JP2021074671A - タンパク質吸着剤およびその製造方法 - Google Patents

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内田 哲也
Tetsuya Uchida
内田  哲也
亮太 籔根
Ryota Yabune
亮太 籔根
橋本 賀之
Yoshiyuki Hashimoto
賀之 橋本
武大 北村
Takehiro Kitamura
武大 北村
祐子 森田
Yuko Morita
祐子 森田
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Abstract

【課題】水媒体中でタンパク質を吸着するとともに、水媒体中からの分離、回収が容易なタンパク質吸着剤を提供する。【解決手段】実施形態に係るタンパク質吸着剤は、微細繊維状セルロースと、セルロース以外の高分子化合物の結晶化物により形成され、微細繊維状セルロースの表面の少なくとも一部に接合した高分子部分と、を含み、タンパク質に対して吸着能を有する吸着剤である。【選択図】なし

Description

本発明は、タンパク質吸着剤、およびその製造方法に関する。
セルロースは、生分解性を有する天然由来材料であり、その汎用性は高く、また、化学的および熱的安定性が比較的高い材料である。また、セルロースは、タンパク質といった生体物質に対し、非特異的な相互作用や吸着を起こし難いため、精製・分離用カラムの充填剤や、酵素、微生物、細胞の固定化担体・吸着剤・膜材料等に用いられている。
微細繊維状セルロースは、セルロースナノファイバーとも呼ばれ、木材等のセルロース系原料を解繊処理することにより得られるナノオーダーのセルロース繊維である。セルロースナノファイバーのタンパク質などの生体物質に対する吸着剤の研究例として、種々のセルロースナノファイバーに対するタンパク質の吸着特性の結果が報告されている。
例えば、非特許文献1には、セルロースナノファイバーとして、TEMPO酸化セルロースナノファイバー(以下、TOCNと記載)に対するタンパク質の吸着特性が示されている。TOCNは、水媒体中に高度に分散した親水性の高いナノオーダーのセルロース繊維であるため、水媒体中からTOCNを、あるいはタンパク質が吸着したTOCNを、ろ過や遠心分離により回収することが難しいという問題があった。
ところで、特許文献1および2には、セルロースナノファイバーと高分子化合物の結晶化物により形成された複合体が吸引ろ過により固液分離することが開示されているが、特許文献1,2に記載の複合体は、各種樹脂に対するフィラーや補強材としての利用を想定したものであり、該複合体のタンパク質などに対する吸着能は明示されておらず、吸着剤としての利用についても何ら記載されていない。
特開2014−237904号公報 特開2018−145531号公報
Ramon Weishaupt,他8名"TEMPO-OxidizedNanofibrillated Cellulose as a High Density Carrier for Bioactive Molecules", Biomacromolecules,2015, 16, 11, 3640-3650
本発明の実施形態は、水媒体中でタンパク質を吸着するとともに、水媒体中からの分離、回収が容易なタンパク質吸着剤、およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の[1]ないし[7]を提供するものである。
[1]タンパク質に対して吸着能を有する吸着剤であって、該吸着剤が、微細繊維状セルロースと、セルロース以外の高分子化合物の結晶化物により形成され、微細繊維状セルロースの表面の少なくとも一部に接合した高分子部分と、を含むタンパク質吸着剤。
[2]前記微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶構造を有し、かつアニオン性官能基を有することを特徴とする[1]に記載のタンパク質吸着剤。
[3]前記微細繊維状セルロースのアニオン性官能基がカルボキシ基および/または硫酸基であることを特徴とする[1]または[2]に記載のタンパク質吸着剤。
[4]ゼータ電位が−60mV以上−1mV以下であること特徴とする[1]ないし[3]のいずれか1項に記載のタンパク質吸着剤。
[5]前記高分子化合物が、セルロース以外の重縮合系高分子化合物、重付加重合系高分子化合物、付加縮合系高分子化合物、および付加重合系高分子化合物からなる群から選択される、1種または2種以上であることを特徴とする[1]ないし[4]のいずれか1項に記載のタンパク質吸着剤。
[6]前記高分子化合物が、ポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコールの共重合体を含むことを特徴とする[1]ないし[5]のいずれか1項に記載のタンパク質吸着剤。
[7][1]ないし[6]のいずれか1項に記載のタンパク質吸着剤の製造方法であって、高分子化合物の溶液と微細繊維状セルロースとを接触させる溶液接触ステップと、溶液接触ステップの後に該溶液中の該高分子化合物の溶解量を低下させ、微細繊維状セルロースの表面の少なくとも一部に該高分子化合物を結晶として析出させる析出ステップと、を含むことを特徴とするタンパク質吸着剤の製造方法。
本発明のタンパク質吸着剤は、水媒体中でタンパク質を吸着することができるとともに、ろ過や遠心分離により、水媒体中から簡便に分離、回収することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係るタンパク質吸着剤は、微細繊維状セルロースと、セルロース以外の高分子化合物の結晶化物により形成され、微細繊維状セルロースの表面の少なくとも一部に接合した高分子部分と、を含んでなる。
[微細繊維状セルロース]
上記微細繊維状セルロースは、I型結晶構造を有する。セルロースI型結晶は天然セルロースの結晶形であり、I型結晶構造を有することにより、微細繊維状セルロースに水不溶性を持たせて、水に対する膨潤を抑え、耐久性を高めることができる。そのため、耐久性の高いタンパク質吸着剤を提供することができる。
微細繊維状セルロースがI型結晶構造を有することは、例えば、広角X線回折像測定により得られる回折プロファイルにおいて、2θ=14°〜17°付近と、2θ=22°〜23°付近の2つの位置に典型的なピークをもつことから同定することができる。
上記微細繊維状セルロースは、アニオン性官能基を有することが好ましい。アニオン性官能基を持つことで、塩基性タンパク質に対する吸着能を高めることができる。
アニオン性官能基としては、例えば、カルボキシ基、リン酸基、スルホン酸基、硝酸基、ホウ酸基、及び硫酸基からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。本明細書において、カルボキシ基は、酸型(−COOH)だけでなく、塩型、即ちカルボン酸塩基(−COOX、ここでXはカルボン酸と塩を形成する陽イオン)も含む概念であり、酸型と塩型が混在してもよい。リン酸基、スルホン酸基、硝酸基、ホウ酸基、及び硫酸基についても、同様に、酸型だけでなく、塩型も含む概念であり、酸型と塩型が混在してもよい。塩としては、特に限定されず、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩、1級アミン、2級アミン、3級アミン等のアミン塩等が挙げられる。
一実施形態において、アニオン性官能基としてはカルボキシ基が好ましい。カルボキシ基を含有する微細繊維状セルロースとしては、例えば、セルロース分子中のグルコースユニットの水酸基を酸化してなる酸化セルロース繊維や、セルロース分子中のグルコースユニットの水酸基をカルボキシメチル化してなるカルボキシメチル化セルロース繊維が挙げられる。
微細繊維状セルロースにおけるアニオン性官能基の量は、特に限定されず、例えば、0.5〜3.0mmol/gでもよく、1.5〜2.0mmol/gでもよい。アニオン性官能基の量は、例えば、カルボキシ基の場合、乾燥質量を精秤したセルロース試料から0.5〜1質量%スラリーを60mL調製し、0.1mol/Lの塩酸水溶液によってpHを約2.5とした後、0.05mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、電気伝導度測定を行い、pHが約11になるまで続け、電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(V)から、下記式に従い求めることができる。硫酸基についても、同様の電気伝導度測定により測定することができる。その他のアニオン性官能基についても公知の方法で測定すればよい。
アニオン性官能基量(mmol/g)=V(mL)×〔0.05/セルロース試料質量(g)〕
微細繊維状セルロースとしては、例えば、平均繊維径が3nm以上500nm以下である微細繊維状セルロース(セルロースナノファイバー)を用いてもよい。微細繊維状セルロースの平均繊維径は、より好ましくは3〜100nmであり、更に好ましくは3〜30nmである。
ここで、微細繊維状セルロースの平均繊維径は、次のようにして測定することができる。すなわち、固形分率で0.05〜0.1質量%の微細繊維状セルロースの水分散体を調製し、その水分散体を、親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストして、透過型電子顕微鏡(TEM)の観察用試料とする。なお、大きな繊維径の繊維を含む場合には、ガラス上へキャストした表面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を観察してもよい。また、観察用試料は、例えば2%ウラニルアセテートでネガティブ染色してもよい。そして、構成する繊維の大きさに応じて5000倍、10000倍あるいは50000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。その際に、得られた画像内に縦横任意の画像幅の軸を想定し、その軸に対し、20本以上の繊維が交差するよう、試料および観察条件(倍率等)を調節する。そして、この条件を満たす観察画像を得た後、この画像に対し、1枚の画像当たり縦横2本ずつの無作為な軸を引き、軸に交錯する繊維の繊維径を目視で読み取っていく。このようにして、最低3枚の重複しない表面部分の画像を、電子顕微鏡で撮影し、各々2つの軸に交錯する繊維の繊維径の値を読み取る(したがって、最低20本×2×3=120本の繊維径の情報が得られる)。このようにして得られた繊維径の相加平均を平均繊維径とする。
微細繊維状セルロースの平均アスペクト比は、特に限定されず、例えば10〜1000でもよく、また、50以上でもよく、100以上でもよく、800以下でもよく、500以下でもよい。
ここで、微細繊維状セルロースの平均アスペクト比は、次のようにして測定することができる。すなわち、先に述べた方法に従い平均繊維径を算出する。また、同様の観察画像から微細繊維状セルロースの平均繊維長を算出する。詳細には、繊維の始点から終点までの長さ(繊維長)を最低10本目視で読み取る。このようにして得られた繊維長の相加平均を算出し、平均繊維長とする。そして、これらの値を用いて平均アスペクト比を下記式に従い算出する。
平均アスペクト比=平均繊維長(nm)/平均繊維径(nm)
微細繊維状セルロースは、解繊処理を行うことにより得られる。解繊処理は、アニオン性官能基を導入してから実施してもよく、導入前に実施してもよい。解繊処理としては、例えば、高速回転下でのホモミキサー、高圧ホモジナイザー、超音波分散処理機、ビーター、ディスク型レファイナー、コニカル型レファイナー、ダブルディスク型レファイナー、グラインダー等を用いて、微細繊維状セルロースの水分散液を処理することにより行うことができ、微細繊維状セルロースの水分散液を得ることができる。
好ましい一実施形態に係る微細繊維状セルロースとしては、セルロース分子中のグルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてカルボキシ基に変性された酸化微細繊維状セルロースが挙げられる。酸化微細繊維状セルロースは、木材パルプなどの天然セルロースをN−オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いて酸化させ、解繊(微細化)処理することにより得られる。N−オキシル化合物としては、一般に酸化触媒として用いられるニトロキシラジカルを有する化合物が用いられ、例えばピペリジンニトロキシオキシラジカルであり、特に2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシラジカル(TEMPO)または4−アセトアミド−TEMPOが好ましい。TEMPOで酸化された微細繊維状セルロースは、一般にTEMPO酸化セルロースナノファイバー(TOCN)と称されており、本実施形態でも使用することができる。なお、酸化微細繊維状セルロースは、カルボキシ基とともに、アルデヒド基又はケトン基を有していてもよいが、アルデヒド基及びケトン基を実質的に有していないことが好ましい。
[高分子部分]
本実施形態に係るタンパク質吸着剤において、高分子部分は、セルロース以外の高分子化合物の結晶化物により形成されるものであって、微細繊維状セルロースの表面の少なくとも一部に接合している。
セルロース以外の高分子化合物としては、微細繊維状セルロースの表面に該高分子化合物の高分子部分が形成されることで微細繊維状セルロースの凝集力が弱まるような化合物であれば特に制限無く使用するでき、モノマーであってもオリゴマーであってもポリマーであってもかまわず、ポリマーはホモポリマーであってもコポリマーであってもかまわない。また、これらは一種類でも複数種類を組み合わせて使用してもかまわない。
上記高分子化合物としては、特に限定されないが、重縮合系高分子化合物、重付加重合系高分子化合物、付加縮合系高分子化合物、付加重合系高分子化合物があげられ、これらはいずれか1種または2種以上組み合わせて用いることができる。これらのうち微細繊維状セルロースとの相溶性の点から付加重合系高分子化合物が好ましい。
上記重付加重合系高分子化合物としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルデヒド樹脂、ケトン樹脂などがあげられる。
上記付加重合系高分子化合物としては、例えば、アクリル系樹脂、酸ビニル系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、炭化水素系樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、およびこれらの共重合体などがあげられる。アクリル系樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル等のアクリル系樹脂、およびその共重合体等があげられる。酸ビニル系樹脂としては、例えば、アクリル−スチレン共重合体、アクリル−酢酸ビニル共重合体、アクリル−塩化ビニル共重合体、アクリル−エチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−塩ビ共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−スチレン共重合体があげられる。ビニルアルコール系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、スチレン−ビニルアルコール共重合体等があげられる。塩化ビニル系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、塩ビ−アクリル共重合体、塩ビ−エチレン共重合体、塩ビ−スチレン共重合体等があげられる。炭化水素系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、クロロプレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン、スチレンーブタジエン共重合体、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等があげられる。これらの他に無機成分で変性した合成樹脂も使用でき、セラミック変性フッ素樹脂、セラミック変性ウレタン樹脂、セラミック変性アクリル樹脂などがあげられる。また、2種以上の異種ポリマーを粒子内に含む複合樹脂も使用可能であり、ウレタン/アクリル、エポキシ/アクリル、シリコーン/アクリル、ポリエステル/アクリル、フッ素樹脂/アクリル、コロイダルシリカ/アクリル、ニトロセルロース/アクリル、メラミン樹脂/アクリル等があげられる。
上記重縮合系高分子化合物としては、例えば、アミド樹脂、イミド樹脂、アルキド樹脂、フタル酸樹脂、脂肪酸変性フタル酸樹脂、フェノール変性フタル酸樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂などがあげられる。
上記付加縮合系高分子化合物としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、尿素メラミン樹脂などがあげられる。
本実施形態において、上記高分子化合物は、ポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコールの共重合体を含むことが好ましい。これにより、微細繊維状セルロースの表面の少なくとも一部を覆うように高分子部分をうまく形成することができる。また、微細繊維状セルロースの表面の少なくとも一部に高分子部分が強固に接合することができ(ポリビニルアルコールとセルロースとは親和性が高い)、ろ過や遠心分離により、水媒体中から簡便に分離、回収することが可能である。ここで、ポリビニルアルコールの共重合体とは、ビニルアルコールと他のモノマーとの共重合体であり、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体、スチレン−ビニルアルコール共重合体等があげられる。
これらポリビニルアルコールおよびポリビニルアルコールの共重合体は、結晶化するものであれば分子量の制限無く広く用いることができるが、けん化度は好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上である。また、ポリビニルアルコールの共重合体における他のモノマーの比率は特に限定されず、例えば80モル%以下でもよく、50モル%以下でもよく、30モル%以下でもよい。他のモノマーの比率の下限は特に限定されず、例えば5モル%以上でもよい。
本実施形態において、高分子部分は、上記高分子化合物の結晶化物により形成されるものであり、後述するように微細繊維状セルロースを核材としてその表面で高分子化合物が析出することにより、該高分子化合物の結晶化物が微細繊維状セルロースの表面の少なくとも一部に接合して当該表面の少なくとも一部を覆うように形成される。なお、高分子化合物の結晶化は、例えばX線回折装置(リガク社製、RINT−Ultima3)を用いた測定により得られる回折プロファイルにおいて当該高分子化合物に応じた所定位置にピークを持つことから確認することができ、後述する製造方法のように高分子化合物溶液中の高分子化合物の溶解量を低下させて核材表面に高分子化合物の析出させることで、結晶が形成されることを確認している。
微細繊維状セルロースの表面における高分子化合物の形態は、特に限定されず、微細繊維状セルロースの連続方向に沿って高分子部分が周期的に形成されてもよく、例えば、微細繊維状セルロースが貫通するように複数の高分子部分が形成されてもよく、高分子部分が微細繊維状セルロースに螺旋状に巻き付くような形態で形成されてもよい。
[高分子化合物と微細繊維状セルロースの構成比]
上記高分子化合物と上記微細繊維状セルロースとの固形分比率は、質量比で、高分子化合物/微細繊維状セルロース=0.01〜50の範囲であることが好ましく、0.1〜25がより好ましい。質量比が上記範囲内である場合、タンパク質吸着剤としての吸着能の高めることができる。
[ゼータ電位]
本実施形態に係るタンパク質吸着剤は、ゼータ電位が−60mV以上−1mV以下であることが好ましい。より好ましくは、ゼータ電位は−40mV以上−10mV以下である。このようにタンパク質吸着剤としてのゼータ電位を調整することにより、タンパク質の吸着を、その等電点に応じて効率よく行うことができる。例えば、等電点(pI)が6以下の酸性タンパク質を吸着させる場合は、タンパク質吸着剤のゼータ電位を−20mV以上−1mV以下にすることが好ましい。等電点が6を超え8未満の中性タンパク質を吸着させる場合は、タンパク質吸着剤のゼータ電位を−40mV以上−1mV以下にすることが好ましい。等電点が8以上の塩基性タンパク質を吸着させる場合は、タンパク質吸着剤のゼータ電位を−60mV以上−1mV以下にすることが好ましい。
[タンパク質の吸着方法等]
本実施形態に係るタンパク質吸着剤を用いてタンパク質を吸着する方法としては、特に限定されず、例えばタンパク質を含んだ溶液に該タンパク質吸着剤を浸漬することでもよく、必要に応じて撹拌、震とう等を行ってもよい。本実施形態に係るタンパク質吸着剤を入れた容器にタンパク質を含む溶液を流して、該タンパク質吸着剤にタンパク質を吸着させてもよい。
本実施形態において、吸着させるタンパク質としては特に制限されず、例えば、酵素、抗体、ホルモンなど各種タンパク質が挙げられる。詳細には、等電点が6以下の酸性タンパク質として、例えば、ウシ血清アルブミン(pI=4.7)、ペプシノーゲン(pI=3.9)、インスリン(pI=5.5)、膵臓デオキシリボヌクレアーゼ(pI=4.7)が挙げられ、等電点が6を超え8未満の中性タンパク質として、例えば、西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼ(pI=7.2)、ヘモグロビン(pI=7.6)が挙げられ、等電点が8以上の塩基性タンパク質として、例えば、卵白由来リゾチーム(pI=10.5〜11.0)、リゾヌクレアーゼA(pI=9.7)、パパイヤリゾチーム(pI=10.5)が挙げられる。
また、このようなタンパク質を含ませる溶媒としても特に制限はなく、各種緩衝液(リ
ン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、Tris、HEPES等)が好適に用いられる。
一実施形態において、タンパク質を吸着させたタンパク質吸着剤から、当該タンパク質を取り出すこともできる。このような方法として、例えば、液中でタンパク質を吸着させた吸着剤を加熱することにより、吸着剤からタンパク質を脱着させ、タンパク質を取り出す方法が挙げられる。また、界面活性剤を用いてタンパク質吸着剤からタンパク質を剥離する方法等もある。さらに、タンパク質吸着剤の表面に、吸着させたタンパク質との結合を妨げるような、pHの緩衝液、又は多量のアミノ酸等を含む溶液を通すことでも、当該タンパク質を取り出すことができる。
[タンパク質吸着剤の製造方法]
本実施形態に係るタンパク質吸着剤の製造方法は、溶液接触ステップと析出ステップとを含む。
溶液接触ステップは、高分子部分を形成する高分子化合物の溶液と微細繊維状セルロースとを接触させる。析出ステップは、溶液接触ステップにより微細繊維状セルロースと接触した高分子化合物溶液中の高分子化合物の溶解量を低下させて、微細繊維状セルロースの表面の少なくとも一部に高分子化合物を析出させる。このように微細繊維状セルロースの表面の少なくとも一部に高分子化合物を析出させることで微細繊維状セルロースの表面に接合した高分子部分を形成し本タンパク質吸着剤を製造する。
このため溶液接触ステップに供される高分子化合物の溶液は、析出ステップにおいて高分子化合物の溶解量を低下させることで微細繊維状セルロースの表面に高分子化合物を所望程度に析出させることができるようにされる。
析出ステップにおいて高分子化合物溶液中の高分子化合物の溶解量を低下させる方法としては様々な方法を採用することができるが、例えば、高分子化合物溶液中の高分子化合物の溶解度が高分子化合物溶液の温度によって変化する場合には溶解度が低下するように温度を変化させる方法(例えば、温度が低い方が溶解度が低下する場合であれば高分子化合物溶液を冷却して降温する方法)、高分子化合物溶液中の高分子化合物の溶解度を低下させる添加物を添加する方法(例えば、貧溶媒を添加する方法)、高分子化合物溶液中の溶媒を除去する方法(例えば、溶媒を留去する方法)、そしてこれらの方法を併用する方法等を挙げることができる。
微細繊維状セルロースの表面のうち高分子部分が接合し覆う面積の割合(微細繊維状セルロースの表面のうち高分子部分が接合し覆う該少なくとも一部の割合)及び高分子部分の厚み(微細繊維状セルロースの表面に対し垂直方向の寸法)を増加させるには、析出ステップにおける微細繊維状セルロースに対する高分子化合物溶解量の低下分を増加させればよい(具体的には、例えば、析出ステップの高分子化合物溶液中における微細繊維状セルロースに対する高分子化合物量を増加させればよい。)。なお、該割合及び該厚みを減少させるには、析出ステップにおける微細繊維状セルロースに対する高分子化合物溶解量の低下分を減少させればよい(具体的には、例えば、析出ステップの高分子化合物溶液中における微細繊維状セルロースに対する高分子化合物量を減少させればよい。)。
本製造方法においては、溶液接触ステップが、微細繊維状セルロースを分散媒に分散させたファイバー分散液を調製するファイバー分散液調製ステップと、ファイバー分散液調製ステップにより調製されたファイバー分散液と上記高分子化合物とを混合するファイバー分散液混合ステップと、を有してなるもの(以下、「分散状態混合本製造方法」という。)であってもよい。
ファイバー分散液調製ステップにおいて微細繊維状セルロースを分散させたファイバー分散液を調製し、その後、ファイバー分散液混合ステップにおいてファイバー分散液(ファイバー分散液調製ステップにて調製されたもの)と上記高分子化合物とを混合するので、予めファイバー分散液中で微細繊維状セルロースを十分に分散させた後にその状態において高分子化合物溶液と微細繊維状セルロースとを接触させることができ(ファイバー分散液に高分子化合物が溶解することで高分子化合物溶液となり、この高分子化合物溶液と微細繊維状セルロースとが接触する)、高分子化合物溶液を微細繊維状セルロースにむらが少ない状態で接触させ、微細繊維状セルロースの表面にむらが小さい状態で高分子部分を形成できる。
ファイバー分散液を形成する分散媒としては、微細繊維状セルロースとの親和性が高く微細繊維状セルロースを安定して分散させることができることから、好ましくは極性溶媒である。また、微細繊維状セルロースの表面の少なくとも一部に析出する高分子の形態を制御できる点(微細繊維状セルロースの表面の少なくとも一部に高分子部分を接合させつつ、上記形態のタンパク質吸着剤を得やすい点)から、より好ましくは水、1−プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン等があげられ、最も好ましくは水および/または1−プロパノールを含むことである。
ファイバー分散液(wd(g))中の微細繊維状セルロースの量(wf(g))の割合(wf/wd)はあまり小さいと分散媒の分離回収の費用が増加するし、あまり大きいと微細繊維状セルロースを安定して分散させることができなくなるので、これらを両立する範囲とされてもよく、通常、下限として好ましくは0.0005質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上、最も好ましくは0.01質量%以上であり、上限として好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、最も好ましくは0.5質量%以下である。
ファイバー分散液混合ステップにおいてファイバー分散液と上記高分子化合物とが混合された混合物中の微細繊維状セルロースの含有量の割合はあまり少ないと廃液量が増加し、あまり多いと微細繊維状セルロースが凝集するので、これらを両立する範囲とされてもよく、通常、下限として好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.0005質量%以上、最も好ましくは0.001質量%以上であり、上限として好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、最も好ましくは0.2質量%以下である。そして、ファイバー分散液混合ステップにおいてファイバー分散液と上記高分子化合物とが混合された混合物中の高分子化合物の含有量はあまり少ないと微細繊維状セルロースを十分覆うことが不可能になり、あまり多いと微細繊維状セルロースを核材とせずに結晶化するので、これらを両立する範囲とされてもよく、通常、下限として好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.00025質量%以上、最も好ましくは0.0005質量%以上であり、上限として好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下、最も好ましくは2.0質量%以下である。
分散状態混合本製造方法の場合、上記分散媒が上記高分子化合物を溶解可能なものであり、ファイバー分散液混合ステップにおいて上記分散媒と同じものである溶媒を混合し、上記高分子化合物を該溶媒に溶解させるものであってもよい。
こうすることでファイバー分散液混合ステップにおいて、ファイバー分散液と、上記高分子化合物と、ファイバー分散液を形成する上記分散媒と同じものである溶媒(上記高分子化合物を溶解する)と、を混合するので、溶媒に高分子化合物の一部(該一部の残部はファイバー分散液の分散媒に溶解される)が円滑に溶解されて高分子化合物溶液を形成すると共に該形成された高分子化合物溶液とファイバー分散液とが円滑に混合されることから、ファイバー分散液と高分子化合物とを円滑かつ迅速に混合することができる。
なお、ここに用いる互いに同じ分散媒及び溶媒としては、上記高分子化合物を溶解させ、析出ステップにおいて微細繊維状セルロースの表面の少なくとも一部に上記高分子化合物を所望のように析出させることができるものを広く用いることができるが、微細繊維状セルロースとの親和性が高く微細繊維状セルロースを安定して分散させることができることから、好ましくは極性溶媒である。また、微細繊維状セルロースの表面に析出する高分子の形態を制御できる点(微細繊維状セルロースの表面の少なくとも一部に高分子部分を接合させつつ、上記の形態のタンパク質吸着剤を得やすい点)から、より好ましくは水、1−プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン等があげられ、最も好ましくは水および/または1−プロパノールを含むことである。
また、ファイバー分散液混合ステップにおいてファイバー分散液と上記高分子化合物と該溶媒とが混合された混合物中の微細繊維状セルロースの含有量の割合はあまり少ないと溶媒を含む廃液量が増加し、あまり多いと微細繊維状セルロースが凝集するので、これらを両立する範囲とされてもよく、通常、下限として好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.0005質量%以上、最も好ましくは0.001質量%以上であり、上限として好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、最も好ましくは0.2質量%以下である。また、ファイバー分散液混合ステップにおいてファイバー分散液と上記高分子化合物と該溶媒とが混合された混合物中の高分子化合物の含有量はあまり少ないと微細繊維状セルロースを十分覆うことが不可能になり、あまり多いと微細繊維状セルロースを核材とせずに結晶化するので、これらを両立する範囲とされてもよく、通常、下限として好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.00025質量%以上、最も好ましくは0.0005質量%以上であり、上限として好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下、最も好ましくは2.0質量%以下である。
本製造方法においては、析出ステップが撹拌下で行われるものであってもよく、無撹拌で行われるものであってもよい。
本製造方法により製造され得るタンパク質吸着剤は、上記高分子部分が微細繊維状セルロースの表面の少なくとも一部を覆うことにより、高分子部分をうまく形成できる。また、微細繊維状セルロースの表面の少なくとも一部に高分子部分が強固に接合することができ(ポリビニルアルコールとセルロースとは親和性が高い)、ろ過や遠心分離により、水媒体中から簡便に分離、回収することが可能である。
また、本製造方法により製造され得るタンパク質吸着剤は、凝集力が弱いため乾燥させ再び分散させることができるので、乾燥した状態でも取り扱うことができるので、保管、運搬及び使用が容易である。
実施例について比較例等と併せて説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下、「%」とあるのは、特に限定のない限り質量基準を意味する。
[実施例1:タンパク質吸着剤A1の調製]
針葉樹パルプ2gに、水150ml、臭化ナトリウム0.25g、TEMPO0.025gを加え、充分撹拌して分散させた後、13%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(共酸化剤)を、上記パルプ1.0gに対して次亜塩素酸ナトリウム量が5.2mmol/gとなるように加え、反応を開始した。反応の進行に伴いpHが低下するため、pHを10〜11に保持するように0.5N水酸化ナトリウム水溶液を滴下しながら、pHの変化が見られなくなるまで反応した(反応時間:120分)。反応終了後、0.1N塩酸を添加して中和した後、遠心分離機で固液分離し、純水を加えて固形分を4%に調整した。その後、24%NaOH水溶液にてスラリーのpHを10に調整した。スラリーの温度を30℃として水素化ホウ素ナトリウムをセルロース繊維に対して0.2mmol/g加え、2時間反応させることで還元処理した。反応後、0.1N塩酸を添加して中和した後、ろ過と水洗を繰り返して精製し、セルロース繊維を得た。上記セルロース繊維に、純水を加えて固形分を2%に希釈し、1N−NaOH水溶液により上記セルロース表面のカルボキシ基を中和し、高圧ホモジナイザー(三和エンジニアリング製、H11)を用いて圧力100MPaで1回処理することにより、微細繊維状セルロースを得た。
上記微細繊維状セルロース2gに、純水18gを加えて、超音波洗浄機(BRANSON社製、型番:2510J−MT)を用いて超音波を1時間照射することで、固形分を0.2%にした微細繊維状セルロース水分散液を調整した。ナスフラスコに上記微細繊維状セルロース水分散液10gと1−プロパノール5gを添加し、1−プロパノールを含む微細繊維状セルロース水分散液を調製した。上記1−プロパノールを含む微細繊維状セルロース水分散液にエチレン−ビニルアルコール共重合体(シグマアルドリッチジャパン合同会社製、エチレン比率27mol%、以下、EVOH(27)と記載)0.002gを添加して混合し、結晶化溶液を調製した。上記結晶化溶液をオイルバス中で加熱し、85℃まで昇温することで結晶化溶液中のEVOH(27)を完全溶解させた後、撹拌しながら降温速度5℃/hで放冷して室温まで降温した。降温の後、吸引濾過により、固液分離することで、1−プロパノールを除去し、分離された固体を純水によって洗浄した。さらに、上記固体を凍結乾燥することで、微細繊維状セルロースとEVOHの結晶化物からなる複合体であるタンパク質吸着剤A1を得た。
[実施例2:タンパク質吸着剤A2の調製]
タンパク質吸着剤A1の製造に準じて、1−プロパノールを含む微細繊維状セルロース水分散液を得、上記1−プロパノールを含む微細繊維状セルロース水分散液にEVOH(27)0.2gを添加して混合し、結晶化溶液を調製した。上記結晶化溶液をオイルバス中で加熱し、85℃まで昇温することで結晶化溶液中のEVOH(27)を完全溶解させた後、撹拌しながら降温速度5℃/hで放冷して室温まで降温した。降温の後、吸引濾過により、固液分離することで、1−プロパノールを除去し、分離された固体を純水によって洗浄した。さらに、上記固体を凍結乾燥することで、微細繊維状セルロースとEVOHの結晶化物からなる複合体であるタンパク質吸着剤A2を得た。
[実施例3:タンパク質吸着剤A3の調製]
セパラブルフラスコにスルファミン酸3.0g、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)50gを投入し、10分間攪拌した。その後、室温下、セルロース原料として綿状の針葉樹クラフトパルプ(NBKP、セルロースI型結晶化度:85%、平均重合度:1000)1.0gを投入した。ここで、スルファミン酸の使用量は、セルロース分子中のアンヒドログルコース単位1molあたり5.2molとした。50℃で3時間反応させた後、室温まで冷却した。次に硫酸化処理されたセルロース繊維を取り出し、中和剤として2N水酸化ナトリウム水溶液に投入してpHを7.6に調整し、反応を停止させた。硫酸化処理されたセルロース繊維を水で2〜3回洗浄した後、遠心分離することによって化学修飾セルロースを得た(固形量:1.24g、固形分濃度:6.4%)。
上記で得られた化学修飾セルロースを固形分濃度5.0%になるように水で希釈し、化学修飾セルロース水分散体を調製した。得られた化学修飾セルロース水分散体を、ジルコニア製ビーズ(直径20mm:30個、直径10mm:100個)を充填したジルコニア製容器(容量:1L、直径:10cm)に入れ、室温下60rpmにて回転(自転)させて、2時間ボールミル処理を行った。その後、固形分濃度0.5%になるように水で希釈し、マイクロフルイダイザーによる処理(150MPa、1パス)を行うことによって、微細繊維状セルロースを得た(乾燥質量:1.12g、固形分濃度:0.5%)。
上記微細繊維状セルロース8gに、純水12gを加えて、超音波洗浄機(BRANSON社製、型番:2510J−MT)を用いて超音波を1時間照射することで、固形分を0.2%にした微細繊維状セルロース水分散液を調整した。ナスフラスコに上記微細繊維状セルロース水分散液10gと1−プロパノール20gを添加し、1−プロパノールを含む微細繊維状セルロース水分散液を調製した。上記1−プロパノールを含む微細繊維状セルロース水分散液にEVOH(27)0.002gを添加して混合し、結晶化溶液を調製した。上記結晶化溶液をオイルバス中で加熱し、85℃まで昇温することで結晶化溶液中のEVOH(27)を完全溶解させた後、撹拌しながら降温速度5℃/hで放冷して室温まで降温した。降温の後、吸引濾過により、固液分離することで、1−プロパノールを除去し、分離された固体を純水によって洗浄した。さらに、上記固体を凍結乾燥することで、微細繊維状セルロースとEVOHの結晶化物からなる複合体であるタンパク質吸着剤A3を得た。
[実施例4:タンパク質吸着剤A4の調製]
「セリッシュ」(ダイセル社製、型番:KY100G、固形分10%)3gに、純水200gを加え、超音波洗浄機(BRANSON社製、型番:2510J−MT)を用いて超音波を1時間照射することで十分に混合した。その後、7日間静置し、上澄み液を微細繊維状セルロースが0.03g含まれるように分取することで、微細繊維状セルロース水分散液を調製した。なお、上澄み液の分取量は次のようにして計算した。予め、風袋であるシャーレの質量w1(g)を量り、次いで、上記シャーレに、静置した後の上澄み液を適量入れ、上記シャーレを含む全体の質量w2(g)を量った。その後、上記シャーレを4時間真空乾燥(60℃)し、上澄み液に含まれる水を完全にとばし、上記シャーレを含む全体の質量w3を量った。(w3−w1)/(w2−w1)×100にて上澄み液中の微細繊維状セルロースの濃度Cを算出し(具体的にはC=0.098質量%)、分取すべき上澄み液の量W(g)=0.09g/C(具体的にはW=91.8g)を分取した。ナスフラスコに分取した上澄み液30.6gと、1−プロパノール30mlを添加し、40℃のウォーターバス中で減圧蒸留し、水を留去することで、微細繊維状セルロース1―プロパノール分散液(固形分濃度:0.098%)を調製した。
上記微細繊維状セルロース1−プロパノール分散液5.1gにEVOH(27)0.0005gと、1−プロパノール4.9023gを添加して混合し、結晶化溶液を調製した。上記結晶化溶液をオイルバス中で加熱し85℃まで昇温することで結晶化溶液中のEVOH(27)を完全溶解させた後、撹拌しながら降温速度5℃/hで放冷して室温まで降温した。降温の後、吸引濾過により、固液分離することで、1−プロパノールを除去し、分離された固体を純水によって洗浄した。さらに、上記固体を凍結乾燥することで、微細繊維状セルロースとEVOHの結晶化物からなる複合体であるタンパク質吸着剤A4を得た。
[比較例1:タンパク質吸着剤B1の調製]
実施例1に記載の方法により固形分を2%とした微細繊維状セルロース水分散液を調製し、該微細繊維状セルロース水分散液を比較例1のタンパク質吸着剤B1とした。
得られたタンパク質吸着剤A1〜A4およびB1について、結晶構造の有無、微細繊維状セルロースの平均繊維径、平均アスペクト比、アニオン性官能基量、ゼータ電位、遠心分離状態、タンパク質の吸着性を測定、評価した。結果を下記表1に示す。測定・評価方法は以下のとおりである。
<結晶構造>
X線回折装置(リガク社製、RINT−Ultima3)を用いて、微細繊維状セルロースの回折プロファイルを測定し、2θ=14〜17°付近と、2θ=22〜23°付近の2つの位置に典型的なピークが見られる場合は結晶構造(I型結晶構造)が「あり」と評価し、ピークが見られない場合は「なし」と評価した。
<平均繊維径>
タンパク質吸着剤A1〜A3およびB1については、微細繊維状セルロース水分散液を親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストした後、2%ウラニルアセテートでネガティブ染色し、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子社製、JEM−1400)を用いて観察した。その後、TEM画像(倍率:10000倍)から、先に述べた方法に従い、平均繊維径を算出した。
タンパク質吸着剤A4については、微細繊維状セルロース1−プロパノール分散液のセルロース繊維の平均繊維径を、走査型電子顕微鏡観察(SEM観察)で観察した。このときの観察試料は次のように作製した。SEM用の試料台に導電性テープで雲母板を固定し、そのへき開面上に上記微細繊維状セルロース1−プロパノール分散液を滴下した。デシケーター内で乾燥後、イオンコーター(株式会社エイコー者支援、型番:IB−3)を用いて2mAで15分間、表面に金コーティングを行った。その後、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、型番:JSM−6320F)を用いて加速電圧5kVで観察を行い、得られたSEM画像(倍率:10000倍)から、先に述べた方法に従い、平均繊維径を算出した。
<平均アスペクト比>
平均繊維径の測定と同様の観察画像から、先に述べた方法に従い、微細繊維状セルロースの平均繊維長を算出し、平均繊維径と平均繊維長の値を用いて平均アスペクト比を下記式に従い算出した。
平均アスペクト比=平均繊維長(nm)/平均繊維径(nm)
<アニオン性官能基量>
TEMPO酸化によりカルボキシ基を導入した微細繊維状セルロースについては、固形分濃度0.5%の微細繊維状セルロース水分散液を60ml調製し、0.1mol/Lの塩酸水溶液によってpHを約2.5とした後、0.05mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、電気伝導度測定を行った。測定はpHが約11になるまで続けた。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(V)から、下記式に従いカルボキシ基量を求めた。
カルボキシ基量(mmol/g)=V(mL)×〔0.05/セルロース質量(g)〕
スルファミン酸により硫酸基を導入した微細繊維状セルロースについては、固形分濃度0.5質量%の微細繊維状セルロース水分散液を60ml調製し、1.0mol/Lの塩酸水溶液によってpHを約1.0とした後、ろ過、水洗浄し、再び60mLの水に再分散させ、0.1mol/Lの水酸化カリウム水溶液を滴下して、終点までに滴下された0.1M水酸化カリウム水溶液の滴下量から硫酸基量を求めた。
<ゼータ電位>
タンパク質吸着剤A1〜A2およびB1のゼータ電位を、ゼータ電位測定システム(大塚電子社製、ELS−Z)で測定した。詳細には、各タンパク質吸着剤を0.05%になるように、超音波洗浄機(エスエヌディ社製、型番:US−2)を用いて超音波を2時間照射することで水分散液を調製した。この水分散液に50mMリン酸緩衝液を加えて、0.01%分散液(pH7.4)を作製した。分散液を測定用セルに分注し、ゼータ電位を測定した。
<遠心分離状態>
タンパク質吸着剤A1〜A4およびB1の沈殿状態を目視で観察した。詳細には、各タンパク質吸着剤を0.05%になるように、超音波洗浄機を用いて超音波を2時間照射することで水分散液を調製した。分散液を遠心分離(工機ホールディングス社製、型番:himacCF16RN)(25℃、3000rpm、10分間)後、溶液の分離状態を観察した。容器の底にタンパク質吸着剤の沈殿が確認できる場合は分離できていると判断して○、タンパク質吸着剤が浮遊している場合は分離できていないと判断して×と表記した。
<タンパク質の吸着性評価>
塩基性タンパク質であるリゾチーム(等電点=11)と、中性タンパク質である西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼ(等電点=7.2)と、酸性タンパク質であるウシ血清アルブミン(等電点=4.9)に対する吸着量をそれぞれ評価した。
(1)リゾチームの吸着試験
タンパク質吸着剤A1〜A4およびB1についてリゾチームの吸着試験を行った。詳細には、各タンパク質吸着剤を0.05%になるように、超音波洗浄機を用いて超音波を2時間照射することで水分散液を調製した。リゾチーム(和光純薬社製)は50mMリン酸緩衝液(pH7.4)(ナカライテスク社製)に溶解し、0.5mg/mLに調製した。タンパク質吸着剤の水分散液5.0gとリゾチーム溶液10mLを、密閉容器内で20時間、37℃、150rpmで振とうした。振とうした液を遠心分離(4℃、10000rpm、60分間)後、上清を分離した。96穴ウェルプレートを用い、ウェル内に4μLの上清と200μLのブラッドフォード試薬(タカラバイオ社製、)を加え、25℃で5分間反応させた後、プレートリーダー(DSファーマバイオメディカル社製、型番:POWERSCAN HT)を用いて波長595nmの吸光度を測定し、別途測定して得られたリン酸緩衝液中のリゾチーム量と吸光度との関係を示す検量線により、ろ液のリゾチーム量(mg/mL)を算出した。タンパク質吸着剤へのリゾチームの吸着量(%)は、初期のリゾチーム量(mg/mL)からろ液中のリゾチーム量(mg/mL)を差し引きし、初期のリゾチーム量(mg/mL)で割り算した比率により表記した。
(2)ウシ血清アルブミン(BSA)の吸着試験
リゾチームにかえてBSA(和光純薬社製)を用いた以外は、(1)リゾチームの吸着試験と同様の評価を行った。
(3)西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼ(HRP)の吸着試験
リゾチームにかえてHRP(和光純薬社製)を用いた以外は、(1)リゾチームの吸着試験と同様の評価を行った。
Figure 2021074671
結果は表1に示すとおりである。比較例1は微細繊維状セルロースのみからなるタンパク質吸着剤B1の例であり、この場合、タンパク質に対する吸着能は有していたものの、遠心分離により溶液から分離することができず、水媒体中からの分離、回収が困難であった。
これに対し、微細繊維状セルロースと高分子化合物との複合体からなるタンパク質吸着剤A1〜A4(実施例1〜4)では、水媒体中でタンパク質を吸着することができるとともに、遠心分離により溶液から分離することができ、水媒体中からの分離、回収が容易であった。また、微細繊維状セルロースにアニオン性官能基を導入した実施例1〜3では、中性タンパク質とともに塩基性タンパク質に対する吸着能も有していた。
また、上記実施例では、微細繊維状セルロース水分散液とエチレン−ビニルアルコール共重合体と1−プロパノールとを混合、溶解後、昇温、降温するだけで簡便にタンパク質吸着剤を作製することができた。
本実施形態に係るタンパク質吸着剤は、例えば、タンパク質を吸着及び脱着させて分離・精製するためのカラム用充填剤の材料として用いることができる。

Claims (7)

  1. タンパク質に対して吸着能を有する吸着剤であって、
    該吸着剤が、微細繊維状セルロースと、セルロース以外の高分子化合物の結晶化物により形成され、微細繊維状セルロースの表面の少なくとも一部に接合した高分子部分と、を含むタンパク質吸着剤。
  2. 前記微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶構造を有し、かつアニオン性官能基を有することを特徴とする請求項1に記載のタンパク質吸着剤。
  3. 前記微細繊維状セルロースのアニオン性官能基がカルボキシ基および/または硫酸基であることを特徴とする請求項1または2に記載のタンパク質吸着剤。
  4. ゼータ電位が−60mV以上−1mV以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のタンパク質吸着剤。
  5. 前記高分子化合物が、セルロース以外の重縮合系高分子化合物、重付加重合系高分子化合物、付加縮合系高分子化合物、および付加重合系高分子化合物からなる群から選択される、1種または2種以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のタンパク質吸着剤。
  6. 前記高分子化合物が、ポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコールの共重合体を含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のタンパク質吸着剤。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載のタンパク質吸着剤の製造方法であって、高分子化合物の溶液と微細繊維状セルロースとを接触させる溶液接触ステップと、溶液接触ステップの後に該溶液中の該高分子化合物の溶解量を低下させ、微細繊維状セルロースの表面の少なくとも一部に該高分子化合物を結晶として析出させる析出ステップと、を含むことを特徴とするタンパク質吸着剤の製造方法。
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