JP2021071369A - 光ファイバセンシングシステム、損傷監視方法、及び損傷箇所画像化方法 - Google Patents

光ファイバセンシングシステム、損傷監視方法、及び損傷箇所画像化方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021071369A
JP2021071369A JP2019197840A JP2019197840A JP2021071369A JP 2021071369 A JP2021071369 A JP 2021071369A JP 2019197840 A JP2019197840 A JP 2019197840A JP 2019197840 A JP2019197840 A JP 2019197840A JP 2021071369 A JP2021071369 A JP 2021071369A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ultrasonic
measurement
initial
fiber bragg
incident
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019197840A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7429410B2 (ja
Inventor
洋二 岡部
Yoji Okabe
洋二 岡部
豊銘 于
Fengming Yu
豊銘 于
理 齊藤
Osamu Saito
理 齊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Foundation for the Promotion of Industrial Science
Original Assignee
Foundation for the Promotion of Industrial Science
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Foundation for the Promotion of Industrial Science filed Critical Foundation for the Promotion of Industrial Science
Priority to JP2019197840A priority Critical patent/JP7429410B2/ja
Publication of JP2021071369A publication Critical patent/JP2021071369A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7429410B2 publication Critical patent/JP7429410B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Measuring Temperature Or Quantity Of Heat (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

【課題】200℃〜800℃の高温環境下でも超音波を測定することが可能であり、かつ、微視的な損傷箇所を検出することが可能なファイバブラッググレーティングを用いた光ファイバセンシングシステムを提供する。【解決手段】本実施形態に係る光ファイバセンシングシステムは、超音波励起部30と、超音波計測部40と、超音波データ処理部50と、を備える光ファイバセンシングシステムであって、超音波計測部40は、入射レーザ光源1と、分光用サーキュレータ2と、超音波検出センサ3と、光検出器4と、を備え、超音波検出センサ3は、2つ以上のファイバブラッググレーティング22を備える超音波検出用光ファイバ23と2つ以上の超音波伝達部21と、を備え、超音波伝達部21とファイバブラッググレーティング22とが接触していない。【選択図】図1

Description

本発明は、光ファイバセンシングシステム、損傷監視方法、及び損傷箇所画像化方法に関する。
火力発電用ボイラー、ガスタービン、航空機エンジンなどの高温環境で稼働する設備の事故を防止するため、事前に事故の予兆を検知する技術が求められている。特に200℃〜800℃の間の高温環境下において、事故の予兆を検知する技術が求められている。微視的な損傷は、それ自体が進展して破壊につながったり、又は破断のきっかけになったりするため、事故の予兆を知るためには、微視的な損傷(微細なき裂)を設備の稼働中に非破壊で検知できることが好ましい。ここで、微視的な損傷とは、設備の稼働に影響がない範囲の損傷をいう。
設備を非破壊で検査する方法として超音波を用いる方法がある。内部に微細なき裂などがある場合、超音波が反射又は散乱されるため、その波形の変化から微細なき裂の有無を非破壊で判定することができる。
一般的に超音波測定に用いられる素子は、圧電セラミックスPZT素子である。しかし、汎用のPZT素子は、使用可能な温度の上限が200℃と低く、火力発電用ボイラーなどの高温設備での使用に適さない。また、高温に対応したPZT素子の研究も進んでいるが、温度変化による感度の低下や周波数帯域の制限の問題がある。
超音波測定に用いられる素子としては、他には光ファイバセンサがある。光ファイバとは、光が伝播するコアと、その外周を被覆するクラッドからなる線材である。光ファイバは、石英ガラスでできているため、耐熱性に優れる。そのため、光ファイバセンサは、高温用超音波センサに適用できる可能性がある。
超音波を検出できる光ファイバセンサとしては、ファイバブラッググレーティングがある。ファイバブラッググレーティングとは、光ファイバに紫外レーザを照射し、光ファイバ中のコアに回折格子(屈折率変調)を形成したものをいう。ファイバブラッググレーティングは、屈折率変調の周期に合致した波長の光のみを反射し、他の波長の光は通過する。超音波によって、コア内の屈折率変調の周期が変化するため、超音波を検出することができる。しかし、通常のファイバブラッググレーティングは、高温でファイバブラッググレーティングが消失するという課題がある。
特許文献1には、検出素子部をファイバブラッググレーティング型光ファイバで構成し、光ファイバと等しい線膨張係数をもつ基板上に固着された歪検出用センサと、温度補償用センサとを、光ファイバにより直列又は並列に接続することにより、検出感度高く歪を検出する光ファイバセンサが開示されている。特許文献2には、ファイバブラッググレーティングセンサの反射帯域内の波長を有する波長可変レーザのレーザ光をファイバブラッググレーティングセンサに入射させ、ファイバブラッググレーティングセンサからの反射光を光電変換器により電気信号に変換して、超音波・AEの検出波形を得ることを特徴とする光ファイバセンサを用いたひずみ計測および超音波・AE検出装置が開示されている。
特開2000−111319号公報 特開2005−326326号公報
しかし、特許文献1及び2に開示の方法では、超音波を測定するために、被測定物にファイバブラッググレーティングセンサを設置しなければならない。そのため、600℃以上になると、ファイバブラッググレーティングの反射光スペクトルの強度が急激に減少してしまうため、超音波を測定することができないという課題がある。また、特許文献1に開示の方法では、微視的な損傷箇所が特定できないという課題がある。
本発明は、上記に記載された課題に鑑みてなされた発明であって、200℃〜800℃の高温環境下でも超音波を測定することが可能であり、かつ、微視的な損傷箇所を検出することが可能なファイバブラッググレーティングを用いた光ファイバセンシングシステムを提供することを目的とする。また、この光ファイバセンシングシステムを用いた損傷監視方法、及び損傷箇所画像化方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
<1> 本発明の一態様に係る光ファイバセンシングシステムは、超音波を励起する超音波励起部と、超音波を計測し、超音波データを得る超音波計測部と、前記超音波データを処理する超音波データ処理部とを備える光ファイバセンシングシステムであって、前記超音波計測部は、入射光を照射する入射レーザ光源と、第1の光ファイバを介して前記入射レーザ光源と接続され、入射光と反射光とを分ける分光用サーキュレータと、前記分光用サーキュレータと接続され、前記入射光に対し、前記超音波に応じて変化する前記反射光を前記分光用サーキュレータに送る超音波検出センサと、前記分光用サーキュレータと第2の光ファイバを介して接続され、前記分光用サーキュレータから送られた前記反射光を電気信号に変換する光検出器と、を備え、前記超音波検出センサは、2つ以上のファイバブラッググレーティングを備える超音波検出用光ファイバと、前記ファイバブラッググレーティングに超音波を伝達する2つ以上の超音波伝達部と、を備え、前記超音波伝達部と前記ファイバブラッググレーティングとが接触していない。
<2> 上記<1>に記載の光ファイバセンシングシステムは、前記超音波励起部がレーザ光源であってもよい。
<3> 上記<1>又は<2>に記載の光ファイバセンシングシステムは、前記ファイバブラッググレーティングが位相シフトファイバブラッググレーティングであってもよい。
<4> 上記<1>又は<2>に記載の光ファイバセンシングシステムは、前記ファイバブラッググレーティングが高温域での超音波測定及び温度計測が可能な再生ファイバブラッググレーティングであってもよい。
<5> 上記<1>又は<2>に記載の光ファイバセンシングシステムは、前記ファイバブラッググレーティングが高温域での超音波測定及び温度計測が可能な再生位相シフトファイバブラッググレーティングであってもよい。
<6> 本発明の一態様に係る損傷監視方法は、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の光ファイバセンシングシステムを用いた損傷監視方法であって、初期超音波データを取得する初期状態確認工程と、測定超音波データを取得する超音波測定工程と、前記初期超音波データと前記測定超音波データとを比較して、損傷の有無を判定する損傷判定工程と、を備え、前記初期状態確認工程は、被監視物に2つ以上の前記超音波伝達部を設置する設置工程と、前記入射光の波長を掃引して2つ以上の前記ファイバブラッググレーティングの初期反射スペクトルを確認する初期反射スペクトル確認工程と、前記初期反射スペクトルに対し、前記初期反射スペクトルのピーク強度の半値に対応する波長である初期半値波長を確認する初期半値波長確認工程と、前記ファイバブラッググレーティングの前記初期半値波長の初期入射光を入射する初期入射工程と、前記被監視物上に前記超音波を励起し、前記初期入射光に対する反射光強度の時間変化データである前記初期超音波データを取得する初期超音波データ取得工程と、を備え、前記超音波測定工程は、前記入射光の波長を掃引して2つ以上の前記ファイバブラッググレーティングの超音波測定前の反射スペクトルである測定前反射スペクトルを確認する測定前反射スペクトル確認工程と、2つ以上の前記測定前反射スペクトルに対し、測定前反射スペクトルのピーク強度の半値に対応する波長である測定半値波長を確認する測定半値波長確認工程と、前記測定半値波長の測定入射光を入射する測定入射工程と、前記被監視物上に前記超音波を励起し、前記測定入射光に対する反射光強度の時間変化データである前記測定超音波データを取得する測定超音波データ取得工程と、を備える。
<7> 本発明の他の態様に係る損傷監視方法は、<4>又は<5>に記載の光ファイバセンシングシステムを用いた損傷監視方法であって、初期超音波データを取得する初期状態確認工程と、測定超音波データを取得する超音波測定工程と、前記初期超音波データと前記測定超音波データとを比較して、損傷の有無を判定する損傷判定工程と、
を備え、前記初期状態確認工程は、被監視物に2つ以上の前記超音波伝達部を設置する設置工程と、前記入射光の波長を掃引して2つ以上の前記ファイバブラッググレーティングの初期反射スペクトルを確認する初期反射スペクトル確認工程と、2つ以上の前記初期反射スペクトルに対し、前記初期反射スペクトルのピーク強度の半値に対応する波長である初期半値波長を確認する初期半値波長確認工程と、前記ファイバブラッググレーティングの前記初期半値波長の初期入射光を入射する初期入射工程と、前記被監視物上に前記超音波を励起し、前記初期入射光に対する反射光強度の時間変化データである初期超音波データを取得する測定超音波データ取得工程と、を備え、前記超音波測定工程は、前記入射光の波長を掃引して2つ以上の前記ファイバブラッググレーティングの超音波測定前の反射スペクトルである測定前反射スペクトルを確認する測定前反射スペクトル確認工程と、前記測定前反射スペクトルのピーク波長と前記初期反射スペクトルのピーク波長との差から2つ以上の前記ファイバブラッググレーティングの温度を計測する温度計測工程と、2つ以上の前記測定前反射スペクトルに対し、測定前反射スペクトルのピーク強度の半値に対応する波長である測定半値波長を確認する測定半値波長確認工程と、前記測定半値波長の測定入射光を入射する測定入射工程と、前記被監視物上に前記超音波を励起し、前記測定入射光に対する反射光強度の時間変化データである測定超音波データを取得する測定超音波データ取得工程と、を備える。
<8> 本発明の一態様に係る損傷箇所画像化方法は、超音波を励起する超音波励起部と、超音波を計測し、超音波データを得る超音波計測部と、前記超音波データを処理する超音波データ処理部とを備え、前記超音波計測部は、入射光を照射する入射レーザ光源と、第1の光ファイバを介して前記入射レーザ光源と接続され、入射光と反射光とを分ける分光用サーキュレータと、前記分光用サーキュレータと接続され、前記入射光に対し、前記超音波に応じて変化する前記反射光を前記分光用サーキュレータに送る超音波検出センサと、前記分光用サーキュレータと第2の光ファイバを介して接続され、前記分光用サーキュレータから送られた前記反射光を電気信号に変換する光検出器と、を備え、前記超音波検出センサは、1つ以上のファイバブラッググレーティングを備える超音波検出用光ファイバと、前記ファイバブラッググレーティングに超音波を伝達する1つ以上の超音波伝達部と、を備え、前記超音波伝達部と前記ファイバブラッググレーティングとが接触していない、光ファイバセンシングシステムを用いた損傷箇所画像化方法であって、被監視物に1つ以上の前記超音波伝達部を設置する設置工程と、前記入射光の波長を掃引して1つ以上の前記ファイバブラッググレーティングの反射スペクトルを確認する反射スペクトル確認工程と、前記反射スペクトル確認工程で得られた1つ以上の前記反射スペクトルに対し、前記反射スペクトルのピーク強度の半値に対応する波長である半値波長を確認する半値波長確認工程と、
画像化の中心位置となる前記超音波伝達部に最も近い前記ファイバブラッググレーティングの前記半値波長の入射光を入射する入射工程と、前記超音波励起部を用い、前記被監視物上で超音波を励起する位置を変えながら複数回超音波を励起し、励起された超音波による反射光強度の時間変化である超音波データを各超音波励起毎に取得する連続超音波データ取得工程と、取得した超音波データと超音波励起箇所の位置情報とから画像化する画像化工程と、を備える。
本発明の上記態様によれば、200℃〜800℃の高温環境下でも超音波を測定することが可能であり、かつ、微視的な損傷箇所を検出することができる。
本発明の一実施形態に係る光ファイバセンシングシステムの構成図である。 本発明の一実施形態に係る損傷監視方法のフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る光ファイバセンシングシステムを用いて測定した超音波の測定結果を示す図である。 本発明の一実施形態に係る光ファイバセンシングシステムを用いて測定した超音波ピークの振幅及び到達時間と損傷密度との関係を示す図である。 本発明の別の実施形態に係る光ファイバセンシングシステムの構成図である。 本発明の別の実施形態に係る損傷監視方法のフローチャートである。 損傷箇所画像化方法に用いる光ファイバセンシングシステムの構成図である。 本発明の一実施形態に係る損傷箇所画像化方法のフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る損傷箇所画像化方法で作成した画像の例である。
〔実施形態1〕
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る光ファイバセンシングシステム、損傷監視方法を説明する。
<光ファイバセンシングシステム>
本実施形態に係る光ファイバセンシングシステム100は、図1に示すように、超音波励起部30、超音波計測部40、及び超音波データ処理部50を備える。以下、各部について説明する。
(超音波励起部)
超音波励起部30は、被監視物60上に超音波を励起できれば特に限定されない。超音波励起部30としては、高耐熱圧電素子、レーザ光源などが挙げられる。レーザ光源を超音波励起部30として用いた場合、被監視物60にレーザを照射して照射点において生じる熱膨張により、超音波を励起する。そのため、レーザ光源を常温環境に設置して、高温の被監視物60にレーザを照射して超音波を励起することが可能となる。レーザ光源を用いれば、温度条件によらず、安定して超音波を励起することができる。
(超音波測定部)
超音波計測部40は、入射レーザ光源1、分光用サーキュレータ2、超音波検出センサ3、光検出器4、第1の光ファイバ5、及び第2の光ファイバ6を備える。以下、各部について説明する。
[入射レーザ光源]
入射レーザ光源1は、第1の光ファイバ5と接続される。入射レーザ光源1から照射されるレーザ光は、第1の光ファイバ5を通り、分光用サーキュレータ2に送られる。
入射レーザ光源1は、レーザ光の波長を変えることができる波長可変レーザ光源である(チューナブルレーザ)。超音波検出センサ3中にある全てのファイバブラッググレーティング22の反射スペクトルが得られるのであれば、波長可変領域は特に限定されない。
例えば図1の場合であれば、波長可変領域は、ファイバブラッググレーティング22a、ファイバブラッググレーティング22b、ファイバブラッググレーティング22c、ファイバブラッググレーティング22dの反射スペクトルが得られるのであれば、特に限定されない。
[分光用サーキュレータ]
分光用サーキュレータ2は、第1の光ファイバ5、超音波検出センサ3、及び第2の光ファイバ6と接続される。分光用サーキュレータ2は、第1の光ファイバ5を介して入射レーザ光源1から入射されたレーザ光(入射光)を超音波検出センサ3に送る。また、分光用サーキュレータ2は、超音波検出センサ3から戻ってきた反射光を第2の光ファイバ6を介し、光検出器4に送る。
[超音波検出センサ]
超音波検出センサ3は、超音波伝達部21及び超音波検出用光ファイバ23を備える。超音波検出センサ3は、分光用サーキュレータ2と接続される。また、超音波検出用光ファイバ23は、超音波伝達部21を介して被監視物60に設置され、被監視物60とは直接接触していない。超音波検出センサ3は、入射レーザ光源1から入射してきたレーザ光に対し、被監視物60を伝達してきた超音波に応じて変化した反射光を分光用サーキュレータ2に戻す。
超音波伝達部21は、被監視物60を伝達してきた超音波をファイバブラッググレーティング22を有する超音波検出用光ファイバ23に伝達する。超音波伝達部21の数と超音波検出用光ファイバ23にあるファイバブラッググレーティング22の数は等しい。超音波伝達部21から伝達された超音波によって、対応するファイバブラッググレーティング22の屈折率変調の間隔が変動し、屈折率変調の間隔の変動に応じた反射光が分光用サーキュレータ2に戻される。図1の場合では、超音波伝達部21aを通った超音波は、ファイバブラッググレーティング22aで反射光強度の時間変化(超音波データ)という形で検出される。
超音波伝達部21は、超音波を伝達する機能があれば特に限定されない。超音波伝達部21には、200℃〜800℃の高温環境下で超音波を効率よく伝達するために、被監視物60と超音波検出用光ファイバ23とを耐熱接着剤で接着した耐熱接着部を用いてよい。耐熱接着剤は、被監視物60の温度に応じて適宜選択できる。耐熱接着剤は、例えばカーボンペーストを使用することができる。
超音波検出用光ファイバ23は、2つ以上のファイバブラッググレーティング22を備える。超音波検出用光ファイバ23内に生じる超音波による軸方向歪成分は、中心軸上では、縦波モードによる成分のみが存在する。そのため、ファイバブラッググレーティング22によって測定されるのは、基本縦波モードのみとなる。光ファイバの直径よりも被監視物60中のラム波の振幅がはるかに大きいため、縦波はほとんど分散性が無い。従って、超音波伝達部21に対し接触しないように設けてもファイバブラッググレーティング22は、超音波伝達部21におけるラム波モードの挙動をそのまま測定することができる。ここで、ラム波とは、振動面が被監視物60の表面に対し垂直で、なおかつ、伝播方向に同じ振動成分をもつ波である。
超音波伝達部21はファイバブラッググレーティング22と接触しないように設けられている。即ち、超音波伝達部21はファイバブラッググレーティング22と離隔して設けられている。ファイバブラッググレーティング22の位置は、被監視物60と接触していなければ、特に限定されない。例えば、超音波伝達部21とファイバブラッググレーティング22との間の距離は1mm〜1mの範囲とすることができる。ファイバブラッググレーティング22を室温となる領域に置くことで、超音波伝達部21から送られてきた超音波を測定することができる。また、ファイバブラッググレーティング22が超音波伝達部21と接触していないため、被監視物60の歪の影響を受けずに超音波測定をすることができる。
超音波検出センサ3は、2つ以上のファイバブラッググレーティング22を備えるため、微細なき裂の位置を判別することができる。具体的な微細なき裂の位置の判定方法について図1を例にして説明する。超音波励起部30で励起された超音波は、ファイバブラッググレーティング22a、22b、22c、及び22dで検知される。図1のように被監視物60が均一な材質であり、微細なき裂25が超音波伝達部21cと超音波伝達部21dとの間にある場合、ファイバブラッググレーティング22dで検出される超音波データは微細なき裂25の影響で反射散乱されるため、ファイバブラッググレーティング22a、22b、22cの超音波データと異なることになる。そのため、超音波データの比較から微細なき裂が超音波伝達部21cとファイバブラッググレーティング22dとの間にあることを判定することができる。各ファイバブラッググレーティング22は、それぞれの反射波長が異なるように設計する。
ファイバブラッググレーティング22には、例えば、位相シフトファイバブラッググレーティングを用いてもよい。位相シフトファイバブラッググレーティングは、屈折率の周期的な変動に局所的な位相シフトを導入したファイバブラッググレーティングをいう。位相シフトファイバブラッググレーティングは、π位相シフト点の近傍での歪に応答するため、有効センサゲージ長は0.5mm以下と極めて短い。そのため、位相シフトファイバブラッググレーティングを用いることで、高周波数までの広帯域にわたる超音波を測定することができる。
超音波検出センサ3は、耐熱性の被覆層で覆われていてもよい。耐熱被覆層としては、Niめっき、Auめっき、Agめっき、又はカーボン層を用いることができる。被覆層があっても効率よく超音波を伝達することができる。
[光検出器]
光検出器4は、分光用サーキュレータ2と接続される。超音波検出センサ3から送られてきた反射光は、分光用サーキュレータ2、第2の光ファイバ6を通り、光検出器4に送られる。光検出器4は、送られてきた反射光を電気信号に変換する。
[第1の光ファイバ及び第2の光ファイバ]
第1の光ファイバ5及び第2の光ファイバ6には、例えば、光の分散が小さいシングルモードの光ファイバを用いることができる。第1の光ファイバ5は、入射レーザ光源1及び分光用サーキュレータ2を接続する。第2の光ファイバ6は、分光用サーキュレータ2及び光検出器4を接続する。
(超音波データ処理部)
超音波データ処理部50は、電気信号に変換した反射光強度の時間変化(超音波データ)を記録する。超音波データ処理部50は、例えば、設備稼働前の超音波データの波形パターンと設備稼働後の超音波データの波形パターンとを比較して、波形のピーク位置の時間差が一定の閾値を超えた場合又は波形のピーク強度が一定の閾値を下回った場合、微細なき裂25が発生したと判定する。超音波データ処理部50は、閾値を超えた超音波データから、発生時期、発生個所を特定する。一方、温度の変化を含む外部環境のノイズの影響で超音波の波形が複雑になることで、1つの特徴量から損傷を判定困難な場合には、超音波データから到達時間・最大振幅・周波数など複数の特徴量を抽出して、機械学習で波形の類似性を分析する。その分析結果から損傷の判定もしくは損傷の進展度合いを評価することができる。
光ファイバセンシングシステム100は、入射光レーザ光源1の波長を超音波データ処理部50のデータに基づいて制御する図示しないレーザ制御部、超音波励起部30の超音波の励起位置、励起開始時間等を制御する図示しない超音波制御部を更に備えていてもよい。また、光ファイバセンシングシステム100を室温環境で使用する場合は、超音波伝達部21には、被監視物60と超音波検出用光ファイバ23とを通常の接着剤で接着した接着部を用いてもよい。
<損傷監視方法>
光ファイバセンシングシステム100を用いた損傷監視方法S100について、図2を用いて説明する。ここでは、200℃〜800℃の高温環境下における損傷監視方法の一例を説明する。S100は、初期の超音波データを取得する初期状態確認工程S20と、測定超音波データを取得する超音波測定工程S30と、初期超音波データと測定超音波データとを比較して、損傷の有無を判定する損傷判定工程S40とを備える。
(初期状態確認工程)
初期状態確認工程S20は、被監視物60に2つ以上の超音波伝達部21を設置する設置工程S1、レーザ光(入射光)の波長を掃引して2つ以上のファイバブラッググレーティング22の初期反射スペクトルを確認する初期反射スペクトル確認工程S2と、初期反射スペクトルに対し、初期反射スペクトルのピーク強度の半値に対応する波長である初期半値波長を確認する初期半値波長確認工程S3と、ファイバブラッググレーティング22の初期半値波長のレーザ光(初期入射光)を入射する初期入射工程S4と、被監視物60上に超音波を励起し、初期入射光に対する反射光強度の時間変化データである初期超音波データを取得する初期超音波データ取得工程S5とを備える。初期状態確認工程S20において、設備稼働前(微細なき裂が発生する前)の装置の超音波データを記録収集する。初期入射工程S4及び初期超音波データ取得工程S5は、全てのファイバブラッググレーティング22の超音波データを取得するまで繰り返し、測定を行う。図1の場合は、ファイバブラッググレーティング22a、22b、22c、22dの超音波データを取得するまで、初期入射工程S4及び初期超音波データ取得工程S5の工程を繰り返す。
[設置工程]
設置工程S1は、超音波伝達部21及び超音波検出用光ファイバ23を被監視物60に設置する。超音波検出用光ファイバ23中のファイバブラッググレーティング22の数は、被監視物60の大きさ等に応じて適宜調整することができる。超音波伝達部21は、超音波検出用光ファイバ23中のファイバブラッググレーティング22の数に応じて設置する。一般のファイバブラッググレーティングや位相シフトファイバブラッググレーティングは、高温で消失する。また、600℃以上で、一般のファイバブラッググレーティングや位相シフトファイバブラッググレーティングの反射光スペクトルの強度が急激に減少してしまう。そのため、ファイバブラッググレーティング22は、温度が室温付近となる位置まで超音波伝達部21と離隔して設置する。また、超音波検出用光ファイバ23は、超音波伝達部21を介して被監視物60に設置され、被監視物60とは直接接触していない。
[初期反射スペクトル確認工程]
初期反射スペクトル確認工程S2では、被監視物60の稼働前に、入射レーザ光源1の入射光の波長を変えて、ファイバブラッググレーティング22の反射スペクトル(初期反射スペクトル)を取得する。図1の場合は、ファイバブラッググレーティング22a、22b、22c、22dの反射スペクトルを取得する。
[初期半値波長確認工程]
初期半値波長確認工程S3では、初期反射スペクトル確認工程S2で得られたファイバブラッググレーティング22の反射スペクトルから半値波長(初期半値波長)を取得する。半値波長は、反射スペクトルのピーク強度をImaxとしたときに、強度がImax/2となる波長で且つ、短波長側の波長とする。図1の場合、各半値波長は、ファイバブラッググレーティング22a、22b、22c、22dの反射スペクトルからそれぞれ取得する。
[初期入射工程]
初期入射工程S4では、ファイバブラッググレーティング22の反射スペクトルの半値波長に調整したレーザ光(半値波長光)を入射レーザ光源1から入射する。半値波長光は、初期超音波データ取得工程S5が完了するまで、入射し続ける。ファイバブラッググレーティング22の半値波長は初期半値波長確認工程S3で取得したものとなる。
[初期超音波データ取得工程]
初期超音波データ取得工程S5では、超音波励起部30を用い、被監視物60上の任意の箇所で超音波を励起する。超音波を励起後、超音波を励起した時間を0秒とし、ファイバブラッググレーティング22の反射光強度の時間変化を光検出器4を用いて電気信号に変換し、初期超音波データとして超音波データ処理部50を用いて記録する。ここで取得される超音波データは、ファイバブラッググレーティング22に対応する超音波伝達部21で取得した超音波データとなる。図1を用いて説明すると、ファイバブラッググレーティング22aの半値波長のレーザ光を入射した場合は、超音波伝達部21aの超音波データとなる。超音波の励起箇所は、ファイバブラッググレーティング22で超音波を測定できる限り限定されない。超音波を励起した励起点から超音波伝達部21までの間の超音波伝播経路上に微細なき裂25が存在すれば、超音波の波形は変化する。そのため、励起点を変えて測定した複数の初期超音波データを取得しておくことで、微細なき裂25の位置を特定しやすくなる。
(超音波測定工程)
超音波測定工程S30は、レーザ光(入射光)の波長を掃引して2つ以上のファイバブラッググレーティング22の測定前反射スペクトルを確認する測定前反射スペクトル確認工程S6と、測定前反射スペクトルに対し、測定前反射スペクトルのピーク強度の半値に対応する波長である測定半値波長を確認する測定半値波長確認工程S7と、ファイバブラッググレーティング22の測定半値波長のレーザ光(測定入射光)を入射する測定入射工程S8と、被監視物60上に超音波を励起し、測定入射光に対する反射光強度の時間変化データである測定超音波データを取得する測定超音波データ取得工程S9とを備える。超音波測定工程S30において、被監視物60稼働時の超音波データを記録収集する。測定入射工程S8及び測定超音波データ取得工程S9は、全てのファイバブラッググレーティング22の超音波データを取得するまで繰り返し、測定を行う。図1の場合は、ファイバブラッググレーティング22a、22b、22c、22dの超音波データを取得するまで、測定入射工程S8及び測定超音波データ取得工程S9の工程を繰り返す。
[測定前反射スペクトル確認工程]
測定前反射スペクトル確認工程S6では、被監視物60の稼働時に、入射レーザ光源1の入射光の波長を変えて、ファイバブラッググレーティング22の反射スペクトル(測定前反射スペクトル)を取得する。図1の場合は、ファイバブラッググレーティング22a、22b、22c、22dの反射スペクトルを取得する。
[測定半値波長確認工程]
測定半値波長確認工程S7では、測定前反射スペクトル確認工程S6で得られたファイバブラッググレーティング22の反射スペクトルから半値波長(測定半値波長)を取得する。図1の場合、各半値波長は、ファイバブラッググレーティング22a、22b、22c、22dの反射スペクトルからそれぞれ取得する。
[測定入射工程]
測定入射工程S8では、ファイバブラッググレーティング22の反射スペクトルの半値波長に調整したレーザ光(半値波長光)を入射レーザ光源1から入射する。半値波長光は、測定超音波データ取得工程S9が完了するまで、入射し続ける。ファイバブラッググレーティング22の半値波長は測定半値波長確認工程S7で取得したものとなる。
[測定超音波データ取得工程]
測定超音波データ取得工程S9は、超音波励起部30を用い、被監視物60上の任意の箇所で超音波を励起する。超音波を励起後、超音波を励起した時間を0秒とし、ファイバブラッググレーティング22の反射光強度の時間変化を光検出器4を用いて電気信号に変換し、測定超音波データとして超音波データ処理部50を用いて記録する。ここで取得される超音波データは、ファイバブラッググレーティング22に対応する超音波伝達部21で取得した超音波データとなる。図1を用いて説明すると、ファイバブラッググレーティング22aの半値波長のレーザ光を入射した場合は、超音波伝達部21aの超音波データとなる。超音波の励起箇所は、ファイバブラッググレーティング22で超音波を測定できる限り限定されない。超音波を励起した励起点から超音波伝達部21までの間の超音波伝播経路上に微細なき裂25が存在すれば、超音波の波形は変化する。そのため、超音波の励起点の位置を変えて複数の超音波データを取得し、超音波伝達部21の位置と励起点の位置との関係及び各励起点毎の超音波データを比較することで、より詳細に微細なき裂25の位置を特定することができる。
(損傷判定工程)
損傷判定工程S40では初期状態確認工程S20で取得した初期超音波データと超音波測定工程S30で得た測定超音波データとを超音波データ処理部50を用いて、損傷の判定をする。例えば、記録した超音波データ間の波形パターンを比較して、波形のピーク位置の時間差が一定の閾値を超えた場合又は波形のピーク強度が一定の閾値を下回った場合、損傷(微細なき裂25)が発生したと判定することができる。超音波データ処理部50は、例えば、特定の時間ごとに測定した超音波データ間の比較から、微細なき裂25が発生時期を特定できる。同様に、例えば、測定時期が同じである超音波伝達部21の超音波データ間の比較から微細なき裂25の発生個所を特定できる。
光ファイバセンシングシステム100を用いて測定した、微細なき裂25の発生前後の超音波データを図3に示す。図3において、縦軸はファイバブラッググレーティング22からの反射光強度(超音波の振幅)を示し、横軸は、超音波励起部30で超音波を励起した時点(0秒)からの時間を示す。図3の実線は、微細なき裂25を発生させる前の被監視物60の超音波データを示す。図3の破線は、被監視物60に引張荷重を印加し、微細なき裂を発生させた後の超音波データを示す。図3に示すように、微細なき裂25が発生することで、超音波ピークの強度(振幅)は低下し、また超音波ピークの時間も遅れるようになる。損傷が大きくなるほど、超音波ピークの強度は低下し、また、超音波ピークの時間がより遅れるようになる。そのため、各ファイバブラッググレーティング22の超音波データを分析することで、損傷個所と損傷度合いを特定することができる。
以上の例では、閾値で損傷の有無を判定する方法を説明したが、異なる損傷状態とその超音波データの変化のデータを収集して、数値解析を行う事で、損傷状態を定量化することができる。被監視物60の損傷の大きさや数から計算した損傷密度、超音波のピーク振幅及びピーク時間(超音波到達時間)との関係の一例を図4に示す。図4において、横軸は、損傷密度を示し、左の縦軸は、損傷発生前の超音波到達時間を0秒とした場合の到達時間差を示し、右の縦軸は超音波のピークの振幅(強度)を示す。実線は、超音波ピークの位置(超音波到達時間)を示し、破線は、超音波ピークの振幅を示す。この例でいえば、到達時間差が1μsより大きい場合又は振幅値が0.22よりも小さい場合、損傷が注意するレベルにあると判定する。図4のように、被監視物60と同じ材質の試料における損傷密度と超音波ピークの関係を調査しておくことで、損傷状態を定量的に判定することができる。また、外部環境のノイズの影響などで、超音波の波形が変化する場合は、複数の波形の特徴量を機械学習で分析することで、損傷状態を判定することができる。
また、以上の例では、200℃〜800℃の高温環境下での光ファイバセンシングシステム100を用いた損傷監視方法を説明したが、光ファイバセンシングシステム100は、200℃〜800℃の高温環境下だけでなく、−50〜200℃の環境化でも使用することができる。−50℃〜200℃の温度範囲で使用した場合、本開示の損傷監視方法は、圧電素子を用いた場合と比較して、高密度にセンサを設置しても被監視物60に負担をかけずに測定することができるという利点がある。圧電素子は電子デバイスで、そのシステムを構造物に実装するにあたって、電源供給や情報交換用の配線は問題となってくる。また、構造物に設置された圧電素子は、大きなたわみなどを受けるとすぐに割れてしまうという耐久性上の問題も抱えている。一方、本開示の光ファイバセンシングシステム100の場合には、複数のファイバブラッググレーティング22を備えた超音波検出用光ファイバ23と超音波伝達部21のみを被監視物60に配置し、光ファイバセンシングシステム100を構成する他のハードウェアを遠隔して設置する。そうすることで、高密度でセンサを配置しても、被監視物60に余計な負担をほとんどかけないようにすることができる。加えて、超音波計測時の温度を把握すれば、損傷検知の精度をさらに向上することができる。また、光ファイバセンシングシステム100は、800℃超の温度域でも超音波を測定することができる。この場合は、超音波検出用光ファイバ23にはサファイアファイバを用いることができる。
〔実施形態2〕
次に、第2の実施形態に係る光ファイバセンシングシステム110を図5を用いて説明する。なお、この第2実施形態においては、上述の実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
<光ファイバセンシングシステム>
本実施形態に係る光ファイバセンシングシステム110は、図5に示すように、超音波励起部30、超音波計測部40a、及び超音波データ処理部50を備える。超音波計測部40aは、入射レーザ光源1、分光用サーキュレータ2、超音波検出センサ3a、光検出器4、第1の光ファイバ5、及び第2の光ファイバ6を備える。第1実施形態とは、超音波検出センサ3aを備える点で第1実施形態と異なる。
[超音波検出センサ]
超音波検出センサ3aは、超音波伝達部21及び超音波検出用光ファイバ23aを備える。超音波検出センサ3aは、分光用サーキュレータ2と接続される。超音波検出センサ3aは、入射レーザ光源1から入射してきたレーザ光(レーザ光)に対し、被監視物60を伝達してきた超音波に応じて変化した反射光を分光用サーキュレータ2に戻す。
超音波検出用光ファイバ23aは、ファイバブラッググレーティング32を備える。ファイバブラッググレーティング32は、高温域でも消失しない再生ファイバブラッググレーティング、又は再生位相シフトファイバブラッググレーティングである。再生ファイバブラッググレーティングとは、ファイバブラッググレーティングに900℃以上の高温でアニーリング処理を行う事で、一度消失したファイバブラッググレーティングを再生させたファイバブラッググレーティングをいう。この再生ファイバブラッググレーティングは、1000℃まで加熱しても、ファイバブラッググレーティングを消失しないため、高温環境下に置くことができる。再生位相シフトファイバブラッググレーティングは、位相シフトファイバブラッググレーティングに対し、900℃以上の高温でアニーリング処理を行い、ファイバブラッググレーティングを再生したファイバブラッググレーティングであり、再生ファイバブラッググレーティングと同様に、1000℃まで加熱しても、ファイバブラッググレーティングを消失しない。そのため、再生ファイバブラッググレーティング又は再生位相シフトファイバブラッググレーティングを用いることで、200℃〜800℃の高温域でも超音波測定や温度計測が可能となる。
超音波伝達部21はファイバブラッググレーティング32と接触しないように設けられている。また、ファイバブラッググレーティング32が超音波伝達部21と接触していないため、被監視物60の歪の影響を受けずに超音波測定をすることができる。また、ファイバブラッググレーティング32が耐熱性を有する再生ファイバブラッググレーティング又は再生位相シフトファイバブラッググレーティングであるため、各ファイバブラッググレーティング32の反射波長のシフトから温度も同時に測定することができる。
超音波検出センサ3aは、2つ以上のファイバブラッググレーティング32を備えるため、微細なき裂の位置を判別することができる。具体的な微細なき裂の位置の判定方法について図5を例にして説明する。超音波励起部30で励起された超音波は、ファイバブラッググレーティング32a、32b、32c、及び32dで検知される。図5のように微細なき裂25が超音波伝達部21cと超音波伝達部21dとの間にある場合、ファイバブラッググレーティング32dで検出される超音波データは微細なき裂25の影響で反射散乱されるため、ファイバブラッググレーティング32a、32b、32cの超音波データと異なることになる。そのため、超音波データの比較から微細なき裂が超音波伝達部21cと超音波伝達部21dとの間にあることを判定することができる。ファイバブラッググレーティング32において、各ファイバブラッググレーティング32は、それぞれの反射波長が異なるように設計する。
温度変化によって、被監視物60の弾性係数が変化するため、被監視物60を伝達する超音波は、温度の影響を受ける。ファイバブラッググレーティング32の反射スペクトルの波長シフトから得たファイバブラッググレーティング32の温度を用い、補正をすることで、超音波への温度の影響を除去することができる。そのため、上記の損傷箇所の特定をより精密に行う事が出来る。
<損傷監視方法>
光ファイバセンシングシステム110を用いた損傷監視方法S110について、図6を用いて説明する。ここでは、200℃〜800℃の高温環境下における損傷監視方法の一例を説明する。S110は、初期の超音波データを取得する初期状態確認工程S20aと、測定超音波データを取得する超音波測定工程S30aと、初期超音波データと測定超音波データとを比較して、損傷の有無を判定する損傷判定工程S40aとを備える。
(初期状態確認工程)
初期状態確認工程S20aは、被監視物60に2つ以上の超音波伝達部21を設置する設置工程S1a、レーザ光(入射光)の波長を掃引して2つ以上のファイバブラッググレーティング32の初期反射スペクトルを確認する初期反射スペクトル確認工程S2aと、初期反射スペクトルに対し、初期反射スペクトルのピーク強度の半値に対応する波長である初期半値波長を確認する初期半値波長確認工程S3aと、2つ以上のファイバブラッググレーティング32の初期半値波長のレーザ光(初期入射光)を入射する初期入射工程S4aと、被監視物60上に超音波を励起し、1つ以上の初期入射光に対する反射光強度の時間変化データである初期超音波データを取得する初期超音波データ取得工程S5aとを備える。初期状態確認工程S20aにおいて、設備稼働前の微細なき裂が発生する前の装置の超音波データを記録収集する。初期入射工程S4a及び初期超音波データ取得工程S5aは、全てのファイバブラッググレーティング32の超音波データを取得するまで繰り返し、測定を行う。図5の場合は、ファイバブラッググレーティング32a、32b、32c、32dの超音波データを取得するまで、初期入射工程S4a及び初期超音波データ取得工程S5aの工程を繰り返す。
[設置工程]
設置工程S1aは、超音波伝達部21及び超音波検出用光ファイバ23aを被監視物60に設置する。超音波検出用光ファイバ23a中のファイバブラッググレーティング32の数は、被監視物60の大きさ等に応じて適宜調整することができる。超音波伝達部21は、超音波検出用光ファイバ23a中のファイバブラッググレーティング32の数に応じて設置する。ファイバブラッググレーティング32は、超音波伝達部21と接触しないように設置するが、被監視物60の温度を測定するため、1mm〜1m以内に設置する。また、超音波検出用光ファイバ23aは、超音波伝達部21を介して被監視物60に設置され、被監視物60とは直接接触していない。
[初期反射スペクトル確認工程]
初期反射スペクトル確認工程S2aでは、被監視物60の稼働前に、入射レーザ光源1の入射光の波長を変えて、ファイバブラッググレーティング32の反射スペクトル(初期反射スペクトル)を取得する。図5の場合は、ファイバブラッググレーティング32a、32b、32c、32dの反射スペクトルを取得する。また、温度計測で用いる反射スペクトルのピーク強度Imaxの波長も取得する。
[初期半値波長確認工程]
初期半値波長確認工程S3aでは、初期反射スペクトル確認工程S2aで得られたファイバブラッググレーティング32の反射スペクトルから半値波長(初期半値波長)を取得する。半値波長は、反射スペクトルのピーク強度をImaxとしたときに、強度がImax/2となる波長で且つ、短波長側の波長とする。図5の場合、各半値波長は、ファイバブラッググレーティング32a、32b、32c、32dの反射スペクトルからそれぞれ取得する。
[初期入射工程]
初期入射工程S4aでは、ファイバブラッググレーティング32の反射スペクトルの半値波長に調整したレーザ光(半値波長光)を入射レーザ光源1から入射する。半値波長光は、初期超音波データ取得工程S5aが完了するまで、入射し続ける。ファイバブラッググレーティング32の半値波長は初期半値波長確認工程S3aで取得したものとなる。
[初期超音波データ取得工程]
初期超音波データ取得工程S5aでは、超音波励起部30を用い、被監視物60上の任意の箇所で超音波を励起する。超音波を励起後、超音波を励起した時間を0秒とし、ファイバブラッググレーティング32の反射光強度の時間変化を光検出器4を用いて電気信号に変換し、初期超音波データとして超音波データ処理部50を用いて記録する。ここで取得される超音波データは、ファイバブラッググレーティング32に対応する超音波伝達部21で取得した超音波データとなる。図5を用いて説明すると、ファイバブラッググレーティング32aの半値波長のレーザ光を入射した場合は、超音波伝達部21aの超音波データとなる。超音波の励起箇所は、ファイバブラッググレーティング32で超音波を測定できる限り限定されない。超音波を励起した励起点から超音波伝達部21までの間の超音波伝播経路上に微細なき裂25が存在すれば、超音波の波形は変化する。そのため、励起点を変えて測定した複数の初期超音波データを取得しておくことで、微細なき裂25の位置を特定しやすくなる。
(超音波測定工程)
超音波測定工程S30aは、レーザ光(入射光)の波長を掃引して2つ以上のファイバブラッググレーティング32の測定前反射スペクトルを確認する測定前反射スペクトル確認工程S6aと、測定前反射スペクトルのピーク波長と初期反射スペクトルのピーク波長との差からファイバブラッググレーティングの温度を計測する温度計測工程S10と、測定前反射スペクトルに対し、測定前反射スペクトルのピーク強度の半値に対応する波長である測定半値波長を確認する測定半値波長確認工程S7a、ファイバブラッググレーティング32の測定半値波長のレーザ光(測定入射光)を入射する測定入射工程S8aと、被監視物60上に超音波を励起し、測定入射光に対する反射光強度の時間変化データである測定超音波データを取得する測定超音波データ取得工程S9aとを備える。超音波測定工程S30aにおいて、被監視物60稼働時の超音波データを記録収集する。測定入射工程S8a及び測定超音波データ取得工程S9aは、全てのファイバブラッググレーティング22の超音波データを取得するまで繰り返し、測定を行う。図5の場合は、ファイバブラッググレーティング32a、32b、32c、32dの超音波データを取得するまで、測定入射工程S8a及び測定超音波データ取得工程S9aの工程を繰り返す。
[測定前反射スペクトル確認工程]
測定前反射スペクトル確認工程S6aでは、被監視物60の稼働時に、入射レーザ光源1の入射光の波長を変えて、ファイバブラッググレーティング32の反射スペクトル(測定前反射スペクトル)を取得する。図5の場合は、ファイバブラッググレーティング32a、32b、32c、32dの反射スペクトルを取得する。
[温度計測工程]
温度計測工程10では、測定前反射スペクトルのピーク強度の波長と初期反射スペクトルのピーク強度の波長との差からファイバブラッググレーティング32の温度を計測する。具体的には、下記式(1)から、温度を算出する。
Figure 2021071369
ここで、Δλはピーク波長のシフト量、Λは、屈折率変調の周期、nは光ファイバの有効屈折率、Tは温度、ΔTは温度の変化量を意味する。
[測定半値波長確認工程]
測定半値波長確認工程S7aでは、測定前反射スペクトル確認工程S6aで得られたファイバブラッググレーティング32の反射スペクトルから半値波長(測定半値波長)を取得する。図5の場合、各半値波長は、ファイバブラッググレーティング32a、32b、32c、32dの反射スペクトルからそれぞれ取得する。
[測定入射工程]
測定入射工程S8aでは、ファイバブラッググレーティング32の反射スペクトルの半値波長に調整したレーザ光(半値波長光)を入射レーザ光源1から入射する。半値波長光は、測定超音波データ取得工程S9aが完了するまで、入射し続ける。ファイバブラッググレーティング32の半値波長は測定半値波長確認工程S7aで取得したものとなる。
[測定超音波データ取得工程]
測定超音波データ取得工程S9aは、超音波励起部30を用い、被監視物60上の任意の箇所で超音波を励起する。超音波を励起後、超音波を励起した時間を0秒とし、ファイバブラッググレーティング32の反射光強度の時間変化を光検出器4を用いて電気信号に変換し、測定超音波データとして超音波データ処理部50を用いて記録する。ここで取得される超音波データは、ファイバブラッググレーティング32に対応する超音波伝達部21で取得した超音波データとなる。図5を用いて説明すると、ファイバブラッググレーティング32aの半値波長のレーザ光を入射した場合は、超音波伝達部21aの超音波データとなる。超音波の励起箇所は、ファイバブラッググレーティング32で超音波を測定できる限り限定されない。超音波を励起した励起点から超音波伝達部21までの間の超音波伝播経路上に微細なき裂25が存在すれば、超音波の波形は変化する。そのため、超音波の励起点の位置を変えて複数の超音波データを取得し、超音波伝達部21の位置と励起点の位置との関係及び各励起点毎の超音波データを比較することで、より詳細に微細なき裂25の位置を特定することができる。
(損傷判定工程)
損傷判定工程S40aでは初期状態確認工程S20で取得した初期超音波データと超音波測定工程S30で得た測定超音波データと温度計測工程S10で測定した温度とを超音波データ処理部50を用いて、損傷の判定をする。例えば、S30で得た測定超音波データを温度計測工程S10で得た温度に基づいて補正し、補正後の測定超音波データと初期超音波データとを比較して、波形のピーク位置の時間差が一定の閾値を超えた場合又は、波形のピーク強度が一定の閾値を下回った場合、損傷(微細なき裂25)が発生したと判定する。超音波データの補正は、事前に被監視物60と同じ材質の試料の温度と超音波データとの関係を分析し、その分析結果を基に行う。超音波データ処理部50は、例えば、特定の時間ごとに測定した超音波データ間の比較から、微細なき裂25が発生時期を特定できる。同様に、例えば、測定時期が同じである超音波伝達部21の超音波データ間の比較から微細なき裂25の発生個所を特定できる。
以上の例では、200℃〜800℃の高温環境下での光ファイバセンシングシステム110を用いた損傷監視方法を説明したが、光ファイバセンシングシステム110は、200℃〜800℃の高温環境下だけでなく、−50〜200℃の環境化でも使用することができる。−50℃〜200℃の温度範囲で使用した場合、本開示の損傷監視方法は、圧電素子を用いた場合と比較して、高密度にセンサを設置しても被監視物60に負担をかけずに測定することができるという利点がある。圧電素子は電子デバイスで、そのシステムを構造物に実装するにあたって、電源供給や情報交換用の配線は問題となってくる。また、構造物に設置された圧電素子は、大きなたわみなどを受けるとすぐに割れてしまうという耐久性上の問題も抱えている。一方、本開示の光ファイバセンシングシステム110の場合には、複数のファイバブラッググレーティング32を備えた超音波検出用光ファイバ23aと超音波伝達部21のみを被監視物60に配置し、光ファイバセンシングシステム110を構成する他のハードウェアを遠隔して設置する。そうすることで、高密度でセンサを配置しても、被監視物60に余計な負担をほとんどかけないようにすることができる。それに加え、超音波計測時の温度を把握すれば、損傷検知の精度をさらに向上することができる。また、光ファイバセンシングシステム110は、800℃超の温度域でも超音波を測定することができる。この場合は、超音波検出用光ファイバ23aにはサファイアファイバを用いることができる。
〔実施形態3〕
次に、第3の実施形態に係る光ファイバセンシングシステム120を図7を用いて説明する。なお、この第3実施形態においては、上述の実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
<光ファイバセンシングシステム>
本実施形態に係る光ファイバセンシングシステム120は、図7に示すように、超音波励起部30、超音波計測部40b、及び超音波データ処理部50aを備える。超音波計測部40bは、入射レーザ光源1、分光用サーキュレータ2、超音波検出センサ3b、光検出器4、第1の光ファイバ5、及び第2の光ファイバ6を備える。第1実施形態とは、超音波検出センサ3bを備える点で第1実施形態及び第2実施形態と異なる。
[超音波検出センサ]
超音波検出センサ3bは、超音波伝達部21a及び超音波検出用光ファイバ23bを備える。超音波検出用光ファイバ23bは、ファイバブラッググレーティング42aを備える。超音波検出センサ3bは、分光用サーキュレータ2と接続される。超音波検出センサ3bは、入射レーザ光源1から入射してきたレーザ光(レーザ光)に対し、被監視物60を伝達してきた超音波に応じて変化した反射光を分光用サーキュレータ2に戻す。
[超音波データ処理部]
超音波データ処理部50aは、複数個所で励起した超音波を電気信号に変換した反射光強度の時間変化(超音波データ)を記録して損傷個所を画像化する。損傷個所の画像化に際し、超音波励起部30を用い、被監視物60上の超音波励起箇所を変えながら複数回超音波を励起する。各超音波励起毎に、超音波を励起した時間を0秒とし、ファイバブラッググレーティング42aの反射光強度の時間変化を光検出器4を用いて電気信号に変換し、超音波データとして超音波データ処理部50aを用いて記録する。得られた超音波データを基に、超音波データ処理部50aは、超音波を励起した各超音波励起点毎に反射光強度で輝度変調してプロットし、画像化する。
<損傷箇所画像化方法>
光ファイバセンシングシステム120を用いた損傷箇所画像化方法S120について、図8を用いて説明する。損傷箇所画像化方法S120は、被監視物60に超音波伝達部21aを設置する設置工程S1b、レーザ光(入射光)の波長を掃引してファイバブラッググレーティング42aの反射スペクトルを確認する反射スペクトル確認工程S2bと、取得した反射スペクトルに対し、反射スペクトルのピーク強度の半値に対応する波長である半値波長を確認する半値波長確認工程S3bと、ファイバブラッググレーティング42aの半値波長のレーザ光(入射光)を入射する入射工程S4bと、超音波励起部30を用い超音波を励起する位置を変えながら複数回超音波を励起し、励起された超音波による反射光強度の時間変化である超音波データを各超音波励起毎に取得する連続超音波データ取得工程S11と、取得した超音波データと超音波励起箇所の位置情報とから画像化する画像化工程S12と、を備える。
[設置工程]
設置工程S1bは、超音波伝達部21a及び超音波検出用光ファイバ23bを被監視物60に設置する。超音波伝達部21aとファイバブラッググレーティング42aの設置個所は、適宜調整することができる。
[反射スペクトル確認工程]
反射スペクトル確認工程S2bでは、入射レーザ光源1から照射される入射光の波長を変えて、ファイバブラッググレーティング42aの反射スペクトルを取得する。
[半値波長確認工程]
半値波長確認工程S3bでは、反射スペクトル確認工程S2bで得られたファイバブラッググレーティング42aの反射スペクトルから半値波長を取得する。
[入射工程]
入射工程S4bでは、ファイバブラッググレーティング42aの反射スペクトルの半値波長に調整したレーザ光(半値波長光)を入射レーザ光源1から入射する。半値波長光は、連続超音波データ取得工程S11が完了するまで、入射し続ける。ファイバブラッググレーティング42aの半値波長は初期半値波長確認工程S3aで取得したものとなる。
[連続超音波データ取得工程]
連続超音波データ取得工程S11では、超音波励起部30を用い、被監視物60上の超音波励起箇所を変えながら連続して超音波を励起する。各超音波励起毎に、超音波を励起した時間を0秒とし、ファイバブラッググレーティング42aの反射光強度の時間変化を光検出器4を用いて電気信号に変換し、超音波データとして超音波データ処理部50aを用いて記録する。また、同時に、超音波励起箇所の座標データも超音波データ処理部50aを用いて記録する。超音波の励起箇所は、例えば、超音波伝達部21aを中心として縦横100点、合計10000点程度の格子状とすることができる。
[画像化工程]
画像化工程S12では、超音波を励起した各超音波励起点毎に反射光強度で輝度変調してプロットし、画像化する。超音波伝達部21aを画像化の中心位置とし、計測時刻順で連続描画することで、超音波が発信したような画像を取得することができる。画像化することで、図9のように損傷箇所(破線で囲まれた領域)を可視化することができる。
以上の実施形態では、超音波伝達部21aとファイバブラッググレーティング42aが一つの場合で損傷箇所の画像化方法を説明したが、超音波伝達部21aとファイバブラッググレーティング42aは複数存在していてもよい。その場合、画像化の中心位置となる超音波伝達部に最も近いファイバブラッググレーティングの半値波長の入射光を入射し、画像化の中心となる超音波伝達部の周囲で超音波を励起して、複数の超音波データを収集し、収集した超音波データを基に画像化する。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
1 入射レーザ光源
2 分光用サーキュレータ
3 超音波検出センサ
4 光検出器
5 第1の光ファイバ
6 第2の光ファイバ
21 超音波伝達部
22 ファイバブラッググレーティング
30 超音波励起部
40 超音波計測部
50 超音波データ処理部
60 被監視物
100 光ファイバセンシングシステム

Claims (8)

  1. 超音波を励起する超音波励起部と、
    超音波を計測し、超音波データを得る超音波計測部と、
    前記超音波データを処理する超音波データ処理部と
    を備える光ファイバセンシングシステムであって、
    前記超音波計測部は、
    入射光を照射する入射レーザ光源と、
    第1の光ファイバを介して前記入射レーザ光源と接続され、入射光と反射光とを分ける分光用サーキュレータと、
    前記分光用サーキュレータと接続され、前記入射光に対し、前記超音波に応じて変化する前記反射光を前記分光用サーキュレータに送る超音波検出センサと、
    前記分光用サーキュレータと第2の光ファイバを介して接続され、前記分光用サーキュレータから送られた前記反射光を電気信号に変換する光検出器と、
    を備え、
    前記超音波検出センサは、
    2つ以上のファイバブラッググレーティングを備える超音波検出用光ファイバと、
    前記ファイバブラッググレーティングに超音波を伝達する2つ以上の超音波伝達部と、
    を備え、
    前記超音波伝達部と前記ファイバブラッググレーティングとが接触していない光ファイバセンシングシステム。
  2. 前記超音波励起部がレーザ光源である請求項1に記載の光ファイバセンシングシステム。
  3. 前記ファイバブラッググレーティングが位相シフトファイバブラッググレーティングである請求項1又は2に記載の光ファイバセンシングシステム。
  4. 前記ファイバブラッググレーティングが高温域での超音波測定及び温度計測が可能な再生ファイバブラッググレーティングである請求項1又は2に記載の光ファイバセンシングシステム。
  5. 前記ファイバブラッググレーティングが高温域での超音波測定及び温度計測が可能な再生位相シフトファイバブラッググレーティングである請求項1又は2に記載の光ファイバセンシングシステム。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の光ファイバセンシングシステムを用いた損傷監視方法であって、
    初期超音波データを取得する初期状態確認工程と、
    測定超音波データを取得する超音波測定工程と、
    前記初期超音波データと前記測定超音波データとを比較して、損傷の有無を判定する損傷判定工程と、
    を備え、
    前記初期状態確認工程は、
    被監視物に2つ以上の前記超音波伝達部を設置する設置工程と、
    前記入射光の波長を掃引して2つ以上の前記ファイバブラッググレーティングの初期反射スペクトルを確認する初期反射スペクトル確認工程と、
    前記初期反射スペクトルに対し、前記初期反射スペクトルのピーク強度の半値に対応する波長である初期半値波長を確認する初期半値波長確認工程と、
    前記ファイバブラッググレーティングの前記初期半値波長の初期入射光を入射する初期入射工程と、
    前記被監視物上に前記超音波を励起し、
    前記初期入射光に対する反射光強度の時間変化データである前記初期超音波データを取得する初期超音波データ取得工程と、
    を備え、
    前記超音波測定工程は、
    前記入射光の波長を掃引して2つ以上の前記ファイバブラッググレーティングの超音波測定前の反射スペクトルである測定前反射スペクトルを確認する測定前反射スペクトル確認工程と、
    2つ以上の前記測定前反射スペクトルに対し、測定前反射スペクトルのピーク強度の半値に対応する波長である測定半値波長を確認する測定半値波長確認工程と、
    前記測定半値波長の測定入射光を入射する測定入射工程と、
    前記被監視物上に前記超音波を励起し、
    前記測定入射光に対する反射光強度の時間変化データである前記測定超音波データを取得する測定超音波データ取得工程と、
    を備える損傷監視方法。
  7. 請求項4又は5に記載の光ファイバセンシングシステムを用いた損傷監視方法であって、
    初期超音波データを取得する初期状態確認工程と、
    測定超音波データを取得する超音波測定工程と、
    前記初期超音波データと前記測定超音波データとを比較して、損傷の有無を判定する損傷判定工程と、
    を備え、
    前記初期状態確認工程は、
    被監視物に2つ以上の前記超音波伝達部を設置する設置工程と、
    前記入射光の波長を掃引して2つ以上の前記ファイバブラッググレーティングの初期反射スペクトルを確認する初期反射スペクトル確認工程と、
    2つ以上の前記初期反射スペクトルに対し、前記初期反射スペクトルのピーク強度の半値に対応する波長である初期半値波長を確認する初期半値波長確認工程と、
    前記ファイバブラッググレーティングの前記初期半値波長の初期入射光を入射する初期入射工程と、
    前記被監視物上に前記超音波を励起し、
    前記初期入射光に対する反射光強度の時間変化データである初期超音波データを取得する測定超音波データ取得工程と、
    を備え、
    前記超音波測定工程は、
    前記入射光の波長を掃引して2つ以上の前記ファイバブラッググレーティングの超音波測定前の反射スペクトルである測定前反射スペクトルを確認する測定前反射スペクトル確認工程と、
    前記測定前反射スペクトルのピーク波長と前記初期反射スペクトルのピーク波長との差から2つ以上の前記ファイバブラッググレーティングの温度を計測する温度計測工程と、
    2つ以上の前記測定前反射スペクトルに対し、測定前反射スペクトルのピーク強度の半値に対応する波長である測定半値波長を確認する測定半値波長確認工程と、
    前記測定半値波長の測定入射光を入射する測定入射工程と、
    前記被監視物上に前記超音波を励起し、
    前記測定入射光に対する反射光強度の時間変化データである測定超音波データを取得する測定超音波データ取得工程と、
    を備える損傷監視方法。
  8. 超音波を励起する超音波励起部と、
    超音波を計測し、超音波データを得る超音波計測部と、
    前記超音波データを処理する超音波データ処理部と
    を備え、
    前記超音波計測部は、
    入射光を照射する入射レーザ光源と、
    第1の光ファイバを介して前記入射レーザ光源と接続され、入射光と反射光とを分ける分光用サーキュレータと、
    前記分光用サーキュレータと接続され、前記入射光に対し、前記超音波に応じて変化する前記反射光を前記分光用サーキュレータに送る超音波検出センサと、
    前記分光用サーキュレータと第2の光ファイバを介して接続され、前記分光用サーキュレータから送られた前記反射光を電気信号に変換する光検出器と、
    を備え、
    前記超音波検出センサは、
    1つ以上のファイバブラッググレーティングを備える超音波検出用光ファイバと、
    前記ファイバブラッググレーティングに超音波を伝達する1つ以上の超音波伝達部と、
    を備え、
    前記超音波伝達部と前記ファイバブラッググレーティングとが接触していない、光ファイバセンシングシステムを用いた損傷箇所画像化方法であって、
    被監視物に1つ以上の前記超音波伝達部を設置する設置工程と、
    前記入射光の波長を掃引して1つ以上の前記ファイバブラッググレーティングの反射スペクトルを確認する反射スペクトル確認工程と、
    前記反射スペクトル確認工程で得られた1つ以上の前記反射スペクトルに対し、前記反射スペクトルのピーク強度の半値に対応する波長である半値波長を確認する半値波長確認工程と、
    画像化の中心位置となる前記超音波伝達部に最も近い前記ファイバブラッググレーティングの前記半値波長の入射光を入射する入射工程と、
    前記超音波励起部を用い、前記被監視物上で超音波を励起する位置を変えながら複数回超音波を励起し、励起された超音波による反射光強度の時間変化である超音波データを各超音波励起毎に取得する連続超音波データ取得工程と、
    取得した超音波データと超音波励起箇所の位置情報とから画像化する画像化工程と、
    を備える損傷箇所画像化方法。
JP2019197840A 2019-10-30 2019-10-30 光ファイバセンシングシステム、損傷監視方法、及び損傷箇所画像化方法 Active JP7429410B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019197840A JP7429410B2 (ja) 2019-10-30 2019-10-30 光ファイバセンシングシステム、損傷監視方法、及び損傷箇所画像化方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019197840A JP7429410B2 (ja) 2019-10-30 2019-10-30 光ファイバセンシングシステム、損傷監視方法、及び損傷箇所画像化方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021071369A true JP2021071369A (ja) 2021-05-06
JP7429410B2 JP7429410B2 (ja) 2024-02-08

Family

ID=75712908

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019197840A Active JP7429410B2 (ja) 2019-10-30 2019-10-30 光ファイバセンシングシステム、損傷監視方法、及び損傷箇所画像化方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7429410B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115014763A (zh) * 2022-05-07 2022-09-06 武汉理工大学 用于主轴故障监测的光纤光栅测量系统及优化方法
CN117889918A (zh) * 2024-03-15 2024-04-16 山东泰开电力开关有限公司 一种用于gis故障检测的复合传感器及控制方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007232371A (ja) * 2006-02-27 2007-09-13 Fuji Heavy Ind Ltd 損傷探知システム
JP2007240447A (ja) * 2006-03-10 2007-09-20 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 材料健全性評価装置
JP2010243375A (ja) * 2009-04-08 2010-10-28 National Maritime Research Institute 進展亀裂検出方法、装置およびプログラム
JP2011043416A (ja) * 2009-08-21 2011-03-03 Toyota Central R&D Labs Inc 超音波検査システム
JP2016200402A (ja) * 2015-04-07 2016-12-01 株式会社カイジョー 計測システム及び計測方法
JP2017156134A (ja) * 2016-02-29 2017-09-07 株式会社Subaru 超音波検査システム、超音波検査方法及び航空機構造体

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007232371A (ja) * 2006-02-27 2007-09-13 Fuji Heavy Ind Ltd 損傷探知システム
JP2007240447A (ja) * 2006-03-10 2007-09-20 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 材料健全性評価装置
JP2010243375A (ja) * 2009-04-08 2010-10-28 National Maritime Research Institute 進展亀裂検出方法、装置およびプログラム
JP2011043416A (ja) * 2009-08-21 2011-03-03 Toyota Central R&D Labs Inc 超音波検査システム
JP2016200402A (ja) * 2015-04-07 2016-12-01 株式会社カイジョー 計測システム及び計測方法
JP2017156134A (ja) * 2016-02-29 2017-09-07 株式会社Subaru 超音波検査システム、超音波検査方法及び航空機構造体

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115014763A (zh) * 2022-05-07 2022-09-06 武汉理工大学 用于主轴故障监测的光纤光栅测量系统及优化方法
CN115014763B (zh) * 2022-05-07 2023-08-29 武汉理工大学 用于主轴故障监测的光纤光栅测量系统及优化方法
CN117889918A (zh) * 2024-03-15 2024-04-16 山东泰开电力开关有限公司 一种用于gis故障检测的复合传感器及控制方法
CN117889918B (zh) * 2024-03-15 2024-05-31 山东泰开电力开关有限公司 一种用于gis故障检测的复合传感器及控制方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7429410B2 (ja) 2024-02-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3213045B1 (en) Method and system for structural health monitoring with frequency synchronization
JP5586011B2 (ja) Fbg振動検出システム、該システムを用いた装置及び振動検出方法
Betz et al. Acousto-ultrasonic sensing using fiber Bragg gratings
JP5030081B2 (ja) Ae・超音波検出システム、及びそれを備えた材料監視装置並びに非破壊検査装置
US7221445B2 (en) Methods and apparatus for detecting and quantifying surface characteristics and material conditions using light scattering
JP6145344B2 (ja) 衝撃検知方法及び検知装置
JP6159095B2 (ja) 変位計測装置及び変位計測方法
EP1422494B1 (en) Rapid fiber Bragg grating ( FBG ) strain sensor with reflecting/transmitting filter for acoustic emission detection
JP4027258B2 (ja) 接着部の剥離検査方法
JP2005009937A (ja) 光ファイバセンサを用いたひずみとaeの計測装置
JP7429410B2 (ja) 光ファイバセンシングシステム、損傷監視方法、及び損傷箇所画像化方法
JP2023165747A (ja) 航空機構造解析と健全性監視のための歪感受性表面
KR101039593B1 (ko) 검사 신뢰성이 제고된 초음파 가진 열화상을 이용한 물체의 결함검출장치 및 결함검출방법
CN102089651A (zh) 用激光超声系统对样品进行光谱表征的方法和设备
CN110554091A (zh) 光学检查系统、光学检查方法以及航空器结构体
Li et al. In-situ laser-ultrasonic visualization with the use of regenerated fiber Bragg grating sensors at elevated temperatures
Moslehi et al. Multifunctional fiber Bragg grating sensing system for load monitoring of composite wings
Betz et al. Multi-functional fibre Bragg grating sensors for fatigue crack detection in metallic structures
JP3790815B2 (ja) 光ファイバセンサを用いた材料の損傷評価方法及び装置
Mrad et al. On the use of a compact optical fiber sensor system in aircraft structural health monitoring
JP6709241B2 (ja) 診断装置
Lin et al. Piezo-Optical Active Sensing With PWAS And FBG Sensors For Structural Health Monitoring
Beardslee et al. Embedded acoustic sensing and monitoring techniques for small modular reactors
Leff Implementation and Testing of Surface Acoustic Wave Strain Sensors for Harsh Environment Applications
Saxena et al. Propogation loss with frequency of ultrasound guided waves in a composite metal-honeycomb structure

Legal Events

Date Code Title Description
A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20191122

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220803

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230322

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230509

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230620

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231003

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20231201

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231215

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240109

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20231215

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240122

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7429410

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150