入力する場合、制御部60はステップをステップSP25に進める。一方、舵角センサから上記信号が入力しない場合、制御部60はステップをSP26に進める。
(ステップSP25)
本ステップにおいて、制御部60は、描画レンズ52Fがステアリング61の操舵角に応じた回転をするようにモータ83Fの動作を制御する。
例えば、制御部60は、以下のようにしてモータ83Fを制御する。上述のように、記憶部90には、モータ83Fを制御するためのテーブルが格納されている。本実施形態において、記憶部90には、ステアリング61の操舵角と、当該操舵角に対応する描画レンズ52Fの回転角とを対応付ける第1テーブル、及び、描画レンズ52Fの回転角と、モータ83Fの回転数とを対応付ける第2テーブルが格納されている。
制御部60は、舵角センサから信号が入力されると、記憶部90から第1テーブルを読み出し、当該第1テーブルに基づいて、舵角センサから入力された信号に対応する描画レンズ52Fの回転角を求める。次に、制御部60は、記憶部90から第2テーブルを読み出し、当該第2テーブルに基づいて、算出した描画レンズ52Fの回転角に対応するモータ83Fの回転数を求める。そして、制御部60は、求めたモータ83Fの回転数データと、モータ83Fのエンコーダから入力する信号とに基づいて、操舵角に応じた回転を描画レンズ52Fにさせるためのモータ83Fの回転数を決定する。こうして、制御部60は、決定した回転数に対応する制御信号を第1モータ駆動回路91Mに出力する。これにより、モータ83Fが決定された回転数だけ回転し、描画レンズ52Fがステアリング61の操舵角に応じた回転をする。その結果、例えば図5の状態にある描画レンズ52Fがさらに右回転し、図6の状態からさらに右回転した描画像70Fが路面に描画される。
制御部60は、上記決定した回転数に対応する制御信号を第1モータ駆動回路91Mに出力すると、ステップをステップSP24に戻す。すなわち、この第2の制御によれば、制御部60は、ステップSP23において描画レンズ52Fを所定の角度だけ回転させて、描画像70Fを所定の角度だけ右回転させた後、操舵角が所定の角度以上である場合には、当該操舵角に応じて描画レンズ52Fをさらに回転させることを繰り返す。したがって、この第2の制御によれば、描画像70Fは以下のように変化する。
すなわち、右方向指示器20の発光によって前方に凸となる描画像70Fがまず描画された後、描画像70Fが所定の角度だけ右方向に傾斜する。その後、右方向への操舵角が所定の角度以上である場合には、この操舵角に応じて描画像70Fの傾斜が次第に変化する。例えば、右方向への操舵角が次第に大きくなる場合、描画像70Fの右方向への傾斜が次第に大きくなり得る。
(ステップSP26)
本ステップにおいて、制御部60は、右ターンスイッチからの信号が入力するか否か再び判断する。上記信号が制御部60に入力する場合、制御部60はステップをステップSP24に戻す。こうして、右方向指示器20が発光している間、操舵角に応じて描画像70Fの向きが変化する。
一方、右ターンスイッチからの信号が制御部60に入力しない場合、制御部60はステップをステップSP27に進める。
(ステップSP27)
本ステップにおいて、制御部60は、第1光源駆動回路91Lに制御信号を出力することを中断する。これにより、光源51Fに電力が供給されなくなり、路面RFに描画された描画像70Fが消失する。
制御部60は、第1光源駆動回路91Lに制御信号を出力することを中断すると、ステップをステップSP28に進める。
(ステップSP28)
本ステップにおいて、制御部60は、制御信号を第1モータ駆動回路91Mに出力する。これにより、第1モータ駆動回路91Mからモータ83Fに電流が供給され、モータ83Fが所定の回転数だけ回転する。その結果、描画レンズ52Fが図4に示す基準状態に戻る。
描画レンズ52Fが基準状態に戻り、モータ83Fの上記エンコーダから、モータ軸が所定の回転位置にある旨の信号が制御部60に入力すると、制御部60は、制御信号を第1モータ駆動回路91Mに出力すること中断する。こうして、描画レンズ52Fの基準状態が維持される。
その後、制御部60は、ステップをステップSP21に戻す。
本実施形態において、制御部60は、自動車1のイグニッション電源がオンの間上記ステップSP21〜ステップSP28を繰り返す。
このような第2の制御によれば、右方向指示器20が動作するタイミング、または自動車1が右旋回するタイミングで、右方向に傾いた描画像70Fが路面に描画される。したがって、自動車1の周囲に存在する人、特に自動車1の前方に存在する人は、自動車1の右旋回を想起し得、例えば安全性が向上し得る。
また、本実施形態では、制御部60は、後方路面描画装置50Bに対しても上記ステップSP20〜ステップSP29を行う。その結果、右方向指示器20が動作するタイミング、または自動車1が右旋回するタイミングで、右方向に傾いた描画像70Fが路面に描画される。したがって、自動車1の周囲に存在する人、特に自動車1の後方に存在する人は、自動車1の右旋回を認識し得、例えば安全性が向上し得る。
また、この第2の制御によれば、上述のように、描画像70Fの右方向への傾きを、自動車1が右旋回するに従って次第に大きくすることができる。したがって、自動車1の周囲に存在する人に対して、自動車1が右旋回しているインパクトをより強く与え得る。
また、左方向指示器30が動作する場合、又は、左方向への操舵角が所定の角度以上である場合は、上記ステップSP20〜ステップSP29が行われて、左方向への傾きが左旋回に伴って次第に大きくなる描画像70F,70Bが路面に描画される。したがって、自動車1の周囲に存在する人に対して、自動車1が左旋回しているインパクトをより強く与え得る。
なお、この第2の制御において、光源51F,51Bを点滅させてもよい。こうすることで、点滅する描画像を路面に描画することができ、描画像のインパクトをより強くし得る。
次に、制御部60による第3の制御について説明する。
図13は、制御部60の前方路面描画装置50Fに対する第3の制御フローの一例を示すフローチャートである。図13に示すように、この前方路面描画装置50Fの制御フローは、ステップSP31〜ステップSP38を含んでいる。なお、本実施形態において、この第3の制御は、前方路面描画装置50F及び後方路面描画装置50Bに対して同様に行われる。したがって、後方路面描画装置50Bに対する制御について詳細に説明し、前方路面描画装置50Fの制御の詳細については省略する。
この第3の制御では、自動車1のイグニッション電源がオンになると、制御部60による後方路面描画装置50Bの制御がスタートする。なお、このスタート状態では、描画レンズ52Bは図8に示す基準状態であり、光源51Bは発光していない。
(ステップSP31)
まず、制御部60は、自動車1の速度が所定の速度以上である旨の信号がECUから入力するか否か判断する。なお、この所定の速度は、例えば、高速道路の法定速度であってもよく、例えば、100km/hであってもよい。ECUから所定の速度以上である旨の信号が入力しない場合、制御部60は本ステップを繰り返す。一方、ECUから所定の速度以上である旨の信号が入力する場合、制御部60は、ステップをステップSP32に進める。
(ステップSP32)
本ステップにおいて、制御部60は、右回りの操舵角が所定の角度以上である旨の信号がステアリング61の舵角センサから入力するか否か判断する。右回りの操舵角が所定の角度以上である旨の信号が制御部60に入力しない場合、制御部60はステップをステップSP31に戻す。一方、右回りの操舵角が所定の角度以上である旨の信号が制御部60に入力する場合、制御部60はステップをステップSP33に進める。
(ステップSP33)
本ステップにおいて、制御部60は、第2光源駆動回路92Lに制御信号を出力する。これにより、第2光源駆動回路92Lから光源51Bに電力が供給され、光源51Bから光LBが出射する。その結果、自動車1の後方の路面RBに図1に示す描画像70Bが描画される。
第2光源駆動回路92Lに制御信号を出力すると、制御部60はステップをステップSP34に進める。
(ステップSP34)
本ステップにおいて、制御部60は、第2モータ駆動回路92Mに制御信号を出力する。これにより、第2モータ駆動回路92Mからモータ83Bに電流が供給され、モータ83Bが所定の回転数だけ回転する。その結果、描画レンズ52Bが光軸中心に所定の角度だけ右回転して、描画寄与領域53Bの形状が右方向に所定の角度傾いた例えば図9の状態となる。こうして、図1に示す描画像70Bが右方向に所定の角度だけ回転して、自動車1の後方の路面RBに例えば図10に示す描画像70Bが描画される。
これにより、高速度で走行する自動車1の周囲の人、特に、自動車1の後方の車両の運転者等は、自動車1が右に旋回していることを認識し得る。
描画レンズ52Fが例えば図9の状態となり、モータ83Bのエンコーダから、モータ軸が所定の回転位置にある旨の信号が制御部60に入力すると、制御部60は、上記制御信号を第2モータ駆動回路92Mに出力することを中断する。これにより、描画レンズ52Bの図9の状態が維持される。
制御部60は、第1モータ駆動回路91Mへの制御信号の出力を中断すると、ステップをステップSP35に進める。
(ステップSP35)
本ステップにおいて、制御部60は、自動車1の速度が所定の速度以上である旨の信号が入力するか否か再び判断する。所定の速度以上である旨の信号が入力する場合、制御部60は、ステップをステップSP36に進める。一方、所定の速度以上である旨の信号が入力しない場合、制御部60は、ステップをステップSP37に進める。
(ステップSP36)
本ステップにおいて、制御部60は、右回りの操舵角が所定の角度以上である旨の信号が入力するか否か再び判断する。本ステップにおいて、右回りの操舵角が所定の角度以上である旨の信号が入力する場合、制御部60は、ステップをステップSP35に戻す。これにより、描画寄与領域53Bが右方向に傾いた描画レンズ52Bに光LBが入射し続け、右方向に傾いた描画像70Bが路面RBに描画され続ける。
一方、右回りの操舵角が所定の角度以上である旨の信号が入力しない場合、制御部60は、ステップをステップSP37に進める。
(ステップSP37)
本ステップにおいて、制御部60は、第2光源駆動回路92Lに制御信号を出力することを中断する。これにより、光源51Bに電力が供給されなくなり、路面RBに描画された描画像70Bが消失する。
制御部60は、第2光源駆動回路92Lに制御信号を出力することを中断すると、ステップをステップSP38に進める。
(ステップSP38)
本ステップにおいて、制御部60は、制御信号を第2モータ駆動回路92Mに出力する。これにより、第2モータ駆動回路92Mからモータ83Bに電流が供給され、モータ83Bが所定の回転数だけ回転する。その結果、描画レンズ52Bが光軸中心に回転して、図8に示す基準状態に戻る。
描画レンズ52Bが基準状態に戻ると、モータ83Bの上記エンコーダは、モータ軸が基準状態に対応する回転位置にある旨の信号を制御部60に出力する。このエンコーダからの信号が制御部60に入力すると、制御部60は、制御信号を第2モータ駆動回路92Mに出力することを中断する。これにより、モータ83Bの駆動が停止する。こうして、描画レンズ52Bの基準状態が維持される。
その後、制御部60は、ステップをステップSP31に戻す。
本実施形態において、制御部60は、自動車1のイグニッション電源がオンの間上記ステップSP31〜ステップSP38を繰り返す。
このような第3の制御によれば、自動車1の車速が所定の速度以上てある場合において、右方向に傾いた描画像70Bが、自動車1が右旋回するタイミングで路面RBに描画される。したがって、自動車1の周囲に存在する人、特に自動車1の後方に存在する人は、自動車1の右旋回を認識し得、例えば安全性が向上し得る。
また、本実施形態では、制御部60は、前方路面描画装置50Fに対しても上記ステップSP31〜ステップSP38を行う。その結果、自動車1が右旋回するタイミングで、右方向に傾いた描画像70Fが路面RFに描画される。したがって、自動車1の周囲に存在する人は、自動車1の右旋回を認識し得、例えば安全性が向上し得る。
また、ステアリング61の左への操舵角が所定の角度以上である場合は、上記ステップSP31〜ステップSP38が行われて左方向に傾いた描画像70F,70Bが路面RF,RBに描画される。したがって、自動車1の周囲に存在する人は、自動車1の左旋回を認識し得、例えば安全性が向上し得る。
なお、この第3の制御において、光源51F,51Bを点滅させてもよい。こうすることで、点滅する描画像を路面に描画することができ、描画像のインパクトをより強くし得る。
次に、制御部60による第4の制御について説明する。
図14は、制御部60の前方路面描画装置50Fに対する第4の制御フローの一例を示すフローチャートである。図14に示すように、この前方路面描画装置50Fの制御フローは、ステップSP41〜ステップSP48を含んでいる。
この第4の制御では、自動車1のイグニッション電源がオンになると、制御部60による前方路面描画装置50Fの制御がスタートする。なお、このスタート状態では、描画レンズ52Fは図4に示す基準状態であり、光源51Fは発光していない。
(ステップSP41)
まず、制御部60は、検知センサ65から信号が入力するか否か判断する。上述のように、人感センサである検知センサ65は、自動車1の周囲の所定距離以内に存在する人を検知した際に信号を制御部60に出力する。本ステップにおいて、検知センサ65からの信号が制御部60に入力しない場合、制御部60は本ステップを繰り返す。一方、検知センサ65からの信号が制御部60に入力すると、制御部60はステップをステップSP42に進める。
(ステップSP42)
本ステップにおいて、制御部60は、上記左ターンスイッチから信号が入力するか否か判断する。左ターンスイッチからの信号が入力しない場合、制御部60はステップをステップSP41に戻す。一方、左ターンスイッチからの信号が入力する場合、制御部60は、ステップをステップSP43に進める。
(ステップSP43)
本ステップにおいて、制御部60は、第1光源駆動回路91Lに制御信号を出力する。これにより、第1光源駆動回路91Lから光源51Fに電力が供給され、光源51Fから光LFが出射する。その結果、自動車1の前方の路面RFに図1に示す描画像70Fが描画される。
制御部60は、第1光源駆動回路91Lに制御信号を出力すると、ステップをステップSP44に進める。
(ステップSP44)
本ステップにおいて、制御部60は、第1モータ駆動回路91Mに制御信号を出力する。これにより、第1モータ駆動回路91Mからモータ83Fに電流が供給され、モータ83Fが所定の回転数だけ回転する。これにより、描画レンズ52Fが光軸中心に所定の角度だけ左回転して、描画寄与領域53Fの形状が左方向に所定の角度傾いた状態となる。その結果、図1に示す描画像70Fが左方向に回転し、左方向に傾いたキャラクターを示す。したがって、自動車1の周囲に存在する人、特に自動車1の前方に存在する人は、自動車1が左旋回する予定であることを想起し得る。
描画レンズ52Fが所定の回転数だけ回転し、モータ83Fの上記エンコーダから、モータ軸が所定の回転位置にある旨の信号が制御部60に入力すると、制御部60は、上記制御信号を第1モータ駆動回路91Mに出力することを中断する。これにより、描画レンズ52FのステップSP44の状態が維持され、描画像70Fが左に傾いた状態が維持される。
制御部60は、制御信号を第1モータ駆動回路91Mに出力することを中断すると、ステップをステップSP45に進める。
(ステップSP45)
本ステップにおいて、制御部60は、検知センサ65から信号が入力するか否か再び判断する。検知センサ65からの信号が入力する場合、制御部60は、ステップをステップSP46に進める。一方、検知センサ65からの信号が入力しない場合、制御部60は、ステップをステップSP47に進める。
(ステップSP46)
本ステップにおいて、制御部60は、左ターンスイッチから信号が入力するか否か再び判断する。左ターンスイッチからの信号が入力する場合、制御部60は、ステップをステップSP45に戻す。これにより、描画寄与領域53Fが左方向に傾いた描画レンズ52Fに光LFが入射し続け、左方向に傾いた描画像70Fが路面RFに描画され続ける。
一方、左ターンスイッチからの信号が入力しない場合、制御部60は、ステップをステップSP47に進める。
(ステップSP47)
本ステップにおいて、制御部60は、第1光源駆動回路91Lに制御信号を出力することを中断する。これにより、光源51Fに電力が供給されなくなり、路面RFに描画された描画像70Fが消失する。
第1光源駆動回路91Lに制御信号を出力することを中断すると、制御部60は、ステップをステップSP48に進める。
(ステップSP48)
本ステップにおいて、制御部60は、制御信号を第1モータ駆動回路91Mに出力する。これにより、第1モータ駆動回路91Mからモータ83Fに電流が供給され、モータ83Fが所定の回転数だけ回転する。その結果、描画レンズ52Fが光軸中心に回転して、図4に示す基準状態に戻る。
描画レンズ52Fが基準状態に戻ると、モータ83Fの上記エンコーダは、モータ軸が基準状態に対応する回転位置にある旨の信号を制御部60に出力する。このエンコーダからの信号が制御部60に入力すると、制御部60は、制御信号を第1モータ駆動回路91Mに出力することを中断する。これにより、描画レンズ52Fの基準状態が維持される。
その後、制御部60は、ステップをステップSP41に戻す。
本実施形態において、制御部60は、自動車1のイグニッション電源がオンの間上記ステップSP41〜ステップSP48を繰り返す。
このような第4の制御によれば、左方向指示器30が動作するタイミングで、左方向に傾いた描画像70Fが路面RFに描画される。したがって、自動車1の周囲に存在する人、特に自動車1の前方に存在する人は、自動車1の左旋回を想起し得、例えば安全性が向上し得る。より具体的には、上述のように、自動車1の左側には歩行者や自転車などが存在する傾向が強いため、左折する自動車と事故を起こす傾向が強い。このため、例えば、自動車1が左折する場合において、左方向に傾いた描画像70Fが自動車1の左折前に路面RFに描画されることで、交差点付近の歩行者などに自動車1が左旋回する予定であることを強く想起させ得る。したがって、このような第4の制御によって交差点における事故などを効果的に防止し得る。
なお、この第4の制御において、光源51Fを点滅させてもよい。こうすることで、点滅する描画像を路面に描画することができ、描画像のインパクトをより強くし得る。
以上説明したように、本実施形態に係る路面描画装置50F,50Bのそれぞれは、光を出射する光源と、上記光が入射する入射面54及び上記光が出射する出射面55を有する描画レンズと、描画レンズを光軸中心に回転させる駆動部80と、駆動部80を所定のタイミングで駆動させる制御部60と、を備え、出射面55は、上記光による所定のキャラクターを示す描画像が路面に投影されるように上記光を屈折させる描画寄与領域を含む。
このような構成によれば、描画寄与領域に光を照射することによって、路面に自動車1の動作状態を想起させ得る描画像を形成し得る。したがって、本実施形態の路面描画装置50F,50Bによれば、このような描画像を形成するために光源とレンズとの間にシェードなどの光学部品を設ける必要がなく、部品点数を削減し得る。
また、本実施形態の路面描画装置50F,50Bは、描画レンズを光軸中心に回転させる駆動部80と、この駆動部80を所定のタイミングで駆動させる制御部60とを有する。このため、駆動部80によって描画レンズを回転させて描画寄与領域の形状の向きを変化させることで、描画像の向きを所定のタイミングで変え得る。したがって、本実施形態の路面描画装置50F,50Bによれば、少ない部品点数で上記描画像を動かすことが可能になり得る。
また、本実施形態に係る路面描画装置50F,50Bによれば、上述のように、描画寄与領域が描画レンズの出射面55に存在するため、光が描画レンズから出射する段階で当該光を描画像の形状に成型することができる。したがって、本実施形態の路面描画装置50F,50Bによれば、描画寄与領域が入射面54に存在する場合と比較して、描画寄与領域の形状の設計が容易になり得る。ただし、描画寄与領域が入射面54に位置してもよいし、入射面54及び出射面55の双方に位置してもよい。
また、上述のように、本実施形態の描画像70F,70Bは、路面に互いに離間して投影される複数の像を含んでおり、描画像70F,70Bを形成する描画寄与領域は、上記複数の像の各像を個別に形成する複数の領域を含んでいる。このような構成によれば、領域ごとに個別に像を形成することができるため、複数の像からなる描画像を比較的容易に形成し得る。また、描画像を複数の像から形成することで、描画像が単一の像からなる場合に比べて、視認者に与えるインパクトがより強い描画像が形成され得る。
また、上述のように、本実施形態の描画寄与領域において、互いに離間して路面に投影される3つの像を形成する領域は、曲率の異なる曲面同士が交わる交線CL1,CL2によって区切られる。このような構成によれば、交線を挟んで一方側に位置する領域における光の屈折の方向と、他方側に位置する領域における光の屈折の方向とを効果的に変えることができるため、路面に互いに離間して投影される複数の像を形成することが容易になり得る。
また、本実施形態において、制御部60は、右方向指示器20又は左方向指示器30の動作時に駆動部80を駆動させる。したがって、本実施形態の路面描画装置50F,50Bによれば、右方向指示器20又は左方向指示器30が動作するタイミングで描画像を動かすことができる。
また、本実施形態において、制御部60は、ステアリング61の操舵角が所定の角度以上である場合に駆動部80を駆動させる。したがって、本実施形態の路面描画装置50F,50Bによれば、自動車1が右又は左に旋回するタイミングで描画像を動かすことができる。
また、本実施形態の自動車1は、上記のような路面描画装置50F,50Bを備える。上述のように、路面描画装置50F,50Bによれば、少ない部品点数で描画像を形成することが可能で、少ない部品点数で描画像を動かすことが可能である。したがって、本実施形態の自動車1によれば、少ない部品点数で路面描画を行うことが可能で、少ない部品点数で路面描画における描画像を動かすことが可能である。
以上、本発明について上記実施形態を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、上述の実施形態では、路面描画装置50F,50Bのそれぞれの駆動部80が共通の制御部60によって制御される例を説明したが、路面描画装置50F,50Bのそれぞれが、駆動部80を所定のタイミングで動作させる制御部を個別に備えてもよい。
また、上述の実施形態では、路面描画装置50F,50Bのそれぞれの駆動部80が方向指示器及びステアリングの操舵角に基づいて制御される例を説明したが、上記駆動部80の少なくとも一方が、方向指示器及びステアリングの操舵角のいずれか一方に基づいて制御されてもよい。
また、上述の実施形態では、制御部60が自動車1の旋回時、旋回予定時に駆動部80を駆動させる例を説明したが、制御部60が駆動部80を駆動させるタイミングは上記に限られない。例えば、制御部60は、自動車1の後退時に後方路面描画装置50Bの駆動部80を駆動させてもよい。また、制御部60が自動車1の後退時に路面描画装置50Bの駆動部80を駆動させる場合、制御部60は、自動車1が後退する間、描画像70Bが左右に搖動するように駆動部80を制御してもよい。自動車1が後退する間、左右に搖動する描画像70Bが後方の路面RBに描画されることで、例えば、自動車1の後方に位置する人に注意喚起を促し得る。
また、上述の実施形態において説明した描画寄与領域の形状は例示的なものであり、描画寄与領域の形状は上述の実施形態において説明した形状に限られない。描画寄与領域の形状を変更することによって、異なるキャラクターを示す描画像を形成し得る。例えば、複数の像の各像を個別に形成する上記領域53a,53b,53cを区切る交線CL1,CL2の軌跡を上述の実施形態における軌跡とは異なるものとしてもよい。
また、領域53a,53b,53cは曲率の異なる曲面同士が交わる交線CL1,CL2によって区切られる必要はなく、領域53a,53b,53cによって複数の像の各像が個別に形成されるのであれば、曲率の異なる曲面同士が交わる交線CL1,CL2によって区切られる必要はない。また、描画寄与領域は複数の像の各像を個別に形成する複数の領域に区切られる必要もなく、区切りのない単一の領域であってもよい。
また、上述の実施形態では、自動車1に路面描画装置50F,50Bを設ける例を説明したが、これら路面描画装置50F,50Bの一方のみを設けてもよい。また、路面描画装置50F,50Bと異なる位置に、路面描画装置50F,50Bに加えて、あるいは、路面描画装置50F,50Bに代えて、他の路面描画装置を設けてもよい。
また、上述の実施形態では、描画レンズの光軸中心に描画レンズが回転する例を説明したが、描画レンズから出射した光によって所定のキャラクターを示す描画像が路面に投影され、当該描画像の向きが描画レンズの回転によって変化するのであれば、描画レンズの光軸方向に延びる他の軸中心に描画レンズを回転させてもよい。ただし、駆動部80が描画レンズの光軸を中心軸として描画レンズを回転させることで、描画レンズの回転に伴って当該描画レンズの一部が光源から出射する光の光路から外れることを抑制することができる。
また、上述の実施形態で説明した第1〜第4の制御は例示的なものであり、描画像を回転させるタイミング等に応じて、その他の制御を行ってもよい。
また、上述の実施形態では、車両が4輪の自動車である場合を説明したが、路面を走行可能であればこれに限られない。例えば、滑走路などの路面を車輪によって走行するのであれば航空機であってもよい。