JP2021072906A - 皮膚充填剤用途のためのコアセルベートヒアルロナンヒドロゲル - Google Patents

皮膚充填剤用途のためのコアセルベートヒアルロナンヒドロゲル Download PDF

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Abstract

【課題】本開示は、ヒアルロン酸系のヒドロゲルを含む皮膚充填剤を提供する。【解決手段】ヒドロゲルは、ヒアルロン酸などのアニオン性多糖類とキトサンなどのカチオン性多糖類との間のイオン性相互作用を通じて形成されるコアセルベートである。皮膚充填剤は、軟組織を増強し、軟組織の欠損を低減し、かつ肌質を改善するのに有用である。【選択図】なし

Description

本開示は、一般に、注入可能な皮膚充填剤に関する。皮膚充填剤は、アニオン性多糖類とカチオン性多糖類とを含むヒドロゲル組成物である。より具体的には、ヒドロゲルは、ヒアルロン酸とカチオン性多糖類との間のイオン性錯体を含む。
注入可能な皮膚充填剤は、皮膚のボリュマイザーとして作用するゲル、又は皮膚内又は皮膚の下の空隙を充填して、しわ又は他の皮膚欠損の外観を低減する空間占有剤である。皮膚充填剤はまた、顔面特徴を含む特定の軟組織特徴をスカルプティングするために、又は真皮組織を置換するために使用されてもよい。皮膚充填剤材料は生物学的に不活性であり、隣接する組織に対して機械的圧力だけで目的を達成する。皮膚充填剤は、最長18ヶ月にわたって身体内に持続することが示されている。深いしわ若しくは皮膚の欠損を矯正するため、又は特定の顔面特徴をスカルプティングするための望ましい結果を達成するために、これらのゲルは、十分な持ち上げ能力、良好な成形性、及び/又は注入性を有することが望ましい。
ヒアルロナンとしても知られるヒアルロン酸(Hyaluronic acid、HA)は、結合組織、上皮組織、及び神経組織を含む、人体全体の多くの組織に見出される非硫酸化グリコサミノグリカンである。HAは、皮膚の異なる層に豊富であり、これは、良好な水和を確実にすること、細胞外マトリックスの組織を補助すること、充填剤材料として作用すること、及び組織修復機構に関与するなど、複数の機能を有する。しかしながら、HA、並びにコラーゲン及びエラスチンなどの皮膚中に存在する他のマトリクスポリマーの量は、年齢と共に減少する。例えば、太陽又は他の供給源からの紫外線への曝露が繰り返されると、真皮細胞は、それらのHAの産生を減少させるともに、その分解速度を増加させる。この物質の喪失は、しわ、窪み、水分の喪失、及び老化の外観の一因となる他の望ましくない条件などの様々な皮膚状態をもたらす。
注入可能な皮膚充填剤は、老化皮膚の処置に成功裏に使用されており、瘢痕又は軟組織輪郭欠損などの他の皮膚欠損を低減するために使用されてきた。充填剤は、これらの皮膚状態を処置するために、喪失した内在性マトリクスポリマーを置き換えるか、又は既存のマトリクスポリマーの機能を増強/促進することができる。
その優れた生体適合性により、HAは、皮膚充填剤用途の理想的な候補と考えられている。HAは、遊離カルボキシレート基を有する繰り返し二糖単位から構成され、したがって、HAは、生理的pHでアニオン性多糖類である。
皮膚充填剤として最適な期間において効果的であるために、非架橋HAはインビボで短い持続時間を有するため、HAは通常、化学的に架橋されている。化学架橋法としては、マイケル付加、チオール−エンカップリング、フリーラジカル重合、架橋剤としてジアミン又はポリアミンを使用するカルボジイミド化学(例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC))、及び架橋剤として1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)を使用するエポキシ化学が挙げられる。他の一般的に用いられる化学架橋剤としては、ジビニルスルホン(DVS)及び1,2,7,8−ジエポキシオクタン(DEO)、並びに本明細書に開示される更なる薬剤が挙げられる。これらの化学的架橋方法は、HAに共有結合フレームワークを提供する。
従来の化学的に架橋されたヒドロゲルの1つの制限は、それらが多くの場合、面倒な精製工程を必要とすることである。従来の架橋プロセスを用いて製造された化学的に架橋されたHAヒドロゲルの別の制限は、それらが架橋される瞬間から一般的に注入可能ではなく、それらを皮膚充填剤として注入可能にするために、更に加工されなければならないことである。例えば、微細針を通して注入可能であるために、架橋HAゲルは、典型的には、所望の濃度に再水和され、次いで、微細多孔質スクリーン又は均質化プロセスを通して水和ゲルをサイズ決定することによって更に処理される。非架橋HAが、ゲルの潤滑性及び注入性を向上させるために、なお更なる加工工程として添加されることがある。架橋HAヒドロゲルの更なる加工の1つの欠点は、特に、高い貯蔵弾性率(G’)を有するヒドロゲルの場合、これらの追加の加工工程中に、ゲルが通常その凝集性を失うことである。したがって、皮膚又は軟組織の処置に使用するためにこれらの材料の持ち上げ能力及び成形性が、損なわれる場合があり、例えば、深いしわ及びスカルプティング用途のためにこれらの材料が損なわれ得る。
化学的に架橋されたヒドロゲルの制限を克服する別のアプローチは、化学架橋性又は紫外線架橋性官能基を含有する低粘度HAを注入し、その場でヒドロゲルを形成することである。このアプローチの欠点は、前駆体が反応性であり、調製、取り扱い、及び保管が困難であり、医師の使い勝手が悪いことである。
皮膚を含む軟組織の外観を処置及び改善するためのより良好な皮膚充填剤が依然として必要とされている。
本発明は、皮膚などの対象の軟組織を処置するのに有用なコアセルベートヒドロゲルを含む皮膚充填剤組成物を提供する。コアセルベートヒドロゲルは、本明細書に更に記載されるように、ヒアルロン酸などの「アニオン性HA」多糖類とカチオン性多糖類との間の電荷−電荷相互作用に基づく非共有結合性錯体を含む。錯体は、多糖類のアニオンとカチオンとの間の静電的及び/又はイオン性相互作用によって生じる。より具体的には、相互作用は、アニオン性HA多糖類イオンとカチオン性多糖類イオンとの間で生じる。いくつかの態様では、相互作用は、HAのカルボキシレートアニオンとカチオン性多糖類のカチオンとの間のイオン性相互作用によって生じる。したがって、本発明のコアセルベートHAヒドロゲルの多糖類間の結合相互作用は、共有結合によって結合される従来の架橋HAヒドロゲルの固定相互作用よりも動的である。例えば、本コアセルベートHAヒドロゲルのアニオン性−カチオン性相互作用は、例えば剪断又は他の条件下で破壊され得、同じ又は異なるアニオン性−カチオン性相互作用が、同じ又は異なるアニオン−カチオン対の間に形成され得る。このようにして、コアセルベートヒドロゲルは「自己治癒」であり、有利には、使用前に多数の均質化又はサイズ決定工程を必要とせずに凝集性及び成形性を維持する。したがって、本発明のコアセルベートHA系のヒドロゲルは、従来の化学的に架橋されたHA系の皮膚充填剤を超える多くの利点を提供する。例えば、本発明のヒドロゲルの多くは、化学的に架橋されたゲルから化学残留物を除去するために必要とされる場合がある、面倒な化学的架橋及び複雑な精製工程を必要とすることなく、ゲルの完全性を破壊し、かつ注入性につながらないゲル粒子の形成をもたらし得るサイズ決定、均質化による更なる加工を必要とすることなく、又は潤滑性若しくは注入性を向上させるために非架橋HAを添加することなく、皮膚充填剤として加工することができる。
いくつかの態様では、本発明のコアセルベートHA系のヒドロゲルは、化学的に架橋されたHA系のヒドロゲルに対して、皮膚充填剤材料としての所望の用途のための十分な又は改善された凝集性、成形性、持ち上げ能力、及び/又は注入性を含む、十分な又は改善された特性を有する。
本発明の一態様では、一般にコアセルベートHAヒドロゲルを含む皮膚充填剤が提供される。いくつかの態様では、ヒドロゲルは、アニオン性HA及びカチオン性多糖類を含む。いくつかの態様では、ヒドロゲルは、アニオン性HAとカチオン性多糖類との間のイオン性錯体を含む。
いくつかの態様では、ヒドロゲルは、ヒアルロン酸(HA)自体であるアニオン性HA多糖類を含む。他の態様では、アニオン性HAは、「修飾HA」、すなわち、カルボン酸塩以外の1つ以上のアニオン性基を導入するように修飾されたHAであり、アニオン性基は、本明細書で更に定義されるように同じであっても異なっていてもよい。いくつかの態様では、ヒドロゲルは、ホモアニオン性であるアニオン性HAを含む。他の態様では、ヒドロゲルは、ヘテロアニオン性であるアニオン性HAを含む。いくつかの態様では、ヒドロゲルは、非架橋アニオン性HA、架橋アニオン性HA、及びこれらの混合物から選択されるアニオン性HAを含む。いくつかの態様では、ヒドロゲルは、非架橋HA、架橋HA、又はこれらの混合物を含む。
いくつかの態様では、コアセルベートヒドロゲルは、カチオン性多糖類を含む。いくつかの態様では、カチオン性多糖類は、その非修飾形態に対して、1つ以上の追加のカチオン性基、及び/又は異なるカチオン性基を導入するように修飾されている。いくつかの態様では、ヒドロゲルは、ホモカチオン性である非修飾又は修飾されたカチオン性多糖類を含む。他の態様では、ヒドロゲルは、ヘテロカチオン性である非修飾又は修飾されたカチオン性多糖類を含む。いくつかの態様では、カチオン性多糖類は、キトサンである。他の態様では、カチオン性多糖類は、トリメチルキトサンである。
本発明の他の態様では、「カチオン性HA」であるカチオン性多糖類、及びその調製方法が提供される。本発明の更なる態様では、カチオン性HAを含むコアセルベートヒドロゲルが提供される。なお更なる態様では、カチオン性HAは、非架橋カチオン性HA、架橋カチオン性HA、及びこれらの混合物から選択される。
別の態様では、化粧剤、又はビタミン、抗酸化剤、及び/若しくは美白剤などの他の薬剤を更に含む皮膚充填剤組成物が提供される。
別の態様では、本発明のコアセルベートHAヒドロゲルは、生理学的に許容可能な担体中に提供される。いくつかの態様では、生理学的に許容可能な担体は、リン酸緩衝生理食塩水又は非架橋HAである。
別の態様では、本発明のコアセルベートHAヒドロゲルは、良好な成形性特性を有する。いくつかの態様では、コアセルベートHAヒドロゲルは、約50Pa〜約5,000Paの貯蔵弾性率(G’)を有する。他の態様では、コアセルベートHAヒドロゲルは、約500Pa〜約2,000Pa、又は約500Pa〜約1500Pa、又は約500Pa〜約1,000Paの貯蔵弾性率を有する。他の態様では、コアセルベートHAヒドロゲルは、約500Paの貯蔵弾性率を有する。いくつかの態様では、コアセルベートHAヒドロゲルは、約1450Paの貯蔵弾性率を有する。
別の態様では、本発明のコアセルベートHAヒドロゲルは、少なくとも18ゲージ、より好ましくは少なくとも27ゲージの針、又は更により高いゲージの針を通して注入可能である。いくつかの態様では、皮膚充填剤及びコアセルベートHAヒドロゲル組成物は、注射前の組成物のサイズ決定及び/又は均質化を必要とすることなく、針を通して注入可能である。
別の態様では、本発明は、コアセルベートHAヒドロゲルを含む皮膚充填剤を調製する一般的な方法を提供する。いくつかの実施形態では、本方法は、アニオン性HAとカチオン性多糖類との間のイオン性錯体を形成することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、HA自体とカチオン性多糖類との間のイオン性錯体を形成することを含む。別の態様では、本発明は、異なるレオロジープロファイルを有するコアセルベートHAヒドロゲルを調製する方法を提供し、これらはそれぞれアニオン性HA多糖類及びカチオン性多糖類のそれぞれのアニオン及び/又はカチオンのpKa値(複数可)に基づいて形成され得る。いくつかの態様では、本方法は、生理学的に許容可能な担体中のコアセルベートHAヒドロゲルを提供することを含む。いくつかの態様では、本方法は、約50Pa〜約5,000Pa、例えば、約500Pa〜約2,000Pa、約500Pa〜約1500Pa、又は約500Pa〜約1,000Paの範囲の貯蔵弾性率(G’)を有し、若しくは約500Pa又は約1450Paの貯蔵弾性率を有するコアセルベートHAヒドロゲルを提供する。本方法のいくつかの態様では、提供された皮膚充填剤は、微細針などの針を通って注入する前に、サイズ決定及び/又は均質化などの更なる加工工程を必要としない。
更に別の態様では、本発明は、皮膚などの対象の軟組織を処置する方法を提供する。いくつかの態様では、処置方法は、皮膚若しくは軟組織を増強すること、皮膚若しくは軟組織の質を改善すること、又は対象の皮膚若しくは軟組織の欠損を低減することを含む。いくつかの態様では、本方法は、本発明の皮膚充填剤を対象の軟組織又は皮膚に投与する工程(例えば、注入する工程)を含む。いくつかの態様では、本方法は、皮膚充填剤を対象の真皮領域又は皮下領域に投与する工程(例えば、注入する工程)を含む。いくつかの態様では、本方法は、対象の軟組織の更に深い領域に皮膚充填剤を投与する工程(例えば、注入する工程)を含む(例えば、体積を増やす及び輪郭形成の目的のため)。いくつかの態様では、処置は、対象の軟組織又は皮膚を整形すること、充填すること、体積を増やすこと、又はスカルプティングすることを含む。他の態様では、処置は、対象の皮膚ホメオスタシスの改善、皮膚の厚さの改善、創傷の治癒、又は瘢痕の低減を含む。いくつかの態様では、皮膚欠損は、しわ、瘢痕、又は真皮組織の損失である。いくつかの態様では、処置は、少なくとも約3ヶ月の期間有効である。
本発明のこれら及び他の態様及び利点は、以下の図面及び詳細な説明を参照してより容易に理解され、認識され得る。
非架橋HA及びキトサンなどのカチオン性多糖類を介して形成されたコアセルベートHAヒドロゲルの概略図を示す。A:HAなどの非架橋アニオン性多糖類は、キトサンなどのカチオン性多糖類のカチオン性基と静電相互作用を介してコアに縮合又は錯体化され、かつ封入され、一方、カチオン性多糖類は、縮合又は錯体化されたアニオン性HAを封入する連続相として機能する。アニオン性HAの酵素分解は、カチオン性多糖類マトリックス内に捕捉されているため、阻害され、例えば、ヒアルロニダーゼのアクセス性の低減は、ヒアルロニダーゼ分解からHAを保護する。B:アニオン性HAとカチオン性多糖類(例えば、キトサン)との間の電荷比は、電荷平衡に近く、HA及びキトサンは、ポリイオン錯体を形成し、ゲルマトリックスを通して均一に分布される。C:カチオン性多糖類(例えば、キトサン)は、アニオン性HAのアニオン性基と静電相互作用を介してコアに縮合若しくは錯体化され、又は封入され、一方、アニオン性HAは、縮合又は錯体化されたカチオン性多糖類(キトサン)を封入する連続相としての役割を果たす。図1B及び図1Cでは、HAは、カチオン性多糖類と錯体を形成し、HAへのヒアルロニダーゼアクセス性を低減し、HAをヒアルロニダーゼ分解から保護する。 架橋HA及びカチオン性多糖類(複数可)を介して形成されたコアセルベートHAヒドロゲルの概略図を示す。架橋HA粒子は、カチオン性多糖類のカチオン性基と静電相互作用を介してマトリックス中に包含される。この場合、HAは架橋されているため、HAは、酵素分解に対する特定の耐性を既に有しており、これはコアセルベートヒドロゲル内で具体化されることによって更に増加され得る。カチオン性多糖類は、架橋HAゲル粒子を一緒に保持するように働く。ゲルは、イオン結合の非特異的(すなわち、動的又は「自己治癒」)性質の結果として、改善された凝集性及び成形性を有する。 架橋HA及び高純度キトサン(highly pure chitosan、HPC)の様々な濃度で調製されたヒドロゲルの外観及び機械的特性を示し、実施例4を参照されたい。(A)シリンジ内で調製されたヒドロゲルは、破線で概説されている。HPC含有量が0.04当量から0.20当量まで増加すると、ヒドロゲルはより不透明になった。(B)ヒドロゲル貯蔵弾性率(G’)は、HPC含有量が増加するにつれて段階的に減少した。貯蔵弾性率は、1%の歪み及び5Hzの周波数で報告される。 実施例4のヒドロゲルについてのゲル膨潤/解離試験の結果を示す。ヒドロゲル(約250μL)を円筒型成形型に注入し、遠心分離して気泡を除去した。次いで、ヒドロゲルをPBS(20mL)に移し、軌道撹拌器上で37℃、200RPMでインキュベートした。最初の24時間以内に、ヒドロゲルは膨潤平衡に達し、次いで、PBS中で更に解離又は散乱することなく完全性を保持した。キトサンを添加していないゲルは2日以内にPBS緩衝液中で解離したが(図示せず)、キトサンを含有する全ての製剤は、少なくとも29日間安定なままであった。
本発明は、コアセルベートHAヒドロゲルを含む皮膚充填剤を提供する。ヒドロゲルは、アニオン性HAとカチオン性多糖類との間のイオン性錯体を含む。いくつかの実施形態では、アニオン性HAはヒアルロン酸であり、これは架橋されても、又は非架橋であってもよい。
本明細書で使用される場合、「ゲル」は、流体によってその全体積にわたって膨張した非流体ポリマーネットワークを指す。
本明細書で使用される場合、「ヒドロゲル」は、水性流体によってその全体積にわたって膨張した非流体ポリマーネットワークを指す。
本明細書で使用される場合、「コアセルベートヒドロゲル」は、非流体ポリマーネットワークがアニオン性多糖類とカチオン性多糖類との間のイオン性錯体を含み、アニオン性多糖類及びカチオン性多糖類のそれぞれが、独立して架橋又は非架橋であるヒドロゲルを指す。イオン性錯体は、非共有結合性錯体であり、すなわち、アニオン性多糖類及びカチオン性多糖類は、互いに共有結合的に架橋されていない。
本発明のコアセルベートヒドロゲルは、アニオン性多糖類を含む水性組成物を、カチオン性多糖類を含む水性組成物と混合することによって形成することができ、それによって、水性流体によってその全体積にわたって膨張する非流体ポリマーネットワークを提供する。
本明細書で使用される場合、「コアセルベートHAヒドロゲル」は、非流体ポリマーネットワークがアニオン性HA多糖類とカチオン性多糖類との間のイオン性錯体を含み、アニオン性HA多糖類及びカチオン性多糖類のそれぞれが、独立して架橋又は非架橋であるヒドロゲルを指す。イオン錯体は、非共有結合性錯体であり、すなわち、アニオン性HA多糖類及びカチオン性多糖類は、互いに共有結合的に架橋されていない。
本発明のコアセルベートHAヒドロゲルは、アニオン性HA多糖類を含む水性組成物を、カチオン性多糖類を含む水性組成物と混合することによって形成することができ、それによって、水性流体によってその全体積にわたって膨張する非流体ポリマーネットワークを提供する。アニオン性HA多糖類を含む水性組成物は、アニオン性HA多糖類(架橋又は非架橋であってもよい)と、水、pH調整された水(例えば、酸性、中性、若しくは塩基性水)、又は水性組成物(溶液、懸濁液、又はゲルが挙げられるが、これらに限定されない様々な形態をとり得る)を得るための緩衝液などの水性流体とから調製することができる。同様に、カチオン性多糖類を含む水性組成物は、カチオン性多糖類(架橋又は非架橋であってもよい)と、水、pH調整された水(例えば、酸性、中性、若しくは塩基性水)、又は水性組成物(溶液、懸濁液、又はゲルが挙げられるが、これらに限定されない様々な形態をとり得る)を得るための緩衝液などの水性流体とから調製することができる。
本明細書で使用される場合、「アニオン性多糖類」は、生理的pHの溶液中で正味の負電荷を有する多糖類を指す。本明細書でのアニオン性多糖類に対する言及は、アニオン性多糖類上の1つ以上の中性又はカチオン性官能基の存在を排除するものではなく、すなわち、アニオン性多糖類は、生理的pH(又はコアセルベート錯体が形成若しくは使用されるpHにおいて)溶液中の全体的な(正味の)負電荷のみを有する必要があることを理解されたい。具体的には、アニオン性多糖類とは、(a)非修飾であり、かつ多糖類の全体(正味)電荷が生理的pHにおいて負であるような十分な数のアニオン性基を含む多糖類、及び(b)(i)修飾後に多糖類の全体(正味)電荷が生理的pHで負であるように、十分な数のアニオン性基を含むように修飾された多糖類、(ii)多糖類の正味電荷が負のままである限り、非修飾アニオン性多糖類の1つ以上のアニオンの同一性を変化させるように修飾された多糖類、(iii)多糖類の正味電荷が負のままである限り、非修飾多糖に対するアニオンの数を変化(増加又は減少)するように修飾された多糖類、及び(iv)これらの多糖類の組み合わせを指す。アニオン性多糖類の非限定的な例としては、本明細書に開示されるように、非修飾であってもよく、又は追加及び/若しくは異なるアニオン性基を含むように修飾されてもよいHAが挙げられる。アニオン性多糖類は、ホモアニオン性又はヘテロアニオン性であってもよく、架橋又は非架橋であってもよい。
本明細書で使用される場合、用語「アニオン性HA」は、「HA」及び「修飾アニオン性HA」の両方を含む。
本明細書で使用される場合、「HA」は、ヒアルロン酸(HA)を指す。HAは、アニオン性多糖類、具体的にはグリコサミノグリカンである。加えて、「HA」は、ヒアルロン酸及びそのヒアルロン酸塩のいずれかを指し、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸マグネシウム、ヒアルロン酸カルシウム、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、用語「修飾アニオン性HA」は、1つ以上のカルボキシレートアニオンを、スルホネート及び/又はホスホネートなどの1つ以上の代替的アニオンと置換するように修飾されたHAを指す。修飾アニオン性HAは、ホモアニオン性又はヘテロアニオン性であってもよく、架橋又は非架橋であってもよい。
本明細書で使用される場合、「カチオン性多糖類」は、生理的pH(又はコアセルベート錯体が形成若しくは使用されるpHにおいて)溶液中の正味の正電荷を有する非修飾又は修飾多糖類を指す。具体的には、カチオン性多糖類とは、(a)非修飾であり、多糖類の全体(正味)電荷が生理的pHにおいて正であるように、十分な数のカチオン性基を含む多糖類、又は(b)(i)修飾後に多糖類の全体的な電荷が生理的pHで正であるように、十分な数のカチオン性基を含むように修飾された多糖類、(ii)多糖類の正味電荷が正のままである限り、非修飾多糖類の1つ以上のカチオンの同一性を変化させるように修飾された多糖類、(iii)多糖類の正味電荷が正のままである限り、非修飾多糖に対するカチオンの数を変化(増加又は減少)するように修飾された多糖類、及び(iv)これらの多糖類の組み合わせを指す。カチオン性多糖類は、ホモカチオン性又はヘテロカチオン性であってもよく、架橋又は非架橋であってもよい。カチオン性多糖類の非限定的な例としては、キトサン、トリメチルキトサン、及びカチオン性HAが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「カチオン性HA」は、得られる多糖類の全体(正味)電荷が生理的pHにおいて正であるように、十分な数のカチオン性基を含むように修飾されたHAを指す。カチオン性HAは、カチオン性多糖類である。カチオン性HAは、ホモカチオン性又はヘテロカチオン性であってもよく、架橋又は非架橋であってもよい。
カチオン性官能基の非限定例としては、アンモニウム、グアニジニウム、環内に1つ以上のプロトン化窒素原子を有するヘテロシクリル、及び環内に1つ以上のプロトン化窒素原子を有するヘテロアリールが挙げられる。本明細書で使用される場合、「アンモニウム」は、一級アンモニウム、二級アンモニウム、三級アンモニウム、及び四級アンモニウムを含む。具体的には、アンモニウムは以下の構造を有し、
Figure 2021072906
式中、各Ra、Rb、及びRcは、独立して、水素及び非置換若しくは置換アルキル基から選択され、これらはそれぞれ同じであっても、又は異なっていてもよい。例えば、Ra、Rb、及びRcのそれぞれが水素である場合、カチオンは一級アンモニウムカチオンであり、Ra、Rb、及びRcのそれぞれがアルキルである場合、カチオンは四級アンモニウムカチオンである。
本明細書で使用される場合、「アルキル」は、直鎖又は分枝鎖であってもよく、鎖内に約1〜約20個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキル基は、鎖内に約1〜約12個の炭素原子を含有する。より好ましいアルキル基は、鎖内に約1〜約6個の炭素原子を含有する。分岐鎖とは、メチル、エチル、又はプロピルなどの1つ以上の低級アルキル基が直鎖アルキル鎖に結合していることを意味する。「アルキル」は、非置換であっても、又は任意に同じであっても、又は異なってもよい1つ以上の置換基で置換されてもよく、各置換基は、ハロ、アルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、オキシム(例えば、=N−OH)、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)2、−O−C(O)−アルキル、−O−C(O)−アリール、−O−C(O)−シクロアルキル、−SF5、カルボキシ、−C(O)O−アルキル、−C(O)NH(アルキル)、及び−C(O)N(アルキル)2からなる群から独立して選択される。好適なアルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、及びt−ブチルが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」は、約3〜約10個の環原子、好ましくは約5〜約10個の環原子を含む非芳香族飽和単環式又は多環式環系を意味し、ここでは、環系内の1つ以上の原子は、炭素以外の元素、例えば、窒素、酸素、又はイオウの、単独又は組み合わせである。環系内には、隣接する酸素及び/又はイオウ原子は存在しない。好ましいヘテロシクリルは、約5〜約6個の環原子を含有する。ヘテロシクリル語幹名の前の接頭辞アザ、オキサ、又はチアは、それぞれ、少なくとも窒素、酸素、又はイオウ原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロシクリル環内の任意のNは、プロトン化された形態で存在し得る。ヘテロシクリル環内の任意の−NHは、例えば、−N(Boc)、−N(CBz)、−N(Tos)基などとして保護されて存在してもよく、このような保護はまた、本発明の一部とみなされる。ヘテロシクリルは、同一であっても又は異なっていてもよく、かつ本明細書に定義されるとおりである1つ以上の「環系置換基」によって置換されてもよい。ヘテロシクリルの窒素又はイオウ原子は、任意に、対応するN−酸化物、S−酸化物、又はS,S−二酸化物に酸化することができる。好適な単環式ヘテロシクリル環の非限定的な例としては、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、ラクタムなどが挙げられる。「ヘテロシクリル」はまた、上記のようなヘテロシクリル環を含み、式中、=Oは、同じ環炭素原子上の2つの利用可能な水素を置き換える。
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」は、約5〜約14個の環原子、好ましくは約5〜約10個の環原子を含む芳香族単環式又は多環式環系を意味し、ここでは、環原子のうちの1つ以上は、炭素以外の元素、例えば、窒素、酸素、又はイオウの、単独又は組み合わせである。好ましいヘテロアリールは、約5〜約6個の環原子を含有する。ヘテロシクリル語幹名の前の接頭辞アザ、オキサ、又はチアは、それぞれ、少なくとも窒素、酸素、又はイオウ原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロシクリル環内の任意のNは、プロトン化された形態で存在し得る。ヘテロアリールは、同一であっても又は異なっていてもよく、かつ本明細書に定義されるとおりである1つ以上の「環系置換基」によって置換されてもよい。ヘテロアリールの窒素原子は、任意に、対応するN−酸化物に酸化され得る。好適なヘテロアリールの非限定例としては、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリドン(N−置換ピリドンを含む)、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、オキシンドリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、ベンゾフラザニル、インドリル、アザインドリル、ベンズイミダゾリル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル、キナゾリニル、チエノピリミジル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、イソキノリニル、ベンゾアザインドリル、1,2,4−トリアジニル、ベンゾチアゾリルなどが挙げられる。用語「ヘテロアリール」はまた、例えば、テトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリルなどの部分飽和ヘテロアリール部分を指す。
本明細書で使用される場合、「環系置換基」は、芳香族又は非芳香族環系に結合した置換基を意味し、これは、例えば、環系上の利用可能な水素を置き換える。環系置換基は同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルアルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアリールチオ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、−SF5、−O−C(O)−アルキル、−O−C(O)−アリール、−O−C(O)−シクロアルキル、−C(=N−CN)−NH2、−C(=NH)−NH2、−C(=NH)−NH(アルキル)、オキシム(例えば、=N−OH)、−NY12、−アルキル−NY12、−C(O)NY12、−SO2NY12、及び−SO2NY12(式中、Y1及びY2は、同じでも又は異なっていてもよく、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル、及びアラルキルからなる群から独立して選択される)からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、カチオン性多糖類のカチオン性官能基は、1つ以上のアミノ酸を多糖類に組み込むことによって提供され、例えば、アルギニン側鎖は、グアニジウムイオンを提供してもよく、リジン又はオルニチン側鎖は、アンモニウムイオンを提供してもよく、ヒスチジン側鎖は、イミダゾリウムイオンを提供してもよく、プロリンは、ピロリジニウムイオンを提供してもよい。
他の実施形態では、カチオン性官能基は、多糖類の1つ以上の繰り返し単位によって提供される。いくつかの実施形態では、カチオン性基は、D−グルコサミンによって提供され、一級アミノ基はプロトン化されて、一級アンモニウムイオンを提供する。
いくつかの実施形態では、多糖類の一級アミノ基はアルキル化されて、対応する二級アンモニウムイオン、三級アンモニウムイオン、及び/又は四級アンモニウムイオンを提供する。
いくつかの実施形態では、カチオン性多糖類は、キトサンである。ポリグルサム、脱アセチル化キチン、及びポリ−(D)グルコサミンとしても知られるキトサンは、β−(1〜4)結合D−グルコサミン(脱アセチル化単位)及びN−アセチル−D−グルコサミン(アセチル化単位)を含む直鎖多糖類である。市販のキトサンを含むキトサンは、キチンの脱アセチル化によって提供され得る。いくつかの実施形態において、脱アセチル化度(degree of deacetylation、DD%)は、約60〜約100%の範囲である。いくつかの実施形態では、キトサンのアミノ基は約6.5のpKa値を有し、これは生理的pHを含む酸性から中性溶液におけるプロトン化(すなわち、アンモニウムイオンの形成)をもたらし、この中で、電荷密度はpH及びDD%に依存する。いくつかの実施形態では、キトサンの分子量は、約3800〜約20,000ダルトンである。他の実施形態では、カチオン性多糖類は、アルキルアミノキトサンである。1つのこのような実施形態では、カチオン性多糖類は、四級アンモニウムイオンを含む四級化キトサンである。特定の実施形態では、カチオン性多糖類は、トリメチルキトサンである。
いくつかの実施形態では、カチオン性基は、多糖類のアニオンを、カチオンを有する基で誘導体化することによって多糖類に導入され、それによってアニオンをカチオンで置き換える。いくつかの実施形態では、多糖類はカチオン性多糖類であり、例えば、カチオン性多糖類のpKaを調節するために、及び/又は多糖類を含むコアセルベートヒドロゲルのレオロジー特性を調整するために、カチオンは導入されて、追加のカチオンを多糖類中に組み込む。他の実施形態では、多糖類はアニオン性多糖類であり、カチオンは、多糖類のpKaを調節するために、及び/又は多糖類を含むヒドロゲルのレオロジー特性を調整するために導入される。いくつかの実施形態では、多糖類はアニオン性多糖類であり、カチオン性基は、アニオン性多糖類をカチオン性多糖類に変換するために導入される。例えば、アニオン性多糖類はHAであってもよく、これはカチオン性HAに変換される。
アミン官能基(すなわち、アンモニウムカチオンの供給源)を、カルボン酸基を含む多糖類に導入する方法は、多糖類をジアミン又はポリアミンと反応させることによって達成することができる(図1a及び図1bを参照)。いくつかの実施形態では、多糖類はHAである。例示的な実施形態では、1つ以上のカルボン酸基を含む多糖類は、カップリング剤の存在下でジアミン又はポリアミンと結合してアミド結合を形成する。この多糖類は、HAであり得る。カルボン酸基を有する多糖類にカチオンを導入するのに有用なアミンの非限定的な例としては、リシン及びオルニチン、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、スペルミン、スペルミジン、及び前述の誘導体又は保護された形態が挙げられる。例えば、アミンは、リジンメチルエステル、Nε−Boc−リジンメチルエステル、オルニチンメチルエステル、及びNδ−Boc−オルニチンメチルエステルなどの1つ以上のカルボン酸エステル及び/又はN−Boc基を含んでもよい。多糖類のカルボン酸基とアミンとの間にペプチド結合を形成するのに有用なカップリング剤の非限定的な例としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)などのカルボジイミド、及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、1−エチル−3−(3−トリメチルアミノプロピル)カルボジイミド(ETC)、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド(CMC)などの水溶性カルボジイミド、並びにそれら塩及びそれらの混合物が挙げられる。
化合物中の官能基を「保護」と呼ぶ場合、これは、化合物が反応に供されたときに、保護部位における望ましくない副反応を排除するために、基が修飾された形態であることを意味する。好適な保護基は、当業者によって、並びに、例えば、T.W.Greene et al,Protective Groups in Organic Synthesis(1991),Wiley,New Yorkなどの標準的な教科書を参照することによって認識されよう。例えば、アミノ基は、−(Boc)、−(CBz)又は−(Tos)基などで保護され、続いて脱保護されて、対応するアミノ基又は対応するアンモニウムイオンが得られる。
提供される方法の非限定的な実施形態は、スキーム1aに示され、これは、EDCの存在下での、カルボン酸基を含む多糖類とHMDAとのカップリングを示している。本実施形態では、HMDAアミノ基のうちの1つは、アミド結合を形成し、他方のアミノ基は、アンモニウムイオンを提供する。
別の非限定的な実施形態は、スキーム1bに示されており、これは、EDCの存在下で、カルボン酸基を含む多糖類を、Nε−Boc−リジンメチルエステルとカップリングさせて、これにより、リジンのα−アミノ基が多糖類のカルボン酸基とアミド結合を形成し、続いて、当業者に一般的に既知の方法を使用してN−ε−BOC基を脱保護して、アンモニウムイオンを提供することを示している。
スキーム1a.
Figure 2021072906
スキーム1b.
Figure 2021072906
いくつかの実施形態では、多糖類の1つ以上のアミノ基は、グアニジニウムイオンを導入するために誘導体化される。一級アンモニウムイオンをグアニジニウムイオンに変換する方法は、Hunt,et al.Tunable,High Modulus Hydrogels Driven by Ionic Coacervation,Advanced Materials,2011,23,2327〜2331に開示されており、その開示全体が本明細書にこの特定の参照により組み込まれる。一実施形態では、1つ以上のアミノ/アンモニウム基を含む多糖類は、スキーム2a及び2bに示されるように、1H−ピラゾール−1−カルボキシイミドアミドと反応させてグアニジニウムカチオンを提供してもよい。
スキーム2a.
Figure 2021072906
スキーム2b.
Figure 2021072906
いくつかの実施形態では、多糖類のアミノ基の全てが、グアニジニウムイオンに変換される。他の実施形態では、多糖類のアミノ基の一部のみが、グアニジニウム基に変換され、得られる多糖類は、一級アンモニウムイオン及びグアニジニウムイオンの両方を含む。
別の実施形態では、多糖類のアミノ基の全てがアルキル化されて、例えば、二級、三級、及び/又は四級アンモニウムイオンを含む多糖類を提供する。他の実施形態では、多糖類のアミノ基の一部のみが、アルキル化されて、その結果得られる多糖類は、一級及び二級、三級、並びに/又は四級アンモニウムイオンを含む。
別の実施形態では、多糖類のアミノ基の一部がアルキル化され、他のアミノ基はグアニジニウムイオンに変換され、それによって、一級アンモニウムイオン、二級アンモニウムイオン、三級アンモニウムイオン、四級アンモニウムイオン、グアニジニウムイオン、又はこれらの組み合わせを含む多糖類を提供する。
いくつかの実施形態では、架橋カチオン性HAは、架橋HAから調製される。架橋HAを調製する方法の非限定的な例は、上記に記載されている。一実施形態では、架橋HAは、例えば、アンモニウムイオンを組み込むことによって(例えば、スキーム1a及び1bを参照)、任意にアンモニウムイオンをアルキル化することによって、及び/又はグアニジニウムイオンを導入することによって(例えば、スキーム2a及び2bを参照)カチオン基を導入するように修飾され、これによって、一級アンモニウム、二級アンモニウム、三級アンモニウム、四級アンモニウム、及び/又はグアニジニウムイオンを有する架橋カチオン性HAを提供する。
いくつかの実施形態では、アニオン性基が、多糖類に導入される。いくつかの実施形態では、多糖類はカチオン性多糖類であり、例えば、カチオン性多糖類のpKaを調節するために、及び/又は多糖類を含むコアセルベートヒドロゲルのレオロジー特性を調整するために、アニオンが導入されて、アニオンを多糖類中に組み込む。他の実施形態では、多糖類はHAであり、アニオンは、HAのpKaを調節するために、及び/又はHAを含むヒドロゲルのレオロジー特性を調整するために導入される。
アニオン性官能基の非限定的な例としては、カルボキシレート、ホスホネート、及びスルホネートが挙げられる。いくつかの実施形態では、ホスホネート及び/又はスルホネートアニオンは、それぞれ、HAなどの多糖類の1つ以上のカルボキシレート基をアミノホスホン酸と反応させて、ホスホネートイオンを含む多糖類、及び/又はアミノスルファミン酸と反応させて、スルホネートイオンを含む多糖類を提供することによって提供される。いくつかの実施形態では、アニオン性官能基は、アミノ酸、例えば、カルボキシレートイオンを提供し得るアスパラギン酸又はグルタミン酸側鎖を、多糖類に組み込むことによって提供される。
特定の基のpKaは7未満であってもよいが、特定の基(例えば、イミダゾール又はN末端アミノ)はカチオンとして機能し、したがって、基がプロトン化されるpH条件下でコアセルベートゲルを形成及び/又は使用するために用いることができることを理解されたい。反対に、特定の基のpKaは7を上回ってもよいが、特定の基はアニオンとして機能し、基が脱プロトン化されるpH条件下でコアセルベートゲルを形成及び/又は使用するために用いることができることを理解されたい。
いくつかの実施形態では、異なるレオロジープロファイルを有するコアセルベートHAヒドロゲルが提供され、これらはそれぞれアニオン性HA及びカチオン性多糖類のそれぞれのアニオン及び/又はカチオンのpKa値(複数可)に基づいて形成され得る。例えば、電荷−電荷相互作用の強度は、アニオン及び/又はカチオンの同一性に依存し、それによって得られるゲル特性に影響を与える。したがって、ヒドロゲルのレオロジー特性は、特定のpKaを有する特定のイオン性基を選択することによって、及び/又は各イオン性基の相対数を調節することによって調整することができる。いくつかの実施形態では、ホモアニオン性/ホモカチオン性錯体、ホモアニオン性/ヘテロカチオン性錯体、ヘテロアニオン性/ホモカチオン性錯体、又はヘテロアニオン性/ヘテロカチオン性錯体は、ゲルレオロジー特性を調整するために必要であり得る。
一実施形態では、本発明の皮膚充填剤は、HA系のヒドロゲルを含み、このヒドロゲルは、アニオン性HAと、カチオン性多糖類とを含む。いくつかの実施形態では、アニオン性HAは、架橋されていない。他の実施形態では、アニオン性HAは、架橋されている。いくつかの実施形態では、カチオン性多糖類は、架橋されていない。他の実施形態では、カチオン性多糖類は、架橋されている。
いくつかの実施形態では、本発明の皮膚充填剤は、HA系のヒドロゲルを含み、このヒドロゲルは、HAと、カチオン性多糖類とを含む。いくつかの実施形態では、HAは、架橋されていない。他の実施形態では、HAは、架橋されている。いくつかの実施形態では、カチオン性多糖類は、架橋されていない。他の実施形態では、カチオン性多糖類は、架橋されている。
一実施形態では、非架橋アニオン性HAを含むコアセルベートヒドロゲルが提供される。この例では、非架橋アニオン性HAは縮合され(すなわち、カチオン性多糖類と錯体を形成する)、カチオン性多糖類のカチオン性基との相互作用によってコアに封入され、一方、カチオン性多糖類は、縮合された非架橋アニオン性HAが分散している連続相として機能する(図1Aを参照)。
別の実施形態では、非架橋HAと、キトサンなどの非架橋カチオン性多糖類とを含むコアセルベートが提供され、ここでは、アニオン性HAとカチオン性キトサンとの間の電荷比が、電荷平衡に近く、HA及びキトサンが、ポリイオン錯体を形成し、ゲルマトリックスを通して均等に分布している(図1Bを参照)。
別の実施形態では、非架橋HAと、キトサンなどの非架橋カチオン性多糖類とを含むコアセルベートヒドロゲルが提供され、ここでは、非架橋カチオン性多糖類が縮合され(すなわち、アニオン性HAと錯体化され)、アニオン性HAのアニオン性基との相互作用によってコアに封入されており、一方、アニオン性HAが、縮合された非架橋カチオン性多糖類が分散している連続相として機能する(図1Cを参照)。
別の実施形態では、架橋アニオン性HAを含むコアセルベートヒドロゲルが提供される。この例では、架橋アニオン性HA多糖類は、カチオン性多糖類と錯体を形成し、カチオン性多糖類は、架橋されたアニオン性HA粒子が分散している連続相として機能する(図2を参照)。いくつかの実施形態では、カチオン性多糖類は、架橋アニオン性HAヒドロゲル粒子を保持又は封入する凝集性「糊剤」として作用する。
別の実施形態では、ヒドロゲルは、非架橋アニオン性HAと架橋カチオン性HAとの間のイオン錯体を含む。HAは、架橋されたカチオン性HA粒子が分散している連続相として機能する。いくつかの実施形態では、アニオン性HA多糖類は、架橋カチオン性HAヒドロゲル粒子を保持又は封入する凝集性「糊剤」として作用する。
いくつかの実施形態では、コアセルベートヒドロゲルは、ホモアニオン性HA多糖類を含み、各アニオンは同じ同一性を有する。例えば、ホモアニオン性多糖類はHAであってもよく、各アニオンはカルボキシレートアニオンである。
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、修飾されたヘテロアニオン性HA(すなわち、カルボキシレートの代わりに1つ以上のアニオンを導入するように修飾されたHA)を含み、アニオンは異なる同一性(例えば、カルボキシレート、ホスホネート、及び/又はスルホネート)を有し、これらはそれぞれ同じであるか又は異なっているpKa値を有し得る。例えば、HAは、ホスホネートアニオンを有するホモアニオン性HAを提供する条件下で、アミノホスホン酸と反応させることができる。別の例では、HAは、スルホネートアニオンを有するホモアニオン性HAを提供する条件下で、アミノスルファミン酸と反応させることができる。別の例では、HAは、カルボキシレートアニオン及びホスホネートアニオンの両方を有するヘテロアニオン性HAを提供する条件下で、アミノホスホン酸と反応させることができる。別の例では、HAは、カルボキシレートアニオン及びスルホネートアニオンの両方を有するヘテロアニオン性HAを提供する条件下で、アミノスルファミン酸と反応させることができる。別の例では、HAは、カルボキシレート基、ホスホネート基、及びスルホネート基を有するヘテロアニオン性HAを提供する条件下で、アミノホスホン酸及びアミノスルファミン酸と同時に又は順次反応させることができる。
いくつかの実施形態では、コアセルベートHAヒドロゲルは、ホモカチオン性多糖類を含み、各カチオンは同じ同一性を有し、例えば、各カチオンは一級アンモニウムイオンである。いくつかの実施形態では、ホモカチオン性多糖類は、キトサンである。
他の実施形態では、コアセルベートHAヒドロゲルは、ヘテロカチオン性多糖類を含み、2つ以上のカチオンは異なる同一性(例えば、一級アンモニウム、四級アンモニウム、グアニジニウム、及び/又はイミダゾリウム)を有し、これらはそれぞれ同じであるか又は異なっているpKa値を有し得る。
いくつかの実施形態では、コアセルベートヒドロゲルは、ホモアニオン性HAと、ホモカチオン性多糖類とを含む。いくつかの実施形態では、ホモカチオン性HAは、HAであり、ホモカチオン性多糖類はキトサンである。
いくつかの実施形態では、コアセルベートヒドロゲルは、ホモアニオン性HAと、ヘテロカチオン性多糖類とを含む。いくつかの実施形態では、ホモアニオン性HAは、HAである。
いくつかの実施形態では、コアセルベートヒドロゲルは、ヘテロアニオン性HAと、ホモカチオン性多糖類とを含む。いくつかの実施形態では、ホモカチオン性多糖類は、カチオン性HAである。いくつかの実施形態では、ホモカチオン性多糖類は、キトサンである。
いくつかの実施形態では、コアセルベートヒドロゲルは、ヘテロアニオン性HAと、ヘテロカチオン性多糖類とを含む。
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ホモアニオン性HAとホモカチオン性多糖類との間のイオン性錯体を含む。いくつかの実施形態では、ホモアニオン性HAは、HAである。いくつかの実施形態では、ホモカチオン性多糖類は、カチオン性HAである。いくつかの実施形態では、ホモアニオン性HAはHAであり、ホモカチオン性多糖類はカチオン性HA又はキトサンである。
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ホモアニオン性HAとヘテロカチオン性多糖類との間のイオン性錯体を含む。いくつかの実施形態では、ホモアニオン性HAは、HAである。
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヘテロアニオン性HAとホモカチオン性多糖類との間のイオン性錯体を含む。いくつかの実施形態では、ホモカチオン性多糖類は、カチオン性HA又はキトサンである。
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヘテロアニオン性HAとヘテロカチオン性多糖類との間のイオン性錯体を含む。
本発明の非限定的な実施形態は、アニオン性多糖類とカチオン性多糖類との間のイオン性錯体を含むヒドロゲルを含み、アニオン性多糖類は、表1のアニオン性多糖類の実施形態から選択され、カチオン性多糖類は、表1のカチオン性多糖類の実施形態から選択され、アニオン性多糖類とカチオン性多糖類との可能な組み合わせ(複数可)に関して限定されるものではない。
Figure 2021072906
更なる実施形態では、表1に記載されるコアセルベートHAヒドロゲルが提供され、ヒドロゲルは、化粧剤、ビタミン、酸化防止剤、美白剤、又はこれらの組み合わせを更に含む。
更なる実施形態では、表1及び前述の段落に記載されるコアセルベートHAヒドロゲルは、生理学的に許容可能な担体、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)又は非架橋HA中に提供される。
いくつかの実施形態では、本発明のHAヒドロゲルは、従来の化学的に架橋されたHA系の皮膚充填剤に対する改善を有する、皮膚充填剤としてのそれらの意図される用途に対する十分な又は改善された成形性、持ち上げ能力、及び/又は注入性を有する。
いくつかの態様では、ゲルは、約50Pa〜約5,000Pa、例えば、約500Pa〜約2000Pa、約500Pa〜約1500Pa、又は約500Pa〜約1000Paの範囲の貯蔵弾性率(G’)を有し、若しくは約500Pa又は約1450Paの貯蔵弾性率を有する。いくつかの態様では、高いG’を有するゲルは、アニオン性HA及びカチオン性多糖類の濃度、アニオン性HA及びカチオン性多糖類の相対比を変化させることによって、並びに/又はアニオン性カチオン性相互作用を、異なるアニオン及びカチオンを使用して調整して錯体を形成することによって得ることができ、例えば、アニオン−カチオン対は、スルホネートとグアニジニウムとの間のイオン性相互作用などの強いアニオン性−カチオン性相互作用を含んでもよい。
本発明のいくつかの実施形態では、コアセルベートHAヒドロゲルは、加水分解酵素に対するアクセス性を遮断し、皮膚などの軟組織においてより良好なヒドロゲルの完全性、持続時間、又はその両方をもたらす。一実施形態では、ヒアルロニダーゼアクセス性が遮断される。別の実施形態では、カチオン性多糖類を加水分解する酵素が遮断される。別の実施形態では、エステラーゼが遮断される。
いくつかの実施形態では、本発明の皮膚充填剤は、皮膚又は他の軟組織に導入された後、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、又は少なくとも約6ヶ月持続する。いくつかの実施形態では、本発明の皮膚充填剤は、皮膚又は他の軟組織に導入された後、最長約1年まで持続する。他の実施形態では、本発明の皮膚充填剤は、皮膚又は他の軟組織に導入された後、最長約18ヶ月まで持続する。特定の実施形態では、皮膚充填剤は、皮膚又は他の軟組織に導入された後、約3ヶ月〜約18ヶ月間、持続する。
いくつかの実施形態では、コアセルベートHAヒドロゲルは、約50K〜約300万ダルトン、約100K〜約300万ダルトン、約500K〜約300万ダルトン、又は約50K〜約200万ダルトン、約100K〜約200万ダルトン、若しくは約500K〜約200万ダルトンの範囲の分子量を有する、非架橋アニオン性HA(非架橋HAなど)を含む。
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルのHA成分は、架橋HAなどの架橋アニオン性HA多糖類である。本明細書で使用される場合、用語「架橋」は、個々のポリマー分子、又はモノマー鎖を、ゲルのようなより安定な構造に結合する分子間結合を指す。したがって、架橋アニオン性HA多糖類は、少なくとも1つの個々の多糖類分子を別のものに結合させる、少なくとも1つの分子間結合を有する。
HAなどのグリコサミノグリカン多糖類の架橋は、典型的には、ヒドロゲルの形成をもたらす。このようなヒドロゲルは、高い粘度を有し、微細な針を通して押し出されるためにかなりの力を必要とする。一般に、HAを含むグリコサミノグリカン多糖類は、多官能性PEG系架橋剤、ジビニルスルホン、ジグリシジルエーテル、及びビス−エポキシド、ビスカルボジイミドが挙げられるが、これらに限定されないジアルデヒド及びジスフィド架橋剤を使用して架橋され得る。HA架橋剤の非限定的な例としては、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル(PETGE)、ジビニルスルホン(DVS)、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)、1,2−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)エチレン(EGDGE)、1,2,7,8−ジエポキシオクタン(DEO)、(フェニレンビス−(エチル)−カルボジイミド及び1,6ヘキサメチレンビス(エチルカルボジイミド)、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート(BS)、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、1−(2,3−エポキシプロピル)−2,3−エポキシシクロヘキサン、又はそれらの組み合わせのような多官能性PEG系架橋剤が挙げられる。他の有用な架橋剤は、Stroumpoulis and Tezel,Tunably Crosslinked Polysaccharide Compositions、米国特許出願公開第2011/0077737号に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。グリコサミノグリカン多糖類を架橋する方法の非限定的な例は、例えば、Piron and Tholin,Polysaccharide Crosslinking,Hydrogel Preparation,Resulting Polysaccharides(s)and Hydrogel(s),uses Thereof、米国特許出願公開第2003/0148995号、Lebreton,Cross−Linking of Low and High Molecular Weight Polysaccharides,Preparation of Injectable Monophase Hydrogels,Polysaccharides and Hydrogels Obtained、米国特許出願公開第2010/0226988号、Lebreton,Viscoelastic Solutions Containing Sodium Hyaluronate and Hydroxypropyl Methyl Cellulose,Preparation and Uses、米国特許出願公開第2008/0089918号、Lebreton,Hyaluronic Acid−Based Gels Including Lidocaine、米国特許出願公開第2010/0028438号、及びPolysaccharides and Hydrogels thus Obtained、米国特許出願公開第2006/0194758号、並びにDi Napoli,Composition and Method for Intradermal Soft Tissue Augmentation、国際公開第2004/073759号、Njikang et al.,Dermal Filler Compositions、米国特許出願公開第2013/0096081号に記載されており、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、架橋され修飾されたアニオン性HA多糖類は、架橋HAから調製される。架橋HAを調製する方法の非限定的な例は、上記に記載されている。一実施形態では、架橋HAは、カルボキシレートに加えて又はカルボキシレートの代わりにアニオン性基を導入するように修飾される。例えば、架橋HAは、アミノホスホン酸と反応して、ホスホネートアニオンを有する架橋ホモアニオン性HAを提供することができる。別の例では、架橋HAは、アミノスルファミン酸と反応して、スルホネートアニオンを有する架橋ホモアニオン性HAを提供することができる。別の例では、架橋HAは、アミノホスホン酸と反応して、カルボキシレート及びホスホネートアニオンの両方を有する架橋ヘテロアニオン性HAを提供することができる。別の例では、架橋HAは、アミノスルファミン酸と反応して、カルボキシレート及びスルホネートアニオンの両方を有する架橋ヘテロアニオン性HAを提供することができる。別の例では、架橋HAは、アミノホスホン酸及びアミノスルファミン酸と同時又は順次反応して、カルボキシレート、ホスホネート、及びスルホネート基を有する架橋ヘテロアニオン性HAを提供することができる。
本明細書によれば、製剤中の「%」は、重量比(すなわち、重量/重量(w/w))パーセントとして定義される。一例として、1%(w/w)は、10mg/gの濃度を意味する。
一実施形態では、ヒドロゲル組成物は、本明細書に開示される軟組織又は皮膚状態を処置するのに十分な量で存在するアニオン性HA多糖類(HAなど)を含む。本実施形態の他の態様では、組成物は、例えば、組成物全体の約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、又は約9重量%、若しくは約10重量%に相当するアニオン性HA(HAなど)を含む。本実施形態の更に他の態様では、組成物は、例えば、組成物全体の最大1重量%、最大2重量%、最大3重量%、最大4重量%、最大5重量%、最大6重量%、最大7重量%、最大8重量%、最大9重量%、又は最大10重量%に相当するアニオン性HA(HAなど)を含む。本実施形態の更に他の態様では、組成物は、組成物全体の約0.5重量%〜約20重量%、約1重量%〜約17重量%、約3重量%〜約15重量%、又は約5重量%〜約10重量%、例えば、約11重量%、約15重量%、又は約17重量%に相当するアニオン性HA(例えば、HA)を含む。
本実施形態の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば、約2mg/g、約3mg/g、約4mg/g、約5mg/g、約6mg/g、約7mg/g、約8mg/g、約9mg/g、約10mg/g、約11mg/g、約12mg/g、約13mg/g、約13.5mg/g、約14mg/g、約15mg/g、約16mg/g、約17mg/g、約18mg/g、約19mg/g、又は約20mg/gの濃度で存在するアニオン性HA(HAなど)を含む。本実施形態の他の態様では、組成物は、例えば、少なくとも1mg/g、少なくとも2mg/g、少なくとも3mg/g、少なくとも4mg/g、少なくとも5mg/g、少なくとも10mg/g、少なくとも15mg/g、少なくとも20mg/g、又は少なくとも25mg/g、若しくは約40mg/gの濃度で存在するアニオン性HA(HAなど)を含む。本実施形態の更に他の態様では、組成物は、例えば、最大1mg/g、最大2mg/g、最大3mg/g、最大4mg/g、最大5mg/g、最大10mg/g、最大15mg/g、最大20mg/g、最大25mg/g、又は最大40mg/gの濃度で存在するアニオン性HA(HAなど)を含む。本実施形態の更に他の態様では、組成物は、例えば、約7.5mg/g〜約19.5mg/g、約8.5mg/g〜約18.5mg/g、約9.5mg/g〜約17.5mg/g、約10.5mg/g〜約16.5mg/g、約11.5mg/g〜約15.5mg/g、又は約12.5mg/g〜約14.5mg/g、若しくは最大約40mg/gまでの濃度で存在するアニオン性HA(HAなど)を含む。
本明細書の態様は、一部には、架橋度を有する架橋アニオン性HA多糖類を含むヒドロゲル組成物を提供する。本明細書で使用される場合、用語「架橋度」は、例えば、架橋剤に結合したHAの二糖類モノマー単位などのアニオン性HA多糖類モノマー単位の百分率を指す。架橋度は、架橋剤のアニオン性HAに対する重量パーセント比として表される。いくつかの実施形態では、本発明のコアセルベートヒドロゲルは、約1重量%〜約15重量%、約1重量%〜約10重量%、約2重量%〜約10重量%、約3重量%〜約10重量%、又は約5重量%〜約10重量%の架橋度を有する架橋アニオン性HAを含む。他の実施形態では、本発明のコアセルベートヒドロゲルは、約10%未満の架橋度を有する架橋アニオン性HAを含む。
本明細書の態様は、一部には、非架橋のアニオン性HA多糖類を含むヒドロゲル組成物を提供する。本明細書で使用される場合、用語「非架橋」は、個々のアニオン性多糖類分子、又はモノマー鎖を結合する分子間結合の欠如を指す。したがって、非架橋アニオン性HA多糖類(非架橋HAを含む)は、共有結合性分子間結合によって任意の他のアニオン性HA多糖類に連結されない。本実施形態の態様では、皮膚充填剤組成物は、非架橋HAなどの非架橋アニオン性HA多糖類を含む。他の態様では、皮膚充填剤は、コアセルベートHAヒドロゲルを含み、コアセルベート錯体は、非架橋HAなどの非架橋アニオン性HA多糖類を含む。
非架橋HA多糖類は水溶性であり、一般に流動性を本質的に維持する。したがって、非架橋HA多糖類は、潤滑剤としてコアセルベートHA多糖類系ヒドロゲルと混合されて、微細針を通しての組成物の押出プロセスを促進することができる。
本発明の態様は、一部には、低分子量のアニオン性HA多糖類、高分子量のアニオン性HA多糖類、又は低分子量及び高分子量の両方のアニオン性HA多糖類を含むヒドロゲル組成物を提供する。本明細書で使用される場合、「アニオン性HA」に言及するとき、用語「高分子量」は、1,000,000Da以上の平均分子量を有するアニオン性HA多糖類(HAを含む)を指す。高分子量アニオン性HA多糖類(HAを含む)の非限定的な例は、約1,500,000Da、約2,000,000Da、約2,500,000Da、約3,000,000Da、約3,500,000Da、約4,000,000Da、約4,500,000Da、又は約5,000,000Daのものである。本明細書で使用される場合、「アニオン性HA」に言及するとき、用語「低分子量」は、1,000,000Da未満の平均分子量を有するアニオン性HA多糖類(HAを含む)を指す。低分子量アニオン性HA多糖類(HAなど)の非限定的な例は、約100,000Da、約200,000Da、約300,000Da、約400,000Da、約500,000Da、約600,000Da、約700,000Da、約800,000Da、又は約900,000Daのものである。
一実施形態では、皮膚充填剤組成物は、非架橋低分子量アニオン性HA多糖類を含むか、又は非架橋低分子量アニオン性HAから調製される架橋アニオン性HA多糖類を含み、非架橋低分子量アニオン性HAは、例えば、約100,000Da、約200,000Da、約300,000Da、約400,000Da、約500,000Da、約600,000Da、約700,000Da、約800,000Da、又は約900,000Daの平均分子量を有する。本実施形態の更に他の態様では、非架橋低分子量アニオン性HAは、例えば、例えば、最大100,000Da、最大200,000Da、最大300,000Da最大400,000Da、最大500,000Da、最大600,000Da、最大700,000Da、最大800,000Da、最大900,000Da、又は最大950,000Daの平均分子量を有する。本実施形態の更に他の態様では、非架橋低分子量HAは、例えば、約100,000Da〜約500,000Da、約200,000Da〜約500,000Da、約300,000Da〜約500,000Da、約400,000Da〜約500,000Da、約500,000Da〜約950,000Da、約600,000Da〜約950,000Da、約700,000Da〜約950,000Da、約800,000Da〜約950,000Da、約300,000Da〜約600,000Da、約300,000Da〜約700,000Da、約300,000Da〜約800,000Da、又は約400,000Da〜約700,000Daの平均分子量を有する。
別の実施形態では、組成物は、非架橋高分子量アニオン性HA多糖類(非架橋HAなど)を含むか、又は非架橋高分子量アニオン性HAから調製される架橋アニオン性HA多糖類を含み、非架橋高分子量アニオン性HAは、例えば、約1,000,000Da、約1,500,000Da、約2,000,000Da、約2,500,000Da、約3,000,000Da、約3,500,000Da、約4,000,000Da、約4,500,000Da、又は約5,000,000Daの平均分子量を有する。本実施形態の他の態様では、非架橋高分子量アニオン性HAは、例えば、少なくとも1,000,000Da、少なくとも1,500,000Da、少なくとも2,000,000Da、少なくとも2,500,000Da、少なくとも3,000,000Da、少なくとも3,500,000Da、少なくとも4,000,000Da、少なくとも4,500,000Da、又は少なくとも5,000,000Daの平均分子量を有する。本実施形態の更に他の態様では、非架橋高分子量アニオン性HAは、例えば、約1,000,000Da〜約5,000,000Da、約1,500,000Da〜約5,000,000Da、約2,000,000Da〜約5,000,000Da約2,500,000Da〜約5,000,000Da、約2,000,000Da〜約3,000,000Da、約2,500,000Da〜約3,500,000Da、又は約2,000,000Da〜約4,000,000Daの平均分子量を有する。更に他の態様では、非架橋高分子量アニオン性HAは、例えば、2,000,000Da超かつ約3,000,000Da未満、2,000,000Da超かつ約3,500,000Da未満、2,000,000Da超かつ約4,000,000Da未満、2,000,000Da超かつ約4,500,000Da未満、2,000,000Da超かつ約5,000,000Da未満の平均分子量を有する。
別の実施形態では、皮膚充填剤は、高分子量アニオン性HA多糖類及び低分子量アニオン性HA多糖類の両方の組み合わせを様々な比率で含み、例えば、高分子量アニオン性HAと低分子量アニオン性HAとの比は、約20:1、約15:1、約10:1、約5:1、約1:1、約1:5、約1:10、約1:15、又は約1:20であってもよい。いくつかの実施形態では、高分子量アニオン性HA多糖類は、前述の比で低分子量アニオン性HA多糖類と架橋される。
いくつかの実施形態では、コアセルベートヒドロゲルのカチオン性多糖類は、本明細書に開示されるように皮膚状態を処置するのに十分な量で存在する。本実施形態の他の態様では、組成物は、例えば、組成物全体の約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、又は約9重量%、若しくは約10重量%に相当するカチオン性多糖類を含む。本実施形態の更に他の態様では、組成物は、例えば、組成物全体の最大1重量%、最大2重量%、最大3重量%、最大4重量%、最大5重量%、最大6重量%、最大7重量%、最大8重量%、最大9重量%、又は最大10重量%に相当するカチオン性多糖類を含む。本実施形態の更に他の態様では、組成物は、例えば、組成物全体の約0.5重量%〜約20重量%、約1重量%〜約17重量%、約3重量%〜約15重量%、又は約5重量%〜約10重量%、例えば、約11重量%、約15重量%、又は約17重量%に相当するカチオン性多糖類を含む。
本実施形態の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば、約2mg/g、約3mg/g、約4mg/g、約5mg/g、約6mg/g、約7mg/g、約8mg/g、約9mg/g、約10mg/g、約11mg/g、約12mg/g、約13mg/g、約13.5mg/g、約14mg/g、約15mg/g、約16mg/g、約17mg/g、約18mg/g、約19mg/g、又は約20mg/gの濃度で存在するカチオン性多糖類を含む。本実施形態の他の態様では、組成物は、例えば、少なくとも1mg/g、少なくとも2mg/g、少なくとも3mg/g、少なくとも4mg/g、少なくとも5mg/g、少なくとも10mg/g、少なくとも15mg/g、少なくとも20mg/g、又は少なくとも25mg/g、又は約40mg/gの濃度で存在するカチオン性多糖類を含む。本実施形態の更に他の態様では、組成物は、例えば、最大1mg/g、最大2mg/g、最大3mg/g、最大4mg/g、最大5mg/g、最大10mg/g、最大15mg/g、最大20mg/g、最大25mg/g、又は最大40mg/gの濃度で存在するカチオン性多糖類を含む。本実施形態の更に他の態様では、組成物は、例えば、約7.5mg/g〜約19.5mg/g、約8.5mg/g〜約18.5mg/g、約9.5mg/g〜約17.5mg/g、約10.5mg/g〜約16.5mg/g、約11.5mg/g〜約15.5mg/g、又は約12.5mg/g〜約14.5mg/g、若しくは最大約40mg/gまでの濃度で存在するカチオン性多糖類を含む。
本明細書の態様は、一部には、架橋度を有する架橋カチオン性多糖類を含むヒドロゲル組成物を提供する。本明細書で使用される場合、用語「架橋度」は、例えば、架橋剤に結合したカチオン性多糖類の二糖類モノマー単位などのカチオン性多糖類モノマー単位の百分率を指す。架橋度は、架橋剤のカチオン性HAに対する重量パーセント比として表される。いくつかの実施形態では、本発明のコアセルベートヒドロゲルは、約1重量%〜約15重量%、約1重量%〜約10重量%、約2重量%〜約10重量%、約3重量%〜約10重量%、又は約5重量%〜10重量%の架橋度を有する架橋カチオン性多糖類を含む。他の実施形態では、本発明のコアセルベートヒドロゲルは、約10%未満の架橋度を有する架橋カチオン性多糖類を含む。
本明細書の態様は、一部には、非架橋カチオン性多糖類を含むヒドロゲル組成物を提供する。本明細書で使用される場合、用語「非架橋」は、個々のカチオン性多糖類分子、又はモノマー鎖を結合する分子間結合の欠如を指す。したがって、非架橋カチオン性多糖類は、共有結合性分子間結合によって任意の他のカチオン性多糖類に連結されない。本実施形態の態様では、皮膚充填剤組成物は、非架橋カチオン性多糖類を含む。他の態様では、皮膚充填剤は、コアセルベートHAヒドロゲルを含み、コアセルベート錯体は、非架橋カチオン性多糖類を含む。
本発明の態様は、一部には、低分子量のカチオン性多糖類、高分子量のカチオン性多糖類、又は低分子量及び高分子量の両方のカチオン性多糖類を含むヒドロゲル組成物を提供する。本明細書で使用される場合、「カチオン性多糖類」に言及するとき、用語「高分子量」は、1,000,000Da以上の平均分子量を有するものを指す。高分子量カチオン性多糖類の非限定的な例としては、約1,500,000Da、約2,000,000Da、約2,500,000Da、約3,000,000Da、約3,500,000Da、約4,000,000Da、約4,500,000Da、又は約5,000,000Daのものが挙げられる。本明細書で使用される場合、「カチオン性多糖類」に言及するとき、用語「低分子量」は、1,000,000Da未満の平均分子量を有するものを指す。低分子量のカチオン性多糖類の非限定的な例としては、約100,000Da、約200,000Da、約300,000Da、約400,000Da、約500,000Da、約600,000Da、約700,000Da、約800,000Da、又は約900,000Daのものが挙げられる。
一実施形態では、皮膚充填剤組成物は、非架橋低分子量カチオン性多糖類を含むか、又は非架橋低分子量カチオン性多糖類から調製される架橋カチオン性多糖類を含み、非架橋低分子量カチオン性多糖類は、例えば、約100,000Da、約200,000Da、約300,000Da、約400,000Da、約500,000Da、約600,000Da、約700,000Da、約800,000Da、又は約900,000Daの平均分子量を有する。本実施形態の更に他の態様では、非架橋低分子量カチオン性多糖類は、例えば、例えば、最大100,000Da、最大200,000Da、最大300,000Da、最大400,000Da、最大500,000Da、最大600,000Da、最大700,000Da、最大800,000Da、最大900,000Da、又は最大950,000Daの平均分子量を有する。本実施形態の更に他の態様では、非架橋低分子量カチオン性多糖類は、例えば、約100,000Da〜約500,000Da、約200,000Da〜約500,000Da、約300,000Da〜約500,000Da、約400,000Da〜約500,000Da、約500,000Da〜約950,000Da、約600,000Da〜約950,000Da、約700,000Da〜約950,000Da、約800,000Da〜約950,000Da、約300,000Da〜約600,000Da、約300,000Da〜約700,000Da、約300,000Da〜約800,000Da、又は約400,000Da〜約700,000Daの平均分子量を有する。
別の実施形態では、組成物は、非架橋高分子量カチオン性多糖類を含むか、又は非架橋高分子量カチオン性多糖類から調製される架橋カチオン性多糖類を含み、非架橋高分子量カチオン性多糖類は、例えば、約1,000,000Da、約1,500,000Da、約2,000,000Da、約2,500,000Da、約3,000,000Da、約3,500,000Da、約4,000,000Da、約4,500,000Da、又は約5,000,000Daの平均分子量を有する。本実施形態の他の態様では、非架橋高分子量カチオン性多糖類は、例えば、少なくとも1,000,000Da、少なくとも1,500,000Da、少なくとも2,000,000Da、少なくとも2,500,000Da、少なくとも3,000,000Da、少なくとも3,500,000Da、少なくとも4,000,000Da、少なくとも4,500,000Da、又は少なくとも5,000,000Daの平均分子量を有する。本実施形態の更に他の態様では、非架橋高分子量カチオン性多糖類は、例えば、約1,000,000Da〜約5,000,000Da、約1,500,000Da〜約5,000,000Da、約2,000,000Da〜約5,000,000Da、約2,500,000Da〜約5,000,000Da、約2,000,000Da〜約3,000,000Da、約2,500,000Da〜約3,500,000Da、又は約2,000,000Da〜約4,000,000Daの平均分子量を有する。更に他の態様では、非架橋高分子量カチオン性多糖類は、例えば、2,000,000Da超かつ約3,000,000Da未満、2,000,000Da超かつ約3,500,000Da未満、2,000,000Da超かつ約4,000,000Da未満、2,000,000Da超かつ約4,500,000Da未満、2,000,000Da超かつ約5,000,000Da未満の平均分子量を有する。
別の実施形態では、皮膚充填剤は、高分子量カチオン性多糖類及び低分子量カチオン性多糖類の両方の組み合わせを様々な比率で含む。本実施形態の態様では、皮膚充填剤は、高分子量カチオン性多糖類及び低分子量カチオン性多糖類の両方の組み合わせを、約20:1、約15:1、約10:1、約5:1、約1:1、約1:5、約1:10、約1:15、又は約1:20の比で含む。いくつかの実施形態では、高分子量カチオン性多糖類は、前述の比で低分子量カチオン性多糖類と架橋される。
本明細書に開示される皮膚充填剤組成物又はコアセルベートHAヒドロゲルは、組成物が個体に投与されるときに有益な効果を提供する別の薬剤又は薬剤の組み合わせを更に含んでもよい。このような有益な薬剤としては、化粧剤又は他の成分が挙げられるが、これらに限定されない。このような有益な薬剤の非限定的な例としては、抗酸化剤、抗掻痒剤、抗セルライト剤、抗瘢痕化剤、抗炎症剤、麻酔剤、抗刺激剤、落屑剤、張り付与剤、抗にきび剤、皮膚美白剤、着色剤、色素沈着防止剤、保湿剤、又はビタミンが挙げられる。いくつかの実施形態では、薬剤は、薬剤の修飾なしにコアセルベート内に添加かつ捕捉され、したがって、薬剤をゆっくり放出及び送達する手段を提供する。このアプローチの著しい利点は、HAコアセルベートゲルの密度、拡散速度、分解速度、及び/又はレオロジー特性によって制御される調整された放出速度で構成成分を天然状態で捕捉することができるように、有益な薬剤をコアセルベートHAゲル錯体に架橋させることなく、これが有益な薬剤を組み込むことである。いくつかの実施形態では、薬剤は、コアセルベートHAヒドロゲルの1つ以上の多糖類とイオン性又は静電相互作用を形成する。いくつかの実施形態では、薬剤の放出は、薬剤とコアセルベートHA多糖類のうちの1つ以上との間のイオン性又は静電相互作用によって制御される。更なる実施形態では、コアセルベートHA錯体は、薬剤のより速い又はより遅い放出のために調整され、例えば、コアセルベートHA錯体の多糖類の数、同一性、及び/又はpKa値は、薬剤のより速い又はより遅い放出のために調整され得る。放出プロファイルは、所望の効果を達成するために、日数、数週間、若しくは数ヶ月、又は更にはより長くてもよい。
本明細書の態様は、一部には、麻酔剤又はその塩を任意に含んでもよい皮膚充填剤組成物を提供する。麻酔剤は、好ましくは局所麻酔剤、すなわち、可逆性局所麻酔及び侵害受容の喪失を引き起こす麻酔剤、例えばアミノアミド局所麻酔薬及びアミノエステル局所麻酔薬などの麻酔剤である。本明細書に開示される組成物に含まれる麻酔剤の量は、皮膚充填剤組成物の投与時に個体が経験する痛みを軽減するのに有効な量である。したがって、本明細書に開示される皮膚充填剤組成物に含まれる麻酔剤の量は、組成物全体の約0.1%〜約5重量%の間である。麻酔剤の非限定的な例としては、リドカイン、アンブカイン、アモラノン、アミロカイン、ベノキシネート、ベンゾカイン、ベトキシカイン、ビフェナミン、ブピバカイン、ブタカイン、ブタンベン、ブタニリカイン、ブテタミン、ブトキシカイン、カルチカイン、クロロプロカイン、コカエチレン、コカイン、シクロメチカイン、ジブカイン、ジメチソキン、ジメトカイン、ジペロドン、ジシクロニン、エクゴニジン、エクゴニン、塩化エチル、エチドカイン、ベータユーカイン、ユープロシン、フェナルコミン、ホルモカイン、ヘキシルケイン、ヒドロキシテトラカイン、イソブチルp−アミノベンゾエート、ロイシノカインメシレート、レボキサドロール、リドカイン、メピバカイン、メプリルカイン、メタブトキシカイン、塩化メチル、ミルテカイン、ネパイン、オクタカイン、オルソカイン、オキセタゼイン、パレトキシカイン、フェナカイン、フェノール、ピペロカイン、ピリドカイン、ポリドカノール、プラモキシン、プリロカイン、プロカイン、プロパノカイン、プロパラカイン、プロピポカイン、プロポキシカイン、プソイドコカイン、ピロカイン、ロピバカイン、サリチルアルコール、テトラカイン、トリカイン、トリメカイン、ゾラミン、これらの組み合わせ、及びそれらの塩が挙げられる。アミノエステル局所麻酔薬の非限定的な例としては、プロカイン、クロロプロカイン、コカイン、シクロメチカイン、シメトカイン(ラロカイン)、プロポキシカイン、プロカイン(ノボカイン)、プロパラカイン、テトラカイン(アメトカイン)が挙げられる。アミノアミド局所麻酔薬の非限定的な例としては、アルチカイン、ブピバカイン、シンコカイン(ジブカイン)、エチドカイン、レボブピバカイン、リドカイン(リグノカイン)、メピバカイン、ピペロカイン、プリロカイン、ロピバカイン、及びトリメカインが挙げられる。本明細書に開示される組成物は、単一の麻酔剤又は複数の麻酔剤を含んでもよい。局所麻酔薬の組み合わせの非限定的な例は、リドカイン/プリロカイン(EMLA)である。
本実施形態の他の態様では、本明細書に開示される皮膚充填剤組成物は、例えば、全組成物の約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1.0重量%、約2.0重量%、約3.0重量%、約4.0重量%、約5.0重量%、約6.0重量%、約7.0重量%、約8.0重量%、約9.0重量%、又は約10重量%の量の麻酔剤を含む。更に他の態様では、本明細書に開示される組成物は、例えば、全組成物の少なくとも0.1重量%、少なくとも0.2重量%、少なくとも0.3重量%、少なくとも0.4重量%、少なくとも0.5重量%、少なくとも0.6重量%、少なくとも0.7重量%、少なくとも0.8重量%、少なくとも0.9重量%、少なくとも1.0重量%、少なくとも2.0重量%、少なくとも3.0重量%、少なくとも4.0重量%、少なくとも5.0重量%、少なくとも6.0重量%、少なくとも7.0重量%、少なくとも8.0重量%、少なくとも9.0重量%、又は少なくとも10重量%の量の麻酔剤を含む。更に他の態様では、本明細書に開示される皮膚充填剤組成物は、例えば、全組成物の最大0.1重量%、最大0.2重量%、最大0.3重量%、最大0.4重量%、最大0.5重量%、最大0.6重量%、最大0.7重量%、最大0.8重量%、最大0.9重量%、最大1.0重量%、最大2.0重量%、最大3.0重量%、最大4.0重量%、最大5.0重量%、最大6.0重量%、最大7.0重量%、最大8.0重量%、最大9.0重量%、又は最大10重量%の量の麻酔剤を含む。更なる態様では、本明細書に開示される皮膚充填剤組成物は、例えば、全組成物の約0.1重量%〜約0.5重量%、約0.1重量%〜約1.0重量%、約0.1重量%〜約2.0重量%、約0.1重量%〜約3.0重量%、約0.1重量%〜約4.0重量%、約0.1重量%〜約5.0重量%、約0.2重量%〜約0.9重量%、約0.2重量%〜約1.0重量%、約0.2重量%〜約2.0重量%、約0.5重量%〜約1.0重量%、又は約0.5重量%〜約2.0重量%の量の麻酔剤を含む。
別の実施形態では、本明細書に開示される皮膚充填剤は、麻酔剤を含まない。
本明細書の態様は、一部には、複素弾性率、弾性率、粘性率、及び/又は損失正接(tanδ)を示すコアセルベートHAヒドロゲル組成物を提供する。力が加えられるとき(応力、変形)に、組成物が弾性成分(例えば、架橋アニオン性又はカチオン性HA多糖類などの固体様)及び粘性成分(例えば、非架橋HA多糖類又はキャリア相などの液体様)を有するという点で、本明細書に開示される組成物は粘弾性である。この特性を記述するレオロジー属性は、組成物の変形に対する総抵抗を定義する複素弾性率(G*)である。複素弾性率は、実数部及び虚数部を有する複素数:G*=G’+iG”である。G*の絶対値は、Abs(G*)=Sqrt(G’2+G”2)である。複素弾性率は、弾性率(G’)と粘性弾性率(G”)との合計として定義することができる。Falcone,et al.,Temporary Polysaccharide Dermal Fillers:A Model for Persistence Based on Physical Properties,Dermatol Surg.35(8):1238〜1243(2009)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
弾性率、又は弾性係数とは、ヒドロゲル材料が変形に抵抗する能力、又は反対に、力がそれに加えられるときに非恒久的に変形する物体の傾向を指す。弾性率は、組成物の硬さを特徴とし、これが組成物の運動からのエネルギーの貯蔵について説明しているため、貯蔵弾性率としても知られている。弾性率は、弾性と強度との間の相互作用(G’=応力/ひずみ)を説明し、したがって、組成物の硬度又は柔軟性の定量的測定を提供する。物体の弾性率は、弾性変形領域におけるその応力−ひずみ曲線の勾配として定義され、λ=応力/ひずみであり、λはパスカルの弾性率であり、応力は、変形を力が印加される領域で割った力であり、ひずみは、物体の元の状態への応力によって生じた変化の比率である。力が加えられる速度に応じてではあるが、より剛性の組成物は、より高い弾性率を有するようになり、例えば、注入などの所与の距離で材料を変形させるためにより大きな力を要するであろう。方向を含む応力がどのように測定されるかを指定することにより、多くのタイプの弾性率が規定されることを可能にする。3つの主要弾性率は、引張弾性率、剪断弾性率、及び体積弾性率である。
粘性弾性率は、粘稠性損失として失われるエネルギーを説明するため、損失弾性率としても知られている。損失正接(tanδ)は、粘性弾性率と弾性率の比、tanδ=G”/G’である。上記のFalcone,2009を参照されたい。本明細書に開示されるtanδ値については、tanδは、1Hzの周波数での動的弾性率から得られる。tanδが低いほど、より剛性、より硬い、又はより弾性のある組成物に対応する。
別の実施形態では、本明細書に開示されるコアセルベートHAヒドロゲル組成物は、例えば、約25Pa、約50Pa、約75Pa、約100Pa、約125Pa、約150Pa、約175Pa、約200Pa、約250Pa、約300Pa、約350Pa、約400Pa、約450Pa、約500Pa、約550Pa、約600Pa、約650Pa、約700Pa、約750Pa、約800Pa、約850Pa、約900Pa、約950Pa、約1,000Pa、約1,200Pa、約1,300Pa、約1,400Pa、約1450Pa、約1,500Pa、約1,600Pa、約1700Pa、約1800Pa、約1900Pa、約2,000Pa、約2,100Pa、約2,200Pa、約2,300Pa、約2,400Pa、約2,500Pa、約3000Pa、約4000Pa、約5000Pa、約6000Pa、約7000Pa、約8000Pa、約9000Pa、又は約10,000Paの弾性率を呈する。本実施形態の他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば、少なくとも25Pa、少なくとも50Pa、少なくとも75Pa、少なくとも100Pa、少なくとも125Pa、少なくとも150Pa、少なくとも175Pa、少なくとも200Pa、少なくとも250Pa、少なくとも300Pa、少なくとも350Pa、少なくとも400Pa、少なくとも450Pa、少なくとも500Pa、少なくとも550Pa、少なくとも600Pa、少なくとも650Pa、少なくとも700Pa、少なくとも750Pa、少なくとも800Pa、少なくとも850Pa、少なくとも900Pa、少なくとも950Pa、少なくとも1,000Pa、少なくとも1,200Pa、少なくとも1,300Pa、少なくとも1,400Pa、少なくとも1,500Pa、少なくとも1,600Pa、少なくとも1700Pa、少なくとも1800Pa、少なくとも1900Pa、少なくとも2,000Pa、少なくとも2,100Pa、少なくとも2,200Pa、少なくとも2,300Pa、少なくとも2,400Pa、又は少なくとも2,500Paの弾性率を呈する。本実施形態の更に他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば、最大で25Pa、最大で50Pa、最大で75Pa、最大100Pa、最大で125Pa、最大で150Pa、最大で175Pa、最大で200Pa、最大で250Pa、最大で300Pa、最大で350Pa、最大で400Pa、最大で450Pa、最大で500Pa、最大で550Pa、最大で600Pa、最大で650Pa、最大で700Pa、最大で750Pa、最大で800Pa、最大で850Pa、最大で900Pa、最大で950Pa、最大で1,000Pa、最大で1,200Pa、最大で1,300Pa、最大で1,400Pa、最大で1,500Pa、又は最大で1,600Paの弾性率を呈する。本実施形態の更に他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば、約25Pa〜約150Pa、約25Pa〜約300Pa、約25Pa〜約500Pa、約25Pa〜約800Pa、約125Pa〜約300Pa、約125Pa〜約500Pa、約125Pa〜約800Pa、約400〜約1,600Pa、約500Pa〜約1,600Pa、約600Pa〜約1,600Pa、約700Pa〜約1,600Pa、約800Pa〜約1,600Pa、約900Pa〜約1,600Pa、約1,000Pa〜約1,600Pa、約1,100Pa〜約1,600Pa、約1,200Pa〜約1,600Pa、約500Pa〜約2,500Pa、約1,000Pa〜約2,500Pa、約1,500Pa〜約2,500Pa、約2,000Pa〜約2,500Pa、約1,300Pa〜約1,600Pa、約1,400Pa〜約1,700Pa、約1,500Pa〜約1,800Pa、約1,600Pa〜約1,900Pa、約1,700Pa〜約2,000Pa、約1,800Pa〜約2,100Pa、約1,900Pa〜約2,200Pa、約2,000Pa〜約2,300Pa、約2,100Pa〜約2,400Pa、又は約2,200Pa〜約2,500Paの弾性率を呈する。更に他の態様では、例えば、約50Pa〜約5,000Pa、約100Pa〜約5,000Pa、約100〜約4,000Pa、約100〜約3,000Pa、約100〜約2,000Pa、又は約100〜約1,000Pa、又は約500Paの弾性率を呈するヒドロゲル組成物が提供される。更に他の態様では、例えば、約20Pa〜約3,000Pa、約20Pa〜約2,000Pa、約20〜約1,000Pa、約50〜約3,000Pa、約50〜約2,000Pa、又は約50〜約1,000Paの弾性率を呈するヒドロゲル組成物が提供される。
更なる実施形態では、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物は、例えば、少なくとも約500Paの高弾性率(高貯蔵弾性率(G’))を呈する。
別の実施形態では、本明細書に開示されるコアセルベートHAヒドロゲル組成物は、粘性弾性率を呈する。本実施形態の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば、約10Pa、約20Pa、約30Pa、約40Pa、約50Pa、約60Pa、約70Pa、約80Pa、約90Pa、約100Pa、約150Pa、約200Pa、約250Pa、約300Pa、約350Pa、約400Pa、約450Pa、約500Pa、約550Pa、約600Pa、約650Pa、又は約700Paの粘性弾性率を呈する。本実施形態の更に他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば、最大で10Pa、最大で20Pa、最大で30Pa、最大40Pa、最大で50Pa、最大で60Pa、最大で70Pa、最大で80Pa、最大で90Pa、最大で100Pa、最大で150Pa、最大で200Pa、最大で250Pa、最大で300Pa、最大で350Pa、最大で400Pa、最大で450Pa、最大で500Pa、最大で550Pa、最大で600Pa、最大で650Pa、又は最大で700Paの粘性弾性率を呈する。本実施形態の更に他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば、約10Pa〜約30Pa、約10Pa〜約50Pa、約10Pa〜約100Pa、約10Pa〜約150Pa、約70Pa〜約100Pa、約50Pa〜約350Pa、約150Pa〜約450Pa、約250Pa〜約550Pa、約350Pa〜約700Pa、約50Pa〜約150Pa、約100Pa〜約200Pa、約150Pa〜約250Pa、約200Pa〜約300Pa、約250Pa〜約350Pa、約300Pa〜約400Pa、約350Pa〜約450Pa、約400Pa〜約500Pa、約450Pa〜約550Pa、約500Pa〜約600Pa、約550Pa〜約650Pa、又は約600Pa〜約700Paの粘性弾性率を呈する。
別の実施形態では、本明細書に開示されるコアセルベートHAヒドロゲル組成物は、tanδを呈する。本実施形態の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2.0、約2.1、約2.2、約2.3、約2.4、又は約2.5のtanδを呈する。本実施形態の他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば最大で0.1、最大で0.2、最大で0.3、最大で0.4、最大で0.5、最大で0.6、最大で0.7、最大で0.8、最大で0.9、最大で1.0、最大で1.1、最大で1.2、最大で1.3、最大で1.4、最大で1.5、最大で1.6、最大で1.7、最大で1.8、最大で1.9、最大で2.0、最大で2.1、最大で2.2、最大で2.3、最大で2.4、又は最大で2.5のtanδを呈する。本実施形態の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば、約0.1〜約0.3、約0.3〜約0.5、約0.5〜約0.8、約1.1〜約1.4、約1.4〜約1.7、約0.3〜約0.6、約0.1〜約0.5、約0.5〜約0.9、約0.1〜約0.6、約0.1〜約1.0、約0.5〜約1.5、約1.0〜約2.0、又は約1.5〜2.5のtanδを呈する。
本明細書に開示されるコアセルベートHAヒドロゲル組成物は、ヒドロゲルを粒子に粉砕し、任意に、例えば、例えば、水、生理食塩水(PBSを含む)、グリセロール及び/又は非架橋HAなどの薬学的に許容可能な担体などの担体相と混合して、溶液、油、ローション、ゲル、軟膏、クリーム、スラリー、膏薬、又はペーストのような注射可能又は局所性物質を形成することによって、更に加工されてもよい。したがって、開示されるコアセルベートHAヒドロゲル組成物は、一相又は多相組成物であってもよい。コアセベートHAヒドロゲルは、直径約10μm〜約1000μm、例えば、約15μm〜約30μm、約50μm〜約75μm、約100μm〜約150μm、約200μm〜約300μm、約450μm〜約550μm、約600μm〜約700μm、約750μm〜約850μm、又は約900μm〜約1,000μmの粒径まで粉砕され得る。粒子は、微細多孔質スクリーンを通して均質化又はサイズ決定することによって更に加工されてもよい。
本明細書の態様は、一部には、注入可能である本明細書に開示される組成物を提供する。本明細書で使用される場合、用語「注入可能」とは、微細針などの針を備えた注入装置を使用して、個体の皮膚又は他の軟組織に組成物を投与するのに必要な特性を有する材料を指す。本明細書で使用される場合、用語「微細針」は、27ゲージ以上の針を指す(より高いゲージは、より小さい外径を示す)。本明細書に開示される組成物の注入性は、上述のようにヒドロゲル粒子をサイズ決定することによって達成することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物の注入性は、微細多孔質スクリーンを通して均質化又はサイズ決定することによって、ヒドロゲルを更に加工することなく達成することができる。
本実施形態の態様では、本明細書に開示されるコアセルベートHAヒドロゲル組成物は、微細針を通して注入可能である。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物は、例えば、18ゲージ、19ゲージ、20ゲージ、21ゲージ、22ゲージ、23ゲージ、24ゲージ、25ゲージ、26ゲージ、27ゲージ、28ゲージ、29ゲージ、30ゲージ、31ゲージ、又は32ゲージの針を通して注入可能である。本実施形態の更に他の態様では、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物は、例えば、少なくとも21ゲージ、少なくとも25ゲージ、少なくとも27ゲージ、少なくとも30ゲージ、又は少なくとも32ゲージの針を通して注入可能である。本実施形態の更に他の態様では、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物は、例えば、18ゲージ〜35ゲージ、18ゲージ〜25ゲージ、21ゲージ〜35ゲージ、21ゲージ〜34ゲージ、21ゲージ〜33ゲージ、21ゲージ〜32ゲージ、21ゲージ〜27ゲージ、又は27ゲージ〜32ゲージの針を通して注入可能である。
本実施形態の態様では、本明細書に開示されるコアセルベートHAヒドロゲル組成物は、100mm/分の速度で、約60N、約55N、約50N、約45N、約40N、約35N、約30N、約25N、約20N、又は約15Nの押出力で注入することができる。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物は、約60N以下、約55N以下、約50N以下、約45N以下、約40N以下、約35N以下、約30N以下、約25N以下、約20N以下、約15N以下、約10N以下、又は約5N以下の押出力で、27ゲージ針を通して注入することができる。本実施形態の更に他の態様では、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物は、約60N以下、約55N以下、約50N以下、約45N以下、約40N以下、約35N以下、約30N以下、約25N以下、約20N以下、約15N以下、約10N以下、又は約5N以下の押出力で、30ゲージ針を通して注入することができる。本実施形態の更に他の態様では、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物は、約60N以下、約55N以下、約50N以下、約45N以下、約40N以下、約35N以下、約30N以下、約25N以下、約20N以下、約15N以下、約10N以下、又は約5N以下の押出力で、32ゲージ針を通して注入することができる。
本明細書の態様は、一部には、凝集性を呈する本明細書に開示されるヒドロゲル組成物を提供する。凝集力(cohesive attraction)、凝集力(cohesive force)、又は圧縮力とも呼ばれる凝集性は、分子を一体化させるように作用する材料内の同様の分子間の分子間引力によって引き起こされる材料の物理的特性である。凝集性は、重量グラム(gmf)の観点から表される。凝集は、他の要因の中でも、初期遊離HA多糖類の分子量比、HA多糖類の架橋度、架橋後の残留遊離HA多糖類の量、及びヒドロゲル組成物のpHによって影響を受ける。組成物は、投与部位に局在したままであるように十分に凝集性であるべきである。加えて、特定の用途では、機械的負荷サイクルの場合には、組成物がその形状、したがって機能性を保持するために、十分な凝集性が重要である。このように、一実施形態では、本明細書に開示されるコアセルベートHAヒドロゲル組成物は、水と同等の凝集性を示す。更に別の実施形態では、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物は、投与部位に局在したままであるのに十分な凝集性を呈する。更に別の実施形態では、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物は、その形状を保持するのに十分な凝集性を呈する。更に別の実施形態では、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物は、その形状及び機能性を保持するのに十分な凝集性を呈する。
本明細書の態様は、一部には、生理学的に許容可能な浸透圧オスモル濃度を呈する、本明細書に開示されるコアセルベートHAヒドロゲル組成物を提供する。本明細書で使用される場合、用語「浸透圧オスモル濃度」は、溶液中の浸透圧活性溶質の濃度を指す。本明細書で使用される場合、用語「生理学的に許容可能な浸透圧オスモル濃度」は、生物の正常な機能に応じて、又はそれに特徴的な浸透圧を指す。したがって、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物の投与は、哺乳動物に投与されるとき、長期的又は永久的な有害な効果を実質的に有さない浸透圧オスモル濃度を呈する。浸透圧オスモル濃度は、溶媒1リットル当たり浸透圧活性溶質のオスモル(Osmol/L又はOsm/L)の観点から表される。浸透圧オスモル濃度は、溶質のモルではなく、浸透圧活性溶質粒子のモルを測定するため、モル濃度とは異なる。一部の化合物が溶液中で解離し得る一方で、他の化合物が解離することはできないために、この区別が生じる。溶液の浸透圧オスモル濃度は、以下の式から計算することができる:Osmol/L=Σφi ηi Ci(式中、φは浸透圧係数であり、溶液の非理想度を考慮するものであり、ηは分子が解離する粒子(例えば、イオン)の数であり、Cは溶質のモル濃度であり、iは特定の溶質の同一性を表す指数である)。本明細書に開示されるヒドロゲル組成物の浸透圧オスモル濃度は、溶液を測定する従来の方法を使用して測定することができる。
一実施形態では、本明細書に開示されるコアセルベートHAヒドロゲルのヒドロゲル組成物は、生理学的に許容可能な浸透圧オスモル濃度を呈する。本実施形態の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば、約100mOsm/L、約150mOsm/L、約200mOsm/L、約250mOsm/L、約300mOsm/L、約350mOsm/L、約400mOsm/L、約450mOsm/L、又は約500mOsm/Lの浸透圧オスモル濃度を呈する。本実施形態の他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば、少なくとも100mOsm/L、少なくとも150mOsm/L、少なくとも200mOsm/L、少なくとも250mOsm/L、少なくとも300mOsm/L、少なくとも350mOsm/L、少なくとも400mOsm/L、少なくとも450mOsm/L、又は少なくとも500mOsm/Lの浸透圧オスモル濃度を呈する。本実施形態の更に他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば、最大で100mOsm/L、最大で150mOsm/L、最大で200mOsm/L、最大で250mOsm/L、最大で300mOsm/L、最大で350mOsm/L、最大で400mOsm/L、最大で450mOsm/L、又は最大で500mOsm/Lの浸透圧オスモル濃度を呈する。本実施形態の更に他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば、約100mOsm/L〜約500mOsm/L、約200mOsm/L〜約500mOsm/L、約200mOsm/L〜約400mOsm/L、約300mOsm/L〜約400mOsm/L、約270mOsm/L〜約390mOsm/L、約225mOsm/L〜約350mOsm/L、約250mOsm/L〜約325mOsm/L、約275mOsm/L〜約300mOsm/L、又は約285mOsm/L〜約290mOsm/Lの浸透圧オスモル濃度を呈する。
本発明の態様は、一部には、実質的な安定性を呈する本明細書に開示されるコアセルベートHAヒドロゲル組成物を提供する。本明細書で使用される場合、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物に言及するとき、用語「安定性」又は「安定した」は、個体への投与前に保管されている間、いずれか実質的な又は有意な程度まで劣化、分解、又は破壊しにくい組成物を指す。本明細書で使用される場合、用語「実質的な熱安定性」、「実質的に熱安定性」、「オートクレーブ安定性」、又は「蒸気滅菌安定性」という用語は、本明細書に開示される熱処理を受けたときに実質的に安定である、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物を指す。
本明細書に開示されるヒドロゲル組成物の安定性(本明細書に開示される任意の薬剤又は添加剤を更に含むヒドロゲル組成物を含む)は、ヒドロゲル組成物を、例えば、常圧又は圧力下(例えば、オートクレーブ)下で蒸気滅菌などの熱処理に供することによって決定することができる。好ましくは、熱処理は、少なくとも約100℃の温度で約1分〜約10分間実行される。本明細書に開示されるヒドロゲル組成物の実質的な安定性は、1)滅菌後に本明細書に開示されるヒドロゲル組成物の押出力の変化(ΔF)を判定することによって(2N未満の押出力の変化が、(特定の薬剤及び/又は添加剤を含むヒドロゲル組成物の押出力)−(添加された薬剤及び/又は添加剤を含まないヒドロゲル組成物の押出力)によって測定される、実質的に安定なヒドロゲル組成物を示す)、及び/又は2)滅菌後に本明細書に開示されるヒドロゲル組成物のレオロジー特性の変化を判定することによって(0.1未満のtanδ 1Hzの変化が、(薬剤及び/又は添加剤を含むゲル製剤のtanδ 1Hz)−(薬剤及び/又は添加剤を含まないゲル製剤のtanδ 1Hz)によって測定される、実質的に安定なヒドロゲル組成物を示す)、評価することができる。したがって、本明細書に開示される実質的に安定なヒドロゲル組成物は、滅菌後に以下の特性:均質性、押出力、凝集性、アニオン性HA濃度、カチオン性多糖類濃度、薬剤若しくは添加剤濃度、浸透圧オスモル濃度、pH、又は熱処理前にヒドロゲルによって所望される他のレオロジー特性のうちの1つ以上を保持する。
一実施形態では、本明細書に開示されるコアセルベートHAヒドロゲルは、本明細書に開示される所望のヒドロゲル特性を維持する熱処理を用いて加工される。本実施形態の態様では、本明細書に開示されるコアセルベートHAヒドロゲルは、例えば、約100℃、約105℃、約110℃、約115℃、約120℃、約125℃、又は約130℃の熱処理を用いて加工される。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されるコアセルベートHAヒドロゲルは、例えば、少なくとも100℃、少なくとも105℃、少なくとも110℃、少なくとも115℃、少なくとも120℃、少なくとも125℃、又は少なくとも130℃の熱処理を用いて加工される。本実施形態の更に他の態様では、本明細書に開示されるコアセルベートHAヒドロゲルは、例えば、約100℃〜約120℃、約100℃〜約125℃、約100℃〜約130℃、約100℃〜約135℃、約110℃〜約120℃、約110℃〜約125℃、約110℃〜約130℃、約110℃〜約135℃、約120℃〜約125℃、約120℃〜約130℃、約120℃〜約135℃、約125℃〜約130℃、又は約125℃〜約135℃の熱処理を用いて加工される。
本明細書に開示されるヒドロゲル組成物の長期安定性は、コアセルベートHAヒドロゲルを、例えば、約45℃の環境で約60日間保管するなどの熱処理に供することによって決定することができる。本明細書に開示されるコアセルベートHAヒドロゲルの長期安定性は、1)45℃の熱処理後のヒドロゲル組成物の透明度及び色を評価することによって(透明かつ無色のヒドロゲル組成物が、実質的に安定なヒドロゲル組成物を示す)、2)45℃の熱処理後に本明細書に開示されるコアセルベートHAヒドロゲルの押出力の変化(ΔF)を決定することによって(2N未満の押出力の変化が、(45℃の熱処理前のヒドロゲル組成物の押出力)−(45℃の熱処理後のヒドロゲル組成物の押出力)によって測定される、実質的に安定なコアセルベートHAヒドロゲル組成物を示す)、及び/又は3)滅菌後に本明細書に開示されるコアセルベートHAヒドロゲル組成物のレオロジー特性の変化を判定することによって(0.1未満のtanδ 1Hzの変化が、(45℃の熱処理前のゲル製剤のtanδ 1Hz)−(45℃の熱処理後のゲル製剤のtanδ 1Hz)によって測定される、実質的に安定なヒドロゲル組成物を示す)、評価することができる。したがって、本明細書に開示されるコアセルベートHAヒドロゲル組成物の長期安定性は、45℃の熱処理後の以下の特性:透明度(透明性及び半透明性)、均質性、及び凝集性のうちの1つ以上の保持によって評価される。
本実施形態の態様では、コアセルベートHAヒドロゲル組成物は、室温で、例えば、約3ヶ月間、約6ヶ月間、約9ヶ月間、約12ヶ月間、約15ヶ月間、約18ヶ月間、約21ヶ月間、約24ヶ月間、約27ヶ月間、約30ヶ月間、約33ヶ月間、又は約36ヶ月間、実質的に安定である。本実施形態の他の態様では、コアセルベートHAヒドロゲル組成物は、室温で、例えば、少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも9ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、少なくとも15ヶ月間、少なくとも18ヶ月間、少なくとも21ヶ月間、少なくとも24ヶ月間、少なくとも27ヶ月間、少なくとも30ヶ月間、少なくとも33ヶ月間、又は少なくとも36ヶ月間、実質的に安定である。本実施形態の他の態様では、コアセルベートHAヒドロゲル組成物は、室温で、例えば、約3ヶ月〜約12ヶ月間、約3ヶ月〜約18ヶ月間、約3ヶ月〜約24ヶ月間、約3ヶ月〜約30ヶ月間、約3ヶ月〜約36ヶ月間、約6ヶ月〜約12ヶ月間、約6ヶ月〜約18ヶ月間、約6ヶ月〜約24ヶ月間、約6ヶ月〜約30ヶ月間、約6ヶ月〜約36ヶ月間、約9ヶ月〜約12ヶ月間、約9ヶ月〜約18ヶ月間、約9ヶ月〜約24ヶ月間、約9ヶ月〜約30ヶ月間、約9ヶ月〜約36ヶ月、約12ヶ月〜約18ヶ月間、約12ヶ月〜約24ヶ月間、約12ヶ月〜約30ヶ月間、約12ヶ月〜約36ヶ月間、約18ヶ月〜約24ヶ月間、約18ヶ月〜約30ヶ月間、又は約18ヶ月〜約36ヶ月間、実質的に安定である。
本明細書の態様は、一部には、薬学的に許容可能な組成物である、本明細書に開示されるコアセルベートHAヒドロゲル組成物を提供する。本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容可能な」は、個体に投与されるとき、有害、アレルギー、又は他の有害又は不必要な反応を生じない任意の分子実体又は組成物を意味する。薬学的に許容可能なコアセルベートHAヒドロゲル組成物は、医学的及び獣医学的用途に有用である。薬学的に許容可能なコアセルベートHAヒドロゲル組成物は、単独で、又は他の補助活性成分、薬剤、薬物、若しくはホルモンと組み合わせて投与されてもよい。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能な」及び「生理学的に許容可能な」は、互換的に使用され得る。
本明細書の態様は、一部には、薬理学的に許容可能な賦形剤を含む、本明細書に開示されるコアセルベートHAヒドロゲル組成物を提供する。本明細書で使用される場合、用語「薬理学的に許容可能な賦形剤」は、「薬理学的賦形剤」又は「賦形剤」と同義であり、哺乳動物に投与されたときに実質的に長期的又は永久的な有害な効果を有さず、かつ例えば、安定剤、増量剤、抗凍結剤、抗凍結乾燥剤、添加剤、ビヒクル、担体、希釈剤、又は補助剤などの化合物を包含する、任意の賦形剤を指す。賦形剤は、一般に活性成分と混合され、又は活性成分を希釈又は封入する(enclose)ことが可能であり、固体、半固体、又は液体剤であり得る。本明細書に開示される薬学的組成物は、活性成分を薬学的に許容可能な組成物に加工するのを容易にする1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤を含み得ることも想定される。任意の薬理学的に許容可能な賦形剤が活性成分と不適合でない限り、薬学的に許容可能な組成物における賦形剤の使用が企図される。薬理学的に許容可能な賦形剤(担体を含む)の非限定的な例は、例えば、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(Howard C.Ansel et al.,eds.,Lippincott Williams & Wilkins Publishers,7th ed.1999)、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(Alfonso R.Gennaro ed.,Lippincott,Williams & Wilkins,20th ed.2000)、Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics(Joel G.Hardman et al.,eds.,McGraw−Hill Professional,10th ed.2001)、及びHandbook of Pharmaceutical Excipients(Raymond C.Rowe et al.,APhA Publications,4th edition 2003)に見出すことができ、それらの各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書で使用される場合、「担体」及び「許容可能な担体」は、互換的に使用されてもよく、所望の組成物を提供するために、本明細書に開示されるヒドロゲルと組み合わされ得るキャリアを指す。当業者であれば、特定の化粧料組成物を製造するために周知である多数の担体を認識するであろう。生理学的及び/又は薬学的に許容可能な担体としては、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)などの生理食塩水溶液、グリセロール、及び非架橋HAが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に開示されるコアセルベートHAヒドロゲル組成物は、限定するものではないが、他の薬学的に許容可能な成分を任意選択で含むことができることが更に企図され、これらの成分としては、緩衝液、担体、防腐剤、等張化調整剤、塩、酸化防止剤、浸透圧調節剤、乳化剤、湿潤剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
薬学的に許容される緩衝液は、得られる調製物が薬学的に許容可能である限り、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物を調製するために使用することができる緩衝液である。薬学的に許容可能な緩衝液の非限定的な例としては、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、クエン酸緩衝液、中性緩衝生理食塩水、リン酸緩衝液、及びリン酸緩衝生理食塩水が挙げられる。生理学的に許容可能な緩衝液の濃度の非限定的な例は、約0.1mM〜約900mMの範囲内で生じる。得られる調製物が薬学的に許容可能である限り、薬学的に許容される緩衝液のpHを調整することができる。酸又は塩基を使用して、必要に応じて医薬組成物のpHを調整できることが理解される。生理学的に許容可能なpHの非限定的な例は、約pH5.0〜約pH8.5の範囲内で生じる。例えば、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物のpHは、約5.0〜約8.0、又は約6.5〜約7.5、約7.0〜約7.4、又は約7.1〜約7.3であり得る。
薬学的に許容可能な防腐剤としては、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチル化ヒドロキシアニソール、及びブチル化ヒドロキシトルエンが挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容される防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、安定化されたオキシクロロ組成物、例えば、PURITE(登録商標)(Allergan,Inc.Irvine,CA)、及びキレート剤、例えば、DTPA又はDTPA−ビスアミド、カルシウムDTPA、及びCaNaDTPA−ビスアミドなどが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に開示されるコアセルベートHAヒドロゲル組成物において有用な薬学的に許容可能な等張化調整剤としては、例えば、塩化ナトリウム及び塩化カリウムなどの塩、並びにグリセリンが挙げられるが、これらに限定されない。組成物は塩として提供されてもよく、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などを含むがこれらに限定されない多くの酸で形成することができる。塩は、対応する遊離塩基形態よりも、水性又は他のプロトン性溶媒に、より可溶性である傾向がある。薬理学の当該技術分野において既知のこれら及び他の物質は、本明細書に開示される医薬組成物中に含まれ得ることが理解される。薬理学的に許容可能な成分の他の非限定的な例は、例えば、上記のAnsel,(1999)、上記のGennaro,(2000)、上記のHardman,(2001)、及び上記のRowe,(2003)に見出すことができ、これらの各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本発明は、コアセルベートHAヒドロゲルを調製する一般的な方法を更に提供する。いくつかの実施形態では、本方法は、アニオン性HAイオンとカチオン性多糖類イオンとの間のイオン結合相互作用を含む錯体を形成することを含む。
本発明はまた、異なるレオロジープロファイルを有するコアセルベートHAヒドロゲルを調製する方法を提供し、これらは、それぞれアニオン性HA多糖類及びカチオン性多糖類のそれぞれのアニオン及び/又はカチオンの数、同一性、及び/又はpKa値(複数可)に基づいて形成され得る。
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、非架橋アニオン性HAとカチオン性多糖類との間のイオン性相互作用によって形成され、アニオンを有するアニオン性HAとしては、カルボキシレート、スルホネート、及び/又はホスホネートが挙げられるがこれらに限定されず、カチオンを有するカチオン性多糖類としては、一級アンモニウム、四級アンモニウム及び/又はグアニジニウムが挙げられるが、これらに限定されない。
他の実施形態では、ヒドロゲルは、架橋アニオン性HAとカチオン性多糖類との間のイオン性相互作用によって形成され、アニオンを有するアニオン性HAとしては、カルボキシレート、スルホネート、及び/又はホスホネートが挙げられるがこれらに限定されず、カチオンを有するカチオン性多糖類としては、一級アンモニウム、四級アンモニウム及び/又はグアニジニウムが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、カチオン性多糖類は、架橋アニオン性HAゲルの凝集性を改善するための凝集剤として機能する。
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ホモアニオン性HAとホモカチオン性多糖類との間のイオン性錯体を形成することによって調製される。いくつかの実施形態では、ホモアニオン性HAは、HAである。いくつかの実施形態では、ホモカチオン性多糖類は、カチオン性HAである。いくつかの実施形態では、ホモカチオン性多糖類は、キトサンである。更なる実施形態では、ホモカチオン性多糖類は、トリメチルキトサンである。
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ホモアニオン性HAとヘテロカチオン性多糖類との間のイオン性錯体を形成することによって調製される。いくつかの実施形態では、ホモアニオン性HAは、HAである。
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヘテロアニオン性HAとホモカチオン性多糖類との間のイオン性錯体を形成することによって調製される。いくつかの実施形態では、ホモカチオン性HAは、カチオン性HAである。他の実施形態では、ホモカチオン性多糖類は、キトサンである。更なる実施形態では、ホモカチオン性多糖類は、トリメチルキトサンである。
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヘテロアニオン性HAとヘテロカチオン性多糖類との間のイオン性錯体を形成することによって調製される。
本発明のヒドロゲルを形成する方法の非限定的な実施形態は、アニオン性多糖類とカチオン性多糖類との間のイオン性錯体を形成することを含み、アニオン性多糖類は、表1のアニオン性多糖類の実施形態から選択され、カチオン性多糖類は、表1のカチオン性多糖類の実施形態から選択され、アニオン性多糖類とカチオン性多糖類との組み合わせに関して限定されるものではない。
一実施形態では、非架橋HA及び非架橋カチオン性HAを含むヒドロゲルを調製する方法が提供され、この方法は、例えば、リン酸緩衝生理食塩水にそれぞれを溶解させることによって、各多糖類を別々に水和させることと、続いて、水和HAと水和カチオン性HAとを、コアセルベートゲルが達成されるまで、例えば約1:20〜約20:1の可変電荷比で混合すること、とを含む。必要に応じて、過剰な水を除去するために、遠心分離が適用される。
別の実施形態では、架橋HAと、グアニジニウムカチオン基を含有する非架橋カチオン性HAなどの非架橋カチオン性多糖類とを含むヒドロゲルを調製する方法が提供され、この方法は、架橋HAを、緩衝液(例えば、pH7.5のPBS緩衝液)中にグアニジニウムカチオン性基を含有する1重量%の非架橋カチオン性HAと、コアセルベートゲルが達成されるまで、約1:10〜約50:1の可変電荷比(−COOH/グアニジニウム)で混合することを含む。
別の実施形態では、架橋HA及びキトサンを含むヒドロゲルを調製する方法が提供され、この方法は、水和された架橋HA(すなわち、JUPなどのHAゲル)を提供することと、高純度キトサン(HPC)を提供することと、HPCを酸性水溶液に溶解することと、任意に、HPCを酸性水溶液中で蒸気滅菌し、得られた溶液を水で希釈すること(例えば、0.4mg/mL〜1.9mg/mLの範囲のHPC濃度を達成するため)と、希釈HPC溶液を水和した架橋HAと混合して、架橋HA及びキトサンを含むコアセルベートヒドロゲルを得ることと、を含む。
他の態様では、本発明のヒドロゲルは、約0.01〜約1モル当量のカチオン性多糖類を、約1モル当量のアニオン性多糖類と組み合わせることによって調製される。更なる態様では、約0.02〜約0.5モル当量のカチオン性多糖類を、1モル当量のアニオン性多糖類と組み合わせる。更に他の態様では、約0.04〜約0.2モル当量のカチオン性多糖類を、約1モル当量のアニオン性多糖類と組み合わせる。好ましくは、アニオン性多糖類は、HAである。より好ましくは、アニオン性多糖類は架橋HAであり、かつカチオン性多糖類はキトサンである。
本明細書の態様は、一部には、本明細書に開示される皮膚充填剤組成物を投与することによって、個体の軟組織状態を処置する方法を提供する。
本明細書で使用される場合、「軟組織」は、身体の他の構造又は器官を取り囲む、支持する、又は接続する組織を指す。軟組織の非限定的な例としては、皮膚、繊維性組織、脂肪、筋膜、腱、靱帯、及び滑膜などの結合組織が挙げられる。軟組織はまた、神経、筋肉、及び血管などの非結合組織を含んでもよい。
本明細書で使用される場合、用語「処置する」は、軟組織を増強すること、軟組織の質を改善すること、若しくは軟組織欠損を低減すること、又は軟組織の不完全性及び/若しくは欠損によって特徴付けられる軟組織状態の個々の美容症状を低減若しくは排除すること、又は軟組織の不完全性及び/若しくは欠損によって特徴付けられる状態の個々の美容症状の発症を遅延若しくは防止することを指す。例えば、用語「処置する」は、軟組織欠損によって特徴付けられる状態の症状を、例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも100%低減することを意味し得る。軟組織の質及び/又は欠損によって特徴付けられる状態を処置する際の、本明細書に開示される皮膚充填剤組成物の有効性は、その状態に関連する1つ以上の美観及び/又は生理学的指標を観察することによって決定することができる。軟組織増強の有効性、又は軟組織の質及び/若しくは欠損障害の改善もまた、同時療法の必要性の低減によって示され得る。当業者は、特定の軟組織欠損に関連する適切な症状又は指標を知ることになり、個体が本明細書に開示される組成物による処置の候補であるかどうかを判定する方法を知るであろう。
特定の態様では、本方法は、コアセルベートHAヒドロゲルを含む本発明の皮膚充填剤を、約1mm以下の深さで対象の軟組織又は皮膚に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約0.8mm以下、約0.6mm以下、又は約0.4mm以下の深さで表面的に注入される。
別の態様では、本発明は、対象の顔を含む対象の美的外観を改善する方法を提供する。本方法は、一般に、コアセルベートHAヒドロゲルを含む皮膚充填剤を、対象の顔などの対象の軟組織又は皮膚に投与する工程を含む。特定の態様では、本方法は、一般に、コアセルベートHAヒドロゲルを含む本発明の皮膚充填剤を、約1mm以下の深さで、対象の真皮領域などの皮膚領域に、例えば対象の顔に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約0.8mm以下、約0.6mm以下、又は約0.4mm以下の深さで表面的に注入される。
ヒドロゲル組成物は、個体に投与される。本明細書において対象又は患者とも呼ばれる個体は、典型的には、任意の年齢、性別、又は人種のヒトである。典型的には、軟組織状態を処置するための従来の手順の候補である任意の個体は、本明細書に開示される方法の候補である。老化皮膚の徴候を経験している対象は成人であるが、処置に好適な早期老化又は他の皮膚状態(例えば、瘢痕)を経験している対象は、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物で処置することもできる。加えて、本開示のヒドロゲル組成物及び方法は、既存の軟組織インプラント技術で技術的に不可能又は審美的に許容され得ない、身体部分又は領域の小/中程度の拡大、形状変化、又は輪郭変化を求める個人に適用することができる。術前評価は、典型的には、手順の全ての関連するリスク及び利益を開示する徹底したインフォームドコンセントに加えて、定期的な病歴聴取及び身体的検査を含む。
本明細書に開示されるヒドロゲル組成物及び方法は、軟組織状態の処置に有用である。軟組織の状態としては、軟組織の不完全性及び/又は欠損が挙げられるが、これらに限定されない。軟組織の状態の非限定的な例としては、顔の不完全性及び/又は欠損、例えば、顔の増強、顔の再建、メソセラピー、パーリー−ロバーグ症候群、深在性エリテマトーデス、真皮の窪み(dermal divot)、瘢痕、こけた頬、薄い唇、鼻の不完全性又は欠損、後眼窩の不完全性又は欠損、眉間のしわ、ほうれい線、口周囲の線、及び/又はマリオネットライン、並びに/又は顔の他の輪郭奇形若しくは不完全性のような顔面ひだ、線、及び/又はしわ、首の不完全性及び/又は欠損、皮膚の不完全性及び/又は欠損、例えば、上腕、下腕、手、肩、背、腹部を含む胴体、臀部、上脚、ふくらはぎを含む下脚、足底脂肪パッドを含む足、目、生殖器、又は他の身体部分、領域、若しくはエリアの増強又は再建などの他の軟組織の不完全性及び/又は欠損が挙げられる。本明細書で使用される場合、用語「メソセラピー」は、表皮、真皮表皮接合部、及び/又は真皮内への小さな複数の液滴として投与される薬剤の、表皮内、真皮内、及び/又は皮下注射を伴う、皮膚の非外科的美容処置技術を指す。
本明細書に開示される方法のいずれかと共に使用されるヒドロゲル組成物の量は、典型的には、所望の変更及び/又は改善、所望の軟組織状態症状の低減及び/又は排除、個人及び/又は医師によって所望される効果、並びに処置される身体部分又は領域に基づいて決定されるであろう。組成物の投与の有効性は、以下の尺度:変更及び/又は改善された軟組織の形状、変更及び/又は改善された軟組織のサイズ、変更及び/又は改善された軟組織の輪郭、変更及び/又は改善された組織機能、向上した患者満足度及び/又は生活の質、並びに植え込み可能な異物の使用の低下のうちの1つ以上によって顕在化され得る。
別の例として、顔面軟組織を処置する際の組成物及び方法の有効性は、以下の尺度:唇、頬、又は目の領域のサイズ、形状、及び/又は輪郭の増加のような顔面特徴の増加したサイズ、形状、及び/又は輪郭、変更された唇、頬、又は目の領域のサイズ、形状、及び/又は輪郭のような顔面特徴の変更されたサイズ、形状、及び/又は輪郭、皮膚におけるしわ、ひだ、又は線の低減若しくは排除、皮膚におけるしわ、ひだ、又は線に対する抵抗、皮膚の再水和、皮膚への弾力性の向上、皮膚粗さの低減又は排除、皮膚の張りの向上及び/又は改善、ストレッチライン又はマークの低減又は排除、皮膚の色調、光沢、明るさ、及び/又は輝きの向上及び/又は改善、皮膚の色の向上及び/又は改善、皮膚蒼白の低減又は排除、患者満足度及び/又は生活の質の向上のうちの1つ以上によって顕在化され得る。
本実施形態の態様では、投与されるヒドロゲル組成物の量は、例えば、約0.01g、約0.05g、約0.1g、約0.5g、約1g、約5g、約10g、約20g、約30g、約40g、約50g、約60g、約70g、約80g、約90g、約100g、約150g、又は約200gである。本実施形態の他の態様では、投与されるヒドロゲル組成物の量は、例えば、約0.01g〜約0.1g、約0.1g〜約1g、約1g〜約10g、約10g〜約100g、又は約50g〜約200gである。本実施形態の更に他の態様では、投与されるヒドロゲル組成物の量は、例えば、約0.01mL、約0.05mL、約0.1mL、約0.5mL、約1mL、約5mL、約10mL、約15mL、約20mL、約30mL、約40mL、約50mL、約60mL、約70g、約80mL、約90mL、約100mL、約150mL、又は約200mLである。本実施形態の他の態様では、投与されるヒドロゲル組成物の量は、例えば、約0.01mL〜約0.1mL、約0.1mL〜約1mL、約1mL〜約10mL、約1mL〜約20mL、約10mL〜約100mL、又は約50mL〜約200mLである。
処置の持続時間は、典型的には、個体及び/又は医師によって所望される効果、並びに処置される身体部分又は領域に基づいて決定されるであろう。本実施形態の態様では、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物の投与は、例えば、約6ヶ月間、約7ヶ月間、約8ヶ月間、約9ヶ月間、約10ヶ月間、約11ヶ月間、約12ヶ月間、約13ヶ月間、約14ヶ月間、約15ヶ月間、約18ヶ月間、又は約24ヶ月間、軟組織状態を処置し得る。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物の投与は、例えば、少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約7ヶ月間、少なくとも約8ヶ月間、少なくとも約9ヶ月間、少なくとも約10ヶ月間、少なくとも約11ヶ月間、少なくとも約12ヶ月間、少なくとも約13ヶ月間、少なくとも約14ヶ月間、少なくとも約15ヶ月間、少なくとも約18ヶ月間、又は少なくとも約24ヶ月間、軟組織状態を処置し得る。本実施形態の更なる態様では、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物の投与は、例えば、約6ヶ月〜約12ヶ月間、約6ヶ月〜約15ヶ月間、約6ヶ月〜約18ヶ月間、約6ヶ月〜約21ヶ月間、約6ヶ月〜約24ヶ月間、約9ヶ月〜約12ヶ月間、約9ヶ月〜約15ヶ月間、約9ヶ月〜約18ヶ月間、約9ヶ月〜約21ヶ月間、約6ヶ月〜約24ヶ月間、約12ヶ月〜約15ヶ月間、約12ヶ月〜約18ヶ月間、約12ヶ月〜約21ヶ月間、約12ヶ月〜約24ヶ月間、約15ヶ月〜約18ヶ月間、約15ヶ月〜約21ヶ月間、約15ヶ月〜約24ヶ月間、約18ヶ月〜約21ヶ月間、約18ヶ月〜約24ヶ月間、又は約21ヶ月〜約24ヶ月間、軟組織状態を処置し得る。
本明細書の態様は、一部には、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物の投与を提供する。本明細書で使用される場合、用語「投与する」は、本明細書に開示される組成物を、潜在的に有益な結果をもたらす個体に提供する任意の送達機構を意味する。組成物を個体に投与するために使用される実際の送達機構は、状態の種類、状態の位置、状態の原因、状態の重篤度、所望される利益の程度、所望される利益の持続時間、使用される特定の組成物、使用される特定の組成物の生分解速度、使用される特定の組成物に含まれる他の薬剤の性質、特定の投与経路、例えば年齢、体重、全身健康などの個体の特定の特性、履歴、及び危険因子、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない因子を考慮することによって、当業者により決定することができる。本実施形態の一態様では、本明細書に開示される組成物は、注射によって個体の軟組織又は皮膚に投与される。
個々の患者へのヒドロゲル組成物の投与経路は、典型的には、個体及び/又は医師によって所望される化粧料効果、並びに処置される身体部分又は領域に基づいて決定されるであろう。本明細書に開示される組成物は、針を有する注射器、ピストル(例えば、ハイドロニューマチック圧縮ピストル)、又は直接外科的埋め込みによって、当業者に既知の任意の手段によって投与されてもよい。本明細書に開示されるヒドロゲル組成物は、例えば、真皮領域、皮下領域、又は更に深い領域などの軟組織又は皮膚に投与することができる。例えば、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物は、直径約0.26mm〜約0.4mm、及び長さ約4mm〜約14mmの範囲の針又はカニューレを利用して注入することができる。あるいは、針又はカニューレは、21〜32ゲージであり、長さ約4mm〜約70mmを有し得る。他の好適な針ゲージが本明細書に開示される。好ましくは、針は単回使用針である。針は、注射器、カテーテル、及び/又はピストルと組み合わせることができる。カニューレは、様々なサイズであってもよく、剛性又は可撓性のバージョンを含んでもよい。
加えて、本明細書に開示される組成物は、1回、又は複数回にわたって投与することができる。最終的に、使用されるタイミングは、品質管理基準に従う。例えば、本明細書に開示される皮膚充填剤組成物は、1回、又は数日若しくは数週間の間隔を置いた期間で数回にわたって投与することができる。例えば、個体は、1、2、3、4、5、6、若しくは7日毎に、又は1、2、3、若しくは4週間毎に、本明細書中に開示される皮膚充填剤組成物を投与され得る。本明細書に開示される皮膚充填剤組成物の個体への投与は、月に1回又は隔月ベースであり得るか、又は3、6、9、若しくは12ヶ月毎に投与され得る。
本明細書の態様は、一部には、皮膚に関連する。皮膚は、3つの主要な層:防水性を提供し、かつ感染に対する障壁として機能する表皮、皮膚の付属物のための場所として機能する真皮、及び皮下(皮下脂肪層)から構成される。表皮は、血管を含有せず、真皮からの拡散により栄養が提供される。表皮を構成する主な種類の細胞は、ケラチノサイト、メラノサイト、ランゲルハンス細胞、及びメルケル細胞である。皮膚は、「真皮領域」を含む。
本明細書の態様は、一部には、真皮領域に関連する。本明細書で使用される場合、用語「真皮領域」は、表皮−真皮接合部及び真皮を含む皮膚の領域を指す。表皮−真皮接合部は、表皮−真皮接着、真皮の機械的支持、及び接合部にわたる細胞及びいくつかの大きな分子の交換に対する障壁を提供する。真皮は、表在性真皮(乳頭領域)及び深い真皮(網様領域)を含む。
真皮は、結合組織からなる表皮の下の皮膚の層であり、ストレス及びひずみから身体を保護する。真皮は、基底膜によって表皮にしっかりと連結されている。これはまた、触覚及び温感を提供する多くの機械的受容体/神経終末も保有する。これは、毛嚢、汗腺、皮脂腺、アポクリン腺、リンパ管、及び血管を含有する。真皮内の血管は、それ自体の細胞、並びに表皮の基底層からの栄養及び廃棄除去を提供する。真皮は、2つの区域:乳頭領域と呼ばれる表皮に隣接する表在性区域と、網様領域として知られる深くて厚い区域とに構造的に分割される。
乳頭領域は、疎な輪状結合組織から構成される。これは表皮に向かって延在する、乳頭と呼ばれる指状突起にちなんで命名されている。乳頭は、表皮と相互嵌合する「隆起」表面を有する真皮を提供し、皮膚の2つの層の間の接続を強化する。網様領域は、乳頭領域内に深く位置し、通常ははるかに厚くなる。これは、密な不規則な結合組織から構成され、その全体を作り上げる密な濃度のコラーゲン繊維、弾性繊維、及び網様繊維からその名称が付けられている。これらのタンパク質繊維は、真皮に強度、伸張性、及び弾性のその特性を与える。また、網様領域内には、毛根、皮脂腺、汗腺、受容体、爪、及び血管が位置する。入れ墨は、真皮内に保持される。妊娠線も真皮内に位置する。
皮下組織は、真皮の下にある。その目的は、皮膚の真皮領域を下層の骨及び筋肉に付着させ、並びにそれを血管及び神経に供給することである。これは、疎な結合組織及びエラスチンからなる。主な細胞型は、線維芽細胞、マクロファージ、及び脂肪細胞である(皮下組織は、50%の体脂肪を含有する)。脂肪は、身体のパディング及び断熱として機能する。
本実施形態の一態様では、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物は、真皮領域又は皮下領域中に注入することによって、個体の皮膚に投与される。本実施形態の態様では、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物は、例えば、表皮−真皮接合領域、乳頭領域、網様領域、又はこれらの任意の組み合わせに注入することによって、個体の真皮領域に投与される。
本明細書の他の態様は、一部には、皮膚状態を処置する方法を開示し、方法は、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物を、処置を必要とする個体に投与する工程を含み、組成物の投与が、皮膚状態を改善し、それにり、皮膚状態を処置する。本明細書の他の態様では、皮膚脱水症の皮膚の状態を処置する方法は、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物を、皮膚脱水症を患う個体に投与する工程を含み、組成物の投与が、皮膚を再水和し、それにより、皮膚脱水症を処置する。本明細書の他の態様では、皮膚の弾力性の欠如を処置する方法は、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物を、皮膚の弾力性の欠如に苦しんでいる個体に投与する工程を含み、組成物の投与が、皮膚の弾力性を向上させ、それにより、皮膚弾力性の欠如を処置する。本明細書の更に別の態様では、皮膚粗さを処置する方法は、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物を、皮膚粗さに苦しんでいる個体に投与する工程を含み、組成物の投与が、皮膚粗さを低減させ、それにより、皮膚粗さを処置する。本明細書の更に別の態様では、皮膚の張りの欠如を処置する方法は、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物を、皮膚の張りの欠如に苦しんでいる個体に投与する工程を含み、組成物の投与が、皮膚により張りを持たせ、それにより、皮膚ストレッチライン又はマークを処置する。
本明細書の更なる態様では、皮膚のストレッチライン又はマークを処置する方法は、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物を、皮膚ストレッチライン又はマークに苦しんでいる個体に投与する工程を含み、組成物の投与が、皮膚ストレッチライン又はマークを低減するか、又は排除し、それによって皮膚弾力性の欠如を処置する。本明細書の別の態様では、皮膚蒼白を処置する方法は、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物を、皮膚蒼白に苦しんでいる個体に投与する工程を含み、組成物の投与が、皮膚の色調又は輝きを増大させ、それにより、皮膚蒼白を処置する。本明細書の別の態様では、皮膚のしわを処置する方法は、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物を、皮膚のしわに苦しんでいる個体に投与する工程を含み、組成物の投与が、皮膚のしわを低減するか、又は排除し、それにり、皮膚のしわを処置する。本明細書の更に別の態様では、皮膚のしわを処置する方法は、本明細書に開示されるヒドロゲル組成物を個体に投与する工程を含み、組成物の投与が、皮膚のしわに抵抗性を示す皮膚を形成し、それにより、皮膚のしわを処置する。本発明はまた、状態を処置する方法も提供し、方法は、本発明のコアセルベートHAヒドロゲルを投与することを含む。一実施形態では、しわの外観を低減する方法が提供される。別の実施形態では、軟組織顔面特徴を含む軟組織特徴をスカルプティングする方法が提供される。別の実施形態では、ヒドロゲルに隣接する組織に対して機械的圧力を印加する方法が提供される。他の実施形態では、投与されたヒドロゲルに隣接する組織に持ち上げ能力を提供する方法が提供される。
本発明は、コアセルベートHAヒドロゲルの使用も提供する。本発明のコアセルベートHAヒドロゲルの非限定的な使用としては、皮膚のボリュマイザーとしての使用、又は皮膚内若しくは皮膚の下の空隙を充填してしわの外観を低減する空間占有剤、又は軟組織の顔面特徴などの特定の軟組織特徴をスカルプティングすることが挙げられる。いくつかの実施形態では、本発明のコアセルベートHAヒドロゲルは、ヒドロゲルに隣接する組織に対して機械的圧力を印加するために使用される。他の実施形態では、本発明のコアセルベートHAヒドロゲルは、投与されたヒドロゲルに隣接する組織に持ち上げ能力を提供する。他の実施形態では、コアセルベートHAヒドロゲルは、化粧料又は他の薬剤を対象の組織に送達するために使用される。コアセルベートHAヒドロゲルを用いて送達される薬剤の非限定的な例としては、抗酸化剤、抗掻痒剤、抗セルライト剤、抗瘢痕化剤、抗炎症剤、麻酔剤、抗刺激剤、落屑剤、張り付与剤、抗にきび剤、皮膚美白剤、着色剤、色素沈着防止剤、保湿剤、及び/又はビタミンが挙げられる。
本発明の更なる非限定的な実施形態を、以下に記載する。
1.実施形態1では、ヒドロゲルを含む皮膚充填剤が提供され、ヒドロゲルが、
(a)アニオン性ヒアルロン酸(HA)多糖類と、
(b)カチオン性多糖類と、を含む。
2.実施形態2では、ヒドロゲルが、コアセルベートヒドロゲルである、実施形態1の皮膚充填剤が提供される。
3.実施形態3では、ヒドロゲルが、アニオン性多糖類とカチオン性多糖類との間の非共有結合性のイオン性錯体を含む、実施形態1又は2の皮膚充填剤が提供される。
4.実施形態4では、アニオン性HA多糖類が、非架橋アニオン性HA、架橋アニオン性HA、及びこれらの混合物から選択される、実施形態1、2、又は3の皮膚充填剤が提供される。
5.実施形態5では、アニオン性HA多糖類が、非架橋HA、架橋HA、及びこれらの混合物から選択される、実施形態1、2、3、又は4の皮膚充填剤が提供される。
6.実施形態6では、カチオン性多糖類が、非架橋カチオン性多糖類、架橋カチオン性多糖類、及びこれらの混合物から選択され、好ましくは、カチオン性多糖類が、架橋されていない、実施形態5の皮膚充填剤が提供される。
7.実施形態7では、カチオン性多糖類が、カチオン性HA、非架橋キトサン、及び非架橋トリメチルキトサンから選択される、実施形態1〜6のいずれか1つの皮膚充填剤が提供される。
8.実施形態8では、カチオン性多糖類が、非架橋キトサンである、実施形態1〜7のいずれか1つの皮膚充填剤が提供される。
9.実施形態9では、アニオン性多糖類が、架橋ヒアルロン酸である、実施形態1〜8のいずれか1つの皮膚充填剤が提供される。
10.実施形態10では、アニオン性HAが、架橋ヒアルロン酸であり、カチオン性多糖類が、非架橋キトサンである、実施形態1の皮膚充填剤が提供される。
11.実施形態11では、アニオン性HA多糖類とカチオン性多糖類とが、約1対1000、約1対100、約1対10、約1対9、約1対8、約1対7、約1対6、約1対5、約1対4、約1対3、約1対2、約1対1、約1対0.04、約1対0.1、約1対0.01、又は約1対0.001のモル比で存在し、好ましくは、皮膚充填剤が、約1モル当量のアニオン性多糖類と、約0.04〜約0.20モル当量のカチオン性多糖類とを含む、実施形態1〜10のいずれか1つの皮膚充填剤が提供され、。
12.実施形態12では、化粧剤を更に含む、実施形態1〜11のいずれか1つの皮膚充填剤が提供される。
13.実施形態13では、抗酸化剤、抗掻痒剤、抗セルライト剤、抗瘢痕化剤、麻酔剤、抗刺激剤、落屑剤、張り付与剤、抗にきび剤、皮膚美白剤、着色剤、色素沈着防止剤、保湿剤、ビタミン、及び前述のうちの1つ以上の任意の組み合わせから選択される薬剤を更に含む、実施形態1〜11のいずれか1つの皮膚充填剤が提供される。
14.実施形態14では、薬剤が、軟組織に皮膚充填剤を投与した後、少なくとも約3週間にわたって軟組織内に、及び/又は投与部位を取り囲む軟組織内に放出される、実施形態12又は13の皮膚充填剤が提供される。
15.実施形態15では、生理学的に許容可能な担体を更に含む、実施形態1〜14のいずれか1つの皮膚充填剤が提供される。
16.実施形態16では、担体が、リン酸緩衝生理食塩水又は非架橋HAである、実施形態15の皮膚充填剤が提供される。
17.実施形態17では、ヒドロゲルが、約50Pa〜約5,000Pa、約50Pa〜約3,000Pa、約50Pa〜約1000Pa、約50〜約500Pa、約50〜約400Pa、約50〜約300Pa、又は約100〜約300Pa、好ましくは、約30Pa〜約500Paの貯蔵弾性率(G’)を有する、実施形態1〜16のいずれか1つの皮膚充填剤が提供される。
18.実施形態18では、針を通して注入可能であり、針ゲージが、少なくとも18ゲージ、少なくとも21ゲージ、少なくとも23ゲージ、少なくとも25ゲージ、少なくとも27ゲージ、又は少なくとも30ゲージであり、好ましくは、少なくとも27ゲージである、実施形態1〜17のいずれか1つの皮膚充填剤が提供される。
19.実施形態19では、少なくとも約500PaのG’を有し、皮膚充填剤が、注入前に皮膚充填剤をサイズ決定又は均質化することなく、針を通して注入可能であり、針が、少なくとも27ゲージである、実施形態1〜18のいずれか1つの皮膚充填剤が提供される。
20.実施形態20では、約1モル当量のアニオン性多糖類と約0.01〜約1モル当量のカチオン性多糖類(例えば、1:0.01、1:0.02、1:0.04、1:0.06、1:0.08、1:0.10、1:0.15、1:0.20、1:0.40、1:0.60、1:0.80、又は1:1当量のカチオン性多糖類に対するアニオン性多糖類、又はこれらの間の任意の比率)とを含む、実施形態1〜3のいずれか1つの皮膚充填剤が提供される。
21.実施形態21では、約1モル当量のアニオン性多糖類と約0.02〜約0.5モル当量のカチオン性多糖類とを含む、実施形態1〜3のいずれか1つの皮膚充填剤が提供される。
22.実施形態22では、約1モル当量のアニオン性多糖類と約0.04〜約0.2モル当量のカチオン性多糖類(例えば、約1:0.04、約1:0.06、約1:0.08、約1:0.1、約1:0.15、約1:0.20、又はこれらの間の任意の比率)とを含む、実施形態1〜3のいずれか1つの皮膚充填剤が提供される。
23.実施形態23では、アニオン性多糖類が、架橋ヒアルロン酸であり、カチオン性多糖類が、非架橋キトサンである、実施形態20、21、又は22の皮膚充填剤が提供される。
24.実施形態24では、対象の軟組織(皮膚など)を処置する方法であって、方法が、実施形態1〜23のいずれか1つの皮膚充填剤を、対象の軟組織に注入することを含む、方法が提供される。
25.実施形態25では、軟組織が皮膚であり、方法が、実施形態1〜23のいずれか1つに記載の皮膚充填剤を、対象の皮膚の真皮領域に注入することを含む、実施形態24の方法が提供される。
26.実施形態26では、処置することが、対象の軟組織を増強すること、軟組織の質を改善すること、又は軟組織の欠損を低減することを含む、実施形態24又は25の方法が提供される。
27.実施形態27では、処置することが、対象の軟組織を整形すること、充填すること、体積を増やすこと、又はスカルプティングすることを含む、実施形態24〜26のいずれか1つの方法が提供される。
28.実施形態28では、処置することが、対象の皮膚ホメオスタシスを改善すること、皮膚の厚さを改善すること、創傷を治癒すること、又は瘢痕を低減することを含む、実施形態24〜27のいずれか1つの方法が提供される。
29.実施形態29では、欠損が、しわ、瘢痕、又は真皮組織の喪失である、実施形態26の方法が提供される。
30.実施形態30では、皮膚充填剤が、充填剤を対象の軟組織内に注入した後、少なくとも約3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、又は6ヶ月間、対象の軟組織(皮膚など)内に持続する、実施形態24〜29のいずれか1つの方法が提供される。
31.実施形態31では、皮膚充填剤が、充填剤を対象の真皮領域内に注入した後、少なくとも約3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、又は6ヶ月間、対象の真皮領域内に持続する、実施形態24〜29のいずれか1つの方法が提供される。
32.実施形態32では、処置することが、少なくとも約3ヶ月の期間、有効である、実施形態24〜31のいずれか1つの方法が提供される。
33.実施形態33では、軟組織が皮膚である、実施形態24〜32のいずれか1つの方法が提供される。
1a.実施形態1aでは、ヒアルロン酸(HA)ヒドロゲルを含む皮膚充填剤が提供され、ヒドロゲルが、
(a)アニオン性HA多糖類と、
(b)カチオン性多糖類と、を含み、
ヒドロゲルが、アニオン性HA多糖類とカチオン性多糖類との間の非共有結合性のイオン性錯体を含み、アニオン性HA多糖類及びカチオン性多糖類のそれぞれが、独立して架橋又は非架橋である、皮膚充填剤が提供される。
2a.実施形態2aでは、アニオン性HA多糖類が、ヒアルロン酸である、実施形態1aの皮膚充填剤が提供される。
3a.実施形態3aでは、アニオン性HA多糖類が、非架橋アニオン性HA、架橋アニオン性HA、及びこれらの混合物から選択される、実施形態1aの皮膚充填剤が提供される。
4a.実施形態4aでは、アニオン性HA多糖類が、非架橋HA、架橋HA、及びこれらの混合物から選択される、実施形態2aの皮膚充填剤が提供される。
6a.実施形態6aでは、カチオン性多糖類が、非架橋カチオン性多糖類、架橋カチオン性多糖類、及びこれらの混合物から選択され、好ましくは、カチオン性多糖類が、架橋されていない、実施形態5aの皮膚充填剤が提供される。
7a.実施形態7aでは、カチオン性多糖類が、カチオン性HA、非架橋キトサン、及び非架橋トリメチルキトサンから選択される、実施形態1a〜4aのいずれか1つの皮膚充填剤が提供される。
8a.実施形態8aでは、カチオン性多糖類が、それぞれが架橋されていない、キトサン及びトリメチルキトサンから選択される、実施形態7aの皮膚充填剤が提供される。
9a.実施形態9aでは、カチオン性多糖類が、非架橋キトサンである、実施形態1a〜4aのいずれか1つの皮膚充填剤が提供される。
10a.実施形態10aでは、アニオン性HAが、架橋ヒアルロン酸であり、カチオン性多糖類が、非架橋キトサンである、実施形態1aの皮膚充填剤が提供される。
11a.実施形態11aでは、アニオン性HA多糖類及びカチオン性多糖類が、約1対1000、約1対100、約1対10、約1対9、約1対8、約1対7、約1対6、約1対5、約1対4、約1対3、約1対2、約1対1、約1対0.1、約1対0.01、又は約1対0.001のモル比で存在し、好ましくは、皮膚充填剤が、約1モル当量のアニオン性多糖類に対する約0.04〜約0.20モル当量のカチオン性多糖類を含む、実施形態1a〜10aのいずれか1つの皮膚充填剤が提供される。
12a.実施形態12aでは、化粧剤を更に含む、実施形態1a〜11aのいずれか1つの皮膚充填剤が提供される。
13a.実施形態13aでは、抗酸化剤、抗掻痒剤、抗セルライト剤、抗瘢痕化剤、麻酔剤、抗刺激剤、落屑剤、張り付与剤、抗にきび剤、皮膚美白剤、着色剤、色素沈着防止剤、保湿剤、ビタミン、及び前述のうちの1つ以上の任意の組み合わせから選択される薬剤を更に含む、実施形態1a〜11aのいずれか1つの皮膚充填剤が提供される。
14a.実施形態14aでは、薬剤が、軟組織に皮膚充填剤を投与した後、少なくとも約3週間軟組織内に、及び/又は投与部位を取り囲む軟組織内に放出される、実施形態12a又は13aの皮膚充填剤が提供される。
15a.実施形態15aでは、生理学的に許容可能な担体を更に含む、実施形態1a〜14aのいずれか1つの皮膚充填剤が提供される。
16a.実施形態16aでは、担体が、リン酸緩衝生理食塩水又は非架橋HAである、実施形態15aの皮膚充填剤が提供される。
17a.実施形態17aでは、HAヒドロゲルが、約50Pa〜約5,000Pa、約50Pa〜約3,000Pa、約50Pa〜約1000Pa、約50〜約500Pa、約50〜約400Pa、約50〜約300Pa、又は約100〜約300Pa、好ましくは、約30Pa〜約500Paの貯蔵弾性率(G’)を有する、実施形態1a〜16aのいずれか1つの皮膚充填剤が提供される。
18a.実施形態18aでは、針を通して注入可能であり、針ゲージが、少なくとも18ゲージ、少なくとも21ゲージ、少なくとも23ゲージ、少なくとも25ゲージ、少なくとも27ゲージ、又は少なくとも30ゲージであり、好ましくは、少なくとも27ゲージである、実施形態1a〜17aのいずれか1つの皮膚充填剤が提供される。
19a.実施形態19aでは、少なくとも約500PaのG’を有し、皮膚充填剤が、注入前に皮膚充填剤をサイズ決定又は均質化することなく、針を通して注入可能であり、針が、少なくとも27ゲージである、実施形態1a〜18aのいずれか1つの皮膚充填剤が提供される。
20a.実施形態20aでは、対象の軟組織(皮膚など)を処置する方法であって、方法が、実施形態1a〜19aのいずれか1つの皮膚充填剤を、対象の軟組織に注入することを含む、方法が提供される。
21a.実施形態21aでは、軟組織が皮膚であり、方法が、実施形態1a〜19aのいずれか1つの皮膚充填剤を、対象の真皮領域に注入することを含む、実施形態20aの方法が提供される。
22a.実施形態22aでは、処置することが、対象の軟組織を増強すること、軟組織の質を改善すること、又は軟組織の欠損を低減することを含む、実施形態20a又は21aの方法が提供される。
23a.実施形態23aでは、処置することが、対象の軟組織を整形すること、充填すること、体積を増やすこと、又はスカルプティングすることを含む、実施形態20a〜22aのいずれか1つの方法が提供される。
24a.実施形態24aでは、処置することが、対象の皮膚ホメオスタシスを改善すること、皮膚の厚さを改善すること、創傷を治癒すること、又は瘢痕を低減することを含む、実施形態20a〜22aのいずれか1つの方法が提供される。
25a.実施形態25aでは、欠損が、しわ、瘢痕、又は真皮組織の喪失である、実施形態22aの方法が提供される。
26a.実施形態26aでは、皮膚充填剤が、充填剤を対象の軟組織内に注入した後、少なくとも約3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、又は6ヶ月間、対象の軟組織(皮膚など)内に持続する、実施形態20a〜25aのいずれか1つの方法が提供される。
27a.実施形態27aでは、皮膚充填剤が、充填剤を対象の真皮領域内に注入した後、少なくとも約3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、又は6ヶ月間、対象の真皮領域内に持続する、実施形態21a〜25aのいずれか1つの方法が提供される。
28a.実施形態28aでは、処置することが、少なくとも約3ヶ月の期間、有効である、実施形態20a〜27aのいずれか1つの方法が提供される。
29a.実施形態29aでは、軟組織が皮膚である、実施形態20a〜28aのいずれか1つの方法が提供される。
実施形態(I)では、前記ヒドロゲルが、アニオン性HA多糖類(a)とカチオン性多糖類(b)とからなるポリマー成分を含む、実施形態1〜23のいずれか1つの皮膚充填剤が提供される。
実施形態(Ia)では、ポリマー成分が、架橋ヒアルロン酸と非架橋カチオン性多糖類からなる、実施形態(I)の皮膚充填剤が提供される。
実施形態(Ib)では、非架橋カチオン性多糖類が、キトサンである、実施形態(Ia)の皮膚充填剤が提供される。
実施形態(II)では、前記ヒドロゲルが、アニオン性HA多糖類(a)とカチオン性多糖類(b)とからなるポリマー成分を含む、実施形態1a〜19aのいずれか1つの皮膚充填剤が提供される。
実施形態(IIa)では、ポリマー成分が、架橋ヒアルロン酸と非架橋カチオン性多糖類からなる、実施形態(II)の皮膚充填剤が提供される。
実施形態(IIb)では、非架橋カチオン性多糖類が、キトサンである、実施形態(IIa)の皮膚充填剤が提供される。
実施例1.皮膚充填剤として有用な本発明のヒドロゲルゲルを作製するための材料
A.非架橋HA。約50K〜約3,000,000ダルトンの分子量を有する非架橋HAは、HTL Biotechnology(France)から購入した。
B.架橋HA。架橋HAの供給源としては、Juvederm(登録商標)ブランドの皮膚充填剤、(Allergan,Inc.)、例えば、Juvederm(登録商標)Ultra Plus皮膚充填剤又はJuvederm(登録商標)Voluma皮膚充填剤などの市販のHAヒドロゲルが挙げられる。約500〜約1,000Paの貯蔵弾性率(G’)を有する研究グレードの架橋HAを使用することもできる。架橋HAを調製する方法は、Lebreton(米国特許出願公開第2010/0226988号、同第2008/0089918号、同第2010/0028438号、及び同第2006/0194758号、上記)、及びNjikang et al.(米国特許出願公開第2013/0096081号、上記)により記載されている。
C.カチオン性HA。カチオン性HAは、例えば、以下に示すように、本明細書に記載の手順に従って作製することができる。
スキーム3.HAへのアンモニウムカチオンの導入。HAは、EDCの存在下でHMDAと結合して、一級アンモニウムイオンを有するカチオン性HAを提供する。
Figure 2021072906
スキーム4.HAへのアンモニウムカチオンの導入。HAは、EDCの存在下でNε−BOC−リジン−メチルエステルと結合し、その後BOC保護基を除去して、一級アンモニウムイオンを有するカチオン性HAを提供する。
Figure 2021072906
スキーム5.HAへのグアニジニウムカチオンの導入。スキーム3に従って調製されたカチオン性HAを、1H−ピラゾール−1−カルボキサミジンと反応させて、グアニジニウムイオンを有するカチオン性HAを提供する。
Figure 2021072906
スキーム6.HAへのグアニジニウムカチオンの導入。スキーム4に従って調製されたカチオン性HAを、1H−ピラゾール−1−カルボキサミジンと反応させて、グアニジニウムイオンを有するカチオン性HAを提供する。
Figure 2021072906
(i)一級アンモニウムイオンを含む非架橋カチオン性HA。簡潔に述べると、15mLのシリンジ内で、約50mgの非架橋HA(MW:300〜800Kダルトン)及び14.4mgのヘキサメチレンジアミン(HMDA)をpH5.0のMES緩衝液中に溶解させる。次いで、5mLのpH5.0のMES緩衝液、23.9mgの1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩(EDC)及び14.3mgのN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を含有する別個の15mLのシリンジに添加する。2つのシリンジは、コネクタを介して互いに接続され、シリンジプランジャの反復的な差し込み/引き込みによって20回混合される。得られた混合物をバイアルに移し、約6時間静置させた後、20,000ダルトンの分画分子量を有する透析チューブを使用して、PBSに対する透析によって更に精製する。最終溶液は、乾燥粉末に凍結乾燥される。得られた非架橋HA(HA−HMDA)は、一級アミン官能基を有し、すなわち、非架橋HA−HMDAは、生理的pHで一級アンモニウム基を含む。
(ii)グアニジニウムイオンを含む非架橋カチオン性HA。非架橋HA−HMDA(上記で調製したもの)を、pH10のPBS緩衝液において、1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン塩酸塩と反応させる。簡潔に述べると、10mgの非架橋HA−HMDAを5mLのpH10のPBS緩衝液中で溶解させ、次いで、20mgの1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン塩酸塩を添加する。反応物を約5時間静置させる。得られた溶液を、20,000ダルトンの分画分子量有する透析チューブを使用して、pH7のPBS緩衝液に対して透析する。最終溶液は、乾燥粉末に凍結乾燥される。得られた非架橋カチオンHAは、グアニジニウム基を有する。
(iii)一級アンモニウムイオンを含む非架橋HA。約50mgの架橋HA(実施例1Bのように提供)及び14.4mgのHMDAを、pH5.0のMES緩衝液中で溶解させる。次いで、5mLのpH5.0のMES緩衝液、23.9mgのEDC、及び14.3mgのNHSを含有する別個の15mLのシリンジに添加する。2つのシリンジは、コネクタを介して互いに接続され、シリンジプランジャの反復的な差し込み/引き込みによって20回混合される。得られた混合物をバイアルに移し、約6時間静置させた後、20,000ダルトンの分画分子量を有する透析チューブを使用する透析によって更に精製する。最終溶液は、乾燥粉末に凍結乾燥される。得られた架橋HA−HMDAは、一級アミン官能基を有し、すなわち、架橋HA−HMDAは、生理的pHで一級アンモニウム基を保有する。
(iv)グアニジニウムイオンを含む架橋HA。架橋HA−HMDA(上記で調製したもの)を、pH10のPBS緩衝液において、1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン塩酸塩と反応させる。簡潔に述べると、10mgの架橋HA−HMDAを5mLのpH10のPBS緩衝液中で溶解させ、次いで、20mgの1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン塩酸塩を添加する。反応物を約5時間静置させる。得られた溶液を、pH7のPBS緩衝液に対して透析する。最終溶液は、乾燥粉末に凍結乾燥される。得られた架橋カチオンHAは、グアニジニウム基を保有する。
D.修飾アニオン性HA。
(i)ホスホン酸官能基で修飾された非架橋HA。材料は、EDC化学物質を使用して、非架橋HAをアミノホスホン酸と反応させることによって調製される。簡潔に述べると、15mLのシリンジ内で、約50mgの非架橋HA(MW:300〜800ダルトン)及び27.8mgのアミノメチルホスホン酸をpH5.0のMES緩衝液中に溶解させる。次いで、5mLのpH5.0のMES緩衝液、23.9mgのEDC、及び14.3mgのNHSを含有する別個の15mLのシリンジに添加する。2つのシリンジは、コネクタを介して互いに接続され、シリンジプランジャの反復的な差し込み/引き込みによって周りに約20回混合される。得られた混合物をバイアルに移し、約6時間静置させた後、20,000ダルトンの分画分子量を有する透析チューブを使用する透析によって更に精製する。最終溶液を乾燥粉末に凍結乾燥して、ホスホン酸基を含む非架橋アニオン性HAを提供する。
(ii)スルホン酸官能基で修飾された非架橋HA。材料は、実施例1D(i)に記載されるものと同様の手順を用いて、アミノホスホン酸の代わりにアミノスルファミン酸を用いて調製して、HAを官能化し、スルホン酸基を含む非架橋アニオン性HAを提供する。
(iii)ホスホン酸官能基で修飾された架橋HA。架橋HA(実施例Bのように提供される)を、実施例1D(i)に本質的に記載されるような条件下で、ホスホン酸官能基で修飾させて、ホスホン酸基を含む架橋HAを提供する。あるいは、実施例D(i)に記載されるように、ホスホン酸基で修飾された非架橋HAは、Lebreton(米国特許出願公開第2010/0226988号、同第2008/0089918号、同第2010/0028438号、及び同第2006/0194758号、上記)、及びNjikang et al.(上記)により記載されるようなHA架橋手順を用いて架橋され、ホスホン酸基を含む架橋HAを提供する。
(iv)スルホン酸官能基で修飾された非架橋HA。架橋HA(実施例1Bのように提供される)を、実施例1D(ii)に本質的に記載されるような条件下においてスルホン酸官能基で修飾させて、スルホン酸基を含む架橋HAを提供する。あるいは、実施例D(ii)に記載されるようなスルホン酸基で修飾された非架橋HAは、Lebreton(米国特許出願公開第2010/0226988号、同第2008/0089918号、同第2010/0028438号、及び同第2006/0194758号、上記)、及びNjikang et al.(上記)により記載されるようなHA架橋手順を用いて架橋され、スルホン酸基を含む架橋HAを提供する。
E.キトサン
(i)Mw 60,000〜120,000を有する高純度キトサン(HPC)を、Sigma−Aldrichから購入した。約10,000Da〜約1,000,000Daの分子量を有するHPCを、市販の供給源から入手する。
(ii)トリメチルキトサンは、市販の供給源から入手可能であるか、又はキトサン(HPCなど)をアルキル化する確立された方法によって調製されてもよい。
実施例2.非架橋HA及びカチオン性HAを使用したヒドロゲルの調製。
10mLのシリンジ内で、約1,000,000〜約3,000,000ダルトンの分子量を有する、25mgの非架橋HAを、5mLの1×PBSで水和する。非架橋カチオン性HA(実施例1C)を、約1重量%の濃度で、1×PBS中で別々に溶解させる。水和HAを、コアセルベートゲルが得られるまで、1:20〜20:1の可変電荷比(−COOH/グアニジニウム)で非架橋カチオン性HAと混合させる。過剰な水を除去するために、更なる遠心分離が適用されてもよい。
実施例3.高G’の架橋HA及びカチオン性HAを使用したヒドロゲルの調製。
10mLのシリンジ内で、約500Pa〜約1000Paの貯蔵弾性率(G’)を有する約2mLの架橋HAを、コアセルベートゲルが得られるまで、pH7.5のPBS緩衝液中のグアニジニウムカチオン性基を含有する1重量%の非架橋カチオン性HA(実施例1C(ii)に記載されるように調製)と、1:10〜50:1の可変電荷比(−COOH/グアニジニウム)で混合する。
実施例4.Juvederm(登録商標)Ultra Plus及びキトサンを使用したヒドロゲルの調製
キトサン溶液調製:高純度キトサン(HPC;実施例1Eを参照;Mw 85kDa、アセチル化度24.4MOL%)を、最終濃度38.76mg/mLまで酸性水(96マイクロリットルの濃HCLを含む4.904mLのmiliQ水)に溶解した後、溶液を蒸気滅菌した(128℃、5分)。次いで、得られたHPC溶液を、miliQ水を用いて0.4mg/mL〜1.9mg/mLの範囲の様々な濃度に更に希釈し、これらの希釈溶液を使用して、異なるヒドロゲル製剤を調製した。
ヒドロゲル調製物:Juvederm(登録商標)Ultra Plus(JUP;1cc)を、希釈したHPC水溶液(0.4mg/mL〜1.9mg/mL)のそれぞれ50マイクロリットルと混合して、0.04:1〜0.2:1の範囲のHPC対JUPの当量比を有するゲル混合物を得た。ゲルをレオロジー試験及び膨潤/解離試験に供した。
ヒドロゲル製剤の機械的特性:混合後に、ヒドロゲルの物理的外観及び弾性率の変化が観察された(図3)。HPCの濃度が漸進的に増加すると、ヒドロゲル材料はより不透明に見えた。
レオロジー特性の決定。振動パラレルプレートレオメーター(Anton Paar、Physica MCR 302)を使用して、ゲルのレオロジー特性を測定した。使用したプレートの直径は25mmであった。プレート間の間隙を1mmに設定した。各測定では、一定の歪みでの周波数掃引を最初に行った後、固定周波数で歪み掃引を行った。ヒドロゲルのG’(貯蔵弾性率)は、1%の歪み及び5Hzの歪み速度で、歪み掃引曲線から得た。貯蔵弾性率(G’)は、HPC濃度の増加に伴って段階的に減少した(図3B)。試験された範囲にわたって、弾性率は、キトサンの最高濃度に対して約9.5%減少した。
ゲル膨潤/解離試験:各ヒドロゲル(約250μL)を円筒型成形型に注入し、遠心分離して気泡を除去した。次いで、ヒドロゲルをPBS(20mL)に移し、軌道撹拌器上で37℃、200RPMでインキュベートした。最初の24時間以内に、ヒドロゲルは膨潤平衡に達し、次いで、PBS中で更に解離又は散乱することなく完全性を保持した。キトサンを添加していないゲルは2日以内にPBS緩衝液中で解離し散乱したが(データ示せず)、キトサンを含有する全ての製剤は、少なくとも29日間安定なままであった(図4)。
実施例5.希釈条件下でのゲル凝集試験。
実施例4で作製したヒドロゲルを、PBSを多く含む溶液中に浸漬させた。混合物を200rpmの振盪条件に供した。ゲル完全性の保持を、目視観察によって決定した。
実施例6.ゲル成形性試験
上記の実施例で作製されたヒドロゲルを、ゲル持ち上げ能力及び成形性について評価する。
ゲル持ち上げ能力の定量分析のために、線形圧縮試験を行って、パラレルプレートの振動レオメーター(Anton Paar、MCR302)を使用して、持ち上げ能力を評価する。この試験では、既知の質量の充填剤をプレートの間に置き、通常の力(対向変形)を測定しながら、上部プレートを一定速度で下降させ、より高い値の垂直力は、変形に対するより高い抵抗を表す。
ゲル成形性は、規定の外力にさらされたときに、変形される注入された充填剤の感受性を測定することによって評価される。加えられた力、319グラムは、充填剤の操作に使用される注入器の親指の力をシミュレートするように選択される。充填剤の成形性は、Canfield 3D撮像を使用して、スプラーグドーリーラットモデルにおいて9日間の期間にわたって測定される。
ゲルは、良好な持ち上げ能力及び成形性を有すると判定される。
結びに際して、本明細書の態様を、様々の実施形態を参照して説明してきたが、当業者であれば、開示される具体例が、本明細書に開示される主題の原理の単なる例示であることを容易に理解するであろうことを理解するべきである。したがって、開示された主題は、本明細書に記載される特定の方法、プロトコル、及び/又は試薬などに決して限定されるものではないことを理解されたい。したがって、当業者は、本明細書の趣旨から逸脱することなく、本明細書の教示に従って、開示される主題に対して多くの様々な修正又は変更を行うことができ、若しくは開示された主題の代替形状を作製することができる。細部における変更は、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の趣旨から逸脱することなく行われてもよい。最後に、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のためのものであり、特許請求の範囲によってのみ定義される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。加えて、上記の説明に含まれるか又は添付の図面に示される全ての事項は、例示としてのみ解釈されるものとし、限定するものではないことが意図される。したがって、本発明は、図示及び説明されるように正確に限定されるものではない。
本発明を実施するための発明者に既知の最良の形態を含む、本発明の特定の実施形態が本明細書に記載される。当然ながら、上述の説明を読むことで、これらの記載された実施形態の変形例が当業者に明らかになるであろう。本発明者は、当業者に適切なような変形を採用することを期待し、本発明者らは、本明細書に具体的に記載されるもの以外で実施することを意図したものである。したがって、本発明は、適用可能な法則によって許可されるように、本明細書に添付の特許請求の範囲に記載された主題の全ての修正及び等価物を含む。更に、本明細書で別段の指示がない限り、ないしは別の方法で文脈によって明確に否定されない限り、上記の要素の任意の組み合わせが、本発明に包含される。
本明細書に開示される本発明の代替的な要素又は実施形態の群分けは、限定するものとして解釈されるべきではない。それぞれの群の成員は、個別に、あるいはその群の他の成員又は本明細書に見出される他の群又は他の要素との任意の組み合わせで、言及され、特許請求され得る。便宜上及び/又は特許性の理由から、ある群の1つ以上の成員が、ある群に含まれるか、又は削除され得ることが予想される。任意のそのような包含又は削除が生じる場合、本明細書は、修正されたものとして群を含み、したがって、添付の特許請求の範囲で使用される全てのマーカッシュ群の記載要件を満たすとみなされる。
別途記載のない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分の量、分子量、反応条件などの特性を表す全ての数は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。本明細書で使用される場合、用語「約」は、そのように修飾された項目、パラメータ、又は用語が、記述された項目、パラメータ、又は用語の値をプラス又はマイナス10%上回るか、若しくは下回る範囲を包含することを意味する。したがって、反対の指示がない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明によって得られることが求められる所望の性質に応じて変化し得る近似値である。最低でも、かつ特許請求の範囲の均等論の適用を制限しようとするものではないが、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効桁の数に照らして、通常の四捨五入法を適用することによって解釈されるべきである。本発明の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値であることにかかわらず、特定の実施例に記載される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、それぞれの試験測定値に見出される標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。
本発明を説明する文脈での(とりわけ、以下の特許請求の範囲の文脈での)用語「a」、「an」、「the」、及び類似の指示対象は、本明細書に別途記載のない限り、又は文脈上明確に否定されない限り、単数形及び複数形の両方を網羅するものと解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の記載は、単に、範囲内に入る各別個の値に個別に言及する省略法としての役割を果たすことを意図するものである。本明細書に別途記載のない限り、それぞれの個々の値は、本明細書において個々に列挙されているかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に別途記載のない限り、又は文脈によって明確に否定されない限り、任意の好適な順序で実行することができる。本明細書で提供される任意の及び全ての実施例、又は例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をより良好に照明することを意図するものであり、別途特許請求される本発明の範囲を限定するものではない。本明細書における言語は、本発明の実施に必須である請求されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
本明細書に開示される特定の実施形態は、言語からなるか、又は本質的に言語からなる、請求項に更に限定され得る。特許請求の範囲で用いられる場合、出願された場合でも、又は補正により付加された場合でも、移行用語「からなる」は、特許請求の範囲において明記されない任意の要素、工程、又は成分を除外する。移行用語「本質的に〜からなる」は、特許請求の範囲を、特定の材料又は工程、並びに基本的及び新規特性(複数可)に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。そのように特許請求される本発明の実施形態は、本明細書において本質的に又は明示的に記載され、かつ有効である。
本明細書において参照及び特定される全ての特許、特許公報、並びに他の刊行物は、例えば、本発明に関連して使用され得るかかる刊行物に記載される組成物及び方法論を説明及び開示する目的で、参照によりその全体が本明細書に個別にかつ明示的に組み込まれる。これらの刊行物は、本出願の出願日の前に、それらの開示に対してのみ提供される。この点において、本発明者らは、本発明者らが、先行発明のおかげで、又は任意の他の理由により、そのような開示を先行する権利を持たないことを認めるものとして解釈されるべきではない。これらの文書の内容に関する日付又は表現に関する全ての記述は、出願人にとって利用可能な情報に基づくものであり、これらの文書の日付又は内容の正確さに対する容認を一切構成しない。

Claims (25)

  1. ヒドロゲルを含む皮膚充填剤であって、前記ヒドロゲルが、
    (a)アニオン性ヒアルロン酸(HA)と、
    (b)カチオン性多糖類と、を含む、皮膚充填剤。
  2. 前記ヒドロゲルが、コアセルベートヒドロゲルである、請求項1に記載の皮膚充填剤。
  3. 前記ヒドロゲルが、前記アニオン性HAと前記カチオン性多糖類との間のイオン性錯体を含む、請求項1又は2に記載の皮膚充填剤。
  4. 前記アニオン性HAが、非架橋アニオン性HA、架橋アニオン性HA、及びこれらの混合物から選択される、請求項1、2、又は3に記載の皮膚充填剤。
  5. 前記アニオン性HAが、非架橋HA、架橋HA、及びこれらの混合物から選択される、請求項1、2、3、又は4に記載の皮膚充填剤。
  6. 前記カチオン性多糖類が、架橋されていない、請求項1〜5のいずれか一項に記載の皮膚充填剤。
  7. 前記カチオン性多糖類が、カチオン性HA、非架橋キトサン、及び非架橋トリメチルキトサンから選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の皮膚充填剤。
  8. 前記カチオン性多糖類が、非架橋キトサンである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の皮膚充填剤。
  9. 前記アニオン性HAが、架橋HAである、請求項1、2、又は3に記載の皮膚充填剤。
  10. 約1:0.01〜約1:1、好ましくは約1:0.04〜約1:0.20の前記アニオン性HAの前記カチオン性多糖類に対するモル当量の比を含む、請求項1、8、又は9に記載の皮膚充填剤。
  11. 化粧剤を更に含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の皮膚充填剤。
  12. 抗酸化剤、抗掻痒剤、抗セルライト剤、抗瘢痕化剤、麻酔剤、抗刺激剤、落屑剤、張り付与剤、抗にきび剤、皮膚美白剤、着色剤、色素沈着防止剤、保湿剤、ビタミン、及び前述のうちの1つ以上の任意の組み合わせから選択される薬剤を更に含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の皮膚充填剤。
  13. 前記薬剤が、軟組織に前記皮膚充填剤を投与した後、少なくとも約3週間、投与部位を取り囲む前記軟組織内に放出される、請求項12又は13に記載の皮膚充填剤。
  14. 生理学的に許容可能な担体を更に含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の皮膚充填剤。
  15. 前記担体が、リン酸緩衝生理食塩水又は非架橋HAである、請求項14に記載の皮膚充填剤。
  16. 前記ヒドロゲルが、約50Pa〜約500Paの貯蔵弾性率(G’)を有する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の皮膚充填剤。
  17. 針を通して注入可能であり、前記針のゲージが、少なくとも27ゲージである、請求項1〜16のいずれか一項に記載の皮膚充填剤。
  18. 注入前に前記皮膚充填剤をサイズ決定又は均質化することなく、前記針を通して注入可能である、請求項17に記載の皮膚充填剤。
  19. 対象の軟組織を処置する方法であって、請求項1〜18のいずれか一項に記載の皮膚充填剤を、前記対象の前記軟組織に注入することを含む、方法。
  20. 前記軟組織が皮膚であり、前記方法が、前記皮膚充填剤を、前記対象の真皮領域に注入することを含む、請求項19に記載の方法。
  21. 前記処置することが、前記対象の前記軟組織を増強すること、前記軟組織の質を改善すること、又は前記軟組織の欠損を低減することを含む、請求項19又は20に記載の方法。
  22. 前記処置することが、前記対象の前記軟組織を整形すること、充填すること、体積を増やすこと、又はスカルプティングすることを含む、請求項19、20、又は21に記載の方法。
  23. 前記処置することが、前記対象の皮膚ホメオスタシスを改善すること、皮膚の厚さを改善すること、創傷を治癒すること、又は瘢痕を低減することを含む、請求項19、20、又は22に記載の方法。
  24. 前記欠損が、しわ、瘢痕、又は真皮組織の喪失である、請求項21に記載の方法。
  25. 前記皮膚充填剤が、前記皮膚充填剤を前記対象の前記軟組織内に注入した後、少なくとも約3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、又は6ヶ月間、前記対象の前記軟組織内に持続する、請求項19〜24のいずれか一項に記載の方法。
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