JP2021078907A - 体内埋植型電気刺激装置 - Google Patents

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Kenzo Shodo
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Abstract

【課題】複数の刺激ユニットからなる刺激ユニット群のサイズが大型になることを抑制するとともに、適正な刺激電流にて刺激することができる体内埋植型電気刺激装置を提供する。【解決手段】刺激ユニットからなる刺激ユニット群260と本体ユニット24を備える体内埋植型電気刺激装置20で、刺激ユニット26は複数の刺激電極28と刺激電流供給回路とデマルチプレクサと刺激ユニット側電源回路と刺激側制御手段とを有し、本体ユニット24は給電信号を受信する受信手段22と給電信号から電力を取り出し電力を供給する本体ユニット側電源回路と刺激ユニットに交流電力を供給する本体側交流給電回路と帰還電極29と帰還電極電位変更回路と本体側制御手段とを有し、帰還電極は本体ユニットに接続されており、本体側制御手段から制御される帰還電極電位変更回路によって電位の変更が可能とされる。【選択図】図2

Description

本開示は、体内埋植型電気刺激装置に関する。
従来、人(患者)の体内に埋植され、失われた機能の再生、代替、リハビリテーション等を行う各種の生体埋植装置が提案されている。例えば、視覚機能に障害のある患者において、機能が失われた部位(眼球等)に電気刺激を与えることで、失われた機能の再生、代替、リハビリテーション等を行うものが知られている。
例えば、特許文献1には、生体に埋植された状態で動作する刺激ユニットと、刺激ユニットへ給電信号を出力する給電ユニットと、刺激ユニットと給電ユニットを電気的に接続し、給電信号を伝送するケーブルと、を有する生体埋植装置(体内埋植型電気刺激装置に相当)が記載されている。
特許文献1に記載の生体埋植装置は、患者の失われた視覚機能を再生又は代替する視覚再生補助装置(人工視覚システムに相当)において用いられている。視覚再生補助装置は、体外で撮像された外界像に基づいて、機能が失われた視覚神経系に対して電気刺激を行うことで、疑似光覚(フォスフェン)による像を、患者に視覚により知覚させる。
特許文献1の生体埋植装置では、概略図である図19、図20で示すように、刺激電流が人体を通り帰還させるための帰還電極129が刺激ユニット126側に設けられている。また、刺激ユニット126は、カップリングコンデンサC101、C102を介して接続されたケーブル(電力ケーブルに相当)により、交流にて給電ユニット(図示省略)から電力が供給されている。
刺激ユニット126では、刺激電極128から人体に向かって刺激電流を流す刺激(以下、アノーディック刺激と称する。)する場合に、図19で示す電流の経路CA100で刺激電流が流れ、人体から刺激電極128に向かって刺激電流を流す刺激(以下、カソーディック刺激と称する。)する場合に、図20で示す電流の経路CC100で刺激電流が流れる。刺激ユニット126において、ケーブルと人体との間に電流がリーク(リーク抵抗RL100)しても、カップリングコンデンサC101、C102が設けられているため、図19における電流のリーク電流経路LC101と図20における電流のリーク電流経路LC102において、直流のリーク電流は流れない。
特開2019−97942号公報
人工視覚システムにおいて、疑似光覚(フォスフェン)による像を動画としてより自然に人(患者)に知覚させるためには、疑似光覚(フォスフェン)をより多くの刺激電極により行うとともに、毎秒20以上の像(20fps以上)を人(患者)に知覚させる必要がある。このため、人工視覚システムは、より多くの刺激ユニット(刺激電極)が必要とされる。
特許文献1の生体埋植装置は、帰還電極129とカップリングコンデンサC101、C102がそれぞれの刺激ユニット126に設けられているため、生体埋植装置全体のサイズが大きくなり眼球への埋植が困難となる。
生体刺激装置では、刺激装置が故障した時でも、直流電流が生体へ流れることを防ぐために、刺激回路には通常、カップリングコンデンサが挿入される。また、アノーディック刺激の後にカソーディック刺激を、あるいはその逆順に刺激することで、生体へ流す電荷の中和を行っている。ところが、アノーディック刺激とカソーディック刺激の電荷には、わずかなアンバランスが含まれるので、刺激動作を繰り返すと、前記カップリングコンデンサに直流電位が充電され、適正な刺激電流が出力されなくなる場合がある。
本開示は、このような点に鑑みて創案されたものであり、人工視覚システムにおいて、複数の刺激ユニットからなる刺激ユニット群のサイズが大型になることを抑制するとともに、適正な刺激電流にて刺激することができる体内埋植型電気刺激装置を提供することを課題とする。
本開示の一態様に係る体内埋植型電気刺激装置は、人の視覚に関する細胞又は組織に接触するように、人の体内に埋植される少なくとも一つの刺激ユニットを有する刺激ユニット群と、人の体内に埋植されて、それぞれの前記刺激ユニットに接続された本体ユニットと、を備える体内埋植型電気刺激装置において、それぞれの前記刺激ユニットは、刺激電流による電気刺激信号を出力する複数の刺激電極と、前記刺激電極へ刺激電流を供給する刺激電流供給回路と、前記刺激電流供給回路の出力と電気的に接続され、複数の前記刺激電極から一の前記刺激電極を前記刺激電流供給回路の前記出力に接続することが可能なデマルチプレクサと、前記本体ユニットから供給された交流電力が入力され、前記刺激ユニット内の回路へ電力を供給する刺激ユニット側電源回路と、前記刺激電流供給回路と前記デマルチプレクサを制御する刺激側制御手段と、を有し、前記本体ユニットは、体外からの本体制御信号を含む給電信号を受信する受信手段と、前記給電信号から電力を取り出し、前記本体ユニット内の回路へ電力を供給する本体ユニット側電源回路と、前記刺激ユニット群のそれぞれの前記刺激ユニットに交流電力を供給する本体側交流給電回路と、それぞれの前記刺激電極から出力された前記刺激電流が人体を通して帰還する帰還電流を回収する帰還電極と、帰還電極電位変更回路と、前記本体制御信号に基づいた刺激ユニット制御信号を前記刺激側制御手段に送信する本体側制御手段と、を有し、前記帰還電極は、前記本体ユニットに接続されており、前記本体側制御手段から制御される前記帰還電極電位変更回路によって電位の変更が可能とされている。
本開示の体内埋植型電気刺激装置によれば、複数の刺激ユニットからなる刺激ユニット群のサイズが大型になることを抑制するとともに、適正な刺激電流にて刺激することができる。
人工視覚システムの全体構成を説明する図である。 体内埋植型電気刺激装置の概略構成の概略図である。 人(患者)の眼球に対する刺激ユニット群の設置位置を示す図である。 体外装置の全体構成の概略図である。 受信手段と本体ユニットの内部の回路を説明する図である。 バッファユニットの内部の回路を説明する図である。 刺激ユニットの内部の回路を説明する図である。 第1実施形態におけるアノーディック刺激する場合の刺激電流の経路を説明する図である。 第1実施形態におけるカソーディック刺激する場合の刺激電流の経路を説明する図である。 第1実施形態におけるアノーディック刺激する場合の刺激電流とリーク電流の経路を説明する図である。 第1実施形態におけるカソーディック刺激する場合の刺激電流とリーク電流の経路を説明する図である。 第1実施形態における、アノーディック刺激する場合の予期しない不要な電流(不要電流)の経路を説明する図である。 第1実施形態における、カソーディック刺激する場合の予期しない不要な電流(不要電流)の経路を説明する図である。 不要な電荷を放電させる電流の経路を説明する図である。 第2実施形態におけるアノーディック刺激する場合の刺激電流の経路を説明する図である。 第2実施形態におけるカソーディック刺激する場合の刺激電流の経路を説明する図である。 第3実施形態におけるアノーディック刺激する場合の刺激電流の経路を説明する図である。 第3実施形態におけるカソーディック刺激する場合の刺激電流の経路を説明する図である。 特許文献1の生体埋植装置における、アノーディック刺激する場合の刺激電流の経路とリーク電流の経路を説明する図である。 特許文献1の生体埋植装置における、カソーディック刺激する場合の刺激電流の経路とリーク電流の経路を説明する図である。
<概要>
本開示で例示する体内埋植型電気刺激装置は、人の視覚に関する細胞又は組織に接触するように、人の体内に埋植される少なくとも一つの刺激ユニットを有する刺激ユニット群と、人の体内に埋植されて、それぞれの刺激ユニットに接続された本体ユニットと、を備える体内埋植型電気刺激装置において、それぞれの刺激ユニットは、刺激電流による電気刺激信号を出力する複数の刺激電極と、刺激電極へ刺激電流を供給する刺激電流供給回路と、刺激電流供給回路の出力と電気的に接続され、複数の刺激電極から一の刺激電極を刺激電流供給回路の出力に接続することが可能なデマルチプレクサと、本体ユニットから供給された交流電力が入力され、刺激ユニット内の回路へ電力を供給する刺激ユニット側電源回路と、刺激電流供給回路とデマルチプレクサを制御する刺激側制御手段と、を有し、本体ユニットは、体外からの本体制御信号を含む給電信号を回収する受信手段と、給電信号から電力を取り出し、本体ユニット内の回路へ電力を供給する本体ユニット側電源回路と、刺激ユニット群のそれぞれの刺激ユニットに交流電力を供給する本体側交流給電回路と、それぞれの刺激電極から出力された刺激電流が人体を通して帰還する帰還電流を受信する帰還電極と、帰還電極電位変更回路と、本体制御信号に基づいた刺激ユニット制御信号を刺激側制御手段に送信する本体側制御手段と、を有し、帰還電極は、本体ユニットに接続されており、本体側制御手段から制御される帰還電極電位変更回路によって電位の変更が可能とされている。
本開示の体内埋植型電気刺激装置は、複数の刺激ユニットからなる刺激ユニット群のサイズが大型になることを抑制するとともに、適正な刺激電流にて刺激することができる。
また、上記の体内埋植型電気刺激装置の本体ユニットは、本体側交流給電回路と、刺激ユニット群のそれぞれの刺激ユニットの刺激ユニット側電源回路と、を電気的に接続する電力ケーブルを有しても良い。さらに上記の体内埋植型電気刺激装置の本体側交流給電回路は、電力ケーブルに対して、カップリングコンデンサを介して接続されても良い。さらに刺激ユニット側電源回路は、電力ケーブルに対して、カップリングコンデンサを介することなく接続されても良い。これにより、刺激ユニット側にカップリングコンデンサが必要なく、刺激ユニット群のサイズが大型になることを抑制することができる。
また、上記の本体側交流給電回路は、出力の電位を前記帰還電極電位変更回路の変更される電位の範囲で変更可能でも良い。上記の体内埋植型電気刺激装置の刺激ユニットは、刺激ユニット側電源回路の出力の電位を変更可能な刺激側電源電位変更回路を有しても良い。刺激側電源電位変更回路は、刺激側制御手段からの制御によって、刺激ユニット側電源回路の出力の電位を第1刺激側オフセット電圧だけ昇圧可能な刺激側電源出力昇圧回路と、刺激ユニット側電源回路の出力の電位を第2刺激側オフセット電圧だけ降圧可能な刺激側電源出力降圧回路と、を備えても良い。これにより、デマルチプレクサにより刺激電流供給回路に接続されていない刺激電極(以下、未刺激電極と称する。)の電位が生体内(刺激ユニットの埋植部位)の電位分布によりバイアスされた場合でも、寄生ダイオードに流れる電流を抑制し、未刺激電極に予期しない不要な電流が流れることを抑制できる。
また、上記の体内埋植型電気刺激装置は、本体ユニットと、それぞれの刺激ユニットと、を電気的に接続する帰還ケーブルを有し、帰還電極は、帰還ケーブルに、直接またはコンデンサを介して接続されても良い。さらに、帰還電極電位変更回路は、本体側制御手段からの制御によって、帰還ケーブルの電位を第1帰還電極オフセット電圧だけ降圧可能な帰還電極電位降圧回路と、第2帰還電極オフセット電圧だけ昇圧可能な帰還電極電位昇圧回路と、を備えても良い。これにより、刺激電流が流れることによって、刺激電極と帰還電極間に発生する電圧降下が大きくなり、刺激電流値が異常値になることを抑制できる。
また、上記の体内埋植型電気刺激装置の本体ユニットは、本体側交流給電回路の出力電圧の中点電位を前記帰還ケーブルへ出力する本体側中点電位出力手段を備えても良い。さらに、それぞれの刺激ユニットは、刺激ユニット側電源回路の出力電圧の中点電位を帰還ケーブルへ出力する刺激ユニット側中点電位出力手段を備えても良い。これにより、本体側交流給電回路の出力と電力ケーブルとの間のカップリングコンデンサを含む電流の経路と刺激電極と帰還電極を含む電流の経路における不要な電荷を放電させることができる。
<第1実施形態>
以下、本開示における典型的な実施形態の1つである第1実施形態について、図1〜図14を用いて説明する。第1実施形態の体内埋植型電気刺激装置20が適用される人工視覚システム1は、人(患者)の視覚に関わる細胞又は組織(以下、まとめて、「細胞等」と称する。)に電気刺激を行うことで、疑似光覚(フォスフェン)による像を、患者に視覚により知覚させる。
<人工視覚システム1の全体構成(図1)>
図1に示すように、人工視覚システム1は、体外装置10と体内埋植型電気刺激装置20と、を有している。体外装置10は、人(患者)の前方の側の外界を画像として取得し、処理した画像の画像情報を電力とともに、体内埋植型電気刺激装置20へ供給する。体内埋植型電気刺激装置20は、体外装置10で取得された外界像の画像に基づいて、埋植された部位の細胞等に対して電気刺激を行う。
<体外装置10の概略構成(図1、図4)>
図1と図4に示すように、体外装置10は、撮像手段12と、体外装置制御手段14と、バッテリ16と、送信手段18と、を有している。体外装置10は、例えば、図1に示す眼鏡3のような眼鏡タイプであり、人(患者)の顔に対して装着可能に設けられている。
撮像手段12は、20fps以上のフレームレートで動画を撮影できるものであれば良く、例えば、CCDカメラ等の小型の撮影機器で良い。また、本実施形態の撮像手段12は、人(患者)の視覚により知覚される画像とほぼ同一の画像を取得するため、例えば図1に示すように眼鏡3に設けられ、人(患者)の頭部に配置される。
体外装置制御手段14は、演算処理・制御処理を行うCPU等のプロセッサとメモリ等を有している。体外装置制御手段14は、撮像手段12で取得される外界像(画像)を処理して、体内埋植型電気刺激装置20に送信する制御信号である本体制御信号を生成する。
体外装置制御手段14は、生成された本体制御信号を送信手段18に出力する。本体制御信号には、体内埋植型電気刺激装置20の動作を制御するための制御情報が少なくとも含まれている。この制御情報は、本実施形態において体内埋植型電気刺激装置20によって出力される刺激電流の制御に利用される。例えば、制御情報は、刺激ユニット群260の刺激電流を出力する刺激ユニット26のID番号、刺激電極(28A〜28F(図7参照))、刺激の種別(アノーディック刺激、カソーディック刺激)、刺激電流の電流値等が含まれる。
送信手段18は、例えば、コイル状のアンテナを有しており、電磁波として、本体制御信号に含まれる情報を体内埋植型電気刺激装置20(具体的には、受信手段22)に伝送する。体外装置制御手段14は、例えば、周波数、周期、振幅、位相等の少なくとも一つを本体制御信号に応じて変調し、変調した電磁波を送信手段18により、非接触にて体内埋植型電気刺激装置20に送信する。図1に示すように、送信手段18は、人(患者)の体内に埋植された受信手段22の位置付近に固定される。
本実施例では、人工視覚システム1の電源は、バッテリ16である。バッテリ16は、体外装置10へ接続された各手段への電力を供給する。また、バッテリ16からの電力は、本体制御信号に基づいて変調された信号とともに、送信手段18から体内埋植型電気刺激装置20へ非接触で送電される。例えば、バッテリ16からの電力は、本体制御信号に基づいて変調された信号が重畳された状態で体内埋植型電気刺激装置20へ供給される。また、バッテリ16からの電力は、信号とは別の電力信号として体内埋植型電気刺激装置20へ非接触で供給されてもよい。なお、本実施形態では、体外装置10から体内埋植型電気刺激装置20への電力の伝送は、人工視覚システム1の稼働中、継続的に実行される。
<体内埋植型電気刺激装置の概略構成(図2、図3)>
図2に示すように、体内埋植型電気刺激装置20は、受信手段22と、本体ユニット24と、バッファユニット25と、刺激ユニット群260と、第1接続ケーブル40と、第2接続ケーブル42と、を有している。
受信手段22は、本体ユニット24に電気的に接続されている。本体ユニット24とバッファユニット25は、第1接続ケーブル40により電気的に接続され、バッファユニット25と刺激ユニット群260のそれぞれの刺激ユニット26は第2接続ケーブル42により電気的に接続される。本体ユニット24には、帰還電極29が電気的に接続されている。
刺激ユニット群260を構成する各刺激ユニット26は、埋植される細胞等に刺激電流を出力する複数の刺激電極28(例えば、刺激電極28A〜28F(図7参照))を備えている。本実施形態において、図3で示すように、複数の刺激ユニット26から構成される刺激ユニット群260は、眼球5の網膜MB1(視覚神経系の一例)の近傍に設置(埋植)され、各刺激ユニット26のそれぞれの刺激電極28(図2参照)から網膜MB1に対して刺激電流を出力する(換言すれば、電気刺激を行う)。刺激電極28から出力された刺激電流は、人体を通り帰還電極29へ導かれる(帰還する)。
刺激ユニット群260を構成する各刺激ユニット26は、内部に後述する半導体回路を有するICチップ(図示省略)が封止され、ICチップに電気的に接続された複数の刺激電極28から構成されている。図2に示すように、刺激ユニット26は、例えば、1mm程度の大きさである。刺激ユニット26には、例えば、6個の刺激電極28(28A〜28F)が設けられている。刺激電極28は、人体に非侵襲で生体適合性の高い導体にて形成されている。刺激電極28は、例えば、金、白金等の貴金属で形成される。
刺激ユニット群260は、フレキシブルで人体に非侵襲な素材で形成される基板32に配置され、人体に非侵襲な素材で覆われた第2接続ケーブル42によりバッファユニット25へ電気的に接続される。人体に非侵襲な素材は、例えば、シリコーン等の生体適合性の良い材料である。
<体内埋植型電気刺激装置20の配置>
上記の体内埋植型電気刺激装置20の配置について、図3を参照しながら説明する。刺激ユニット群260は、図3に示すように、網膜の中心窩付近に配置される。具体的には、眼球5の強膜MB5に切り込みを入れて形成した切開創(フラップ)から基板32が挿入され、刺激ユニット群260が脈絡膜MB3に配置される。その結果、網膜MB1に刺激電極を直接接触させずに電気刺激が可能となる。なお、刺激ユニット群260の配置は、上記の配置に限定されず、眼球5の外側を覆う強膜MB5の内部に配置しても、強膜MB5の表面に配置しても良い。
本体ユニット24は、体外装置10に設けられた送信手段18からの給電信号(本体制御信号及び電力)を受信可能な生体内の所定位置に配置される。例えば、人(患者)の側頭部の皮膚の下に受信手段22が埋め込まれ、受信手段22と対向する皮膚の上の位置に送信手段18が配置される。受信手段22と送信手段18のそれぞれに磁石が取り付けられており、皮膚を挟んで埋植された受信手段22の位置に送信手段18を配置させることにより、送信手段18は、受信手段22に磁力により引き寄せられて、側頭部に保持される。
図1に示すように、第1接続ケーブル40は、側頭部に埋め込まれた受信手段22から側頭部に沿って皮膚下を人(患者)の眼球5に向かって延び、人(患者)の上まぶたの内側を通して眼窩(図示省略)に入れられる。図3に示すように、眼窩に入れられた第1接続ケーブル40は、強膜MB5の外側を通り、バッファユニット25に接続される。
<受信手段22と本体ユニット24内部の回路(図5)>
図5で示すように、本体ユニット24は、受信手段22と、受信回路24Aと、本体側制御手段24Bと、送信回路24Cと、本体ユニット側電源回路24Dと、本体側交流給電回路24Eと、帰還電極電位変更回路24Fと、を有している。
本体ユニット24は、第1接続ケーブル40の各ケーブルが接続される出力端子(信号出力端子Smout、第1電力出力端子Pmout1、第2電力出力端子Pmout2、帰還信号出力端子Rmout)が設けられている。なお、第1接続ケーブル40は、後述する信号ケーブル40Sと、第1電力ケーブル40P1と、第2電力ケーブル40P2と、帰還ケーブル40Rと、を有している。
受信手段22は、例えば、コイル状のアンテナを有しており、電磁波として、本体制御信号に基づいて変調された信号が重畳された給電信号を受信し、受信回路24Aと本体ユニット側電源回路24Dのそれぞれに出力する。
受信回路24Aは、受信手段22からの給電信号から変調された信号を取り出し、本体側制御手段24Bへ出力する。なお、受信回路24Aは、送信側である体外装置10における信号の変調方式に従って受信した信号から制御情報を含む本体制御信号を復調する。
本体側制御手段24Bは、本体ユニット24内の演算処理・制御処理を行うCPU等のプロセッサとメモリ等を有している。本体側制御手段24Bは、本体制御信号の制御情報に基づいて、それぞれの刺激ユニット26(図7参照)の刺激側制御手段26B(図7参照)に刺激ユニット制御信号を送信する。また、本体側制御手段24Bは、制御情報に基づいて、送信回路24Cと、本体側交流給電回路24Eと、帰還電極電位変更回路24Fをそれぞれ制御する。
送信回路24Cは、刺激ユニットの制御情報を変調し、信号ケーブル40Sとバッファユニット25(図6参照)を経由して、各刺激ユニット26(図7参照)の受信回路26A(図7参照)に刺激ユニット制御信号を出力する。具体的には、送信回路24Cは、例えば、マンチェスター符号等により変調された電流信号を出力する。送信回路24Cは、信号出力端子Smoutにて信号ケーブル40Sに接続されている。なお、刺激ユニット制御信号は、バッファユニット25を制御する制御情報を含んでも良い。
本体ユニット側電源回路24Dは、受信手段22に電気的に接続され、受信手段22で受信した給電信号から電力を取り出し、本体ユニット24内の回路へ電力を供給する。なお、電源ラインVsup1の電圧は、本体ユニット側電源回路24Dから供給される電源の電圧を示し、グランドラインGND1の電圧は、本体ユニット24におけるグランドラインの電圧を示している。
本体側交流給電回路24Eは、刺激ユニット群260のそれぞれの刺激ユニット26に低周波(例えば、50kHz)の交流電力を供給する。本体側交流給電回路24Eは、例えば、差動電圧出力の交流給電回路を有している。
本体側交流給電回路24Eは、カップリングコンデンサC1を介して、第1電力出力端子Pmout1にて第1電力ケーブル40P1に接続され、カップリングコンデンサC2を介して、第2電力出力端子Pmout2にて第2電力ケーブル40P2に接続される。なお、本体側中点電位出力手段24Gは、第2実施形態にて使用される回路であり、詳細については第2実施形態において説明をする。なお、カップリングコンデンサC1、C2の容量は、例えば、10uFである。
帰還電極電位変更回路24Fは、カップリングコンデンサC3を介して接続された帰還電極29の電位と、帰還信号出力端子Rmoutにて接続された帰還ケーブル40Rの電位を変更可能である。帰還電極29は、それぞれの刺激電極から出力された刺激電流が人体を通して帰還する帰還電流を回収する電極である。帰還電極29は、刺激ユニット26(図2参照)の数にかかわらず、本体ユニット24に1つのみ接続されており、本体側制御手段24Bから制御される帰還電極電位変更回路24Fによって電位の変更が可能とされている。帰還電極電位変更回路24Fは、カップリングコンデンサC3を介して、帰還信号出力端子Rmoutにて帰還ケーブル40Rに接続されている。なお、カップリングコンデンサC3の容量は、例えば、10uFである。
<バッファユニット25の内部の回路(図6)>
図6で示すように、バッファユニット25は、受信回路25Aと、バッファ側制御手段25Bと、送信回路25Cと、バッファユニット側電源回路25Dと、バッファユニット側交流給電回路25Eと、を有している。
バッファユニット25は、第1接続ケーブル40の各ケーブルが接続される入力端子(信号入力端子Sbin、第1電力入力端子Pbin1、第2電力入力端子Pbin2、帰還信号入力端子Rbin)が設けられている。バッファユニット25は、第2接続ケーブル42の各ケーブルが接続される出力端子(信号出力端子Sbout、第1電力出力端子Pbout1、第2電力出力端子Pbout2、帰還信号出力端子Rbout)が設けられている。
第2接続ケーブル42は、基板32上に配置され(図2参照)、バッファユニット25と刺激ユニット群260のそれぞれの刺激ユニット26を接続する。また、第2接続ケーブル42は、刺激ユニット群260のそれぞれの刺激ユニット26をカスケード接続する。なお、第2接続ケーブル42は、信号ケーブル42Sと、第1電力ケーブル42P1と、第2電力ケーブル42P2と、帰還ケーブル42Rと、を有している。
受信回路25Aは、送信回路24Cから送信された電流信号(変調された刺激ユニット制御信号)を受信し、送信側である送信回路24Cにおける信号の変調方式に従って受信した信号から刺激ユニット制御信号を復調し、バッファ側制御手段25Bに出力する。受信回路25Aは、信号入力端子Sbinにて信号ケーブル40Sに接続されている。なお、受信した刺激ユニット制御信号がバッファユニット25の制御情報を含む場合には、受信回路25Aは、バッファユニット25の制御情報をバッファ側制御手段25Bに出力する。
バッファ側制御手段25Bは、バッファユニット25内の演算処理・制御処理を行うCPU等のプロセッサとメモリ等を有している。バッファ側制御手段25Bは、本体側制御手段24Bからの刺激ユニット制御信号をそれぞれの刺激ユニット26の刺激側制御手段26Bに送信する。また、バッファ側制御手段25Bは、制御情報に基づいて、送信回路25Cと、バッファユニット側交流給電回路25Eと、をそれぞれ制御する。
送信回路25Cは、刺激ユニット制御信号を変調し、信号ケーブル42Sを経由して、各刺激ユニット26の受信回路26A(図7参照)に刺激ユニット制御信号を出力する。具体的には、送信回路25Cは、例えばマンチェスター符号等により変調された電圧信号を出力する。送信回路25Cは、信号出力端子Sboutにて信号ケーブル42Sに接続される。
バッファユニット側電源回路25Dは、本体側交流給電回路24Eから受信した給電信号から電力を取り出し、バッファユニット25内の回路へ電力を供給する。なお、電源ラインVsup2の電圧は、バッファユニット側電源回路25Dから供給される電源の電圧を示し、グランドラインGND2の電圧は、バッファユニット25におけるグランドラインの電圧を示している。また電源ラインVsup2の電圧は、電源ラインVsup1の電圧より小さくなるように設定されている。バッファユニット側電源回路25Dは、第1電力入力端子Pbin1にて第1電力ケーブル40P1に接続され、第2電力入力端子Pbin2にて第2電力ケーブル40P2に接続される。
バッファユニット側交流給電回路25Eは、刺激ユニット群260のそれぞれの刺激ユニット26に低周波(例えば、250kHz)の交流電力を供給する。バッファユニット側交流給電回路25Eは、差動電圧出力の交流給電回路を有している。バッファユニット側交流給電回路25Eは、第1電力出力端子Pbout1にて第1電力ケーブル42P1に接続され、第2電力出力端子Pbout2にて第2電力ケーブル42P2に接続される。
帰還信号入力端子Rbinと帰還信号出力端子Rboutは、バッファユニット25の内部にて短絡されるように設けられている。帰還ケーブル40Rは帰還信号入力端子Rbinに接続され、帰還ケーブル42Rは帰還信号出力端子Rboutに接続される。つまり、帰還ケーブル40Rから入力された帰還信号は、バッファユニット25において、そのまま帰還ケーブル42Rに出力される。
<刺激ユニット群260の詳細(図6)>
図6に示すように、刺激ユニット群260は、複数の刺激ユニット26から構成される。刺激ユニット群260は、バッファユニット25に対して、カスケード接続される。図6に示す例では、刺激ユニット26には、重複しない1から始まるID番号がそれぞれ割り当てられ、刺激側制御手段26B(図7参照)の内部のメモリに記憶されている。
<刺激ユニット26の内部の回路(図7)>
図7で示すように、刺激ユニット26は、受信回路26Aと、刺激側制御手段26Bと、送信回路26Cと、刺激ユニット側電源回路26Dと、刺激電流供給回路26Eと、デマルチプレクサ26Fと、を有している。
それぞれの刺激ユニット26は、第2接続ケーブル42の各ケーブルが接続される入力端子(信号入力端子Sin、第1電力入力端子Pin1、第2電力入力端子Pin2、帰還信号入力端子Rin)が設けられている。刺激ユニット26は、第2接続ケーブル42の各ケーブルが接続される出力端子(信号出力端子Sout、第1電力出力端子Pout1、第2電力出力端子Pout2、帰還信号出力端子Rout)が設けられている。
受信回路26Aは、送信回路25Cから送信された電圧信号を受信し、送信側である送信回路25Cにおける信号の変調方式に従って受信した信号から刺激ユニット制御信号を復調し、刺激側制御手段26Bに出力する。受信回路26Aは、信号入力端子Sinにて信号ケーブル42Sに接続されている。
刺激側制御手段26Bは、刺激ユニット26内の演算処理・制御処理を行うCPU等のプロセッサとメモリ等を有している。刺激側制御手段26Bは、刺激ユニット制御信号の制御情報に基づいて、刺激ユニット26内の各回路を制御する。また、刺激側制御手段26Bは、メモリに記憶された自己のID番号に対応する刺激ユニット制御信号の制御情報に基づいて、演算処理・制御処理を行う。
送信回路26Cは、刺激ユニット制御信号を変調し、信号ケーブル42Sを経由して、次に接続された刺激ユニット26の受信回路26Aに刺激ユニット制御信号を出力する。具体的には、送信回路26Cは、例えばマンチェスター符号等により変調された電圧信号を出力する。送信回路26Cは、信号出力端子Soutにて信号ケーブル42Sに接続される。なお、刺激ユニット群260のカスケード接続における最後の刺激ユニット26は、送信回路26Cを省略しても良い。
刺激ユニット側電源回路26Dは、バッファユニット側交流給電回路25Eから受信した給電信号から電力を取り出し、刺激ユニット26内の回路へ電力を供給する。なお、電源ラインVsup3の電圧は、刺激ユニット側電源回路26Dから供給される電源の電圧を示し、グランドラインGND3の電圧は、刺激ユニット26におけるグランドラインの電圧を示している。また電源ラインVsup3の電圧は、電源ラインVsup2の電圧より小さくなるように設定されている。
刺激ユニット側電源回路26Dは、第1電力入力端子Pin1にて第1電力ケーブル42P1に接続され、第2電力入力端子Pin2にて第2電力ケーブル42P2に接続される。
刺激電流供給回路26Eは、定電流回路を有し、刺激ユニット制御信号の制御情報に基づいて、刺激電極28へ刺激電流を供給する。なお、刺激電流供給回路26Eは、後述するデマルチプレクサ26Fに接続され、刺激ユニット制御信号の制御情報に基づいて、デマルチプレクサ26Fにより選択された刺激電極28A〜28Fの一つの刺激電極に対して刺激電流を供給する。例えば、刺激電流供給回路26Eは、双極性のパルス信号を刺激電流として生成してもよい。
デマルチプレクサ26Fは、刺激側制御手段26Bと刺激電流供給回路26Eの出力と電気的に接続され、刺激ユニット制御信号に基づいて、複数の刺激電極28(本実施例では、刺激電極28A〜28F)から一の刺激電極を刺激電流供給回路26Eの出力に接続することが可能である。
帰還信号入力端子Rinと帰還信号出力端子Routは、刺激ユニット26の内部にて短絡するように設けられている。第1電力入力端子Pin1と第1電力出力端子Pout1が、第2電力入力端子Pin2と第2電力出力端子Pout2が、それぞれ刺激ユニット26の内部にて短絡されるように設けられている。また、送信回路26Cの出力は、信号出力端子Soutに接続される。これにより、他の刺激ユニット26とカスケード接続可能となり、刺激ユニット群260(図2参照)を構成することができる。
出力端子である信号出力端子Soutと、第1電力出力端子Pout1と、第2電力出力端子Pout2と、帰還信号出力端子Routと、を備えることで、他の刺激ユニットと接続可能となり、刺激ユニット群を構成することができる。
<第1実施形態における刺激電流の経路(図8〜図14)>
図8〜図14を用いて、第1実施形態における刺激電流の経路について説明する。図8は、第1実施形態の本体ユニット24と刺激ユニット群260(図2参照)のカスケード接続された一の刺激ユニット26の概略を示す図である。
なお、各ユニットにおいて、電流(刺激電流、リーク電流等)の経路の説明に必要な回路のみを記載されており、他の回路は省略されている。また、同様の理由により、電流(刺激電流、リーク電流等)の経路に直接関与はしないため、バッファユニット25の回路の記載は省略されている。また、図9〜図14は、各スイッチ回路の状態と電流(刺激電流、リーク電流等)の経路が異なる点で図8と相違し、各ユニットを構成する回路等は同一である。
<本体ユニット24と刺激ユニット26の回路の概略(図8)>
図8に示すように、本体ユニット24と刺激ユニット26が第1接続ケーブル40と第2接続ケーブル42により、接続されている。
本体ユニット24の一点鎖線で囲まれた回路は、本体側交流給電回路24Eと帰還電極電位変更回路24Fを示している。また、刺激ユニット26の一点鎖線で囲まれた回路は、刺激ユニット側電源回路26Dと、刺激電流供給回路26Eと、デマルチプレクサ26Fと、刺激ユニット側中点電位出力手段26Gと、を示している。
本体側交流給電回路24Eは、スイッチ回路24ES2、24ES3、24ES5、24ES6と、本体側中点電位出力手段24Gと、を備えている。
第1電力ケーブル40P1への出力電圧Vp1には、スイッチ回路24ES2が「閉状態」であり、スイッチ回路24ES5が「開状態」である場合に電源ラインVsup1の電圧が出力され、スイッチ回路24ES2が「開状態」であり、スイッチ回路24ES5が「閉状態」である場合にグランドラインGND1の電圧が出力される。
第2電力ケーブル40P2への出力電圧Vp2には、スイッチ回路24ES3が「閉状態」であり、スイッチ回路24ES6が「開状態」である場合に電源ラインVsup1の電圧が出力され、スイッチ回路24ES3が「開状態」であり、スイッチ回路24ES6が「閉状態」である場合にグランドラインGND1の電圧が出力される。
本体側交流給電回路24Eは、本体制御信号の制御情報に基づいて、出力電圧Vp1、Vp2を出力する。本体側交流給電回路24Eは、カップリングコンデンサC1を介して、第1電力ケーブル40P1に接続され、カップリングコンデンサC2を介して第2電力ケーブル40P2に接続される。
帰還電極電位変更回路24Fは、スイッチ回路24FS1、24FS2を備えている。帰還電極電位変更回路24Fの出力電圧である帰還電圧Vrには、スイッチ回路24FS1が「閉状態」であり、スイッチ回路24FS2が「開状態」である場合に電源ラインVsup1の電圧が出力され、スイッチ回路24FS1が「開状態」であり、スイッチ回路24FS2が「閉状態」である場合にグランドラインGND1の電圧が出力される。
本体側中点電位出力手段24Gは、スイッチ回路24ES7と、所定の電圧を発生させる定電圧回路E1、E2と、を備えている。なお、定電圧回路E1、E2は、出力電圧Vc1が電源ラインVsup1の電圧とグランドラインGND1の電圧との中点電圧になるように調整される。なお、スイッチ回路24ES7は、出力する場合以外は、「開状態」にされている。
刺激ユニット側電源回路26Dは、入力側が第1電力ケーブル42P1と第2電力ケーブル42P2に接続され、バッファユニット25から交流電力が供給されている。刺激ユニット側電源回路26Dは、整流回路等で構成され、交流電力から電源ラインVsup3の電圧を発生させる。
刺激電流供給回路26Eは、スイッチ回路26ES1、26ES2と、刺激電極から人体へ向けて流れる電流(「正」の電流)を発生させる定電流源と、人体から刺激電極へ向けて流れる電流(「負」の電流)を発生させる定電流源と、を備えている。
刺激電流供給回路26Eの出力には、スイッチ回路26ES1が「閉状態」であり、スイッチ回路26ES2が「開状態」である場合に「正」の電流が出力され、スイッチ回路26ES1が「開状態」であり、スイッチ回路26ES2が「閉状態」である場合に「負」の電流が出力される。
デマルチプレクサ26Fは、スイッチ回路26FS1〜24FS6を備えている。デマルチプレクサ26Fは、入力側が刺激電流供給回路26Eの出力に接続され、スイッチ回路26FS1〜24FS6の出力が刺激電極28A〜28Fのそれぞれに接続されている。
刺激ユニット側中点電位出力手段26Gは、出力電圧バッファ回路26G1と、スイッチ回路26GS1、26GS2と、抵抗R1、R2と、デカップリングコンデンサC4、C5と、を備えている。抵抗R1、R2は、電圧Vsc1が電源ラインVsup3の電圧とグランドラインGND3の電圧との中点電圧になるように調整される。スイッチ回路26GS1が「閉状態」とされると、電圧Vsc2は、電圧Vsc1に設定される。なお、スイッチ回路26GS2は、後述する電流の経路を形成するために用いられる。
白抜き表示されたダイオードPDは、刺激ユニット26をモノリシック半導体回路にて形成した場合の寄生ダイオードである。寄生ダイオードは、スイッチ回路26FS1〜26FS6をCMOSトランジスタで構成すると、そのPチャネルトランジスタとNチャネルトランジスタそれぞれに対して、バックゲート電極との間に形成される。Pチャネルトランジスタのバックゲートは電源ラインVsup3と接続され、NチャネルトランジスタのバックゲートはグランドラインGND3に接続される。
<アノーディック刺激する場合の刺激電流の経路(図8)>
図8に、刺激電極28Cからアノーディック刺激する場合の刺激電流の経路の例を示す。各スイッチ回路の状態は、刺激電極28Cから刺激電流が出力されるように設定される。具体的には、図8に示すように、本体ユニット24の側では、スイッチ回路24FS1が「開状態」にされ、スイッチ回路24FS2が「閉状態」にされる。スイッチ回路24ES2とスイッチ回路24ES6の組み合わせと、スイッチ回路24ES3とスイッチ回路24ES5の組み合わせが、交互に「開状態」と「閉状態」を繰り返し、第1電力ケーブル40P1と第2電力ケーブル40P2のそれぞれへ交流電圧を供給する。刺激ユニット26の側では、スイッチ回路26ES2が「開状態」にされ、スイッチ回路26ES1とスイッチ回路26FS3がそれぞれ「閉状態」にされる。
実線の矢印で示された経路CAは、刺激電流の経路である。刺激電流は、第1電力ケーブル42P1と第2電力ケーブル42P2から供給された交流給電(交流電圧)が刺激ユニット側電源回路26Dにより直流に変換され、電源ラインVsup3を介して、「正」の定電流源からスイッチ回路26FS3を経由し、刺激電極28Cから出力される。刺激電極28Cから出力された刺激電流は、経路CAに沿って流れ、帰還電極29から本体ユニット24のグランドラインGND1へ向かって流れる。
<カソーディック刺激する場合の刺激電流の経路(図9)>
図9に、刺激電極28Cからカソーディック刺激する場合の刺激電流の経路の例を示す。各スイッチ回路の状態は、刺激電極28Cに向かって刺激電流が入力されるように設定される。具体的には、図9に示すように、本体ユニット24の側では、スイッチ回路24FS1が「閉状態」にされ、スイッチ回路24FS2が「開状態」にされる。刺激ユニット26の側では、スイッチ回路26ES1が「開状態」にされ、スイッチ回路26ES2とスイッチ回路26FS3がそれぞれ「閉状態」にされる。
実線の矢印で示された経路CCは、刺激電流の経路である。刺激電流は、スイッチ回路24FS1を経由し、帰還電極29から出力される。帰還電極29から出力された刺激電流は、経路CCに沿って流れ、刺激電極28Cから刺激ユニット26のグランドラインGND3と刺激ユニット側電源回路26Dを介して、交流として第1電力ケーブル42P1と第2電力ケーブル42P2へ流れる。
<アノーディック刺激する場合の刺激電流とリーク電流の経路(図10)>
図10に、刺激電極28Cからアノーディック刺激する場合の刺激電流とリーク電流の経路の例を示す。各スイッチ回路の状態は、図8と同様の状態である。
図10において、例えば、第2電力ケーブル42P2と人体との間の絶縁性が低下すると(リーク抵抗RL1の発生)、第2電力ケーブル42P2と人体との間にリーク電流が生じる。
点線の矢印で示されたリーク電流経路LC1は、リーク電流の経路である。リーク電流は、リーク電流経路LC1に沿って流れ、帰還電極29から本体ユニット24のグランドラインGND1へ向かって流れる(回収される)。これにより、第1接続ケーブル40と第2接続ケーブル42と人体との間にリーク電流が生じても、刺激電極28の側へリーク電流が流れないため、適正な刺激電流にて人体(細胞等)に対して刺激することができる。また、リーク電流経路LC1には、カップリングコンデンサC2,C3が含まれているので、リーク電流は直流にはならず、生体を損傷するリスクは生じない。
<カソーディック刺激する場合の刺激電流とリーク電流の経路(図11)>
図11に、刺激電極28Cからカソーディック刺激する場合の刺激電流とリーク電流の経路の例を示す。各スイッチ回路の状態は、図9と同様の状態である。また、図10と同様にリーク電流が生じている。
点線の矢印で示されたリーク電流経路LC2は、リーク電流の経路である。リーク電流は、帰還電極29を経由し、リーク電流経路LC2に沿って流れ、第2接続ケーブル42と第1接続ケーブル40を経由し、本体ユニット24のグランドラインGND1へ向かって流れる(回収される)。これにより、第1接続ケーブル40と第2接続ケーブル42と人体(細胞等)との間にリーク電流が生じても、刺激電極28の側へリーク電流が流れないため、適正な刺激電流にて人体に対して刺激することができる。また、リーク電流経路LC2には、カップリングコンデンサC2,C3が含まれているので、リーク電流は直流にはならず、生体を損傷するリスクは生じない。
<刺激電流と予期しない不要な電流の経路(図12、図13)>
図12に、刺激電極28Cからアノーディック刺激する場合の刺激電流と寄生ダイオードに起因する予期しない不要な電流(以下、不要電流と称する。)の経路の例を示す。スイッチ回路の状態は、図8と同様の状態である。なお、刺激電流の経路は、図8と同様であるため、図示を省略する。
図12において、刺激電極28Cからアノーディック電流が流れているとき、刺激電極28Cと帰還電極29との間には、電圧降下が発生する。この時、例えば刺激電極28Bが前記の電圧降下が発生する経路の途中に存在すると、刺激電極28Bの電位Vm1が帰還電極29の電位Vr近くになることがある。この時、電位Vrは、ほぼグランドラインGND1の電位Vg1と等しくなる。また、グランドラインGND3の電位Vg3は、刺激ユニット側電源回路26Dの整流回路による電圧降下分、電位Vg1よりも高くなる。このため、Vm1<Vg3となることがあり、寄生ダイオードPD2を経由して、刺激電流が出力されていない刺激電極28B(未刺激電極)から不要電流が流出する場合がある。以下、刺激電流を刺激電極28Cから出力し、刺激電流が出力されていない未刺激電極として刺激電極28Bを用いて、説明する。
点線の矢印で示された経路LC3は、不要電流の経路である。電位Vm1が電位Vg3よりも低いため(Vm1<Vg3)、不要電流が、寄生ダイオードPD2を流れ、刺激電極28Bから流出する。不要電流は、経路LC3に沿って流れ、帰還電極29を経由し、本体ユニット24のグランドラインGND1に向かって流れる(回収される)。これにより、選択されていない刺激電極28Bを経由し電流(不要電流)が流れ、適正な刺激電極にて人体(細胞等)に対して刺激することができない。
図13に、刺激電極28Cからカソーディック刺激する場合の刺激電流と寄生ダイオードによる予期しない不要な電流(不要電流)の経路の例を示す。各スイッチ回路の状態は、図9と同様の状態である。なお、刺激電流の経路は、図9と同様であるため、図示を省略する。
図13において、刺激電極28Cからカソーディック電流が流れているとき、刺激電極28Cと帰還電極29との間には、電圧降下が発生する。この時、例えば刺激電極28Bが前記の電圧降下が発生する経路の途中に存在すると、刺激電極28Bの電位Vm2が帰還電極29の電位Vr近くになることがある。この時、電位Vrは、ほぼ電源ラインVsup1の電位Vs1と等しくなる。また電源ラインVsup3の電位Vs3は、制御ユニット側電源回路26Dの整流回路による電圧降下分、電位Vs1よりも低くなる。このため、Vm2>Vs3となることがあり、寄生ダイオードPD1を経由して、刺激電流が出力されていない刺激電極28Bから不要電流が流入する場合がある。以下、刺激電流を刺激電極28Cから出力し、刺激電流が出力されていない未刺激電極として刺激電極28Bを用いて、説明する。
点線の矢印で示された経路LC4は、不要電流の経路である。電位Vm2が電位Vs3よりも高いため(Vm2>Vs3)、不要電流が、スイッチ回路24FS1を流れ、帰還電極29から出力される。不要電流は、経路LC4に沿って流れ、刺激電極28Bを経由し、寄生ダイオードPD1を流れ、刺激ユニット26の電源ラインVsup3に向かって流れる(回収される)。これにより、選択されていない刺激電極28Bを経由し電流(不要電流)が流れ、適正な刺激電極にて人体(細胞等)に対して刺激することができない。
なお、図12と図13において説明した不要電流については、後述する第2実施形態と第3実施形態において詳細に説明する。
<不要な電荷を放電させる電流の経路(図14)>
図14は、第1実施形態における、カップリングコンデンサC1、C2に生じる不要な電荷を放電させる電流の経路と、刺激電極と帰還電極を含む電流の経路のカップリングコンデンサC3と生体と電極間に生成する電気二重層コンデンサCMに生じる不要な電荷を放電させる電流の経路を説明する図である。
図14において、アノーディック刺激とカソーディック刺激を交互に行って刺激電流を供給する動作を続けていると、アノーディック刺激時とカソーディック刺激時の電荷量の誤差によって、電力ケーブル(第1電力ケーブル40P1、第2電力ケーブル40P2)に接続されたカップリングコンデンサC1、C2のそれぞれに不要な電荷が蓄積される場合がある。また同様に、刺激電極と帰還電極を含む電流の経路に接続されたカップリングコンデンサC3と人(患者)の細胞と電極間に生成する電気二重層コンデンサCMのそれぞれに不要な電荷が蓄積される場合がある。
点線の矢印で示された経路PR1は、カップリングコンデンサC1、C2のそれぞれの不要な電荷を放電する経路である。実線の矢印で示された経路PR2は、カップリングコンデンサC3,電気二重層コンデンサCMを放電する経路である。
カップリングコンデンサC1、C2のそれぞれを放電する場合は、各スイッチ回路の状態は、経路PR1に沿って放電電流が流れるように設定される。具体的には、図14に示すように、本体ユニット24の側では、スイッチ回路24ES7が「閉状態」にされる。さらにスイッチ回路24FS1、24FS2のそれぞれが「開状態」にされる。刺激ユニット26の側では、スイッチ回路26GS1が「閉状態」にされ、スイッチ回路26ES1とスイッチ回路26ES2が「開状態」にされる(以下、このスイッチ回路の状態を共通スイッチ回路状態と称する。)。
放電動作中も、刺激ユニット26へ電源を供給するために、本体側交流給電回路24Eの各スイッチ回路は、スイッチ回路24ES3とスイッチ回路24ES5の組み合わせと、スイッチ回路24ES2とスイッチ回路24ES6の組み合わせが、交互に「開状態」と「閉状態」を繰り返す。
カップリングコンデンサC3と、電気二重層コンデンサCMのそれぞれを放電する場合は、スイッチ回路26FS1〜26FS6とスイッチ回路26GS2がそれぞれ「閉状態」にされる。
カップリングコンデンサC1、C2、C3のそれぞれと電気二重層コンデンサCMの放電を同時に行う場合には、上記スイッチ回路の状態(共通スイッチ回路状態)に加えて、スイッチ回路26FS1〜26FS6とスイッチ回路26GS2のそれぞれを「閉状態」にする。
以上のように、カップリングコンデンサC1、C2、C3と電気二重層コンデンサCMに蓄積される不要な電荷を放電し、カップリングコンデンサC1、C2と刺激電流の経路内にて不要な電荷が蓄積することを抑制することができる。
<第2実施形態における刺激する場合の刺激電流の経路(図15、図16)>
第2実施形態は、第1実施形態の本体ユニット24(図8参照)が本体ユニット24Xである点で相違する。また、図15と図16で示すように、本体ユニット24Xの帰還電極電位変更回路24FXは、本体ユニット24の帰還電極電位変更回路24Fに対して(図8参照)、帰還電極電位降圧回路24F1と帰還電極電位昇圧回路24F2を備えている点で相違する。以下、主に帰還電極電位降圧回路24F1と帰還電極電位昇圧回路24F2について説明する。図15は、アノーディック刺激する場合の刺激電流の経路を説明する図である。図16は、カソーディック刺激する場合の刺激電流の経路を説明する図である。
帰還電極電位降圧回路24F1は、本体側制御手段24Bからの制御によって、帰還ケーブル40Rの電位Vrを第1帰還電極オフセット電圧Ef1だけ降圧可能である。帰還電極電位昇圧回路24F2は、帰還ケーブル40Rの電位Vrを第2帰還電極オフセット電圧Ef2だけ昇圧可能である。なお、第1帰還電極オフセット電圧Ef1と第2帰還電極オフセット電圧Ef2は、本体側制御手段24Bにより任意の電圧に設定することができる。帰還電極電位降圧回路24F1と帰還電極電位昇圧回路24F2は、例えば、出力電圧バッファ回路を用いて形成しても良い。
図12において説明したように、電位Vm1が電位Vg3よりも低いため、不要電流が経路LC3に沿って流れる。図15において、スイッチ回路24FS1を「開状態」にし、スイッチ回路24FS2を「閉状態」にすると、電位Vrが第2帰還電極オフセット電圧Ef2だけ高くなり、電位Vm1が電位Vg3よりも低い状態から、電位Vm1を電位Vg3より高い状態にすることができる。これにより、経路LC3を流れる不要電流が生じないため、経路CAを流れる刺激電流だけとなり、適正な刺激電流にて人体に対してアノーディック刺激をすることができる。
図13において説明したように、電位Vm2が電位Vs3よりも高いため、不要電流が経路LC4に沿って流れる。図16において、スイッチ回路24FS1を「閉状態」にし、スイッチ回路24FS2を「開状態」にすると、電位Vrが第1帰還電極オフセット電圧Ef1だけ低くなり、電位Vm2が電位Vs3よりも高い状態から、電位Vm2を電位Vs3よりも低い状態にすることができる。これにより、経路LC4を流れる不要電流が生じないため、経路CCを流れる刺激電流だけとなり、適正な刺激電流にて人体に対してカソーディック刺激をすることができる。
<第3実施形態における刺激する場合の刺激電流の経路(図17、図18)>
第3実施形態は、第1実施形態の本体ユニット24(図8参照)が本体ユニット24Yである点と、刺激ユニット26(図8参照)が刺激ユニット26Xである点で相違する。また、図17と図18で示すように、刺激ユニット26に対して、刺激側電源電位変更回路26Hを備えている点で相違する。以下、刺激側電源電位変更回路26Hについて説明する。図17は、アノーディック刺激する場合の刺激電流の経路を説明する図である。図18は、カソーディック刺激する場合の刺激電流の経路を説明する図である。
図17に示すように、本体側交流給電回路24EXは、本体側交流給電回路24Eに対して、スイッチ回路24ES1、24ES4を有している点で相違する。スイッチ回路24ES1を介して、電源ラインVsup1の電圧が、電力ケーブル(第1電力ケーブル40P1、第2電力ケーブル40P2)へ出力される。スイッチ回路24ES4を介して、グランドラインGND1の電圧が、電力ケーブル(第1電力ケーブル40P1、第2電力ケーブル40P2)へ出力される。これにより、本体側交流給電回路24EXは、出力の電位を帰還電極電位変更回路24Fで変更される電位の範囲で変更可能となる。
刺激側電源電位変更回路26Hは、刺激ユニット側電源回路26Dの出力からより高い電圧を出力可能であり、刺激側電源出力昇圧回路26H1と刺激側電源出力降圧回路26H2と、を有する。
刺激側電源出力昇圧回路26H1は、刺激側制御手段26Bからの制御によって、刺激ユニット側電源回路26Dの出力を第1刺激側オフセット電圧Es1だけ昇圧可能である。さらに刺激側電源出力昇圧回路26H1は、スイッチ回路26FS1〜26FS6とバックゲート電極との間に形成される寄生ダイオード(例えば、スイッチ回路26FS2に対して寄生ダイオードPD1)に対して逆バイアス電圧を印加するように設けられている。
刺激側電源出力降圧回路26H2は、刺激ユニット側電源回路26Dの出力を第2刺激側オフセット電圧Es2だけ降圧可能である。刺激側電源出力降圧回路26H2は、スイッチ回路26FS1〜26FS6とバックゲート電極との間に形成される寄生ダイオード(例えば、スイッチ回路26FS2に対して寄生ダイオードPD2)に対して逆バイアス電圧を印加するように設けられている。なお、第1刺激側オフセット電圧Es1と第2刺激側オフセット電圧Es2は、刺激側制御手段26Bにより任意の電圧に設定することができる。
図12において説明したように、アノーディック刺激をする場合、電位Vm1が電位Vg3よりも低いため、不要電流が経路LC3に沿って流れる。図17において、スイッチ回路24FS1とスイッチ回路24ES4を「開状態」にし、スイッチ回路24FS2とスイッチ回路24ES1を「閉状態」にする。さらに、切替スイッチ回路26HS1を端子S2側に接続し、切替スイッチ回路26HS2を端子S4側に接続する(寄生ダイオードPD2に逆バイアス電圧を印加する)。これにより、バックゲート電位Vbg2が第2刺激側オフセット電圧Es2だけ低くなり、電位Vm1が電位Vbg2よりも低い状態から、電位Vm1を電位Vbg2より高い状態にすることができる。これにより、経路LC3を流れる不要電流が生じないため、適正な刺激電極にて人体(細胞等)に対してアノーディック刺激をすることができる。
図13において説明したように、カソーディック刺激をする場合、電位Vm2が電位Vs3よりも高いため、不要電流が経路LC4に沿って流れる。図18において、スイッチ回路24FS1とスイッチ回路24ES4を「閉状態」にし、スイッチ回路24FS2とスイッチ回路24ES1を「開状態」にする。さらに、切替スイッチ回路26HS1を端子S1側に接続し、切替スイッチ回路26HS2を端子S3側に接続する(寄生ダイオードPD1に逆バイアス電圧を印加する)。これにより、バックゲート電位Vbg1が第1刺激側オフセット電圧Es1だけ高くなり、電位Vm2が電位Vbg1よりも高い状態から、電位Vm2を電位Vbg1より低い状態にすることができる。これにより、経路LC4を流れる不要電流が生じないため、適正な刺激電極にて人体(細胞等)に対してカソーディック刺激をすることができる。
<刺激ユニット群のサイズが大型化の抑制の効果>
本開示の体内埋植型電気刺激装置は、特許文献1の生体埋植装置(体内埋植型電気刺激装置)が刺激ユニット126の側にカップリングコンデンサC101、C102を有する(図19、20参照)代わりに、本体ユニット24の側にカップリングコンデンサC1、C2を有している。また、体内埋植型電気刺激装置は、生体埋植装置(体内埋植型電気刺激装置)が刺激ユニット126の側に帰還電極129を有する代わりに、本体ユニット24の側に帰還電極29を有している。これにより、複数の刺激ユニットからなる刺激ユニット群のサイズが大型になることを抑制することができる。
<刺激ユニットが交流電力の交流周波数の低減の効果>
図19と図20において、刺激ユニット126を人(患者)の体内に埋植するため、可能な限り小さくする必要があり、カップリングコンデンサC101、C102のそれぞれの容量は、数10pF程度までの大きさに限定される。この場合において、十分な刺激電流を発生させるために必要な電力を、カップリングコンデンサC101、C102を介して刺激ユニット126に供給するためには、数10MHz程度の高周波数での交流電力の供給が必要とされる。
交流電力の交流周波数の半周期(1周期の半分)の間における、カップリングコンデンサC101、C102に充電される電荷を計算する。半周期の間にコンデンサに充電される電荷は、(コンデンサの容量C[F])×(コンデンサの充電電圧[V])=電流値[A]×(1/(2×交流周波数[Hz])式(1)で表される。
例えば、カップリングコンデンサC101、C102のそれぞれの容量が20pFであり、交流電力にて供給する電流が1mAであり、カップリングコンデンサC101、C102のそれぞれの充電電圧が1Vであるとして、式(1)を用いて交流周波数[Hz]を計算する。式(1)より、20[pF]×1[V]=1[mA]×1/(2×交流周波数[Hz])となり、交流周波数は、25[MHz]になる。
また、交流電力の交流周波数の半周期(1周期の半分)の間における、容量性負荷における無効消費電力P[W]は、無効消費電力P[W]=(負荷容量C[F])×(コンデンサへの供給電圧[V])×(供給電圧の交流周波数[Hz])式(2)で表される。
例えば、刺激ユニット群が100個の刺激ユニットにより構成され、交流電力の供給電圧が10Vであり、交流電力が供給される入力端子のそれぞれの寄生容量が5pFであり、交流周波数が25[MHz]であるとして、式(2)を用い無効消費電力P[W]を計算する。式(2)より、無効消費電力P[W]は、100[個]×2[個]×5[pF]×10[V]×25[MHz]となり、250mWになる。
本開示の体内埋植型電気刺激装置では、刺激ユニットの側にカップリングコンデンサを備える代わりに、本体ユニットの側にカップリングコンデンサを備えている。この場合における、刺激ユニットへの交流電力の交流周波数を、式(1)を用いて求める。
例えば、カップリングコンデンサC1、C2のそれぞれの容量が10uFであり、交流電力にて1つの刺激ユニットに供給する電流が1mAであり、カップリングコンデンサC1、C2のそれぞれの充電電圧が0.1Vであり、刺激ユニットが100個として、式(1)を用いて交流周波数[Hz]を計算する。式(1)より、10[uF]×0.1[V]=100[個]×1[mA]×1/(2×交流周波数[Hz])となり、交流周波数は、50[kHz]になる。
また、無効消費電力P[W]は、式(2)より、100[個]×2[個]×5[pF]×10[V]×50[kHz]となり、刺激ユニットの側にカップリングコンデンサを備える場合と比較して、2桁以上小さい0.5mWになる。
本開示の体内埋植型電気刺激装置は、刺激ユニットの側にカップリングコンデンサを備える代わりに、本体ユニットの側にカップリングコンデンサを備えることで、刺激ユニット群のサイズの大型化を抑制するとともに、無効消費電力を抑制できる。
<電流の経路内の不要な電荷の抑制の効果>
また、カップリングコンデンサC1、C2、C3と電気二重層コンデンサCMに蓄積される不要な電荷を放電し、カップリングコンデンサC1、C2と刺激電流の経路内にて不要な電荷が蓄積することを抑制することができる。これにより、体内埋植型電気刺激装置は、適正な刺激電流にて刺激することができる。
本開示の体内埋植型電気刺激装置は、本実施の形態で説明した構成、構造等に限定されず、本開示の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。特に、本開示の実施形態の説明における回路は、説明の都合上、簡略化したものであり、半導体回路にて形成した場合、本回路にて説明した機能を有するものであれば良い。
本実施の形態では、本体ユニット24は、バッファユニット25を介して、刺激ユニット群260のそれぞれの刺激ユニット26に接続されている構成の例で説明したが、これに限定されず、バッファユニット25を介することなく、直接刺激ユニット群260のそれぞれの刺激ユニット26に接続されている構成でも良い。
本開示の実施例では、帰還電極電位変更回路24F、24FXは、カップリングコンデンサC3を介して帰還電極29に接続された構成の例で説明したが、これに限定されず、カップリングコンデンサC3を介さないで直接、帰還電極29に接続されている構成でも良い。
10 体外装置
12 撮像手段(CCDカメラ)
14 体外装置制御手段
16 バッテリ
18 送信手段
20 体内埋植型電気刺激装置
22 受信手段
24、24X、24Y 本体ユニット
24A 受信回路
24B 本体側制御手段
24C 送信回路
24D 本体ユニット側電源回路
24E、24EX 本体側交流給電回路
24F、24FX 帰還電極電位変更回路
24F1 帰還電極電位降圧回路
24F2 帰還電極電位昇圧回路
24G 本体側中点電位出力手段
25 バッファユニット
25A 受信回路
25B バッファ側制御手段
25C 送信回路
25D バッファユニット側電源回路
25E バッファユニット側交流給電回路
26、26X 刺激ユニット
26A 受信回路
26B 刺激側制御手段
26C 送信回路
26D 刺激ユニット側電源回路
26E 刺激電流供給回路
26F デマルチプレクサ
26G 刺激ユニット側中点電位出力手段
26GS1、26GS2 スイッチ回路
26H 刺激側電源電位変更回路
26H1 刺激側電源出力昇圧回路
26H2 刺激側電源出力降圧回路
260 刺激ユニット群
28、28A〜28F 刺激電極
29 帰還電極
40 第1接続ケーブル
40P1 第1電力ケーブル(電力ケーブル)
40P2 第2電力ケーブル(電力ケーブル)
40R 帰還ケーブル
42 第2接続ケーブル
42S 信号ケーブル
42P1 第1電力ケーブル(電力ケーブル)
42P2 第2電力ケーブル(電力ケーブル)
42R 帰還ケーブル
C1、C2、C3 カップリングコンデンサ
CM 電気二重層コンデンサ

Claims (5)

  1. 人の視覚に関する細胞又は組織に接触するように、人の体内に埋植される少なくとも一つの刺激ユニットを有する刺激ユニット群と、
    人の体内に埋植されて、それぞれの前記刺激ユニットに接続された本体ユニットと、
    を備える体内埋植型電気刺激装置において、
    それぞれの前記刺激ユニットは、
    刺激電流による電気刺激信号を出力する複数の刺激電極と、
    前記刺激電極へ刺激電流を供給する刺激電流供給回路と、
    前記刺激電流供給回路の出力と電気的に接続され、複数の前記刺激電極から一の前記刺激電極を前記刺激電流供給回路の前記出力に接続することが可能なデマルチプレクサと、
    前記本体ユニットから供給された交流電力が入力され、前記刺激ユニット内の回路へ電力を供給する刺激ユニット側電源回路と、
    前記刺激電流供給回路と前記デマルチプレクサを制御する刺激側制御手段と、
    を有し、
    前記本体ユニットは、
    体外からの本体制御信号を含む給電信号を受信する受信手段と、
    前記給電信号から電力を取り出し、前記本体ユニット内の回路へ電力を供給する本体ユニット側電源回路と、
    前記刺激ユニット群のそれぞれの前記刺激ユニットに交流電力を供給する本体側交流給電回路と、
    それぞれの前記刺激電極から出力された前記刺激電流が人体を通して帰還する帰還電流を回収する帰還電極と、
    帰還電極電位変更回路と、
    前記本体制御信号に基づいた刺激ユニット制御信号を前記刺激側制御手段に送信する本体側制御手段と、
    を有し、
    前記帰還電極は、
    前記本体ユニットに接続されており、
    前記本体側制御手段から制御される前記帰還電極電位変更回路によって電位の変更が可能とされている、
    体内埋植型電気刺激装置。
  2. 請求項1に記載の体内埋植型電気刺激装置であって、
    前記本体ユニットの前記本体側交流給電回路と、前記刺激ユニット群のそれぞれの前記刺激ユニットの前記刺激ユニット側電源回路と、を電気的に接続する電力ケーブルを有し、
    前記本体側交流給電回路は、
    前記電力ケーブルに対して、カップリングコンデンサを介して接続され、
    前記刺激ユニット側電源回路は、
    前記電力ケーブルに対して、カップリングコンデンサを介することなく接続されている、
    体内埋植型電気刺激装置。
  3. 請求項2に記載の体内埋植型電気刺激装置であって、
    前記本体側交流給電回路は、
    出力の電位を前記帰還電極電位変更回路の変更される電位の範囲で変更可能であり、
    前記刺激ユニットは、
    前記刺激ユニット側電源回路の出力の電位を変更可能な刺激側電源電位変更回路を有しており、
    前記刺激側電源電位変更回路は、
    前記刺激側制御手段からの制御によって、前記刺激ユニット側電源回路の出力の電位を第1刺激側オフセット電圧だけ昇圧可能な刺激側電源出力昇圧回路と、前記刺激ユニット側電源回路の出力の電位を第2刺激側オフセット電圧だけ降圧可能な刺激側電源出力降圧回路と、を備えている、
    体内埋植型電気刺激装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の体内埋植型電気刺激装置であって、
    前記本体ユニットと、それぞれの前記刺激ユニットと、を電気的に接続する帰還ケーブルを有し、
    前記帰還電極は、前記帰還ケーブルに、直接またはコンデンサを介して接続されており、
    前記帰還電極電位変更回路は、
    前記本体側制御手段からの制御によって、前記帰還ケーブルの電位を第1帰還電極オフセット電圧だけ降圧可能な帰還電極電位降圧回路と、第2帰還電極オフセット電圧だけ昇圧可能な帰還電極電位昇圧回路と、を備えている、
    体内埋植型電気刺激装置。
  5. 請求項4に記載の体内埋植型電気刺激装置であって、
    前記本体ユニットは、
    前記本体側交流給電回路の出力電圧の中点電位を前記帰還ケーブルへ出力する本体側中点電位出力手段を備え、
    それぞれの前記刺激ユニットは、
    前記刺激ユニット側電源回路の出力電圧の中点電位を前記帰還ケーブルへ出力する刺激ユニット側中点電位出力手段を備える、
    体内埋植型電気刺激装置。
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